JP2023519315A - 気管支肺異形成症の発症リスクを予測するためのシステムおよび方法 - Google Patents

気管支肺異形成症の発症リスクを予測するためのシステムおよび方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、乳児の気管支肺異形成症(BPD)発症リスクを予測するためのコンピュータ実装方法に関し、本方法は、a.臨床データ;b.肺成熟度データ、およびc.胃吸引物(GAS)データを含む、乳児のデータセットを取得するステップと、データセットを分析し、それによって分析データ結果を取得するステップと、分析データ結果に基づいて、乳児のBPD発症リスクを予測するステップと、を含む。【選択図】図1

Description

本開示は、コンピュータ実装方法、BPDを予測するための機械学習モデルの教師あり学習のための方法、および乳児の気管支肺異形成症(BPD)発症リスクを予測するためのシステムに関する。
未熟児、特に妊娠28週より前に生まれた乳児は、出生時に、ほとんど肺胞を有しない。存在している肺胞は、正常に機能するのに十分なほど成熟していない傾向があり、乳児は、呼吸を維持するために酸素による呼吸補助が必要になり得る。
典型的には、肺換気を行なう乳児が長時間の高酸素供給から離脱できない場合に、気管支肺異形成症(BPD)が疑われる。BPDには、様々な診断基準が存在するが、一般的には、患者が生後、長期間(ほとんどの場合多くは28日間)酸素補給を必要とすることに依存する。この基準を満たす場合、典型的には、患者の胸部X線が撮影され、肺気腫、肺の瘢痕化、および無気肺など、BPDに特徴的な徴候の有無を調べる。
BPDの臨床的分類は、生後後期、典型的には、生後28日目での酸素補給の評価に依存するが、生後8日目より前のステロイドの投与などの早期治療により、BPDの発症を防ぐことができることが知られている。しかし、この治療に伴うリスクは、利益を上回る可能性があり、治療は、疾患を確認後にのみ、好適な選択肢となる。そのため、BPDの発症を早期に予測することは、疾患の関連する短期的影響および長期的影響を両方とも軽減するのに役立ち得るため、重要な必要性がある。
BPDの発症を早期に予測することは、この疾患の効果的な介入にとって最も重要である。乳児のBPD発症リスクを評価するために、臨床スコアリングシステム、血漿プロテオーム分析、および血球計数(好中球とリンパ球との比率)など、様々な臨床的要因およびバイオマーカーが調査されている。
本発明者らは、胃吸引物(GAS)データ、臨床データ、および肺成熟度データの分析によって、出生後早期にBPDの発症を高い感度および特異率で予測できることを認識した。BPDの発症を早期に予測することにより、乳児の適切な治療を確実に行うことが可能になり、それによって、この疾患に関連する有意な死亡率および罹患率が低下する可能性がもたらされる。
したがって、本発明は、第1の態様において、乳児の気管支肺異形成症(BPD)発症リスクを予測するためのコンピュータ実装方法に関し、この方法は、
a)
-臨床データ;
-肺成熟度データ;
-胃吸引物(GAS)データを含む乳児のデータセットを取得するステップと:
b)データセットを分析し、それによって、分析データ結果を取得するステップと;
c)分析データ結果に基づいて、乳児のBPD発症リスクを予測するステップと、を含む。
GASデータは、好ましくは、分光データ、例えば中赤外分光データとして提供される。GASデータの好ましいスペクトルは、900~3400cm-1の範囲の波長、例えば、900~1800cm-1の範囲および2800~3400cm-1の範囲を含む。FTIRスペクトルデータ、例えば、BPDの発症を示すスペクトル線での測定データを選択し、データセットの追加データと共に、乳児におけるBPDの発症を予測するための基礎を形成することができる。
第2に、データセットは、在胎週数および/または出生時体重など、BPDの発症に関連するマーカーを含む臨床データを含み得る。
第3に、データセットは、肺の成熟度を示す肺成熟度データをさらに含んでもよい。好ましくは、肺成熟度データは、乳児がサーファクタント治療を受けているかまたは受けるかの二値(+/-)の形態で提供される。
サーファクタント治療(サーファクタント補充療法)は、例えば、肺胞が互いに接着しないようにするために、RDSの乳児に対して行うことができ、ほとんどの場合、乳児の呼吸を助けるために補助酸素または人工呼吸器と組み合わせて投与される。
さらなる態様では、本発明は、対象(例えば乳児)が、BPDを発症するリスクがあるかを出生後早期に予測するための機械学習モデルの教師あり学習のための方法に関する。好ましくは、この方法は、出生直後の複数の乳児の情報を含むデータセットを取得することを含む。その後、機械学習モデルは、乳児がBPDを有していたか、またはBPDを発症したかに関する情報を含む結果データと共に、このデータセットに基づいて学習され得る。データセットは、好ましくは、臨床データ、肺成熟度データおよび/またはGASデータを含む。
本発明者らが示すとおり、出生直後にBPDを発症する乳児の胃吸引物と、BPDを発症しない乳児の胃吸引物とは区別される。実際、主に胎児の肺で生成される胃吸引物は、胎児の肺生化学の非常に詳細なデジタル指紋となり、これは、BPDの発症を予測するために使用され得る。
本開示の一実施形態では、結果データに基づいて人工知能(AI)モデルを学習させて、胃吸引測定のデータ点またはスペクトル線を選択する。ここで、データ点またはスペクトル線は、BPDを発症する乳児とBPDを発症しない乳児とをもっとも正確に区別するように選択する。そのため、機械学習モデルの学習には、胃吸引物の関連分子およびバイオマーカーの先験的知識は不要であり得る。学習は、AIモデルの教師あり学習であり得る。
さらに別の態様では、本発明は、出生後早期に乳児がBPDを発症するリスクがあるかを予測するためのシステムに関し、本システムは、メモリと、処理ユニットと、を備え、処理ユニットは、本明細書に開示の方法で、コンピュータ実装方法を実施するように構成されている。好ましくは、本システムは、分光計など、分光測定データを取得するための少なくとも1つの分光測定ユニットをさらに備える。
BPDを有する乳児およびBPDを有しない乳児の対象およびその数を含む、BPDの発症に関する研究のフローチャートを示す図である。 本開示の一実施形態による、胃吸引物のスペクトルデータに基づく気管支肺異形成症の予測のための学習済み機械学習モデルの使用の結果を示す図である。 本開示の一実施形態による、胃吸引物のスペクトルデータおよび臨床データに基づく気管支肺異形成症の予測のための学習済み機械学習モデルの使用の結果を示す図である。
第1の態様では、本開示は、乳児の気管支肺異形成症(BPD)発症リスクを予測するためのコンピュータ実装方法に関する。この方法は、乳児のデータセットを取得するステップであって、データセットが、臨床データ、肺成熟度データ;および胃吸引(GAS)データを含む、ステップと、データセットを分析し、これによって分析データ結果を取得するステップと、分析データ結果に基づいて、乳児がBPDを発症するリスクを予測するステップと、を含む。
本開示の好ましい実施形態では、分析データ結果は、学習済み機械学習モデルによってデータセットを分析することによって得られる。これにより、分析を実行するためにヒトの介入を必要とすることなく、学習済み機械学習モデルを学習データなどの新しいデータに基づいて継続的に最適化させ得る。
早産としても公知である早期出産は、通常の約40週ではなく、在胎週数37週未満での新生児の出生である。したがって、本開示のさらに好ましい実施形態では、乳児は、妊娠37週が完了する前に出生した乳児などの早産児である。しかし、乳児は、在胎週数35週未満、またはさらには在胎週数30週未満など、妊娠の早期段階で生まれる場合がある。BPDの発症リスクは、在胎週数が少ないほど高くなる。
この相関関係の原因は、早期出生児の肺が未発達であり得ることである。一般に、月経後週数(PMA)約16~26週で、肺胞および肺の毛細血管が形成される。PMA約26週後、嚢は、サイズが成長し、約32週で肺胞が発達する。それにより、早産は、未発達の肺に関連している可能性があり、在胎週数が短いほど肺が未発達であることを意味する。在胎週数が28週以下の生存乳児におけるBPDの発生率は、過去数十年にわたって約40%で比較的安定している。
現在開示されている方法の重要な利点は、BPDの発症の早期予測を可能にすることである。したがって、本開示の一実施形態では、データセットは、出生後48時間以内、より好ましくは出生後36時間以内、最も好ましくは出生後24時間以内、例えば、出生時に取得されたデータを含むかまたはそれらからなる。データセットのデータを取得できる時期が早ければ早いほど、乳児におけるBPD発症の予測を早期に行うことができ、その結果、標的となる介入を早期に開始することができ、結果を有意に改善する可能性を有する。早期介入は、サーファクタントおよび新規薬剤、および/または呼吸器様式による、防止的および標的化予防的、治療的介入を含み得る。BPDの治療的療法および予防的療法のための様々な方策が、当業者において公知である。
GASデータ
本開示の一実施形態では、GASデータは、例えば中赤外分光データなどの分光データから導出される、例えば、それらを含むかまたはそれらからなる。GASデータは、900~3400cm-1、例えば、900~1800cm-1および2800~3400cm-1のスペクトルにおける分光データから導出され得るかまたは分光データを含み得る。例えば、FTIR分光法によるGASの分光測定により、胎児の肺生化学の非常に詳細なデジタル指紋を導出することができる。これにより、GASデータは、FTIRスペクトル波長および/または吸収強度を含むことができ、他のマーカーと組み合わせて、BPDの予測のために評価してもよい。胎児肺生化学の非常に詳細なデジタル指紋は、少なくとも部分的には、胎児肺内で生成される流体を含むGASによるものである。
本開示の一実施形態では、GASデータは、1つ以上の吸収スペクトルおよび/または1つ以上の透過スペクトルから導出される、例えば、それらを含むかまたはそれらからなる。GASデータは、単一の分光測定から導出されたデータからなり得る、またはGASデータは、複数の分光測定から導出されたデータを含み得る。さらに、異なる種類の体液に対して複数回の測定が実施されてもよい。本開示の好ましい実施形態では、GASデータは、前処理されたGASサンプルなどのGASサンプルの測定から導出される。
分光測定
本開示の好ましい実施形態では、GASデータは、分光データから得られる。分光データは、GASサンプル(複数可)の分光分析によって取得され得る。分光データは、中赤外領域(3200-900cm-1)におけるGASサンプルの吸収を反映し得る。
GASデータは、好ましくは、GASサンプルの測定から導出される。GASサンプルは、好ましくは、胃吸引物を含むかまたは胃吸引物からなる。代替的にはまたは追加的には、GASサンプルは、咽頭分泌物(例えば、下咽頭分泌物または口腔咽頭分泌物)および羊水、またはそれらの組み合わせなどの他の体液を含むかまたはそれらからなり得る。好ましくは、分析/測定中、GASサンプル(複数可)は、実質的に乾燥している。
前処理
本開示の一実施形態では、GASサンプルは、分光分析前に、好ましくは、非侵襲的に前処理される。GASサンプルの前処理は、例えば、沈殿物を形成するために遠心分離すること、および上澄みを廃棄することを含むかまたはそれらからなり得る。代替的にまたは追加的に、前処理は、保存、好ましくは約4℃などの低温保存を含み得る。
本開示の好ましい実施形態では、GASデータおよび/または肺成熟度データは、胃吸引物(GAS)、咽頭分泌物(例えば、下咽頭分泌物または口腔咽頭分泌物)、羊水またはGASなど、前処理された体液の測定から導出される。
体液の前処理は、例えば、細胞溶解、例えば低張溶液との混合、沈殿物を形成するための遠心分離、および好ましくはその後の上澄みの廃棄を含むかまたはそれらからなり得る。代替的にまたは追加的に、前処理は、保存、好ましくは約4℃、または融点未満などの低温保存を含んでもよい。
赤血球および他の細胞は、多くの場合、GAS中に存在する。リン脂質測定を改善するためにこれらの源からのGASの汚染を減少させるために、L/Sの測定前に羊水またはGASを遠心分離し、その後沈殿物を廃棄することが以前は一般的な方法であった。しかし、この手順では、サーファクタントの量が減少するため、結果的に、肺成熟度の測定精度が低下することとなる。
代わりに、低張溶液との混合などによって体液の細胞が溶解している、GASなどの体液の測定データなどの測定から肺成熟度データを導出することが好ましい。さらに好ましくは、溶解後の体液は、体液のLBが沈殿物を形成し、溶解した細胞の細胞断片および塩などの他の小さい成分が上澄み中に残存するように選択された回転遠心力(RCF)および時間で遠心分離される。適切なRCFおよび時間は、例えば、約4000gおよび4分である。好ましくは、遠心分離後に上澄みを廃棄する。好ましくは、希釈され、遠心分離された体液の測定が、FTIR測定を含むことがさらに好ましい。したがって、FTIR測定は、肺成熟度を評価するためのLB沈殿物の測定、例えば乾式透過FTIRであってもよい。
スフィンゴミエリンは、典型的には、赤血球の外膜にまばらに存在する。したがって、分光法、例えばFTIRなどによる測定前に赤血球を効果的に除去することは、赤血球を除去しない場合と比較して、L/S値がわずかに増加し得る。結果として、対応するL/Sカットオフ値は、赤血球を除去しない場合と比較して、高くなり得る。
本開示の好ましい実施形態では、体液の前処理は、淡水などの水溶液などの低張液で希釈することを含む。淡水などの低浸透圧液体による希釈は、体液を低張状態にさらし、これにより、赤血球など、任意の存在する細胞を破裂させる。好ましくは、前処理は、希釈された体液の遠心分離をさらに含む。遠心分離は、好ましくは、溶解物(例えば、赤血球の破裂した膜)および溶液の他の小さい成分(例えば、タンパク質および/または塩)が、LBが沈殿物を形成する間に上澄み中に到達するように、約4000gで4分間など、相対的な遠心力および時間で実施される。これにより、上澄みでは、好ましくは、希釈され、遠心分離された体液の測定がFTIR測定を含むことがさらに好ましい。したがって、FTIR測定は、肺成熟度を評価するためのLB沈殿物の測定であってもよい。
GASサンプルの取得
本開示の好ましい実施形態では、GASサンプルは、非侵襲的に取得されたものである。本開示のさらなる実施形態では、GASサンプルは、栄養チューブ、例えば、シリンジまたは吸引カテーテルを通して、GASを置換する手段と組み合わせた栄養チューブによって、乳児から収集されている。GASは、例えば、シリンジに取り付けられた栄養チューブまたは気管吸引セットに接続された吸引カテーテルを使用して、収集され得る。栄養チューブまたは吸引カテーテルは、呼吸安定化のためのnCPAPまたは蘇生のための挿管を確立させている間、通常どおりに配置させ得る。
臨床データ
本開示の一実施形態では、臨床データは、出生時体重、在胎週数、性別、乳児がRDSと診断されているか否かの指標、およびRDSの重症度(関連症例)、またはそれらの組み合わせなどのリストから選択されるデータを含むまたはこれらからなる。極度の未熟児および極度の低出生体重は、BPDのリスク因子として十分に確立されている。在胎週数および出生時体重は、BPDの発生率および疾患の重症度に反比例する。男乳児は、女乳児と比較して、高いBPD発症リスクを有することが知られている。BPDの追加の臨床マーカーは、例えば、Trembath et al.「Predictors of Bronchopulmonary Dysplasia」、Clin.Perinatol.2013の概略に記載されているものとして公知である。
肺成熟度データ
本開示の好ましい実施形態では、肺成熟度データは、乳児がサーファクタント治療を受けているもしくは受けるか、または受けないかを表す二値(+/-)である。
乳児がサーファクタント治療を受ける場合、治療は、理想的には、初回用量の投与によって可能なかぎり早く開始させる。好ましくは、生後1時間以内に投与する必要があるが、確実に生後2時間より前に投与する必要がある。乳児がまだ挿管されており、30~40%以上の酸素を必要とする場合は、4~12時間以内に反復投与する必要がある。乳児が30%未満の酸素を必要とする場合は、その後の投与は、一般に、行わない。典型的なサーファクタントとしては、特定の投与ガイドラインに関連するSurvanta、Infasurf、およびCurosurfが挙げられる。
本開示の代替的実施形態では、肺成熟度データは、体液、例えば、胃吸引物(GAS)、咽頭分泌物(例えば、下咽頭分泌物または口腔咽頭分泌物)および羊水、またはそれらの組み合わせの測定から導出されるデータである。肺成熟度データは、肺成熟度試験、例えば、マイクロバブル安定性試験、ラメラ体数、および/または分光測定から導出され得る。好ましくは、現在開示されている実施形態では、肺成熟度データは、分光データであるか、または分光データから導出される。それにより、体液の測定は、好ましくは、非侵襲的な分光測定であり得る。
肺サーファクタントは、肺胞のII型肺細胞中で産生され、肺液と共にラメラ体(LB)として羊水およびGAS中に分泌される表面活性リポタンパク質複合体である。肺サーファクタントの主な脂質含有量は、DPPCである。したがって、肺成熟度データは、レシチン、例えばジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、および/またはスフィンゴミエリンなどの表面活性肺リン脂質の含有量またはそれらの比率を反映し得る。肺成熟度データは、例えば、レシチン/スフィンゴミエリン比(L/S)を反映し得る。
本開示の一実施形態では、肺成熟度データは、肺成熟度の評価のために、中赤外分光データなどの分光データから導出される、例えば、それらを含むかまたはそれらからなる。分光データは、例えば、中赤外領域(3400~900cm-1)で記録されてもよい。例えば、FTIR分光計による。
本開示の一実施形態では、肺成熟度データは、カットオフ値に対する乳児の胎児肺成熟度に関連する1つ以上の測定値を含む。例えば、乳児の胎児肺成熟度に関連する測定値が、上記のカットオフ値を下回る(または上回る)場合、胎児肺未熟度(RDSなど)に関連する疾患のリスクが高くなることと関連し、上記のカットオフ値を上回る(または下回る)場合、測定値は、胎児肺未熟度に関連する疾患のリスクが低くなることと関連する。したがって、肺成熟度データは、測定値とカットオフ値との差、または測定値がカットオフ値を上回っているまたは下回っているかの情報を含んでもよい。カットオフ値は、適切な単位(例えば、モル(mole/mol))で約3、好ましくは約3.05、例えば3.05であり得る。カットオフ値は、L/S値であってもよい。
レシチン-スフィンゴミエリン比(L/SまたはL/S比)は、胎児肺未熟度を評価するための胎児羊水の検査である。肺は、肺中の肺胞の表面圧を低下させるためにサーファクタントを必要とする。これは、出生後に肺を拡張しようとする未熟児にとって特に重要である。
L/Sは、胎児肺成熟度のマーカーである。胎児の肺から羊水への肺分泌物の外向きの流れにより、スフィンゴミエリンがほぼ同じままで、レシチン濃度が有意に増加し始める在胎週数約32~33週まで、レシチンとスフィンゴミエリンとのレベルが等しく維持される。そのため、羊水のサンプルが高い比率を有する場合、これは、肺内のサーファクタントが多く、乳児が出生時に呼吸困難が少ないことを示している。
数学演算
本開示の一実施形態では、GASデータは、人工知能(AI)モデルを分光データに適用することによって導出される。AIモデルは、学習データ/結果データを使用して開発され得、関連分子およびバイオマーカーの先験的知識は不要である。
本開示の一実施形態では、GASデータは、分光データに数学演算を適用することによって導出される。
したがって、GASデータは、分光データから数学的に導出させ得る。数学演算は、ノイズ除去、平滑化、バックグラウンドおよびベースライン補正、正規化(相対強度のスケールへの変換)、アライメント、NIRでの散乱などの散乱の補正、および/またはフィルタリングまたはそれらの組み合わせを含むことができる。したがって、GASデータは、何らかの方法でプリプロセス処理させ得る。
一般に、信号のプリプロセス処理は、確率的測定ノイズから系統誤差の様々な原因(非線形機器応答、シフト問題、望ましくない化学的および物理的変動の干渉効果)に至るまでの望ましくない現象の寄与を補正および/または除去するために適用される。これらの操作は、ノイズ除去、平滑化、バックグラウンドおよびベースライン補正、正規化(相対強度のスケールへの変換)、アラインメント(水平シフトの除去)、および近赤外線での散乱の補正としても知られている。さらに、例えば、微分演算によって信号を変換することにより、正規化、ベースラインの除去、および部分的なバンドのデコンボリューションを暗示的に達成できる。水平シフトの除去に関する限り、ミスアライメントの除去を補助し得るいくつかのアルゴリズムが提案されている。
測定データを同じデータのより良いバージョンに数学的に変換するように作用して、いくつかの望ましくない種類の変動を除外する様々なフィルタリング方法が知られており、モデルベースの方法では、フィルタリングに関連する数学的パラメータの統計的推定値も取得されるため、フィルタリングにより除去された情報が失われないように、より明確な数学的モデルに基づいて、より良いバージョンが取得される。
ノイズ除去/平滑化、すなわち情報が得られない高周波変動の除去に最もよく使用されるフィルタリング方法には、移動平均および多項式Savitsky-Golayフィルタリングがあり、これらは、ノイズ(単調関数の和)と比較して、信号が平滑であるという仮定に基づいて機能し、ノイズは、主に無相関であり、マイルドな方法によって除去される。あるいは、周波数(フーリエ変換)またはウェーブレット(ウェーブレット変換)ドメインで高周波成分を除去してもよい。
したがって、本開示の一実施形態では、数学演算は、一次導関数を含むか、または一次導関数からなる。代替的または追加的に、数学演算は、Savitzky-Golayアルゴリズムなどのベースライン補正アルゴリズムを含み得るか、またはそれからなり得る。
本開示の一実施形態では、数学演算は、測定スペクトルの所定の波数において、測定データを選択することを含むか、または選択することからなる。好ましくは、測定スペクトルの所定の波数は、乳児がBPDを発症するか否かを予測するために重要である。それにより、所定の波数における測定データは、乳児がBPDを発症する、例えば、そのリスクがあるかを示し得る。好ましくは、所定の波数は、所定の波数に対応する測定データが、BPDを発症する乳児とBPDを発症しない乳児との差、好ましくは統計的有意差を示すように選択される。例えば、BPDの予測に統計的に関連のある波数、所定の波数を取得するために、乳児がBPDを発症しているか否かが分かっている、出生初期に取得された乳児のデータに統計的検定を適用することができる。これにより、結果が既知である学習セットと見なすことができ、BPDを予測するための関連する波数を取得することができる。好ましくは、そのような学習セットは、その差が確実に統計的に有意であるようにするために十分に大きいものである。このような統計的検定は、例えば、両側p値<0.05など、対応のあるCox-Wilcoxon検定であってもよい。
本開示の一実施形態では、数学演算は、部分最小二乗分析または多変量データ分析のための他の方法を含むかまたはそれらからなる。PLSはさらに、線形判別分析など、他の分類技術と組み合わせて使用してもよい。
本開示の一実施形態では、GASデータは、(非侵襲的に)GASサンプルを取得することと、(任意により)GASサンプルを保存することと、(任意により)GASサンプルを前処理することと、分光法、例えば、中赤外分光法により、GASサンプルを分析/測定することにより、分光データを取得することと、(任意により)1つ以上の数学演算を分光データに適用することと、を含むプロセスによって取得される。これにより、GASデータは、GASサンプルの分光測定から導出される。
疾患
本開示の一実施形態では、BPDは、生後特定の日数(例えば、生後28日目)における、酸素補給を必要とするものとして定義される。あるいは、BPDは、2000年6月以降のNational Institute of Child Health and Human Development(NICHD)の定義に従って定義することができ、これには、出生後週齢またはPMAのいずれかに基づいて、BPDを軽度、中等度、または重度に分類する重症度ベースの定義を含む。したがって、軽度のBPDは、最初の28日間、酸素補給(O)が必要であるとして定義されるが、PMA36週または退院時には必要としない。中等度のBPDでは、最初の28日間、Oを必要とすることに加えて、PMA36週には、30%未満のOによる治療を必要とする。重度のBPDでは、最初の28日間、Oを必要とすることに加えて、PMA36週には、30%以上のOおよび/または陽圧を必要とする。他の定義、例えば、生理学的定義が存在する。
使用するBPDの定義に関係なく、BPDの分類が行われるまでには一定の時間が必要とされる。これにより、BPDのリスクがある未熟児の治療法を特定することが困難になる。妊娠23週で出生し、月経後週数34週で人工呼吸器を必要とする乳児は、BPDを発症する可能性があり、これは、36週での酸素療法として定義される。その乳児は、短期結果を改善する方策の恩恵を受け得るが、BPD発生率が低下することはない。
MLモデル
本開示の好ましい実施形態では、分析データ結果は、学習済み機械学習モデルによってデータセットを分析することによって得られる。学習済み機械学習モデルは、教師あり学習モデルであることが好ましく、あるいは、教師あり学習モデルおよび教師なし学習モデルであってもよい。
本開示の一実施形態では、学習済みモデルは、サポートベクターマシン(SVM)、回帰モデル、人工ニューラルネットワーク、決定木、遺伝的アルゴリズム、ベイジアンネットワーク、またはそれらの組み合わせを含むリストから選択される。
本開示の一実施形態では、予測は、BPDの任意の定義によるBPDの発症など、乳児がBPDを発症するリスクのパーセンテージを含むかまたはそれからなる。あるいは、予測は、BPDの重症度、例えば、軽度のBPD、中等度のBPD、または重度のBPDを予測することをさらに含んでもよい。それにより、モデルは、乳児におけるBPDの発症を予測し、追加的にまたは代替的に、BPDの重症度を予測し得る。BPDの重症度を予測することは、BPDのNICHD定義、またはBPDの任意の他の重症度に基づく分類システムに従って、乳児におけるBPDの重症度を予測することを含み得る。
本開示の一実施形態では、予測の感度は、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%である。
本開示の一実施形態では、予測の特異率は、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%である。
本開示の一実施形態では、予測の特異率および感度は、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%である。
さらなる態様では、本開示は、本明細書の他の場所で開示されるように、乳児におけるBPDの発症を予測するための機械学習モデルの使用に関する。
さらに別の態様では、本開示は、乳児が出生後早期にBPDを発症するか否かを予測するためのシステムに関し、本システムは、
a)メモリと、
b)プロセス処理ユニットと、を備え、プロセス処理ユニットは、本明細書の別の場所で開示されているとおり、乳児におけるBPDの発症を予測する方法を実行するように構成され、かつ/または、本明細書の別の場所で開示されているとおり、乳児におけるBPDの発症を予測するための機械学習モデルの学習を実施するように構成されている。
本開示の一実施形態では、システムは、分光計など、分光測定データを取得するための少なくとも1つの分光測定ユニットを備える。好ましくは、システムは、GASデータを取得するように構成されている。システムは、好ましくは、FTIR分光計を備える。
本開示の一実施形態では、システムは、携帯型および/またはベッドサイドシステムである。現在開示されているシステムの利点は、システムが分娩室またはその近くに存在し得るため、出生後早期にBPDの予測を取得することが可能になる。
学習
本開示はさらに、対象(例えば乳児)が気管支肺異形成症(BPD)に罹患しているかまたは発症するかを出生後早期に予測するための機械学習モデルの教師あり学習のための方法に関し、この方法は、出生直後の複数の乳児の情報、臨床データ;肺成熟度データ;および胃吸引(GAS)データを含むデータセットを取得することと;乳児がBPDを有していた、またはBPDを発症したかに関連する情報を含むかまたはそれらからなる結果データを取得することと;乳児のデータセットおよび結果データに基づいて、教師あり学習によって機械学習モデルを学習させ、対象がBPDに罹患している、および/またはBPDを発症するかを出生後早期に予測することと、を含む。
本開示の一実施形態では、対象および/または乳児は、妊娠37週が完了する前に出生したなどの早産児である。本開示の好ましい実施形態では、乳児は、妊娠37週が完了する前に出生した乳児などの早産児である。早産としても公知である早期出産は、通常の約40週ではなく、在胎週数37週未満での新生児の出生である。しかし、乳児は、在胎週数35週未満、またはさらには在胎週数30週未満など、妊娠の早期段階で生まれる場合がある。BPDの発症リスクは、在胎週数が少ないほど高くなる。
データセットは、出生時など、出生後24時間以内に取得されたデータを含むかまたはこのデータからなることが好ましい。乳児でのBPDの発症予測を早く行うほど、標的とする介入を早期に開始でき、結果を有意に改善する可能性を有する。早期介入は、サーファクタントおよび新規薬剤、および/または呼吸器様式による、防止的および標的化予防的、治療的介入を含み得る。BPDの治療的療法および予防的療法のための様々な戦略が、当業者において公知である。
GASデータ
本開示の一実施形態では、GASデータは、例えば中赤外分光データなどの分光データから導出される、例えば、それらを含むかまたはそれらからなる。GASデータは、例えば、900~3400cm-1、例えば、900~1800cm-1および2800~3400cm-1のスペクトルにおける分光データから導出され得るかまたは分光データを含み得る。例えば、FTIR分光法によるGASの分光測定により、典型的には、胎児の肺生化学の非常に詳細なデジタル指紋を導出することができる。これにより、GASデータは、FTIRスペクトル波長および/または吸収強度を含むことができ、他のマーカーと組み合わせて、BPDの予測のために評価してもよい。
本開示の一実施形態では、結果データに基づいてAIモデルを学習させて、胃吸引測定のデータ点またはスペクトル線を選択する。ここで、データ点またはスペクトル線は、BPDを発症する乳児とBPDを発症しない乳児とをもっとも正確に区別するように選択する。そのため、機械学習モデルの学習には、胃吸引物の関連分子およびバイオマーカーの先験的知識は不要であり得る。
本開示の一実施形態では、GASデータは、1つ以上の吸収スペクトルおよび/または1つ以上の透過スペクトルから導出される、例えば、それらを含むかまたはそれらからなる。GASデータは、単一の分光測定から導出されたデータからなり得る、またはGASデータは、複数の分光測定から導出されたデータを含み得る。さらに、異なる種類の体液に対して複数回の測定が実施されてもよい。本開示の好ましい実施形態では、GASデータは、前処理されたGASサンプルなどのGASサンプルの測定から導出される。
分光測定
本開示の好ましい実施形態では、GASデータは、分光データから得られる。分光データは、GASサンプル(複数可)の分光分析によって取得され得る。分光データは、中赤外領域(3200~900cm-1)におけるGASサンプルの吸収を反映し得る。
GASデータは、好ましくは、GASサンプルの測定から導出される。GASサンプルは、好ましくは、胃吸引物を含むかまたは胃吸引物からなる。代替的にはまたは追加的には、GASサンプルは、咽頭分泌物(例えば、下咽頭分泌物または口腔咽頭分泌物)および羊水、またはそれらの組み合わせなどの他の体液を含むかまたはそれらからなり得る。好ましくは、分析/測定中、GASサンプル(複数可)は、実質的に乾燥している。
前処理
本開示の一実施形態では、GASサンプルは、分光分析前に、好ましくは、非侵襲的に前処理される。GASサンプルの前処理は、例えば、沈殿物を形成するために遠心分離すること、および上澄みを廃棄することを含むかまたはそれらからなり得る。代替的にまたは追加的に、前処理は、保存、好ましくは約4℃などの低温保存を含み得る。
本開示の好ましい実施形態では、GASデータおよび/または肺成熟度データは、胃吸引物(GAS)、咽頭分泌物(例えば、下咽頭分泌物または口腔咽頭分泌物)、羊水またはGASなど、前処理された体液の測定から導出される。
体液の前処理は、例えば、細胞溶解、例えば低張溶液との混合、沈殿物を形成するための遠心分離、および好ましくはその後の上澄みの廃棄を含むかまたはそれらからなり得る。代替的にまたは追加的に、前処理は、保存、好ましくは約4℃、または融点未満などの低温保存を含んでもよい。
赤血球および他の細胞は、多くの場合、GAS中に存在する。リン脂質測定を改善するためにこれらの源からのGASの汚染を減少させるために、L/Sの測定前に羊水またはGASを遠心分離し、その後沈殿物を廃棄することが以前は一般的な方法であった。しかし、この手順では、サーファクタントの量が減少するため、結果的に、肺成熟度の測定精度が低下することとなる。
代わりに、低張溶液との混合などによって体液の細胞が溶解している、GASなどの体液の測定データなどの測定から肺成熟度データを導出することが好ましい。さらに好ましくは、溶解後の体液は、体液のLBが沈殿物を形成し、溶解した細胞の細胞断片および塩などの他の小さい成分が上澄み中に残存するように選択された回転遠心力(RCF)および時間で遠心分離される。適切なRCFおよび時間は、例えば、約4000gおよび4分である。好ましくは、遠心分離後に上澄みを廃棄する。好ましくは、希釈され、遠心分離された体液の測定が、FTIR測定を含むことがさらに好ましい。したがって、FTIR測定は、肺成熟度を評価するためのLB沈殿物の測定、例えば乾式透過FTIRであってもよい。
スフィンゴミエリンは、典型的には、赤血球の外膜にまばらに存在する。したがって、分光法、例えばFTIRなどによる測定前に赤血球を効果的に除去することは、赤血球を除去しない場合と比較して、L/S値がわずかに増加し得る。結果として、対応するL/Sカットオフ値は、赤血球を除去しない場合と比較して、高くなり得る。
本開示の好ましい実施形態では、体液の前処理は、淡水などの水溶液などの低張液で希釈することを含む。淡水などの低浸透圧液体による希釈は、体液を低張状態にさらし、これにより、赤血球など、任意の存在する細胞を破裂させる。好ましくは、前処理は、希釈された体液の遠心分離をさらに含む。遠心分離は、好ましくは、溶解物(例えば、赤血球の破裂した膜)および溶液の他の小さい成分(例えば、タンパク質および/または塩)が、LBが沈殿物を形成する間に上澄み中に到達するように、約4000gで4分間など、相対的な遠心力および時間で実施される。これにより、上澄みでは、好ましくは、希釈され、遠心分離された体液の測定が、FTIR測定を含むことがさらに好ましい。したがって、FTIR測定は、肺成熟度を評価するためのLB沈殿物の測定であってもよい。
GASサンプルの取得
本開示の好ましい実施形態では、GASサンプルは、非侵襲的に取得されたものである。本開示のさらなる実施形態では、GASサンプルは、栄養チューブ、例えば、シリンジまたは吸引カテーテルを通して、GASを置換する手段と組み合わせた栄養チューブによって、乳児から収集されている。GASは、例えば、シリンジに取り付けられた栄養チューブまたは気管吸引セットに接続された吸引カテーテルを使用して、収集され得る。栄養チューブまたは吸引カテーテルは、呼吸安定化のためのnCPAPまたは蘇生のための挿管を確立させている間、通常どおりに配置させ得る。
臨床データ
本開示の一実施形態では、臨床データは、出生時体重、在胎週数、性別、乳児がRDSと診断されているか否かの指標、およびRDSの重症度(関連症例)、またはそれらの組み合わせなどのリストから選択されるデータを含むまたはこれらからなる。極度の未熟児および極度の低出生体重は、BPDのリスク因子として特定されている。在胎週数および出生時体重は、BPDの発生率および疾患の重症度に反比例する。男乳児は、女乳児と比較して、高いBPD発症リスクを有することが知られている。BPDの追加の臨床マーカーは、例えば、Trembath et al.「Predictors of Bronchopulmonary Dysplasia」、Clin.Perinatol.2013に概説されているものとして公知である。
肺成熟度データ
本開示の好ましい実施形態では、肺成熟度データは、乳児がサーファクタント治療を受けているもしくは受けるか、または受けないかを表す二値(+/-)である。
乳児がサーファクタント治療を受ける場合、治療は、理想的には、初回用量の投与によって可能なかぎり早く開始させる。好ましくは、生後1時間以内に投与する必要があるが、確実に生後2時間より前に投与する必要がある。乳児がまだ挿管されており、30~40%以上の酸素を必要とする場合は、4~12時間以内に反復投与する必要がある。乳児が30%未満の酸素を必要とする場合は、その後の投与は、一般に、行わない。典型的なサーファクタントとしては、特定の投与ガイドラインに関連するSurvanta、Infasurf、およびCurosurfが挙げられる。
本開示の代替的実施形態では、肺成熟度データは、体液、例えば、胃吸引物(GAS)、咽頭分泌物(例えば、下咽頭分泌物または口腔咽頭分泌物)および羊水、またはそれらの組み合わせの測定から導出されるデータである。肺成熟度データは、肺成熟度試験、例えば、マイクロバブル安定性試験、ラメラ体数、および/または分光測定から導出され得る。好ましくは、現在開示されている実施形態では、肺成熟度データは、分光データであるか、または分光データから導出される。それにより、体液の測定は、好ましくは、非侵襲的な分光測定であり得る。
肺サーファクタントは、肺胞のII型肺細胞中で産生され、肺液と共にラメラ体(LB)として羊水およびGAS中に分泌される表面活性リポタンパク質複合体である。肺サーファクタントの主な脂質含有量は、DPPCである。したがって、肺成熟度データは、レシチン、例えばジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、および/またはスフィンゴミエリンなどの表面活性肺リン脂質の含有量またはそれらの比率を反映し得る。肺成熟度データは、例えば、レシチン/スフィンゴミエリン比(L/S)を反映し得る。
本開示の一実施形態では、肺成熟度データは、肺成熟度の評価のために、中赤外分光データなどの分光データから導出される、例えば、それらを含むかまたはそれらからなる。分光データは、例えば、中赤外領域(3400~900cm-1)で記録されてもよい。例えば、FTIR分光計による。
本開示の一実施形態では、肺成熟度データは、カットオフ値に対する乳児の胎児肺成熟度に関連する1つ以上の測定値を含む。例えば、乳児の胎児肺成熟度に関連する測定値が、上記のカットオフ値を下回る(または上回る)場合、胎児肺未熟度(RDSなど)に関連する疾患のリスクが高くなることと関連し、上記のカットオフ値を上回る(または下回る)場合、測定値は、胎児肺未熟度に関連する疾患のリスクが低くなることと関連する。したがって、肺成熟度データは、測定値とカットオフ値との差、または測定値がカットオフ値を上回っているまたは下回っているかの情報を含んでもよい。カットオフ値は、適切な単位(例えば、モル(moles/mol))で約3、好ましくは約3.05、例えば3.05であり得る。カットオフ値は、L/S値であってもよい。
レシチン-スフィンゴミエリン比(L/SまたはL/S比)は、胎児肺未熟度を評価するための胎児羊水の検査である。肺は、肺中の肺胞の表面圧を低下させるためにサーファクタントを必要とする。これは、出生後に肺を拡張しようとする未熟児にとって特に重要である。
L/Sは、胎児肺成熟度のマーカーである。胎児の肺から羊水への肺分泌物の外向きの流れにより、スフィンゴミエリンがほぼ同じままで、レシチン濃度が有意に増加し始める在胎週数約32~33週まで、レシチンとスフィンゴミエリンとのレベルが等しく維持される。そのため、羊水のサンプルが高い比率を有する場合、これは、肺内のサーファクタントが多く、乳児が出生時に呼吸困難が少ないことを示している。
数学演算
本開示の一実施形態では、結果データに基づいてAIモデルを学習させて、胃吸引測定のデータ点またはスペクトル線を選択する。ここで、データ点またはスペクトル線は、BPDを発症する乳児とBPDを発症しない乳児とをもっとも正確に区別するように選択する。そのため、機械学習モデルの学習には、胃吸引物の関連分子およびバイオマーカーの先験的知識は不要であり得る。
本開示の一実施形態では、GASデータは、分光データに数学演算を適用することによって導出される。したがって、GASデータは、分光データから数学的に導出させ得る。数学演算は、ノイズ除去、平滑化、バックグラウンドおよびベースライン補正、正規化(相対強度のスケールへの変換)、アライメント、NIRでの散乱などの散乱の補正、および/またはフィルタリングまたはそれらの組み合わせを含むことができる。したがって、GASデータは、何らかの方法でプリプロセス処理させ得る。
一般に、信号のプリプロセス処理は、確率的測定ノイズから系統誤差の様々な原因(非線形機器応答、シフト問題、望ましくない化学的および物理的変動の干渉効果)に至るまでの望ましくない現象の寄与を補正および/または除去するために適用される。これらの操作は、ノイズ除去、平滑化、バックグラウンドおよびベースライン補正、正規化(相対強度のスケールへの変換)、アラインメント(水平シフトの除去)、および近赤外線での散乱の補正としても知られている。さらに、例えば、微分演算によって信号を変換することにより、正規化、ベースラインの除去、および部分的なバンドのデコンボリューションを暗示的に達成できる。水平シフトの除去に関する限り、ミスアライメントの除去を補助し得るいくつかのアルゴリズムが提案されている。
測定データを同じデータのより良いバージョンに数学的に変換するように作用して、いくつかの望ましくない種類の変動を除外する様々なフィルタリング方法が知られており、モデルベースの方法では、フィルタリングに関連する数学的パラメータの統計的推定値も取得されるため、フィルタリングにより除去された情報が失われないように、より明確な数学的モデルに基づいて、より良いバージョンが取得される。
ノイズ除去/平滑化、すなわち情報が得られない高周波変動の除去に最もよく使用されるフィルタリング方法には、移動平均および多項式Savitsky-Golayフィルタリングがあり、これらは、ノイズ(単調関数の和)と比較して、信号が平滑であるという仮定に基づいて機能し、ノイズは、主に無相関であり、マイルドな方法によって除去される。あるいは、周波数(フーリエ変換)またはウェーブレット(ウェーブレット変換)ドメインで高周波成分を除去してもよい。
したがって、本開示の一実施形態では、数学演算は、一次導関数を含むか、または一次導関数からなる。代替的または追加的に、数学演算は、Savitzky-Golayアルゴリズムなどのベースライン補正アルゴリズムを含み得るか、またはそれからなり得る。
本開示の一実施形態では、数学演算は、測定スペクトルの所定の波数において、測定データを選択することを含むか、または選択することからなる。好ましくは、測定スペクトルの所定の波数は、乳児がBPDを発症するか否かを予測するために重要である。それにより、所定の波数における測定データは、乳児がBPDを発症する、例えば、そのリスクがあるかを示し得る。好ましくは、所定の波数は、所定の波数に対応する測定データが、BPDを発症する乳児とBPDを発症しない乳児との統計的有意性または差、好ましくは統計的有意差を示すように選択される。例えば、BPDの予測に統計的に関連のある波数、所定の波数を取得するために、乳児がBPDを発症しているか否かが分かっている、出生初期に取得された乳児のデータに統計的検定を適用することができる。これにより、結果が既知である学習セットと見なすことができ、BPDを予測するための関連する波数を取得することができる。好ましくは、そのような学習セットは、その差が確実に統計的に有意であるようにするために十分に大きいものである。このような統計的検定は、例えば、両側p値<0.05など、対応のあるCox-Wilcoxon検定であってもよい。
本開示の一実施形態では、数学演算は、部分最小二乗分析または多変量データ分析のための他の方法を含むかまたはそれらからなる。PLSはさらに、線形判別分析など、他の分類技術と組み合わせて使用してもよい。
本開示の一実施形態では、GASデータは、(非侵襲的に)GASサンプルを取得することと、(任意により)GASサンプルを保存することと、(任意により)GASサンプルを前処理することと、分光法、例えば、中赤外分光法により、GASサンプルを分析/測定することにより、分光データを取得することと、(任意により)1つ以上の数学演算を分光データに適用することと、を含むプロセスによって取得される。これにより、GASデータは、GASサンプルの分光測定から導出される。
疾患
本開示の一実施形態では、BPDの分類は、生後特定の日数、典型的には生後28日において、酸素補給を必要とする対象として定義される。あるいは、BPDは、2000年6月以降のNational Institute of Child Health and Human Development(NICHD)の定義に従って定義することができ、これには、出生後週齢またはPMAのいずれかに基づいて、BPDを軽度、中等度、または重度に分類する重症度ベースの定義を含む。したがって、軽度のBPDは、最初の28日間、酸素補給(O)が必要であるが、PMA36週または退院時には必要としない、として定義される。中等度のBPDでは、最初の28日間、Oを必要とすることに加えて、PMA36週には、30%未満のOによる治療を必要とする。重度のBPDでは、最初の28日間、Oを必要とすることに加えて、PMA36週には、30%以上のOおよび/または陽圧を必要とする。他の定義、例えば、生理学的定義が存在する。
使用するBPDの定義に関係なく、BPDの分類が行われるまでには一定の時間が必要とされる。これにより、BPDのリスクがある未熟児の治療法を特定することが困難になる。妊娠23週で出生し、月経後週数34週で人工呼吸器を必要とする乳児は、BPDを発症する可能性があり、これは、36週での酸素療法として定義される。その乳児は、短期結果を改善する方策の恩恵を受け得るが、BPD発生率が低下することはない。
MLモデル
本開示の好ましい実施形態では、分析データ結果は、学習済み機械学習モデルによってデータセットを分析することによって得られる。学習済み機械学習モデルは、教師あり学習モデルであることが好ましく、あるいは、教師あり学習モデルおよび教師なし学習モデルであってもよい。
本開示の一実施形態では、学習済みモデルは、サポートベクターマシン(SVM)、回帰モデル、人工ニューラルネットワーク、決定木、遺伝的アルゴリズム、ベイジアンネットワーク、またはそれらの組み合わせを含むリストから選択される。
本開示の一実施形態では、予測は、BPDの任意の定義によるBPDの発症など、乳児がBPDを発症するリスクのパーセンテージを含むかまたはそれからなる。あるいは、予測は、BPDの重症度、例えば、軽度のBPD、中等度のBPD、または重度のBPDを予測することをさらに含んでもよい。それにより、モデルは、乳児におけるBPDの発症を予測し、追加的にまたは代替的に、BPDの重症度を予測し得る。BPDの重症度を予測することは、BPDのNICHD定義、またはBPDの任意の他の重症度に基づく分類システムに従って、乳児におけるBPDの重症度を予測することを含み得る。
本開示の一実施形態では、予測の感度は、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%である。
本開示の一実施形態では、予測の特異率は、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%である。
本開示の一実施形態では、予測の特異率および感度は、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%である。
本開示の一実施形態では、学習済み機械学習モデルが評価される。学習済み機械学習モデルの評価は、機械学習モデルの学習中に使用されたものとは異なるデータセットおよび結果データによって実行され得る。
本開示はさらに、乳児が出生後早期にBPDを発症するか否かを予測するためのシステムに関し、このシステムは、メモリと、プロセス処理ユニットと、を備え、プロセス処理ユニットは、本明細書の他の場所で開示されるとおり、乳児の気管支肺異形成症(BPD)発症リスクを予測するための方法、および/または乳児が気管支肺異形成症(BPD)に罹患しているかまたは発症するかを出生後早期に予測するための機械学習モデルの教師あり学習のための方法を実行するように構成されている。
本開示の一実施形態では、システムは、分光計など、分光測定データを取得するための少なくとも1つの分光測定ユニットをさらに備える。好ましくは、分光計は、GASサンプルから分光測定データを取得する、および分光測定データをプロセス処理するために分光測定データをプロセス処理ユニットに提供するように構成される。したがって、システムは、分光測定データをプロセス処理ユニットおよび/またはメモリに提供するための手段を備えることができる。好ましくは、システムは、電源をさらに備える。
実施例
実施例1-乳児のBPDの発症を予測するための機械学習アルゴリズムの学習
BPD定義
US National Institutes of Health(NIH)のコンセンサスBPD定義を適用した。在胎週数(GA)<32週で出生した乳児の場合、BPDは、少なくとも28日間(すべての重症度のBPD)の酸素補給を必要とすることが指示されており、36週間(中等度から重度のBPD)および40週間(重度のBPD)で評価した。
参加者
妊娠24週~31週に出生した未熟児は、参加資格があった。この研究に登録された乳児は、Heiring et al.「Predicting respiratory distress syndrome at birth using a fast test based on spectroscopy of gastric aspirates:2.Clinical part」Acta Paediatr.2019,に記載のとおり、可能な場合は、胎児期のステロイド剤および非常に初期の鼻腔CPAPにより治療した。サーファクタント(Curosurf(登録商標))は、European Consensus Guidelines on the management of RDSに従って、INSURE(挿管-サーファクタント-抜管)法または経鼻的持続陽圧呼吸(nasal-CPAP)および細いカテーテルによって投与されるサーファクタントとして投与した。
GASのサンプリングおよび分光法
出生時のGASサンプル(0.3~2.5mL)は、例えば、シリンジに取り付けられた栄養チューブまたは気管吸引セットに接続された吸引カテーテルを使用して、収集した。栄養チューブまたは吸引カテーテルは、呼吸安定化のためのnCPAPまたは蘇生のための挿管を確立させている間、通常どおりに配置された。
出生直後に得られた胃吸引物を4~5℃で保存し、10日以内にFTIR分光法で分析した。
FTIR分光法は、乾式透過で行い、分光信号は、サーファクタントを濃縮することにより強化され、これによりタンパク質、塩、またはタンパク質凝集塊(粘液など)の干渉を回避させた。
GAS(200μL)を水で4倍に希釈し、4000gで4分間遠心分離した。上澄みを除去後、サンプルを100μLの水に懸濁し、50μLアリコートに分割した。50μLのサンプルを、CaFウィンドウ(厚さ1mm、および直径13mm、Chrystran.com)上での乾式透過によって実施されるFTIR分析によって測定した。サンプル(50μL)をCaF上に塗布し、ホットプレート(90℃)で乾燥させた。FTIRスペクトルは、DTGS検出器を備えたBruker Tensor 27(60スキャンおよび4cm-1の解像度)によって測定した。
基礎的方法開発原理
データ駆動型アプローチを採用して、BPDを予測できるソフトウェアアルゴリズムを開発した。出生時近くに入手可能な臨床データおよび肺成熟度データ(+/-サーファクタント治療)をGASのFTIRスペクトルデータと組み合わせて、非常に複雑な多変量データセットを作成した。これらのデータセットは、AIを使用して分析し、BPDの臨床的発症に合わせて補正した。
統計分析
BPDに相関する臨床データポイントは、継続的変数のt検定およびカテゴリ変数のカイ2乗検定によって決定した。対応のあるCox-Wilcoxon検定をFTIRスペクトルデータ解析に使用した。両側p値<0.05は、統計的有意性を示すと見なした。
FTIRスペクトルデータ
FTIRスペクトル分析範囲は、900~3400cm-1であった。Savitzky-Golayアルゴリズムを使用してベースラインを補正し、1次導関数をスペクトルデータ解析に使用した。最も重要な変数をさらに選択するために、Cox-Wilcoxon検定を使用し、1.200から波数43を選択した。
モデル開発
部分最小二乗法(PLS)
使用したPLSアルゴリズムは、Hoskuldsson、「Common framework for linear regression」、Chemometrics and Intelligent Laboratory Systems、2015で使用したものと同様であった。線形判別分析などの他の分類手法と組み合わせてPLSによって作成されたスコアプロットは、多くの場合、より良い決定のためにサンプルを分離することが証明されている。
ソフトウェア
R studio(Microsoft R open)ソフトウェアを使用した。SVMモデルは、Rプログラミング言語で記述されたKernlabパッケージを使用して構築した。学習サンプルでのモデルパフォーマンスの検証は、500回繰り返す7分割交差検証であった。最良のパラメータを選択するための基準は、分類エラーの最小化であった。さらに、交差検証の平均感度および特異率を計算した。感度は、BPDを発症した乳児の正確な予測のパーセンテージとして定義し、特異率は、BPDを発症しなかった乳児の正確な予測として定義した。
結果
適格である72人の乳児のうち2人は出生後早期に死亡し、9人の場合は親の承認が得られなかった。したがって、図1に示すように、61人の超早産児を研究に含めた。含まれる乳児の臨床的特徴を表1に示す。
Figure 2023519315000002
26人(43%)がBPDを発症し、35人(57%)がBPDを発症しなかった。BPDの乳児のうち10人は、36週目にも酸素補給が必要であり、2人は、40週目にも酸素補給が必要であった。
含まれている61人の乳児のうち大部分の39人(64%)は、BPDとRDSとを組み合わせたもの(n=22)であるか、またはBPDを有しないかつRDSを有しない(n=18)かのいずれかであった。一方、4人のBPD乳児はRDSを有さず、BPDを有しない17人の乳児は、RDSを有した(表2)。
Figure 2023519315000003
BPDの26人の乳児は、出生時体重(BW)中央値が850gであり、在胎週数(GA)中央値が27.3週で、20人(77%)をサーファクタントで治療した。BPDを有しない35人の乳児は、BW中央値が1.356gであり、GA中央値が30.1週間であり、7人(20%)をサーファクタントで治療した。BWおよびGAは、BPDを有しない乳児よりもBPDを有する乳児の方が有意に低く、p<0.001であり、BPDを有しない乳児よりも多数のBPDを有する乳児をサーファクタントで治療した(p<0.001)。サーファクタントは、中央値5.8時間後に投与し、最も遅くは、33時間後に投与した(表1)。BW、GA、およびサーファクタント治療は、BPDの発症に相関する重要な要因であり、ロジスティック回帰モデルを使用してそれらを分析することにより、感度および特異率は、それぞれ74%および82%であった。SVMを適用することにより同様のデータが得られ、感度76%および特異率82%が得られた。
GASのFTIRスペクトルデータ解析により、分類に最も重要な波数が特定された。BPDを有する場合と有しない場合の波数の有意差を明らかにするために、対応のあるCox-Wilcoxon検定を適用した。合計で、選択したFTIRスペクトルデータセットから波数43を選択した。
GASサンプルのみのFTIRスペクトルデータからのBPDの予測を図2に示す。一方、図3は、FTIRスペクトルデータ、臨床データ(出生時体重および在胎週数の形態)、および肺成熟度データ(サーファクタント治療が行われたか否かの形態)を分析において組み合わせたときに、BPDがどのぐらい良好に予測されるかを示している。繰り返し交差検証の結果が50%を超えたサンプルでは、予測は正確であると見なした。出生後早期にサーファクタントでの治療を受けたBPDを有しない乳児からの5つのサンプル(番号01、40、41、42、57)は、FTIRスペクトルデータ、臨床データ、および肺成熟度データを組み合わせたデータセットから分類することは困難であった(図3)。PLS分析は、これらのサンプルの最良の予測がFTIRスペクトルデータのみの分析から得られたことを示した。図2からわかるように、サンプル番号01、40、および42は、交差検証の50%以上で良好に予測され、サンプル41の予測は、2%から46%に上昇した。BPDを有し、RDSを有しない乳児からのGASサンプル番号04、10、11、および35も分類が困難であった。これらの乳児のうち2人、番号10および11は、FTIRスペクトルデータによってのみ分類できた(図2)。
FTIRスペクトルデータ分析を臨床データおよび肺成熟度データ(BW、GA、サーファクタント治療)と共に線形SVM分析に組み込むことにより、交差検証後に感度が76%から86%に、特異率が82%から85%に増加した。交差検証によって選択されたパラメータを使用して、最終的にフィッティングモデルが61のサンプルに対して計算され、感度および特異率がそれぞれ88%および91%であることが明らかになった。1つのGASサンプルは、膿で汚染されていた。しかし、FTIRを使用してサンプルを測定し、BPDを正しく予測することは可能であった。
結論
この研究では、AIを適用して臨床データとGASのFTIRスペクトルデータとを組み合わせた独自の多変量データセットを分析することにより、出生時のBPDを予測できることが実証された。データ集計、ブラインド試験、および臨床研究など、予測BPDアルゴリズムのさらなる開発および検証が計画されている。
項目
1.乳児の気管支肺異形成症(BPD)発症リスクを予測するためのコンピュータ実装方法であって、
-臨床データ;
肺成熟度データ;および
胃吸引物(GAS)データを含む乳児のデータセットを取得するステップと:
-データセットを分析し、それによって、分析データ結果を取得するステップと;
-分析データ結果に基づいて、乳児がBPDを発症するリスクを予測するステップと、を含む、方法。
2.分析データ結果が、学習済み機械学習モデルによってデータセットを分析することによって取得される、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
3.乳児が、妊娠37週が完了する前に出生した乳児などの早産児である、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
4.データセットが、出生後48時間以内、好ましくは出生後36時間以内に取得されたデータを含むかまたはそれらからなる、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
5.臨床データが、出生時体重、在胎週数、乳児がRDSと診断されているか否か、および/またはRDSの重症度のリストから選択される乳児のデータを含むまたはこれらからなる、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
6.肺成熟度データが、乳児の肺成熟度を示すデータ、および/または乳児がサーファクタント治療を受けているかもしくは受けるか、または受けていないかを表す指標、またはこれらの組み合わせである、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
7.肺成熟度データが、肺成熟度の評価のために、中赤外分光データなどの分光データから導出される、例えば、それらを含むかまたはそれらからなる、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
8.肺成熟度データが、レシチン-スフィンゴミエリン比を示す、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
9.肺成熟度データが、中赤外分光分析など、GASサンプル(複数可)の分光分析によって非侵襲的に取得される、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
10.肺成熟度データが、GAS、咽頭分泌物および/または羊水を含む体液サンプルの測定データから導出される、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
11.体液サンプルが、測定前に前処理されており、前処理が、
a)淡水と混合するなどにより、体液サンプル中に存在する細胞を溶解させることと、
b)体液サンプルのLBが沈殿物を形成し、例えば、溶解した細胞の細胞断片、および塩などの他の小さい成分が上澄み中に残存するように選択された回転遠心力(RCF)および時間で、溶解した体液を遠心分離させることと、
c)(任意により)上澄みを廃棄することと、を含む、項目10に記載のコンピュータ実装方法。
12.肺成熟度データが、乾式透過FTIR測定など、沈殿物の測定から導出される、項目11に記載のコンピュータ実装方法。
13.GASデータが、例えば中赤外分光データなどの分光データから導出される、例えば、それらを含むかまたはそれらからなる、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
14.GASデータが、例えば、900~3400cm-1、例えば、900~1800cm-1および2800~3400cm-1のスペクトルにおける分光データから導出される、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
15.GASデータが、1つ以上の吸収スペクトルおよび/または透過スペクトルから導出される、例えば、それらを含むかまたはそれらからなる、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
16.GASデータが、GASサンプル(複数可)の分光分析によって取得された分光データから導出される、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
17.分析中、GASサンプル(複数可)が、実質的に乾燥している、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
18.分光分析前に、GASサンプルが前処理される、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
19.前処理が、沈殿物を形成するために遠心分離すること、および上澄みを廃棄することを含むかまたはそれらからなる、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
20.GASサンプルが、栄養チューブ、例えば、シリンジまたは吸引カテーテルを通して、GASを置換する手段と組み合わせた栄養チューブによって、乳児から収集されている、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
21.GASデータが、分光データに数学演算を適用することによって導出される、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
22.数学演算が、一次導関数を含むか、または一次導関数からなる、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
23.数学演算は、Savitzky-Golayアルゴリズムなどのベースライン補正アルゴリズムを含むかまたはそれからなる、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
24.数学演算が、スペクトルの所定の波数を選択することを含むか、または選択することからなる、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
25.所定の波数が、BPDを発症する乳児とBPDを発症しない乳児との統計的有意差を示す、項目24に記載のコンピュータ実装方法。
26.統計的有意差が、両側p値<0.05である、対応のあるCox-Wilcoxon検定などの統計的検定に基づく、項目25に記載のコンピュータ実装方法。
27.数学演算が、部分最小二乗分析を含むかまたは部分最小二乗分析からなる、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
28.GASデータが、
a)(任意により)GASサンプルを取得することと、
b)(任意により)GASサンプルを保存することと、
c)(任意により)GASサンプルを前処理することと、
d)中赤外分光法などの分光法によって、GASサンプルを分析することによって分光データを取得することと、
e)(任意により)1つ以上の数学演算を分光データに適用することと、を含むプロセスによって取得される、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
29.BPDが、生後特定の日数(例えば、生後28日目)における、酸素補給を必要とするものとして定義される、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
30.学習済みモデルが、教師あり学習モデル、または教師ありおよび教師なし学習モデルである、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
31.学習済みモデルが、サポートベクターマシン(SVM)、回帰モデル、人工ニューラルネットワーク、決定木、遺伝的アルゴリズム、ベイジアンネットワーク、またはそれらの組み合わせを含むリストから選択される、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
32.予測が、乳児がBPDを発症するリスクのパーセンテージを含むかまたはそれからなる、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
33.予測の感度が、少なくとも70%である、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
34.予測の特異率が、少なくとも70%である、前述の項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
35.対象が気管支肺異形成症(BPD)に罹患しているかまたは発症するかを出生後早期に予測するための機械学習モデルの教師あり学習のための方法であって、本方法は、
a)出生直後の複数の乳児の情報を含むデータセットを取得することであって、データセットが、
-臨床データ;
-肺成熟度データ;および
-胃吸引物(GAS)データを含む、取得することと、
b)乳児がBPDを有していた、またはBPDを発症したかに関連する情報を含むかまたはそれらからなる結果データを取得することと、
c)乳児のデータセットおよび結果データに基づいて、教師あり学習によって機械学習モデルを学習させ、対象がBPDに罹患している、および/またはBPDを発症するかを出生後早期に予測することと、を含む。
36.対象および/または乳児が、妊娠37週が完了する前に出生したなどの早産児である、項目35による機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
37.データセットが、出生時など、出生後24時間以内に取得されたデータを含むかまたはこのデータからなる、項目35または36に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
38.臨床データが、出生時体重、在胎週数、乳児がRDSと診断されているか否か、およびRDSの重症度(関連症例)、またはそれらの組み合わせなどのリストから選択されるデータを含むまたはこれらからなる、項目35~37のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
39.肺成熟度データが、乳児の肺成熟度を示すデータ、および/または乳児がサーファクタント治療を受けているかもしくは受けるか、または受けないかを表す二値(+/-)、またはそれらの組み合わせである、項目35~38のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
40.肺成熟度データが、肺成熟度の評価のために、中赤外分光データなどの分光データから導出される、例えば、それらを含むかまたはそれらからなる、項目35~39のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
41.肺成熟度データが、レシチン-スフィンゴミエリン比を示す、項目35~40のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
42.肺成熟度データが、中赤外分光分析など、GASサンプル(複数可)の分光分析によって非侵襲的に取得される、項目35~41のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
43.肺成熟度データが、GAS、咽頭分泌物および/または羊水、またはこれらの組み合わせを含むまたはこれらからなる体液サンプルの測定データから導出される、項目35~42のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
44.体液サンプルが、測定前に前処理されており、前処理が、
a)淡水と混合するなどにより、体液サンプル中に存在する細胞を溶解させることと、
b)体液サンプルのLBが沈殿物を形成し、例えば、溶解した細胞の細胞断片、および塩などの他の小さい成分が上澄み中に残存するように選択された回転遠心力(RCF)および時間で、溶解した体液を遠心分離させることと、
c)(任意により)上澄みを廃棄することと、を含む、項目43に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
45.肺成熟度データが、乾式透過FTIR測定など、沈殿物の測定から導出される、項目44に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
46.GASデータが、例えば中赤外分光データなどの分光データから導出される、例えば、それらを含むかまたはそれらからなる、項目35~45のいずれかに記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
47.GASデータが、900~3400cm-1、例えば、900~1800cm-1および2800~3400cm-1のスペクトルにおける分光データから導出される、項目35~46のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
48.GASデータが、1つ以上の吸収スペクトルおよび/または透過スペクトルをから導出される、例えば、それらを含むかまたはそれらからなる、項目35~47のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
49.GASデータが、GASサンプル(複数可)の分光分析によって取得された分光データから導出される、項目35~48のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
50.分析中、GASサンプル(複数可)が、実質的に乾燥している、項目35~49のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
51.分光分析前に、GASサンプルが前処理される、項目35~50のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
52.前処理が、沈殿物を形成するために遠心分離すること、および上澄みを廃棄することを含むかまたはそれらからなる、項目51に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
53.GASサンプルが、栄養チューブ、例えば、シリンジまたは吸引カテーテルを通して、GASを置換する手段と組み合わせた栄養チューブによって、乳児から収集されている、項目35~52のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
54.GASデータが、分光データに数学演算を適用することによって導出される、項目35~53のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
55.数学演算が、一次導関数を含むか、または一次導関数からなる、項目54に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
56.数学演算が、Savitzky-Golayアルゴリズムなどのベースライン補正アルゴリズムを含むかまたはそれからなる、項目54または55のいずれかに記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
57.数学演算が、スペクトルの所定の波数を選択することを含むか、または選択することからなる、項目54~56のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
58.所定の波数が、BPDを発症する乳児とBPDを発症しない乳児との統計的有意差を示す、項目57に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
59.統計的有意差が、両側p値<0.05である、対応のあるCox-Wilcoxon検定などの統計的検定に基づく、項目58に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
60.数学演算が、部分最小二乗分析を含むかまたは部分最小二乗分析からなる、項目54~59のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
61.GASデータが、
a)(非侵襲的に)GASサンプルを取得することと、
b)(任意により)GASサンプルを保存することと、
c)GASサンプルを前処理することと、
d)中赤外分光法などの分光法によって、GASサンプルを分析することによって分光データを取得することと、
e)(任意により)1つ以上の数学演算を分光データに適用することと、を含むプロセスによって取得される、項目35~60のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
62.結果データが、生後28日目において、酸素補給を必要とするなど、乳児がBPDを有していた、またはBPDを発症したかに関連する情報を含むかまたはそれらからなる、項目35~61のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
63.BPDが、生後特定の日数(例えば、生後28日目)における、酸素補給を必要とするものとして定義される、項目35~62のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
64.学習済みモデルが、教師あり学習モデル、または教師ありおよび教師なし学習済みモデルである、項目35~63のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
65.学習済みモデルが、サポートベクターマシン(SVM)、回帰モデル、人工ニューラルネットワーク、決定木、遺伝的アルゴリズム、ベイジアンネットワーク、またはそれらの組み合わせを含むリストから選択される、項目35~64のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
66.予測が、乳児がBPDを発症するリスクのパーセンテージを含むかまたはそれからなる、項目35~65のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
67.予測の感度が、少なくとも70%である、項目35~66のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
68.予測の特異率が、少なくとも70%である、項目35~67のいずれか一項に記載の機械学習モデルの教師あり学習のための方法。
69.対象が気管支肺異形成症(BPD)に罹患しているかまたは発症するかを出生後早期に予測するための機械学習モデルであって、項目35~68のいずれか一項に基づいて学習される、機械学習モデル。
70.項目69に記載の、機械学習モデルの使用。
71.乳児が出生後早期にBPDを発症するか否かを予測するためのシステムであって、
a)メモリと、
b)プロセス処理ユニットと、を備え、プロセス処理ユニットが、項目1~68のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている、システム。
72.FTIR分光計など、分光測定データを取得するように構成された少なくとも1つの分光測定ユニットをさらに備える、項目71に記載のシステム。
73.携帯型および/またはベッドサイドシステムである、項目71または72に記載のシステム。

Claims (27)

  1. 乳児の気管支肺異形成症(BPD)発症リスクを予測するためのコンピュータ実装方法であって、
    a)
    -臨床データ;
    -肺成熟度データ;および
    -胃吸引物(GAS)データを含む前記乳児のデータセットを取得するステップと、
    b)前記データセットを分析し、それによって、分析データ結果を取得するステップと、
    c)前記分析データ結果に基づいて、前記乳児がBPDを発症するリスクを予測するステップと、を含む、方法。
  2. 前記データセットが、出生後48時間以内、好ましくは出生後36時間以内に取得されたデータからなる、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
  3. 前記臨床データが、出生時体重および在胎週数からなる、請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法。
  4. 前記肺成熟度データが、GAS、咽頭分泌物および/または羊水を含む体液サンプルの測定データから導出される、および/または前記肺成熟度データが、前記乳児がサーファクタント治療を受けているかまたは受けていないかの指標である、先行請求項のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
  5. 前記GASデータが、測定データなどのGASサンプルの測定から導出される、先行請求項のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
  6. 前記GASデータが、分光データなど、前記GASサンプルの分光測定から導出される、請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
  7. 前記GASデータが、900~3400cm-1、例えば、900~1800cm-1および2800~3400cm-1のスペクトルにおける分光データから導出される、請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
  8. 前記GASデータが、前記分光データの複数の所定の波数から導出される、請求項6または7に記載のコンピュータ実装方法。
  9. 前記所定の波数が、BPDを発症する乳児とBPDを発症しない乳児との統計的有意差を示すように、所定の波数が選択される、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
  10. 例えば少なくとも500の波数を含むなどの前記分光データの10~50の所定の波数から前記GASデータが導出される、請求項8または9に記載のコンピュータ実装方法。
  11. 前記GASデータが、前記測定データに数学演算を適用することによって導出される、請求項5~10のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
  12. 前記数学演算が、一次導関数を含むか、または一次導関数からなる、請求項11に記載のコンピュータ実装方法。
  13. 前記数学演算が、Savitzky-Golayアルゴリズムなどのベースライン補正アルゴリズムを含むかまたはそれからなる、請求項11または12のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
  14. 前記数学演算が、部分最小二乗分析を含むかまたは部分最小二乗分析からなる、請求項11~13のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
  15. 前記測定中、前記GASサンプルが、実質的に乾燥している、請求項5~14のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
  16. 前記測定前に、前記GASサンプルが前処理される、請求項5~15のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
  17. 前記前処理が、沈殿物を形成するために遠心分離すること、および前記上澄みを廃棄することを含むかまたはそれらからなる、請求項16に記載のコンピュータ実装方法。
  18. 前記前処理が、
    a)淡水と混合するなどにより、前記GASサンプル中に存在する細胞を溶解することと、
    b)前記体液サンプルのLBが沈殿物を形成し、例えば、溶解した細胞の細胞断片および塩などの他の小さい成分が上澄み中に残存するように選択された回転遠心力(RCF)および時間で、前記溶解したGASサンプルを遠心分離させることと、
    c)前記上澄みを廃棄することと、
    d)(任意により)前記沈殿物を乾燥させることと、を含む、請求項16または17に記載のコンピュータ実装方法。
  19. 前記GASデータが、
    a.前記GASサンプルを前処理することと、
    b.FTIR分光法により沈殿物などの前記前処理されたGASサンプルを測定することによって、分光データなどの測定データを取得することと、
    c.1つ以上の数学演算を前記分光データに適用することと、を含むプロセスによって取得される、請求項5~18のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
  20. BPDが、生後特定の日数(好ましくは、生後28日目)における、酸素補給を必要とするものとして定義される、先行請求項のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
  21. 前記予測が、前記乳児がBPDを発症するリスクのパーセンテージを含むかまたはそれからなる、先行請求項のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
  22. 前記分析データ結果が、学習済み機械学習モデルによって前記データセットを分析することによって取得される、先行請求項のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
  23. 前記学習済みモデルが、教師あり学習によって学習されたサポートベクターマシン(SVM)である、請求項22に記載のコンピュータ実装方法。
  24. 対象が気管支肺異形成症(BPD)に罹患しているかまたは発症するかを出生後早期に予測するための機械学習モデルの教師あり学習のための方法であって、
    a)出生直後の複数の乳児の情報を含むデータセットを取得することであって、前記データセットが、
    -出生時体重および在胎週数からなる臨床データ、
    -前記乳児がサーファクタント治療を受けているか否かの指標からなる肺成熟度データ、および
    -胃吸引物(GAS)データを含む、取得することと、
    b)前記乳児がBPDを有していた、またはBPDを発症したかに関連する情報を含むかまたはそれらからなる結果データを取得することと、
    c)前記乳児の前記データセットおよび前記結果データに基づいて、教師あり学習によって機械学習モデルを学習させ、対象がBPDに罹患している、および/またはBPDを発症するかを出生後早期に予測することと、を含む、方法。
  25. 前記機械学習モデルを、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法を実施するように学習させる、請求項24に記載の方法。
  26. 乳児が出生後早期にBPDを発症するか否かを予測するためのシステムであって、
    a)メモリと、
    b)FTIR分光計など、分光測定データを取得するように構成された少なくとも1つの分光測定ユニットと、
    c)プロセス処理ユニットと、を備え、前記プロセス処理ユニットが、請求1~25のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている、システム。
  27. 携帯型および/またはベッドサイドシステムである、請求項26に記載のシステム。
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