JP2023516700A - アクティブ・ノイズ・コントロールを有するインイヤ式ヘッドホン・デバイス - Google Patents

アクティブ・ノイズ・コントロールを有するインイヤ式ヘッドホン・デバイス Download PDF

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Abstract

人の外耳道に挿入するためのインイヤ式ヘッドホン・デバイス。インイヤ式ヘッドホン・デバイスは、ノイズ・マイクロホンと、ラウドスピーカと、前記ノイズ・マイクロホンからの記録された音声信号に基づいてアクティブ・ノイズ・コントロール信号を提供するように構成された信号プロセッサとを備え、前記ラウドスピーカは、前記外耳道内で前記アクティブ・ノイズ・コントロール信号を再生するように構成される。さらに、デバイスは、1つまたは複数のベント要素と1つまたは複数の減衰要素とを備える減衰式ベントであって、前記外耳道を外部音響環境に対して結合するように構成される、減衰式ベントを備える。減衰式ベントは、前記外部音響環境から前記外耳道への内方向ベント伝達関数HVIによって特徴付けられる。減衰式ベントは、100Hzから2kHzの共鳴周波数範囲内の前記減衰式ベントの前記内方向ベント伝達関数HVIの共鳴の大きさが、20Hzから100Hzの基準周波数範囲内の前記内方向ベント伝達関数HVIの基準の大きさより最大で3dB大きくなるように、前記1つまたは複数のベント要素の音響共鳴を減衰させるように構成される。

Description

本発明は、アクティブ・ノイズ・コントロールを提供するように構成されたインイヤ式ヘッドホン・デバイスに関する。
インイヤ式ヘッドホン・デバイスの分野は、特にデジタル電子装置の能力の増大により、迅速に進歩してきている。ヘッドホン・デバイスの1つのキーとなる可能性は、アクティブ・ノイズ・コントロールを提供する能力であり、アクティブ・ノイズ・コントロールは、マイクロホンが音を記録し、ラウドスピーカが相殺的干渉の原理を利用することによってこの音を排除するフィードバック・プロセスである。その結果、たとえば騒がしい外部環境からの望ましくないノイズが、そのようなデバイスのユーザの外耳道内で大幅に低減され得る。
しかし、インイヤ式ヘッドホン・デバイス、特にアクティブ・ノイズ・コントロールを提供するように構成されたインイヤ式ヘッドホン・デバイスは、デバイスの機能性を損なういくつかの問題を有する。1つの例は、ユーザが活動しているとき、最も顕著には顎運動中に発生する動的音響漏洩であり、これは、小さい空気路が外部環境から外耳道まで開いて、本来緊密である外耳道との仕切りを崩壊させる。そのような漏洩は、増大した望ましくないノイズを引き入れるだけではなく、アクティブ・ノイズ・コントロールおよびラウドスピーカによって実行される音の再生を非常に大きく歪ませ得る。
現代の電子装置によって収容される計算能力にかかわらず、動的音響漏洩によって提供されるような急速に変化する状態を、ユーザに対する大きな歪み無しにデジタル信号処理の範囲内で適正に管理することは可能ではない。
本発明者らは、インイヤ式ヘッドホンにおけるアクティブ・ノイズ・コントロールに関連する上記で言及された問題および課題を特定し、その後、知られている技術の欠点のいくつかを低減することができる、以下で説明される本発明を作りだした。
本発明は、人の外耳道内に挿入するためのインイヤ式ヘッドホン・デバイスであって、ノイズ・マイクロホンと、ラウドスピーカと、前記ノイズ・マイクロホンからの記録された音声信号に基づいてアクティブ・ノイズ・コントロール信号を提供するように構成された信号プロセッサとを備え、前記ラウドスピーカは、前記外耳道内で前記アクティブ・ノイズ・コントロール信号を再生するように構成され、前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスは、1つまたは複数のベント要素と1つまたは複数の減衰要素とを備える減衰式ベントであって、前記外耳道を外部音響環境に対して結合するように構成される、減衰式ベントを備え、前記減衰式ベントは、前記外部音響環境から前記外耳道への内方向ベント伝達関数HVIによって特徴付けられ、前記減衰式ベントは、100Hzから2kHzの共鳴周波数範囲内の前記減衰式ベントの前記内方向ベント伝達関数HVIの共鳴の大きさが、20Hzから100Hzの基準周波数範囲内の前記内方向ベント伝達関数HVIの基準の大きさより最大で3dB大きくなるように、前記1つまたは複数のベント要素の音響共鳴を減衰させるように構成される、インイヤ式ヘッドホン・デバイスに関する。
インイヤ式ヘッドホン・デバイスは、外耳道の隣の耳甲介内などのユーザの外耳内にデバイスを嵌めることによってユーザによって着用されるように構成されたヘッドホン・デバイスとして理解され得る。インイヤ式ヘッドホン・デバイスは、さらに、ユーザの外耳道内まで少なくとも部分的に延びることができる。インイヤ式ヘッドホン・デバイスは、典型的には、外耳および/または外耳道内に少なくとも部分的に嵌まるように成形され得、それによってデバイスをユーザの耳に嵌めることを確実にする。インイヤ式ヘッドホン・デバイスはまた、インイヤ式ヘッドホン、イヤ・プラグ、カナル型ヘッドホン、差し込み型イヤホン(earbud)またはヒアラブルとして理解され得る。
インイヤ式ヘッドホンは、たとえば、ユーザが周囲を妨げる最小限の音で音声源を聴くことを可能にすることができる。したがって、インイヤ式ヘッドホンの適用範囲は、たとえば、媒体を聴くこと、電気通信を実行すること、補聴を実行すること、スピーチ明瞭性のエンハンスメント、およびアクティブ・ノイズ・コントロールであり得る。
本発明によるインイヤ式ヘッドホン・デバイスは、ノイズ・マイクロホンと、ラウドスピーカと、ノイズ・マイクロホンによって記録された音に基づいて、ラウドスピーカと組み合わせてアクティブ・ノイズ・コントロールを提供するように構成された信号プロセッサとを備える。
音は、可聴音圧波として理解され得る。ラウドスピーカは、駆動信号、たとえば交流電流を受け入れることによって音を生成することができ、この駆動信号は、ラウドスピーカの一部、たとえば振動板の往復運動を生成して空気を押し出し、したがって受け入れられた駆動信号を音として再生することができる。逆のやり方で、マイクロホンは、圧力波がマイクロホンの可動部を往復させて電気信号を生成するときの電圧および/または電流に基づいて、音を電気信号に変換することができる。
アクティブ・ノイズ・コントロールは、望まれない音と比較して反対の音圧を有するアクティブ・ノイズ・コントロール音を追加することによって望まれない音を低減するための方法として理解され得る。アクティブ・ノイズ・コントロールはまた、アクティブ・ノイズ低減またはアクティブ・ノイズ・キャンセレーションと称されてもよく、フィードバックの一タイプとして考えられてもよい。
アクティブ・ノイズ・コントロールを提供するには、反対の音を生み出すために、望まれない音の推定または表現が必要とされる。この目的のために、1つまたは複数のマイクロホンを備えるノイズ・マイクロホンが、望まれない音の表現を記録するために提供される。ノイズ・マイクロホンは、ユーザの外耳道からの音を主に記録する、すなわち望まれない音をユーザが知覚するときにこれを多かれ少なかれ直接的に測定するために、またはユーザの周りの環境からの、すなわち外部音響環境からの音を主に記録するために位置することができ、外部音響環境からの音は、ユーザが知覚するであろうときの望まれない音をヘッドホン・デバイスの内方向伝達関数HTIによって間接的に表現する。一実施形態はまた、同じデバイス内で外部と内部の両方のマイクロホンを備える分散型ノイズ・マイクロホンを有してもよいことが、理解される。
ノイズ・マイクロホンからの記録された音に基づき、アクティブ・ノイズ・コントロール信号が生成され得、このアクティブ・ノイズ・コントロール信号は、好ましくは、ラウドスピーカによって再生されたときに、相殺的干渉によってユーザの耳内の望まれない音をキャンセルするように設計される。好ましくは、この信号は、望まれない音の加法的逆元であり、したがって、たとえば位相を逆転させる、極性を逆転させる、または加法的逆元を得ることによって、望まれない音から得られ得る。さらに、アクティブ・ノイズ・コントロール信号はまた、好ましくは、再生された音が実現可能な限り望まれない音の逆相に近くなるように、実際のマイクロホン、ラウドスピーカ、および信号処理などの理想的ではない周波数応答を考慮するように適応される。さらに、実際には、アクティブ・ノイズ・コントロールは、好ましくは、特定の周波数帯域、たとえば1kHzを下回る可聴周波数に制限され得る。
アクティブ・ノイズ・コントロール信号は、ヘッドホンのラウドスピーカによって再生されてアクティブ・ノイズ・コントロール音を生成することができ、したがってユーザの耳内の望まれない音をキャンセルすることができる。同じラウドスピーカは、アクティブ・ノイズ・コントロールによって好ましくは実質的に影響され得ない別の音声信号、たとえば音楽またはスピーチを同時に発することができる。アクティブ・ノイズ・コントロールの目的で発せられない、ラウドスピーカによって発せられる音声信号、たとえば音楽またはスピーチは、所望の音声信号と称され得る。
アクティブ・ノイズ・コントロールは、しばしば、ノイズ遮断材料による音低減として典型的には理解され得るパッシブ・ノイズ・コントロールと組み合わせられる。パッシブ・ノイズ・コントロールを実質的に有さないインイヤ式ヘッドホン・デバイスは、典型的には、望まれない音を適切にキャンセルするのに十分なアクティブ・ノイズ・コントロール音を生成することができなくなり得る。したがって、アクティブ・ノイズ・コントロールを提供するように構成されたインイヤ式ヘッドホン・デバイスは、典型的には、外耳道と外部環境との間にほぼ気密の仕切りを提供するように構成される。これは、たとえば、音響シーリングを提供するように構成された可撓性チップによって達成され得る。
実際、とりわけ耳の幾何学的形状が不規則であることにより、そして特に顎運動中、インイヤ式ヘッドホン・デバイス内で気密の仕切りを達成することは可能ではない。耐久性、コストなども考慮に入れながら可能な限り現実的に可撓性であるチップを用いても、ヘッドホン・デバイスを通り過ぎて外耳道に入る漏洩音はほぼ常に存在する。ノイズ伝達関数のこの動的性質により、アクティブ・ノイズ・コントロールは、変化する内方向全伝達関数HTIに適合するアクティブ・ノイズ・コントロール信号を生み出すアルゴリズムに連続的に適応することが必要となる。この連続的な適応は、さらに、漏洩の変化中、フィルタ更新ごとにフィルタ係数の頻繁な変更を必要とし得、それによって実際のノイズと比較してアクティブ・ノイズ・コントロール信号はたびたび不適合となり、その結果、可聴アーティファクトが生じる。
一点から他点に伝播するときに異なる周波数の音が受ける変換は、伝達関数H(s)によって説明され得る。伝達関数は、たとえば伝達関数の大きさまたは絶対値Gによって伝播の効率性を説明すると共に、音が受ける位相シフトΦも説明することができる。位相シフトは、群遅延τに関連付けられ得、群遅延は、伝播中の異なる周波数間の時間遅延における変化を説明している、周波数に対する位相シフトΦの微分の負性である。
インイヤ式ヘッドホン・デバイスの文脈では、外側環境から外耳道に伝播する際に音がどのように影響されるかを説明する伝達関数は、内方向全伝達関数HTIによって説明され得る。好ましくは、インイヤ式ヘッドホン・デバイスのアクティブ・ノイズ・コントロールは、この内方向全伝達関数HTIに従って機能するように設計され、たとえば、デバイスを通じてノイズが効率的に送られる周波数は、ユーザの外耳道内でキャンセルされるために、不効率に送られる周波数よりも大きい振幅のアクティブ・ノイズ・コントロール信号を必要とする。
さらに、内方向全伝達関数HTIは、外環境から外耳道まで送られるときに遅延される周波数の程度を説明する、関連する位相シフト/群遅延を有する。好ましくは、アクティブ・ノイズ・コントロールは、この群遅延に従って機能するように設計され、たとえば、大きい群遅延で周波数が送られる場合、対応するアクティブ・ノイズ・コントロール信号は、それに従って遅延されなければならない。
上記で説明されたように、アクティブ・ノイズ・コントロールは、アクティブ・ノイズ・コントロール信号を生成するために、ノイズ・マイクロホンによって記録された信号に頼る。しかし、ノイズ・マイクロホンはまた、ヘッドホン・デバイスを通過する漏洩を通して、および/またはヘッドホン・デバイス自体を通して外耳道から逃げる所望の音声信号のいかなる音も記録し得る。これは、ラウドスピーカ・フィードバックと称され得る望ましくないフィードバック効果を引き起こし得る。ラウドスピーカ・フィードバックは、プロセッサが、ラウドスピーカが生成している音がどのようなものであるかを少なくとも大体把握しているという事実に基づいて、適宜信号処理を実行することによって対処および除去され得る。そのように行うために、外耳道から外側環境に、特にマイクロホンまたは複数のマイクロホンに音が伝えられる効率性を説明する適切に特徴付けられた伝達関数が、必要とされる。この伝達関数は、外方向全伝達関数HTOと称され得る。
本発明者らは、アクティブ・ノイズ・コントロールを提供するように構成された典型的なインイヤ式ヘッドホン・デバイスのいくつかまたはすべての使用事例におけるパフォーマンスに実質的な負の影響を有する、いくつかの問題および課題を特定した。これらの顕著な問題点が、次に詳細に導入される。その後、これらの問題に対する反直感的で簡単な解決策が、本発明者らによって考案され開発されたものとして提示される。
音響シーリングを有するインイヤ式ヘッドホン・デバイスに対する一般的な問題は、閉塞効果であり、閉塞効果は、外耳道がブロックされたときに起こり、ユーザが話すときに最も顕著になる。ユーザ自身のスピーチは、骨および組織によって振動の形態で運ばれ得、この振動は、次いで外耳道を振動させ、外耳道内に音圧を引き起こし得る。特に低周波数では、この音圧は、外耳道がヘッドホン・デバイスによって閉塞/ブロックされたときに大きく増大される。したがってユーザは、話しているとき、および閉塞式のデバイスを着用しているときにユーザ自身の声が鈍く、こもって、ブーン音で、エコー音で、または歪んで複製されることを経験する。
インイヤ式ヘッドホン・デバイスの閉塞効果は、外耳道を外部環境に対して結合するように構成されたベント、すなわちチャネルまたはダクトによって抑制され得る。しかしこれは、いくつかの理由のため、アクティブ・ノイズ・コントロールを提供するように構成されたインイヤ式ヘッドホン・デバイスに組み込むための合理的な要素ではないことに留意されたい。特に、そのようなデバイスは、パッシブ・ノイズ・コントロールに依存し、ベントは典型的には、ノイズがヘッドホンを通して外耳道にかなり容易に伝播することを可能にするため、パッシブ・ノイズ・コントロールを損ない得る。
さらに、ベントの追加は、デバイスが着用されたときにヘルムホルツ共鳴(Helmholtz resonance)を導入する。ヘルムホルツ共鳴は、空洞、たとえば外耳道がポートまたはネック部、たとえばベントによって周囲環境に対して音響的に結合されたときに発生し得る共鳴現象である。ネック部内の空気または空気塊が動かされると、空洞内の圧力は影響され、ネック部内の空気塊上に復元力として作用する。したがって、ネック部内の空気塊は、動かされたとき、システムのヘルムホルツ共鳴の特徴的周波数として理解され得る自然周波数で往復し得る。
したがって、ベントを有するインイヤ式デバイスは、デバイスが着用されたとき、ユーザの外耳道内に、しばしば可聴範囲、たとえば1kHzあたりの非常に不都合な周波数において、特徴的周波数を有するヘルムホルツ共鳴を導入し得る。結果として、ユーザは、この特徴的周波数において音の望ましくない増幅を経験する。アクティブ・ノイズ・コントロールを提供するように構成されたインイヤ式ヘッドホン・デバイスは、この特徴的周波数においてアクティブ・ノイズ・コントロールを適正に提供することができなくなり得る。
さらに、所望の音声信号、たとえば音楽または電気通信の音響的再生は、ヘルムホルツ共鳴の特徴的周波数近くの周波数範囲内の音響的ヘルムホルツ共鳴の存在によって大きく歪められ得る。
追加的に、低周波数ノイズを外耳道から逃がすことによって閉塞効果を低減するように構成されたベントは、所望の音声信号、たとえば音楽の低音周波数レジーム内の音が外耳道から離れることも可能にする。結果として、低音周波数レジーム内の所望の音声信号の音響的再生は、劣化する。しばしば、インイヤ式ヘッドホン・デバイス内で使用可能な非常に小型のラウドスピーカの低音再生能力は、以前から理想とはとてもいえず、ベントの低音劣化効果に反作用するために増幅されたレベルで低音を再生することはできない。
インイヤ式ヘッドホン・デバイスの他の問題は、異なるユーザの異なる外耳の可変の形状およびサイズに関連付けられる。1人のユーザの外耳道は、たとえば、別のユーザの外耳道とは異なるボリュームを有し得る。さらに、インイヤ式ヘッドホン・デバイスがユーザの耳に挿入されるとき、毎回正確に同じ位置に挿入されるとは限らない。これらの可変の状況は、ユーザ変動と称され得、たとえば、低音周波数レジームにおけるインイヤ式ヘッドホン・デバイスのパフォーマンスに影響を与え得る。
ユーザ変動は、内方向全伝達関数HTIに影響を与える。アクティブ・ノイズ・コントロールはこの伝達関数の大きさに依存するため、インイヤ式ヘッドホン・デバイスが着用されるたびに、いかなるユーザにとっても最適に知覚されるアクティブ・ノイズ・コントロールを提供することは、難題である。アクティブ・ノイズ・コントロールは、さらに、内方向全伝達関数HTIの位相に頼り、これもまた、ユーザ変動によって影響されてさらなる歪みをもたらし得る。適応フィルタが使用されるが、内方向全伝達関数HTIが高速で、または大きく変化している場合、適応フィルタは、可聴アーティファクトを生み出すことなく変化を辿ることはできなくなり得る。
同様の変動は、逆転の伝達関数にも発生し得、すなわち、外方向全伝達関数HTOは、ユーザ間およびインイヤ式ヘッドホン・デバイスが着用されるたびに変化し得る。その結果、ラウドスピーカからの音がマイクロホンに到達する効率性がユーザ変動により予測できないため、ラウドスピーカ・フィードバックに適正に対処することは難題である。
さらに、ユーザ変動により、低音周波数レジーム内の所望の音声信号の音響的再生は、劣化する。
インイヤ式ヘッドホン・デバイスのさらなる問題は、動的音響漏洩に関連付けられる。これらの動的音響漏洩は、典型的には外耳道と外部環境との間のほぼ気密の仕切りまたは音響シーリングをかき乱し得るユーザの顎運動中に特に発生し得る。たとえば、ユーザが話すか、または噛んでいる間、ヘッドホン・チップと外耳道との間の漏洩とも称される小さい空気路が、連続的に開閉するか、または可撓性チップの音伝播特性を少なくとも変化させ得る。
アクティブ・ノイズ・コントロールを提供するように構成されたインイヤ式ヘッドホン・デバイスについて、動的音響漏洩は、特に問題である。第1に、動的音響漏洩は、望ましくないノイズを突然引き入れ得る。第2に、動的音響漏洩は、内方向全伝達関数HTIに関連する大きさを変更し得、アクティブ・ノイズ・コントロールはこの伝達関数に頼っているため、この変更は、典型的にはアクティブ・ノイズ・コントロールを歪ませ得る。同様に、外方向全伝達関数HTOも動的音響漏洩によって影響され、結果として、いかなるラウドスピーカ・フィードバックも変わり、その結果、アクティブ・ノイズ・コントロール信号の望ましくない歪みを生じさせ得る。追加的に、音響漏洩は、内方向全伝達関数HTIに関連する群遅延に強く影響を与え得、それによってアクティブ・ノイズ・コントロールをさらに歪ませる。
さらに、動的音響漏洩は外耳道から外部音響環境への、そしてそれによってラウドスピーカからユーザの鼓膜への伝達効率性に影響するため、ユーザによって知覚された所望の音声信号、たとえば音楽の再生もまた、歪められ得る。
したがって、アクティブ・ノイズ・コントロールを提供するように構成されたインイヤ式ヘッドホン・デバイスの分野の提示された問題は、下記の通りにまとめられ得る。
- 閉塞効果は、ヘルムホルツ共鳴の導入によるアクティブ・ノイズ・コントロールの劣化無しに抑制されることは可能ではない。
- 閉塞効果は、ヘルムホルツ共鳴の導入による音声再生の劣化無しに抑制されることは可能ではない。
- 閉塞効果は、特に低音周波数範囲内の音がデバイスを離れることによる音のラウドスピーカ再生の劣化無しに抑制されることは可能ではない。
- ユーザ変動が内方向全伝達関数HTIの大きさに影響して、アクティブ・ノイズ・コントロールを歪ませ得る。
- ユーザ変動が内方向全伝達関数HTIの位相に影響して、アクティブ・ノイズ・コントロールを歪ませ得る。
- ユーザ変動が外方向全伝達関数HTOに影響して、ラウドスピーカ・フィードバックを歪ませ得る。
- ユーザ変動が外方向全伝達関数HTOに影響して、特に低音周波数範囲内の所望の音声信号の再生を歪ませ得る。
- 動的音響漏洩が、アクティブ・ノイズ・コントロールが抑制することができないノイズを突然引き入れ得る。
- 動的音響漏洩が内方向全伝達関数HTIの大きさに影響して、アクティブ・ノイズ・コントロールを歪ませ得る。
- 動的音響漏洩が内方向全伝達関数HTIの位相に影響して、アクティブ・ノイズ・コントロールを歪ませ得る。
- 動的音響漏洩が外方向全伝達関数HTOに影響して、ラウドスピーカ・フィードバックを歪ませ得る。ならびに/または、
- 動的音響漏洩が外方向全伝達関数HTOに影響して、特に低音周波数範囲内の所望の音声信号の再生を歪ませ得る。
本発明者らは、インイヤ式ヘッドホン・デバイスの分野、特にアクティブ・ノイズ・コントロールを提供するように構成されたインイヤ式ヘッドホン・デバイスに関連する、上記で提示された問題に対する新規の発明的な解決策を考案した。着用型のインイヤ式ヘッドホン・デバイスの包括的なモデルおよび広範囲にわたるシミュレーションが、説明される問題の1つまたは複数、好ましくはその問題のいくつかを同じデバイス内で同時に克服または低減するための本発明の実施形態の実行可能性を示す。
本発明によるインイヤ式ヘッドホン・デバイスは、1つまたは複数のベント要素と1つまたは複数の減衰要素とを備える、減衰式ベントを備える。減衰式ベントは、たとえば、減衰ネットがベントの一方または両方の端部に位置するベント、または減衰効果が一体化されて構成されたベントであり得る。本発明によれば、減衰式ベントは、外耳道を外部音響環境に対して結合するように構成される。
減衰式ベントは、一実施形態により、100Hzから2kHzの基準周波数範囲内の前記減衰式ベントの前記内方向ベント伝達関数HVIの共鳴の大きさが、20Hzから100Hzの基準周波数範囲内の前記内方向ベント伝達関数HVIの基準の大きさより最大3dB大きくなるように、前記1つまたは複数のベント要素の音響共鳴を減衰するように構成される。換言すれば、減衰式ベントは、100Hzから2kHzの周波数範囲内で発生する共鳴ピークを減衰するように構成される。
減衰無しのベントは、上記で説明されたように、外耳道の封止された空洞と組み合わせられて、典型的には、ベントが音声目的で、たとえば閉塞効果を低減するようにチューニングされる場合にこの周波数範囲内のどこかでヘルムホルツ共鳴を引き起こす。そのような音響共鳴の大きさは、典型的には、低周波数における実質的に平坦な大きさをたとえば6dB上回る。
本発明による減衰式ベントは、自然の、たとえば6dBではなく、典型的な共鳴周波数帯域内で3dBピークの最大値を可能にし、それによってヘルムホルツ共鳴のピーク時の音圧レベルを少なくとも半分にする。好ましい実施形態では、減衰式ベントは、臨界的に減衰され、それによってピークを基準レベルに抑制し、20Hzからカットオフ周波数の間、たとえば400Hzから2kHzの間のどこか、たとえば800Hzまたは1kHzに実質的に平坦な周波数応答を残す。一実施形態では、減衰式ベントは、過剰に減衰され得、すなわち基準の大きさを下回るようにピークをさらに抑制する。
音響分野の当業者は、ベントの内側またはベントの一方もしくは両方の端部に提供する適切な減衰布または他の減衰材料を選択することによって、本明細書に提供される特徴に基づいて減衰式ベントを設計することができ、ならびに/または減衰効果を達成するように設計されたベント設計の幾何学的特徴、たとえばスリットを提供することができる。ベント寸法および減衰要素の例はまた、以下で、図を参照して説明されるシミュレーションに関するモデルに関連して提供される。
本発明の減衰式ベントの態様は、ノイズ・コントロールを提供するように構成されたインイヤ式ヘッドホン・デバイス内で外部音響環境に対して外耳道を結合することは極めて反直感的であるため、特に発明性がある。ベント自体は、閉塞効果を受動的に抑制することができるが、パッシブ・ノイズ・コントロールの効果を低減し、ヘルムホルツ共鳴を導入する。しかし、減衰要素をさらに含み、設計パラメータの賢明な選択を実行することにより、パフォーマンスの低減の予想に反して、インイヤ式ヘッドホン・デバイスのパフォーマンスを大きく改善することが可能である。
本発明をさらに提示するために、いくつかのさらなる概念を導入することが有益である。減衰式ベントは、外部音響環境から外耳道への内方向ベント伝達関数HVIおよび外耳道から外部音響環境への外方向ベント伝達関数HVOによって特徴付けられ得る。動的音響漏洩は、外部音響環境から外耳道への内方向漏洩伝達関数HLIおよび外耳道から外部音響環境への外方向漏洩伝達関数HLOによって特徴付けられ得る。
さらに、ノイズ・マイクロホンが外部音響環境からの音を主に記録するように構成される場合、インイヤ式ヘッドホン・デバイスは、たとえばノイズ・マイクロホンと、信号プロセッサと、ラウドスピーカとを備える電気音響経路を備えることができる。この電気音響経路は、外部音響環境から外耳道への内方向電気音響伝達関数HEIによって特徴付けられ得る。
内方向全伝達関数HTIは、たとえば、内方向ベント伝達関数HVIおよび内方向漏洩伝達関数HLIの組み合わせを備えることができ、一方で、外方向全伝達関数HTOは、外方向ベント伝達関数HVOおよび外方向漏洩伝達関数HLOの組み合わせを備えることができる。
以下では、減衰式ベントがインイヤ式ヘッドホン・デバイスにとって欠点ではなく、実際には予想に反してそのようなデバイスの数多くの改善点を生み出すことができる理由を説明する根拠が、提示される。
アクティブ・ノイズ・コントロールを提供するように構成されたインイヤ式ヘッドホン・デバイスに対して減衰式ベントを追加することに関連する懸念は、減衰式ベントが、ユーザの外耳道内に追加のノイズを引き入れ得ることであり得る。しかし、内方向ベント伝達関数HVIは、典型的には、明確に定義され、よく知られ得るため、この追加のノイズは、したがって、アクティブ・ノイズ・コントロールにとって抑制することが簡単である。
インイヤ式ヘッドホン・デバイスに対して非減衰式ベントを追加すると、デバイスが着用されているときの閉塞効果を抑制することができるが、その結果、ヘルムホルツ共鳴を生じさせる。ベントに対して減衰要素をさらに追加することにより、ヘルムホルツ共鳴ならびにこれが生成し得る関連する歪みは、除去されることが可能である。
したがって、閉塞効果は、ヘルムホルツ共鳴の存在によってアクティブ・ノイズ・コントロールおよび音声再生を劣化させることなく、抑制されることが可能である。さらに、ベントの追加は、典型的には、特に低音周波数範囲内の音がデバイスを離れることにより、音の再生を劣化させ得る。しかし、減衰要素はこの効果を低減し、減衰要素を有さないデバイスと比較して、特に低音周波数範囲内の改善された音再生を提供する。
減衰式ベントを実装することにより、ユーザ変動に関連するいくつかの問題もまた、対処され得る。
アクティブ・ノイズ・コントロールは、典型的には、可聴周波数を1kHz程度の周波数までに抑制するように構成され得る。これらの周波数では、ユーザ変動が、ベントを有さないインイヤ式ヘッドホン・デバイスと非減衰式ベントを有するデバイスの両方に関する全内方向伝達関数HTIに大きく影響を与え得る。減衰式ベントを有するデバイスにおける全内方向伝達関数HTIに対するユーザ変動の影響は、関連する周波数において大きく低減される。
同様の形で、外方向全伝達関数HTOは、減衰式ベントを有するインイヤ式ヘッドホン・デバイスにおけるユーザ変動によってあまり影響されず、ラウドスピーカ・フィードバックは、したがって、より少ない歪みを生成し得る。外方向全伝達関数HTOはまた、特に低音周波数範囲内の、外耳道内での所望の音声信号の再生にも影響し、減衰式ベントは、この周波数範囲内の音声再生を改善する。
減衰式ベントは、動的漏洩に関連する問題を解決する上で特に効率的である。減衰式ベントを有さない典型的なインイヤ式ヘッドホン・デバイスでは、発生した動的音響漏洩を通って外耳道に突然入ったいかなる音も、ユーザによって非常に顕著に聞かれ得る。対照的に、本発明の典型的な実施形態では、ノイズは、減衰式ベントと動的音響漏洩の両方を通って入ることができる。減衰式ベントは予測可能な内方向ベント伝達関数HVIを有するため、減衰式ベントを通って入ったノイズは簡単に抑制される。重要なことは、動的音響漏洩によって外耳道に入ったいかなる音も、再度減衰式ベントを通って出ることができる。したがって、本発明の実施形態によれば、動的音響漏洩の音は、ベントを通って出ることができずに外耳道内に漏洩する音と比較して、極めて小さくユーザによって聞かれる。
ベント無しのアクティブ・ノイズ・コントロールを有するインイヤ式ヘッドホン・デバイスの場合、漏洩伝達関数がこの場合全伝達関数の主要部分であるため、動的音響漏洩が、内方向全伝達関数HTIを強く変更し得る。これは、内方向全伝達関数HTIの大きさと位相の両方に関する。その結果、動的音響漏洩は、内方向全伝達関数HTIを連続的に変更して、アクティブ・ノイズ・コントロールの歪み、その結果可聴アーティファクトを生成し得る。本発明による典型的な実施形態の場合、減衰式ベントは、内方向ベント伝達関数HVIが内方向全伝達関数HTIの典型的な主要部分を形成するため、動的音響漏洩の発生時に内方向全伝達関数HTIはほとんど変わらず、その結果変化量を大きく低減し、それによって適応の不適合による可聴アーティファクトを低減することを確実にする。
同様の形で、外方向全伝達関数HTOは、減衰式ベントを有するインイヤ式ヘッドホン・デバイス内の動的音響漏洩によってあまり影響されず、ラウドスピーカ・フィードバックは、したがって、さらにより少ない歪みを生成し得る。外方向全伝達関数HTOは、追加的に、特に低音周波数範囲内の、外耳道内での所望の音声信号の再生にも影響し、減衰式ベントは、この周波数範囲内の音声再生を改善する。
提示された利点および解決策をまとめると、本発明者らは、本発明によるアクティブ・ノイズ・コントロールを提供するように構成されたインイヤ式ヘッドホン・デバイスの分野における数多くの問題を特定し、解決した。これらの問題を解決することは、全般的に、新規の減衰式ベントの発明性に基づき、この減衰式ベントは、ヘルムホルツ共鳴などの望ましくない共鳴効果を排除しながら、外耳道と周囲環境との間の実質的な音響的結合も可能にするように慎重に作られている。結果として、本発明の実施形態によるインイヤ式ヘッドホン・デバイスは、
- 時変のヘルムホルツ共鳴の導入によるアクティブ・ノイズ・コントロールの劣化無しに閉塞効果を抑制することができ、
- 時変のヘルムホルツ共鳴の導入による音声再生の劣化無しに閉塞効果を抑制することができ、
- 特に低音周波数範囲内の音がデバイスを離れることによる音のラウドスピーカ再生の劣化を最小限にしながら、閉塞効果を抑制することができ、
- ユーザ変動が内方向全伝達関数HTIの大きさに影響を与えることによる歪みを低減することができ、
- ユーザ変動が内方向全伝達関数HTIの位相に影響を与えることによる歪みを低減することができ、
- ユーザ変動が外方向全伝達関数HTOに影響を与えることによるラウドスピーカ・フィードバックからの歪みを低減することができ、
- 外方向全伝達関数HTOに関連する、ラウドスピーカから鼓膜への伝達関数に対するユーザ変動の低減された影響により、特に低音周波数範囲内の音のラウドスピーカ再生を改善することができ、
- 動的音響漏洩が減衰式ベントを通って出ることを可能にすることによって、動的音響漏洩を介して外耳道に入る音の効果を低減することができ、
- 動的音響漏洩が内方向全伝達関数HTIの大きさに影響を与えることによる歪みを低減することができ、
- 動的音響漏洩が内方向全伝達関数HTIの位相に影響を与えることによる歪みを低減することができ、
- 動的音響漏洩が外方向全伝達関数HTOに影響を与えることによるラウドスピーカ・フィードバックからの歪みを低減することができ、ならびに/または
- 外方向全伝達関数HTOに関連する、ラウドスピーカから鼓膜への伝達関数に対する動的音響漏洩の低減された影響により、特に低音周波数範囲内の音のラウドスピーカ再生を改善することができる。
閉式設計と非減衰式ベントを有する設計の両方と比較して、内方向および外方向の伝達関数をモデル化するように構成された、減衰式ベントを有する本発明の実施形態におけるアクティブ・ノイズ・コントロール・フィルタは、よりスムーズな増幅および位相特徴を有することができ、漏洩または外耳道の位置付けの変更に適応するためにLMSなどのアルゴリズムが使用される場合に、変更が少なくなり得る。
ラウドスピーカおよびベントが外耳道に到達する前に共通のボリュームを共有する音響設計と比較して、この開示された構成は、特にベント・カットオフを上回る周波数において、ラウドスピーカから外部に面するマイクロホンに送られる音がより小さいという利点を有する。
一実施形態では、前記内方向ベント伝達関数HVIおよび前記音響共鳴は、前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスが前記人の外耳道に挿入されたときの前記減衰式ベントの特性である。
インイヤ式ヘッドホン・デバイスの音響特性は、これらが評価される環境に応じて変化する。本開示では、音響特性は、挿入されたデバイスに対して、すなわちラウドスピーカおよび減衰式ベントの一方の端部が閉鎖された外耳道空洞に対して結合され、減衰式ベントの他方の端部が外部音響環境、詳細には耳甲介に対して開いている場合で考えられる。それにより、音響共鳴は、たとえば、閉鎖された空洞を開放空間に対して結合するチューブとの間の相互作用の結果として考えられる。
一実施形態では、前記ラウドスピーカおよび前記減衰式ベントは、前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスの内側で音響的に分離される。
いくつかの実施形態では、ラウドスピーカおよび減衰式ベントは、好ましくは、共通のチャンバまたはダクトなどに対して直接的ではなく、それによってヘッドホン・デバイスから外耳道への共通の出口を有さない。
一実施形態では、前記ラウドスピーカおよび前記減衰式ベントは、前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスの内側で減衰要素によって音響的に分離される。
いくつかの実施形態では、ラウドスピーカおよび減衰式ベントは、減衰要素によって音響的に分離されるか、または仕切られる。
一実施形態では、前記ラウドスピーカおよび前記減衰式ベントは、個別のダクトによって前記外耳道に対して結合される。
それにより、ラウドスピーカおよびベントが外耳道への共通ダクトによってデバイスの内側で組み合わせられ、より多くの音が鼓膜に到達せずにベントを通って外部環境に出る実施形態と比較して、ラウドスピーカ音は主に外耳道に送出される。
一実施形態では、前記減衰式ベントは、1.5mmから3.5mm、たとえば2.0mmから3.0mmなどの範囲内、たとえば2.3mmまたは2.5mmの直径を有する円筒形に等しい断面積を有して構成される。
減衰式ベントの好ましい断面積は、たとえば1.8mmから9.6mm、たとえば3.1mmから7.1mmなどの範囲内、たとえば4.2mmまたは4.9mmであり得る。減衰式ベントは、円形、矩形、半円形などのさまざまな断面形状を有することができ、その長さに沿って変化する断面積を有することができ、または2つ以上のベント、分割ベントなどによって組み合わせられてよいが、好ましくは、円筒状ベントの上記で述べられた寸法に等しい寸法を有して設計され得る。
一実施形態では、前記減衰式ベントは、2.5mmから10mm、たとえば3.5mmから9mm、4.5mmから8mmなどの範囲内、たとえば5mmまたは7mmの長さを有する円筒形に等しい長さを有して構成される。
減衰式ベントは、その長さに沿ってさまざまな形状を有することができ、真っ直ぐ、湾曲、または曲がりなどであってよく、2つ以上のベント、分割ベントなどによって組み合わせられてよいが、好ましくは、円筒状ベントの上記で述べられた寸法に等しい寸法を有して設計され得る。
一実施形態では、前記ベントは、前記減衰式ベントの前記断面積および前記長さに基づく音響質量によって特徴付けられ得、前記音響質量および前記外耳道の典型的な有効ボリュームの組み合わせは、500Hzから2000Hz、たとえば650Hzから1600Hz、700Hzから1200Hzなどの範囲内から選択されるベント・カットオフ周波数、たとえば800Hz、900Hz、または1000Hzによって特徴付けられ得る。
音響質量は、音響慣性としても理解され得、その速度を変更するための空気体のリラクタンスを説明することができる。たとえば、本発明の一実施形態では、減衰式ベント内の空気体は、減衰式ベントの長さおよび断面積によって決定された音響質量を有することができる。外耳道の典型的な有効ボリュームと組み合わせた音響質量は、ベント・カットオフ周波数によって特徴付けられ得る。外耳道の典型的な有効ボリュームは、たとえば、デバイスが平均的なまたは典型的なユーザの外耳道に挿入されたときの外耳道の残りのボリュームとして理解され得る。
一実施形態では、前記ノイズ・マイクロホンは、前記外部音響環境からの音を主に記録するように構成される。
外部音響環境から音響ノイズ・コントロールのための音を記録する利点は、ノイズが、外耳道内に存在する音の影響を最小限にして測定され得ることであり、この音は、音楽プレーバックまたは電話による会話などのヘッドホン・デバイスによって再生される望ましい音を含み得る。内部ラウドスピーカから外部に向けられたマイクロホンへのフィードバックが、測定され、この処理において考慮され得る。さらに、外部に向けられたノイズ・マイクロホンは、有利には、キャンセルすべきノイズと共に、キャンセルされるべきではなく、さらにエンハンスされるべき所望の環境音、たとえば声による会話、通知、または所望の警告音を記録する二重の目的で使用され得る。たとえば声による会話の指向性のいくらかの程度は、マイクロホンを適宜装着することによって、またはヘッドホン・デバイス上の異なる場所にあるいくつかのマイクロホンもしくはマイクロホン・ポートを使用することによって達成され得る。キャンセルすべき音とキャンセルするべきではなく、場合によってさらにエンハンスするべき音との間の差別化は、たとえば約800~1000Hzにおいてクロスオーバ周波数を有する簡単なクロスオーバ・フィルタに基づき、またはより先進型のアルゴリズム、たとえば記録された音内で声特徴を検出し、維持するか、またはエンハンスし、記録された信号の残りに基づいてアクティブ・ノイズ・コントロール信号を作り出す、信号成分差別化技術に基づき得る。二重目的のノイズ・マイクロホンはまた、ユーザ自身の声を、たとえば電気通信またはデジタル支援目的で記録するために使用されてもよい。
一実施形態では、前記ノイズ・マイクロホンは、前記外耳道からの音を主に記録するように構成される。
外耳道内の音をアクティブ・ノイズ・コントロールに対する入力として使用することにより、すなわち外耳道に対して向けられたノイズ・マイクロホンによって記録することにより、アクティブ・ノイズ・コントロール・アルゴリズムは、外耳道内で実際に再生されるアクティブ・ノイズ・コントロール信号のパフォーマンスに関する直接的なフィードバックを受け取る。それにより、アクティブ・ノイズ・コントロール信号に対する調整は、より高速および/またはより正確になり得る。ヘッドホン・デバイス自体によって再生される所望の音、たとえば音楽プレーバックまたは電話による会話は、フィードバック信号をエラー信号としてアクティブ・ノイズ・コントロール・アルゴリズムに対して適用する前に、フィードバック信号から差し引かれ得る。また、声による会話、通知などの所望の環境音は、クロスオーバ・フィルタまたは他の信号成分差別化技術、たとえば声特徴抽出によってある程度まで維持され得る。
一実施形態では、前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスは、補助マイクロホンを備える。
さまざまな実施形態は、さまざまな目的のためにいくつかのマイクロホンを利用することができる。ノイズ・マイクロホンの反対側に位置する、すなわちノイズ・マイクロホンが環境音を主に記録するように構成されるときに外耳道に対して向けられる、またはノイズ・マイクロホンが外耳道の音を主に記録するように構成されるときに環境に対して向けられる補助マイクロホンが、ノイズ・マイクロホンがあまり有利ではないタスク時に信号プロセッサを補助することができる。たとえば、外耳道に対して向けられた補助マイクロホンは、環境に向けられたノイズ・マイクロホンに基づくアクティブ・ノイズ・コントロール・アルゴリズムにエラー信号を提供することができ、その逆も同様である。さらに、補助マイクロホンは、電気通信およびデジタル支援の目的でユーザの声を記録するために使用され得る。ノイズ・マイクロホンおよび補助マイクロホンの組み合わせは、環境から外耳道までの間、またはその逆の形の伝達関数を測定するためにさらに使用され得る。さらに、ヘッドホン・デバイスの周りの異なる場所に位置するいくつかの環境に向けられたマイクロホンは、たとえば所望の会話の声と背景ノイズとの間の改善された差別化のために、音記録の指向性を改善することができる。
一実施形態では、前記外耳道からの音を主に記録するように構成されたマイクロホンは、個別のマイクロホン・ダクトを介して前記外耳道に対して結合される。
ノイズ・マイクロホンまたは補助マイクロホンに関係なく、外耳道に対して向けられたマイクロホンは、好ましくは、個別のマイクロホン・ダクトを介して外耳道に対して結合され得、それによってマイクロホンが外耳道内で占める空間は少なくなり、マイクロホンは、ラウドスピーカまたは減衰式ベントのチャンバもしくはダクトに対して直接的に結合されない。マイクロホン・ダクトを用いることにより、マイクロホンは、マイクロホン・ダクトの予測可能な伝達関数だけによって影響されるような、外耳道内に存在する音の混合を受け取る。
一実施形態では、マイクロホンは、前記減衰式ベントを介して前記外耳道に対して音響的に結合される。
本発明のいくつかの実施形態では、マイクロホン、たとえばノイズ・マイクロホンは、減衰式ベントから直接音を記録することができる。1つまたは複数の減衰要素の配置に応じて、マイクロホンは、そのため、外部環境からの音、外耳道からの音を主に記録するか、または外部環境および外耳道からの音をバランス良く混合して記録することができる。
一実施形態では、前記信号プロセッサは、推定された内方向全伝達関数HTIに基づいて前記アクティブ・ノイズ・コントロール信号を提供する。
基本的に、アクティブ・ノイズ・コントロール・アルゴリズムは、減衰式ベント、動的音響漏洩、存在する場合に電気音響経路などを通って環境から外耳道に伝播した後に残るノイズの反対側の音、すなわち内方向全伝達関数HTIによって表されるような音を再生するように構成される。したがって、特に環境に面するノイズ・マイクロホンでは、アクティブ・ノイズ・コントロール信号をこの伝達関数に対する推定に基づかせることが有利である。内方向全伝達関数HTIは、設計または製造時において推定され、ヘッドホン・デバイス内に所定の関数として記憶され、開始点として使用され得る。しかし、ヘッドホン・デバイスは、好ましくは、可変の動的音響漏洩、可変のユーザ外耳道の特徴などに対して適応するように伝達関数を更新するように構成される。使用中に内方向全伝達関数HTIを推定する、すなわち適応させるための可能性のいくつかは、上記で説明されている。
一実施形態では、前記推定された内方向全伝達関数HTIは、前記内方向ベント伝達関数HVIの推定に基づく。
上記で説明されたように、内方向ベント伝達関数HVIは、内方向全伝達関数HTIの主な、そしてかなり予測可能な部分を形成する。内方向ベント伝達関数HVIは、実質的に固定された減衰式ベントのモデル、または設計者もしくは製造者による測定値に基づいて推定され得るため、内方向全伝達関数HTIの適格な推定は、可能であれば動的音響漏洩の内方向漏洩伝達関数HLIに対する平均化または推測されたモデルを考慮に入れながら、内方向ベント伝達関数HVIの推定に基づくことができる。
一実施形態では、前記推定された内方向全伝達関数HTIは、前記外部音響環境および前記外耳道それぞれの音の記録の相違に基づく。
マイクロホンが、たとえばノイズ・マイクロホンを環境に向けて、補助エラー・マイクロホンを外耳道に向けて構成するか、またはノイズ・マイクロホンを外耳道に向けて、電気通信、デジタル支援、および/もしくは会話の声をエンハンスするための補助マイクロホンを環境に向けて構成することによって、主に環境音と主に外耳道音の両方に利用可能である場合、これらが記録する音の比較が、内方向全伝達関数HTIの推定値を決定するために使用され得る。
一実施形態では、前記推定された内方向全伝達関数HTIは、推定された外方向全伝達関数HTOに基づく。
外方向全伝達関数HTOが知られているか、または推定される場合、これは、その極および零点が転換されて、アクティブ・ノイズ・コントロールを改善するために使用され得る内方向全伝達関数HTI、すなわち反対方向の推定値を見出すことができる。
一実施形態では、前記推定された外方向全伝達関数HTOは、前記ラウドスピーカによって再生された音と前記ノイズ・マイクロホンによって記録された音との相違に基づく。
ノイズ・マイクロホンまたは補助マイクロホンが、外部環境のノイズを主に記録するために位置している場合、これは、通常ベント、漏洩、およびヘッドホンを通って逃げ出すラウドスピーカからの音のフィードバックも記録する。ラウドスピーカ出力を外側マイクロホン入力と比較することにより、外方向全伝達関数HTOの推定値が決定され得る。これは、それ自体有利であり、その理由は、これにより、信号プロセッサが、スピーカからマイクロホンへの望ましくないフィードバックをコントロールして、最悪の場合たとえば吹鳴音または金切音を回避することを可能にするためである。さらに、測定または推定された外方向全伝達関数HTOは、上記で説明されたようにアクティブ・ノイズ・コントロールを改善するために内方向全伝達関数HTIを決定するために使用され得る。故に、外方向全伝達関数HTOの推定または測定は、アクティブ・ノイズ・コントロールにおいて、ならびにアクティブ・フィードバック・コントロールにおいて使用され得る。
一実施形態では、前記信号プロセッサは、前記アクティブ・ノイズ・コントロール信号を提供するためにアクティブ・ノイズ・コントロール・アルゴリズムを有して構成され、アクティブ・ノイズ・コントロール・アルゴリズムは、たとえば、フィルタードx(filtered-x)LMSまたは方向検索(direction search)LMSなどのLMSアルゴリズム型のものであり、ステップ・サイズによって特徴付けられる。
さまざまな適切なアクティブ・ノイズ・コントロール・アルゴリズムが、アクティブ・ノイズ・コントロールを有するヘッドホン・デバイスの分野の当業者に利用可能である。基本的に、アクティブ・ノイズ・コントロール・アルゴリズムは、望ましくないノイズに可能な限り相反する音を生成するように連続的に更新される適応フィルタを備える。アクティブ・ノイズ・コントロールは、典型的には、より高い周波数には適用されないため、記録されたノイズ信号の典型的なサンプル速度は、たとえば、2kHzであり得、それによって1kHzを下回るノイズに対するアクティブ・ノイズ・コントロールを可能にする。アクティブ・ノイズ・コントロールの他の周波数範囲が、たとえば減衰式ベントの特徴周波数をチューニングするなどして他の周波数範囲を適切に適宜調整することで、当業者に利用可能である。
異なるアクティブ・ノイズ・コントロール・アルゴリズムの関連するパラメータは、各アルゴリズムの反復によって適応フィルタがどれだけ多く変更されるかを決定するステップ・サイズである。ステップ・サイズが小さいほど、測定されたノイズへのより正確な適応が可能になり、ステップ・サイズが大きいほど、望ましくないノイズの大きくすばやい変更を追跡し続けることが可能になる。正確性を増大させる目的によって選択されたステップ・サイズが小さすぎる場合、漏洩が内方向全伝達関数HTIの最も大きな部分である、減衰式ベントを有さないヘッドホン内の適応ノイズ・フィルタは、たとえばユーザが噛むまたは話すときに発生する動的音響漏洩における変動に起因する、ノイズ特徴の大きな変化を追跡することはできない。これは、ノイズ特徴または伝達関数が大きく変更されるたびに可聴アーティファクトをもたらし得る。他方で、伝達関数における大きな変化にすばやく適応する目的によって選択されたステップ・サイズが大きすぎる場合、適応フィルタは、各補正値を超え、最適なフィルタ設定値あたりで揺らぐ傾向がある。これは、ノイズおよび伝達関数が経時的にスムーズに変わるだけの安定化状態中に、可聴アーティファクトまたはノイズ抑制の低下をもたらし得る。いくつかのアクティブ・ノイズ・コントロール・アルゴリズムでは、より大きいステップ・サイズの場合と同じすばやさで最適なフィルタ設定値を見つけながらも、より小さいステップ・サイズを使用することを可能にするために、アルゴリズムの反復の周波数を増大させることが可能になり得る。一例では、処理周波数を2倍にすることで、大きな変化に対するアルゴリズムの応答を低減することなく、ステップ・サイズを半分にすることが可能になり得る。しかし、処理周波数を増大させることで、より高価なプロセッサおよび付属構成要素が必要となり、電池消費はより多くなる。換言すれば、フィルタ適応パフォーマンス、処理速度、コスト、および電池消費の間には、ある程度の妥協点が存在する。
本発明の実施形態により、内方向全伝達関数HTIの安定性は、その大部分が、予測不能で動的な内方向漏洩伝達関数HLIと比較して実質的に固定され、経時的に幾分予測可能である内方向ベント伝達関数HvIに頼るため、改善され得る。より安定的な内方向全伝達関数HTIにより、アクティブ・ノイズ・コントロール・アルゴリズムおよび適応フィルタによって必要とされる適応の程度は、減衰式ベントを有さないヘッドホンと比較して低減される。この利益は、異なる関心によるさまざまな目的で使用され得る。有利な実施形態は、改善された伝達関数安定性を利用してステップ・サイズを低減し、それにより、動的状態は減衰式ベントによる安定的な伝達関数によって動的性が低下するため、より正確なノイズ・コントロールが、動的状態における追跡パフォーマンスを低減することなく安定化状態中に達成される。別の有利な実施形態は、動的状態は減衰式ベントによる安定的な伝達関数によって動的性が低下するため、ここでも動的状態における追跡パフォーマンスを低減することなく、改善された伝達関数安定性を利用して、たとえばより安価な構成要素および/またはより遅い処理頻度を使用して、処理要求事項を低減する。上記で言及された妥協点のパラメータの中の他の組み合わせも適切であり、本発明の有利な実施形態である。
全般的に、アクティブ・ノイズ・コントロールは、因果的または非因果的であり得る。因果的アクティブ・ノイズ・コントロールでは、マイクロホンは、典型的には、ラウドスピーカよりもノイズ源の近くに位置し、それにより、ノイズ・マイクロホンにおいて記録された音波セグメントは、外耳道内の記録された音波セグメントをキャンセルするように構成されたアクティブ・ノイズ・コントロール信号をラウドスピーカが再生するのに間に合うように処理され得る。
非因果的アクティブ・ノイズ・コントロールでは、ノイズ・マイクロホンにおいて記録された音波セグメントは、外耳道内の同じ音波セグメントをキャンセルするのに間に合うように処理されなくてよい。その代わり、非因果的アクティブ・ノイズ・コントロールは、記録された音に頼って外耳道内の将来的ノイズを予測する。因果的アクティブ・ノイズ・コントロールが可能である実施形態においても、アクティブ・ノイズ・コントロールは、いくつかの実施形態では、将来的ノイズの予測、すなわちアルゴリズムを正しい方向に事前調整するために、受け取られた音がどのように展開するかの予測の成分を含むことから利益を得ることができる。
ノイズ・マイクロホンが外耳道からの音を主に記録するように構成された実施形態では、アクティブ・ノイズ・コントロールは、典型的には、非因果的アクティブ・ノイズ・コントロールであり得る。したがって、アクティブ閉塞コントロールは、典型的には、非因果的アクティブ・ノイズ・コントロールの一タイプであり得る。
非因果的および因果的アクティブ・ノイズ・コントロールは、異なる信号処理手順を必要とする。非因果的アクティブ・ノイズ・コントロールのための信号処理は、これが将来的ノイズを予測することに頼るので、典型的には、予測により大きな程度頼る。
本発明の実施形態は、典型的には、減衰式ベントを有さないデバイスよりもより良好な予測性によって特徴付けられる。たとえば、全内方向伝達関数は、動的音響漏洩の影響を受けにくい。したがって、本発明の実施形態はまた、改善された非因果的アクティブ・ノイズ・コントロール、または因果的および非因果的なアクティブ・ノイズ・コントロールの組み合わせを提供することもできる。
一実施形態では、前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスは、クロスオーバ周波数、声抽出機能、またはアクティブ・ノイズ・コントロールを行うことが望まれる音と、影響されずにもしくはエンハンスもされて聞かれることが望まれる音との間の他の分離手段を有して構成される。
インイヤ式ヘッドホン・デバイスのいくつかの用途について、アクティブ・ノイズ・コントロールまたはアクティブ・ノイズ・コントロールの完全な使用が望まれないことがある。これは、たとえば、環境音、たとえば会話、通知、交通における方向などをユーザが聞くことが時に望まれ得る実施形態であり得る。たとえば約800Hz~lkHzにおける適切なクロスオーバ周波数、または声抽出機能もしくは他の分離手段の使用により、アクティブ・ノイズ・コントロールを行うことが望まれるノイズなどの音、および影響されずにまたはエンハンスもされて聞かれることが望まれる声などの音の異なる処理が、可能になり得る。分離手段は、有利には、ユーザ構成可能であってよく、および/または必要に応じてオンまたはオフに切り替えることができる。
一実施形態では、前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスは、前記アクティブ・ノイズ・コントロール信号をオンまたはオフに切り替え、その周波数範囲またはコントロールされるノイズのモードを調整するためのオプションを有して構成される。
いくつかの実施形態では、ユーザ選択可能なアクティブ・ノイズ・コントロールを提供することが望ましくなり得、それにより、ユーザは、たとえば上記で言及された状況のいくつかにおいて、関連しないときまたはさらに望まれないときにこれをオフにすることができる。一実施形態では、アクティブ・ノイズ・コントロール・アルゴリズムの設定値は、ユーザがノイズ・コントロールの周波数範囲、ノイズ抑制の程度を選択し、すばやい追跡か、もしくは正確で安定的な状態かに合わせて大きいステップ・サイズもしくは小さいステップ・サイズの間で選択することなどを可能にすることにより、またはユーザがノイズ・コントロール・モードを選択し、たとえば静かな環境もしくは騒がしい環境、安定的な使用法もしくは動的な使用法、ノイズ・コントロールと同時に環境の声を聞くか、もしくはできる限り大きな音抑制を望むかの必要性を選択することなどを可能にすることによって、直接的または間接的にユーザ構成可能であり得る。
一実施形態では、前記推定された内方向全伝達関数HTIは、内方向漏洩伝達関数HLIを備える時変の内方向伝達関数成分と、前記内方向ベント伝達関数HVIを備える静的内方向伝達関数成分とを備える。
上記で説明されたように、減衰式ベントと不可避な動的音響漏洩の両方を備えるヘッドホン・デバイスにおける内方向全伝達関数HTIは、減衰式ベントからの、少なくとも好ましくは主な、実質的に安定した、予測可能な寄与と、動的音響漏洩からの、好ましくは小さく、時変の不安定な寄与とを含む。したがって、有利な実施形態は、少なくともこれら2つの成分を有する、推定された内方向全伝達関数HTIを備える。いくつかの実施形態では、これらの成分は、別個に測定され、推定され、またはモデル化され、それによって内方向全伝達関数HTIにおいて区別され、個別に調整されることが可能である。他の実施形態では、内方向全伝達関数HTIは、2つの成分の区別を可能にせずに、ただし別々ではないがこれら2つの成分を備えるやり方で、測定され、推定され、またはモデル化される。
一実施形態では、前記信号プロセッサは、前記推定された内方向全伝達関数HTIの表現を、たとえば1秒あたり800から4000回、たとえば1秒あたり1200から3000回の範囲内、たとえば1秒あたり2000回などの、たとえばアクティブ・ノイズ・コントロール・サンプル速度またはアルゴリズム反復速度において、好ましくは繰り返し、再帰的に、または連続的に更新するように構成される。
当業者によって認識されるような内方向全伝達関数HTIを表現する適応アクティブ・ノイズ・コントロール・フィルタは、好ましくは、ノイズ特徴または伝達関数のスムーズであると共に頻繁な変更を追跡するように連続的に更新される。しかし、減衰式ベントを有さないヘッドホン・デバイスと比較して、アルゴリズムのステップ・サイズ、たとえばLMSアルゴリズムのステップ・サイズは、本発明の実施形態では、アルゴリズム反復速度を増大させることなく、または別の形で処理要求事項を増大させることなく低減され得る。
一実施形態では、前記信号プロセッサは、アルゴリズムのステップ・サイズ、たとえばLMSアルゴリズムのステップ・サイズにおいて、前記推定された内方向全伝達関数HTIの前記表現を更新するように構成される。
適応アクティブ・ノイズ・コントロール・フィルタは、好ましくは、ノイズ特徴および伝達関数の正確な追跡と高速の追跡との間に適切な妥協点を達成するように選択された所定の、ただし構成可能なステップ・サイズによって決定されたステップにおいて上記で説明されたように更新され、この場合、可聴アーティファクトは、できる限り低減されている。しかし、減衰式ベントを有さないヘッドホン・デバイスと比較して、アルゴリズムのステップ・サイズ、たとえばLMSアルゴリズムのステップ・サイズは、本発明の実施形態では、追跡時間または可聴アーティファクトを増大させることなく低減され得る。
一実施形態では、前記信号プロセッサは、アクティブ閉塞コントロール信号を提供するように構成され、前記ラウドスピーカは、前記外耳道内で前記アクティブ閉塞コントロール信号を再生するように構成される。
一実施形態では、前記アクティブ閉塞コントロール信号は、前記外耳道からの音を主に記録するように構成されたマイクロホン、たとえば前記外耳道からの音を主に記録するように構成された前記ノイズ・マイクロホンから記録された信号に基づく。
本発明の実施形態は、優先的には、閉塞効果を抑制するように構成されるが、完全に閉塞効果を排除しなくてよい。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、アクティブ閉塞コントロールを提供するように構成される。ここでは、マイクロホンが、典型的には、外耳道からの音、たとえば閉塞を記録することができ、この記録に基づき、プロセッサは、アクティブ閉塞コントロール信号を生成することができ、ラウドスピーカは、この信号を外耳道内で再生して閉塞効果をさらに抑制することができる。
アクティブ閉塞コントロールのための全体的な手順は、特にノイズ・マイクロホンが外耳道からの音を主に記録するように構成される場合、アクティブ・ノイズ・コントロールの手順と同様である。本発明のいくつかの実施形態では、アクティブ・ノイズ・コントロール信号は、アクティブ閉塞コントロール信号としても解釈され得る。
ノイズ・マイクロホンが外耳道からの音を主に記録するように構成される実施形態では、アクティブ・ノイズ・コントロールは、典型的には、非因果的アクティブ・ノイズ・コントロールであり得る。したがって、アクティブ閉塞コントロールは、典型的には、非因果的アクティブ・ノイズ・コントロールの一タイプであり得、それによって、これは将来的ノイズの予測に頼るため、より大きな予測可能度を必要とし得る。減衰式ベントを有する本発明の実施形態は、典型的には、減衰式ベントを有さないデバイスよりも良好な予測可能性によって特徴付けられるため、全内方向伝達関数は動的音響漏洩の影響を受けにくい。したがって、本発明の実施形態は、改善された非因果的アクティブ・ノイズ・コントロール、たとえば改善されたアクティブ閉塞コントロールを提供することもできる。
一実施形態では、前記共鳴の大きさは、100Hzから2kHzの前記範囲内の前記内方向ベント伝達関数HVIの任意の大きさである。
本発明の減衰式ベントは、好ましくは、大きさの発症源にかかわらず、100Hz~2kHz帯域の基準の大きさより3dBを上回る大きさを可能にしないように構成される。換言すれば、上記で言及された周波数範囲において非減衰式ベントに現れる大きさのピークは、これらが、共鳴現象によって直接的に引き起こされるか、間接的に引き起こされるか、または共鳴現象によって引き起こされないかに関わらず、本発明の範囲内である。好ましい実施形態では、減衰式ベントが提供され、この場合、内方向ベント伝達関数HVIは、実質的に平坦であり、すなわち基準の大きさにわたって、好ましくは20Hzから2kHzの全範囲であるが、少なくとも100Hzから2kHzにわたって3dBを上回るピークを有さない。伝達関数の基準の大きさは、典型的には、0dBである。いくつかの実施形態では、減衰要素は、たとえば2dBから10dB、たとえば2dBから6dBなど、たとえば3dBから4dBの範囲内の基準帯域の公称アテニュエーションを提供するようにさらに構成される。そのような実施形態では、減衰式ベントは、100Hzから2kHzの周波数範囲内の大きさが公称アテニュエーションより3dBを上回ることを可能にしないように構成される。
一実施形態では、前記共鳴の大きさは、800Hzにおける前記内方向ベント伝達関数HVIの大きさである。
800Hzにおいて、20Hzから100Hzの間の基準の大きさより3dBを上回らないように共鳴の大きさを低減するように共鳴の減衰を達成する減衰式ベントは、800Hzあたりの周波数範囲はヘッドホンおよびアクティブ・ノイズ・コントロール用途に特に関係があるため、極めて有利である。
一実施形態では、前記共鳴の大きさは、前記基準の大きさより最大で2dB、たとえば最大で1dBなど、たとえば最大で0dB大きい。
好ましい実施形態では、共鳴の大きさは、基準の大きさに対して可能な限り0dBに近づくように低減される。一実施形態では、減衰式ベントは、さらに過剰に減衰され得、すなわちピークを基準の大きさを下回ってさらに抑制する。
一実施形態では、前記基準の大きさは、20Hzから100Hz、たとえば20Hzから60Hzまたは60Hzから100Hzなどの範囲内の前記内方向ベント伝達関数HVIの平均の大きさに基づく。
内方向ベント伝達関数HVIの周波数応答は、典型的には、これらの周波数範囲内で実質的に平坦であり、平均の大きさは、典型的には0dBあたりである。いくつかの実施形態では、減衰要素は、たとえば2dBから10dB、たとえば2dBから6dBなど、たとえば3dBから4dBの範囲内の基準帯域の公称アテニュエーションを提供するようにさらに構成される。そのような実施形態では、減衰式ベントは、100Hzから2kHzの周波数範囲内の大きさが、公称アテニュエーションより3dB上回ることを可能にしないように構成される。
一実施形態では、前記減衰要素は、50Hzから500Hzの周波数帯域、たとえば500Hzにおいて、2dBから10dB、たとえば2dBから6dBなど、たとえば3dBから4dBの範囲内の公称アテニュエーションを提供するように構成される。
公称アテニュエーションは、好ましくは、たとえば3~4dBだけ基準の大きさを低下させる、広帯域のアテニュエーションである。そのような実施形態では、減衰式ベントは、好ましくは、音響共鳴の大きさを、公称アテニュエーションの基準の大きさより3dBを超えて上回らないように減衰させるように構成される。たとえば一実施形態では、減衰式ベントは、すべての可聴周波数を公称的には約3~4dBアテニュエートするが、そうでなければ基準を6dB上回っていたであろう共鳴ピークを少なくともさらに3dBだけさらにアテニュエートし、したがってたとえば、-3dBから-4dBの間の通過帯域内で全般的に平坦な応答を達成し、このとき共鳴ピークは、0dBを超えず、より好ましくは、臨界減衰状態までアテニュエートされている。
本発明の実施形態により、外耳道内の結果として生じた音圧レベル(SPL)は、スピーチ明瞭性を増大させるように最適化される。スピーチが非常に低音レベルで提示されたとき、重要なスピーチの手がかりが聞こえず、それによって音素を判別することが難しくなるため、理解することが困難である。このレベルが増大するにつれて、スピーチ認識は高まるが、いくらかの時点になると、レベルの増大と共に認識は低下し始める。この現象は、しばしば「ロールオーバ」効果と称される。カクテル・パーティのような状況では、全体的な環境SPLは、たいていロールオーバ点を上回っている。一実施形態によれば、音響的にアテニュエートする減衰式ベントは、公称アテニュエーションを適用し、それによって大声または騒がしい環境内でのスピーチ明瞭性を増大させる。
本発明の実施形態の有利な特徴は、低音のパッシブ処理であり、それによってローパス・カットオフ周波数を下回る周波数が、音響的にアテニュエートされる。多くの従来のノイズ抑制アルゴリズム(適応マイクロホン指向性パターンを含む)は、SNR内に大きなゲインを呈する。しかし、これらのアルゴリズムは、ユーザの注意を引く「異常」なまたは不自然な音を生み出しやすく、それによって認識されるべきスピーチに対する集中を低減し、さらにはこれをマスキングするため、これらのアルゴリズムは、しばしば、実際の試験ではより良好なスピーチ認識スコアを送出できない。これは、本実施形態の公称アテニュエーションを含むことによって回避される。
本発明の実施形態は、わずかな全体的または公称アテニュエーションを適用することで、騒がしい、または別の形で大きな音の環境内での長い滞在を容易にすることによって有利となり得る。たとえば、3dBの全体的アテニュエーションは、ノイズ露出を50%低減し、または代替的には、着用者が、このシステム無しの場合に耳が同じノイズ露出に晒されている状況より2倍長く滞在することを可能にすることができる。
大きな音への露出に対する保護をさらに増大させるために、実施形態は、外耳道に送出されるピークSPLを限定するための手段を含むことが有利となり得る。これは、減衰式ベント内で、たとえばベント内の狭いスロットによって音響的に行われ得る。
一実施形態では、20Hzから10kHzの範囲内の前記内方向ベント伝達関数HVIは、ローパス特徴を有することによって特徴付けられ、ローパス・カットオフ周波数から10kHzまでの前記内方向ベント伝達関数HVIのいずれの大きさも、前記基準の大きさより少なくとも3dB低い。
カットオフ周波数は、たいてい、大きさが、ここでは基準の大きさと称される通過帯域の大きさを3dB下回って降下する周波数として定義される。減衰式ベントを、環境から外耳道へのローパス特徴、すなわち内方向ベント伝達関数HVIを有して設計することで、上記で説明された減衰式ベントの特徴の帯域幅は、カットオフ周波数を下回る周波数に制限される。制限された減衰式ベント帯域幅の利点は、たとえば、カットオフ周波数を上回る周波数において、内部のラウドスピーカから外部のマイクロホンへのフィードバックがアテニュエートされることであり得る。この目的のために、カットオフ周波数は、有利には、最も優勢であるノイズ、すなわち低音周波数がベントを通って外耳道から逃げることを可能にすることと、それと同時に、改善されたスピーチ明瞭性およびフィードバックの低減のために重要なスピーチ周波数の退出をアテニュエートすることとの間の妥協点として選択され得る。別の利点は、アクティブ・ノイズ・コントロール・アルゴリズム帯域幅を減衰式ベントのローパス特徴と調和させることであり得、その理由は、好ましい実施形態におけるアクティブ・ノイズ・コントロール・アルゴリズムは最も効率的であり、または場合によってはより低い周波数、たとえば1kHzまでしか適用されないためである。
さらに、ノイズによって誘発される聴力損失を有するユーザにとって、これは、開放外耳道の共鳴によって3kHzあたりでしばしば最も顕著になる。したがって、3kHzあたりで耳に送られるパワーを制限するゲイン低減機構を含むことが、特に有利である。
さらに、以下で説明されるようなハイパス特徴を有する電気音響経路を実装する実施形態の場合、減衰式ベントのローパス特徴は、高周波数帯域の音響的マスキングを低減し、それによって電気音響経路によって達成可能なコントロールおよび可能なSNRの程度を改善する。一実施形態では、前記ローパス・カットオフ周波数および前記ハイパス・カットオフ周波数は、前記減衰式ベントと前記電気音響経路との間にクロスオーバ周波数を確立する。
さらに、電気音響経路が、任意の種類の指向性マイクロホン組立体、すなわち1つまたは複数の指向性マイクロホン、または指向性マイクロホンのように効果的に機能するような場所に装着されたマイクロホンを備えて実装される場合、そのような指向性は、スピーチ明瞭性のために特に重要である。減衰式ベント通過帯域の制限された帯域幅、たとえば最大で800Hzまたは1kHzを実装することにより、減衰式ベントを通って受け入れられる無指向性の音の量は低減され、それによってマイクロホンを通って受け取られる指向性の音のマスキングを最小限に抑える。これは、非常に有利であり得、その理由は、電気音響経路は、減衰式ベントによって受け取られた音響的に無指向性の音をアテニュエートすることはできないが、多かれ少なかれ、電気音響経路のゲインおよびフィルタの完全なコントロール下にあるためである。特に、指向性は、子音、すなわちスピーチ周波数スペクトルの高い方の端部、それによって好ましいカットオフ周波数を上回る子音の明瞭性に重要である。
一実施形態では、前記ローパス・カットオフ周波数は、400Hzから2000Hz、たとえば500Hzから1600Hz、600Hzから1200Hzなどの範囲内、たとえば800Hzなどである。
一実施形態では、前記デバイスは、環境音を主に記録するマイクロホン、たとえば前記ノイズ・マイクロホンと、可変ゲインと、前記ラウドスピーカとを備える電気音響経路をさらに備え、前記電気音響経路は、前記外部音響環境を前記外耳道に対して結合するように構成される。
環境から外耳道までの電気音響経路を用いることにより、環境音は、電子的に、たとえばデジタル的に処理され、外耳道内で再生され得る。一実施形態では、可変ゲインは、アナログ・フィルタであり、デジタル側チェーンが、アナログ・フィルタをコントロールするために実装されたゲイン・コントローラを有する。別の実施形態では、可変ゲインもまたデジタルである。処理は、異なる実施形態において異なる利点を有するさまざまな目的を有することができ、たとえば、特定の周波数帯域を増幅し、他をアテニュエートする、またはたとえばスピーチ明瞭性を改善するために、特定の音成分に焦点が当てられた外耳道内の音、たとえばスピーチを提供するために特定の音特徴をフィルタリングし、他をアテニュエートする。さらに、一実施形態によれば、電気音響経路はまた、負のゲインを適用してスピーチの明瞭性を増大させることもできる。電気音響経路はまた、ラウドスピーカおよびマイクロホン内で動きが限定される薄い膜を使用する、大きい音が検出されるときに電気的ゲインを低減する、および/またはラウドスピーカを介してアテニュエートされるべき音の位相逆転された複製を発することなどによって、ピークの限定をたとえば電気機械学的に実施することもできる。
一実施形態では、前記電気音響経路は、好ましくは400Hzから2000Hz、500Hzから1600Hz、600Hzから1200Hzの範囲内など、たとえば800Hzなどの前記ローパス・カットオフ周波数に基づいて、ハイパス・カットオフ周波数を有するハイパス特徴を有する内方向電気伝達関数HEIによって特徴付けられる。
電気音響経路のハイパス特徴は、好ましくは、カットオフ周波数から少なくとも5kHz、たとえば7kHzなどまで本質的に平坦である。一実施形態では、前記ローパス・カットオフ周波数および前記ハイパス・カットオフ周波数は、前記減衰式ベントと前記電気音響経路との間にクロスオーバ周波数を確立する。
両方のタイプの経路、すなわち音響減衰式ベントと電気音響経路とを有する実施形態は、電気音響経路の伝達関数および減衰式ベントの伝達関数の組み合わせによるハイブリッド伝達関数の確立を容易にする。組み合わせられた伝達関数の有利な効果は、システムのコントロール・アルゴリズムが、クロスオーバ周波数を上回る周波数のコントロールにのみ焦点を当てることができることである。
一実施形態では、前記電気音響経路は、前記ハイパス・カットオフ周波数を上回る周波数について、好ましくは3kHzにおいて-30dBから20dBの範囲内、たとえば3kHzにおいて-25dBから15dBの範囲内、3kHzにおいて-20dBからl0dBの範囲内などのハイパス・ゲインを適用するように構成される。
一実施形態では、前記音響共鳴を減衰させるように前記減衰式ベントを前記構成することは、前記減衰要素を用いることによって得られる。
換言すれば、好ましくは、減衰式ベントの減衰要素が、音響共鳴の減衰を引き起こして上記で説明されたような数dB以上基準の大きさを超えないように共鳴の大きさを低減する。
一実施形態では、前記1つまたは複数のベント要素は、前記1つまたは複数の減衰要素の1つまたは複数を備える。
本発明のいくつかの実施形態では、1つまたは複数の減衰要素のいずれも、1つまたは複数のベント要素内に構築され得る。
一実施形態では、前記1つまたは複数の減衰要素は、減衰布、減衰ネット、減衰発泡体および/または減衰スリットを備える。
減衰要素は、音響的流れにいくらかの程度対抗できる限り、任意の形態または材料を有することができる。減衰要素は、減衰要素が音響的流れに及ぼす対抗力を測定する音響インピーダンスによって特徴付けられ得る。したがって、減衰要素およびその音響インピーダンスは、電気回路内のレジスタおよびレジスタの抵抗に類似する。
一実施形態では、前記1つまたは複数の減衰要素は、音響インピーダンスによって特徴付けられ、前記音響インピーダンスは、20音響オームから500音響オーム、たとえば50音響オームから400音響オームなどの範囲内、たとえば180音響オームまたは200音響オームである。
音響オームは、CGS単位であり、すなわち1音響オーム=1ダイン・s/cmであり、この場合ダインは、CGS単位系における力の導出される単位である。
一実施形態では、前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスは、電池給電式であり、たとえば再充電可能な電池によって給電される。
一実施形態では、前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスは、たとえば音声信号インターフェースを通して外部音声信号を受け入れるように構成され、前記ラウドスピーカは、前記外部音声信号を再生するように構成される。
多くの実施形態では、ラウドスピーカによって音として発せられ得る外部音声信号をインイヤ式ヘッドホン・デバイスに対して提供されることを可能にすることが好ましくなり得る。外部音声信号は、電気音声信号を出力するように構成され、音声信号をインイヤ式ヘッドホン・デバイスに対して送出するための接続手段を備えた、音声源などの外部ユニットから提供され得る。接続手段の例は、ケーブル式接続などの有線接続、およびブルートゥース(登録商標)接続、たとえばブルートゥースA2DPもしくはブルートゥースaptX、またはWi-Fi(登録商標)接続などの無線接続である。
いくつかの実施形態では、外部音声信号は、ラウドスピーカによる再生前に処理され得る。
一実施形態では、前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスは、真の無線ヘッドホンとして構成される。
したがって、インイヤ式ヘッドホンには、音声源と接続するための、またはセットの2つのインイヤ式ヘッドホンを接続するためのケーブルは必要とされない。
一実施形態では、前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスは、マイクロホン、たとえば前記ノイズ・マイクロホンまたは前記補助マイクロホンによって記録された信号を送るように構成される。
本発明のいくつかの実施形態では、マイクロホンが音を記録し、次いでその音がたとえば電気通信目的で送られ得ることが、有利であり得る。この記録は、好ましくは、外部環境からの音を主に記録するように構成されたマイクロホンによって実行され得る。
本発明は、さらに、インイヤ式ヘッドホン・デバイス・セットであって、上記のいずれかによる第1のインイヤ式ヘッドホン・デバイスおよび第2のインイヤ式ヘッドホン・デバイスを備え、前記第1のインイヤ式ヘッドホン・デバイスは、ユーザの第1の外耳に嵌められるように構成され、前記第2のインイヤ式ヘッドホン・デバイスは、前記ユーザの第2の外耳に嵌められるように構成される、インイヤ式ヘッドホン・デバイス・セットに関する。
本発明の多くの実施形態は、2つのインイヤ式ヘッドホン・デバイスのセットを備える。これらは、たとえば、ユーザによって左および右の外耳それぞれに着用され得る。したがって、セットの2つのデバイスのハウジングは、典型的には、鏡像型であり得る。
これは、ユーザの両耳に対するノイズ・コントロールを確実にすることができる。さらに、これは、ユーザが所望の音声信号をステレオで聴くことを可能にする。
本発明の実施形態では、第1のインイヤ式ヘッドホン・デバイスおよび第2のインイヤ式ヘッドホン・デバイスは、異なる処理を有することができ、たとえば、デバイスの一方はマスタ・デバイスであってよく、他方のデバイスは、スレーブ・デバイスであり、マスタ・デバイスは、スレーブ・デバイスをコントロールし、通信ハブとしての役割を果たす。
本発明の実施形態では、2つのインイヤ式ヘッドホン・デバイスは、設定値を統合するために、または改善された指向性の音処理もしくはアクティブ・ノイズ・コントロールを提供するために、直接的または間接的に、たとえば共通のコントローラを介して互いに通信するように構成される。
本発明のさまざまな実施形態および利点が、以下において図を参照しながら説明される。
本発明の実施形態によるインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す図。 本発明による例示的な内方向ベント伝達関数を示す図。 マイクロホン・レイアウトを有する本発明の実施形態によるインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す図。 別のマイクロホン・レイアウトを有する本発明の実施形態による別のインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す図。 別のマイクロホン・レイアウトを有する本発明の実施形態による別のインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す図。 動的音響漏洩を有するインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す図。 本発明の実施形態による減衰式ベントのレイアウトを示す図。 本発明の実施形態による減衰式ベントの別のレイアウトを示す図。 本発明の実施形態による減衰式ベントの別のレイアウトを示す図。 本発明の実施形態による減衰式ベントの別のレイアウトを示す図。 本発明の実施形態による減衰式ベントの別のレイアウトを示す図。 本発明の実施形態による減衰式ベントの別のレイアウトを示す図。 本発明の実施形態による減衰式ベントの別のレイアウトを示す図。 本発明の実施形態による減衰式ベントの別のレイアウトを示す図。 本発明のいくつかの実施形態による音響インピーダンスの減衰要素を使用する効果を示す図。 本発明のいくつかの実施形態による音響インピーダンスの減衰要素を使用する効果を示す別の図。 本発明のいくつかの実施形態による音響インピーダンスの減衰要素を使用する効果を示す別の図。 本発明の好ましい実施形態による、動的音響漏洩に関連する減衰式ベントの1つの有利な効果を示す図。 本発明の好ましい実施形態による、動的音響漏洩に関連する減衰式ベントの1つの有利な効果を示す別の図。 内方向ノイズに関連付けて動的音響漏洩の影響下でシミュレートされたインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す図。 内方向ノイズに関連付けて動的音響漏洩の影響下でシミュレートされたインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す別の図。 内方向ノイズに関連付けて動的音響漏洩の影響下でシミュレートされたインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す別の図。 内方向ノイズに関連付けて動的音響漏洩の影響下でシミュレートされたインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す別の図。 内方向ノイズに関連付けて動的音響漏洩の影響下でシミュレートされたインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す別の図。 内方向ノイズに関連付けて動的音響漏洩の影響下でシミュレートされたインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す別の図。 内方向ノイズに関連付けて動的音響漏洩の影響下でシミュレートされたインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す別の図。 音声再生に関連付けて動的音響漏洩の影響下でシミュレートされたインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す図。 音声再生に関連付けて動的音響漏洩の影響下でシミュレートされたインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す別の図。 音声再生に関連付けて動的音響漏洩の影響下でシミュレートされたインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す別の図。 音声再生に関連付けて動的音響漏洩の影響下でシミュレートされたインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す別の図。 音声再生に関連付けて動的音響漏洩の影響下でシミュレートされたインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す別の図。 音声再生に関連付けて動的音響漏洩の影響下でシミュレートされたインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す別の図。 音声再生に関連付けて動的音響漏洩の影響下でシミュレートされたインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示す別の図。 異なるシナリオにおけるユーザ変動の影響を示す図。 異なるシナリオにおけるユーザ変動の影響を示す別の図。 異なるシナリオにおけるユーザ変動の影響を示す別の図。
図1は、本発明の実施形態によるインイヤ式ヘッドホン・デバイス101を示す。図1の図は、デバイスを着用するユーザの外耳道110に挿入されたときのインイヤ式ヘッドホン・デバイス101を示す。インイヤ式ヘッドホン・デバイス101は、好ましくは、ユーザの外耳111内に載置し、異なるユーザの外耳道110内に音響シーリングを提供するための可撓性のイヤー・チップ112が設けられる。
インイヤ式ヘッドホン・デバイス101は、外耳道110から外側に外部音響環境109と外耳道110を音響的に結合する減衰式ベント105を備える。理想的には、インイヤ式ヘッドホン・デバイス101は、ユーザの外耳道110をブロックする外側形状を有するが、小さい漏洩経路(図には示されず)が、可撓性のイヤー・チップ112と外耳道110との間のインターフェース面において自然に発生し得、これらの漏洩は、ユーザが動き回るとき、そしてたとえばユーザが話している、または噛んでいるときに動的に変化し得る。
この実施形態の減衰式ベント105は、好ましくは円形または半円形導管として形成されたベント要素106を備えるが、他のベント要素設計も考えられる。減衰式ベントの目的は、外部音響環境109と外耳道110との間で音響音、ただし低減された音圧レベル(SPL)において送ることを容易にすることである。減衰式ベント105の減衰特徴は、この実施形態では減衰式ベント105の一方の端部に位置する減衰布である減衰要素107によって提供される。本発明の別の実施形態では、減衰式ベント105の減衰特徴は、減衰式ベント105の両方の端部にある減衰布によって提供され、本発明のさらに他の実施形態では、減衰式ベント105の減衰特徴は、ベント要素106内のスリットまたは開口部によって提供される。
インイヤ式ヘッドホン・デバイス101は、外部音響環境109からの音響音を主に記録し、記録された音声信号RASを提供するように構成されたノイズ・マイクロホン102を備える。この実施形態の図では、ノイズ・マイクロホン102は、インイヤ式ヘッドホン・デバイス101の外部音響環境に面する端部に構成されることが示されているが、本発明の他の実施形態では、ノイズ・マイクロホン102は、インイヤ式ヘッドホン・デバイス101内のさらに奥に構成され、マイクロホン・ダクト(図には示されず)によって外部音響環境109に対して音響的に結合され得る。インイヤ式ヘッドホン・デバイス101は、記録された音声信号RASを受け取り、受け取られた、記録された音声信号RASに基づいてアクティブ・ノイズ・コントロール信号ANCSを提供するように構成された、信号プロセッサ103をさらに備える。インイヤ式ヘッドホン・デバイス101のラウドスピーカ104は、インイヤ式ヘッドホン・デバイス101のユーザの外耳道110内で、提供されたアクティブ・ノイズ・コントロール信号ANCSを再生するように構成される。この実施形態の図では、ラウドスピーカ104は、インイヤ式ヘッドホン・デバイス101内に含まれ、ラウドスピーカによって発せられた音響音は、ラウドスピーカ・ダクト108を介して外耳道110に送られることが示されている。しかし、ラウドスピーカ・ダクト108は、本発明の他の実施形態では省かれてよく、ラウドスピーカ104は、インイヤ式ヘッドホン・デバイス101の外耳道に面する端部のより近くに構成されてよい。本発明のさらに他の実施形態では、ラウドスピーカ・ダクト108および減衰式ベント105は、組み合わせられた音響ポートの2つの音響的に分割された副セクションとして形成され得る。
本発明によるインイヤ式ヘッドホン・デバイス101は、アクティブ・ノイズ・コントロール信号を再生するように構成されるため、したがって、アクティブ・ノイズ・コントロールまたはアクティブ・ノイズ・キャンセレーションと称される方法を実行することができる。外部音響環境109からの望まれない音が、ノイズ・マイクロホン102によって記録され、記録された音声信号RASに基づいて、信号プロセッサ104は、アクティブ・ノイズ・コントロール信号ANCSを提供し、このアクティブ・ノイズ・コントロール信号は、ラウドスピーカ104によって再生されたときに、相殺的干渉によってユーザの外耳道110内の望まれない音をキャンセルするように設計される。
図2は、例示的な内方向ベント伝達関数HVIを示す。内方向ベント伝達関数HVIは、外部環境から外耳道への伝達関数として理解され得、動的音響漏洩またはラウドスピーカからの影響は実質的に有さない。内方向ベント伝達関数の3つの表現が、曲線SI~S3として示される。本発明によれば、1つまたは複数の減衰要素は、内方向ベント伝達関数HVIの音響共鳴を減衰するように構成される。
図は、20Hzから100Hzの基準周波数範囲403を表示する。基準周波数範囲403に基づき、基準の大きさ400が、たとえば、この範囲内の内方向ベント伝達関数HVIの平均音圧レベルとして決定され得る。基準の大きさ400に基づき、共鳴の大きさの閾値401が決定され得、たとえば、基準の大きさの閾値401は、基準の大きさ400より3dB大きくてよい。
曲線S1は、実質的な減衰無しのベントを有するインイヤ式ヘッドホン・デバイスの内方向ベント伝達関数HVIであり得る。その結果、曲線S1は、共鳴の大きさの閾値401を超える共鳴の大きさ405を特徴とする。曲線S1によるデバイスは、本発明の利点を包含することはできず、特許請求の範囲によって開示されない。
曲線S2は、減衰式ベントを有するインイヤ式ヘッドホン・デバイスの内方向ベント伝達関数HVIであり得る。曲線S2は、本発明による共鳴の大きさの閾値401内に入る共鳴の大きさ405を特徴とする。
曲線S3は、減衰式ベントを有するインイヤ式ヘッドホン・デバイスの内方向ベント伝達関数HVIであり得る。曲線S3の共鳴の大きさ405は、基準の大きさ400とほぼ同一である。減衰式ベントの音響共鳴は、たとえば、ほぼ臨界的に減衰され得る。したがって、曲線S3の共鳴の大きさ405は、共鳴の大きさの閾値401内に入る。
図3a~3cは、異なるマイクロホン・レイアウトを有する、本発明の実施形態によるさまざまなインイヤ式ヘッドホン・デバイス101を示す。
図3aは、本発明の好ましい実施形態による、ここでもユーザの外耳道110に挿入されたときの図1のインイヤ式ヘッドホン・デバイス101を示す。使用するとき、インイヤ式ヘッドホン・デバイス101は、少なくともアクティブ・ノイズ・コントロール信号ANCSの再生を提供するように構成され、音響音波の形態のこの再生された信号は、外耳道110内で、たとえばインイヤ式ヘッドホン・デバイス101のユーザが飛行機、電車またはバスそれぞれによって通勤している場合の飛行機のエンジンまたは電車もしくはバスの車輪のランブル音などの、望まれない音源から発する音と組み合わさる。アクティブ・ノイズ・コントロール信号ANCSは、望まれない音をキャンセルする、たとえばこれに対して反作用するように設計されるため、ユーザの鼓膜201によって拾い上げられた組み合わせられた音は、音響的ヌル信号として効果的に知覚される。
ノイズ・マイクロホン102のこのレイアウトにより、ノイズ・マイクロホン102は、ユーザ周りの外部音響環境からの音を主に記録し、この音は、ユーザがヘッドホン・デバイスを通して知覚するときの望まれない音を間接的に表す。
図3bは、本発明の代替の実施形態を示し、ここでは、ノイズ・マイクロホン102は、インイヤ式ヘッドホン・デバイスを着用しているユーザの外耳道110内の音を記録し得るようにインイヤ式ヘッドホン・デバイス101内に構成される。ノイズ・マイクロホン102のこのレイアウトでは、ノイズ・マイクロホン102は、ユーザの外耳道内からの音を主に記録し、すなわちユーザが知覚しているときの望まれない音を幾分直接的に測定する。
図3cは、本発明のさらに別の代替の実施形態を示し、ここでは、ノイズ・マイクロホン102は、図3bの実施形態に示されるノイズ・マイクロホン102と同様の形で構成される。本発明のこの実施形態では、インイヤ式ヘッドホン・デバイス101は、補助マイクロホン202をさらに備え、この補助マイクロホンは、図3aに示される実施形態のノイズ・マイクロホン102と同様にインイヤ式ヘッドホン・デバイス101内に位置する。
図4は、デバイスを着用するユーザの外耳道110内に挿入された図3aの実施形態に示されるようなインイヤ式ヘッドホン・デバイス101と同様のインイヤ式ヘッドホン・デバイス101を示す。可撓性イヤー・チップ112(図には示されず)が、インイヤ式ヘッドホン・デバイス101とユーザの耳との間に完全なシールを形成することが理想であるが、実際には、そのような完全なシールを確立することができない場合があり、少量の漏洩が存在し得る。図は、インイヤ式ヘッドホン・デバイス101とユーザの耳との間に形成された音響漏洩203を示す。音響漏洩203は、ユーザの耳の形状およびインイヤ式ヘッドホン・デバイス101が外耳道110にどのように挿入されているかに応じて、任意のサイズおよび幾何学的形状をとり得る。さらに、追加の漏洩経路(図には示されず)も存在することができ、これらもまた、任意のサイズおよび幾何学的形状をとり得る。便宜上、インイヤ式ヘッドホン・デバイス101とユーザの耳との間のシーリングにおける漏洩部のいかなる構成も、漏洩経路203と称され、したがって、有効漏洩経路であり得る。音響漏洩203はまた、ユーザが動き回るとき、たとえばユーザが歩いているか、またはジョギングしているとき、そしてユーザが話しているときなどに自身の顎骨を動かすときにも、動的に、すなわち経時的に変化し得る。
動的に変化する音響漏洩203は、外部音響環境109からの望まれない音がユーザの外耳道110に入るための入口を提示する。図4を参照して理解され得るように、これまで示された実施形態のいずれかによるインイヤ式ヘッドホン・デバイス101もまた、ユーザの耳に挿入されたとき、たとえばインイヤ式ヘッドホン・デバイス101が不適切に嵌められることにより、音響漏洩203を呈し得る。
音響漏洩203に加えて、減衰式ベント105もまた、外部音響環境109からの望まれない音がユーザの外耳道110に入るための入口を提示する。しかし、音響漏洩203を通って入った外部音響環境109からの望まれない音は、減衰式ベント105を通って出ることができる。このようにして、減衰式ベントは、音が外部音響環境109から外耳道110に入ることができ、音響漏洩203を通過した音が減衰式ベント105を通って出て、外部音響環境109に戻ることができるという二重の目的を果たす。
図5a~hは、本発明の実施形態による減衰式ベント105のさまざまなレイアウトを示す。
図5aは、本発明の実施形態による減衰式ベント105の側面図を示す。減衰式ベント105は、円筒形の形態のベント要素106と、減衰布の形態の減衰要素107とを備える。ベント要素106はこの実施形態では円筒状要素として示されているが、他の幾何学的形状も考えられる。
減衰布の形態の減衰要素107は、ベント要素106の一方の端部に位置するように示されているが、これは、ベント要素106のいずれかの端部内に配置されてもよく、本発明の別の実施形態では、減衰式ベント105は、減衰式ベント105の両方の端部内に減衰要素107を備える。本実施形態の減衰要素107は、ベント要素106の開口部内に配置されるが、本発明の別の実施形態では、減衰要素107は、ベント要素106の開口部を覆うように配置され得る。
図5bは、本発明の実施形態による減衰式ベント105の側面図を示す。いくつかのベント要素106が、減衰布の形態の減衰要素107をさらに備える、分岐型の減衰式ベント105を形成する。本実施形態の減衰要素107は、ベント要素106の開口部内に配置されるが、本発明の別の実施形態では、減衰要素107は、ベント要素106の開口部を覆うように配置され得る。さらに、本発明の他の実施形態では、分岐型の減衰式ベントは、ベント要素106の開口部のすべてを覆う減衰要素107などの任意の数の減衰要素107を備えることができる。
図5c~5dは、本発明の実施形態による減衰式ベント105の2つの側面図を示す。図5cは、ラウドスピーカ・ダクト108を備えて構築された減衰式ベント105を示し、ラウドスピーカ・ダクトに対しては、ラウドスピーカ103が音響的に結合され得る。本発明のこの実施形態では、ラウドスピーカ・ダクト108および減衰式ベント105は、円筒状の音響チューブを成す、すなわち、これら2つのそれぞれは、半円筒状の幾何学的形状を有する。本発明の他の実施形態では、ラウドスピーカ・ダクト108および減衰式ベント105は、任意の幾何学的形状を有する、組み合わせられた音響チューブを成すことができる。図5cでは、平面cを表す点線c-cが示される。図5dでは、平面cからの実施形態の図が示されており、組み合わせられたラウドスピーカ・ダクト108および減衰式ベント105の長手方向の幾何学的形状を示している。
図5eは、インイヤ式ヘッドホン・デバイス101(図に示されず)が2つの別個の減衰式ベント105を備える本発明の実施形態を示す。各減衰式ベント105は、図5aの実施形態に関連して示される減衰式ベント101と同様である。同じようにして、図5e内の減衰式ベント105の構造は、ベント要素106と減衰要素107とを備える。この実施形態の減衰要素107は、ベント要素106の開口部内に存在する減衰布であるが、減衰要素の他の構造も考えられる。
図5fは、減衰式ベント105の減衰特徴が、スリットの形態をとる減衰要素107によって容易にされる本発明の実施形態を示す。別の実施形態では、減衰要素107は、たとえば、空気の流れを妨げるか、または空気の漏洩を容易にするために、ベント要素106内に組み込まれる。
図5gは、マイクロホン、たとえばノイズ・マイクロホン102が減衰式ベント105からの音を主に記録するように構成される、本発明の実施形態を示す。マイクロホンは、したがって、インイヤ式ヘッドホン・デバイス101内の減衰式ベント105のベント要素106に対して音響的に結合されるように考慮され得る。他の実施形態では、インイヤ式ヘッドホン・デバイス101は、いくつかのベント要素106を備え、マイクロホンおよび/またはラウドスピーカが、本発明の実施形態により、これらのベント要素106のいずれかに対して結合され得る。図5gに示される実施形態では、減衰式ベント105は、一方の側に単一の減衰要素107を有する。そのような実施形態では、マイクロホンは、したがって、減衰要素107およびマイクロホンの正確な配置に応じて、外部環境からの音を主に記録するか、または外耳道からの音を主に記録することができる。
図5hは、ラウドスピーカ・ダクト108および減衰式ベントが減衰要素107によって部分的に結合される本発明の実施形態を示す。減衰式ベント105はまた、ベント要素106の両端に減衰要素107をさらに備える。ラウドスピーカ・ダクト108および減衰式ベント105は、本発明の実施形態により、任意のタイプの仕切りを特徴とすることができる。ラウドスピーカ103は、たとえば、インイヤ式ヘッドホン・デバイス101内の減衰式ベント105に対して音響的に結合されてよく、インイヤ式ヘッドホン・デバイス101内の減衰式ベント105と音響的に結合解除されてよく(たとえば図5cを参照)、または図5hに示されるように、インイヤ式ヘッドホン・デバイス101内の減衰式ベント105と部分的に結合されてもよい。
本発明の上記で説明された実施形態では、減衰式ベント105のさまざまな構造が、実証される。しかし、本発明は、任意の特有の構造に制限されず、したがって、さまざまな他の実施形態が当業者に利用可能である。減衰式ベント構造は、上記で説明された実施形態の任意の組み合わせによって実現され得る。したがって、減衰式ベント構造は、1つまたは複数の減衰式ベント105を備えることができ、個別の減衰式ベントは、任意の数のベント要素106と減衰要素107とを備えることができ、マイクロホンおよび/またはラウドスピーカは、ベント要素に対して音響的に結合されてよく、または個別のダクトを有することができ、ベントおよびダクトは、任意の幾何学的形状を有することができる。
図6a~6cは、開放耳と比較した、本発明のいくつかの実施形態によるさまざまな音響インピーダンスの減衰要素を使用する効果を示す。提示されたデータは、当業者によって複製され得る図6aに示されるような等しい電子装置ダイアグラムを使用して、システムのシミュレーションを実行することによって得られた。
図6aに示されるシミュレーションは、本発明の典型的な実施形態に対応する。60dBの信号シミュレーション源300は、外部環境からのノイズに対応し、上部の耳シミュレーション・マイクロホン301は、耳で聞かれる音に対応する。このシミュレーションでは、音は、2つの異なる経路、すなわちベント・ダイアグラム経路302および漏洩ダイアグラム経路304を介して外耳道に入ることができる。ベント・ダイアグラム経路302は、ベント・ダイアグラム経路の第1の部分が2つのベント要素からなるように分けられ、これらのベント要素は、単一のベント要素に合流する。漏洩ダイアグラム経路304は、この特有のシミュレーションでは、動的音響漏洩が実質的に無いことに対応する、大きい音響インピーダンスを有する。
ベント・ダイアグラム経路302は、本発明による減衰要素に対応する、インピーダンスRvを備える。図6b~6cについて、このインピーダンスの値は、異なる音響インピーダンスの減衰要素を使用する効果をシミュレートするために変えられる。
図6bでは、シミュレートされた曲線S4は、開放耳に対応する信号を示す。この曲線は、約3kHzにおいて特徴的共鳴を有する。
シミュレートされた曲線S5~S9は、0音響オーム、45音響オーム、90音響オーム、180音響オーム、および360音響オームそれぞれの音響インピーダンスRvに対応し、ここでは、すべての提供された値は、CGS単位における音響オームである。シミュレーションから明白なように、共鳴は、音響インピーダンスが低いとき、約900Hzにおいて明確に存在する。しかし、音響インピーダンスが増大されるにつれて、共鳴は減衰され、十分な大きさの音響インピーダンスについては、共鳴ピーク特徴は見ることはできない。非常に大きい音響インピーダンスが選択される場合、共鳴だけではなく、広範囲の周波数が減衰される。したがって、このシミュレートされた実施形態では、好ましい音響インピーダンスは約180音響オームであり、その理由は、共鳴特徴は除去されているが、これ以外、所望のカットオフ周波数を下回る音は実質的に減衰されていないためである。
本発明の異なる実施形態の場合、減衰要素の好ましい音響インピーダンスは、変わり得る。音響インピーダンスは、たとえば、ベント要素の組成、ベント要素の断面積、ベント要素の長さ、およびデバイスが挿入されたときの外耳道の残りのボリュームによって決まり得る。減衰要素の主な目的は、典型的には、さらなる音を不必要に減衰することなくヘルムホルツ共鳴特徴を除去することであり、したがって、音響インピーダンスはそれに応じて選択されなければならない。
本発明のいくつかの実施形態は、いくつかの減衰要素を備えることもでき、好ましくは、これらの組み合わせられた効果は、デバイスが挿入されたとき、減衰要素無しでは発生するであろうヘルムホルツ共鳴を抑制することでなければならない。
図6bは、追加的に、減衰式ベントが、所望のカットオフを上回る周波数において耳内の音圧をどのように低下させ得るかを示す。開放耳と比較して、アテニュエーションは、開放外耳道共鳴の領域内で20dB以上に到達し得る。より高い周波数において、耳ごとに大きく変わり得る共鳴もまた、空洞への減衰式入口、ラウドスピーカの前部ボリュームなどの他の音響要素と組み合わせて減衰式ベントによってアテニュエートされることが可能である。図の例示的な図示では、約8kHzおよび約9kHzそれぞれにおける曲線S5~S9および曲線S4の2つの共鳴特徴のピーク値間の音圧レベルの大きさの相違は、9dBである。比較的高い周波数におけるこの減衰効果は、本発明のいくつかの実施形態では優先的であり得る。
図6cは、図6bと同じ曲線を示しているが、ここでは曲線は、開放耳S4に関連するシミュレーション曲線に対して示される。図6cに示される曲線は、したがって、パッシブ挿入ゲインとして、すなわち動作していないデバイスが着用されたときにユーザによって経験されるゲインの変化として解釈され得る。シミュレーション・データは、簡単にするために約6.5kHzにおいて切り取られていることに留意されたい。この周波数領域における挿入ゲイン・データは、図6bに示される8kHz~9kHzにおける共鳴特徴によって視覚的に影響されるが、これらの特徴の詳細な変動は、共通信号を有する正常状態下では音の全体的知覚に大きく影響しない。
図7a~7bは、本発明の好ましい実施形態による、減衰式ベント105の1つの有利な効果を示す。提示されるデータは、当業者によって複製され得る図7aに示されるような等しい電子装置ダイアグラムを使用して、システムのシミュレーションを実行することによって得られた。
図7aの上部に示されるシミュレーションは、減衰式ベントを有する本発明の典型的な実施形態に対応し、その一方で底部は、減衰式ベントを有さないインイヤ式ヘッドホン・デバイスに対応する。60dB SPL信号シミュレーション源300は、外部環境から耳甲介への入口におけるノイズに対応し、耳シミュレーション・マイクロホン301は、2つのシミュレートされるデバイスの耳内で聞かれる音に対応する。本発明の典型的な実施形態のシミュレーションでは、信号は、3つの異なる経路、すなわちベント・ダイアグラム経路302、電気音響ダイアグラム経路303、および漏洩ダイアグラム経路304を介して外耳道に入ることができる。しかし、図7a~bに示されるシミュレーションでは、信号シミュレーション源300は、漏洩ダイアグラム経路304を介して耳シミュレーション・マイクロホン301に接続されるだけである。したがって、このシミュレーションは、動的音響漏洩によって耳に入る音に関連する。漏洩ダイアグラム経路304を通って入った信号は、ベント・ダイアグラム経路302を通って出ることができ、耳シミュレーション・マイクロホン301によって記録される信号は、したがって低下する。
図7aの両方のシミュレートされるデバイスの漏洩ダイアグラム経路304の両方は、動的音響漏洩の直径に対応する、漏洩直径Dlk/DLKを有するダイアグラム要素を備える。各図では、この漏洩直径は、耳シミュレーション・マイクロホン301に到達する信号に動的音響漏洩が及ぼし得る影響を表示するために変えられる。
図7bは、耳シミュレーション・マイクロホンに到達する信号を示し、ここでは、曲線S16~S20は、減衰式ベントを有する、シミュレートされたインイヤ式ヘッドホン・デバイスに対応し、曲線S21~S25は、減衰式ベントを有さない、シミュレートされたデバイスに対応する。曲線S16~S20およびS21~S25は、0.035cm、0.05cm、0.07cm、0.08cm、および0.1cmそれぞれの直径を有する円形断面に等しい組み合わせられた断面積を有する漏洩に対応する。
シミュレートされた曲線S21~S25について、耳シミュレーション・マイクロホン301の領域に入ったいかなる信号も、耳シミュレーション・マイクロホン301に留まる傾向があり、したがって大きい信号が記録されることになる。これとは対照的に、シミュレートされた曲線S16~S25について、耳シミュレーション・マイクロホン301によって記録された音圧レベルは、耳シミュレーション・マイクロホン301の領域内の信号がベント・ダイアグラム経路302を通ってこの領域を離れ得るため、著しく低くなる。たとえば、0.05cmの漏洩直径について、200Hzにおける漏洩が寄与する音圧レベルの相違は、曲線S17およびS22によって表示されるようなシミュレートされたデバイス間で約12dBである。
図7a~bに示されるようなシミュレーションおよびその結果は、本発明の実施形態が、減衰式ベントを通って音が出ることを可能にすることによって外耳道内の動的音響漏洩の影響を低減し得るという証拠の役割を果たす。
図8a~gは、動的音響漏洩の影響下でシミュレートされたさまざまなインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示し、デバイスは、ベントを有さない、開放した非減衰式ベントを有する、または減衰式ベントを有する。
提示されたデータは、当業者によって複製され得る図8aに示されるような等しい電子装置ダイアグラムを使用して、システムのシミュレーションを実行することによって得られた。
図8aに示されるシミュレーション・ダイアグラムは、インイヤ式ヘッドホン・デバイスに対応する。60dB SPLの一定圧力の信号シミュレーション源300は、外部環境から耳甲介の入口におけるノイズに対応し、耳シミュレーション・マイクロホン301は、耳内で聞かれる音に対応する。信号は、3つの異なる経路、すなわちベント・ダイアグラム経路302、電気音響ダイアグラム経路303、および漏洩ダイアグラム経路304を介して耳シミュレーション・マイクロホン301に到達することができる。しかし、図8a~gに関連するシミュレーションでは、電気音響ダイアグラム経路303は、信号を運ばない。
ベント・ダイアグラム経路302は、ベント・ダイアグラム経路の第1の部分が2つのベント要素からなるように分けられ、これらのベント要素は、単一のベント要素に合流し、ここにインピーダンスRvが位置する。さまざまな図8b~8c、図8d~8e、および図8f~8gについて、インピーダンスの値は、ベントを有さないデバイス(大きいインピーダンス)、開放した非減衰式ベントを有するデバイス(小さいインピーダンス)、減衰式ベント(中間のインピーダンス)それぞれをシミュレートするために変えられる。
漏洩ダイアグラム経路304は、動的音響漏洩の等しい直径に対応する漏洩直径Dlk/DLKを有する。各図では、この漏洩直径は、耳シミュレーション・マイクロホン301に到達する信号に動的音響漏洩が及ぼし得る影響を表示するために変えられる。
図8b~8cは、ベントを有さない、すなわちRv=CGS単位における1メガオーム(音響)のデバイスについての耳シミュレーション・マイクロホン301に到達する信号を示し、ここで図8bは、伝達された信号の音圧レベルの大きさを示し、図8cは、伝達された信号の位相を示す。両方のこれらのエンティティは、アクティブ・ノイズ・コントロールに関連する。曲線S26~S28およびS29~S31は、0.05cm、0.07cm、および0.1cmそれぞれの漏洩直径に対応する。
図8bは、動的漏洩が信号の大きさに、たとえば内方向全伝達関数HTIの大きさにどのように影響を与え得るかを明確に示す。特に、400Hz以上の範囲では、音圧レベルの相違は、10dBから15dBである。
さらに、図8cは、動的漏洩が追加的に、特に100Hzから700Hzの範囲内で信号位相にどのように影響を与え得るかを示す。
したがって、これらのシミュレーションは、ベントを有さないインイヤ式ヘッドホン・デバイスに対して動的音響漏洩が与え得る非常に大きな効果を示す。
図8d~8eは、開放した非減衰式ベント、すなわちRv=0のデバイスについての耳シミュレーション・マイクロホン301に到達する信号を示し、ここで図8dは、伝達された信号の音圧レベルの大きさを示し、図8eは、伝達された信号の位相を示す。両方のこれらのエンティティは、アクティブ・ノイズ・コントロールに関連する。曲線S32~S35およびS36~S39は、0cm、0.05cm、0.07cm、および0.1cmそれぞれの漏洩直径に対応する。
図8dは、開放ベントを有するインイヤ式ヘッドホン・デバイスがヘルムホルツ共鳴の存在からどのように悪影響を受けるかを示す。動的音響漏洩の追加により、この共鳴の場所は異なる周波数にシフトし得、これは、アクティブ・ノイズ・コントロールを提供するように構成されたデバイスを連続的に取り扱うために問題となる可能性がある。
図8eは、非減衰式ベントを有するデバイスにおける信号位相、および動的音響漏洩が信号位相にどのように影響を与えるかを示す。500Hzを下回ると、動的音響漏洩にかかわらず位相は比較的良好に挙動される。しかし、下から1kHzに近づいていくと、位相は急な下方向傾向を有する。一般に、この急な遷移は、アクティブ・ノイズ・コントロール目的には不利である。動的音響漏洩はこの急な遷移を周辺にシフトさせ得、これはさらに、この位相挙動を問題化する。
したがって、これらのシミュレーションは、非減衰式ベントを有するデバイスが、最適なアクティブ・ノイズ・コントロールを提供する上でどのような深刻な問題を有し得るかを示す。
図8f~8gは、減衰式ベントを有する、すなわちRv=CGS単位における180音響オームのデバイスについての耳シミュレーション・マイクロホン301に到達する信号を示し、ここで図8fは、伝達された信号の音圧レベルの大きさを示し、図8gは、伝達された信号の位相を示す。両方のこれらのエンティティは、アクティブ・ノイズ・コントロールに関連する。曲線S40~S43およびS44~S47は、0cm、0.05cm、0.07cm、および0.1cmそれぞれの漏洩直径に対応する。
図8fは、動的漏洩が信号の大きさにどのように影響を与え得るかを示す。ベントを有さないデバイスについてのシミュレーション(図8b~8c)との比較では、漏洩の影響は、極めて小さい。たとえば、1kHzでは、0.05cmおよび0.1cmの漏洩直径間の音圧レベルの相違は、減衰式ベント有りでは約3dBであり、その一方でこの相違は、ベント無しでは約15dBである。非減衰式ベントを有するシミュレーション(図8d~8e)との比較では、減衰式ベント有りのシミュレーションは、ヘルムホルツ共鳴を表示しない。漏洩が大きくなると、共鳴様の特徴が生じるが、この特徴は、漏洩サイズが変更されるにつれて周波数をシフトさせる図8dに示されるヘルムホルツ共鳴よりも良好に挙動される。
図8gは、減衰式ベントを有するデバイスにおける信号位相、および動的音響漏洩がこの信号位相にどのように影響を与えるかを示す。アクティブ・ノイズ・コントロールに関連する全範囲、すなわち最大約1kHzまでの周波数にわたって、位相は、シミュレートされた動的音響漏洩のいずれに対しても良好に挙動される。
したがって、図8a~8gのシミュレーションは、動的音響漏洩の文脈で、減衰式ベントを有するインイヤ式ヘッドホン・デバイスが、ベントを有さないデバイスおよび非減衰式ベントを有するデバイスと比較して、アクティブ・ノイズ・コントロール目的について優れているという証拠である。特に、動的音響漏洩が内方向全伝達関数HTIの大きさに影響を与えることによる変動が、低減され得、動的音響漏洩が内方向全伝達関数HTIの位相に影響を与えることによる歪みが、低減され得ることが、示されている。これらの改善は、外耳道によって確立されたヘルムホルツ共鳴のコントロールおよび減衰、ならびに環境への音響経路によって得られ得る。
図9a~gは、動的音響漏洩の影響下でシミュレートされたさまざまなインイヤ式ヘッドホン・デバイスを示し、デバイスは、ベントを有さない、開放した非減衰式のベントを有する、または減衰式ベントを有する。特に、電気音響ダイアグラム経路は、信号を生成する、シミュレートされるラウドスピーカを備え、信号は、耳シミュレーション・マイクロホン301に対して送られる。
提示されたデータは、当業者によって複製され得る図9aに示されるような等しい電子装置ダイアグラムを使用して、システムのシミュレーションを実行することによって得られた。
図9aに示されるシミュレーション・ダイアグラムは、インイヤ式ヘッドホン・デバイスに対応する。図示の目的で、一定ボリューム速度源および前部ボリュームからなる簡単なラウドスピーカ・モデルが、確立される。シミュレートされるラウドスピーカは、ダイアグラム経路303を通して外耳道に対して信号を送出する。一定ボリューム速度源の振幅は、耳シミュレーション・マイクロホン内で低周波数において約60dB SPLの信号を生み出すように調整される。耳シミュレーション・マイクロホン301におけるこの信号の挙動は、アクティブ・ノイズ・コントロールおよび所望の音声信号の再生に関連性がある。信号は、典型的には、耳シミュレーション・マイクロホン301に部分的に到達し、ベント・ダイアグラム経路302および漏洩ダイアグラム経路304を通って、シミュレートされる外耳道領域を部分的に出ることができる。
ベント・ダイアグラム経路302は、ベント・ダイアグラム経路の第1の部分が2つのベント要素からなるように分けられ、これらのベント要素は、単一のベント要素に合流し、ここにインピーダンスRvが位置する。さまざまな図9b~9c、図9d~9e、および図9f~9gについて、インピーダンスの値は、ベントを有さないデバイス(大きいインピーダンス)、開放した非減衰式ベントを有するデバイス(小さいインピーダンス)、減衰式ベント(中間のインピーダンス)それぞれをシミュレートするために変えられる。
漏洩ダイアグラム経路304は、動的音響漏洩の断面に対応する、漏洩直径Dlk/DLKを有する。各図では、この漏洩直径は、耳シミュレーション・マイクロホン301に到達する信号に動的音響漏洩が及ぼし得る影響を表示するために変えられる。
図9b~9cは、ベントを有さない、すなわちRv=CGS単位における1メガオーム(音響)のデバイスについての耳シミュレーション・マイクロホン301に到達する信号を示し、ここで図9bは、信号の音圧レベルの大きさを示し、図9cは、動的音響漏洩を有さない基準信号に対する信号の音圧レベルの大きさを示す。曲線S48~S53およびS54~S59は、0cm、0.03cm、0.05cm、0.07cm、0.08cm、および0.1cmそれぞれの漏洩直径に対応する。
図9b~9cは、ベントを有さないインイヤ式デバイスにおいてラウドスピーカから耳に到達する信号の大きさに動的漏洩がどのような影響を与え得るかを、ラウドスピーカから鼓膜への伝達関数に関連して、また外方向全伝達関数HTOに関連して明確に示す。特に、低周波数では、漏洩の影響は、たとえば150Hzにおいて非常に大きく、示される曲線間の音圧レベルの相違は、25dBを上回る。さらに、音圧レベルのこの相違は、1kHzを上回るまで著しい。
したがって、これらのシミュレーションは、ベントを有さないインイヤ式ヘッドホン・デバイスについて動的音響漏洩が有し得る多大な影響を示す。
図9d~9eは、開放した非減衰式ベント、すなわちRv=0のデバイスについての耳シミュレーション・マイクロホン301に到達する信号を示し、ここで図9bは、信号の音圧レベルの大きさを示し、図9cは、動的音響漏洩を有さない基準信号に対する信号の音圧レベルの大きさを示す。曲線S60~S64およびS65~S69は、0cm、0.03cm、0.05cm、0.07cm、および0.1cmそれぞれの漏洩直径に対応する。
図9dは、開放した非減衰式ベントを有するインイヤ式ヘッドホン・デバイスが音の広範囲に及ぶ損失からどのように悪影響を受けるかを、外方向音経路のインピーダンスに関連して明確に示す。特に、低音周波数レジームでは、耳シミュレーション・マイクロホン301によって記録された信号は、シミュレートされるラウドスピーカから発せられた60dBの信号より20dB~30dB低い。
これらのシミュレーションは、したがって、非減衰式ベントを有するデバイスが、音声再生について不向きであることを示す。
図9f~9gは、減衰式ベントを有する、すなわちRv=CGS単位における180音響オームのデバイスについての耳シミュレーション・マイクロホン301に到達する信号を示し、ここで図9fは、信号の音圧レベルの大きさを示し、図9gは、動的音響漏洩を有さない基準信号に対する信号の音圧レベルの大きさを示す。曲線S70~S75およびS76~S80は、0cm、0.03cm、0.05cm、0.07cm、0.08cm、および0.1cmそれぞれの漏洩直径に対応する。
図9f~9gのシミュレーション曲線は、図9b~9cと比較して、シミュレートされた異なる漏洩直径の曲線間での大きさの相違が大きく低減されることを示す。さらに、図9dと図9fとの間の比較は、減衰式ベントを有するデバイスが、低音周波数レジームにおいて音の広範囲に及ぶ損失が無いことを示している。
したがって、図9a~9gのシミュレーションは、動的音響漏洩の文脈で、減衰式ベントを有するインイヤ式ヘッドホン・デバイスが、ベントを有さないデバイスおよび非減衰式ベントを有するデバイスと比較して、アクティブ・ノイズ・コントロール目的および音再生について優れているという証拠である。減衰式ベントを有するインイヤ式ヘッドホン・デバイスは、外方向全伝達関数HTOの低い大きさと、特に低周波数における、動的音響漏洩による外方向全伝達関数HTOの変動との間に有利なバランスを提供することができる。したがって、ラウドスピーカ・フィードバックおよびアクティブ・ノイズ・コントロールに影響する外方向全伝達関数HTOに対する動的音響漏洩の影響による歪みが、低減され得、それと同時にベントを介して音が出ることによる、鼓膜におけるラウドスピーカからの音圧の低減を限定することが、示されている。
図10a~10cは、異なるシナリオ、すなわち開放耳、開放ベントを有するカナル型デバイス、および減衰式ベントを有するインイヤ式ヘッドホン・デバイスにおける、ユーザ間の異なる外耳道サイズおよび異なる挿入位置などのユーザ変動の影響を示す。
図10aに示されるシミュレーション・ダイアグラムは、(上部から底部にかけて)、減衰式ベントを有するインイヤ式ヘッドホン・デバイス、カナル型デバイス、開放耳、および基準の開放耳に対応する。60dB信号シミュレーション源300は、外部環境からのノイズに対応し、さまざまな耳シミュレーション・マイクロホン301は、異なるシナリオにおいて耳内で聞かれる音に対応する。
耳シミュレーション・マイクロホン301の前に、ダイグラム要素が位置し、外耳道をシミュレートする。このシミュレーションでは、シミュレートされる外耳道は、外耳道の一部のサイズに対応するパラメータvLcnl/CLCNLによって決まり、このパラメータは、ユーザ変動の影響を調査するために変えられる。外耳道をシミュレートする基準の開放耳ダイアグラム経路307後のダイアグラム要素は、変えられず、対応する耳シミュレーション・マイクロホンによって記録されたシミュレートされた信号が、基準として使用される。
図10bは、さまざまな耳シミュレーション・マイクロホンに到達する信号を示し、ここで曲線S81~S83は、減衰式ベントを有する、シミュレートされたインイヤ式ヘッドホン・デバイスに対応し、曲線S84~S86は、シミュレートされたカナル型デバイスに対応し、曲線S87~S89は、開放耳に対応する。外耳道の一部のシミュレートされたサイズは、各シナリオ内で-0.2cm、0cm、および0.2cmである。
全般的に、6kHz~7kHzを上回ると、すべての曲線は、急な共鳴特徴によって支配される。これらの特徴は、これらの周波数における耳の典型である。インイヤ式ヘッドホン・デバイスを挿入すると、これらの特徴は変化し得るが、共鳴挙動は、典型的には、何らかの形態で持続する。
追加的に、開放耳曲線S87~S89はすべて、約3kHzにおいて耳のよく知られている自然共鳴を表示し、カナル型曲線S84~S86は、約1kHzにおいてヘルムホルツ共鳴を表示する。これとは対照的に、減衰式ベント曲線S81~S83は、6kHz~7kHzを下回ると共鳴特徴を示さない。
アクティブ・ノイズ・コントロールは、典型的には、最大1kHzまでの周波数において実施される。この範囲では、ユーザ変動によって影響が与えられるのは主にカナル型曲線S84~S86である。これとは対照的に、減衰式ベント曲線S81~S83は、最小限しか影響を受けない。
図10cは、図10bと同じ曲線を示すが、ここでは基準の開放耳ダイアグラム経路307によって得られた曲線に対して示される。したがって、図10cに示される曲線は、パッシブ挿入ゲインとして、すなわち動作していないデバイスが着用されたときにユーザによって経験されるゲインの変化として解釈され得る。
図10a~10cのシミュレーションは、ユーザ変動の文脈において、減衰式ベントを有するインイヤ式ヘッドホン・デバイスが、開放ベントを有するカナル型デバイスと比較して改良品であるという証拠である。特に、シミュレーションは、本発明の実施形態により、ユーザ変動が内方向全伝達関数HTIの大きさに影響を与えることによる歪みが、低減され得ることを示している。
101 インイヤ式ヘッドホン・デバイス
102 ノイズ・マイクロホン
103 信号プロセッサ
104 ラウドスピーカ
105 減衰式ベント
106 ベント要素
107 減衰要素
108 ラウドスピーカ・ダクト
109 外部音響環境
110 外耳道
111 耳介(外耳)
112 可撓性イヤー・チップ
201 鼓膜(鼓膜)
202 補助マイクロホン
203 音響漏洩
300 信号シミュレーション源
301 耳シミュレーション・マイクロホン
302 ベント・ダイアグラム経路
303 電気音響ダイアグラム経路
304 漏洩ダイアグラム経路
305 開放耳ダイアグラム経路
306 カナル型ダイアグラム経路
307 基準の開放耳ダイアグラム経路
400 基準の大きさ
401 共鳴の大きさの閾値
402 大きさの閾値の距離
403 基準周波数範囲
404 共鳴周波数範囲
405 共鳴の大きさ
S1~S97 シミュレーション信号曲線
RAS 記録された音声信号
ANCS アクティブ・ノイズ・コントロール信号
VI,Hvo 内方向ベント伝達関数、外方向ベント伝達関数
LI,HLO 内方向漏洩伝達関数、外方向漏洩伝達関数
TI,HTO 内方向全伝達関数、外方向全伝達関数
EI 内方向電気音響伝達関数

Claims (45)

  1. 人の外耳道内に挿入するためのインイヤ式ヘッドホン・デバイスであって、
    ノイズ・マイクロホンと、ラウドスピーカと、前記ノイズ・マイクロホンからの記録された音声信号に基づいてアクティブ・ノイズ・コントロール信号を提供するように構成された信号プロセッサとを備え、前記ラウドスピーカは、前記外耳道内で前記アクティブ・ノイズ・コントロール信号を再生するように構成され、前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスは、
    1つまたは複数のベント要素と1つまたは複数の減衰要素とを備える減衰式ベントであって、前記外耳道を外部音響環境に対して結合するように構成される、減衰式ベントを備え、
    前記減衰式ベントは、前記外部音響環境から前記外耳道への内方向ベント伝達関数HVIによって特徴付けられ、
    前記減衰式ベントは、100Hzから2kHzの共鳴周波数範囲内の前記減衰式ベントの前記内方向ベント伝達関数HVIの共鳴の大きさが、20Hzから100Hzの基準周波数範囲内の前記内方向ベント伝達関数HVIの基準の大きさより最大でも3dB大きくなる程度に、前記1つまたは複数のベント要素の音響共鳴を減衰させるように構成される、インイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  2. 前記内方向ベント伝達関数HVIおよび前記音響共鳴が、前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスが前記人の外耳道に挿入されたときの前記減衰式ベントの特性である、請求項1に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  3. 前記ラウドスピーカおよび前記減衰式ベントが、前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスの内側で音響的に分離される、請求項1または2に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  4. 前記ラウドスピーカおよび前記減衰式ベントが、前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスの内側で減衰要素によって音響的に分離される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  5. 前記ラウドスピーカおよび前記減衰式ベントが、個別のダクトによって前記外耳道に対して結合される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  6. 前記減衰式ベントが、1.5mmから3.5mm、たとえば2.0mmから3.0mmなどの範囲内、たとえば2.3mmまたは2.5mmの直径を有する円筒形に等しい断面積を有して構成される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  7. 前記減衰式ベントが、2.5mmから10mm、たとえば3.5mmから9mm、4.5mmから8mmなどの範囲内、たとえば5mmまたは7mmの長さを有する円筒形に等しい長さを有して構成される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  8. 前記ベントが、前記減衰式ベントの前記断面積および前記長さに基づく音響質量によって特徴付けられることが可能であり、前記音響質量および前記外耳道の典型的な有効ボリュームの組み合わせが、500Hzから2000Hz、たとえば650Hzから1600Hz、700Hzから1200Hzなどの範囲内から選択されるベント・カットオフ周波数、たとえば800Hz、900Hz、または1000Hzによって特徴付けられることが可能である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  9. 前記ノイズ・マイクロホンが、前記外部音響環境からの音を主に記録するように構成される、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  10. 前記ノイズ・マイクロホンが、前記外耳道からの音を主に記録するように構成される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  11. 前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスが、補助マイクロホンを備える、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  12. 前記外耳道からの音を主に記録するように構成されたマイクロホンが、個別のマイクロホン・ダクトを介して前記外耳道に対して結合される、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  13. マイクロホンが、前記減衰式ベントを介して前記外耳道に対して音響的に結合される、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  14. 前記信号プロセッサが、推定された内方向全伝達関数HTIに基づいて前記アクティブ・ノイズ・コントロール信号を提供する、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  15. 前記推定された内方向全伝達関数HTIが、前記内方向ベント伝達関数HVIの推定に基づく、請求項1乃至14のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  16. 前記推定された内方向全伝達関数HTIが、前記外部音響環境および前記外耳道それぞれの音の記録の相違に基づく、請求項1乃至15のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  17. 前記推定された内方向全伝達関数HTIが、推定された外方向全伝達関数HTOに基づく、請求項1乃至16のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  18. 前記推定された外方向全伝達関数HTOが、前記ラウドスピーカによって再生された音と前記ノイズ・マイクロホンによって記録された音の相違に基づく、請求項1乃至17のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  19. 前記信号プロセッサが、前記アクティブ・ノイズ・コントロール信号を提供するためにアクティブ・ノイズ・コントロール・アルゴリズムを有して構成され、前記アクティブ・ノイズ・コントロール・アルゴリズムは、たとえば、フィルタードxLMSまたは方向検索LMSなどのLMSアルゴリズム型であり、ステップ・サイズによって特徴付けられる、請求項1乃至18のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  20. 前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスが、クロスオーバ周波数、声抽出機能、または、アクティブ・ノイズ・コントロールを行うことが望まれる音と、影響されずにもしくはエンハンスもして聞かれることが望まれる音との間の他の分離手段を有して構成される、請求項1乃至19のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  21. 前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスが、前記アクティブ・ノイズ・コントロール信号をオンまたはオフに切り替えるとともに、周波数範囲またはコントロールされるノイズのモードを調整するためのオプションを有して構成される、請求項1乃至20のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  22. 前記推定された内方向全伝達関数HTIが、内方向漏洩伝達関数HLIを有する時変の内方向伝達関数成分と、前記内方向ベント伝達関数HVIを有する静的内方向伝達関数成分とを有する、請求項1乃至21のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  23. 前記信号プロセッサが、前記推定された内方向全伝達関数HTIの表現を、たとえば1秒あたり800から4000回、たとえば1秒あたり1200から3000回の範囲内、たとえば1秒あたり2000回などの、たとえばアクティブ・ノイズ・コントロール・サンプル速度またはアルゴリズム反復速度において、好ましくは繰り返し、再帰的に、または連続的に更新するように構成される、請求項1乃至22のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  24. 前記信号プロセッサが、アルゴリズムのステップ・サイズ、たとえばLMSアルゴリズムのステップ・サイズにおいて、前記推定された内方向全伝達関数HTIの前記表現を更新するように構成される、請求項1乃至23のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  25. 前記信号プロセッサが、アクティブ閉塞コントロール信号を提供するように構成され、前記ラウドスピーカが、前記外耳道内で前記アクティブ閉塞コントロール信号を再生するように構成される、請求項1乃至24のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  26. 前記アクティブ閉塞コントロール信号が、前記外耳道からの音を主に記録するように構成されたマイクロホン、たとえば前記外耳道からの音を主に記録するように構成された前記ノイズ・マイクロホンから記録された信号に基づく、請求項1乃至25のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  27. 前記共鳴の大きさが、100Hzから2kHzの前記範囲内の前記内方向ベント伝達関数HVIの大きさである、請求項1乃至26のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  28. 前記共鳴の大きさが、800Hzにおける前記内方向ベント伝達関数HVIの大きさである、請求項1乃至27のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  29. 前記共鳴の大きさが、前記基準の大きさより最大でも2dB大きい、たとえば最大でも1dB大きいなど、たとえば最大でも0dB大きい、請求項1乃至28のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  30. 前記基準の大きさが、20Hzから100Hz、たとえば20Hzから60Hzまたは60Hzから100Hzなどの範囲内の前記内方向ベント伝達関数HVIの平均の大きさに基づく、請求項1乃至29のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  31. 前記減衰要素が、50Hzから500Hzの周波数帯域内、たとえば500Hzにおいて、2dBから10dB、たとえば2dBから6dBなど、たとえば3dBから4dBの範囲内の公称アテニュエーションを提供するように構成される、請求項1乃至30のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  32. 20Hzから10kHzの範囲内の前記内方向ベント伝達関数HVIが、ローパス特徴を有することによって特徴付けられ、ローパス・カットオフ周波数から10kHzまでの前記内方向ベント伝達関数HVIのいずれの大きさも、前記基準の大きさより少なくとも3dB低い、請求項1乃至31のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  33. 前記ローパス・カットオフ周波数が、400Hzから2000Hz、たとえば500Hzから1600Hz、600Hzから1200Hzなどの範囲内、たとえば800Hzなどである、請求項1乃至32のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  34. 前記デバイスが、環境音を主に記録するマイクロホン、たとえば前記ノイズ・マイクロホンと、可変ゲインと、前記ラウドスピーカとを備える電気音響経路をさらに備え、前記電気音響経路は、前記外部音響環境を前記外耳道に対して結合するように構成される、請求項1乃至33のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  35. 前記電気音響経路が、好ましくは400Hzから2000Hz、たとえば500Hzから1600Hz、600Hzから1200Hzなどの範囲内など、たとえば800Hzなどの前記ローパス・カットオフ周波数に基づいて、ハイパス・カットオフ周波数を有するハイパス特徴を有する内方向電気伝達関数HEIによって特徴付けられる、請求項1乃至34のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  36. 前記電気音響経路が、前記ハイパス・カットオフ周波数を上回る周波数について、好ましくは3kHzにおいて-30dBから20dBの範囲内、たとえば3kHzにおいて-25dBから15dBの範囲内、3kHzにおいて-20dBからl0dBの範囲内などのハイパス・ゲインを適用するように構成される、請求項1乃至35のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  37. 前記音響共鳴を減衰させるように前記減衰式ベントを構成することが、前記減衰要素を用いることによって得られる、請求項1乃至36のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  38. 前記1つまたは複数のベント要素が、前記1つまたは複数の減衰要素の1つまたは複数を備える、請求項1乃至37のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  39. 前記1つまたは複数の減衰要素が、減衰布、減衰ネット、減衰発泡体および減衰スリットのリストから選択される1つまたは複数を備える、請求項1乃至38のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  40. 前記1つまたは複数の減衰要素が、音響インピーダンスによって特徴付けられ、前記音響インピーダンスは、20音響オームから500音響オーム、たとえば50音響オームから400音響オームなどの範囲内、たとえば180音響オームまたは200音響オームである、請求項1乃至39のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  41. 前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスが、電池給電式であり、たとえば再充電可能な電池によって給電される、請求項1乃至40のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  42. 前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスが、たとえば音声信号インターフェースを通して外部音声信号を受け取るように構成され、前記ラウドスピーカが、前記外部音声信号を再生するように構成される、請求項1乃至41のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  43. 前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスが、真の無線ヘッドホンとして構成される、請求項1乃至42のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  44. 前記インイヤ式ヘッドホン・デバイスが、マイクロホン、たとえば前記ノイズ・マイクロホンまたは前記補助マイクロホンによって記録された信号を送るように構成される、請求項1乃至43のいずれか1項に記載のインイヤ式ヘッドホン・デバイス。
  45. 請求項1乃至44のいずれか1項に記載の第1のインイヤ式ヘッドホン・デバイスと、
    請求項1乃至44のいずれか1項に記載の第2のインイヤ式ヘッドホン・デバイスとを備え、
    前記第1のインイヤ式ヘッドホン・デバイスは、ユーザの第1の外耳に嵌められるように構成され、
    前記第2のインイヤ式ヘッドホン・デバイスは、前記ユーザの第2の外耳に嵌められるように構成される、インイヤ式ヘッドホン・デバイス・セット。
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