JP2023515792A - 遺伝子治療 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023515792000001
本発明は、血管内皮増殖因子(VEGF)C導入遺伝子;及び最小ネフリンプロモーターNPHS1又はポドシンプロモーターNPHS2を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター遺伝子治療を提供する。糖尿病性腎臓疾患等の腎臓疾患を処置又は予防するために、遺伝子治療ベクターを使用して、腎臓の糸球体内のポドサイトを標的化することができる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、VEGFC導入遺伝子と腎臓特異的プロモーターを含む遺伝子治療ベクター、並びに糖尿病性腎臓疾患の処置又は予防における遺伝子治療ベクターの使用に関する。
全身性内皮機能障害は、糖尿病における血管損傷の発症の開始段階であり、微量アルブミン尿(尿中アルブミン分泌30~300mg/日)を伴う。微量アルブミン尿は糸球体の破壊を示すこと、及び初期糖尿病性腎臓疾患(DKD)を臨床的に検出する最初の指標であることは広く受け入れられている。糖尿病性腎臓疾患は、糖尿病患者の最大45%に発症し、先進国では末期腎疾患患者の50%を糖尿病患者が占めている。
血管内皮増殖因子(VEGF)Cは、血管及びリンパ性ネットワークのリモデリングによるマウスモデルにおける多嚢胞性腎臓疾患の発症からの保護、リンパ脈管新生の増強による片側尿管閉塞モデルにおける腎間質線維化からの保護、並びに近年では、腎リンパ管密度の増加を介する、塩分誘発性高血圧症における腎線維化、アルブミン尿、及び血圧上昇に対する保護等、種々の形態の腎機能障害に対する治療薬としての可能性が浮上している。
本発明者らは、近年、VEGFCが糸球体において有益な効果を有し、DKDから保護し得ることを示した。腎臓ではリンパ管は糸球体を密接に支持していないが、VEGFCはポドサイトで発現し、培養中のヒト糸球体内皮細胞(GEnC)にシグナルが伝達され、バリア性を上昇させる。マウスにおけるポドサイト特異的なVEGFCの過剰発現(podVEGFC)は、1型糖尿病モデルにおいてアルブミン尿の発症から保護し、GEnC開窓密度の低下を防止した。さらに、2型糖尿病モデルにおいて、組換え(r)VEGFCは、糸球体のアルブミン透過性をレスキューした。興味深いことに、in vivoでグリコカリックス特異的酵素を用いてGEnCグリコカリックスを損傷させた場合、糸球体アルブミン透過性はrVEGFCによって有意にレスキューされた。(Onionsら、2018)。これらのデータを合わせると、VEGFCは、GEnC表現型を維持することにより、初期DKDから保護することが示される。VEGFCは、他のVEGFと同様に、血漿半減期が約9分であり、そのため、VEGFCの治療可能性は、その継続的な局所発現に依存する。
VEGFC遺伝子治療は、ヒトでの利用が成功している。アデノウイルス5型(Adv5)、リムファクチン(Lymfactin)(登録商標)(米国特許出願公開第2014/0087002号)を用いたヒトにおけるVEGFC遺伝子治療の戦略が考案されている。この遺伝子治療は、患者自身の腹壁又は鼠径部由来の組織のフラップの脂肪パッドへの結節周囲注射(すなわち、標的化送達)により送達される。その後、組織のフラップは外科手術により罹患腕の腋窩領域に移植される。リムファクチン(登録商標)は、第1相臨床試験が成功しており、15名の患者のコホートにおいて安全であること及びよく忍容されることが実証されている。しかし、全身送達されると、このAdv5ベクターは急速に不活化されるため、感染効率の点で問題がもたらされる。
DKDのためにヒトにおいてVEGFC遺伝子発現を駆動する刺激的な機会は未だ残っているが、腎臓への、及び腎臓内の両方に適切に標的化されることが必要である。本発明は、糸球体内の特定の細胞にVEGFCを効率的に送達することができ、それによってDKDの処置又は予防のための治療を提供することができる新規な遺伝子治療ベクターを提供することを目的とする。
本発明は、血管内皮増殖因子(VEGF)C導入遺伝子と、最小ネフリンプロモーターNPHS1又はポドシンプロモーターNPHS2とを含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター遺伝子治療を提供する。糖尿病性腎臓疾患等の腎臓疾患を処置又は予防するために、この遺伝子治療ベクターを使用して、腎臓の糸球体内のポドサイトを標的化することができる。理論に縛られるものではないが、本発明者らは、ポドサイトが腎臓疾患における遺伝子治療アプローチのための高度に扱いやすい標的を提供すること、並びにVEGFCをポドサイトに標的化することによって、糸球体血管の完全性が保護及び/又はレスキューされることができると考えている。
最小ヒトネフリンプロモーター(NPHS1)の例示的なDNA配列を示す。 ヒトVEGFC導入遺伝子のための例示的なcDNA配列を示す。 WPRE配列の例示的なDNA配列を示す。 bGHポリ(A)シグナル配列のための例示的なDNA配列を示す。 AAV LK03 VEGFCの生産に使用したコンストラクトを示す。このコンストラクトでは、hポドシン(hpodocin)をVEGFCで置き換えた。 陽性対照(トランスフェクトされたHEK293)及びAAV LK03 VEGFC感染ポドサイトにおけるヒトVEGFC-FLAGの発現を示す。近位尿細管細胞又は糸球体内皮細胞における発現は観察されず、このことはVEGFCの発現がポドサイトに特異的であることを示す。 pCMV3-VEGFC発現プラスミド又はmockを使用してトランスフェクトしたHEK細胞、及びNphs1.AAV-VEGFC又は対照ウイルスを使用してトランスフェクトしたポドサイトから得られたVEGFC馴化培地の効果を示す。HEK細胞からの馴化培地で刺激した糸球体内皮細胞へのWGA結合が増加し(図7A参照)、ポドサイトの馴化培地で刺激した糸球体内皮細胞へのWGA結合が有意に増加する(図7B参照)強い傾向があった。
本発明は、血管内皮増殖因子(VEGF)C導入遺伝子と、最小ネフリンプロモーターNPHS1又はポドシンプロモーターNPHS2とを含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター遺伝子治療を提供する。糖尿病性腎臓疾患等の腎臓疾患を処置又は予防するために、この遺伝子治療ベクターを使用して、腎臓の糸球体内のポドサイトを標的化することができる。理論に縛られるものではないが、本発明者らは、ポドサイトが腎臓疾患における遺伝子治療アプローチのための高度に扱いやすい標的を提供すること、並びにVEGFCをポドサイトに標的化することによって、糸球体血管の完全性が保護及び/又はレスキューされることができると考えている。
適切なAAVベクター血清型は、2/9、LK03及び3Bを含む。
AAV2/9血清型は、新生児及び成体マウス腎臓に対する有意なトロピズムを示し、糸球体及び尿細管に局在し(Luoら、2011;Picconiら、2014;Schievenbuschら、2010)、腎臓静脈注射と組み合わせたAAV2/9ベクターは腎臓標的化遺伝子送達に適していることが示されている(Roccaら、2014)。したがって、AAV2/9は、本発明の遺伝子治療で使用するための1つの適切なベクターである。
LK03等の合成AAVキャプシドも、本発明の遺伝子治療で使用するための適切なベクターであり得る。このベクターは、in vitro及びin vivoにおいて、ヒト初代肝細胞を高い効率で形質導入することが示されている。しかし、現在まで、腎臓標的化遺伝子送達には利用されていなかった。驚くべきことに、AAV-LK03ベクターは、in vitroにおいてヒトポドサイトにおいて100%に近い高い形質導入を達成でき、in vitroにおいてポドサイトを特異的に形質導入するために使用できる(国際公開第2020/148548号を参照)。
AAV-LK03キャップ配列は、7つの異なる野生型血清型(AAV1、2、3B、4、6、8、9)由来の断片からなるが、AAV-3Bがキャップ遺伝子配列の97.7%、及びアミノ酸配列の98.9%を占める。AAV-3Bは、そのヒト肝細胞へのトロピズムでも知られており、本発明の遺伝子治療における使用に適切な他のベクターである。現在までのところ、これは腎臓標的化遺伝子送達には利用されていない。
VEGFCはリンパ脈管新生増殖因子であり、VEGFR-3(Flt4)及びVEGFR-2(Flk4)という2つの受容体を介してシグナル伝達を行うことが知られている。VEGFCは細胞によってプレプロペプチド形態で産生され、二量体化した後、VEGF相同ドメインを含む2つのN末端31kDa形態とBR3モチーフを含む2つのシステインリッチC末端29kDA形態から構成される四量体に切断される。この四量体形態は、細胞によって分泌された後、21kDa VEGF相同ドメインを含む1つの31kDa形態、BR3モチーフを含む1つのシステインリッチ29kDa形態、及び21kDa VEGF相同ドメインからなる中間形態に切断される。その後、N末端のプロペプチドが除去され、非共有相互作用によって結合した2つの21kDa VEGF相同ドメインから構成される成熟VEGFCが生じる。VEGFCのタンパク質分解処理のさらなる詳細は、例えば、Joukovら、1997に記載されている。
VEGFC導入遺伝子は、VEGFCの任意の形態、例えばプレプロペプチド形態、四量体形態、中間形態、又は完全に処理された成熟VEGFCをコードするポリヌクレオチドを含む。所望の場合、異なる形態のVEGFCポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを任意の組合せで使用することができる。好ましくは、VEGFC導入遺伝子は、VEGFC生物学的活性を有する1つ又は複数のポリペプチド、すなわち、VEGFR-2及び/又はVEGRF-3に結合して活性化できるペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。より好ましくは、VEGFC導入遺伝子は、VEGFC相同ドメインを含み、VEGFC生物学的活性を有するポリペプチド、すなわち、VEGFR-2及び/又はVEGRF-3に結合して活性化できるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。適切なVEGFCポリヌクレオチド及びポリペプチドのさらなる詳細には、国際公開第2015/022447号及び米国特許出願公開第2014/0087002号に記載のものが含まれる。
導入遺伝子種は、好ましくは、患者種に一致させる。例えば、ヒトの患者を処置する場合、典型的には、ヒトの導入遺伝子を使用することになる。導入遺伝子は、天然に存在する、例えば、野生型であっても、又は組換え型であってもよい。導入遺伝子は典型的には、cDNA配列として遺伝子治療ベクターに含まれる。しかしながら、VEGFC導入遺伝子は、上述したような任意のVEGFCポリペプチドをコードする核酸配列を含む、一本鎖又は二本鎖DNA又はRNA等の任意のポリヌクレオチドであってもよい。例えば、VEGFCポリヌクレオチドは、図2のVEGFCオープンリーディングフレーム(ORF)配列を含んでいてもよい。VEGFCポリヌクレオチドは、その生物学的活性、特にVEGFR-2及びVEGFR-3に結合して活性化する能力を保持しているVEGFCポリペプチドをコードする限り、図2のVEGFC ORF配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の配列同一性を有する核酸配列を含んでいてもよい。好ましくは、図2のVEGFC配列は、ポリヌクレオチド配列の末端に終止コドンを含む。適切な終止コドンは当業者に周知であり、TAG、TAA及びTGAを含む。好ましくは、終止コドンはTAAである。
上記の記載において、用語「同一性」は、2つの配列の類似性を指すために使用される。本発明の目的のために、ここでは、2つの配列のパーセント同一性を決定するために、配列は最適な比較目的のために整列される(例えば、第2のアミノ酸又は核酸配列との最適な整列のために、第1の配列の配列にギャップが導入されてもよい)ことが定義される。その後、各位置のヌクレオチド/アミノ酸残基を比較する。第1の配列のある位置が、第2の配列の対応する位置と同じアミノ酸又はヌクレオチド残基によって占められている場合、その位置において分子は同一である。2つの配列間のパーセント同一性は、配列が共有する同一位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一位置の数/位置の総数(すなわち、重複位置)×100)。一般的に、2つの配列は同じ長さである。配列比較は、典型的には、比較される2つの配列の全長にわたって実施される。
当業者は、2つの配列間の同一性を決定するために、いくつかの異なるコンピュータプログラムが利用可能であるという事実を認識するであろう。例えば、配列の比較及び2つの配列間のパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。例えば、2つの核酸配列間のパーセント同一性は、グローバルDNA整列;パラメータ:二本鎖;スコアリングマトリクス:線形(ミスマッチ2、オープンギャップ(OpenGap)4、エクストギャップ(ExtGap)1)を使用して、配列整列ソフトウェアクローンマネージャー9(Sci-Edソフトウェア-www.scied.com)を用いて、決定することができる。
或いは、2つのアミノ酸又は核酸配列間のパーセント同一性は、ブロッサム(Blosum)62マトリクス又はPAM250マトリクスのいずれかと、16、14、12、10、8、6又は4のギャップ重みと、1、2、3、4、5又は6の長さ重みを使用して、アクセルリス(Accelrys)GCGソフトウェアパッケージ(http://www.accelrys.com/products/gcg/で入手可能)のGAPプログラムに組み込んだNeedleman及びWunsch(1970)のアルゴリズムで決定できる。2つのアミノ酸又は核酸配列間のパーセント同一性を評価するためのさらなる方法は、例えば、デフォルトパラメータを使用したヌクレオチド配列用のBLASTn又はアミノ酸配列用のBLASTpを使用して、米国国立生物工学情報センター(NCBI)ウェブサイト(www.blast.ncbi.nlm.nih.gov)で利用可能なBLAST配列比較ツールを使用することであってもよい。
最小ネフリンプロモーター、例えばNPHS1又はポドシンプロモーターNPHS2の使用によって、遺伝子治療ベクターをポドサイトに特異的に標的化することが可能になる(Moellerら、2002;Picconiら、2014)。これにより、導入遺伝子の発現を腎臓の糸球体基底膜のポドサイトに特異的に標的化することが可能になり、オフターゲットの発現が最小限に抑えられる。ポドサイトは終末分化した非分裂細胞であるため、導入遺伝子の安定的な発現のために標的化することができ、ベクター希釈効果の危険性を低減又は回避することができる。本発明の好ましい実施形態において、プロモーターはNPHS1である。NPHS1プロモーターの適切なDNA配列の一例を図1に示す。導入遺伝子と同様に、プロモーターの種は、好ましくは患者の種に一致させる。例えば、ヒト患者を治療する場合、典型的にはヒトNHPS1又はヒトNPHS2を使用することになる。
AAVベクターは、ウッドチャック(Woodchuck)肝炎転写後調節エレメント(WPRE)をさらに含んでいてもよい。WPREは、転写されると、発現を増強する三次構造を作成するDNA配列である。WPREを含むことにより、ベクターによって送達される導入遺伝子の発現を上昇させることができる。WPRE配列は、RNA増強活性を著しく失うことなく発癌性を低下させるように変異させてもよい(Schambachら、2005、参照により本明細書に組み込まれる)。適切なWPRE配列の一例を図3に示す。
VEGFC導入遺伝子は、ヘマグルチニン(HA)タグ等のタンパク質タグを含んでいてもよい。HAはエピトープタグとして使用することができ、それが付加されたタンパク質の生物学的活性又は生体内分布を妨げないことが示されている。タンパク質タグは、導入遺伝子の検出、単離、及び精製を容易にすることができる。他の適切なタンパク質タグとしては、Mycタグ、ポリヒスチジンタグ及びflagタグが挙げられる。
AAVベクター遺伝子治療は、プロモーターとVEGFC導入遺伝子との間にコザック(Kozak)配列をさらに含んでいてもよい。コザック配列は、翻訳プロセスの開始において主要な役割を果たすことが知られており、そのため、VEGFC導入遺伝子の発現を増強することができる。
AAVベクター遺伝子治療は、例えば図4に示すように、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル等のポリアデニル化シグナルをさらに含んでいてもよい。ポリアデニル化は、メッセンジャーRNAに対するポリ(A)テールの付加である。ポリ(A)テールは複数のアデノシン一リン酸からなり、言い換えれば、アデニン塩基のみを有するRNAの伸長部である。ポリ(A)テールは、mRNAの核外輸送、翻訳、及び安定性に重要である。したがって、ポリアデニル化シグナルを含めることによって、VEGFC導入遺伝子の発現を増強することができる。
AAVベクター遺伝子治療は、ベクターのいずれかの端部に逆位末端反復(ITR)配列を含んでいてもよい。例えば、ベクターの構造は、以下の順:ITR-プロモーター-導入遺伝子(任意選択でタンパク質タグを有する)-任意選択のWRPE-ポリアデニル化シグナル-ITRであってもよい。
したがって、本発明の遺伝子治療ベクターは、患者における腎臓疾患、特に糖尿病性腎臓疾患(DKD)を処置又は予防するために用いることができる。DKDは、初期糖尿病性腎臓疾患であってもよい。糖尿病は血管損傷を伴っており、全身性内皮機能障害はこの損傷の開始段階である。全身性内皮機能障害は、糸球体の破壊を示す、微量アルブミン尿(尿アルブミン分泌30~300mg/日)を伴っている。微量アルブミン尿は、最初の臨床的に検出可能なDKDの指標である。そのため、初期DKDは、糸球体濾過速度(GFR)の上昇を伴っていてもよい、微量アルブミン尿の存在によって識別されることがある。患者は、1型糖尿病又は2型糖尿病を含む糖尿病を有していてもよい。
DKDは、1型糖尿病又は2型糖尿病に関連していてもよい、確立されたDKDであってもよい。DKDのステージ分類において、GFRは腎臓がどの程度機能しているかを確認するために使用することができる試験である。特に、糸球体が1分間に濾過する量を推定する。確立された(中等度)DKDの患者は、約40~50ml/分のGFRを有していてもよい。正常なGFRは約110ml/分であり、一方、約30ml/分未満の速度は重度のDKDを示し、約15ml/分未満では透析が必要となる。タンパク尿のレベルもDKDのステージ分類に用いることができ、確立したDKDは300mg/日を超える尿蛋白の分泌を伴う。タンパク尿レベルは、単独で、又はGFRと組み合わせて、DKDのステージ分類に使用することができる。
本明細書で使用される用語「患者」は、ヒトを含む任意の哺乳動物を含んでいてもよい。患者は、成人であっても、新生児若しくは乳児等の小児科の患者であってもよい。
AAVベクター遺伝子治療は、静脈内注射等によって、全身投与されてもよい。本発明の実施形態において、AAVベクター遺伝子治療は、腎動脈への注射によって投与されてもよい。本発明の代替的な実施形態において、AAVベクター遺伝子治療は、逆行性投与、例えば、尿道カテーテルを用いた尿管経由によって投与されてもよい。
遺伝子治療は、単回投与として投与されてもよく、言い換えれば、ベクターのその後の投与は必要でない場合もある。繰り返し投与が必要な場合には、ベクターに異なるAAV血清型を使用することができる。例えば、最初の投与で使用されるベクターは、AAV-LK03又はAAV-3Bを含んでいてもよく、一方、その後の投与で使用されるベクターは、AAV2/9を含んでいてもよい。
遺伝子治療は、例えば、経口ステロイドによる処置と同時に、又はそれに続いて遺伝子治療を投与することによって、患者の一時的な免疫抑制と任意選択で組み合わせて投与してもよい。ベクターに対する患者の免疫応答を抑制するために、遺伝子治療の処置前及び/又はその間、免疫抑制が望ましいことがある。しかし、AAVキャプシドはベクターによってコードされていないため、形質導入された細胞内に一過性にのみ存在する。したがって、キャプシドは徐々に分解されて除去される、これは、キャプシド配列が形質導入された細胞から除去されるまで、キャプシドに対する免疫応答を遮断する短期免疫調節レジメンは、導入遺伝子の長期発現を可能にし得る。したがって、遺伝子治療の投与後、約6週間の期間、免疫抑制が望ましいことがある。
遺伝子治療ベクターは、追加的又は代替的に、既存の治療と組み合わせて投与することができる。例えば、遺伝子治療ベクターは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アルドステロンアンタゴニスト(例えば、スピロノラクトン)又はアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)等のレニン-アンジオテンシン処置戦略と組み合わせて、追加的に又は代替的に投与されてもよい。遺伝子治療ベクターは、追加的又は代替的に、1つ又は複数のSGLT2阻害剤と組み合わせて投与してもよい。
AAVベクター遺伝子治療は、医薬組成物の形態で投与してもよい。すなわち、AAVベクター遺伝子治療は、1つ又は複数の薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤と組み合わされていてもよい。適切な医薬組成物は、好ましくは無菌である。
DKDは、糸球体で発症する疾患であるが、糸球体特異的な治療戦略がない。現在のところ、処置の主流は血圧の上昇を標的とすることである。DKDの初期の指標である糸球体濾過速度の上昇及び微量アルブミン尿は、共にポドサイトの超微細構造変化が見られる前の糸球体内皮の超微細構造の変化に関連している。この時点で標的化処置を開始することが最も有益であろう。
本研究の目的は、DKDの微小血管合併症から保護するための成功している戦略と、安全及び成功している遺伝子送達アプローチを組み合わせ、疾患の初期にVEGFC遺伝子発現をポドサイトに送達できるようにすることである。
仮説:標的化ポドサイトアデノ随伴ウイルスVEGFC遺伝子治療は、内皮機能障害から保護し、DKDを予防する。
目的1:ポドサイト特異的VEGFC形質導入のためのAAV遺伝子治療ツールの作成及び検証。
目的2:これが試験的DKDの発症を予防することの実証。
目的3:原理証明:ヒト糸球体組織におけるポドサイトVEGFC遺伝子発現の標的化。
ポドサイト標的化遺伝子治療:本発明者らは、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いて、ヒト及びマウスのポドサイトにおける標的化遺伝子送達システムを開発した(国際出願PCT/GB2020/050097参照)。ポドサイト特異的プロモーター(ネフリン)を用いて、AAV血清型2/9がin vivoでポドサイトに感染し、ポドシンの発現を誘導することに成功した。Cre-Loxpシステムを用いてポドシンをノックダウンした、タンパク尿がもたらされる動物(NPHS2fl/fl)では、AAV処置によりポドシンの発現を回復し、タンパク尿を改善させることに成功した。また、本発明者らは、同一プロモーターを用いた、AAV LK03によるヒトポドサイトへのGFPの効率的及び特異的な形質導入(AAV2/9より効率が良い)を示している。これらの技術を組み合わせて、マウスにおいてポドサイトのVEGFC遺伝子形質導入を駆動し、その後ヒト糸球体組織で原理証明を示すことを目的としている。
目的1:ポドサイト特異的VEGFC形質導入のためのAAV遺伝子治療ツールの作成及び検証
この計画では、マウス研究にはAAV2/9を、及びヒト研究にはAAVLK03を使用する予定である。AAV3Bはヒト研究にも使用され、大動物試験にも使用される。本発明者らは、細胞培養とマウスモデルの両方において、AAVを使用して、最小ネフリンプロモーター(1.2Kb)が、AAVのパッケージサイズの制限(4.7Kb)にもかかわらず、ポドサイトにおける形質導入の誘導に成功していることを、実証している。ヒト及びマウスの両方の最小ネフリンプロモーターがマウス組織への形質導入の駆動に有効であったため、この計画を通じてヒトネフリンプロモーターを使用する。このことは、in vivoでポドサイトにおける遺伝子形質導入を効果的に駆動できることを実証している。
ヒトrVEGFCは、以前に、浸透圧ミニポンプで送達した場合、マウス腎臓でin vivoで効果があることが示されており、ヒトVEGFCは、マウスの皮膚で遺伝子導入により過剰発現され、機能的効果があることが示されている。したがって、ヒトVEGFCは、マウス及びヒトの研究で同一コンストラクトを使用する。
AAVベクターは、ヒトにおける遺伝子送達の代表的なプラットフォームと考えられている。AAVベクターは一本鎖のDNAゲノムを有する直径26nmのキャプシドである。AAVベクターは非病原性で免疫原性が低く、多くの臨床試験で成功が証明されており、最初は、リポタンパク質リパーゼをコードするAAV1であるグリベラ(Glybera)であり、全身適用を含む他が続く(AAV8及びAAV9)。ポドサイトへの標的化形質導入は、全身適用後に、肝トロピズムの影響を取り除くと考えられる。
N末端HAタグ(1260bp、SinoBiological)又はN末端MyCタグを有するヒト全長VEGFC(Jhaら)は、ヒト最小ネフリンプロモーター(NPHS2)を含む本発明者らのAAV2/9、AAVLK03及びAAVL3ベクターにライゲーションされる。
マウスポドサイト、糸球体内皮細胞、及び近位尿細管上皮細胞をAAV2/9 VEGFC又は空ベクターに感染させる。適切な力価を決定する。感染は、RNA抽出及びウイルス粒子についてのQPCRにより定量化する。形質導入は、HA、MyCの免疫蛍光染色及び/又は細胞溶解液のVEGFC発現のELISAによる定量により確認する。
ヒトポドサイト、及び糸球体内皮細胞、及び近位尿細管上皮細胞をAAV VEGFC(LK03又は3B)又は空ベクターに感染させる。感染及び形質導入は、上記のマウス細胞株と同様に確認する。
全ての細胞型に感染するが、VEGFCの発現はポドサイトにのみ生じることが期待される。
目的2:これが試験的DKDの発症を予防することの実証
糖尿病性腎症を伴う2つの1型糖尿病マウスモデル:STZ DBA2/J及びOVE26 FVBが利用可能である。後者はより重症の糖尿病性腎症モデルを示し、ヒトの病態生理により類似しており(8週までにアルブミン尿、3カ月で過剰濾過、及び9カ月でGFR低下)、8カ月で血圧が上昇(収縮期及び拡張期)している。ポドサイトの損失は12週に観察可能である。
STZ及びOVE26を並行して使用したパイロット試験:
AAV-VEGFC又はビヒクルをSTZ後6週若しくは12週、又は6週及び12週齢(OVE26)に尾静脈注射する。群中、N=2。尿試料は2週間ごとに採取する。頬静脈血は2週間ごとに採取する。尿アルブミンクレアチニン比(uACR)及びeGFRを算出する。糸球体VEGFC発現を、各モデルにおけるポドサイトの生存率と相関させる。これにより、各モデルにおける(最新の)介入時期及び試験的エンドポイントの決定が補助される。
STZ DBA2/Jマウス-オス N=9各条件
(i)シャム(Sham)+ビヒクル
(ii)STZ+ビヒクル
(iii)STZ+AAV VEGFC
読み取り:uACR、eGFR、糸球体透過性アッセイ、例えばEMによる組織学的特徴。
OVE26 FVBマウス-オス及びメス。N=9、各条件。
(i)同腹仔対照、非糖尿病性+ビヒクル
(ii)糖尿病性+ビヒクル
(iii)糖尿病性+AAV VEGFC
読み取り:uACR、eGFR、糸球体透過性アッセイ、例えばEMによる組織学的特徴。
この目的は、VEGFC形質導入がDKDの初期GEnC変化とアルブミン尿を予防すること、及びこの処置が長期的に有効であることを確認することである。
目的3:原理証明:ヒト組織におけるポドサイトVEGFC遺伝子発現の標的化
糸球体は、移植に適さないヒトドナー腎臓から単離される。既存の計画でこれらの腎臓を定期的に受け入れるためのインフラが既に設定されている。AAVに感染させた多能性幹細胞から得たヒト腎臓オルガノイドは、日による発現が以前に示されている。糸球体は、AAVLK03 VEGFC、AAV3B VEGFC、又は空ベクターを培養培地に添加する前に1日間懸濁培養する。5日後、以前懸濁培養したヒト糸球体で行ったように、糸球体を溶解し、ティシュー-テック(tissue-tek)で固定し、切片を作成する。
感染:糸球体溶解液は、mRNAを抽出し、QPCRによりウイルス粒子を定量化する。
VEGFCの発現:内皮細胞又はメサンギウム細胞ではなく、ポドサイトによるVEGFCの形質導入を実証するために、共焦点免疫蛍光法共局在試験を行う。また、溶解した糸球体におけるVEGFC発現をヒトVEGFC ELISAで定量化する。
ヒト糸球体の生存率:本発明者らは、ヒト糸球体を懸濁状態で10日間まで培養して、生理的学的反応を維持できること、並びにヒト糸球体は7日間まで培養中で生存可能であることを示した。終了時(培養6日間)に、新鮮な糸球体で生存率を確認する。
これらの試験は、最小で3つの別々のヒト糸球体集団(すなわち、3つの腎臓)に対して実施する。
成功した場合、この目的は、臨床的に安全なベクターを用いてヒト糸球体におけるVEGFCの効果的な形質導入を実証することである。
実施例2:ヒトVEGFCのAAVベクターへのクローニング
ヒトVEGFC-FLAGを、AflII及びSbfI制限部位を用いて、最小ネフリンプロモーター(hNPHS1)下で発現するAAV LK03ベクターにクローニングした(図5参照)。クローン配列を確認した後、増殖させ、精製した。
VEGFC-FLAGのAAVベクターへのクローニング
VEGFCのインサートを、Sinobiologicals(HG10542-CF)からのpCMV3-ORF-FLAGをテンプレートとして、AflII制限を含むプライマー配列GATCcttaagGCGATCGCCATGCACTTGCTGGをフォワードとして、SbfI制限部位を含むGATCcctgcaggTTAAACCTTATCGTCGTCATCCTTをリバースとして使用して増幅させた。NEB Q5 HF 2X マスターミックス(Master Mix)(M042S)を、製造者の指示に従い、プライマーのアニール温度として60℃を使用した増幅に使用した。ゲル電気泳動により正しいサイズの単一の産物(1200bpのバンド)を確認した後、キアゲン(Qiagen)PCR精製キット(Purification kit)(28104)を用いてPCR反応物を清浄した。VEGFCアンプリコン及びAAVベクター pAV.Hnphs1.hpodHA.WPRE.bGHをAflII及びSbfIによって37℃で、2時間、二重消化した。AAVベクターの制限消化物を1%アガロースゲルで100V、1.5時間流すことによって、消化産物から直鎖化した二重消化ベクターの分離が可能になった。VEGFC PCR消化物をキアゲン PCR精製キットで再度清浄した。消化したAAVベクターをゲルから切り出し(6,500bpのバンド)、キアゲン ゲル精製キット(Gel purification kit)(28115)で精製した。清浄及び精製が完了すると、ベクターとインサートの比率1:1を使用して、100ngのベクターを用いてライゲーションを設定した。ライゲーションには、プロメガ(Promega)T4 ライゲース(Ligase)(M180)を製造者の指示にしたがって使用した。ライゲーションが完了すると、ライゲーション産物をNEB 5-αコンピテント大腸菌(E.coli)(高効率)(C2987)細胞を用いて、製造者の指示にしたがって形質転換した。形質転換物は、100ug/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地プレート上にプレーティングし、37℃で一晩静置した。コロニーをVEGFCインサートについてスクリーニングし、配列を検証した。
免疫蛍光法による腎臓細胞株におけるVEGFC-FLAGの発現
温度感受性SV40 T-抗原で形質転換した糸球体内皮細胞(GEnC)、ポドサイト(LY)、近位尿細管上皮細胞(PTEC)を6ウェルプレートのカバースリップ上に播種し、80%コンフルエントに達するようにした。その後、25ulの精製AAV LK03 VEGFCウイルスに細胞を感染させ、33℃から37℃に温度を切り替え、それによってSV40 T-抗原を分解させ、細胞の分化を可能にした。GEnCs及びPTECは5日間、一方LYは10日間分化させた。陽性対照として、VEGFCをCMVプロモーター下で発現するpCMV3-ORF-FLAGプラスミドで293 HEK細胞をトランスフェクトし、高い発現レベルがもたらされた。その後、細胞をPBSで洗浄し、4%PFAで固定し、シグマ(Sigma)の抗FLAG M2(F3165)、続いてシグマの抗マウス594(SAB4600092)で染色し、各細胞型での発現レベルを決定した。陽性対照として、293 HEK細胞を、CMVプロモーター下でVEGFCを発現するpCMV3-ORF-FLAGプラスミドでトランスフェクトし、高い発現レベルがもたらされた。その後、細胞を落射蛍光顕微鏡で撮像した。
結果
結果は、陽性対照(トランスフェクトしたHEK293)及びAAV LK03 VEGFC感染ポドサイトにおける、ヒトVEGFC-FLAGの発現を示す(図6参照)。近位尿細管細胞又は糸球体内皮細胞では発現が全く観察されず、このことは、VEGFCの発現がポドサイトに特異的であることを示している。したがって、AAV LK03 VEGFCベクターは、作製が成功しており、ポドサイトに特異的に標的化することができる。VEGFCが糸球体内皮細胞の生存を促進し、アルブミン透過性を低下させること(Fosterら、2008)、並びにVEGFCが内皮細胞表面のグリコカリックス層を強化することができ、これが内皮アルブミン透過性を制御すること(Fosterら、2013)を示す本発明者らの以前の研究を共に考慮すると、これらのデータによって、糖尿病性腎臓疾患等の腎臓疾患を治療又は予防するために、本発明の遺伝子治療ベクターを使用して、腎臓の糸球体内のポドサイトを標的化することができることが示される。
実施例3:AAV-VEGFC感染ポドサイトからの馴化培地は糸球体内皮グリコカリックスへの細胞表面レクチン結合を増加させる
HEK細胞をpCMV3-VEGFC発現プラスミド又はmockによってトランスフェクトし、ポドサイトをNphs1.AAV-VEGFC又は対照ウイルスに感染させた。馴化培地を除去し、スピンカラムを用いて濃縮し、糸球体内皮培地に再懸濁した。
馴化培地を糸球体内皮細胞に1時間添加し、細胞を固定し、緑色標識小麦アグルチン(agglutin)レクチン(WGA)を用いて免疫蛍光染色を実施した。これは内皮細胞の表面、内皮グリコカリックスの糖残基と結合する。細胞表面の蛍光強度が定量化された。HEK細胞からの馴化培地で刺激した糸球体内皮細胞へのWGAの結合は増加し(図7A参照)、ポドサイト馴化培地で刺激した糸球体内皮細胞へのWGA結合は有意に増加する(図7B参照、対応なしt検定、p<0.05)傾向が強かった。このことから、Nphs1.AAV-VEGFCに感染したポドサイトはVEGFCを分泌し、これが糸球体内皮細胞に作用してグリコカリックス層を増強していることが示された。
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Claims (15)

  1. 血管内皮増殖因子(VEGF)C導入遺伝子;及び
    最小ネフリンプロモーターNPHS1又はポドシンプロモーターNPHS2
    を含む、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター遺伝子治療。
  2. 前記AAVベクターが、AAV血清型2/9、LK03又は3Bである、請求項1に記載のAAVベクター遺伝子治療。
  3. 前記VEGFC導入遺伝子が、VEGFCプレプロペプチド、又はVEGFCの中間形態、又はVEGFCの成熟形態をコードするポリヌクレオチドを含む、請求項1又は請求項2に記載のAAVベクター遺伝子治療。
  4. 前記AAVベクターが、ウッドチャック肝炎転写後調節エレメント(WPRE)をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のAAVベクター遺伝子治療。
  5. 前記VEGFC導入遺伝子がヒトであり、及び/又はヘマグルチニン(HA)タグを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のAAVベクター遺伝子治療。
  6. 前記AAVベクターが、前記プロモーターと前記VEGFC導入遺伝子の間にコザック配列をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のAAVベクター遺伝子治療。
  7. 前記AAVベクターが、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル等のポリアデニル化シグナルをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のAAVベクター遺伝子治療。
  8. 腎臓疾患の処置又は予防における使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載のAAVベクター遺伝子治療。
  9. 前記腎臓疾患が糖尿病性腎臓疾患である、請求項8に記載の使用のためのAAVベクター遺伝子治療。
  10. 前記糖尿病性腎臓疾患が初期糖尿病性腎臓疾患である、請求項9に記載の使用のためのAAVベクター遺伝子治療。
  11. 前記AAVベクター遺伝子治療がヒト患者に投与される、請求項8~10のいずれか一項に記載の使用のためのAAVベクター遺伝子治療。
  12. 前記ヒト患者が1型糖尿病又は2型糖尿病を有する、請求項11に記載の使用のためのAAVベクター遺伝子治療。
  13. 前記AAVベクター遺伝子治療が全身投与される、請求項8~12のいずれか一項に記載の使用のためのAAVベクター遺伝子治療。
  14. 前記AAVベクター遺伝子治療が静脈内注射により投与される、請求項8~13のいずれか一項に記載の使用のためのAAVベクター遺伝子治療。
  15. 前記AAVベクター遺伝子治療が、腎動脈への注射により投与される、請求項8~14のいずれか一項に記載の使用のためのAAVベクター遺伝子治療。
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