JP2023532622A - 高尿酸血症の治療 - Google Patents

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Abstract

本発明は、GLP-1受容体作用薬を用いた、高尿酸血症の治療法に関する。本発明は、太り過ぎおよび肥満の患者における二重盲検プラセボ対照試験に基づくものであるが、この試験では、血清尿酸塩レベルが増加している対象において、大幅な尿酸塩の低下が観察された。【選択図】なし

Description

本発明は、GLP-1受容体作用薬を用いた、高尿酸血症の治療法に関するものである。
高尿酸血症は、血清総尿酸塩レベルが高値の病態である。ヒトおよび高等霊長類においては、尿酸がプリン代謝の最終酸化産物である。しかし、ほとんどの他の哺乳動物では、ウリカーゼ酵素が尿酸をさらにアラントインに酸化する。ウリカーゼ酵素を欠くヒトおよび高等霊長類においては、キサンチンおよびヒポキサンチンなどのプリン代謝産物は、キサンチン酸化酵素によって酸化されて尿酸となる。ヒトにおいては、正常範囲の上限が、女性では360μmol/L(6 mg/dL)、および男性では400μmol/L(6.8 mg/dL)である。尿酸を含む総尿酸塩が血清中に存在することは重要でありまた有益でもある;その理由は、これらの化合物が強力な抗酸化剤だからである。ヒトにおいては、血漿の抗酸化能の約半分が、尿酸を含む総尿酸塩に由来する。
他方、高レベルの血清総尿酸塩、または高尿酸血症は、多くの場合に、複数の疾患に関連する。例えば、高レベルの血清総尿酸塩は、痛風として知られるタイプの関節炎を関節に引き起こすこともある。痛風は、血流における総尿酸塩レベルの濃度上昇に起因し、関節軟骨、腱および周囲の組織に尿酸一ナトリウムまたは尿酸の結晶が蓄積することによって起こる病態である。これらの組織における尿酸塩または尿酸の蓄積は、その組織に炎症反応を惹起する。尿における飽和レベルの尿酸によって、腎臓で尿酸または尿酸塩が結晶化する場合には、ある種の腎結石が形成される。このような尿酸性結石はX線透過性であるため、腹部X線には現れない。したがって、その存在は超音波エコーによって診断せざるを得ない。痛風のある患者であっても、痛風のない患者であっても、最終的には尿酸性腎結石を生ずることがある。さらに、高レベルの血清総尿酸塩は、急性および慢性の尿酸性腎症、ならびに循環器系疾患および高血圧症を含むいわゆるメタボリック症候群に関連することも多い。
従来は、総尿酸塩レベルが高値であることは、無害なものにしか過ぎず、あるいは尿酸の抗酸化活性があるため有益でさえあり得ると考えられていた。しかしながら、より最近では、この見解に対しては異論が唱えられている。むしろ、総尿酸塩は、循環器系疾患および高血圧症の真のリスク因子であることが提唱されている。このように、血清総尿酸塩レベルが高値であること、または高尿酸血症が、高血圧症のリスク因子となることの証拠が存在するのである。
高尿酸血症は、プリン代謝による総尿酸塩産生および尿酸の産生の加速、または尿における総尿酸塩の排泄障害のいずれかによって起こる。プリンを豊富に含む食事の摂取は、高尿酸血症の原因の一つである。食事で高レベルのフルクトースを摂取することもまた、高尿酸血症を引き起こすことがある。その他の食事上の原因としては、高蛋白質および高脂肪の摂取、ならびに飢餓が挙げられる。飢餓の場合には、エネルギーを得るために身体が自身の筋肉を代謝するようになり、その過程で血流にプリンが放出される。高尿酸血症は腎疾患を引き起こすことがあり、また既存の腎病態を悪化させることもある。
近年、高尿酸血症の有病率が有意に増加しており、高尿酸血症は、循環器系疾患、高血圧症、糖尿病、および多くの他の疾患の独立したリスク因子であることが、より多くの臨床試験によって確認されるようになった。尿酸塩低下療法が、これらの疾患の管理において重要な役割を担うこともある。しかし、アロプリノール(allopurinol)およびフェブキソスタット(febuxostat)など、現行のキサンチン酸化還元酵素阻害性薬剤は、強い有害作用を有することもある。
本発明者は、太り過ぎおよび肥満である対象の二重盲検プラセボ対照臨床試験によって、血清尿酸塩が増加している対象において、GLP-1受容体作用薬(GLP-1-RA)リラグルチド(Liraglutide)が、血清尿酸塩レベルの臨床的に意義のある低下をもたらし得ることを実証した。この効果は、リラグルチドの体重減少効果とは独立した事象であるようだ。
血清尿酸塩が高値である、正常血糖患者にセマグルチドを投与する症例研究では、尿酸塩レベルの低下に同様の効果を示した。
痛風を有する肥満患者についての別の食事介入臨床試験では、体重がかなり減少するにも関わらず、血清尿酸塩レベルに対する効果は、標準的な食事上の助言を受けている患者と比較して統計的に差がないことが確認された。言い換えると、リラグルチドおよびセマグルチドが示す効果は、それらが有する体重減少効果に起因するものではない。
このように、本発明者は、既存の尿酸塩低下剤の代わりになる、安全な代替薬剤を提供したのである。GLP-1-RAは、通常は2型糖尿病の治療において、循環器系のリスクを低下させ、場合によってはまた、体重減少をもたらすことが知られているが、本発明は、GLP-1-RAのさらなる別の有益な効果であって、重度の障害に対する効果を提供するものである。
第1の局面において、本開示は、対象の高尿酸血症の治療に用いるグルカゴン様ペプチド-1受容体作用薬に関する。
他の局面において、本開示は、高尿酸血症の治療を必要とする対象に、治療有効量のGLP-1受容体作用薬を投与することによる、それの治療法に関する。
本開示はさらに、高尿酸血症の治療薬剤の調製におけるGLP-1受容体作用薬の利用、および高尿酸血症の治療におけるGLP-1受容体作用薬を含む医薬組成物または薬剤に関するものである。
好ましい一実施態様においては、高尿酸血症に罹患している対象は、血糖値が正常であるか、あるいはHbA1Cレベルが正常である。
該GLP-1受容体作用薬は、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド(Albiglutide)、デュラグルチド(dulaglutide)、およびセマグルチドから選択されてもよい。該GLP-1受容体作用薬は、チルゼパチドなどの二重GLP-1-GIP受容体作用薬であってもよく、あるいは二重GLP-1-グルカゴン受容体作用薬であってもよい。
好ましい実施態様においては、該GLP-1受容体作用薬は、リラグルチドであり、その用量は、1日1回でリラグルチドを1~3mg(1.2~1.8mgなど)であり、好ましくは3mgである。投与は、好ましくは皮下注射である。
リラグルチドは、体重減少については、用量が1日1回で3mg、および循環器系リスクの低減に関しては、用量が1日1回で1.2~1.8mgとして承認されている。これらいずれの場合においても、治療は、終点レベルに達するまで、用量上昇を用いて開始される。
異なる時点(週数)における、mg/dLで表した血清尿酸塩。推定値は、-8週および0週(点線;n=155)における未補正平均値、および52週のデータ(実線;n=134)についてのANCOVAモデル(層化因子について補正した、すなわち、性別、年齢カテゴリー、肥満分類ならびにベースラインにおける転帰のレベル)による最小二乗平均推定値である。52週の黒丸はリラグルチド群(n=69)を示し、白丸はプラセボ群(n=65)を示す。誤差棒はSEを表す。 患者は、登録時の血清尿酸塩レベルに基づいて四分位数に分類した。この図は、試験の最終時点における血清尿酸塩レベル(mg/dL)を示している。 試験の最終時点における血清尿酸塩レベル(mg/dL)。この図は、2型糖尿病を随伴する患者(n=5)を除外した図2の上位四分位数を示している;糖尿病治療薬を除外した後にn=29。
定義
「正常グルコースレベル」は、用語「正常血糖の」および「正常」の同義語として用いられ、6.1mmol/L(110mg/dL)未満の空腹時静脈血漿グルコース濃度を指す。この量は無作為のものであるが、そのような値は、正常耐糖能が証明されている対象において認められるものであった;しかしながら、経口耐糖能試験(OGTT)で測定した場合には、一部では耐糖能異常(IGT)を有していることもある。正常血糖値を超えるグルコースレベルは、前糖尿病性病態とみなされる。
本明細書中の用語「高尿酸血症」は、女性および男性において、血清尿酸塩(sUA)が6.0mg/dL以上のレベルに上昇している患者の病状を意味する。多くの因子が高尿酸血症の原因となり、そのような因子としては、遺伝的なもの、インスリン抵抗性、高血圧症、腎機能不全、肥満、食事、利尿剤の利用、およびアルコール性飲料の摂取が挙げられる。高尿酸血症の原因を、3種類の機能型に分類することができる:尿酸産生増加型、尿酸排泄減少型、および混合型であり、混合型は、前2者の病因の両方を含むものである。産生増加型病因は、食事においてプリンが高レベルであること、およびプリン代謝が増加することによるものである。排泄減少型病因は、腎臓疾患、特定の薬剤、および尿酸と他の分子との間の排泄の競合によるものである。混合型については、アルコールおよび/または食事におけるフルクトースが高レベルであること、ならびに飢餓が挙げられる。高尿酸血症では、典型的には、尿酸塩代謝障害に起因して、過飽和体液において尿酸塩結晶が形成されて、関節、痛風結節、および実質臓器に蓄積すると、痛風を発症する。尿酸は、プリン代謝の最終産物であり、ヒポキサンチン→キサンチン→尿酸のカスケードで生成する。
本発明の範囲における用語「GLP-1受容体作用薬」(GLP-1-RA)は、外因性GLP-1(天然または合成)、GLP-1受容体を介してシグナル伝達を促進するGLP-1類似体および他の物質(ペプチド性であるか非ペプチド性であるかに関わらず、例えば、低分子)を含むが、これらのみに限定されるものではない。該外因性GLP-1は、天然および合成のGLP-1、特にヒトGLP-1を含む。該GLP-1類似体は、酵素的分解、例えばDPP-4および/またはNEP24.11による酵素的分解に耐性である、もしくはそれらの酵素的分解に対する感受性が低下している、より長時間持続作用する類似体を含む。この用語は、さらにグルカゴン受容体に作用する二重および三重GLP-1受容体作用薬およびさらにGIP受容体に作用する二重GLP-1-RAを含む。
承認されているGLP-1受容体作用薬の例としては、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチドが挙げられる。
本明細書中の用語「治療」および「治療する」は、病態、疾病または障害と闘う目的の、患者の管理および処置を指す。この用語は、患者が罹患している所定の病態に対する、あらゆる治療を含むことを意図するものであり、そのような治療としては、症状または合併症を低減または軽減する;病態、疾病または障害の進行を遅延させる;病態、疾病または障害を治癒または除去する;および/または病態、疾病または障害を予防する目的で、活性化合物を投与することなどが挙げられ、ここで「予防する」または「予防的」は、疾病を予防する、遅延させる、または軽減する目的で行う、症状または合併症の発症リスクを予防、遅延、または軽減する患者の管理および処置を指すものであると理解されたい。治療すべき患者は、好ましくは哺乳動物、特にヒト、男性または女性である。治療すべき患者の年齢は、様々であり得る。
血清尿酸(SUA)濃度は、ヒトの健康についての重要なパラメーターである。SUA恒常性の変化は多くの疾患に関連する。例えば、異常な高SUAレベルは、高尿酸血症とよばれ、痛風の根本原因であり、また循環器系疾患、高血圧症、および腎疾患に相関する。より最近の研究では、高尿酸血症が、これらの疾患の発生または進行に直接寄与し得ることが実証されている。尿酸の産生を直接的に阻害する治療は、痛風に加えて、高尿酸血症関連循環器疾患およびその他の疾患を予防および/または治療するのに有効であり得る。
高尿酸レベルは、尿酸塩結晶化、酸化ストレス、炎症および内皮機能不全を起こす可能性がある。
2016年のChenらの報告(「高尿酸血症関連疾患とキサンチン酸化還元酵素(XOR)阻害剤:概説(Hypercuricemia-related diseases and xanthine oxidoreductase (XOR) inhibitors: an overview)」、Med Sci Monit 22:2501-2512)では、痛風、腎結石、腎不全(急性または慢性の尿酸塩腎症)、高血圧症、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、心不全、脳卒中、2型糖尿病、メタボリック症候群、および非アルコール性脂肪肝疾患の、独立したリスク因子として高尿酸血症を挙げている。このように、循環器系疾患および多くの他の疾患において、尿酸は主要な役割を担っており、全く関係のない因子という訳ではないのである。
特定の実施態様において、該対象は成人などのヒトである。さらに他の実施態様において、該対象は痛風および/または腎不全に罹患している。
本開示では、総血清尿酸塩を低下させる方法、および高尿酸血症に関連する痛風、腎不全および他の疾患の治療について説明する。
別の一局面においては、対象における高尿酸血症の治療は、該治療が必要な哺乳動物に、治療有効量のGLP-1-RAおよび尿酸合成阻害剤を投与することを含み、ここで該尿酸合成阻害剤は、GLP-1-RAの前、後、またはGLP-1-RAと同時に投与する。
付属の実施例において観察された効果は、最高値の血清尿酸塩レベルを有する群において最も高い。したがって、治療開始前に、対象が6mg/dLを超える血清尿酸レベル(6.5mg/dL超、例えば6.8mg/dL超、または7mg/dL超など)を有することが好ましい。
この治療は、8週間で少なくとも0.1mg/dL(少なくとも0.2mg/dLなど)、例えば8週間で少なくとも0.3mg/dL以上、尿酸レベルを低下させることに有効である。
他の実施態様において、該治療は、再燃数およびその重症度を低下させる。またさらなる実施態様においては、該対象のVAS(視覚的アナログ尺度)疼痛およびVAS疲労が軽減する。
視覚的アナログ尺度(VAS)は、アンケートで用いることのできる心理的応答尺度である。直接的に測定することのできない主観的な特質または態度を調べる道具なのである。VAS項目に返答する場合には、返答者が2つの端点間の連続線に沿った一つの位置を指し示すことによって、示されている内容に一致する返答者のレベルを特定する。
実証された尿酸塩低下効果は、以下のうちの1種類以上を軽減すると予想される:
関節痛、関節滲出液、関節のびらん(関節腔狭小化または関節軟骨の分解を含む)、尿酸結晶の析出、および関節における尿酸の蓄積。
GLP-1-RA
本開示にしたがって用いられる好ましいGLP-1-RAは、現在承認されている以下のGLP-1-RAである:
エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドまたはセマグルチド。
リラグルチドは、GLP-1受容体作用薬、Arg34,Lys26-(N-ε-(γ-L-グルタミル(N-α-ヘキサデカノイル)))-GLP-l(7-37)である。リラグルチドは、WO98/08871の実施例37に記載されるような方法で、調製するのであってもよい。
エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチドは、医薬組成物の形態で投与するのであってもよい。該医薬組成物は、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドを、0.1mg/ml~100mg/mlの濃度で含むのであってもよい。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、0.01~50mg、または0.01~20mg、または0.01~10mg/mlのエキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドを含む。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、1~20mg/mlのエキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドまたはセマグルチドを含む。
本明細書に記載の医薬組成物は、1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤、例えば、緩衝液システム、防腐剤、毒性物質、キレート剤、安定化剤および界面活性剤から成る群から選択されるものをさらに含んでいてもよい。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤(緩衝液、等張剤、および防腐剤から成る群から選択される1種類以上など)を含む。薬学的有効成分と共に各種の賦形剤を処方することは、当該技術分野において公知である;例えば、レミントン:製剤学の科学と実際(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)(例えば、第19版(1995)、およびそれ以降のいずれかの版)を参照のこと。用語「賦形剤」は、治療有効成分(例えば、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドまたはセマグルチド)以外の任意の要素を広く指す。該賦形剤は、不活性(inert)物質、不活性(inactive)物質、および/または医学的に活性のない物質であってもよい。
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、リン酸ナトリウム緩衝液など、例えば、リン酸二ナトリウムなどのリン酸緩衝液を含む。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、プロピレングリコールなどの等張剤を含む。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、フェノールなどの防腐剤を含む。
該医薬組成物は、溶液の形態であっても、懸濁液の形態であってもよい。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、水溶液または水性懸濁液などの水性組成物である。用語「水性組成物」は、少なくとも50%w/wの水を含む組成物であると定義される。同様に、用語「水溶液」は、少なくとも50%w/wの水を含む溶液であると定義され、用語「水性懸濁液」は、少なくとも50%w/wの水を含む懸濁液であると定義される。水性組成物は、少なくとも50%w/wの水、または少なくとも60%、70%、80%、さらにまたは少なくとも90%w/wの水を含むものであってもよい。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は7.5~9.0の範囲のpHを有する。
いくつかの実施態様においては、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドが、医薬組成物の形態で投与されるが、ここで該医薬組成物は、約1~20mg/mlのエキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、またはセマグルチド、好ましくはリラグルチド;約2~15mMのリン酸緩衝液;約2~25mg/mlのプロピレングリコール;約1~18mg/mlのフェノールを含み;該医薬組成物のpHが7.5~9.0の範囲である。いくつかの実施態様においては、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、またはセマグルチド、好ましくはリラグルチドが、医薬組成物の形態で投与されるが、ここで該医薬組成物は、約6mg/mlのエキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、またはセマグルチド、好ましくはリラグルチド;約1.42mg/mlのリン酸二ナトリウム二水和物;約14.0mg/mlのプロピレングリコール;約5.5mg/mlのフェノールを含み;該医薬組成物のpHが約8.15である。いくつかの実施態様においては、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、またはセマグルチド、好ましくはリラグルチドが、医薬組成物の形態で投与されるが、ここで該医薬組成物は、6mg/mlのエキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、またはセマグルチド、好ましくはリラグルチド;1.42mg/mlのリン酸二ナトリウム二水和物;14.0mg/mlのプロピレングリコール;5.5mg/mlのフェノールを含み;該医薬組成物のpHが8.15である。
エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドが、治療有効量(2型糖尿病を治療する、循環器系疾患のリスクを低下させる、または体重減少を誘導する治療有効量など)で投与するのであってもよい。エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド好ましくはリラグルチドまたはセマグルチドの治療有効量は、医者が評価し得る。エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドまたはセマグルチドの用量は、0.1~10mgの範囲であってもよい。
エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドを、1日1回投与するのであってもよい。いくつかの実施態様においては、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドを、1日1回、その日の任意の時点で投与する。エキセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチドを、毎週1回、投与するのであってもよい。いくつかの実施態様においては、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドの1日用量は、0.4~4.0mgの範囲(0.4~2.0mgの範囲など)である。いくつかの実施態様においては、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドの1日用量は、0.6、1.2、および1.8mgから成る群から選択される。いくつかの実施態様においては、リラグルチドの1日用量は3.0mgである。
GLP1-RAのうちの一部のものは、毎日投与が認められており、また毎週投与が認められているものもある。セマグルチドは、毎週1回投与が認められており、また本開示の用途では、毎週1回0.25~5mg、好ましくはで毎週1回0.5~2.5mgの用量が意図される。投与は低レベルから開始し、薬効に達するまで増加させる。本明細書に記載の実施例では、毎週1回0.5mgで臨床効果が得られることの証拠を提示している。デュラグルチドもまた、毎週1回の投与が認められており、また本開示の用途では、毎週1回0.25~5mg、好ましくは毎週1回0.5~1.5mgの用量が意図される。
GLP1-RAは、経口投与可能であるが、はるかに高用量となる。例えば、セマグルチドは、T2DMの治療に関して、1日当たり7~14mgの経口用量が承認されている。セマグルチドおよびその他のGLP1-RAの日用量は、1日当たり1~25mgの用量範囲(1日当たり5~15mgなど)が意図される。
いくつかの実施態様においては、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドに関して言及される場合の本明細書中の用語「長期治療」は、治療効果が得られる量と頻度で投与することを意味する。いくつかの実施態様においては、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドに関して言及される場合の本明細書中の用語「長期治療」は、0.4~4.0mg(0.6、1.2、1.8mg、または3.0mgなど)のエキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドまたはセマグルチドを1日1回投与することを意味する。
エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドは、非経口投与、例えば、皮下注射によって投与するのであってもよい。エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドまたはセマグルチドは、ペン型注入器(3mlの使い捨てのペン型注入器など)を用いて投与するのであってもよい。セマグルチドは、経口投与が承認されており、本開示にしたがう経口または注射可能な形態を用いることができる。他のGLP-1受容体作用薬を、類似の処方を用いて経口投与用に製剤化するのであってもよい。
いくつかの実施態様においては、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドまたはセマグルチドを、長期治療で、少なくとも6か月間(少なくとも9か月間など、例えば、少なくとも12か月間以上)、血清尿酸塩レベルが減少する長期治療の期間において、投与する。
エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドまたはセマグルチドを、持続放出製剤(毎週1回投与する製剤など)として投与するのであってもよい。
二重GLP-1-GIP受容体作用薬(チルゼパチドおよび二重GLP-1-グルカゴン受容体作用薬など)も、本願の範囲に含まれる。
併用治療
高尿酸血症の治療をすでに受けている対象に、GLP-1-RAを補助療法として投与するのであってもよい。他の実施態様においては、以前にXOIによる治療を受けていたが、効果が得られなかった、あるいは副作用が現れた対象に、安全な代替としてGLP-1-RAを用いる。XOIは、アロプリノール、フェブキソスタット、またはトピロキソスタット(topiroxostat)であってもよい。
以前の治療の転帰は、アロプリノールに対する過敏性、もしくはアロプリノール治療中の治療に起因する有害事象のこともある。
他の実施態様においては、該対象は、XOI療法(アロプリノール療法など)に応答しなかった。
さらに他の実施態様においては、該対象は、SGLT2阻害剤療法を受けていない。
該対象の血糖値およびHbA1Cが正常であれば、該対象は、インスリンまたはインスリン類似体による療法を受けてはいないと予想される。
対象
本開示のGLP-1受容体作用薬で治療する対象は、好ましくはヒトである。該対象は、痛風に罹患していても、罹患していなくてもよい。該対象は、変形性関節症に罹患していてもよい。
好ましい実施態様においては、該対象は、腎臓機能不全(腎障害など)を有する。既存の尿酸塩低下薬剤は、そのような対象に重度の副作用を引き起こすことがあり、禁忌である。
いくつかの実施態様においては、該対象は、太り過ぎまたは肥満である。
本明細書において、肥満は、健康に有害作用を及ぼし得る度合いの、過剰の身体脂肪が蓄積し、それによって一般的に平均余命の短縮および/または健康問題の増加を引き起こし得る病状と定義される。したがって、一実施態様において、治療を受ける該対象は、太り過ぎまたは肥満である。
体重と身長を比較する肥満度指数(BMI)を測定する。一般的に、BMIが25と30の間である人は太り過ぎまたは前肥満とみなされ、BMIが30を超える場合には、肥満とみなされる。病的肥満である対象は、BMIが35を超える。
一実施態様においては、該対象のBMIは、25kg/m超(30kg/m超など)、例えば、35kg/m超(40kg/m超など)である。
一実施態様においては、該対象のBMIは、30kg/m超である。
一実施態様においては、該対象のBMIは、35kg/m超である。
血糖値が正常である対象の治療は、本開示の範囲に含まれる。正常血糖は、WHOの糖尿病診断基準を参照して定義される。例えば、メトホルミンによって空腹時血糖値が低下している対象の治療もまた、本開示の範囲に含まれる。本開示の実施態様において、該対象は糖尿病を有していない。
血清尿酸塩レベルに対するGLP-1受容体作用薬の効果が、血糖を低下させることによって媒介されるものではないことを、本発明者は明らかにした。臨床試験に登録した対象は、WHO基準にしたがえば、糖尿病ではなかった。少数名がメトホルミン治療を受けており、総合医によって2型糖尿病と診断されていた。結果(図3)からこれらの若干名を除外すれば、グルコース低下によってこの効果が媒介されるのではないことが分かる。
該対象は、空腹時血糖値が7.0mmol/L未満(6.5mmol/Lなど)、好ましくは6.1mmol/L未満、6.0未満、5.5未満、または5.0mmol/L未満であってもよい。GLP-1-RAが空腹時血糖値を下げるので、治療開始前であれば空腹時血糖値を好適に判定し得る。
HbA1Cのレベルで表せば、好適には、これは48mmol/mol未満(46未満など)、例えば、42未満(40mmol/mol未満など)である。
WHO糖尿病診断基準を下の表に示す。
Figure 2023532622000001
項目
以下に、本開示を連番項目で説明する。
項目1:対象において、高尿酸血症の治療に用いるグルカゴン様ペプチド-1受容体作用薬。
項目2:項目1の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象が正常血糖である、または正常HbA1Cレベルを有する、GLP-1受容体作用薬。
項目3:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該GLP-1受容体作用薬が、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド、好ましくはリラグルチドまたはセマグルチドから選択される、GLP-1受容体作用薬。
項目4:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該GLP-1受容体作用薬が、チルゼパチドなどの二重GLP-1-GIP受容体作用薬である、GLP-1受容体作用薬。
項目5:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該GLP-1受容体作用薬が、二重GLP-1-グルカゴン受容体作用薬である、GLP-1受容体作用薬。
項目6:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象が痛風に罹患していない、GLP-1受容体作用薬。
項目7:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象が痛風に罹患している、GLP-1受容体作用薬。
項目8:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象が太り過ぎまたは肥満である、GLP-1受容体作用薬。
項目9:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象が腎臓機能不全を有する、GLP-1受容体作用薬。
項目10:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象が変形性関節症を有する、GLP-1受容体作用薬。
項目11:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象が、キサンチン酸化還元酵素阻害剤(XOI)による治療を受けている、または受けていた、GLP-1受容体作用薬。
項目12:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象がアロプリノールによる治療を受けている、または受けていた、GLP-1受容体作用薬。
項目13:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象がアロプリノールに過敏性である、GLP-1受容体作用薬。
項目14:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象が、アロプリノール療法などのXOI療法に応答しない、GLP-1受容体作用薬。
項目15:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象がSGLT2阻害剤療法を受けていない、GLP-1受容体作用薬。
項目16:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象がインスリン療法もインスリン類似体療法も受けていない、GLP-1受容体作用薬。
項目17:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象の空腹時血糖値が7.0mmol/L未満(6.5mmol/Lなど)、好ましくは、6.1mmol/L未満、6.0未満、5.5未満、または5.0mmol/L未満である、GLP-1受容体作用薬。
項目18:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象のHbA1Cレベルが48mmol/mol未満(46未満など)、例えば、42未満(40mmol/mol未満など)である、GLP-1受容体作用薬。
項目19:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象が糖尿病ではない、GLP-1受容体作用薬。
項目20:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象の血清尿酸レベルが治療開始前に6mg/dL超(6.5mg/dL超など)、例えば、6.8mg/dL超または7mg/dL超である、GLP-1受容体作用薬。
項目21:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該尿酸レベルが、8週間で少なくとも0.1mg/dL(少なくとも0.2mg/dLなど)、例えば、少なくとも0.3mg/dL以上、低下する、GLP-1受容体作用薬。
項目22:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該治療によって、関節痛、関節滲出液、尿酸結晶の析出、関節における尿酸の蓄積が軽減する、GLP-1受容体作用薬。
項目23:前記項目のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該GLP-1受容体作用薬がリラグルチドであり、その用量が1日1回、1~3mgのリラグルチド(1.2~1.8mgなど)、好ましくは、3mgである、GLP-1受容体作用薬。
項目24:痛風に罹患している対象の関節痛を軽減する方法であって、該方法が治療有効量のGLP-1-RAを投与することを含む、方法。
項目25:痛風に罹患している対象の疲労を軽減する方法であって、該方法が治療有効量のGLP-1-RAを投与することを含む、方法。
項目26:痛風に罹患している対象の再燃を軽減する方法であって、該方法が治療有効量のGLP-1-RAを投与することを含む、方法。
項目27:痛風に罹患している対象の関節滲出液を減少させる方法であって、該方法が治療有効量のGLP-1-RAを投与することを含む、方法。
項目28:痛風に罹患している対象の尿酸結晶の析出を軽減する方法であって、該方法が治療有効量のGLP-1-RAを投与することを含む、方法。
項目29:痛風に罹患している対象の関節における尿酸の蓄積を軽減する方法であって、該方法が治療有効量のGLP-1-RAを投与することを含む、方法。
以下の非限定的実施例は、該組成物の有利な特性を具体的に示すものである。
実施例
実施例1:リラグルチドの臨床試験
背景:痛風と肥満との間には関連性がある。尿酸塩を低下させることは痛風管理[1]の基本であり、また尿酸塩レベルは中心性肥満に相関する。以前に実施された試験は、体重減少が血清尿酸塩に正の効果を有することを示唆しているが、その試験は人数が少なく小規模である[2]。
目的:まず、低カロリー食誘導性体重減少、次いで、体重を減少させる薬剤リラグルチド(グルカゴン様ペプチド1受容体作用薬)またはプラセボへの無作為化で、血清尿酸塩レベルに対する効果を評価すること。
方法:無作為化二重盲検のプラセボ対照並行群間単一施設試験[3]で実施した減量試験(LOSE-IT trial:NCT02905864)において、太り過ぎおよび肥満で膝関節痛を有する156名の個体について、まず、ケンブリッジ減量計画(Cambridge Weight Plan;800~1000kcal/日)に沿って8週間(-8週から0週まで)の徹底した食事介入を行い、次いで、体重減少維持期間を設け、この期間は52週間、参加者を3mg/日のリラグルチドまたはプラセボの、いずれかに無作為化して実施した。メトホルミン以外のグルコース低下薬剤を服用している1型糖尿病または2型糖尿病の対象は本試験から除外した。
-8週、0週および52週に採取した血液試料の二次分析を行った。一次転帰の尺度は血清尿酸塩の変化とした。含まれる一部の患者が、痛風の2015年関節リウマチ分類基準を満たすことが、臨床的検討によって示された。-8週~0週の変化および0週~52週の変化には、対応のあるt-検定を用い、用いたANCOVAモデルは層化因子(性別、年齢カテゴリーおよび肥満分類)およびベースライン時の転帰レベルで補正した。データは観測したままのものを分析した(すなわち、欠測データの補完は行っていない)。
結果:156個体を無作為化し、ベースライン時の血液試料を155個体から採取した。ベースライン時では、患者集団の空腹時中央値グルコースレベルは5.8mmol/L(SD=1.17)、またHbA1C値は37.5mmol/mol(SD=4.27)であった。最初の徹底した食事介入の期間(-8週~0週)に、患者集団は、平均で12.5kg減量した(95%CI=-13.1~-11.9;n=156)。
その後の52週間で、リラグルチド群では、さらに4.1kgの減量(SE=1.2;n=71)であり、一方、対照群ではほとんど無変化で、体重減少は0.2kgであった(SE=1.2;n=66)。血清尿酸塩レベル変化についての主要転帰に注目すると、初期の徹底した食事療法の結果、全コホートにつき平均減少が0.21mg/dL(95%CI=0.35~0.07;n=155)であった。翌年(0週~52週)には、リラグルチド群で、血清尿酸塩がさらに0.48mg/dLの平均減少を示した(SE=0.11;n=69)が、他方、プラセボ群では、平均血清尿酸塩に若干の減少(0.07mg/dL(SE=0.12;n=65))が認められた;群間差は-0.40mg/dLで有意であった(95%CI=-0.69~-0.12;n=134);図1を参照のこと。各群の4名の参加者が重度の有害事象を経験した;死亡した参加者はいなかった。登録時の血清尿酸塩レベルに基づいて、患者を四分位数に分類した亜群分析を、図2に示す。そこには明確な分布が示されており、上位四分位数(最高値のバックグランド血清尿酸塩、n=34)の患者では、プラセボ対照患者と比較して、GLP-1-RAの恩恵を最大限に享受している。さらに、治療標的を6mg/dLとした場合には、経過観察の52週で、処置群では最高値の尿酸塩四分位数における約68%の患者が標的範囲に達しており、それに対するプラセボ群では27%に過ぎない。この結果は、治療必要例数(NNT)が2.12であることを示しており、控え目な概数で表して3である。
リラグルチドとプラセボとの間の各平均体重減少差は、尿酸塩レベル四分位数(リラグルチドの方が良好である)について、最下位から最上位の尿酸塩四分位数で、以下のようになった:
Q1=-6.95kg(SE=2.51)、Q2=-4.76kg(SE=3.06)、Q3=-2.37(SE=2.50)、Q4=-4.46(SE=2.85)。
他の試験と一致して、ベースラインは、体重と血清尿酸塩との間の分散/相関(相関係数rhoの2乗:rho-squared)が15%(CI95が6%~26%)であることを示している。
さらに、随伴する2型糖尿病を有する患者(34患者のうち5名)を除外した場合にも、その効果は不変であった(図3)。このことは、GLP-1-RAの高尿酸血症に対する効果が、インスリン抵抗性とは独立であり、また標的集団および作用様式の両方に関して、このGLP-1受容体作用薬群が以前に説明されていたものとは異なる新規効果であることを支持している。
結論:減量(LOSE-IT)試験に関するこの二次分析は、試験期間中に臨床的痛風を有していた、または臨床的痛風を有していなかった、2型糖尿病を伴う、あるいは2型糖尿病を伴わない太り過ぎの患者集団において、リラグルチドおよびGLP-1類似体が一般に、血清尿酸塩低下薬剤としての予想外の新規機序を提供することを示唆している。登録時の、血清尿酸塩が最も高いバックグランドレベルを示した患者試料では、この効果がほぼ最大である。
プラセボと比較した場合に、リラグルチドの血清尿酸塩レベル低下に対する差別化効果は、調べた4つの四分位数について同様な差別化体重減少との間に関連性がない。したがって、この効果はリラグルチドの減量効果とは独立のものと思われる。
実施例2:セマグルチドの臨床試験
慢性痛風を有しているが糖尿病ではない2名の患者を、別の種類のGLP-1類似体で治療した;すなわち、セマグルチドで、皮下(sc)、毎週1回。
患者1:
55歳の男性、糖尿病はなく、3年超の期間、痛風を患っていた。6週間の期間に毎週0.25mg、次いで0.5mgを2回の投与。
全8週間の治療期間に、s尿酸塩が6.9mg/dLから6.0mg/dLに低下した。
関節の痛みの視覚的アナログ尺度(VAS疼痛)(0~100mmスケール)が、治療前では45mmであったが、これが治療経過観察8週間で15mmに低下。
治療前は、3か月毎に1~2回の痛風再燃を経験していたが、治療期間中には再燃が認められなかった。
最初の2週間に起こった軽度の悪心以外には、治療による新規の有害事象は経験しなかった。
患者2:
63歳の男性、糖尿病はなく、4年超の期間、痛風を患っていた。6週間の期間に0.25mgのsc、および4週間の期間に0.5mgのscで治療。
全10週間の治療期間に、s尿酸塩が8.2mg/dLから7.9mg/dLに低下した。
関節の痛みの視覚的アナログ尺度(VAS疼痛)(0~100mmスケール)が、治療前では55mmであったが、これが治療経過観察10週間で25mmに低下。
治療前は、3か月毎に1回の痛風再燃を経験していたが、治療期間中には再燃が認められなかった。
軽度の便秘以外には、治療による新規の有害事象は経験しなかった。
結論
上記の非糖尿病の痛風患者2名を、別の種類のGLP-1類似体(セマグルチド)で治療した。2名とも、血清尿酸塩が下がり、他のパラメーターについても良好に応答した;このことは、GLP-1類似体の有する効果の一つが、血清尿酸塩低下効果であることを支持している。
実施例3:痛風における、食事指針による減量と徹底した食事療法による減量
概念実証非盲検RCT試験
背景
目的は以下である:
痛風を有する肥満患者において、臨床標準(対照食)にしたがう食事上の助言を受けている患者と比較して、徹底した食事介入が、実質的に体重を減少させ、s尿酸塩を低下させることが可能であるか否か、また他の臨床的利点も得ることが可能であるか否かについて調べる。
方法
デンマークで、痛風を有する肥満の人を、徹底した低エネルギー食事療法または対照食の2群(1:1)に、無作為的に振り分けることによって、16週間の、無作為化、非盲検並行群間比較試験を実施した。一次転帰は体重変化とした。主要な二次転帰は、血清尿酸塩(SU)、VAS疼痛、およびVAS疲労の変化とした。この試験は、ClinicalTrials.gov,NCT03664167の事前登録が成されたものである。
知見
61名の参加者を、徹底した食事療法(n=29)または対照食(n=32)に無作為的に振り分けた。参加者は、平均年齢が60.3歳(SD、9.9)、平均BMIが35.6kg/m(SD、5.0)であり、また59名が男性であった(97%)。この治療企図集団においては、ベースラインから16週目で、食事群と対照群との間に、体重変化の統計的および臨床的に有意な差があった(-15.4kg対-7.7kg;差:-7.7kg[95%CI -10.7、-4.7]、p<0.001)。意外なことに、SU、VAS疲労、またはVAS疼痛の変化に関しては、群間に統計的な有意差は認められなかった。徹底的食事療法群においては、再燃が僅かに多く報告された。重篤な有害事象も死亡も報告されなかった。
Figure 2023532622000002
解釈
徹底した食事介入は、痛風を有する肥満の人の体重を効果的に低下させた。しかし、かなりの体重減少にもかかわらず、標準的な食事上の助言を受けている患者と比較して、S尿酸塩、疲労、および疼痛に対する効果に統計的差異はなかった。このことは、GLP-1類似体の血清尿酸塩低下効果が、公知の体重減少効果以外の効果であることの実証を支持するものである。
参考文献
1. Richette P et al. 2016. Ann Rheum Dis 2017;76:29-42.
2. Nielsen SM et al. Ann Rheum Dis 2017 76(11):1870-1882.
3. Gudbergsen H et al. BMJ 2019. 71-2.

Claims (16)

  1. 正常血糖の対象において高尿酸血症の治療に用いるグルカゴン様ペプチド-1受容体作用薬であって、エキセナチド、リラグルチド(liraglutide)、リキシセナチド、アルビグルチド(albiglutide)、デュラグルチド(dulaglutide)、およびセマグルチドから選択される、グルカゴン様ペプチド-1受容体作用薬。
  2. 請求項1の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象のHbA1Cレベルが正常である、GLP-1受容体作用薬。
  3. 前記請求項のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象の空腹時血糖値が、7.0mmol/L未満(6.5mmol/Lなど)、好ましくは6.1mmol/L未満、6.0未満、5.5未満、または5.0mmol/L未満である、GLP-1受容体作用薬。
  4. 前記請求項のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象のHbA1Cレベルが、48mmol/mol未満(46未満など)、例えば、42未満(40mmol/mol未満など)である、GLP-1受容体作用薬。
  5. 前記請求項のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該GLP-1受容体作用薬がセマグルチドまたはリラグルチドである、GLP-1受容体作用薬。
  6. 前記請求項のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象が痛風に罹患している、あるいは痛風に罹患していない、GLP-1受容体作用薬。
  7. 前記請求項のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象が太り過ぎまたは肥満である、GLP-1受容体作用薬。
  8. 前記請求項のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象が腎臓機能不全または変形性関節症を有する、GLP-1受容体作用薬。
  9. 前記請求項のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象が、アロプリノール(allopurinol)などのキサンチン酸化還元酵素阻害剤(XOI)による治療を受けている、または受けていた、GLP-1受容体作用薬。
  10. 前記請求項のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象が、アロプリノール療法などのXOI療法に対して過敏性であるか、あるいはXOI療法に応答しない、GLP-1受容体作用薬。
  11. 前記請求項のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該対象の血清尿酸レベルが、治療開始前に6mg/dL超(6.5mg/dL超など)、例えば、6.8mg/dL超または7mg/dL超である、GLP-1受容体作用薬。
  12. 前記請求項のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該尿酸レベルが8週間で少なくとも0.1mg/dL(少なくとも0.2mg/dLなど)、例えば、少なくとも0.3mg/dL以上、低下する、GLP-1受容体作用薬。
  13. 前記請求項のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該治療が、関節痛、関節滲出液、尿酸結晶の析出、関節における尿酸の蓄積を軽減する、GLP-1受容体作用薬。
  14. 前記請求項のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該GLP-1受容体作用薬がリラグルチドであり、その用量が1日1回、1~3mgのリラグルチド(1.2~1.8mgなど)、好ましくは、3mgである、GLP-1受容体作用薬。
  15. 前記請求項のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該GLP-1受容体作用薬がセマグルチドであり、その用量が週当たり0.25~5mg、好ましくは週当たり0.5~2.5mgである、GLP-1受容体作用薬。
  16. 前記請求項のいずれかに記載の用途のGLP-1受容体作用薬であって、ここで該GLP-1受容体作用薬が、皮下投与または経口投与される、GLP-1受容体作用薬。
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