JP2023523627A - メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を検出するための組成物、方法およびシステム - Google Patents

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を検出するための組成物、方法およびシステム Download PDF

Info

Publication number
JP2023523627A
JP2023523627A JP2022565846A JP2022565846A JP2023523627A JP 2023523627 A JP2023523627 A JP 2023523627A JP 2022565846 A JP2022565846 A JP 2022565846A JP 2022565846 A JP2022565846 A JP 2022565846A JP 2023523627 A JP2023523627 A JP 2023523627A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hours
mrsa
sample
indicator
protein product
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022565846A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2021222723A5 (ja
Inventor
マシュー ジェイ. ブラウン,
ミン ミンディ バオ グエン,
スティーブン エリクソン,
ホセ ギル,
Original Assignee
ラボラトリー コーポレイション オブ アメリカ ホールディングス
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ラボラトリー コーポレイション オブ アメリカ ホールディングス filed Critical ラボラトリー コーポレイション オブ アメリカ ホールディングス
Publication of JP2023523627A publication Critical patent/JP2023523627A/ja
Publication of JPWO2021222723A5 publication Critical patent/JPWO2021222723A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/569Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for microorganisms, e.g. protozoa, bacteria, viruses
    • G01N33/56911Bacteria
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/543Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with an insoluble carrier for immobilising immunochemicals
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/569Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for microorganisms, e.g. protozoa, bacteria, viruses
    • G01N33/56911Bacteria
    • G01N33/56938Staphylococcus
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/68Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2333/00Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
    • G01N2333/005Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from viruses
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2333/00Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
    • G01N2333/195Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from bacteria
    • G01N2333/305Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from bacteria from Micrococcaceae (F)
    • G01N2333/31Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from bacteria from Micrococcaceae (F) from Staphylococcus (G)
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2800/00Detection or diagnosis of diseases
    • G01N2800/44Multiple drug resistance

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

MRSA、例えばMRSAの鼻腔コロニー形成を検出するための組成物、方法およびシステムが開示される。ある特定の実施形態においては、上記方法は、MRSAを検出するために細菌および他の微生物の検出においてシグナルのバクテリオファージをベースとした増幅を使用する。MRSAを検出するための方法は、選択剤と、少なくとも2つの異なる種類の組換えバクテリオファージを含むカクテルとを含むアッセイを準備することと、前記アッセイにおいて試料をインキュベートすることと、指標タンパク質産物を捕捉することと、組換えバクテリオファージによって産生された指標タンパク質産物を検出することとを含み得、指標タンパク質産物の陽性検出は、MRSAが試料中に存在することを示す。

Description

関連出願への相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、2020年4月30日に出願された米国仮出願第63/018,081号に基づく優先権および恩典を主張する。
分野
本開示は、感染因子を使用してメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を検出するための組成物、方法およびシステムに関する。
背景
様々な形態の衰弱性および致死性の感染を引き起こし得る細菌およびその他の微生物を検出することに強い関心が存在する。細菌性病原体は、ヒトおよび家畜の間に多大な病的状態を引き起こし得るのみならず、甚大な経済的損失を引き起こし得る。具体的には、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、致命的な感染症を引き起こす能力を有する極めて重要なヒト病原体である。MRSAは、病院における手術部位感染の主な原因であり、入院期間の長期化、再入院率の増大、生存率の低下および経済的損失を伴う。医療産業に対する著しい臨床的および金銭的負担のために、MRSA関連感染の原因を理解し、制御するための多大な努力がなされてきた。MRSAの鼻腔保菌は、その後の疾患の主要なリスク因子であることが判明しており、黄色ブドウ球菌感染の大部分は内在性コロニー形成株と合致し得る。MRSA鼻腔保菌者の除菌を通じたこのリスク因子の除去は、手術部位感染を低減させる上で成功した戦略であることが証明されている。
MRSAを検出するための伝統的な微生物学的試験は、非選択的および選択的増菌培養、その後の選択培地へのプレーティング、および患者の鼻腔スワブ検体から疑わしいコロニーを確認するためのさらなる試験に依存する。培養をベースとする検出方法は、発色性かつ選択的寒天の使用を含み得、しばしば、感度および特異性に関して強力な性能を示し得る。いくつかの方法よりもかなり安価であることが多いが、培養をベースとする方法の1つの大きな欠点は、結果が典型的には検出前に18~24時間のインキュベーションを必要とすることである。
試験時間を短縮するために、様々な迅速な方法が研究され、実行に移されている。しかしながら、これらの方法も欠点を有する。例えば、イムノアッセイまたは遺伝子プローブを伴う技術は、一般に、十分な感度を得るために増菌工程を必要とする。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試験は増幅工程も含み、したがって、極めて高い感度と選択性の両方を可能とする。リアルタイムPCRによるMRSA特異的DNA配列の検出は、優れた感度および特異性、結果までの迅速な時間、ならびに全体的な臨床的有効性を実証した。リアルタイムPCRは有望な結果をもたらしたが、この方法も欠点を有する。第1に、以前のPCRでは、新規MRSA株を検出するためのいくつかのアッセイが失敗に終わっているので、新しい世代のリアルタイムPCRは、MRSA耐性の変化する遺伝的ランドスケープに適合するように絶えず開発されなければならない。第2に、培養ベースの代替物と比較して、リアルタイムPCRのコストは高いため、特に地域での保菌率が低い地域において、費用対効果が不確実であった。
したがって、MRSAのより迅速、簡易かつ高感度な検出および同定が必要とされている。
簡単な要旨
本開示の実施形態は、MRSAの鼻腔コロニー形成を検出するための組成物、方法、装置、システムおよびキットを含む。本開示は、様々な様式で実施され得る。
いくつかの実施形態において、本開示は、試料中のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を検出するための方法を提供する。本方法は、試料を取得することと、前記試料に選択剤を添加することと、前記試料を、1またはそれを超える感染因子を含むカクテルと接触させることであって、前記感染因子は、指標遺伝子を含み、黄色ブドウ球菌に対して特異的であり、前記指標遺伝子は、指標タンパク質産物をコードすることと、前記指標タンパク質産物を捕捉することと、前記指標タンパク質産物によって生成されたシグナルを検出することであって、前記シグナルの検出は、前記試料中のMRSAの存在を決定するために使用されることと、を含む。
いくつかの実施形態において、本開示は、試料中の微生物を検出するための方法を提供する。本方法は、試料を取得することと、前記試料を、1またはそれを超える感染因子を含むカクテルと接触させることであって、前記感染因子は、指標遺伝子を含み、微生物に対して特異的であり、前記指標遺伝子は、指標タンパク質産物をコードすることと、前記指標タンパク質産物を表面と接触させることであって、前記表面は前記指標タンパク質産物を捕捉するための固定化された結合パートナーを備えることと、前記指標タンパク質産物によって生成されたシグナルを検出することであって、前記シグナルの検出は、前記試料中の前記微生物の存在を決定するために使用されることと、を含む。
いくつかの実施形態において、本開示は、鼻腔スワブ検体からMRSAを検出するために新規な組換えバクテリオファージを利用する。いくつかの実施形態において、新規な組換えバクテリオファージは、黄色ブドウ球菌に対して特異的である。新規な診断スクリーニングは、非MRSA染色の増殖を制限するために抗生物質に依存しながら、黄色ブドウ球菌を認識することができるルシフェラーゼレポーターを含む組換えバクテリオファージを含むアッセイを利用する。本明細書中に記載される方法を使用して、様々なMRSA株を検出することができる。
いくつかの実施形態において、本開示は、試料からMRSAを検出する方法であって、(a)前記試料を選択剤と接触させることと、(b)前記試料を、1またはそれを超える感染因子を含むカクテルと接触させることであって、前記感染因子は、指標遺伝子を含み、黄色ブドウ球菌に対して特異的であり、前記指標遺伝子は、指標タンパク質産物をコードすることと、(c)指標タンパク質産物によって生成されたシグナルを検出することであって、前記シグナルの検出は、前記試料中のMRSAの濃度を決定するために使用されることとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、選択剤は抗生物質(例えば、セフォキシチン)を含む。いくつかの実施形態において、試料は鼻腔スワブに由来する。
いくつかの実施形態において、感染因子は、黄色ブドウ球菌細菌に対して特異的な特異的な組換えファージである。さらなる実施形態において、指標遺伝子は、固有のシグナルを生成する指標タンパク質産物または基質と反応するとシグナルを生成する酵素をコードする。
いくつかの実施形態において、本開示は、試料からMRSAを検出するための方法であって、前記試料を選択剤と接触させることであって、前記試料は鼻腔スワブに由来することと、前記試料を、1またはそれを超える感染因子を含むカクテルと接触させることであって、前記感染因子は、指標遺伝子を含み、黄色ブドウ球菌に対して特異的であり、前記指標遺伝子は、指標タンパク質産物をコードすることと、指標タンパク質産物によって生成されたシグナルを検出することであって、前記シグナルの検出は、前記試料中のMRSAの存在を決定するために使用されることとを含む、方法を提供する。
いくつかの実施形態において、本開示は、MRSAを含む鼻腔スワブを検出するためのキットおよびシステム、ならびに黄色ブドウ球菌に対して特異的な組換えバクテリオファージおよび抗生物質溶液を含むアッセイを提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、微生物を含む鼻腔スワブを検出するためのキットおよびシステム、微生物に対して特異的な組換えバクテリオファージを含み、抗生物質を必要に応じて含むアッセイ、ならびに指標タンパク質産物を捕捉するための表面を提供する。
本開示のある特定の実施形態は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2015/0218616号に記載されている方法および構築物を利用する。
詳細な説明
従来の方法よりも短い時間枠で試験試料(例えば、生物学的試料)中のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の様々な株を検出するために驚くべき感度を示す組成物、方法およびシステムが本明細書で開示される。本明細書に開示される組成物、方法およびシステムは、増菌のために培養するための時間が短縮された遺伝子改変された感染性バクテリオファージ、またはいくつかの実施形態においては、MRSAが潜在的に増殖し得るインキュベーション時間が最小限である遺伝子改変された感染性バクテリオファージを使用して、以前に可能と考えられていたよりも短い時間枠でMRSAを検出することができる。驚くべきことに、試験試料とのインキュベーションのために、抗生物質(例えば、セフォキシチン)の存在下で1またはそれを超える組換えバクテリオファージを使用するアッセイは、極めて少数のコロニー形成単位(CFU)を生成する濃度で様々なMRSA株を検出する。このような低いCFU濃度は、24時間を超えるインキュベーションを必要とする培養ベースの方法を使用した後にのみ検出されると以前には言われていた。しかしながら、本明細書に記載されるアッセイは、少数の標的細胞を発見すること、結合すること、および感染させることを容易にすることができる。いくつかの実施形態において、このアッセイは、より長い培養をベースとする方法と同様のコストで、10時間未満で鼻腔スワブ検体からMRSAを検出する。
いくつかの局面において、本明細書に記載されるバクテリオファージベースのMRSAアッセイは、標的細菌の特異的、高感度、迅速かつ低コストの検出を提供し、多数の産業における増大する診断ニーズに対処する。具体的には、MRSAの鼻腔コロニー形成および抗生物質感受性を検出することは、院内感染を予防し、抗生物質の適正使用を促進する上で極めて重要な支援的役割を果たす。いくつかの実施形態において、鼻腔スワブ検体のためのバクテリオファージベースのMRSAアッセイは、遺伝的に多様な黄色ブドウ球菌を認識することができる2つのルシフェラーゼレポーターファージを利用する。いくつかの実施形態において、耐性(MRSA)生物と感受性生物を区別するためにベータラクタム抗生物質であるセフォキシチンが含まれる。バクテリオファージベースのMRSAアッセイは、驚くべきことに、低い細菌濃度でMRSA分離菌を陽性に同定し、より高い接種材料では、非MRSA黄色ブドウ球菌は適切な陰性の結果をもたらした。さらに、他のブドウ球菌種および桿菌種とのファージカクテルの交差反応性を選択的条件下で緩和することができる。したがって、本明細書中に記載されるバクテリオファージベースのMRSAアッセイは、インビトロおよびヒト鼻腔マトリックスの両方においてMRSAを高感度で検出する。
いくつかの局面において、本開示は、バクテリオファージゲノムの後期遺伝子領域中に挿入された指標遺伝子を含む組換えバクテリオファージを提供する。いくつかの実施形態において、組換えバクテリオファージは、遺伝子改変された黄色ブドウ球菌特異的バクテリオファージゲノムである。ある特定の実施形態において、組換えバクテリオファージは、黄色ブドウ球菌を特異的に認識するバクテリオファージに由来する遺伝子改変されたバクテリオファージゲノムを含む。いくつかの実施形態において、バクテリオファージのカクテルは、黄色ブドウ球菌を特異的に認識するバクテリオファージに由来する少なくとも2つの異なる種類の組換えバクテリオファージを含む。いくつかの実施形態において、組換えバクテリオファージと選択剤(例えば、抗生物質)のカクテルを含むアッセイは、他の種類の細菌、特にメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)の存在下でMRSAを区別することができる。
いくつかの局面において、MRSAを検出するための方法は、黄色ブドウ球菌を検出するための感染因子を使用し得る。例えば、ある特定の実施形態において、関心対象の微生物はMRSAであり、感染因子は黄色ブドウ球菌に特異的に感染するバクテリオファージである。したがって、ある特定の実施形態において、本方法は、黄色ブドウ球菌細菌に特異的に感染する1またはそれを超えるバクテリオファージを選択することと、黄色ブドウ球菌バクテリオファージに由来する組換えバクテリオファージを調製することと、前記組換えバクテリオファージおよび選択剤(例えば、抗生物質)を含むアッセイを調製することと、
前記アッセイにおける分析のために鼻腔スワブまたは類似の供給源から試料を提供することとを含み得る。ある特定の実施形態において、組換えバクテリオファージは、指標遺伝子を含む。ある特定の実施形態において、宿主細菌の感染後のバクテリオファージ複製中の指標遺伝子の発現が指標タンパク質産物の産生をもたらすように、指標遺伝子はバクテリオファージの後期遺伝子領域中に挿入され得る。本方法は、指標タンパク質産物を検出することを含み得、指標タンパク質産物の陽性検出は、MRSAが試料中に存在することを示す。いくつかの実施形態において、指標タンパク質は可溶性である。
いくつかの実施形態において、組成物、方法およびシステムは、1またはそれを超える組換えバクテリオファージおよび選択剤、例えば抗生物質を含むアッセイを使用して、多様な遺伝的背景からMRSAを検出することができる。いくつかの実施形態において、本アッセイは、MRSAの増殖を可能にしながら、感受性細菌の生存を制限するために選択剤、例えばセフォキシチンを利用する。例えば、選択剤は、MRSA以外の全ての黄色ブドウ球菌細菌(例えば、MSSA)を死滅させ得、またはその増殖を減少させ得る。このようにして、セフォキシチンは、競合生物からMRSAの多様な分離菌を同定することができる。本明細書に記載されるように、セフォキシチンを含むアッセイは、MRSAの高い選択性をもたらし、重要なことに、MRSA株の検出を妨害しない。さらに、セフォキシチンは、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌のいくつかの種からの偽陽性を低減させる上で有効である。
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される方法およびシステムは、鼻腔スワブまたは類似の試料から低レベルのMRSAを選択的に検出する。本開示の方法およびシステムの実施形態の各々は、多種多様なMRSA株の検出および定量に適用することができる。本方法およびシステムは、少なくとも24時間を必要とする従来の生物学的増菌および/またはインキュベーションを必要とせずに、短時間で高い検出感度を提供する。本方法は、新規なバクテリオファージベースのMRSA診断スクリーニングを利用する。本アッセイは、標的種を高感度に検出するためにNANOLUC(登録商標)などのルシフェラーゼを利用する新世代のルシフェラーゼファージレポーター系の一員である。本方法は高度に包括的であることが判明し、セフォキシチン選択と組み合わせると、大部分の非耐性株に対して識別する。さらに、スクリーニングは、ほとんどまたは全く妨害を伴うことなく、鼻腔試料中のMRSAの低負荷量を同定することができた。
ある特定の実施形態において、本開示はシステムを含み得る。システムは、本開示の組成物の少なくともいくつかを含有し得る。さらに、システムは、前記方法を実行するための構成要素の少なくともいくつかを含み得る。ある特定の実施形態において、システムはキットとして組み立てられる。したがって、いくつかの実施形態において、鼻腔スワブからのMRSAの迅速な検出のためのシステムは、関心対象の微生物に対して特異的な組換え感染因子とともに試料をインキュベートするための構成要素であって、前記組換え感染因子は指標部分を含む、構成要素と、選択剤と、前記指標部分を検出するための構成要素とを含む。他の実施形態において、本開示は、方法またはシステムとともに使用するためのソフトウェアを含む。
本明細書に記載される本開示のいくつかの実施形態は、単一の微生物がバクテリオファージなどの特定の感染因子を認識して結合することができるという発見を利用する。バクテリオファージの感染および複製後に、感染および子孫ファージの生成が成功したことは、バクテリオファージ複製中に発現される指標部分を介して検出され得る。この原理は、微生物表面受容体の特異的認識に基づく1つまたは少数の細胞からの指標シグナルの増幅を可能にする。例えば、細菌の単一の細胞さえも複数のバクテリオファージに曝露し、その後、バクテリオファージの増幅および複製中のコードされた指標遺伝子産物の高レベル発現を可能にすることによって、指標シグナルは、単一の細菌が検出可能であるように増幅される。
定義
本明細書中に別段の定義が為されていなければ、本開示に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解されている意味を有するものとする。さらに、文脈によって別段の要求がされていなければ、単数形の用語は複数を含むものとし、複数形の用語は単数を含むものとする。一般的に、本明細書に記載されている、細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学ならびにタンパク質および核酸化学およびハイブリダイゼーションと関連して使用される命名法およびこれらの技術は、周知のものであり、一般的に本分野において使用されているものである。別段の記載がなければ、公知の方法および技術は、一般に、本分野において周知の慣用的な方法に従って、ならびに本明細書を通じて論述されている様々な一般的およびより具体的な参考文献に記載されているとおりに実施される。酵素的反応および精製技術は、製造業者の仕様に従って、本分野で一般的に達成されるように、または本明細書に記載されているように行われる。本明細書に記載されている実験室手技および技術に関連して使用される命名法は、本分野において周知であり、一般的に使用されるものである。以下の用語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
本明細書で使用される場合、「a」、「an」および「the」という用語は、特に明記しない限り、1またはそれを超えることを指すことができる。
「または」という用語の使用は、選択肢のみを指すことが明示的に示されていない限り、または選択肢が相互に排他的でない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、本開示は、選択肢のみおよび「および/または」を指す定義を支持する。本明細書で使用される場合、「別の」は、少なくとも第2またはそれを超えることを意味することができる。
本出願を通じて、「約」という用語は、値が装置、値を決定するために使用されている方法の誤差の固有の変動、または試料間に存在する変動を含むことを示すために使用される。
「固体支持体」または「支持体」という用語は、生体分子がその上に結合され得る基材および/または表面を提供する構造を意味する。例えば、固体支持体は、アッセイウェル(すなわち、マイクロタイタープレートまたはマルチウェルプレートなど)であり得、または固体支持体は、フィルタ、アレイ、もしくはビーズもしくは膜(例えば、フィルタプレートまたはラテラルフローストリップ)などの可動支持体上の位置であり得る。
「結合剤」または「結合パートナー」という用語は、関心対象の第2の(すなわち、異なる)分子に特異的かつ選択的に結合することができる分子を指す。相互作用は、例えば、水素結合、ファンデルワールス相互作用、もしくは静電的もしくは疎水性相互作用の結果として非共有結合性であり得、または相互作用は共有結合性であり得る。
「可溶性結合剤」という用語は、固体支持体に結合していない(すなわち、共有結合または非共有結合で結合していない)結合剤を指す。
「固定化された結合パートナー」という用語は、固体支持体に結合した(すなわち、共有結合または非共有結合で結合した)結合剤を指す。
本明細書で使用される場合、「分析物」は、測定されている分子、化合物または細胞を指す。関心対象の分析物は、ある特定の実施形態において、結合剤と相互作用し得る。
本明細書に記載される場合、「分析物」という用語は、関心対象のタンパク質またはペプチドを指し得る。分析物は、アゴニスト、アンタゴニストまたは調節因子であり得る。あるいは、分析物は生物学的効果を有さなくてもよい。分析物は、小分子、糖、オリゴ糖、脂質、ペプチド、ペプチド模倣物、有機化合物などを含み得る。
「検出可能な部分」または「検出可能な生体分子」または「レポーター」または「指標」または「指標部分」という用語は、定量的アッセイにおいて測定することができる分子を指す。例えば、指標部分は、基質を測定可能な生成物に変換するために使用され得る酵素を含み得る。指標部分は、生物発光を生じる反応を触媒する酵素(例えば、ルシフェラーゼ)であり得る。あるいは、指標部分は、定量することができる放射性同位体であり得る。あるいは、指標部分はフルオロフォアであり得る。あるいは、他の検出可能な分子が使用され得る。
本明細書で使用される場合、「バクテリオファージ」または「ファージ」は、1またはそれよりを超える複数の細菌ウイルスを含む。本開示において、「バクテリオファージ」および「ファージ」という用語は、マイコバクテリオファージ(TBおよびパラTBに対するものなど)、マイコファージ(真菌に対するものなど)、マイコプラズマファージなどのウイルス、ならびに生きている細菌、真菌、マイコプラズマ、原虫、酵母および他の微視的な生きている生物に侵入することができ、自身を複製するためにそれらを使用するウイルスを指す任意の他の用語を含む。ここで、「微視的」とは、最大寸法が1ミリメートルまたはそれ未満あることを意味する。
バクテリオファージは、自身を複製する手段として細菌を使用するように自然に進化したウイルスである。ファージは、ファージ自体を細菌に付着させ、そのDNA(またはRNA)をその細菌中に注入し、ファージを数百または数千回複製するように細菌を誘導することによってこれを行う。これはファージ増幅と呼ばれる。
本明細書で使用される場合、「後期遺伝子領域」は、ウイルスの生活環の後期に転写されるウイルスゲノムの領域を指す。後期遺伝子領域は、典型的には、最も豊富に発現される遺伝子(例えば、集合してバクテリオファージ粒子を構築する構造タンパク質)を含む。後期遺伝子はクラスIII遺伝子と同義であり、構造および集合機能を有する遺伝子を含む。例えば、後期遺伝子(クラスIIIと同義)は、ファージT7において、例えば感染後8分から溶菌まで転写され、クラスI(例えば、RNAポリメラーゼ)は4~8分の初期であり、クラスIIは6~15分であるので、IIとIIIのタイミングには重複が存在する。後期プロモーターは、天然にはこのような後期遺伝子領域中に位置し、このような後期遺伝子領域において活性であるプロモーターである。
本明細書で使用される場合、「増菌のための培養」は、微生物の増殖に有利な培地中でのインキュベーションなどの伝統的な培養を指し、その中に含有される微生物を濃縮するために試料の液体成分を除去することによる増菌、または微生物増殖の伝統的な促進を含まない増菌の他の形態などの「増菌(enrichment)」という用語の他の可能な使用と混同されるべきではない。本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態においては、極めて短い時間の増菌のための培養が使用され得るが、必要ではなく、極めて短い時間の増菌のための培養が使用される場合、従来の増菌のための培養よりはるかに短い時間である。
本明細書で使用される場合、「組換え」は、改変がなければ見出されない遺伝物質を一緒にするために実験室で通常行われる遺伝子(すなわち、核酸)改変を指す。この用語は、本明細書において「改変された」という用語と互換的に使用される。
本明細書で使用される場合、「RLU」は、ルミノメータ(例えば、GLOMAX(登録商標)96)または光を検出する同様の機器によって測定される相対光単位を指す。例えば、ルシフェラーゼと適切な基質(例えば、NANOLUC(登録商標)とNANO-GLO(登録商標))の間での反応の検出は、検出されたRLUで報告されることが多い。
本明細書で使用される場合、「結果までの時間」は、試料インキュベーションの開始から生成された結果までの時間の総量を指す。結果までの時間は、一切の確認試験時間を含まない。データ収集は、結果が生成された後にいつでも行うことができる。
試料
本開示の方法およびシステムの実施形態の各々は、試料中のMRSAの迅速な検出および定量を可能にすることができる。例えば、本開示による方法は、優れた結果を伴って短縮された時間で実施されることができる。本開示によって検出可能な細菌細胞には、インビトロまたは鼻腔スワブ由来のMRSAの様々な株が含まれるが、これらに限定されない。
試料は、液体、固体または半固体であり得る。試料は、表面のスワブであり得る。いくつかの実施形態において、試料は、MRSAの鼻腔コロニー形成を検出するための鼻腔スワブであり得る。いくつかの実施形態において、試料は、身体材料、例えば組織または鼻腔液を含み得る。いくつかの実施形態において、試料は、全血、血漿、血清またはこれらの組み合わせであり得る。
いくつかの実施形態において、試料は、調製、濃縮または希釈なしに、本開示の検出方法において直接使用され得る。例えば、鼻腔スワブを含むが、これに限定されない液体試料が直接アッセイされ得る。試料は、緩衝溶液または細菌培養培地を含み得るがこれらに限定されない溶液中に希釈または懸濁され得る。固体または半固体である試料は、液体中の固体を細かく刻む、混合する、または液体に浸して柔らかくすることによって液体中に懸濁され得る。試料は、宿主細菌細胞へのバクテリオファージの付着を促進するpH範囲内に維持されるべきである。好ましくは、試料は、試料内に含有される任意の病原体細胞の生存能力を維持する温度に維持される。
検出アッセイのいくつかの実施形態において、試料は、試料中に存在する任意の病原体細胞の生存能力を維持する温度に維持される。例えば、バクテリオファージが細菌細胞に付着している段階の間、バクテリオファージの付着を促進する温度に試料を維持することが好ましい。バクテリオファージが感染した細菌細胞内で複製しているかまたはこのような感染した細胞を溶解している段階の間、バクテリオファージの複製および宿主の溶解を促進する温度に試料を維持することが好ましい。このような温度は、少なくとも約25℃、より好ましくは約45℃以下、最も好ましくは約37℃である。
いくつかの実施形態において、アッセイは選択剤を含み得る。微生物の増殖を阻害または促進するために、微生物増殖を阻害もしくは停止し得る選択的および非選択的抗菌剤、調節剤(すなわち、微生物増殖を変化させ得るが抗菌剤とはみなされない作用物質)、または増菌剤(例えば、ヘミンなどの栄養要求性微生物に対して必要とされ得る物質、または偏好性生物によって必要とされ得る物質)または微生物増殖を促進し得るその他の成分などの選択剤がアッセイに添加され得る。いくつかの実施形態において、選択剤は、例えば、セフォキシチンを含む抗菌剤である。
アッセイは、様々な適切な対照試料を含み得る。例えば、バクテリオファージを含有しない対照試料または細菌を含まずにバクテリオファージを含有する対照試料が、バックグラウンドシグナルレベルの対照としてアッセイされ得る。
バクテリオファージ
本明細書でより詳細に記載されるように、本開示の組成物、方法、システムおよびキットは、MRSAの検出において使用するための感染因子を含み得る。ある特定の実施形態において、本開示は、組換え指標バクテリオファージであって、バクテリオファージゲノムが指標遺伝子またはレポーター遺伝子を含むように遺伝子改変されている組換え指標バクテリオファージを提供する。いくつかの実施形態において、組成物は、バクテリオファージのゲノム中に組み込まれた指標遺伝子を有する組換えバクテリオファージを含み得る。
本開示の組成物は、1またはそれを超える遺伝子改変された感染因子(例えば、バクテリオファージ)および1またはそれを超える指標遺伝子を含み得る。いくつかの実施形態において、組成物は、同一のまたは異なる指標タンパク質をコードおよび発現し得る異なる指標ファージのカクテルを含むことができる。いくつかの実施形態において、バクテリオファージのカクテルは、黄色ブドウ球菌に対して特異的であるバクテリオファージに由来する少なくとも2つの異なる種類の組換えバクテリオファージを含む。
組換え指標バクテリオファージは、レポーター遺伝子または指標遺伝子を含むことができる。感染因子のある特定の実施形態において、宿主細菌の感染後のバクテリオファージ複製中の指標遺伝子の発現は、可溶性指標タンパク質産物をもたらす。ある特定の実施形態において、指標遺伝子は、バクテリオファージの後期遺伝子領域中に挿入され得る。後期遺伝子は一般に、構造タンパク質をコードするので、他のファージ遺伝子よりも高レベルで発現される。いくつかの実施形態において、指標バクテリオファージは、黄色ブドウ球菌に対して特異的なバクテリオファージに由来する。
さらに、必須ではないと考えられるファージ遺伝子は、認知されていない機能を有することがあり得る。例えば、一見したところ必須ではない遺伝子が、集合における微妙な切断、適合またはトリミング機能など、生産数を上昇させる上で重要な機能を有することがあり得る。したがって、指標を挿入するために遺伝子を欠失させることは有害であり得る。ほとんどのファージは、それらの天然ゲノムよりも数パーセント大きいDNAをパッケージングすることができる。これを考慮して、より小さい指標遺伝子が、バクテリオファージ、特により小さいゲノムを有するバクテリオファージを改変するためのより適切な選択であり得る。OpLucおよびNANOLUC(登録商標)タンパク質はわずか約20kDa(約500~600bpでコードする)であるが、FLucは約62kDa(約1,700bpでコードする)である。さらに、レポーター遺伝子は、細菌によって内在的に発現されるべきではなく(すなわち、細菌のゲノムの一部ではない)、高いシグナル対バックグラウンド比を生じるべきであり、適時に容易に検出可能であるべきである。PromegaのNANOLUC(登録商標)は、改変されたOplophorus gracilirostris(深海エビ)ルシフェラーゼである。いくつかの実施形態において、PromegaのNANO-GLO(登録商標)、イミダゾピラジノン基質(フリマジン)と組み合わされたNANOLUC(登録商標)は、低いバックグラウンドを有する頑強なシグナルを提供することができる。
指標遺伝子は、様々な生体分子を発現し得る。指標遺伝子は、検出可能な産物を発現する遺伝子または検出可能な産物を産生する酵素である。例えば、一実施形態において、指標遺伝子はルシフェラーゼ酵素をコードする。様々な種類のルシフェラーゼが使用され得る。代替の実施形態において、本明細書においてより詳細に記載されるように、ルシフェラーゼは、Oplophorusルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼ、Luciaルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、または操作されたルシフェラーゼのうちの1つである。いくつかの実施形態において、ルシフェラーゼ遺伝子は、Oplophorusに由来する。いくつかの実施形態において、指標遺伝子は、NANOLUC(登録商標)などの遺伝子改変されたルシフェラーゼ遺伝子である。
したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、後期(クラスIII)遺伝子領域に非バクテリオファージ指標遺伝子を含む遺伝子改変されたバクテリオファージを提供する。いくつかの実施形態において、非天然の指標遺伝子は、後期プロモーターの制御下にある。ウイルスの後期遺伝子プロモーターを使用することにより、レポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ)が、ウイルスのキャプシドタンパク質のように高レベルで発現されるだけでなく、内在性細菌遺伝子またはさらには初期ウイルス遺伝子のように停止しないことも保証される。
感染因子に対する遺伝子改変には、核酸の小さな断片、遺伝子のかなりの部分、または遺伝子全体の挿入、欠失または置換が含まれ得る。いくつかの実施形態において、挿入または置換された核酸は、非天然の配列を含む。非天然の指標遺伝子は、バクテリオファージプロモーターの制御下にあるように、バクテリオファージゲノム中に挿入され得る。したがって、いくつかの実施形態において、非天然の指標遺伝子は、融合タンパク質の一部ではない。いくつかの実施形態において、指標タンパク質産物は可溶性である。いくつかの実施形態において、本開示は、試験試料をそのような組換えバクテリオファージとともにインキュベートする工程を含む、関心対象の細菌(例えば、黄色ブドウ球菌)を検出するための方法を提供する。
いくつかの実施形態において、宿主細菌の感染後の子孫バクテリオファージ中での指標遺伝子の発現は、遊離の可溶性タンパク質産物をもたらす。いくつかの実施形態において、非天然の指標遺伝子は、構造ファージタンパク質をコードする遺伝子と連続しておらず、したがって、融合タンパク質を生成しない。いくつかの実施形態において、指標またはレポーターは、理想的にはバクテリオファージ構造を含まない。すなわち、指標またはレポーターはファージ構造に結合していない。したがって、指標またはレポーターの遺伝子は、組換えファージゲノム内の他の遺伝子と融合されていない。これは、アッセイの感度を(単一の細菌まで)大幅に増加させ、アッセイを単純化させ得、検出可能な融合タンパク質を産生する構築物で必要とされる追加の精製工程に起因する数時間とは異なり、いくつかの実施形態については2時間またはそれ未満でアッセイを完了することが可能になる。
いくつかの実施形態において、指標ファージは、検出可能な酵素などのレポーターをコードする。指標遺伝子産物は、光を生成し得、および/または色の変化によって検出可能であり得る。アルカリホスファターゼ(AP)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)またはルシフェラーゼ(Luc)などの様々な適切な酵素が市販されている。いくつかの実施形態において、これらの酵素は、指標部分として機能し得る。いくつかの実施形態において、ホタルルシフェラーゼが指標部分である。いくつかの実施形態において、Oplophorusルシフェラーゼが指標部分である。いくつかの実施形態において、NANOLUC(登録商標)が指標部分である。検出可能なシグナルを生成する他の操作されたルシフェラーゼまたは他の酵素も、適切な指標部分であり得る。
いくつかの実施形態において、組換えバクテリオファージストックの調製は、細菌検出アッセイにおける使用の前に、バクテリオファージと会合し得る残留指標タンパク質の実質的に全てを除去するのに十分な精製工程を含む。したがって、関心対象の試料中の任意の標的細菌を感染させるために使用される親組換えバクテリオファージの得られた調製物は、指標タンパク質を実質的に含まない。
MRSAを検出するための感染因子を使用する方法
本明細書で述べるように、ある特定の実施形態において、本開示は、MRSAまたは微生物を検出するために感染性バクテリオファージを使用する方法を提供する。本開示の方法は、様々な様式で実施され得る。
いくつかの実施形態において、本開示は、試料中の微生物を検出するための方法を提供する。本方法は、試料を取得することと、前記試料を、1またはそれを超える感染因子を含むカクテルと接触させることであって、前記感染因子は、指標遺伝子を含み、微生物に対して特異的であり、前記指標遺伝子は、指標タンパク質産物をコードする、接触させることと、前記指標タンパク質産物を表面と接触させることであって、前記表面は前記指標タンパク質産物を捕捉するための固定化された結合パートナーを備える、接触させることと、前記指標タンパク質産物によって生成されたシグナルを検出することであって、前記シグナルの検出は、前記試料中の前記微生物の存在を決定するために使用される、検出することと、を含む。
いくつかの実施形態において、本開示は、試料から(例えば、鼻腔スワブから)MRSAを検出するための方法であって、試料を取得する工程と、選択剤と、黄色ブドウ球菌に感染する1またはそれを超えるバクテリオファージとを含むアッセイにおいて前記試料をインキュベートする工程であって、関心対象の細菌の感染後のバクテリオファージ複製中の指標遺伝子の発現が可溶性指標タンパク質産物の産生をもたらすように、前記バクテリオファージが指標遺伝子を含む工程と、前記指標タンパク質産物を検出する工程であって、前記指標タンパク質産物の陽性検出は、MRSAが前記試料中に存在することを示す工程とを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、選択剤は、セフォキシチンを含む抗生物質である。
いくつかの実施形態において、前記方法は、検出のために指標タンパク質産物を捕捉することを含む。表面上の指標タンパク質産物を捕捉する工程は、極めて少数のコロニー形成単位を生成する濃度で、微生物または様々なMRSA株の検出を改善する。指標タンパク質産物を表面上に捕捉するために、指標タンパク質産物を表面と接触させることができる。例えば、指標タンパク質産物は、捕捉工程中に表面に付着または結合し得る。いくつかの実施形態において、表面は、とりわけ、マイクロタイタープレート、ラテックス粒子、ラテラルフローストリップ、ビーズ、磁性粒子、ディップスティックを含み得る。
いくつかの実施形態において、表面は、固定化された結合パートナーを含み得る。例えば、分析物認識のためのアレイを作製するために、1またはそれを超える特異的認識要素を表面の個別の領域に固定化することができる。指標タンパク質産物は、固定化された結合パートナーを含む表面と接触させることができる。いくつかの実施形態において、いくつかの異なる結合パートナーを1つの表面に同時に固定化することができる。いくつかの実施形態において、固定化された結合パートナーは抗体またはその断片である。
いくつかの実施形態において、指標タンパク質産物を捕捉するために、1またはそれを超える異なる固定化された結合パートナーを表面(例えば、プレート)上に堆積させる(例えば、ピペットで加える)ことができる。いくつかの局面において、表面は、固定化された結合パートナーを配向させることによって、指標タンパク質産物の接近可能性および捕捉を改善することができる。例えば、抗体をプレート上に堆積させ、一定期間インキュベートすることができる。いくつかの実施形態において、抗体は、ウサギ抗体またはヤギ抗体であり得る。必要に応じて、プレートは、インキュベーション後に洗浄することができる。その後、コーティングされたプレート上にNANOLUC(登録商標)抗体を堆積させることができる。いくつかの局面において、固定化された結合パートナーとともに表面上に堆積される指標タンパク質産物の量が、固体支持体としての表面上に単層を形成するための固定化された結合パートナーの量に等しいかまたはそれ未満であれば有利である。例えば、固定化された結合パートナーは、固体支持体の表面上の層に結合されて、その特異的結合エピトープの接近可能性をもたらす抗体であり得る。
いくつかの実施形態において、本開示の方法は、感度を高めるための様々な他の工程を含み得る。微生物またはMRSAを検出する方法の感度は、1またはそれを超える洗浄工程によって増加され得る。例えば、本方法は、過剰なバクテリオファージおよび/またはバクテリオファージ調製物を汚染するルシフェラーゼもしくは他の指標タンパク質を除去するために、捕捉された指標タンパク質産物を洗浄するための工程を含み得る。さらに、捕捉された微生物は、抗生物質および感染因子とのインキュベーション後、溶解緩衝液および基質の添加前に洗浄され得る。これらの追加の洗浄工程は、過剰な親ファージおよび/またはファージ調製物を汚染するルシフェラーゼもしくは他の指標タンパク質の除去を助ける。いくつかの実施形態において、微生物を捕捉し、洗浄し、次いでバクテリオファージに感染させることができる。
いくつかの実施形態において、本方法は、バクテリオファージによる感染を促進するために抗体にタンパク質を添加することを含む。黄色ブドウ球菌は血液中の抗体(例えば、IgG)を結合し、バクテリオファージがこれらの細胞に感染するのを妨げる。いくつかの実施形態において、血液中の抗体を結合するためにプロテインAが添加され、それによって抗体が黄色ブドウ球菌に結合するのを妨げる。黄色ブドウ球菌細胞がプロテインAの存在下で分裂すると、抗体は娘細胞に結合することができず、バクテリオファージによる血液中の細胞の感染を可能にする。いくつかの実施形態において、プロテインAは、ファージカクテルに添加される。例えば、プロテインAは、感染前にファージカクテルと混合することができる。
ある特定の実施形態において、アッセイは、異なる試料の種類またはサイズおよびアッセイフォーマットに適合するように改変することができる一般概念を利用するために実行され得る。組換えバクテリオファージ(すなわち、指標バクテリオファージ)を使用する実施形態は、試料の種類、試料サイズおよびアッセイフォーマットに応じて、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、20.0、21.0、21.5、22.0、22.5、23.0、23.5、24.0、24.5、25.0、25.5または26.0時間未満の総アッセイ時間で、MRSAの迅速な検出を可能にし得る。例えば、所要時間は、アッセイにおいて検出されるべきバクテリオファージの株および細菌の株、試験される試料の種類およびサイズ、標的の生存能力のために必要とされる条件、物理的/化学的環境の複雑さ、ならびに「内在性」非標的細菌夾雑物の濃度に応じて、幾分短くまたは長くなり得る。
実施例
以下の実施例に示される結果は、短縮された結果までの時間で鼻腔スワブ検体からMRSAを検出するための本明細書に記載される組成物、方法およびシステムの有効性を実証する。これらの実施例は、本明細書に記載される診断スクリーニング方法およびシステムにおいて使用される新規なバクテリオファージベースのアッセイを評価した。このアッセイは、標的種を検出するためにNANOLUC(登録商標)を利用する新世代のルシフェラーゼ-ファージレポーター系の一員である。本方法は高度に包括的であることが判明し、セフォキシチン選択と組み合わせると、大部分の非耐性株に対して識別する。さらに、本方法は、問題のある妨害の証拠がほとんどまたは全くなしに、鼻腔試料中のMRSAの低負荷量を同定することができた。最終的に、データは、この診断スクリーニングが鼻腔スワブ検体からのMRSAコロニー形成の検出のための有望な新しいツールであり得ることを示す。
材料および方法
細菌株
細菌株は、以下の例外を除いて、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA、USA)から入手した。Salmonella enteritidis S492は、University of Georgia Research Foundationから入手し、黄色ブドウ球菌RN4220はUniversity of Iowaから入手した。黄色ブドウ球菌の臨床株は、臨床微生物学研究室(Laboratory Corporation of America Holdings)から社内で調達した。地理的に異なる3つの米国の場所(Burlington NC、Phoenix AZおよびRaritan NJ)に由来する、匿名化されたヒト臨床検体からのMRSA分離菌。MSSA分離菌は、1つの場所(Burlington、NC)から同様に入手した。MRSAまたはMSSAの決定は、選択的発色寒天培地であるMRSA Select II(Bio-Rad、Marnes-la-coquette、France)上にプレーティングすることによって確認した。株は、250回転/分(RPM)で振盪しながら脳心臓浸出物(BHI)ブロス(Becton Dickinson and Company、Sparks、MD、USA)中にて37℃で日常的に増殖させた。
バクテリオファージ源およびストックの調製
アッセイは、2つの改変された黄色ブドウ球菌バクテリオファージ、MP115およびISPを含む。黄色ブドウ球菌バクテリオファージは、大きな溶解性黄色ブドウ球菌バクテリオファージを含むミオウイルス科のメンバーである。MP115バクテリオファージはColorado School of Minesから入手し、ISPバクテリオファージはEmory Universityから入手した。
バクテリオファージのストックを以下のようにして製造した。MP115については、RN4220の一晩培養物を希釈し、指数期まで増殖させ、次いで0.01の感染効率(MOI)で感染させた。ウイルス増殖の確認として、光学密度(OD)の減少に関して培養物を監視した。その後、10,000rpmで10分間の4℃の遠心分離によって、バクテリオファージ可溶化液を清澄化した。清澄化された上清を再び4℃および10,000rpmで2時間遠心分離した。1×TMS(50mMTris-HCL、10mMMgClおよび300mMNaCl)中にペレットを一晩再懸濁した。次いで、バクテリオファージ調製物を10μg/mLのDNaseIおよび5μg/mLのRNaseで処理した。処理後、調製物を5,000rpmで10分間、4℃で遠心分離した。上清を除去し、30,000rpmで、20℃で2時間、塩化セシウム密度勾配遠心分離(1.2、1.3、1.4および1.6の密度)によってさらに精製した。ファージを含有するバンドを除去し、調製物を透析チューブ(Spectra/Por4、MWCO 12,000~14,000)に入れた。透析は、2.4MNaClを含むTMS中で1時間行い、0.9MNaClを含むTMS中で繰り返し、0.3MNaClを含むTMS中で再び繰り返した。
ISPについては、以下を除いて同様の手順を使用した:株12600を宿主として使用し、指数関数培養物を0.05のMOIで感染させ、一晩のペレット再懸濁後、DNaseおよびRNaseによる処理の前に、4℃で10分間、5,000rpmでのさらなる遠心分離を行った。ストック力価は、半固体寒天中で増殖させた宿主株に対して実施されるプラーク計数を使用する標準的な方法によって決定した。
ルシフェラーゼレポーターファージの操作
ISP中の疑われる後期遺伝子領域に対応する相同性を有する2つの500bp隣接配列の間に配置された宿主特異的プロモーターおよびコドン最適化されたNANOLUC(登録商標)を用いて設計された相同組換えドナー構築物で標的バクテリオファージを形質転換した。この構築物をpBAV1KT5gfpのPstI部位中に挿入した(アクセッションHQ191434)。宿主特異的プロモーターは以前の研究の後にモデル化された。Genewiz(South Plainfield、NJ、USA)によってNANOLUC(登録商標)のクローニングおよびコドン最適化を行った。相同性の領域が99.9%の同一性を共有するので、このドナー構築物はISPおよびMP115の両方の操作のために利用された。
電気穿孔適格の黄色ブドウ球菌をRN4220から作製した。これを達成するために、RN4220の一晩培養物を希釈し、トリプトンソーヤブロス(TSB)(Oxiod、Hampshire、United Kingdom)中で対数期中期まで増殖させた。次いで、細菌を氷上で1時間冷却し、4℃で10分間4,000gで遠心分離し、氷冷した無菌脱イオン水で3回洗浄した。洗浄後、最終ペレットを氷冷10%グリセロール中に懸濁し、-80℃保存用の一定分量として調製した。次いで、100ngのドナー構築物プラスミドDNAを解凍された一定分量に添加し、電気穿孔の前に室温で30分間インキュベートした。電気穿孔は、0.2cmキュベット(Bio-Rad、Marnes-la-coquette、France)を備えたMicroPulser Plus(1.8kV電圧、1パルス、2.5msec時定数)を使用して行った。B2培地(10g/Lのペプトン、25g/Lの酵母抽出物、25g/LのNaCl、1g/LのKHPO、pH7.5)中に細胞を回収し、50μg/mLカナマイシン(Sigma、St.Louis、MO、USA)を含むTSB寒天上に広げた。形質転換体を単離し、NANOLUC(登録商標)の発現によって確認した。試験される前に、カナマイシンを含むTSB中で3時間、コロニーを増殖させた。10μLの培養物、50μLのNanoGlo緩衝液、15μLのウミシイタケ溶解緩衝液および1μLのNanoGlo基質(Promega、Madison、WI、USA)の混合物を調製し、GloMax Navigator(Promega、Madison、WI、USA)を使用して分析した。
形質転換されたRN4220のNANOLUC(登録商標)陽性培養物を初期対数期まで増殖させ、0.1のMOIでMP115またはISPのいずれかに感染させ、225rpmで振盪しながら37℃で3時間インキュベートした。ファージ可溶化液を遠心分離して細胞片を除去し、0.45μM Whatman Puradiscフィルタ(GE Health、Pittsburgh、PA、USA)を通して濾過し、最後に100K MWCOタンパク質濃縮器(Pierce)を用いてTMS中に緩衝液交換した。次いで、半固体寒天上でのプラークスクリーニングによる単離の前に組換え体の頻度を増加させるために限界希釈増菌を行った。無菌ピペットチップを使用して個々のプラークを単離し、100μLのTMS緩衝液と混合した。10μLのこの懸濁液を使用して、TSB中の100μLの株12600を37℃で2時間感染させた。感染後、50μLのNanoGlo緩衝液、15μLのウミシイタケ溶解緩衝液および1μLのNanoGlo基質を各ウェルに添加した後、GloMax Navigatorで評価した。高シグナルを有する陽性ウェルを濾過し、希釈し、次の継代に感染させるために使用した。3回の連続継代が100%陽性であり、純粋であると考えられるプラークを生じるまでこれを繰り返した。
インビトロファージ検出アッセイ-感度、包含性およびMSSA排他性
一晩培養物を脳心臓浸出物(BHI)ブロスで希釈し、BHIで希釈した135μLの培養物を96ウェルストリッププレート(Griener Bio-One GmbH、Frickenhausen、Germany)の2つのウェルに移して、ウェルあたり所望のコロニー形成単位(CFU)(例えば、10、1000または1000CFU)を得た。135μLのBHIブロスのみからなるさらなる2つのウェルを利用して培地バックグラウンドを決定した。各試料につき1つのウェルが対照ウェルとして機能し、15μLのBHIブロスが加えられた。他方のウェルは選択的ウェルとして機能し、22μg/mLのセフォキシチン(Alfa Aesar、Ward Hill、MA、USA)を含有する15μLのBHIブロスが加えられた。選択的ウェルは、2.2μg/mLのセフォキシチンの最終濃度を有していた。示されている場合、各試料の実際のCFUは、BHI寒天上でのプレート計数によって確認された。96ウェルストリッププレートをカバーフィルム(Thermo Fisher Scientific、Rochester、NY、USA)で密封し、増菌および選択を容易にするために37℃で4時間インキュベートした。ファージカクテルは、溶原性ブロス(LB)(Gibco、Grand Island、NY、USA)中に調製され、それぞれ1mL当たり1.6×10プラーク形成単位(PFU)で両方の操作されたファージを含有した。10μLのファージカクテルを各ウェルに添加し、ピペッティングによって混合した後、再度フィルムで覆った。MRSAの存在下でファージ感染およびルシフェラーゼの産生を促進するために、プレートを37℃で4時間インキュベートした。50μLのNanoGlo Buffer、15μLのウミシイタケ溶解緩衝液および1μLのNanoGlo基質からなる65μLの検出溶液を各ウェルに添加し、ピペット操作によって混合した。試料は、3分間の待機時間および1秒の積分でGloMax Navigatorを使用して読み取った。結果は、培地のみで観察されたバックグラウンドの約3倍である600相対光単位(RLU)のカットオフで評価した。
インビトロファージ検出アッセイ-非黄色ブドウ球菌排他性および細菌干渉
競合生物の一晩培養物をBHIブロスで希釈し、125μLの希釈された培養物を96ウェルストリッププレートの4つのウェルに移して、所望のウェル当たりCFU(例えば、10、1000または1000CFU)を得た。わずか125μLのBHIブロスからなるさらなる4つのウェルを利用して、MRSA(BAA-1720)の培地バックグラウンドおよびベースラインシグナルを決定した。各試料の2つのウェルを排他性試験に割り当て、他の2つのウェルを使用して細菌干渉を評価した。排他性のためには、10μLのBHIブロスを両方のウェルに添加し、一方、MRSAを含有する10μLのBHIブロスを細菌干渉ウェルに添加した。各条件について、一方のウェルは対照ウェルとして機能し、追加の15μLのBHIブロスを加えられ、他方は選択的ウェルとして機能し、22μg/mLのセフォキシチンを含有する15μLのBHIブロスを加えられた。次いで、増菌、ファージ感染およびCFUを上記のように決定した。
鼻腔スワブファージ検出-内在性試料、MRSAスパイクおよび自己発光
BBL CultureSwab Liquid Stuart Double swab(Becton Dickinson and Company、Sparks、MD、USA)を本明細書に記載される実験に使用した。スワブを1つの鼻孔中に挿入し、少なくとも5回回転し、第2の鼻孔中において同じスワブで繰り返すように指示されたボランティアからレーヨンの鼻腔スワブを自己回収した。処理前に、検体を4℃で一晩保存した。内在性鼻腔試料を評価するために、1mLのBHIブロス中で15秒間ボルテックスすることによって1つのスワブを溶出した。135μLのこの鼻腔溶出液を96ウェルストリッププレートの2つのウェルに加えた。これらのウェルを、上記の135μLの希釈された培養物と同様に評価した。
真正なMRSAコロニー形成を同定するために、直接プレーティングおよび増菌された培養の両方を使用する参照方法を使用した。直接プレーティングのために、スクリーニングにおいて使用した135μLの鼻腔溶出液をMRSA Select II寒天培地にプレーティングした。増菌された培養法のために、6.5%NaClを含む3mLのTSB(Fisher Scientific、Geel、Belgium)に1つのスワブを入れ、250rpmで振盪しながら37℃で一晩増殖させた。翌日、培養物をMRSA Select II寒天上に画線接種した。いずれの場合においても、MRSAコロニー形成の存在または非存在を特定するために製造者の説明書に従った。いずれかの方法(直接プレーティングまたは増菌された培養)が選択的寒天上で陽性結果をもたらした場合、スワブをMRSA陽性とみなした。
MRSAの希釈培養物を鼻腔溶出液中に添加することによって、鼻腔マトリックス中のMRSA検出能を評価した。この目的のために、125μLの鼻腔溶出液を、各試料について96ウェルストリッププレートの2つのウェルに添加した。両方のウェルに、10μLの希釈されたMRSA培養物を加えた。試験したMRSA株(BAA-1707、BAA-1717、BAA-1720、BAA-1763、BAA-1766)ごとに割り当てられた8つの試料で、40個の特有の鼻腔試料を評価した。対照として、10μLの各MRSA株も125μLのBHIブロスに添加した。添加後、上記の135μLの希釈された培養物と同じように、2つのウェルを評価した。
ルシフェラーゼ源を含まない検出溶液(ファージカクテル)と各試料を混合することによって、各鼻腔試料の自己発光を評価した。これを達成するために、135μLの各鼻腔溶出液を25μLのBHIブロスと96ウェルストリッププレート中で合わせた。次いで、65μLの検出溶液を各ウェルに添加し、ピペット操作で混合した。プレートをルミノメータで読み取った。
実施例1.感度および包含性の研究
本明細書に記載される方法およびシステムは、多様な遺伝的背景からMRSA株を同定することができる(表1)。表1に示されるように、MRSAの包含性株は学術的な供給元から入手した。大多数の株について、様々なMRSA株の検出を100CFUまたはそれ未満で達成することができた。この検出の限界および分析感度は、以前に記載されたPCRベースのスクリーニングと同様である。
バクテリオファージベースのMRSAスクリーニングは、4時間の増菌、2時間の感染、およびルミノメータでのその後の放出された光の検出を含んでいた。96ウェルストリッププレートの2つのウェルが、1つの対照ウェルおよび1つの選択的ウェルからなる各試料に対して実行された。選択的ウェルはMRSA判定のために使用され、MRSA選択剤であるセフォキシチンを含有するのに対して、対照ウェルは細菌培養培地のみを含有し、主としてアッセイ開発中にファージ性能を測定する。セフォキシチンは、ディスク拡散および寒天希釈アッセイにおけるMRSAの表現型同定のための優れた選択肢であることが示された。これらのウェル中で試料を4時間増菌し、耐性細菌の回収、増殖および選択を促進した。この後、組換えルシフェラーゼをコードするバクテリオファージによる2時間の感染期間を実施した。ウイルス感染の成功を示すルシフェラーゼの産生は、放出された光を基質の添加後にルミノメータで検出することによって測定される。3つ組のウェル中で、10、100または1,000コロニー形成単位(CFU)の開始標的でこの方法を使用して、17の多様なMRSA株を評価した(表1)。CFU(プレートカウントから決定される)および相対光単位(RLU)の値を表S1に示す。陽性結果は、600RLUのカットオフに基づいて決定された。このカットオフは、培養培地のみで観察されたバックグラウンドの約3倍である。
対照条件でのウェルあたり100CFUおよび1,000CFUの両方で、試験した51ウェルのうち51ウェル(100%)について陽性結果が得られた。10CFU/ウェルでは、51ウェルのうち48ウェル(94.1%)が陽性であった。MRSAの3つの特有の株は、10CFUでは、3つのウェルのうち2つのウェルにおいてのみ陽性であった。これらの結果は、多様なMRSA分離菌を認識するファージカクテルの能力を強調している。MRSA判定のためにセフォキシチンが含められると、1,000CFU/ウェルでは51ウェルのうち51ウェル(100%)に対して、100CFU/ウェルでは51ウェルのうち48ウェル(94.1%)に対して、陽性シグナルをなお検出することができた。選択下にある100CFUで、HDE288としても知られるBAA-42を検出できないことは、完全には予想外ではない。この株は、低レベルおよび不均一なメチシリン耐性を伴うMRSAの「初期のクローン」に属する。表1に示されるように、わずか10CFUで、51の選択的ウェルのうち44(86.3%)が陽性を保った。対照ウェルと選択的ウェルの両方において100%検出を有する最小のCFUに基づいて、各株に対して検出限界を決定した。試験した17のMRSA株のうち13はウェルあたり10CFUで確実に検出することができたが、3つはウェルあたり100CFUを必要とした。BAA-42は、MRSA選択による一貫した陽性検出のためにウェルあたり100CFU超を必要とする唯一の株であった。表1に示されるように、MRSAアッセイは、100CFUで試験された17のMRSA株で100%の包含性を実証する。MRSAアッセイはまた、試験した51のMRSA株のうち48に対する選択性を実証する。全体として、これらの結果は、低い細菌負荷量で遺伝的に多様なMRSA株の存在を検出するこのスクリーニングの能力を実証している。
Figure 2023523627000001
Figure 2023523627000002
Figure 2023523627000003
実施例2.インビトロでのMRSAスクリーニングの排他性および特異性
高感度のMRSA検出に加えて、成功したMRSAアッセイは、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)株の大部分を排除する能力も実証しなければならない。表2は、3つ組のウェル中で、100、1,000および10,000CFUで本明細書に記載される方法を使用して評価されたMSSAの5つのよく特徴付けられた株を示しており、プレートカウントから決定されたCFU値、およびRLU値を提供する。MRSA対照ウェルはセフォキシチンを含まず、MRSA選択的ウェルはセフォキシチンを含んでいた。予想通り、MSSA株は、100、1,000および10,000のCFUレベルで、対照ウェルの100%において陽性であった。選択的ウェル中でのセフォキシチンの包含は、陽性結果の有意な低下をもたらした。セフォキシチンを含むMRSA選択的ウェルでは、15のうち0(0%)の選択的ウェルが100CFUで陽性であったが、15のうち1つ(6.7%)の選択的ウェルのみが1,000CFUおよび10,000CFUで陽性であった。これらの結果は、ほとんどのMSSA株を識別するMRSAアッセイの能力を支持する。
Figure 2023523627000004
Figure 2023523627000005
表3に示されるように、MSSAを超えて、21の特有の属および32の異なる種を包含する40の株のパネルに対して、MRSAスクリーニングの排他性をインビトロで評価した。(プレートカウントから決定された)CFUおよびRLUの値を表S3に示す。各排他性株のCFUは、ウェルあたり1,500CFU超であった(15,950の中央値CFU)。特異性を評価すると、表3は、40株のうち6株(15%)が対照ウェルにおいて陽性であったことを示す。この条件における陽性シグナルは、ファージカクテルの交差反応性の結果であり、ブドウ球菌種およびバチルス種で観察された。多くの黄色ブドウ球菌ファージは多価であり、コアグラーゼ陽性およびコアグラーゼ陰性のブドウ球菌種の両方を溶解することが実証されている。バチルス種によるブドウ球菌ファージの吸着が以前に報告されており、それらの細胞壁タイコ酸(WTA)の類似性と関連付けられ得る。この交差反応性にもかかわらず、選択的条件では40株のうち0株が陽性であり、MRSAに対して偽陽性をもたらさなかったであろう。これらの結果は、本明細書中に記載される実験において使用されるファージカクテルの特異性およびアッセイ全体の排他性を実証する。
過剰な競合菌負荷量の存在下において少数のMRSAを検出するMRSAスクリーニングの能力を評価した。この目的のために、およそ50CFUのMRSAを、排他性パネルからの少なくとも20倍過剰の各株と組み合わせた(表3)。(プレートカウントから決定された)CFUおよびRLUの値を表S3に示す。驚くべきことに、40ウェルのうち39ウェル(97.5%)および40ウェルのうち40ウェル(100%)が、それぞれ、競合種の存在下で、対照条件および選択的条件において陽性であった。Streptococcus pneumoniaeは、100倍過剰で試験した場合、対照条件において検出を阻害した。インビトロおよびインビボの両方でこれらの種間の拮抗が知られていることを考えると、これは驚くべきことではない。重要なことに、この効果はセフォキシチンの存在下(MRSA選択的条件)で失われ、したがって、MRSAに対して偽陰性をもたらさないであろう。このデータは、過剰な競合生物を含有する環境において低レベルのMRSAを検出するこのスクリーニングの能力を実証している。
Figure 2023523627000006
Figure 2023523627000007
Figure 2023523627000008
Figure 2023523627000009
実施例3.インビトロでの循環黄色ブドウ球菌臨床分離菌間のスクリーニング性能。
ヒト臨床検体からのMRSA分離菌は、米国内の地理的に異なる3つの臨床微生物学研究所(バーリントン、ノースカロライナ州、フェニックス、アリゾナ州およびラリタン、ニュージャージー州)から社内で入手した。MSSA分離菌は、1つの場所(バーリントン ノースカロライナ州)から同様に入手した。MRSAまたはMSSAの同定は、選択的発色寒天上にプレーティングすることによって確認した。合計390の臨床MRSA株を特有の検体から単離し、MRSAスクリーニングで評価した。各株のRLUおよびCFU値を提供する(表S4)。
表4は、試験したMRSAの負荷量の中央値がウェルあたり47CFUであったことを示す。表4に示されるように、390のうち388の臨床MRSA株(99.5%)が対照ウェルで陽性に検出された。セフォキシチン選択下では、390の臨床MRSA株のうち381(97.7%)が陽性であり、スクリーニングによりMRSAと同定された。より高い負荷量、すなわち、MRSAレベルの10倍または100倍(それぞれ500CFUおよび5,000CFU)のいずれかで、臨床MSSA株を排除について試験した。123の臨床MSSA株のうち122(99.2%)がいずれかの接種材料の対照条件で陽性に検出された。しかしながら、選択的ウェルでは、500CFUからの陽性シグナルは、123のMSSA株のうち8つ(6.5%)に低下した。ウェルあたり約5,000CFUでは、この偽陽性率は123株中21株(17.1%)に増加した。これは、ほとんどのMSSA株は陰性であるが、一部は高い負荷量で選択を圧倒し、偽陽性をもたらし得ることを示唆している。重要なことに、試験した513の臨床黄色ブドウ球菌分離菌のうち、510(99.4%)が対照条件で陽性であった。これは、記載された方法およびシステムで利用されるファージカクテルが広宿主域の適用範囲を与えるという考えを引き続き支持する。全体として、これらの結果は、ほとんどの臨床MSSA株を排除しながら、臨床MRSA株の大部分を首尾よく認識および検出するこのスクリーニングの能力を示す。
Figure 2023523627000010
Figure 2023523627000011
Figure 2023523627000012
Figure 2023523627000013
Figure 2023523627000014
Figure 2023523627000015
Figure 2023523627000016
Figure 2023523627000017
Figure 2023523627000018
Figure 2023523627000019
Figure 2023523627000020
Figure 2023523627000021
Figure 2023523627000022
Figure 2023523627000023
Figure 2023523627000024
Figure 2023523627000025
実施例4.ヒト鼻腔スワブによる特異性およびスクリーニング性能。
レーヨンの綿棒を使用して、40人の成人ボランティアから前鼻腔検体を自己採取した。以前の研究では、MRSAコロニー形成の検出に関して、自己採取の有効性が確認されている。処理の前に、検体を4℃で一晩保存して、あり得る試料輸送条件を模倣した。真正なMRSAコロニー形成を同定するために、直接プレーティングおよび増菌された培養の両方を使用する参照方法を使用した。全ての40のヒト鼻腔検体は、両方の参照方法によって陰性であり、MRSAコロニー形成を欠くと判定された(表5)。健康な成人におけるMRSAコロニー形成率は2%未満であると推定されているので、40人の個体での検出の欠如は驚くべきことではない。
これらの検体を用いてスクリーニングを行うために、スワブを細菌培養培地中に溶出し、セフォキシチンを含む(選択的)または含まない(対照)ウェルに添加した。選択的条件における陽性結果は、陽性MRSA結果であると考えられる。対照条件は、MRSA判定のために必要とされないか、または利用されないが、選択の有効性を実証するために含められた。ブドウ球菌種の高い鼻腔コロニー形成率およびファージカクテルとの以前に記載された交差反応性の故に、ほとんどの対照ウェルで陽性結果が予想された。予想通り、40のうち36(90%)の試料が対照ウェルにおいて陽性であった。内在性試料のRLU値を提供する(表S5)。
40のうち36(90.0%)の検体がMRSA検出に関して陰性であり、参照方法と一致した。4つの試料で偽陽性が同定され、中央値RLUシグナルはシグナルカットオフの5倍未満であった。ルシフェラーゼ基質を用いて直接試験した場合、全ての鼻腔試料は陰性であり、非特異的自己発光が顕著な偽陽性源ではなかったことを示した(表S5)。これらの試料における偽陽性シグナルの背後に存在する正確な機構はなお不明であるが、メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌に関連する可能性があり得る。さらに、いくつかのMSSA株は、高い細菌負荷量で偽陽性結果をもたらすことが以前に観察された(表4)。全体として、MRSA陰性試料の大半(90%)をこの方法によって首尾よくスクリーニングで排除することができた。
Figure 2023523627000026
Figure 2023523627000027
Figure 2023523627000028
この方法が鼻腔マトリックス中のMRSAを首尾よく検出することができるかどうかを決定するために、先述した40の非コロニー形成鼻腔スワブからの溶出液中に、5つの十分に特徴付けられたMRSA株を添加した。各試料のRLUおよびCFU値を提供する(表S5)。MRSA添加の負荷量の中央値は、ウェルあたり87CFUであった。40のうち40(100%)のMRSA添加試料は、対照条件と選択的条件の両方で陽性であった(表5)。無効な試料の欠如は、これらの個体中にアッセイ阻害剤が存在しないことを示唆している。これらの試料中に低負荷量で添加された場合に5つの特有のMRSA株の検出に成功したことは、鼻腔マトリックスにおけるバクテリオファージベースのスクリーニングの有効性を支持する。
実施例に示されるように、本開示は、鼻腔スワブからのMRSAの高感度かつ迅速な検出を達成する、培養ベースのアプローチでのMRSAルシフェラーゼファージレポーターアッセイを提供する。表1に示されるように、MRSAルシフェラーゼファージレポーターアッセイを利用する診断スクリーニングは、およそ6時間で、多様な遺伝的背景からのMRSA株を同定することができた。MRSA株の大部分では、成功した検出には、ウェルあたりわずか10~100CFU、鼻腔スワブあたり約75~750CFU相当の存在が必要であった。この検出の限界は、以前に記載されたPCRベースのスクリーニングと同様である。保菌者の鼻腔スワブから回収されたMRSAの負荷量の中央値は、10,000CFUを超えることが明らかとなった。さらに、鼻腔コロニー形成の高い負荷量を有する個体は、複数の身体部位にMRSAを保有し、伝染の媒介者である可能性がより高い。したがって、このアッセイの感度は、目標がMRSA保菌を排除することであるか、または患者から患者への伝播を制限するかを問わず、臨床鼻腔検体からの予想される負荷量に対処するのによく適しているようである。
いくつかの点で、ルシフェラーゼレポーターファージアッセイの性能は、バクテリオファージの選択に大きく依存する。実施例におけるこのMRSA診断スクリーニングは、ミオウイルス科の大型溶菌性ブドウ球菌バクテリオファージのメンバーである2つのファージ、ISPおよびMP115のNanoLuc発現組換え体を利用した。これらのファージは、主に高度に保存されたWTAを介して宿主表面に結合し、広宿主域の能力をもたらす。WTAを欠く変異体は、全てまたは少なくとも大部分のブドウ球菌ファージに対して耐性であると考えられる。耐性WTA欠損変異体は仮説として可能であるが、以前の研究は、鼻腔コロニー形成とメチシリン耐性の両方のためにWTAが必要であることを明らかにしている。一般に、WTAの喪失はまた、インビボでの適応コストおよび病原性の全体的な減少をもたらす。したがって、鼻腔保菌に関与する全ての現在および将来のMRSA株が、このスクリーニングによって標的とされる受容体を保有すると予想することは合理的である。さらに、この結論は、試験した臨床MRSA分離菌の99.5%について検出された陽性ファージシグナルを示す表4のデータによってさらに裏付けられる。
表4の結果に示されるように、513の黄色ブドウ球菌臨床株のうち、MRSAの2つの分離菌(BNC159およびPHX079)およびMSSAの1つの分離菌(MSSA090)は、対照条件において陽性シグナルを生成することができなかった。これらの分離菌の1つ(PHX079)は、培養での増殖欠陥を有するようであった(データは示さず)。増菌期間中の増殖不良は、このMRSA株を確実に検出することができないことに寄与した可能性がある。BNC159およびMSSA090を検出できないことは、制限修飾系または莢膜の産生を通じたファージ耐性に関連し得る。制限修飾系は、特定のモチーフにおけるDNAメチル化の存在または非存在を通じてしばしば同定される外来DNAを標的とし、排除する。ブドウ球菌ファージはこれらの経路の圧力下で進化しており、いくつかのファージはこれらの系によって標的とされる特定の配列を完全に欠いているという証拠が存在する。これにもかかわらず、黄色ブドウ球菌にわたる制限修飾系の多様性は広範であり、これらの分離菌において見られる耐性に寄与し得る。これとは別に、莢膜の産生は、表面受容体の遮蔽を介して黄色ブドウ球菌におけるファージ耐性と関連している。黄色ブドウ球菌のいくつかの一般的な系統は莢膜の多糖を産生しないが、この機序は、観察されるまれな(<1%)耐性を促進し得る。
さらに、表4はまた、MRSAルシフェラーゼファージレポーターアッセイと選択剤(例えば、抗生物質)との組み合わせが非MRSAの生存能力および増殖を制限し、MRSA検出を妨害しなかったことを示す。例えば、MRSAルシフェラーゼファージレポーターアッセイは、非MRSAの生存能力および増殖を制限するためにセフォキシチンを利用した。表4の結果は、ウェルあたり約500CFUで試験した場合、臨床MSSA株のわずか6.5%が陽性であったので、この選択の有効性を証明している。驚くべきことに、臨床MRSA株の97.7%が、ウェルあたり約50CFUで選択的ウェルにおいて陽性のままであったので、セフォキシチンはMRSA検出を妨げなかった。さらに、表3は、この選択剤が、バチルスのいくつかの種およびコアグラーゼ陰性ブドウ球菌からの偽陽性を制限する上でも有益であり、同時にStreptococcus pneumoniaeからの妨害も防止したことを示している。セフォキシチンは、MRSA選択のための優れた選択肢として実証されており、多様な分離菌を同定することができる。臨床MRSAの高い検出率にもかかわらず、いくつかの株は、セフォキシチンの存在下で偽陰性の結果をもたらした。臨床MRSA株は、いくつかの例において特に低い負荷量で評価されたので、これらの株は低レベルの耐性またはヘテロ耐性を発現する可能性が高い。そのような株は、BAA-42について見出されるものと同様に、ウェルあたり100CFUを超える検出限界を示し得る(表1)。
鼻腔スワブでの性能に関して、表5は、MRSA陰性試料の90.0%が選択下において陰性の試験結果を与え、参照方法と一致したことを提供する。したがって、鼻腔溶出液の10%で偽陽性が検出された。これらの偽陽性は、3つの起源に由来し得る。第1に、自己発光が起こり得るが、表S5に示されるようにルシフェラーゼを添加する必要性を実証することによってこれらの試料では除外された。第2に、ある種のMSSA株の高い負荷量は、偽陽性をもたらし得る(表4)。最後に、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌のいくつかの交差反応性種は、MRSAと同じ耐性機構を介してメチシリン耐性になることができる。これらの種は、4つの試料で観察された弱い偽MRSA陽性に寄与し得る可能性がある。
本明細書中に記載されるMRSAを検出するための方法およびシステムは、内在性鼻腔細菌叢の生存能力を必要とすることによって試料の妥当性を評価する点で類を見ない。内在性鼻腔細菌叢を複製するために、鼻腔溶出液に5つのMRSA株のうちの1つを添加した(表5)。表5に示されるように、鼻腔マトリックス中の低いMRSA負荷量の陽性検出が、添加された試料の100%において達成された。重要なことに、これは、成功したバクテリオファージ感染およびルシフェラーゼ産生が鼻腔マトリックス中で起こり得ることを示している。さらに、これは、内在性試料の10%において以前に見られた陰性対照ウェルがアッセイ阻害剤の結果ではなかったことを明らかにする。全体として、これらの結果は、MRSA保菌が存在する場合、鼻腔検体において検出されるであろうことを強く示唆している。
本明細書中に記載されるバクテリオファージベースのMRSAアッセイは、標的種を高感度に検出するためにNanoLucを利用する新世代のルシフェラーゼレポーターファージシステムのメンバーである。本方法は高度に包括的であることが判明し、セフォキシチン選択と組み合わせると、大部分の非耐性株に対して識別する。さらに、スクリーニングは、問題のある妨害の証拠なしに、鼻腔試料中のMRSAの低負荷量を同定することができた。さらに、MRSA検出が6時間以内に行われると、すぐに使用可能な結果が単一の作業シフトで入手可能になる。最終的に、本データは、本明細書中に記載されるバクテリオファージベースのMRSAアッセイが、鼻腔スワブからのMRSAコロニー形成の検出のための有望な新しいツールであり得ることを示す。
実施例5.中および高タンパク質結合プレート上へのNanoLucの直接コーティング。
黄色ブドウ球菌(ATCC12600)をトリプシン大豆ブロス(TSB)中で対数期(0.41のOD600)まで増殖させた。培養物をTSBで希釈して所望の負荷量を得、コロニー形成単位(CFU)を得るためにTSB寒天上にプレーティングすることによってこれを確認した。96ウェルストリップ(高結合;(Grenier Bio-One、参照番号762074)中の37.5μLのTSBまたはヒト血液に、12.5μLの各希釈物を直接添加した。表記されている場合には、いくつかのストリップは、捕捉のために結合された抗NanoLuc抗体(精製されたマウスモノクローナルIgGクローン#965808;カタログ番号MAB10026)を含有していた。抗凝固剤としてヘパリンナトリウムを使用して、単一のドナーからヒト血液を採取した。血液試料については、100μLの、ポリアネトールスルホン酸ナトリウム(SPS)を含有するTSBを添加して、25%ヒト血液マトリックスを得た。ウェル中のSPSの最終濃度(150μL体積)は0.05%であった。TSB試料については、100μLのTSBを添加して、同じ150μLの体積を達成した。次いで、試験ストリップをカバーフィルムで密封し、37℃で30分間インキュベートした。この短時間の増菌後に、TSBマトリックスを含有するウェルに20μLのファージ作業用ストックを添加した。ファージ作業用ストックは、8×10プラーク形成単位/mLのMP115.NLおよびSAPJV1.NLの両方を含有した。血液マトリックスを含有するウェル中での感染を可能にするために、表記されているように、ウェルあたり0.5mgの組換えブドウ球菌プロテインA(pro-356、Prospec、Ness-Ziona、Israel)を20μLのファージ作業用ストック内に含めた。アッセイストリップを再びカバーフィルムで密封し、37℃で3時間インキュベートした。感染後、これらのストリップを300μLのPBS-T(10mMリン酸ナトリウム、150mMNaCl、0.05%Tween20、pH7.4)で3回洗浄した。洗浄は自動プレート洗浄機(AccuWash、Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)を用いて行った。1μLのNanoGlo基質(Promega、Madison、WI、USA)を含有する100μLのNanoGlo緩衝液(Promega、Madison、WI、USA)を各ウェルに添加した。3分間の待機期間の後、GloMax Navigator(Promega、Madison、WI、USA)を使用して、相対光単位(RLU)としての各試料の信号出力を決定した。バックグラウンドに対するシグナル(S/B)は、その試験マトリックスに対する培地対照で観察されたRLUから各試料からのRLUを割ることによって計算した。
Figure 2023523627000029
これらの実施例において、抗NanoLuc抗体は、固定化された結合パートナーである。表6は、指標タンパク質が固定化された結合パートナーによって捕捉された場合のシグナル検出の大幅な増加を示す。例えば、黄色ブドウ球菌の低い負荷量または高い負荷量を有する試料では、対照ストリップを使用して試料が捕捉されない場合より、指標タンパク質が抗NanoLuc抗体によって捕捉された場合にRLUが著しく高い。驚くべきことに、黄色ブドウ球菌が結合されたIgGを有する場合、黄色ブドウ球菌の感染は起きることができない。プロテインAの添加は、黄色ブドウ球菌が感染されることを可能にする。赤血球および他の血清タンパク質は、発現された指標タンパク質の捕捉を妨害しない。さらに、赤血球による対照中に見られるシグナルの消光が排除され、バックグラウンドを上回るシグナルが維持されるか、または増加する。したがって、指標タンパク質は、試料中の他の成分(例えば、タンパク質)からの妨害を最小限にして、全血試料を使用して検出することができる。従来、指標タンパク質産物の確実な検出のために、血清または血漿が血液から単離される。有利には、実施例は、本検出方法が、この捕捉工程を使用することによって患者から直接採取された全血試料に対して行われ得ることを実証する。
実施例6.ヒト血液における抗生物質感受性試験
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)株(ATCC BAA-1720、CDC AR0480)およびメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)株(ATCC 12600)をトリプシン大豆ブロス(TSB)中で対数期(0.16から0.4の範囲のOD600)まで増殖させた。培養物をTSBで希釈して所望の負荷量を得、コロニー形成単位(CFU)を得るためにTSB寒天上にプレーティングすることによってこれを確認した。50μLの各希釈物を試験ストリップに添加した。表記されている場合、いくつかのストリップは、捕捉のために中結合プレート(Grenier Bio-One、Strips Plate 12xF8、PS、F-Bottom、White、Lumitrac、Med Binding、参照番号762075)または高結合プレート(Grenier Bio-One、参照番号762074)上に結合された抗NanoLuc抗体(精製されたマウスモノクローナルIgGクローン#965808;カタログ番号MAB10026)を含有していた。TSBおよびポリアネトールスルホン酸ナトリウム(SPS)で希釈された85μLのTSBまたはヒト血液のいずれかを添加した。抗凝固剤としてヘパリンナトリウムを使用して、単一のドナーからヒト血液を採取した。次いで、各ウェルに、TSBまたはTSB中22μg/mLセフォキシチン(FOX)のいずれか15μLを入れた。ウェル中の各成分の最終濃度(150μL体積)は、25%ヒト血液、0.0375%SPSおよび2.2μg/mLFOXであった。次いで、試験ストリップをカバーフィルムで密封し、37℃で2時間インキュベートした。この選択的増菌後に、TSBマトリックスを含有するウェルに20μLのファージ作業用ストックを添加した。ファージ作業用ストックは、8×10のプラーク形成単位/mL(pfu/mL)のMP115.NLおよび6.9×10pfu/mLのSAPJV1.NLを含有した。血液マトリックスを含有するウェルについては、ウェルあたり0.5mgの組換えブドウ球菌プロテインA(pro-356、Prospec、Ness-Ziona、Israel)を20μLのファージ作業用ストック内に含めた。アッセイストリップを再びカバーフィルムで密封し、37℃で3時間インキュベートした。感染後、抗NanoLuc捕捉および対照ストリップを300μLのPBS-T(10mMリン酸ナトリウム、150mMNaCl、0.05%Tween20、pH7.4)で3回洗浄した。洗浄は自動プレート洗浄機(AccuWash、Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)を用いて行った。1μLのNanoGlo基質(Promega、Madison、WI、USA)を含有する100μLのNanoGlo緩衝液(Promega、Madison、WI、USA)を各ウェルに添加した。「洗浄なし+捕捉なし」ストリップは洗浄されず、代わりに、50μLのNanoGlo緩衝液、15μLのTSBおよび1μLのNanoGlo基質を含有する65μLのマスターミックスを加えた。5%のBSAでブロックされたストリップ(ウシ血清アルブミン、Sigma Life Science製品番号A9647)を洗浄した。BSAでブロックされたストリップを、非特異的結合部位についてBSAでブロックした。3分間の待機期間の後、GloMax Navigator(Promega、Madison、WI、USA)を使用して、相対光単位(RLU)としての各試料の信号出力を決定した。バックグラウンドに対するシグナル(S/B)は、その試験マトリックスに対する培地対照で観察されたRLUから各試料からのRLUを割ることによって計算した。
Figure 2023523627000030
表7において、「捕捉なし+洗浄なし」の実施例は、アッセイが培地のみ(TSB)中で行われた場合に、全シグナルの生成およびセフォキシチンによるシグナルの低下を実証した。血液の存在下で行われると、シグナルは消光される。捕捉ストリップが使用されると、血液によって行われる消光の除去のために、シグナルの大幅な増加が存在する。5%のBSAでブロックされたストリップ(ウシ血清アルブミン、Sigma Life Science製品番号A9647)は、非特異的結合を示すためのものである。ここでも、実施例は、全血試料について指標タンパク質が固定化された結合パートナーによって捕捉された場合のシグナル検出の大幅な増加を実証する。さらに、シグナル検出は、抗生物質を含む全血試料に対する捕捉工程によって著しく改善された。驚くべきことに、指標タンパク質は、試料中の他の成分からの妨害を最小限にして、全血試料を使用して検出することができる。
実施例7.NanoLucで被覆されたプレートの滴定。
1.5mg/mLの精製されたNANOLUCのストック溶液をPBS中で1ng/mLに希釈した。PBSでの連続10倍希釈物を、1ng/mLから0.001pg/mLまで作製した。ウサギ抗マウスIgG(Abcam、カタログ番号46540)またはヤギ抗マウスIgG(Abcam、カタログ番号6708)をPBSで10μg/mLに希釈し、100μL/ウェルにピペットで加えた。プレートを2~8°Cで18~20時間インキュベートし、次いで300μLのPBS/ウェル/洗浄で3回洗浄した。マウス抗NanoLuc抗体(精製されたマウスモノクローナルIgG、クローン#965808、R&D Systems、カタログ番号MAB10026)をPBSで1μg/mLに希釈し、ウサギまたはヤギ抗マウスIgGで被覆されたプレートに100μL/ウェルにピペットで加える。非特異的結合決定のために5%のBSAブロックされたストリップを含め、Nanoluc活性測定のために被覆されていないストリップを含めた。アッセイストリップをカバーフィルムで密封し、37℃で3時間インキュベートした。抗体で被覆されたストリップを300μL/ウェルのPBS-T(10mMリン酸ナトリウム、150mMNaCl、0.05%Tween20、pH7.4)で3回洗浄した。洗浄は自動プレート洗浄機(AccuWash、Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)を用いて行った。1μLのNanoGlo基質(Promega、Madison、WI、USA)を含有する100μLのNanoGlo緩衝液(Promega、Madison、WI、USA)を各ウェルに添加した。3分間の待機期間の後、GloMax Navigator(Promega、Madison、WI、USA)を使用して、相対光単位(RLU)としての各試料のシグナル出力を決定した。バックグラウンドに対するシグナル(S/B)は、その試験に対するPBS対照で観察されたRLUから各試料からのRLUを割ることによって計算した。
Figure 2023523627000031
Figure 2023523627000032
表8および9は、ウサギ抗マウスIgGまたはヤギ抗マウスIgGでコーティングされたプレートが、捕捉/結合表面を改善するためにマウス抗nanolucルシフェラーゼの改善した配向を与えたことを実証している。実際、ウサギ抗マウスIgGまたはヤギ抗マウスIgGでコーティングされたプレートは、指標タンパク質産物を結合するのに利用性がより高い。プレートのコーティングは、改善されたシグナル検出を示したが、これは、マウス抗nanolucルシフェラーゼの配向および指標タンパク質に対する結合部位の利用可能性によるものであり得る。
例示
例示1:試料中のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を検出するための方法であって、試料を取得することと、前記試料に選択剤を添加することと、前記試料を、1またはそれを超える感染因子を含むカクテルと接触させることであって、前記感染因子は、指標遺伝子を含み、黄色ブドウ球菌に対して特異的であり、前記指標遺伝子は、指標タンパク質産物をコードすることと、前記指標タンパク質産物を捕捉することと、前記指標タンパク質産物によって生成されたシグナルを検出することであって、前記シグナルの検出は、前記試料中のMRSAの存在を決定するために使用されることと、を含む、方法。
例示2は、前記選択剤が抗生物質を含む、先行するまたは後続するいずれかの例示の方法である。
例示3は、前記抗生物質がセフォキシチンを含む、先行するまたは後続するいずれかの例示の方法である。
例示4は、前記試料が鼻腔スワブに由来する、先行するまたは後続するいずれかの例示の方法である。
例示5は、前記方法が、試料中の10、9、8、7、6、5、4、3、2個または単一の細菌を検出する、先行するまたは後続するいずれかの例示の方法である。
例示6は、前記カクテルが、少なくとも2つの異なる種類の組換えバクテリオファージを含み、前記組換えバクテリオファージの少なくとも1つが、ISP、MP115またはこれらの組み合わせに由来する、先行するまたは後続するいずれかの例示の方法である。
例示7は、前記指標遺伝子がコドン最適化されており、固有のシグナルを生成する可溶性タンパク質産物または基質との反応時にシグナルを生成する可溶性酵素をコードする、先行するまたは後続するいずれかの例示の方法である。
例示8は、コドン最適化された指標遺伝子の上流に非翻訳領域をさらに含み、前記非翻訳領域がバクテリオファージ後期遺伝子プロモーターを含む、先行するまたは後続するいずれかの例示の方法である。
例示9は、前記捕捉する工程が、前記指標タンパク質産物を表面と接触させることを含む、先行するまたは後続するいずれかの例示の方法である。
例示10は、前記表面が、マイクロタイタープレート、ラテックス粒子、ラテラルフローストリップ、ビーズ、磁性粒子またはディップスティックである、先行するまたは後続するいずれかの例示の方法である。
例示11は、前記指標タンパク質産物を捕捉する前に、固定化された結合パートナーを前記表面上に堆積させることをさらに含む、先行するまたは後続するいずれかの例示の方法である。
例示12は、前記固定化された結合パートナーが抗体またはその断片である、先行するまたは後続するいずれかの例示の方法である。
例示13は、前記固定化された結合パートナーを含む前記表面を洗浄することをさらに含む、先行するまたは後続するいずれかの例示の方法である。
例示14は、前記指標タンパク質産物を捕捉した後に前記表面を洗浄することをさらに含む、上先行するまたは後続するいずれかの例示の方法である。
例示15は、前記指標タンパク質産物を検出することによって生成されるシグナル対バックグラウンドの比が少なくとも2.0または少なくとも2.5である、先行するまたは後続するいずれかの例示の方法である。
例示16は、前記試料が、24時間、23時間、22時間、21時間、20時間、19時間、18時間、17時間、16時間、15時間、14時間、13時間、12時間、11時間、10時間、9時間、8時間、7時間、6時間、5時間、4時間、3時間または2時間未満の増菌期間にわたって、増殖に有利な条件で最初にインキュベートされる、先行するまたは後続するいずれかの例示の方法である。
例示17は、試料を取得することと、前記試料を、1またはそれを超える感染因子を含むカクテルと接触させることであって、前記感染因子は、指標遺伝子を含み、微生物に対して特異的であり、前記指標遺伝子は、指標タンパク質産物をコードすることと、前記指標タンパク質産物を表面と接触させることであって、前記表面は前記指標タンパク質産物を捕捉するための固定化された結合パートナーを備えることと、前記指標タンパク質産物によって生成されたシグナルを検出することであって、前記シグナルの検出は、前記試料中の前記微生物の存在を決定するために使用されることと、を含む、先行するまたは後続するいずれかの例示の方法である。
例示18:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を検出するためのキットであって、鼻腔スワブと、黄色ブドウ球菌に対して特異的な組換えバクテリオファージおよび抗生物質を含むアッセイと、指標タンパク質産物を捕捉するための表面と、を含む、キット。
例示19は、前記表面が固定化された結合パートナーを含む、先行するまたは後続するいずれかの例示のキットである。
例示20は、前記抗生物質がセフォキシチンを含む、先行するまたは後続するいずれかの例示のキットである。
本開示は、示されたおよび説明された正確な詳細に限定されず、当業者に明らかな変形は、特許請求の範囲によって定義される本開示内に含まれる。

Claims (20)

  1. 試料中のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を検出するための方法であって、
    試料を取得することと、
    前記試料に選択剤を添加することと、
    前記試料を、1またはそれを超える感染因子を含むカクテルと接触させることであって、前記感染因子は、指標遺伝子を含み、黄色ブドウ球菌に対して特異的であり、前記指標遺伝子は、指標タンパク質産物をコードする、ことと、
    前記指標タンパク質産物を捕捉することと、
    前記指標タンパク質産物によって生成されたシグナルを検出することであって、前記シグナルの検出は、前記試料中のMRSAの存在を決定するために使用される、ことと、
    を含む、方法。
  2. 前記選択剤が抗生物質を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記抗生物質がセフォキシチンを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記試料が鼻腔スワブに由来する、請求項1に記載の方法。
  5. 前記方法が、試料中の10、9、8、7、6、5、4、3、2個または単一の細菌を検出する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記カクテルが、少なくとも2つの異なる種類の組換えバクテリオファージを含み、前記組換えバクテリオファージの少なくとも1つが、ISP、MP115またはこれらの組み合わせに由来する、請求項1に記載の方法。
  7. 前記指標遺伝子がコドン最適化されており、固有のシグナルを生成する可溶性タンパク質産物または基質との反応時にシグナルを生成する可溶性酵素をコードする、請求項1に記載の方法。
  8. コドン最適化された指標遺伝子の上流に非翻訳領域をさらに含み、前記非翻訳領域がバクテリオファージ後期遺伝子プロモーターを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記捕捉する工程が、前記指標タンパク質産物を表面と接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記表面が、マイクロタイタープレート、ラテックス粒子、ラテラルフローストリップ、ビーズ、磁性粒子またはディップスティックである、請求項9に記載の方法。
  11. 前記指標タンパク質産物を捕捉する前に、固定化された結合パートナーを前記表面上に堆積させることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
  12. 前記固定化された結合パートナーが抗体またはその断片である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記固定化された結合パートナーを含む前記表面を洗浄することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  14. 前記指標タンパク質産物を捕捉した後に前記表面を洗浄することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記指標タンパク質産物を検出することによって生成されるシグナル対バックグラウンドの比が少なくとも2.0または少なくとも2.5である、請求項1に記載の方法。
  16. 前記試料が、24時間、23時間、22時間、21時間、20時間、19時間、18時間、17時間、16時間、15時間、14時間、13時間、12時間、11時間、10時間、9時間、8時間、7時間、6時間、5時間、4時間、3時間または2時間未満の増菌期間にわたって、増殖に有利な条件で最初にインキュベートされる、請求項1に記載の方法。
  17. 試料中の微生物を検出するための方法であって、
    試料を取得することと、
    前記試料を、1またはそれを超える感染因子を含むカクテルと接触させることであって、前記感染因子は、指標遺伝子を含み、微生物に対して特異的であり、前記指標遺伝子は、指標タンパク質産物をコードする、ことと、
    前記指標タンパク質産物を表面と接触させることであって、前記表面は前記指標タンパク質産物を捕捉するための固定化された結合パートナーを備える、ことと、
    前記指標タンパク質産物によって生成されたシグナルを検出することであって、前記シグナルの検出は、前記試料中の前記微生物の存在を決定するために使用される、することと、
    を含む、方法。
  18. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を検出するためのキットであって、
    鼻腔スワブと、
    黄色ブドウ球菌に対して特異的な組換えバクテリオファージおよび抗生物質を含むアッセイと、
    指標タンパク質産物を捕捉するための表面と、
    を含む、キット。
  19. 前記表面が、固定化された結合パートナーを備える、請求項18に記載のキット。
  20. 前記抗生物質がセフォキシチンを含む、請求項18に記載のキット。
JP2022565846A 2020-04-30 2021-04-30 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を検出するための組成物、方法およびシステム Pending JP2023523627A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US202063018081P 2020-04-30 2020-04-30
US63/018,081 2020-04-30
PCT/US2021/030127 WO2021222723A1 (en) 2020-04-30 2021-04-30 Compositions, methods, and systems for detecting methicillin-resistant staphylococcus aureus

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2023523627A true JP2023523627A (ja) 2023-06-06
JPWO2021222723A5 JPWO2021222723A5 (ja) 2024-05-09

Family

ID=76059988

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022565846A Pending JP2023523627A (ja) 2020-04-30 2021-04-30 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を検出するための組成物、方法およびシステム

Country Status (9)

Country Link
US (1) US20210341477A1 (ja)
EP (1) EP4143570A1 (ja)
JP (1) JP2023523627A (ja)
CN (1) CN116018518A (ja)
AU (1) AU2021265261A1 (ja)
BR (1) BR112022022046A2 (ja)
CA (1) CA3181416A1 (ja)
MX (1) MX2022013593A (ja)
WO (1) WO2021222723A1 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2003302118A1 (en) * 2002-05-10 2004-06-15 Epitome Biosystems, Inc. Unique recognition sequences and methods of use thereof in protein analysis
US10519483B2 (en) 2012-02-21 2019-12-31 Laboratory Corporation Of America Holdings Methods and systems for rapid detection of microorganisms using infectious agents
EP3649251A1 (en) * 2017-07-07 2020-05-13 Laboratory Corporation of America Holdings Methods and systems for detection of antibiotic resistance
MX2020011122A (es) * 2018-04-24 2020-11-11 Laboratory Corp America Holdings Bacteriofago indicador para seleccionar y monitorear la eficacia de agentes terapeuticos y metodos de uso del mismo.

Also Published As

Publication number Publication date
CN116018518A (zh) 2023-04-25
AU2021265261A1 (en) 2022-11-24
CA3181416A1 (en) 2021-11-04
MX2022013593A (es) 2023-01-18
BR112022022046A2 (pt) 2022-12-13
WO2021222723A1 (en) 2021-11-04
US20210341477A1 (en) 2021-11-04
EP4143570A1 (en) 2023-03-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7210518B2 (ja) 組み換えバクテリオファージを使用する、微生物の迅速検出のための方法及びシステム
JP7048564B2 (ja) 微生物の検出のための方法およびシステム
US20200140919A1 (en) Methods and Systems for Rapid Detection of Microorganisms Using Infectious Agents
US20040137430A1 (en) Assays to detect or quantify bacterial or viral pathogens and contaminants
WO2006050193A2 (en) Bacteriophages as selective agents
JP2002500892A (ja) 抗生物質感受性試験
US20190276868A1 (en) Methods for Detecting Microorganisms Using Microorganism Detection Protein and Other Applications of Cell Binding Components
US20210079443A1 (en) Indicator bacteriophage for selecting and monitoring for efficacy of therapeutics and methods for using same
JP2023029609A (ja) 抗生物質耐性の検出のための方法およびシステム
JP2023182818A (ja) 感染性因子を使用するCronobacterの迅速検出のための方法およびシステム
JP2023523627A (ja) メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を検出するための組成物、方法およびシステム
CN117545846A (zh) 使用肽标记的重组传染性病原体多重检测微生物的组合物和方法
CN113196060A (zh) 用于检测微生物的自给式装置和系统
Van der Merwe The development of a novel fluorescentmarker phage technology system for the early diagnosis of tuberculosis disease

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240424

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240424