JP2023528997A - 移動磁石を使用した分散 - Google Patents

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Abstract

本発明は、磁性粒子を分散させる方法であって、(a)容器内において、液相中で少なくとも1つの永久磁石と上記磁性粒子とを合わせることと;(b)磁場を使用して上記永久磁石の変動運動または振動運動を誘発することとを含むか、またはそれらからなり、それらにより上記粒子を分散する、方法に関する。

Description

本発明は、磁性粒子を分散させる方法であって、(a)容器内において、液相中で少なくとも1つの永久磁石と上記磁性粒子とを合わせることと;(b)磁場を使用して上記永久磁石の変動運動または振動運動を誘発することとを含むか、またはそれらからなり、それらにより上記粒子を分散する、方法に関する。
本明細書では、特許出願および製造業者のマニュアルを含む多数の文書が引用されている。これらの文書の開示は、本発明の特許性に関連するとみなされないが、その全体が参照により本明細書で援用される。より具体的には、参照文書は全て、個々の文書が具体的かつ個別に参照により援用されると示されているのと同程度に参照により援用される。
磁気分離技術は十分に確立されており、例えば、化学、生命科学および診断用途において応用されている。これらの方法は、懸濁液の設定において、官能化されたナノメートルからマイクロメートルサイズの常磁性または強磁性粒子を選択的に分散または磁化することに依拠する。粒子が分散されている間、平衡化、結合、反応、洗浄または溶出条件を適用することができる。磁化の局面で、粒子と上清とを分離することができる。
これらの方法の利点としては、容積の制限がないこと、直接バッチ法としての実装の選択肢、および未精製に伴う不純物、例えば細胞残遺物の存在下においてでさえ利用可能であることが挙げられる。標的物質と独立した固体物質の単純な添加および除去は、例えば、標的DNA分子が極度に大きくなり得るDNA富化に特に適切である。さらに、実際に手を動かす作業はほとんどまたはまったく必要なく、時間が掛かる遠心分離工程は必要ない。潜在的な相互汚染の防止が容易であること、およびオートメーション化しやすいことが、磁気分離技術を低~高スループット用途にとって理想的なものとしている。
粒子の磁気分離は、用途によらず、通常は繰り返して実施される必要がある。従来、多くの手動法および大部分の自動化法では強力な永久磁石を用い、永久磁石は、磁性粒子が中に保持された容器(一般に、5μL~50mLの範囲のポリマー反応管)の外面に一時的に密接させられる。粒子は磁化され、磁場が最も強い点の近くに集まる。これにより、磁化された粒子が分散液から凝集体または集合体中に動く。非常に小さい粒子が使用される場合、一般により強力な磁石を用いる必要があり、かつ/または粒子の集合が完了するまでより長い時間が掛かるが、これにより、粒子を実質的に完全に回収することができる。この凝集工程は、粒子を磁場に引きつける磁力に依存する。粒子を分散液中に戻すため、磁石を容器から(これにより粒子からも)遠ざけるように動かし、混合、例えば、上下のピペッティングまたは振盪により、粒子を再び分散することができる。
磁気分離装置として非永久磁石を用いることもできる。注目すべきことに、PerkinElmerのChemagicプラットホーム(PerkinElmer Chemagen Technologie GmbH)は、過渡的に磁化されたロッドのシステムを使用する。ここで、より大きい容積を扱うために電磁石が使用され、磁性粒子を含む溶液中に直接沈められる(Chemagic Magnetic Separation Module I(<10ml);Magtration(登録商標) System 8 l□×□(7ml))。
これらのシステムは全て、物理的な動きを使用して、磁性粒子の方へと磁化源を導入または動かし、磁化粒子から遠ざかる方へと磁化源を除去するという、共通の特徴を共に有している。先に述べたChemagicプラットホームは磁化分離のために異なるアプローチを使用しているが、ロッドを試料中に導入する必要があり、これが相互汚染を引き起こし得る。さらに、関連する異なる技術的手段を用いる別個の混合手順と分散手順とを必要とすることは、上記でさらに論述した、全体が反応容器の外にある磁石を用いる先行技術の方法と共有される特徴である。
先行技術の短所を考慮すると、本発明の根底にある技術的問題を、磁性粒子を操作する改善された手段および方法の提供に見ることができる。これと関連して、また、特定の想定される用途によっては、技術的問題を、分離または合成の、より具体的には、磁気的手段による分離または合成の改善された手段および方法の提供として見ることができる。
この問題は、特許請求の範囲の主題によって解決される。
「新規システムによる操作」は、本発明に従い先行する試料調製の間に磁性粒子を操作した場合における、MSによるペプチド同定を示す。比較として、旧来の操作は、当該技術分野で確立された磁気分離装置を使用した場合における、同定された個々のペプチドの数を示す。
したがって、第1の態様では、本発明は、磁性粒子を分散させる方法であって、(a)容器内において、液相中で少なくとも1つの永久磁石と上記磁性粒子とを合わせることと;(b)磁場を使用して上記永久磁石の変動運動または振動運動を誘発することとを含むか、またはそれらからなり、それらにより上記粒子を分散する、方法を提供する。
一般に、液相中の磁性粒子は重力により沈降する。これは、上記液相のいずれかの構成物との磁性粒子の相互作用にとって有害である。そうした理由から、磁性粒子を懸濁状態に留めて液相全体との効率的な表面接触を達成する必要がある。これは「分散」と称され、旧来では、機械的手段、例えば、振盪、ボルテックスまたは上下のピペッティングを使用して達成される。本発明によれば、分散は上記永久磁石の変動運動または振動運動によって達成される。
磁性粒子(多くの場合、磁性微粒子;磁性ナノ粒子;磁性ビーズ;磁性マイクロスフェア;常磁性、フェリ磁性または強磁性ビーズと称される)は、磁場に応答する粒子である。一般に、これらは常磁性または強磁性である。
多数の官能化磁性粒子が当該技術分野において既知である。官能化は、粒子の表面に限局されていてもよく、例えば、多孔性粒子の場合、かかる細孔内の内表面に及んでいてもよい。
官能化は、磁性粒子がその近くにある物質と、上記物質の化学的修飾の誘発を伴い、または、伴わずに相互作用することを可能にする。換言すれば、例えば、目的の分析物と磁性粒子上の部分との間に非共有結合性相互作用があってもよい。これは以下において「結合」とも称される。一方、磁性粒子は、新たな化学化合物の形成をもたらす化学反応を誘発することが可能な部分を備えられていてもよい。それは、本明細書中で「生成物」または「付加物」の形成と称される。
好ましい官能化、即ち、磁性粒子と結合した好ましい部分は、さらに以下で開示される好ましい実施形態の主題である。
サイズに関して、磁性粒子は、好ましくは1nm~1mm、または100nm~60μmの直径を有する。好ましくは、ある磁性粒子の選択に対して、そのサイズ分布は狭い。また、化学的に不活性な粒子が好ましい。これはコーティングによって達成されてもよい。さらに、これまでは物理的安定性が課題であった。よって、通常の使用条件下で破砕しない粒子が好ましい。磁性粒子に含まれる磁性材料もまた、マトリックス、例えばシリカまたはポリマー中に包埋されていてもよい。これもまた、化学的および/または物理的安定性を付与する手段である。
一般に、大数の磁性粒子が使用される。実際の数は選択された用途およびそのスケールに依存する。例示的な値は、容器当たり100~100000粒子、例えば1000~10000である。
使用に先立ち、磁性粒子は好ましくは平衡化される。さらに以下で示される製造業者の1つによって提供される磁性粒子が使用される場合、平衡化は製造業者によって与えられるガイドラインに従ってもよい。一般的に言えば、平衡化は、粒子を水溶液、例えば緩衝液中に懸濁することを伴う。
上記合わせることは同時であってもよく、任意の順序であってもよい。
上記液相は特に限定されない。実装としては、目的の1つまたは複数の化合物または分析物を含む、試料または混合物が挙げられる。分析物は複数のクラスに属していてもよい。例えば、プロテオームは、事実上タンパク質性であるという特徴を共有する分子の集合である。「液相」という用語は、溶液および懸濁液を包含する。
試料は、目的の分子に加えてさらなる物質を含有していてもよい。かかるさらなる物質は、除去が望ましい混入物であってもよい。一方でまた、液相は純粋であってもよい。液相は、目的の化合物および溶媒に加えてさらなる構成物を含むことのない、目的の化合物の溶液であってもよい。
液相の重要な特徴は、上記液相中において、上記磁性粒子、より具体的には、上記粒子の表面上の部分と、いずれかの目的の分析物または化合物との間の相互作用が生じ得る環境を与えるという点である。
磁性粒子は広く使用されており、用途は分析物の精製から固相合成に及ぶ。これらのプロセスの収量を最適化するため、分析物または出発材料を上記粒子と共に含む反応混合物を混合するが、従来、これは一般的に、上下のピペッティング、振盪、またはボルテックスによって行われている。
本発明者らは、予期せずして、少なくとも1つの永久磁石を反応混合物に添加し、反応混合物を保持する容器の外に位置するさらなる磁石によって生成された磁場によって上記永久磁石の運動を誘発することが、効果的かつ便利な混合の手段であり、たくさんの特徴的な利点を付与することを見出した。
先行技術のアプローチもまた、磁性粒子を操作するために、即ち、未結合の物質を含む残留するあらゆる液体を除去できるように、これらを容器の内部の1つまたは少数の規定の場所に集めるために磁石を使用することは、注目すべきことである。だが、先行技術のアプローチは磁石を混合のために使用しない。混合の局面ではむしろ、磁石は不在である。
よって、本発明が当該技術分野に行う寄与は、要素、即ち、磁性粒子と共に反応混合物を保持する容器の内部の磁石の、粒子を集めるためだけなく、特に、反応混合物を混合するための使用である。
混合のために磁石を使用することはまた、上下のピペッティングまたは振盪と比較して、混合プロセスをより効率的にする。具体的には、永久磁石が、自身が行う変動運動または振動運動によって、液体反応混合物の流動(レオロジー的な意味で)をより乱流的にする。さらに、磁性粒子と上記永久磁石との間の引力は、液体の動きと同調していない磁性粒子の運動を生じさせる。外部磁石によって発揮される磁力は先行技術の混合プロセスにはないものであり、これにより上述の利点がもたらされることは注目すべきことである。
本明細書に収められた実施例では、質量分析による後続の分析において同定されたペプチドの数を使用して本方法の性能を評価するが、そこで実証されるように、本発明は、従来の磁性粒子の操作と少なくとも同程度に良好に機能し、同時に上記で論述した利点を付与する。
上記で開示された容器は特に限定されない。
有用な容器として、分子生物学およびin vitroでの診断法の分野で一般に使用されるものが挙げられる。かかる容器は概して、混入物を含まないか、もしくは混入物を実質的に含まず、化学的に不活性であり、および/または低結合能力を有する表面を有する。
容器が磁場を遮蔽しない少なくとも1つの壁を有することは、本発明の状況で重要である。好ましくは、容器全体が、磁場を遮蔽しない材料で作られている。適切な材料として、プラスチック、ポリマー、例えばポリプロピレン、ガラスおよびセラミックが挙げられる。透磁率の要件を留意すると、金属もまた使用され得る。
例示的な容器および好ましい容器は、5μL~1L、好ましくは10μL~50mLの容積を保持するよう構成され、より好ましくは、30μL、40μL、100μL、150μL、200μL、250μL、500μL、1mL、1.5mL、2mL、5mL、15mLおよび50mLのいずれかの容積を保持するよう構成されている。
容器は、アレイ、例えば一般的なフォーマット(例えば6、24、96、384または1546ウェルを有する1次元または2次元アレイ)で配置され得る。
容器はまた、マイクロ流体デバイス、即ち、任意選択で広がりまたはコンテナおよび/またはバルブを有する開口部を有する1つまたは複数のチャネルを含む小型化デバイスとして実装されてもよい。
「容器」という用語は、閉じた底部を有する容器、蓋を有する容器、閉じた底部と蓋を有する容器、完全に閉じたか、または密閉された容器、管状要素、および少なくとも2つの開口部を有する要素であって、かかる要素を通る液相の連続な流れを可能にする要素をさらに包含する。また、かかるフロースルー容器またはフロースルー反応器において、上記少なくとも1つの永久磁石およびその運動は磁場によって制御される。
好ましくは、上記磁場は、上記容器の外部にある磁石によって生成される。外部磁石は様々な様式で実装され得る。さらなる詳細は以下を参照のこと。一般的に言えば、磁場が、容器の内部に位置する永久磁石の変動運動または振動運動を誘発することが可能であることが重要な点である。これは、容器の部位において経時的に変化する磁場によって達成され得る。かかる経時的な変化は、空間中に磁場を生成する要素の動きによって達成され得る。あるいは、またはさらに、経時的に磁場生成パラメーターを変化させる、例えば、導体、例えばコイルを流れる電流を経時的に変化させることによってこれを行ってもよい。
したがって、上記磁場は電磁石によって生成されてもよく、この場合、上記磁場の影響下で少なくとも1つの永久磁石が、例えば混合に要求される変動運動または振動運動を行うように、上記電磁石を流れる電流が経時的に変化する。
上記磁場は永久磁石によって生成されてもよく、少なくとも1つの永久磁石が容器の内部にあるとすれば、かかる状況下では上記永久磁石はさらなる永久磁石である。この「外部」永久磁石は3次元空間中で運動を行ってもよく、その結果、再び上記変動運動または振動運動を生成する目的で、上記外部永久磁石によって生成された容器の部位における磁場は経時的に変化する。
永久磁石は、フェリ磁性材料または強磁性材料の一片である。
単一磁石のサイズは、大きく異なってもよい。容器の内部の永久磁石に関する限り、これらは、使用されるべき容器、または等価であるが、反応器の寸法に応じて適切に選択され得る。
相対的サイズに関して、永久磁石の最大寸法が、上記反応器もしくは容器中の最小通路または断面を通り抜けることが好ましい。最小寸法よりも小さいことは、好ましくは、上記容器の上記最小寸法または断面の2/3、1/2、1/3、1/4、または10%を意味する。かかる機構は概して、自由な運動または実質的に自由な運動を提供する。好ましくは、自由な運動または実質的に自由な運動は、併進運動および回転運動の少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個もしくは好ましくは6個全ての軸の周囲で、またはそれらに沿って起こり、好ましくは、上記自由な運動または実質的に自由な運動は、少なくとも2つの軸に沿った併進を含む。
点状の物体に関して説明するために、3つの運動の自由度、すなわち3次元空間に及ぶ3つの独立した方向での併進が存在する。拡張物体に関して、回転の3つの独立した軸に関して規定され得る3つのさらなる自由度が存在する。
完全を期すため、有用な永久磁石のサイズの例示的な値は、本明細書では0.1mm~10cm、例えば0.2mm~2cm(それにより規定される下記の値および範囲のいずれかを包含する:0.3cm、0.4cm、0.5cm、0.6cm、0.7cm、0.8cm、0.9cm、および1cm)が挙げられる。同じ好ましいサイズおよびサイズ範囲が、本明細書中で考慮される任意の永久磁石に適用され、また複数の磁石が使用される実行にも適用される。概して、これらの長さは、上記永久磁石の最大伸長を指す。
あるいは、複数の永久磁石、例えば上記で規定されるものが使用され得る。例示的であるが、非限定的な数は、1桁および2桁の範囲に存在し、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、および10である。また、10個よりも多い磁石、例えば20個、30個、40個、または50個の磁石が使用されてもよい。これらの数は、容器の配置(例えば、マイクロタイタープレート)が使用される場合にも、1つの容器を指す。
永久磁石の数は、それが明記される限り限定的であることが理解されよう。換言すると、第1の態様の方法が他の方策を含み得る一方で、かかる可能性は、明らかに明記される場合よりも多くの永久磁石が存在しているという選択肢にまで及ばない。
かかる複数の磁石は、互いに同一であってもよく、または異なってもよい。
複数の磁石が使用されるべきである限り、一般に同じことが磁石に適用される。特定の例を挙げると、単一磁石は、単一の強磁性またはフェリ磁性ビーズと組み合わせてもよい。このことは、磁石のより厳密な運動を提供する一方で、磁場を制御するパラメーターは変化されないままである。さらに以下も参照のこと。
より厳密な運動を達成するさらなる手段は、磁化できない材料、例えば非磁性金属で作製された1つまたは複数、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のビーズの添加である。永久磁石と同じサイズまたはこれと同等のサイズの、1つのかかるビーズおよび/または複数のかかるビーズが特に好ましい。
上記永久磁石の形状に関して、特に限定は存在せず、磁石の自由運動を負に妨害しない形状が優先される。例示的な形状として、スティック、棒、ロッド、先端が丸いロッド、立方体、直方体、角柱、球体、長楕円体および扁平楕円体、ディスク、4面体、8面体、12面体、および20面体が挙げられる。
さらに好ましい実施形態では、(a)上記永久磁石は、強磁性材料もしくはフェリ磁性材料を含むか、または強磁性材料もしくはフェリ磁性材料からなり;および/または(b)上記磁石および/もしくは上記粒子は、好ましくは(i)化学的安定性を付与するコーティング;(ii)機械的安定性または硬度を付与するコーティング;(iii)触媒によるコーティング;(iv)核酸、例えばプローブおよび/またはプライマーによるコーティング;(v)キレート剤、例えばIMAC、TiOおよびZrOによるコーティング;(vi)好ましくは(1)逆相基、例えばC18、C8、ベンゼン、(2)HILIC基、例えば水酸基、(3)陽イオン交換基、例えばスルホン酸、リン酸、カルボン酸、(4)陰イオン交換基、例えば第1級、第2級、第3級および第4級アミノ基、および(5)(1)~(4)のいずれか1つの任意の組合せから選択されるクロマトグラフィー材料によるコーティング;(vii)好ましくはグロブリン、特に免疫グロブリン;抗原、好ましくは免疫グロブリンに結合することが可能な抗原;ストレプトアビジン、ビオチン;プロテインA、プロテインGから選択されるリガンド結合タンパク質および/またはそれらの同族リガンド;アネキシンV、リン脂質;酵素、例えば、酸化還元酵素、トランスフェラーゼ、リガーゼ、例えばポリメラーゼ、ヒドロラーゼ、例えばプロテアーゼ、ペプチダーゼ、ヌクレアーゼ、サッカリダーゼ、リパーゼ、リアーゼおよびイソメラーゼ;脂質によるコーティング;および(viii)(i)~(vii)のいずれか1つの組合せから選択されるコーティングでコーティングされる。
上記永久磁石に適した材料として、下記元素およびそれらの合金が挙げられる:ネオジム-鉄、ネオジム-鉄-ホウ素(例えば、NdFe14B)、コバルト、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、鉄、ニッケル、酸化鉄、マンガン-ビスマス、マンガン-アンチモン、マンガン-ヒ素、イットリウム-酸化鉄、酸化クロム、酸化ユウロピウム、およびサマリウム-コバルト。特に好ましい材料は、ネオジム-鉄およびサマリウム-コバルトである。
(c)(i)による適切なコーティングとして、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、パリレン、窒化チタン、ポリイミド、クロロポリマー、およびフルオロポリマー、好ましくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる。
上記少なくとも1つの永久磁石は、変動運動または振動運動を遂行し、好ましくは、上記運動は、変動磁場または振動磁場によって誘発され、好ましくは、上記磁場は、電流および/または電磁石によって生成される。
簡単に言えば、永久磁石は上下および前後に動き、運動は、規則的または反復性構成成分を有し得るが、それらを有する必要はなく、空間方向は特に限定されない。また、永久磁石は、通常併進運動のほかに、1つまたは複数の軸に関して回転してもよい。永久磁石は、上記容器の壁に当たり得るか、または繰り返し当たり得るが、そうする必要はない。永久磁石の運動は好ましくは、定方向の運動ではない。また、上記運動は、場合によっては不規則的であるが、一般に上述の容器内に位置される平均位置に関して行われ、永久磁石は、容器を離れない。永久磁石の運動は概して、1つまたは複数の併進構成要素を有し、上記平均位置は、上記容器の中央辺りに存在し得る。したがって、運動は、回転であるマグネチックスターラーによって実施される運動とは異なり、磁石の平均位置は、混合または攪拌されるべき液体を含有する容器の底部にあるか、または底部に近い。
「振動」という用語は、規則的な運動を指すのに対して、「変動」は、より広く、不規則な運動も包含する。その点で特に優先されない。
少なくとも1つの永久磁石の運動は好ましくは、変動または振動磁場によって誘発される。
磁場は、磁石の位置および/または運動を制御する一般的な手段である。本発明に従って永久磁石が運動することを考慮すると、この好ましい実施形態において変動または振動磁場が使用される。
電流によって生成される上記磁場は好ましい。電場および磁場が相互関係のあること、特に電流が磁場を生成することは十分に確立されている。結果として、電流を制御することは、それにより生成される磁場を制御する手段である。
あるいは、またはさらに、あまり好ましくはないが、上記磁場は、それぞれ、外部永久磁石によって生成または調節され得る。「外部」という用語は、かかる磁石が上記容器内に位置されないことを意味する。外部磁石を使用する場合、それにより生成される磁場は、上記容器の内部の上記少なくとも1つの永久磁石に関して上記外部磁石の相当する動きによって変動または振動させてもよい。
好ましい実施形態では、上記磁場は、電磁石によって生成される。本明細書中で使用する場合、「電磁石」という用語は、その最も簡素な実行では、使用時に電流が流れる導電体の一部分を包含する。磁場のより良好な制御のために、またはより強力な磁場を生成する目的で、さらに以下で開示される好ましい実施形態の主題である電磁石の特定の実行が想定される。
好ましい実施形態では、上記電流は、変動または振動する。この挙動はまた、一般的な「波」と称され得る。電流の量は、アンペア数として知られている。
好ましい実施形態では、時間の関数としての上記電流のアンペア数は、(i)矩形関数、(ii)正弦関数、(iii)三角形関数、(iv)鋸歯状関数、または(v)(i)~(iv)のいずれか1つの組合せもしくは畳み込みである。電流の時間プロファイルもまた、本明細書中で「波形」と称される。
電流が振動または変動することを考慮すると、これはまた、パターン(i)~(v)に当てはまり、即ち、上記矩形関数および上記三角形関数は、実際に反復性矩形関数および三角形関数である。「パターン」という用語は、所与の基礎的な事象が少なくとも1回繰り返される一連の事象を指す。より広義では、反復は、正確な反復である必要はなく、例えば時間グラフにおける長方形の長さは変化し得る(これは、効果的に周波数の変化となり、好ましい周波数ならびに周波数の好ましい時間依存性は、さらに以下で明記される)。
実施形態(i)~(v)は全て、本明細書中の「交流電流」とも称される。
上記矩形関数(矩形波または方形波とも称される)、より具体的には反復性矩形関数のパターンが特に好ましい。驚くべきことに、本発明者らは、このパターンが少なくとも1つの永久磁石の特に活発な運動を誘発し、かかる活発な運動が、混合に関して特に効率的であることを見出した。
しかしながら、電流の他の時間プロファイル(波形)もまたうまく機能する。実施例3を参照のこと。
上述の矩形関数では、高電流および低電流(または電流がオフである状態)の時間間隔は、同じであってもよく、あるいは異なってもよい。上記時間間隔の長さを制御する手段、例えば、パルス幅変調(PWM)と称されるものが当業者に既知である。反応混合物に伝達されるエネルギーは、電流の周波数および振幅によってのみ管理されるのではなく、上記時間間隔の相対的持続期間によってもまた管理されることは注目すべきことである。
単位容積当たりの磁場中のエネルギーは、Emag=1/2 B/μで定義され、Bおよびμの定義に関しては、さらに以下を参照のこと。続いて、Emagは、磁場を引き起こす電流のエネルギーに等しいか、またはそれ未満である。後者のエネルギーは、Ecurr=UItと推定することができ、Uは電圧であり、Iは、磁場を生成する電流のアンペア数であり、tは、電流が流れる時間である。換言すると、B、U、Iおよびtのいずれか1つを制御することは、永久磁石によって上記容器の内容物に伝達されるエネルギー量を制御する手段である。
しかしながら、第1の態様の方法の詳細な実行を明記する他の手段が存在する。これは、より直接的に制御または測定することができる複数のパラメーターの1つまたは複数を明記することを包含する。これらのパラメーターは、電流の周波数およびアンペア数を包含し、さらに、使用される限り、上記容器およびコイルの寸法を包含し得る。また、好ましくは永久磁石の部位にある磁場の強度は、実行の詳細を量的に明記する手段を包含する。下記において、上述のパラメーターの好ましい範囲が明記される。
好ましい実施形態では、上記電流は、所与の周波数、好ましくは0.1Hz~20MHzの周波数、より好ましくは10Hz~2kHz、さらに好ましくは50~500Hzまたは90~300Hzまたは100~200Hzで変動するか、または振動する。これらの尺度は、正弦電流にだけでなく、例えば反復矩形パターンを含む本明細書中に明記される電流プロファイル全てに当てはまることが理解される。周波数という用語はまた、変動、即ち、規則的(かかる規則的な時間挙動はまた、本明細書中では「振動」と称される)でない時間依存的な挙動にも当てはまる可能性があり、変動の時間尺度を特性化するための手段である。かかる場合では、「周波数」という用語は、変動の平均周波数について言及していると理解される。
少なくとも1桁~2桁のmL範囲の容積を有する容器に関して、ならびに標準的な96ウェルプレートのウェルに関して、80~300Hzのより低い周波数が特によく機能するのに対して、より著しく高い周波数、例えばおよそ1000Hzは、永久磁石の振動を誘導すると同時に、容器の容積の相当部部分を網羅する運動の完全範囲を誘発し得ないことがわかる。これは、より高い周波数が有益ではないことを意味しない。また、より高い周波数は、より低い周波数と併せて使用されてもよい(以下を参照)。
より一般的に言えば、より好ましい周波数範囲は、永久磁石が振動または回転するだけでなく、本発明の方法で加工処理されるべき材料の全体の容積または実質的に全体の容積を探索する併進運動も実施することを確実にする範囲である。上記容積は一般に、上記容器中に含有されるような液相の総容積である。
換言すると、1桁~2桁のmL範囲の容積を有する容器および96ウェルプレートに関してガイダンスが上記で付与される一方で、周波数範囲は、より著しく小さな容積、より著しく大きな容積、または特殊な幾何学を有する容器に対する適応を必要とし得る。一例を挙げると、より小さな容積、例えば高密度マイクロタイタープレート(例えば、1536ウェルプレート)のウェルに関して、例えば約1kHz、例えば200Hz超のより高い周波数は、より大きな容器中でより小さな周波数で見られる運動に匹敵する永久磁石の運動を引き起こすと予想される。いずれの場合でも、本明細書中に付与されるガイダンスを提供された当業者は、上記少なくとも1つの永久磁石の運動を制御するパラメーターを直接的な様式で探索および最適化することができる。上記でさらに説明されるように、好ましくは回転のほかに、併進運動を実施する永久磁石が好ましい。
好ましい実施形態では、上記周波数は、上記方法が実施される間ずっと、一定に保たれる。
代替的な好ましい実施形態では、上記周波数は、時間の関数として変化する。
さらに好ましい実施形態では、1つよりも多い周波数が、所与の時点で適用される。かかる場合において、かかる複数の周波数の各周波数は、上記で付与される好ましい間隔のいずれかから選択され得る。2つの周波数の場合、第1の周波数は、50Hz~500Hzであり、第2の周波数は、80Hz~20MHzであることが特に好ましい。換言すると、この好ましい実施形態は、複数の周波数の重ね合わせを提供する。
1つよりも多い周波数は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個および10個の異なる周波数を含む。かかる複数の周波数は、単一の周波数に代わって全体にわたって提供され得る。これは、かかる複数の周波数が、上記方法の全体的な実施中に適用されることを意味する。また、複数の周波数、または異なる複数の周波数は、より長い期間内に異なる時間間隔で適用され得る。上記より長い期間内に、また1つよりも多い周波数が適用される時間間隔のほかに、1個または複数個の、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個の時間間隔が存在してもよく、その時間間隔では唯一の周波数が適用される。
さらに好ましい実施形態では、上記周波数は経時的に一定でなく、また1つよりも多い周波数の場合には、これらの周波数は経時的に一定でなく、好ましくは周期的な様式で、2つまたは複数の周波数間で切り換えられるか、または徐々に変化されることが好ましい。
例示的な管理体制は、(120Hz~1000Hz)、(200Hz~1000Hz)、または(100Hz~800Hz)(式中、nは、例えば2~1000、例えば10~100の整数であり、括弧内の周波数パターンが反復されるべき回数を明記している)である。
一定の周波数および/または一定のアンペア数を用いた場合の時間間隔の持続期間は、特に限定されない。1秒~1日、例えば1分~1時間の時間間隔が想定される。
さらに好ましい実施形態では、上記電流は、(a)20mA~100A、好ましくは0.1~20Aのアンペア数Iを有し、(b)上記磁石を、0.02~10A/m、好ましくは10~10A/mの磁場強度に曝露し、および/または(c)1秒~1週間、例えば10分~5時間の期間tの間適用される。
磁場強度Hは、磁場の強さを決定し、1メートル当たりのAで測定される。Hは、電流の磁場を強化するのにコアが使用される状況で特に関連のある磁束密度Bとは区別されなくてはならない。
上記で開示されるように、時間の関数としてのアンペア数は、本明細書中で開示される周波数によって管理される時間尺度で変動し、変動の時間尺度に関して一定のアンペア数は存在しないことに留意されたい。さらに、実用的な目的で、また電気力学における慣行と合致して、交流電流は、その平均アンペア数に関して定量化され得る。上記値は、そういう意味では平均アンペア数である。平均は好ましくは、変動の時間尺度を上回ることは注目すべきことである。つまりは、断続電流が使用される限り、電流がオンである場合には好ましくは上記で明記される範囲内に平均アンペア数が存在し、電流がオフである場合にはアンペア数ゼロが存在する。
好ましい実施形態では、変動または振動の振幅は、(a)一定であるか、または(b)好ましくは上記変動または振動の時間尺度よりも遅い時間尺度で、経時的に変化する。
この実施形態は、上記電流の運動の振幅を指す。電流の振動または変動の振幅は、アンペア数によって管理される。
さらに好ましい実施形態では、上記電流は、断続的であり、および/または上記アンペア数は、好ましくは周期的な様式で経時的に変化する。経時的なこの変化は概して、交流電流の周波数によって規定される時間尺度よりも遅い時間尺度に関する。換言すると、交流電流が、この実施形態の意味で経時的に変化する場合、電流の時間依存性は、2つのパターンまたは波:交流電流に固有である一般的に早い変動、および一般的により遅い変化の重ね合わせである。
例示的な断続パターンは、オン(1分)-オフ(1分)の連続の反復である。他の好ましい時間間隔は、上記で付与されている。断続パターンの利点により、特に容器の内容物が加熱していることが観察される場合に温度を一定または実質的に一定に保つことが可能になる。
さらに好ましい実施形態では、0~1000W、好ましくは1~200Wの電力が適用される。
さらに好ましい実施形態では、電流は、電源によって電力を供給される。好ましくは、電源は、約0~240V、例えば0.1~75Vの範囲で電位または電圧Uを有する。これらの値は、適用される平均電圧を指す。
さらなる好ましい実施形態では、上記電磁石は、少なくとも1つのコイルを含み、好ましくは、上記コイルは、(a)複数の、例えば1~10個、好ましくは10個~1000個の巻き線を有し、および/または(b)少なくとも1つのヘルムホルツコイルを含み、および/または(c)少なくとも1つのコアを含む。
複数のコイルの例示的な数は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、50個、100個、150個、200個、300個、400個および500個である。
「ヘルムホルツコイル」という用語は、当該技術分野で確立されており、回転対称の軸が一列に並ぶか、または同一空間を占めるように間隔をあけて配置される通常2つの同一コイルの配置を指す。コイル間の空間にある磁場は、特に均質であり、および/または特に強力である。また、複数のヘルムホルツコイル、例えば2つのヘルムホルツコイルを使用してもよい。
しかし、本発明をうまく働かせるためには、ヘルムホルツコイルを使用することは要件ではない。実施例4を参照のこと。
複数のコイルのさらなる配置は、特に均質な磁場の拡張された空間領域を提供することが知られている。さらなる例は、マクスウェルコイルである。
コアは、磁場の影響を強化する働きをする。コアは、好ましくは強磁性材料、例えば鉄、特に軟鉄で作製される。磁束密度Bは、下記の通りに磁場強度に関連される:B=μμHである。μは、真空の透磁率、したがって基本的な物理定数である。他方でμは、比透磁率であり、磁場の影響下での所与の材料、例えば強磁性コアによる磁束密度の強化の度合いを決定する。通常、コアとして使用されるべき強磁性材料に関するμは、10~10、例えば200000~400000、例えば約300000である。適切なコア材料は、粉末金属、積層金属、焼き鈍し金属、例えば焼き鈍し鉄、セラミック、および固体金属を含む。
コアの非存在下でのBの好ましい値は、10-8~10テスラ(T)、例えば10-5~1Tである。特定の比透磁率を有するコアが使用される場合、Bの値は、上記比透磁率を用いて乗じられ得る。したがって、コアの存在下でのBの好ましい値は、10-2~10、例えば、1~10Tである。概して、これらの値は、永久磁石の部位での、または上記容器内でのBを指す。
幾何学に関して、好ましいコイルは円形である。好ましい直径は、1mm~1mまたは1mm~0.5m、例えば2mm~300mmまたは2mm~200mmである。また、異なる幾何学、例えば正方形、長方形または三角形のコイルも想定される(即ち、巻き線の全てまたは一部が、正方形、長方形または三角形である)。最終的に、コイルは、電磁石に不可欠な要件ではなく、また2つの逆平行ワイヤの配置が使用されてもよいことは注目すべきことである(「逆平行」は、所与の時点で2つのワイヤを流れる電流の方向について言及している)。
さらに好ましい実施形態では、1つよりも多いコイル、好ましくは2個~10個、例えば2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、もしくは10個のコイル、または10個~1000個のコイルが使用される。コイルはそれぞれ、1つまたは複数の巻き線を有し得ることが理解され、巻き線の好ましい数は、本明細書中で上記に開示されている。
好ましい実施形態では、上記磁性粒子はその表面上に少なくとも1つの部分を有し、上記部分が、(i)標的分子に結合することが可能な部分であって、好ましくは、結合タンパク質、アフィニティークロマトグラフィー材料、吸収性材料、吸着性材料、プローブ、またはプライマーである部分;(ii)少なくとも1つの開始分子を少なくとも1つの生成物分子に変換することが可能な部分であって、好ましくは、酵素または化学触媒である部分;および(iii)標的分子と付加物を形成することが可能な部分から選択され、上記標的分子または開始分子が、それぞれ上記液相中に存在するか、または存在すると疑われる。
磁性粒子は、官能化されたものも官能化されていないものも、多数の製造業者、例えば、Resyn Biosciences (Pty) Ltd.、Thermo Fisher Scientific、Creative Diagnostics、Nanopartz Inc.、Alpha Nanotech Inc.、Spherotech Inc.、およびStratechから入手可能である。また、当業者は既知の手順を使用して官能化磁性粒子を調製することができ、例えば、Sunら、Current pharmaceutical biotechnology、10巻 753~60頁(2009)およびPerez-Ruizら、New Biotechnology 33巻、755~762頁(2016)を参照のこと。
そのような磁性粒子の調製は、例えば、Shanら、Langmuir、22巻、2516~2522頁(2006)、Oberackerら、Bio-protocol 9巻(20号):e3394、およびHafeli U.、Schutt W.、Teller J.、Zborowski M.(編) Scientific and Clinical Applications of Magnetic Carriers. Springer、Boston、MA中のPaulke BR.、Buske N.、Winoto-Morbach S.(1997) Synthesis Studies on Paramagnetic Polystyrene Latex Particles.に記載されている。
上記標的分子または上記開始分子は一般に、上記液相中に溶解または懸濁する。
上記好ましい実施形態の項目(i)に従う例示的な結合部分は、ZrOである。ZrOはリンペプチドに結合する。実施例2は、本発明によるZrO部分を有する磁性粒子の使用を説明する。
酵素の例としては、トリプシンおよび他のプロテアーゼ、例えばLysC、GluC、AspN、ArgCまたはキモトリプシンが挙げられ、これらはタンパク質、ポリペプチドおよびより大型のペプチドを断片に切断し、これら断片は、そのサイズに起因して、下流の分析方法、例えば質量分析(MS)に適している。本明細書に含まれる実施例1は、本発明の実行と磁性粒子の操作の当該技術分野で確立された方法の両方の状況における、トリプシン被覆磁性粒子の使用を示す。
さらに好ましい実施形態では、上記第1の態様の方法は、(c)上記磁場を除去する、静的にする、および/または上記磁場が上記運動を誘発することを不可能にし、上記磁性粒子を上記永久磁石上に集合させることと、(d)上記液相を除去することとをさらに含むか、またはさらにそれらからなる。
本明細書中の「さらにからなる」という語句は、方法が閉数の工程からなる実装を指す。上記実施形態の場合、これらは、第1の態様に従って規定されるような工程(a)および(b)ならびに上記実施形態の主題である工程(c)および(d)である。
磁場の除去は、外部磁石によって生成された磁場が容器内のいずれの位置においても無視できるようになる程度に、外部磁石を容器から遠ざけるように物理的に動かすことによって達成されてもよい。あるいは、またはさらに、これは外部磁石が電磁石である実装に適用され、電磁石を流れる電流は、著しく減少されてもオフにされてもよい。
さらなる代替法では、上記磁場は除去されないか、または混合/分散プロセスを停止するのに十分な程度にまで除去されない。その場合、磁場を、もはや上記永久磁石の上記変動運動または振動運動を誘導しないように変化させる。さらに以下で開示されるように、一般に、かかる種類の運動を誘発するために、上記磁場もまた事実上変動または振動している。かかる振動または変動する磁場を静的なものに変化させることによって、上記永久磁石の運動は止む。混合プロセスを停止するにはこれで十分である。一般的に言えば、上記運動を誘発することを不可能にする上記磁場のいかなる変更も、混合プロセスを停止するのに適切である。
工程(d)は液相の除去を必要とする。この段階における上記液相は、磁性粒子の添加に先立って容器内にあった液相と厳密に同じではない可能性があることは、注目すべきことである。例えば、上記液相が粒子の表面上の部分に結合する化合物または分析物を最初に含有していた場合、上記化合物または分析物は、工程(d)で除去されるべき液相により少量で存在するか、または工程(d)で除去されるべき液相からなくなる。
一般に、集合させる局面は、数秒、例えば0.1~600秒、1~60秒、または10~30秒掛かる。
この好ましい実施形態によれば、上記少なくとも1つの永久磁石は、上記磁性粒子を分散する手段であるだけでなく、磁気的振動または変動が不在またはオフになったときに上記粒子を集める働きもする。多くの先行技術のアプローチも磁性粒子を集めるために磁石を使用しているが、上記磁石は一般に上記容器の外部にあり、上記磁石を容器の近くまたは容器から遠ざかるように動かすデバイスをさらに必要とする。かかる先行技術の方法のもう1つの欠点は、いずれの容器も少なくともある程度磁場を遮蔽し、したがって、理論的に可能な磁束密度が容器の内部で実際に達成されない点である。したがって、大半の先行技術の技法は、非常に強い磁場強度を有する特別に設計された磁石を必要とする。
本発明は、上記少なくとも1つの永久磁石が、試料、反応混合物または精製すべき混合物を保持する容器の内部に位置するという点において、それらのアプローチと異なる。
上記で概説されたChemagic法は、混合物中に、電磁気学を利用することで上記混合物内に磁場を発現する、非永久的に磁化可能なロッドを沈める。しかし、本発明はこれとも区別される。即ち、本発明によって使用される少なくとも1つの永久磁石は、磁性ロッドを機械的に動かすデバイス中に一体化されるのではなく、容器に保持された反応混合物中に沈められる。この違いにより、本発明において使用される永久磁石は使い捨ての要素となる。上述の磁性ロッドによって導入される相互汚染のリスクは回避される。
少なくとも1つの永久磁石に言及することによって第1の態様の方法を上記で開示したが、あらゆる磁性体をその目的のために用いてもよいことは注目すべきことである。「磁性体」という用語は本明細書中で使用される場合、少なくとも1つが磁石である粒子の集合体であり、上記粒子の集合は、上記少なくとも1つの磁石の磁場によって媒介される。簡潔に述べると、磁場において、得られた集合体は、本質的に単一磁石のように挙動する。詳細に関しては、さらに以下を参照のこと。サイズの観点で、上記粒子は、断片化されるべき分子よりも大きい(また、上記方法が実施される容器または反応器よりも小さい)。
第2の態様において、本発明は、混合物から化合物を分離する方法であって、(a)容器内において、上記混合物を、上記化合物と結合することが可能な部分を有する磁性粒子および少なくとも1つの永久磁石と接触させることと;(b)磁場を使用して上記永久磁石の変動運動または振動運動を誘発することとを含むか、またはそれらからなり、それらにより上記化合物を上記混合物の構成物の残りから分離する、方法を提供する。
上述したように、上記永久磁石の上記変動運動または振動運動は混合の手段であり、上記結合部分を上記化合物と接触させ、結合を生じさせ、そしてこれが液相の構成物の残りからの分離についての基礎を与える。
本態様は、第1の態様の方法の利点を活用しつつ、特定の種類の官能化粒子、即ち、結合部分を有する磁性粒子を利用する。上述したように、「結合」は本明細書中で使用される場合、粒子上の部分と当該化合物との間の非共有結合性相互作用を指す。かかる粒子は一般に、分析用でも調製用でもあり得る分離プロセスのために設計される。結果として、第1の態様の液相はここでは混合物として実装される。即ち、かかる混合物は、目的の化合物(一部の例では「分析物」とも称される)に加えて、目的ではないかまたは望ましくない他の構成物(例えば混入物)を含んでいてもよく、第2の態様の方法は、上記他の構成物、例えば混入物を除去し、富化されたかまたは純粋な形態である目的の化合物を得ることを可能にする。一般的に言えば、第2の態様の方法は、富化法、枯渇法、精製法、単離法、分離法、分画法、およびクリーンアップ手順を包含する。
結合部分の好ましい実施形態は、第1の態様の方法の好ましい実施形態として上記で開示されたものを含む。第1の態様の方法のこれらの好ましい実施形態は、本発明の全ての態様の好ましい実施形態を規定する。さらに好ましいまたは例示的な部分を、さらに以下で開示し、本明細書に収められた実施例において開示する。
多くの先行技術の方法との重要な相違点は、磁性粒子の動きおよび位置を制御する磁石が容器の外部にあるのではなく、反応混合物中に存在する点である。これにより、単一の要素から、磁性粒子の操作と反応混合物の徹底的な混合という2つの機能が与えられる。
また、当該技術分野で確立された方法とは大きく異なり、磁石を全体として使い捨ての要素とすることができる。これにより、磁石による試料間の持ち越し汚染が容易に回避される。
磁気分離用の既知のデバイスは磁石を動かすために機械的要素を必要とするが、これは電磁石を外部磁石として使用することにより、必須でなくなる。具体的には、電磁石を流れる電流を制御することにより、上記容器内の永久磁石による所望の運動を誘発する。
好ましい実施形態では、上記方法は、(c)上記磁場を除去する、静的にする、および/または上記磁場が上記運動を誘発することを不可能にし、上記磁性粒子を上記永久磁石上に集合させることと、(d)上記容器から上記混合物の構成物の残りを除去することとをさらに含むか、またはさらにそれらからなる。
上記で述べたように、これは磁場の除去に関する全ての実施形態に適用され、かかる除去は、外部磁石と容器との間の物理的運動および/または電磁石を流れる変動もしくは振動する電流を減少もしくはオフにすることによって達成されてもよい。さらに、磁場は、除去されるのではなく、例えば磁場を静的にすることによって、容器の内部の永久磁石の運動を誘発することが不可能にされてもよい。
構成物の残りを除去すること、および容器からの他のあらゆる液体の除去(例えば、以下で開示されるような使い切った洗浄溶液の除去、または同様に以下で開示される溶出物の除去)は、当該技術分野で確立された任意の手段および方法、例えばピペッティングによって可能である。
粒子の磁石上への集合は一般に、秒で計測される時間尺度で起こる。第1の態様の対応する好ましい実施形態は、準用して適用される。しかしながら、集合時間は選択された設定、例えば容器の内部の永久磁石の磁場強度および磁性粒子のサイズにある程度依存する可能性がある。さらに以下で明らかになるように、磁性の強い材料が好ましい。また、永久磁石は好ましくはコーティングされておらず、あるいはコーティングされている場合、コーティングは、永久磁石によって生成された磁場に対して強力な遮蔽効果を発揮しない。
好ましい実施形態では、上記方法は、(e)上記容器に洗浄溶液を添加することと;(f)上記磁場を使用して上記永久磁石の変動運動または振動運動を誘発することと;(g)上記磁場を除去する、静的にする、および/または上記磁場が上記運動を誘発することを不可能にし、上記磁性粒子を上記永久磁石上に集合させることと;(h)上記容器から上記洗浄溶液を除去することとをさらに含むか、またはさらにそれらからなり、工程(e)~(h)を繰り返してもよい。
この実施形態は、本発明による磁性粒子の操作に適合した洗浄手順に関する。したがって、これは容器の内部の永久磁石および外部磁石を利用する。同じことが、最終的に目的の化合物を溶出物中に送り出す任意選択の溶出手順を規定する以下の好ましい実施形態に、準用して適用される。
繰返しの洗浄が実施される限り、これを同一または異なる洗浄液で行うことができる。選択された特定の用途に応じて、当業者により適切な選択がなされ得る。
好ましい実施形態では、上記方法は、(i)上記容器に、上記化合物の上記部分への結合を低減または破壊する溶離液を添加することと;(j)上記磁場を使用して上記永久磁石の変動運動または振動運動を誘発することと;(k)上記磁場を除去する、静的にする、および/または上記磁場が上記運動を誘発することを不可能にし、上記磁性粒子を上記永久磁石上に集合させることとをさらに含むか、またはさらにそれらからなる。
好ましい実施形態では、上記方法は、(l)上記磁性粒子および上記永久磁石から得られた溶出物を分離することをさらに含むか、またはさらにそれからなる。
換言すれば、例示的な富化またはクリーンアッププロセスにより、目的とする分子または物質を含有する試料に磁性粒子を導入する。磁性ビーズへの接触により結合反応を導入する。永久磁石を試料/磁性粒子分散液に添加することにより、磁気分離および磁石上への上記磁性粒子の集合を導入する。次いで、もはや標的分子を含んでいない残りの液体を簡便に除去し、洗浄溶液を添加する。続いて、変動または振動磁場を導入して、磁性粒子を分散し効率的に洗浄する。次いで、磁場をオフにして粒子を再度集め、消費されてしまった洗浄溶液を除去する。最後に、溶出緩衝液を磁性粒子に添加し、変動または振動磁場を再導入して、効率的な溶出を実施する。変動または振動磁場を再びオフにした後、精製された目的とする分子を含有する溶出物をさらに処理または分析することができる。
好ましい実施形態では、上記方法は、(a0)上記化合物を断片化すること;および(a00)存在する限りで上記化合物を含む細胞の溶解のうちの一方または両方の工程をさらに含むか、またはさらにそれらからなり、工程(a00)は、実施される場合、工程(a0)および(a)に先立って達成され;工程(a0)は、実施される場合、工程(a)に先立って達成される。
この好ましい実施形態は、通常、開始時の混合物または液相がより複雑である場合に関する。「複雑」とは、例えば生物起源の大型の高分子であり得る考慮中の分析物、および/または例えば生物細胞もしくは組織の中もしくは表面上に位置し得る分析物を包埋するマトリックスを指し得る。
試料の性質に応じて、工程(a0)または工程(a00)と工程(a0)の両方が対象となり得る。
特に好ましい実施形態では、工程(a00)および/または工程(a0)は、上記外部磁石により上記永久磁石の変動運動または振動運動を誘発することによって達成される。
対象となり得るいずれかの下流の分析に応じて、大型の高分子を断片化してより小さい化合物を生じさせることが望ましい可能性がある。このことは、大半の質量分析試料測定に当てはまる。出願人による以前の特許出願EP20174469.5およびEP20174484.4に記載されるように、移動磁石は、生体高分子、例えばタンパク質または核酸の断片化の有用な手段である。これは上記で開示された工程(a0)の主題である。同じことが、高分子が目的の分子ではないがその不活性化が望ましい例に準用して適用される。
類似して、出願人による以前の特許出願WO2020/002577およびEP20174484.4に記載されるように、移動磁石は、生物細胞を破壊し、これによりそれらの内容物を利用可能とする手段でもある。これは上記で開示された工程(a00)の主題である。
第3の態様において、本発明は、少なくとも1つの生成物分子を生成する方法であって、(a)容器内において、少なくとも1つの開始分子を、上記少なくとも1つの開始分子を少なくとも1つの生成物分子に変換することが可能な部分を有する磁性粒子および少なくとも1つの永久磁石と接触させることと;(b)磁場を使用して上記永久磁石の変動運動または振動運動を誘発することとを含むか、またはそれらからなり、それらにより上記少なくとも1つの生成物分子を得る、方法を提供する。
第3の態様の方法は、表面上に触媒を有する官能化磁性粒子を利用する。上記でさらに述べたように、かかる触媒は酵素であっても化学触媒であってもよい。触媒される反応は特に限定されない。例としては、切断、例えば加水分解、および合成反応、例えば重合が挙げられる。
好ましい実施形態では、上記少なくとも1つの生成物分子は上記粒子に結合したままではない。換言すれば、触媒される反応が完了したら、生成物は磁性粒子から自由に拡散することができる。
さらに好ましい実施形態では、上記方法は、(c)上記磁場を除去する、静的にする、および/または上記磁場が上記運動を誘発することを不可能にし、上記磁性粒子を上記永久磁石上に集合させることと;(d)上記容器から上記少なくとも1つの生成物分子を除去することとをさらに含むか、またはさらにそれらからなる。
第4の態様において、本発明は、第1の化合物を誘導体化する方法であって、(a)容器内において、上記第1の化合物を、上記第1の化合物と付加物を形成することが可能な部分を有する磁性粒子および少なくとも1つの永久磁石と接触させることと;(b)磁場を使用して上記永久磁石の変動運動または振動運動を誘発することとを含むか、またはそれらからなり、それらにより上記付加物を得る、方法を提供する。
第4の態様の方法は、表面上に化学的反応性基を有する磁性粒子を利用し、上記第1の化合物および上記反応性基によって生じる化学反応は、両者を接続する共有結合の形成をもたらす。
反応性基は特に限定されず、想定される用途に応じて、当業者によってさらなる労力を伴うことなく選択され得る。例えば、第1の化合物が第1級アミノ基を含む場合、適切な部分はNHSエステルである。
記載される付加物は、コンジュゲートとも称され得る。付加物は、上記化合物および上記部分を含むか、またはこれらからなり、両者は少なくとも1つの共有結合によって接続されている。
好ましくは、上記付加物は上記粒子に結合したままである。
かかる付加物の形成が官能化磁性粒子を生成する手段でもあると理解される。換言すれば、第4の態様の方法を、官能化磁性粒子を生成する方法として使用してもよい。
さらに、その経路を介して得られる官能化磁性粒子を、本発明の態様のいずれかの状況において磁性粒子として使用してもよい。
好ましくは、上記方法は、(c)上記磁場を除去する、静的にする、および/または上記磁場が上記運動を誘発することを不可能にし、上記磁性粒子を上記永久磁石上に集合させることと;(d)上記容器から上記粒子に結合しない物質を除去することとをさらに含むか、またはさらにそれらからなる。
好ましい実施形態では、上記方法は、(e)上記容器に洗浄溶液を添加することと;(f)上記磁場を使用して上記永久磁石の変動運動または振動運動を誘発することと;(g)上記磁場を除去する、静的にする、および/または上記磁場が上記運動を誘発することを不可能にし、上記磁性粒子を上記永久磁石上に集合させることと;(h)上記容器から上記洗浄溶液を除去することとをさらに含むか、またはさらにそれらからなり、工程(e)~(h)を繰り返してもよい。
当該技術分野において一般的であるように、分析または調製手順における洗浄工程は、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、または10回繰り返されてもよいが、そうする必要はない。これは、本発明の全ての態様に適用される。
第4の態様に関連して、本発明は、第5の態様において、固相合成の方法であって、第4の態様の方法またはその好ましい実施形態のいずれかを、1回または繰り返して実施することを含み、上記磁性粒子が固相を構成する、方法を提供する。
繰返しの回数は限定されない。これは、選択された用途、生成物の所望の特性(例えば長さ)、ならびに、合成手順において一般的であるように、各繰返しの収量および最終生成物の所望の収量に依存する。
第5の態様の方法の好ましい実施形態では、上記第4の態様の方法の2回目およびさらなる実施中、それぞれ第2およびさらなる化合物が上記容器に添加され、それにより、上記第1、第2およびさらなる化合物を構成要素として含む生成物が得られる。
この好ましい実施形態は進行性の鎖伸長反応として実装することができ、第1のラウンドでは、磁性粒子上の上述の反応性部分と第1の化合物との間で付加物が形成され、第2のラウンドでは、上記付加物と第2の化合物との間でコンジュゲートが形成される。
これは例えば、磁性粒子上の部分と反応する基に加えて、そのままの状態または適切な活性化時に上記第2の化合物と共有結合を形成することが可能なさらなる基を有する、第1の化合物を使用することによって達成することができる。このことは、第5の態様の方法を機能させる際に実施される限り、さらなるラウンドにも準用して適用される。
得られた生成物は、第1の化合物-第2の化合物-第3の化合物-等という一般的な形式の連続的な構造を有していてもよいが、そうである必要はない。化合物および/または磁性粒子上の部分に応じて、分岐状または架橋された生成物が得られる可能性がある。
望ましくない副反応を回避するため、適切な保護基を用いてもよい。保護基の除去は、保護基の反応が生じるときに起こる。保護および脱保護の繰り返されるサイクルは、例えば固相ペプチド合成の目的に関して当技術分野において確立されており、fMocおよびBocなどの保護基を利用する。
好ましい実施形態では、上記付加物または上記化合物はそれぞれ、例えば、共有結合の酸、塩基または光によって誘起される開裂によって、上記磁性粒子から切り離される。
これは固相合成において一般的に使用される措置であるが、具体的には、所望の生成物が得られても、これは固相、即ち磁性粒子に結合したままである。生成物をさらに操作または処理するため、これを固相から切り離す。
合成目的での本発明の使用は、第1の構成要素が粒子に共有結合する(少なくとも最終生成物が切り離される時点まで)、上述の固相合成の方法に限定されない。実際には、合成の繰り返されるラウンドは、非共有結合的相互作用を用いることによって実施されてもよい。その例としては、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の過程で生じる少なくとも2つの核酸種間でのハイブリダイゼーションが挙げられる。
複数の後続の反応を伴う、かかるいずれかの方法の過程において、上記で明示的に記載された工程に追加されるさらなる工程が有益または必要であり得ると理解される。かかるさらなる工程は、実施される特定の合成または他の方法に応じて、当業者によりさらなる労力を伴うことなく適用され得る。かかる追加の工程の例としては、最終的に合成分子の構成要素を形成する化合物に加えて、さらなる作用物質を添加することが挙げられる。かかるさらなる作用物質は、活性化剤、ブロッキング剤、中和またはpH移動剤などを包含する。例示的なブロッキング剤は、上述したようなfMocおよびBocである。
上記で開示された態様のいずれか1つの方法の好ましい実施形態では、少なくとも1つの強磁性粒子またはビーズが上記少なくとも1つの永久磁石と共に添加される。これは、本発明の全ての態様の方法の好ましい実施形態である。本発明者らは、驚くべきことに、好ましくは永久磁石のサイズと同等または同一のサイズである強磁性粒子またはビーズを添加することが、永久磁石および上記ビーズの運動をより活発にすることによって混合を改善することを見出した。かかる設定では、複数の永久磁石および/または複数の強磁性ビーズを使用してもよいが、それでもなお、厳密に1つの永久磁石および厳密に1つの強磁性ビーズが好ましい。
全ての態様の方法の好ましい実施形態では、各工程(d)、(e)、(h)、(i)および(l)のうちの1つ、より多く、または全てがピペッティングによって達成される。
一般的に言えば、特にかかるピペッティングの状況において、なおさらなる磁石を用いてもよい。さらに説明すると、磁場が容器の内部の永久磁石の変動運動または振動運動を誘発せず、磁性粒子を上記永久磁石の表面上に集合させる局面の間では、これらは一般に重力により容器の底部に行き着く。そしてこれにより、ピペッティングがより非効果的またはより面倒になり得る。したがって、上記なおさらなる磁石、例えばもう1つの永久磁石は、上記容器の外壁に近づけられてもよい。これにより、容器の内部の永久磁石および磁性粒子が上記壁(容器の内部)に位置することが可能となる。ここでピペッティングする際、ピペットの先端を容器に挿入し、まさにその底部まで下ろしてもよい。
全ての態様の方法の好ましい実施形態では、上記磁場は外部磁石によって生成され、上記外部磁石は、好ましくは、(1)電磁石であって、変動もしくは振動する電流が上記電磁石を流れる、電磁石;および/または(2)さらなる永久磁石もしくは電磁石であって、上記容器および上記さらなる永久磁石もしくは上記電磁石が変動もしくは振動する様式で互いに相対的に動かされる、さらなる永久磁石もしくは電磁石である。
選択肢(1)が特に好ましい。
上記で開示された態様のいずれか1つの方法の好ましい実施形態では、上記磁性粒子は、常磁性、フェリ磁性または強磁性である。好ましい材料は磁鉄鉱である。磁性粒子は常時磁性を有している必要はない。だが、少なくとも1つの永久磁石として適切な材料である材料もまた、上記磁性粒子として適切な磁性材料である。
上記分析物または化合物が核酸、リボ核酸、糖、多糖、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、および/または脂質である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
先行する態様のいずれか1つの方法の好ましい実施形態では、異なる工程が異なる温度において達成される。かかる管理体制は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、周囲温度を超える最適温度を有する酵素を用いる酵素プロセス、または高温が結合に干渉する、例えば結合を低下させる手段である場合に有用である。
複数の容器、例えばマイクロタイタープレートの容器が同時に処理される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
これまでの全ての態様と関連して、本発明は、容器内の反応混合物を混合するための、少なくとも1つの永久磁石、磁性粒子、および磁場の使用であって、上記少なくとも1つの永久磁石および上記粒子が上記容器内にあり、好ましくは、上記磁場が上記容器の外部にあるさらなる磁石によって生成される、使用にさらに関する。
本発明の方法との関連で記載したように、上記さらなる磁石を永久磁石または電磁石、例えばコイルとして実装してもよい。
さらなる態様において、本発明は、本発明の方法および使用をキットとして実施するのに適切な要素を提供する。かかるキットは、(i)磁性粒子;(ii)少なくとも1つの永久磁石;および(iii)少なくとも1つの液体試薬、例えば、緩衝液を含むか、またはそれらからなる。
好ましい実施形態では、上記磁性粒子は、好ましくは結合部分および/または反応性部分によって官能化されている。
一般的に言えば、本発明の方法の好ましい実施形態は、本発明の使用、キット、およびデバイスの好ましい実施形態も規定する。例えば、好ましい実施形態において、上記キットは、上記少なくとも1つの永久磁石に加えて、本発明の方法との関連でより詳細に記載されるように、少なくとも1つの強磁性ビーズまたは非磁性ビーズを含む。
さらに好ましい実施形態では、上記キットは、(iv)第1~第5の態様のいずれか1つの方法を実施するための説明を含むマニュアルをさらに含むか、またはさらにそれからなる。
さらに好ましい実施形態では、キットは、少なくとも1つの容器または容器の少なくとも1つのアレイをさらに含むか、またはさらにそれからなり、上記容器または容器のアレイは、好ましくは本明細書中において上記で規定されたものである。
さらなる態様において、本発明は、(i)磁場を生成させるための手段;および(ii)本発明の態様のいずれかの方法を実施するために、上記磁場を経時的に変更するように構成された制御ユニットを含むか、またはそれらからなるデバイスを提供する。
さらに説明すると、例えば第1の態様の方法の工程(b)および(c)を考慮すると、上記制御ユニットは、工程(b)の継続期間中に磁場に上記永久磁石の変動運動または振動運動を誘発させ、工程(c)の継続期間中に、例えば磁場をオフにすることにより、磁場がかかる運動を誘発することを不可能にする。
磁場を生成するための上記手段は、好ましくは本発明の方法に関して上記でさらに規定された手段、即ち、電気伝導体または永久磁石である。
電磁石は、電気伝導体、好ましくは少なくとも1つのコイル、より好ましくはヘルムホルツコイルである。上記コイルの開口部は、容器を収容するように構成されている。
電磁石を使用する場合、上記制御ユニットは好ましくは、本発明の方法に関して詳述されるような電流の好ましい時間プロファイルのいずれかを送達するよう構成されている。
好ましい実施形態では、上記デバイスは、容器をさらに含むか、またはさらにそれからなる。上記容器は好ましくは上記でさらに規定された通りであり、例えば、単一の容器または容器のアレイであってもよい。
さらに好ましい実施形態では、上記デバイスは、少なくとも1つの永久磁石および/または磁性粒子をさらに含むか、またはさらにそれらからなり、デバイスが上記容器を含む限り、上記永久磁石および/または上記粒子は好ましくは上記容器の内部に位置する。
永久磁石および磁性粒子は、上記でさらに規定されている。
一般的に言えば、一態様の好ましい実施形態は、準用して別の態様の好ましい実施形態を規定する。
上記粒子および上記磁石が上記容器の内部にあり、好ましくは上記容器の外の上記電磁石または上記さらなる永久磁石によって生成される磁場に曝露されるように、上記デバイスが構成されると理解される。
「収容する」という用語は、上記容器が上記開口部の内側に適合して、その結果、使用時に上記コイルによって生成される磁場が特に強力であり、および/または特に均質である場合に上記容器の内容物が位置付けられるのに、上記コイルが十分広い開口部を有することを意味する。好ましくは、また円形断面を有する上記容器の場合(例えば、円筒状容器の場合)、上記コイルの内径(その場合は、円形コイル)は、上記容器の外径よりもわずかに広いに過ぎない。「わずかに広い」は、0.01~10%、例えば0.1~1%広いことを意味し得る。
コイルは、容器のアレイ(例えば、マイクロタイタープレート)の場合、上記アレイよりもほんのわずかに広いようであり得る。上記アレイの形状が長方形である場合、長方形を有するコイル、例えばヘルムホルツコイルが用いられ得る。
制御ユニットは、電気プラグに接続されるべき電源またはアダプターをさらに含んでもよい。
デバイスは、本発明の方法のいずれかを実施するための説明を含むマニュアルと共に提供されてもよい。
実施例は、本発明を説明する。
実施例1
先行技術の磁気分離装置との性能比較
材料
約100μgのタンパク質含有量を有するサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)細胞ペレットを消化試験に使用した。永久ネオジム磁石をビーズ操作のために使用した(MagnetExpert;球形、2mm)。溶解およびクリーンアップのために、緩衝液およびプラスチック製品を含むiST-Kitを使用した(PreOmics GmbH、P.O.00001)。トリプシン磁性微粒子がReSyn Biosciences(ReSyn Biosciences (Pty) Ltd)から提供された。ヘルムホルツコイルセットアップを使用して外部振動磁場を生成した。
方法
旧来の磁性粒子操作
標準的なiST試料調製(PreOmics GmbH、iST-Kit、P.O.00001)に記載されているように、S.セレビシエ細胞溶解の準備をした。固定化トリプシンビーズ(トリプシン磁性微粒子)750μgを2x 70%エタノール;1x 1%水酸化アンモニウム 3x 50mM Tris、pH8で平衡化した。各々の平衡化工程として、ビーズを500rpmで3分間インキュベートし、磁気分離装置を使用して上清を除去し、磁性微粒子が集まるように30秒間待った。平衡化させたビーズを変性酵母試料と混合した。37℃および500rpmで1時間消化を実施した。ペプチド精製およびLC-MS分析(標準的なiST試料調製を参照のこと)に先立ち、磁気分離装置を使用して磁性トリプシンビーズを試料から除去し、100μlの停止緩衝液を添加した。溶出後、精製されたペプチドをSpeedVac中で乾燥させ、2%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸中に再懸濁させた。Thermo LTQ Orbitrap XLと連結させたThermoFisher Scientific Easy n-LC 1200システムで、試料を分析した。5μgのペプチド負荷は、45分勾配を適用した手製C18カラムで分離して、DDA Top 10法を使用してタンデム質量分析を実施した。MS/MSデータは、非特異的検索を使用すること以外はデフォルト設定でMaxQuantソフトウェアを使用して、酵母データベースに対して検索した。
新規システムによる磁性粒子操作
標準的なiST試料調製(PreOmics GmbH、iST-Kit、P.O.00001)に記載されているように、S.セレビシエ細胞溶解の準備をした。固定化トリプシンビーズ(トリプシン磁性微粒子)750μgを、2mmの円形ネオジム磁石を有するヘルムホルツコイルセットアップにて、2x 70%エタノール、1x 1%水酸化アンモニウムおよび3x 50mM Tris、pH8で平衡化した。各々の平衡化工程として、試料を、120Hzの方形波関数を印加するヘルムホルツシステムで3分間インキュベートし、磁場をオフにした後で上清を除去し、磁性粒子を10秒間集まらせた。平衡化させたビーズを変性酵母試料と混合し、120Hzの方形波関数を印加するヘルムホルツシステムで60分間消化を実施した。ペプチド精製およびLC-MS分析(標準的なiST試料調製を参照のこと)に先立ち、試料から磁石および磁性トリプシンビーズを除去し、100μlの停止緩衝液を添加した。溶出後、精製されたペプチドをSpeedVac中で乾燥させ、2%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸中に再懸濁させた。Thermo LTQ Orbitrap XLと連結させたThermoFisher Scientific Easy n-LC 1200システムで、試料を分析した。5μgのペプチド負荷は、45分勾配を適用した手製C18カラムで分離して、DDA Top 10法を使用してタンデム質量分析を実施した。MS/MSデータは、非特異的検索を使用すること以外はデフォルト設定でMaxQuantソフトウェアを使用して、酵母データベースに対して検索した。
結果
図1およびそのキャプションを参照のこと。
考察
MSによって同定されたペプチドの数に関して、本発明の方法は、磁性粒子の旧来の操作と少なくとも同程度に良好に機能する。だが、本明細書において上記で論述されるように、本発明の方法は特徴的な利点を与え、例えば、容器の外の磁石の機械的な動きが要求されず、あらゆる相互汚染が回避される。
実施例2
材料
約100μgの酵母タンパク質を含有する細胞ペレットに対して、市販のサッカロミセス・セレビシエをHO中に再懸濁させ、600nmにおけるODが0.6である1mlのアリコートを調製し、遠心分離した。緩衝液、酵素およびプラスチック製品を含むPreOmics GmbH製のiST-Kit(P.O.00001)を用いて、LC-MS分析のための標準的な試料調製を実施した。永久ネオジム磁石をビーズ操作のために使用した(MagnetExpert;球形、2mm)。ZrO磁性微粒子がReSyn Biosciences(ReSyn Biosciences (Pty) Ltd)から提供された。ヘルムホルツコイルセットアップを使用して外部振動磁場を生成した。陽イオン交換カートリッジを使用してペプチドクリーンアップを実施した。
方法
酵母試料について、PreOmics標準プロトコール(PreOmics GmbH、P.O.00001)に従って試料調製を実行し、その後、磁性微粒子(ReSyn Biosciences)でのリンペプチド富化、および逆相カートリッジを使用した試料の精製を実行した。精製されたペプチドを室温にて真空下で完全に乾燥させた。
リンペプチドの富化のために、まず、磁性ビーズを平衡化させた。2mmの半径を有する球形ネオジム磁石を10μlのビーズ懸濁液に添加した。懸濁液を清澄化させ、上清を取った。50μlの洗浄緩衝液(70%エタノール)を添加し、外部振動磁場(120Hz、方形波形、5分)を使用して試料を混合した。その後、懸濁液を清澄化させ、上清を取った。この手順を1回繰り返すことで、この緩衝液による洗浄を合計2回行った。
50μlの1%水酸化アンモニウムを添加し、本発明の方法(120Hz、方形波形、10分)を使用して試料を再び混合した。再び、試料を清澄化させ、上清を取った。次いで、上記と同じ手順を使用して、80%アセトニトリル中の5%トリフルオロ酢酸中0.2Mグリコール酸50μlを用いてビーズを3回平衡化させた。
次いで、80%アセトニトリル中の5%トリフルオロ酢酸中0.2Mグリコール酸100μlを乾燥させたペプチドペレットに上から添加し、適切に再懸濁させた。次いで、溶液を平衡化させたビーズに添加し、本発明の方法(120Hz、方形波形、20分)で混合しながらインキュベートした。試料を清澄化させ、上清を取った。80%アセトニトリル中の5%トリフルオロ酢酸中0.2Mグリコール酸をさらに50μl添加し、本発明の方法(120Hz、方形波形、2分)で混合することによって、未結合の試料を除去した。試料を清澄化させ、上清を取った。
100ulの洗浄緩衝液(80%アセトニトリル中1%トリフルオロ酢酸)を添加し、本発明の方法(120Hz、方形波形、2分)で試料を混合し、その後試料を清澄化させ、上清を取った。この工程を別の洗浄緩衝液(10%アセトニトリル中0.2%トリフルオロ酢酸)によって繰り返した。
溶出緩衝液(1%水酸化アンモニウム)40μlを添加することによって磁性ビーズからリンペプチドを溶出し、本発明の方法(120Hz、方形波形、5分)を使用して混合しながらインキュベートした。試料を清澄化させ、上清を取り、新しいチューブに移した。溶出を2回繰り返すことで、120μlの総溶出容積とした。
溶出(elution)を含むチューブを最大速度で遠心分離して、磁性ビーズの断片をペレット化した。磁気分離装置を使用して上清を取り、新たなチューブに移した。試料を完全に乾燥するまで室温にて真空下で乾燥させた。
次に、メタノール200μlを添加することによって陽イオン交換カートリッジを平衡化させ、その後、廃液チューブ中で遠心分離した(3.800rcf、1分)。上述のように、2%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸緩衝液200μlを使用して第2の平衡化を実施した。
乾燥させたリンペプチドを2%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸緩衝液200μl中に再懸濁させ、カートリッジに充填し、遠心分離した(3.800rcf、1分)。次いで、0.1%ギ酸200μlを添加し、その後遠心分離することで(3.800rcf、1分)、結合したペプチドを洗浄した。この洗浄工程を2回繰り返した。カートリッジを新しい捕集チューブに移し、200μlの80%アセトニトリル中0.1%ギ酸を添加し、その後遠心分離することで(3.800rcf、1分)、カートリッジからペプチドを溶出させた。溶出工程を1回繰り返すことで、合計2回の溶出工程を行った。試料を完全に乾燥するまで室温にて真空下で乾燥させ、次いで、2%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸緩衝液6μl中に再懸濁させた。
Thermo LTQ Orbitrap XLと連結させたThermoFisher Scientific Easy n-LC 1200システムで、試料を分析した。ペプチドは、45分勾配を適用した手製C18カラムで分離して、DDA Top 10法を使用してタンデム質量分析を実施した。MS/MSデータは、デフォルト設定でMaxQuantソフトウェアを使用して酵母データベースに対して検索した。
結果
Figure 2023528997000001
考察
結果から明らかである特異性は、本発明の方法が分離および富化目的で十分に機能することを実証している。
実施例3
各種波形を使用した磁性粒子分散
材料
パリレンコーティングを有する永久ネオジム磁石を使用した(円筒形;2mm×2mm)。磁性微粒子として、3.0μmアミン官能化ビーズを使用した。ヘルムホルツコイルを使用して外部振動磁場を生成した。規定の周波数において各種波形を作り出すため、Online Tone Generator(https://onlinetonegenerator.com/)を使用した。
方法
磁性粒子を1分間徹底的に混合することによって再懸濁させた。各々50μlの粒子を含む3つのアリコートを、0.5mlスクリューキャップチューブ中に移した。材料を超純水(LC-MSグレード;Fisher Scientific)50μlで1回洗浄し、超純水50μlに再懸濁させた。チューブ1本につき1個の磁石を添加した。チューブをヘルムホルツコイルに移し、方形波関数、正弦関数、鋸歯状関数または三角形関数を、1~140Hzでそれぞれ30秒間繰り返して印加した。磁場をオフにした後、磁性粒子を磁石上に30秒間沈降させた。
結果
印加された波形の全てについて、磁場がオンである間は、容器内で磁性粒子が混合されていたことが見出された。磁場をオフにすると、容器内で磁性ビーズは磁石上へと沈降した。
混合効果の差異を観察することができた(表1を参照のこと)。
Figure 2023528997000002
考察
実験は、各周波数で各種波形を用いて磁性粒子の分散を行うことができることを実証している。
実施例4
異なるコイルを用いた磁性粒子の分散
材料
パリレンコーティングを有する永久ネオジム磁石を使用した(円筒形;2mm×2mm)。磁性微粒子として、3.0μmアミン官能化ビーズを使用した。単純コイル(ヘルムホルツコイルとは反対)セットアップ(1列になった8つの小型コイル;1つのコイルの直径1.1cm;高さ2.0cm)を使用して外部振動磁場を生成した。規定の周波数において各種波形を作り出すため、Online Tone Generator(https://onlinetonegenerator.com/)を増幅器(SMSL SA-50 2x50W)と組み合わせて使用した。
方法
磁性粒子を1分間徹底的に混合することによって再懸濁させた。各々50μlの粒子を含む3つのアリコートを、1.5mlエッペンドルフ反応容器中に移した。材料を超純水(LC-MSグレード;Fisher Scientific)50μlで1回洗浄し、超純水50μlに再懸濁させた。チューブ1本につき1個の磁石を添加した。
反応容器をコイルセットアップ中に置いた(コイル1つにつき1つの容器)。方形波関数、正弦関数、鋸歯状関数または三角形関数を、1~180Hzで30秒間繰り返し印加しながら、試料をインキュベートした。磁場をオフにした後、磁性粒子を磁石上に10~30秒間沈降させた。
結果
磁場がオンである間は、単一(single)コイルセットアップにおける容器内で磁性粒子が混合されていたことが見出された。磁場をオフにすると、容器内で磁性ビーズは磁石上へと沈降した。
異なる周波数における混合効果の差異を観察することができた(表2を参照のこと)。
Figure 2023528997000003
考察
実験により、単純コイルセットアップを用いて、即ち、ヘルムホルツコイルを必要とすることなく、各周波数範囲および各種波形で磁性粒子の分散を行えることが示された。

Claims (18)

  1. 磁性粒子を分散させる方法であって、
    (a)容器内において、液相中で少なくとも1つの永久磁石と前記磁性粒子とを合わせることと;
    (b)磁場を使用して前記永久磁石の変動運動または振動運動を誘発することと
    を含むか、またはそれらからなり、それらにより前記粒子を分散する、方法。
  2. 前記磁性粒子がその表面上に少なくとも1つの部分を有し、前記部分が、
    (i)標的分子に結合することが可能な部分であって、好ましくは、結合タンパク質、アフィニティークロマトグラフィー材料、吸収性材料、吸着性材料、プローブ、またはプライマーである部分;
    (ii)少なくとも1つの開始分子を少なくとも1つの生成物分子に変換することが可能な部分であって、好ましくは、酵素または化学触媒である部分;および
    (iii)標的分子と付加物を形成することが可能な部分
    から選択され、前記標的分子または開始分子が、それぞれ前記液相中に存在するか、または存在すると疑われる、請求項1に記載の方法。
  3. (c)前記磁場を除去する、静的にする、および/または前記磁場が前記運動を誘発することを不可能にし、前記磁性粒子を前記永久磁石上に集合させることと;
    (d)前記液相を除去することと
    をさらに含むか、またはさらにそれらからなる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 混合物から化合物を分離する方法であって、
    (a)容器内において、前記混合物を、前記化合物と結合することが可能な部分を有する磁性粒子および少なくとも1つの永久磁石と接触させることと;
    (b)磁場を使用して前記永久磁石の変動運動または振動運動を誘発することと
    を含むか、またはそれらからなり、それらにより前記化合物を前記混合物の構成物の残りから分離する、方法。
  5. (c)前記磁場を除去する、静的にする、および/または前記磁場が前記運動を誘発することを不可能にし、前記磁性粒子を前記永久磁石上に集合させることと;
    (d)前記容器から前記混合物の構成物の前記残りを除去することと
    をさらに含むか、またはさらにそれらからなる、請求項4に記載の方法。
  6. (e)前記容器に洗浄溶液を添加することと;
    (f)前記磁場を使用して前記永久磁石の変動運動または振動運動を誘発することと;
    (g)前記磁場を除去する、静的にする、および/または前記磁場が前記運動を誘発することを不可能にし、前記磁性粒子を前記永久磁石上に集合させることと;
    (h)前記容器から前記洗浄溶液を除去することと
    をさらに含むか、またはさらにそれらからなり、工程(e)~(h)を繰り返してもよい、請求項4または5に記載の方法。
  7. (i)前記容器に、前記化合物の前記部分への結合を低減または破壊する溶離液を添加することと;
    (j)前記磁場を使用して前記永久磁石の変動運動または振動運動を誘発することと;
    (k)前記磁場を除去する、静的にする、および/または前記磁場が前記運動を誘発することを不可能にし、前記磁性粒子を前記永久磁石上に集合させることと
    をさらに含むか、またはさらにそれらからなり、好ましくは、
    (l)前記磁性粒子および前記永久磁石から得られた溶出物を分離すること
    をさらに含むか、またはさらにそれからなる、請求項5または6に記載の方法。
  8. 少なくとも1つの生成物分子を生成する方法であって、
    (a)容器内において、少なくとも1つの開始分子を、前記少なくとも1つの開始分子を少なくとも1つの生成物分子に変換することが可能な部分を有する磁性粒子および少なくとも1つの永久磁石と接触させることと;
    (b)磁場を使用して前記永久磁石の変動運動または振動運動を誘発することと
    を含むか、またはそれらからなり、それらにより前記少なくとも1つの生成物分子を得る、方法。
  9. (c)前記磁場を除去する、静的にする、および/または前記磁場が前記運動を誘発することを不可能にし、前記磁性粒子を前記永久磁石上に集合させることと;
    (d)前記容器から前記少なくとも1つの生成物分子を除去することと
    をさらに含むか、またはさらにそれらからなる、請求項8に記載の方法。
  10. 第1の化合物を誘導体化する方法であって、
    (a)容器内において、前記第1の化合物を、前記第1の化合物と付加物を形成することが可能な部分を有する磁性粒子および少なくとも1つの永久磁石と接触させることと;
    (b)磁場を使用して前記永久磁石の変動運動または振動運動を誘発することと
    を含むか、またはそれらからなり、それらにより前記付加物を得る、方法。
  11. (c)前記磁場を除去する、静的にする、および/または前記磁場が前記運動を誘発することを不可能にし、前記磁性粒子を前記永久磁石上に集合させることと;
    (d)前記容器から前記粒子に結合しない物質を除去することと
    をさらに含むか、またはさらにそれらからなる、請求項10に記載の方法。
  12. 前記磁場が外部磁石によって生成され、前記外部磁石が、好ましくは、
    (1)電磁石であって、変動もしくは振動する電流が前記電磁石を流れる、電磁石;および/または
    (2)さらなる永久磁石もしくは電磁石であって、前記容器および前記さらなる永久磁石もしくは前記電磁石が変動もしくは振動する様式で互いに相対的に動かされる、さらなる永久磁石もしくは電磁石
    である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
  13. 容器内の反応混合物を混合するための、少なくとも1つの永久磁石、磁性粒子、および磁場の使用であって、前記少なくとも1つの永久磁石および前記粒子が前記容器内にあり、好ましくは、前記磁場が前記容器の外部にあるさらなる磁石によって生成される、使用。
  14. (i)磁性粒子;
    (ii)少なくとも1つの永久磁石;および
    (iii)少なくとも1つの液体試薬、例えば、緩衝液
    を含むか、またはそれらからなるキット。
  15. (i)磁場を生成させるための手段;および
    (ii)本発明の態様のいずれか1つの方法を実施するために、前記磁場を経時的に変更するように構成された制御ユニット
    を含むか、またはそれらからなるデバイス。
  16. 前記手段が、使用時に容器が前記磁場に曝露されるように前記容器を受容するように構成されている、請求項15に記載のデバイス。
  17. 前記容器をさらに含むか、またはさらにそれからなる、請求項16に記載のデバイス。
  18. 前記容器内に永久磁石および/または磁性粒子をさらに含むか、またはさらにそれらからなる、請求項17に記載のデバイス。
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