JP2023527647A - リチウムイオン伝導性固体材料 - Google Patents

リチウムイオン伝導性固体材料 Download PDF

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Abstract

リチウムイオンに関するイオン伝導率を有する固体材料、前記固体材料を製造する方法、電気化学セル用の固体電解質として前記固体材料を使用する方法、固体材料を含む電気化学セル用のカソード、アノードおよびセパレータからなる群から選択される固体構造体、ならびにこのような固体構造体を含む電気化学セルが記載されている。

Description

リチウムイオンに関するイオン伝導率を有する固体材料、前記固体材料を製造する方法、電気化学セル用の固体電解質として前記固体材料を使用する方法、固体材料を含む電気化学セル用のカソード、アノードおよびセパレータからなる群から選択される固体構造体、ならびにこのような固体構造体を含む電気化学セルが記載されている。
全固体リチウム電池の広範囲の使用により、リチウムイオンの高い伝導率を有する固体状態の電解質の需要が増大している。このような固体電解質の重要なクラスは、リチウム硫銀ゲルマニウム鉱である。
US8,075,865B2は、式()のリチウム硫銀ゲルマニウム鉱
Li(12-n-x)n+2- 6-x
(式中、
Bは、P、As、Ge、Ga、Sb、Si、Sn、Al、In、Ti、V、NbおよびTaからなる群から選択され、
Xは、S、SeおよびTeからなる群から選択され、
Yは、Cl、Br、I、F、CN、OCN、SCNおよびNからなる群から選択され、
0≦x≦2である)を開示している。具体的な化合物LiPSIに関して、約710-3S/cmのイオン伝導率が、US8,075,865B2に報告されている。
イオン伝導率および/または化学安定性を改善するために、他の金属によるリチウムの部分置換を含めた、リチウム硫銀ゲルマニウム鉱のいくつかのさらなる修飾が検討されている。例えば、EP3407412A1は、式(**)の化合物:
Li(I)
(式中、
Mは、Na、K、Fe、Mg、Ag、Cu、ZrおよびZnからなる群から選択され、
Qは、存在しないか、またはCr、B、Sn、Ge、Si、Zr、Ta、Nb、V、P、Fe、Ga、Al、Asおよびそれらの組合せからなる群から選択され、Qは、存在する場合、Mとは異なり、
Xは、存在しないか、またはハライドおよび偽ハライドからなる群から選択され、
xは、8~22であり、yは、0.1~3であり、wは、0~3であり、zは、0.1~3であり、uは、7~20であり、tは、0~8である)
を含む電気化学セル中で使用するための物品を開示している。
US8,075,865B2 EP3407412A1
全固体リチウム電池における固体電解質としての用途向けの好適なイオン伝導率、およびリチウム金属に対する電気化学的安定性を示す、リチウムイオン伝導体が継続的に必要とされている。
本開示の目的は、電気化学セル用の固体電解質として使用することができる、固体材料を提供することである。さらに、前記固体材料を製造する方法、電気化学セル用の固体電解質として前記固体材料を使用する方法、固体材料を含む電気化学セル用のカソード、アノードおよびセパレータからなる群から選択される固体構造体、ならびにこのような固体構造体を含む電気化学セルであって、前記固体構造体が前記固体材料を含む、電気化学セルが提供される。
第1の態様によれば、一般式(I)
Li6+2*n-x-m*yPS5+n-x1+x (I)
(式中、
Mは、二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZn、ならびに三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される1種または複数のものであり、
Xは、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択される1種または複数のものであり、
0≦x≦0.8、好ましくは0.15≦x≦0.6であり、
0.01≦y≦0.25、好ましくは0.05≦y≦0.2、より好ましくは0.05≦y≦0.15であり、
0≦n≦0.05であり、
mは、Mが二価金属である場合、2であり、mは、Mが三価金属である場合、3である)
による組成を有する固体材料が提供される。
図1は、同定された不純物を表す、式Li6-x-2yCayPS5-xCl1+x(x=0の場合、y=0、0.1、0.15;x=0.25、y=0.1;x=0.375、y=0.1)による組成を有するいくつかの材料のXRD(キャピラリー)パターンを示す。 図4では、円形印は、観測したデータ点に対応し、線は、データ点のあてはめを示しており、下部に近い線は、差異マップであり、上側の行の縦のチェックマークは、Li5.3Ca0.1PS4.5Cl1.5のBragg反射の計算位置を表し、下側の行の縦のチェックマークは、LiClのBragg反射の計算位置を表す。 図6では、円形印は、観測したデータ点に対応し、線は、データ点のあてはめを示しており、下部に近い線は、差異マップであり、上側の行の縦のチェックマークは、Li5.7Ca0.15PS5Clを指し、下側の行の縦のチェックマークは、Li3PO4を指す。 図7では、円形印は、観測したデータ点に対応し、線は、データ点のあてはめを示しており、下部に近い線は、差異マップであり、上側の行の縦のチェックマークは、Li5.55Ca0.1PS4.75Cl1.25を指し、下側の行の縦のチェックマークは、Li3PO4を指す。 図8は、塩素含有率の増加と共に、ケミカルシフトが強力になる傾向となることを実証する、7Li MASスペクトルの積み上げプロットを示している。 図9は、20℃、850MHz電界強度および30kHzのMAS速度における、Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55の7Li MAS NMRスペクトルを示している。 図10は、20℃、850MHz電界強度および30kHz MAS速度における、Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55の31P MAS NMRスペクトルを示している。 図15は、x=0である、およびx>0である、一連のCa含有組成に関する、PFG-NMRアレニウスプロットの比較を示している。 図16は、電気化学インピーダンス分光法(EIS)およびPFG-NMRの両方からの活性化エネルギーと、リチウム化学量論zLi=6-x-2yである7Li等方性ケミカルシフトの相関関係を示している。 図17は、a)ペレット試料において、有意に低下した低温から高温への傾きにおいて、クロスオーバーとの非理想的なアレニウス挙動を示すLi5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55の粉末試料およびペレット圧縮試料に温度可変7Li PFG-NMR測定からの拡散速度のアレニウスプロット、およびb)粉末試料およびペレット試料のNMR緩和速度を示している。 図18は、Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55の粉末(a)版およびペレット(b)版に関する、7Li PFG NMRデータのアレニウスプロットに、2種の構成要素の活性化エネルギーへのあてはめを示している。 図19は、目標組成Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55を有する試料に関する、図17aからの7Li PFG-NMRによる拡散速度アレニウスプロットの「低温」および「高温」領域における粉末とペレットとの活性化エネルギーの比較を示している。
上で定義されている第1の態様による固体材料は、0.15≦x≦0.6である、一般式(I)による組成を有することができる。
上で定義されている第1の態様による固体材料は、0.05≦y≦0.2、好ましくは0.05≦y≦0.15である、一般式(I)による組成を有することができる。
とりわけ、上で定義されている第1の態様による固体材料は、0.15≦x≦0.6および0.05≦y≦0.2である、一般式(I)による組成を有することができる。さらに具体的には、上で定義されている第1の態様による固体材料は、0.15≦x≦0.6および0.05≦y≦0.15である、一般式(I)による組成を有することができる。
驚くべきことに、上で定義されている固体材料は、有利なリチウムイオン伝導率およびリチウム金属に対する電気化学的安定性を示すことができることが見出されている。いかなる理論によっても拘泥されることを望むものではないが、一般式(I)による組成を有する固体材料中の二価金属または三価金属Mの存在のために、リチウムイオンの移動度および拡散速度の増大をもたらすリチウム空孔が生成すると推測する。
上で定義されている第1の態様による固体材料は、X線回折技法により検出可能なものとして結晶性であってもよい。そのX線回折パターンにおける特徴が明確な反射の存在によって示される通り、固体材料は、結晶の特徴である長い範囲の規則性を示す場合、結晶性と称される。この文脈では、その強度がバックグラウンドより10%を超える場合、反射は、特徴が明確であると考えられる。
上で定義されている第1の態様による固体材料は、単一相から、または一相より多くから、例えば、主要相(一次相)および微量の不純物および二次相からなってもよい。式(I)は、元素分析によって決定される、実験式(全体式)であることが理解される。したがって、式(I)は、固体材料中に存在するすべての相にわたり平均した組成を規定する。しかし、上で定義されている第1の態様による固体材料は、このまま、式(I)による組成を有する、少なくとも1つの相を含む。上で定義されている第1の態様による結晶性固体材料が、1つより多い相を含有する場合、式(I)による組成をこのまま有していない相の質量分率(例えば、不純物相、二次相)は、すべての相全体に平均した組成が式(I)によるものであるほど小さい。二次相および不純物相の総質量分率は、固体材料の総質量に対して、20%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、最も好ましくは3%以下とすることができる。二次相および不純物相は、存在する場合、固体材料、例えば、LiX(Xは、上で定義されている通りである)およびLiSを製造するために使用される前駆体、ならびに時として、前駆体(例えば、LiPSおよびCaP11)の不純物または前駆体の副反応により形成される生成物に由来し得る不純物相から主になる。上で定義されている第1の態様による固体材料の製造の詳細に関しては、本開示の第2の態様の文脈において、以下に提示されている情報を参照されたい。
ある種の場合、上で定義されている第1の態様による固体材料は、多結晶性粉末の形態、または単結晶の形態にある。
上で定義されている第1の態様による結晶性固体材料は、立方体空間群F-43mを特徴とする、硫銀ゲルマニウム鉱構造を有することができる。硫銀ゲルマニウム鉱構造は、一般に、当分野で公知の粉末X線回折(XRD)測定によって決定される。詳細は、実施例の項目に記載されている。
一般式(I)の固体材料では、元素Xの合計とPとの間のモル比は、X/P=aとして定義される。一般式(I)の固体材料では、モル比X/P=aに関して、以下の条件:1≦a≦1.8を満たす。ある種の場合、モル比X/P=aに関して、以下の条件、好ましくは1.45≦a≦1.6を満たす。
一般式(I)の固体材料では、LiとPとの間のモル比は、Li/P=bとして定義される。一般式(I)の固体材料では、モル比Li/P=bに関して、以下の条件:4.05≦b<6.08を満たす。
一般式(I)の固体材料では、金属Mの合計とPとの間のモル比は、M/P=cとして定義される。一般式(I)の固体材料では、モル比M/P=cに関して、以下の条件:0.01≦c≦0.25を満たす。ある種の場合、モル比M/P=cに関して、以下の条件、0.01≦c≦0.15を満たす。ある種の場合、モル比M/P=cに関して、以下の条件、0.01≦c≦0.12を満たす。
ある種の場合、モル比X/P=aに関して、以下の条件:1.45≦a≦1.6を満たし;モル比M/P=cに関して、以下の条件:0.01≦c≦0.15を満たす。ある種の場合、モル比X/P=aに関して、以下の条件:1.45≦a≦1.6を満たし;モル比M/P=cに関して、以下の条件:0.01≦c≦0.12を満たす。
驚くべきことに、元素Xの合計と金属Mとの合計との間のモル比X/M=a/cの調整は、イオン伝導率に対して有利な影響を有し得ることが見出された。この点では、14≦a/c≦16、より好ましくは15.30≦a/c≦15.55である一般式(I)の固体材料が好ましい。
上で定義されている第1の態様による固体材料は、各場合において、25℃の温度において、1mS/cm以上、一部の場合、3mS/cm以上、さらに特定の場合では、6mS/cm以上のイオン伝導率を有することができる。イオン伝導率は、ブロッキング電極構成における、電気化学インピーダンス分光法によって開発された電池材料の分野において公知の通常の様式で決定される(詳細に関しては、以下の実施例項を参照されたい)。
同時に、上で定義されている第1の態様による固体材料は、ほとんど無視できる程度の電気伝導率しか有し得ない。より詳細には、電気伝導率は、イオン伝導率よりも、少なくとも3桁小さくてもよく、好ましくはイオン伝導率よりも少なくとも5桁小さくてもよい。ある種の場合、上で定義されている第1の態様による固体材料は、10-9S/cm以下の、または10-10S/cmにもなる電気伝導率を示す。電気伝導率は、異なる電圧において直流(DC)偏光測定によって開発された電池材料の分野における公知の通常の様式で決定される。
上で定義されている第1の態様による固体材料は、Xが、Cl(塩素)である一般式(I)による組成、すなわち一般式(Ia)
Li6+2*n-x-m*yPS5+n-xCl1+x (Ia)
(式中、M、m、n、xおよびyは、一般式(I)に関して上に定義されているものと同じ意味を有する)による組成を有することができる。
上で定義されている第1の態様による固体材料は、0.15≦x≦0.6である、一般式(Ia)による組成を有することができる。
上で定義されている第1の態様による固体材料は、0.05≦y≦0.2、好ましくは0.05≦y≦0.15である、一般式(Ia)による組成を有することができる。
より詳細には、上で定義されている第1の態様による固体材料は、0.15≦x≦0.6および0.05≦y≦0.2である、一般式(Ia)による組成を有することができる。さらにより詳細には、上で定義されている第1の態様による固体材料は、0.15≦x≦0.6および0.05≦y≦0.15である、一般式(Ia)による組成を有することができる。
上で定義されている第1の態様による特定の固体材料の第1の群は、Mが、Mg、Ca、Sr、BaおよびZn(すなわち二価金属)からなる群から選択され、したがって、mが2である、1種または複数のものである、一般式(I)による組成を有する固体材料からなる。したがって、前記第1の群の固体材料は、一般式(Ib)
Li6+2*n-x-2*yPS5+n-x1+x (Ib)
(式中、M、X、n、xおよびyは、一般式(I)に関して上に定義されているものと同じ意味を有する)
による組成を有する。
前記第1の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6である、一般式(Ib)による組成を有することができる。
前記第1の群の固体材料は、0.01≦y≦0.2、好ましくは0.05≦y≦0.15である、一般式(Ib)による組成を有することができる。
前記第1の群の固体材料は、n=0またはn=0.05である、一般式(Ib)による組成を有することができる。
前記第1の群の固体材料は、XがClである、一般式(Ib)による組成を有することができる。
とりわけ、前記第1の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.01≦y≦0.2であり、XがClである、一般式(Ib)による組成を有することができる。さらに具体的には、前記第1の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.05≦y≦0.15であり、XがClである、一般式(Ib)による組成を有することができる。
前記第1の群の固体材料は、MがCaである、一般式(Ib)による組成を有することができる。
とりわけ、前記第1の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.01≦y≦0.2であり、MがCaである、一般式(Ib)による組成を有することができる。さらに具体的には、前記第1の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.05≦y≦0.15であり、MがCaである、一般式(Ib)による組成を有することができる。
前記第1の群の固体材料は、Mが、Caであり、XがClである、一般式(Ib)による組成を有することができる。
とりわけ、前記第1の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.01≦y≦0.2であり、MがCaであり、XがClである、一般式(Ib)による組成を有することができる、さらに具体的には、前記第1の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.05≦y≦0.15であり、MがCaであり、XがClである、一般式(Ib)による組成を有することができる。
前記第1の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.01≦y≦0.2であり、n=0であり、MがCaであり、XがClである、一般式(Ib)による組成を有することができる、さらに具体的には、前記第1の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.05≦y≦0.15であり、n=0であり、MがCaであり、XがClである、一般式(Ib)による組成を有することができる。
前記第1の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.01≦y≦0.2であり、n=0.05であり、MがCaであり、XがClである、一般式(Ib)による組成を有することができる、さらに具体的には、前記第1の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.05≦y≦0.15;n=0.05であり、MがCaであり、XがClである、一般式(Ib)による組成を有する。
上で定義されている第1の態様による特定の固体材料の第2の群は、Mが、Sc、La、AlおよびGa(すなわち、三価金属)からなる群から選択され、したがって、mが3である、1種または複数のものである、一般式(I)による組成を有する固体材料からなる。したがって、前記第2の群の固体材料は、一般式(Ic)
Li6+2*n-x-3*yPS5+n-x1+x (Ic)
(式中、M、X、n、xおよびyは、一般式(I)に関して上に定義されているものと同じ意味を有する)による組成を有する。
前記第2の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6である、一般式(Ic)による組成を有することができる。
前記第2の群の固体材料は、0.01≦y≦0.15、好ましくは0.05≦y≦0.15である、一般式(Ic)による組成を有することができる。
前記第2の群の固体材料は、n=0である、一般式(Ic)による組成を有することができる。
前記第2の群の固体材料は、XがClである、一般式(Ic)による組成を有することができる。
とりわけ、前記第2の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.01≦y≦0.15であり、XがClである、一般式(Ic)による組成を有することができる。さらに具体的には、前記第2の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.05≦y≦0.15であり、XがClである、一般式(Ic)による組成を有することができる。
前記第2の群の固体材料は、MがAlであるか、またはMがGaである、一般式(Ic)による組成を有することができる。
とりわけ、前記第2の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.01≦y≦0.15であり、Mが、AlまたはGaである、一般式(Ic)による組成を有することができる。さらに具体的には、前記第2の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.05≦y≦0.15であり、Mが、AlまたはGaである、一般式(Ic)による組成を有することができる。
前記第2の群の固体材料は、MがAlであり、XがClである、一般式(Ic)による組成を有することができる。
前記第2の群の固体材料は、MがGaであり、XがClである、一般式(Ic)による組成を有することができる。
とりわけ、前記第2の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.01≦y≦0.15であり、MがAlであり、XがClである、一般式(Ic)による組成を有することができる。さらに具体的には、前記第2の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.05≦y≦0.15であり、MがAlであり、XがClである、一般式(Ic)による組成を有することができる。
とりわけ、前記第2の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.01≦y≦0.15であり、MがGaであり、XがClである、一般式(Ic)による組成を有することができる。さらに具体的には、前記第2の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.05≦y≦0.15であり、MがGaであり、XがClである、一般式(Ic)による組成を有することができる。
前記第2の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.01≦y≦0.15であり、n=0であり、MがAlであり、XがClである、一般式(Ic)による組成を有することができる。さらに具体的には、前記第2の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.05≦y≦0.15であり、MがAlであり、XがClである、一般式(Ic)による組成を有することができる。
前記第2の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.01≦y≦0.15であり、n=0であり、MがGaであり、XがClである、一般式(Ic)による組成を有することができる。さらに具体的には、前記第2の群の固体材料は、0.15≦x≦0.6、0.05≦y≦0.15であり、MがGaであり、XがClである、一般式(Ic)による組成を有することができる。
上記で定義されている、第1の態様による好ましい固体材料は、上に開示されている指定の特徴の1つまたは複数を有するものである。
第2の態様によれば、上で定義されている第1の態様による固体材料を得るための方法が提供される。前記方法は、以下:
a) 以下の前駆体
(1) Li
ならびに/または
元素形態にあるLiおよびS;
(2) 1種または複数のリンのスルフィド;
(3) Xが、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択される、1種または複数の化合物LiX;
(4) 二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZn、ならびに三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される1種または複数の金属Mのスルフィド
ならびに/または
元素形態にあるS、ならびに各場合において、元素形態にある二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZn、ならびに三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される1種または複数の金属M;
(5) Xが、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択され、Mが、二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZn、ならびに三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択され、Mが、二価金属である場合、mが2であり、Mが三価金属である場合、mが3である、任意に1種または複数のハロゲン化物MX
を含む反応混合物を製造または用意する工程であって、
前記反応混合物において、元素Li、M、P、SおよびXのモル比は、一般式(I)に一致する、工程;
b) 3時間~350時間の全時間の間、500℃~800℃の温度範囲で反応混合物を加熱処理し、その結果、反応生成物が形成され、得られた反応生成物を冷却し、その結果、一般式(I)による組成を有する固体材料を得る工程
を含む。
上で定義されている第2の態様による方法の工程a)では、工程b)において形成されることになる、反応生成物のための前駆体を含む反応混合物が用意される。前記前駆体は、以下
(1) LiS、
ならびに/または
両方が元素形態にあるLiおよびS;
(2) 1種または複数のリンのスルフィド;
(3) Xが、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択される、1種または複数の化合物LiX;
(4) 二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZn、ならびに三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される1種または複数の金属Mのスルフィド
ならびに/または
元素形態にあるS、ならびに各場合において、元素形態にある二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZn、ならびに三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される1種または複数の金属Mであり、
前記反応混合物において、元素Li、M、P、SおよびXのモル比は、一般式(I)に一致する。
ある種の場合、反応混合物は、上で定義されている前駆体(1)、(2)、(3)および(4)を含み、以下
(5) Xが、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択され、Mが、二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZn、ならびに三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択され、Mが、二価金属である場合、mが2であり、Mが三価金属である場合、mが3である、任意に1種または複数のハロゲン化物MX
をさらに含み、
前記反応混合物において、元素Li、M、P、SおよびXのモル比は、一般式(I)に一致する。
好ましくは、反応混合物は、上で定義されている前駆体(1)、(2)、(3)および(4)、または(1)、(2)、(3)、(4)および(5)からなる。
前駆体(3)および(5)の各々において、Xは、独立して選択されてもよい。好ましくは、前駆体(3)および(5)の各々において、Xは、同じであり、好ましくはClである。すべての前駆体(3)および(5)におけるXがClである反応混合物が、上で定義されている一般式(Ia)による組成を有する固体材料を製造するために好適である。
前駆体(1)は、LiSの形態で供給されてもよく、ならびに/またはLi(リチウム)およびS(硫黄)の両方が、元素形態で供給されてもよい。好ましくは、前駆体(1)は、LiSである。
好ましくは、前駆体(2)は、Pである。
好ましくは、前駆体(3)は、LiClである。
前駆体(4)は、二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZn、ならびに三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される1種または複数の金属Mのスルフィドの形態で供給されてもよい;ならびに/またはS(硫黄)、ならびに二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZn、および三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される、1種または複数の金属Mが、元素形態で供給されてもよい。好ましくは、前駆体(4)は、二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZn、ならびに三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される1種または複数の金属Mのスルフィドの形態にある。
工程a)において供給される反応混合物では、X/P=aと定義される、元素Xの合計とPとの間のモル比に関して、以下の条件:1≦a≦1.8を満たす。ある種の特定の場合、以下の条件:1.45≦a≦1.6を満たす。
工程a)において供給される反応混合物では、Li/P=bと定義される、LiとPとの間のモル比に関して、以下の条件を満たす:4.05≦b<6.08。
工程a)において供給される反応混合物では、M/P=cと定義される、金属Mの合計とPとの間のモル比に関して、以下の条件:0.01≦c≦0.25を満たす。ある種の特定の場合、以下の条件を満たす:0.01≦c≦0.15。ある種の特定の場合、以下の条件を満たす:0.01≦c≦0.12。
ある特定の一層具体的な場合、工程a)において供給される反応混合物では、モル比X/P=aに関して、以下の条件:1.45≦a≦1.6を満たし;モル比M/P=cに関して、以下の条件:0.01≦c≦0.15を満たす。
ある特定の一層具体的な場合、工程a)において供給される反応混合物では、モル比X/P=aに関して、以下の条件:1.45≦a≦1.6を満たし;モル比M/P=cに関して、以下の条件:0.01≦c≦0.12を満たす。
工程a)において供給される反応混合物では、X/M=a/cと定義される、元素Xの合計と金属Mの合計との間のモル比に関して、以下の条件:14≦a/c≦16、より好ましくは15.30≦a/c≦15.55を満たすことができる。
上で定義されている第2の態様によるある特定の方法では、前駆体(4)は、二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZnからなる群から選択される1種もしくは複数の金属Mのスルフィド、および/または元素形態のS(硫黄)、ならびに元素形態の二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZnからなる群から選択される1種または複数の金属Mであり、前駆体(5)は、存在する場合、Xが、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択され、Mが、二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZnからなる群から選択される、1種または複数のハロゲン化物MXである。このような方法は、上で定義されている一般式(Ib)による組成を有する固体材料を製造するのに好適である。
したがって、一般式(Ib)による組成を有する固体材料を製造するのに好適な反応混合物は、以下の前駆体
(1) LiS、
ならびに/または
元素形態にあるLiおよびS;
(2) 1種または複数のリンのスルフィド;
(3) Xが、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択される、1種または複数の化合物LiX;
(4) 二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZnからなる群から選択される1種または複数の金属Mのスルフィド、
ならびに/または
元素形態にあるS、ならびに元素形態にある二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZnからなる群から選択される1種または複数の金属M;
(5) Xが、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択され、Mが、二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZnからなる群から選択される、任意に、1種または複数のハロゲン化物MXを含み、
前記反応混合物において、元素Li、M、P、SおよびXのモル比は、一般式(Ib)に一致する。
好ましくは、反応混合物は、上で定義されている前駆体(1)、(2)、(3)および(4)、または(1)、(2)、(3)、(4)および(5)からなる。
前駆体(3)および(5)の各々において、Xは、独立して選択されてもよい。好ましくは、前駆体(3)および(5)の各々において、Xは、同じであり、好ましくはClである。
前駆体(1)は、LiSの形態で供給されてもよく、ならびに/またはLi(リチウム)およびS(硫黄)が、元素形態で供給されてもよい。好ましくは、前駆体(1)は、LiSである。
好ましくは、前駆体(2)は、Pである。
好ましくは、前駆体(3)は、LiClである。
前駆体(4)は、二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZnからなる群から選択される1種もしくは複数の金属Mのスルフィド、および/またはS(硫黄)の形態で供給されてもよく、ならびに二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZnからなる群から選択される、1種または複数の金属Mは、元素形態で供給されてもよい。好ましくは、前駆体(4)は、二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZnからなる群から選択される1種または複数の金属Mのスルフィドの形態にある。
ある種の場合、Mは、Caである。このような場合、前駆体(4)は、好ましくはCaSであり、前駆体(5)が含まれていないことがある。
したがって、一般式(Ib)による組成を有する固体材料を製造するのに好適な反応混合物は、以下の前駆体
(1) Li
(2) P
(3) LiCl
(4) CaS
からなることができ、
前記反応混合物において、元素Li、Ca、P、SおよびXのモル比は、一般式(Ib)に一致する。
上で定義されている第2の態様によるある特定の他の方法では、前駆体(4)は、三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される1種または複数の金属Mのスルフィド、および/または元素形態のS(硫黄)、ならびに元素形態の三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される1種または複数の金属Mであり、前駆体(5)は、存在する場合、Xが、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択され、Mが、三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される、1種または複数のハロゲン化物MXである。このような方法は、上で定義されている一般式(Ic)による組成を有する固体材料を製造するのに好適である。
したがって、一般式(Ic)による組成を有する固体材料を製造するのに好適な反応混合物は、以下の前駆体
(1) LiS、
ならびに/または
元素形態にあるLiおよびS;
(2) 1種または複数のリンのスルフィド;
(3) Xが、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択される、1種または複数の化合物LiX;
(4) 三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される1種または複数の金属Mのスルフィド、
ならびに/または
元素形態にあるS、ならびに元素形態にある三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される1種または複数の金属M;
(5) Xが、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択され、Mが、三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される、任意に、1種または複数のハロゲン化物MXを含み、
前記反応混合物において、元素Li、M、P、SおよびXのモル比は、一般式(Ic)に一致する。
好ましくは、反応混合物は、上で定義されている前駆体(1)、(2)、(3)および(4)、または(1)、(2)、(3)、(4)および(5)からなる。
前駆体(3)および(5)の各々において、Xは、独立して選択されてもよい。好ましくは、前駆体(3)および(5)の各々において、Xは、同じであり、好ましくはClである。好ましくは、前駆体(3)は、LiClである。
前駆体(1)は、LiSの形態で供給されてもよく、ならびに/またはLi(リチウム)およびS(硫黄)が、元素形態で供給されてもよい。好ましくは、前駆体(1)は、LiSである。
好ましくは、前駆体(2)は、Pである。
好ましくは、前駆体(3)は、LiClである。
前駆体(4)は、三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される1種または複数の金属Mのスルフィド、および/またはS(硫黄)の形態で供給されてもよく、ならびに三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される、1種または複数の金属Mは、元素形態で供給されてもよい。好ましくは、前駆体(4)は、三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される1種または複数の金属Mのスルフィドの形態にある。
ある種の場合、Mは、GaまたはAlである。このような場合、前駆体(4)は、好ましくはAlまたはGaであり、前駆体(5)が含まれていないことがある。
したがって、一般式(Ic)による組成を有する固体材料を製造するのに好適な反応混合物は、以下の前駆体
(1) Li
(2) P
(3) LiCl
(4) AlまたはGaからなることができ、
前記反応混合物において、元素Li、P、S、XおよびAlまたはGaのモル比は、一般式(Ic)に一致する。
工程a)では、反応混合物は、前駆体の混合により得ることができる。前駆体の混合は、前駆体を一緒に摩砕することによって行われてもよい。磨砕は、任意の好適な手段を使用して行うことができる。
工程a)において製造または供給される反応混合物は、粉末の形態またはペレットの形態にあってもよい。例えば、工程a)において製造または供給される反応混合物は、ペレットに成形されてもよく、これは、工程b)において加熱処理される。次に、ペレットまたは塊の形態にある固体材料が得られ、これをさらに加工するため、粉末に粉砕されてもよい。
工程a)では、いかなる取り扱いも、保護性ガス雰囲気下で行われることが有用である。
上で定義されている第2の態様による方法の工程b)では、反応混合物を反応させて、その結果、一般式(I)による組成を有する固体材料が得られる。言い換えると、工程b)において、反応混合物中の前駆体は、相互に反応して、一般式(I)による組成を有する固体材料が得られる。
工程a)において製造または供給した反応混合物は、工程b)において加熱処理されて、前駆体の反応が可能となる。加熱処理は、密閉容器中で行われてもよい。密閉容器は、密封した石英管、またはガラス状炭素製るつぼまたはタンタル製るつぼなどの加熱処理の温度に耐えることが可能であり、かつ前駆体のいずれとも反応を受けない、任意の他のタイプの入れ物とすることができる。
工程b)において、反応混合物は、3時間~350時間の全期間の間、500℃~800℃の温度範囲で加熱処理されてもよく、その結果、反応生成物が形成される。より詳細には、工程b)において、反応混合物は、4時間~9時間の全期間の間、500℃~600℃の温度範囲で加熱処理されてもよい。
工程b)の加熱処理の期間が完了すると、形成した反応生成物を冷却する。したがって、一般式(I)による組成を有する固体材料が得られる。反応生成物の冷却は、1分あたり0.5~10℃の冷却速度を使用して好ましくは行われる。
本明細書に記載されている第2の態様による特定の方法は、以下
a)上で定義されている前駆体(1)、(2)、(3)、(4)および任意に(5)を含む固体反応混合物、好ましくは、上で定義されている前駆体(1)、(2)、(3)、(4)および任意に(5)からなる反応混合物を製造または用意する工程、
b) 3時間~350時間の全時間の間、500℃~800℃の温度範囲で反応混合物を加熱処理し、その結果、反応生成物が形成され、得られた反応生成物を冷却し、その結果、一般式(I)による組成を有する固体材料を得る、工程を含む。
上記の通り製造した固体材料は、高いイオン伝導率を示し、その結果、構造的欠陥を修復するさらなるアニーリングを必要としないことが特筆される。固体材料を、全固体電池のための、コールドプレスペレットの形態の電解質として使用することが可能になるので、上記のことは重要な利点である。
本明細書において定義されている、第2の態様による好ましい方法は、上に開示されている指定の特徴の1つまたは複数を有するものである。
上で定義されている第1の態様による、または上で定義されている第2の態様による方法により得られた固体材料は、固体電解質として電気化学セルに使用することができる。本明細書において、固体電解質は、電気化学セル用の固体構造体の構成要素を形成することができ、前記固体構造体は、カソード、アノードおよびセパレータからなる群から選択される。したがって、上で定義されている第1の態様による、または上で定義されている第2の態様による方法により得られた固体材料は、カソード、アノードまたはセパレータなどの、電気化学セル用の固体構造体を生成するために使用することができる(必要に応じて、追加の構成要素と組み合わされる)。
したがって、本開示は、電気化学セル用の固体電解質としての、上で定義されている第1の態様による、または上で定義されている第2の態様による方法により得られた固体材料を使用する方法をさらに提供する。本明細書において、上で定義されている第1の態様による、または上で定義されている第2の態様による方法により得られた固体材料は、上で定義されている式(Ia)による組成、または上で定義されている式(Ib)もしくは式(Ic)による組成を有することができる。上で定義されている第1の態様による、または上で定義されている第2の態様による方法によって得られた、特定のおよび好ましい固体材料に関して、同じことが、第1の態様の文脈において、上に開示されている通りにあてはめる。
より詳細には、本開示は、電気化学セル用の固体構造体の構成要素として、上で定義されている第1の態様による、または上で定義されている第2の態様による方法により得られた固体材料を使用する方法であって、前記固体構造体が、カソード、アノードおよびセパレータからなる群から選択される、使用をさらに提供する。
本開示の文脈において、放電中に正味の負電荷が発生する電極をアノードと呼び、放電中に正味の正電荷が発生する電極をカソードと呼ぶ。好適な電気化学的に活性なカソード材料および好適な電気化学的に活性なアノード材料は、当分野において公知である。全固体電気化学セルのカソードは、活性なカソード材料の他に、さらなる構成要素として、固体電解質を、通常、含む。同様に、全固体電気化学セルのアノードは、活性なアノード材料の他に、さらなる構成要素として、固体電解質を、通常、含む。前記固体電解質は、上で定義されている第1の態様による、または上で定義されている第2の態様による方法により得られた固体材料であってもよい。
電気化学セルにおいて、セパレータは、カソードとアノードとを互いに電気的に隔離する。全固体電気化学セルでは、セパレータは、固体電解質を含む。前記固体電解質は、上で定義されている第1の態様による、または上で定義されている第2の態様による方法により得られた固体材料であってもよい。
本開示は、電気化学セル用の固体構造体をさらに提供し、固体構造体は、カソード、アノードおよびセパレータからなる群から選択され、電気化学セル用の固体構造体は、上で定義されている第1の態様による、または上で定義されている第2の態様による方法により得られた固体材料を含む。本明細書において、上で定義されている第1の態様による、または上で定義されている第2の態様による方法により得られた固体材料は、上で定義されている式(Ia)による組成、または上で定義されている式(Ib)もしくは式(Ic)による組成を有することができる。
電気化学セル用、特に全固体リチウム電池用の固体構造体の形態は、特に、電気化学セルそれ自体の形態に依存する。
本開示は、電気化学セル用の固体構造体をさらに提供し、固体構造体は、カソード、アノードおよびセパレータからなる群から選択され、電気化学セル用の固体構造体は、上で定義されている第1の態様による、または上で定義されている第2の態様による方法により得られた固体材料を含む。より詳細には、上で定義されている固体構造体であって、ある特定の好ましい場合、上で定義されている第1の態様による、または上で定義されている第2の態様による方法により得られた固体材料が、リチウム金属と触接接触している、固体構造体が提供される。
本開示は、上で定義されている第1の態様による、または上で定義されている第2の態様による方法により得られた固体材料を含む電気化学セルをさらに提供する。前記電気化学セルでは、上で定義されている第1の態様による、または上で定義されている第2の態様による方法により得られた固体材料は、カソード、アノードおよびセパレータからなる群から選択される1種または複数の固体構造体の構成要素を形成することができる。より詳細には、上で定義されている電気化学セルであって、ある特定の好ましい場合、上で定義されている第1の態様による、または上で定義されている第2の態様による方法により得られた固体材料が、リチウム金属と触接接触していてもよい、電気化学セルが提供される。
上で定義されている電気化学セルは、以下の構成体
α) 少なくとも1個のアノード、
β) 少なくとも1個のカソード、
γ) 少なくとも1個のセパレータ
を含む、再充電可能な電気化学セルであって、
3種の構成体の少なくとも1種は、カソード、アノードおよびセパレータからなる群から選択される固体構造体であり、上で定義されている第1の態様による、または上で定義されている第2の態様による方法により得られた固体材料を含む、
再充電可能な電気化学セルあってもよい。
好適な電気化学的に活性なカソード材料および好適な電気化学的に活性なアノード材料は、当分野において公知である。上記の電気化学セルでは、アノードα)は、グラファイトカーボン、金属リチウム、またはアノード活性材料としてリチウムを含む金属合金を含むことができる。リチウム金属との直接接触の、その優れた電気化学的安定性により、上で定義されている固体構造体におけるある特定の好ましい場合、上で定義されている第1の態様による、または上で定義されている第2の態様による方法により得られた固体材料は、リチウム金属を含むアノードと直接接触していてもよく、その結果、固体材料とアノードとの間に保護層を必要としない。
上記の電気化学セルは、アルカリ金属含有セル、とりわけリチウムイオン含有セルであってもよい。リチウムイオン含有セルでは、電荷輸送は、Liイオンによって行われる。
電気化学セルは、円盤様形状またはプリズム形状を有することができる。電気化学セルは、鋼製またはアルミニウム製とすることができる筐体を含むことができる。
上記の複数の電気化学セルは、固体電極と固体電解質との両方を有する、全固体電池と一緒にされてもよい。本開示のさらなる態様は、電池、より詳細には、アルカリ金属イオン電池、特に、上記の少なくとも1種の電気化学セル、例えば上記の2種以上の電気化学セルを含むリチウムイオン電池を指す。上記の電気化学セルは、例えば、直列で、または並列で、アルカリイオン電池において、相互に組み合わされ得る。直列が好ましい。
本明細書に記載されている電気化学セルまたは電池は、自動車、コンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、携帯電話、腕時計、ビデオカメラ、デジタルカメラ、温度計、計算機、ラップトップBIOS、通信機器または車両用遠隔キー、および発電所用のエネルギー貯蔵装置などの設置用途品(stationary application)を作製または作動させるために使用することができる。本開示のさらなる態様は、少なくとも1個の本発明の電池または少なくとも1個の本発明の電気化学セルを用いることによる、自動車(car)、コンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、携帯電話、腕時計、ビデオカメラ、デジタルカメラ、温度計、計算機、ラップトップBIOS、通信機器、車両用遠隔キー、および発電所用のエネルギー貯蔵装置などの設置用途品を作製または作動させる方法である。
本開示のさらなる態様は、電気モータによって作動される自動車(motor vehicle)、自転車、ロボット、航空機(例えば、ドローンを含めた、無人航空機)、船舶または定置型エネルギー貯蔵所における、上記の電気化学セルの使用である。
本開示は、上記の少なくとも1個の本発明の電気化学セルを備える装置をさらに提供する。好ましいものは、車両、例えば、自動車(automobile)、自転車、航空機、またはボートもしくは船舶などの水上車両などのモバイル装置である。モバイル機器の他の例は、携帯用、例えばコンピュータ、とりわけラップトップ、電話、または例えば、建設部門の電動工具、とりわけドリル、電池式駆動スクリュードライバーまたはバッテリー駆動のタッカーなどである。
本発明は、限定されない以下の実施例によってさらに例示される。
1.固体材料の製造
表1または2に表示されている目標組成(目標化学量論)を得るための比率の、以下の前駆体からなる反応混合物
(1) LiS(Alfa Aesar、99.9%)、
(2) P(Sigma-Aldrich、99%)、
(3) LiCl無水ビーズ(Sigma-Aldrich、99.9%)、
(4) CaS(Alfa Aesar、99%)、Al(Sigma-Aldrich、98%)およびGa(Alfa Aesar、99.99%)のうちの1つ
をアルゴンを充填したグローブボックス(MBraun、OおよびHO含有量は、1ppm未満)中で15分間、めのう乳鉢において、上記の前駆体を摩砕することによって製造した。通常0.5グラムの質量の粉砕反応混合物を2メートルトンのダイ(13mmの直径)中でペレットにした。得られたペレットは、真空下で密封した石英アンプルに移した。ペレットの石英アンプルとの直接接触を回避するために、ガラス状炭素るつぼを使用した。反応を妨害する微量の水を避けるよう、石英アンプルにペレットを移す前に、前記石英アンプル(13mmの内径および8cmの長さ)を、1日間、300℃で予備加熱した。管形炉中、0.5℃/分の加熱速度で、ペレットにした反応混合物の加熱処理を550℃で5時間、行った。続いて、得られた固体材料の各々を、アルゴンを充填したグローブボックス(MBraun、OおよびHO含有量は1ppm未満)中で粉砕し、XRD分析のため、密封した0.3mm径の石英キャピラリーにロードした。
比較するため、反応混合物が上で定義されている前駆体(1)~(3)からなるが、前駆体(4)を含まないこと以外、同じ様式でLiPSClを得た。
2.イオン伝導率および電気伝導率
ブロッキング電極構成における電気化学インピーダンス分光法(EIS)を使用して、ペレットの形態にある固体材料のイオン伝導率を決定した。ペレットを得るために、材料の粉末試料を2本のステンレス鋼製ロッド間に挟み、単軸液圧プレスによって2トンでコールドプレスした(直径10mm)。このように得られたペレットの厚さ(精密なデジタル式キャリパーによって測定した)は、0.5~1.1mmの範囲であった。EISは、セルを使用して行い、ペレットは、ブロッキング電極として働く、2個の金属ホイル間に挟む。インピーダンススペクトルを、VMP3ポテンシオスタット/ガルバノスタット(Bio-logic)を使用して、298Kで1MHz~100mHzの周波数範囲で100mVの振幅で記録した。
温度依存伝導率測定に関しては、インピーダンススペクトルを5Kの間隔で298Kから338Kまで、MT-LAB(Bio-Logic)ソフトウェアによって制御したMTZ-35インピーダンス分析器(Bio-Logic)を用いて、35MHz~100mHzの周波数範囲で記録した。
データ分析は、EC-Labソフトウェアを使用して行い、活性化エネルギーをアレニウスプロットの傾きから決定した。
すべての材料のイオン伝導率(電気化学インピーダンスのナイキストプロットにおける実軸インピーダンス切片のあてはめから得た。各場合において、2つの試料の平均値)は、以下の表1および2に示されている。表1では、異なる温度における、上で説明したインピーダンス分光法から、およびLi PFG-NMR(以下を参照されたい)から得た活性化エネルギー(Ea)の値も示されている。実験詳細に関しては、以下の項目3.1を参照されたい。考察の詳細に関しては、以下の項目5を参照されたい。
Figure 2023527647000002


x=0の場合、Ca含有率yの増加により、yが0.15を超過するまで、イオン伝導率が増加する。y=0.1となるCa含有率では、Cl含有率の増加(x=0、0.25、0.375、0.5、0.55)は、イオン伝導率の安定した増加をもたらす。塩素含有率がx=0からx=0.25まで増加した場合、Ca含有率y=0.15では、同じことがあてはめるが、Ca含有率y=0.15を有する材料は、同じCl含有率を有するが、Ca含有率がy=0.1である対応する材料よりも低いイオン伝導率を示す。
Figure 2023527647000003
x=0場合、AlまたはGaの含有率がy=0からy=0.1に増加すると、イオン伝導率が増加する一方、Gaがy=0.2だけさらに増加しても、イオン伝導率はさらに向上するが、Alの場合はそうではない。y=0.1のAl含有率では、Cl含有率の増加(x=0、0.15、0.25、0.35)は、xが0.25を超えるまで、イオン伝導率の増加をもたらす。y=0.1となるGa含有率では、xがx=0からx=0.25まで向上するようにCl含有率が増加すると、イオン伝導率が増加する。Al含有率がy=0.2の場合、xがx=0からx=0.25まで向上するようにCl含有率が増加しても、イオン伝導率に対して有意な影響を及ぼさないように思われる。y=0.2のAl含有率を有する材料は、同じCl含有率を有しているが、Al含有率がy=0.1である対応する材料よりも低いイオン伝導率を有する。
試料の電気伝導率を決定するため、室温で各電圧において、15~20分間、EISに適用したものと同じセル構成を使用して、0.25V、0.5Vおよび0.75Vの印加電圧における直流(DC)分極曲線を記録した。電気伝導率は、10-9cm-1以下であると分かった。
3.構造分析
3.1 方法
試料を空気および水分から保護しながら、Cu kα放射線照射(1.5406Å)を使用して、Empyrean X線回折計(PANalytical)で、一晩、XRDパターンを測定した。印加電圧および電流は、それぞれ、45kVおよび40mAとし、測定範囲は、10~80度とした。パターンは、デバイ・シェラー幾何形状で記録し、HighScore Plusソフトウェアを使用して、ピークを同定した。
514nmの励起で、Raman HORIBA HR800分光計を使用して、ペレット試料のラマンスペクトルを収集した。ラマン測定の前に、試料をすべて、2枚のスライドガラスの間に置き、グローブボックス中にエポキシで密封した。
Oak Ridge National LaboratoryのSpallation Neutron Sourceにおいて、バナジウム製の缶に密封した1.5gの試料を使用し、POWGENで周囲温度において飛行時間型(TOF)中性子粉末回折(NPD)データを収集した(中心λ:1.5Å、0.50097~13.0087Åの範囲にわたるd層間隔)。
高磁場高速マジック角スピニング(MAS)NMRを、ジルコニア製ローター中、Bruker 850MHz HD分光計で、1.9mmのプローブを用いて行い、Liは、20Tの電界強度において、330MHzラーモア周波数を有した。試料すべてに対して、30kHzのMAS速度を使用し、3.5μs、110Wの励起パルスによりスペクトルが生じた。Li標準は、見かけ上、1M LiCl(水性)にしたが、以前の検討(P.Adeli、J.D.Bazak、K.H.Park、I.Kochetkov、A.Huq、G.R.Goward、L.F.Nazar、Angew.Chem.Int.Ed.2019、58、8681;Angew.Chem.2019、131、8773頁)により、硫銀ゲルマニウム鉱試料自体に由来する微量のLiCl(固体)不純物を内部標準にすることが、信頼性が一層高く、1.9mmのプローブのためのロックがないことが見出され、850MHz HD分光計は、浮上磁気システムであった。この少量のLiCl(固体)不純物シグナルの飽和を回避するために、8段階の位相サイクルで、60sリサイクル遅延を利用して、あらゆる残留トランスミッタアーチファクトを除去した。Bruker Avance III 300WB分光計(下図を参照されたい、PFG-NMR法)での7Tにおける静的条件下では、スペクトルは、既に運動的に狭められており、検討したすべての温度において、サテライト遷移を示さず、したがって、これらの材料の四重極カップリングは、MASスペクトルにおいて観測されるシフトの次数の2次四重極シフトを発生させるには不十分である。
Liに関する2D交換分光法(EXSY)もまた、二次シグナルを示したある特定の材料(以下を参照されたい)に対して行った。650個の点を用いてデジタル化した間接次元における12ppmのスペクトル幅を使用して、4.5sのリサイクル遅延および8段階の位相サイクルで2D EXSYスペクトルを取得し(間接次元の取得モードとしてStates-TPPIを使用)、これにより、実験時間は約7時間になり(混合時間に依存する)、間接次元のいかなるリンギングも除去するのに十分であった。混合時間は10μsから500msの範囲としたが、一次シグナルと二次シグナルとの間のスペクトラルボリュームの不均衡、および一次シグナルのロングテールのため、クロスピークのボリュームデコンボリューションは信頼性がなかった。したがって、結果は、二次シグナルが一次シグナルと交換されていることを実証するために、定性的に解釈するのみである。さらに、1次元Li MASスペクトルにおける二次シグナルは、ssNake v1.0を使用してデコンボリューションした(S.G.J.van Meerten、W.M.J.Franssen、A.P.M.Kentgens、J.Magn.Reson.2019,301、56~66頁)。一次ピークと二次ピークの両方をあてはめるためにローレンツ線形を使用したが、最初に一次ピークを切り離してあてはめ、次に、二次ピークを最初のピーク組成に関して決定されたものと同じ線幅拡大を使用してあてはめ、2番目のローレンツ線を追加して、一次ローレンツと関連づけてあてはめ、全一次ピークを構成させた。
Bruker850MHz HD分光計(343MHzの31Pラーモア周波数)で、30kHzのMAS速度で1.9mmジルコニア製ローターを使用し、31Pの高速MAS NMERも特定の試料に対して行った。80Wで6μsの励起パルスを使用して、共鳴を観測し、60秒のリサイクル遅延を使用して、シグナルの飽和を回避し、反転回復実験を使用して確立した。合計で64回のスキャンを蓄積して、妥当なシグナル対ノイズ比を実現し、シグナルは、キャピラリー標準中の85%HPOを基準にした。
Bruker Avance III 300MHz分光計(7.0T;Liは、この磁場強度で117MHzのラーモア周波数を有する)を用いるパルスフィールド勾配(PFG)NMR技法(Liパルスフィールド勾配NMR分光法)および5mmのLiコイルインサートを備えるDiff50グラジエントプローブを使用して拡散測定を行った。試料を、Ar充填したグローブボックス中、3~4mmのパッキング深さでShigemi管に入れて、この管をパラフィルムで密封した。Shigemi管中の試料プラグを、標準Li周波数エンコードMRIを使用してグラジエントコイルの中心部に位置合わせした。温度制御は、268.2K~343.2Kの目標範囲にわたり、BCU IIガス冷却ユニットを用いて実施した。実際の試料温度を決定するために、等量のメタノール(268.2Kから303.2K)およびエチレングリコール(298.2Kから343.2K)、および標準Brukerシフト差パラメーターを使用し、拡散実験で使用したものと同じ冷却ガス設定の場合のδHシフト温度計の較正曲線を作成した。固体状態PFG実験を、RFパルスをブランクにしたシフト温度計試料に移した直後に、ケミカルシフト測定を繰り返すことにより、試料のグラジエント関連加熱が無視できることも確認した。さらに、温度較正では、283K~313Kの範囲内(出力の熱安定性のため)でグラジエントコイル用の水冷浴を単に操作した場合の影響を考慮する。温度可変PFG NMR実験を実施している間、温度を、上限温度範囲に到達するまで10K刻みでシフトさせて、目標温度に到達すると、実験を開始する前の20分間、平衡にし、次に、5Kのオフセットで10K刻みで再度、冷却し、データセットにヒステリシス(すなわち、不完全な熱平衡)がないことを確認した。Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55試料(以下の項目5を参照されたい)のペレットおよび粉末版の試料の場合、名目温度範囲は、243.2Kから358.2Kであり、それに応じて、メタノールおよびエチレングリコールシフト温度計を拡張した。ペレットは、10mmの染料中で2トンの適用圧力で約2mmの厚さにコールドプレスし、Ar充填グローブボックス内で乾燥スパチュラを用いてより小さな切片にスライスした。次に、得られた切片をShigemi管に慎重に積み重ねて、ほぼ円筒形の試料形状を保持した。
双極パルス対誘導エコー(BPP-STE)、縦渦電流遅延(LED)磁場勾配パルス(PFG)実験(D.H.Wu、A.D.Chen、C.S.Johnson、J.magn.Reson.Ser.A 1995、115(2)、260~264頁)を使用して、試料プラグにおける拡散によるシグナル減衰を測定した。勾配パルスの大きさの合計を半分に2つに分割することにより、符号が反対の片側のπ-パルスのうち、大振勾配パルスを供給することができ、渦電流リングダウンが大幅に打ち消される(W.S.Price、NMR Studies of Translational Motion;2009)。所与の拡散速度に対するシグナルの減衰は、勾配の大きさg、勾配期間δおよび拡散時間Δによって実験によりパラメーター化する。勾配エンコーディングは、横方向の面で起こり、したがって、δは最終的に、Tによって制限される一方、STE PFG実験では、Δは、磁化のz保管の期間中に発生し、したがって、Tによって制限される。Tはスピン-格子緩和時間であり、Tは、スピン-スピン緩和時間である。M=Caの材料の場合、Tは、111~138msの範囲となる一方、Tは、ほぼ1桁小さく、10~20msの範囲にある。3秒のリサイクル遅延による反転回復を使用して、Tを測定した一方、Tは、合計で2msのエコー遅延によるCPMGを使用して測定した。したがって、勾配期間に、δ=2.4msを選択し、拡散時間にΔ=30msを使用した(しかし、最低温度では、最低拡散相の場合、勾配強度が最大化されると、Δが延長されて、好適な減衰を維持した)。最大で2725G/cm(またはプローブ能の99%)までの範囲の16段階の勾配傾斜は、各温度でのシグナル減衰を追跡するための主要な変数であり、傾斜の最大値は、傾斜の最後の数点が初期値の5%を超える減衰を達成するように設定し、これによって、BPPタイプの実験に関する必要な修正を伴う、Stejskal-Tanner減衰式(E.O.Stejskal、J.E.Tanner、J.ChemPhys.1965、42(1)、288~292頁)への信頼性の高いあてはめが可能となった。勾配応答の線形性、およびしたがって、正勾配および負勾配の一致性は、gを半分にして、σを比例して増加させたいくつかの実験を繰り返し、固定したb=γδ(Δ-δ/3-τ/2)値を維持した(勾配とRFパルスとの間の遅延としてτを使用;γは、核磁気回転比である)。3.5sのリサイクル遅延(5Tよりかなり大きい)を、勾配コイルの推奨される負荷サイクルによって課した。さらに、残留横磁化のいずれも除去して、勾配工程ごとに16段階の位相サイクル可能にするため、143G/cm、2msのスポイラーグラジエントをz保管拡散時間および5msのLED時間の間に適用し、これによって、十分なSNRが得られ、あてはめを行った。
3.2 MがCaである材料
式Li6+2*n-x-2*yCaPS5+n-xCl1+xおよび比較材料LiPSClのいくつかの固体材料のXRDパターンが、図1~4に示されている。
図1は、同定された不純物を表す、式Li6-x-2yCaPS5-xCl1+x(x=0の場合、y=0、0.1、0.15;x=0.25、y=0.1;x=0.375、y=0.1)による組成を有するいくつかの材料のXRD(キャピラリー)パターンを示す。縦のチェックマークは、LiPSCl(x=0、y=0)のBragg反射の計算位置を表す。x=0である材料は、非常に小さな割合の不純物(<2質量%)を示しており、この不純物は、イオン伝導率に影響を及ぼさない可能性が高い。x=0およびy=0.2である材料を合成する取り組みにより、LiPSおよびCaP11不純物が上昇し(印を付けた不純物ピークを含むLi5.6Ca0.2PSClのXRDパターンを示す図2を参照されたい)、イオン伝導率が低下し、x=0の場合、固形物の溶解度の境界値が、y=0.15およびy=0.2の間に存在する可能性があることを示している。
Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55の場合、少量のLiCl不純物が観測された(印を付けたLiCl不純物ピークを含むLi5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55のXRDパターンを示す図3を参照されたい)。縦のチェックマークは、Bragg反射の計算位置を表す。
式Li6-x-2yCaPS5-xCl1+x(x=0.25、y=0.1;x=0.375、y=0.1;x=0.5、y=0.1)による組成を有する材料は、ほとんど純粋な単一相(不純物<1.5質量%)であり、図1または図4における対応するXRDパターンを参照されたい(Li5.3Ca0.1PS4.5Cl1.5、GOF=1.51、Rwp=8.88のXRDパターンのリーベルト精密化を示し、GOF=適合度であり、Rwp=重み付きプロファイルのR係数である)。図4では、円形印は、観測したデータ点に対応し、線は、データ点のあてはめを示しており、下部に近い線は、差異マップであり、上側の行の縦のチェックマークは、Li5.3Ca0.1PS4.5Cl1.5のBragg反射の計算位置を表し、下側の行の縦のチェックマークは、LiClのBragg反射の計算位置を表す。
Li5.3Ca0.1PS4.5Cl1.5の局所の構造は、ラマン分光法を使用して探索し、結晶性構造に特徴的なPS 3-部分しか示さず、Pの証拠はなかった(422cm-1において同定されたPS部分を有するLi5.3Ca0.1PS4.5Cl1.5のラマンスペクトルを示す図5(a)を参照されたい)。Li5.3Ca0.1PS4.5Cl1.5に関するEDX(実験詳細に関しては、以下を参照されたい)分析により、0.10:1.00:1.48となるCa:P:Cl比が得られた。
目標組成(全組成)Li5.45Ca0.15PS4.75Cl1.25に対応するCa含有率がさらに向上すると、目立つ量の二次相が形成し、この相は、イオン伝導率に対し望ましくない影響を及ぼした。明らかに、Clに富む硫銀ゲルマニウム鉱は、恐らく、48h位に空孔制限があるために、Ca置換の程度を高く保持することができない。
Ca2+陽イオンの存在の構造上の影響をよりよく理解するため、Li5.7Ca0.15PSCl(図6)の飛行時間型(TOF)中性子回折パターンに対するリーベルト精密化を立方体
Figure 2023527647000004
において実施した。図6では、円形印は、観測したデータ点に対応し、線は、データ点のあてはめを示しており、下部に近い線は、差異マップであり、上側の行の縦のチェックマークは、Li5.7Ca0.15PSClを指し、下側の行の縦のチェックマークは、LiPOを指す。
4bおよび16e位の占有は、その化学量論値で固定した。原子座標および原子変位パラメーター(Uiso)は、共有位S1およびCl1に関して、ならびにS2およびCl2に関して同じになるように固定した。占有の合計は、共有位置に対して1つに固定し(Occ(S1)+Occ(Cl1)=1およびOcc(S2)+Occ(Cl2)=1)、原子座標を48h位のLiおよびCaに対して同じになるように固定した。Ca濃度が低いので、CaのUiso(0.05Å)は、LiのUisoよりも小さく固定し、二価陽イオンは、その二価の性質およびサイズがより大きいため、同じ位置により小さな原子変位パラメーターを有すると仮定する。続いて、パラメーターはすべて、精密化した。両方のNPD精密化に関しては(表3および表4)、この仮定により、目標化学量論およびEDX分析に一致した妥当な占有値が得られた(以下を参照されたい)。他の立方体チオリン酸塩において、Ca2+に関してUisoを固定しないで、またはCa2+置換に関して報告されている、より小さな固定Uiso値(例えば、0.04Å)を用いた精密化を実施(C.K.moon、H.-J.Lee、K.H.Park、H. Kwak、J.W.Heo、K.Choi、H.Yang、M.-S.Kim、S.-T.Hong、J.H.Lee、Y.S.Jung、ACS Energy Lett.2018、3、2504頁を参照されたい)しても、有意な占有をもたらさなかった。精密化結果(表3)により、LiイオンとCa2+イオンの両方が48h位を占有し、どちらも、硫銀ゲルマニウム鉱構造における24g位に存在しないことが明らかになっている。精密化から決定された組成は、Li5.71Ca0.15PS4.95Clであり、これは、目標化学量論Li5.7Ca0.15PSClと非常に近い。位置無秩序(4c位上のCl/S2-比)は、親相LiPSClとほとんど同じである。48h位に対して精密化した大きな原子変位パラメーターUiso(0.084Å)は、その位置における可動性がかなり高いLiイオンであることを示している。
Figure 2023527647000005
Li5.55Ca0.1PS4.75Cl1.25の飛行時間型(TOF)中性子回折パターンに対するリーベルト精密化(図7)を行い、48h位のLiおよびCaに対するUiso値を固定し、48h位における全占有を制限した。続いて、すべてのパラメーターを精密化した。図7では、円形印は、観測したデータ点に対応し、線は、データ点のあてはめを示しており、下部に近い線は、差異マップであり、上側の行の縦のチェックマークは、Li5.55Ca0.1PS4.75Cl1.25を指し、下側の行の縦のチェックマークは、LiPOを指す。リーベルト精密化の結果が表4に表されており、目標化学量論Li5.55Ca0.1PS4.75Cl1.25に非常に近い、精密化された組成Li5.56Ca0.10PS4.73Cl1.27を示している。位置無秩序は、LiPSClの場合に61%になることと比べ、74%に増加している。
Figure 2023527647000006
Li5.3Ca0.1PS4.5Cl1.5の場合、a=9.8132(1)Åおよび体積=945.02(4)Åを使用して、リーベルト精密化(表5および図4を参照)を、X線回折データ(
Figure 2023527647000007
)に行った。X線は、Liの占有を解くことができないので、48h位に関する占有を見かけの値に固定し、4a位の占有を、Li5.5PS4.5Cl1.5のNDPから得られた値に固定した。
Figure 2023527647000008
いくつかのCa2+含有組成に関するLi MAS NMR測定において、NPD検討に加えて、Liの近傍におけるCa2+の存在もまた、予期される主要な共鳴と共に、小さな二次ピークの外観によって確立した。図8は、塩素含有率の増加と共に、ケミカルシフトが強力になる傾向となることを実証する、Li MASスペクトルの積み上げプロットを示している一方、ケミカルシフトの主要な変化は、x=0の場合のCa2+ドーピングと関係しない。図8の挿入図により、Ca2+の存在によって、Liイオンのサブセットの局所電子環境の修正に関係する二次ピークが明らかになっている。Li5.8Ca0.1PSCl、Li5.7Ca0.15PSClおよびLi5.55Ca0.1PS4.75Cl1.25の場合の線形のデコンボリューション(これらに関する二次ピークは、塩素含有率の増加により引き起こされる一層大きなケミカルシフトの傾向によって曖昧ではなかった)により、各場合において、Li/Ca2+化学量論比に相当する比を有するピーク面積がもたらされた。Li5.55Ca0.1PS4.75Cl1.25に関するLi MAS NMRスペクトルにおける二次ピークは、Li5.8Ca0.1PSClおよびLi5.7Ca0.15PSClの場合よりも主要な共鳴に近く、NMR時間スケールに対するシグナルの平均化の程度がより大きいことを示している。
さらに、Li 2D交換分光法(EXSY)は、この場合、スペクトラルボリュームを重ね合わせるデコンボリューションが困難となるために、定量的ではないが、これらの二次ピークを生成するリチウム種は、一次ピークを生成するものと非常に近いこと、すなわち、同じ相内に存在し、汚染不純物によるものではないことを示している。これは、EXSY実験における交差ピークが、化学交換により、または(短い範囲の)同核種双極子カップリング(すなわち、スピン拡散)のために、直接形成することしかできないからである。これらのEXSYスペクトルにおける交差ピーク(図示せず)は、2本のピークに対応するLiイオンが、関与する短い混合時間にもたらされる化学交換を受けている可能性が高いことを示している。
図8に示されているLi MASスペクトルとは異なり、目標組成(全組成)Li5.3Ca0.1PS4.5Cl1.5を有するある特定の試料は、Li MAS NMRスペクトルにおいて、1本より多い主要ピークを示したが、XRDパターンでは、1つより多い主要相の存在が示されなかった。xがさらに増加すると(目標組成Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55)、相Li5.3Ca0.1PS4.5Cl1.5およびx>0.5の結果の場合のナノドメインを含有する別の相を含む混合物である可能性が高い。これは、0.98ppmにおいて、x=0.5に一致するピークを示す、目標組成(全組成)Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55を有する材料のLi MAS NMRスペクトルによって立証され、さらなるピークは、0.83ppmにおける、さらなる「LiCl-様」環境の方向にさらにシフトした。図9は、20℃、850MHz電界強度および30kHzのMAS速度における、Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55Li MAS NMRスペクトルを示している。0.98ppmにおける共鳴は、以前の検討(W.S.Price、NMR Studies of Translational Motion;2009)において決定された通り、x=0.5と一致し、x>0の場合、Clによって引き起こされるケミカルシフトの有意な変化に比べて、Ca2+によって引き起こされるケミカルシフトの最小限の変化と一致する(図8を参照されたい)一方、0.83ppmにおける共鳴は、Cl置換の増加によるケミカルシフトの確立された傾向により、かなり一層ハロゲン化物イオンが豊富な環境にあるように思われる。目標組成(全組成)Li5.3Ca0.1PS4.5Cl1.5を有する試料の示されている例は、Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55の場合と同様に、2つの相が存在することをやはり示している。どちらの試料も、無視できる程度(積分シグナル強度は<0.5%)のLiCl(固体)が存在する。
目標組成Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55を有する試料の31P MAS NMRは、カスケード強度を有する一連のシフトを示し、周囲陰イオンのシェルに、Cl置換の量が次第に多くなることを示している。図10は、20℃、850MHz電界強度および30kHz MAS速度における、Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.5531P MAS NMRスペクトルを示している。ほぼ均等に間隔の空いた共鳴のカスケードパターンは、周囲陰イオンシェルにおいて、Cl置換が次第に増大すると共に、リン環境の分布があることを示す。86.5ppmにおける共鳴は、隔離された[PS3-四面体部分を示しており、ケミカルシフトの分布パターンに重なる(この領域のピークは、パターンの残部から、約86ppmに現れると予想される)。それは、少量のLiPS様不純物に起因している可能性があり、これは、0.5~0.6ppmにおけるLi MASスペクトルの尾部に見られる(図9を参照されたい)。前記LiPS様不純物は、図9および10において比較するために示されている、Li5.3Ca0.1PS4.5Cl1.5をもたらす目標組成(全組成)を有する試料中にも存在する。
3.3 MがAlまたはGaである材料
Li(0.76Å)に比べて、Al3+(0.535Å)およびGa3+(0.620Å)陽イオンのサイズが小さいので、AlまたはGaを少量だけ、親硫銀ゲルマニウム鉱構造LiPSClに組み込むことができた(y=0.1)。Li5.45Al0.1PS4.75Cl1.25のXRDパターンが、図11に示されており、LiPS不純物ピークに印が付けられている。全パターンあてはめから得られた、リーベルト精密化(a=9.8374(1)Å)によるLi5.7Ga0.1PSClのXRDパターンが図12に示されており、円形印は、観測されたデータ点に相当し、線は、データ点のあてはめを示し、底部に近い線は、差異マップである。縦のチェックマークは、計算されたBragg位置を示す。
ラマン分光法を使用してLi5.55Ga0.15PSClの局所の構造を探索し、結晶性構造に特徴的なPS 3-部分しか示さず、Pである証拠はなかった(422cm-1に同定されたPS 3-部分を有する、Li5.55Ga0.15PSClのラマンスペクトルを示す図5(b)を参照されたい)。
相が純粋なLi6-3yPSCl(M=AlまたはGa)(y>0.15)を合成する試みは不成功であり、それぞれ、かなりのLiPSおよびリチウムチオガレート(LiGaS)不純物をもたらした。
4.電気化学試験
ステンレス鋼(作用電極)|Li5.8Ca0.1PSCl|Li(対電極)
という構成を有する全固体セルのサイクリックボルタモグラムが、図13に示されている。スキャン速度は、1mVs-1とした。Li5.8Ca0.1PSClは、Li/Liに対して約0.2~5Vの範囲の幅広い電位枠内で、リチウム金属に対して安定であることが明白である。Li/Li*+に対して0.2V低い電圧範囲におけるレドックス過程(図4の挿入図を参照されたい)は、Liの酸化/還元(ストリッピング/プレイティング)に起因する。
5.構造とイオン伝導率との間の相関関係
任意の理論によって拘泥されることを望むものではないが、陰イオンの無秩序の存在、および可動性イオンのホッピングに必要な非占有隣接位の存在は、リチウムイオン伝導率の増加をもたらすと仮定される。位置無秩序は、Clイオンが、S2-と2つの位置(4aおよび4c)を共有しているために生じており、これによって、Liイオンの拡散に対するエネルギー地形が改変される。Li6-2yCaPSClの場合、無秩序が、LiPSClに比べて有意に変化していないことを考慮すると、Li位におけるCaの段階的な導入は、イオン伝導率の増強に対する主な寄与因子である、空孔濃度の段階的な増大を伴う。ケージ内または二重ジャンプに及ぼすCa2+組込みの効果は、このようなレベルの小さなCa2+のドーピングでは、無視できるはずであり(それぞれ、y=0.1、y=0.15の場合、約10および約6個のケージあたり、1個のCa)、なぜなら、それは、ab initio分子動力学シミュレーションによって実証される通り、Li硫銀ゲルマニウム鉱における巨視的伝導率を決定づけるケージ同士の間(ケージ間)の長距離輸送になるからである。これらの検討により、ケージ間ジャンプ速度は、すべての中で最低のジャンプ頻度を有しており、したがって、巨視的拡散が制限されることが示された。LiPSClの場合、ジャンプ速度は、ケージ間ジャンプ、ケージ内ジャンプおよび二重ジャンプの場合、それぞれ、0.73、17.78および21.58(x1010-1)である[N.J.de Klerk、I.Roslon、M.Wagemaker、Chem.mater.2016、28、7955頁]。Ca2+が輸送を妨害しないということは、x=0の場合のCa2+置換材料の活性化エネルギーによってさらに支持され(表1)、これは、LiPSClと実質的に同じである。
硫銀ゲルマニウム鉱親LiPSCl構造にCa2+のような異原子価陽イオンを導入すると、Li空孔が生成し、生成したこれらの空孔は、異なる温度において記録されるインピーダンススペクトルから明白な通り、Liイオン移動度および拡散速度を増大させる(図示せず)。Li5.8Ca0.1PSCl(y=0.1)およびLi5.7Ca0.15PSCl(y=0.15)の室温でのLiの拡散速度は、LiPSCl(親構造、y=0)の場合、3.8510-12/sであることと比較すると、それぞれ、4.1510-12/sおよび4.4410-12/sとなり、これは、それぞれ8%および15%の増加に反映するものである。Li5.3Ca0.1PS4.5Cl1.5は、9.110-12/sという高い拡散速度を示しており、これは、親組成LiPSClの拡散速度の約2.5倍であるが、Clに富む組成であるLi5.5PS4.5Cl1.5の拡散速度よりも低い(P.Adeli、J.D.Bazak、K.H.Park、I.Kochetkov、A.Huq、G.R.Goward、L.F.Nazar、Angew.Chem.Int.Ed.2019、58、8681頁;Angew.Chem.2019、131、8773頁)。対照的に、Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55は、1.2110-11/sという非常に高い拡散速度を有しており、これは、Li5.3Ca0.1PS4.5Cl1.5の拡散速度よりも33%高い。したがって、Li6-x-2yCaPS5-xCl1+xにおいて、Li陽イオンおよびS2-陰イオンの同時置換により、格子を収縮させるさらなる空孔が生じ、塩素含有率が増加するにつれて、位置無秩序が増加すると共にケージ間でホップする距離が段階的に低下する(位置無秩序Cl/S2-およびLi6-x-2yCaPS5-xCl1+xの場合のxおよびyに対する格子パラメーターaを示す図14を参照されたい)。これらの因子は、可動性Liイオンおよび周囲フレームワーク陰イオン(一価Clに関する二価S2-の置換によって誘発される)間の静電相互作用の低下と共に、LiPSClに由来するClに富む硫銀ゲルマニウム鉱の場合に見出されたものと同様の、x>0の場合(Clに富む)の組成の高いイオン伝導率への重要な寄与因子のようである(P. Adeli、J.D.Bazak、K.H.Park、I.Kochetkov、A.Huq、G.R.Goward、L.F.Nazar、Angew.Chem.Int.Ed.2019、58、8681頁;Angew.Chem)。
y>0である各組成の場合、ケミカルシフトは、以前に検討されたさらなる置換物としての金属Mを含有しない、LiPSClに由来するClに富む硫銀ゲルマニウム鉱のケミカルシフトと実質的に同一であった(P.Adeli、J.D.Bazak、K.H.Park、I.Kochetkov、A.Huq、G.R.Goward、L.F.Nazar、Angew.Chem.Int.Ed 2019、58、8681頁;Angew.Chem.2019,131、8773頁)。このことは、親材料LiPSClに比べて、式Li6-2yCaPSCl(x=0)による組成を有する材料のLiケミカルシフトが比較的小さいことと合わせて考えると(図8を参照されたい)、Ca2+陽イオンは、Ca2+陽イオンが存在するケージ内のLiの電子環境を顕著に変化させないことを示唆している。輸送を改善するCa2+が主に寄与することは、Liケージネットワークへの過剰な空孔の導入である。
活性化エネルギーは、イオン伝導率を支配する因子である。MがCaである材料に関して、最低の活性化エネルギーは、目標組成Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55を有する材料によって示される(0.30eV、上の表1を参照されたい)。Li PFG-NMRから得られた活性化エネルギーの値は、表1において比較すると、インピーダンス分光法から得られた値とよく一致している。図15は、x=0である、およびx>0である、一連のCa含有組成に関する、PFG-NMRアレニウスプロットの比較を示している。268K~343Kという限定された温度範囲(これから、表1における活性化エネルギーを計算した)でさえも、アレニウスプロットにわずかな曲がりが依然として存在する。
図16は、電気化学インピーダンス分光法(EIS)およびPFG-NMRの両方からの活性化エネルギーと、リチウム化学量論zLi=6-x-2yであるLi等方性ケミカルシフトの相関関係を示している。xの増大により、一層のイオン性「LiCl様」環境の方向へとLiケミカルシフトが低くなるが、この作用は、最後には飽和し、ClによるS2-位の無秩序化によって、陰イオンフレームワークへのLiの引力を低下させることができることに限界があることを示している。
xが増大するにつれて、活性化エネルギーが継続的に低下し、これは、Li位におけるさらなる空孔の影響に起因している。反対に、yが、y=0からy=0.1まで変化すると、ケミカルシフトの低下がなくなることは、関係する活性化エネルギーの低下とは反対であり、したがって、これは、空孔集団の増加に厳密に起因し得る。図16はまた、活性化エネルギーの最も顕著な低下が、少量のCa2+のドーピングによりClを中程度に富ませることによって、実現することができることを実証している。ドーパント(Ca2+およびCl)のどちらか一方に関して、格子の溶解限度が超過されない場合、上記の2つの影響は、活性化エネルギーを低下させることと、伝導率および拡散速度の大きさを、一方または他方を発揮するよりも大きな量まで高めることの両方と協力して作用する。
上に記載されている第1の態様による、または上で記載されている第2の態様による方法により得られる、材料のイオン伝導率は、粉末をホットプレス、コールドプレスまたは焼成することによってさらに改善することができ、その結果、結晶粒界が改変される。純粋なコールドプレスの効果を、これよりさらに詳細に議論する。
活性化エネルギー変化の大きさへのさらなる洞察が、目標組成Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55を有する材料の粉末試料および圧縮ペレット試料の両方に対して、Li PFG-NMRを行うことによって得られた。図17は、a)ペレット試料において、有意に低下した低温から高温への傾きにおいて、クロスオーバーとの非理想的なアレニウス挙動を示すLi5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55の粉末試料およびペレット圧縮試料に温度可変Li PFG-NMR測定からの拡散速度のアレニウスプロット、およびb)粉末試料およびペレット試料のNMR緩和速度を示している。図17b)に関して、Tはスピン-格子緩和時間であり、Tは、スピン-スピン緩和時間である。2つの変曲点が、T曲線に存在し、2つの異なる運動相関時間が存在することを示している。243K~358Kの温度範囲にわたり、アレニウスプロットは、非理想的な挙動を示し、曲がりが、この範囲の低い方の温度領域に見られる、
図18は、Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55の粉末(a)版およびペレット(b)版に関する、Li PFG NMRデータのアレニウスプロットに、2種の構成要素の活性化エネルギーへのあてはめを示している。非理想的なアレニウス挙動は、全体のリチウムイオンの輸送に対して、結晶粒の寄与と結晶粒界の寄与とが競合していることを示しているように思われ、格子は、より低い温度において、一層大きな影響を有する。結晶粒界の影響は、試料のペレットへの圧縮によって低減する。PFG-NMRアレニウスプロット(図17)の2種の構成要素の極限勾配あてはめを行うことによって得られる活性化エネルギーは、Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55の粉末試料の場合、(0.257±0.007)eV~(0.383±0.004)eVとなる。
粉末試料とペレットに圧縮した試料との間の活性化エネルギーを比較した結論は、結晶粒の寄与によって支配される「高温」レジーム(高い方の極限勾配への温度範囲のあてはめによって定義される)では、アレニウス勾配が実質的に平行であるということである。一方、「低温」レジームでは、ペレットに圧縮した試料と粉末試料との間の傾きに明確な低減が存在し、これは、これらのギャップの空間範囲が、試料の巨視的圧縮によって恐らく低減すると、ペレット試料において、結晶粒が変位するよりもホッピングすることの難しさが低減することに起因し得る。
図19は、目標組成Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55を有する試料に関する、図17aからのLi PFG-NMRによる拡散速度アレニウスプロットの「低温」および「高温」領域における粉末とペレットとの活性化エネルギーの比較を示している。高温領域では、粉末試料およびペレット試料の活性化エネルギーに、顕著な違いはなく、結晶粒の寄与に関連している。ペレットを形成するための圧縮は、多結晶性粒子では、結晶粒の変位にわたる輸送を増強させ、このことは、低温領域の場合、低温領域が結晶粒界の寄与に関連するので、ペレット試料では一層低い活性化エネルギー源となる。
チオリン酸塩を使用する全固体電池に関して、コールドプレスしたペレットの形態の電解質を使用するのが望ましく、その結果、焼成処理を回避することができる。したがって、固体電解質が、焼成をしないで、高い伝導率を示すことが重要である。材料Li5.35Ca0.1PS4.5Cl1.55は、コールドプレスした状態では、高温で10.2mScm-1となるイオン伝導率を有しており、0.30±0.01eVという低い活性化エネルギーおよび1.21×10-11/sという非常に高い拡散速度である。
6.走査型電子顕微鏡(SEM)およびエネルギー分散型X線分析(EDX)
エネルギー分散型X線(EDX)分析の結果は、目標値と非常によく一致する元素比をもたらした。Zeiss Leo 1530FESEM(EDX検出器を装備する)を、試料の微構造観察および元素分析に利用した。この材料は、長い電子線照射下では安定ではないので、1分間の取得時間を伴う、15kVの加速電圧をEDX測定に使用した。結果を以下の表6および7に示す。
Figure 2023527647000009
Figure 2023527647000010


微結晶性材料Li5.8Ca0.1PSClの幾何形状を、走査型電子顕微鏡によって検討した。図20により、主に0.5~5μmの間となる、粒子サイズ分布であることが明らかである。

Claims (15)

  1. 一般式(I)
    Li6+2*n-x-m*yPS5+n-x1+x (I)
    (式中、
    Mは、二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZn、ならびに三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される1種または複数のものであり、
    Xは、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択される1種または複数のものであり、
    0≦x≦0.8、
    0.01≦y≦0.25、
    0≦n≦0.05であり、
    mは、Mが二価金属である場合、2であり、mは、Mが三価金属である場合、3である)
    による組成を有する固体材料。
  2. 一般式(I)において、
    Mが、Mg、Ca、Sr、BaおよびZnからなる群から選択される1種または複数のものであり、
    0.01≦y≦0.2であり、
    mが、2である、
    請求項1に記載の固体材料。
  3. MがCaであり、XがClである、請求項2に記載の固体材料。
  4. 一般式(I)において、
    Mが、Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される1種または複数のものであり、
    0.01≦y≦0.15であり、
    mが、3であり、
    n=0である、
    請求項1に記載の固体材料。
  5. MがAlまたはGaであり、XがClである、請求項4に記載の固体材料。
  6. 硫銀ゲルマニウム鉱構造を有する結晶相を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の固体材料。
  7. モル比X/P=aに関して、以下の条件:1.45≦a≦1.6を満たす、
    および/または
    モル比M/P=cに関して、以下の条件:0.01≦c≦0.15を満たす、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の固体材料。
  8. モル比X/M=a/cに関して、以下の条件:
    15.30≦a/c≦15.55を満たす、
    請求項7に記載の固体材料。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の固体材料を製造する方法であって、
    a) 以下の前駆体
    (1) Li
    ならびに/または
    元素形態にあるLiおよびS
    (2) 1種または複数のリンのスルフィド
    (3) Xが、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択される、1種または複数の化合物LiX
    (4) 二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZn、ならびに三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される1種または複数の金属Mのスルフィド
    ならびに/または
    元素形態にあるS、ならびに二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZn、ならびに三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択される1種または複数の金属M
    (5) Xが、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択され、Mが、二価金属Mg、Ca、Sr、BaおよびZn、ならびに三価金属Sc、La、AlおよびGaからなる群から選択され、Mが、二価金属である場合、mが2であり、Mが三価金属である場合、mが3である、任意に1種または複数のハロゲン化物MX
    を含む反応混合物を製造または用意する工程であって、
    前記反応混合物において、元素Li、M、P、SおよびXのモル比が、一般式(I)に一致する、工程
    b) 3時間~350時間の全時間の間、500℃~800℃の温度範囲で反応混合物を加熱処理し、その結果、反応生成物が形成され、得られた反応生成物を冷却し、その結果、一般式(I)による組成を有する固体材料を得る工程
    を含む、方法。
  10. 反応混合物が、前駆体を一緒に摩砕することによって得られ、その結果、粉末が得られ、任意にこの粉末をペレットにプレスする、請求項9に記載の方法。
  11. 前駆体が、
    (1) Li
    (2) P
    (3) LiCl
    (4) CaS、AlおよびGaから選択される1種または複数の化合物
    である、請求項9または10に記載の方法。
  12. 電気化学セル用の固体電解質として、請求項1から8のいずれか一項に記載の固体材料を使用する方法であって、好ましくは、固体電解質が、カソード、アノードおよびセパレータからなる群から選択される電気化学セル用の固体構造体の構成要素である、方法。
  13. カソード、アノードおよびセパレータからなる群から選択される、電気化学セル用の固体構造体であって、請求項1から8のいずれか一項に記載の固体材料を含む、固体構造体。
  14. 請求項1から8のいずれか一項に記載の固体材料を含む電気化学セル。
  15. 固体材料が、請求項12および13のいずれか一項に記載の固体構造体の構成要素である、請求項14に記載の電気化学セル。
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