JP2023512174A - HER2阻害薬としての[1,3]ジアジノ[5,4-d]ピリミジン - Google Patents

HER2阻害薬としての[1,3]ジアジノ[5,4-d]ピリミジン Download PDF

Info

Publication number
JP2023512174A
JP2023512174A JP2022542951A JP2022542951A JP2023512174A JP 2023512174 A JP2023512174 A JP 2023512174A JP 2022542951 A JP2022542951 A JP 2022542951A JP 2022542951 A JP2022542951 A JP 2022542951A JP 2023512174 A JP2023512174 A JP 2023512174A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
cancer
salt
her2
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022542951A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2021156178A5 (ja
Inventor
ビルギット ワイルディング
ディートリッヒ ベーゼ
ハーラルト エンゲルハルト
ユリアン フックス
ラルフ ノイミュラー
マルク ペトロンスキ
ディルク シャルン
マティアス トロイ
Original Assignee
ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング filed Critical ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
Publication of JP2023512174A publication Critical patent/JP2023512174A/ja
Publication of JPWO2021156178A5 publication Critical patent/JPWO2021156178A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/495Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with two or more nitrogen atoms as the only ring heteroatoms, e.g. piperazine or tetrazines
    • A61K31/505Pyrimidines; Hydrogenated pyrimidines, e.g. trimethoprim
    • A61K31/519Pyrimidines; Hydrogenated pyrimidines, e.g. trimethoprim ortho- or peri-condensed with heterocyclic rings
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K45/00Medicinal preparations containing active ingredients not provided for in groups A61K31/00 - A61K41/00
    • A61K45/06Mixtures of active ingredients without chemical characterisation, e.g. antiphlogistics and cardiaca
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D487/00Heterocyclic compounds containing nitrogen atoms as the only ring hetero atoms in the condensed system, not provided for by groups C07D451/00 - C07D477/00
    • C07D487/02Heterocyclic compounds containing nitrogen atoms as the only ring hetero atoms in the condensed system, not provided for by groups C07D451/00 - C07D477/00 in which the condensed system contains two hetero rings
    • C07D487/04Ortho-condensed systems

Abstract

本発明は、下記式(I)【化1】JPEG2023512174000054.jpg97106(式中、基R1、R2、R3及びR4は、特許請求の範囲及び明細書に記載の意味を有する)の新規[1,3]ジアジノ[5,4-d]ピリミジン及び誘導体、HER2及びその変異体の阻害薬としてのそれらの使用、該化合物を含有する医薬組成物及びそれらの薬物、特に腫瘍性疾患の治療薬及び/又は予防薬としての使用に関する。【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、下記式(I)
Figure 2023512174000002
(式中、基R1、R2、R3及びR4は、特許請求の範囲及び本明細書に記載の意味を有する)
の新規[1,3]ジアジノ[5,4-d]ピリミジン及び誘導体、HER2及びその変異体の阻害薬としてのそれらの使用、該化合物を含有する医薬組成物及びそれらの薬物、特に腫瘍性疾患の治療薬及び/又は予防薬としての使用に関する。
発明の背景
ERBB膜貫通受容体チロシンキナーゼ(RTKs)のファミリーは、発生中に必須機能を果たす4つのメンバーEGFR(ERBB1)、HER2(Neu、ERBB2)、HER3(ERBB3)及びHER4(ERBB4)から成る(Citri et al., Nat. Rev. Mol. Cell. Biol., 2006, 7(7), 505-516; Hynes et al., Curr. Opin. Cell. Biol., 2009, 21(2), 177-184; Wang, Z., Methods Mol. Biol., 2017, 1652, 3-35)。ERBBシグナル伝達は、EGFR、HER3又はHER4の細胞外ドメインのそれぞれのリガンドへの結合及び引き続くERBBファミリーメンバーのホモ又はヘテロ二量体化によって惹起される。リガンドが同定されていないHER2は、他のERBBメンバーにとって好ましい二量化パートナーである。活性なリガンド-受容体複合体が形成されると、EGFR、HER2又はHER4の細胞内チロシンキナーゼドメインが自己リン酸化又はトランスリン酸化によって活性化され、引き続き最も特にマイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ及び/又はホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)経路と係わり合うシグナル伝達カスケードを誘発する(Citri et al, Nat. Rev. Mol. Cell. Biol., 2006, 7(7), 505-516; Hynes et al., Curr. Opin. Cell. Biol., 2009, 21(2), 177-184; Wang, Z., Methods Mol. Biol., 2017, 1652, 3-35.)。
異常なERBBシグナル伝達は、癌又は神経疾患を含めたいくつかの病態生理学的状態に関係づけられる。癌においては、ERBBシグナル伝達は、二量体化を促進するか若しくは平衡をキナーゼの活性コンフォマーへシフトさせることによってRTKを構成的に活性にする変異を通じて並びに/又はRTKの増殖及びその後の過剰発現を通じて過剰活性化される。両発癌メカニズムは、ERBBシグナル伝達の正味のアウトプットを増やし、それによって細胞生存、細胞の成長及び増殖を促進する(Arteaga et al., Cancer Cell, 2014, 25(3), 282-303)。
異常なHER2シグナル伝達は、種々多様なヒト悪性腫瘍で観察される。発癌性変異は、タンパク質の細胞外、膜(近傍)及び細胞内領域について記述される。集合的にこれらの変異は、HER2を構成的に活性にし、癌の発生、腫瘍の維持及び成長を煽る(Connell et al., ESMO Open, 2017, 2(5), e000279)。同様に、HER2の過剰発現はHER2シグナル伝達を増大させ、乳癌、胃癌又は肺癌を含めた種々の徴候における腫瘍性形質転換及び腫瘍維持の基礎をなす。
結果的に、HER2の発癌性シグナル伝達の妨害が腫瘍成長の抑制をもたらす。標的療法は、HER2指向性抗体(トラスツズマブ及びペルツズマブを含む)、HER2指向性抗体-薬物複合物(トラスツズマブ-DM1(T-DM1、トラスツズマブエムタンシン))及びHER2キナーゼドメインを阻害する小分子(アファチニブ、ネラチニブ、ラパチニブ)を取り入れる。
結局は、HER2の発癌性変異又はHER2野生型増殖によって引き起こされる腫瘍はHER2特異的チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)から恩恵を受ける可能性がある。まとめると、HER2の変化が全てのヒト癌の6~7%までに影響を及ぼし、EGFR野生型温存(sparing)TKI(チロシンキナーゼ阻害薬)が有効な治療選択肢として浮上する可能性がある。
EGFR野生型を超えて選択的であるHER2野生型阻害薬、例えばツカチニブがあるにもかかわらず、これらの阻害薬は、エクソン20変異を保有するHER2に対して効力を持たない。他の選択的野生型HER2阻害薬は、先行技術文献WO 2003/049740、WO 2007/059257, WO 2005/044302に開示されている。
HER2エクソン20変異は、キナーゼ活性の増強をもたらすHER2機能獲得変異のサブセットを構成する(Wang et al. Cancer Cell, 2006, 10(1): 25-38)。この増強されたHER2キナーゼ活性が下流のシグナル伝達カスケードに絡み、変異細胞の成長、増殖及び生存の促進を通じて腫瘍性形質転換を刺激する。
遺伝子改変マウスモデルの研究により、NSCLCにおける最も一般的なHER2エクソン20変異である4個のアミノ酸の重複YVMA(p.A775_G776insYVMA)が、発癌性成長を駆り立てるのに必要十分であることが実証された(Perera et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2009, 106(2), 474-479)。HER2-YVMA発現の消退は腫瘍収縮に関連し、HER2のこの発癌性変異体が腫瘍維持に必要であることを示唆している(Perera et al. 2009)。さらに、この研究は、マウスモデルにおいて、pan-ERBB遮断薬アファチニブがin vivoで有効であり、HER2-YVMAの発癌性シグナル伝達を妨害できることを実証した(Perera et al. 2009)。
NSCLCにおけるHER2の発癌性変異は、主にHER2のチロシンキナーゼドメインに影響を与え、ERBB2遺伝子のエクソン20にクラスター化する(Stephens et al., Nature, 2004, 431(7008), 525-6)。肺癌患者の2~4%は、HER2エクソン20に活性化変異を保有すると推定される。臨床的に認可されたERBB標的チロシンキナーゼ阻害薬は、EGFR野生型媒介用量規制毒性によって制限されるので、これらの患者には有効でない。アファチニブ及び他のpan-ERBB遮断薬は、HER2エクソン20変異NSCLC患者において、主に有効用量到達の際の制限のため限られた効力を示した。特に、EGFR野生型媒介毒性は有効な投薬を制限する。
アリチニブ、イブルチニブ、ネラチニブ、ポジオチニブ(poziotinib)及びピロチニブは、変異HER2エクソン20の既知のpan-ERBB阻害薬である。変異HER2エクソン20のさらなる阻害薬は、先行技術文献WO 2015/175632、WO 2015/195228、WO 2016/183278及びWO 2019/046775に開示されている。
EGFR野生型を温存してEGFR野生型媒介用量規制毒性という欠点を克服しながら、HER2エクソン20変異タンパク質を選択的に標的にする化合物に対する未だ対処されていない強い医療ニーズがある。
本発明の化合物は、EGFR野生型を温存しながら、野生型HER2及び変異HER2エクソン20のチロシンキナーゼドメインにオルソステリック及び共有結合様式で結合し、野生型HER2及びエクソン20に変異を保有する変異HER2の選択的阻害薬として作用することが分かった。
発明の概要
本発明の目的は、EGFR野生型を超えて選択的である変異HER2エクソン20の新規阻害薬を提供することである。本発明の化合物は、HER2エクソン20の選択的阻害薬として作用し、先行技術化合物に比べて、EGFR野生型を超える高い選択性に加えて、改善された野生型EGFR温存効力プロファイルを示す。さらに、本発明のいくつかの化合物は、改善された薬物動態学的及び薬理学的プロファイル、例えば良好な代謝安定性を示す。
本発明の化合物は、過剰又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患及び/又は状態の予防及び/又は治療、特に癌の治療及び/又は予防に有用である。
発明の詳細な説明
本発明は、下記式(I)
Figure 2023512174000003
(式中、
(A0)
R1は、水素、-CH3、-CCH、-OCH3及びハロゲンから成る群より選択され
(B0)
R2は、水素又はハロゲンであり
(C0)
R3は、水素又はハロゲンであり
(D0)
R4は、水素又は-CH3であり
かつR1、R2及びR3の少なくとも1つは水素でない)
の新規[1,3]ジアジノ[5,4-d]ピリミジン及び誘導体
又はその塩に関する。
別の実施形態(A1)では、本発明は、
R1が、-CH3、-CCH、-OCH3及びハロゲンから成る群より選択される、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(A2)では、本発明は、
R1が、-CH3、-CCH、-OCH3、塩素、臭素及びフッ素から成る群より選択される、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(A3)では、本発明は、
R1が水素である、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(A4)では、本発明は、
R1が-CH3である、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(A5)では、本発明は、
R1が-CCHである、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(A6)では、本発明は、
R1が-OCH3である、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(A7)では、本発明は、
R1がハロゲンである、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(A8)では、本発明は、
R1が、塩素、臭素及びフッ素から成る群より選択される、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(A9)では、本発明は、
R1が塩素である、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(A10)では、本発明は、
R1が臭素である、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(A11)では、本発明は、
R1がフッ素である、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(B1)では、本発明は、
R2が水素である、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(B2)では、本発明は、
R2がハロゲンである、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(B3)では、本発明は、
R2が、塩素、臭素及びフッ素から成る群より選択される、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(B4)では、本発明は、
R2が塩素である、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(B5)では、本発明は、
R2が臭素である、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(B6)では、本発明は、
R2がフッ素である、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(C1)では、本発明は、
R3が水素である、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(C2)では、本発明は、
R3がハロゲンである、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(C3)では、本発明は、
R3が、塩素、臭素及びフッ素から成る群より選択される、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(C4)では、本発明は、
R3が塩素である、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(C5)では、本発明は、
R3がフッ素である、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(C6)では、本発明は、
R3が塩素、フッ素又は水素である、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(D1)では、本発明は、
R4が水素である、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
別の実施形態(D2)では、本発明は、
R4が-CH3である、
式(I)の化合物又はその塩に関する。
上記個々の実施形態は、式(I)の化合物の構造部分群(A0)~(A11)、(B0)~(B6)、(C0)~(C6)及び(D0)~(D2)を表す。(A)(B)(C)(D)のようにこれらの構造部分群を互いに組み合わせて式(I)の化合物の本発明のさらなる実施形態を明確に定義することができる。従って、本発明のさらなる実施形態は、本明細書では特定の構造部分群(A)(B)(C)(D)の組み合わせのように式(I)の化合物として定義され、ここで、(A)は(A0)~(A11)から選択され;(B)は(B0)~(B6)から選択され;(C)は(C0)~(C6)から選択され、(D)は(D0)~(D2)から選択される。
本発明は、さらにこれらの式(I)の化合物の水和物、溶媒和物、多形、代謝物及びプロドラッグに関する。
別の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩に関する。
本発明の好ましい実施形態は、下記例I-01~I-12から成る群より選択される、式(I)の上記化合物である。
Figure 2023512174000004


Figure 2023512174000005


Figure 2023512174000006

本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-01~I-12から成る群より選択される、式(I)の上記化合物の医薬的に許容される塩である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-01の化合物である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-02の化合物である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-03の化合物である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-04の化合物である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-05の化合物である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-06の化合物である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-07の化合物である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-08の化合物である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-09の化合物である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-10の化合物である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-11の化合物である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-12の化合物である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-01の化合物の医薬的に許容される塩である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-02の化合物の医薬的に許容される塩である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-03の化合物の医薬的に許容される塩である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-04の化合物の医薬的に許容される塩である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-05の化合物の医薬的に許容される塩である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-06の化合物の医薬的に許容される塩である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-07の化合物の医薬的に許容される塩である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-08の化合物の医薬的に許容される塩である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-09の化合物の医薬的に許容される塩である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-10の化合物の医薬的に許容される塩である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-11の化合物の医薬的に許容される塩である。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、例I-12の化合物の医薬的に許容される塩である。
別の態様では、本発明は、細胞内の野生型及び/又は変異HER2の阻害方法であって、細胞を式(I)の化合物と接触させることを含む方法に関する。別の実施形態では、本発明は、細胞内にエクソン20変異を有するHER2の阻害方法であって、細胞を式(I)の化合物と接触させることを含む方法に関する。
別の態様では、本発明は、細胞内の野生型及び/又は変異HER2のリン酸化の阻害方法であって、細胞を式(I)の化合物と接触させることを含む方法に関する。別の実施形態では、細胞内のHER2エクソン20変異体のリン酸化の阻害方法であって、細胞を式(I)の化合物と接触させることを含む方法に関する。
別の態様では、本発明は、野生型及び/又は変異HER2の阻害が治療効果である、疾患及び/又は状態の治療及び/又は予防のための式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩の使用に関する。別の実施形態では、本発明は、HER2エクソン20変異タンパク質の阻害が治療効果である、疾患及び/又は状態の治療及び/又は予防のための式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩の使用に関する。
別の態様では、本発明は、それを必要とするヒト対象の野生型及び/又は変異HER2の阻害方法であって、対象に治療有効量の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む方法で使用するための式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。別の実施形態では、本発明は、それを必要とするヒト対象のHER2エクソン20変異体の阻害方法であって、対象に治療有効量の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む方法で使用するための式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。
別の態様では、本発明は、薬物として使用するための式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。
別の態様では、本発明は、癌の治療及び/又は予防のための式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。別の実施形態では、本発明は、癌の治療及び/又は予防のための式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関するものであり、ここで、癌は、HER2過剰発現及び/又はHER2増殖が原因である。別の実施形態では、本発明は、癌がHER2エクソン20変異癌である、癌の治療及び/又は予防のための式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。別の実施形態では、本発明は、HER2過剰発現型、HER2増幅型及び/又はHER2エクソン20変異癌が、脳癌、乳癌、胆道癌、膀胱癌、子宮頚癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、皮膚癌、食道腫瘍、頭頚部腫瘍、胃腸癌、胆嚢腫瘍、腎臓癌、肝臓癌、肺癌及び前立腺癌から選択される、癌の治療及び/又は予防のための式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。
別の態様では、本発明は、上記疾患及び状態の治療及び/又は予防方法であって、治療有効量の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩をヒトに投与することを含む方法に関する。
別の態様では、本発明は、上記疾患及び状態の治療及び/又は予防で使用するための式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。
別の態様では、本発明は、上記疾患及び状態の治療及び/又は予防用薬物の調製のための式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩の使用に関する。
さらに、下記癌、腫瘍及び他の増殖性疾患を本発明の化合物で治療することができるが、これらに限定されない。
頭頚部の癌/腫瘍/癌腫:例えば鼻腔、副鼻腔、上咽頭、口腔(唇、歯肉、歯槽堤、臼後三角、口腔底、舌、硬口蓋、頬粘膜を含む)、中咽頭(舌根、扁桃腺、扁桃柱(tonsillar pilar)、軟口蓋、扁桃窩、咽頭壁を含む)、中耳、喉頭(声門上、声門、声門下、声帯を含む)、下咽頭、唾液腺(小唾液腺を含む)の腫瘍/癌腫/癌;
肺の癌/腫瘍/癌腫:例えば非小細胞肺癌(NSCLC)(扁平上皮癌、紡錘細胞癌、腺癌、大細胞癌、明細胞癌、気管支肺胞上皮癌)、小細胞肺癌(SCLC)(燕麦細胞癌、中間細胞癌、複合型燕麦細胞癌);
縦隔新生物:例えば神経原性腫瘍(神経線維腫、神経鞘腫、悪性シュワン細胞腫、神経肉腫、神経節芽細胞腫、神経節腫、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、傍神経節腫を含む)、胚細胞腫瘍(セミノーマ、テラトーマ、非セミノーマを含む)、胸腺腫瘍(胸腺腫、胸腺脂肪腫(thymolipoma)、胸腺癌、胸腺カルチノイドを含む)、間葉腫瘍(線維腫、線維肉腫、脂肪腫、脂肪肉腫、粘液腫、中皮腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、黄色肉芽腫、間葉腫、血管腫、血管内皮腫、血管周囲細胞腫、リンパ管腫、リンパ管周囲細胞腫(lymphangiopericytoma)、リンパ管筋腫を含む);
胃腸(GI)管の癌/腫瘍/癌腫:例えば食道、胃(胃癌)、膵臓、肝臓及び胆管(肝細胞癌(HCC)、例えば小児HCC、線維層板型HCC、複合型HCC、紡錘細胞HCC、明細胞HCC、巨細胞HCC、癌肉腫HCC、硬化性HCC;肝芽腫;胆管癌;胆管細胞癌;肝嚢胞腺癌;血管肉腫、血管内皮腫;平滑筋肉腫、悪性シュワン細胞腫、線維肉腫、クラッキン腫瘍を含む)、胆嚢、肝外胆管、小腸(十二指腸、空腸、回腸を含む)、大腸(盲腸、結腸、直腸、肛門を含む;結腸直腸癌、胃腸管間質腫瘍(GIST))、泌尿生殖器系(腎臓、例えば腎盂を含む、腎細胞癌(RCC)、腎芽腫(ウィルムス腫瘍)、副腎腫、グラビッツ腫瘍;尿管;膀胱、例えば尿膜管癌、尿路上皮癌;尿道、例えば遠位性、球膜性、前立腺性;前立腺(アンドロゲン依存性、アンドロゲン非依存性、去勢抵抗性、ホルモン非依存性、ホルモン不応性)、陰茎)の癌/癌腫/腫瘍;
精巣の癌/腫瘍/癌腫:例えばセミノーマ、非セミノーマ;
婦人科の癌/腫瘍/癌腫:例えば卵巣、卵管、腹膜、子宮頚部、外陰部、腟、子宮体部(子宮内膜、基底を含む)の腫瘍/癌腫/癌;
乳房の癌/腫瘍/癌腫:例えば乳癌(浸潤性、膠質、小葉浸潤性、管状、腺様嚢胞、乳頭状、髄様、粘液性)、ホルモン受容体陽性乳癌(エストロゲン受容体陽性乳癌、プロゲステロン受容体陽性乳癌)、HER2陽性乳癌、三種陰性乳癌、乳房パジェット病;
内分泌系の癌/腫瘍/癌腫:例えば内分泌腺の腫瘍/癌腫/癌(甲状腺癌/腫瘍;乳頭状、濾胞性、未分化、髄様)、副甲状腺(副甲状腺癌/腫瘍)、副腎皮質(副腎皮質癌/腫瘍)、脳下垂体(プロラクチノーマ、頭蓋咽頭腫を含む)、胸腺、副腎、松果体、頚動脈小体、膵島細胞腫瘍、傍神経節、膵内分泌腫瘍(PET;非機能性(nonfluorineunctional)PET、Ppoma、ガストリノーマ、インスリノーマ、VIPoma、グルカゴノーマ、ソマトスタチノーマ、GRFoma、ACTHoma)、カルチノイド腫瘍;
軟組織の肉腫:例えば線維肉腫、線維性組織球腫、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、血管肉腫、リンパ管肉腫、カポジ肉腫、グロムス腫瘍、血管周囲細胞腫、滑膜肉腫、腱鞘の巨細胞腫瘍、胸膜及び腹膜の孤在性線維性腫瘍、びまん性中皮腫、悪性末梢神経鞘腫(MPNST)、顆粒細胞腫瘍、明細胞肉腫、色素性シュワン細胞腫、神経叢肉腫(plexosarcoma)、神経芽腫、神経節芽細胞腫、神経上皮腫、骨外性ユーイング肉腫、傍神経節腫、骨外性軟骨肉腫、骨外性骨肉腫、間葉腫、胞状軟部肉腫、類上皮肉腫、腎外ラブドイド腫瘍、線維形成性小細胞腫瘍;
骨の肉腫;例えば骨髄腫、細網肉腫、軟骨肉腫(中心性、末梢性、明細胞、間葉軟骨肉腫を含む)、骨肉腫(傍骨性、骨膜、高悪性度表在性(high-grade surface)、小細胞、放射線誘発骨肉腫、パジェット肉腫を含む)、ユーイング腫瘍、悪性巨細胞腫瘍、アダマンチノーマ、(線維)組織球腫、線維肉腫、脊索腫、小円形細胞肉腫、血管内皮腫、血管周囲細胞腫、骨軟骨腫、類骨腫、骨芽細胞腫、好酸球性肉芽腫、軟骨芽細胞腫;
中皮腫:例えば胸膜中皮腫、腹膜中皮腫;
皮膚の癌:例えば基底細胞癌、扁平上皮癌、メルケル細胞癌、黒色腫(皮膚性、表在拡大型、悪性黒子由来、末端黒子型、結節性、眼球内黒色種を含む)、光線角化症、眼瞼癌;
中枢神経系及び脳の新生物:例えば星細胞腫(大脳、小脳、びまん性、線維性、未分化、毛様細胞性、原形質、肥胖性(gemistocytary))、神経膠芽腫、神経膠腫、乏突起神経膠腫、乏突起星細胞腫、上衣腫、上衣芽細胞腫(ependymoblastoma)、脈絡叢腫瘍、髄芽腫、髄膜腫、シュワン細胞腫、血管芽腫、血管腫、血管周囲細胞腫、神経腫、神経節腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫、神経鞘腫(例えば聴覚性)、脊髄軸腫瘍;
リンパ腫及び白血病:例えば、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)(小リンパ球性リンパ腫(SLL)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞リンパ腫(DLCL)、バーキットリンパ腫(BL)を含む)、T細胞非ホジキンリンパ腫(未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)を含む)、リンパ芽球性T細胞リンパ腫(T-LBL)、成人T細胞リンパ腫、リンパ芽球性B細胞リンパ腫(B-LBL)、免疫細胞腫、慢性B細胞リンパ性白血病(BchlorineL)、慢性T細胞リンパ性白血病(TclorineL)、B細胞小リンパ球性リンパ腫(B-SLL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTLC)、原発性中枢神経系リンパ腫(PCNSL)、免疫芽腫(immunoblastoma)、ホジキン病(HD)(結節性リンパ球優位型(nodular lymphocyte predominance)HD(NLPHD)、結節硬化型HD(NSHD)、混合細胞型HD(MCHD)、リンパ球豊富型古典的HD、リンパ球減少型HD(LDHD)を含む)、大型顆粒リンパ球白血病(LGL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性/リンパ芽球性白血病(ALL)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性リンパ球性/リンパ性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄腫、形質細胞腫、多発性骨髄腫(MM)、形質細胞腫、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML);
原発不明部位の癌(CUP)。
体内のそれらの特異的場所/起源を特徴とする上記全ての癌/腫瘍/癌腫は、原発性腫瘍及びそれらに由来する転移性腫瘍の両方を含むことを意味する。
上記全ての癌/腫瘍/癌腫は、それらの病理組織学的分類によってさらに以下のように区別することができる:
上皮癌、例えば扁平上皮癌(SCC)(上皮内癌、表層浸潤性、疣状癌、偽肉腫、未分化、移行細胞、リンパ上皮)、腺癌(AC)(高分化型、粘液性、乳頭状、多形性巨細胞、管状、小細胞、印環細胞、紡錘細胞、明細胞、燕麦細胞、膠質、腺扁平上皮、粘膜表皮性、腺様嚢胞)、粘液性嚢胞腺癌、腺房細胞癌、大細胞癌、小細胞癌、神経内分泌腫瘍(小細胞癌、傍神経節腫、カルチノイド);オンコサイト癌;
非上皮癌、例えば肉腫(線維肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、血管肉腫(hemangiosarcoma)、巨細胞肉腫、リンパ肉腫、線維性組織球腫、脂肪肉腫、血管肉腫(angiosarcoma)、リンパ管肉腫、神経線維肉腫)、リンパ腫、黒色腫、胚細胞腫瘍、血液新生物、混合型及び未分化癌。
別の態様では、本発明は、癌の治療及び/又は予防で使用するための式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関し、ここで、化合物は、細胞分裂阻害及び/又は細胞傷害活性物質と組み合わせて並びに/或いは放射線療法及び/又は免疫療法と組み合わせて投与される。
別の態様では、本発明は、癌の治療及び/又は予防で使用するための式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩と、細胞分裂阻害及び/又は細胞傷害活性物質との組み合わせ並びに/或いは放射線療法及び/又は免疫療法と組み合わせた、癌の治療及び/又は予防で使用するための式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩と、細胞分裂阻害及び/又は細胞傷害活性物質との組み合わせに関する。
別の態様では、本発明は、癌の治療及び/又は予防方法に関し、前記方法は、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩を細胞分裂阻害及び/又は細胞傷害活性物質と組み合わせて並びに/或いは放射線療法及び/又は免疫療法と組み合わせて投与することを含む。
本発明の化合物は、それら単独で或いは最先端又は標準治療化合物のような1種又は数種の他の薬理活性物質、例えば細胞増殖阻害薬、抗血管新生物質、ステロイド薬又は免疫調節薬/チェックポイント(checkpont)阻害薬等と組み合わせて使用してよい。
本発明の化合物と組み合わせて投与してよい薬理活性物質としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる。ホルモン、ホルモン類似体及び抗ホルモン薬(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、フルベストラント、酢酸メゲストロール、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、アミノグルテチミド、酢酸シプロテロン、フィナステリド、酢酸ブセレリン、フルドロコルチゾン、フルオキシメステロン、メドロキシプロゲステロン、オクトレオチド)、アロマターゼ阻害薬(例えばアナストロゾール、レトロゾール、リアロゾール、ボロゾール、エキセメスタン、アタメスタン)、LHRH作動薬及び拮抗薬(例えば酢酸ゴセレリン、ルプロリド)、成長因子及び/又はそれらの対応受容体(成長因子、例えば血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、上皮成長因子(EGF)、インシュリン様成長因子(IGF)、ヒト上皮成長因子(HER、例えばHER2、HER3、HER4)及び肝細胞成長因子(HGF)及び/又はそれらの対応受容体等)の阻害薬、阻害薬は、例えば(抗)成長因子抗体、(抗)成長因子受容体抗体及びチロシンキナーゼ阻害薬、例えばセツキシマブ、ゲフィチニブ、アファチニブ、ニンテダニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ボスチニブ、ベバシズマブ、ペルツズマブ及びトラスツズマブ);代謝拮抗薬(例えば葉酸代謝拮抗薬、例えばメソトレキセート、ラルチトレキセド、ピリミジン類似体、例えば5フルオロウラシル(5フッ素U)、リボヌクレオシド及びデオキシリボヌクレオシド類似体、カペシタビン及びゲムシタビン、プリン及びアデノシン類似体、例えばメルカプトプリン、チオグアニン、クラドリビン及びペントスタチン、シタラビン(ara C)、フルダラビン);抗腫瘍性抗生物質(例えばアントラサイクリン系薬剤、例えばドキソルビシン、ドキシル(ペグ化リポソームドキソルビシン塩酸塩、ミオセト(myocet)(非ペグ化リポソームドキソルビシン)、ダウノルビシン、エピルビシン及びイダルビシン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ストレプトゾシン);白金誘導体(例えばシスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン);アルキル化薬(例えばエストラムスチン、メクロレタミン、メルファラン、クロランブシル、ブスルファン、ダカルバジン、シクロホスファミド、イホスファミド、テモゾロミド、ニトロソ尿素、例えばカルムスチン及びロムスチン等、チオテパ);有糸分裂阻害薬(例えばビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン及びビンクリスチン等;及びタキサン、例えばパクリタキセル、ドセタキセル);血管新生阻害薬(例えばタスキニモド)、チューブリン阻害薬;DNA合成阻害薬、PARP阻害薬、トポイソメラーゼ阻害薬(例えばエピポドフィロトキシン、例えばエトポシド及びエトポフォス等、テニポシド、アムサクリン、トポテカン、イリノテカン、ミトキサントロン)、セリン/トレオニンキナーゼ阻害薬(例えばPDK1阻害薬、Raf阻害薬、A-Raf阻害薬、B-Raf阻害薬、C-Raf阻害薬、mTOR阻害薬、mTORC1/2阻害薬、PI3K阻害薬、PI3Kα阻害薬、二重mTOR/PI3K阻害薬、STK33阻害薬、AKT阻害薬、PLK1阻害薬、CDK阻害薬、オーロラキナーゼ阻害薬)、チロシンキナーゼ阻害薬(例えばPTK2/FAK阻害薬)、タンパク質間相互作用阻害薬(例えばIAP活性化薬、Mcl-1、MDM2/MDMX)、MEK阻害薬、ERK阻害薬、FLT3阻害薬、BRD4阻害薬、IGF-1R阻害薬、TRAILR2作動薬、Bcl-xL阻害薬、Bcl-2阻害薬、Bcl-2/Bcl-xL阻害薬、ErbB受容体阻害薬、BCR-ABL阻害薬、ABL阻害薬、Src阻害薬、ラパマイシン類似体(例えばエベロリムス、テムシロリムス、リダホロリムス、シロリムス)、アンドロゲン合成阻害薬、アンドロゲン受容体阻害薬、DNMT阻害薬、HDAC阻害薬、ANG1/2阻害薬、CYP17阻害薬、放射性医薬品、プロテアソーム阻害薬、免疫療法薬、例えば免疫チェックポイント阻害薬(例えばCTLA4、PD1、PD-L1、PD-L2、LAG3、及びTIM3結合分子/免疫グロブリン、例えばイピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ等)、ADCC(抗体依存性細胞媒介細胞傷害性)賦活薬(例えば抗CD33抗体、抗CD37抗体、抗CD20抗体)、T細胞エンゲイジャー(engager)(例えば二重特異性T細胞エンゲイジャー(BiTEs(登録商標))、例えばCD3 x BCMA、CD3 x CD33、CD3 x CD19等)、PSMA x CD3)、腫瘍ワクチン及び種々の化学療法薬、例えばアミホスチン、アナグレリド、クロドロナト、フィルグラスチン、インターフェロン、インターフェロンα、ロイコボリン、プロカルバジン、レバミソール、メスナ、ミトタン、パミドロネート及びポルフィマー。
別の態様では、本発明は、式(I)の少なくとも1種の化合物又はその医薬的に許容される塩を含み、任意に少なくとも1種の医薬的に許容される担体を含んでよい医薬組成物に関する。
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩並びに少なくとも1種の他の細胞分裂阻害及び/又は細胞傷害活性物質を含む医薬組成物に関する。
別の態様では、本発明は、治療有効量の式(I)の少なくとも1種の化合物又はその医薬的に許容される塩及び1種以上の医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
本発明の化合物の投与に適した製剤は当業者に明白であり、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、坐剤、ロレンジ剤、トローチ剤、液剤、特に注射(s.c., i.v., i.m.)及び注入用液剤(注射液)、エリキシル剤、シロップ剤、サシェ剤、乳剤、吸入剤又は分散性粉剤が挙げられる。
適切な錠剤は、例えば、式(I)の1種以上の化合物を既知賦形剤、例えば不活性な希釈剤、担体、崩壊剤、アジュバント、界面活性剤、結合剤及び/又は潤沢剤と混合することによって得ることができる。
1日に適用可能な式(I)の化合物の投与量範囲は、通常1mg~2000mg、好ましくは10~1000mgである。
静脈内用途に適した投与量は、様々な注入速度で1mg~1000mg、好ましくは様々な注入速度で5mgと500mgの間である。
しかしながら、体重、年齢、投与経路、疾患の重症度、薬物に対する個体の反応、その処方の性質及び薬物が投与される時間及び間隔(1日当たり1用量又は多用量による連続的又は間欠的治療)に応じて、規定量からの逸脱が必要なこともある。従って、上記最少用量未満の使用で十分な場合もあり、一方で上限を超えなければならない場合もある。大量に投与するときは、1日に渡っていくつかのより少ない用量に分割するのが賢明なことがある。
一般的定義
本明細書で具体的に定義しない用語には、本開示及び文脈を考慮して当業者がそれらに与えるであろう意味を与えるべきである。しかしながら、本明細書で使用する場合、別途定める場合を除き、下記用語は、指示した意味を有し、下記慣例を順守する。
以下に定義する基(groups)、基(radicals)、又は部分においては、基に先行して炭素原子数を特定することが多く、例えば、C1-6アルキルは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
OH、NH2、S(O)、S(O)2、CN(シアノ)、COOH、CF3等のような基においては、当業者なら基自体のフリーの原子価から分子への基の付着点が分かる。
本発明の化合物を化学名の形で及び式として表現している場合は、いずれの矛盾の場合にも式が優先するものとする。サブ式にはアスタリスクを用いて、定義どおりにコア分子に結び付いている結合を指し示すことができる。
置換基の原子のナンバリングは、置換基が付着しているコア又は基に最も近い原子から始まる。
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素原子を表す。
本明細書で使用する用語「置換される」は、指定原子上の任意の1個以上の水素が、指示群からの選択肢で置き換えられることを意味する。但し、指定原子の通常の原子価を超えず、その置換が安定化合物をもたらすことを条件とする。
別段の指示がある場合を除き、本明細書及び添付の特許請求の範囲全体を通じて、所与の化学式又は化学名は、互変異性体並びに全ての立体、光学及び幾何異性体(例えばエナンチオマー、ジアステレオマー、E/Z異性体等)並びにそのラセミ体のみならず異なる比率の個別エナンチオマーの混合物、ジアステレオマーの混合物、又は該異性体及びエナンチオマーが存在する前述のいずれの形態の混合物、並びにその医薬的に許容される塩及びその溶媒和物、例えば水和物を含め、遊離化合物の溶媒和物及び水和物又は化合物の塩の溶媒和物及び水和物を含めた塩をも包含するものとする。
一般に、実質的に純粋な立体異性体は、当業者に既知の合成原理に従って、例えば対応混合物の分離、立体化学的に純粋な出発材料の使用及び/又は立体選択的合成によって得ることができる。例えばラセミ形の分割或いは例えば光学活性な出発材料から出発する及び/又はキラル試薬を使用することによる合成によって光学活性形を調製する方法は技術上周知である。
本発明のエナンチオマー的に純粋な化合物又は中間体は、例えば既知の方法によって(例えばクロマトグラフ分離若しくは結晶化によって)分離できる適切なジアステレオマー化合物若しくは中間体の調製とその後の分離によって及び/又はキラル出発材料、キラル触媒若しくはキラル補助剤等のキラル試薬を使用することによって不斉合成経由で調製可能である。
さらに、例えばキラル固定相上での対応ラセミ混合物のクロマトグラフ分離によるか、又は適切な分割剤を使用する、例えばラセミ化合物と光学活性酸若しくは塩基のジアステレオマー塩の形成後の塩の分割及び塩からの所望化合物の遊離を利用するラセミ混合物の分割によるか、又は対応ラセミ化合物の光学活性キラル補助試薬を用いる誘導体化後のジアステレオマー分離及びキラル補助基の除去によるか、又はラセミ体の速度論的分割(例えば酵素的分割)によって;適切な条件下における左右晶(enantiomorphous crystal)の集合体からのエナンチオ選択的結晶化によるか、又は光学活性キラル補助剤の存在下での適切な溶媒からの(分別)結晶化によってのように、対応ラセミ混合物からエナンチオマー的に純粋な化合物を調製する方法は当業者なら知っている。
本明細書では「医薬的に許容される」という表現を用いて、正当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症を伴うことなく、ヒトの組織と接触させて使用するのに適しており、かつ妥当な利益/危険比で釣り合っている化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指す。
本明細書で使用する場合、「医薬的に許容される塩」は、親化合物が、その酸塩又は塩基塩を作ることにより改変されている、開示化合物の誘導体を指す。医薬的に許容される塩の例としては、限定するものではないが、アミン等の塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩;カルボン酸等の酸性残基のアルカリ塩又は有機塩等が挙げられる。
例えば、該塩としては、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、ゲンチシン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、4-メチル-ベンゼンスルホン酸、リン酸、サリチル酸、コハク酸、硫酸及び酒石酸からの塩が挙げられる。
アンモニア、L-アルギニン、カルシウム、2,2’-イミノビスエタノール、L-リジン、マグネシウム、N-メチル-D-グルカミン、カリウム、ナトリウム及びトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタンからのカチオンを用いてさらなる医薬的に許容される塩を形成することができる。
塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から通常の化学的方法によって、本発明の医薬的に許容される塩を合成することができる。一般的に、該塩は、これらの化合物の遊離酸形又は遊離塩基形を水中或いはエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、若しくはアセトニトリル、又はその混合物のような有機希釈剤中で十分な量の適切な塩基又は酸と反応させることによって調製可能である。
上述したもの以外の例えば本発明の化合物の精製又は単離に有用な酸の塩(例えばトリフルオロ酢酸塩)も本発明の一部を構成する。
どの隣接基とどの原子価で結合するかを決めることが重要である二価基については、明確さのために必要な場合、下記表示におけるように、対応する結合パートナーを括弧内に示す。
Figure 2023512174000007
基又は置換基は、対応する基名(例えばRa、Rb等)を有するいくつかのオルタナティブな基/置換基の中から選択されることが多い。分子の異なる部分に該基を繰り返し用いて本発明の化合物を定義する場合、種々の使用は全体的に互いに独立と見なされるべきであると指摘される。
本明細書で使用する用語「治療有効量」は、病気の症状を取り除くことができるか若しくはこれらの症状を軽減できるか、又は治療患者の生存期間を延長する物質の量を指す。
本明細書で使用する用語「プロドラッグ」は、(i)体内で薬物を使用可能形若しくは活性形に変換する代謝プロセス後にその効果を発揮する薬物の不活性形、又は(ii)それ自体活性でないが、薬理活性代謝物を生じさせる物質(すなわち不活性前駆体)を指す。
用語「プロドラッグ」又は「プロドラッグ誘導体」は、親化合物又は活性原薬の共有結合した誘導体、担体又は前駆体を意味し、その薬理作用を発揮する前に少なくとも何らかの生体内変換を受ける。該プロドラッグはどちらも代謝により切断可能又は別の方法で変換可能な基を有し、例えば、血中での加水分解によるか又はチオエーテル基の場合のように酸化による活性化によって迅速に生体内変換されて親化合物をもたらす。最も一般的なプロドラッグとしては、親化合物のエステル及びアミド類似体が挙げられる。プロドラッグは、化学的安定性の改善、患者の承諾及びコンプライアンスの改善、バイオアベイラビリティの改善、作用の持続時間の延長、臓器選択性の改善、処方の改善(例えば、水溶性(hydrosolubility)増大)、及び/又は副作用(例えば、毒性)の低減という目的で処方される。一般に、プロドラッグ自体は生物活性が弱いか又は無く、通常の条件下で安定である。プロドラッグは、技術上周知の方法、例えばそれぞれそれらの全体を参照することによってここに援用する下記文献に記載の方法を利用して親化合物から容易に調製することができる:A Textbook of Drug Design and Development, Krogsgaard-Larsen and H. Bundgaard (eds.), Gordon & Breach, 1991、特にChapter 5: “Design and Applications of Prodrugs”; Design of Prodrugs, H. Bundgaard (ed.), Elsevier, 1985; Prodrugs: Topical and Ocular Drug Delivery, K.B. Sloan (ed.), Marcel Dekker, 1998; Methods in Enzymology, K. Widder et al. (eds.), Vol. 42, Academic Press, 1985、特にpp. 309-396; Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 5th Ed., M. Wolff (ed.), John Wiley & Sons, 1995、特にVol. 1並びにpp. 172-178及びpp. 949-982; Pro-Drugs as Novel Delivery Systems, T. Higuchi and V. Stella (eds.), Am. Chem. Soc., 1975; Bioreversible Carriers in Drug Design, E.B. Roche (ed.), Elsevier, 1987。
本明細書で使用する用語「医薬的に許容されるプロドラッグ」は、正当な医学的判断の範囲内で、不当な毒性、刺激、アレルギー反応等を伴うことなくヒトの組織と接触させて使用するのに適し、妥当な利益/危険比で釣り合っており、それらの意図した用途に有効であるのみならず、可能な場合は、双性イオン形である、本発明の化合物のプロドラッグを意味する。
本明細書で使用する用語「EGFR野生型を超えて選択的な化合物」は、EGFRに比べて高いHER2への効力を示す化合物を指し、該化合物の効力は、後述するBA/F3増殖アッセイ、又は腫瘍細胞株増殖アッセイのような生物学的アッセイで決定可能である。
本明細書で使用する用語「EGFR野生型を温存する」又は「EGFR野生型温存活性」は、化合物のEGFR野生型への低い効力を指し、これは、後述するBA/F3増殖アッセイ、又は腫瘍細胞株増殖アッセイのような生物学的アッセイで決定可能である。
本明細書で使用する用語「HER2増幅による癌」は、癌細胞が、ERBB2の2超の遺伝子コピーを示す癌を指す。
本明細書で使用する用語「HER2過剰発現による癌」は、癌の細胞が、免疫組織化学的検査及び/又はERBB2メッセージRNAをアッセイする方法によって検出可能なレベルでHER2を発現する癌を指す。
本明細書で使用する用語「変異HER2」又は「エクソン20変異を保有するHER2」は、変異HER2タンパク質及び合致する変異DNAバリアントを指し、一方で本明細書で使用する用語「HER2エクソン20変異体」は、HER2エクソン20変異タンパク質及び合致する変異DNAバリアントを指す。
用語「HER2変異癌」又は「HER2変異による癌」は、癌又は腫瘍細胞が、限定するものではないが、表1及び表2に列挙する変異を含めたHER2変異を持っている癌を指す。
本明細書で使用する用語「HER2エクソン20変異による癌」又は「HER2エクソン20変異癌」は、癌又は腫瘍細胞が、限定するものではないが、表1に列挙する変異を含めた少なくとも1種のHER2エクソン20変異を内部に持つ癌を指す。
ERBB2(HER2)エクソン20は、キナーゼドメインの一部をコードし、アミノ酸769から835に及ぶ。この領域内のあらゆる変異、挿入、重複又は欠失が、表1に列挙する変異を含めたエクソン20変異と定義される。さらに発癌性HER2変異は、表2に列挙する変異を含めたエクソン20の外部に存在する。
表1. ERBB2(HER2)エクソン20変異(「p.」は、HER2タンパク質を指している)
Figure 2023512174000008

表2. オルタナティブなHER2変異(「p.」は、HER2タンパク質を指している)
Figure 2023512174000009

略語のリスト
Figure 2023512174000010

本発明の特徴及び利点は、本発明の範囲を限定することなく例として本発明の原理を実証する下記詳細例から明らかになるであろう。
本発明の化合物の調製
通則
本発明の化合物及びそれらの中間体は、当業者に既知であり、かつ有機合成の文献に記載されている合成方法を利用して得ることができる。好ましくは、特に実験セクションで記載するように、以下により完全に説明する調製方法に類似の様式で化合物を得る。場合によっては、反応ステップを行なう順序が異なることがある。当業者に既知であるが、本明細書で詳述しない反応方法の異形を利用してもよい。
本発明の化合物を調製するための一般プロセスは、下記スキームを調べれば当業者には明らかになる。出発材料は、文献若しくは本明細書に記載の方法によって調製可能であり、又は類似若しくは同様の方法で調製してよい。出発材料又は中間体のいずれの官能基をも通常の保護基を用いて保護してよい。これらの保護基は、当業者が精通している方法を利用して、反応シーケンス内の適切な段階で再び切断可能である。
合成経路の一般的反応スキーム及び概要
Figure 2023512174000011
スキーム1. 化合物Cの合成用一般経路1
本発明の化合物Cは、市販のパラ-フルオロニトロベンゼン(A)及びアルコールから出発して合成することができ、これらはニトロ基の置換反応及びその後の還元で反応して対応アミンCをもたらす(例えばIshikawa et al., J. Med. Chem. 2011, 54 (23), 8030-8050; McDaniel et al., J. Med. Chem. 2017, 60 (20), 8369-8384参照)。
Figure 2023512174000012
スキーム2. 化合物Gの合成用一般経路1
Figure 2023512174000013
スキーム3. 化合物Gの合成用一般経路2
本発明の化合物Gは、一般経路1に従って化合物E又はFから合成することができる(例えばWang et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2016, 26 (11), 2589-2593, Wan et al., Org. Lett. 2006, 8, 11, 2425-2428参照)。或いは、本発明の化合物Gは、一般経路2に従って化合物Hから合成することができ、化合物Hが適切なアミンで置換され(例えばWang et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2016, 26 (11), 2589-2593参照)、引き続き、このアルキルスルフィドがスルホキシド又はスルホンに酸化され、ピぺラジンで置換される(例えばDel Bello et al., Bioorg. Med. Chem. 2015, 23 (17), 5725-5733参照)。
Figure 2023512174000014
スキーム4. 式(I)の化合物の合成
本発明の式(I)の化合物は、化合物Gから、Boc保護ピペラジンの脱保護及びその後の塩化アクリロイル又はアクリロイル無水物との反応によって合成することができる(例えばZhang et al., Eur. J. Med. Chem. 2019, 178, 417-432参照)。
別段の定めをした場合を除き、全ての反応は、商業的に得ることができる装置で、化学実験室で通常使用される方法を用いて行なう。空気及び/又は水分に敏感な出発材料は、保護ガス下で貯蔵し、それらを用いる対応反応及び操作は、保護ガス(窒素又はアルゴン)下で行なう。
本発明の化合物は、ソフトウェアAutoNom(Beilstein)又はMarvinSketch(ChemAxon、製品バージョン17.24.3)を用いてCAS規則に準拠して命名する。化合物が構造式によってもその命名法によっても表されている場合、矛盾が生じる場合は、構造式が決定的である。
式(I)の化合物例、I-1~I-12、及び中間体は、一般式の置換基が前述した意味を有する後記合成方法によって調製される。これらの方法は、本発明の要旨及び請求項に係る化合物の範囲をこれらの例に限定することなく本発明の例示とみなす意図である。出発化合物の調製について記載のない場合、それらは商業的に得ることができるか又はそれらの合成が先行技術に記載されているか又はそれらは公知の先行技術化合物若しくは本明細書に記載の方法に類似して調製可能である。すなわち、これらの化合物を合成する有機化学者のスキルの範囲内である。文献に記載の物質は、公表された合成方法に従って調製可能である。
クロマトグラフィー
薄層クロマトグラフィーは、Merck製のガラス(蛍光指示薬F-254を備える)上で既製のシリカゲル60 TLCを用いて行なう。
化合物例の分取高圧クロマトグラフィー(RP HPLC)は、Agilent又はGilsonシステムで、Waters製のカラム(名称:SunFire(商標)Prep C18、OBD(商標)10μm、50×150mm又はSunFire(商標)Prep C18 OBD(商標)5μm、30×50mm又はXbridge(商標)Prep C18、OBD(商標)10μm、50×150mm又はXbridge(商標)Prep C18、OBD(商標)5μm、30×150mm又はXbridge(商標)Prep C18、OBD(商標)5μm、30×50mm)及びYMC(名称:Actus-Triart Prep C18、5μm、30×50mm)を用いて行なう。
Agilentシステムでは5%の酸性モディファイヤー(20mLのHCOOHを1LのH2O/アセトニトリル(1/1)へ)を水に添加し(酸性条件)、Gilsonシステムでは0.1%のHCOOHを水に添加しながら、様々なグラジエントのH2O/アセトニトリルを用いて化合物を溶離する。
Agilentシステムの塩基性条件下でのクロマトグラフィーでは、H2O/アセトニトリルグラジエントを同様に用いて、5%の塩基性モディファイヤーを水性溶離液に添加する(1Lの水性溶離液では50gのNH4HCO3+50mLのNH3(H2O中25%)+H2O)。Gilsonシステムでは水性溶離液は、1LまでH2Oを補充した5mLのNH4HCO3溶液(1LのH2O中158g)及び2mLのNH3(H2O中28%)から成る。
用いたHPLC-MSカラムは、Watersからのもの(Xbridge(商標)C18、2.5μm、2.1×20mm又はXbridge(商標)C18、2.5μm、2.1×30mm又はAquity UPLC BEH C18、1.7μm、2.1×50mm)、YMCからのもの(Triart C18、3.0μm、2.0×30mm)及びPhenomenexからのもの(Luna C18、5.0μm、2.0×30mm)だった。
HPLC-質量分析/UV分光測定
HPLC-MS装置(高速液体クロマトグラフィーと質量検出器)を用いて、本発明の化合物例の特徴づけのための保持時間/MS-ESI+を生じさせる。注入ピークで溶出する化合物に保持時間tRet.=0.00を与える。
方法1
Figure 2023512174000015

方法2
Figure 2023512174000016

方法3
Figure 2023512174000017

方法4
Figure 2023512174000018
化合物C-1~C-12の合成
方法1
Figure 2023512174000019
DMF(5mL)中の1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-オール(500mg、3.38mmol)、1-フルオロ-2-メチル-4-ニトロベンゼン(680.6mg、4.39mmol)及び炭酸カリウム(1.16g、8.44mmol)を80℃で6時間撹拌する。反応混合物を濃縮する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、シクロヘキサン/酢酸エチルグラジエント)で精製する。適切なフラクションを混ぜ合わせ、濃縮して中間体B-1(950mg)を得る。この中間体B-1(950mg、3.35mmol)及び活性炭上のパラジウム(10%、100mg、0.940mmol)をエタノール(10mL)に懸濁させ、水素圧(3バール)下で18~25℃の温度にて一晩撹拌する。反応混合物を濾過し、真空中で濃縮して生成物C-1(840mg)を得る。
方法2
Figure 2023512174000020
DMSO(3mL)中の1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-オール(162mg、1.09mmol)、2-ブロモ-1-フルオロ-4-ニトロベンゼン(240mg、1.09mmol)及び炭酸カリウム(377mg、2.73mmol)を80℃で1時間撹拌する。反応混合物を水上に注ぐ。中間体B-5を濾過により単離し、大量の水(376mg)で洗浄する。この中間体B-5(376mg、1.08mmol)、鉄粉(302mg、5.40mmol)及び塩化アンモニウム(600μLの飽和水溶液)をメタノール(4mL)と水(1mL)の混合物に懸濁させる。反応混合物を80℃で一晩撹拌する。反応混合物を濾過し、真空中で濃縮して生成物C-5(340mg)を得る。
化合物C-2及びC-3(表3)は、上記手順のどちらかに類似して合成され、化合物C-4、C-6~C-12は、上記方法2に類似して合成される。
表3
Figure 2023512174000021


Figure 2023512174000022
化合物G-1~G-12は、以下に示す一般経路1又は一般経路2に従って調製することができる。
一般経路1(スキーム2)に従う化合物Gの合成
化合物Eの合成
Figure 2023512174000023
ジオキサン(200mL)中の6-メタンスルフィニル[1,3]ジアジノ[5,4-d]ピリミジン-4-オール(10.30g、49.0mmol、WO 97/32880に従って調製)及びピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(11.29g、186.3mmol)を16時間還流させながら撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮する。粗生成物をDMSO(200mL)中で80℃にて30分間撹拌し、氷水(1L)上に注ぎ、さらに30分間撹拌する。固体を濾過により収集し、水を用いて粉末にし、ジクロロメタン/メタノール(9/1)に再び溶かす。引き続き有機層を1NのHCl水溶液(200mL)及びブライン(200mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空中で濃縮して化合物E(11.1g)を得る。
表4
Figure 2023512174000024

化合物Gの合成
Figure 2023512174000025
乾燥THF(2mL)中のE(100mg、0.30mmol)、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(230mg、0.43mmol)及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]エンデカ-7-エン(69μL、0.45mmol)を18~25℃の温度で30分間撹拌する。乾燥THF(1mL)中のC-3(81mg、0.30mmol)を添加し、混合物を70℃で16時間撹拌する。混合物を真空中で濃縮し、粗生成物G-3を分取逆相クロマトグラフィーで精製する。
化合物Fの合成
Figure 2023512174000026
E(2.0g、6.02mmol)を乾燥ジクロロメタン(50mL)に懸濁させ、DMF(0.76mL、9.79mmol)を加える。次に、乾燥ジクロロメタン(10mL)中の塩化オキサリル(1.1mL、12mmol)を撹拌反応混合物に滴加する。反応混合物を18~25℃の温度で1時間撹拌してから真空中で濃縮する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、シクロヘキサン/酢酸エチルグラジエント)で精製して生成物F(1.2g)を得る。
表5
Figure 2023512174000027

化合物Gの合成
Figure 2023512174000028
イソプロパノール(15mL)中のF(474mg、1.35mmol)及びC-1(400mg、1.35mmol)を45℃で4時間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮する。粗生成物G-1(794mg)をさらに精製せずに次の合成ステップで使用する。
化合物G-2、G-4~G-12(表8)は、上記手順に類似して合成される。
一般経路2(スキーム3)に従う化合物Gの合成
化合物G-1~G-12は、一般経路2に従って合成することもできる。.
化合物Jの合成
Figure 2023512174000029
イソプロパノール(10mL)中の8-クロロ-2-(メチルチオ)ピリミド[5,4-d]ピリミジン(500mg、1.97mmol)及びC-1(492mg、1.97mmol)を50℃で3時間撹拌する。沈殿物を濾過により収集し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン/メタノールグラジエント)で精製して生成物J-1(840mg)を得る。
表6
Figure 2023512174000030

化合物Kの合成
Figure 2023512174000031
ジクロロメタン(30mL)中のJ-1(860mg、1.80mmol)、m-クロロ過安息香酸(77%、444mg、1.98mmol)を5℃で加え、反応混合物を18~25℃の温度で2時間撹拌する。NaHCO3飽和水溶液(200mL)を加え、水層をジクロロメタンで数回抽出する。混ぜ合わせた有機層を水で洗浄し、乾燥させ(Mg2SO4)、濾過し、真空中で濃縮する。粗生成物K-1をさらに精製せずに次ステップで使用する(803mg)。
表7
Figure 2023512174000032

化合物Gの合成
Figure 2023512174000033
K-1(200mg、0.43mmol)、ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(98mg、0.51mmol)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンを乾燥ジオキサン(5mL)に懸濁させる。反応混合物を18~25℃で1時間撹拌した。次に反応混合物を70℃まで加熱してから、追加のピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(41mg、0.21mmol)を加えた。反応混合物を70℃でさらに1時間撹拌した。次に反応混合物を18~25℃の温度に冷却し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン/メタノールグラジエント)で精製して生成物G-1(175mg)を得る。
表8
Figure 2023512174000034



Figure 2023512174000035



Figure 2023512174000036

化合物Lの合成
Figure 2023512174000037
G-1(175mg、0.31mmol)をジクロロメタン(1mL)に溶かす。メタノール(1mL)を加えて溶解性を改善してもよい。HCl(ジオキサン中4N、0.5mL)を加えて反応混合物を18~25℃の温度で2時間撹拌するとHPLC-MSが完全な変換を示した。反応混合物をメタノールで希釈し、減圧下で濃縮する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン/メタノール中アンモニアグラジエント)で精製して生成物L-1(113mg)を得る。
化合物L-2~L-12(表9)は、上記手順に類似して合成される。
表9
Figure 2023512174000038


Figure 2023512174000039

化合物I-1~I-12の合成
Figure 2023512174000040
乾燥ジクロロメタン(7mL)中のL-1(200mg、0.42mmol)の溶液に、4-ジメチルアミノピリジン(5.1mg、0.042mmol)及びトリメチルアミン(0.18mL、1.26mmol)を加える。次に、アクリル酸無水物(55μL、0.46mmol)を撹拌反応混合物に滴加する。反応混合物を18~25℃の温度で1時間撹拌する。次に反応混合物をジクロロメタンで希釈し、NaHCO3飽和水溶液で2回洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、RP-HPLC-MSで精製する。混ぜ合わせた生成物フラクションを濃縮して生成物(128mg)を得た。
或いは、塩化アクリロイルを使用してもよい:L-1(120mg、0.257mmol)を乾燥ジクロロメタン(5mL)及びトリエチルアミン(214μL、2.0mmol)に懸濁させる。塩化アクリロイル(32μL、0.39mmol)を3回に分けて1.5時間かけて添加する。反応混合物を18~25℃の温度でさらに0.5時間撹拌するとHPLC-MSが完全な変換を示す。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、NaHCO3飽和水溶液で洗浄する。有機層を乾燥させ、濃縮する。粗生成物を分取RP-HPLC-MSで精製して生成物I-1(73mg)を得る。
化合物I-2~I-12(表10)は、上記手順に類似して合成される。
表10
Figure 2023512174000041


Figure 2023512174000042


Figure 2023512174000043

生物学的アッセイ
Ba/F3細胞モデル生成及び増殖アッセイ
Ba/F3細胞をDSMZ(ACC300)に発注し、RPMI-1640(ATCC 30-2001)+10%のFBS+10ng/mlのIL-3中37℃で5%のCO2雰囲気内で成長させた。HER2変異体及びEGFR WTを含有するプラスミドをGeneScriptから得た。EGFR/HER2依存性Ba/F3モデルを生成するため、EGFR WT、HER2 WT又はHER2変異体(YVMA)を内部に持つベクターを含有するレトロウイルスをBa/F3細胞に形質導入した。レトロウイルスパッケージングのためPlatinum-E細胞(Cell Biolabs)を用いた。レトロウイルスをBa/F3細胞に添加した。感染を確実にするため、4μg/mLのポリブレンを加えて細胞をスピンフェクト(spinfect)した。セルアナライザーを用いてGFP陽性細胞を測定することによって感染効率を確認した。感染効率が10%~20%の細胞をさらに培養し、1μg/mLでピューロマイシンセレクションを開始した。コントロールとして、親Ba/F3細胞を用いてセレクション状態を評価した。親Ba/F3細胞培養が死滅したときにセレクションが成功したとみなした。HER2変異の形質転換能を調べるため、成長培地にもはやIL-3を補充しなかった。空のベクターを内部に持つBa/F3細胞をコントロールとして使用した。EGFリガンドへのその依存性で知られているEGFR WTを用いてIL-3からEGFへの切り替えをBa/F3細胞について行なった。実験を行なう約10日前に、ピューロマイシンを除去した。増殖アッセイのため(表12及び14のデータ)、Ba/F3細胞を成長培地中5×103細胞/100μLで96ウェルプレートに播種した。HP D3000デジタルディスペンサーを用いて化合物を添加した。全ての処置を技術的3反復行なった。処置細胞を72時間37℃で5%CO2と共にインキュベートした。CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を行ない、マルチラベルプレートリーダーVICTOR X4を用いて化学発光を測定した。生データをインポートし、ベーリンガーインゲルハイム所有ソフトウェアMegaLab(プログラムPRISM, GraphPad Inc.に基づくカーブフィッティング)で解析した。
pEGFRアッセイ
このアッセイは、Tyr1068でのEGFRのリン酸化を定量化するので、HEK細胞に発現させたトランスジェニックEGFR野生型(WT)タンパク質に対する化合物の阻害効果を測定するために利用した。
ヒトHEK細胞(ATCC CRL-1573)を、L-グルタミンがなく、非必須アミノ酸及びピルビン酸ナトリウム(EMEM Lonza BE12-662F)+5ml GlutaMax(Gibco 35050-038;L-アラニル-L-グルタミン)+5mlのSodium Pyruvat(Gibco 11360-039;100mM)+10%FBSを含むイーグル最少必須培地、MEM Eagle EBSSで37℃にて5%のCO2雰囲気内で成長させ、EGFR WTをコードするレトロウイルスベクターを形質導入した。形質導入された細胞をピューロマイシンを用いて選択した。AlphaScreen Surefire pEGF受容体(Tyr1068)アッセイ(PerkinElmer, TGRERS)を利用してp-EGFR Tyr1068を測定した。このアッセイのため、10%のFBSを含むMEM培地にHEK EGFR WT細胞を播種した。Echoプラットフォームを用いてGreiner TC 384プレートの各ウェルに60nLの化合物希釈物を添加した。引き続き、60μL中60.000細胞/ウェルを添加した。細胞を化合物と共に4時間37℃でインキュベートした。遠心分離及び培地上清の除去後、プロテアーゼ阻害薬を含むTGR/Perkin Elmerキットの20μLの1.6倍溶解バッファーを添加した。混合物を20~25℃の温度で振盪(700rpm)させながら20分間インキュベートした。遠心分離後、4μLのライセートをProxiplateに移した。5μLのアクセプターミックス(混ぜ合わせた反応バッファー1と反応バッファー2(TGRERS Assay Kit, PerkinElmer)で1:25希釈した活性化バッファー+1:50のProtein A Acceptor Beads 6760137, Perkin Elmer)を各ウェルに添加した。プレートを1分間振盪させ(1400rpm)、2時間20~25℃の温度にて暗所でインキュベートした。3μLのドナーミックス(希釈バッファー(TGRERS Assay Kit, PerkinElmer)で1:50希釈したAlphaScreen StreptavidinコートDonor Beads(6760002, PerkinElmer)を各ウェルに添加した。プレートを1時間振盪させ(1400rpm)、2時間20~25℃の温度にて暗所でインキュベートした。その後にEnvisionリーダープラットフォームを用いてプレートを解析した。結果を以下のようにコンピュータ処理した:試験化合物の値とネガティブコントロール(DMSO)の値の比を計算した。MEGASTAR IC50アプリケーションで4パラメトリックロジスティックモデルを用いてこれらの値からIC50値を計算する。
この細胞ホスホEGFR(pEGFR)化合物用量反応アッセイは、EGFR WTを発現するHEK細胞のTyr1068でのEGFRのリン酸化を定量化する。アッセイの結果をIC50値として提供する。所与の化合物についてのpEGFR IC50値が高いほど、EGFR WT温存活性が高い。
pHER2(ERBB2) YVMAアッセイ
このアッセイはTyr1221/1222でのHER2 YVMAのリン酸化を定量化するので、ドキシサイクリン誘導発現系を用いてHEK細胞に発現させたトランスジェニックHER2 YVMAタンパク質に対する化合物の阻害効果を測定するために利用した。
ヒトHEK細胞を、L-グルタミンがなく、非必須アミノ酸及びピルビン酸ナトリウム(EMEM Lonza BE12-662F)+5mlのGlutaMax(Gibco 35050-038;L-アラニル-L-グルタミン)+5mlのSodium Pyruvat(Gibco 11360-039;100mM)+10%FBSを含むイーグル最少必須培地、MEM Eagle EBSSで37℃にて5%のCO2雰囲気内で成長させ、HER2 YVMAをコードするレトロウイルスベクターを形質導入した。形質導入された細胞をピューロマイシンを用いて選択した。AlphaScreen Surefire ErbB2(Tyr1221/1222)アッセイ(PerkinElmer, TGREB2S)を利用してp-HER2 Tyr1221/1222を測定した。このアッセイのため、10%FBSを含むMEM培地にHEK HER2 YVMA細胞を播種した。化合物添加4時間前に、1μg/mlのドキシサイクリンを用いてHER2 YVMA発現を誘導した。Echoプラットフォームを用いて60nLの化合物希釈物をGreiner TC 384プレートの各ウェルに添加した。引き続き、60μL中60.000細胞/ウェルを添加した。細胞を化合物と共に4時間37℃でインキュベートした。遠心分離及び培地上清の除去後、プロテアーゼ阻害薬を含むTGR/Perkin Elmerキットから20μLの1.6倍溶解バッファーを添加した。混合物を20~25℃の温度で振盪させながら(700rpm)20分間インキュベートした。遠心分離後、4μLのライセートをProxiplatesに移した。5μLのアクセプターミックス(混ぜ合わせた反応バッファー1と反応バッファー2(TGREB2S Assay Kit, PerkinElmer)で1:25希釈した活性化バッファー+1:50のタンパク質A Acceptor Beads 6760137, PerkinElmer)を各ウェルに添加した。プレートを1分間振盪させ(1400rpm)、2時間20~25℃の温度にて暗所でインキュベートした。3μLのドナーミックス(希釈バッファー(TGRERS Assay Kit, PerkinElmer)で1:50希釈したAlphaScreen StreptavidinコートDonor Beads(6760002, PerkinElmer)を各ウェルに添加した。プレートを1分間振盪させ(1400rpm)、2時間20~25℃の温度にて暗所でインキュベートした。その後にEnvisionリーダープラットフォームを用いてプレートを解析した。結果を以下のようにコンピュータ処理した:試験化合物の値とネガティブコントロール(DMSO)の値の比を計算した。これらの値からMEGASTAR IC50アプリケーションで4パラメトリックロジスティックモデルを用いてIC50値を計算する。
この細胞ホスホHER2 YVMA(pHER2 YVMA)化合物用量反応アッセイは、HER2 YVMAを発現するHEK細胞のTyr1221/1222でのHER2 YVMAのリン酸化を定量化する。アッセイの結果をIC50値として提供する。所与の化合物について報告したpHER2 YVMA IC50値が低いほど、HER2 YVMAキナーゼ活性に対する化合物の阻害効果が強い。
HER2 YVMA腫瘍細胞株モデル生成及び増殖アッセイ
HER2 WT依存性NCI-H2170細胞を(ATCC, CRL-5928)に発注し、RPMI-1640(Gibco # A10491) ATCC-Formulation+10% FBSで37℃にて5%のCO2雰囲気内で成長させた。相同指向性ゲノムエンジニアリング(Homology-directed genome engineering)を利用して、YVMAをコードする12個のヌクレオチド配列をNCI-H2170細胞のゲノムHER2遺伝子座のエクソン20に挿入した。これは、HER2 WTからHER2 YVMAバリアントへの変化、すなわちHER2 p.A775_G776insYVMAをもたらした。HER2エクソン20 YVMA挿入バリアントを含有する鋳型DNAをGenScriptから得た。PCR後にサンガーシーケンシングを利用して、YVMAアミノ酸重複をもたらす、HER2エクソン20における12-ヌクレオチド挿入の存在を確認した。
増殖アッセイのために、NCI-H2170(HER2野生型)、NCI-H2170 HER2 YVMA及びEGFR WT依存性A431細胞を使用した。NCI-H2170 HER2 YVMA又はNCI-H2170細胞を成長培地(RPMI ATCC+10%FBS、+ペニシリン/ストレプトマイシン)中750細胞/60μLで96ウェルプレートに播種した。96ウェルプレートの1ウェル(200μl)当たり5000個の細胞密度でA431細胞(ATCC CRL-1555)(DMEM(Sigma #D6429)+5mlのSodium Pyruvat Gibco 11360-039)を蒔いた。細胞を蒔いた翌日にHP D3000デジタルディスペンサーを用いて化合物を添加した。全ての処置を技術的3反復行なった。処置細胞を72時間37℃で5%のCO2と共にインキュベートした。CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を行ない、マルチラベルプレートリーダーVICTOR X4を用いて化学発光を測定した。生データをインポートし、ベーリンガーインゲルハイム所有ソフトウェアMegaLab(プログラムPRISM, GraphPad Inc.に基づくカーブフィッティング)で解析した。
表11. バイオマーカーアッセイ
Figure 2023512174000044

表12. 腫瘍細胞増殖アッセイ
Figure 2023512174000045

表13. バイオマーカーアッセイ
Figure 2023512174000046



Figure 2023512174000047

表14. 腫瘍細胞増殖アッセイ
Figure 2023512174000048

製剤処方の例
Figure 2023512174000049

活性物質を粉砕し、ラクトース及び一部のトウモロコシデンプンと一緒に混合する。混合物を篩過してから、ポリビニルピロリドン溶液を用いて湿式造粒する。これらの顆粒、残りのトウモロコシデンプン及びステアリン酸マグネシウムを一緒に混合する。混合物を圧縮して適切な形状及びサイズの錠剤を作製する。

Claims (16)

  1. 式(I)
    Figure 2023512174000050
    (式中、
    R1は、水素、-CH3、-CCH、-OCH3及びハロゲンから成る群より選択され、
    R2は、水素又はハロゲンであり、
    R3は、水素又はハロゲンであり、
    R4は、水素又は-CH3であり、
    かつR1、R2及びR3の少なくとも1つは水素でない)
    の化合物又はその塩。
  2. R1が、-CH3、-CCH、-OCH3及びハロゲンから成る群より選択される、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  3. R1が、-CH3である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  4. R1が、塩素である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  5. R1が、臭素である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  6. R1が、フッ素である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  7. R2が、水素である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  8. R2が、塩素、臭素及びフッ素から成る群より選択される、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  9. R3が、塩素、フッ素又は水素である、請求項1又は9に記載の化合物又はその塩。
  10. R4が、-CH3である、請求項1~13に記載の化合物又はその塩。
  11. R1とR2が、両方とも水素である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  12. 例I-01~I-12:
    Figure 2023512174000051



    Figure 2023512174000052


    Figure 2023512174000053


    から成る群より選択される、請求項1に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
  13. 治療有効量の請求項1~12のいずれか1項に記載の式(I)の少なくとも1種の化合物又はその医薬的に許容される塩と、1種以上の医薬的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
  14. 薬物として使用するための、請求項1~12の1項以上に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
  15. 脳癌、乳癌、胆道癌、膀胱癌、子宮頚癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、皮膚癌、食道腫瘍、頭頚部腫瘍、胃腸癌、胆嚢腫瘍、腎臓癌、肝臓癌、肺癌又は前立腺癌を患っている患者を治療するための、請求項1~12の1項以上に記載の化合物の使用。
  16. 式(I)の化合物に加えて、細胞分裂阻害活性物質及び細胞傷害活性物質から成る群より選択される医薬的に活性な化合物を含む、医薬組成物。
JP2022542951A 2020-02-03 2021-02-01 HER2阻害薬としての[1,3]ジアジノ[5,4-d]ピリミジン Pending JP2023512174A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP20155157 2020-02-03
EP20155157.9 2020-02-03
PCT/EP2021/052261 WO2021156178A1 (en) 2020-02-03 2021-02-01 [1,3]diazino[5,4-d]pyrimidines as her2 inhibitors

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2023512174A true JP2023512174A (ja) 2023-03-24
JPWO2021156178A5 JPWO2021156178A5 (ja) 2024-02-08

Family

ID=69467424

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022542951A Pending JP2023512174A (ja) 2020-02-03 2021-02-01 HER2阻害薬としての[1,3]ジアジノ[5,4-d]ピリミジン

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20230126204A1 (ja)
EP (1) EP4100409A1 (ja)
JP (1) JP2023512174A (ja)
CN (1) CN115052878A (ja)
WO (1) WO2021156178A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11608343B2 (en) * 2020-04-24 2023-03-21 Boehringer Ingelheim International Gmbh Substituted pyrimido[5,4-d]pyrimidines as HER2 inhibitors
TW202214641A (zh) 2020-06-30 2022-04-16 美商艾瑞生藥股份有限公司 Her2突變抑制劑
WO2023081637A1 (en) 2021-11-02 2023-05-11 Enliven Therapeutics, Inc. Fused tetracyclic quinazoline derivatives as inhibitors of erbb2
KR20230143959A (ko) * 2022-04-05 2023-10-13 보로노이 주식회사 헤테로아릴 유도체 및 이의 용도
CN117384162A (zh) * 2022-05-17 2024-01-12 浙江文达医药科技有限公司 选择性her2抑制剂

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19608588A1 (de) 1996-03-06 1997-09-11 Thomae Gmbh Dr K Pyrimido [5,4-d]pyrimidine, diese Verbindungen enthaltende Arzneimittel, deren Verwendung und Verfahren zu ihrer Herstellung
CN1602195A (zh) 2001-12-12 2005-03-30 辉瑞产品公司 用于治疗异常细胞生长的喹唑啉衍生物
BRPI0416190A (pt) 2003-11-06 2007-01-23 Pfizer Prod Inc combinações selectivas de inibidor erbb2/anticorpo anti erbb no tratamento do cancro
CA2755268C (en) 2005-11-15 2013-12-31 Array Biopharma, Inc. Erbb inhibitors
EP3143015B1 (en) 2014-05-13 2019-02-20 ARIAD Pharmaceuticals, Inc. Heteroaryl compounds for kinase inhibition
SI3157916T1 (sl) 2014-06-19 2019-05-31 Ariad Pharmaceuticals, Inc. Heteroarilne spojine za zaviranja kinaze
US20210323976A1 (en) 2015-05-13 2021-10-21 Ariad Pharmaceuticals, Inc. Heteroaryl compounds for kinase inhibition
AU2018325442B2 (en) 2017-08-31 2023-04-13 Dana-Farber Cancer Institute, Inc. Inhibitors of EGFR and/or HER2 and methods of use
EP3677583A4 (en) * 2017-09-01 2021-07-21 Shanghai Pharmaceuticals Holding Co., Ltd. NITROGEN HETEROCYCLIC COMPOUND, MANUFACTURING PROCESS, INTERMEDIATE, COMPOSITION AND USE

Also Published As

Publication number Publication date
US20230126204A1 (en) 2023-04-27
WO2021156178A1 (en) 2021-08-12
EP4100409A1 (en) 2022-12-14
CN115052878A (zh) 2022-09-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7189956B2 (ja) Sos1阻害剤としての新規なベンジルアミノ置換ピリドピリミジノンおよび誘導体
JP7219218B2 (ja) 新規のベンジルアミノ置換キナゾリンおよびsos1阻害剤としての誘導体
JP7260723B2 (ja) HER2阻害薬としての[1,3]ジアジノ[5,4-d]ピリミジン
JP2023512175A (ja) HER2阻害薬としての[1,3]ジアジノ[5,4-d]ピリミジン
EP4157837A1 (en) Annulated 2-amino-3-cyano thiophenes and derivatives for the treatment of cancer
JP2023512174A (ja) HER2阻害薬としての[1,3]ジアジノ[5,4-d]ピリミジン
KR20220024191A (ko) 항암제 조합 요법
WO2023099612A1 (en) Annulated 2-amino-3-cyano thiophenes and derivatives for the treatment of cancer
WO2023099620A1 (en) Kras degrading compounds comprising annulated 2-amino-3-cyano thiophenes
WO2023099608A1 (en) Annulated 2-amino-3-cyano thiophenes and derivatives for the treatment of cancer
WO2023099592A1 (en) Annulated 2-amino-3-cyano thiophenes and derivatives for the treatment of cancer
WO2023099623A1 (en) Annulated 2-amino-3-cyano thiophenes and derivatives for the treatment of cancer
WO2018167019A1 (en) Tosylacetate based compounds and derivatives thereof as phgdh inhibitors

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240131

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240131