JP2023512804A - 複合材料システム - Google Patents

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Abstract

複合材料は、ポリマー及びグラフェン含有材料を含む。ポリマーは、複合材料の1つ以上の応力集中領域を、複合材料の1つ以上のそれぞれのより大きい領域にわたって分散させるように構成される充填剤を含む。グラフェン含有材料は、ポリマーの1つ以上の露出面に、グラフェン含有材料のしわに基づいて、ポリマーに少なくとも部分的に混合され得る。いくつかの実施態様では、しわは、ポリマーとグラフェン含有材料の間の結合を増加させ得る。場合によっては、充填剤は、有機金属材料と交差する複数の炭素繊維層を含む場合があり、複合材料を強化するように構成される相互接続されたマトリクスを形成する。

Description

本開示は、炭素及びポリマーを含む複合材料システムを作製及び使用するための技術に関する。
複合材料は、一般に、形成される複合体の特性を強化するため、例えば、機械的、電気的及びその他の特性を強化するため、炭素材料及び時として繊維を、ポリマー樹脂と混合することによって形成される。例えば、炭素は、強化材として機能し、形成される複合体に、軽量でありながら高い引張強度を与える。別の例では、炭素は、非導電性ポリマーの導電性を高めるために使用され得る。
ポリマー複合材料の性能を改善する方法について、広範な研究が行われている。混合技術、例えば、溶液混合及び溶融加工と、関連するパラメータ、例えば、溶媒の種類及び様々な粘度が、炭素材料の樹脂中での分散の均一性を改善するために研究されている。溶融ポリマー内での炭素繊維及びCNTの整列、ならびに形成される複合体で得られる特性に対して整列が与える影響が研究されている。炭素とポリマーの間の結合相互作用を増加させるため、炭素を官能化するための化学的技術が使用されている。
これまでに使用されている炭素は、(1)グラフェンシートまたはグラフェン様炭素構造または(2)グラファイト粒子またはグラファイト由来粒子のいずれかである炭素である。
残念ながら、グラフェンシートまたはグラフェン様炭素構造は、官能化及びポリマーとの結合のために十分な活性部位を提供することができないという問題があり、残念ながら、グラファイト粒子またはグラファイト由来粒子は、ポリマーとの結合のために十分な表面積を提供することができないという問題がある。
必要なことは、高表面積及び高活性領域の両方を示す炭素構造を作製する方法である。必要なことは、グラフェンシートともグラファイト粒子とも異なるモルホロジーを示す炭素を作製し、使用する方法である。
方法は、調整された炭素構造を、プラズマ反応器及び/または他の反応器にて製造することならびに調整された炭素構造とポリマーを混合して複合材料を形成することを含む。調整された炭素構造は、しわの寄ったグラフェンを含む。方法はまた、調整された炭素構造を、プラズマ反応器内にてインサイチュで、液体収集設備で、または別の後処理施設のいずれかで官能化することも含む。プラズマ反応器は、得られる調整された炭素構造の比表面積を調整するための第一の制御、及び調整された炭素構造の比活性領域を調整するための第二の独立した制御を有する。調整された炭素構造をポリマーと混合することで生じる複合材料は、優れた機械的特性を示す複合材料につながる。しわの寄ったグラフェンとポリマーの間で作動する物理的及び化学的機構が、これらの優れた機械的特性の原因である。
以下に記載する図面は、説明のためのものに過ぎない。これらの図面は、本開示の範囲を限定することを意図していない。
いくつかの実施態様による、プラズマ反応器の概略図を示す。 いくつかの実施態様による、プラズマ反応器の概略図を示す。 当技術分野で既知のグラフェンナノプレートレットを用いて複合体を形成する概略図を示す。 いくつかの実施態様による、3Dグラフェン粒子の概略図を示す。 いくつかの実施態様による、3Dグラフェン及びポリマーの複合材料の概略図を示す。 いくつかの実施態様による、樹脂と混合した炭素材料の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 いくつかの実施態様による、樹脂と混合した炭素材料の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 いくつかの実施態様による、樹脂と混合した炭素材料の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 いくつかの実施態様による、樹脂と混合した炭素材料の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 いくつかの実施態様による、樹脂と混合した炭素材料の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 いくつかの実施態様による、炭素・樹脂複合体に組み込むための繊維の概略図を示す。 いくつかの実施態様による、炭素・樹脂複合体に組み込むための繊維の概略図を示す。 いくつかの実施態様による、繊維上で成長する炭素材料の概略図を示す。 いくつかの実施態様による、繊維上で成長する炭素材料のSEM画像を示す。 いくつかの実施態様による、繊維上で成長する炭素材料のSEM画像を示す。 いくつかの実施態様による、繊維上で成長する炭素材料のSEM画像を示す。 いくつかの実施態様による、繊維上で成長する炭素材料のSEM画像を示す。 いくつかの実施態様による、官能化炭素材料を示す画像を示す。 いくつかの実施態様による、官能化炭素材料を示す画像を示す。 いくつかの実施態様による、電場増強導波管の概略図を示す。 いくつかの実施態様による、複合材料にエネルギーを加える概略図を示す。 いくつかの実施態様による、複合材料にエネルギーを加える概略図を示す。 いくつかの実施態様による、設計された欠陥を有する炭素材料の概略図を示す。 いくつかの実施態様による、設計された欠陥を有する炭素材料の概略図を示す。 いくつかの実施態様による、複合材料を製造する方法のフローチャートを示す。 いくつかの実施態様による、複合材料を製造する方法のフローチャートを示す。 いくつかの実施態様による、複合材料用の炭素とともに組み込まれた金属の概略図を示す。 いくつかの実施態様による、構造化された不純物のない炭素を使用した結果を示す。 いくつかの実施態様による、炭素の比活性領域を所与の比表面積に関連付けるプロットを示す。 いくつかの実施態様による、所望のモルホロジーに対応するように調整された3D炭素を合成するシステムを示す。 いくつかの実施態様による、独立して変化する多重パラメータ制御のセットを有する反応器を示す。 いくつかの実施態様による、多重パラメータ制御によって実装されるモルホロジー選択技術を示す。 いくつかの実施態様による、プレートレットの折り目で融合された様々な長さ(La、La等)の扁平結晶子で構成されるしわの寄ったプレートレットのモルホロジーの概略図を示す。 いくつかの実施態様による、参照と比較したいくつかのしわのモルホロジーに関して測定されたラマンスペクトルにおけるDバンドとGバンドのD:G強度比を示す。 いくつかの実施態様による、参照と比較したいくつかのしわのモルホロジーに関して測定されたラマンスペクトルにおける2DバンドとGバンドの2D:G強度比を示す。 いくつかの実施態様による、反応器からの炭素材料の処理及び複合材料の下流処理への供給に関する処理の流れを示す。 ポリマー鎖及び炭素構造が、せん断力の入力及び冷却に供されたときにどのように相互作用するかを示す。 いくつかの実施態様による、参照複合体との比較のための、調整された炭素を用いて作製された複合体のサンプルのDMA分析を示す。 いくつかの実施態様による、参照複合体との比較のための、調整された炭素を用いて作製された複合体のサンプルのDMA分析を示す。 いくつかの実施態様による、圧縮強度及び屈曲強度の両方における参照を上回る改善を示す。 いくつかの実施態様による、層間せん断強度及び屈曲強度の両方における参照サンプルを上回る改善を示す。 いくつかの実施態様による、特定のフラクタル次元を有する炭素の選択に関しての、熱可塑性樹脂サンプルの機械的特性の改善を示す。 いくつかの実施態様による、炭素負荷量の増加につれて屈曲弾性率が改善されることを示す。 いくつかの実施態様による、炭素負荷量の増加につれて屈曲強度が改善されることを示す。 本開示の炭素を使用したときのいくつかの実施態様による、参照サンプルを超える引張強度の改善を示す。 いくつかの実施態様による、特定のモルホロジーの炭素を作製するための及び複合体システムにおいてそれらを使用するためのシステムを示す。 いくつかの実施態様による、示された用途で使用される熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の様々な特性を示す。
概要
本実施態様は、炭素・樹脂複合体を、独自のプラズマ反応器を使用した独自の炭素材料の創出及び官能化を介して製造する方法を開示する。本開示に記載するのは、複合材料に使用される炭素の形態、炭素を作製する方法(炭素材料の形成及び官能化を含む)、ならびに炭素・樹脂複合材料を作製する方法である。炭素材料は、材料特性、例えば、曲げ弾性率、引張強度、圧縮弾性率、破壊靭性及び層間せん断強度をカスタマイズするために、複合材料混合物に組み込まれる。これら独自の炭素添加剤は、それらの構造及び濃度を調整して、最終的な複合材料に所望の特性を与えることができる。例えば、複合材料は、高強度と剛性を有するように、または半屈曲性であるようにカスタマイズされ得る。別の例では、複合体は、ねじれ及び損傷緩和が最小限であることが望ましい場合に高弾性率を有するように調整され得る。
実施態様は、プラズマ反応器にてインサイチュでの複合材料の製造のために炭素材料を創出及び処理する方法を含み、従来の方法と比較して、合理化された処理を可能にし、湿式化学技術の必要性を低下させる。いくつかの実施態様では、炭素材料は、マイクロ波プラズマ反応器での炭化水素分解プロセスによって創出される。実施態様は、さらなる反応器技術、例えば熱反応器を、プラズマ反応器と組み合わせて含み得る。場合によっては、製造された炭素材料は、炭素材料を製造するために使用されたプラズマ反応器と同じプラズマ反応器で行われる官能化プロセスにて、樹脂と相溶するように官能化もされる。いくつかの実施態様では、創出された炭素材料は、官能化されたまたはされていない粒子であり、これが反応器にて樹脂と混合され、複合材料が形成され得る。本複合材料の出発材料として使用される炭素粒子としては、グラフェン、球状炭素(炭素ナノオニオン(CNO)、多層球状フラーレン(MWSF)またはマルチシェルフラーレンとも呼ばれる場合がある)、及び/または炭素ナノチューブ(CNT)が挙げられ得る。炭素粒子は、X、Y及びZ次元で独自の3次元(3D)構造、例えば、ポアマトリクス(例えば、ボイドスペース、空洞または開口)を形成し、単層グラフェン(SLG)、数層グラフェン(FLG)及び/または多層グラフェン(MLG)のサブ粒子を含むグラフェン構造を有し得る。本3D構造のポアマトリクス及び高表面積により、樹脂と炭素材料の連結が高まり、樹脂と炭素材料の間の界面強度及び接着が改善され、ひいては得られる複合材料の特性が改善される。
いくつかの実施態様では、炭素粒子は、炭素材料の3D構造及び/または炭素粒子の官能化のため、十分に分散し、樹脂と高度に一体化される。例えば、樹脂と混合される前に、出発材料は、様々な実施態様では、反応器にて、例えば、炭素粒子の化学ドーピング(例えば、硫黄もしくは金属を用いて)によって、または官能基(例えば、COOH、OH、エポキシ等)を結合させ、材料内またはその周辺の特定の環境を維持することによって官能化され、炭素・ポリマー結合が確保及び促進され得る。官能化により、樹脂への炭素粒子の結合が、化学結合、例えば、共有結合、またはイオン結合、物理的結合、例えば、水素結合及び/またはπ-π結合、摩擦力またはそれらの組み合わせによって促進され得る。共有結合による官能化法の反応条件及びプロセスは、物理的結合及び非共有結合法のものよりも達成するのが困難であるが、ドーピング法及び共有結合法で得られる官能グラフェンの安定性が強く求められるため、その複雑性が正当化される。
炭素粒子は、様々な実施態様では、最初はナノメートルからミクロンサイズの凝集体として複合材料に供給され得る。いくつかの実施態様では、炭素凝集体または粒子は、樹脂と混合される間により小さい粒径に分解され、粒子の崩壊から新たに露出された炭素表面が、樹脂と混合される前に周囲(非樹脂)環境に暴露された表面と比較して、樹脂への結合を高める。いくつかの実施態様では、炭素粒子は、断片化された粒子の破壊の位置及びサイズを制御するように欠陥を用いて設計され、ひいては複合材料のカスタマイズされた特性をもたらすことができる。
本複合材料の実施態様は、任意のポリマーシステムと、本炭素材料、及び任意に繊維強化剤であり得る。いくつかの実施態様では、炭素複合充填剤(CCF)または非CCF材料等の繊維が複合材料に添加される。本複合材料によって提供される改善としては、例えば、従来の複合体及び成形可能な炭素材料(非CCFまたはCCF添加剤の有無にかかわらず)と比較して、靭性の改善が挙げられる。炭素材料は、従来のCCF複合体よりも強力で、丈夫で、カスタマイズ可能なモジュラス(例えば、硬質対軟質)を提供することにより、及び注入可能な炭素マトリクス材料を提供することにより、CCF複合体の価値を高める。いくつかの実施態様では、繊維は、炭素粒子添加剤に加えて強化材として機能し、複合材料の特性を調整するように調整され得るさらなるパラメータを与える(例えば、異方性材料特性を備えた炭素・樹脂複合材料を形成するため)。いくつかの実施態様では、繊維は、炭素粒子添加剤が成長する部位を提供するために反応器に導入され、それにより、樹脂と混合するための一体化された3D構造が形成される。
本開示の炭素・樹脂複合体及び複合体の作製方法は、多くの利点を提供する。いくつかの実施態様により、品質が向上した高強度複合体、例えば、塑性対弾性挙動が管理され得る強化された樹脂が可能になる。いくつかの実施態様では、高強化が通常は充填剤の高負荷生成物につながり、ひいては未硬化のポリマー・炭素混合物の粘度が高くなる従来の複合体とは対照的に、高強度は、未硬化のポリマー・炭素混合物の粘度を増加させることなく達成され得る。いくつかの実施態様では、本方法及び材料はまた、調整可能性、例えば、他の材料または要素を炭素に化学的に結合させるための特定の炭素構造または骨格を製造する能力、または樹脂構造内のポリマー鎖に対して特定の配向の炭素粒子を提供すること等を可能にする。いくつかの実施態様は、破壊面を炭素材料に設計して応力帯を配向させる能力を可能にし、複合材料のカスタマイズも可能にする最終仕様の粒径をもたらす。いくつかの実施態様では、3D構造の炭素材料は、3D成長ネットワークを提供し、これが優れた炭素・ポリマー結合をもたらす。
本方法によって創出された3D炭素材料は、改善された複合体特性を可能にし得る。一例では、エネルギー伝達、すなわち、複合体マトリクス内の樹脂、繊維、及び炭素粒子への力または応力の分配の変更が、繊維強化複合体システム内で達成される。言い換えれば、応力/エネルギー伝達は、より広い面積/体積にわたって広がることができ、いくつかの強化繊維層またはより広いポリマー領域に拡散することができる。別の例では、システム内のエネルギー散逸は、特定の平面内またはそれに沿ったエネルギーの移動を可能にする構造を設計すること等によって、力を緩和または集中させるように管理される。さらなる例では、本炭素材料によって可能になる応力終端によって亀裂伝播が軽減される。塑性対弾性挙動が管理され得る強化された樹脂も配合され得る。いくつかの実施態様では、粘度を増加させることなく高強度が達成され得る。これは、高度に強化することが通常は高粘度に起因する従来の複合体の挙動とは対照的である。
本開示の複合材料を作製するために炭素と混合され得る樹脂材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ポリエステル、ビニルエステル、ポリスルホン、エポキシ(ノボラック等の高粘度エポキシを含む)、硬質アミン、ポリイミド、及びその他のポリマーシステムまたはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
本開示では、混合された炭素と樹脂の複合材料は、「炭素・樹脂複合体」、「炭素・ポリマー複合体」、「複合材料」、「複合材料システム」、「マトリクス樹脂」または「複合体」と呼ばれる場合がある。「樹脂」、「ポリマー」及び「バインダー」という用語は、無触媒状態または触媒前状態で、複合材料を形成するための炭素の一種と混合される材料に対して同義で使用されるものとする。樹脂と混合される炭素粒子は、「出発粒子」、「添加される炭素粒子」、「炭素添加剤」、または「充填剤」と呼ばれることがある。「ボイド」、「ボイドスペース」、「ポア」、または「ポアマトリクス」という用語は、炭素内及び炭素の周囲のスペース、空洞、または開口部を意味するために同義で使用されるものとし、貫通孔の場合もあれば、閉口スペースの場合もあり、連続及び/または不連続な多孔質ネットワークまたはマトリクスを形成する。
本複合材料を形成するために炭素と混合され得る樹脂システムのタイプとしては、複合材料システムを硬化させるために架橋剤または硬化剤が使用される樹脂、第一の材料が、硬化剤である第二の材料と混合される2成分システム、及び炭素添加時にガラス転移温度超である熱可塑性樹脂が挙げられる。いくつかの実施態様では、本炭素材料は、炭素が、第一の材料を第二の材料に添加するための媒体として機能するように、第一の材料で官能化された後、第二の材料に添加される(一方の材料は樹脂でよく、他方の材料は触媒及び/または架橋剤でよい)。さらに、炭素粒子は、その周囲にまたはそれに結合した樹脂及び/または硬化剤を有してもよく、また、炭素粒子を不足しているまたはさらなる成分に供給し、完全な最終複合体システムを作製することができる。
本開示では、「グラフェン」という用語は、1つの原子が各頂点を形成する2次元の原子スケールの六方格子の形態での炭素同素体を指す。グラフェン中の炭素原子は、主にsp2で結合している。さらに、グラフェンは、約1580cm-1でのGモード、約1350cm-1でのDモード、及び約2690cm-1での2Dモードピーク(532nmの励起レーザを使用した場合)という3つの主なピークを備えたラマンスペクトルを有する。本開示では、グラフェンの単層は、六角形に配置された(例えば、主にsp2で結合した)炭素原子の単一シートである。2DモードピークのGモードピークに対する強度の比(例えば、2D/G強度比)は、グラフェンの層の数に関連することが知られている。より高い2D/G強度比は、より少ない多層グラフェン材料の層に対応する。本開示の異なる実施態様では、グラフェンは、15層未満の炭素原子、もしくは10層未満の炭素原子、もしくは7層未満の炭素原子、もしくは5層未満の炭素原子、もしくは3層未満の炭素原子を含むか、または単層の炭素原子を含むか、または1~10層の炭素原子を含むか、または1~7層の炭素原子を含むか、または1~5層の炭素原子を含む。いくつかの実施態様では、数層グラフェン(FLG)は、2~7層の炭素原子を含む。いくつかの実施態様では、多層グラフェン(MLG)は、7~15層の炭素原子を含む。
本開示では、「グラファイト」という用語は、1つの原子が各頂点を形成する2次元の原子スケールの六方格子の形態での炭素同素体を指す。グラファイト中の炭素原子は、主にsp2で結合している。さらに、グラファイトは、約1580cm-1でのGモード及び約1350cm-1でのDモード、(532nmの励起レーザを使用した場合)という2つの主なピークを備えたラマンスペクトルを有する。グラフェンと同様に、グラファイトは、六角形に配置された(例えば、主にsp2で結合した)炭素原子の層を含む。本開示の異なる実施態様では、グラファイトは、15層超の炭素原子、または10層超の炭素原子、または7層超の炭素原子、または5層超の炭素原子、または3層超の炭素原子を含み得る。
本開示では、「フラーレン」という用語は、中空球、楕円体、管、または他の形状の形態の炭素の炭素同素体を指す。球状フラーレンは、バックミンスターフラーレンまたはバッキーボールとも呼ばれ得る。円筒形フラーレンは、カーボンナノチューブと呼ばれることもある。フラーレンは、連結した六員環の積層グラフェンシートから構成されるグラファイトに化学構造が類似している。フラーレンは、五員環(または時には七員環)を含む場合もある。
本開示では、「多層フラーレン」という用語は、複数の同心円層を有するフラーレンを指す。例えば、多層ナノチューブ(MWNT)は、複数の筒状に巻かれた層(同心円状チューブ)のグラフェンを含む。多層球状フラーレン(MWSF)は、マルチシェルフラーレン(MSF)とも呼ばれる場合があり、複数の同心球のフラーレンを含む。
本開示では、「粒子」という用語は、炭素間結合、ファンデルワールス力、共有結合、イオン結合、金属結合、または他の物理的もしくは化学的相互作用によって接続される複数のサブ粒子またはナノ粒子を指す。凝集体とも呼ばれ得る粒子は、サイズがかなり異なる場合があるが、一般に、約500nmより大きく、一次粒子等の粒子のサブセットで構成されている。本開示を通して、「粒子(particle)」または「粒子(particles)」という用語は、任意のサイズの粒子を含むことができる一般的な用語である。サブ粒子は、1種類以上の構造(例えば、結晶構造、欠陥濃度等)、及び1種類以上の原子を含むことができる。サブ粒子は、球形状、楕円体形状、ダンベル形状、円筒形状、細長い円筒型形状、矩形プリズム形状、ディスク形状、ワイヤ形状、不規則形状、密な形状(例えば、ボイドが少ない)、多孔質形状(例えば、ボイドが多い)等を含むがこれらに限定されない任意の形状であり得る。
マイクロ波反応器
本実施態様の方法は、炭素粒子の創出、樹脂と相溶するように炭素粒子を修飾すること、及び炭素を樹脂と混合することを、すべて同じ反応器内で、炭素粒子が創出されるプロセスの過程で可能にする独自のプラズマ反応器を使用する。実施態様は、例としてマイクロ波エネルギーを使用して説明されるものとするが、本開示は、概して、高周波を、超短波(VHF、30MHz~300MHz)、極超短波(UHF、300MHz~3GHz)、またはマイクロ波周波数(例えば、915MHz以上、例えば、2.45GHz、もしくは5.8GHz)等のバンドとともに使用する高周波プラズマ反応器に適用される。さらに、実施態様は、主にプラズマ反応器の観点から記載されるものとするが、本方法は、プラズマ反応器と合わせて他の反応器技術(例えば、熱反応器)の使用を含み得る。
いくつかの実施態様では、本炭素材料は、本出願と同一の出願人に譲渡され、参照によりすべての目的のため完全に本明細書に記載されたものとして本明細書に組み込まれる米国特許第9,812,295号の標題「Microwave Chemical Processing」、または同米国特許第9,767,992号の標題「Microwave Chemical Processing Reactor」に記載のマイクロ波プラズマ反応器及び/または方法を使用して製造される。
いくつかの実施態様では、プロセス前駆体材料(例えば、炭化水素ガス、または液体混合物)のマイクロ波プラズマ化学処理を使用して、本明細書に記載の炭素粒子、サブ粒子(例えば、ナノ粒子)及び凝集体を生成する。より具体的には、マイクロ波照射をパルスしてプラズマのエネルギーを制御することを含めた様々な技術を使用した前駆体材料のマイクロ波プラズマ化学処理が、本明細書に記載の炭素粒子及びサブ粒子を製造するために使用され得る。プラズマのエネルギーを制御する能力により、前駆体材料を特定の分離成分に変換する際の1つ以上の反応経路の選択が可能になる。プラズマが発火した際に生成される短命の高エネルギー種は、新たな各パルスの開始時に再生され得るため、プラズマのエネルギーを制御するためにパルスマイクロ波照射が使用され得る。プラズマエネルギーは、従来の技術よりも低い平均イオンエネルギーであるが、目的の化学反応が、高前駆体材料流及び高圧で生じるようにするのに十分に高いレベルで有するように制御される。いくつかの実施態様では、導波管内の圧力は少なくとも0.1気圧である。
いくつかの実施態様では、プロセス材料はガスである。いくつかの実施態様では、プロセス材料は炭化水素ガス、例えば、C2H2、C2H4、C2H6である。いくつかの実施態様では、プロセス材料は、メタンであり、分離成分は、水素及びナノ粒子状炭素である。いくつかの実施態様では、プロセス材料は、水を含む二酸化炭素であり、分離成分は酸素、炭素及び水である。
本実施態様で使用されるマイクロ波反応器は、「電場増強導波管」(FEWG)を使用し得る。これは、第一の断面積及び第二の断面積を有する導波管を指し、第二の断面積は、第一の断面積よりも小さく、第一の断面積よりもマイクロ波エネルギー源からさらに遠く離れている。断面積の減少により、マイクロ波エネルギーを集中させることで電場が増強され、導波管の寸法は、使用される特定のマイクロ波周波数の伝搬を維持するように設定される。FEWGの第二の断面積は、FEWGの反応ゾーンを形成する反応長に沿って延びる。FEWGの第一の断面積と第二の断面積の間に電場増強ゾーンがある。すなわち、いくつかの実施態様では、FEWGの電場増強ゾーンは、電場増強導波管の第一の断面積と第二の断面積との間に減少する断面積を有し、第二の断面積は第一の断面積よりも小さい。反応ゾーンは、電場増強導波管の反応長に沿って延びる第二の断面積によって形成される。マイクロ波エネルギー源は、電場増強導波管に連結され、電場増強ゾーンの第一の断面積にマイクロ波エネルギーを供給し、そこで、マイクロ波エネルギーは、反応ゾーンの反応長に沿った方向に伝搬する。マイクロ波プラズマ反応器には、電界増強ゾーンと反応ゾーンの間に誘電体バリアがない。
定義及び図面の使用
本説明で使用される用語のいくつかを、容易に参照できるように以下に定義する。提示された用語及びそれらのそれぞれの定義は、これらの定義に厳密に限定されるものではなく、用語はさらに、本開示内での用語の使用によって定義され得る。「例示的」という用語は、本明細書では、例、実例、または例示として機能することを意味するために使用される。「例示的」として本明細書に記載される任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されない。むしろ、例示的という単語の使用は、具体的な方法で概念を提示することが意図される。本出願及び添付の特許請求の範囲で使用される、「または」という用語は、排他的な「または」ではなく包含的な「または」を意味することが意図される。すなわち、別段に指定されない限り、または文脈から明らかでない限り、「XがAまたはBを用いる」は、自然な包含的順列のいずれかを意味することが意図される。すなわち、XがAを用いる場合、XがBを用いる場合、またはXがA及びBの両方を用いる場合、「XがAまたはBを用いる」は、あらゆる前述の例の下に満たされる。本明細書で使用される、AまたはBのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのA、少なくとも1つのB、またはAとBの両方のうちの少なくとも1つを意味する。言い換えれば、この句は離接的である。本出願及び添付の特許請求の範囲で使用される、冠詞「a」及び「an」は、別様に指定されない限り、または文脈から単数形を指すことが明らかでない限り、概して「1つ以上の」を意味するように解釈されるべきである。
様々な実施態様は、本明細書では図面を参照して説明されている。図面が必ずしも縮尺通りに描かれておらず、同様の構造または機能の要素が時には図面全体を通して同様の参照記号によって表されていることに留意されたい。これらの図面は本開示の実施態様の説明を容易にすることのみが意図され、すべての可能な実施態様の網羅的な扱い方を表さず、特許請求の範囲に関していかなる制限も課すことが意図されないことにも留意されたい。さらに、図示された実施態様は、いずれかの特定の環境での使用のすべての態様または利点を表現する必要はない。
特定の実施態様と併せて記載される態様または利点は、必ずしもその実施態様に限定されるものではなく、そのように示されていない場合であっても、任意の他の実施態様において実践され得る。本明細書を通して、「いくつかの実施態様」または「他の実施態様」への言及は、少なくとも1つの実施態様に含まれるものとして実施態様に関連して記載される特定の特徴、構造、材料または特性を指す。従って、本明細書を通して様々な場所での「いくつかの実施態様では」または「他の実施態様では」という表現の出現は、必ずしも同じ実施態様(複数可)を指すとは限らない。本開示の実施態様は、特許請求の範囲を限定することを意図していない。
例示的な実施態様の説明
図1A及び1Bは、本開示のマイクロ波化学処理システムの実施態様を示す。ここでは、FEWGがマイクロ波エネルギー発生装置(例えば、マイクロ波エネルギー源)に連結され、プラズマがFEWGのプラズマゾーンにおける供給ガスから生成し、FEWGの反応長がプロセス材料を分離成分に分離する反応ゾーンの役割を果たす。図1A及び1Bによって示される本反応器には、電場増強導波管の電場増強ゾーンと反応ゾーンとの間に誘電体バリアがない。本反応器に誘電体バリアがないことによって、有利にも、処理される投入材料(例えば、炭化水素ガス)にマイクロ波エネルギーが直接伝達され、従来の反応器より高い処理温度(例えば、3000K以上)、特に、極高温の局部温度(例えば、10,000K以上)が可能になる。対照的に、従来のシステムの反応ゾーンは、石英チャンバー等の誘電体バリアに囲まれている。その結果、マイクロ波エネルギーは間接加熱に使用され、キャリアガスをイオン化してプラズマにするために使用されるが、マイクロ波エネルギー自体はバリアを通過しない。マイクロ波エネルギーの伝搬方向は、供給ガス及び/またはプロセス材料の流れの大部分と平行であり、マイクロ波エネルギーは、FEWGの部分の上流の導波管に入り、そこで分離成分が生成する。
図1Aに示すように、マイクロ波化学処理反応器は、いくつかの実施態様によれば、一般に、簡略化するために示されていない他の要素の中でも特に、FEWG205、FEWG205に流入する供給ガスまたはプロセス材料208aを受け入れるように構成された1つ以上の入口202、及びFEWG205に連結されたマイクロ波エネルギー源204を含む。いくつかの実施態様では、マイクロ波回路207が、マイクロ波エネルギー源204からマイクロ波エネルギー209がパルスされるパルス周波数を制御する。いくつかの実施態様では、マイクロ波エネルギー源204からのマイクロ波エネルギー209は、連続波である。
FEWG205は長さLを有する。長さLAを有するFEWG205の部分(図1A及び図1Bに示される)は、長さLBを有するFEWGの部分(図1A及び図1Bに示される)よりもマイクロ波エネルギー発生装置に近い。本開示を通して、FEWGの異なる部分は、FEWGのある特定の部分を示す下付き文字を備えた大文字L(例えば、LA、L0、LB、L1、L2)によって記載され、同義的に、FEWGの異なる部分の長さもまた、FEWGのある特定の部分の長さを示す下付き文字を備えた大文字L(例えば、LA、L0、LB、L1、L2)によって記載される。
長さLBのFEWGの断面積は、長さLAのFEWGの断面積よりも小さい。FEWGの長さL0は、FEWGの長さLAとLBの間に位置し、マイクロ波エネルギー伝搬の経路に沿って減少する断面積を有する。いくつかの実施態様では、長さL0に沿ったFEWGの断面積は、連続的に減少する。いくつかの実施態様では、長さL0に沿ったFEWGの断面積は、長さLAとLBの間で直線的に減少する。いくつかの実施態様では、長さL0に沿ったFEWGの断面積は、長さLAとLBの間で非直線的に減少し、例えば、放物線状に、双曲線状に、指数的にまたは対数的に減少する。いくつかの実施態様では、長さL0に沿ったFEWGの断面積は、長さLAとLBの間で急激に減少し、例えば、1つ以上の離散段階を介して減少する。断面積の減少は、電場を集中させる役割を果たし、ひいては、従来のシステムと比較して、プラズマが生成し得るかなりの量の領域を提供しつつマイクロ波エネルギー密度を増加させる。
長さLBを有するFEWGの部分(図1A及び図1Bに示される)は、2.45GHzのマイクロ波エネルギー周波数を使用する場合、0.75インチ×3.4インチの寸法の長方形の断面を有し得る。この断面積は、プラズマ生成面積が一般に1平方インチ未満である従来のシステムよりもはるかに大きい。FEWG205の異なる部分の寸法は、導波管として適切に機能するように、マイクロ波周波数に従って設定される。例えば、楕円形の導波管の場合、断面寸法は2.1~2.7GHzで5.02インチ×2.83インチでよい。
従来のガス処理システムでは、例えば、上記の通り、プラズマが生成し得る1平方インチ未満の限定領域により、ガス反応が生じ得る体積が抑制される。また、従来のシステムでは、マイクロ波エネルギーは、窓(通常は石英)を通って反応チャンバーに入る。これらのシステムでは、誘電体材料(例えば、微粒子状炭素)が処理中に窓を覆い、経時的に電源供給が減少する。これらの分離成分がマイクロ波エネルギーを吸収する場合、これらが、プラズマが生成する反応チャンバーへのマイクロ波エネルギーの連結を防ぐ可能性があるためにこれが大きな問題となり得る。その結果、ガス反応から製造される炭素粒子等の副産物の急速な蓄積が発生し、処理装置の実行時間を制限する。本実施態様では、システム200及びシステム300(図1B)は、反応ゾーンに窓を使用せずに、すなわち、エネルギーが反応の上流から入る平行伝搬/ガス流システムを使用して設計されている。その結果、より多くのエネルギー及び電力をマイクロ波エネルギー源からプラズマに連結することができ、炭化水素投入材料の処理温度をより高温にすることができる。窓がないこと及び従来のシステムにおける制限された反応チャンバーの容積と比較して導波管205内の容積が大きいことにより、実行時間を制限する粒子の蓄積の問題が大幅に減少し、ひいては、マイクロ波処理システムの生産効率が改善される。
図1Aのマイクロ波エネルギー209は、FEWG205の長さのうち長さL1のプラズマゾーン(図1A~1Bに示される)内の供給ガス及び/またはプロセス材料中でマイクロ波プラズマ206を創出する。マイクロ波エネルギー209はまた、反応ゾーンに伝搬して、プロセス材料流208bと直接相互作用し得る。長さL1のプラズマゾーンは、FEWGのLB部分内に位置し、長さLAにおけるより断面積が小さく、マイクロ波エネルギー密度が高い。いくつかの実施態様では、プロセス材料とは異なる供給ガスを使用して、マイクロ波プラズマ206を生成させる。供給ガスは、例えば、水素、ヘリウム、希ガス、例えば、アルゴン、または複数のタイプのガスの混合物であり得る。他の実施態様では、供給ガスは、プロセス材料と同じであり、この場合、プロセス材料は、そこから分離成分が創出される材料である。
いくつかの実施態様では、供給ガス及び/またはプロセス材料の入口202は、FEWGのLB部分から上流に位置しているか、またはFEWGのL0部分内に位置しているか、またはFEWGのLA部分内に位置しているか、またはFEWGのLA部分の上流に位置している。いくつかの実施態様では、FEWGのL1部分は、供給ガス及び/またはプロセス材料208aがFEWGに入る位置から下流のFEWGに沿った位置から、FEWGの末端まで、または供給ガス及び/またはプロセス材料の入口とFEWG205の末端との間の位置まで延びる。いくつかの実施態様では、FEWGのL1部分は、供給ガス及び/またはプロセス材料208aがFEWGに入る場所から、FEWGの末端まで、または供給ガス及び/またはプロセス材料の入口とFEWGの末端との間の位置まで延びる。
生成されたプラズマ206は、反応長L2を有するFEWG205の反応ゾーン201内のプロセス材料208bで生じる反応のためのエネルギーを提供する。いくつかの実施態様では、反応ゾーンL2は、プロセス材料208aがFEWG205に入る場所から、FEWG205の末端まで、またはプロセス材料の入口とFEWG205の末端との間の位置まで延びる。適切な条件が与えられると、プラズマ206内のエネルギーは、プロセス材料の分子から分離成分を形成するのに十分である。さらなる炭化水素分解反応及び/または製造された炭素材料の修飾は、プラズマ残光とも呼ばれ得る高温プルーム220で生じ得る。いくつかの実施態様では、さらなる投入材料が、入口202で反応器に導入され得る。例えば、炭素材料の製造中または製造直後に要素を導入し、炭素材料を官能化する(例えば、樹脂との結合を高める)場合もあれば、炭素材料に樹脂を加える(例えば、結合させる、埋め込む)場合もある。1つ以上の出口203は、プロセス材料208bで反応が生じるFEWGの反応ゾーン部分201の下流のFEWG205から分離生成物を収集するように構成される。図1Aに示す例では、マイクロ波エネルギー209の伝搬方向は、供給ガス及び/またはプロセス材料の流れ208bの大部分と平行であり、マイクロ波エネルギー209は、FEWGの反応ゾーン201の上流のFEWG205に入り、そこで分離成分が生成される。
いくつかの実施態様では、マイクロ波エネルギーを透過させる圧力バリア210が、マイクロ波エネルギー源204内、マイクロ波エネルギー源の出口付近、またはマイクロ波エネルギー源204とFEWGで生じるプラズマ206との間の他の位置に配置され得る。この圧力バリア210は、マイクロ波エネルギー源204へのプラズマの潜在的な逆流から保護するための安全対策として役立ち得る。プラズマは圧力バリア自体では形成されず、圧力バリアは、単に機械的なバリアである。圧力バリアが作製され得る材料のいくつかの例は、石英、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、他のプラスチック、またはセラミックである。いくつかの実施態様では、2つの圧力バリア210及び211が存在する場合があり、圧力バリア210及び211の一方または両方が、マイクロ波エネルギー源204内、マイクロ波エネルギー源の出口付近、またはマイクロ波エネルギー源204とFEWGで生じるプラズマ206との間の他の位置にある。いくつかの実施態様では、圧力バリア211は、圧力バリア210よりFEWG内のプラズマ206に近く、圧力バリア210と211の間に、圧力バリア211が機能しなくなった場合に備えて圧力噴出ポート212が存在する。
いくつかの実施態様では、プラズマがマイクロ波エネルギー源204または供給ガス及び/またはプロセス材料の入口(複数可)202に伝搬するのを防ぐために、システムにはプラズマ逆転防止装置(図示せず)が含まれている。いくつかの実施態様では、プラズマ逆転防止装置は、セラミックまたは金属フィルターであり、マイクロ波エネルギーにプラズマ逆転防止装置を通過させるが、プラズマ種の大部分が通過することを防ぐ穴を有する。いくつかの実施態様では、プラズマ種の大部分は、穴が高アスペクト比を有し、プラズマ種が穴の側壁に当たった際に再結合するため、プラズマ逆転防止装置を通過することができない。いくつかの実施態様では、プラズマ逆転防止装置は、L0部分とL1部分の間、またはL1部分の上流かつ入口(複数可)202の下流(入口202がL0部分内にある実施態様において)かつマイクロ波エネルギー源204の下流のL0部分内に配置される。
図1Bは、マイクロ波化学処理システム300の別の実施態様を示しており、ここでは、供給ガスとプロセス材料が異なる位置で注入される。マイクロ波化学処理システム300は、いくつかの実施態様によれば、一般に、簡略化するために示されていない他の要素の中でも特に、FEWG305、FEWG305に流入する供給ガス308aを受け入れるように構成された1つ以上の供給ガスの入口302、プロセス材料311aを受け入れるように構成された1つ以上のプロセス材料の入口310、及びFEWG305に連結されたマイクロ波エネルギー源304を含む。プロセス材料の入口310の位置は、供給ガスの入口302の位置の下流である。この場合、下流は、マイクロ波エネルギーの伝搬の方向に定義される。いくつかの実施態様では、マイクロ波回路307が、マイクロ波エネルギー源304からマイクロ波エネルギー309がパルスされるパルス周波数を制御する。いくつかの実施態様では、マイクロ波エネルギー源304からのマイクロ波エネルギーは、連続波である。
マイクロ波エネルギー309は、FEWG305の長さLのプラズマゾーンL1内の供給ガス308b内でマイクロ波プラズマ306を創出する。いくつかの実施態様では、L1部分は、供給ガス308aがFEWG305に入る位置から下流のFEWG305に沿った位置から、FEWG305の末端まで、または供給ガスの入口とFEWG305の末端との間の位置まで延びる。いくつかの実施態様では、L1部分は、供給ガス308aがFEWG305に入る場所からFEWG305の末端まで、または供給ガスの入口とFEWG305の末端との間の位置まで延びる。1つ以上のさらなるプロセス材料の入口310が、供給ガスの入口(複数可)302の下流の第二の一連の位置で、FEWGに流入するプロセス材料を受け入れるように構成される。生成されたプラズマ306は、反応長L2を有するFEWG305の反応ゾーン301内で生じる反応のためのエネルギーを提供する。いくつかの実施態様では、L2部分は、プロセス材料311aがFEWG305に入る場所から、FEWG305の末端まで、またはプロセス材料の入口とFEWG305の末端との間の位置まで延びる。適切な条件が与えられると、プラズマ内のエネルギーは、プロセス材料の分子から分離成分を形成するのに十分である。さらなる炭化水素分解反応及び/または製造された炭素材料の修飾は、高温プルーム320で生じ得る。
いくつかの実施態様では、さらなる投入材料が、プロセス材料の入口310で反応器に導入され得る。例えば、炭素材料の製造中または製造直後に要素を導入し、炭素材料を官能化する(例えば、樹脂との結合を高める)場合もあれば、炭素材料に樹脂を加える(例えば、結合させる、埋め込む)場合もある。1つ以上の出口303は、反応が生じる部分301の下流のFEWG305から分離生成物を収集するように構成される。図3に示すシステム300の例では、マイクロ波エネルギー309の伝搬方向は、供給ガスの流れ308b及びプロセス材料の流れ311bの大部分と平行であり、マイクロ波エネルギー309は、FEWGの反応部分301の上流のFEWG305に入り、そこで分離成分が生成する。
いくつかの実施態様では、FEWG(例えば、図1Aの205、及び図1Bの305)は、圧力を、0.1atm~10atm、または0.5atm~10atm、または0.9atm~10atm、または0.1atm超、または0.5atm超、または0.9atm超に維持するように構成される。多くの従来のシステムでは、マイクロ波化学処理は真空で操作される。しかしながら、プラズマがFEWG内で生成される本実施態様では、陽圧環境で動作することが、生成されたプラズマがマイクロ波エネルギー源(例えば、図1Aの204、及び図1Bの304)に戻ることを防ぐのに役立つ。
FEWG(例えば、図1Aの205、及び図1Bの305)は、2.45GHzのマイクロ波エネルギー周波数に対応するように、0.75インチ×3.4インチの寸法の長さLB内で長方形の断面を有し得る。他の寸法のLBは、他のマイクロ波周波数で可能であり、導波管のモードに応じて、これらの断面寸法は3~6インチになり得る。FEWG(例えば、図1Aの205、及び図1Bの305)は、例えば、2.45GHzのマイクロ波エネルギー周波数に対応するように、1.7インチ×3.4インチの寸法の長さLA内で長方形の断面を有し得る。他の寸法のLAは、他のマイクロ波周波数で可能である。特に、FEWGは、従来のシステムのように別々の導波路と石英反応チャンバーを有するのではなく、プラズマが生成されかつプロセス材料の反応が生じるチャンバーとして機能する。FEWGを反応器チャンバーとして機能させると、ガス反応を行うことができるはるかに大きな容量が提供される(例えば、最大1000L)。これにより、従来のシステムで発生するような炭素微粒子の蓄積に制限されることなく、高流量のプロセス材料を処理することができる。例えば、入口(例えば、図1Aの202、及び図1Bの310)から導波管(例えば、図1Aの205、及び図1Bの305)へのプロセス材料の流量は、1slm(標準リットル/分)~1000slm、または2slm~1000slm、または5slm~1000slm、または1slm超、または2slm超、または5slm超であり得る。入口(例えば、図1Aの202、及び図1Bの302)から導波管(例えば、図1Aの205、及び図1Bの305)への供給ガスの流量は、例えば、1slm~1000slm、または2slm~1000slm、または5slm~1000slm、または1slm超、または2slm超、または5slm超であり得る。十分なプラズマ密度(例えば、二次電子放出係数)をもたらすガスプラズマの特性に応じて、流量は、1slm~1000slmでよく、圧力は最大14atmでよい。
いくつかの実施態様では、複数のFEWGが1つ以上のエネルギー源(例えば、マイクロ波エネルギー源)に連結され得る。これらの実施態様におけるFEWGは、上記のシステムの特徴の一部またはすべてを共有し得る。これらの実施態様における供給ガス及びプロセス材料の投入もまた、上記の特徴の一部またはすべてを共有し得る。いくつかの実施態様では、各FEWGが反応ゾーンを有する。いくつかの実施態様では、プラズマは、FEWGの各々のプラズマゾーンにて供給ガスから生成され、FEWGの各々の反応長が、プロセス材料を分離成分に分離するための反応ゾーンの役割を果たす。いくつかの実施態様では、反応ゾーンは互いに接続され、マイクロ波化学処理システムは、分離成分のための1つの出口を有する。いくつかの実施態様では、反応ゾーンは互いに接続され、マイクロ波化学処理システムは、分離成分のための複数の出口を有する。いくつかの実施態様では、各反応ゾーンは、分離成分のための独自の出口を有する。いくつかの実施態様では、多チャンバーの反応器により、さらなる処理をすることなく炭素材料を製造及び修飾すること、及び/または樹脂/ポリマーへの直接の投入が可能になり得る。多成分(例えば、複数の反応ゾーン、複数のエネルギー源)の他の例は、前述の米国特許第9,767,992号に記載されている。
3D炭素構造
本複合材料及び方法は、高表面積の3D炭素材料の創出を含み、材料は、強度及び伝導性のために複合材料に組み込むためのポアマトリクス構造(例えば、炭素粒子のサブ粒子内またはその周囲のボイドまたはオープンスペース)を含む。炭素のタイプの例としてグラフェンを使用した従来のグラファイトまたは2次元(2D)グラフェンナノプレートレット(GNP)材料は、通常、平面を有する200nm長ほどの細長い形状である。図2の概略図に示すように、GNPで従来の複合材料を形成するためには、GNP410を第一の樹脂で包み込んで粒子420を形成し、粒子420を乾燥し、次いで粒子420を第二の樹脂に加えて複合体430を形成する。従って、これらの従来のGNP・樹脂複合体では、GNPは単に第一の樹脂に包み込まれており、複合体430の強度は、粒子420を形成するために使用される第一の樹脂と、粒子420が分散される第二の樹脂との間の樹脂間結合によって通常は制限される。従来のGNP複合体(例えば、官能化GNPを含まない)は、通常、弾性率に影響を与えずに強化することはできず、GNPが互いに化学的に結合していないことやバルク樹脂に化学的に結合していないことから、層間剥離がしばしば生じる。
対照的に、本方法及び材料の3Dグラフェン構造等の3D炭素構造は、3Dロバスト構造として機能するより長距離の材料を形成する本質的に3D接続されたマトリクスを有し、3次元で強度を加える。3D炭素構造により、ポリマーが構造のポアマトリクスに浸透することが可能になり、構造の形状と高表面積の両方により、炭素とポリマーの間に機械的な連結がもたらされる。3D炭素はまた、後にさらに詳細に記載するように、官能化される場合があり、炭素・樹脂間の結合を介した化学的結合が促進される。さらに、3D炭素材料から形成される複合体は、炭素の3D構造の形状を調整することにより、強度及び弾性率の独立した制御をもたらし得る。
図3Aは、いくつかの実施態様による、3Dグラフェン粒子である炭素粒子500の概略図を示す。他の3D形態の炭素材料とは異なり、本プラズマ創出3D炭素材料(例えば、グラフェンナノプレートレット)の独自の構造は、ポアマトリクスとして構造化される。3Dグラフェン粒子は、グラフェンナノプレートレットのサブ粒子を含む可能性があり、サブ粒子は、単層グラフェン(SLG)のサブ粒子、数層グラフェン(FLG)のサブ粒子及び/または多層グラフェン(MLG)のサブ粒子の形態である。炭素粒子500は、SLGのサブ粒子510a、510b、510c及びFLGのサブ粒子520a、520bで示されている。本開示の3Dグラフェンは、1形態のみのグラフェン、例えば、SLG、FLG、またはMLGを含む場合もあれば、1つ以上の形態の組み合わせ、例えば、SLG及びFLGまたはSLG及びMLGの場合もある。いくつかの実施態様では、3Dグラフェンは、炭素粒子500において、主にFLG、例えば、50%超、または70%超、または90%超がFLGのサブ粒子であり得る。いくつかの実施態様では、3Dグラフェンは、炭素粒子500において、主にMLGまたはSLG、例えば、50%超、または70%超、または90%超がMLGまたはSLGのサブ粒子であり得る。粒子500はGNPのみで示されているが、本開示の炭素粒子は、CNO、CNT、及びナノワイヤ等であるがこれらに限定されない他の炭素同素体を含み得る。
グラフェンナノプレートレットのサブ粒子は、成長して3次元的に接続されることにより、ポアマトリクスを形成する。すなわち、3Dグラフェン粒子500は、X-Y平面及びZ方向に成長し、SLGのサブ粒子510a、510b及び510cならびにFLGのサブ粒子520a及び520bは、サブ粒子の形成の過程で互いに対して様々な角度、例えば、直角及び鋭角に成長する。例えば、FLGのサブ粒子520aが、最初に炭化水素分解の過程で形成される可能性があり、その後SLGのサブ粒子510a、510b及び510cが、FLGのサブ粒子520aのエッジ及び/または底面の位置から成長し得る。FLGのサブ粒子520aは、成長が主にXY平面に配向したグラフェン層を有する一方、SLGのサブ粒子510a、510b及び510cは、X-Y平面から外れて配向した底面を有し、Z方向に成長する。
その結果、グラフェン粒子500の全体的な成長は、X-Y平面及びZ方向である。粒子500の様々なサブ粒子は、様々なエッジ及び底面(平面)位置で相互接続され、接続部540a、540b及び540cは、グラフェンのサブ粒子の形成の過程で形成される接続部による炭素間結合であり得る。接続部540aは、FLGのサブ粒子520aのエッジとSLGのサブ粒子510cのエッジの間のエッジ・エッジ間位置にある一方、接続部540bは、FLGのサブ粒子520bのエッジとSLGのサブ粒子510cの底面の間のエッジ・底面間位置にある。接続部540cは、FLGのサブ粒子520bのグラフェンナノプレートレット層間の底面・底面間の位置にある。サブ粒子間のこれらの接続部は、複合材料への組み込みに有益な3D方式のポアマトリクスをもたらす。サブ粒子間の接続部は、例えば、2つ以上のサブ粒子の炭素格子間の共有結合または非共有結合を介し、例えば、別のサブ粒子の部位から開始される1つのサブ粒子の成長を介し得る。3Dグラフェン構造はまた、ナノプレートレットのカール、しわ、または折り畳みも含む場合があり、これらの特徴は、周囲のサブ粒子との相互接続による3次元形状として保持される。
図3Bは、いくつかの実施態様による、ポリマー550に組み込まれた3Dグラフェン粒子501、502及び503を示す。3Dグラフェン粒子501、502及び503は、反応器内で形成されたままの場合もあれば、反応器内で生じた大粒子からサイズを縮小させた粒子の場合もある。粒子501、502及び503は、ポリマー550内に分散しているとして示され、これは、反応器内の粒子の調整を通じて(例えば、官能化及び/または本開示の他の場所に記載される通りにポリマーを粒子と混合することによって)、粒子501、502、及び503をポリマー550と結合することによって促進され得る。
本材料の3D炭素構造は、樹脂が浸透して連結することができる足場構造の役割を果たすポアマトリクスを提供する。ポアは、ポア530によって示されるサブ粒子間にある場合もあれば、ポア535で示されるMLGまたはFLGの層間にある場合もある。本3D炭素材料のポアは、開口、穴、またはくぼみと呼ばれることもあり、樹脂がその中に浸透し、炭素粒子とかみ合うことができ、例えば、炭素添加剤とポリマーの間の機械的強度が増す。ポアはまた、炭素が樹脂に結合するための大量の表面積も提供する。いくつかの実施態様では、ポアは、例えば、1nm~50nm超のポア幅を有し得る。ポアは、非常に狭いポア幅で、バイモーダルまたはシングルモードで製造され得る。いくつかの実施態様では、炭素粒子は、広い分布のポアサイズ(例えば、マルチモーダル分布)のメソポーラス構造を有する。例えば、メソポーラス微粒子状炭素は、0.1nm~10nm、10nm~100nm、100nm~1μ、及び/または1μより大きいサイズのポアのマルチモーダル分布を含むことができる。例えば、ポアの構造は、より小さいポア(例えば、1nm~4nmのサイズを有する)及びより大きいポア(例えば、30nm~50nmのサイズを有する)を含めたサイズのバイモーダル分布を有するポアを含むことができる。理論に制限されるものではないが、メソポーラス炭素粒子材料におけるポアサイズのかかるバイモーダル分布は、特性の調整を可能にすることにより、複合体樹脂システムにおいて有益であり得る。例えば、より多くのより大きいポアを使用して引張強度を高めることができる一方、より多くのより小さいポアを使用して弾性率を高めてもよい。場合によっては、構造内のボイドスペース分布(例えば、ポアサイズ分布)は、バイモーダルでもマルチモーダルでもよく、ポアサイズの様々な分布のモードを最終複合体製品に合わせて調整してカスタマイズすること(例えば、物理的、機械的、化学的及び/または電気的特性等の特性を最大化、最小化、またはその所望の範囲を達成すること)ができる。非限定的な例として、ボイドスペースは、かなりのパーセンテージ(例えば、50%以上)のより大きいボイドスペースを含む場合があり、より大きいボイドスペースは、より小さいボイドスペースよりも容易に崩壊し、様々な方法での材料の強化を可能にする。
本3D炭素材料は、従来の炭素材料を超える利点をもたらす。例えば、従来の3Dグラフェンは、しわくちゃのグラフェンシートからなる場合がある。グラフェンシートは、六角形の炭素格子構造が本質的にシートの平面に沿って連続しているため、通常は望ましいものである。従来、グラフェンシートは、底面から底面まで相互接続され、これらの長いグラフェンシートの層間のギャップが崩壊する可能性が高い積み重ねられた層を形成する。対照的に、本3D炭素材料の実施態様におけるように、ナノプレートレットを互いに接続することは、炭素がすでに接続されているグラフェンシートに照らして、反直感的である。それにもかかわらず、様々な位置で接続されたグラフェンナノプレートレットの3D構造は、ポア(例えば、樹脂が浸透して結合することができるギャップまたは開口部)が崩壊しにくい(例えば、サイズが圧縮または縮小されている)固定開放ポロシティを有する構造をもたらす。さらに、グラフェン層間及びサブ粒子間の様々な位置、例えば、エッジ・エッジ間、エッジ・底面間及び底面・底面間での接続は、従来のグラフェンにおける本質的に平行のシートの積み重ねられた層間よりも大きいポアをもたらし得る。
サブ粒子を接続する炭素間結合は、炭素粒子の成長中に形成されるため(すでに形成されたサブ粒子間の非炭素結合ではない。非炭素結合は汚染物質を含む場合もある)、導電性及び熱伝導性等の特性が本3D炭素材料では改善される。さらに、いくつかの実施態様では、サブ粒子間の3D相互接続の位置及び数は、ある特定の特性を達成するようにカスタマイズされ得る。例えば、エッジ・エッジ間、エッジ・底面間及び/または底面・底面間の接続の組み合わせを有することで、特性(例えば、導電性及び/または熱伝導性)を、従来のグラフェンシートのように主にX-Y面ではなく、多方向(例えば、X、Y及びZ方向、3次元)にすることが可能になり得る。この特性の多方向性は、複合材料内で炭素材料を配向させる必要性の低減に有用であり得る。理論に制限されるものではないが、GNP間のエッジ・底面間の接続により、電子がGNP間を飛び越えるのに必要なエネルギーレベルが低下し得る。一例では、エッジ・底面間の接続により、第一のGNPの底面を移動している電子が、第一のGNPの底面にそのエッジでの炭素間結合を介して接続されている第二のGNPまで跳ね上がることによって、第一のGNPに自然に発生する欠陥(例えば、空孔)の周りで経路を変更することが可能になる場合がある。従って、GNP間の3D接続により、電子が拘束されず、底面から移動することが可能になり、従来のプレートレットの2D電子流路よりも高い導電性がもたらされる。
図4A~4Bは、いくつかの実施態様による、3Dグラフェンの例の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。図4Aは、3D様式(X、Y、及びZ方向)で相互接続されたFLGのサブ粒子521及びSLGのサブ粒子511を示し、ここで、SLGのサブ粒子511はこの画像では、さらなる3D形状をもたらすようにカールもしている。図4Bは、様々なサイズの相互接続されたGNPを示しており、いくつかの実施態様では、サブ粒子のサイズの分布が生じ、炭素粒子材料で使用され得ることを示している。図4Bはまた、異なる炭素の同素体等、異なる種類の炭素間の成長を互いの上に成長させる(例えば、シード)能力も示している。
図4Cは、マルチシェルフラーレン560及びリガンド575を有するマルチシェルフラーレン570の例を示しており、いくつかの実施態様では、これらは両方とも、本炭素材料に個別にまたは組み合わせて組み込まれ得る。リガンド575は、マルチシェルフラーレン570から成長し、そこから延びる炭素鎖であり、リガンドの長さは約5~20nmに及ぶ。リガンド575は、樹脂内で異なる最終サイズの炭素を混合することができるように設計された機能である。1つの実施態様では、リガンド575は、樹脂と混合された際に切れる場合があり(例えば、本開示で後述するように設計された位置で)、より大きなサイズのマルチシェルフラーレンボールとは異なる方法で樹脂に強化剤を提供し得る。別の実施態様では、リガンド575は保存され、ポリマーへのより良好な固定が可能になり得る。リガンド575は、例えば、エネルギーの分散及び/または炭素とポリマーとの間の結合を改善するための様々なアスペクト比を可能にする等の利点をもたらし得る。
図4D~4Eは、いくつかの実施態様による、樹脂と混合した炭素の例示的なSEM画像を示す。図4Dは、部分的に湿潤された炭素・樹脂システムを示しており、炭素のサブ粒子及び粒子内ならびにその周囲のボイド580(例えば、ポア)の視覚化を可能にする。図4Eは、図4Dよりも高度に湿潤された炭素・樹脂システムを示し、本開示において達成することができる炭素と樹脂との間の高度な一体化が実証される。
本開示の3D炭素構造は、従来の反応器よりも高い成長温度を可能にする本明細書に記載のプラズマ反応器によって作製される。本実施態様では、高周波エネルギー源(例えば、マイクロ波源)と反応ゾーンの間に誘電体バリアがないため、高周波エネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー)は、分解される種に直接熱を加えることができる。対照的に、従来の反応器では、エネルギーはイオン化するキャリアガスに適用され、次にこのイオン化ガスが炭化水素材料に適用されるため、高周波エネルギーは間接的な加熱源である。本実施態様の炭化水素分解プロセスにおける成長温度は、例えば、少なくとも3000Kである可能性があり、高度に局在した(例えば、原子レベルでの)温度は、例えば、10,000K超または20,000K超である。これらの極高温により、炭化水素ガスの急速な分解がもたらされ、高度に制御された気相成長が炭素材料の3D形成を可能にする。さらに、本実施態様の高い成長温度により、高相純度の炭素材料、例えば、95%超、または97%超、または99%超の相純度の特定の相、例えば、GNPの製造が可能になる。より高い成長温度は、より高い構造の炭素(例えば、結晶性が高い)を成長させる一方、非晶質炭素は、低温で優先的に成長し、これらの高温では成長速度が低い。その結果、本プラズマ反応器及び方法は、高相純度の炭素材料を独自に生成することが可能であり、非晶質炭素の創出がほとんどまたは全くない。いくつかの実施態様における炭素の成長が独自に制御される方法の一例では、高度に構造化された炭素材料は、反応器の最高温度ゾーンで成長し、その後、高度に構造化された炭素材料は、同じまたは別の反応器のより低温ゾーンにて、分散を補助するため、及び/または湿潤性表面とともに特定の最終ポリマーに好ましい表面化学を促進するため、非晶質材料で装飾され得る。
高度に構造化された炭素材料の非常に純粋な画分を生成することに加えて、材料は、上記の3D多孔質構造で形成され得る。サブ粒子間の3D接続の形成は、炭素材料の成長速度に影響を与えるプロセスパラメータの制御を通じて、本反応器で可能になる。本開示の3D炭素粒子の形成に影響を与えるために使用され得る1つのパラメータは、分圧であり、プロセスガスの分圧(例えば、メタン含量対プラズマ創出に使用される供給ガスの含量)の減少は、プロセスガスを過飽和状態から外に出す可能性がある。すなわち、プロセスガスの分圧を制御して、炭化水素種がプラズマから出現するように準安定状態を創出することができる。この準安定状態を変更するためにプロセスガスの分圧を調整することを、炭素粒子の成長に影響を与えるために使用することができる。例えば、より遅い成長速度を使用して、より大きいサイズの粒子及びサブ粒子が創出され得る。逆に、より速い成長速度を使用して、より小さいサイズの粒子及びサブ粒子が創出される場合があり、例えば、長いグラフェンシートを創出する代わりに、互いに接続して成長するGNPが創出される場合がある。その結果、創出される粒子のサイズは、炭素材料の特性、例えば、3D炭素粒子構造全体の密度に影響を与える。別の例では、例えば、反応器内の温度を変更することにより、電力レベルを制御して成長速度に影響を与えることができる。本プラズマ反応器システムは、極高温及び様々なプロセスパラメータの制御等の側面を通じて、多孔質構造を形成する3D様式で接続されたサブ粒子を有する独自の炭素粒子の生成を可能にする。
繊維
いくつかの実施態様では、本複合体は、強化材として、炭素添加剤(例えば、グラフェン、MWSF、3D炭素材料、3Dグラフェン)に加えて繊維を含み、これらは樹脂と混合される。繊維は、3D炭素材料がその上に形成され得るさらなる3D構造として機能し、複合材料に3D形状のマトリクスをもたらすとともに、複合材料に有益な特性(例えば、高強度及び/または異方性)を可能にする高アスペクト比の材料をもたらす等の利益をもたらす。複合体のいくつかの実施態様は、樹脂及び炭素粒子と混合される炭素繊維(炭素複合充填剤(CCF)と呼ばれる場合がある)を含む。複合体のいくつかの実施態様は、樹脂及び炭素粒子と混合される非炭素繊維(例えば、ガラス繊維等の非炭素複合充填剤(非CCF))を含む。複合材料のいくつかの実施態様は、樹脂及び炭素粒子に添加される短いチョップド繊維を使用し得る。いくつかの実施態様では、使用され得る繊維のタイプとしては、炭素繊維、ガラス(Si)、アラミド、ポリエチレン、ボロン、セラミック、Kevlarまたは他のスパンもしくは織布が挙げられるが、これらに限定されない。
図5Aは、いくつかの実施態様による、繊維を含める独自の材料処理の図を示す。繊維610は、例えば、炭素繊維、セラミック繊維、または金属繊維であり得る。従来の複合体では、これらの繊維は、樹脂バインダーと混合した場合、形成される複合体においてバインダーから剥離する。本開示のいくつかの実施態様では、繊維610は、炭素粒子が製造されるものと同じ反応器である場合もそうでない場合もある反応器に導入され得るとともに、繊維は、繊維620によって示されるように、反応器内で修飾される(例えば、化学的もしくは非化学的にエッチングされるか、または表面処理されて粗面化されるか、または繊維の表面化学が変更される)。
詳細図625は、エッチングによって繊維の粗面化が生じる実施態様を示している。繊維の修飾により、未修飾の(例えば、未エッチング)繊維と比較して、繊維とポリマー間のより強い界面結合が創出され得る。例えば、エッチングは、反応器のプラズマゾーンに酸素含有基を添加することによって行ってもよく、いくつかの実施態様では、O2の分圧、例えば、0%~21%または最大100%が使用され得る。特定の例では、ガラス繊維を、酸素含有基を使用してエッチングしてもよく、この場合、Si-O-C結合が、樹脂と、O2及び樹脂で処理されたガラス繊維との間、または樹脂中の炭素粒子及び処理されたガラス繊維の間に形成される。
次いで修飾された繊維630を使用して、図5Bに示される複合材料を形成する。ここでは、修飾された繊維630は、炭素・樹脂マトリクス640に添加され、複合材料650が形成される。炭素・樹脂マトリクス640は、本明細書に開示する3D炭素材料等の炭素充填剤粒子を含む樹脂である。得られる複合材料650は、化学的に結合された材料(繊維、炭素充填剤及び樹脂)の相互接続されたマトリクスであり、改善された特性、例えば、従来の樹脂・繊維複合体よりも高い強度をもたらす。いくつかの実施態様では、繊維は、炭素材料と一体化され、炭素・樹脂複合材料に添加される合成炭素マトリクス材料が創出される。
図6は、いくつかの実施態様による、本炭素材料、例えば、上記の3D炭素構造を繊維710とともに組み込むことを示している。例えば、本複合材料及び方法は、複合材料の処理の過程で、例えば、マイクロ波反応器内で、インサイチュで繊維710と一体化される高表面積の3D炭素材料720を含み、複合材料に改善された特性、例えば、強度及び伝導性がもたらされ得る。3D繊維構造上で得られる3D炭素材料は、樹脂と繊維・炭素構造との間の機械的な連結及び化学結合のための高表面積及びポアを(例えば、繊維間、3D炭素内、及び繊維と3D炭素の間に)もたらす。繊維710は、複合体の最終用途に応じて、異なる実施態様では、様々なサイズであり得る。例えば、繊維は、ナノスケールまたはマクロスケールの材料の場合もあれば、例えば、0.25インチ~2インチの繊維に及ぶサイズの数分の1インチほどの場合もある。繊維は、直径が0.001インチ~0.3インチほどであり得るが、最終製造技術(例えば、射出成形、樹脂トランスファー成形、ハンドレイアップ等)に応じて、ナノメートルからマイクロメートルの直径サイズに限定されない。一例では、3D炭素材料720は、繊維710上で成長する3Dグラフェンである可能性があり、3Dグラフェン粒子単独よりも複合材料にさらに高い強化マトリクスを創出する。
いくつかの実施態様では、繊維710は、3D炭素材料720が製造される反応器と同じ反応器で修飾される(例えば、エッチングされる)。いくつかの実施態様では、マイクロ波プラズマ反応器は、エッチングガスと協調して使用され、反応器のプラズマ及び熱高温プルーム内の繊維710がエッチングされ、炭素成長のための核形成部位が繊維710上に直接増進される。プラズマ内のイオンエネルギーにより、繊維がエッチングされ、気相分解プロセスが駆動され、これにより、エッチングされた繊維の表面上で炭素材料720の層及び3次元構造が成長する。炭素マトリクス構造で(完全にまたは部分的に)被覆された金属、誘電体ロッド、及びチューブ等の繊維基材を使用することにより、調整可能な特性を備えた強化材を有益に製造することができ、これにより、調整された材料特性を備えた複合材料の形成が可能になる。3D繊維上に堆積された合成3D炭素材料は、樹脂730と混合され、最終的な複合材料740が形成される。
図7A~7Dは、マイクロ波プラズマ反応器からのプラズマエネルギーだけでなく、熱反応器からの熱エネルギーも使用して繊維上に成長した3D炭素材料の例示的なSEM画像を示す。図7Aは、繊維711及び712が交差し、これらの繊維の表面上に3D炭素材料720が成長したSEM画像を示す。図7Bは、繊維712上の3D炭素成長720を示す高倍率画像である(スケールバーは、図7Aの500□mに対して300□mである)。図7Cは、繊維表面715上の3D炭素成長720を示すさらに拡大された図(スケールバーは40□mである)であり、炭素成長720の3D性は、はっきりと見ることができる。図7Dは、炭素単独のクローズアップ図(スケールバーは500nmである)を示し、底面722と、繊維の上に成長した3D炭素材料720の多数のサブ粒子のエッジ面724との間の相互接続を示している。図7A~7Dは、炭素繊維の成長における3D炭素等、いくつかの実施態様による、3D繊維構造上で3D炭素を成長させる能力を示している。
いくつかの実施態様では、繊維上での3D炭素の成長は、複数の繊維をマイクロ波プラズマ反応器に導入し(例えば、図1Aのシステム200の入口202を介して)、マイクロ波反応器内でプラズマを使用して繊維をエッチングすることによって達成され得る。エッチングにより、核形成部位が創出されるため、反応器内での炭化水素分解によって炭素粒子及びサブ粒子が創出されると、それらの核形成部位で3D炭素構造の成長が開始される。これらの繊維上での3D炭素構造の直接の成長は、それら自体が本質的に3次元であるため、樹脂が浸透することができるポアを含む高度に一体化された3D構造をもたらす。表面が滑らかで、通常は樹脂マトリクスから剥離する従来の繊維を備えた複合体と比較して、樹脂複合体用のこの3D強化マトリクス(高アスペクト比の強化繊維と一体化された3D炭素構造を含む)は、引張強度及びせん断等の材料特性の向上をもたらす。
炭素官能化
いくつかの実施態様では、炭素材料、例えば、本明細書に記載の3D炭素材料は、接着を促進するため及び/または元素、例えば、酸素、窒素、炭素、ケイ素、または硬化剤を付加するために官能化され得る。いくつかの実施態様では、炭素材料は、インサイチュで、すなわち、炭素材料が製造される反応器と同じ反応器内で、または後処理において官能化され得る。例えば、フラーレンまたはグラフェンの表面は、樹脂マトリクスのポリマーとの結合を形成する酸素または窒素含有種で官能化することができ、ひいては、接着が改善され、複合体の強度を高めるために強力な結合がもたらされる。
実施態様は、本明細書に記載のプラズマ反応器(例えば、マイクロ波プラズマ反応器)を使用する炭素(例えば、CNT、CNO、グラフェン、3Dグラフェン等の3D炭素材料)の官能化表面処理を含む。様々な実施態様は、複合材料内のバインダーもしくはポリマーと混合される炭素材料の創出の過程で、インサイチュ表面処理、及び/または炭素材料の創出後(であるが、依然として反応器中で)の表面処理を含み得る。
図8Aは、官能化炭素を表す図を示し、FLGのサブ粒子521を備えた図4Aの3Dグラフェンが、黒及び白のドット810で表される官能化された基で修飾されたものとして示されている。図8Bは、単一のパーセンテージで、第6族非金属元素で官能化された3D炭素材料のSEMである。このSEMでは官能元素は可視化することができないが、GNPのサブ粒子820の相互接続は、図8Bではっきりと見られる。
官能化炭素は、樹脂との結合を高めるために使用され得る。いくつかの実施態様では、官能化炭素は、図6に関連して記載される通り、繊維マトリクス上で成長し得る。いくつかの実施態様では、炭素粒子(単独または繊維に一体化された)は、炭素粒子が製造される反応器中でインサイチュにてポリマーと相溶するように官能化される。すなわち、いくつかの実施態様では、炭素粒子は、炭素粒子と樹脂との間の化学結合、例えば、共有結合、及び/または物理的結合、例えば、π-π相互作用とともに、水素結合を促進することによって樹脂と相溶するように官能化される。例えば、官能化は、樹脂との結合を促進するため、炭素をヒドロキシル化または窒素化するための表面酸化または窒化を含み得る。さらに、ポリマーを受ける炭素表面を清浄化及び調製するために表面処理を行ってもよい。官能化としては、表面ドーピングまたは表面合金化、例えば、CxNy、AlxCy、SixCy、NiXCy、CuxCy、NxCyまたは元素、例えば、Be、Sc、Mg、Ti及びPtが挙げられ得る。いくつかの実施態様では、炭素は、1つ以上のH、O、S、N、Si、芳香族炭化水素、Sr、F、I、Na、K、Mg、Ca、Cl、Br、Mn、Cr、Zn、B、Ga、Rb、Cs、アミン基、酸基(例えば、COOH、OH)、またはさらなるポリマーで官能化され得る。
本炭素材料及び複合材料の様々な実施態様では、炭素表面を官能化することにより、表面の湿潤性(例えば、界面活性)が向上する可能性があり、炭素材料と樹脂間の濡れが高まる。例えば、炭素は、湿潤性を高める(例えば、樹脂との低い接触角を創出する)ように官能化される場合があり、これにより、炭素と樹脂の一体化が改善される。いくつかの実施態様では、化学添加剤を炭素・樹脂システムに加えて樹脂内での粒子の固定を良好にすることができ、これはまた、形成される複合材料の機械的特性の向上にもつながり得る。これは、適切に固定された材料は樹脂システムから沈降せず、完全に懸濁されたままであるからである。化学添加剤の例としては、これらに限定されないが、非イオン性界面活性剤ならびにポリエチレンオキシド鎖及び疎水性基を含む分散剤が挙げられ、これにより、炭素のポリマーマトリクスに対する化学結合が良好になる。
本複合材料の様々な実施態様では、樹脂と炭素の混合物は、未硬化状態のままであり、これがその後、様々な用途、例えば、部品を形成するまたはコーティングとして塗布するための原料として利用され得る。未硬化の複合材料は、二液システムまたは架橋剤もしくは硬化剤の添加で硬化が開始されるシステム等の樹脂システムのタイプであり得る。他の実施態様では、炭素/樹脂混合物は、例えば、炭素の出発粒子が硬化剤で官能化され、官能化炭素が樹脂に入る際に架橋を開始する実施態様では、直接硬化材料を生成することができる。次のセクションでより詳細に説明するように、硬化剤を有する官能化炭素粒子は、炭素を生成及び官能化するために使用される反応器内で、樹脂に直接埋め込まれ得る。炭素が硬化剤を含む場合に得られる樹脂/炭素複合材料は、例えば、成形の準備が整った状態にある複合材料をもたらし得る。かかる成形シナリオでの炭素は、官能化グラフェンが、強度強化材料と硬化剤の両方になるように設計された炭素マトリクス材料であり得る。
図9は、マイクロ波プラズマ反応器の一部である電場増強導波管905の概略図を示しており、簡略化するために、反応器の他の部分は示されていない。FEWG905は、FEWG905に流入する供給ガス908aを受け入れるように構成された供給ガスの入口902、ならびにプロセス材料912a、912b及び任意に912cを受け入れるように構成されたプロセス材料の入口910a、910b及び910cを具備する。高周波エネルギー909は、供給ガス908a及び/またはプロセス材料912a内でプラズマ906を創出する。生成されたプラズマ906は、FEWG905の反応ゾーン901内のプロセス材料908bで生じる反応のためのエネルギーを提供する。いくつかの実施態様では、プロセス材料912aは、炭化水素物質、例えば、ガス、液体、またはコロイド懸濁液であり、そこから分解プロセスによって炭素材料が製造される。プロセス材料912bは、FEWG905内でインサイチュにて炭素を官能化するための官能基を生成する気体または液体等の物質であり得る。プロセス材料912cは、プロセス材料912bとは異なる物質である官能化またはドーピング材料の場合もあれば、上記の繊維(例えば、炭素粒子がその上で成長する繊維マトリクス)の場合もある。プロセス材料の入口910a、910b及び910cは、図9では、互いに上流及び下流の異なる位置にあることが示されているが、他の実施態様では、すべてが同じ位置であってもよいし、同じ位置と異なる位置の組み合わせであってもよい。プロセス材料の入口910a、910b及び910cの位置は、炭素材料の特性をカスタマイズするため、プラズマ906内及び/または残光領域920等の反応が生じる場所を変更するために使用される場合がある。
本反応器及び方法を使用して炭素を官能化することは、さらなる気体または液体(官能元素、ドーピング材料及び/または硬化剤を含むもの)を炭素材料が製造されるプラズマの付近にもたらすことによって、従来の反応器及び方法に勝る独自の利点を提供する。これにより、炭素材料の成長中または成長の少し後に、官能化材料付近で炭化水素種が分解される。官能基は、プラズマまたはプラズマ残光中、製造された炭素の新たに作られた表面に直接導入されてもよく、すでに製造された炭素粒子を官能化するよりも強い結合が創出される。これは、炭素が創出される際の炭素表面は表面エネルギーが高いからである。官能化は、気体間の相互作用によって、すなわち、例えば、湿式化学の代わりに蒸気の状態で行われる。プラズマ化学気相成長法(PECVD)等の従来の方法は、蒸気の状態を含むが、炭化水素分解プラズマ反応器内での官能化は、炭素分解プロセスに他の種を添加することが困難なため、標準的なPECVDよりも難しい。他の種を導入することは、多数のプロセスパラメータが創出され、それらのすべてが相互作用する。本実施態様では、例えば、反応器の表面で官能基が成長して水素化分解プロセスを終了させることを防ぐために、炭素形成プロセス中の官能化が、小さいプロセスパラメータのウィンドウでのみ可能であることが分かった。
炭素材料のインサイチュでの(炭素材料が成長している反応器の中での)官能化は、分圧、供給ガス及びプロセスガスの流量、高周波エネルギーの電力レベル、及び非平衡プラズマモードの使用とともに、異なるデザインの反応器を使用すること(例えば、様々な反応ゾーンまたは異なる温度及びエネルギーゾーンを使用すること)等の側面の制御を介して達成される。さらに、官能化は、プラズマ自体で、または粒子のフローストリームの後続の部分(例えば、プラズマ後の高温プルーム)で行われ、官能化元素と炭素材料間の化学反応がさらに調整され得る。
いくつかの実施態様では、反応器は、異なるゾーンを含むことができ、炭素粒子の創出及び炭素粒子の官能化を1つ以上のゾーンで行うことができる。例えば、炭素粒子の創出及び官能化は、1つのゾーンで本質的に同時に行われ得る。別の例では、炭素粒子を反応器の1つのゾーンで創出することができ、その後官能化を後続のゾーンで行うことができる。別の例では、(i)マイクロ波プラズマが存在する反応器の第一のゾーンで炭素粒子を生成することができ、(ii)複数の繊維をプラズマ内の第一のゾーン及び/または反応器の熱高温プルームを含む第二のゾーンに導入することができ、そこで、繊維がエッチングされ、3D炭素が繊維上で成長し、及び/または繊維が相互接続点で接着し、(iii)炭素の官能化を第三のゾーンで行うことができる。
いくつかの実施態様では、3D炭素材料は、官能化されるか否かにかかわらず、それらの構造の自然なランダム性によって有益に異方性をもたらし得る(例えば、X、Y、Z次元のうちの1つ以上における方向性)。いくつかの実施態様では、3D炭素材料は、官能化されるか否かにかかわらず、特性の多方向性が向上される可能性があり、例えば、炭素のサブ粒子の3D相互接続を介して導電性が増加する可能性がある。
炭素の官能化によって促進される炭素・樹脂結合のために、本複合材料の強化炭素充填剤は、従来の複合体と比較してより分散されており(例えば、低凝集またはより低凝集分散である)、炭素充填材の高負荷(例えば、40%超または50%超)が樹脂システム内で達成され得る。いくつかの実施態様では、複合材料中の炭素充填剤の粒径は、小サイズ、例えば、200~400nmを有し、分散に役立つ。炭素を負荷した樹脂は、プリプレグ用途、成形用途、及び押し出しプロセスが挙げられるがこれらに限定されない様々な用途での使用に適した加工性(硬化前のポリマー・炭素混合物のレオロジー)を有する。本炭素・樹脂混合物中の炭素充填剤粒子は、場合によっては充填剤が樹脂に化学的に結合もされ得る十分に分散された完全に湿潤された充填材に起因して、コロイド溶液と同様に懸濁される。
いくつかの実施態様では、炭素・金属マトリクス材料は、例えば、プラズマ反応器を使用した化学結合を介した炭素への金属含浸によって、炭素を金属でドープすることまたはこれらを混合することによって製造される。いくつかの実施態様では、炭素・金属マトリクス材料粒子は、樹脂と混合することによってサイズが縮小され、樹脂複合体内のサイズが縮小された炭素/金属粒子が、金属支持構造に結合することができるような炭素/金属界面がもたらされ得る。炭素の金属ドーピングを利用して、炭素粒子が金属系バインダー(例えば、炭素注入金属、または炭素・金属コベティック材料)と相溶するように金属で官能化されている有機金属を創出することができる。「有機金属(organo-metallic)」及び「有機金属(organometallic)」という用語は、本明細書では同義で使用される。
炭素添加剤、樹脂、及び繊維(含まれている場合)間の結合により、従来の材料と比較して複合体特性が改善される。例えば、繊維材料上で成長した官能化炭素構造は、複合材料に適用されたエネルギーが繊維強化複合体システムのすべてのサブコンポーネント全体に分散されるように、エネルギー伝達の変更をもたらす。別の例では、本炭素材料の官能化及び/またはサブ粒子間の炭素間接続の創出によって可能になる応力終端(例えば、ダングリングボンドの終端)によって、亀裂伝播が軽減される。例えば、官能種の濃度を調整すること及び/または炭素とポリマー間の結合のタイプを調整することによって、塑性対弾性挙動が管理され得る強化された樹脂もまた配合され得る。いくつかの実施態様では、強化剤が多いほど通常は粘度が高くなる従来の複合体とは対照的に、炭素が成長するにつれて炭素に一体化される官能基に起因する粘度を増加させることなく高強度が達成され得る。
このセクションで説明されている炭素材料の官能化に加えて、炭素材料の他の処理を使用して、炭素の樹脂への組み込みが向上され得る。方法の例としては、炭素表面のエッチング、粗面処理、及び/または汚染物質を除去するための炭素表面の処理が挙げられる。いくつかの実施態様では、環境にさらされていない炭素の清浄表面は、例えば、炭素材料を周囲条件に暴露しない(例えば、炭素の形成後に表面が樹脂にのみ暴露される)ように、炭素を樹脂複合体システムに直接注入することにより、それ自体が官能化表面として機能し得る。炭素材料の修飾または処理の他の例としては、例えば、構造またはモルホロジーの修飾、表面促進(例えば、表面化学による)、及び環境的制約の使用(例えば、炭素材料が製造される特定の環境条件、例えば、反応器内での異なるタイプの不活性雰囲気の創出を介して、樹脂に対する炭素材料の結合性を促進すること)が挙げられる。
インサイチュでの樹脂の埋め込み
いくつかの実施態様では、炭素粒子は、反応器内で製造され、容器内で樹脂と混合される(combined)(例えば、混合される(mixed))。他の実施態様では、炭素と樹脂は、炭素粒子を成長させる(及び任意に官能化する)ために使用される反応器内で、炭素粒子(官能化または非官能化)を直接樹脂に埋め込むことによって混合され、外部資源からの接触が不要になる。従って、樹脂と炭素は、人との接触を必要とせずに反応器内で混合され得る。例えば、樹脂は、反応器に流体圧入または液体噴射される場合があり、炭素粒子とポリマーの間に気相間相互作用が創出される。いくつかの実施態様では、複合体は、複合材料を生成するためのバインダー(例えば、樹脂またはポリマー)に注入可能なグラフェンナノ粒子(例えば、3Dグラフェン)または炭素ナノオニオンを生成することを含む。いくつかの実施態様は、複合材料から部品を射出成形または鍛造することを含む。
図9に戻ると、いくつかの実施態様では、プロセス材料912cは、入口910cに導入される樹脂であり得る。炭素材料がその中に埋め込まれ得る樹脂のタイプとしては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ポリエステル、ビニルエステル、ポリスルホン、エポキシ、例えば、ノボラック等、硬質アミン、及びポリイミドが挙げられる。プロセス材料912bは、炭素材料を樹脂とより相溶する(例えば、結合または湿潤を向上または促進する)ように官能化するために使用される気体でも液体でもよい。
炭素粒子をインサイチュで樹脂に直接埋め込むことにより、炭素粒子を周囲環境(例えば、空気及び水分)に暴露することが回避されるため、炭素粒子と樹脂の間により強い結合が創出される等の利点がもたらされ得る。これは、炭素粒子の表面が、粒子が形成された直後には、反応器から回収された後に周囲環境(例えば、酸素)にさらされた後と比較して、反応性が高いためである。結果として、炭素粒子が創出される反応器内で、炭素粒子が反応器を出る前に、炭素粒子をポリマー粒子と混合することにより、炭素と樹脂の間の結合が高まり得るとともに、複合材料の特性が改善され得る。樹脂を炭化水素分解プラズマ反応器内でインサイチュにて炭素材料と一体化することは、インサイチュ官能化に関して上記の通り、分解プロセスにさらなる種を導入することが、良好に使用され得るプロセスパラメータの決定の複雑性を大きく増加させるため、従来の慣例に対して反直感的である。例えば、反応器の壁に樹脂を蓄積させず、炭素の所望の成長特性に影響も与えずに樹脂を反応器に導入することは、非常に複雑であり、従来の慣例から容易ではない。
さらなるエネルギー/混合
図10A~10Bは、炭素粒子を樹脂と混合して複合材料を製造する際に炭素粒子のサイズが縮小され得る実施態様の簡略図を示す。すなわち、炭素粒子は、樹脂に組み込まれる過程で、開始時の粒径から最終の粒径までサイズが縮小される。図10Aでは、炭素粒子は、例えば、本明細書に記載のマイクロ波プラズマ反応器であり得る反応器1010において製造される。製造された炭素粒子1020は、反応器1010内で修飾(例えば、官能化)される場合もあれば修飾されない場合もあり、ナノメートル~ミクロンサイズ、例えば、100μほどであることができ、出発粒子として使用され、樹脂1030と混合される充填剤として機能する。いくつかの実施態様では、出発粒子は、未架橋または未硬化の樹脂浴(例えば、ある量の樹脂を含む容器)に注入され得る。他の実施態様では、混合は、反応器の炭素流に、例えば、プラズマゾーン内及び/またはプラズマ残光内で樹脂をフローインジェクションすることによって達成され得る。エネルギー1040が炭素/樹脂混合物に入力される。この場合、エネルギー1040は、せん断力等の機械力を樹脂内の粒子に加える機械的混合1045であり得る。エネルギー付加システムはまた、機械的混合1045に加えて、またはその代わりに、プロセスを支援するための熱または高周波エネルギー入力を含み得る。例えば、大粒子を樹脂に注入することができ、熱及び/またはマイクロ波エネルギーとともに機械的エネルギーが加えられる。さらなるエネルギー1040(例えば、機械的、熱的、及び/または高周波)は、炭素出発粒子の崩壊プロセスを支援すること及び炭素をポリマー(樹脂)に化学的に結合させる支援をすることを含むがこれらに限定されない様々な目的を果たすことができる。補助エネルギー1040は、例えば、機械的混合1045、熱的加熱、及び/またはマイクロ波加熱の形で供給され得る。
図10Bは、補助エネルギー1040が粒径に与える影響を示す図解を示しており、エネルギーは、例えば、機械的(例えば、機械的混合1045)でも熱的でもよい。出発材料の粒子は、サイズが、例えば、100μまでの凝集体1050であり得る。エネルギー1040は、粒子にせん断力を加えること、粒子を均質化すること、または粒子を混合することのうちの1つ以上を介して粒子に与えることができる。機械的または熱的エネルギーは、粒子をより小さいサイズの1052、1054、及び1056に崩壊させ、結果として、樹脂(例えば、ポリマー)が結合するための新たな表面を創出する。より小さいサイズの1052、1054及び1056は、炭素粒子を、様々なサイズのサブ粒子群、例えば、GNPのサブ粒子群に崩すことを含み得る。以前に論じたように、周囲環境にさらされたことがない新たに露出した表面は、ポリマー分子との結合を増加させ得る。
いくつかの実施態様では、炭素(または配合された/官能化された炭素)粒子を崩壊させるために機械的せん断が使用され、これにより、樹脂全体への炭素の分散が促進される。分散は、機械的混合、化学的方法(例えば、有機溶媒もしくは界面活性剤を添加して結合した炭素・有機ポリマーを促進すること)、またはこれらの組み合わせにより達成され得る。複合材料全体の材料特性の均一性を改善し、特性自体を改善するために、分散の増加が望ましい可能性がある。改善される特性の例としては、機械的強度、靭性、曲げ弾性率、導電性及び密度(例えば、より軽量)が挙げられるが、これらに限定されない。開始炭素粒子のより大きな表面が少ない場合と比較して、混合後に炭素粒子の小さいせん断面の数が増えると(いくつかの実施態様では、3D炭素構造として残り得る)、樹脂/表面の固定量が増加する。このより大量の表面結合は、例えば、導電性及び/または機械的特性の改善につながり得る。一般に、樹脂/炭素混合物へのエネルギーの投入から得られるより小さい粒子は、より大きいサイズの出発炭素粒子と比較して、表面積、構造、及び表面活性を変化させる。表面積とは、樹脂と相互作用するために利用できるものを含めた、炭素材料表面の総面積を指す。
粒子のサイズ及び形状は表面積に影響することがある。構造とは、粒子の形状を指す。構造は、互いに融合する粒子(またはサブ粒子)の数及び凝集粒子内の粒子の配置に影響され得る。表面活性は、炭素充填材と樹脂/ポリマー間の表面相互作用の強さに関連する。表面活性は、樹脂内の炭素材料の分散特性に影響を与え得る。
さらなる実施態様では、粘度を変更するために、外部エネルギーを加えて樹脂を加熱または冷却することができる。例えば、炭素粒子にかかるせん断力を変更するために、混合中に樹脂の粘度を変更することができる。別の例では、樹脂の粘度を変更して、最終的な複合体の弾性率を変化させることができる(例えば、複合材料の粘度を上げると、混合物に炭素粒子を懸濁するのに役立ち得る)。いくつかの実施態様では、ポリマーの固化または硬化を助けるために、冷却または加熱が使用され得る。
設計された欠陥
いくつかの実施態様では、本開示の炭素材料は、炭素粒子内に設計された欠陥を有することで、炭素の、及びその結果として、欠陥設計炭素粒子から作製される複合材料の特性のさらなる調整可能性(例えば、カスタマイズ)を可能にする。実施態様は、構造化炭素材料に設計された欠陥、すなわち、樹脂に組み込むために特異的な欠陥を設計された炭素材料、例えば、3D炭素材料及び/または官能化炭素材料を含む。いくつかの実施態様では、炭素粒子は、マイクロ波反応器で製造され、そこで欠陥が、炭素粒子のサブ粒子間または粒子(凝集体とも呼ばれる)間の意図された欠陥位置に設計され、粒子または凝集体が、開始粒径から、欠陥位置によって決まるより小さい最終的な粒径まで破壊される(例えば、断片化される)。いくつかの実施態様では、システム内のエネルギー散逸は、特定の平面内またはそれに沿ったエネルギーの移動を可能にするポアマトリクス形状及び/または弱体化された結合を備えた3D構造を設計すること等によって、力を緩和または集中させるように管理される。これにより、充填剤が炭素系材料である充填剤・充填剤間及び充填剤・ポリマー間の様々な相互作用が可能になる。
図11Aは、炭素材料の例として3Dグラフェンを使用した、いくつかの実施態様による設計された欠陥の概略図を示す。3Dグラフェン粒子1100は、複数の数層グラフェンのサブ粒子1110(様々な実施態様では、これがMLG及び/またはSLGのサブ粒子でもあり得る)で構成され、各サブ粒子1110は、詳細な断面図1120に示されるように、最大でグラフェン層1112までで構成されている。FLGのサブ粒子1110は、3Dグラフェン粒子1100の構成要素であり、本実施態様では様々なエッジ1115で相互接続されているが、接続は、エッジ・底面間及び底面・底面間の位置を含んでもよい。相互接続されたサブ粒子1110は、図3に関連して前述したように、サブ粒子1110間にオープンスペース(例えば、ポア)を有する3D集合構造を形成する。サブ粒子1110及び相互接続は、本明細書に記載のプラズマ反応器内で形成される。単層グラフェン(例えば、層1112)の固有の機械的特性(例えば、弾性率、引張強度)は、粒子1100の創出の過程で損なわれないか、または維持され、すなわち、底面の欠陥が最小限に抑えられる。
設計された欠陥の一例は、粒子1100内で選択的に弱体化された部位を創出することである。プラズマ後のプロセス、例えば、反応器の高温プラズマ残光では、FLGのサブ粒子1110間の相互接続接触点は、スパッタリング原子1140の焦点を合わせた集中的な衝突によって選択的に弱体化され得る。接続点は、鋭い凹凸を有する高角度の接触点または移行であり、これがスパッタリングエネルギーを集中させると同時に、純粋なグラフェンの平坦で低角度の底平面1118へのイオンの衝突を最小限に抑える。スパッタリング原子1140は、この実施態様ではアルゴンとして示されているが、窒素、酸素、アンモニア(NH4)、または他の活性種及び反応種等であるがこれらに限定されない他の要素でもよい。いくつかの実施態様では、選択的バイアス場を3D凝集体構造1100に適用し、バイアス場がFLGのサブ粒子1110のエッジに集中し、それに応じてさらにこれらの選択的部位でスパッタリング原子を焦点に集めるようにすることができる。欠陥の位置は、例えば、スパッタリング原子の注入モード、ガス粒子圧力、及びプラズマ温度に基づいて抜粋して選択され得る。部位の弱体化は、接続点での炭素間結合の数を減らすことによって引き起こされる。より多くの弱体化部位により、例えば、せん断力または混合力が加えられた際に、粒子1100がより小さい粒径に断片化される。
いくつかの実施態様では、炭素を、最初から弱く結合するように成長させる場合もあれば、炭素を成長させてから、欠陥を追加する場合もある。いくつかの実施態様では、欠陥は、多段反応ゾーンを備えたプラズマ反応器を使用して炭素粒子に設計され得る。マイクロ波エネルギー等の高周波エネルギーは、エネルギーが適用される場所を効果的に標的化することができるため、本実施態様での欠陥の創出における選択性を可能にする。対照的に、熱エネルギーは、炭素材料(例えば、グラフェン)の固有の構造を損なう可能性があるバルク特性に作用する。マイクロ波エネルギー等の高周波エネルギーの使用は、プレートレットの特性または性質を有益に保存し、サブ粒子間の相互接続を主に標的化することができ、接続は、エッジ・エッジ間、エッジ・底面間または底面・底面間のタイプにかかわらない。
図11Bは、複合材料に使用するための炭素粒子のサイズのカスタマイズにおける設計された欠陥の利点を示す。図11Bでは、粒子1100は、サブ粒子のエッジに、例えば、欠陥1150a、1150b及び1150cに設計された複数の欠陥を有する。高エネルギーせん断プロセス、または例えば、炭素を樹脂と混合する過程で適用されるエネルギーからのエネルギーを流体に組み込む任意のせん断プロセスにより、粒子1100は、欠陥の位置でより小さい断片化粒子1101及び1102に崩壊する。断片化された粒子1101及び1102は、粒子1100の平均開始粒径よりも小さい平均最終粒径(寸法または体積で測定され得る)を有する。より小さい粒子1101及び1102は、欠陥1150a、1150b及び1150cのせん断された位置に新たに劈開された親和性(湿潤性)表面が創出されるため、容易に分散可能な断片である。従って、未架橋/未硬化樹脂内で粒子の混合中に高エネルギーせん断力を適用することにより、新たに劈開された表面は、汚染されることなく瞬間的に樹脂と接触する。同時に、高エネルギーせん断プロセス中に樹脂内で3D粒子を破壊することにより、FLGのサブ粒子1110の固有の機械的完全性が維持される。
構造化炭素材料が特定のサイズに崩壊するように設計する能力は、これらの材料を含む複合材料の改善を促進する構造化炭素の独自の重要な能力である。材料は、周囲環境に一定期間置かれた場合でも、周囲条件への暴露を最小限に抑えるように設計されている。より大型の設計された材料は、処理の特定の瞬間(例えば、炭素を樹脂と混合する際に、せん断または混合中にさらなるエネルギーが見られる時点)のみの暴露用に、内部材料をカプセル化しておく。設計された材料は、特異的に調整された破面を有し、これが次に後処理での特異的挙動を可能にし、最終用途の特性を炭素・樹脂複合体に慣れさせる。
いくつかの処理レシピでは、構造化炭素は、少なくとも1つの調整された破面を有する。調整された破面を有するかかる構造化炭素は、少なくとも部分的に、用途固有の最終部品仕様に基づいて制御される量及び配合のさらなる材料と混合される。さらに、構造化炭素の特定の破面は、反応器内での処理中に制御され得る。厳密に一例として、反応器内処理技術を使用することにより、製造される構造化炭素は、特定の最終製品特性のために設計される破面を有するように調整され得る。例えば、1つの配合では、マイクロ波反応器で製造される構造化炭素は、後処理ステップで使用前に意図的に圧縮されず、その結果、唯一必要な後処理は、配合された複合体がもたらされる樹脂との混合ステップである。
いくつかの設計された配合では、本炭素材料内の破面は、結合された/結合されていない炭素原子の存在または不在によって定義される。破面は、ギャップまたは穴を導入することによって、またはダングリングボンドを導入することによって、弱く結合した領域(複数可)を格子に導入することによって設計され得る。これらの弱く結合した領域(複数可)は、炭素システムに非炭素化学物質を導入して異なる結合を形成することによって意図的に引き起こされ得る。例えば、構造化炭素の形成中に一定量の酸素を反応器に導入することにより、より弱いC-O結合(例えば、C-C結合よりも弱い)を格子内に形成することができる。各タイプの結合に関連するエネルギーは異なるため、格子の平面構造は、特定の位置または平面または領域で意図的に破損するように設計され得る。
1つの実施態様では、欠陥(例えば、低エネルギー結合)は、最終材料の臨界長または形状が特定の強度対長さまたは強度対体積比を有するように、意図的に設計される。これらの長さは、得られる炭素・樹脂複合体の特定の最終用途の使用のために調整され得る。
意図的に設計された欠陥は、炭素構造の成長を調整することから生じる。かかる調整は、ほんの数例を挙げれば、ガス流量、滞留時間、流速、マッハ数、炭化水素濃度等のような反応器のプロセス条件を制御することによって達成され得る。格子の成長を調整するように制御され得る他のプロセス条件としては、プラズマ特異的条件、例えば、プラズマ濃度、熱プロファイル勾配、プラズマエネルギー内の方向のずれ、イオン化エネルギーポテンシャル、衝突周波数、マイクロ波変調波、及びマイクロ波周波数が挙げられる。
これらの制御により、特定のタイプの局所的な構造成長が可能になり、及び/または粒子配向における炭素の成長が最小限に抑えられる。反応器内で成長を調整する一例として、(1)炭化水素原子がプラズマゾーンに入ると、特定の計算された方法でC-H、C-C結合が壊れ始め、(2)分子が多くのCとHの結合に分解されると、それらは非常に反応性が高くなり、その後、(3)反応器内のマイクロ波エネルギーの変調によって、材料がより高い(またはより低い)エネルギー状態に暴露される。より高い(またはより低い)エネルギー状態は、好ましい成長経路に対応する。成長の調整に応じて、いくつかの比較的強い(または比較的弱い)平面を備えた格子が形成される。後処理において、得られる構造化炭素は、より弱い平面に沿って崩壊する。構造化炭素の設計された弱い面に沿った崩壊は、上記のようにポリマーとの分子結合を促進し、高性能の炭素含有エラストマーをもたらす。
方法
図12は、いくつかの実施態様による、複合材料を製造する方法を表すフローチャート1200を示す。方法は、ステップ1210にて、プラズマ反応器内で複数の炭素粒子を製造することを含む。いくつかの実施態様では、複数の炭素粒子は、3Dグラフェンを含み、3Dグラフェンは、ポアマトリクス及びグラフェンナノプレートレットのサブ粒子を単層グラフェン(SLG)、数層グラフェン(FLG)、または多層グラフェン(MLG)の内の少なくとも1つの形態で含む。図12の方法はまた、ステップ1220において、プラズマ反応器内でインサイチュにて複数の炭素粒子を官能化し、バインダーへの接着を促進すること、及びステップ1230で複数の炭素粒子をバインダーと混合し、複合材料を形成することを含む。
いくつかの実施態様では、複数の炭素粒子は、99%を超える相純度のグラフェンナノプレートレットを有する。GNPのサブ粒子等の炭素粒子は、X-Y平面及びZ方向に3D構造を有する可能性があり、ここでは、グラフェンナノプレートレットのサブ粒子は互いに接続され、ポアマトリクスを形成している。3D炭素粒子は、サブ粒子、例えば、GNPのサブ粒子を有する可能性があり、これらは、エッジ・エッジ間、エッジ・底面間及び底面・底面間の位置を含む複数の位置において炭素間結合により互いに接続される。ポアマトリクスは、サブ粒子間またはサブ粒子内(例えば、グラフェンナノプレートレットの層間)にボイドまたはスペースを含む。例えば、ポアマトリクスは、グラフェンナノプレートレットのサブ粒子間にポアを含む場合もあれば、FLGまたはMLGの層間にポアを含む場合もある。
いくつかの実施態様では、炭素・樹脂複合体に組み込むための繊維がステップ1240でプラズマ反応器に導入され得る。いくつかの実施態様では、繊維は、例えば、エッチングによって修飾され、その上で炭素繊維が成長する構造としての役割を果たす。例えば、ステップ1240は、複数の繊維をプラズマ反応器(例えば、マイクロ波プラズマ反応器)に導入すること、マイクロ波プラズマ反応器のプラズマまたは高温プルーム内で複数の繊維を修飾すること、及び修飾された複数の繊維上で複数の炭素粒子を成長させることを含み得る。いくつかの実施態様では、繊維は、炭素粒子が製造される反応器とは異なる反応器で(例えば、プラズマ反応器に投入される前に)修飾される場合もある。いくつかの実施態様では、炭素粒子は、3D炭素、例えば、3D GNPであり、繊維上で成長する。
ステップ1210での炭素粒子の製造は、図1A~1Bに記載のプラズマ反応器を使用して行われ得るとともに、他の反応器、例えば、炭素粒子の成長のためのエネルギーを供給する熱反応器の使用を含んでもよい。いくつかの実施態様では、プラズマ反応器は、高周波プラズマ反応器であってもよく、高周波は、高周波(RF)、超短波(VHF)、極超短波(UHF)、またはマイクロ波周波数である。例えば、プラズマ反応器は、電場増強導波管及びマイクロ波エネルギー源を有するマイクロ波プラズマ反応器でよく、電場増強導波管は、複数の炭素粒子が製造される反応チャンバーの役割を果たす。電場増強ゾーンは、電場増強導波管の第一の断面積と第二の断面積との間に減少する断面積を有し、第二の断面積は第一の断面積よりも小さい。反応ゾーンは、電場増強導波管の反応長に沿って延びる第二の断面積によって形成される。マイクロ波エネルギー源は、電場増強導波管に連結され、電場増強ゾーンの第一の断面積にマイクロ波エネルギーを供給し、そこで、マイクロ波エネルギーは、反応ゾーンの反応長に沿った方向に伝搬する。マイクロ波プラズマ反応器には、電界増強ゾーンと反応ゾーンの間に誘電体バリアがない。方法は、炭化水素材料(例えば、ガス、液体)をプラズマ反応器に投入すること、ならびにプラズマモード、分解温度及び電力レベル等のパラメータを制御することで成長速度、サブ粒子及び粒子のサイズ、及び/または反応器にて成長する炭素のタイプを制御することを含み得る。炭素材料を製造するための反応器の処理温度は、例えば、3000K以上であり得るとともに、局部温度は、10,000K以上であり得る。
方法はまた、ステップ1210における炭素粒子の製造中に、炭素粒子内の意図された欠陥位置に欠陥を設計することを含み得る。欠陥は、炭素粒子に原子を衝突させ(例えば、スパッタリングによって)、サブ粒子間(例えば、エッジ・エッジ間接続、エッジ・底面間及び/または底面・底面間)の結合(例えば、炭素間結合)を弱めることによって設計される場合があり、ここで、衝突は、スパッタ原子の注入モード、ガス粒子圧力、プラズマパラメータ(例えば、プラズマ濃度)、及びマイクロ波パラメータ(例えば、マイクロ波変調波、及びマイクロ波周波数)等の側面によって制御され得る。
ステップ1220における炭素粒子の官能化は、本開示に記載する方法及び技術のいずれかを含み得る。いくつかの実施態様では、官能化は、プラズマ反応器のプラズマにて、またはプラズマ反応器の高温プルームにて行われる。いくつかの実施態様では、バインダーは樹脂であり、複数の炭素粒子は、複数の炭素粒子と樹脂との間の化学結合を促進することによって、樹脂と相溶するように官能化される。実施態様は、例えば、炭素に官能基を付加すること、表面ドーピングまたは表面合金化を行うこと、炭素粒子に硬化剤を添加すること、表面の湿潤性を変更することまたは表面処理を行うことを含み得る。
いくつかの実施態様では、ステップ1230における炭素粒子とバインダーの混合は、炭素粒子が製造された後に反応器の外で行ってもよい。いくつかの実施態様では、炭素粒子とバインダーの混合は、炭素粒子の成長中または成長後に反応器内で行ってもよい。いくつかの実施態様では、方法は、プラズマ反応器内で、官能化された複数の炭素粒子を樹脂と混合して複合材料を形成することを含む。いくつかの実施態様では、ステップ1250にてエネルギーを複合材料に加え、さらに複合材料の特性をカスタマイズしてもよい。例えば、方法は、ステップ1230の混合の間に複合材料にエネルギーを加えることを含んでもよく、複数の炭素粒子は、ある平均開始粒径を有し、エネルギーが、複数の炭素粒子を、平均開始粒径より小さい平均最終粒径まで減少させる。エネルギーは、例えば、機械的エネルギー(例えば、混合)、熱エネルギー、または高周波エネルギーであり得る。方法はまた、ステップ1210での炭素粒子の製造中に、炭素粒子内の意図された欠陥位置に欠陥を設計することを含む場合があり、平均最終粒径(ステップ1250で複合材料にエネルギーを加える際の)は、意図された欠陥位置によって決まる。
図13は、いくつかの実施態様による、複合材料を製造する方法を表すフローチャート1300を示す。方法は、ステップ1310にて、プラズマ反応器内で複数の炭素粒子を製造すること、ステップ1320にて、プラズマ反応器内で、複数の炭素粒子を官能化し、樹脂との化学結合を促進すること、及びステップ1330にて、プラズマ反応器内で、官能化された複数の炭素粒子を樹脂と混合して複合材料を形成することを含む。炭素粒子は、外部資源からの接触なしに、または樹脂もしくは炭素粒子の人との接触を必要とせずに反応器内で樹脂と直接混合され得る。
いくつかの実施態様では、ステップ1320における官能化は、プラズマ反応器のプラズマにて、またはプラズマ反応器の高温プルームにて行われる。いくつかの実施態様では、官能化としては、酸化、窒化、表面ドーピング、表面合金化、または硬化剤の添加が挙げられる。官能化は、図12に関連して及び本開示を通して記載される実施態様を含み得る。
いくつかの実施態様では、ステップ1330の反応器内での炭素粒子と樹脂の混合は、プラズマ反応器のプラズマにて、またはプラズマ反応器の高温プルームにて行われる。ステップ1330の混合は、図12に関連して及び本開示を通して記載される実施態様を含み得る。
いくつかの実施態様では、プラズマ反応器は、マイクロ波プラズマ反応器であり、フローチャート1300の方法は、ステップ1340の複数の繊維をマイクロ波プラズマ反応器に導入すること、及び反応器のプラズマまたは高温プルーム内で複数の繊維を修飾することを含み、ステップ1310の製造は、修飾された複数の繊維上で複数の炭素粒子を成長させることを含む。繊維の添加は、図12に関連して及び本開示を通して記載される実施態様を含み得る。
ステップ1310で製造される炭素粒子は、様々な同素体、例えば、グラフェン、GNP、MWSF及びCNTを含んでもよく、これらの同素体のいずれかを含む3D構造化炭素材料であり得る。いくつかの実施態様では、炭素粒子は、3Dグラフェンを含み、3Dグラフェンは、ポアマトリクスを有するとともに、グラフェンナノプレートレットのサブ粒子を単層グラフェン(SLG)、数層グラフェン(FLG)、または多層グラフェン(MLG)の内の少なくとも1つの形態で有する。グラフェンナノプレートレットのサブ粒子は、X-Y平面及びZ方向に成長し、ここで、グラフェンナノプレートレットのサブ粒子が互いに接続される。GNPが製造される実施態様では、複数の炭素粒子は、99%を超える相純度のグラフェンナノプレートレットを有し得る。
いくつかの実施態様では、ステップ1350にてエネルギーを複合材料に加え、さらに複合材料の特性をカスタマイズしてもよい。ステップ1350でのエネルギーの付与は、図12に関連して及び本開示を通して記載される実施態様を含み得る。
ステップ1310での炭素粒子の製造、ステップ1320での官能化及びステップ1330での混合は、図1A~1Bに記載のプラズマ反応器を使用して行われ得るとともに、他の反応器、例えば、炭素粒子の成長のためのエネルギーを供給する熱反応器の使用を含んでもよい。図12に関連して記載されるように、いくつかの実施態様では、プラズマ反応器は、電場増強導波管及びマイクロ波エネルギー源を有するマイクロ波プラズマ反応器でよく、電場増強導波管は、複数の炭素粒子が製造される反応チャンバーの役割を果たす。電場増強ゾーンは、電場増強導波管の第一の断面積と第二の断面積との間に減少する断面積を有し、第二の断面積は第一の断面積よりも小さい。反応ゾーンは、電場増強導波管の反応長に沿って延びる第二の断面積によって形成される。マイクロ波エネルギー源は、電場増強導波管に連結され、電場増強ゾーンの第一の断面積にマイクロ波エネルギーを供給し、そこで、マイクロ波エネルギーは、反応ゾーンの反応長に沿った方向に伝搬する。マイクロ波プラズマ反応器には、電界増強ゾーンと反応ゾーンの間に誘電体バリアがない。
いくつかの実施態様では、方法は、モノマーを配合すること、または複数の炭素粒子を受け入れるようにカスタマイズされた樹脂を選択することを含み得る。例えば、特定のタイプの炭素粒子(例えば、グラフェン、CNO、CNT、及びこれらの1つ以上の3D構造)と結合するように及び/またはある特定の官能基と結合するように設計された特定のモノマーまたは樹脂を配合してもよい。
いくつかの実施態様は、プラズマトーチシステムを使用して、表面(例えば、金属表面)に対する本複合材料の結合を高めることを含む。例えば、金属表面は、プラズマトーチによって創出された炭素注入金属層で修飾され、炭素・ポリマー複合体が結合することができる(例えば、金属を炭素・ポリマー複合体に融合させることによって)高炭素含量の界面を達成し、それにより、構造強度を高めることができる。炭素注入金属層は、互いに結合された金属粒子及び炭素粒子を含み、これらを、粒子の原子の少なくとも一部をプラズマトーチのマイクロ波プラズマでイオン化し、高電流で金属粒子及び炭素粒子を金属表面に向けて加速することによって創出される。創出された炭素・金属粒子はその後金属表面に堆積して融合し、炭素・金属粒子が堆積及び融合し続ける組成的に注入されたバルクが創出される。この炭素負荷金属表面は、金属基材への炭素・樹脂複合体の結合を、金属単独の表面への炭素・樹脂複合体の結合と比較して改善する。
図14は、炭素・ポリマー複合材料を使用して有機金属材料が創出され得る実施態様を示す。金属は、炭素を創出する過程で炭素構造の上またはその中に一体化されてもよく、この場合、界面の炭素が金属格子に組み込まれる。すなわち、炭素構造は、金属格子構造、例えば、面心立方または体心立方結晶構造等の金属結晶構造の格子間スペース内にあり得る。金属及びポリマーは、かかる有機金属構造を使用して融合する可能性があり、様々なパーセンテージの炭素材料及び金属を使用して、金属とポリマーとの間に結合を創出することができる。構造1420は、かかる有機金属材料の使用を示しており、ここでは、炭素繊維層1422が要素1424と交差している(例えば、最終製品の製造中に交差するように層を構築する)。要素1424は、金属であってもよく、及び/または結晶構造内に炭素を有する有機金属材料で構成されてもよい。有機金属炭素・樹脂層1426は、複合材料を形成するために樹脂に一体化される炭素・金属を有するとともに、層1426は、炭素繊維層1422間に挟まれ、炭素繊維層1422と要素1424の間に結合をもたらす。この構造により、炭素・樹脂層1426は、要素1424と炭素繊維1422との間の媒介を、すなわち、金属から炭素・金属、ポリマーへの移行を創出し、構造1420の材料間の接着を促進することによって提供する。
上に示したように、特定の調整されたサイズ及び/または特定の調整されたポアサイズ及び/または特定の調整されたモルホロジー、及び/または特定の相純度に実質的に適合する構造化炭素は、それらの構造化炭素を含む複合材料の改善を促進及び/またはそれに影響を与える。厳密に一例として、複合材料中の高相純度の炭素により、低相純度の炭素で構成される複合体よりも実質的に優れた複合材料性能がもたらされる。
図15は、構造化された不純物のない炭素を使用した結果を示す。具体的には、この図は、極めて高値の強化測定基準の領域を示しており、この高値は、設計された高純度レベルに対応する。そのため、高純度構造化炭素1504を使用して製造された部品は、低純度炭素(例えば、Nグレードの炭素1502を使用)で製造された部品と比較して、性能が大幅に向上する。
不純物がないという側面は定量化され得る。具体的には、本明細書に開示されるような技術は、炭素純度が99%以上である程度まで、不純物のない炭素を製造することができる。場合によっては、残りの1%が様々な不純物を含む可能性はあるが、少なくとも99%のレベルの純度まで、定量的に不純物が含まれない。不純物の総量を測定するための1つの可能な試験は、サンプルを完全に酸化し、あふれる流れ(affluent stream)を評価することである。これは、ASTM E2550及びASTM D1619でさらに説明されている。
図15の左下部分は、より低いグレードの炭素(例えば、従来のNグレードのカーボン)が、所望のレベルの強化を提供しないことを示している。これは、従来のNグレードの炭素は、ポリマーとの分子相互作用を支持するための表面積が少ないためである。当技術分野で知られているように、ポリマーと炭素との間の相互作用が高いほど(例えば、部位相互作用を介して、利用可能な表面積を介して、または活性表面積を介して)、得られるポリマー部品はより強くなる。
部位相互作用の表面積を増加させるための1つのアプローチは、粉砕または他の機械加工によって従来の炭素の表面積を単に増加させることである。実際には、しかしながら、粉砕または他の機械加工を使用する場合、不純物のレベルが上がり、ひいては硬化エラストマーが損なわれる。厳密に一例として、硫黄が導入された場合(例えば、不要な不純物として)、硫黄の存在により硬化が阻害される。不完全なまたは部分的な硬化は、架橋密度の低下を伴い、これにより、強化システムが低下する可能性があり、これは、観察することができる(例えば、エラストマーのデュロメータ測定値の低下によって、結合ゴムの減少によって、破断点伸びの変更によって等)。単に表面積を増やすことが、必ずしも相互作用部位の量の増加につながるわけではない。これは、図16Aに関して示され、議論されている。
相互作用部位の表面積と体積の関係
図16Aは、炭素(任意のモルホロジー)の比活性領域(SAA)を所与の比表面積(SSA)に関連付けるプロット1600の境界領域を示す。本明細書で使用される、所与の材料のサンプルの比表面積は、同じ材料の同じサンプルの質量単位あたりのサンプルの総表面積として定義される。従って、単位は、面積/質量である。本明細書で使用される、炭素構造の比表面積は、構造の形状に関係する。本明細書で使用される、炭素の比活性領域(SAA)は、相互作用(例えば、ポリマーとの相互作用等)に利用可能な対応するSSAのパーセンテージである。この図は、示されたグラフェンの表面積限界1610の上及び示されたグラファイトの表面積限界1620の右にある所望の領域1630を示す。
横座標(X軸)は、グラファイト粒子の表面積の理論的限界に対応する大きな値までのSSAの範囲を表し、縦座標は、0%~100%のSAAの範囲を表す。
直感的には、所定の質量の材料のサンプルの比活性領域は、サンプル中の電気化学的に活性な部位の総数を、質量が所定の材料の単一の原子で完全に構成されている場合に、同じ所定の質量のサンプルに存在する電気化学的に活性な部位の総数で除することにより定義される。従って、比活性領域の値は、単位がなく、0~1の範囲であるか、同等に、0%~100%の範囲である。
このプロットは、様々なサイズのグラフェンシートを示している。示されているように、比表面積は0m2/g~約2600m2/gの範囲に大幅に増加しているにもかかわらず、電気化学的に活性な部位は主にグラフェンシートのエッジにのみ現れるため、さらなる電気化学的に活性な部位は形成されない。プロット1600には、グラファイト粒子も示されている。示されているように、グラファイト粒子のサイズが小さくなると、それらは電気化学的により活性な部位を示す。しかしながら、かかるグラファイト粒子のサイズには経験的な限界があるため、グラファイト粒子が示す表面積には限界がある。この経験的限界は、グラファイトの表面積限界1620として示されている。
一方で、グラフェンは、非常に大きな表面積を示すことができるが、対応する電気化学的に活性な部位の比較的狭い範囲に制限される。他方では、グラファイトは非常に多くの電気化学的に活性な部位を示すことができるが、これは表面積の上限に制限される。さらなる特性を表1及び表2に示す。
Figure 2023512804000002

Figure 2023512804000003

必要なのは、グラファイトよりも大きい表面積を示しかつ2Dグラファイトよりも多くの活性部位を示す3D炭素のモルホロジーである。必要なのは、得られる炭素のモルホロジーが制御され得るように、かつ得られる3D炭素が所望の領域1630に比表面積及び比活性領域の両方を有するように、反応器内で炭素構造を合成する技術である。
図16B1は、所望のモルホロジーに対応するように調整された3D炭素を合成するシステム1650を示す。示されるように、マイクロ波化学処理反応器は、制御システム1640と連動するように構成される。より具体的には、供給ガスの入口302及び加工材料の入口310での圧力は、流量制御1641によって制御され、マイクロ波エネルギー源304は、マイクロ波パルス制御1642によって制御され、FEWG305内及びその周辺の温度は、温度制御1644によって制御され、1つ以上の出口303での背圧は、背圧制御1645によって制御される。
調整可能な反応器パラメータ1646の前述の例に加えて、多重パラメータ制御1648が提供される。調整可能な反応器パラメータ及び多重パラメータ制御は、反応器内の条件を創出するのに役立つ。所望の炭素が1つ以上の出口303から出る際に、それらはコレクタ1660に集められ、その後、炭素を、複合体を形成するために使用することができる。モルホロジー制御1643がどのように動作するかに関するさらなる詳細は、図16B2、及び図16B3に示されている。
図16B2は、多重パラメータ制御(例えば、多重パラメータ制御1648及び多重パラメータ制御1648)を示している。具体的には、この図は、比表面積制御1647及び比活性領域制御1649を示している。これらの多重パラメータ制御を使用して、示されているマイクロ波化学処理反応器の操作から生じる炭素のモルホロジーを調整することができる。より具体的には、調整された比表面積制御及び調整された比活性領域を示す炭素構造は、反応器で成長及び集合させることができ、その成長及び集合の後、モルホロジーが調整された炭素は、液中収集設備1661に集められる。液体内で混合されるモルホロジーが調整された炭素は、さらなるエネルギー入力(例えば、マイクロ波周波数、高周波、または同様のエネルギー入力)を受ける可能性がある。
示されている特定の実施態様では、さらなるエネルギー入力は、マイクロ波エネルギー入力1671として提供される。マイクロ波エネルギー入力1671の特定の周波数及びエネルギー振幅は、マイクロ波周波数及びエネルギー制御1653を使用して制御することができる。マイクロ波周波数は、液体を加熱せずに液体内で混合されるモルホロジーが調整された炭素にエネルギーを適用するように制御され得る。
液体は、特定の化学を支持するために特異的に設計/選択される。この構成では、炭素材料を低損失正接の流体に懸濁することができ、その結果、凝集材料の高度な局部加熱を達成することができ、マトリクス材料の熱分解の目的でマイクロ波エネルギーを収集設備に与え、炭素材料のモルホロジー特性に損傷を与えることなくサイズを縮小させる。
誘電正接特性の選択及び集中を調整して、懸濁された凝集体のサイズを、流体を加熱することなく減少させることができる。これは、懸濁された凝集体が弱いファンデルワールス力または他の弱い力によって結合しており、ひいては、その後の分散のためにより小さい凝集体に容易に崩壊することができるためである。
収集容器内の材料による選択的エネルギー吸収を利用して、あるタイプの材料または流体を別のタイプの材料または流体に押し進め、(1)新たな粒子を作製するかまたは(2)既存の材料に粒子を堆積させることができる。場合によっては、マイクロ波の周波数を変更することにより、第一の層の上に第二の層の堆積を引き起こすこと等ができる。収集容器へのエネルギーの連続的な適用を制御することは、多くの連続的に堆積された材料層の堆積につながる可能性がある。
図16B2の実施態様では、得られる炭素構造の比表面積及び得られる炭素構造の比活性領域は、比表面積制御1647及び比活性領域制御1649を独立して設定することにより、独立して制御され得る。しかしながら、いくつかの実施態様では、炭素のモルホロジーは、比表面積制御1647の設定を、比活性領域制御1649の設定に合わせる多重パラメータ制御の使用によって制御され得る。
図16B3は、1つ以上の制御によって実行されるモルホロジー選択技術1670を示す。示されるモルホロジー制御1643は、前述の調整可能な反応器パラメータ1646(例えば、流量制御1641、マイクロ波パルス制御1642、温度制御1644、背圧制御1645等)のいずれか1つ以上の制御を調整するために使用することができ、反応器内の特定の成長及び集合プロセスを容易にするために、反応器内の条件が調整される。
モルホロジー制御は、流量制御1641、マイクロ波パルス制御1642、温度制御1644、及び背圧制御1645のいずれか/すべてを調整する役割を果たし、特定の所望のモルホロジーの形成を促す反応器内の条件が創出される。厳密に例として、モルホロジー制御1643は、プロセス材料の流れ311b内の特定の成長及び集合プロセスを容易にするように、反応器内条件を調整し得る。
示されるように、モルホロジー制御1643は、最小(例えば、「最小」と示される)から最大(例えば、「最大」と示される)までの範囲全体にわたる任意の点に調整され得る。最小に設定した場合、反応器内条件は、平坦なグラフェンシート1651の形成を促す。最大に設定した場合、反応器内条件は、小さいグラファイト粒子の形成を促す。他の設定により、その範囲全体で異なるモルホロジーが生じる。例えば、反応器内条件は、示された大きいグラファイト粒子1656と、示された小さいグラファイト粒子1658との間のサイズのグラファイト粒子の形成を促すように調整され得る。
特定の構成では、モルホロジー制御1643の設定は、特定の用途のため(例えば、バッテリー用途に使用するため、エラストマーシステムに使用するため、有機金属システムに使用するため等)に調整された特定のポアマトリクス及び/または特定のフラクタル次元を示す3D炭素構造の創出を促す反応器内条件の創出に対応することができる。別の特定の構成では、モルホロジー制御1643の設定は、足場構造及び例えば、樹脂系複合体用途に使用するための調整されたフラクタル次元を示す3D炭素の創出を促す反応器内条件の創出に対応することができる。
しわの寄ったグラフェンプレートレットの創出及び使用
さらに別の特定の構成では、モルホロジー制御1643の設定は、熱可塑性及び熱硬化性プラスチック複合体において特に有益である「しわの寄った」(従来の実質的に直線的または曲線状のグラフェンシートの構成よりも体積単位あたりのさらなる活性表面の露出を容易にする、意図的にもしくは意図せずに組織されたもしくは混乱した折り目、圧縮、または何らかの他のタイプの配向もしくは配置を指し、別名としては、「ねじれた」、「圧縮された」、「波形の」及び/または同様のものも挙げられ得る)グラフェンプレートレット1652の創出を促す反応器内条件の創出に対応することができる。これらのしわの寄ったグラフェンプレートレット1652は、他の示されているモルホロジーとは大きく異なる。しわの寄ったグラフェンプレートレット1652の熱可塑性及び熱硬化性プラスチック複合体の使用により、大幅な性能の改善がもたらされる。
これらのしわの寄ったグラフェンプレートレット1652は、熱可塑性樹脂に有益であることが示される。1つには、これは、ポリマーがしわの寄ったグラフェンプレートレットと混合された際に、熱可塑性樹脂と充填剤との間の熱膨張率(CTE)の不一致に起因する応力の蓄積が低いためである。
規則的な炭素足場の創出及び使用
モルホロジー制御1643のさらに別の設定を参照すると、モルホロジー的秩序が変化する規則的な炭素足場の形成を促す反応器内の条件を創出するために、複数の反応パラメータが協調して制御され得る。
規則的な炭素足場を特徴づける1つの方法は、フラクタル次元測定基準の使用による。また、フラクタル次元測定基準を算出する1つの方法は、「ボックスカウント」法を使用することによる。具体的には、本明細書で使用される、フラクタル次元は、ある特定のサイズ(ボックスサイズ)のボックスで重ね合わされたある特定の領域を観察することによって導き出される。このフラクタル次元は、形状の複雑さと表面の不規則性の指標である。フラクタル次元が大きいほど、より複雑な不規則性を示す。フラクタル次元は次の式で定義される。式中、Nδ(F)は、パターンFを覆うために必要なサイズδの正方形のボックスの数である。
Figure 2023512804000004
この式をSEM画像に適用するには、ボイドと炭素で構成される足場の断面SEM画像を、サイズδの一定の間隔でグリッド領域(例えば、ボックス)に分割し、ボイドを含むボックスの数をカウントする。次に、δの値を変化させ(例えば、半分にし)、SEM画像を再びエッジ上でδであるグリッド領域に分割する。縦軸にカウントしたボイドを有するボックスの数をプロットし、横軸に様々なサイズのδをプロットして、両対数グラフを創出する。これまでに述べたフラクタル次元は、両対数グラフの曲線の傾きから求められる。
図16B4は、プレートレットの折り目(例えば、折り目1、折り目2、折り目3、折り目4、折り目5)で融合された様々な長さ(例えば、La1、La2等)の扁平結晶子で構成されるしわの寄ったプレートレットのモルホロジーの概略図を示す。Laは、ラマンスペクトルから推定された平均結晶子サイズである。示されているプレートレットは、エッジ1及びエッジ2にエッジを有する。
図16C1は、参照と比較したいくつかのしわのモルホロジーに関するラマンスペクトルにおける平均結晶子サイズLaと、DバンドとGバンドのD:G強度比の関係を示す。図16C2は、参照と比較したいくつかのしわのモルホロジーに関するラマンスペクトルにおける平均結晶子サイズLaと、2DバンドとGバンドの2D:G強度比の関係を示す。図16C1及び図16C2のプロットにおけるデータ点の詳細を表3に示す。
Figure 2023512804000005

Gピークは、sp2ドメインの一次散乱に相当する(例えば、炭素原子の面内振動による)。対照的に、Dピークは、関連する面外振動を伴うsp3炭素を含む無秩序な領域によるものである。ラマンスペクトルにおけるDバンドとGバンドのD/G強度比は、sp2混成炭素で構成される2次元の原子スケールの六方格子ドメインに対するsp3混成炭素を含む無秩序領域の比を反映している。しわの寄ったモルホロジーのグラフェンの場合、無秩序な領域は、グラフェンシート構造の折り目に関連している。従って、かかるしわの寄ったモルホロジーのグラフェンに関するD:G強度比は、グラフェンシートのしわの程度を反映している。
sp2混成炭素から構成される六方格子ドメインのサイズ、または結晶子サイズLaは、D:G強度比から推定され得る。しわの寄ったモルホロジーのグラフェンの場合、それは、折り目が生じる無秩序な領域間の平坦なシートのモルホロジーのドメインのサイズを反映する。sp2ドメインの面内サイズがより大きく、より小さいD:G比は、折り目が少ないしわの寄ったモルホロジーを示す。
図16C1を参照すると、それは、上記の製造条件を調整することによって得られた異なるグラフェンシートの粗度を有する一連のしわの寄ったモルホロジーのグラフェン材料(しわA、しわB、しわC)を表す。それは、D/G比が、結晶子サイズの増加とともに直線的に低下することを示しており、他の材料と比較して、しわAの材料のプレートレット上に形成される折り目が少ないことを示している。
対照的に、参照グラフェンの値は、Laの増加に伴うD/G比の減少と同じ傾向に沿わない。しわAの材料と比較して結晶子サイズLaが大きいかかる参照材料は、しわAの材料より高いD/G比を特徴とし、グラフェンシートにおける無秩序が増加した異なるモルホロジーを示している。
ラマンスペクトルの2Dバンドは、Dピークの倍音と見なされる。2DモードピークのGモードピークに対する強度の比(例えば、2D/G強度比)は、グラフェンの層の数に関連することが知られている。より高い2D/G強度比は、より少ない多層グラフェン材料の層に対応する。
図16C2を参照すると、それは、参照と比較した、いくつかのしわのモルホロジーのラマンスペクトルにおける平均結晶子サイズLaと2DバンドとGバンドの2D:G強度比の間の関係を表している。2D/G比は結晶子サイズの増加とともに直線的に増加し、より少ない層が融合してプレートレットを形成するより大きな結晶子の形成を示している。この図は、しわの寄ったモルホロジーが、より少ない層で構成される結晶子サイズLaが最大の折り目が少ないしわAの材料(2D/G比が最大)と、より多くの層で構成される結晶子サイズLaが最小の折り目が多いしわCの材料(2D/G比が最小)との間で製造条件によって調整され得ることを示している。
しわAの材料と比較して結晶子サイズLaが大きい参照グラフェン材料は、しわAの材料より高い2D/G比を特徴とし、結晶子が長く、さらに層が少ないプレートレットのモルホロジーを示している。しかしながら、上記及び図16C1で示す通り、この参照材料は、無秩序度がより大きい(例えば、D/G比がより大きい)グラフェン層で構成される。
モルホロジーが調整された炭素を熱可塑性材料及び/または熱硬化性エポキシと混合するための多くの技術が存在する。モルホロジーが調整された炭素を熱可塑性材料及び/または熱硬化性エポキシと混合するための1つの特定の処理の流れを図17Aに示す。
図17Aは、反応器からの炭素材料の処理及び複合材料の下流処理への供給に関する処理の流れ1700を示す。示されるように、モルホロジーが調整された炭素1701がこの流れに投入される(ステップ1702)。化学キャッピング1710または被覆1708のいずれかに供される前に、炭素は、指定の粒径及び/または指定の活性領域を達成するように処理される(ステップ1706)。指定の粒径及び指定の活性領域を達成するための処理は、少なくとも部分的に、後処理仕様1705に基づいており、これは、表面積仕様、活性領域使用、及び/またはポアサイズ仕様のうちの1つ以上を含み得る。
この流れが実行されて強化された熱可塑性樹脂が得られた場合、処理は、ステップ1712を通して続く。この流れが実行されて強化された熱硬化性ポリマーが得られた場合、処理は、ステップ1714を通して続く。しかしながら、どちらの場合も、処理は、炭素繊維(CFRES)、ガラス繊維(GF)、アクリル繊維(AF)強化複合体、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を創出するための当技術分野で既知の処理(例えば、処理1716)を含む。示されている流れは、様々な用途(例えば、プリプレグ用途、成形用途、押し出しプロセス等が挙げられるがこれらに限定されない)に利用される結果1718(例えば、強化された熱可塑性材料または強化された熱硬化性プラスチック材料)として終了する。
処理の流れ1700を行う間、材料は、せん断力を受ける可能性がある(例えば、粒子処理1706の間及び混合中)。さらに、処理の流れ1700を行う間、材料は、冷却を受ける可能性がある。材料にせん断力を加えることの効果及び冷却の効果が、図17Bに関して示され、説明されている。
図17Bは、ポリマー鎖及び炭素構造が、せん断力の入力及び冷却に供された場合にどのように相互作用するかを示す概略図1750を示す。具体的には、示されているように、炭素構造(例えば、グラフェンプレートレット)が樹脂と混合されると、炭素構造のエッジの極性基は、通常、水素結合または他のタイプの結合を介して樹脂の極性基に結合する。このブレンドに加えられるせん断力(例えば、粉砕時)の下で、炭素材料の凝集体はより小さい凝集体に分解され、個々のフレークのレベルまで崩壊する。例えば、示されているように、樹脂に新たに暴露される高エネルギーのグラフェン表面は、ファンデルワールス相互作用を介してポリマー鎖のセグメントに結合し、ひいてはそれらを表面に固定化する。この処理中に、ポリマー鎖のセグメントは、炭素構造の表面と整列する。平坦なプレートレットのモルホロジーの場合、かかる整列は、広い領域にわたって生じ、長いポリマー鎖のセグメントの固定化につながる。しかしながら、しわの寄ったモルホロジーの場合は、折り目でのプレートレットの面配向の変化により、整列は、プレートレットの折り目間のはるかに短い領域で生じ、表面に結合されるポリマー鎖のセグメントの長さが短くなる。従って、しわの寄ったフレークのモルホロジーにより、固定化されたポリマー鎖のセグメントの長さが短くなる。
炭素構造の表面での鎖のセグメントの固定化は、熱可塑性樹脂の応力の蓄積に大きな影響を与える。一例として、熱可塑性樹脂が、所与の熱可塑性材料の転移温度(非晶性プラスチックのガラス温度を意味するTg、または結晶性プラスチックの結晶化温度を意味するTc)を超える温度でグラフェン材料とブレンドされた後、調製された複合体ブレンドは、型に配され、その後、複合材料を固化するために前述の転移温度未満に冷却される。熱膨張率(CTE)は、材料が転移温度を通過する際の体積変化の尺度である。ポリマーマトリクスは、その転移温度を超えると膨張し、冷却すると収縮する。これにより、鎖のセグメントが再配列され、平衡鎖コンフォメーションに向かう傾向がある。しかしながら、ポリマー鎖のセグメントが炭素構造の表面に固定化されている場合、それらは再配列に寄与することができず、ひいては、非平衡コンフォメーションで引き伸ばされたままになる。熱可塑性マトリクスの残部は、炭素構造の周りで収縮するため、局部圧縮力が創出される。しかしながら、炭素構造は冷却時に収縮しない。熱可塑性材料と炭素構造のCTEにおけるかかる不一致は、グラフェン/ポリマー相間での不要な応力集中につながる。
上記のように、平坦なプレートレットの炭素構造のモルホロジーの場合を具体的に参照すると、長いポリマー鎖のセグメントは、不必要に広い領域にわたって固定化される。従って、それが、転移点未満の冷却時に形成される不要な大きな応力集中領域をもたらす。対照的に、本明細書に開示するしわの寄ったグラフェンプレートレットによれば、(1)固定化されたポリマー鎖のセグメントの長さがより短いことによる、及び(2)しわの寄ったグラフェンプレートレットの表面にわたるポリマー鎖のセグメントの再分配による。このように、しわの寄ったグラフェンプレートレットのモルホロジーは、応力集中領域のサイズを縮小し、それらをより大きな体積に再分配するのに役立つ。これが次に、変形時の応力亀裂伝播を最小限にし、これが今度は得られるポリマー含有複合体の機械的特性の改善につながる。
得られるポリマー含有複合体の機械的特性のかかる改善のいくつかが、図18A及び図18Bに関して示され、議論されている。
熱硬化性樹脂サンプルの機械的特性の改善
図18A及び図18Bは、参照複合体と比較するためのサンプルのDMA分析を示している。このDMA分析は、温度の関数としての架橋されたシステムの粘弾性特性及びガラス転移温度を含む。図18Aは、本開示の炭素を使用した場合の、参照サンプルに対する貯蔵弾性率の改善を示している。具体的には、示されているように、サンプル1は、約3.0ギガパスカル(GPa)の曲げ(貯蔵)弾性率を示し、これは、50℃でのニートエポキシ参照サンプルと比較して、曲げ(貯蔵)弾性率の50%の改善である。サンプル2もまた、50℃でのニートエポキシ参照サンプルと比較して、曲げ(貯蔵)弾性率の約50%の改善を示し、この改善は、少なくとも約100℃までの広温度範囲にわたって様々な程度に示される。しかしながら、サンプル1とサンプル2は両方とも、試験の開始時にはほぼ同様の貯蔵弾性率を有しているが、後にサンプル1は温度傾斜の増加とともに先に変形し始め、サンプル2と比較して低い線形粘弾性範囲を示す。これは、サンプル2の方が、樹脂中での炭素粒子の分散が良好であることにより、充填剤/樹脂表面の相互作用が強いためである。本明細書に開示する3D炭素のかかる改善された分散性質は、より強い樹脂/炭素相間相互作用をもたらす樹脂との相溶性の向上に起因している。
図18Bは、参照サンプルに対して、本開示の炭素を使用した場合のTgと呼ばれるガラス転移温度の変化を示す。サンプル2のTg(2)のより高いTgは、より高い架橋密度及びより少ない遊離体積、ならびにマトリクス中での炭素粒子の均一な分散と関連している。これらの要因により、ポリマー鎖の動きが制限され、コンフォメーションを変化させるのに十分な運動エネルギーをポリマー鎖セグメントに提供するためにより高い温度が必要になる。しかしながら、サンプル1のTg(1)のより低いTgは、可塑化効果の結果である場合もあれば、マトリクス中での炭素の分散が不十分である結果の場合もある。グラフェンの表面で、共有結合、イオン結合、またはファンデルワールス結合した立体安定化リガンドを、長さがわずか数個の炭素原子(n=約5~約9)の形で、約10~約20個の長さの炭素原子を含むオリゴマー種に組み込むことにより、分散安定性の改善、エポキシ樹脂との混和性、及び硬化度の改善がもたらされる。しかしながら、かかる立体安定剤は、樹脂を軟化し、効果的にTg転移を低下させ得る。一方、炭素粒子が緩く結合している炭素凝集体は、加えられた応力下では、樹脂と炭素粒子の間の結合が強い複合体システムよりも容易に変形するため、同じTg低下は、炭素の分散性質不良の結果である可能性がある。
図18Bに示す通り、具体的にサンプル2に当てはまるように、良好な分散性質、最小化された可塑化効果(立体安定剤が使用された場合)、高架橋度及び低遊離体積の組み合わせが、E’(貯蔵弾性率)及びTgの同時の改善に必要とされる。サンプル2は、ニートエポキシ参照サンプルと比較して改善された動作範囲を示す。これは、本明細書に開示する3D炭素が、樹脂/触媒/繊維相互作用の相溶性を増加させ、これが次に当該複合体内で炭素が最適分散した密に架橋された熱硬化性複合体をもたらし、樹脂/炭素/繊維相間相互作用を増加させる(または場合によっては、最大化する)ためである。
図18C1は、本開示の炭素を使用した場合の、参照サンプルに対する圧縮強度及び屈曲強度の両方の改善を示している。具体的には、それは、炭素繊維強化エポキシ複合体の例を表しており、炭素繊維材料は、中間弾性率7(IM7)6,000(6k)、布帛平均重量(F.A.W.)が200g毎平方メートル(gsm)及び樹脂含量(RC)が35重量%のフィラメント数トウ平織(PW)を有する。示されているように、「エポキシしわ」と指定されている複合体は、「エポキシニート」参照サンプルと比較して、圧縮強度及び屈曲強度の両方の改善を示している。これは、本明細書に開示する3D炭素が、樹脂、触媒、及び繊維との相溶性を増加させ、相互作用の改善をもたらすためである。
図18C2は、本開示の炭素を使用した場合の、参照サンプルに対する層間せん断強度(ILSS)及び屈曲強度の両方の改善を示している。具体的には、示されているように、しわ1と指定されている炭素から構成される複合体は、層間せん断強度(ILSS)と屈曲強度の両方で数パーセントの改善を示すが、しわ3として指定されている炭素から構成される複合体は、ILSSSと屈曲強度の両方で5%~12%の改善を示し、しわ5として指定されている炭素から構成される複合体は、ILSSSと屈曲強度でそれぞれ、12%~20%の改善を示す。これは、本明細書に開示する3D炭素が、樹脂/触媒/繊維相互作用の相溶性を増加させ、これがその後、炭素繊維とポリマー間のエネルギー散逸の改善をもたらすためである。この接着性の向上が、同じシステム内での複数の複合体特性(例えば、屈曲、ILSS、圧縮等)を可能にする。改善は、グラフェンのモルホロジー(例えば、しわ特性)に直接相関する可能性があり、これは、前述の調整可能な反応器パラメータの設定に起因する。
熱可塑性樹脂サンプルの機械的特性の改善
図19Aは、特定のフラクタル次元を有する炭素の選択に関しての、熱可塑性樹脂サンプルの機械的特性の改善を示す。具体的には、得られた熱可塑性樹脂の比強度は、ナイロンシステムに添加される炭素のフラクタル次元と高い相関関係がある。示されている第一の改善例では、フラクタル次元約>2,5を有するしわ3のタイプの炭素がナイロンシステムに添加される。示されている第二の改善例では、フラクタル次元約>2,5を有するしわ5のタイプの炭素がナイロンシステムに添加される。第一の改善例は、100Mpa/gの比強度を示しているが、第二の改善例は、108Mpa/gの比強度を示している。参考までに、対照ナイロンシステムは、比強度75Mpa/gを有するとともに、従来技術の材料の添加で強度が約82MPa/gまで増加する。
図19B1は、炭素負荷量の増加につれて屈曲弾性率が改善されることを示す。曲げ弾性率の増加は、良好な分散に直接関係する。すなわち、それ自体が特定の弾性率(及び他の特性)を備えた硬化性材料添加剤が、より低い弾性率のシステムに添加されると、分散性質が良好な場合、システム全体の弾性率が増加する。グラフェン等の充填材の一次弾性率以外の重要な属性は、当該充填材の分散性質である。適切に分散しなければ、より低い弾性率の材料に添加された高弾性率の材料は、大幅な弾性率の増加を示さない。グラフ19B00に見られるように、添加された3つの材料のうち、しわ3の分散性質は、他の材料よりも高い負荷で優れた分散を示していることが分かる。約5%の負荷で、しわ1はプラトーに達する優れた分散を示し、グラフェンとポリマーの間の界面部位が飽和していること、例えば、活性表面領域が添加された材料に予定され、その処理の過程で修飾されないことが示唆される。
図19B2は、炭素負荷量の増加につれて屈曲強度が改善されることを示す。強度の向上は、特に表面の相互作用に関連している。すなわち、グラフェン/グラフェンタイプ及び/またはそれらの組み合わせ(または他の材料)の表面は、ポリマーと良好に相互作用する。発生する可能性のある相互作用は、物理的及び/または化学的誘引であり得るが、これらに限定されない。この図の中で、しわ1は、ナイロンシステム内での優れた表面相互作用と最小限の凝集により、最も高い曲げ強度を示している。しわ2の線形性は、特定のポリマーシステムと相互作用するための利用可能な表面積のスケーリングに直接関係しており、それはまた、最小の凝集を示す。強度の増加の程度は、添加剤の弾性率の関数である。
図19Cは、本開示の炭素を使用したときの、参照サンプルを超える引張強度の改善を示す。具体的には、示されているように、複合材料の引張強度は、しわ5のタイプの炭素を使用すると、参照サンプルよりも約15%改善される。この増加は、材料の分散性質に関連している。分散性質が不良な場合、さらなるボイド及び応力集中部位がシステムに加わり、引張強度を制限する。さらに、しわ5の熱散逸の増加により、ナイロンシステムの冷却速度が変更され、ポリマーを再結晶させ、引張強度の増加を示す。
図20は、特定のモルホロジーの炭素を作製するための及び複合体システムにおいてそれらを使用するためのシステム2000を示す。具体的には、図20のシステムは、選択されたモルホロジーに適合する炭素含有材料の作製に関する態様を示している。
示されている例示的なシステムでは、炭化水素原料2010が反応器2002に供給される。反応器は、結果仕様2004に対応する炭素モルホロジーパラメータ値2006によって全体的または部分的に制御され、それらの結果仕様及びそれぞれのパラメータ値は、全体的または部分的にセレクタ2008によって決定される。セレクタ2008は、ユーザーによる制御が可能、及び/または処理レシピによる制御が可能、及び/または1つ以上の用途固有の最終部品仕様のセットによる制御が可能である。反応器は、構造化炭素2050を製造し、この構造化炭素は、モルホロジー1の炭素2052、またはモルホロジー2の炭素2054、またはモルホロジー3の炭素2056及び/またはそれらの任意の組み合わせの形態であり得る。構造化炭素2050の特定の特性は、前述の調整可能な反応器パラメータ1646によって全体的または部分的に制御され得る(図16B1参照)。
高純度/硫黄不含炭素
前述の炭素構造は、残留硫黄物を有さない。この特性は、ファーネスグレードのカーボンブラックとは異なり、前述の炭素構造が石油由来ではないため、ファーネスグレードのカーボンブラックとは区別される。さらに、前述の炭素構造は、サーマルグレードのカーボンブラックが天然ガス由来であるにもかかわらず、サーマルグレードのカーボンブラックとは区別される。前述の炭素構造は、様々な用途に使用されたとき、サーマルブラックよりも優れた性能を発揮する。具体的には、サーマルブラックの炭素は、エラストマー用途に使用されたとき、不十分な強化及び引張構築特性を示すが、前述の炭素構造は、エラストマー用途に使用されたときに強化及び引張構築特性の改善を示す。
構造化炭素は、様々な形態の材料処理ステップ2012で混合される。厳密に例として、後処理は、構造化炭素を他の材料と混合すること(例えば、用途固有の材料と混合すること)を含むことができ、及び/または後処理は、無数の後処理技術(例えば、用途固有の後処理技術)を使用して構造化炭素を混合することを含む。場合によっては、構造化炭素は、後処理の過程で変更される。例えば、構造化炭素は混合中に切断され得る。特定の調整可能なモルホロジーに適合するように構造化炭素材料を設計する能力は、本明細書で論じられる改善を生み出す上で主要なものである。
示されているシステム2000では、かかる後処理の結果は、最終部品2016(例えば、得られた部品1、得られた部品2、…、得られた部品N)を含み得る。最終部品の一部またはすべてを分析して、得られる特性を決定する。厳密に一例として、最終部品2016の得られる特性は、非常に高強化の表出を含み得る(例えば、示されている高強化領域2070)。
前述のシステムは、多くの処理またはレシピを支持し得る。実施例では、ステップは、(1)反応器内で炭化水素ガスを処理して水素及び構造化炭素を生成すること(例えば、構造化炭素は少なくとも99%が炭素または水素以外の元素を含まない)、及び(2)構造化炭素をさらなる材料の混合物に導入して、複合材料を製造することを含む。いくつかの配合では、さらなる材料の混合物は、ポリマー、充填剤、架橋剤、またはアクセプターのうちのいずれか1つ以上を含む。
いくつかの処理レシピでは、構造化炭素は、少なくとも1つの調整された破面を有する。調整された破面を有するかかる構造化炭素は、少なくとも部分的に、用途固有の最終部品仕様に基づいて制御される量及び配合のさらなる材料と混合される。さらに、構造化炭素の特定の破面は、反応器内での処理中に制御され得る。厳密に一例として、反応器内条件を制御することにより、製造される構造化炭素は、特定の最終製品特性のために設計される破面を有するように調整され得る。例えば、1つの配合では、反応器2002で製造された構造化炭素は、後処理での使用前に意図的に圧縮されない。
いくつかの設計された配合では、分子間の破面は、結合された/結合されていない炭素原子の存在または不在によって定義される。破面は、ギャップまたは穴を導入することによって、またはダングリングボンドを導入することによって、弱く結合した領域(複数可)を格子に導入することによって設計され得る。これらの弱く結合した領域(複数可)は、システムに非炭素化学物質を導入して異なる結合を形成することによって意図的に引き起こされ得る。例えば、構造化炭素の形成中に一定量の酸素を反応器に導入することにより、より弱いC-O結合(例えば、C-C結合よりも弱い)を格子内に形成することができる。各タイプの結合に関連するエネルギーは異なるため、格子の平面構造は、特定の位置または平面または領域で意図的に破損するように設計され得る。
いくつかの配合では、欠陥は除去されるべきであるが、例えば上記のいくつかの配合では、欠陥(例えば、より低エネルギー結合)は、最終材料の臨界長が特定の強度対長さ比を有するように、意図的に設計される。意図的に設計された欠陥は、炭素構造の成長を調整することから生じる。かかる調整は、ほんの数例を挙げれば、ガス流量、滞留時間、流速、マッハ数、炭化水素濃度等のようなプロセス条件を制御することによって達成され得る。格子の成長を調整するように制御され得る他のプロセス条件としては、プラズマ特異的条件、例えば、プラズマ濃度、熱プロファイル勾配、プラズマエネルギー内の方向のずれ、イオン化エネルギーポテンシャル、衝突周波数、マイクロ波変調波、マイクロ波周波数等が挙げられる。
これらの制御により、特定のタイプの局所的な構造成長が可能になり、及び/または粒子配向における炭素の成長が最小限に抑えられる。反応器内で成長を調整する一例として、(1)炭化水素原子がプラズマゾーンに入ると、特定の計算された方法でC-H、C-C結合が壊れ始め、(2)分子が多くのC及びH結合に分解されると、それらは非常に反応性が高くなり、その後、(3)反応器内のマイクロ波エネルギーの変調によって、材料がより高い(またはより低い)エネルギー状態に暴露される。より高い(またはより低い)エネルギー状態は、好ましい成長経路に対応する。成長の調整に応じて、いくつかの比較的強い(または比較的弱い)平面を備えた格子が形成される。後処理において、得られる構造化炭素は、より弱い平面に沿って崩壊する。構造化炭素の設計された弱い面に沿った崩壊は、ポリマーとの分子結合を促進し、高性能の炭素含有エラストマーをもたらす。
他の実施態様
実施態様Aは、(i)ポリマー、(ii)さらなる強化剤(例えば、繊維)、及び(iii)ポリマーに混合されるグラフェン含有材料を含む複合材料であり、グラフェン含有材料は、少なくとも20m2/gの比表面積及び比表面積の少なくとも2%の比活性領域を示す。
実施態様Aの変形例では、複合材料は、300メガパスカルを超える引張強度を示す。実施態様Aの変形例では、複合材料は、400メガパスカルを超える圧縮強度を示す。実施態様Aの変形例では、複合材料は、400メガパスカルを超える曲げ強度を示す。実施態様Aの変形例では、複合材料は、200メガパスカル未満の面内せん断強度を示す。実施態様Aの変形例では、複合材料は、25メガパスカルを超える層間せん断強度を示す。実施態様Aの変形例では、複合材料は、50ギガパスカルを超える曲げ弾性率を示す。実施態様Aの変形例では、複合材料は、グラフェン含有材料を含まない複合体に対して、機械的、熱的または電気的特性の改善を示す。
実施態様Bは、(i)ポリマー、(ii)さらなる強化剤(例えば、繊維)、及び(iii)ポリマーに混合されるグラフェン含有材料を含む複合材料であり、グラフェン含有材料は、少なくとも40m2/gの比表面積及び比表面積の少なくとも4%の比活性領域を示す。
実施態様Bの変形例では、複合材料は、300メガパスカルを超える引張強度を示す。実施態様Bの変形例では、複合材料は、400メガパスカルを超える圧縮強度を示す。実施態様Bの変形例では、複合材料は、400メガパスカルを超える曲げ強度を示す。実施態様Bの変形例では、複合材料は、200メガパスカル未満の面内せん断強度を示す。実施態様Bの変形例では、複合材料は、25メガパスカルを超える層間せん断強度を示す。実施態様Bの変形例では、複合材料は、50ギガパスカルを超える曲げ弾性率を示す。実施態様Bの変形例では、複合材料は、グラフェン含有材料を含まない複合体に対して、機械的、熱的または電気的特性の改善を示す。
図21は、示された用途で使用される熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の様々な特性を示す。示されている特性には、機械的特性、熱伝導性、耐酸化性、耐久性、高温での耐軟化性、耐疲労性、及び導電性が含まれる。個々のもの及び/またはこれらのパラメータの組み合わせは、特定の用途向けの特定の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を選択する際に主要なものになる。
厳密に例として、耐食性弁の作製に使用するための熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を選択する際には、耐酸化性が主要なパラメータになり得る。別の例として、航空機部品の製造に使用される特定の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を選択するとき、比強度等の機械的特性が主要な機械的特性になり得る。部品は、システムの疲労に対して非常に高い耐性を示す必要がある場合もある。
通常、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、前述の特性を示すだけでなく、代替材料よりも低密度である。炭素負荷熱可塑性樹脂のより低い密度は、多くの場合、炭素を負荷しない同じ熱可塑性樹脂で構成される同じ部品と比較して、形成される部品の重量が小さいことに相当する。そのため、トラック部品(例えば、示されるキャブ部品)、自動車部品(例えば、ドアフェンダー、ルーフパネル等)、オートバイ部品、自転車部品、及び航空機の様々な部品(例えば、構造部材)、及び/または船舶、及び/または宇宙基盤媒体もしくはプラットフォームは、本開示の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のより低い重量強度比を利用することができる。
別の例として、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、多くの場合、非常に低い熱伝導性を示すため、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂で形成された構造部材は、断熱が要求される高温用途(例えば、電子機器のヒートシンク、工業用熱交換器等)に使用され得る。
ある特定の実施態様では、一組の特性が他の特性より優位に立つ場合がある。例えば、宇宙基盤媒体(例えば、衛星)の表面は、様々な電磁石に対して高度に反射性であることが要求される場合があると同時に、宇宙基盤媒体の表面は、断熱性(例えば、熱的不伝導)であることが要求される場合もある。前述の調整技術は、特定の所望の特性(例えば、反射性)がマイクロ波反応器の調整を支配するような状況に対応し、他の特性を犠牲にしても、十分に反射性の表面を製造する。
図21に関して示され、説明される特性は、単に例に過ぎない。さらなる特性及び/または特性の組み合わせが様々な用途において要求される場合もあれば望ましい場合もあり、これらのさらなる特性は、マイクロ波反応器の入力及び制御の調整に基づいて、得られる材料で示される。厳密に前述のさらなる特性の例として、かかる特性及び/または特性の組み合わせは、比強度測定基準、及び/または比重、及び/または機械的靭性、及び/またはせん断強度、及び/または屈曲強度等を含む場合もあれば、これらに関連する場合もある。さらに、本開示の実施態様では、熱反応器及びマイクロ波反応器の組み合わせで構成される処理ステップ及び材料は、さらなる高値の材料特性さえも可能にし得る。
さらなる実施態様としては、3D炭素・樹脂材料の射出成形が挙げられる。かかる実施態様としては、複合3D炭素マトリクス材料の射出加工、官能化3D炭素マトリクス材料の射出加工、及びナノ材料と混合された官能化3D炭素マトリクス材料の射出加工が挙げられる。他の実施態様としては、エネルギー貯蔵装置内の官能化3D炭素マトリクス材料、例えば、大容量のバッテリーに使用されるもの、高効率の燃料電池に使用されるもの、及び高効率のフローバッテリーに使用されるものが挙げられる。
当業者には、本開示の読後、これらの実施態様に対する変更、変形、及び均等物を容易に考え出すことができることが理解される。例えば、1つの実施態様の一部として図示または説明されている特徴を別の実施態様に使用して、さらなる実施態様が得られる可能性がある。従って、本内容は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内に入るような修正形態及び変形形態を網羅することを意図する。本発明に対するこれらの及び他の修正形態及び変形形態は、添付の特許請求の範囲により具体的に記載される本発明の範囲を逸脱することなく当業者によって実施され得る。さらに、当業者には、前述の記載が例示のみを目的とし、本発明を制限することを意図しないことが理解されよう。

Claims (15)

  1. 複合材料であって、
    前記複合材料の1つ以上の応力集中領域を、前記複合材料の1つ以上のそれぞれのより大きい領域にわたって分散させるように構成される充填剤を含むポリマー、ならびに
    前記ポリマーの1つ以上の露出面に、グラフェン含有材料のしわに基づいて、前記ポリマーに少なくとも部分的に混合された前記グラフェン含有材料であって、前記しわが、前記ポリマー及び前記グラフェン含有材料の間の結合を増加させるように構成される、前記グラフェン含有材料
    を含む、前記複合材料
  2. 前記充填剤が、有機金属材料と交差する複数の炭素繊維層を含む、請求項1に記載の複合材料。
  3. 前記複数の炭素繊維層と前記有機金属材料との間の前記交差が、前記複合材料を強化するように構成される相互接続されたマトリクスを形成する、請求項2に記載の複合材料。
  4. 前記グラフェン含有材料が、少なくとも約60m/gの比表面積を有し、前記グラフェン含有材料の前記比表面積の少なくとも10%が前記ポリマーに混合される、請求項1に記載の複合材料。
  5. 前記複合材料が、摂氏約50度で少なくとも約2.5GPaの貯蔵弾性率を有する、請求項1に記載の複合材料。
  6. 前記複合材料が、約0.25を超える最大タンデルタを有する、請求項1に記載の複合材料。
  7. 前記複合材料が、摂氏約30度を超えるガラス転移温度を有する、請求項1に記載の複合材料。
  8. 前記グラフェン含有材料が、約1.0を超えるフラクタル次元を有する、請求項1に記載の複合材料。
  9. 前記グラフェン含有材料が、約2~25層の間のグラフェンプレートレットを含む、請求項1に記載の複合材料。
  10. 前記グラフェン含有材料が、ラマンバンド強度のD/G比約0.3~1の間を有する、請求項1に記載の複合材料。
  11. 前記グラフェン含有材料が、酸素含有種を約10%未満含む、請求項1に記載の複合材料。
  12. 前記グラフェン含有材料が、約0.1未満~約1.0ミクロンの間を含む粒径を有する、請求項1に記載の複合材料。
  13. 前記グラフェン含有材料が、1層以上のしわの寄ったグラフェンプレートレットを含む、請求項1に記載の複合材料。
  14. しわの寄ったグラフェンプレートレットのそれぞれの層が、前記それぞれのしわの寄ったグラフェンプレートレット層の対応する折り目で融合した複数の結晶子を含む、請求項13に記載の複合材料。
  15. 前記結晶子が、約24ナノメートル未満の寸法を有する、請求項14に記載の複合材料。
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