JP2023521191A - 超低排出エチレンプラント - Google Patents

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Abstract

【解決手段】本発明はエチレンプラントに関し、エチレンプラントは、炭化水素供給原料を分解ガス流に変換するための分解炉と、分解ガス流から少なくともエチレンが豊富な生成流、水素が豊富な燃料流及びメタンが豊富な燃料流を供給するように構成されている分離部と、分離部から分解炉の燃焼器に水素が豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための通路、及び/又は、分離部からコンバインドサイクルガスタービン発電プラント(CCGT)の廃熱回収ボイラの燃焼器に水素が豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための通路と、メタンが豊富な燃料を貯蔵するように構成されているメタン貯蔵部、及び分離部からメタン貯蔵部にメタンが豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための通路と、燃焼器を含むガスタービン、及び、メタン貯蔵部からCCGTのガスタービンの燃焼器にメタンが豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための通路を有するCCGTであって、エチレンプラントの蒸気発生回路の一部を形成する蒸気タービンを駆動するために電力及び/又は高圧蒸気を発生させるように構成されているCCGTと、エチレンプラントを作動させるために電力の一部を供給するように構成されており、再生可能エネルギー源から電力を発生させるための電力システムへの連結部である電力連結部とを備えている。

Description

本発明は、エチレンプラント、及びこのようなプラントでエチレンを製造するためのプロセスに関する。本発明は更に、エチレンプラントを用いて再生可能エネルギーを一時的に貯蔵するための方法、及びエチレンプラントを用いて水素をメタンが豊富なガスに間接的に変換するための方法に関する。
例えば米国特許第4479869 号明細書に開示されているような従来の分解炉システムは、一般に対流部を備えており、対流部内で炭化水素供給原料を予熱する及び/又は部分的に蒸発させ、希釈蒸気と混合して供給原料-希釈蒸気混合物を与える。このシステムは、少なくとも1つの放射コイルを火室に有する放射部を更に備えており、放射部内で、対流部からの供給原料-希釈蒸気混合物を熱分解によって高温で生成物成分及び副生成物成分に変換する。このシステムは、熱分解副反応を止めて生成物に有利な反応の平衡を維持するために、放射部からの生成物又は分解ガスを迅速に急冷するように構成されている少なくとも1つの急冷交換器、例えば移送ライン交換器を有する冷却部を更に備えている。移送ライン交換器からの熱を高圧蒸気の形態で回収することができる。
このような従来のシステムの欠点は、熱分解反応のために多くの燃料を供給する必要があるということである。この燃料消費量を減らすために、火室効率、つまり放射コイルに吸収される火室内の放出熱の割合を著しく高めることができる。しかしながら、火室効率を高めた従来の分解炉システムの対流部における熱回収機構は、放射部に送るために最適温度に達するように炭化水素供給原料を加熱する能力を僅かしか有さない。その結果、燃料消費量を減らし、ひいてはCO2 排出量を減らすことは従来の分解炉システム内ではほとんど不可能である。
国際公開第2018/229267号パンフレットでは、この問題に対処し、分解炉の火室効率を大幅に高めて、分解炉からのCO2 排出量を削減している。しかしながら、国際公開第2018/229267号パンフレットに記載されているような高効率分解炉は、分解ガス圧縮器、プロピレン冷凍圧縮器、エチレン冷凍圧縮器のようなエチレンプラントの圧縮器及び/又はポンプなどの機械を直接駆動するか又は発電のために蒸気を使用した後に駆動するために有用な高圧蒸気の発生を大幅に減少させる可能性もある。例えば、本発明者の内部調査に基づくと、分解炉の効率を約40%から約54%に高めると、蒸気発生量を約2/3に減らし得る。その結果、CO2 排出量の削減の副作用として、これらの圧縮器全てを駆動するために利用可能な蒸気が不足する。
本発明者は最近、国際公開第2018/229267号パンフレットの欠点に対処して、発生する電力の二酸化炭素排出量、つまり、発生する電力のkW当たりのCO2排出量を削減できる、エチレンプラントで機械を駆動するための改良された方法及びシステムを発明した(未公開の欧州特許出願第19178729.0号参照)。ここには、一体化されたエチレン・発電プラントシステムが記載されており、分解炉からの高圧蒸気の発生量の低下を補償することができ、分解炉で生成される過剰な燃料ガスが、著しく多い電力を発生させるために使用される。
エチレンプラントのエネルギー効率を向上させるため、及び/又は温室効果ガス排出量を削減するために、これを達成するための既知の手段の代替として又はこのような既知の手段に加えて使用され得る更なる方法が依然として必要である。再生可能エネルギーシステムの電力容量の変動の均衡を保つことができて堅牢な、エネルギー効率の良い低排出エチレンプラントを提供することが更に望ましい。
現在、再生可能エネルギー源から電力需要の少なくとも一部を受けるエチレンプラントを提供することにより、これらの必要性の一又は複数に対処し得ることが分かっており、特定の燃料留分が特定の方法でエチレンプラント内に送られる。
特に、本発明者は、エネルギー効率が向上するにつれて、より多くの過剰な燃料が、分解された炭化水素ガス流の一部として分解炉を出ることを認識している。この燃料は通常、相当量のメタンを含むだけでなく、相当量の水素も含む。水素は、更なる化学プロセス、特に水素化において有用な生成物であるが、メタンは、現在の経済において燃焼以外の他の用途がほとんどない。メタンは最終的にCO2 を大気中に放出することになる。本発明者は更に、分解ガスを(エチレンが豊富な留分を含む)一又は複数のオレフィンが豊富な一又は複数の留分だけでなく、エチレンプラント内で燃料として機能するガスが豊富な少なくとも2つの異なる留分、すなわち分解ガスの水素が豊富な燃料留分及びメタンが豊富な燃料留分にも分離することに利点があることを認識している。
従って、本発明は、エチレンプラントであって、
炭化水素供給原料を分解ガス流に変換するための分解炉と、
前記分解ガス流から少なくともエチレンが豊富な生成流、水素が豊富な燃料流及びメタンが豊富な燃料流を供給するように構成されている分離部と、
前記分離部から前記分解炉の燃焼器に前記水素が豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための通路、及び/又は、前記分離部からコンバインドサイクルガスタービン発電プラント(CCGT)の廃熱回収ボイラの燃焼器に前記水素が豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための通路と、
メタンが豊富な燃料を貯蔵するように構成されているメタン貯蔵部、及び前記分離部から前記メタン貯蔵部に前記メタンが豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための通路と、
燃焼器を含むガスタービン、及び、前記メタン貯蔵部からCCGTのガスタービンの燃焼器に前記メタンが豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための通路を有するCCGTであって、前記エチレンプラントの蒸気発生回路の一部を形成する蒸気タービンを駆動するために電力及び/又は高圧蒸気を発生させるように構成されているCCGTと、
前記エチレンプラントを作動させるために電力の一部を供給するように構成されており、再生可能エネルギー源から電力を発生させるための電力システムへの連結部である電力連結部と
を備えている、エチレンプラントに関する。
通常、本発明に係るエチレンプラントは、
炭化水素供給原料を、エチレン、水素及びメタンを含む分解ガス流に変換するための分解炉と、
分解ガス流を分離して、少なくともエチレンが豊富な生成流、水素が豊富な燃料流及びメタンが豊富な燃料流を供給するように構成されている分離部と、
分離部から分解炉の燃焼器に水素が豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための通路、及び/又は、分離部からコンバインドサイクルガスタービン発電プラント(CCGT)の廃熱回収ボイラの燃焼器に水素が豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための通路と、
分離部から直接得られるか、又は分離部からのガス状のメタンが豊富な燃料流を液化した後に得られる液化されたメタンが豊富な燃料を貯蔵するように構成されているメタン貯蔵部、及び、液化されたメタンが豊富な燃料の一部を分離部からメタン貯蔵部に供給するための通路と、
燃焼器を含むガスタービン、及び、液化されたメタンが豊富な燃料の少なくとも一部をガス状のメタンが豊富な燃料に変換するように構成されている蒸発器ユニットを介してメタン貯蔵部からCCGTのガスタービンの燃焼器に液化されたメタンが豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための通路を有するコンバインドサイクルガスタービン(CCGT)であって、エチレンプラントの蒸気発生回路の一部を形成する蒸気タービンを駆動するために電力及び/又は高圧蒸気を発生させるように構成されているCCGTと、
エチレンプラントを作動させるために必要な電力の一部を供給するように構成されており、再生可能エネルギー源から電力を発生させるように構成されている電力システムへの連結部である電力連結部と
を備えている。
本発明は、本発明に係るエチレンプラントの使用を含む、炭化水素供給原料からエチレンを生成するためのプロセスに更に関する。
一般に、本発明に係る炭化水素供給原料からエチレンを生成するプロセスでは、
上述したエチレンプラントの分解炉で炭化水素を分解し、エチレン、水素及びメタンを含み水素を含む分解ガスを発生させ、
水素を含む分解ガスの少なくとも一部を、少なくともエチレンが豊富な生成物、水素が豊富な燃料及びメタンが豊富な燃料に分離し、
前記分離部から前記分解炉の燃焼器に前記水素が豊富な燃料の少なくとも一部を供給する、及び/又は、前記分離部からコンバインドサイクルガスタービン発電プラント(CCGT)の廃熱回収ボイラの燃焼器に前記水素が豊富な燃料の少なくとも一部を供給し、
前記分離部から液体として直接得られるか、又は前記分離部からのガス状のメタンが豊富な燃料流を液化した後に得られるメタンが豊富な燃料の少なくとも一部をメタン貯蔵部に供給し、
前記メタンが豊富な燃料の少なくとも一部を前記メタン貯蔵部からCCGTの燃焼器に供給し、前記メタン貯蔵部からのメタンが豊富な燃料を前記燃焼器に供給する前に蒸発させ、
CCGTの燃焼器に供給される蒸発したメタンが豊富な燃料をCCGTで燃焼させ、電力を発生させる、及び/又は、前記エチレンプラントの蒸気発生回路の一部を形成する蒸気タービンを駆動するための(高圧)蒸気を発生させ、
前記電力の少なくとも一部は、再生可能エネルギー源から発生する電力である。
通常火室に(燃料を燃焼するように構成されている)一又は複数の燃焼器を有する分解炉、つまり、燃焼式分解炉を備えたエチレンプラントは、本発明によって提供される構成から特に大きな利益を得る。しかしながら、更に有利な実施形態では、炭化水素を熱分解するように構成されている別のタイプの炉がエチレンプラントに設けられている。燃焼式分解炉に特に適した代替案は、ロトダイナミック熱分解反応器(別名RDR )である。このような分解炉は、例えばCoolbrook (フィンランド,ヘルシンキ;オランダ,へレーン)で本技術分野ではよく知られている。例えば、https:// coolbrook.com/technology/を参照。更に別の有利な実施形態では、エチレンプラントは電気加熱式分解炉を備えている。特定の実施形態では、エチレンプラントは2種類以上の分解炉を備えている。
以下の記載は、特に指定されていない限り、燃焼式分解炉を備えたプラントに焦点を当てるが、記載される原理は、別の種類の分解炉、例えばロトダイナミック分解炉又は電気加熱式分解炉を備えたプラントに、必要な変更を加えて適用され得る。当業者は、本開示に基づいて、図の機構を変更することができる。例えば、当業者が理解するように、ロトダイナミック反応器(RDR) 又は電気加熱式分解炉は、供給原料を加熱するための燃焼器を必要としない。反応ゾーン外からの供給原料混合物を燃焼した(炭素ベースの)燃料からの熱で加熱する代わりに、RDR の高速ロータブレードは、反応ゾーン内の混合物を迅速且つ更に効率的に加熱するための熱エネルギーを生み出す。RDR のモータは電力で駆動され得る。RDR に燃焼器が設けられない場合、RDR を備えたエチレンプラントは、分離部からCCGTの廃熱回収ボイラの燃焼器に水素が豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための通路を備える。同様に、電気加熱式分解炉に燃焼器が設けられていない場合、電気加熱式分解炉を備えたエチレンプラントは、分離部からCCGTの廃熱回収ボイラの燃焼器に水素が豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための通路を備えている。
本発明は、燃料(及び/又は別のエネルギー源)の大規模な消費者及び燃料生産者、すなわちエチレンプラントの使用を可能にし、メタンが豊富な燃料の形態で電力を一時的に貯蔵する手段を提供して、再生可能エネルギー源に関連する電力変動を克服する。加えて、分解炉のための主要な熱供給源として(分解中にエチレンプラントで生成される)水素とメタンが豊富なガスを置き換えることにより、他の場所で使用され得る電力を発生させるためのエネルギー供給源として水素の代わりにメタンが豊富な燃料が利用可能になる。この燃料は、水素よりガスタービンの駆動に適した燃料ガスを供給し、貯蔵し易い。本発明は、再生可能エネルギーを電力網に大規模に導入するための方法を提供し、これらの再生可能エネルギー源からの電力の大きな変動に関する問題を主に解決する。石油化学業界で(恐らく)最大の燃料消費者及び燃料生産者であるエチレンプラントをバッテリーとして使用することにより、ピーク期間中の電力が、液化されたメタンが豊富なガスの形態で貯蔵され得る。再生可能エネルギーの利用可能性が低い又は無い期間中、貯蔵されたメタンが豊富なガスは、発電のためにコンバインドサイクルガスタービン(CCGT)システムを用いて電力を供給するために使用され得る。
従って、本発明は更に、本発明に係るエチレンプラント又はプロセスを用いて再生可能エネルギーを一時的に貯蔵するための方法に関する。
従って、本発明は更に、本発明に係るエチレンプラント又はプロセスを用いて水素をメタンが豊富なガスに間接的に変換するための方法に関する。
本発明は、上述した文献と比較して、特定のCO2 排出量を更に低下させる限界に挑戦するものである。特に、本発明は、以下に更に詳細に述べられるように、例えば天候の変化(太陽光、風力など)、昼夜のサイクル(太陽光)、必要な再生可能エネルギー源(水力、バイオマス)からの供給の変動、再生可能エネルギーの利用可能性を超える電力需要のピーク、又は、再生可能エネルギーの容量の不測の低下(例えば再生可能エネルギープラントの故障若しくは電力供給通路の障害)のために、再生可能エネルギー源からの電力の利用可能性が常に十分ではない場合でも、再生可能エネルギー源からエチレンプラントへの電力を効率的に使用するための実際的な方法を提供する。
従って、本発明は、再生可能エネルギー源からの電力を、CCGTが一体化された部分であるエチレンプラントによって発生する電力及び/又は蒸気と組み合わせるものである。組み合わされる総電力出力は、再生可能エネルギーの出力の変動又は需要の変動に応じて、CCGTによって発生する電力を調整することによって均衡を保たれる(例えば調整されるか又は安定する)ことが可能である。このため、再生可能エネルギーが過剰に利用可能な期間中、エチレンプラントからの過剰な燃料ガスを貯蔵するための燃料貯蔵部の導入が必要である。再生可能エネルギーが不足している期間中、CCGT発電プラントを利用することにより、電力レベルが維持され得る。このような状況では、CCGTは、エチレンプラントから直接供給される過剰な燃料ガス、及び/又は、加えて貯蔵された燃料ガスで作動する。このようにして、電力は、より確実且つ連続的にプラント内で使用される及び/又は電力網に供給されることが可能である。本発明によれば、従来の分解炉を備えた従来のエチレンプラントと比較して、生成されるエチレン1トン当たりの特定のCO2 排出量を少なくとも約30%削減することが実現可能である。少なくとも燃焼式分解炉では、この削減は、分解炉の火室効率を40%から50%以上に高めることで達成される。参照した以前の特許では、高効率炉が48%以上の火室効率を有すると記載されている。以下の実施例参照。
これは、分解炉を加熱するためにメタンが豊富なガスの少なくとも一部と共に水素が豊富な過剰な燃料ガスを優先的に燃焼することにより達成される。高効率分解炉が設けられているため生成されるメタンが豊富な過剰なガスは、ピーク負荷中に貯蔵に使用されることができ、再生可能エネルギーを十分利用できない期間中に利用可能にすることができる。メタンが豊富なガスは、ガスタービンの燃焼室に供給されることができるか、又はCCGTの排熱回収ボイラでの補助燃焼に使用されることができる。
本発明者は、このためにメタンが豊富な流れを特に使用することに利点があり、CO2 排出量にプラスの影響を与える可能性があることを認識し、特に、水素の貯蔵はメタンの貯蔵より複雑であり、より高い圧力及び/又はより低い温度を必要とし、等価の緩衝剤を貯蔵するために追加のエネルギーを要する可能性がある。
加えて、分解炉は一般に相当量の水素を含む燃料を扱うように構成されているが、ガスタービンはそのように構成されていない。水素がガスタービンの燃焼室に導入される場合、対応する比較的高い火炎温度は、ガスタービンの過熱を引き起こす可能性がある。従って、メタンが豊富な燃料を緩衝剤として使用するという選択は、システムの構成の簡素化及びCO2 排出量の削減の両方の点で実用的な利点を提供し得る。
CCGTが典型的には不可欠な部分を形成し、再生可能エネルギー源から電力を取り込み、生じるメタンが豊富な過剰な燃料のための貯蔵部を備える、本発明のエチレンプラント/プロセスを概略的に示す図である。 電解槽が設けられているプラント/プロセスと、電力及びメタンが豊富な燃料の流れ方向とを概略的に示す流れ図である。 従来の分解炉(つまり、低排出ではない)を備えたエチレンプラント構成の結果を示す図である。 メタンを貯蔵しない参考用の低排出エチレンプラント(実施例1)で供給された/発生した全体的な電力の結果を示す図である。 電解槽無しで実施例2に従って本発明に係るエチレンプラントで供給された/発生した全体的な電力の結果を示す図である。 再生可能エネルギーが利用可能な状態で、実施例2に従って供給された/発生した電力の結果を示す図である。 再生可能エネルギーが利用可能でない状態で、実施例2に従って供給された/発生した電力の結果を示す図である。 電解槽を備えて実施例3に従って本発明に係るエチレンプラントで供給された/発生した全体的な電力の結果を示す図である。 再生可能エネルギーが利用可能な状態で、実施例3に従って供給された/発生した電力の結果を示す図である。 再生可能エネルギーが利用可能でない状態で、実施例3に従って供給された/発生した電力の結果を示す図である。 電解槽が設けられている、本発明に係るエチレンプラント/プロセスを概略的に示す図である。エチレンプラント/プロセスは、再生可能エネルギー源から電力を取り込み、生じるメタンが豊富な過剰な燃料のための貯蔵部を備えている。
図面では、ユニット間の実線は一般に流体(気体、液体)の通過経路(又は流れ)を表し、例えばユニット31, 41, 42, 43間の点線(...) は通信/調整信号を表し、特にユニット10, 15, 16, 31-33, 61 間の破線(_._.)は電力を表す。更に、太い実線で記載されている箱(特に箱51, 52, 139, 141, 142 )は、図面に示されている例示的な実施形態における(一体化された低排出)エチレン(・発電)プラントに属するものを示すために使用されている。
当業者は、共通の一般的な知識及び任意に本明細書に挙げられている文献の一又は複数と組み合わせて本開示を使用して、分解炉、分離部、メタンが豊富な燃料を液化する手段(例えばエチレンプラントの冷却トレイン)、メタン貯蔵部、CCGT、再生可能エネルギーシステム、任意の設備、例えば(以下に更に記載される)電解槽などのエチレンプラントの適切な作動ユニットを構成して作動させることが可能である。
図1は、本発明に係る再生可能エネルギー搬入部を備えて一体化された低排出エチレン・発電プラント(51)を概略的に示す。使用中、炭化水素供給原料(21)が分解炉(1) に供給され、燃料、通常メタンが豊富な燃料及び/又は水素が豊富な燃料で加熱される。参照符号23a-23c は水素が豊富な燃料の流れを示し、参照符号24a-24j はメタンが豊富な燃料の流れを示す。分解ガス(22)は、分離部(2) で少なくともエチレンが豊富な生成流(25)、水素が豊富な燃料流(23a) 、及び少なくとも1つのメタンが豊富な燃料流(24a) に分離される。メタンが豊富な燃料流は、分離部(2) で液化流として得られることができるか、又はその少なくとも一部が液化を受けるガスとして得られることができる。分離部(2) では、液化されたメタンが豊富な流れ及びガス状のメタンが豊富な流れの両方を得ることが更に可能である。通常、燃焼式分解炉を備えたプラントでは、水素が豊富な燃料又はその一部が、例えば図1(参照符号23c )に示されているように分解炉(1) の燃焼器に戻されるが、或いは又は加えて、分離部からCCGTの廃熱回収ボイラ(8) の燃焼器に水素が豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための通路(参照符号23b )が更に設けられてもよい。分離部(2) から分解炉の燃焼器に(例えば燃料ライン24g 及び燃料ライン24j を介して)戻すメタンが豊富な燃料通路、並びに/又は分離部(2) からガスタービン燃焼室(5) に(例えば燃料ライン24g 及び燃料ライン24j を介して)送るメタンが豊富な燃料通路が更に設けられてもよい。メタンが豊富な燃料流をメタン貯蔵部(3) に供給するための通路(24a) が設けられており、メタン貯蔵部では、メタンが豊富な燃料は通常、更に使用されるまで液化状態で貯蔵される。液化されたメタンが豊富な燃料の少なくとも一部を貯蔵部(3) から、液化されたメタンが豊富な燃料の少なくとも一部からガス状のメタンが豊富な燃料を与えるための蒸発器(4) に供給するための通路(24b) が設けられており、そのため、ガス状のメタンが豊富な燃料を、コンバインドサイクルガスタービン回路のユニットの燃焼室(5) に供給することが可能である。図1には、燃焼空気圧縮器(7) を更に備えているCCGTのガスタービン(6) の燃焼室(5) への燃料ライン(24c, 24e)が示されている。この圧縮器は、燃焼に必要な空気(26)を供給する。この燃焼空気圧縮器は、例えば図示されているようにガスタービン(6) と一体化されてもよいが、蒸気タービン又は電気モータなどの他の手段によって駆動され得る。ガスタービン(6) は、発電プラントの発電機又はエチレンプラントの圧縮器であるユニット15を駆動するように構成されている。ガスタービンが発電機を駆動する場合、電力は通常、図1に示されているように内部電力網(31)に送られる。ガスタービンがエチレンプラントの圧縮器を駆動する場合、内部電力網への電力連結部は必要ない。
蒸発器(4) から分解炉(1) への通路(ライン24c, 24f)が設けられてよい。
廃熱回収ボイラ(8) への燃料の通路が、例えば、分離部2 から燃料ライン23b 及び/若しくは燃料ライン24g 及び燃料ライン24h を介して、並びに/又は蒸発器4 から燃料ライン24c 及び燃料ライン24d を介して更に設けられてもよい。使用中、CCGTによって発電が可能である、及び/又はエチレンプラントに高圧蒸気(29)を供給することが可能である。ガスタービン(6) から廃熱回収ボイラ(8) への排気ガス(27)の通路が設けられており、廃熱回収ボイラは、発電機(10)を駆動することにより電力を発生させるように構成されている蒸気タービン(9) を作動させる、及び/又は、エチレンプラントの圧縮器及び/又はポンプ(16)を作動させるように構成されている蒸気タービン(11)を作動させるために使用される(非常に高い)高圧蒸気を発生させる。エチレンプラントの圧縮器又はポンプが蒸気タービンによって駆動されない場合、内部電力網(31)に連結されている電力連結部を使用して、エチレンプラントの機械を駆動するために電気モータが使用され得る。このようにして、再生可能エネルギー源から電力を供給することができる。一又は複数の蒸気タービン(9, 11) の下流側に、一又は複数の蒸気タービンを出る蒸気を凝縮するための表面凝縮器(12, 13)が設けられている。そのため、凝縮した水をボイラ給水(28)としてポンプ(14)を介して廃熱回収ボイラ(8) に送り返すことが可能である。プラントは、内部電力網(31)を更に備えており、プラントのユニットは、必要に応じて内部電力網から電力を受けることができ、コンバインドサイクルガスタービン回路で発生する電力を内部電力網に供給することができる。プラントは、内部電力網(31)を介して外部電力網(32)に連結されている。図1では、再生可能エネルギー源(33)が、有利には内部電力網を介してプラントに連結されているが、外部電力網を介してのみ、又は外部電力網及び内部電力網の両方を介して再生可能エネルギーを得ることが更に可能である。図1は、分解炉(1) 、燃焼室(5) 及び廃熱回収ボイラ(8) への燃料の流れの分配を調整するための電力出力制御システム(41)、燃焼制御システム(42)及び複数の制御バルブ(43)を更に示している。
図11は、図1と略同様である。図11のプラントは、電力を使用して水(62)を水素(63)及び酸素(64)に変換するように構成されている電解槽(61)を更に備えている。より多くの余剰燃料を生成して、ひいては、請求項7~17及び請求項22~24に定義されて本明細書に更に記載されているように、本発明に係るエチレンプラントと共に再生可能エネルギーの一時的な貯蔵のための方法を提供するために、分解炉で燃料として使用するために水を水素に変換するために電解槽を設けることが、それ自体で発明としてみなされ得る。電解槽で生成される水素は、本発明に係るプラントで燃料として使用される。このようにして、図11は、再生可能エネルギー搬入部及び電解槽を備えて一体化された低排出エチレン・発電プラント(52)を示す。電解槽で使用される電力の少なくとも一部は(再生可能エネルギー源33からの)再生可能エネルギーである。内部網(31)、例えば発電機10からの電力を使用して電解槽で水を電気電解することが更に可能である。発生する水素(63a) を電解槽から分解炉の燃焼器に供給するための通路が設けられてもよく、及び/又は、発生する水素(63b) を電解槽からCCGTの廃熱回収ボイラの燃焼器に供給するための通路が設けられてもよい。他の参照符号の説明については図1の説明参照。
分解炉は、原則として、既知の従来の分解炉、例えば米国特許第4479869 号明細書に基づくことが可能である。
電力の一時的な貯蔵及び/又はCO2 排出量の特に有利な削減として本発明を特に有利に使用するために、分解炉は、好ましくは高効率炉である。分解炉効率がより高いと、大量のメタンが豊富な燃料ガスを一時的に貯蔵することができ、比較的高価な水素の燃焼を最小限に抑えることができる。
特に、高効率分解炉は、その内容、特に請求項の範囲、図面及び図面の説明が参照により組み込まれる国際公開第2018/229267号パンフレット又は未だ公開されていない欧州出願番号第19198787.4号に基づくことが可能である。これら2つの文献は、供給/排出移送ライン交換器(TLE) 及び供給/排出TLE と直列のボイラコイル又は高温コイルに対して(分解生成物の単位当たりのエネルギーの必要単位に関して)高効率をもたらすための有利な構成を特に記載している。
好ましくは、本発明のエチレンプラントの(高効率)分解炉は、第1の供給原料予熱工程及び第2の供給原料予熱工程を有する、炭化水素供給原料を分解するための方法を行うように構成されており、
第1の供給原料予熱工程では、炭化水素供給原料を分解炉システムの高温の煙道ガスによって予熱し、
第2の供給原料予熱工程では、炭化水素供給原料を分解炉システムの放射部に送る前に分解炉システムの分解ガスの廃熱によって更に予熱する。このような方法は、例えば国際公開第2018/229267号パンフレットに開示されているが、未だ公開されていない欧州出願番号第19198787.4号に記載されているような分解炉システムが、このような方法を行うように更に有利に構成され得る。
第1の供給原料予熱工程及び第2の供給原料予熱工程を有する前記方法は、以下の一又は複数を更に好ましくは有する。
- 前記第2の供給原料予熱工程を、移送ライン交換器を使用して行う。
- ボイラ水を分解炉システムの蒸気ドラムから分解炉システムの対流部内のボイラコイルに送り、前記ボイラ水を高温の煙道ガスによって加熱し、好ましくは蒸発させて、水及び蒸気の混合物を前記蒸気ドラムに戻す。
- 炭化水素供給原料を希釈剤、例えば希釈蒸気と混合して、第2の供給原料予熱工程の前に供給原料-希釈剤混合物を供給する。
- 移送ライン交換器の下流側に設けられた二次移送ライン交換器を使用して、分解炉システムの分解ガスの廃熱によって高圧蒸気を発生させる。
- ボイラ給水を、分解炉システムの蒸気ドラムに送る前に高温の煙道ガスによって予熱する。
- 酸化剤、好ましくは純酸素を分解炉システムの放射部に直接導入することにより、放射部内の断熱火炎温度を上昇させる。
- 煙道ガス再循環回路が設けられていない状態で、分解炉システムの放射部に直接主酸化剤として燃焼空気を導入して、二次酸化剤として酸素、好ましくは窒素を十分除去した酸素を導入することにより、放射部内の断熱火炎温度を上昇させる。
- 酸化剤、例えば燃焼空気及び/又は酸素を、放射部に導入する前に予熱する。
- 酸化剤を、分解炉システムの煙道ガスによって予熱する。
- 煙道ガスの少なくとも一部を再循環させることにより、分解炉システムの放射部内の断熱火炎温度を制御する。
- 酸素を、炉火室に送る前に再循環煙道ガスと混合する。
- ボイラ給水を、分解炉システムの蒸気ドラムに送る前にヒートポンプ回路によって予熱する。
- 有機液体を分解炉システムからの高温の煙道ガスによって加熱して、ヒートポンプ回路の蒸気-液体分離装置に戻す。
- 高圧蒸気からの熱を、ヒートポンプ回路の凝縮器によってボイラ給水に伝える。
- ヒートポンプ回路のヒートシンク内で発生した凝縮液体からの熱を、ヒートポンプ回路の熱源で発生した飽和蒸気に供給排出物交換器によって伝える。
有利な実施形態では、分解炉システムは対流部、放射部及び冷却部を備えており、
対流部は、炭化水素供給原料を受けて予熱するように構成された複数の対流バンクを有しており、
放射部は、熱分解反応を可能にする温度に炭化水素供給原料を加熱するように構成されている少なくとも1つの放射コイルを含む火室を有しており、
冷却部は、少なくとも1つの移送ライン交換器を有しており、
分解炉システムは、炭化水素供給原料を放射部に送る前に移送ライン交換器によって予熱するように構成されている。
このような分解炉システムは、以下の一又は複数を好ましくは更に備えている。
- 対流部は、飽和蒸気を発生させるように構成されたボイラコイルを有しており、前記ボイラコイルは、好ましくは対流部の底部に配置されている。
- 分解炉システムは、ボイラコイル及び/又は二次移送ライン交換器(TLE) に連結されている蒸気ドラムを更に備えており、ボイラコイル及び/又は二次TLE は飽和蒸気を発生させるように構成されている。
- 対流部は、前記炭化水素供給原料を希釈剤、好ましくは希釈蒸気と混合して供給原料-希釈剤混合物を与えるように更に構成されており、移送ライン交換器は、供給原料-希釈剤混合物を放射部に送る前に予熱するように構成されている。
- 分解炉システムは二次移送ライン交換器を更に備えており、二次移送ライン交換器は、飽和高圧蒸気を発生させるように構成されている。
- 火室は、火室効率が40%より高く、好ましくは45%より高く、より好ましくは48%より高いように構成されている。
- 対流部は、飽和蒸気を発生させるためにボイラ給水を予熱するように構成されているエコノマイザを備えている。
- 対流部は、好ましくは対流部の下流側に設けられた酸化剤予熱器を有しており、酸化剤予熱器は、酸化剤、例えば燃焼空気及び/又は酸素を火室に導入する前に予熱するように構成されている。
- 分解炉システムは、好ましくは煙道ガスが外部で再循環しない状態で、酸素を放射部に導入するように構成されている。
- 分解炉システムは、火炎温度を制御するために煙道ガスの少なくとも一部を回収して、前記煙道ガスを放射部に再循環させるように構成されている煙道ガス外部再循環回路を更に備えており、好ましくは煙道ガス外部再循環回路は、酸素を火室に送る前に再循環煙道ガスに導入するように構成されている煙道ガス放出器を有している。
- 分解炉システムは、対流部に設けられた蒸発器コイルと凝縮器とを有するヒートポンプ回路を更に備えており、ヒートポンプ回路は、蒸発器コイルが対流部から熱を回収して、凝縮器が前記熱をボイラ給水に伝えるように構成されており、典型的にはボイラ給水を予熱するように構成されている。
更に詳細については、国際公開第2018/229267号パンフレットを更に参照。
特に、ボイラ給水を予熱するための前記ヒートポンプ回路の有用性は、国際公開第2018/229267号パンフレットの分解炉システムに限定されない。
従って、有利な実施形態では、本発明のエチレンプラントは、分解炉システムのボイラ給水を予熱するためのヒートポンプ回路を有する分解炉システムを備えており、ヒートポンプ回路は、分解炉システムの対流部内の煙道ガスから熱を回収すべく配置された蒸発器コイル、及び前記熱をボイラ給水に伝えるように構成された凝縮器を有している。
前記ヒートポンプ回路は、以下の一又は複数を好ましくは有している。
- ヒートポンプ回路は、蒸発器コイルに連結されて、前記蒸発器コイルからの液体-蒸気混合物から蒸気を分離すべく配置された蒸気-液体分離装置を有している。
- ヒートポンプ回路は、熱源で発生する蒸気を過熱して、ヒートポンプ回路のヒートシンクで生成される液体を過冷却すべく配置された供給排出物交換器を有している。
- ヒートポンプ回路は、前記蒸気の凝縮温度がボイラ給水に伝えられる所望の温度を超えるように、蒸気圧を上昇させるべく配置された圧縮器を有している。
更に詳細については、国際公開第2018/229267号パンフレットを更に参照。
更に有利な実施形態では、分解炉システムは、対流部、放射部及び冷却部を備えており、対流部は、炭化水素供給原料を受けて予熱するように構成された、第1の高温コイルを含む複数の対流バンクを有しており、放射部は、熱分解反応を可能にする温度に炭化水素供給原料を加熱するように構成されている少なくとも1つの放射コイルを有する火室を有しており、
冷却部は、少なくとも1つの移送ライン交換器を有しており、
分解炉システムは、炭化水素供給原料を放射部に送る前に移送ライン交換器によって予熱するように構成されている。
この分解炉システムは、以下の一又は複数を好ましくは備えている。
- 対流部は、炭化水素供給原料が移送ライン交換器から出た後であって、放射部に入る前に炭化水素供給原料を予熱するように構成されている第2の高温コイルを有している。
- 第2の高温コイルは、好ましくは対流部の底部に配置されている。
- 対流部は、前記炭化水素供給原料を希釈剤、好ましくは希釈蒸気と混合して供給原料-希釈剤混合物を与えるように更に構成されており、移送ライン交換器は、放射部に送る前に供給原料-希釈剤混合物を予熱するように構成されており、第2の高温コイルは、供給原料-希釈剤混合物が移送ライン交換器から出た後であって、放射部に入る前に供給原料-希釈剤混合物を予熱するように構成されている。
- 飽和高圧蒸気を発生させるように構成されている蒸気ドラムが設けられており、より好ましくは、対流部は、蒸気ドラムからの高圧蒸気を過熱するように構成されている少なくとも1つの高圧蒸気過熱器を有している。
- 一次移送ライン交換器の下流側に配置されて蒸気ドラムに連結されている二次移送ライン交換器が設けられており、二次移送ライン交換器は、蒸気ドラムからのボイラ水を少なくとも部分的に蒸発させるように構成されている。
このような構成は、特に燃料消費量の削減、火室効率の向上、及びCO2排出量の削減に関して、上述したような国際公開第2018/229267号パンフレットに基づく構成に匹敵する利点を有する。更に詳細については、欧州出願番号第19198787.4号を更に参照。
前記分解炉システムは、本発明に係る方法で有利に使用され、この方法は、供給原料を分解炉システムの放射部に送る前に第1の供給原料予熱工程、第2の供給原料予熱工程及び第3の供給原料予熱工程を有し、第1の供給原料予熱工程では、第1の高温コイルを使用して分解炉システムの高温の煙道ガスによって炭化水素供給原料を予熱し、第2の供給原料予熱工程では、移送ライン交換器を使用して分解炉システムの分解ガスの廃熱によって炭化水素供給原料を更に予熱し、第3の供給原料予熱工程では、第2の高温コイルを使用して分解炉システムの高温の煙道ガスによって炭化水素供給原料を更に予熱する。好ましい実施形態では、炭化水素供給原料を希釈剤、例えば希釈蒸気と混合して、第2の供給原料予熱工程の前に供給原料-希釈剤混合物を供給する。好ましい実施形態では、移送ライン交換器の下流側に設けられた二次移送ライン交換器を使用して、分解炉システムの分解ガスの廃熱によって高圧蒸気を発生させる。更に詳細については、欧州出願番号第19198787.4号を更に参照。
分解ガスを様々な留分に分離するための分離部が一般に本技術分野で知られている。例えば、従来の蒸留、例えば低温蒸留を使用して、(分解ガスと比較して)エチレンが豊富な生成流、(分解ガスと比較して)水素が豊富な燃料流、及び(分解ガスと比較して)メタンが豊富な燃料流を得ることが可能である。更なる流れ、例えば(分解ガスと比較して)プロピレンが豊富な流れ、及び/又は(分解ガスと比較して)ブタジエンが豊富な流れを更に得てもよい。メタンが豊富な燃料流を分離部で液化燃料として得てもよく、又は、分離部の下流側で、好ましくはエチレンプラントの冷却ユニットを使用してガス状のメタンが豊富な燃料を液化することによって、液化されたメタンが豊富な燃料流を得てもよい。分離部でガス状のメタンが豊富な燃料流及び液化されたメタンが豊富な燃料流の両方が得られることが有利である。好ましい実施形態では、エチレンプラントの冷却部が、分解ガスのより軽い留分を徐々に凝縮するように構成されている。このため、プロピレン、エチレン及び/又はメタンが豊富な冷却流を使用してもよい。水素が豊富な燃料流が、ガス(蒸気)としてこの段階的な凝縮から得られる一方、メタンが豊富な流れが液体留分として得られる。そのため、メタンが豊富な液体留分は通常、脱メタン部で分離されて、底部生成物としてエチレンが豊富な留分をもたらし、頂部生成物としてメタンが豊富な留分(メタンが豊富な燃料)をもたらす。
必要に応じて、分離部は、更に処理するため、例えば更なる使用の前にある成分の濃度を高めるか又は望ましくない成分を除去するために一又は複数のユニットを有し得る。水素又はメタンをプラントのエネルギー製造とは異なる目的で使用する場合、この水素又はメタンを、更なる分離/精製後に水素が豊富な流れ又はメタンが豊富な流れから得ることが可能である。このようにして、例えば水素を、水素化プロセスで使用するために得ることが可能である。
分離部からの水素が豊富な燃料又はその一部は通常、分解炉の燃焼熱の要件の均衡を保つために、好ましくはメタンが豊富な燃料ガスの一部と共に(燃焼式分解炉の場合)分解炉に供給される。或いは又は加えて、水素が豊富な燃料をCCGTの廃熱回収ボイラに供給することが可能である。過剰な燃料がある場合、メタンが豊富な過剰な燃料の貯蔵が、水素が豊富な燃料の貯蔵より有利である。貯蔵されるメタンが豊富な過剰な燃料は通常、液化された状態でメタン貯蔵部に供給され、メタン貯蔵部から取り出されると、蒸発器で蒸発した後にガス状で燃焼器に供給される。蒸発器は、可能な限り低温を取り戻すためにエチレンプラントの冷却部と一体化されていることが好ましい。
液化メタン(すなわち液化天然ガスLNG )をおよそ-160 ℃で略大気圧で貯蔵することがよく知られている。本発明では、これも可能であるが、超大気圧での貯蔵も選択肢である。少なくとも本発明のある実施形態では、メタンが豊富な燃料を、より高い圧力で、例えば約4barg以上又は約10barg以上の燃焼器供給圧力で貯蔵することが有利である。実際、圧力は通常約20barg以下、特に15barg以下である。より高い圧力で貯蔵することにより、必要な製造量の日々の変動の対処が容易になる。更に、低温ポンプなどの加圧手段を使用せずに燃料を燃焼器に供給して、燃料を必要な燃焼器供給圧力にすることが可能である。冷却調整に有益な実施形態では、燃料を、エチレンプラントの供給源で利用可能な圧力より高い圧力で貯蔵することは有利であり得る。この場合、燃料は好ましくは圧縮されて、次に適切なヒートシンクに接して冷却され、貯蔵に適した液化ガスを発生させる。燃料は、真の液体として又は超臨界流体として液化されてもよい。
特定の発熱量を表すある量の水素の貯蔵は、同一の発熱量を表すある量のメタンの貯蔵より複雑である。水素の貯蔵には、より高い圧縮レベル及び/又はより低い貯蔵温度が必要であり、このため、追加のエネルギーを要する。更に、メタンが豊富な燃料は、CCGTのガスタービンなど、分解炉以外の他のユニットの燃料として使用するために水素より好ましい。これは、水素が燃焼するときの断熱火炎温度がより高いため、このようなユニットによる許容度が低いためである。
貯蔵された炭化水素分解ガスから得られたメタンが豊富な燃料は一般に液化された状態でメタン貯蔵部に貯蔵される。メタン貯蔵部は通常、ボイルオフ圧縮器と、ボイルオフ圧縮機の放出口に設けられて熱を適切なヒートシンクに逃がすように構成されている熱交換器とを有している。例えば、メタン貯蔵部からのあらゆる蒸気を再凝縮するように構成されている凝縮器が設けられてもよい。圧縮器の出口が臨界点を超えて作動する場合、凝縮器は必要な熱を逃がすための冷却器になる。
分解ガスから得られたメタンが豊富な燃料の一部は、(燃焼式分解炉の場合)分解炉の燃焼器に戻されてもよい。戻される留分は、本発明に係るプロセスで得られるメタンが豊富な留分のいずれかから選択され得る。好ましい実施形態では、ガス状のメタンが豊富な燃料留分が、より好ましくは貯蔵されることなく、このために使用される。特に、分離部の冷却部に存在するような冷却・脱メタン部からガス留分として得られるメタンが豊富な燃料を使用してもよい。冷却部は、分解ガスを冷却して複数のフラッシュ室で連続して急速に蒸発させて、これらのフラッシュ室から水素が豊富な(ガス)流れ及び複数のメタンが豊富な液体流を得る段階的な凝縮システムであってもよい。これらのメタンが豊富な流れは脱メタン部に送られて、少なくともメタンが豊富な頂部生成物及び/又は副生成物を気相及び/又は液相で生成させて、少なくともメタンが乏しく、好ましくはエチレン生成物が豊富な底部生成物を生成させてもよい。この場合、ガス状のメタンが豊富な生成物を直接使用することができる。或いは、液状のメタンが豊富な流れを使用してもよいが、(貯蔵することなく)直接使用するために蒸発させる必要がある。
メタンが豊富な燃料の少なくとも一部が、分解炉で燃焼する以外の別の目的で使用される。メタン貯蔵部に貯蔵されたメタンが豊富な燃料の少なくとも一部は通常、コンバインドサイクルガスタービンで燃焼して、エチレンプラントの蒸気タービンを駆動するために使用され得る電気及び/又は高圧蒸気を発生させる。実施形態では、分離部からのガス状のメタンが豊富な燃料の一部がCCGTの廃熱回収ボイラの燃焼器に供給される。
通常、CCGTは、20~140 %の動作範囲、好ましくは30~130 %の動作範囲、より好ましくは40~120 %の動作範囲のターンアップ/ターンダウン比で動作する。
更なる使用前に貯蔵されるメタンが豊富な燃料流の割合、分解炉に(直接又は貯蔵後に)戻されるメタンが豊富な燃料流の割合、及びCCGTで(直接又は貯蔵後に)燃焼するメタンが豊富な燃料の割合は、再生可能エネルギー源からの利用可能な電力、エチレン(及び任意に他のオレフィン)の必要な発生量、及びプロセス条件の変化に応じて経時的に大きく異なってもよい。
実際、メタン貯蔵部からの液化されたメタンが豊富な燃料は通常、完全に蒸発してから(燃焼式分解炉又はCCGTの)一又は複数の燃焼器に送られる。蒸発は、例えば少なくともLMG (液化されたメタンが豊富なガス)蒸発器を使用して行われ得る。更に、燃料ガスの温度を周囲条件に近い温度レベルに上げて、LMG の蒸発及び過熱に伴う低温を(可能な限り)取り戻すことが更に好ましい。これは、一又は複数の冷却システムへの負荷を軽減するように、LMG の蒸発及び過熱を冷却トレインに一体化することにより最善に行われ得る。液化されたメタンが豊富な燃料を膨張させる場合、非常に低い温度に便利に急速に蒸発させ、非常に低い温度レベルに達するのに役立つべく冷却トレインで使用され得る。これは、燃料ガスへのエチレンの損失を最小限に抑えて可能な限り低温を取り戻すために使用され得る。従って、この流れは、好ましくは冷却トレインの冷却端部に送られる。約4~約5barg程度の比較的低い超大気圧で貯蔵する場合、急速蒸発は重要ではない。それでも、エチレン生成物の損失を減らして低温の取り戻しを高めるという同じ理由で冷却トレインの冷却端部に液体をもたらすことが依然として好ましい。
コンバインドサイクルガスタービン発電プラントは一般に以下の通り動作する。燃料ガス(メタンが豊富な燃料)を、燃焼空気圧縮器によって燃焼室に供給される燃焼空気によりガスタービンの燃焼室で燃焼する。生じた煙道ガスは通常、発電機によって電力を発生させるためにガスタービンを下降する。燃焼空気圧縮器、燃焼室及びガスタービンは通常同じ機械に一体化されている。ガスタービンは、燃焼空気圧縮器及び発電機の両方を駆動する。ガスタービンからの煙道ガスは、補助燃焼のために廃熱回収ボイラに送られて、ボイラ給水から非常に高い高圧蒸気を発生させる。非常に高い高圧蒸気は、凝縮蒸気タービン及び表面凝縮器で下降させることにより発電機の駆動に有利に使用される。表面凝縮器では、蒸気が完全に凝縮する。僅かなブローダウンを除いて、実質的に全ての凝縮蒸気が回収され、ボイラ給水として廃熱回収ボイラに送り返され、ループを閉じる。実際には、凝縮物は通常、まず脱気器に送られて脱塩補給水と混合し、蒸気で除去して空気を除去する(図1には示されていない)。発電機を駆動する代わりに、ガスタービンは、エチレンプラント圧縮器の一又は複数を駆動するために更に使用され得る(更に欧州特許出願第19178729.0号参照)。加えて、非常に高い高圧蒸気は、発電プラントで蒸気タービンを介して発電するために使用される代わりに、廃熱回収ボイラからエチレンプラントの蒸気タービンの一又は複数に搬出され得る(更に欧州特許出願第19178729.0号参照)。
電力連結部は、再生可能エネルギー源から電力を発生させるように構成されている電力システムへの連結部である。電力連結部は、必要な電力の少なくとも一部を供給して機械を駆動すべくエチレンプラントの内部電力網、エチレンプラントの一部を形成する発電プラントユニット、エチレンプラントが一部を形成するより大規模な工業基地、又は、本発明に係るエチレンプラントと同じ電力網に連結された外部(遠隔)発電プラントへの連結部とすることが可能である。好ましくは、再生可能エネルギー源から電力を発生させるように構成されている電力システムは、エチレンプラントの一体化された部分、若しくはエチレンプラントが一部である工業基地の一体化された部分であり、及び/又は、電力システムは、外部電力網を介してエチレンプラントに連結されている。
エチレンプラントの電気連結部は、好ましくは再生可能エネルギーを供給する発電プラントから電力を受けることを可能にするだけでなく、好ましくは、エチレンプラントの外側、例えば同じ工業基地内のエチレンプラントの外側の別の設備又は電力網に余剰電力を供給し得るように更に構成されている。従って、好ましい実施形態では、再生可能エネルギー及びCCGTで発生する電力の両方がプラントの内部網に関連付けられ、更に外部網への連結部が存在する。この外部連結部は、均衡のとれた電力流を外部網に供給する。
再生可能エネルギー源から電力を供給する電力システムは通常、風力発電システム、太陽エネルギーシステム、水力発電システム、地熱エネルギーシステム及び(ブルーエネルギーとしても知られる)浸透膜発電システムからなる群から選択された一又は複数の電力システムを備えている。或いは又は加えて、バイオマスから電力を発生させるように構成されている一若しくは複数のシステム、及び/又は、例えばバイオエタノール若しくはバイオディーゼルなどのバイオ再生可能燃料から電力を発生させるように構成されている一又は複数のシステムを使用することが可能である。
有利な実施形態では、エチレンプラントは、未公開の欧州特許出願第19178729.0号に記載されているようなエチレンプラント蒸気発生回路及び発電プラント回路を備えている。
従って、有利な実施形態では、
- 炭化水素供給原料を分解ガスに変換するための分解炉であって、ボイラ給水から高圧蒸気、特に非常に高い高圧蒸気を発生させるように構成されている分解炉と、
- 前記(非常に高い)高圧蒸気で駆動されるように構成されている蒸気タービンと、
- 蒸気タービンによって駆動されるように構成されているプロセス圧縮器と、
- (非常に高い)高圧蒸気の少なくとも一部を凝縮するように構成されている凝縮器と、
- 凝縮された蒸気をボイラ給水として分解炉に送るように構成されているポンプと、
- (非常に高い)高圧蒸気として熱を回収するように構成されている廃熱回収ボイラを有している発電プラント回路と
を備えているエチレンプラント蒸気発生回路が設けられており、
エチレンプラントは、エチレンプラント蒸気発生回路と発電プラント回路との間に第1の連結部を更に備えており、第1の連結部は、エチレンプラント蒸気発生回路の少なくとも1つの蒸気タービンを駆動すべく廃熱回収ボイラから前記少なくとも1つの蒸気タービンに高圧蒸気の少なくとも一部を導くように構成されている。
このようなエチレンプラントは、エチレンプラント蒸気発生回路で機械、例えばプロセス圧縮器を駆動するのに特に適している。機械を駆動する場合、この方法は特に、
- 分解炉から高圧蒸気として熱を回収する工程、
- プロセス圧縮器などの機械を駆動するように構成されている少なくとも1つの蒸気タービンに前記高圧蒸気を供給する工程、
- 高圧蒸気の少なくとも一部を凝縮器で凝縮する工程、及び
- 凝縮された蒸気をボイラ給水として分解炉に送り戻す工程
を有し、この方法は更に、
- 発電プラント回路の廃熱回収ボイラから高圧蒸気として熱を回収する工程、及び
- 発電プラント回路からエチレンプラント蒸気発生回路の少なくとも1つの蒸気タービンに高圧蒸気の少なくとも一部を供給する工程
を有する。
このようなエチレンプラントは、例えば本発明に係るプロセスでの使用に特に適しており、エチレンプラント蒸気発生回路の分解炉からの過剰燃料は、補助燃焼のために発電プラント回路の廃熱回収ボイラに供給される。加えて又は或いは、このようなプロセスでは有利には、廃熱回収ボイラに発電プラント回路の少なくとも1つのガスタービンから排気ガスを供給し、特に、その後、エチレンプラント蒸気発生回路の分解炉からの過剰燃料を、燃焼のために発電プラント回路のガスタービンに供給することが可能である。そのため、前記ガスタービンは、エチレンプラント蒸気発生回路のプロセス圧縮器などの機械を駆動するように有利に構成され得る。このような実施形態では、好ましくは、
- 発電プラント回路の廃熱回収ボイラから、発電プラント回路の、発電すべく発電機を駆動するように構成されている少なくとも1つの蒸気タービンに高圧蒸気の少なくとも一部を供給する工程、
- 高圧蒸気の少なくとも一部を発電プラント回路の凝縮器で凝縮する工程、及び
- 凝縮された蒸気をボイラ給水として廃熱回収ボイラに送り戻す工程
を有する。
(欧州特許出願第19178729.0号に基づくような)機械を駆動するために使用されてもよいエチレンプラント蒸気発生回路が設けられている有利な実施形態では、エチレンプラントは、好ましくはエチレンプラント蒸気発生回路と発電プラント回路との間に第2の連結部を更に備えており、第2の連結部は、分離部から廃熱回収ボイラの燃焼器に水素が豊富な過剰なガス流、メタンが豊富な過剰なガス流又はこれら両方を導くように構成されている。
エチレンプラント蒸気発生回路及び発電プラント回路を有するエチレンプラントの発電プラント回路は少なくとも1つのガスタービンを更に有してもよく、少なくとも1つのガスタービンは、少なくとも1つのガスタービンからの排気ガスが廃熱回収ボイラによって回収されるように廃熱回収ボイラに連結されている。このような実施形態では、好ましくはエチレンプラント蒸気発生回路と発電プラント回路との間に更なる連結部が設けられており、更なる連結部は、燃焼のためにエチレンプラント蒸気発生回路から少なくとも1つのガスタービンに水素が豊富な過剰なガス流、メタンが豊富な過剰なガス流又はこれら両方の少なくとも一部を導くように構成されている。
エチレンプラント蒸気発生回路は、好ましくは発電プラント回路のガスタービンで直接駆動されるように構成されているプロセス圧縮器を更に有している。
エチレンプラントの発電プラント回路は、好ましくは少なくとも1つの蒸気タービン及び少なくとも1つの発電機を有しており、発電プラント回路は、廃熱回収ボイラから発電プラント回路の少なくとも1つの蒸気タービンに高圧蒸気の少なくとも一部を供給するように構成されており、少なくとも1つの蒸気タービンは、発電のために少なくとも1つの発電機を駆動するように構成されている。
発電プラント回路は、高圧蒸気の少なくとも一部を凝縮するように構成されている凝縮器と、凝縮された蒸気をボイラ給水として廃熱回収ボイラに送り戻すように構成されているポンプとを更に有している。
特に有利な実施形態では、エチレンプラントは、一体化されたエチレン・発電プラントシステムであり、分解炉は、放射部、対流部及び冷却部を有する高効率分解炉であり、冷却部は、供給原料を放射部に送る前に予熱するように構成されている少なくとも1つの移送ライン交換器を有しており、対流部は、煙道ガスから飽和蒸気を発生させるように構成されているボイラコイルを有しており、前記ボイラコイルは、好ましくは対流部の底部に配置されている。
特に有利な実施形態では、エチレンプラントは、一体化されたエチレン・発電プラントシステムであり、分解炉は、放射部を有する高効率分解炉であり、分解炉は、放射部、対流部及び冷却部を有する高効率分解炉であり、冷却部は、供給原料を放射部に送る前に予熱するように構成されている少なくとも1つの移送ライン交換器を有しており、対流部は、供給原料が移送ライン交換器から出た後であって、放射部に入る前に供給原料を予熱するように構成されている第2の高温コイルを有しており、前記第2の高温コイルは、好ましくは対流部の底部に配置されている。
実施形態では、エチレンプラントは、CCGTからの電力と、再生可能エネルギー源から電力を発生させるように構成されている電力システムからの電力とで駆動されるように構成されている圧縮器及び/又はポンプなどの機械を備えている。
エチレンプラントは、電力連結部を介して供給される電力の変動を補うべく、特に燃料流量及び燃料圧力からなる群から選択されるプロセスパラメータを調整するように構成されている自動制御ユニットを備えていることが有利である。自動制御ユニットは通常、設定点を動作点と自動的に比較して、例えばPID アルゴリズムを使用して差を最小限に抑えるように構成されている機器である。従って、PID 制御部が特に適している。通常、電力の変動の補償は、(既存の又は予測される)変動に応じて、水素が豊富な燃料及び/又はメタンが豊富な燃料のためのエチレンプラントの通路の一又は複数における燃料流量及び/又は燃料圧力を調整することによって行われ、これにより、前記電力連結部により供給される電力が減少する(又は減少すると予測される)場合にCCGTの電力出力を増加させ、前記電力連結部により供給される電力が増加する(又は増加すると予測される)場合にCCGTの電力出力を減少させる。
有利な実施形態では、本発明に係るエチレンプラントは電解槽を備えており、再生可能エネルギー源から電力を供給する電力連結部は、(図2及び図8~11に概略的に示されている)電解槽に連結されている。この電解槽は、再生可能エネルギー源からの電力の少なくとも一部を使用して、任意にCCGTによって発生する電力の少なくとも一部を使用し、電気分解、通常は水電解によって水素を発生させるように構成されている。更に、この実施形態では、発生する水素を電解槽から分解炉の燃焼器に供給するための通路、CCGTの廃熱回収ボイラの燃焼器への通路、又はこれら両方が設けられている。
水の電気分解によって更に生成される酸素は販売されるか、又は、例えばエチレンプラントの廃熱回収ボイラで燃料、特にメタンが豊富な燃料を燃焼させて、メタンをより高い酸素濃度で燃焼させ、ひいては今後の炭素捕捉のためにより豊富なCO2 混合物を得るために使用されることが可能である。再生可能エネルギーを使用して、分解炉で燃焼する水素燃料を生成することにより、特定のCO2 を更に削減することが可能であり、より多くのメタンが豊富な過剰な燃料ガスを分解炉で燃焼させる代わりにCCGTに搬出して、CCGTで電力及び/又は(非常に高い)高圧蒸気を発生させることが可能である。水素を分解炉に導入することにより、分解炉の特定の排出量を減らすことが可能であり、加えて、エチレンプラントからのより多くのメタンが豊富な過剰な燃料を、CCGT発電プラントで分解炉発電回路より高い熱電比で燃焼させることが可能である。エチレンプラントが複数の分解炉を備え得ることを考慮すると、これは、多くの個々の排出源の排出量を減らすためにこれらの排出源に炭素捕捉を適用することとは対照的に、CO2 排出量を減らすための非常に実用的な解決策である。
更に、CCGT内で直接燃焼しないあらゆるメタンが豊富な燃料は、後で使用するために貯蔵され得る。水素の発生量を増やすことができ、CCGT発電プラントの分解炉及び/又は廃熱回収ボイラにおける燃焼に必要なメタンを更に減らすことができるので、(例えば太陽エネルギーの場合は晴れた日中、及び風力エネルギーの場合は強風の期間中)再生可能エネルギーの過剰生成の点で、この実施形態を使用することも可能である。
メタンが豊富な燃料は、(貯蔵せずに直接使用され得る)電解槽で生成される水素より貯蔵がかなり容易である。この場合、自動車用に貯蔵のために水素を高圧で圧縮することに伴うCO2 排出を回避することが可能である。メタンが豊富な燃料の代わりに水素を圧縮/貯蔵することにより、効率を約25%低下させる。実施形態では、このシステムにより、発生するエチレン1トン当たりの特定の排出量を55%を超えて減らし、1日当たりの最大能力の33%の再生可能エネルギーを利用することが可能になる。燃料の貯蔵が、変動する再生可能エネルギーの発電量の均衡を保つことにより、確実且つ安定した電力を電力網に供給することが可能である。経験則として、電解槽を追加すると、図1の機構に比べて3倍多い再生可能エネルギーを発生させることが可能である。電解槽は再生可能エネルギー源に連結されており、電解槽で発生する水素をエチレンプラントの燃焼器、通常、分解炉の燃焼器に供給するための通路が設けられている。図1は、主に欧州特許出願第19178729.0号に基づいているが、上述したように、メタン貯蔵部が追加され、分解ガスからの水素が豊富な燃料及びメタンが豊富な燃料が使用される。更に、電解槽を使用する実施形態では、熱電変換効率が最も高く、CO2 排出量が最も低いように、燃料の流れを燃料貯蔵部から電解槽に向けることにより、CCGTを最適生成点の近くで作動させることがより簡単である。例えば、再生可能エネルギー源からの電力発生量が多い場合、対応する水素の発生量も高く、エチレンプラントから大量のメタンが豊富な燃料を生成することが可能である。そのため、CCGTを最適生成点を超えて作動させることになる過剰に生成されるメタン燃料は、CCGTを最適生成点未満で作動させることを可能な限り防ぐために、生成量が少ない期間に貯蔵され得る。ここで、CCGTがユーザ側からの電力需要も満たす場合、CCGTは最適な効率点で動作することに注目すべきである。再生可能エネルギーの供給量が少ない(つまりH2が少ない)場合、生成されるメタンが豊富な燃料はより少なくなる。CCGTを最適点で作動させるために必要な追加のメタンが豊富な燃料を貯蔵部から追加することが可能である。(図2参照)。
ここで使用されるように「a」、「an」及び「the」の単数形は同様に複数形を含むことが意図されており、文脈上特に明瞭に示されていない限り、例えば、「分解炉」は「複数の分解炉」を含み、「燃焼器」は「複数の燃焼器」を含む。文脈上特に明瞭に示されていない限り、「又は」という用語は、(例えば「又は・・・のどちらか」という構文が使用される場合)関連して挙げられている要素の一又は複数のあらゆる全ての組み合わせを含む。「備える」及び「備えている」という用語は、記載された特徴の存在を特定するが、一又は複数の他の特徴の存在又は追加を除外するものではないと理解される。方法の特定の工程が別の工程に続くと記載される場合、特に指定されていない限り、この工程は前記他の工程に直接続くことが可能であるか、又は、一若しくは複数の中間の工程を、特定の工程を行う前に行ってもよいと更に理解される。同様に、構造又は要素間の連結が記載されている場合、この連結は、特に指定されていない限り、直接又は中間の構造体若しくは要素を介して行われてもよいと理解される。
本願との関連で、「約」という用語は、特に所与の値から10%以下の偏差、特に5%、特に3%以下の偏差を含む。
「高圧蒸気」(HP蒸気)という用語は、本技術分野ではよく知られている。経験則として、HP蒸気の圧力は通常少なくとも約40bargである。圧力が80barg以上、特に約100 barg~約130 bargのHP蒸気に関して、非常に高い高圧蒸気(VHP 蒸気)という用語が本明細書では使用される。
「豊富」について言及する場合、これは、分解炉を出る分解ガスと比較して豊富であることを意味する。水素が豊富な燃料流は一般に、50モル%を超えて、通常約80~100 モル%の水素含有量を有する。分解ガス流から得られるメタンが豊富な流れは一般に、50モル%を超えて、通常60~100 モル%のメタン含有量を有する。上述したように、第1の分離工程では、分解ガス流を、(冷却・脱メタン部で)水素が豊富な(ガス)流及びメタンが豊富な(液体)流に分離することができ、その後、メタンが豊富な液体留分に(脱メタン部で)更なる分留を施し、エチレンが豊富な留分及びメタンが豊富な燃料が回収される。脱メタン前の冷却部からのメタンが豊富な液体留分は通常、燃焼器に貯蔵/供給されるメタンが豊富な燃料より、例えば60~70モル%の低いメタン含有量を有し、メタンが豊富な燃料は通常、80モル%以上、典型的には約90モル%~約100 モル%の範囲内のメタン含有量を有する。
本発明は、本発明の実施形態が示されている添付図面を参照してここにより完全に記載される。図面には、システム、成分、層及び領域の絶対サイズ及び相対サイズが明瞭化のために誇張される場合がある。実施形態は、場合によっては理想化された本発明の実施形態及び中間構造の概略図及び/又は断面図を参照して記載される場合がある。明細書及び図面では、同様の参照符号は全体を通して同様の要素を指す。関連する用語及びその派生物は、記載されているか又は議論されている図面に示されているような向きを指すと解釈されるべきである。これらの関連する用語は説明の便宜上のものであり、特に記載されていない限り、特定の向きでシステムを構築するか又は作動させることを必要とするものではない。
明瞭化及び簡潔な説明のために、特徴は、同一の実施形態又は個別の実施形態の一部として本明細書に記載されているが、本発明の範囲は、記載された特徴の全て又は一部の組み合わせを有する実施形態を包含し得ることが認識される。
次に、本発明を以下の実施例で例示する。
実施例
実施例1(参考)
一体化された発電プラントを含むように欧州特許出願第19178729.0号のように適合された国際公開第2018/229267号パンフレットのような低排出分解炉を備えたエチレンプラント構成を設けて、従来の分解炉(つまり低排出ではない分解炉)を備えたエチレンプラント構成と比較する。
エチレンプラントの中心部に低排出分解炉を備えたこの構成を使用することにより、燃焼熱は、(従来の炉(図3参照)に関する)120 MWから82MWに31.87 %低下し、エチレンプラント内での発電量は18.5MWから6.5 MWに低下する。これは、従来のエチレンプラント回路と低排出分解炉を備えたエチレンプラント構成とに関して図3の燃料及び電力の発生量及び消費量を図4と比較して示されている。これは、分解炉の火室効率を40%から53%に向上させることによって達成される。これは、燃料ガスが既に分解炉で燃焼しているため、エチレンプラントが12MWの電力不足及び32%の過剰な燃料ガスの発生量を有することを意味する。
分解炉を発電プラントと一体化することにより、この過剰な燃料ガスを変換してCCGT発電プラントに32%の熱電効率の代わりに50%の熱電効率で電力を供給することが可能である。この熱電効率は、以下に説明するようにエチレンプラントにおける熱電効率である。節約された燃料は、分解炉の火室効率が40%である従来のエチレンプラントシステムと比較して38MWの熱(120 -82MW)になる。分解炉の火室効率が40%である状況では、これは12MWの電力に変換される。これは、12/38=31.6%の従来のエチレンプラントシステムの熱電変換効率に相当する。この過剰な燃料ガスをCCGTで50%の効率で変換することが可能であり、0.5 ×38MWの熱は19MWの電力になり、19MWの電力の内の12MWがエチレンプラントに送られて上記の不足を補い、7MWの電力が搬出に利用可能である。このような12MWは、機械を駆動するためにエチレンプラントに電力として電気モータに直接送られることが可能であるが、蒸気タービンを介して機械を駆動して、エネルギーを軸動力の形態で供給するために高圧蒸気として更に供給されることが可能である。
発生する電力は、CCGTで上昇した余分な7MWにより18.5MWから25.5MWに増加するため、同一の発生量のCO2 に対して発電量(仕事量)が更に37%増加し、特定のCO2 排出量の削減は27%である。これは、発電量1MW当たり27%のCO2 削減である。このような余分な7MWの電力は、連続的な流れとして外部網に送られ得る。
実施例2(メタンが豊富な燃料の貯蔵)
分解ガスから分離されたメタンが豊富な過剰な燃料のために、図1及び図5に概略的に示されているように液化メタン貯蔵部を含めることにより、実施例1の構成を変更している(図5は、燃料及び電力の1日平均の発電量及び消費量を示す)。
過剰燃料を貯蔵することにより、エチレンプラントは、電力網への再生可能エネルギーの導入を支援すべく使用され得る。対処すべき主な課題の一つは、再生可能エネルギー源に関連する電力変動への対応が困難であるということである。本発明は、再生可能エネルギー不足の期間中にCCGTで電力を高効率に供給するために、エチレンプラントで生成される過剰な燃料をバックアップとして使用して変換することにより、この問題を解決する。
平均3.5 MWの再生可能エネルギーを供給し、ピーク供給量が10.5MWであり、一体化された低排出エチレンプラントに1日8時間、再生可能エネルギーを利用することが可能であり(CCGTは22.5MWのピーク容量及び19MWの基本容量を有し)、燃料貯蔵容量が7MWの電力に相当する(実施例1では7MWの電力を搬出に利用可能であることを参照)場合、以下の改善が実現可能である。
- (余分な3.5 MWの再生可能エネルギーによる)29MWへの発電量の更なる上昇(実施例1の一体化された構成における25.5MWを参照);
- 搬出に利用可能な電力の10.5MWへの継続的な50%の上昇(実施例1の一体化された構成における7MWを参照);
- 同一の発生量のCO2 に対して余分な最大57%の発電量(仕事量)の上昇(実施例1の一体化された構成における37%を参照);
- 特定のCO2 排出量の最大36%の削減(実施例1の一体化されたプラントにおける27%を参照)。
実施例1の一体化されたシステムと比較して、搬出される電力の最大50%の上昇が継続的に実現可能である。再生可能エネルギーの変動は、CCGT及び燃料貯蔵部によって対処される。CCGTの負荷シフトは、19MWの基本負荷を想定した場合、40%~120 %の範囲内である。
実際には、最適な動作点から離れて動作してもよいが、その場合、CCGTは50%の熱電効率で動作しない。そのため、電力出力は、50%の熱電効率に基づき予測される電力出力より小さくなる。すると、57%の電力の増加が低くなり、これに伴うCO2 排出量の削減も36%未満となり、例えば実施例1の一体化されたシステムと略同一のレベルで、例えば約30%以下になる。また、実施例1の一体化されたシステムと比較してCO2 排出量が更に削減されない実施形態では、分解炉の火室効率が図3に示されているように40%である発電のためのメタン貯蔵部及びCCGT無しの従来のエチレンプラントシステムと比較して、CO2 排出量が依然として削減される。
CO2 排出量の削減という利点以外にも、本発明に係るエチレンプラントの主な利点は、この実施例で説明されているように再生可能エネルギー源の利用率が(24時間中8時間で)33%のみであっても、再生可能エネルギー源のピーク容量と本質的に同一の容量レベルで内部網及び外部網に安定して発生する電力を供給し得るということである。
上述して図6に示されているように、この構成は、10.5MWの再生可能エネルギーのピーク負荷に関して構成されている。メタン貯蔵能力を用いて、7MWの電力に相当する割合で最大限に生成される過剰な燃料を8時間貯蔵することが可能である。この間、CCGT発電プラントは、エチレンプラント自体を作動させるべく12MWの最小負荷で動作して必要な電力を発生させることが可能である。従って、エチレンプラントの電力需要はCCGT発電プラントのターンダウンを制限する。CCGTが常に適度な負荷で動作可能であるということは、本発明の別の肯定的な態様である。
再生可能エネルギーが供給されない場合(図7)、2倍の期間に亘って全容量の半分に相当する3.5 MWの電力の割合で16時間CCGTに送られる、貯蔵部からの過剰な燃料ガスが利用可能である。この間、CCGT発電プラントは、22.5MW(過剰な燃料ガスから直接の19MW、及び貯蔵領域の燃料ガスからの3.5 MW)のピーク負荷で動作しているとき、10.5MWを外部網に供給し、加えてエチレンプラントを作動させるために必要な12MWを発生させることが可能である。
実施例3(再生可能エネルギーを水素が豊富な燃料に変換する電解槽)
実施例3の構成は、再生可能エネルギーを使用して水から水素(及び酸素)を生成するように構成されている電解槽を含むように適合されている(図8は、燃料及び電力の1日平均の発電量及び消費量を示す)。
電解槽は、燃焼熱に関して1.0 MW相当の水素を発生させるために約1.5 MWの電力を必要とする。
ピーク負荷で8時間動作して無負荷で16時間動作しているとき、ピーク負荷は、高効率/低排出分解炉に本来使用される全ての燃料ガスを水素と置き換えるのに十分とすべきである。必要な量は、燃焼熱に関して82MWである。必要な再生可能エネルギーは82×1.49=122.5 MWである。従って、ピーク負荷で、全ての過剰な燃料ガス(簡略化のためにこの燃料ガスに既に存在している10 vol%の水素でさえ)が発電のために貯蔵及び/又は使用され得る。これにより、82MWの熱で発電するための燃料ガスの貯蔵/利用可能性を、低排出炉への変更前の分解炉によって使用される同一の量である120 MWの熱に高める(図4参照)。CCGTの熱電効率が50%である場合、この82MWの熱は41MWの電力に変換され得る。これは、実施例1の一体化された構成に供給される19MWの電力に追加される。この場合、最大限に生成される燃料の120 MWの熱が、CCGTで60MWの電力に変換され得る可能性がある(41+19=60)。
図9に示されているように、ピーク負荷中にプラントは20.7MWの電力を送ることが可能である。この間、生成される過剰な燃料ガスの一部が、27.4MWの電力に相当する割合で8時間貯蔵され得る。この間、CCGT発電プラントは20.7MWを外部網に供給し、加えてエチレンプラントの動作に必要な12MWを発生させる。このために、ピーク負荷で電解槽は82MWに相当する燃焼熱を炉に供給する必要がある。これは、約122.5 MWの電力に相当する。
再生可能エネルギーが(この実施例では1日16時間)利用可能ではない場合、再生可能エネルギー源から電力も水素も(直接)供給されない(図10)。
この間、貯蔵部からの過剰な燃料ガスは、2倍の期間に亘って27.4MWの電力に相当する最大貯蔵容量の半分である13.7MWの電力に相当する割合で16時間CCGTに送られ得る。この間、CCGT発電プラントは、エチレンプラントの動作に必要な12MWを発生させて、外部網に搬出される20.7MWの余剰電力を発生させる。CCGT発電プラントは、貯蔵のため、再生可能エネルギーが32.7MW(過剰な燃料ガスから直接の19MW及びメタン貯蔵部の燃料ガスからの13.7MW)のピーク負荷で利用可能な期間中と同一の負荷で動作する。
実施例2の一体化されたシステムと比較して、搬出される電力の100 %の上昇が継続的に実現可能である。再生可能エネルギーの変動は、CCGT及び燃料貯蔵部によって対処される。CCGTは、32.7MWの最適設計点で継続的に動作することが可能である。この動作により、CCGTは最適な熱電効率(50%)で本質的にフルタイムで動作することが可能である。
この実施形態の主な利点は、安定して発生する電力を外部網に最適な設計点で又はその近くで供給し得るということである。これは、再生可能エネルギーの利用可能性が33%(1日8時間)と不十分であっても、炭素の捕捉を必要とすることなく、特定のCO2 排出レベルを53%を超えて削減し得ることを意味する。
実施例2(メタン貯蔵部を備えるが、電解槽を備えない)の実施形態と比較して、20.7MWの再生可能エネルギー源から発生する連続的な電力は、40.8MWの発生する再生可能エネルギーの平均容量の略半分であり、主な理由は、燃焼熱に関する1MWの水素の発生は、略1.5 MWの電力を供給することを必要とするためである。これは、水素及び生成される酸素が気相である一方、水は液相であるということと関係がある。言い換えれば、分子を分割するだけでなく、潜熱も供給する必要がある。水素の燃焼によって生じる煙道ガスは凝縮しないため、潜熱は回収されない。他方では、自動車で使用するために水素を供給する場合、関連して0.4 MWの電力が更に必要になる。それにもかかわらず、これは水素関連を高価にし、その経済的適用は、CO2 クレジットの値と、再生可能エネルギー、電解槽及びメタン貯蔵部に関連するこれらの大規模且つ長期的な投資に許容される投資収益率(ROI) の割合とによって決まる。エチレンプラントの寿命を考慮すると、本発明者は、これらの追加の設備(再生可能エネルギープラント及び電解槽)が本発明に従って実装される場合、より低いROIの割合が許容されると予測する。
承認
本発明に繋がる研究は、助成金契約第723706号に基づき欧州連合ホライズンH2020 プログラム(H2020-SPIRE-04-2016)からの資金を受けている。
1.分解炉
2.分離部
3.メタン貯蔵部
4.メタン蒸発器
5.ガスタービン燃焼室
6.ガスタービン
7.燃焼空気圧縮器
8.廃熱回収ボイラ
9.発電プラント蒸気タービン
10.発電機
11.エチレンプラント蒸気タービン
12.発電プラント表面凝縮器
13.エチレンプラント表面凝縮器
14.ボイラ給水ポンプ
15.発電プラント発電機又はエチレンプラント圧縮器
16.エチレンプラント圧縮器及び/又はポンプ
21.炭化水素供給原料
22.分解ガス
23a~23c 水素が豊富な燃料
24a~24j メタンが豊富な燃料
25.エチレンが豊富な生成物
26.空気
27.排気ガス
28.ボイラ給水
29.高圧蒸気
31.内部電力網
32.外部電力網
33.再生可能エネルギー源
41.電力出力制御システム
42.燃焼制御システム
43.制御バルブ
51.再生可能エネルギー搬入部を備えて一体化された低排出エチレン・発電プラント
52.再生可能エネルギー搬入部及び電解槽を備えて一体化された低排出エチレン・発電プラント
61.電解槽
62.脱塩水
63a~63b.水素燃料
64.酸素
101.分解炉
102.エチレンプラント発電
103.エチレンプラント電力ユーザ
104.分離部
105.コンバインドサイクルガスタービンシステム
106.内部網
107.再生可能エネルギー源
108.メタン貯蔵部
109.外部網
110.電解槽
121.燃料
122.高圧蒸気
123.エチレンプラントからの電力
124.分解ガス
125.CCGTへのメタンが豊富な過剰な燃料
126.CCGTからエチレンプラントへの電力又は高圧蒸気による電力
127.CCGTから内部網への電力
128.再生可能エネルギー源からの電力
129.貯蔵部へのメタンが豊富な過剰な燃料
130.貯蔵部からのメタンが豊富な過剰な燃料
131.外部網への電力
132.水素燃料
139.従来のエチレンプラント
140.一体化された低排出エチレン・発電プラント
141.再生可能エネルギー搬入部を備えて一体化された低排出エチレン・発電プラント
142.再生可能エネルギー搬入部及び電解槽を備えて一体化された低排出エチレン・発電プラント

Claims (31)

  1. エチレンプラントであって、
    炭化水素供給原料を分解ガス流に変換するための分解炉と、
    前記分解ガス流から少なくともエチレンが豊富な生成流、水素が豊富な燃料流及びメタンが豊富な燃料流を供給するように構成されている分離部と、
    前記分離部から前記分解炉の燃焼器に前記水素が豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための通路、及び/又は、前記分離部からコンバインドサイクルガスタービン発電プラント(CCGT)の廃熱回収ボイラの燃焼器に前記水素が豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための通路と、
    メタンが豊富な燃料を貯蔵するように構成されているメタン貯蔵部、及び前記分離部から前記メタン貯蔵部に前記メタンが豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための通路と、
    燃焼器を含むガスタービン、及び、前記メタン貯蔵部からCCGTのガスタービンの燃焼器に前記メタンが豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための通路を有するCCGTであって、前記エチレンプラントの蒸気発生回路の一部を形成する蒸気タービンを駆動するために電力及び/又は高圧蒸気を発生させるように構成されているCCGTと、
    前記エチレンプラントを作動させるために電力の一部を供給するように構成されており、再生可能エネルギー源から電力を発生させるための電力システムへの連結部である電力連結部と
    を備えている、エチレンプラント。
  2. 前記メタン貯蔵部は、前記分離部から直接得られるか、又は前記分離部からのガス状のメタンが豊富な燃料流を液化した後に得られる液化されたメタンが豊富な燃料を貯蔵するように構成されており、
    前記メタン貯蔵部からCCGTのガスタービンの燃焼器に前記メタンが豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための前記通路は、液化されたメタンが豊富な燃料の少なくとも一部をガス状のメタンが豊富な燃料に変換するように構成されている蒸発器ユニットを介して、液化されたメタンが豊富な燃料をCCGTのガスタービンの燃焼器に供給するように構成されている、請求項1に記載のエチレンプラント。
  3. 前記分離部は、前記分解ガス流からガス状のメタンが豊富な燃料流を分離するように更に構成されており、
    前記エチレンプラントは、
    前記ガス状のメタンが豊富な燃料の一部を前記分離部から前記分解炉の燃焼器に供給するための通路、及び、
    前記分離部からCCGTの廃熱回収ボイラの燃焼器に前記ガス状のメタンが豊富な燃料の一部を供給するための通路
    の少なくとも1つを更に備えている、請求項1又は2に記載のエチレンプラント。
  4. 前記メタンが豊富な燃料の一部を供給するための前記通路は、液化されたメタンが豊富な燃料を前記メタン貯蔵部から前記分解炉の燃焼器に供給するように構成されている、請求項1~3のいずれか1つに記載のエチレンプラント。
  5. 前記メタン貯蔵部は、液化されたメタンが豊富な燃料を貯蔵するように構成されており、
    前記エチレンプラントは、液化されたメタンが豊富な燃料の少なくとも一部をガス状のメタンが豊富な燃料に変換するように構成されている蒸発器ユニットを介して、前記メタン貯蔵部からCCGTの廃熱回収ボイラの燃焼器に、液化されたメタンが豊富な燃料の一部を供給するための通路を備えている、請求項1~4のいずれか1つに記載のエチレンプラント。
  6. 前記電力連結部を介して供給される電力の変動を補うように構成されている制御システムを備えており、
    前記通路の一又は複数における燃料流量及び/又は燃料圧力が、(既存の又は予想される)変動に応じて調整されて、前記電力連結部により供給される電力が減少するか又は減少すると予測される場合にCCGTの電力出力を増加させて、前記電力連結部により供給される電力が増加するか又は増加すると予測される場合にCCGTの電力出力を減少させる、請求項1~5のいずれか1つに記載のエチレンプラント。
  7. 前記電力システムは、風力発電システム、太陽エネルギーシステム、水力発電システム、地熱エネルギーシステム、浸透膜発電システム、バイオマスから発電するように構成されているシステム、及び、バイオエタノール又はバイオディーゼルなどのバイオ再生可能燃料から発電するように構成されているシステムからなる群から選択される電力システムを有している、請求項1~6のいずれか1つに記載のエチレンプラント。
  8. 電解槽を備えており、
    前記電力連結部は前記電解槽に連結されており、前記電解槽は、前記再生可能エネルギー源からの電力の少なくとも一部を使用して、任意にCCGTによって発生する電力の少なくとも一部を使用し、電気分解によって水素を発生させるように構成されており、
    前記エチレンプラントは、発生する水素を前記電解槽から前記分解炉の燃焼器に供給するための通路、及び/又は、発生する水素を前記電解槽からCCGTの廃熱回収ボイラの燃焼器に供給するための通路を更に備えている、請求項1~7のいずれか1つに記載のエチレンプラント。
  9. 再生可能エネルギー源から電力を発生させるように構成されている前記電力システムは、前記エチレンプラントの一体化された部分、若しくは前記エチレンプラントが一部である工業基地の一体化された部分であり、及び/又は
    前記電力システムは、前記エチレンプラントに外部電力網を介して連結されている、請求項1~8のいずれか1つに記載のエチレンプラント。
  10. 再生可能エネルギー源から電力を発生させるように構成されている前記電力システム及びCCGTの両方は、前記エチレンプラントの内部網又は前記エチレンプラントが一部である工業基地への電気連結部を有しており、
    前記エチレンプラントは、再生可能エネルギーを供給する発電プラントから電力を受けて、前記エチレンプラントの外側、例えば同一の工業基地内の前記エチレンプラントの外側の別の設備又は前記外部電力網に余剰電力を供給することを可能にするように構成されている電気連結部を更に備えている、請求項9に記載のエチレンプラント。
  11. エチレンプラント蒸気発生回路及び発電プラント回路を備えており、
    前記エチレンプラント蒸気発生回路は、
    ボイラ給水から高圧蒸気を発生させるように構成されている前記分解炉と、
    前記高圧蒸気で駆動されるように構成されている蒸気タービンと、
    前記蒸気タービンによって駆動されるように構成されているプロセス圧縮器と、
    前記高圧蒸気の少なくとも一部を凝縮するように構成されている凝縮器と、
    凝縮された蒸気をボイラ給水として前記分解炉に送るように構成されているポンプと
    を有しており、
    前記発電プラント回路は、高圧蒸気として熱を回収するように構成されている廃熱回収ボイラを有しており、
    前記エチレンプラントは、前記エチレンプラント蒸気発生回路と前記発電プラント回路との間に第1の連結部を更に備えており、前記第1の連結部は、前記エチレンプラント蒸気発生回路の少なくとも1つの蒸気タービンを駆動すべく前記廃熱回収ボイラから前記少なくとも1つの蒸気タービンに高圧蒸気の少なくとも一部を導くように構成されている、請求項1~10のいずれか1つに記載のエチレンプラント。
  12. 前記エチレンプラント蒸気発生回路は、前記発電プラント回路のガスタービンによって直接駆動されるように構成されているプロセス圧縮器を有している、請求項11に記載のエチレンプラント。
  13. 前記発電プラント回路は、少なくとも1つの蒸気タービン及び少なくとも1つの発電機を更に有し、前記廃熱回収ボイラから前記発電プラント回路の少なくとも1つの蒸気タービンに高圧蒸気の少なくとも一部を供給するように構成されており、
    前記少なくとも1つの蒸気タービンは、発電のために前記少なくとも1つの発電機を駆動するように構成されている、請求項11又は12に記載のエチレンプラント。
  14. 前記発電プラント回路は、高圧蒸気の少なくとも一部を凝縮するように構成されている凝縮器と、凝縮された蒸気をボイラ給水として前記廃熱回収ボイラに送り戻すように構成されているポンプとを更に有している、請求項13に記載のエチレンプラント。
  15. CCGTからの電力、及び/又は、再生可能エネルギー源から電力を発生させるように構成されている電力システムからの電力で駆動されるように構成されている圧縮器などの機械を備えている、請求項1~14のいずれか1つに記載のエチレンプラント。
  16. 前記分解炉は高効率分解炉である、請求項1~15のいずれか1つに記載のエチレンプラント。
  17. 一体化されたエチレン・発電プラントシステムを備えており、
    前記高効率分解炉は、放射部、対流部及び冷却部を有しており、
    前記冷却部は、供給原料を前記放射部に送る前に予熱するように構成されている少なくとも1つの移送ライン交換器を有しており、
    前記対流部は、煙道ガスから飽和蒸気を発生させるように構成されているボイラコイルを有しており、前記ボイラコイルは、好ましくは前記対流部の底部に配置されている、請求項16に記載のエチレンプラント。
  18. 一体化されたエチレン・発電プラントシステムを備えており、
    前記高効率分解炉は、放射部、対流部及び冷却部を有しており、
    前記冷却部は、供給原料を前記放射部に送る前に予熱するように構成されている少なくとも1つの移送ライン交換器を有しており、
    前記対流部は、供給原料が前記移送ライン交換器から出た後であって前記放射部に入る前に前記供給原料を予熱するように構成されている第2の高温コイルを有しており、前記第2の高温コイルは、好ましくは前記対流部の底部に配置されている、請求項17に記載のエチレンプラント。
  19. 前記分解炉は燃焼式分解炉である、請求項1~18のいずれか1つに記載のエチレンプラント。
  20. 前記分解炉はロトダイナミック熱分解反応器であり、
    前記エチレンプラントは、前記分離部から前記コンバインドサイクルガスタービン発電プラントの前記廃熱回収ボイラの前記燃焼器に水素が豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための前記通路を更に備えている、請求項1~19のいずれか1つに記載のエチレンプラント。
  21. 前記分解炉は電気加熱式分解炉であり、
    前記エチレンプラントは、前記分離部から前記コンバインドサイクルガスタービン発電プラントの前記廃熱回収ボイラの前記燃焼器に水素が豊富な燃料の少なくとも一部を供給するための前記通路を更に備えている、請求項1~20のいずれか1つに記載のエチレンプラント。
  22. 燃焼式分解炉、ロトダイナミック熱分解反応器及び電気加熱式分解炉からなる群から選択される複数の分解炉を備えている、請求項1~21のいずれか1つに記載のエチレンプラント。
  23. 炭化水素供給原料からエチレンを生成するプロセスであって、
    請求項1~22のいずれか1つに記載のエチレンプラントの分解炉で炭化水素を分解し、エチレン、水素及びメタンを含み水素を含む分解ガスを発生させ、
    水素を含む分解ガスの少なくとも一部を、少なくともエチレンが豊富な生成物、水素が豊富な燃料及びメタンが豊富な燃料に分離し、
    前記分離部から前記分解炉の燃焼器に前記水素が豊富な燃料の少なくとも一部を供給する、及び/又は、前記分離部からコンバインドサイクルガスタービン発電プラント(CCGT)の廃熱回収ボイラの燃焼器に前記水素が豊富な燃料の少なくとも一部を供給し、
    前記分離部から液体として直接得られるか、又は前記分離部からのガス状のメタンが豊富な燃料流を液化した後に得られるメタンが豊富な燃料の少なくとも一部をメタン貯蔵部に供給し、
    前記メタンが豊富な燃料の少なくとも一部を前記メタン貯蔵部からCCGTの燃焼器に供給し、前記メタン貯蔵部からのメタンが豊富な燃料を前記燃焼器に供給する前に蒸発させ、
    CCGTの燃焼器に供給される蒸発したメタンが豊富な燃料をCCGTで燃焼させ、電力を発生させる、及び/又は、前記エチレンプラントの蒸気発生回路の一部を形成する蒸気タービンを駆動するための(高圧)蒸気を発生させ、
    前記電力の少なくとも一部は、再生可能エネルギー源から発生する電力である、プロセス。
  24. 分解ガスからガス状のメタンが豊富な流れを更に得て、
    前記ガス状のメタンが豊富な燃料の少なくとも一部を、液化工程無しで前記分離部から前記分解炉の燃焼器に供給する、及び/又は、前記ガス状のメタンが豊富な燃料の少なくとも一部を、液化工程無しで前記分離部からCCGTの廃熱回収ボイラの燃焼器に供給し、
    液化されたメタンが豊富な燃料の一部を前記メタン貯蔵部から前記分解炉の燃焼器に供給し、前記メタン貯蔵部からのメタンが豊富な燃料を、前記燃焼器にガスとして供給する前に蒸発させる、請求項23に記載のプロセス。
  25. 液化されたメタンが豊富な燃料の少なくとも一部を、前記メタン貯蔵部から前記分解炉の燃焼器及び/又はCCGTの廃熱回収ボイラの燃焼器に供給し、前記メタン貯蔵部からのメタンが豊富な燃料を、前記燃焼器にガスとして供給する前に蒸発させる、請求項24に記載のプロセス。
  26. 前記再生可能エネルギー源から発生して前記電力連結部を介して供給される電力の変動を、前記電力連結部により供給される電力が減少するか又は減少すると予測される場合にはCCGTの電力出力を増加させて、前記電力連結部により供給される電力が増加するか又は増加すると予測される場合にはCCGTの電力出力を減少させることにより補う、請求項23~25のいずれか1つに記載のプロセス。
  27. 前記エチレンプラントの一部としての電解槽に連結されている再生可能エネルギーを供給する電力連結部を使用して、前記電解槽によって水を電気電解して水素を発生させ、
    前記再生可能エネルギーの少なくとも一部、及び任意にCCGTによって発生する電力の少なくとも一部を、前記電解槽によって使用して前記水素を電気分解によって発生させ、発生した水素の少なくとも一部を前記電解槽から前記分解炉の燃焼器及び/又はCCGTの廃熱回収ボイラの燃焼器に供給する、請求項23~26のいずれか1つに記載のプロセス。
  28. 前記分解炉は、ロトダイナミック熱分解反応器又は電気加熱分解反応器であり、
    水素が豊富な燃料の少なくとも一部を、前記分離部から前記コンバインドサイクルガスタービン発電プラントの前記廃熱回収ボイラの前記燃焼器に供給する、請求項23~27のいずれか1つに記載のプロセス。
  29. 前記分解炉は、燃料を燃焼する一又は複数の燃焼器が設けられている火室を有する燃焼式分解炉である、請求項23~28のいずれか1つに記載のプロセス。
  30. 再生可能エネルギーを一時的に貯蔵するために請求項1~22のいずれか1つに記載のエチレンプラントを使用する方法。
  31. 水素をメタンが豊富なガスに間接的に変換するために請求項1~22のいずれか1つに記載のエチレンプラントを使用する方法。
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