JP2023516895A - ニードルレス・コネクタの性能を拡張する抗菌コーティング - Google Patents

Abstract

アクセス・ポート、及びアクセス・ポートの頂面にのみ除放性抗菌コーティングを有するニードルレス・アクセス・コネクタが開示される。アクセス・ポートの頂面は、ハウジングの近位端の頂面と、ハウジングの内部空洞内に配設された圧縮可能な弁の頭部の頂面とによって画定することができる。本開示の特定の実施例において、除放性抗菌コーティングは、（ｉ）ハウジングの近位端の頂面に存在する、又は（ｉｉ）圧縮可能な弁の頭部の頂面に存在する、又は（ｉｉｉ）除放性抗菌コーティングは、ハウジングの近位端の頂面と圧縮可能な弁の頭部の頂面との両方にのみ存在する。

Description

本開示は一般に、ニードルレス・コネクタに関し、特に、そうしたコネクタの性能寿命を延ばす除放性抗菌コーティングを有するニードルレス・コネクタに関する。

ニードルレス・アクセス・コネクタ（ＮＡＣ：ｎｅｅｄｌｅｌｅｓｓ ａｃｃｅｓｓ ｃｏｎｎｅｃｔｏｒ）は、患者に注入される薬液（例えば、生理食塩水又は液剤）の供給源を接続及び接続解除するために、医療業界全体で広く用いられている。そうしたコネクタは、可撓性のある管と取付け部品からなる、通常は「ＩＶセット」と呼ばれる装置を通して、例えばＩＶバッグなどの流体の供給源に接続される静脈内（ＩＶ）カテーテルと共に使用されるのが一般的である。

ＮＡＣへの接続時に、細菌及び他の微生物が、アクセス・ハブ及びポート／弁から患者の血管系に侵入することがある。各アクセス・ハブ（又はポート／弁、若しくは接続部）は、カテーテル関連血流感染症（ＣＲＢＳＩ：ｃａｔｈｅｔｅｒ－ｒｅｌａｔｅｄ ｂｌｏｏｄｓｔｒｅａｍ ｉｎｆｅｃｔｉｏｎ）を伝染させる多少のリスクを伴い、これは犠牲が大きく、致命的になる可能性がある。

カテーテル関連血流感染症（ＣＲＢＳＩ）の事例を減らし、コネクタが正しく使用及び維持されることを保証するために、消毒及び洗浄の手順を含む実施基準が作られている。例えば、「２０１６ Ｉｎｆｕｓｉｏｎ Ｎｕｒｓｅｓ Ｓｔａｎｄａｒｄｓ（ＩＮＳ）」というガイドラインでは、毎アクセス前に、アルコール、ヨードチンキ、又はクロルヘキシジングルコナート／アルコールの組み合わせを用いて、ニードルレス・コネクタを常に入念に消毒することが推奨されている。

ニードルレス・コネクタの消毒は、最終的には、表面に生存し、場合により前述のＣＲＢＳＩ事象を含む様々なカテーテル関連合併症をまねく可能性がある細菌の低減を助けることが意図されている。看護師は通常、７０％ＩＰＡアルコールのパッドを使用し、「ハブのこすり洗い（ｓｃｒｕｂｂｉｎｇ ｔｈｅ ｈｕｂ）」として知られているものを行うことによって、この消毒作業を完了させる。しかしながら、この実施の遵守及びその有効性が厳格であるとは思われない。さらに、医療従事者は、起こり得る細菌の増加に起因する感染症を減らすために、頻繁に、例えば少なくとも毎週、ＮＡＣコネクタを交換する傾向がある。

しかしながら、起こり得る細菌性感染を減らし、ニードルレス・アクセス・コネクタの耐用期間を延ばすことが、引き続き求められている。

主題の技術の各態様は、抗菌コーティングを備えたニードルレス・アクセス・コネクタに関し、特に、アクセス・ポートを有し、アクセス・ポートの頂面に除放性抗菌コーティングを備えたニードルレス・アクセス・コネクタに関する。

ニードルレス・アクセス・コネクタは、ハウジングの近位端の頂面と、ハウジングの内部空洞内に往復動可能に配設された圧縮可能な弁の頭部の頂面とによって画定されるアクセス・ポートを備えることができる。例えば、ニードルレス・アクセス・コネクタは、ハウジングと圧縮可能な弁とを含むことができ、ハウジングは、ハウジングのアクセス・ポートを画定する近位端、ハウジングの出口ポートを画定する基部を含む遠位端、及びアクセス部と出口ポートとの間に延びる内部空洞を画定する内面を有し；圧縮可能な弁は、内部空洞内に配設され、内面の少なくとも一部と接触するように構成され、頭部、及び頭部から遠位に延びる圧縮可能な本体部を備える。本開示の特定の態様において、ハウジングの近位端の頂面、及び／又は弁の頭部の頂面は、除放性抗菌コーティングでコーティングされ、且つ／或いは除放性抗菌コーティングは、ハウジングの内部空洞の内面上の頂面よりわずかに下に存在する。本開示の他の態様において、除放性抗菌コーティングは、ハウジングの近位端の頂面にのみ存在する、且つ／又は圧縮可能な弁の頭部の頂面にのみ存在する、且つ／又はハウジングの内部空洞の内面上の頂面よりわずかに下にのみ存在する。

各実施例は、以下の特徴の１つ又は複数を、個別に又は組み合わせた形で含む。例えば、ハウジングの近位端の頂面は面取り部を含むことができ、除放性抗菌コーティングを面取り部内に付着させることが可能である。いくつかの実施例において、ハウジングは、ポリカーボナート（ＰＣ）、ポリウレタン（ＰＵ）、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、スチレン－ブタジエン・ゴム（ＳＢＲ）、ポリアクリル系（ｐｏｌｙａｃｒｙｌｉｃ）若しくはアクリラート、又はそれらの組み合わせを含むことができる。他の実施例において、圧縮可能な弁の頭部の頂面は、シリコーン・エラストマーを含むことができる。さらに他の実施例において、除放性抗菌コーティングは、生分解性ポリマー、メッシュ形成ポリマー、温度／ｐＨに敏感なポリマー、又はそれらの組み合わせを含むことができ、他の実施例において、除放性抗菌コーティングは、抗菌剤としてクロルヘキシジン塩を含む。

主題の技術のさらなる利点は、以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろう。説明には、主題の技術の特定の態様のみが、単に説明のために示され、記載されている。理解されるように、主題の技術は、他の構成及び異なる構成が可能であり、そのいくつかの細部は、主題の技術から全く逸脱することなく様々な他の点について修正が可能である。したがって、図面及び説明は、限定するものではなく例証的な性質のものとみなされたい。

さらなる理解を可能にするために含まれ、本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付図面は、開示される実施例を例証し、説明と共に、開示される実施例の原理を説明する役割を果たす。

本開示のいくつかの実施例による、アクセス・ポートを有するニードルレス・アクセス・コネクタを示す図である。 図１Ａのニードルレス・アクセス・コネクタの斜視図である。 本開示のいくつかの実施例による、ニードルレス・アクセス・コネクタのアクセス・ポートを示す図である。

以下に述べる詳細な説明は、主題の技術の様々な構成を説明するものであり、主題の技術を実施することができるただ１つの構成を示すことを意図したものではない。詳細な説明には、主題の技術についての完全な理解を可能にすることを目的に具体的な詳細が含まれている。したがって、特定の態様に関して、非限定的な実例として寸法が示される。しかしながら、こうした具体的な詳細がなくても主題の技術の実施が可能であることが、当業者には明らかであろう。いくつかの例では、主題の技術の概念が不明瞭なることを避けるために、よく知られている構造及び構成要素がブロック図の形で示される。

本開示は、主題の技術の実例を含み、添付の特許請求の範囲の範囲を限定するものではないことを理解されたい。ここで、主題の技術の様々な態様が、特定の非限定的な実例に従って開示される。本開示で説明する様々な実施例は、異なる方法及び変形例で、また所望の用途又は実装例に従って実行されてもよい。

主題の技術の態様は、アクセス・ポートを有し、アクセス・ポートの頂面に除放性抗菌コーティングを備えたニードルレス・アクセス・コネクタ（ＮＡＣ）に関する。ＮＡＣのアクセス・ポートの頂面は、（ｉ）ハウジングの近位端の頂面（内部空洞の内面に延びることができる）、及び（ｉｉ）ハウジングの内部空洞に往復動可能に配設された圧縮可能な弁の頭部の頂面によって画定することができる。本開示の特定の実施例において、除放性抗菌コーティングは、（ｉ）ハウジングの近位端の頂面に存在し、且つアクセス・ポートよりわずかに下に広がる、又は（ｉｉ）圧縮可能な弁の頭部の頂面に存在する、又は（ｉｉｉ）除放性抗菌コーティングは、ハウジングの近位端の頂面と圧縮可能な弁の頭部の頂面との両方にのみ存在する。

ＮＡＣのアクセス・ポートの頂面のみをコーティングすることによって、有利には、コネクタを通る薬液の流れと共に使用される抗生物質の量が減り、したがって、頂面にのみ抗菌コーティングを有するＮＡＣを用いると、患者に対する抗生物質負荷が減る。抗生物質負荷が減ることは、複数のＮＡＣを用いて患者に流体を送達するときに特に有利である。さらに、ＮＡＣのアクセス・ポートの頂面を除放性抗菌コーティングでコーティングすることによって、有利には、ＮＡＣの耐用期間を延ばすことが可能になり、それによって、所与の期間にわたるＮＡＣの頻繁な交換の必要性が低減される。

図１Ａを参照すると、アクセス・ポートを有するニードルレス・アクセス・コネクタの斜視図が示されている。図１Ｂは、ニードルレス・アクセス・コネクタの部分切欠斜視図である。図１Ａ及び図１Ｂに示すように、ニードルレス・アクセス・コネクタ１００はハウジング１０２を含み、ハウジング１０２は、近位端１０４と、ハウジング１０２の出口ポート１０８を画定する遠位端１０６とを有する。本明細書において言及するとき、近位とはハウジング１０２の頂部ポート面１１４に向かう方向を指し、遠位とは、頂部ポート面１１４と反対側のハウジング１０２の基部１０６又は底部に向かう方向を指す。

ハウジング１０２は、それぞれ近位端１０４と遠位端１０６との間に少なくとも部分的に延びる、内部空洞１３３を画定する内面１３０を含む。ニードルレス・アクセス・コネクタ１００は、ハウジング１０２の内部空洞１３３内に配設された圧縮可能な弁２００も含む。圧縮可能な弁２００は、頭部２２０と、頭部２２０から遠位に延びる圧縮可能な本体部２３０とを含む。この実例では、圧縮可能な弁は、頭部にはノッチ付きの構成を、本体部にはリブ付きの構成を有するように示されているが、ノッチもリブも、本開示の様々な態様を実施するために必要なものではない。

図１Ａ及び図１Ｂ、並びに図２にもさらに示すように、アクセス・ポート１１２は、ハウジング１０２の近位端１０４の頂面１１４と、圧縮可能な弁２００の頭部２２０の頂面２０４とによって画定される。特定の実施例において、ハウジング１０２の近位端１０４の頂面１１４は、弁が閉じた状態であるときに、圧縮可能な弁２００の頭部２２０と接触する面取り部１１６を含むことができる。ハウジング１０２の近位端１０４の頂面１１４、及び圧縮可能な弁２００の頭部２２０の頂面２０４は、ある特定量の除放性抗菌コーティングを含むことができる。抗菌性の配合物を適用してＮＡＣのアクセス・ポートの頂面上の面取り部又は隙間をコーティングすることは、頂面上のコーティングの所定のボリューム、したがって、アクセス・ポートで使用可能な抗菌剤の所定の量を調整する助けとなり得る。面取り部又は隙間の所定の深さは、ＮＡＣの製造時にある量の抗菌コーティングをアクセス・ポートにむらなく適用すること、したがって、製造されたＮＡＣの放出速度を一貫した予測可能なものにすることに役立つ。

圧縮可能な弁の頭部は、ハウジング１０２の近位端１０４の頂面１１４、又はそのまわりにシールを形成し、それによって物質の侵入を防ぐ。頂面１１４に除放性抗菌コーティングを備えた面取り部１１６を含むことのさらなる利点は、弁が閉じた位置にあるときに、生じ得る空き領域、又は弁の頭部２２０と内部空洞１３３の内面１３０との間で十分に接触していない領域を保護することである。そうした領域に細菌がいれば、面取り部上の除放性抗菌コーティングのコーティングがその細菌を根絶することが可能であり、したがって、弁の頭部及びそのまわりで、弁と内部空洞１３３の内面１３０との境界が保護される。

動作時に、圧縮可能な弁２００の頂面２０４に軸方向の力が加えられると、ニードルレス・コネクタの圧縮可能な弁２００が圧縮されて折り畳まれ、軸方向の力が除かれると、弁は膨張して再び整列することができる。したがって、軸方向の力（Ｆ）が弁の頂面２０４に加えられると、弁（２００）はハウジング１０２の内部空洞１３３内で圧縮され、アクセス・ポート１１２から出口ポート１０８までの流体経路が与えられる。

アクセス・ポート１１２は、他のデバイス（例えば、流体移送アセンブリ）に結合するための係合機能１４０を含むことができる。例えば、係合機能１４０は、内面又は外面のねじ山、戻り止め、バヨネット型のロック要素などの協働する機械的要素、及び摩擦係合用のテーパ付きルアー面などの他の面構成体を含むことができる。いくつかの実施例において、入口ポート１１２は、ルアー・ロック・スレッディング１４０を備えた雌型ルアー・フィッティングを画定することができる。いくつかの実施例において、出口ポート１０８は、他のデバイスに結合する、又は結合して管を相互接続するための係合機能を備えることができる。例えば、出口ポート１０８は、医療装置器具相互接続のための雄型のルアー・テーパー・フィッティング及びルアー・ロック・スレッディング（図示せず）を備えることができる。しかしながら、出口ポート１０８の係合機能は、他の協働する機械的要素を含むことができる。動作時には、例えば、ニードルレス・コネクタを通り、アクセス・ポート１１２から出口ポート１０８に至る流体経路を確立することができる。

内部空洞１３３の内面１３０上の頂面１１４よりわずかに下に除放性抗菌コーティングを含むことのさらなる利点は、そうしたコーティングによってＮＡＣへの活性細菌の侵入をさらに防ぐことが可能になることである。内部空洞１３３の内面１３０上の抗菌コーティングは、内部のテーパ付きルアー部よりも先へは広がらず、ＮＡＣが他の器具と接続されるときには、好ましくは流体経路の範囲外にあることが望ましい。特定の態様において、除放性抗菌コーティングは、内部空洞１３３の内面１３０上の頂面１１４より下に、約３ｍｍ未満、約２ｍｍ未満、又は約１ｍｍ未満など、約４ｍｍ以下に位置する。

ハウジング１０２は、頂面１１４を含めて、ポリカーボナート（ＰＣ）、ポリウレタン（ＰＵ）、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、スチレン－ブタジエン・ゴム（ＳＢＲ）、ポリアクリル系若しくはアクリラート、又はそれらの組み合わせなど、１つ又は複数の剛性ポリマー材料を含むことができる。弁２００は、頭部２２０及び頂面２０４を含めて、シリコーン・エラストマーなどの弾性不活性材料を含むことができ、したがって、ハウジング１０２内で折り畳むことが可能であり、薬液との不利な相互作用を防ぐ。

ＮＡＣ用の現在の設計は、細菌侵入の阻止に対して堅牢であるが、アクセス・ポートは、医療器具に接続されていないとき、通常は周囲の環境に曝されているため、特に懸念される。しかしながら、アクセス・ポートの頂面に除放性抗菌コーティングがあると、細菌の発生又は増加を最小限に抑えること、又はなくすことができ、１週間又は２週間以上の使用の間、こうした状態を維持することができる。したがって、本開示の一態様では、ＮＡＣのアクセス・ポートの頂面にのみ除放性抗菌コーティングが適用される。

アクセス・ポートの表面上の有用な除放性抗菌コーティングには、水吸着性（ｗａｔｅｒｓｏｒａｂｌｅ）、可撓性、及び耐久性を備えたものが含まれる。そうしたコーティングは、１つ又は複数のポリマーを含有する１つ又は複数の抗菌剤を含む配合物から形成することができる。別法として、或いは１つ又は複数の抗菌剤及びポリマーとの組み合わせとして、配合物は、例えば紫外線硬化型モノマー及び／又はオリゴマーなどのポリマー形成成分を含むことができる。形成された抗菌コーティングのポリマー成分は、経時的に、例えば、少なくとも７日、１４日、２１日などの期間にわたって、抗菌剤を放出できるようにする。形成されたコーティングのポリマーの分子量を調整して、抗菌剤の放出速度を制御することができる。

本開示の抗菌コーティングを調製するための配合物に含み得る有用なポリマーには、例えば、ポリ（乳酸－ｃｏ－グリコール酸）（ＰＬＧＡ）、ポリカプロラクトン（ＰＣＬ）、ポリグリコシド（ＰＧＬ）、ポリ乳酸（ＰＬＡ）、ポリ－３－ヒドロキシブチラート（ＰＢＨ）、多糖、ポリエチレングリコール（ＰＥＧ）、ポリエチレンオキシド（ＰＥＯ）などの生分解性ポリマー、酢酸セルロースなどのメッシュ形成ポリマー、ヒアルロン酸、ポリ（Ｎ－イソプロピルアクリルアミド）（ＮＩＰＰａｍ）などの温度／ｐＨに敏感なポリマー、又はそれらのコポリマー及び／若しくはそれらの組み合わせが含まれる。

本開示の除放性抗菌コーティングを調製するための配合物に含み得る有用なポリマー形成成分には、例えば、ウレタンアクリラートの硬化型接着剤などの紫外線硬化型接着剤、又はシアノアクリラートなどの湿気若しくは温度硬化型接着剤成分が含まれる。紫外線硬化型配合物は、抗菌剤、場合により、光開始剤、レオロジー改質剤などを含有するポリマー形成成分として、ウレタン又はポリエステル型オリゴマーとアクリラート型官能基との組み合わせ、アクリラート型モノマーを含むことができる。湿気若しくは温度硬化型接着剤成分は、場合により、活性剤、レオロジー改質剤などを伴う、シアノアクリラートと抗菌剤との組み合わせを含むことができる。抗菌剤は、コーティング・マトリクス全体に均一に分散させることが好ましい。

本開示の配合物と共に、広範な紫外線硬化型オリゴマーを用いることができる。例えば、オリゴマーは、アクリル化脂肪族ウレタン、アクリル化芳香族ウレタン、アクリル化ポリエステル、不飽和ポリエステル、アクリル化ポリエーテル、アクリル化アクリル樹脂など、又は上記の組み合わせとすることができる。アクリル化官能基は、一官能性、二官能性、三官能性、四官能性、五官能性、又は六官能性とすることができる。

オリゴマーと同様に、本開示の配合物と共に、広範なモノマーを用いることができる。そうしたモノマーには、例えば、２－エチルヘキシルアクリラート、イソオクチルアクリラート、イソボルニルアクリラート、１，６－ヘキサンジオールジアクリラート、ジエチレングリコールジアクリラート、トリエチレングリコールジアクリラート、ペンタエリトリトールテトラアクリラート、ペンタエリトリトールトリアクリラート、ジメトキシフェニルアセトフェノンヘキシルメチルアクリラート、１，６ヘキサンジオールジメタクリラートなど、又はそれらの組み合わせが含まれる。

紫外線硬化を容易にするために、紫外線硬化型配合物は、適切で融和性のある光開始剤を含むことができる。そうした光開始剤は、１）ベンゾインエーテル、アセトフェノン、ベンゾイルオキシム、及びアシルホスフィンオキシドなどの単分子劈開型、及び２）ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン、ベンゾフェノン、メチルジエタノールアミン、２－Ｎ－ブトキシエチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾアートなどの水素引き抜き型、又はそれらの組み合わせとすることができる。紫外線硬化型配合物は、紫外線光によって迅速に硬化させることができ、例えば、配合物及び硬化の条件に応じて、数秒又は数分で硬化を完了させることができる。本開示の除放性コーティングは、一般に数分以内に効果が得られる。

本開示の除放性抗菌コーティングを調製するための配合物に含み得る有用な抗菌剤には、例えば、アルデヒド、アニリド、ビグアニド、銀元素若しくはその化合物、ビスフェノール、及び第四アンモニウム化合物など、又はそれらの組み合わせが含まれる。特に、本開示の除放性コーティングを調製するための配合物に含み得る適切な抗菌剤には、例えば、トリクロサン、クロルヘキシジングルコナート（ＣＨＧ）、クロルヘキシジンジアセタート（ＣＨＡ）、クロルヘキシジンホスファニラートなどのクロルヘキシジン塩、銀塩、クロルヘキシジン／スルファジアジン銀が含まれる。抗菌剤は、本開示の配合物中に、コーティングを形成するために用いられる配合物１００重量部に対して約０．５～約５０重量部の量、例えば、約１～約２０重量部など、配合物の約０．５～約３０重量部の量を含むことができる。

適用可能ないくつかの特定の配合物には、例えば、８％ＣＨＡを含有するウレタンアクリラート接着剤が含まれ、これをＮＡＣのハウジングの頂部に適用し、その後、配合物を硬化させて頂部に除放性抗菌コーティングを形成することができる。ＮＡＣ用の弁の頂面には、ヘンケル及びロックタイトなどの企業から入手可能なシリコーン弁用プライマーなどのプライマーを施し、その後、８％ＣＨＡを含有するシアノアクリラート含む配合物を適用し、硬化させて、弁上に除放性抗菌コーティングを形成することができる。シリコーン弁の頂部にウレタンアクリラート接着剤配合物をコーティングすることができるように、プラズマ処理によってシリコーン弁の親水性／濡れ性を高めること、又は弁をエッチングすることが可能である。

本開示の除放性コーティングを調製するための配合物は、溶媒の有無にかかわらず、抗菌剤をポリマーと混合してスラリー又は溶液を形成することによって調製することができる。抗菌剤をポリマーと混合する代わりに、又はそれらの組み合わせとして、抗菌剤をポリマー形成成分と混合して、除放性コーティングを調製するための配合物を準備することができる。次いで、スプレー・コーティング、ディップ・コーティング、及び／又は配合物の表面への塗布によって、配合物を頂面に適用することができる。例えば、本開示の特定の態様による除放性抗菌コーティングを調製するための硬化型配合物を、ポリマー形成成分を約８重量％の抗菌剤、例えばＣＨＡの細粉（ＣＨＡは、混合して配合物中にＣＨＡが均一に分散するように、小さいメッシュ／孔径になるまで粉砕することができる）と合わせることによって調製して、スラリーを作成することができる。次いで、スラリーを頂面に適用することができる。

前述のように、ＮＡＣのアクセス・ポートは、圧縮可能な弁の頂面を含む。そうした弁は通常、シリコーン・エラストマーなどの不活性材料から作成される。しかしながら、弁に必要な相対的な不活性及び可撓性のために、そうした材料に除放性抗菌コーティングを付着させることは困難である。圧縮可能な弁の頂面に除放性抗菌コーティングをより適切に付着させるために、表面を改質することができる。

したがって、本開示の一態様では、弁の表面、例えばシリコーン・エラストマーの弁の頂面に除放性抗菌コーティングを適用する前に、弁の表面を処理して、その表面の親水性を未処理の表面よりも高くする。そうした処理には、例えば、イソプロピルアルコール（ＩＰＡ）などのアルコールを用いた処理を含むことができる。酸素、アルゴン、又は両方のプラズマで弁の表面を処理することによって、或いは１つ又は複数の望ましいモノマーを表面に成長させて逐次的に親水性の表面を形成することが可能なパルス・プラズマによって、表面の親水性を高めることもできる。弁の表面にプライマーを適用した後、接着剤配合物を適用することによって、表面を改質することができる。そうしたプライマーは、ヘンケル及びロックタイトなどの企業から入手することができる。

圧縮可能な弁の頂面への除放性抗菌コーティングの付着を容易にする別法は、表面粗さを生じさせて付着性を高めることによって表面を改質することである。さらに、表面に、例えばＣＨＡなどの抗菌剤のイオン・ボンバードメントを施して、表面を改質することができる。弁の頂面を抗菌剤を有するポリマー材料で覆い、弁の表面上の除放性抗菌コーティングとして働くようにすることもできる。

開示されるプロセスの方法におけるブロックの具体的な順序又は階層は、例示的な手法を説明するものであることが理解される。設計又は実装例の選択に基づき、プロセスにおけるブロックの具体的な順序又は階層を並べ替えること、或いは示されるブロックのすべてを実行することが可能であることが理解される。いくつかの実装例では、ブロックの任意のものが同時に実行されてもよい。

本開示は、当業者が本明細書に記載される様々な態様を実施することを可能にするために提供される。本開示は主題の技術の様々な実例を提供するが、主題の技術はこうした実例に限定されない。こうした態様に対する様々な変更例が当業者には容易に明らかになり、本明細書において定められる包括的な原理を、他の態様に適用することができる。

単数形での要素の参照は、具体的にそのように言及しない限り、「ただ１つ」ではなく、「１つ又は複数」を意味することが意図される。別段の具体的な言及がない限り、「いくつかの（ｓｏｍｅ）」という用語は、１つ又は複数を表す。男性代名詞（例えば、彼の（ｈｉｓ））は、女性及び中性（例えば、彼女の（ｈｅｒ）及びその（ｉｔｓ））を包含し、逆もまた同様である。見出し及び小見出しは、存在する場合、便宜上用いられているにすぎず、本発明を限定するものではない。

本明細書において、「例示的な（ｅｘｅｍｐｌａｒｙ）」という語は、「実例又は説明としての役割を果たす」ことを意味するために用いられる。本明細書において「例示的な」と記載される任意の態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計よりも好ましい又は有利であると解釈されるわけではない。一態様において、本明細書に記載される様々な代替的な構成及び動作は、少なくとも等価であると考えられる。

本明細書で使用されるとき、一連の項目に先行する「少なくとも１つの（ａｔ ｌｅａｓｔ ｏｎｅ ｏｆ）」という語句は、項目のいずれかを区切る「又は」という用語と共に、リストの各項目ではなくリスト全体を修飾する。「少なくとも１つの」という語句は、少なくとも１つの項目の選択を必要とするのではなく、項目の任意の１つの少なくとも１つ、及び／又は項目の任意の組み合わせの少なくとも１つ、及び／又は項目のそれぞれの少なくとも１つを含む意味を許容する。例えば、「Ａ、Ｂ、又はＣの少なくとも１つ」という語句は、Ａのみ、Ｂのみ、若しくはＣのみ；又はＡ、Ｂ、及びＣの任意の組み合わせを表すことができる。

「態様（ａｓｐｅｃｔ）」などの語句は、そうした態様が主題の技術に必須であること、又はそうした態様が主題の技術のすべての構成に適用されることを意味するものではない。態様に関連する開示が、すべての構成、或いは１つ又は複数の構成に適用されてもよい。ある態様が、１つ又は複数の実例を提供することができる。態様などの語句は、１つ又は複数の態様を表すことがあり、逆もまた同様である。「実施例（ｅｍｂｏｄｉｍｅｎｔ）」などの語句は、そうした実施例が主題の技術に必須であること、又はそうした実施例が主題の技術のすべての構成に適用されることを意味するものではない。実施例に関連する開示が、すべての実施例、或いは１つ又は複数の実施例に適用されてもよい。ある実施例が、１つ又は複数の実例を提供することができる。実施例などの語句は、１つ又は複数の実施例を表すことがあり、逆もまた同様である。「構成」などの語句は、そうした構成が主題の技術に必須であること、又はそうした構成が主題の技術のすべての構成に適用されることを意味するものではない。構成に関連する開示が、すべての構成、或いは１つ又は複数の構成に適用されてもよい。ある構成が、１つ又は複数の実例を提供することができる。構成などの語句は、１つ又は複数の構成を表すことがあり、逆もまた同様である。

一態様において、別段の言及がない限り、後続の特許請求の範囲を含めて、本明細書において述べるすべての測定値、値、比率、位置、規模、サイズ、及び他の仕様は、おおよそのものであり、厳密なものではない。一態様において、それらは、それらが関連する機能、及びそれらが関係する技術における慣習的なものと矛盾しない合理的な範囲を有することが意図される。

開示されるステップ、動作、又はプロセスの具体的な順序又は階層は、例示的な手法を説明するものであることが理解される。設計の選択に基づき、ステップ、動作、又はプロセスの具体的な順序又は階層を並べ替えてもよいことが理解される。ステップ、動作、又はプロセスの一部が同時に実行されてもよい。ステップ、動作、又はプロセスの一部又はすべてが、ユーザの介入なしに自動的に実行されてもよい。添付の方法の請求項がある場合、それは様々なステップ、動作、又はプロセスの要素を例示的な順序で示しており、示された具体的な順序又は階層に限定されること意味するものではない。

当業者に知られている又は後に知られるようになる、本開示全体を通じて記載される様々な態様の要素に対するすべての構造的及び機能的な等価物は、参照によって本明細書に明確に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることが意図される。さらに、本明細書に開示されるものは、そうした開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に提供されることが意図されたものではない。請求項の要素は、要素が「～するための手段（ｍｅａｎｓ ｆｏｒ）」という語句を用いて明示的に記載されていない限り、又は方法の請求項の場合には、要素が「～するためのステップ（ｓｔｅｐ ｆｏｒ）」という語句を使用して記載されていない限り、米国特許法第１１２条（ｆ）の規定の下で解釈されるべきではない。さらに、「含む（ｉｎｃｌｕｄｅ）」、「有する（ｈａｖｅ）」などの用語が使用される限りにおいて、そうした用語は、「備える（ｃｏｍｐｒｉｓｅ）」を請求項中の移行句として使用するときに解釈されるように、「備える」という用語と同様の形で包括的であることが意図される。

本開示の発明の名称、背景技術、発明の概要、図面の簡単な説明、及び要約は、本開示に組み込まれ、限定的な説明としてではなく、本開示の例示的な実例として提供される。それらは、特許請求の範囲の範囲又は意味を限定するために使用されるのではないという認識のもとに提示される。さらに、発明を実施するための形態において、説明によって例示的な実例が提供され、本開示を合理化する目的で、様々な特徴が様々な実施例にまとめられているのを理解することができる。この開示の方法は、請求される主題が、各請求項に明示的に記載されるものより多くの特徴を必要とするという意図を示すと解釈されるものではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が示すように、本発明の主題は、単一の開示される構成又は動作のすべての特徴よりも少ないところにある。以下の特許請求の範囲は、ここで発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は、個別に請求される主題としてそれ自体で独立している。

特許請求の範囲は、本明細書に記載される態様に限定されることは意図されず、特許請求の範囲の文言と一致する完全な範囲を与えられ、すべての法的等価物を包含する。それにもかかわらず、請求項のいずれも、米国特許法第１０１条、１０２条、又は１０３条の要件を満たさない主題を包含することは意図されておらず、またそのように解釈されるべきではない。

Claims (20)

1. アクセス・ポート、及び前記アクセス・ポートの頂面にのみ除放性抗菌コーティングを有するニードルレス・アクセス・コネクタであって、
   前記アクセス・ポートの前記頂面は、ハウジングの近位端の頂面と、前記ハウジングの内部空洞内に往復動可能に配設された圧縮可能な弁の頭部の頂面とによって画定される、ニードルレス・アクセス・コネクタ。
2. 前記除放性抗菌コーティングは、前記ハウジングの前記近位端の前記頂面にのみ存在する、請求項１に記載のニードルレス・アクセス・コネクタ。
3. 前記除放性抗菌コーティングは、前記圧縮可能な弁の前記頭部の前記頂面にのみ存在する、請求項１に記載のニードルレス・アクセス・コネクタ。
4. 前記除放性抗菌コーティングは、前記ハウジングの前記近位端の前記頂面にのみ、及び前記圧縮可能な弁の前記頭部の前記頂面にのみ存在する、請求項１に記載のニードルレス・アクセス・コネクタ。
5. 前記ハウジングは、ポリカーボナート（ＰＣ）、ポリウレタン（ＰＵ）、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、スチレン－ブタジエン・ゴム（ＳＢＲ）、ポリアクリル系若しくはアクリラート、又はそれらの組み合わせを含む、請求項１に記載のニードルレス・アクセス・コネクタ。
6. 前記圧縮可能な弁の前記頭部の前記頂面は、シリコーン・エラストマーを含む、請求項１に記載のニードルレス・アクセス・コネクタ。
7. 前記除放性抗菌コーティングは、生分解性ポリマー、メッシュ形成ポリマー、温度／ｐＨに敏感なポリマー、又はそれらの組み合わせを含む、請求項１に記載のニードルレス・アクセス・コネクタ。
8. 前記除放性抗菌コーティングは、紫外線硬化型配合物から調製される、請求項１に記載のニードルレス・アクセス・コネクタ。
9. 前記紫外線硬化型配合物は、ウレタンアクリラートの硬化型接着剤を含む、請求項８に記載のニードルレス・アクセス・コネクタ。
10. 前記除放性抗菌コーティングは、抗菌剤としてクロルヘキシジン塩を含む、請求項１に記載のニードルレス・アクセス・コネクタ。
11. 前記除放性抗菌コーティングは、少なくとも１４日間にわたり前記抗菌剤を放出する、請求項１０に記載のニードルレス・アクセス・コネクタ。
12. 前記圧縮可能な弁の前記頭部の前記頂面は、前記弁の前記面上に前記除放性抗菌コーティングを形成する前に、親水性になるように処理されている、請求項６に記載のニードルレス・アクセス・コネクタ。
13. 前記圧縮可能な弁の前記頭部の前記頂面は、前記弁の前記面上に前記除放性抗菌コーティングを形成する前に、プラズマで処理されている、請求項１２に記載のニードルレス・アクセス・コネクタ。
14. 前記除放性抗菌コーティングは、前記圧縮可能な弁の前記頭部の前記頂面上のキャップの形である、請求項１に記載のニードルレス・アクセス・コネクタ。
15. ハウジングと圧縮可能な弁とを備えるニードルレス・アクセス・コネクタであって、前記ハウジングは、前記ハウジングのアクセス・ポートを画定する近位端、前記ハウジングの出口ポートを画定する基部を含む遠位端、及び前記アクセス部と前記出口ポートとの間に延びる内部空洞を画定する内面を有し；前記圧縮可能な弁は、前記内部空洞内に配設され、前記内面の少なくとも一部と接触するように構成され、頭部、及び前記頭部から遠位に延びる圧縮可能な本体部を備え、前記ハウジングの前記近位端の前記頂面は、除放性抗菌コーティングでコーティングされている、ニードルレス・アクセス・コネクタ。
16. 前記ハウジングの前記近位端の前記頂面は面取り部を含み、前記除放性抗菌コーティングを前記面取り部に付着させる、請求項１５に記載のニードルレス・アクセス・コネクタ。
17. 前記ハウジングの前記内部空洞の前記内面上の前記頂面よりわずかに下に前記除放性抗菌コーティングをさらに備える、請求項１５に記載のニードルレス・アクセス・コネクタ。
18. 前記頂面、及び前記ハウジングの前記内面上のみが、前記除放性抗菌コーティングでコーティングされる、請求項１７に記載のニードルレス・アクセス・コネクタ。
19. 前記除放性抗菌コーティングは、抗菌剤としてクロルヘキシジン塩を含む、請求項１５に記載のニードルレス・アクセス・コネクタ。
20. 前記除放性抗菌コーティングは、少なくとも１４日間にわたり前記抗菌剤を放出する、請求項１５に記載のニードルレス・アクセス・コネクタ。

Images