JP2023516653A - 予測可能な液体と液体の相分離を有するタンパク質 - Google Patents

予測可能な液体と液体の相分離を有するタンパク質 Download PDF

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Abstract

それらのアミノ酸配列、芳香族:脂肪族の比、疎水性、温度、分子量、および濃度に基づく制御された相分離を示すペプチド生体高分子が、本明細書に記載される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年3月4日に出願した米国仮特許出願第62/985,179号の優先権を主張し、その全体が、参照により本明細書に取り込まれる。
連邦政府の資金による研究
本発明は、国立保健研究機構助成番号R35GM127042および米国科学財団助成番号DMR-17-29671の下、米国政府の支持で成された。米国政府は、本発明においてある種の権利を有する。
配列表
本出願は、37C.F.R.§1.821(c)に従ったコンピュータ可読形態の配列表と共に出願されている。テキストファイルは、EFSにより提出し、「028193-9340-WO01_配列_listing_2-MAR-2021_ST25.txt」は、2021年3月2に作成され、317の配列を含有し、527キロバイトのファイルサイズを有し、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
技術分野
それらのアミノ酸配列、芳香族:脂肪族の比、疎水性、温度、分子量、および濃度に基づく制御された相分離を示すペプチド生体高分子が、本明細書に記載される。
本質的無秩序タンパク質(IDP)は、様々な生物学的(機能不全)機能におけるそれらの役割が十分に認識されている。生物学的凝縮体(condensate)と呼ばれる、IDPのサブセットは、細胞質から物理的に分離して、様々な高分子のアクセシビリティを制御する。タンパク質の無秩序性を検出する我々の能力が、高度な統計方法のおかげで迅速に進歩した一方で、相分離を予測する能力は、大きく遅れている。多数の変数が、相分離に影響するため、相分離の予測は、規則的ではない。大まかに、それらは、(1)一次タンパク質配列のアミノ酸組成およびアミノ酸パターン;(2)RNAまたは他の高分子とのヘテロタイプの相互作用;ならびに(3)溶媒の質を含む。IDP相挙動を予測する試みを記した多くの研究があるが、この問題を直接的に取り組んだ研究はほとんどない。細胞機能に対するその重要性が認識されているので、今こそ活発な研究のときであり、多くの努力が、計算アプローチおよび実験アプローチを使用して進行中である。しかしながら、現在まで、IDP相挙動を理解する配列レベルを開発するための大部分の実験方法は、おおざっぱな残基レベルまたはドメインレベルの変異を有するネイティブIDPの変異ストラテジーに頼っている。
必要とされているのは、それらのアミノ酸配列、芳香族:脂肪族の比、疎水性、温度、分子量、および濃度に基づく制御された相分離を示す本質的無秩序タンパク質を含むペプチド生体高分子である。
本明細書に記載される一実施形態は、(X-Z1-X-Z2-Z3-X-Z4-Z3n(式中、Xは、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比は、任意の数であり、Z1は、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比は、任意の数であり、K:Rの比は、任意の数であり得、Z2は、Asp(D)、Arg(R)、Glu(E)であり、R:Dの比は、任意の数であり得、D:Eは、任意の数であり得、Z3は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、またはスレオニン(T)であり、N:Q:S:Tの間の比は、任意の数であり得、Z4は、チロシン(Y)、ヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、バリン(V)、イソロイシン(I)、アラニン(A)、またはロイシン(L)であり、Y:H:W:F:M:V:I:A:Lの間の比は、任意の数であり得る)を含むアミノ酸配列の10以上の反復配列を含む制御された可逆相分離を有するポリペプチドである。一態様では、Xは、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比は、1:3~3:1である。別の態様では、Z1は、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比は、1:5を超えず、K:Rの比は、任意の数であり得る。別の態様では、相分離は、温度、分子量、疎水性、芳香族:脂肪族の比、および濃度に依存する。別の態様では、nは、10~200である。別の態様では、分子量は、少なくとも5kDa~500kDaである。別の態様では、分子量は、約5kDa~約100kDaである。別の態様では、相分離温度は、0~100℃である。別の態様では、相分離温度は、4~25℃、約25℃、25~37℃、約37℃、35~38℃、または>38℃である。別の態様では、ポリペプチドは、改変アミノ酸、レポータータンパク質、または酵素を含む。別の態様では、配列は、(G-R-G-D-S-P-Y-S)m(式中、mは、20~80である)を含む。別の態様では、ポリペプチドは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、141、143、145、147、149、151、153、155、157、もしくは197~279、またはその組み合わせの1つまたは複数から選択される配列を含む。
本明細書に記載される別の実施形態は、(X-Z1-X-Z2-Z3-X-Z4-Z3n(式中、Xは、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比は、任意の数であり、Z1は、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比は、任意の数であり、K:Rの比は、任意の数であり得、Z2は、Asp(D)、Arg(R)、Glu(E)であり、R:Dの比は、任意の数であり得、D:Eは、任意の数であり得、Z3は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、またはスレオニン(T)であり、N:Q:S:Tの間の比は、任意の数であり得、Z4は、チロシン(Y)、ヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、バリン(V)、イソロイシン(I)、アラニン(A)、またはロイシン(L)であり、Y:H:W:F:M:V:I:A:Lの間の比は、任意の数であり得る)を含むアミノ酸配列の10以上の反復配列を含む制御された可逆相分離を有するポリペプチドを含む薬学的に許容し得る組成物である。一態様では、Xは、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比は、1:3~3:1である。別の態様では、Z1は、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比は、1:5を超えず、K:Rの比は、任意の数であり得る。別の態様では、組成物は、スタフィロコッカスタンパク質A(ZD)由来の抗体結合ドメイン(配列番号159)、LL37(配列番号161)、Ib-M1(配列番号163)、Ib-M2(配列番号165)、Ib-M5(配列番号167)、カテリシジン-1(配列番号169)、A(A1R、A8R、I17K)(配列番号171)、H5(配列番号173)、H5-61-90(配列番号175)から選択される抗菌ペプチド;RGDペプチド(RGDSPAS、配列番号39);タンパク質薬、GLP-1(配列番号177);蛍光レポーター(sfGFP(配列番号179)、mRuby3(配列番号181);RNA結合タンパク質(PUM-HD(配列番号183)、eIF4E(配列番号185)、PABP(配列番号187)、Tis11D(配列番号189));KHドメイン(YifanもしくはFMRP(配列番号191));またはAAV結合ペプチドPKD1(配列番号193)もしくはPKD2(配列番号195)の1つまたは複数を含む結合分子をさらに含む。別の態様では、組成物は、遊離形態の結合分子と比較して、結合分子のバイオアベイラビリティを増強する。別の態様では、組成物は、遊離形態の結合分子と比較して、結合分子の発現を増強する。別の態様では、組成物は、遊離形態の結合分子と比較して、結合分子の安定性を増強する。別の態様では、組成物は、遊離形態の結合分子と比較して、原核生物および真核生物の発現中の結合分子の安定性を増強する。別の態様では、安定性の増強は、凍結、解凍、または凍結乾燥中の変性に対する抵抗性を含む。別の態様では、組成物は、細胞または生物内の酵素機能、代謝機能、または生理学的機能を調節する。別の態様では、調節は、結合分子のバイオアベイラビリティを低減する。別の態様では、結合分子は、治療もしくは細胞毒性タンパク質またはペプチドを含む。
本明細書に記載される別の実施形態は、タンパク質のバイオアベイラビリティまたは安定性を増強する方法であり、方法は、1つまたは複数のタンパク質と、(X-Z1-X-Z2-Z3-X-Z4-Z3n(式中、Xは、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比は、任意の数であり、Z1は、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比は、任意の数であり、K:Rの比は、任意の数であり得、Z2は、Asp(D)、Arg(R)、Glu(E)であり、R:Dの比は、任意の数であり得、D:Eは、任意の数であり得、Z3は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、またはスレオニン(T)であり、N:Q:S:Tの間の比は、任意の数であり得、Z4は、チロシン(Y)、ヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、バリン(V)、イソロイシン(I)、アラニン(A)、またはロイシン(L)であり、Y:H:W:F:M:V:I:A:Lの間の比は、任意の数であり得る)を含むアミノ酸配列の10以上の反復配列を含む制御された可逆相分離を有するポリペプチドの融合タンパク質を作ることを含む。一態様では、Xは、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比は、1:3~3:1である。別の態様では、Z1は、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比は、1:5を超えず、K:Rの比は、任意の数であり得る。一態様では、Xは、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比は、1:3~3:1である。別の態様では、Z1は、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比は、1:5を超えず、K:Rの比は、任意の数であり得る。別の態様では、タンパク質は、スタフィロコッカスタンパク質A(ZD)由来の抗体結合ドメイン(配列番号159)、LL37(配列番号161)、Ib-M1(配列番号163)、Ib-M2(配列番号165)、Ib-M5(配列番号167)、カテリシジン-1(配列番号169)、A(A1R、A8R、I17K)(配列番号171)、H5(配列番号173)、H5-61-90(配列番号175)から選択される抗菌ペプチド;RGDペプチド(RGDSPAS、配列番号39);タンパク質薬、GLP-1(配列番号177);蛍光レポーター(sfGFP(配列番号179)、mRuby3(配列番号181);RNA結合タンパク質(PUM-HD(配列番号183)、eIF4E(配列番号185)、PABP(配列番号187)、Tis11D(配列番号189));KHドメイン(YifanもしくはFMRP(配列番号191));またはAAV結合ペプチドPKD1(配列番号193)もしくはPKD2(配列番号195)の1つまたは複数を含む。別の態様では、融合タンパク質の増強されたバイオアベイラビリティは、生物学的分子の単離または分離のため使用することができる。別の態様では、生物学的分子は、1つまたは複数の脂質、細胞、タンパク質、核酸、炭水化物、またはウイルス粒子を含む。別の態様では、核酸は、1本鎖もしくは2本鎖DNAまたはRNAである。別の態様では、ウイルス粒子は、アデノウイルス粒子、アデノ随伴ウイルス粒子、レンチウイルス粒子、レトロウイルス粒子、ポックスウイルス粒子、麻疹ウイルス粒子、またはヘルペスウイルス粒子である。別の態様では、タンパク質は、アルブミン、モノクローナルIgG抗体、またはFc融合抗体を含む。別の態様では、単離または分離は、可逆相分離を介して達成される。
本特許または出願は、カラーの少なくとも1つの図面を含有する。カラーの図面(複数可)を含む本特許または特許出願公開のコピーは、要求および必要な手数料の支払いに応じて庁によって提供される。
ネイティブidpから着想を得た人工本質的無秩序ポリペプチド(A-IDP)が、可逆UCST相挙動を示すことを示す。図1Aは、生体分子凝縮体を形成するネイティブIDPのプロテオミクス解析により、それらが、高いG/P、荷電および非荷電の極性残基を有し、依然として、全荷電の平衡を示すことが明らかになることを示す。図1Bは、細菌細胞溶解物の複合培地中においてすら、UCSTを呈するA-IDPによって形成される高密度の排除(exclusionary)相の例を示す。コアセルベートは、遠心分離後の細胞溶解物に存在する全ての他の細胞タンパク質およびデブリからのほぼ完全な分離を観察し、これにより、親和性タグを用いない不溶性細胞溶解物分画からの精製が促進されることを示す。図1Cは、いかなるクロマトグラフィー精製を必要とすることなく、それらのUCST相挙動を利用することによって得られる、高い純度のA-IDPを示す、A-IDPのセットである、保存された配列を有するが、MWが漸増する[Q5,8]-20~[Q5,8]-80のSDS-PAGEゲルの例を示す。図1Dは、蛍光顕微鏡を用いた、油中水型液滴中の[Q5,8]-20のUCST相分離の可視化を示す。冷却の際、液滴における相分離が、複数の部位で始まり、それぞれの部位から成長する斑点が、単一のち密相に互いにゆっくり合体する。再加熱の際、周囲の希薄相との平衡状態が、常に再確立され、これにより、より高い濃度の希薄相およびち密相によって占められたより小さな容量が導かれる。φ=0.0018、スケールバー=50μm。図1Eは、油中水型液滴におけるUCSTポリペプチドの冷却と加熱のサイクルについての模式UCST相図を示す。図1Fは、冷却の際の流体力学半径の変化を示す、[Q5,8]-20の動的光散乱データを示す。曇点に達した際、[Q5,8]-20は、5~6nmの水和の半径を有する可溶性単量体ポリペプチドからミクロンサイズの凝集物に転移する。140mM PBS、pH7.4中、φ=0.0043で収集したデータ。図1Gは、UCST曇点が、溶液中のポリペプチド体積分率によって影響されることを示す。この挙動は、希薄なレジーム(R2=0.98)において自然対数依存に従う。 [WT]-20-sfGFPは、複数の加熱と冷却のサイクルの際の、相分離メモリーを示す。複数の加熱と冷却のサイクルの際、[WT]-20-sfGFPは、第一の冷却サイクルと同じ場所に斑点を形成する。メモリーの重要性から、観察された転移温度が、室温未満(約15℃)であり、これは、これらの細胞が、37℃でインキュベートされ、室温で処理されたので、相分離に対して無感作であることを示唆していることに注意することが重要である。スケールバーは、5μmを示していた。冷却および加熱速度は、定数5℃/分に設定された。 追加のプロテオミクス解析。図3Aは、同じタンパク質内の秩序立った領域と無秩序な領域の間のアミノ酸組成の相違のグラフを示す。無秩序な領域は、PONDR VSL2を使用して、>0.5の値を有するスコアであると定義され、秩序立った領域は、<0.5のスコアであると定義される。値は、無秩序なレジームにおける鎖組成のパーセンテージを秩序立ったレジームから減じることによって計算された。バーは、25~75のパーセンタイルを示し、ウイスカーは、10~90パーセンタイルを示す。中央の線は、データセットの中央値を示す。N=63、試料採取された全てのタンパク質の秩序立った領域と無秩序な領域の間のスチューデントt検定における*P<0.01。図3Bは、本研究において解析された無秩序な領域の長さのヒストグラムプロットを示す。バーは、25~75のパーセンタイルを示し、ウイスカーは、10~90パーセンタイルを示す。 図1~5に関連して本研究において使用される精製タンパク質のSDS-PAGEゲル。本研究におけるそれぞれの精製タンパク質のレーン標識は、表2および表3に列挙される。 油中水型成分内部の蛍光標識された[Q5,8]-20の広視野蛍光顕微鏡画像。[Q5,8]-20は、NHS化学を介してAlexaFluor350を用いて標識され、140mM PBS、pH7.4に終φ=0.003まで再懸濁された。油中水型混合物は、ガラススライドに移され、50℃から10℃に冷却された。スケールバー=20μm。 追加の動的光散乱データ。40℃での液体と液体の相分離を示すと予測された体積分率での20nmのフィルター処理された試料で収集されたデータ。140mM PBS、pH7.4において収集されたデータ。 サイクルである冷却と加熱のサイクルは、最小限のヒステリックな挙動を示す。φ=0.0025、40℃~30℃での、[Q5,8]-20の繰り返し冷却と加熱曲線の、350nmで測定された光濁度。 主な鎖アミノ酸組成を使用したUCST曇点の制御を示す。図8Aは、反復配列単位bをaのホモポリマーに混ぜる方法論を記載する模式図を示す。aであるGRGDSPYSの40反復配列からなる高いUCST曇点を有するWT A-IDPを、反復配列bであるGRGDQPYQの漸増分画と混ぜて、aのポリマーのUCST相挙動の「機能の喪失」が調べられる。bのaへの混入は、ポリペプチド鎖に沿った2つの反復配列の混合を確実にし、むらのある挙動を最小限にするよう設計される。図8Bは、bの変異IDPにおける結果への混入を示し、それぞれの変異IDPのUCST曇点温度(Tt)は、A-IDPの体積分率(φ)の一次関数である。図8Cは、組成物、つまり、混入の程度の効果が、10-3(R2=0.97)である一定の体積分率でのbのaへの置換の程度の一次関数であることを示す。図8Dは、芳香族Y残基の脂肪族Vでの置換が、Ttを劇的に低減することを示す。図8Eは、RのKでの置換が、Ttを劇的に低減することを示す。KのRへの50%の置換は、Ttを40℃より大きく下げる。図8Fは、化学組成が、一定の分子量で100倍、飽和濃度に影響し得ることを示す(37℃でのCsat=1~800μm)。これは、好適には、約1μmであり、水平の点線によって示される、[WT]-40の飽和濃度に標準化することによって可視化することができる。 は、単一のアミノ酸置換のUCST曇点および新たな相対的UCST傾向スケールに対する効果を示す。図9Aは、様々な芳香族:脂肪族残基の比を有する十分に混合されたジブロックポリペプチドの部分的バイノーダル相境界を示す。図9Bは、様々な極性の非荷電残基の比を有する十分に混合されたジブロックポリペプチドの部分的バイノーダル相境界を示す。図9Cは、様々な同一性の正および負に荷電した残基を有する十分に混合されたジブロックポリペプチドの部分的バイノーダル相境界を示す。図9Dは、様々な量を有する十分に混合されたジブロックポリペプチドの部分的バイノーダル相境界を示す。φ=10-3での生理的溶液条件(140mM PBS、pH7.4)下で収集されたデータ。全てのポリペプチドは、326アミノ酸長である。図8Eは、[WT]反復配列モチーフになされた置換に基づく、UCST傾向の相対的スケールを示す。左のアミノ酸が、矢印の右のアミノ酸で置換され、アミノ酸の総数が326であった場合、列挙される転移温度は、φ=10-3でのUCST曇点である。 円二色性(CD)分光法を用いた二次構造の解析を示す。様々なA-IDPのCDスペクトルは、他のIDPおよび他の反復タンパク質ポリマーの定義された二次構造曲線形状特徴を欠く。5mM PBS、pH7.4中、5μm、50℃(可溶性の鎖)で収集されたデータ。エラーバーは、3回の連続する実行の標準偏差を示す。 は、A-IDPの分子量によるUCST曇点の制御を示す。図11Aは、ポリペプチドの分子量が、Ttに影響することを示す。図11Bは、MWの自然対数を用いたTt直接スケールを示す。図11Cは、一定の化学組成において、単にA-IDPのMWを変えることによって、5桁を超えてCsatを調節することが可能であることを示す(37℃でのCsat=1nM~400μm)。[WT]-40は、約1μmのCsatを有する。 タンパク質ポリペプチドにおけるUCST曇点に対するわずかな効果を示す。図12Aは、Pro残基周囲に焦点を当てた配列シンタックス並べ替えの部分的バイノーダル相図を示す。変異により、アミノ酸変異部位が、UCSTバイノーダル、特に、5番目の位置のUCSTバイノーダルに影響するが、相挙動を排除しないことが明らかになる。生理的条件(140mM PBS、pH7.4)下で収集されたデータ。図12Bは、[WT]-20の不可知論的には反復ではないが、組成が同一のバージョンの部分的バイノーダル相境界を示す。図12Cは、異なるpH溶液中の[H7]-60の濁り曲線を示す。pHの低下およびHis残基のプロトン化は、観察されるUCST相挙動を増大させ、広げる。この効果は、Hにおけるイミダゾール基の予測されるpKaに非常に密接する、pH約7に集中する。対照的に、[WT]-60のUCST曇点は、pHの関数として変化しない(黒色の点、グラフ挿入物)。図12Dは、異なる濃度のNaClを含む溶液中の[Q5,8]-40の濁り曲線を示す。純水において、[Q5,8]-40は、より高い温度で広い転移を示す。0~140mMのNaClの濃度の増大は、UCST曇点を低下させ、鋭角にし、最終的に、約500mMの最小値に至る。この点から、タンパク質は、塩析効果を示し、転移温度は、再度上昇し始める。 温度勾配装置を使用した相図作成。図13Aは、温度勾配装置上の[Q5,8]-20溶液の代表的な暗視野画像を示す。参照溶液(赤色および青色の線)ならびに20mg/mL[Q5,8]-20溶液(緑色の線)の転移温度は、水平のカラーの線によって示される。20mg/mLのキャピラリーチューブに沿った垂直の深紅色の点線は、ラインスキャンを測定するために使用される画像の領域を説明した。図13Bは、図13Aに示される20mg/mL[Q5,8]-20キャピラリーについての標準化光散乱強度対温度のラインスキャンを示す。黒色の点線は、高い温度ベースラインについての接線およびより低い温度での光散乱の増大を表す。これら2つの線は、垂直の緑色の線によって示される通り、Tphで横切る。図13Cは、温度勾配装置からの複数のデータ点を使用して、[WT]-20および[Q5,8]-20の最終バイノーダル相ラインを示す。3ピースフィットを利用して、ポリペプチド相図の希釈、重複、および半希薄なレジームにおおよそ対応する3つのレジームを近似させた。観察されたデータおよび続く近似は、ポリペプチド配列が、希薄なレジームにおけるUCST曇点に影響するだけでなく、測定された濃度範囲全体にわたり影響することを示す(φ≦0.5)。 は、A-IDPの相分離中のデキストラン取り込みの定量を示す。図14Aは、Alexa488(緑色)フルオロフォアを用いて標識された異なる分子量(10/40kDa)のデキストラン分子の存在下での相分離された液滴の蛍光顕微鏡画像を示す。相分離された空間(濃い色の円)内部に、デキストラン分子量またはA-IDP配列の機能としてのデキストラン分子の非常にわずかな隔離が存在する。スケールバーは、20μmである。図14Bは、相分離された液滴の内部と外部の範囲の間の蛍光シグナルの定量を示す。 A-IDPが、分子量および芳香族:脂肪族含有量の比に基づき、調節可能な細胞内液滴形成を示すことを示す。全てのスケールバーは、5μmである。図15Aは、Csatを調節することによって細胞内液滴の形成を制御するための、2つの鍵となるパラメーターである芳香族:脂肪族含有量の比および分子量の使用を記載する模式図を示す。図15Bは、140mM PBS、pH7.4中の希薄なレジームにおけるA-IDP-sfGFP融合物の部分的なインビトロバイノーダルを示す。A-IDPと同様に、A-IDP-GFP融合タンパク質は、分子量および芳香族含有量依存性相挙動を示す。図15Cは、真核生物の細胞(HEK293細胞、5日目)における[WT]-20-sfGFP融合物相分離を示す。原始細胞においてインビトロで見られる単一の液滴の形成(図1Cを参照)の代わりに、多くの別個の液滴が形成され、これは、拡散律速または静止律速合体のいずれかを示している。図15Dは、大腸菌における誘導時間と分子量の関数として、A-IDP-sfGFPの共焦点蛍光画像を示す。細胞内液滴を形成するために、[WT]-20対[WT]-40について、より高い細胞内濃度が必要とされる。[WT]-40が、[WT]-20と比較して、高密度の液滴相の外部に、より低いφ’であるA-IDPの少ない溶解相を有することは、注目すべきである。図15Eは、芳香族含有量の低下が、容量に依存した様式でCsatを増大することを示す。図15Fは、A-IDP-sfGFP融合物が、それらの分子量および芳香族:脂肪族含有量の比によって決定される、それらのCsatにおける1桁のシフトを示すことを示す。図15Gは、誘導時間に伴う、細胞内液滴(φ’’またはち密相)成長の大きさを示す。A-IDP-sfGFPの濃度が、細胞内で増大するにつれ、液滴外部の溶解濃度は、変化しないが(図19)、トータルの細胞範囲と比べて、細胞内液滴成長の大きさを変化させる。画像は、様々な時間点での[3Y7:V7]-40-sfGFP培養物由来の個々の細胞である。エラーバーは、平均の標準誤差を表す。 A-IDPとA-IDP-sfGFP融合物の部分的バイノーダル相図の比較を示す。図16Aは、[WT]-40および[WT]-40-sfGFPの部分的バイノーダル相境界を示す。図16Bは、[3Y7:V7]-40および[3Y7:V7]-40-sfGFPの部分的バイノーダル相境界を示す。図15Cは、[WT]-20および[WT]-20-sfGFPの部分的バイノーダル相境界を示す。sfGFP融合物は、全てのA-IDPについてUCSTバイノーダルラインを下げる。これらのデータは、[WT]-40および[3Y7:V7]-40における観察された相違が、[WT]-20について約20℃の代わりに約10℃のみであるため、ポリペプチドの分子量が大きいほど、sfGFP融合物によってあまり影響されないことを示唆している。 [WT]-20-sfGFPで一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞の共焦点顕微鏡画像を示す。細胞中の共焦点蛍光画像スライスは、相分離された液滴が、他の細胞構造と明らかに共存することなく、細胞質中で形成されることを示す。[WT]-20-sfGFPをコードするpCDNAプラスミド3μgでのトランスフェクションの24時間後に取得した画像。スケールバー=5μm。 誘導時間点の関数としてのトータルの細胞蛍光の測定値を示す。大腸菌培養物は、スピンダウンされ、140mM PBS、pH7.4に再懸濁された。sfGFPの光濁度および蛍光強度が測定され、時間の関数としてプロットされる。22℃で収集されたデータ。 細胞内の異なる位置の細胞蛍光の測定値を示す。デジタル分配は、ImageJを使用した、細胞のち密相分離範囲と可溶性細胞質空間の間でなされた。トータルの細胞蛍光強度(実線)および細胞質蛍光強度(点線)の平均は、IPTG誘導後の時間の関数としてプロットされる。[WT]-20-sfGFPは、6時間の印まで、細胞内液滴を示さない。この点で、細胞質蛍光強度は、一定のままだが、トータルの蛍光は、6時間後から増大する。[WT]-40-sfGFP相は、2時間の時間点前に転移する。 A-IDPが、それらの分子量および芳香族:脂肪族の比によって決定される、大腸菌における可逆コアセルベーションを示すことを示す。全てのスケールバーは、5μmである。図20Aは、[WT]-20-sfGFPを含む細胞内液滴が、形成され、代わりの冷却と加熱のサイクルを介して可逆的に溶解され得ることを示す。このプロセスは、4ラウンドの冷却と加熱にわたり完全に可逆である。冷却速度=5℃/分、誘導時間4時間。図20Bは、それぞれの個々の細胞(n=30)におけるsfGFPの細胞内蛍光に対して標準化されたTtが、4回の加熱(赤色のバー)と冷却(青色のバー)サイクルにわたり有意に変化しないことを示す。四角は、25~75パーセンタイルを示す。図20Cは、インビトロのものと類似する細胞内Ttが、A-IDP分子量と芳香族含有量の関数であることを示す。冷却勾配=60℃→10℃。冷却速度=5℃/分、8時間のA-IDP遺伝子誘導時間。ウイスカーは、10~90パーセンタイルを示す。図20Dは、様々なA-IDP-sfGFP融合物の細胞内バイノーダルラインを示す。Ttは、細胞の蛍光、代替のA-IDP濃度、およびA-IDPの芳香族含有量の関数として増大する。[WT]-40-sfGFPおよび[3Y7:V7]-10について2、4、8時間で、ならびに[Y7:V7]-40(n=30)について4、8、24時間で解析されたデータ。エラーバーは、平均の標準誤差を示す。図20Dは、ち密相におけるsfGFPの再構成の際、再構成されたGFP-A-IDP複合体の溶解度が、温度に伴い調節され得ることを示す。データは、IPTG誘導の36時間後、およびアラビノース誘導の12時間後に収集された。 それぞれの細胞において形成された斑点の数の画像解析を示す。それぞれのヒストグラムについて、100個の細胞が、無作為に表にされた。図21Aは、60℃→10℃(緑色)の冷却勾配中に[WT]-20-sfGFPを含有するそれぞれの細胞において形成され、22℃で等温で画像化された細胞内斑点の数を示す。等温解析は、誘導6時間後に行われ、第一の時間点で、細胞内斑点が観察された。冷却勾配は、誘導4時間後に行われ、転移温度(Tt)は、22℃~37℃であった。図21Bは、60℃→10℃(緑色)の冷却勾配中に[3Y:V]-40-sfGFPを含有するそれぞれの細胞において形成され、22℃で等温で画像化された細胞内斑点の数を示す。等温解析は、誘導4時間後に行われ、第一の時間点で、細胞内斑点が観察された。冷却勾配は、誘導4時間後に行われ、Ttは、22℃~37℃であった。図21Cは、60℃→10℃(緑色)の冷却勾配中に[[WT]-40-sfGFPを含有するそれぞれの細胞において形成され、22℃で等温で画像化された細胞内斑点の数を示す。等温解析は、誘導4時間後に行われ、第一の時間点で、細胞内斑点が観察された。冷却勾配は、誘導4時間後に行われたが、観察された転移は、>37℃であり、これは、メモリーの可能性を示している。 プログラム可能な機能を用いた、操作された細胞内液滴を示す。図22Aは、小分子蛍光色素を用いた液滴の部位特異的標識を示す。ジベンゾシクロオクチン色素コンジュゲート(DBCO-Alexa488)を用いてインサイツで標識され得る二重直交アジドを提示するアジド-フェニルアラニン(AzF)残基を有する[3Y7:V7]-40バリアントによって形成された凝縮体を含有する大腸菌細胞。DBCO-Alexa488混合物は、細胞に、そして細胞内のA-IDP凝縮体に拡散され、生きた大腸菌との10分以内のインキュベーションでアジド基を標識することができる。図22Bは、別々のGFPシステムを使用した、パートナーの細胞質からの動員による凝縮体における機能的GFPの再構成を示す。GFP-11-[3Y7:V7]-40融合タンパク質は、周囲の細胞質から細胞内液滴にGFP-1-10を動員することができる。GFP-11-[3Y7:V7]-40(左のパネル)のIPTG誘導の24時間後の細胞内凝縮体の形成の際、アラビノース誘導による続くGFP-1-10誘導により、GFP-10の凝縮体への動員およびGFP-1-10誘導(右のパネル)の12時間以内に既存の細胞内凝縮体内の機能的sfGFPの再構成が可能になる。図22Cは、酵素-凝縮体実験の模式図を示す。LacZのα-ペプチド(αp)は、蛍光レポータータンパク質(mRuby3)に融合され、αpを欠く、切断された触媒的に不活性な酵素を産生するLacZ遺伝子の欠失変異を有する大腸菌株KRXにおけるプラスミド由来のIPTG誘導可能な遺伝子から発現される。αp-A-IDP-mRuby3融合によるLacΔM15の相補性は、FDGをフルオレセインに変換し、次いで、細胞内空間から周囲の培地に迅速に輸送される、活性な酵素を生じる。図22Dは、フルオレセインジ-β-D-ガラクトピラノシド(FDG)の蛍光変換を示す、共焦点顕微鏡画像を示す。上部のパネルにおけるαp-mRuby3の斑点様の構造は、融合物の分画に起因して、細胞において封入体を形成することに注意されたい。αpが、[WT]-20-mRuby3に融合されるとき、蛍光は、コアセルベート液滴における細胞内相転移の部位でまず観察され、次いで、フルオレセインは、細胞質に拡散され、次いで、細胞から細胞外の空間に拡散される。A-IDPの分子量の増大は、より早い時間点でのFDG変換および20分後のより高い全体的な変換を導く。αp-[WT]-40-mRuby3およびαp-[WT]-80-mRuby3の再平衡化画像は、細胞内液滴と変換されたFDGの共存の改善された可視化のため、図25において見ることができる。図22Eは、FDGの触媒変換によって産生され、それぞれの個々の細胞(n≒300)のmRuby3蛍光に対して標準化されたフルオレセインの細胞内濃度を示す。触媒効率は、モルベースのmRuby3の赤色蛍光に対して標準化された、フルオレセインへのFDG変換から生じる緑蛍光のより大きな比によって見られる通り、A-IDP MWに伴い増大する。αp-[WT]-40-mRuby3とαp-[WT]-80-mRuby3の両方が、対照(αp-mRuby3)からの統計上の有意差を示す。エラーバーは、平均の標準誤差を示す。図22Fは、全てのαp-A-IDP-mRuby3融合物が、細胞内の緑色蛍光のより大きな比を示し、これは、αp-mRuby3対照と比較して、細胞内空間内の蛍光FDGのより長い持続を示していることを示す。エラーバーは、平均の標準誤差を示す。全てのスケールバーは、5μmである。 細胞内液滴への別々のGFP動員の共焦点顕微鏡画像を示す。図23Aは、GFP-1-10の存在下で共発現されたGFP-11-[3Y7:V7]-40-mRuby3が、液滴の内部においてのみ蛍光活性GFPを生じることを示す。図23Bは、GFP-1-10誘導の不存在下で、細胞内液滴内部に緑色蛍光がわずかに存在することを示す。22℃で取得されたデータ。スケールバー=5μm。 A-IDPが、内因性に結合した分子2の溶解度を調節することができることを示す。sfGFPのち密相への動員の際、完全な複合体の溶解度は、温度を用いて調節することができる。データは、IPTG誘導の36時間後およびアラビノース誘導の12時間後に収集された。スケールバー=5μm。 αp-[WT]-40-mRuby3およびαp-[WT]-80-mRuby3のカラーの平衡化共焦点顕微鏡画像を示す。全てのスケールバーは、5μmである。図25Aは、αp-A-IDP-mRuby3融合物によって形成された細胞内液滴の改善された可視化のための、図22Bのカラーの再平衡化画像を示す。図25Bは、αp-[WT]-40-mRuby3およびαp-[WT]-80-mRuby3の別々のチャンネル画像を示す。 変換されたFDGと蛍光レポーターの間のマンダー共存スコア。FDG添加の30分後に解析されたデータ。背景域値は、自動で設定された。 mおよびVmaxを決定するためのラインウィーバーバークプロットを示す。図27A、αp-mRuby3;図27B、αp-[WT]-20-mRuby3;図27C、αp-[WT]-40-mRuby3;および図27D、αp-[WT]-80-mRuby3について、様々な開始濃度のFDGを用いて作成されたラインウィーバーバークプロット。傾き(Vo)は、20分間の過程にわたる蛍光生成から決定された。妨害および傾きは、KmおよびVmaxの計算において使用された。 芳香族の脂肪族残基に対する変動する比を用いて形成された酵素液滴を示す。全てのスケールバーは、5μmである。図28Aは、αp-mRuby3、αp-[WT]-40-mRuby3、αp-[3Y7:V7]-40-mRuby3およびαp-[Y7:V7]-40-mRuby3のフルオレセインジ-β-D-ガラクトピラノシド(FDG)の蛍光変換を観察する共焦点顕微鏡画像を示す。芳香族:脂肪族の比の減少は、経時的にFDG変換を増大させないが、FDG添加後の早い時間点でのより高い取り込みを観察する、より小さい芳香族:脂肪族の比のポリペプチドを用いた取り込みの動態を変化させた。図28Bは、mRuby3蛍光量に対して標準化された、細胞内で変換されたFDGの定量値を示す。芳香族:脂肪族含有量の異なる比を有するA-IDP間のわずかな相違が存在する。エラーバーは、平均の標準誤差を示す。図28Cは、全てのαp-A-IDP-mRuby3融合物が、細胞内部のFDG蛍光のより大きな比を示し、これは、αp-mRuby3対照と比較して、細胞内空間内での蛍光FDGのより長い持続を示していることを示す。異なるレベルの芳香族含有量を有するA-IDP間のわずかな相違が存在する。エラーバーは、平均の標準誤差を示す。 αp-[V7]-40-mRuby3の酵素活性を示す。全てのスケールバーは、5μmである。図29Aは、可溶性αp-[V7]-40-mRuby3に結合したフルオレセインジ-β-D-ガラクトピラノシド(FDG)の蛍光変換を示す、共焦点顕微鏡画像を示す。図29Bは、αp-[V7]-40-mRuby3によるFDGの触媒変換によって産生され、それぞれの個々の細胞(n≒300)のmRuby3蛍光に対して標準化されたフルオレセインの細胞内濃度を示す。可溶性融合物は、全ての斑点を形成するαp-A-IDP融合物より低いレベルの酵素活性を示す。スケールを示すために再描写された図24のαp-mRuby3データ。エラーバーは、平均の標準誤差を示す。 無秩序生体高分子に融合されたとき、発現レベルを救出する原核生物発現系において低レベルで発現する様々な融合タンパク質の例を示し、生体高分子の相分離挙動の使用により、可溶性分画への回収が可能になる。これは、mAb(ZD、図30A)に結合するナノボディ折り畳み構造を有するmAb結合タンパク質;ベータ-バレル構造(sfGFP、図30B)を有する蛍光融合タンパク質;強いアルファ-らせん傾向を有する治療タンパク質ペプチド(GLP-1、図30C)、タンデム反復配列構造を有するRNA結合タンパク質(PUMHD、図30D)および大腸菌における細胞毒性傾向を示す抗菌ペプチドを用いて行うことができる。 mAbに結合するタンパク質A由来のドメインに融合される相分離生体高分子とのmAbのインキュベーションを示す。生体高分子を、mAbに結合させ、遠心分離して、mAb重鎖(HC)および軽鎖(LC)を捕捉する。この工程の上清は、レーン2および5に流される。次いで、上清は除去され、ペレットは、生体高分子-ZD融合物とmAbの間の解離を引き起こす、低pHである、溶出バッファーに再懸濁される。溶液は再度スピンされ、これにより、純粋なmAb HCおよびLCならびに他のタンパク質混入物を含有する溶出上清(レーン3、6)を得る。溶出ペレットは、生体高分子を含有し、mAbを含有しない(レーン4、7)。 タンパク質A(ZD)のZ-ドメインに融合された、相分離されたタンパク質((GRGDQPYQ)40、m=40を有する配列番号3)の存在下で可視化された、蛍光標識されたmAb(グレー-スケールにおける赤色/白色)の顕微鏡画像を示す。液滴の蛍光シグナルとの共存は、第一の画像において観察可能である。バッファーpHが、t=0で降下されるとき、蛍光シグナルの逆転が存在し、これは、mAbが、相分離されたタンパク質-ZD融合タンパク質(白色の矢印)から完全に解離し、周囲の溶液(赤色)に侵入したことを示唆している。液滴融合物は、60~240秒で生じる(矢印)ため、これらの生体高分子-融合タンパク質は、それらの液体様挙動を保持する。 様々なAMPを含有する融合タンパク質である、融合されていない(左側)および様々な生体高分子に融合された融合タンパク質(右側)が発現されることを示す。融合タンパク質が、発現されない(上部)とき、細胞成長は、OD600での漸増吸光度によって測定される標準として進む。AMP単独が、発現される(下部-左)とき、細胞成長は、発育阻止される(成長曲線は、より後の時間にシフトされる)。AMP-生体高分子融合タンパク質が、発現されるとき、標準の成長が回復され、これは、AMPの利用可能性の低減を示唆している。 インビボで皮下デポーを形成する注射ストラテジーを示す。尿素などの可溶化剤を用いた注射により、周囲条件下での注射が可能になる。可溶化剤は、ポリペプチドより速く拡散するため、溶媒は、貧溶媒になり、ポリペプチドは、相を分離する。あるいは、脱水コアセルベートは、皮下空間に移植され、間接的に2相レジームにゆっくり再水和する。 2M尿素+PBSの存在下での注射後、近赤外蛍光色素を用いて標識された(GRGDSPYQ)40の蛍光分子断層撮影を示す。総タンパク質1.2mgに対応する、注射濃度175μm。 脱水状態での注射後、近赤外蛍光色素を用いて標識された(GRGDSPYQ)40の蛍光分子断層撮影を示す。総タンパク質1.2mgに等しい、注射質量。 より小さい分子量のGLP-1-RIDPのバイノーダル相境界を示す。140mM PBSにおいて収集されたデータ。点線は、y=m*ln(x)+bについての近似線である。 サイズが約20kDaおよび可変CsatのGLP-1-RIDP融合タンパク質の血糖を示す。60%の脂肪食を給餌されたC57Bl/6Jマウスから収集されたデータ。エラーバーは、平均の標準誤差である(n=5)。 サイズが約20kDaおよび可変Csatの皮下GLP-1-RIDPデポーを有するマウスの体重変化。60%の脂肪食を給餌されたC57Bl/6Jマウスから収集されたデータ。エラーバーは、平均の標準偏差である(n=5)。 より大きい分子量のGLP-1-RIDPのバイノーダル相境界を示す。140mM PBSにおいて収集されたデータ。点線は、y=m*ln(x)+bについての近似線である。 サイズが約35kDaおよび可変CsatのGLP-1-RIDP融合タンパク質の血糖を示す。60%の脂肪食を給餌されたC57Bl/6Jマウスから収集されたデータ。エラーバーは、平均の標準誤差である(n=5)。 異なる分子量だが、類似のCsatのGLP-1-RIDP融合タンパク質の血糖を示す。60%の脂肪食を給餌されたC57Bl/6Jマウスから収集されたデータ。エラーバーは、平均の標準誤差である(n=5)。 サイズが約35kDaおよび可変Csatの皮下GLP-1-RIDPデポーを有するマウスの体重変化を示す。60%の脂肪食を給餌されたC57Bl/6Jマウスから収集されたデータ。エラーバーは、平均の標準誤差である(n=5)。
別段定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含め本書類が支配する。好ましい方法および材料は、以下に記載されるが、本明細書に記載されるものに類似するか、または均等な方法および材料は、本発明の実施または試験において使用することができる。本明細書において述べられる全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、全体が参照により取り込まれる。本明細書に開示される材料、方法、および実施例は、ただ説明であり、制限することを意図されない。
本明細書において使用される場合、用語「含む(comprise)(三人称単数形を含む)」、「含む(include)(三人称単数形を含む)」、「有すること」、「有する(has)」、「できる」、「含有する(三人称単数形を含む)」およびその変形は、追加の行為または構造の可能性を排除しない、制限のない移行句、用語、または語句であることが意図される。単数形の形態「a」、「and」および「the」は、前後関係が別段明らかに示さない限り、複数の参照物を含む。本開示はまた、明白に記載されるかどうかに関わらず、他の実施形態が、本明細書に提示される実施形態または構成要素を「含むこと」、「からなること」および「本質的にからなること」を企図する。
本明細書における数値範囲の詳述のため、同じ程度の正確さで、間に存在するそれぞれの間にある数が明白に企図される。例えば、6~9の範囲について、数7および8が、6および9に加えて企図され、範囲6.0~7.0について、数6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0が、明白に企図される。
対象である1つまたは複数の値に適用され、本明細書において使用される場合、用語「約」は、言及された参照値と類似する値を指す。ある特定の態様では、用語「約」は、別段規定されるか、または前後関係から別段明らかでない限り、規定の参照値の両方向の20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下にある(このような数が、可能性のある値の100%を超える場合を除く)値の範囲を指す。
「親和性」は、結合ポリペプチドのその標的(すなわち、結合パートナー)への結合の強さを指す。
「アゴニスト」は、受容体に結合し、受容体を活性化して、生物学的応答を生じる実体を指す。「アンタゴニスト」は、アゴニストの作用またはシグナル伝達を遮断するか、または阻害する。「インバースアゴニスト」は、アゴニストのものと反対の作用を引き起こす。アゴニスト、アンタゴニスト、およびインバースアゴニストの活性は、インビトロ、インサイツ、インビボ、またはその組み合わせで決定され得る。
本明細書において使用される場合、「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸および非天然の合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸に類似する様式で機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸模倣物を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝子コードによってコードされるものである。アミノ酸は、lUPAC-IUB生化学命名法によって推奨される、それらの一般的に知られた3文字表記または1文字表記のいずれかによって、本明細書において言及することができる。アミノ酸は、側鎖およびポリペプチド骨格部分を含む。
本明細書で使用される場合、用語「バイオマーカー」は、疾患または状態を同定および/または分類するのに有用である様々な濃度で、対象に存在する天然に存在する生物学的分子を指す。バイオマーカーは、疾患の指標またはマーカーとして使用される遺伝子、タンパク質、ポリヌクレオチド、核酸、リボ核酸、ポリペプチド、または他の生物学的分子を含むことができる。一部の実施形態では、バイオマーカーは、疾患マーカーを含む。例えば、バイオマーカーは、疾患を有する対象において上方制御または下方制御される遺伝子であり得る。別の例として、バイオマーカーは、レベルが、疾患または疾患を発症するリスクを有する対象において増大または減少するポリペプチドであり得る。一部の実施形態では、バイオマーカーは、小分子を含む。一部の実施形態では、バイオマーカーは、ポリペプチドを含む。
用語「対照」、「参照レベル」および「参照」は、本明細書において互換的に使用される。参照レベルは、予め決定された値または範囲であってもよく、測定された結果を評価するためのものに対する基準として利用される。本明細書において使用される場合、「対照群」は、対照の対象群を指す。予め決定されたレベルは、対照群由来のカットオフ値であってもよい。予め決定されたレベルは、対照群由来の平均であってもよい。カットオフ値(または予め決定されたカットオフ値)は、適応指標モデル(AIM)方法論によって決定されてもよい。カットオフ値(または予め決定されたカットオフ値)は、患者群の生物学的試料由来の受診者動作曲線(ROC)解析によって決定されてもよい。生物学的分野において一般的に知られているROC解析は、1つの状態を別の状態から区別する、例えば、CRCを有する患者の同定におけるそれぞれのマーカーの性能を決定する試験の能力の決定である。ROC解析の説明は、P.J. Heagerty et al. (Biometrics 2000, 56, 337-44)において提供され、その開示は、全体が参照により本明細書に取り込まれる。あるいは、カットオフ値は、患者群の生物学的試料の四分位数解析によって決定されてもよい。例えば、カットオフ値は、25~75パーセンタイル範囲の任意の値に対応する値、好ましくは、25パーセンタイル、50パーセンタイルまたは75パーセンタイルに対応する値、より好ましくは、75パーセンタイルに対応する値を選択することによって決定されてもよい。このような統計解析は、当該技術分野で公知の任意の方法を使用して行われてもよく、任意の数の市販のソフトウェアパッケージ(例えば、Analyse-it Software Ltd.、Leeds、UK;StataCorp LP、College Station、TX;SAS Institute Inc.、Cary、NC)を通じて実行することができる。標的またはタンパク質活性についての健常もしくは正常レベルまたは範囲は、標準的な実施に従い定義されてもよい。
用語「発現ベクター」は、所望のタンパク質をコードする核酸配列が挿入されるか、または導入される、当該技術分野で公知の、プラスミド、ウイルス、または別の媒体を示す。
用語「宿主細胞」は、核酸構築物または発現ベクターを用いた形質転換、トランスフェクション、形質導入、結合などしやすい細胞である。宿主細胞は、植物、細菌、酵母、真菌、昆虫、動物などからもたらされ得る。一部の実施形態では、宿主細胞は、大腸菌を含む。
本明細書において使用される場合、「ポリマー」は、ホモポリマー、ヘテロポリマー、ブロックポリマー、コポリマー、ター-ポリマーなど、ならびにそのブレンド、組み合わせ、および混合物を包含することが意図される。ポリマーの例は、5-ビニルテトラゾールモノマー単位を含み、2.0未満の分子量分布を有するポリマーなどの、機能化ポリマーを含むが、これらに限定されない。ポリマーは、スターブロックコポリマー、直鎖ポリマー、分岐ポリマー、高分岐ポリマー、樹枝状ポリマー、コームポリマー、グラフトポリマー、ブラシポリマー、ボトルブラシコポリマーおよび5-ビニルテトラゾールモノマー単位のブロックを含むブロックコポリマーなどの架橋結合した構造の1つまたは複数であるか、または含有してもよい。ポリマーは、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリノルボルネンおよび不飽和結合を有するモノマー含むが、これらに限定されない。例えば、両親媒性コームポリマーは、Mayesら、米国特許出願公開第2007/0087114号および米国特許第6,207,749号に記載され、それぞれの開示が、全体が参照により本明細書に取り込まれる。両親媒性コーム型ポリマーは、疎水性の水不溶性ポリマーから形成される骨格および短い親水性の非細胞結合ポリマーから形成される側鎖を含有する、コポリマーの形態で存在してもよい。他のポリマーの例は、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリアルキレン;ポリクロロプレン;ポリビニルエーテル;例えば、ポリ酢酸ビニル;ポリ塩化ビニルなどのポリビニルハライド;ポリシロキサン;ポリスチレン;ポリウレタン;ポリアクリレート;例えば、ポリ(メチル(メタ)アクリレート)、ポリ(エチル(メタ)アクリレート)、ポリ(n-ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(tert-ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ヘキシル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソデシル(メタ)アクリレート)、ポリ(ラウリル(メタ)アクリレート)、ポリ(フェニル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチル アクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、およびポリ(オクタデシルアクリレート);ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(エチルアクリルアミド)、ポリ(エチルメタクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(n、iso、およびtert-ブチルアクリルアミド)などのポリアクリルアミド;ならびにそのコポリマーおよび混合物を含むが、これらに限定されない。これらのポリマーは、置換、化学基、例えば、アルキル基、アルキレン基の付加、ヒドロキシル化、酸化、および当業者によって日常的になされる他の修飾を含む、有用な誘導体を含んでもよい。ポリマーは、例えば、ポリホスホリコリン、ポリカルボキシベタイン、およびポリスルホベタインなどの双性イオンポリマーを含んでもよい。ポリマーは、ベタイン、カルボキシベタイン、スルホベタイン、オリゴエチレングリコール(OEG)、サルコシン、またはポリエチレングリコール(PEG)の側鎖を有してもよい。例えば、ポリ(オリゴエチレングリコールメタアクリレート)(ポリ(OEGMA))が使用されてもよい。ポリ(OEGMA)は、OEG側鎖に起因して、親水性、水溶性、非ファウリング、無毒性および非免疫原性であってもよい。
本明細書において使用される場合、「ポリヌクレオチド」は、1本鎖もしくは2本鎖であり得るか、または2本鎖と1本鎖配列の両方の一部を含有し得る。ポリヌクレオチドは、核酸、天然もしくは合成DNA、ゲノムDNA、cDNA、RNA、またはハイブリッドであってもよく、ポリヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドとリボ-ヌクレオチドの組み合わせ、ならびにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチンヒポキサンチン、イソシトシン、およびイソグアニンを含む塩基の組み合わせを含有し得る。ポリヌクレオチドは、化学合成方法によって、または組み換え方法によって得ることができる。
「ペプチド」または「ポリペプチド」は、ペプチド結合によって連結された2つ以上のアミノ酸の連結配列である。ポリペプチドは、天然、合成、もしくは修飾または天然と合成の組み合わせであることができる。ペプチドおよびポリペプチドは、結合タンパク質、受容体、および抗体などのタンパク質を含む。用語「ポリペプチド」、「タンパク質」、および「ペプチド」は、本明細書において互換的に使用される。「一次構造」は、特定のペプチドのアミノ酸配列を指す。「二次構造」は、ポリペプチド内の局所的に秩序立った三次元の構造を指す。これらの構造は、ドメイン、例えば、酵素ドメイン、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、ポアドメイン、および細胞質テールドメインとして一般的に知られている。ドメインは、ポリペプチドの小型単位を形成するポリペプチドの部分であり、典型的には、15~350アミノ酸長である。代表的なドメインは、酵素活性またはリガンド結合活性を有するドメインを含む。典型的なドメインは、ベータ-シートおよびアルファ-らせん体の伸長などのより劣った組織化のセクションからなる。「三次構造」は、ポリペプチドモノマーの完全な三次元構造を指す。「四次構造」は、独立した三次単位の非共有結合によって形成された三次元構造を指す。
「レポーター」、「レポーター基」、「標識」および「検出可能な標識」は、本明細書において互換的に使用される。レポーターは、検出可能なシグナルを生じる能力がある。標識は、視覚または機器手段によって検出可能であるシグナルを生じることができる。シグナル形質導入の物理的性質(例えば、蛍光、電気化学、核磁気共鳴(NMR)、および電磁気応答(EPR))ならびにレポーター基の化学的性質が異なる、様々なレポーター基を使用することができる。様々なレポーターは、クロマゲン、蛍光化合物、化学発光化合物、放射性化合物などの、シグナル生成物質を含む。一部の実施形態では、レポーターは、放射標識を含む。レポーターは、光を生じる部分、例えば、アクリジニウム化合物、および蛍光を生じる部分、例えば、フルオレセインを含んでもよい。一部の実施形態では、レポーターからのシグナルは、蛍光シグナルである。レポーターは、フルオロフォアを含んでもよい。フルオロフォアの例は、アクリロダン(6-アクリロイ1-2-ジメチルアミノナフタレン)、バダン(6-ブロモ-アセチル-2-ジメチルアミノ-ナフタレン)、ローダミン、ナフタレン、ダンジルアジリジン、4-[N-[(2-ヨードアセトキシ)エチル]-N-メチルアミノ]-7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾールエステル(IANBDE)、4-[N-[(2-ヨードアセトキシ)エチル]-N-メチルアミノ-7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾール(IANBDA)、フルオレセイン、二フッ化ジピロメタンボロン(BODIPY)、4-ニトロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール(NBD)、Alexa蛍光色素、およびその誘導体を含むが、これらに限定されない。フルオレセイン誘導体は、例えば、5-フルオレセイン、6-カルボキシフルオレセイン、3’6-カルボキシフルオレセイン、5(6)-カルボキシフルオレセイン、6-ヘキサクロロフルオレセイン、6-テトラクロロフルオレセイン、フルオレセイン、およびイソチオシアネートを含んでもよい。
本明細書において使用される場合、「試料」または「試験試料」は、標的の存在および/またはレベルが、検出されるべきであるか、または決定されるべきである、任意の試料を意味し得る。試料は、液体、溶液、エマルジョン、または懸濁液を含み得る。試料は、医学的試料を含み得る。試料は、血液、全血、血漿もしくは血清などの血液の分画、筋肉、間質液、汗、唾液、尿、涙、滑液、骨髄、脳脊髄液、鼻分泌物、痰、羊水、気管支肺胞洗浄液、胃洗浄液、嘔吐、排泄物、肺組織、末梢血単核球、総白血球、リンパ節細胞、脾細胞、扁桃腺細胞、癌細胞、腫瘍細胞、胆汁、消化液、皮膚、またはその組み合わせなどの、任意の生物学的液体あるいは組織を含み得る。一部の実施形態では、試料は、アリコートを含む。他の実施形態では、試料は、生物学的体液を含む。試料は、当該技術分野で公知の任意の手段によって得ることができる。試料は、患者から得て直接使用するか、または濾過、蒸留、抽出、濃縮、遠心分離、妨害成分の相互作用、試薬の添加などの前処理をして、本明細書において考察されるか、またはそうでなければ、当該技術分野で公知であるいくつかの方法で試料の特徴を修飾することができる。
本明細書において使用される場合、用語「感受性」は、真の陽性の数プラス偽陰性の数によって割られた真の陽性の数を指し、感受性(「sens」)は、0<sens<1の範囲内であり得る。理想的には、本明細書における方法の実施形態は、ゼロに等しいか、またはほぼゼロの偽陰性の数を有し、ゆえに、彼らが実際に疾患を有するとき、疾患を有さないと間違って同定される対象はいない。逆に、感受性の補足的測定である、評価は、大抵、陰性を正しく分類するための予測アルゴリズムの能力からなされる。
本明細書において使用される場合、用語「特異性」は、真の陰性の数プラス偽陽性の数によって割られた真の陰性の数を指し、特異性(「spec」)は、0<spec<1の範囲内であり得る。理想的には、本明細書における方法は、ゼロに等しいか、またはほぼゼロの偽陽性の数を有し、ゆえに、彼らが実際に疾患を有さないとき、疾患を有すると間違って同定される対象はいない。ゆえに、1、または100%に等しい感受性と特異性の両方を有する方法が、好ましい。
「特異的に結合する」によって、ポリペプチドが、無作為の無関係の標的に結合するより迅速に標的に結合するとき、標的に結合することを一般的に意味する。
本明細書において使用される場合、「対象」は、1つまたは複数の融合タンパク質を含む、本明細書に記載されるペプチド生体高分子を望むか、または必要とする哺乳類を意味し得る。対象は、ヒトまたは非ヒト動物であってもよい。対象は、哺乳類であってもよい。哺乳類は、霊長類または非霊長類であってもよい。哺乳類は、ヒトなどの霊長類;例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、マウス、ラット、ラクダ、ラマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、およびモルモットなどの非霊長類;または例えば、サル、チンパンジー、ゴリラ、オランウータン、およびテナガザルなどの非ヒト霊長類であり得る。対象は、例えば、成人、青年、または乳児など、任意の年齢または発生のステージのものであってもよい。
「転移」または「相転移」は、熱応答性 ポリペプチドの凝集を指す。相転移は、下限臨界溶解温度(LCST)またはインバース転移温度T^と呼ばれる、特定の温度で急激かつ可逆的に生じる。転移温度未満で、熱応答性ポリペプチド(または熱応答性ポリペプチドを含むポリペプチド)は、高度に可溶性である。転移温度を超えた加熱の際、熱応答性ポリペプチドは、疎水性で崩壊し、凝集し、これにより、別々のゲル様相を形成する。「インバース転移サイクル」は、熱応答性ポリペプチド(または熱応答性ポリペプチドを含むポリペプチド)のためのタンパク質精製方法を指す。タンパク質精製方法は、溶解相および不溶相を通じて溶液をサイクルさせ、これにより、混入物を除去するための熱応答性ポリペプチドの可逆相転移挙動の使用を含んでもよい。
対象の疾患からの保護に言及するとき、「処置」または「処置すること」は、疾患を予防すること、抑制すること、阻止すること、回復させること、または除去することを意味する。疾患を予防することは、疾患の発症前に、本発明の組成物を対象に投与することを含む。疾患を抑制することは、疾患の誘導後だが、その臨床所見の出現前に、本発明の組成物を対象に投与することを含む。疾患を阻止すること、または回復させることは、疾患の臨床所見の出現の後に、本発明の組成物を対象に投与することを含む。
「実質的に同一」は、第一および第二のアミノ酸配列が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100以上の数のアミノ酸の領域にわたり少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%であることを意味し得る。
本明細書において使用される場合、「原子価」は、可能性のある結合単位または結合部位を指す。用語「多価」は、複数の可能性のある結合単位を指す。用語「多量体」および「多価」は、本明細書において互換的に使用される。
ポリヌクレオチドに関して、本明細書において使用される場合、「バリアント」は、(i)参照ヌクレオチド配列の部分もしくはフラグメント;(ii)参照ヌクレオチド配列もしくはその部分の相補鎖;(iii)参照ポリヌクレオチドもしくはその相補鎖と実質的に同一であるポリヌクレオチド;または(iv)参照ポリヌクレオチド、その相補鎖、もしくはそれと実質的に同一の配列に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを意味する。
「バリアント」は、アミノ酸の挿入、欠失、または保存的置換によって、アミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物学的活性を保持する、ペプチドまたはポリペプチドとしてさらに定義することができる。「生物学的活性」の代表的な例は、特異的な抗体もしくはポリペプチドによる結合を受ける能力、または免疫応答を促進する能力を含む。バリアントは、実質的に同一の配列を意味し得る。バリアントは、その機能的フラグメントを意味し得る。バリアントはまた、ポリペプチドの複数のコピーを意味し得る。複数のコピーは、タンデムであるか、またはリンカーによって分けられ得る。バリアントはまた、少なくとも1つの生物学的活性を保持するアミノ酸配列を有する参照ポリペプチドと実質的に同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味し得る。アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を類似の特性(例えば、親水性、荷電領域の程度、および分布)の異なるアミノ酸で置換することは、典型的には、わずかな変化に関与するとして当該技術分野において認識される。これらのわずかな変化は、一部、アミノ酸の疎水性親水性指標を考慮することによって同定することができる。Kyte et al., J. Mol. Biol. 1982, 757, 105-132を参照のこと。アミノ酸の疎水性親水性指標は、その疎水性および電荷の考慮に基づく。類似の疎水性親水性指標のアミノ酸が、置換され、タンパク質機能を保持し得ることは、当該技術分野において公知である。一態様では、±2の疎水性親水性指標を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の疎水性をまた使用して、生物学的機能を保持しているポリペプチドをもたらす置換を明らかにし得る。アミノ酸の親水性のポリペプチドの前後関係への考慮は、参照により本明細書に取り込まれる、米国特許第4,554,101号において考察される通り、抗原性および免疫原性と十分に関連すると報告されている有用な測定である、そのポリペプチドの最大の局所平均親水性の計算を可能にする。類似の親水性の値を有するアミノ酸の置換は、当該技術分野で理解される通り、生物学的活性、例えば、免疫原性を保持しているポリペプチドをもたらし得る。置換は、互いに±2以内の親水性の値を有するアミノ酸を用いて行うことができる。アミノ酸の疎水性指標と親水性の値の両方が、そのアミノ酸の特定の側鎖によって影響される。その観察と一致して、生物学的機能と同等であるアミノ酸置換は、疎水性、親水性、荷電、サイズ、および他の特性によって明らかにされる通り、アミノ酸、特に、そのアミノ酸の側鎖の相対的類似性に基づくことは理解される。
バリアントは、全遺伝子配列の全長またはそのフラグメントにわたり実質的に同一であるポリヌクレオチド配列であり得る。ポリヌクレオチド配列は、遺伝子配列の全長またはそのフラグメントにわたり80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。バリアントは、アミノ酸配列の全長またはそのフラグメントにわたり実質的に同一であるアミノ酸配列であり得る。アミノ酸配列は、アミノ酸配列の全長またはそのフラグメントにわたり80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。
融合タンパク質
本明細書に記載される場合、用語「融合タンパク質」は、少なくとも1つの本質的無秩序ポリペプチドおよび少なくとも1つの他のポリペプチド。融合タンパク質は、少なくとも1つのリンカーを必要に応じて含んでもよい。一態様では、本質的無秩序ポリペプチドは、制御された可逆相分離を有する。
一部の実施形態では、融合タンパク質は、制御された可逆相分離を有する1つより多くのポリペプチドを含む。制御された可逆相分離を有するポリペプチドは、ペプチドモチーフの複数の反復配列を含み得る。融合タンパク質は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも40、少なくとも60、少なくとも80、少なくとも120、少なくとも160、または少なくとも200の制御された可逆相分離を有するポリペプチドまたは制御された可逆相分離を有するペプチドモチーフの反復配列を含んでもよい。融合タンパク質は、30未満、25未満、または20未満の、制御された可逆相分離を有するポリペプチドまたはペプチドモチーフの反復配列を含んでもよい。融合タンパク質は、1~160、1~80、1~60、1~40、1~20、または1~10の、制御された可逆相分離を有するポリペプチドまたはペプチドモチーフの反復配列を含んでもよい。このような実施形態では、制御された可逆相分離を有するポリペプチドは、互いに同じであるか、または異なってもよい。一部の実施形態では、融合タンパク質は、互いにタンデムに位置する、1つより多くの、制御された可逆相分離を有するポリペプチド(例えば、ペプチドモチーフの反復配列)を含む。
一部の実施形態では、融合タンパク質は、1つまたは複数の結合ポリペプチドを含む。融合タンパク質は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、または少なくとも20の結合ポリペプチドを含んでもよい。融合タンパク質は、30未満、25未満、20未満、10未満、または5未満の結合ポリペプチドを含んでもよい。融合タンパク質は、1~30、1~20、または1~10の結合ポリペプチドを含んでもよい。このような実施形態では、結合ポリペプチドは、互いに同じであるか、または異なっていてもよい。一部の実施形態では、融合タンパク質は、互いにタンデムに位置する、1つより多くの結合ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、2~6つの結合ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、2つの結合ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、3つの結合ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、4つの結合ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、5つの結合ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、6つの結合ポリペプチドを含む。
融合タンパク質は、当業者により、宿主細胞において組み換え発現されてもよい。融合タンパク質は、当業者に公知の任意の手段によって精製されてもよい。例えば、融合タンパク質は、液体クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、もしくはアフィニティークロマトグラフィー、またはその組み合わせなどのクロマトグラフィーを使用して精製されてもよい。一部の実施形態では、融合タンパク質は、クロマトグラフィーを用いないで精製される。一部の実施形態では、融合タンパク質は、インバース転移サイクルを使用して精製される。
制御された可逆相分離を有するポリペプチド
制御された可逆相分離を有するポリペプチドは、その下限臨界溶解温度(LCST)未満の温度および/またはその上限臨界溶解温度(UCST)より上の温度で可溶性であり、反復配列アミノ酸配列を含む、CDによって観察される、最小限の二次構造を有するか、または有さない、任意のポリペプチドを含んでもよい。LCSTは、ポリペプチドが混和性であるより下の温度である。UCSTは、ポリペプチドが混和性であるより上の温度である。一部の実施形態では、制御された可逆相分離を有するポリペプチドは、UCST挙動のみを有する。一部の実施形態では、制御された可逆相分離を有するポリペプチドは、LCST挙動のみを有する。一部の実施形態では、制御された可逆相分離を有するポリペプチドは、UCSTとLCST挙動の両方を有する。制御された可逆相分離を有するポリペプチドは、アミノ酸の反復配列を含んでもよい。制御された可逆相分離を有するポリペプチドは、約0℃~約100℃、約10℃~約50℃、または約20℃~約42℃のLCSTを有してもよい。制御された可逆相分離を有するポリペプチドは、約0℃~約100℃、約10℃~約50℃、または約20℃~約42℃のUCSTを有してもよい。一部の実施形態では、制御された可逆相分離を有するポリペプチドは、室温(約25℃)~体温(約37℃)の転移温度を有する。一部の実施形態では、1つまたは複数の熱応答性ポリペプチドを含む融合タンパク質は、室温(約25℃)~体温(約37℃)の転移温度を有する。一部の実施形態では、制御された可逆相分離を有するポリペプチドは、LCSTまたはUCST挙動を有さない。制御された可逆相分離を有するポリペプチドは、1つまたは複数の融合タンパク質を含むペプチド生体高分子が、対象に投与される濃度で、体温より下または体温より上のLCSTまたはUCSTを有してもよい。
一部の実施形態では、制御された可逆相分離を有するポリペプチドは、1つまたは複数の熱応答性ポリペプチドを含む。熱応答性ポリペプチドは、例えば、エラスチン様ポリペプチド(ELP)およびレジリン様タンパク質(RLP)を含んでもよい。
一部の実施形態では、制御された可逆相分離を有するポリペプチドは、複数の、制御された可逆相分離を有するポリペプチドを含む。一態様では、制御された可逆相分離を有するポリペプチドは、2つ以上の、制御された可逆相分離を有するポリペプチドのジブロックである。一態様では、制御された可逆相分離を有するポリペプチドは、レジリン様タンパク質(RLP)とエラスチン様ポリペプチド(ELP)のジブロックを含む。
一実施形態では、制御された可逆相分離を有するポリペプチドは、1つまたは複数のコアポリペプチドを含む。一態様では、コアポリペプチドは、レジリン様ポリペプチド(RLP)である。RLPは、節足動物Rec1-レジリンからもたらされる。Rec1-レジリンは、環境応答性であり、2相転移挙動を示す。熱応答性RLPは、LCSTおよびUCSTを有し得る。適当な熱応答性ポリペプチドのさらなる例は、米国特許出願公開第2012/0121709号および第2015/0112022号に記載され、それぞれが、参照により本明細書に取り込まれる。一実施形態では、RLPポリペプチドは、配列(GRGDSPYS)n(配列番号1)を含む。制御された可逆相分離を有するポリペプチドは、(G1-R2-G3-D4-S5-P6-Y7-S8))n(式中、nは、20~200である)を含むアミノ酸配列を含んでもよい。一部の実施形態では、nは、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、または300である。一部の実施形態では、nは、500未満、400未満、300未満、200未満、または100未満であってもよい。一部の実施形態では、nは、1~500、1~400、1~300、または1~200であってもよい。一部の実施形態では、nは、20、40、60、80、100、120、160、180、または200である。一態様では、nは、20~200の反復配列である。一態様では、nは、20~60の反復配列である。
熱応答性ポリペプチドは、相転移を有してもよい。熱応答性ポリペプチドは、相転移特徴を構造化されていないポリペプチドまたは融合タンパク質に与え得る。「相転移」または「転移」は、下限臨界溶解温度(LCST)またはインバース転移温度(Tt)と呼ばれる、特定の温度で急激かつ可逆的に生じる、熱応答性ポリペプチドの凝集を指してもよい。転移温度未満(LCSTまたはTt)で、熱応答性ポリペプチド(または熱応答性ポリペプチドを含むポリペプチド)は、高度に可溶性であってもよい。転移温度を超えた加熱の際、熱応答性ポリペプチドは、疎水性で崩壊し、凝集し、これにより、別々のゲル様相を形成し得る。
熱応答性ポリペプチドは、様々な温度および濃度で相転移し得る。熱応答性ポリペプチドは、例えば、結合ポリペプチドの結合または有効性に影響し得ない。熱応答性ポリペプチドは、融合タンパク質が、使用者によって任意の数の所望の転移温度、分子量、およびフォーマットに切断されることを可能にし得る。
熱応答性ポリペプチドは、インバース相転移挙動を示し、したがって、熱応答性ポリペプチドを含む融合タンパク質は、インバース相転移挙動を示し得る。インバース相転移挙動を使用して、融合タンパク質の徐(遅延)放のため、対象の組織内で薬物デポーを形成してもよい。インバース相転移挙動はまた、インバース転移サイクルを使用した融合タンパク質の精製を可能にし、これにより、クロマトグラフィーの必要性を取り除くことが可能になり得る。
本明細書に記載される一実施形態は、
(X-Z1-X-Z2-Z3-X-Z4-Z3n
(式中、
Xは、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比は、任意の数であり;
1は、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比は、任意の数であり、K:Rの比は、任意の数であり得;
2は、Asp(D)、Arg(R)、Glu(E)であり、R:Dの比は、任意の数であり得、D:Eは、任意の数であり得;
3は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、またはスレオニン(T)であり、N:Q:S:Tの間の比は、任意の数であり得;
4は、チロシン(Y)、ヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、バリン(V)、イソロイシン(I)、アラニン(A)、またはロイシン(L)であり、Y:H:W:F:M:V:I:A:Lの間の比は、任意の数であり得る)を含むアミノ酸配列の10以上の反復配列を含む制御された可逆相分離を有するポリペプチドである。
一態様では、Xは、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比は、1:3~3:1である。別の態様では、Z1は、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比は、1:5を超えず、K:Rの比は、任意の数であり得る。別の態様では、相分離は、温度、分子量、疎水性、芳香族:脂肪族の比、および濃度に依存する。別の態様では、nは、10~200である。別の態様では、分子量は、少なくとも5kDa~500kDaである。別の態様では、分子量は、約5kDa~約100kDaである。別の態様では、相分離温度は、0~100℃である。別の態様では、相分離温度は、4~25℃、約25℃、25~37℃、約37℃、35~38℃、または>38℃である。別の態様では、ポリペプチドは、改変アミノ酸、レポータータンパク質、または酵素を含む。別の態様では、配列は、(G-R-G-D-S-P-Y-S)m(式中、mは、20~80である)を含む。別の態様では、ポリペプチドは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、141、143、145、147、149、151、153、155、157、もしくは197~279、またはその組み合わせの1つまたは複数から選択される配列を含む。
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結合ポリペプチド
結合ポリペプチド(または「標的化ポリペプチド」)は、少なくとも1つの標的に結合する能力がある任意のポリペプチドを含んでもよい。結合ポリペプチドは、少なくとも1つの標的に結合してもよい。「標的」は、結合ポリペプチドが結合する能力がある実体であってもよい。標的は、例えば、別のポリペプチド、細胞表面受容体、炭水化物、抗体、小分子、またはその組み合わせを含んでもよい。標的は、バイオマーカーであってもよい。標的は、アゴニズムを通じて活性化されるか、またはアンタゴニズムを介して遮断されてもよい。結合ポリペプチドは、標的に特異的に結合してもよい。標的に結合することによって、結合ポリペプチドは、標的化部分、アゴニスト、アンタゴニスト、またはその組み合わせとして作用してもよい。一部の実施形態では、結合ポリペプチドドメインが結合する。
結合ポリペプチドは、標的に結合するモノマーであってもよい。モノマーは、1つまたは複数の標的に結合してもよい。結合ポリペプチドは、オリゴマーを形成してもよい。結合ポリペプチドは、同じまたは異なる結合ポリペプチドを有するオリゴマーを形成してもよい。オリゴマーは、標的に結合してもよい。オリゴマーは、1つまたは複数の標的に結合してもよい。オリゴマー内の1つまたは複数のモノマーは、1つまたは複数の標的に結合してもよい。一部の実施形態では、融合タンパク質は、多価である。一部の実施形態では、融合タンパク質は、複数の標的に結合する。一部の実施形態では、結合ポリペプチド単独の活性は、融合タンパク質の部分であるとき、結合タンパク質の活性と同じである。
一態様では、結合ポリペプチドは、スタフィロコッカスタンパク質A(ZD)由来の抗体結合ドメイン(配列番号159)、LL37(配列番号161)、Ib-M1(配列番号163)、Ib-M2(配列番号165)、Ib-M5(配列番号167)、カテリシジン-1(配列番号169)、A(A1R、A8R、I17K)(配列番号171)、H5(配列番号173)、H5-61-90(配列番号175)から選択される抗菌ペプチド;RGDペプチド(RGDSPAS、配列番号39);タンパク質薬、GLP-1(配列番号177);蛍光レポーター(sfGFP(配列番号179)、mRuby3(配列番号181);RNA結合タンパク質(PUM-HD(配列番号183)、eIF4E(配列番号185)、PABP(配列番号187)、Tis11D(配列番号189));KHドメイン(YifanもしくはFMRP(配列番号191));またはAAV結合ペプチドPKD1(配列番号193)もしくはPKD2(配列番号195)の1つまたは複数を含む。
リンカー
一部の実施形態では、融合タンパク質は、少なくとも1つのリンカーをさらに含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、1つより多くのリンカーを含む。このような実施形態では、リンカーは、互いに同じか、または異なってもよい。融合タンパク質は、リンカーを含まない、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、または少なくとも100のリンカーを含んでもよい。融合タンパク質は、500未満、400未満、300未満、または200未満のリンカーを含んでもよい。融合タンパク質は、1~1000、10~900、10~800、または5~500のリンカーを含んでもよい。
リンカーは、結合ポリペプチドと制御された可逆相分離を有するポリペプチドの間、結合ポリペプチドの間、制御された可逆相分離を有するポリペプチドの間、またはその組み合わせに位置してもよい。複数のリンカーは、互いに隣接して位置してもよい。複数のリンカーは、互いに隣接して、結合ポリペプチドと制御された可逆相分離を有するポリペプチドの間に位置してもよい。
リンカーは、任意のアミノ酸配列および長さのポリペプチドであってもよい。リンカーは、スペーサーペプチドとして作用してもよい。リンカーは、ポリペプチドドメイン間で生じてもよい。リンカーは、結合ドメインの活性を保存しながら、結合ポリペプチドの結合ドメインを十分に分離し得る。一部の実施形態では、リンカーは、荷電アミノ酸を含む。一部の実施形態では、リンカーは、可動性である。一部の実施形態では、リンカーは、少なくとも1つのグリシンおよび少なくとも1つのセリンを含む。一部の実施形態では、リンカーは、少なくとも1つのプロリンを含む。
ポリヌクレオチド
本明細書に詳述される融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドが、さらに提供される。ベクターは、本明細書に詳述される融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含んでもよい。ポリペプチドの発現を得るために、典型的には、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、転写、転写/翻訳ターミネーター、およびタンパク質をコードする核酸の場合、転写開始のためのリボソーム結合部位を指示するためのプロモーターを含有する発現ベクターにサブクローニングする。ベクターの例は、pET24である。適当な細菌プロモーターは、当該技術分野において周知である。本明細書において詳述される融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを用いて形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞が、さらに提供される。タンパク質を発現するための細菌発現系は、例えば、大腸菌、バチルス種、およびサルモネラにおいて利用可能である(Paiva et al., Gene 1983, 22, 229-235;Mosbach et al., Nature 1983, 302, 543-545)。この様な発現系のためのキットは、市販されている。哺乳類細胞、酵母、および昆虫細胞のための真核生物発現系は、当該技術分野において周知であり、市販されている。レトロウイルス発現系は、本発明において使用することができる。一部の実施形態では、融合タンパク質は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、141、143、145、147、149、151、153、155、157、または197~279の1つまたは複数の反復配列または単一配列を含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、または158のいずれか1つのポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの1つまたは複数の反復配列または単一配列を含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、配列番号284、286、288、290、292、294、296、298、300、302、304、306、308、310、312、314、または316のいずれか1つのアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
投与
本明細書において詳述される1つまたは複数の融合タンパク質を含むペプチド生体高分子を、医薬分野において当業者に周知の標準的な技術に従い製剤して、治療剤または標的化デリバリー剤を形成することができる。1つまたは複数の融合タンパク質を含むペプチド生体高分子を含むこの様な組成物は、投薬量かつ年齢、性別、体重、および特定の対象の状態、ならびに投与経路などの因子を考慮して、医薬分野における当業者に周知の技術によって投与することができる。
1つまたは複数の融合タンパク質を含むペプチド生体高分子は、予防または治療投与することができる。予防投与において、ペプチド生体高分子は、応答を誘導するのに十分な量で投与することができる。治療適用において、ペプチド生体高分子は、治療効果を誘発するのに十分な量でそれを必要とする対象に投与される。これを達成するために十分な量は、「治療有効量」として定義される。この使用に有効な量は、例えば、投与されるペプチド生体高分子レジームの特定の組成物、投与様式、疾患のステージおよび重症度、患者の一般的な健康状態、ならびに医師の判断に依存する。
ペプチド生体高分子は、それぞれの内容が、全体が参照により本明細書に取り込まれる、Donnelly et al. Ann. Rev. Immunol. 1997, 75, 617-648;Feignerら、米国特許第5,580,859号;Feigner、米国特許第5,703,055号;およびCarsonら、米国特許第5,679,647号に記載される通り、当該技術分野で周知の方法によって投与することができる。ペプチド生体高分子は、例えば、ワクチン銃を使用して、個体に投与することができる粒子またはビーズに複合体形成することができる。当業者は、生理的に許容し得る化合物を含む、薬学的に許容し得る担体の選択が、例えば、投与経路に依存することを知っている。
ペプチド生体高分子は、様々な経路を介して送達することができる。典型的な送達経路は、非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、または皮下送達を含む。他の経路は、経口投与、鼻腔内、膣内、経皮、静脈内、動脈内、腫瘍内、腹腔内、および表皮経路を含む。一部の実施形態では、ペプチド生体高分子は、対象に静脈内、動脈内、または腹腔内投与される。
ペプチド生体高分子は、懸濁剤、シロップ剤、またはエリキシル剤などの液体調製物であり得る。ペプチド生体高分子は、リポソーム、微粒子、または他のポリマーマトリックス(例えば、その内容が、全体が参照により本明細書に取り込まれる、Feignerら、米国特許第5,703,055号;Gregoriadis, Liposome Technology, Vols. I to III (2nd ed. 1993)に記載される方法によってなど)に取り込むことができる。リポソームは、リン脂質または他の脂質からなり得、作製し、投与するために比較的単純である無毒性の生理的に許容し得る代謝可能な担体であり得る。
一部の実施形態では、ペプチド生体高分子は、制御放出製剤において投与される。一部の実施形態では、ペプチド生体高分子が、投与前に可溶性のままであり、ペプチド生体高分子が、対象におけるゲル様デポーへの投与の際に転移するように、ペプチド生体高分子は、1つまたは複数の熱応答性ポリペプチド、転移温度を有する熱応答性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、融合タンパク質が、室温で可溶性のままであり、融合タンパク質が、対象におけるゲル様デポーへの投与の際に転移するように、ペプチド生体高分子は、1つまたは複数の熱応答性ポリペプチド、転移温度を有する熱応答性ポリペプチドを含む1つまたは複数の融合タンパク質を含む。例えば、一部の実施形態では、融合タンパク質は、1つまたは複数の熱応答性ポリペプチド、室温(約25℃)と体温(約37℃)の間の転移温度を有する熱応答性ポリペプチドを含み、これにより、融合タンパク質は、デポーを形成するよう投与することができる。本明細書で使用される場合、「デポー」は、経時的に融合タンパク質を放出する、融合タンパク質を含むゲル様組成物を指す。一部の実施形態では、ペプチド生体高分子は、デポー(コアセルベート)を形成するよう皮下または腫瘍内注射することができる。デポーは、ペプチド生体高分子の徐(遅延)放をもたらし得る。デポーは、ペプチド生体高分子の循環または腫瘍などへの低速放出をもたらし得る。一部の実施形態では、ペプチド生体高分子は、少なくとも約1日、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、少なくとも約1週間、少なくとも約1.5週間、少なくとも約2週間、少なくとも約2.5週間、少なくとも約3.5週間、少なくとも約4週間、または少なくとも約1月の期間にわたり、デポーから放出され得る。
検出
本明細書で使用される場合、用語「検出する」または「存在を決定する」は、検出不可能な低濃度、標準濃度、または高濃度の1つまたは複数のペプチド生体高分子、標的、または標的に結合したペプチド生体高分子の定性的な測定を指す。検出は、インビトロ、エクスビボ、またはインビボ検出を含んでもよい。検出は、1つまたは複数のペプチド生体高分子または標的を含む1つまたは複数のペプチド生体高分子の存在対1つまたは複数のペプチド生体高分子または標的の不存在を検出することを含んでもよい。検出はまた、1つまたは複数のペプチド生体高分子または標的のレベルの定量を含んでもよい。用語「定量する」または「定量」は、互換的に使用され得、相対または絶対に関わらず、物質(例えば、ペプチド生体高分子または標的)の量または存在量を決定するプロセスを指し得る。任意の適当な検出方法は、本開示の一般的な範囲にある。一部の実施形態では、ペプチド生体高分子は、検出のため、それに結合したレポーターを含む。一部の実施形態では、ペプチド生体高分子は、レポーターを用いて標識される。一部の実施形態では、標的に結合したペプチド生体高分子の検出は、ウエスタンブロットでのバンドの強度、フローサイトメトリー、放射標識画像化、細胞結合アッセイ、活性アッセイ、SPR、イムノアッセイを含むが、これらに限定されない方法によって、または当該技術分野で公知の様々な他の方法によって決定されてもよい。
ペプチド生体高分子が、標的を結合および/または検出するための抗体模倣物であるものを含む、一部の実施形態では、任意のイムノアッセイが利用されてもよい。イムノアッセイは、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、フォワードもしくはリバース競合的阻害アッセイなどの、競合的阻害アッセイ、蛍光編光アッセイ、または競合的結合アッセイなどであってもよい。ELISAは、サンドイッチELISAであってもよい。fペプチド生体高分子の標的への特異的な免疫学的結合は、ペプチド生体高分子に結合した直接的標識を介して、またはアルカリホスファターゼもしくは西洋ワサビペルオキシダーゼなどの間接的標識を介して検出することができる。固定ペプチド生体高分子の使用は、イムノアッセイに取り込まれてもよい。ペプチド生体高分子は、磁気またはクロマトグラフィーマトリックス粒子、アッセイプレートの表面(例えば、マイクロタイターウェル)、固体基質材料のピースなどのような様々な支持体に固定されてもよい。アッセイストリップは、ペプチド生体高分子または複数のペプチド生体高分子を固体支持体上のアレイにコーティングすることによって調製することができる。次いで、このストリップは、試験生物学的試料に浸漬され、次いで、洗浄および検出工程を通じて迅速に処理されて、カラーのスポットなどの測定可能なシグナルを生じ得る。
疾患の処置方法
本発明は、それを必要とする対象における疾患を治療する方法に関する。方法は、対象に、有効量の、本明細書に記載される1つまたは複数のペプチド生体高分子を含むペプチド生体高分子を投与することを含み得る。疾患は、癌、代謝性疾患、自己免疫疾患、心血管疾患、および整形外科的障害から選択されてもよい。一部の実施形態では、疾患は、少なくとも1つの結合ポリペプチドの標的と関連する疾患である。
代謝性疾患は、身体における異常な化学反応が、正常な代謝プロセスを変更するとき、生じ得る。代謝性疾患は、例えば、インスリン抵抗性、非アルコール性脂肪肝疾患、2型糖尿病、インスリン抵抗性疾患、心血管疾患、動脈硬化、脂質関連代謝障害、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、およびグルコース代謝障害を含んでもよい。
自己免疫疾患は、身体に通常存在する物質および組織に対する身体の異常な免疫応答から生じる。自己免疫疾患は、ループス、関節リウマチ、多発性硬化症、インスリン依存性糖尿病、重症筋無力症、グレーブス病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、グッドパスチャー症候群、尋常性天疱瘡、急性リウマチ熱、連鎖球菌感染後糸球体腎炎、結節性多発性動脈炎、心筋炎、乾癬、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、および線維筋痛を含むが、これらに限定されない。
心血管疾患は、心臓または血管に関与する疾患の種類である。心血管疾患は、例えば、狭心症および心筋梗塞(心臓発作)などの冠動脈疾患(CAD)、脳卒中、高血圧性心疾患、リウマチ性心疾患、心筋症、心不整脈、先天性心疾患、心臓弁膜症、心炎、大動脈瘤、末梢動脈障害、および静脈血栓症を含み得る。
整形外科的障害または筋骨格障害は、身体の関節、靭帯、筋肉、神経、腱、ならびに肢、首、および背中を支持する構造における損傷または痛みである。整形外科的障害は、痛みを引き起こし、正常な活動を損なう、変性疾患および炎症状態を含み得る。整形外科的障害は、例えば、手根管症候群、上顆炎、および腱炎を含み得る。癌は、乳癌、結腸直腸癌、大腸癌、肺癌、前立腺癌、精巣癌、脳癌、皮膚癌、直腸癌、胃癌、食道癌、肉腫、気管癌、頭頸部癌、膵臓癌、肝臓癌、卵巣癌、リンパ系の癌、子宮頚癌、外陰癌、メラノーマ、中皮腫、腎臓癌、膀胱癌、甲状腺癌、骨癌、癌腫、肉腫、および軟部組織癌を含み得るが、これらに限定されない。一部の実施形態では、癌は、結腸直腸癌である。一部の実施形態では、癌は、結腸直腸腺癌である。
タンパク質治療の1つの適用は、癌処置である。特定の実施形態では、本発明は、対象である腫瘍学的標的のための抗体模倣物の開発においてスキャフォールドタンパク質を使用する方法を提供する。スキャフォールドタンパク質の出現に関して、操作は、立体上および構造上の制限によって妨げられない、強力なタンパク質薬を設計する可能性がある。強力なタンパク質薬は、診断または処置に非常に貴重であり得るが、標的領域への守備良い送達は、大きな課題を持ち出し得る。
疾患の診断方法
疾患の診断方法が、本明細書において提供される。方法は、対象に、本明細書に記載される1つまたは複数の融合タンパク質を含むペプチド生体高分子を投与すること、およびペプチド生体高分子の標的への結合を検出して、対象における標的の存在を決定することを含んでもよい。標的の存在は、対象における疾患を示し得る。他の実施形態では、方法は、対象由来の試料を、本明細書に記載されるペプチド生体高分子と接触させること、試料における標的のレベルを決定すること、および試料における標的のレベルを標的の対照レベルと比較することを含んでもよく、対照レベルと異なる標的のレベルは、対象における疾患を示す。一部の実施形態では、疾患は、上で詳述された、癌、代謝性疾患、自己免疫疾患、心血管疾患、および整形外科的障害から選択される。一部の実施形態では、標的は、疾患マーカーまたはバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、標的を結合または検出するための抗体模倣物として作用し得る。
標的の存在の決定方法
試料における標的の存在の決定方法が、本明細書において提供される。方法は、試料を、本明細書に記載される1つまたは複数の融合タンパク質を含むペプチド生体高分子と、複合体がペプチド生体高分子と試料における標的との間で形成することを可能にする条件下で接触させること、および複合体の存在を検出することを含んでもよい。複合体の存在は、試料における標的の指標であり得る。一部の実施形態では、ペプチド生体高分子は、検出のためレポーターを用いて標識される。
一部の実施形態では、試料は、対象から得られ、方法は、対象の処置の有効性を診断すること、予知すること、または評価することをさらに含む。方法が、対象の処置の有効性を評価することを含むとき、次いで、方法は、有効性を改善する必要に応じて、対象の処置を改変することをさらに含んでもよい。
処置の有効性の決定方法
それを必要とする対象における処置の有効性の決定方法が、本明細書において提供される。方法は、対象由来の試料を、本明細書において詳述される融合タンパク質を含むペプチド生体高分子と、複合体が、ペプチド生体高分子と試料における標的の間で形成することを可能にする条件下で接触すること、試料における複合体のレベルを決定することであって、複合体のレベルは、試料における標的のレベルの指標である、こと、および試料における標的のレベルを標的の対照レベルと比較することであって、標的のレベルが、対照レベルと異なる場合、処置は、疾患の処置において有効である、または無効であると決定される、ことを含んでもよい。
時間点は、疾患の発症前、療法の投与前、療法の投与中の様々な時間点、および療法が行われた後、またはその組み合わせを含んでもよい。1つまたは複数の融合タンパク質を含むペプチド生体高分子の対象への投与の際、ペプチド生体高分子は、標的に結合し得、標的の存在は、様々な時間点での対象における疾患の存在を示す。一部の実施形態では、標的は、疾患マーカーまたはバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、ペプチド生体高分子は、標的を結合および/または検出するための抗体模倣物として作用し得る。様々な時間点でのペプチド生体高分子の標的への結合の比較は、疾患が進行しているかどうか、疾患が進んだかどうか、療法が、疾患を処置または予防するために働いているかどうか、またはその組み合わせを示し得る。
一部の実施形態では、対照レベルは、対象が処置を開始する前またはその期間中の時間点での対象におけるレベルに対応し、試料は、後の時間点で対象から採取される。一部の実施形態では、試料は、対象が処置を受けている期間中の時間点で対象から採取され、対照レベルは、疾患のないレベル、または対象が処置を開始する期間前の時間点でのレベルに対応する。一部の実施形態では、方法は、処置が、疾患の処置において無効であると決定されるとき、処置を改変すること、または対象に異なる処置を投与することをさらに含む。
本明細書に記載される組成物、製剤、方法、プロセス、および適用への適当な改変および適合が、任意の実施形態の範囲またはその態様から逸脱することなくなされ得ることは、当業者に明らかである。提供される組成物および方法は、例示であり、特定の実施形態のいずれかの範囲を制限することは意図されない。本明細書において開示される様々な実施形態、態様、およびオプションの全ては、任意のバリエーションまたは相互作用で組み合わせることができる。本明細書に記載される組成物、製剤、方法、およびプロセスの範囲は、本明細書に記載される実施形態、態様、オプション、実施例、および好ましいものの全ての実際または可能性のある組み合わせを含む。本明細書に記載される組成物および製剤の例は、任意の成分を省略するか、本明細書において開示される任意の成分を置換するか、または本明細書のどこかで開示される任意の成分を含んでもよい。本明細書において開示される組成物または製剤のいずれかの任意の成分の質量の、製剤中の任意の他の成分の質量または製剤中の他の成分の合計質量に対する比は、あたかもそれらが、明確に明らかにされたかのように、本明細書により開示される。参照によって取り込まれる特許または刊行物のいずれかにおける任意の用語の意味は、本開示において使用される用語の意味と矛盾すると、本開示における用語または語句の意味が、支配する。さらに、前述の考察は、単に例示としての実施形態を明らかにし、記載する。本明細書において引用される全ての特許および刊行物は、その具体的な教示のため、本明細書において参照により取り込まれる。
本明細書に記載される本発明の様々な実施形態および態様は、以下の項によって概説される。
項1 (X-Z1-X-Z2-Z3-X-Z4-Z3n
(式中、
Xは、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比は、任意の数であり;
1は、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比は、任意の数であり、K:Rの比は、任意の数であり得;
2は、Asp(D)、Arg(R)、Glu(E)であり、R:Dの比は、任意の数であり得、D:Eは、任意の数であり得;
3は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、またはスレオニン(T)であり、N:Q:S:Tの間の比は、任意の数であり得;
4は、チロシン(Y)、ヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、バリン(V)、イソロイシン(I)、アラニン(A)、またはロイシン(L)であり、Y:H:W:F:M:V:I:A:Lの間の比は、任意の数であり得る)を含むアミノ酸配列の10以上の反復配列を含む、制御された可逆相分離を有するポリペプチド。
項2 Xが、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比が、1:3~3:1である、項1に記載のポリペプチド。
項3 Z1が、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比が、1:5を超えず、K:Rの比が、任意の数であり得る、項1または2に記載のポリペプチド。
項4 相分離が、温度、分子量、疎水性、芳香族:脂肪族の比、および濃度に依存する、項1~3のいずれか1項に記載のポリペプチド。
項5 nが、10~200である、項1~4のいずれか1項に記載のポリペプチド。
項6 分子量が、少なくとも5kDa~500kDaである、項1~5のいずれか1項に記載のポリペプチド。
項7 分子量が、約5kDa~約100kDaである、項1~6のいずれか1項に記載のポリペプチド。
項8 相分離温度が、0~100℃である、項1~7のいずれか1項に記載のポリペプチド。
項9 相分離温度が、4~25℃、約25℃、25~37℃、約37℃、35~38℃、または>38℃である、項1~8のいずれか1項に記載のポリペプチド。
項10 ポリペプチドが、改変アミノ酸、レポータータンパク質、または酵素を含む、項1~9のいずれか1項に記載のポリペプチド。
項11 配列が、
(G-R-G-D-S-P-Y-S)m
(式中、mは、20~80である)を含む、項1~10のいずれか1項に記載のポリペプチド。
項12 配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、141、143、145、147、149、151、153、155、157、もしくは197~279、またはその組み合わせの1つまたは複数から選択される配列を含む、項1~11のいずれか1項に記載のポリペプチド。
項13 (X-Z1-X-Z2-Z3-X-Z4-Z3n
(式中、
Xは、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比は、任意の数であり;
1は、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比は、任意の数であり、K:Rの比は、任意の数であり得;
2は、Asp(D)、Arg(R)、Glu(E)であり、R:Dの比は、任意の数であり得、D:Eは、任意の数であり得;
3は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、またはスレオニン(T)であり、N:Q:S:Tの間の比は、任意の数であり得;
4は、チロシン(Y)、ヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、バリン(V)、イソロイシン(I)、アラニン(A)、またはロイシン(L)であり、Y:H:W:F:M:V:I:A:Lの間の比は、任意の数であり得る)を含むアミノ酸配列の10以上の反復配列を含む制御された可逆相分離を有するポリペプチドを含む薬学的に許容し得る組成物。
項14 Xが、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比が、1:3~3:1である、項13に記載の組成物。
項15 Z1が、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比が、1:5を超えず、K:Rの比が、任意の数であり得る、項13または14に記載の組成物。
項16 スタフィロコッカスタンパク質A(ZD)由来の抗体結合ドメイン(配列番号159)、LL37(配列番号161)、Ib-M1(配列番号163)、Ib-M2(配列番号165)、Ib-M5(配列番号167)、カテリシジン-1(配列番号169)、A(A1R、A8R、I17K)(配列番号171)、H5(配列番号173)、H5-61-90(配列番号175)から選択される抗菌ペプチド;RGDペプチド(RGDSPAS、配列番号39);タンパク質薬、GLP-1(配列番号177);蛍光レポーター(sfGFP(配列番号179)、mRuby3(配列番号181);RNA結合タンパク質(PUM-HD(配列番号183)、eIF4E(配列番号185)、PABP(配列番号187)、Tis11D(配列番号189));KHドメイン(YifanもしくはFMRP(配列番号191));またはAAV結合ペプチドPKD1(配列番号193)もしくはPKD2(配列番号195)の1つまたは複数を含む結合分子をさらに含む、項13~15のいずれか1項に記載の組成物。
項17 遊離形態の結合分子と比較して、結合分子のバイオアベイラビリティを増強する、項13~16のいずれか1項に記載の組成物。
項18 遊離形態の結合分子と比較して、結合分子の発現を増強する、項13~17のいずれか1項に記載の組成物。
項19 遊離形態の結合分子と比較して、結合分子の安定性を増強する、項13~18のいずれか1項に記載の組成物。
項20 遊離形態の結合分子と比較して、原核生物および真核生物の発現中の結合分子の安定性を増強する、項19に記載の組成物。
項21 安定性の増強が、凍結、解凍、または凍結乾燥中の変性に対する抵抗性を含む、項19または20に記載の組成物。
項22 細胞または生物内の酵素機能、代謝機能、または生理学的機能を調節する、項13~21のいずれか1項に記載の組成物。
項23 調節が、結合分子のバイオアベイラビリティを低減する、項22に記載の組成物。
項24 結合分子が、治療もしくは細胞毒性タンパク質またはペプチドを含む、項23に記載の組成物。
項25 タンパク質のバイオアベイラビリティまたは安定性を増強する方法であって、1つまたは複数のタンパク質と、
(X-Z1-X-Z2-Z3-X-Z4-Z3n
(式中、
Xは、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比は、任意の数であり;
1は、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比は、任意の数であり、K:Rの比は、任意の数であり得;
2は、Asp(D)、Arg(R)、Glu(E)であり、R:Dの比は、任意の数であり得、D:Eは、任意の数であり得;
3は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、またはスレオニン(T)であり、N:Q:S:Tの間の比は、任意の数であり得;
4は、チロシン(Y)、ヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、バリン(V)、イソロイシン(I)、アラニン(A)、またはロイシン(L)であり、Y:H:W:F:M:V:I:A:Lの間の比は、任意の数であり得る)を含むアミノ酸配列の10以上の反復配列を含む制御された可逆相分離を有するポリペプチドの融合タンパク質を作ることを含む方法。
項26 Xが、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比が、1:3~3:1である、項25に記載の方法。
項27 Z1が、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比が、1:5を超えず、K:Rの比が、任意の数であり得る、項25または26に記載の方法。
項28 タンパク質が、スタフィロコッカスタンパク質A(ZD)由来の抗体結合ドメイン(配列番号159)、LL37(配列番号161)、Ib-M1(配列番号163)、Ib-M2(配列番号165)、Ib-M5(配列番号167)、カテリシジン-1(配列番号169)、A(A1R、A8R、I17K)(配列番号171)、H5(配列番号173)、H5-61-90(配列番号175)から選択される抗菌ペプチド;RGDペプチド(RGDSPAS、配列番号39);タンパク質薬、GLP-1(配列番号177);蛍光レポーター(sfGFP(配列番号179)、mRuby3(配列番号181);RNA結合タンパク質(PUM-HD(配列番号183)、eIF4E(配列番号185)、PABP(配列番号187)、Tis11D(配列番号189));KHドメイン(YifanもしくはFMRP(配列番号191));またはAAV結合ペプチドPKD1(配列番号193)もしくはPKD2(配列番号195)の1つまたは複数を含む、項25~27のいずれか1項に記載の方法。
項29 融合タンパク質の増強されたバイオアベイラビリティを、生物学的分子の単離または分離のため使用することができる、項25~28のいずれか1項に記載の方法。
項30 生物学的分子が、脂質、細胞、タンパク質、核酸、炭水化物、またはウイルス粒子の1つまたは複数を含む、項25~26のいずれか1項に記載の方法。
項31 核酸が、1本鎖もしくは2本鎖DNAまたはRNAである、項30に記載の方法。
項32 ウイルス粒子が、アデノウイルス粒子、アデノ随伴ウイルス粒子、レンチウイルス粒子、レトロウイルス粒子、ポックスウイルス粒子、麻疹ウイルス粒子、またはヘルペスウイルス粒子である、項30に記載の方法。
項33 タンパク質が、アルブミン、モノクローナルIgG抗体、またはFc融合抗体を含む、項30に記載の方法。
項34 単離または分離が、可逆相分離を介して達成される、項29に記載の方法。
(実施例1)
人工無秩序タンパク質を使用した細胞内凝縮体の新規操作
本発明者らは、どのようにして相挙動がポリペプチドにおいてコードされるかを理解するために異なる補足的なアプローチをとった。下限および上限臨界溶解温度(LCST/UCST)相挙動を示す合成ポリマーから類推し着想を得て、本発明者らは、ネイティブIDPの配列空間を系統的にスキャンすることによって、ペプチドモチーフの多くの反復配列からなる高分子にポリマー化したとき、LCSTまたはUCST相挙動を与える最小限のペプチドモチーフの同定に着手した。LCST/UST相挙動を示すネイティブIDPと比較して、これらの反復ポリペプチドの配列の複雑さが大いに低減されていたので、次いで、本発明者らは、配列に沿って系統的に生じるアミノ酸反復配列モチーフを合理的に変化させた。LCSTとUCST相挙動の両方を示すよう、これらの反復ポリペプチドを合理的に設計し、それらの相挙動を、反復配列モチーフのアミノ酸変異によって系統的に調節することができる。これらの人工ポリペプチドはまた、ネイティブIDPと同じ、細胞内部の相分離の基本的な原理を示す。
天然の組成物である膜のない小器官IDPと同様に、これらの研究からの、反復ポリペプチドにおいて相分離をもたらす要因の発見的な知識を情報として得たところで、本発明者らは、細胞に新たな機能性を与えるために、生きた細胞において相分離を示す人工IDP(A-IDP)を作ることに着手した。本発明者らの設計は、膜のない小器官の重要な構成要素であるIDPと化学的に類似する、UCST相挙動を示すことが知られているドロソフィア・メラノガステル(Drosophila melanogaster)Rec-1 Resilinから着想を得た配列である(G1-R2-G3-D4-S5-P6-Y7-S8XX(式中、xxは、20~80の反復配列数である)を用いて始めた(図1A)。この配列は、UCST相挙動を示し、それは、LCST相挙動より、ネイティブIDPの間でずっとより一般的であると思われるので、本発明者らは、その配列を正確に選択する。したがって、本発明者らは、親(G1-R2-G3-D4-S5-P6-Y7-S8XXモチーフの反復配列およびこのモチーフの合理的なアミノ酸変異を有するバリアントからなる63種のA-IDPのセットを作った。本発明者らは、様々なアミノ酸変異および鎖構造に対する修飾の、同型の液体と液体の相分離に対する効果を定量することができる、63種のIDPのこのセットについてUCST相挙動を特徴付けた。
次いで、本発明者らは、このライブラリー由来のA-IDPのサブセットを使用して、生きている細胞における細胞内凝縮体を操作した。これらのA-IDPについての細胞内凝縮体の挙動は、驚くほど予測可能であり、調節可能であると判明し、それらの細胞質溶解性および周囲環境とのそれらの相互作用に対してダイナミック制御可能であった。これらの知見を利用し、本発明者らは、操作した凝縮体内の触媒効率を、A-IDPのMWを調節することによって遺伝的にコードすることができる、酵素を隔離することができる細胞内液滴を作った。
材料および方法
pET24+ベクターをNovagen(Madison、WI)から購入した。対象である反復IDP(A-IDP)配列、スーパーフォルダーGFP(sfGFP)、mRuby3およびpcDNA5ベクターのプライマーをコードするgBlockフラグメントを、Integrated DNA Technologies(Coralville、IA)から購入した。ライゲーション酵素、制限酵素、DNAラダーを、New England Biolabs(Ipswich、MA)から購入した。BL21(DE3)化学コンピテント大腸菌(E. coli)細胞をBioline(Taunton、MA)から購入した。全ての大腸菌培養物を、VWR International(Radnor、PA)から購入したTerrific Broth培地において成長させた。硫酸カナマイシンをEMD Millipore(Billerica、MA)から購入した。タンパク質発現を、Gold Biotechnology(St. Louis、MO)のイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を用いて誘導した。全ての塩、10/40kDaのフルオレセイン標識デキストラン分子、L-(+)-アラビノース、L-ラムノースおよびフルオレセインジ(β-D-ガラクトピラノシド)を、Sigma-Aldrich(St. Louis、MO)から購入した。1×リン酸緩衝食塩水(PBS)タブレット(10mMリン酸緩衝液、140mM NaCl、3mM KCl、25℃でpH7.4)をEMD Millipore(Billerica、MA)から購入した。変異したLacZを内因性に発現するKRX大腸菌細胞株を、Promega(Madison、WI)から購入した。NHSエステル反応性フルオロフォア(NHS-Alexa Fluor(登録商標)350およびNHS-Alexa Fluor(登録商標)647)を、Life Technologies(Grand Island、NY)から購入した。DNA抽出キット、DNAゲル精製キットを、Qiagen Inc.(Germantown、MD)から購入した。HEK293発現のためのExpi293真核生物発現系を、Thermo Fischer Scientific(Waltham、MA)から購入した。Whatman Anotop無菌シリンジフィルター(0.02μm)を、GE Healthcare Life Sciences(Pittsburgh、PA)から購入した。ABIL(登録商標)EM 90およびTEGOSOFT(登録商標)DEC界面活性剤を、Evonik Industries(Essen、Germany)から購入した。単一のエマルジョン液滴生成チップを、Dolomite Microfluidics(Royston、United Kingdom)から購入した。シリンジポンプをChemyx Inc.(Stafford、TX)から購入した。
プロテオミクス解析
文献の検索により、本質的無秩序タンパク質またはタンパク質領域の優れたリストが、膜のない小器官を形成することが知られた遺伝子に存在することが分かった。それぞれの遺伝子を、様々な長さのタンパク質の無秩序性の準予測因子である天然の無秩序な領域(PONDR)VSL2アルゴリズムの予測因子に従い、無秩序な領域と秩序立った領域に分けた。アミノ酸量を、タンパク質総長に対して標準化した。
遺伝子合成
本発明者らのプロテオミクス解析から着想を得たそれぞれのオクタペプチドアミノ酸モチーフを、インシリコで20倍に増やした。この反復アミノ酸配列を、反復タンパク質遺伝子由来の最適な非反復DNA鋳型を生成するアルゴリズムに入れた。次いで、この20merの反復配列遺伝子を、改変pET24+ベクターへの容易な挿入のためのGibsonアセンブリーオーバーハングと共にIDTから注文した。遺伝子の総反復配列の数を増大させるために、本発明者らは、それぞれの工程中に追加の20の反復配列を加えるプラスミド再構築によって再帰的方向性ライゲーションの反復性クローニング工程を行なった。所望の大腸菌株である、組み換え発現および単一のプラスミド共焦点実験のためのBL21(DE3)、ならびに酵素実験のための変異したLacZ遺伝子を含有する、PromegaがKRXと呼ぶ改変BL21(DE3)細胞株への形質転換を行なった。
二重発現を用いた実験において、カスタムpET24+ベクターならびにHind IIIおよびXba Iを用いたpBAD33.1切断物を切断することによって、遺伝子をpBAD33.1ベクターに挿入した。ゲル精製を使用して、ハウジングpET24+ベクターから対象の遺伝子を単離し、次いで、同様に切断したpBAD33.1ベクターにライゲーションした。カナマイシン/クロラムフェニコール二重選択プレート上のそれぞれのプラスミドの最終濃度約1ngを用いて、共形質転換を行なった。
タンパク質発現、精製および特徴決定
それぞれ、表2または表3の対象の本発明者らの遺伝子を有する、BL21大腸菌株の個々の液体培養物を、凍結グリセロールストックからTerrific Broth(TB)培地5mLに接種し、コンフルエンスまで一晩(16~18時間)成長させた。次いで、培養物を、45μg/mLカナマイシンを添加したTB培地1L中1:200希釈で接種した。細胞を、振盪インキュベーター(約200RPM)において、37℃で9時間成長させ、その時点で、500μM IPTG(終濃度)の添加によって、タンパク質発現を誘導した。次いで、細胞を、37℃(約200RPMで振盪)でさらに18時間インキュベーションした。次いで、タンパク質を、不溶性細胞懸濁液分画から精製した。簡単に言うと、3500RCFで培養物を遠心分離し、milli-Q水20mL中で再懸濁することによって、細胞ペレットを単離した。次いで、細胞溶液を2分間超音波処理し、10秒間パルス処理し、続いて40秒間氷上に静止させること(Misonix;Farmingdale、NY)によって、細胞を溶解した。
それぞれの溶解物の懸濁液を20,000RCFで20分間遠心分離することにより、可溶性分画および不溶性分画を得た。上清を捨て、不溶性分画を、およそ等容量の8M尿素+150mM PBS(約6~8mL)に再懸濁した。蛍光融合タグを有するタンパク質については、不溶性分画を、3×不溶性容量に終濃度約2M尿素に再懸濁して、タンパク質ミスフォールディングを防いだ。この懸濁液を、37℃のウォーターバスにおいて10分間温め、次いで、20,000RCFで20分間遠心分離した。上清を、この懸濁液から集め、4℃で1:200のmilli-Q水溶液に対して10kDaの膜(SnakeSkin(商標)、Thermo Fischer Scientific)において透析した。48時間の期間にわたり2回透析水を交換した。透析バッグの内側から、不溶性成分と可溶性成分の両方を集め、3500RCFで10分間、4℃で遠心分離した。上清を取り除き、対象のタンパク質を含有する残る不溶性ペレットを、最短で3日間凍結乾燥させて、ペレットから全ての水を取り除いた。
4~20%の勾配のトリス-HCl(Biorad、Hercules、CA)ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)および0.5M塩化銅またはSimplyBlue(商標)SafeStain(Thermo Fischer Scientific)のいずれを用いて染色することによって、タンパク質純度を特徴付けた。タンパク質収量を、凍結乾燥後に重量で決定した。
チップマイクロ流体を用いた油中水型液滴の作製
油中水型エマルジョン液滴を作るために、2つの液体相である、150mM PBS中に対象のタンパク質を含有する分散した水相および75%/5%/20%容積/容積TEGOSOFT(登録商標)DEC/ABIL(登録商標)EM90/鉱油を含む有機連続相を、正確なシリンジポンプを使用して、一定の流速でマイクロ流体液滴生成装置に注入した。分散連続流体の流速を調整して、ドリッピングレジームでの液滴の形成を確実にし、これらの実験において、有機連続相について500μL/時間、水性分散相について50~75μL/時間の一定の流速でドリッピングレジームを達成した。デジタル顕微鏡カメラ(Lumenera Infinity 3-1 CCD)を備えた倒立顕微鏡(Leica)の5×対物レンズを使用して、マイクロ流体装置内での液滴の産生をモニターした。
円二色性分光法
円二色性(CD)分光法を、Avivモデル202装置および1mm水晶試料細胞(Hellma)を使用して行なった。精製し凍結乾燥させた生成物を5mM PBS、pH7.4に終濃度10μMで溶解することによって、A-IDPを調製した。CDスペクトルを、50℃、260nm~180nmで、1nmの工程、0.5秒の平均時間で得た。500Vより上のダイノード電圧を用いたデータポイントを、解析では無視した。CDスペクトルを、50℃での5mM PBSバッファーシグナルについて補正した。このデータ収集物を、3回繰り返し、3回の測定値の平均を、モル楕円率として表す。
光散乱
動的光散乱(DLS)測定を、Wyatt DynaPro温度制御マイクロサンプラー(Wyatt Technology、Santa Barbara、CA)を使用して、10~80℃の温度範囲にわたり行なった。DLSシステムのための試料を、1×PBSにおいて調製し、0.02μmのWhatman Anotop無菌シリンジフィルター(GE Healthcare Life Sciences、Pittsburgh、PA)を通して12μLの水晶結晶キュベット(Wyatt Technology、Santa Barbara、CA)に濾過した。それぞれの温度で5秒間、5回取得し、提示した結果は、それぞれの温度での試料の平均Rhを表す。
温度制御UV-Vis分光光度法
曇点転移温度(Tt)を、Cary 300(Agilent Technologies)を使用して温度制御分光光度法を介して決定した。150mM PBS中の様々な濃度のタンパク質を含有する試料を、1℃/分で冷却し、一方、λ=350nmでの吸光度を、1℃毎に記録した。吸光度を、所定の実験中のより可溶性のポイントに対応する、収集した最高温度点での吸光度に標準化した。曇点を、温度の関数としての吸光度の一次導関数における最大値として決定した。転移温度を、最小の傾きのポイントによって計算した。飽和濃度を、3つの体積分率の最小値から作成した自然対数近似線によって定義した。エラーバーは、3つの転移温度の最小値の3つの繰り返しの平均の標準誤差である。
デキストラン取り込み実験
デキストラン分子の[WT]-20および[Q5,8]-20の相分離空間への取り込みを行い、それらの周囲からのA-IDPの単離物を定量した。フルオレセインイソチオシアネート標識デキストラン(10kDa、40kDa、Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)を、60℃でそれぞれ、4mg/mLおよび1mg/mLの終濃度の未標識[WT]-20および[Q5,8]-20の4mg/mL溶液に加えた。次いで、可溶性試料を、室温のガラススライドに移し、#1.5のカバースリップを乗せた。試料を、転移温度未満の1時間のインキュベーション後に、20×対物レンズおよび適切なフィルターセット(ex470/40、em525/50)を備えた正立Zeiss Axio Imager D2 顕微鏡を用いて画像化した。蛍光強度を、相分離空間の明視野画像を使用して分割した、ImageJにおける液体内部/外部のバックグラウンド補正した蛍光強度から計算した。
温度勾配実験のための試料調製
高濃度A-IDPストック溶液(60質量%)を、凍結乾燥A-IDPペレットの塊を適切な容量のリン酸緩衝食塩水溶液(PBS)と溶液pH7.0で再懸濁することによって調製した。A-IDPの密度が、1g/mLであると想定して、濃度をmg/mLに変換した。RLPストック溶液を、ウォーターバスにおいて、85℃で60分間温め、超音波処理しながら定期的に混合して、確実に均一にした。より低い濃度の試料を、開始ストック溶液を容積に関してPBSとpH7で混合することによって作製した。温度勾配マイクロ流体(TGM)測定値を調製するために、溶液を、毛細管作用によって12mm×1mm×0.1mmの長方形ホウケイ酸ガラスキャピラリーチューブ(VitroCom、Inc.)に添加し、ワックスで密封して、試料の蒸発および対流を回避した。キャピラリーチューブを、添加プロセス中、65℃で、インキュベーター内に収容した85℃のホットプレートと接触させて維持した。高温環境により、確実に、RLP溶液を、臨界相転移温度([WT]-20について約85℃)より上で維持した。キャピラリーアレイを、いくつかのキャピラリーを一緒にテーピングすることによって調製した。アレイを温度勾配実験の対象にする前に、85℃で、オーブンにおいて10分間置いた。
温度勾配装置上での相転移温度の測定
温度勾配装置は、直線温度勾配をA-IDP溶液に課した。ガラスキャピラリーアレイを、片側が熱源と、他の側が冷却シンクと接触したサーマルに置くことによって、これを達成した。次いで、試料を、白色光において浸した。この光を、冷温で相分離A-IDP液滴によって散乱させて、暗視野顕微鏡を介して画像化した。温度勾配を、対象のA-IDP試料と並べて置いた2つの参照溶液を使用して、それぞれの実験について調整した。冷温調整参照は、H2O中の10mg/mLの、MW=1.868×105g/molを有するポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)(Polymer Source, Inc.)を含有していた。高温調整参照は、1M NaCl水溶液中の10mg/mLの、MW=9×105g/molを有するポリ(エチレンオキシド)(PEO)(Sigma-Aldrich)を含有していた。それぞれの参照溶液のLCSTを、温度を0.5K/分の速度で増大させながら、光散乱強度を測定した融点装置を用いて得た。温度勾配装置に入れたとき、参照溶液は、LCSTより上の温度で濁った。LCSTのピクセル位置を、キャピラリーの冷たい側の低強度ベースラインと比べて光散乱強度の発生によって得た。位置と温度の間に直線関係があると仮定して、2つの試料のピクセル位置およびLCSTを使用して、温度勾配を計算した。
相図バイノーダルの近似
本発明者らが得た相図の大まかに希釈領域、重複領域および半希釈領域の近似を、既に記載した通り、上限臨界溶液転移ポリペプチドに合わせた下限臨界溶液転移ポリペプチドの近似方法を使用して計算した。
簡単に言うと、低い体積分率(φ<0.1)について、A-IDPは、他の反復配列ポリペプチドを用いて見られる体積分率に関して、UCST曇点での正規対数信頼を大まかに示す。エラスチン様ポリペプチドについて既に記載した表面張力尺度法を使用した高密度レジーム(φ>約0.4)について、本発明者らは、[WT]-20および[Q5,8]-20の比例係数(A)および推定シータ温度(θ)が、それぞれ、A=-0.00092、θ=389KおよびA=-0.00092、θ=392Kであると決定した。貧溶媒において、希薄相小滴γの表面張力を、式γ≒C kTb2 φ2”(式中、bは、ポリペプチドのクーンの長さであり(他の反復ポリペプチドについてフリューゲルおよび協力者が測定したb=2.2nm)、Cは、調節可能な係数である)で記載することができる。表面張力γをkTφ2 ^**(T-θ)により置き換えることにより、本発明者らは、コアセルベート体積分率の温度依存性についての方程式
Figure 2023516653000030
を得る。
Igor(WaveMetrics Inc. Portland、OR)における最小二乗近似を使用して、本発明者らは、この温度依存性についての係数Cが、測定した[WT]-20バイノーダルおよび[Q5,8]-20バイノーダルポイントと一致するよう調整して、それぞれ、C=0.62および1.05と決定した。
いわゆるギンズブルグゾーンにおける臨界点と関連して、臨界イジングモデルを使用して、ポリマー溶液の相挙動を記載する必要がある。臨界ゾーンにおける相境界は、平均場理論;
Figure 2023516653000031
(式中、[WT]-20についてTc=351.5K、[Q5,8]-20についてTc=332.3K、0.3は、[WT]-20と[Q5,8]-20の両方についての臨界イジングベキ指数(フローリー・ハギンズ平均場理論値は0.5である)であり、Ccは、近似係数である)による予測より漸進的に変動する。本発明者らは、[WT]-20および[Q5,8]-20について、それぞれ、1.29および1.27と等しいIgor(WaveMetrics Inc. Portland、OR)における近似係数を計算した。本発明者らが、UV-Vis分光光度法を用いて収集したデータを使用し、表1に記載した自然対数近似に従い、Φ1を明白に計算したことに注意されたい。
全細胞蛍光強度測定
細胞を、グリセロールストックから、5mLのTB培地において一晩成長させた。蛍光または共焦点画像化と併せて、総sfGFP蛍光およびOD600について、細胞を解析した。簡単に言うと、様々な時間点の50μlの細胞培養物を、1mLの150mM PBSに再懸濁した。NanoDrop 1000(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)のUV-Vis分光光度法シグナルとNanoDrop 3300(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)の蛍光スペクトルの組み合わせを使用し、本発明者らは、細胞密度に対して標準化したsfGFP蛍光の相対比を計算した。この情報を画像解析と併せて使用し、本発明者らは、細胞密度に対して標準化した細胞内飽和濃度を決定することができた。
原始細胞液滴および大腸菌細菌の温度制御蛍光顕微鏡
油中水型液滴を、ガラス顕微鏡スライド上に集め、温度制御ユニット(Linkam PE95)を備えた正確なペルチェ加熱および冷却ステージ(Linkam LTS120)を使用して冷却した。Alexa Fluor 350標識(25%モル分画N末端標識)[Q5,8]-20およびAlexa Fluor 594標識+4 Netの空間分布を、20×対物レンズおよび適当なフィルターセットを備えた正立Zeiss Axio Imager D2顕微鏡を使用し、蛍光顕微鏡を介して特徴付けた。同様に、経時的A-IDP-スーパーフォルダーGFPの細胞内パターン化を、20×対物レンズおよび適当なフィルターセット(ex 470/40、em 525/50)を備えた正立Zeiss Axio Imager D2顕微鏡を使用し、蛍光顕微鏡を介して特徴付けた。細胞蛍光を、ImageJソフトウエアを使用して計算した。温度勾配は、様々な温度で始まったが、常に、5℃/分の一定の速度に設定した。
HEK293細胞における[WT]-20-sfGFPの一過性トランスフェクション
[WT]-20-sfGFPを、ポリマー連鎖反応(PCR)を使用し、pET24(+)ベクターから抽出した。簡単に言うと、フォワードプライマーおよびリバースプライマーを、[WT]-20-sfGFP遺伝子融合物を含有するpET24(+)プラスミド1ngと再懸濁した。30サイクルの、[98℃、1分;65℃、30秒;72℃、2分]のPCRサイクル、続いて、ゲル精製を使用し、Gibsonアセンブリーを用いて遺伝子を最終的に構築した。[WT]-20-sfGFPを含有するpcDNA5ベクターを、製造元(Expi293発現系、Thermo Fischer Scientific、Waltham、MA)の指示に従い、HEK293細胞にトランスフェクトした。一過性トランスフェクションの5日目に、細胞を、500RCFで、10分間、室温でスピンダウンし、画像化のため150mM PBSに再懸濁した。
斑点形成および共局在についてのA-IDP-sfGFP融合物の共焦点画像
細胞を以下の通り調製した。5mLのTB培地を含有するチューブに、細菌グリセロールストックから、選択したタンパク質と一晩接種させた。成長の16時間後、1mM IPTGおよび2%L-ラムノース(Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)を用いた誘導を、対象のそれぞれのフラスコに加えた。試料を、示した時間点で集め、以下の通り、画像化のため調製した:50μLの細胞懸濁液を、20,000RCF下、1分間、室温でペレット化させた。細胞を、1cmのパッチ長でOD600=0.15に再懸濁した。50μLの再懸濁した細菌細胞を、#1.5ガラス底(Cellvis)を有する384ウェルプレートに移した。それぞれの時間点のデータ収集前に、インキュベーションチャンバーへの10分間の平衡化期間が存在した。
温度制御インキュベーション(Car Zeiss AG、Oberkochen、Germany)を備えたZeiss 710倒立共焦点上、63×油浸対物レンズを用いて、異なる時間点で、画像を収集した。sfGFP蛍光を、488nmの励起レーザーおよび488/594発光フィルターを用いて検出した。別段示さない限り、データを、25℃でまず取得した。全ての蛍光定量および細胞ポーション化解析を、ImageJにおいて行なった。
共存実験において、細胞を、グリセロールストックから、45μg/mLカナマイシンおよび25μg/mLクロラムフェニコール(終濃度)を含有する二重抗生物質培地において一晩成長させた。16~18時間後、pET24(+)発現を、1mMの濃度のIPTG(終濃度)を用いて誘導した。IPTG誘導の24時間後、培地を、1mM IPTGおよび2%アラビノース(終濃度)(Sigma Aldrich、St. Louis、MO)を添加したTB5mLで置き換えた。両方を用いた誘導の9時間後、細胞を、培養物50μLを室温でスピンダウンし、1cmのパッチ長でOD600=0.15まで150mM PBSに再懸濁した。mNeonGreen/sfGFP検出を、488nmの励起レーザーおよび488/594発光フィルターを用いて、mRuby3検出を、561nmの励起レーザーおよび488/561発光フィルターを用いて行った以外、全ての画像化の詳細は、同じであった。
酵素活性の局在および定量のためのLac Zアルファ-ペプチド-A-IDP遺伝子融合物の回転ディスク共焦点画像化
細胞を以下の通り調製した。5mLのTB培地を含有するチューブに、細菌グリセロールストックから、選択したタンパク質と一晩接種させた。成長の16時間後、1mM IPTGおよび2%L-ラムノース(Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)を用いた誘導を、対象のそれぞれのフラスコに加えた。約24時間後、50μLの細胞懸濁液を、20,000RCF下、1分間、室温でペレット化させた。細胞を、1cmのパッチ長でOD600=0.15に150mM PBSにおいて再懸濁した。50マイクロリットルの試料を、カルチャーインサート4ウェル(1.5カバーガラス、Ibidi、Madison、WI)ペトリディッシュに加え、室温で10分間インキュベートした。インキュベーション後、98%水、1%DMSOおよび1%EtOHに再懸濁した2μLの1mg/mL FDGを加えた。画像化を直ちに(20秒以内)開始し、計30分間、1分毎に画像を取得した。
画像化を、63×水浸漬対物レンズを備えたLeicaDMi8 顕微鏡スタンド(Oxford Instruments、Abingdon、UK)上、およびZyla 4.2シリーズカメラを備えたAndor Dragonfly Spinning Disk 500シリーズ共焦点で行なった。変換FDGを、488nmの励起レーザーおよび525/50nmの発光フィルターを用いて検出し、mRuby3蛍光を、561nmの励起レーザーおよび600/50nmの発光フィルターを用いて検出した。
m、Vmaxおよびkcatを決定するための蛍光分光法
対象のプラスミドを含有するKRX大腸菌の液体培養物を、グリセロールストックから一晩(16~18時間)成長させた。次いで、細胞を、1mM IPTGおよび2%L-ラムノース(Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)と共に24時間誘導した。細胞をペレット化し、140mM PBS中のOD600=約0.15で再懸濁した。NanoDrop 3300(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)を使用して、520nmでの蛍光強度をモニターしながら、様々な濃度のFDGを加えた。同じ装置を使用して、様々なアルファペプチド融合物の発現レベルの相対的測定値としてmRuby3の蛍光強度も計算した。異なる時間で観察した蛍光強度のプロットにより、様々な濃度の基質(Vo)での加水分解の速度の代わりの測定を得る。次いで、これらの速度を典型的なラインウィーバーバーク変換に変換して、VmaxおよびKmを決定した。単位の一貫性のため、[FDG]を、y=185919*[mgでのFDG]+1045のフルオレセイン標準曲線を使用して、蛍光強度に変換した。この変換は、フルオレセインに変換したFDGが、遊離フルオレセイン色素と類似の蛍光強度特性を有すると仮定する。
画像の定量および統計的解析
IPTG誘導後の様々な点でのA-IDP-sfGFPの細胞内蛍光強度の決定に関して行なった実験について、以下の統計的分析を行なった。細胞内飽和濃度を決定するため、3つの独立した試料に対する細胞密度(OD600)に標準化した全細胞蛍光を、それらの細胞内構造を画像化しながら、計算した。顕微鏡視野内の細胞の50%より多い、大腸菌における相分離の最初の観察の際、この標準化細胞密度を飽和濃度として記録した。データは、参照点として[WT]-40について収集したデータに対して標準化する。エラーバーは、同じ元々の細胞懸濁液由来の3つの別々の試料の平均の拡大標準誤差を表す。
様々な時間点で共焦点顕微鏡を用いて収集した顕微鏡画像を用いて、本発明者らは、ImageJにおける解析を介して時間の様々な点での細胞内の可溶性および斑点分画を単離した。斑点は、細胞の残りを同時に観察しながら、検出器を浸漬するのに十分なピクセル高密度を一貫して生じる。従って、総ピクセル強度の上限の2%辺りでの域値により、このセクションを残る細胞質から容易に分配することができる。それぞれの実験群における時間点でのこの一定の域値を使用し、本発明者らは、細胞の総合サイズ(斑点+可溶性分画)に関して経時的なこれらの斑点の総合サイズを追跡することができた。これらのデータのエラーバーは、細胞試料全体にわたる試料の異なる視野の3つの画像の標準化斑点(2相)範囲の平均の標準誤差である。これら2つのチャンネルを合わせ、図2において異なって別々にするが、それぞれの画像に適用した同じ域値プロセスを有する。
2つの画像間の細胞内相分離の検出のための自動ツールを欠くと、本発明者らは、細胞内転移温度を手動で計算した。UV-Vis分光光度法を用いた相分離の検出と同様に、細胞内転移温度を、確実に均一であったフレームと、確実に2相であった第二のフレームの間の中央点として決定した。全ての転移温度を、この方法で決定し、溶液が加熱されるか、または冷却されるかどうかに関わらず、溶解性の点から不溶性の点に進めた。この評価の主観レベルに起因して、試料識別子を解析者に隠し、多数の細胞を、それぞれの実験において解析した(n=30)。データを、一定温度(別段示されない限り、大抵60℃)での均一な細胞の最初の平均蛍光に対して標準化した。エラーバーは、平均の標準誤差を示す。
デキストラン蛍光のエラーバーは、3つの別々の視野の相分離空間の内部および外部の平均蛍光の標準誤差を示す。
異なる発現レベルのアルファペプチドと比べたフルオレセインジ-β-D-ガラクトピラノシド(FDG)の定量のため、チャンネルを、それぞれ、FDGおよびmRuby3からの蛍光の間で別々にした。ImageJの粒子解析ツールを使用し、緑色蛍光の範囲を、バックグラウンドから単離した。この範囲の平均蛍光が、バックグラウンド蛍光(従前の粒子マスクによって除外された範囲の平均蛍光)より5%大きい場合、次いで、この特定の粒子のバックグラウンドを引いた緑色蛍光を、解析に含めた。それらの範囲が、0.1μm2未満であった場合、粒子を除外した。同じ粒子マスクを使用し、バックグラウンドを引いたmRuby3の平均蛍光を、他の蛍光チャンネルで計算した。本発明者らは、酵素効率の代替としてこれらの2つのチャネルの比を報告する。エラーバーは、それぞれの時間点での平均の標準誤差である。
細胞空間の内部対細胞空間の外部のフルオレセインジ-β-D-ガラクトピラノシド(FDG)の定量のため、チャンネルを、それぞれ、FDGおよびmRuby3からの蛍光の間でまず別々にした。ImageJの同じ粒子解析ツールを使用し、緑色蛍光の範囲を、バックグラウンドから単離した。この範囲の平均蛍光が、バックグラウンド蛍光(従前の粒子マスクによって除外された範囲の平均蛍光)より5%大きい場合、次いで、この特定の粒子のバックグラウンドを引いた緑色蛍光を、解析に含めた。それらの範囲が、0.1μm2未満であった場合、粒子を除外した。細胞の内部の蛍光強度の細胞外の空間の蛍光強度に対する比は、バックグラウンド蛍光で割ったFDGのバックグラウンド補正平均蛍光である。エラーバーは、それぞれの時間点での平均の標準誤差である。
共存量を定量するために、本発明者らは、ImageJソフトウエアを通じて利用可能なColoc2プラグインを使用した。自動域値を使用し、本発明者らは、既に記載した対象の2つのチャンネルに対する強度を考慮に入れるマンダーの共存係数を報告する。
プロテオミクス解析および配列発見手法からの最小のIDP反復配列の同定
本発明者らは、膜のない小器官を形成する63のIDPのプロテオミクス解析を行い、それらの配列組成を調べた。本発明者らは、荷電変化、カチオン-πおよび無荷電極性残基を介した水素結合などの鎖間相互作用を介して相挙動をもたらすと疑われるアミノ酸のカテゴリーに特に興味があった(図1A)。これらの63のタンパク質の組成は、UCST相挙動を示す、既に同定した反復タンパク質ポリペプチドと顕著に類似し、それらの側鎖基は、合成UCSTポリマーと化学的に類似する。本発明者らの従前に開発した配列発見手法およびこのプロテオミクス解析からの見通しの組み合わせを使用し、本発明者らは、生理的に関連する溶液条件下で、高分子にポリマー形成するとき、強い相挙動を示すと予想するオクタ-ペプチドモチーフを設計した。
オクタペプチド反復配列の全ての可能性のある変異の圧倒的な配列空間を管理するために、本発明者らは、UCST相挙動に関与し得る鎖間相互作用のカテゴリーにそれぞれのアミノ酸を分類する。N、Q、S、Tは、極性、非荷電アミノ酸として分類する。R-KおよびD-Eは、正の荷電と負の荷電のアミノ酸の対である。GおよびPを、それらの普通でない構造および無秩序ポリペプチド骨格の促進における重要性を考慮して、別々のカテゴリーに入れる(図3A)。残りのアミノ酸を、「疎水性」と分類する。本発明者らが、WT反復配列の変異誘発を介してUCST相挙動を調節するが、それを完全には消失させないことを確実にするために、本発明者らは、変異が、相互作用のタイプを維持し、相互作用の強さを単に調節する変異のみを作製する。例えば、RおよびKは共に、正常な生理学的pH下で正の荷電である。従って、KをRに置換することによって、本発明者らは、観察した相挙動に劇的に影響することが知られているパラメーターである、ポリマー骨格の荷電の中性状態を維持する。同様に、N、Q、SおよびTは全て、水と、およびVなどの脂肪族アミノ酸より容易に互いに水素結合する能力がある。従って、これらの4つのアミノ酸を互いに置換することにより、互いが、特定の結合タイプを形成する能力がある1つの鎖当たり等しい残機数を維持する。
野生型(WT)反復配列単位は、(G1-R2-G3-D4-S5-P6-Y7-S840(式中、40は、反復配列の数を指す)である。天然に存在するIDPの本質的無秩序な領域(IDR)におけるMWの観察した差に相当するように、20から80に反復配列モチーフ数を変動させることによってA-IDPのMWを約15から約70kDaの間で変動させた(図3B)。親配列を、本書類においてWTとして言及し、本発明者らは、テキストを通じて配列を指すために簡易表記を使用し、括弧書きの文字は、特定のポイントである置換である変異体を指す。例えば、WT反復配列単位におけるY7のVを用いた完全な置換を有する変異体は、「[V7]-XX」の表示法をもたらす。残基を、A-IDPにおいて部分的にのみ置換するとき、本発明者らは、表示法「[BYo:ZVo]」を使用し、Zに対するBの比は、バリアントにおけるVに対するYの比を表し、添字oは、反復配列単位に沿ったその残基の位置である。故に、例えば、[Y7:V7]-40は、Vで置換した全てのYの50%を表し、一方、[3Y7:V7]-40は、VのYへの25%の置換を表す。Qを用いた、オクタペプチド反復配列における5および8位の残基の100%の置換などの、二重変異体を、[Q5,8]-XXとして表し、SおよびQを用いたこれらの位置での部分置換を、[BS5,8:ZQ5,8]-XX(式中、BおよびZは、Qに対するSの比を表す)として表す。本書類を通じて使用する共通配列の完全な配列の説明は、表1において見ることができる。変異およびWT反復配列をA-IDP鎖に沿って混合する、A-IDPの全ての構造の完全な説明は、表2および表3において見ることができる。
Figure 2023516653000032
Figure 2023516653000033

Figure 2023516653000034
Figure 2023516653000035

Figure 2023516653000036

Figure 2023516653000037


Figure 2023516653000038

Figure 2023516653000039
Figure 2023516653000040
A-IDPは、水性環境において頑強で可逆的なUCST相挙動を示す
A-IDPの1つの利点は、それらの反復特性から生じる他のタンパク質または生体分子とのそれらの最小の相互作用である。それらの可逆水性2相分離と組み合わせたA-IDPのこの特性により、相図の1と2相レジームの間のUCST相転移サイクリングによる単純なカラムを用いない精製が可能になる。この精製プロセスの例を図1Bに示し、高発現A-IDP、[Q5,8]-20、完全な相が、細胞溶解物の可溶性分画から分離し、遠心分離により単離することができる。続く、タンパク質の少ない上清の除去、タンパク質リッチなペレットの尿素を用いた溶解、およびmilli-Q水における可溶性分画の透析により、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって観察する通り、95~99%純粋なタンパク質を得る(図1Cおよび図4)。精製A-IDPの収量は、シェーカーフラスコ培養における培養培地1リットル当たり25~300mgの範囲にある。
A-IDP[WT]-20および[Q5,8]-20は、インビトロでのUCST相挙動を示す。それらの相転移挙動を特徴付けるために、本発明者らは、3種の異なる技術を利用した。第一に、本発明者らは、単分散水液滴を対象のA-IDPを含有する油中で形成する、液滴マイクロ流体を利用した(図1D)。相分離を、周囲の培地を冷却しながら形成させた構造の種類を観察するための油中水型マイクロ液滴の空間的に制限した区画で直接視覚化することができる。これらのA-IDPは、50℃から10℃への冷却の際に相境界を通過する際、コアセルベート凝縮体の複数の核形成部位を観察する、古典的な液体と液体の相分離を示す(図1Dパネル2)。これらの核形成部位は、互いに湿り、周囲のA-IDPの少ない相と平衡化している単一の球状A-IDPち密相に迅速に合体する(図1Dパネル3および3-1/3-2)。50℃まで再加熱の際、A-IDPリッチな相は、A-IDPが、平衡状態を迅速に再確立しながら、再溶解するため、サイズが縮む(図1Dパネル4-1/4-2)。この転移のより広い視野を、図5に見ることができる。これらのデータは、これらのA-IDPが、合体および成長動態学を介して可逆UCST相分離を示すことを明確に示す(図1E)。
第二に、本発明者らは、温度依存性動的光散乱(DLS)を利用して、バルクにおける2相分離を観察した。[Q5,8]-20の溶液を、80℃に加熱し、溶液を10℃に冷却しながら、DLSデータを収集した。本発明者らは、温度の関数として、4nmの流体力学半径(Rh)を有する可溶性A-IDP分子から、1μmより大きな凝集物への転移を観察する(図1Fおよび図6)。この転移は、約38℃で2℃のウィンドウ内で生じるため、非常に鋭い。
第三に、本発明者らは、A-IDPの溶液を1℃/分の速度で加熱し、冷却しながら、350nmの固定波長での温度依存性濁り測定を利用して、UCST相分離を特徴付けた(図1G)。この技術を使用し、本発明者らは、多くの異なる配列および溶液パラメーターの関数として、対象のそれぞれのA-IDPの部分相図を取得することができる。[Q5,8]-40の希釈体積分率で、本発明者らは、A-IDP濃度の自然対数の関数(Tt=m*ln([A-IDP])+b)として増大する、異なるUCST曇点を観察した。本発明者らはまた、これらのA-IDPのUCST相挙動の完全な可逆性を確認し、これは、10回の連続した加熱および冷却勾配後、UCST Ttにおける<1℃の差を伴った(図7)。
アルギニン組成、脂肪族に対する芳香族の比、電荷平衡および分子量は、UCST曇点を定義する
A-IDPについてのオクタペプチド反復配列における特定の残基置換の、相分離に対する効果を理解するために、本発明者らは、aの100%からbの100%(ここで、aは、WT反復配列単位である)の範囲にある「変異体」A-IDPのセットを作製した。混合スキーム(変異体反復配列単位bを、WT配列に定期的に挿入する)を、図8Aにおける色分け模式図により視覚的に説明する。変異体反復配列を、WT配列に沿って十分に混合して分散させて、コポリペプチドの「ブロックノイズ」を低減し、所望の液体と液体のコアセルベーションの代わりに、ナノスケール自己アセンブリーを導くためのLCSTポリペプチドに示す。これらのコポリマーのUCST相挙動の測定は、モチーフbのaへの置換の際のUCST曇点についての機能喪失または機能取得スクリーニングに類似する(図8A)。実験上の制限に起因して、検出することができない機能喪失型相分離を、140mM塩分水性バッファーにおける0.1以下の体積分率でTt<4℃として操作上定義する。40の反復配列の総長を、これらのA-IDPについて、天然に存在するIDPのプロテオミクス解析において見られるIDRの中央値の長さ(約320アミノ酸)にほぼ等しいよう選択した。
WTおよびそれぞれのA-IDPのTtは、その体積分率(φ)の一次関数である(図8BおよびC)。特定のφにおいて、Ttは、組成物(R2=0.97)の関数であり、それは、aおよびbのブロックコポリペプチドである変異体A-IDPの挙動を、aおよびbの純粋なポリペプチドのものの間で直線的に記すことができることを示す。これらの変異体A-IDPのTtの直線的な挙動はまた、検出の実験上観察可能な範囲を超えてUCST曇点を示すホモポリマーについてのUCST曇点の推定を可能にし、これにより、それぞれの点変異を単一の相対的スケールに置くことが可能になる(図9)。
本発明者らは、次に、A-IDPの、Ttが37℃である濃度として定義した、飽和濃度(Csat)上の参照WT反復配列モチーフに対する15の異なる部位指定置換の効果を試験した。本発明者らは、オクタペプチド反復配列における単一の残基変化が、1~800μMの範囲にある一定分子量で2桁より大きく、反復配列ポリペプチドの、アミノ酸組成におけるパーセント変化が定義した置換の程度に標準化した、Csatを変化させることができることを見出した(図8D、EおよびF)。これは、好適には、約1μmであり、図8Fにおける水平の点線によって示す、[WT]-40の飽和濃度に標準化することによって可視化することができる。本発明者らは、これらの変異の結果としての鎖立体構造における変化が、TtおよびCsatに対するこれらの効果に関与するとは考えていない。実際、円二色性分光光度法は、変異体A-IDPが、それらのGおよびPリッチな組成と一致して、構造上無秩序であることを示す(図10)。
これらの置換は、A-IDPの反復配列モチーフにおけるRと芳香族性残基の間の相互作用の重要性の定量的証拠を提示する。Yを置換するとき、本発明者らは、W、F またはHについてそれぞれ、66℃から123℃、59℃および約2℃への、φ=10-3でのUCST曇点における劇的なシフトを観察する(図9A)。これらのデータは、Rのカチオン性側鎖とW、F、YおよびHの芳香族側鎖の間の相互作用が、相分離の重要な駆動力であるが、これらの相互作用の強さは、W>>>Y>F>>>Hで側鎖基依存性であることを示す。同様に、RをKに置換することにより、UCST曇点温度を下げ、ゆえに、相境界(図8E)を下げ(図8E)、Csatを増大させる(図8F)。
本発明者らは、次に、A-IDP MWの相挙動に対する効果に着目し、このMW範囲は、ネイティブIDPの本発明者らのプロテオミクス解析におけるIDRの75%をカバーするため、本発明者らは、約17kDaと約70kDaの間のMWを有するA-IDPを選択した(図8B)。本発明者らの結果は、MWが、アミノ酸置換と同じくらい大きなUCST曇点に対する効果を少なくとも示すことを示す(図11A)。本発明者らは、本発明者らが研究した約17~70kDaの範囲内の、Ttに対するMWの効果を、MWの自然対数への直線近似を用いて近接させることができることを観察した(図11B)。[WT]-40のMWを単純に二倍にすることによって、本発明者らは、いくつかのネイティブIDPが示すCsatと同様に、ナノモル濃度レジームの予測Csatを有するA-IDPを作製することができた(図11C)。特に、MWと組成の両方を変化させることによって、本発明者らは、10-4~102μMの範囲にある7桁を超えて、A-IDPのCsatを変動させることができる。
tに対する組成、濃度(φ)およびMWに加えて、UCST相挙動に対する測定可能な効果を有するが、生理的に関連する条件下でのUCST相挙動を除去しない、いくつかの他のパラメーターが存在する。無荷電の極性置換、G/Pの比、反復配列ポリペプチドのシンタックス、溶液の塩含有量、pH(Hの不存在下)および負に荷電したアミノ酸(E対D)の同一性全てが、MW、体積分率、芳香族:脂肪族アミノ酸比およびR含有量より、小さい変化をUCSTバイノーダル相境界にもたらす(図9B~C)。P6のN末端の残基は、UCSTバイノーダル境界に対する固有の衝撃を有すると思われ、組成上同一のA-IDPが、極性の無荷電残基が、オクタペプチド反復配列の5位に位置することに依存して、UCSTバイノーダル線をシフトさせた(図12A)。本発明者らはまた、[WT]-20の非反復性だが、組成上同一のバージョンを生成し、試験し、UCSTバイノーダルに対するアミノ酸配列のスクランブルの最小の効果を観察した(図12B)。まとめると、これらの結果は、3つのパラメーターである、芳香族:脂肪族の比、体積分率(φ)、およびMWが、インビトロでのUCST相境界またはCsatの制御に最も重要であることを示す。
A-IDPは、アミノ酸組成が介在する飽和濃度でのち密相分離凝縮体を作製する
A-IDPのUCST相図の希薄なレジームにおけるCsatおよびバイノーダル相境界を、アミノ酸置換により徹底的に修飾することができることを観察することで、本発明者らは、A-IDPの相図の高濃度レジームを調節する要因に興味を持った。ポリペプチド[WT]-20および[Q5,8]-20は、組み換えタンパク質にとって十分に異常に発現し、シェーカーフラスコ培養において約500mg/Lの収量を伴い、これらのA-IDPの高い体積分率でUCST曇点挙動を直接測定する(>0.1)ために、材料1グラムにわたり精製することを容易にした。必要な物質の量を最小にするために、これらの実験を、正立光学顕微鏡に乗せたマルチプレックス直線温度勾配マイクロ流体装置において行ない、相分離が、光散乱強度における視認できる増大によって生じる温度によって、Ttを定量することができた。これらの実験は、UV-vis分光光度計において典型的に行う光濁度測定値と類似するバイノーダル相境界を生じ(図13)、[WT]-20および[Q5,8]-20の2つのバイノーダル線の間の約25℃の差を、試験した体積分率の範囲全体にわたり維持することを示す。これは、37℃の等温での、[Q5,8]-20についてのφ2=0.4から[WT]-20についてのφ2=0.55の、ち密相(φ2)におけるA-IDP体積分率の増大に対応する。これらの相図の説明に加えて、本発明者らは、デキストランのち密相への蛍光分配を観察しなかったため、小(10kDa)および高(40kDa)MWの蛍光標識デキストランの存在下での相分離は、[WT]-20と[Q5,8]-20液滴の両方が、高度に排除的であることを示す(図14A~B)。これらのデータは、相分離を用いた細菌細胞溶解物からA-IDPを容易に精製する本発明者らの能力と併せて、A-IDPが、生理学的溶液、温度、およびpH係数(φ2>0.4)で、インビトロで高度に排除的な液滴を形成することを示す。
A-IDPは、真核生物株および原核細胞株においてCsatを制御した
濃度の関数としてTtの範囲を示すA-IDP、および7桁を超えて変動するCsatのセットを用いて、本発明者らは、(1)生きた細胞における液滴アセンブリーの動態を理解し、(2)それが、インビトロと同様にインビボで進むかどうかを明らかにしようとした。これら2つの問題を探るために、本発明者らは、約17kDaまたは約32kDaいずれかのMWを有する、1~815μMのCsat範囲を有するIDPのセットを選択した。細菌細胞内でのA-IDPの局在を可視化するために、それぞれのA-IDPを、緑色蛍光タンパク質のスーパーフォルダーバージョン(sfGFP)に遺伝子融合させた(図15A)。
sfGFPの[WT]-20、[WT]-40、[3Y7:V7]-40、[Y7:V7]-40のA-IDPへの融合は、相挙動を除去しないが、相図をシフトさせた(図15Bおよび図16)。このシフトに関わらず、共焦点蛍光顕微鏡を使用し、本発明者らは、トランスフェクトしたヒト胚腎(HEK)細胞と大腸菌の両方において[WT]-20-sfGFPの細胞内液滴の形成を観察することができた(それぞれ、図15Cおよび図15D)。興味深いことに、油中の水性の液滴であるインビトロ環境において、本発明者らは、核形成が、水性区画において複数のポイントで生じるが、時間と共に、全ての個々のコアセルベート斑点が、単一の巨大なコアセルベート斑点に合体することを観察した。これは、分散または合体に対する有意なエネルギー境界がないことを示していた。HEK細胞において、コアセルベート斑点の核形成はまた、細胞全体を通じて複数の位置で生じた。しかしながら、インビトロの状況と異なり、これらの斑点は、単一のコアセルベート液滴に決して合体せず、ゆえに、2~4μmの直径範囲の個々のコアセルベート斑点が、HEK細胞の細胞質中に分散した(図17)。
対照的に、大腸菌における相分離は、真核生物細胞とは有意に異なる。大腸菌におけるUCST相転移の開始は、HEK細胞およびインビトロと類似し、小さい高密度蛍光斑点は、細胞におけるA-IDP濃度が、Csatを超えた後に形成し、次いで、経時的にサイズが成長する(図15G)。時間に伴い、よりA-IDPが発現するため、これらの斑点のサイズの成長は、600nmでの吸光度(OD600)に対して標準化したバルク大腸菌集団由来のsfGFP蛍光の測定値と一致する。時間に伴った蛍光の増大は、A-IDP-sfGFP融合物の細胞内濃度が、タンパク質誘導時間の延長と共に増大することを示す(図18)。しかしながら、HEK細胞と異なるが、インビトロ実験と同様に、大腸菌におけるこれらの斑点は、合体して、細胞毎に単一のコアセルベート液滴を形成する(表6)。この結果は、原核生物の細胞質と真核生物の細胞質の間のA-IDPの拡散性の差を示唆し、大腸菌におけるコアセルベート液滴の分散および合体に対する境界が、HEK細胞における物よりずっと低いことを示唆する。同時に、残る希薄なレジームは、比較的に一定の濃度のままである(図19)。同時に、これらの結果は、細胞内でのA-IDPの全体的な濃度が、時間と共に増大するため、タンパク質の細胞質濃度を緩衝化し、一定のままであるが、コアセルベートの容積が、細胞のサイズと相関して増大することを示唆する。
Figure 2023516653000041
インビトロと同様に、MWおよび芳香族:脂肪族含有量は、大腸菌における液滴形成に影響する。[WT]-20-sfGFPから[WT]-40-sfGFPへのMWに2倍にすることにより、おそらくリーキー転写制御のため、A-IDP誘導前でさえ、液滴形成を引き起こすのに十分にCsatを減少する(図15D)。同様に、Yを犠牲にしてVを用いた脂肪族含有量の増大は、これらの実験の時間経過において測定可能でない濃度までCsatを増大させる(図15E)。おそらく、細胞内の分子間密集の作用のため、インビボでのCsatの差は、A-IDP-sfGFP融合物を用いたインビトロ実験により予測したのと同等に劇的ではない(図22F)が、本発明者らは、A-IDPのMWと芳香族:脂肪族の比の両方を使用して、少なくとも1桁、細胞内Csatを調節することができる。
A-IDPは、大腸菌における可逆UCST液滴形成を示す
ポリペプチド体積分率を増大させることによって、等温条件下で2相レジームにバイノーダル線を通過させることができるように、この線は、溶媒の質またはカイパラメーター(χ)を減少することによって、一定の体積分率下で通過し得る。実験的に、バルク溶液の温度を低下させることによって、これを最も容易に達成する。インビトロでのA-IDPのUCST相挙動と同様に、A-IDPは、4回の冷却および加熱サイクルを繰り返すことによって可逆である、細胞内部の可逆UCST相分離を示す(図20A)。冷却の転移温度(TtC)および加熱の転移温度(TtH)の差が、2℃未満変動するため、相分離は、最小限のヒステリシスを示す(図20B)。
興味深いことに、複数の加熱および冷却サイクルの際、本発明者らは、大腸菌が、空間的相分離メモリーを示し、斑点が、第一のサイクルと同じ位置で形成することを観察した(図2)。加えて、本発明者らは、冷却が引き金となった相分離が、1細胞当たりより多い数の斑点をもたらすことを観察した(図21)。大きいMW種を用いて観察した斑点の数が多いほど、1細胞当たり形成した斑点の数が、従前の研究と一致し、それらの分散係数の関数であることを示す。
A-IDPのMWの増大は、大腸菌において観察したTtを増大させた(図20C)。MW定数を維持しながら、芳香族:脂肪族の比を操作し、誘導後の様々な時間点での個々の細菌内での斑点の形成を観察する(様々な細胞内濃度)ことによって、本発明者らは、Ttおよび細胞内蛍光の関数として部分的細胞内相図を得ることができた(図20D)。細胞集団を通じてタンパク質発現の異なる全体的レベルについて観察した曇点を本質的に標準化しながら、所定の構築物について特定の濃度と冷却の際の観察した挙動を結び付けるため、この結果は重要である。再度、濃度の増大に伴い、本発明者らは、UCST曇点における増大を観察するが、濃度の増大の際の増大速度は、正規対数信頼に従わないように思われる。
細胞における機能的A-IDP液滴の新規設計
新規機能を行うための空間的に閉鎖した細胞内コアセルベート液滴の使用の可能性を理解するために、本発明者らは、以下の疑問:(1)細胞内のコアセルベート液滴が、他の分子を動員し得るか、そうなら、もしあるなら、何が、このような分子のサイズ限界であるのか?、(2)これらの分子が、A-IDPと相互作用して、新規機能を液滴に与えることができるか?を問うた。
これらの疑問に答えるために、本発明者らは、小分子が、大腸菌細胞内に位置するコアセルベート液滴におけるA-IDPに拡散し、反応することができるかどうかを、まず調べた。本発明者らは、固有の二重直交反応基であるアジドの3つのコピーを有する、A-IDP-[3Y7:V7]-40-UAAを設計し、発現させ、その初代アミノ酸配列を、表3に列挙する。[3Y7:V7]-40-UAAのCsatより高い細胞内濃度に達した後、本発明者らは、生きた大腸菌を1mg/mLジベンゾシクロオクチン色素(DBCO-Alexa488)と10分間インキュベートした(図22A)。過剰の色素を取り除くための単一の洗浄工程後、本発明者らは、細胞における蛍光凝縮体を観察した。これらの実験はまた、φ1分画も、凝縮体に加えて標識することを示す。これらのデータは、小分子が、細胞外環境から、A-IDP相分離により作製した予め形成させた凝縮体に拡散し、A-IDPと反応し得ることを明確に示す。
次に、本発明者らは、タンパク質などのより大きな分子がまた、A-IDP斑点と相互作用することができるかどうかを問うた。この疑問に答えるために、本発明者らは、別々の緑色蛍光タンパク質(GFP)に基づき、液滴捕捉実験を設計した。本発明者らは、構成要素の1つが、A-IDPに融合する場合、別々のGFPの2つの構成要素が、互いに相互作用して、機能的GFP分子を作製することができるかどうかをまず検証した。GFP-11-[3Y7:V7]-40-mRuby3を、GFP-1-10の存在下で共発現させた。ここで、IDPはmRuby3に融合しているので、the A-IDP凝縮体は赤色の蛍光を発し、細胞内で蛍光顕微鏡により視覚化することができる。本発明者らは、緑色蛍光の、A-IDP凝縮体からの赤色蛍光との共局在によって見られる、凝縮体の内部でのみ、蛍光活性GFPを観察し、これは、フラグメントGFPが、互いに結合して、緑色蛍光を発する、インタクトな機能的GFP分子を生じることを示す(図237A)。対照的に、GFP-1-10誘導の不存在下で、赤色蛍光凝縮体内部に最小限の緑色蛍光が存在する(図237B)。
これらの結果は、A-IDP、およびタンパク質の1つのフラグメントに融合した蛍光レポーターによって強いられた立体障害にも関わらず、GFPの2つのタンパク質フラグメントが、細胞内において互いを見出し結合し得ることを示す。しかしながら、GFP-11-[3Y7:V7]-40-mRuby3の細胞内濃度が、そのCsatを超えると生じる相分離前に、細胞質において従前の実験におけるタンパク質パートナーを共発現し、結合し得るため、A-IDP凝縮体が形成された後、タンパク質を動員し得ることは判明しなかった。この疑問に直接答えるために、本発明者らは、2つのプラスミドである[3Y7:V7]-40に融合したGFPの1つのフラグメント(GFP-11)をコードするLacオペロン制御プラスミドおよびGFPの他のフラグメント(GFP-1-10)をコードするaraBADオペロンによって制御される第二のプラスミドを用いて大腸菌を同時形質転換した。37℃でのGFP-11-[3Y7:V7]-40の発現が、その細胞内濃度が、そのCsatより高い、十分な長さに進むと、本発明者らは、IPTG誘導培地を除去し、それを、より大きなGFPフラグメント(GFP-1-10)の発現を誘導する、アラビノース含有培地で置き換えた。本発明者らは、アラビノース誘導後、大腸菌のφ1とφ2分画の両方が、蛍光活性GFPを含有したことを観察した(図22B)。この結果は、大きなGFPフラグメントが、細胞における予め形成させた凝縮体を浸透させる能力があり、A-IDPへの融合にも関わらず、その結合パートナーを見出し、完全な機能的分子を形成することを示唆していた。完全な機能的GFP分子を細胞内液滴に動員すると、次に、バルクの温度を変えることによって、再構成したGFP-A-IDPの細胞内溶解性を劇的に修飾することが可能になる(図24)。
これらの実験は、小分子およびタンパク質を、大腸菌における細胞内コアセルベート液滴に動員し得ること、およびタンパク質を、コアセルベート液滴内で再構成し得ることを明確に示す。これらの結果は、新規酵素機能を用いた細胞内コアセルベート液滴の新規設計のための経路を示唆していた。生体分子凝縮体の革命的な開発の提案した理由の1つが、酵素反応を含む、様々な生物学的機能の動態を調節することであるため、本発明者らは、対象の機能としてのバイオ触媒作用を選択した。しかしながら、酵素の機能をどのように相分離により調節するかを示す、実験的な証拠はほとんどない。
これを調べるために、本発明者らは、酵素を細胞内液滴に動員して、その触媒活性を調節し得るA-IDP融合物を作製した。本発明者らは、2つの理由のためβ-ガラクトシダーゼを選択し、(1)それが、広範な小分子基質を有し、その1つ、フルオレセインジβ-ガラクトピラノシド(FDG)は、無色であるが、β-ガラクトシダーゼにより切断されるとき、緑色蛍光を発する。従って、本発明者らの酵素-A-IDP融合物にタグ付けした赤色蛍光タンパク質とフルオレセイン蛍光の組み合わせを使用し、本発明者らは、A-IDPとの酵素反応の共存をリアルタイムで追跡することができる。(2)本発明者らは、大きなA-IDPに融合した大きな酵素が、大腸菌において十分高濃度で発現せず、従って、インビボで相分離しないであろうという懸念をもっていた。この懸念を緩和するために、本発明者らは、アルファペプチド(αp)が、変異した酵素LacZΔM15を相補して機能的β-ガラクトシダーゼ酵素を生じる、広く使用されるβ-ガラクトシダーゼ(LacZ)ブルー-白色スクリーニングシステムを利用した。本発明者らのシステムにおいて、酵素活性が、A-IDPに物理的に結合し、順に、赤色蛍光に物理的に結合するように、αpをA-IDP-mRuby3構築物に融合させる。
DBCO-Alexa488および別々のGFPを用いた本発明者らの研究により、このより複雑な実験の基盤をもたらした。DBCO-Alexa488実験は、たとえ、細胞外に送達されたとしても、酵素基質などの小分子が、斑点を通過することができることを示唆していた(図22A)。別々のGFP実験は、比較的大きなタンパク質をA-IDP凝縮体に動員して、機能的タンパク質を形成し得ることを示唆し、これは、同じものが、別々のβ-ガラクトシダーゼシステムを用いて可能であるべきであることを示唆していた(図22B)。多数の別々の酵素システムまたは様々な細胞内標的に結合するよう操作した小タンパク質モチーフが存在するため、このペプチド結合システムはまた、より偏在性の操作した斑点プラットホームを表す。
従って、本発明者らは、LacZ β-ガラクトシダーゼ由来のα-ペプチド(αp)を、A-IDP-mRuby3構築物に遺伝子融合させた。本発明者らの仮説は、αp-A-IDP-mRuby3タンパク質が、遺伝子修飾した大腸菌(KRX、Promega)において内在性に発現する酵素の他のフラグメント(α-ペプチド欠失を有するLacZΔM15)と結合し、細胞内液滴に動員し得ることである。タンパク質誘導および得られた凝縮体の形成後、本発明者らは、基質フルオレセインジβ-ガラクトピラノシド(FDG)を細胞培地に送達させ、ここで、細胞内に輸送し、活性なβ-ガラクトシダーゼの部位でフルオレセインに加水分解し、最終的に、細胞外に排出する(図22C)。フルオレセインの緑色蛍光の発生を共焦点顕微鏡を用いてトラッキングすることによって、本発明者らは、酵素活性が、細胞内で生じ、酵素活性を定量的に追跡する場所およびときを具体的に観察することができる。
本発明者らの対照実験αp-mRuby3において、本発明者らは、細胞内の蛍光の持続の限界を観察する。α-ペプチド自体が、封入体を形成することが知られており、故に、この対照実験においてさえ、本発明者らは、細菌細胞内部のいくつかの斑点を観察することに注意することが重要である。しかしながら、[WT]-20との融合の際、本発明者らは、蛍光が、共焦点顕微鏡を用いて観察すべきA-IDP凝縮体との十分に長く局在することを観察する(図22D)。この共存の増大にも関わらず、経時的な総蛍光産生は、αp-mRuby3対照から統計上有意ではない(図22E)。
本発明者らが、A-IDPのMWを増大させ、従って、Csatを減少するとき、本発明者らは、総FDG蛍光強度ならびにαp-A-IDP-mRuby3融合物との共存における用量応答効果を観察する(図22D)。αp-[WT]-40-mRuby3およびαp-[WT]-80-mRuby3は、αp-mRuby3対照と比較して、20分で変換した2.5×および7.5×多いFDGを有する(図22Dおよび図25)。マンダーの重複係数を用いた緑色および赤色蛍光の共存の定量は、α-ペプチドが、蛍光レポーター単独と比較して、A-IDPに融合するとき、共存の増大を示す(図26)。観察した共存を定量するために、本発明者らは、それぞれの時間点でのバックグラウンド域値より上であった緑色蛍光を用いた画像フレーム内の個々の細胞を解析した。MW A-IDPが大きいほど、それぞれの時間点でのバックグラウンドに標準化した、細胞内部のより強い蛍光を示す(図22F)。MWのこの容量応答効果は、より効率的な緑色蛍光変換を導く、液滴内部の基質分子の持続の延長の機序を強調する。
インビトロでの様々な基質濃度での蛍光産生の定量は、この作用機序が、MWが増大するに伴い、酵素の触媒定数(Kcat)において統計上有意な増大であることを示唆する。酵素の「ターンオーバー効率」または単位時間あたりに生じる触媒現象の数として、この定数を解釈することができる。本発明者らは、αp-mRuby3対照と比較して、αp-[WT]-20-mRuby3、αp-[WT]-40-mRuby3、αp-[WT]-80-mRuby3についてKcatにおける1.4×、1.6×および4.2×の増大を観察した(図27および表7)。生成物(フルオレセイン)と標識A-IDPの共存の増大の本発明者らの従前の観察をMWの関数としてみなして、本発明者らは、観察した蛍光の増大が、より高い測定Kcatに至る、凝縮体における酵素と基質の共存の増大によって引き起こされると提案する。本発明者らは、基質に対する酵素の親和性を述べる、ミカエリスメンテン定数(Km)に対する有意な変化を観察せず、これは、A-IDPの融合物が、酵素と基質の複合体の結合定数を変化させないことを示唆している。KcatおよびKmを使用し、本発明者らは、触媒効率を定義することができ、これはまた、A-IDPのMWの増大に伴った凝縮体内の酵素効率の増大という本発明者らの仮説を支持する。酵素効率におけるこの強化は、Kcatを改良するためにまず使用した様々なタンパク質操作技術によって観察される変化の大きさの程度である。
Figure 2023516653000042
本発明者らはまた、LacZアルファペプチドを、一定のMWで異なるレベルの芳香族性含有量を有するA-IDPに融合させた(図28A)。本発明者らは、異なるレベルの芳香族性含有量が、液滴へのFDG取り込みに影響し、それ故、全体的な酵素活性に影響すると仮説を立てた。驚くべきことに、本発明者らは、αp-[WT]-40-mRuby3、αp-[3Y7:V7]-40-mRuby3およびαp-[Y7:V7]-40-mRuby3の間の蛍光の類似する全体的レベルを観察した。しかしながら、酵素活性の動態は、凝縮体へのより早い取り込みを可能にする、より高い脂肪族含有量のA-IDPと異なる(図28B)。異なる脂肪族含有量を有するαp-A-IDP-mRuby3融合物間の細胞内部と細胞外部のFDG蛍光の比の間の差は、有意ではなく、これは、MWが、細胞内液滴内部でのフルオレセインおよび/またはFDG持続の主要な駆動力であることを示している(図28C)。A-IDPの反復配列単位から芳香族性残基を完全に欠失させると、細胞内凝縮体を形成せず、活性が、A-IDPタグを有さないαp-mRuby3融合物とのLacZΔM15の相補性により形成させた酵素より低い、可溶性酵素を明らかにもたらす(図29A~B)。
本発明者らは、ネイティブIDPから着想を得たオクタペプチドモチーフの反復配列からなるA-IDPが、水溶液における可逆UCST相分離を示すことを本明細書において示す。それらの配列の単純さにも関わらず、それらは、より複雑なネイティブIDPに見られる特性の多くを再取得する。コアセルベート液滴へのそれらの相分離の形成および動態を、配列レベルで遺伝子コード可能である2つの単純な設計パラメーターである、A-IDPのMWおよびオクタペプチド反復配列における芳香族:脂肪族残基の比によって制御する。これらの2つのパラメーターである芳香族:脂肪族の比およびMWを使用し、本発明者らは、ナノモル濃度からミリモル濃度の濃度範囲にあるCsatを有するA-IDPを産生することができた。この仕事は、相挙動をもたらすR-芳香族相互作用の成長する証拠を支持し、また、UCST相挙動の調整における芳香族基W、Y、FおよびHの間に存在する分子ヒエラルキーのさらなる証拠を加える。IDPの文献は、しばしば、MWの重要性を無視するが、本発明者らの結果は、MWが、UCSTバイノーダルの決定のため、組成より重要であり得ることを示唆する。本発明者らは、これらの結果が、ネイティブIDPを変異誘発するストラテジーおよび新規IDPを設計するストラテジーを説明し、劇的にシフトすると予測する。
これらの設計パラメーターは、インビトロから細胞内環境に正確に翻訳する。A-IDP相は、インビトロでそれらのUCST相分離をもたらす同じ原理により、細胞内部で分離し、これは、配列および分子量に組み込まれた同じ熱力学的駆動力がまた、単離における液滴形成動態を調節することを示している。それらの設計の単純さに起因して、インビトロでのそれらの相図としてのインビボA-IDP挙動は、Csatに対するそれらの細胞内濃度の増大のため、液滴を分離する小さい相が、細胞内部の全体的なA-IDP濃度が増大するに伴い、サイズが成長し続ける空間において個々のポイントで形成されることを示唆する。この予測可能な知見は、従前の研究により理論付けられるが、現在まで結論付けられていない。
最終的に、これらのタンパク質を、機能的細胞内液滴の新規設計のため使用することができる。本発明者らは、β-ガラクトシダーゼ欠失変異体を結合し、動員する能力がある細胞内斑点を合理的に設計し、これらは、細胞内凝縮体を形成するよう進化したのではない複合体である、酵素と基質の複合体の触媒効率を修飾することができる。相分離コアセルベート液滴における再構成酵素の触媒効率は、MW依存性であり、A-IDPのMWと共に増大する。MW A-IDPが大きいほど、酵素的に活性な細胞内相分離斑点において基質をより効率的に離し、Kcatにより測定する通り、より高い触媒効率をもたらす。これらの概念証明実験は、細胞内液滴を、生きた細胞における非臨界機能を有するよう操作することがでることを示し、細胞内物質操作のための新規プラットフォームをもたらす。要約すると、広範なCsatにわたる本研究のため合成した60を超えるIDP、細胞内でのコアセルベート液滴にタンパク質を動員し、これにより、タンパク質機能を調節する概念証明実験を用いて、これらの研究は、機能的細胞内凝縮体の新規設計のための基礎となる。本発明者らは、これらのA-IDPが、緊急挙動を有する新規生物学的凝縮体を生きた細胞内で構築して、生きた細胞における相分離の機能的優位性をより研究し、細胞内での液滴の新規機能をコードし得る、構築ブロックとして有用であると予想する。本発明者らはまた、これらのIDPが、それらの調節可能なUCST相挙動から利益を得ることができる、細胞内液滴の設計を超えて、他の生物医学適用において有用であると判明すると予測する。ソフトマテリアルサイエンスの半細胞材料の生物物理学的特徴決定とのこの結びつきは、新規または改良した機能を有する細胞および新規生体材料を操作するための、刺激的な空間であり続ける。
(実施例2)
図30A~Dは、無秩序生体高分子に融合したとき、発現レベルを救出する原核生物発現系において低レベルで発現する様々な融合タンパク質の例を示し、生体高分子の相分離挙動の使用により、可溶性分画への回収が可能になる。これは、mAb(ZD)に結合するナノボディ折り畳み構造を有するmAb結合タンパク質;ベータ-バレル構造(sfGFP)を有する蛍光融合タンパク質;強いアルファ-らせん傾向を有する治療タンパク質ペプチド(GLP-1)、タンデム反復配列構造を有するRNA結合タンパク質(PUMHD)および大腸菌における細胞毒性傾向を示す抗菌ペプチドを用いて行うことができる。
表8は、様々な融合タンパク質の発現レベルを示す。
Figure 2023516653000043
図31は、mAbに結合するタンパク質A由来のドメインに融合される相分離生体高分子とのmAbのインキュベーションを示す。最初に、生体高分子を、mAbに結合させ、遠心分離して、mAb重鎖(HC)および軽鎖(LC)を捕捉する。次いで、上清を除去し、ペレットは、生体高分子-ZD融合物とmAbの間の解離を引き起こす、低pHである、溶出バッファーに再懸濁した。溶液を再度スピンダウンし、他のタンパク質混入物がほとんどない、純粋なmAb HCおよびLCを含有する、溶出上清を得た。溶出ペレットは、生体高分子を含有し、mAbを含有しなかった。
図32は、タンパク質A(ZD)のZ-ドメインに融合した、相分離したタンパク質((GRGDQPYQ)40、m=40を有する配列番号3)の存在下で可視化した、蛍光標識mAb(グレー-スケールにおける赤色/白色)の顕微鏡画像を示す。 第一のフレームは、蛍光シグナルとの液滴の共存を示す。バッファーpHが、t=0で降下するとき、蛍光シグナルの逆転が存在し、これは、mAbが、相分離したタンパク質-ZD融合タンパク質(白色の矢印)から完全に解離し、周囲の溶液(赤色)に侵入したことを示唆している。液滴融合物は、60~240秒で生じるため、これらの生体高分子-融合タンパク質は、それらの液体様挙動を保持する。
図33は、生体高分子に融合した様々なAMPを含有する融合タンパク質を示す。融合タンパク質が、発現しないとき、細胞成長は、OD600での漸増吸光度によって測定する標準として進む。AMP単独を発現するとき、細胞成長は発育停止する。AMP-生体高分子融合タンパク質が、発現するとき、標準の成長が回復し、これは、AMPの利用可能性の低減を示唆している。
(実施例3)
皮下デポーからのグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)のインビボ放出に対する反復ポリペプチド設計の効果
本発明者らは、天然に存在するIDPから化学的から着想を得た反復配列ポリペプチドの相挙動を利用して、細菌における脂質二重層によって閉鎖されたときの資源のバイオアベイラビリティを制御し、界面活性剤様作用を発揮する比較的親水性のELPまたはRLP分子により立体的に閉鎖されたときのミセルのアセンブリーを制御した。本発明者らは、希薄相が、タンパク質クリアランスの能力がある生物学的システムと平衡状態にある、無限シンクに結合するシステムにおけるバイオアベイラビリティの制御の有効性を試験する動機があった。Chilkoti研究室は、LCSTポリペプチドをもっぱら用いるが、糖尿病および様々な癌のための治療分子の送達への主な焦点を置いた、この正確なセットアップにおける脊椎動物におけるペプチド分子の皮下送達を用いた広い経験を有する。
ペプチドの送達は、薬物送達の顕著な課題のままである。半減期の改善に焦点を当てたタンパク質の操作の改善にも関わらず、それらの有効なウィンドウは、数分から数時間にわたり、それらを治療使用に不適当にする。興味深いことに、天然では、様々な生物学的適用においてペプチドを利用するが、それらの活性の制御は、表現型変化に反応し得る細胞集団によってしばしば厳格に制御する。従って、人が作製したペプチド薬物が、送達溶液を必要とし、これらの価値ある高分子の薬物動態を改善することができる。
ペプチドの半減期を改善する最も一般的なアプローチは、タンパク質操作、および放出を延長させるための製剤の変更、および/または腎クリアランスの低減を含む。D-アミノ酸または他の化学的に難儀なアミノ酸誘導体の取り込みなどの、配列操作は、タンパク質のタンパク分解性分解を制限するが、製造選択を重大に制限し得る。封入方法は、バイオアベイラビリティに対する一定しない効果を生じるか、またはこれらの方法を介して送達することができるペプチド薬の種類を制限する、荒い産生条件を必要とする。腎クリアランスを減少するストラテジーは、分子のサイズの増大および半減期を延ばし、巨大なタンパク質に融合する合成または生物学的ポリマーへの結合およびペプチドを、アルブミンまたは抗体フラグメント様の遅いターンオーバー速度を有する内在性生体分子にピギーバックすることを可能にする化学部分の結合を含むオプソニン作用の低減を中心題目とする。これらのストラテジーは、効力を劇的に低減し、患者集団が個体間でこれらのピギーバックバイオマーカーを一定に発現することに依存するため、これらのストラテジーにも限界がないわけではない。
これらの操作したポリペプチドは素晴らしい解決を提供する。つまり、その一次アミノ酸配列および分子量を通じて、これらの操作したポリペプチドは、生理活性分子の高密度および局所希薄相を制御することで薬物のバイオアベイラビリティを有効に制御する。タンパク質分解酵素が、ポリペプチドとペプチド薬物デポーのち密相に拡散する固有の能力を有さない限り、ペプチド薬物の利用可能性は、ポリペプチドの一次アミノ酸配列によって包括的に仲介される。次いで、この局所希薄相は、皮下空間から循環に拡散し、治療効果を発揮し得る。本明細書において記載するポリペプチド設計の原理を使用し、本発明者らは、インビボでのペプチド薬物の半減期を延長し得る薬物放出デポーを合理的に設計することができる。
この研究のため、関連するペプチド薬は、GLP-1であり、これは、巨大な治療ウィンドウにわたり血糖コントロールを発揮する能力がある、腸のL細胞において産生される31のアミノ酸ペプチドである。GLP-1-ポリペプチドデポーを用いた従前の経験は、薬物放出のための皮下デポーの設計について十分に明らかにした。(1)ポリペプチドELPなどの高分子の融合物は、GLP-1分子の効力を、約30分の1までに低減するが、これは、インビボ活性を妨げない。(2)ゼロオーダーの放出を、最適な条件下でマウスにおいて最大10日間、サルにおいて最大17日間達成することができる。(3)最適な条件は、動物の体温未満の注射可能な転移温度5~7℃、腎クリアランスを回避するために35kDa以上の分子量である。この体温未満の最適な5~7℃は、およそ1~100μMの希薄相濃度に対応し、最適でないデポーは、この最適な範囲より上、および下の桁のCsatを示した。
これらの実験のため選択するペプチド薬は、いくつかの理由のためGLP-1である。(1)GLP-1は、インビボでの治療効果を迅速に発揮することができる。(2)GLP-1は、インビボでの約5分の半減期を有する改善した薬物動態の主要な候補である。(3)GLP-1を、高脂肪食が、血糖を増大させる、食餌誘導性肥満の確立したマウスモデルにおいて容易に研究することができる。4)GLP-1は、様々なポリペプチドパートナーへの遺伝子融合と関連する交絡変数および無数の送達ストラテジーを除去する、安定なペプチド薬である。
従前の研究は、注射濃度での転移温度が、有効性の決定のための重要なパラメーターであることを示唆していた。しかしながら、これは、相図上の重要な等温を、動物の安静時体温が定義する、デポーの操作温度の代わりに、室温であるとミスジャッジする。皮下マウスモデルにおいて、この温度は、およそ35℃である。従って、本発明者らは、これらの2つの変数が、GLP-1のバイオアベイラビリティにどのように影響するかを観察するために試験するための、35℃の等温での様々な希薄相濃度(35℃での飽和濃度に類似する)および異なる分子量を有するタンパク質を探している。
この研究の潜在的交絡効果は、送達方法である。UCSTを示すポリペプチドを用いて、LCSTポリペプチドを用いて従前に試験したCsatの範囲に均等であるCsatを達成するために、ポリペプチドの溶液曇点は、しばしば、動物の体温より劇的に高い。従って、本発明者らの第一の試験の1つは、ポリマーより迅速に注射部位から拡散し得る可溶性小分子(尿素)を使用し、従って、貧溶媒になるよう環境と迅速に交換する可溶性溶媒においてポリペプチドを注射することを可能にする、デポーの確立、デポーの形成である(図34)。第二に、本発明者らは、既に記載した形、サイズおよび再水和し、最初の遅延後に活性なポリペプチドを放出し始める容量の乾燥デポーを物理的に埋め込んだ(図34)。本発明者らは、皮下空間における類似のサイズのデポーを迅速に生じる、一定投与を調べた。
次に、本発明者らは、異なるCsatを示す、類似の分子量のポリペプチドを設計した。本発明者らは、以前と同じパラメーターであるGLP-1-ポリペプチド融合物のバイノーダルを合理的に調整するための芳香族:脂肪族の比を利用することによってこの偉業を達成する。これにより、本発明者らが、融合物の治療有効性に対するCsatの効果を観察することが可能になった。しかしながら、Csatは、バイオアベイラビリティに影響するただ1つのパラメーターである。分子の全体的なサイズはまた、皮下空間における分散/対流に重要である。従って、類似の範囲のCsatを使用し、本発明者らは、分子の分子量を全体的に増大させるため、送達のためのデポーを試験する。従前のラボメンバーによる従前の研究は、その減少が、約35kDaを超える分子量に戻すことを示した。
遺伝子合成
所望の飽和濃度を有するそれぞれのオクタペプチドアミノ酸モチーフを、GLP-1のC末端に遺伝子融合させた。遺伝子の総反復配列の数を増大させるために、本発明者らは、それぞれの工程中に追加の20の反復配列を加えるプラスミド再構築によって再帰的方向性ライゲーションの反復性クローニング工程を行なった。組み換え発現のため、所望の大腸菌細胞株であるBL21(DE3)への形質転換を行なった。
タンパク質精製
それぞれが、対象の本発明者らの遺伝子を有する、BL21大腸菌株の個々の液体培養物を、凍結グリセロールストックからTerrific Broth(TB)培地5mLに接種し、コンフルエンスまで一晩(16~18時間)成長させた。次いで、培養物を、45μg/mLカナマイシンを添加したTB培地1L中1:200希釈で接種した。細胞を、振盪インキュベーター(約200RPM)において、37℃で9時間成長させ、その時点で、500μM イソプロピル-β-D-チオガラクトシド(IPTG)の添加によって、タンパク質発現を誘導した。次いで、細胞を、37℃(約200RPMで振盪)でさらに18時間インキュベーションした。次いで、タンパク質を、不溶性細胞懸濁液分画から精製した。 簡単に言うと、3500RCFで培養物を遠心分離し、milli-Q水20mL中で再懸濁することによって、細胞ペレットを単離した。次いで、細胞溶液を2分間超音波処理し、10秒間パルス処理し、続いて40秒間氷上に静止させること(Misonix;Farmingdale、NY)によって、細胞を溶解した。
それぞれの溶解物の懸濁液を20,000RCFで20分間遠心分離することにより、可溶性分画および不溶性分画を得た。上清を捨て、不溶性分画を、およそ等容量の8M尿素+140mM PBS(約6~8mL)に再懸濁した。この懸濁液を、37℃のウォーターバスにおいて10分間温め、次いで、20,000RCFで20分間遠心分離した。上清を、この懸濁液から集め、4℃で1:200のmilli-Q水溶液に対して10kDaの膜(SnakeSkin(商標)、Thermo Fischer Scientific)において透析した。48時間の期間にわたり2回透析水を交換した。透析バッグの内側から、不溶性成分と可溶性成分の両方を集め、3500RCFで10分間、4℃で遠心分離した。上清を取り除き、対象のタンパク質を含有する残る不溶性ペレットを、最短で3日間凍結乾燥させて、ペレットから全ての水を取り除いた。
4~20%の勾配のトリス-HCl(Biorad、Hercules、CA)ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)および0.5M塩化銅またはSimplyBlue(商標)SafeStain(Thermo Fischer Scientific)のいずれを用いて染色することによって、タンパク質純度を特徴付けた。タンパク質収量を、凍結乾燥後に重量で決定した。
温度依存性UV-vis分光光度法
濁度特性を、温度制御したUV-vis分光光度計(Cary 300 Bio;Varian Instruments;Palo Alto、CA)上の温度(1℃/分の勾配)の関数として最適な密度を記録することによって、構築物のそれぞれについて得た。転移温度(Tt)を、濁り特性の屈曲点として定義した。試料を、10μMのPBSにおいて測定した。
畜産
全ての実験手法を、Duke Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)が承認したプロトコールA053-15-02の下で行なった。6週齢のオスのC57Bl/6Jマウスを、Jackson Labs(系統000664)から購入し、制御した光周期(12時間の明/12時間の暗サイクル)を有する部屋に収容して群にし、その手法開始前に設備に少なくとも1週間順応させた。動物は、水および食餌に無制限にアクセスでき、悩みである徴候および症状について毎日観察した。施設に到着した際、高脂肪(60kcal%の脂肪)食餌でマウスを維持することによって、食餌誘導性肥満(DIO)表現型を達成した。
エンドトキシン除去
構築物を、正の荷電および親水性Mustang(登録商標)E膜(Pall Corporation)からなる無菌の0.22μm Acrodiscフィルターに溶液を通すことによって、注射前にエンドトキシン精製した。構築物を、2M尿素+140mM PBSにおいて37℃で濾過し、次いで、4℃でのmilli-Q H2Oに対して透析し、72時間の経過にわたり3回の別々の回数、水を交換した。凝集した物質を、透析バックから除去し、遠心分離(4℃、3500rpm)を用いてペレット化した。試料を凍結し、最短で48時間凍結乾燥させた。
GLP-1放出皮下デポーを確立する方法
1つの方法において、ポリペプチドを、2M尿素+140mM PBS中の175μMで再懸濁する。総容量200μLを、注射部位での化学溶解を用いて全ての毛を剃り、取り除いた後、右の後脇腹に注射する。マウスを体重測定して、動物の体重1kg当たりのGLP-1の約2100ナノモルに必要な注射容量を決定した。注射用量は、200μLを超えなかった。第二の方法において、動物をイソフルレンを用いて麻酔した後、外科ハサミを用いて右の後脇腹を小切開する。切開部位を、Duke畜産ガイドラインに従い事前に無菌化した。次いで、予め計量した脱水ポリペプチドペレットを、皮膚下に挿入する。ペレットは、迅速に再水和し、皮膚組織に結合し、これにより、切開部位をシールし、少量の外科用接着剤のみを使用して、皮弁を閉じた。
血糖測定および質量測定
マウスを、透明の静止チューブに入れた。それらの尾を、無菌水中の50%のエタノールを用いて拭き、次いで乾燥させた。小さいランセットを使用して、尾静脈に隣接して小切開した。血液の第一の液滴を吸い取った。血液の第二の液滴をAlphaTRAK2血糖メーター(Abbott Laboratories)の試験ストリップに適用することによって、血糖を定量した。マウスを短時間入れた容器を用いてゼロにしたスケール上で、質量を測定した。
統計的分析
インビトロとインビボ研究の両方についての実験数を、従前の実験または他の公開データから収集した知識に基づき選択した。小さい標本サイズ(n≦6)なので、群の正規性を検査しなかった。群間の相違は、無処置対インビボ処置群におけるのを除き、類似であった。これは、試験したマウスモデルにおいてグルコース制御が欠如しているので、予想外ではない。質量研究における血糖およびパーセント変化を、反復配列測定ANOVAを使用して解析し、続いて、複数の比較のため下限ANOVAおよびダネット検定を行なった。2群を比較するため、両側スチューデントt検定を使用した。盲検法を行なわなかった。解析およびデータ処理を、IgorおよびRソフトウェアを使用し、行なった。
結果
本発明者らは、安全な生物学的温度範囲よりずっと上の転移温度を有するUCSTポリペプチドのためのデポーを皮下で確立する可能性を用いた2つのストラテジーに直面し、これにより、体温までの冷却の際に不溶性転移への可溶性を防止する。2つのストラテジーは、1)注射のため、尿素を利用して、溶液曇点を低下させること、および2)再水和し、これによりペプチド融合物を放出する、濃縮脱水GLP-1-IDP融合物の注射である。本発明者らは、蛍光断層撮影を介してこの効果を直接視覚化することを決定した。本発明者らは、必要な注射濃度(従前の研究において使用したGLP-1-ELP融合物の均等な用量である1000nmole/kgに対応する、175μMまたは1.2mg)で>70℃の予測転移温度を有する、モデルIDPである(Gly-Arg-Gly-Asp-Ser-Pro-Tyr-Gln)-40を選択した。遊離アミンでのNHS-エステル化学を介して結合した近赤外蛍光タグ(CW800)を使用し、本発明者らは、後脇腹におけるポリペプチドの局在性を可視化した。
本発明者らは、ポリペプチドと溶液中の1Mの尿素の包含が、約25℃までの点で観察した濁りであることを分かっている。従って、2M尿素+PBS中のモデルポリペプチドを175μMで再懸濁することによって、本発明者らは、周囲条件下で可溶性状態で注射することができる。本発明者らは、尿素とモデルポリペプチドの間の分子量の2桁の差を考慮し、尿素が、皮下空間に迅速に拡散し、これにより、貧溶媒中の残りのポリペプチドを遊離させ、これにより、インサイツで転移すると仮定する。
注射の際、本発明者らは、ポリペプチドの「バースト」放出に類似するものを観察する(図35)。これを、針の注射進路の軸に沿った塊の中心の巨大蛍光範囲によって特徴付ける。最初の8時間をこえると、この塊の中心は、強度が低減し、最初の2日間にわたり、平衡状態の形にゆっくり至る。この塊の中心は、14日目までに消失した。
本発明者らはまた、尿素実験と同じ総タンパク質含有量を有する脱水コアセルベートを注射した。ここで、本発明者らは、完全に異なる挙動を観察する。本発明者らの最初の意図は、シリンジからの対流を使用して、水と接触した際に、皮下空間にニードルポイントから脱水デポーを押すことであり、脱水デポーは、疎水性のニードルにしっかり結合する(図36)。従って、本発明者らは、鉗子を用いて物質を移植し、これにより、小切開を通じて脱水ペレットを皮膚の下に置いた。移植の際、本発明者らは、最初の90分間にわたりゆっくり拡大する、蛍光の非常に小さい範囲を観察する。移植物の塊の中心は、2週間の経過にわたり目立っては動いていなかった。しかしながら、デポーの塊は、経時的に減少し、主に、移植の最初の3日間、デポー周囲の物質をゆっくり放出する。これらの2つの注射ストラテジーを比較して、本発明者らは、バースト放出の欠如およびデポーの持続の増大に起因して、脱水デポーストラテジーを用いて前に進むことを決定した。
ポリペプチドのN末端へのGLP-1の融合を、一般的に十分に許容した。本発明者らは、組み換え発現からの収量の最小限の喪失を観察し、大部分の構築物が、25~50mg/Lで発現した。既に述べた通り、本発明者らは、デポーからの低速放出、最適放出およびほぼ可溶性の放出に対応する、約0.1、10、>100μMの一般的範囲のCsatを有するペプチド-ポリペプチド融合物を設計することを望んだ。これは、[3Y:V]-20、[Y:V]-20および[3V:Y]-20について予測したCsatに大まかに対応する。[3V:Y]-20は、生理的条件下で相挙動を示さないと予想し、従って、6つのHis残基をポリペプチドのC末端に融合させ、クロマトグラフィーを用いて可溶性分画から精製した。
これらのポリペプチド融合物の相挙動を、温度依存性UV-vis分光光度法を用いて従前の通り測定した。UCSTバイノーダル線の決定において、本発明者らは、約30μMのCsatを示すGLP-1-[3Y:V]-20、および約500μMのCsatを示すGLP-1-[Y:V]-20を用いた所望の相挙動を実際有するこれらの2つのタンパク質を同定する(図37)。これらは、単独選択であるRIDPによって予測した値に大まかに対応する。予測GLP-1-[3V:Y]-20-His6Xは、生理的条件下で相挙動を示さなかった。
エンドトキシン精製後、1.2mgのGLP-1-[3Y:V]-20、GLP-1-[Y:V]-20およびGLP-1-[3V:Y]-20-His6Xを計量し、60%の脂肪食を与えたC57Bl/6Jマウスの後脇腹に移植した。これら3つの群に加えて、食塩水注射を受けた、さらなる群が存在する。研究の経過にわたり、本発明者らは、0、1、2、4、8、24時間、次いで計8日間後のそれぞれの日に採取した尾静脈血を介して血糖を測定した。
血糖データを、図38において視覚化することができる。全体的に見て、脱水デポーを移植する本発明者らのストラテジーは、血糖調節に成功した。本発明者らは、最適でない分子量ポリペプチドにおいてさえ、芳香族:脂肪族の比の効果を観察することも積極的である。第一に、およそ同じ速度の早い時間点の血糖液滴において、可溶性調節においてさえ、血糖に対する効果を観察する最短の時間に関する制限が存在することを示唆することは、注目すべきである。第二に、それぞれの実験群は、バースト放出の構成要素を示し、皮下デポーを形成するそれらの構築物について観察した最大変化を伴った。この結果は、可溶化の際に、血流に達するより大きなボーラス容量が存在し、デポー放出とタンパク質クリアランスの間の平衡状態に達する際に低減することを示唆する。第三に、本発明者らのデポー形成製剤(GLP-1-[3Y:V]-20およびGLP-1-[Y:V]-20)それぞれは、可溶性RIDP対照と比較して、少なくともさらに1日血糖を調整する。
マウスの体重の測定により、本発明者らの皮下デポーの有効性についての補足情報を得る(図39)。再度、本発明者らは、本発明者らのデポー形成タンパク質が、最大レベルのバースト放出効果を示し、これにより、最初の2日間において体重の最大変化をもたらすことを観察する。この効果は、若干デポー依存性であるように思われ、下限Csat構築物が、食欲の最大の抑制を示す。予想した通り、食塩水の注射は、体重に影響しない。
体重測定値はまた、本発明者らの2つのデポー形成融合物を互いに区別する。
高いCsat構築物体重測定値は、それらの有効性が、5日目までに衰えるが、低いCsatは、研究の終わり(8日目)まで、表現型効果を発揮しているように思われる。
これらの実験は、GLP-1-ELPデポーを用いた最適実験の同様の結果を写す。35kDaを超える分子量を有するポリペプチドの再帰が減少するが、20~35kDaのグルコース対照に対する改善が存在した。従って、本発明者らは、GLP-1-RIDP融合物のより大きい分子量バリアントを作製することを調べた。
ポリペプチド融合物の分子量の増大は、芳香族性含有量を脂肪族置換を用いて連続的に低減することによって、0.5、7、および60μMのCsatを有するシリーズを生み出した(図40)。別のGLP-1タンパク質融合物をまた、生理的条件下でUCST相挙動を示さない75%の脂肪族含有量を用いて作製した。本発明者らはまた、GLP-1-[3Y:V]-40に類似するCsat(12μMと比較して7μM)を有するが、分子量が半分である、分子量対照(GLP-1-[S]-20)を合成した。
皮下空間に移植した2.0mgのデポーを有するマウスの血糖測定値を、図41において可視化することができる。様々なCsatを示すこれらのタンパク質はまた、皮下空間におけるデポーからの様々な放出を示す。大部分の疎水性デポーであるGLP-1-S-[40]は、最小量の物質を放出するように思われ、これは、デポーの生物物理学的特性が、ペプチド薬の表現型効果を遅延させることを示唆している。7~60μMのCsatを有する、中央値の疎水性デポーであるGLP-1-[3Y:V]-40およびGLP-1-[Y:V]-40は、小分子量バージョンよりほぼ完全な24時間の改善である、類似のレベルのグルコース対照を発揮する。可溶性であると予測した、最も親水性の「デポー」は、最初の24時間にわたり、グルコース対照を管理することのみができる。これは、依然として、より小さい分子量の可溶性対照からの改善である。これらの実験は、最適なデポー設計の従前の結論を支持し、これにより、最適な放出動態が、7~60μMのCsatを示すポリペプチドを用いて達成することができることを同定している。
血糖に対するCsatの分子量依存性の効果を、図42において可視化することができる。分子量が増大するが、最適な放出範囲内であるCsatを保持することは、さらに2日間までグルコース対照を延長することができる。この効果は、おそらく、血流への分散の遅延の結果であり、腎クリアランスの遅延から薬物半減期を延長した。
マウスの体重の追跡は、血糖測定値から推測した結論を支持する(図43)。ここで、デポー疎水性の放物線効果は、疎水性および親水性の極地で明らかであり、質量調整のより少ないバースト放出および短い持続時間が存在する。「最適な」構築物であるGLP-1-[3Y:V]-40およびGLP-1-[Y:V]-40は、依然として、7日目での質量調整を示しており、これは、移植の144時間後でさえ、デポーから放出する少量の物質が存在ているに違いないことを示唆している。分子量対照であるGLP-1-[S]-20は、その大きな分子量類似体であるGLP-1-[3Y:V]-40より少ないバースト放出およびより短い有効性の持続時間を示し、これは、再度、より大きな分子量デポーからの血流における侵入の遅延および持続の延長の結論を支持している。
要約すると、本発明者らは、GLP-1-ELPシステムを用いた模倣融合物を設計した。本発明者らはまた、好ましくない作用転移温度を有する皮下デポーを確立する複数の新規経路を見出した。これら2つの発明を使用し、本発明者らは、DIOマウスモデルにおいてインビボで最大5日間血糖を調整する、従前のGLP-1-ELPデポーと類似の有効性で作用するデポーを作製することができた。

Claims (34)

  1. (X-Z1-X-Z2-Z3-X-Z4-Z3n
    (式中、
    Xは、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比は、任意の数であり;
    1は、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比は、任意の数であり、K:Rの比は、任意の数であり得;
    2は、Asp(D)、Arg(R)、Glu(E)であり、R:Dの比は、任意の数であり得、D:Eは、任意の数であり得、
    3は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、またはスレオニン(T)であり、N:Q:S:Tの間の比は、任意の数であり得、
    4は、チロシン(Y)、ヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、バリン(V)、イソロイシン(I)、アラニン(A)、またはロイシン(L)であり、Y:H:W:F:M:V:I:A:Lの間の比は、任意の数であり得る)
    を含むアミノ酸配列の10個以上の反復配列を含む制御された可逆相分離を有するポリペプチド。
  2. Xが、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比が、1:3~3:1である、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 1が、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比は、1:5を超えず、K:Rの比は、任意の数であり得る、請求項1に記載のポリペプチド。
  4. 相分離が、温度、分子量、疎水性、芳香族:脂肪族の比、および濃度に依存する、請求項1に記載のポリペプチド。
  5. nが、10~200である、請求項1に記載のポリペプチド。
  6. 分子量が、少なくとも5kDa~500kDaである、請求項1に記載のポリペプチド。
  7. 分子量が、約5kDa~約100kDaである、請求項1に記載のポリペプチド。
  8. 相分離温度が、0~100℃である、請求項1に記載のポリペプチド。
  9. 相分離温度が、4~25℃、約25℃、25~37℃、約37℃、35~38℃、または>38℃である、請求項1に記載のポリペプチド。
  10. 改変アミノ酸、レポータータンパク質、または酵素を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  11. 配列が、
    (G-R-G-D-S-P-Y-S)m
    (式中、mが、20~80である)を含む、請求項10に記載のポリペプチド。
  12. 配列番号1-1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、141、143、145、147、149、151、153、155、157、もしくは197~279、またはその組み合わせの1個または複数から選択される配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  13. (X-Z1-X-Z2-Z3-X-Z4-Z3n
    (式中、
    Xは、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比は、任意の数であり;
    1は、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比は、任意の数であり、K:Rの比は、任意の数であり得;
    2は、Asp(D)、Arg(R)、Glu(E)であり、R:Dの比は、任意の数であり得、D:Eは、任意の数であり得、
    3は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、またはスレオニン(T)であり、N:Q:S:Tの間の比は、任意の数であり得、
    4は、チロシン(Y)、ヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、バリン(V)、イソロイシン(I)、アラニン(A)、またはロイシン(L)であり、Y:H:W:F:M:V:I:A:Lの間の比は、任意の数であり得る)を含むアミノ酸配列の10個以上の反復配列を含む制御された可逆相分離を有するポリペプチドを含む、薬学的に許容し得る組成物。
  14. Xが、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比が、1:3~3:1である、請求項13に記載の組成物。
  15. 1が、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比が、1:5を超えず、K:Rの比が、任意の数であり得る、請求項13に記載の組成物。
  16. スタフィロコッカスタンパク質A(ZD)由来の抗体結合ドメイン(配列番号159)、LL37(配列番号161)、Ib-M1(配列番号163)、Ib-M2(配列番号165)、Ib-M5(配列番号167)、カテリシジン-1(配列番号169)、A(A1R、A8R、I17K)(配列番号171)、H5(配列番号173)、H5-61-90(配列番号175)から選択される抗菌ペプチド;RGDペプチド(RGDSPAS、配列番号39);タンパク質薬、GLP-1(配列番号177);蛍光レポーター(sfGFP(配列番号179)、mRuby3(配列番号181);RNA結合タンパク質(PUM-HD(配列番号183)、eIF4E(配列番号185)、PABP(配列番号187)、Tis11D(配列番号189));KHドメイン(YifanもしくはFMRP(配列番号191));またはAAV結合ペプチドPKD1(配列番号193)もしくはPKD2(配列番号195)の1個または複数を含む結合分子をさらに含む、請求項13に記載の組成物。
  17. 遊離形態の結合分子と比較して、結合分子のバイオアベイラビリティを増強する、請求項13に記載の組成物。
  18. 遊離形態の結合分子と比較して、結合分子の組み換え発現を増強する、請求項13に記載の組成物。
  19. 遊離形態の結合分子と比較して、結合分子の安定性を増強する、請求項13に記載の組成物。
  20. 遊離形態の結合分子と比較して、原核生物または真核生物の発現中の結合分子の安定性を増強する、請求項19に記載の組成物。
  21. 安定性の増強が、凍結、解凍、凍結乾燥または4℃未満の温度での長期保存中の変性に対する抵抗性を含む、請求項19に記載の組成物。
  22. 細胞または生物内の酵素機能、代謝機能、または生理学的機能を調節する、請求項13に記載の組成物。
  23. 調節が、結合分子のバイオアベイラビリティを低減する、請求項22に記載の組成物。
  24. 結合分子が、治療もしくは細胞毒性タンパク質またはペプチドを含む、請求項23に記載の組成物。
  25. タンパク質のバイオアベイラビリティまたは安定性を増強する方法であって、
    1つまたは複数のタンパク質と、
    (X-Z1-X-Z2-Z3-X-Z4-Z3n
    (式中、
    Xは、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比は、任意の数であり;
    1は、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比は、任意の数であり、K:Rの比は、任意の数であり得;
    2は、Asp(D)、Arg(R)、Glu(E)であり、R:Dの比は、任意の数であり得、D:Eは、任意の数であり得、
    3は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、またはスレオニン(T)であり、N:Q:S:Tの間の比は、任意の数であり得、
    4は、チロシン(Y)、ヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、バリン(V)、イソロイシン(I)、アラニン(A)、またはロイシン(L)であり、Y:H:W:F:M:V:I:A:Lの間の比は、任意の数であり得る)
    を含むアミノ酸配列の10個以上の反復配列を含む制御された可逆相分離を有するポリペプチドの融合タンパク質を作ることを含む方法。
  26. Xが、プロリン(P)またはグリシン(G)であり、P:Gの比が、1:3~3:1である、請求項25に記載の方法。
  27. 1が、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)、またはリジン(K)であり、R:Dの比が、1:5を超えず、K:Rの比が、任意の数であり得る、請求項25に記載の方法。
  28. タンパク質が、スタフィロコッカスタンパク質A(ZD)由来の抗体結合ドメイン(配列番号159)、LL37(配列番号161)、Ib-M1(配列番号163)、Ib-M2(配列番号165)、Ib-M5(配列番号167)、カテリシジン-1(配列番号169)、A(A1R、A8R、I17K)(配列番号171)、H5(配列番号173)、H5-61-90(配列番号175)から選択される抗菌ペプチド;RGDペプチド(RGDSPAS、配列番号39);タンパク質薬、GLP-1(配列番号177);蛍光レポーター(sfGFP(配列番号179)、mRuby3(配列番号181);RNA結合タンパク質(PUM-HD(配列番号183)、eIF4E(配列番号185)、PABP(配列番号187)、Tis11D(配列番号189));KHドメイン(YifanもしくはFMRP(配列番号191));またはAAV結合ペプチドPKD1(配列番号193)もしくはPKD2(配列番号195)の1個または複数を含む、請求項25に記載の方法。
  29. 融合タンパク質の増強されたバイオアベイラビリティが、生物学的分子の単離または分離のため使用することができる、請求項25に記載の方法。
  30. 生物学的分子が、脂質、細胞、タンパク質、核酸、炭水化物、またはウイルス粒子の1個または複数を含む、請求項25に記載の方法。
  31. 核酸が、1本鎖もしくは2本鎖DNAまたはRNAである、請求項30に記載の方法。
  32. ウイルス粒子が、アデノウイルス粒子、アデノ随伴ウイルス粒子、レンチウイルス粒子、レトロウイルス粒子、ポックスウイルス粒子、麻疹ウイルス粒子、またはヘルペスウイルス粒子である、請求項30に記載の方法。
  33. タンパク質が、アルブミン、モノクローナルIgG抗体、またはFc融合タンパク質を含む、請求項30に記載の方法。
  34. 単離または分離が、可逆相分離を介して達成される、請求項30に記載の方法。
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