JP2023509619A - 心臓内ペーシングを提供するように構成されているリードレス心臓ペースメーカー・デバイス - Google Patents

心臓内ペーシングを提供するように構成されているリードレス心臓ペースメーカー・デバイス Download PDF

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Abstract

Figure 2023509619000001
心臓内ペーシングを提供するように構成されているリードレス・ペースメーカー・デバイス1は、ハウジング10と、ハウジング10上に配置されており電気信号を受信するように構成されている電極構成体と、ハウジング10内に封入されており電極構成体に動作可能に接続されている処理回路構成15とを備え、処理回路構成15は、電極構成体を介して受信された電気信号から導出された第1の処理信号を処理するための第1の利得G1を有する第1の処理チャネル16と、電極構成体を介して受信された電気信号から導出された第2の処理信号を処理するための第2の利得G2を有する第2の処理チャネル17とを備え、第2の利得G2は第1の利得G1よりも高い。

Description

本発明は一般に心臓内ペーシングを提供するためのリードレス心臓ペースメーカー・デバイスに関し、特に心室ペーシング、詳細にはVDDペーシングに関する。
近年、リードレス・ペースメーカーへの注目が高まっている。リードレス・ペースメーカーは、静脈経由で心臓内へと延びるリードを使用する皮下に埋め込まれるペースメーカーとは対照的に、ペースメーカー・デバイス自体が心臓内に埋め込まれ、ペースメーカーは心臓組織、特に右心室の右心室壁に埋め込まれるためのカプセルの形状を有しているため、リードは用いない。そのようなリードレス・ペースメーカーはリードを使用しないという固有の利点を呈し、これにより静脈経由で心臓に到達するリードが関与する患者のリスク、例えば気胸、リードの抜け、心臓穿孔、静脈血栓症などのリスクを低減することができる。
リードレス・ペースメーカーは右心室内に埋め込まれるように特定的に設計されてもよく、この場合埋め込み時には右心室の壁内又は壁上に設置される。心室ペーシングは例えば、AV結節において機能不全が生じているが洞結節機能は損なわれておらず適正である場合に必要とされ得る。そのような場合特にVDDペーシングが望まれる場合があるが、これには心房トラッキングを伴う心室ペーシングが含まれ、したがって内因的な心房収縮に基づいて心室をペーシングするために心房活動の感知が必要である。
VDDペーシングは、心室前負荷の最大化、AV弁逆流の制限、低い平均心房圧の維持、並びに自律神経及び神経体液性反射の調節を可能にし得る、適正な洞結節機能を利用した心室ペーシングのトリガによる房室(AV:atrioventricular)同期という、患者の血行動態上の利益を特に動機付けとしている。
出願人の知るところでは、VDD心臓内リードレス・ペースメーカーは現在のところ市販されていないが、動き、音、及び圧力の感知を含む心房収縮の機械的イベントを検出するためのモダリティを使用するための解決法が文献において模索されている(例えば、心房収縮タイミングを判定するための圧力センサ及び/又は加速度計を含むリードレス心臓ペースメーカーを開示している、米国特許出願公開第2018/0021581(A1)号を参照)。心房収縮によって生み出される機械的イベントは心室から感知されるときに呈する信号の量が一般に小さいので、機械的イベントに基づく信号、例えば動き、音、又は圧力の検出は困難な場合がある。更に、心房収縮によって生じた壁の動き及び血液の移動は心室に直接伝わらない場合があり、動き、心音、及び圧力などの心臓の血行動態信号は、姿勢及び患者活動などの外部要因によって影響され易い。
米国特許出願公開第2018/0021581(A1)号
特に、房室同期を伴い、それ故に心房イベントに基づく心室ペーシングを提供するためにそのような心房イベントの確実な感知を必要とする心室ペーシングを可能にする、リードレス・ペースメーカー・デバイス、及びリードレス・ペースメーカー・デバイスを動作させるための方法を提供することが目的である。
そのような要望は、請求項1の特徴を有する、心臓内ペーシングを提供するように構成されているリードレス心臓ペースメーカー・デバイスによって対処される。
一態様では、ペースメーカー・デバイスは、ハウジングと、ハウジング上に配置されており電気信号を受信するように構成されている電極構成体と、ハウジング内に封入されており電極構成体に動作可能に接続されている処理回路構成とを備え、処理回路構成は、電極構成体を介して受信された電気信号から導出された第1の処理信号を処理するための第1の利得を有する第1の処理チャネルと、電極構成体を介して受信された電気信号から導出された第2の処理信号を処理するための第2の利得を有する第2の処理チャネルとを備える。ある実施例によれば、第2の利得は第1の利得よりも高い。
リードレス・ペースメーカー・デバイスは複数の処理信号を利用するように構成されている。そのような処理信号を得るために電極構成体が提供され、この電極構成体は、処理信号が導出される電気信号を受信するための1つ又は複数の電極から成る。本明細書における処理信号は例えば、各々1つの電極対を使用して得ることができ、異なる処理信号を得るために、同じ電極対を使用する場合も異なる複数の電極対を使用する場合もある。この第1のケースでは心内心電図などの単一の電気信号を得ることができ、そこから異なる処理信号、すなわち別個に処理される第1の処理信号及び第2の処理信号が導出される。第2のケースでは、例えば心室感知信号及び心房感知信号(すなわち、心房感知に最適化した感知を適用することによるもの)に関連する別個の電気信号を、そのような異なる電気信号から第1の処理信号及び第2の処理信号を導出するために受信することができ、それら異なる電気信号は例えば、電極構成体の同じ電極対又は異なる複数の電極対を使用して受信される。後者の場合、別個の電気信号は例えば、処理回路構成の異なる処理チャネルにおいて処理され、それら異なる処理チャネルは異なる感知回路構成と関連付けられている。例えば、ある処理チャネルは心室活動の特徴を示す電気信号を処理するための低利得処理チャネルとして構成されており、別の処理チャネルは心房活動の特徴を示す電気信号を処理するための高利得チャネルとして構成されている。
異なる処理信号は、処理回路構成の異なる処理経路において処理される。このため、処理回路構成は第1の処理信号を処理するための第1の処理チャネルを備え、第1の処理信号は例えば、リードレス・ペースメーカー・デバイスの例えば患者の心臓の心室内での設置に応じて、第1の処理チャネルが比較的低い利得を呈し得るような強さとなり得る、近接場(near-field)(特に心室)感知信号に関連している。更に、処理回路構成は、第2の処理信号を処理するための第2の処理チャネルを備え、この第2の処理信号は例えば、リードレス・ペースメーカー・デバイスを例えば心室内に設置する場合に、埋め込みの位置と信号の発生源の間の距離に起因してその振幅が小さくなり得る、遠隔場(far-field)(例えば心房)感知信号に関連し得る。第2の処理信号の確実な処理を可能にするために、第2の処理チャネルは、受信した信号内で心房活動に関連する特徴を適切に分析できるように、第1の処理チャネルの利得よりも高い利得を呈する。
例えば心室内にリードレス・ペースメーカー・デバイスを設置する場合、心房活動は遠隔場において生じるため、心房活動に由来するP波が呈する振幅はQRS波及びT波に対して小さい場合があるので、(例えば標準的な心室のQRS感知チャネルを介して得られる)標準的な心室感知信号内の心房イベントを判別するのは難しい場合がある。この理由のために、遠隔場活動に関連する信号部分は第2の処理チャネル内で近接場活動に関連する信号とは別個に処理されてもよく、この結果、第2の処理チャネル内で遠隔場イベントがより高い信頼性及び向上したタイミング精度で検出され得る。
ハウジングはリードレス・ペースメーカー・デバイスの密閉封止を提供し、リードレス・ペースメーカー・デバイスはハウジング内に、処理回路構成、バッテリなどのエネルギー貯蔵部、電気及び電子回路構成などの、自立的動作に必要な全ての構成要素を含む。ハウジングは流体を通さず、リードレス・ペースメーカー・デバイスを心臓組織内に埋め込むことができ、連続的な心臓ペーシング動作を提供するために心臓組織内に長い期間にわたって維持できるようになっている。
リードレス・ペースメーカー・デバイスは一態様では、右心室又は左心室内に設置されることになる。
一態様では、リードレス・ペースメーカー・デバイスは、ペースメーカー・デバイスを心臓内組織、特に心室壁に固定するために、ハウジングの先端部に配置されている少なくとも1つの固定要素を有する、固定デバイスを備える。一実施例では、細いワイヤの形状の1つ又は複数の固定要素、例えば形状記憶効果を呈するニチノール製のタインを設けてもよい。別の実施例では、ねじアンカーの形状の固定要素を設けてもよい。
一態様では、電極構成体は、ハウジングの先端部の近傍に配置されている第1の電極を備える。ペースメーカー・デバイスが埋め込まれた状態では第1の電極は心臓組織上に留置されることになり、このとき第1の電極は、心臓組織に刺激信号を注入してペーシング作用、特に心室ペーシングを引き起こすのに有効な位置で心臓組織と接触している。
一態様では、電極構成体は、ハウジングの周囲に円周方向に延在する電極リングによって形成されている第2の電極を備える。別法として、第2の電極は例えば、ハウジング上に形成されているパッチ又は別の導電エリアによって形成されてもよい。第2の電極はハウジングの先端部から距離をおいて、したがって先端部に配置されている第1の電極から距離をおいて、設置されている。
一実施例では、処理回路構成は、上記第1の処理信号として、第1の電極と第2の電極の間で感知された第1の信号を処理するように構成されている。そのような第1の信号は、第1の電極及び第2の電極で構成される1対の電極間で受信されることになる近接場ベクトルとして表され得る。第1の電極及び第2の電極は、一実施例では互いに比較的近い距離に位置する場合があるので、そのような電極対は主として、リードレス・ペースメーカー・デバイスに密に近接して、すなわち、リードレス・ペースメーカー・デバイスが心室内に埋め込まれる場合に心室内の近接場領域内で、信号を受信するのに適している。第1の電極と第2の電極の間で受信された感知信号は、例えば信号における近接場(例えば心室)イベントを検出するための処理を行うための、第1の処理チャネルに提供される。
一実施例では、ハウジングは先端部の反対側に遠端部を備え、電極構成体は、ハウジングの先端部の反対側の遠端部上に配置されている第3の電極を備える。第3の電極は、処理回路構成が第3の電極を介して受信された信号を受信及び処理することが可能になるように、処理回路構成に動作可能に接続されている。
一態様では、処理回路構成は、上記第2の処理信号として、第1の電極と第2又は第3の電極の間で感知された第2の信号を処理するように構成されている。第1の電極と第2又は第3の電極の間で生じるそのような第2の信号ベクトルを遠隔場ベクトルと呼ぶ場合があり、第1の電極及び第3の電極は互いに対して第1及び第2の電極よりも大きい距離を呈する。第2の信号は特に、リードレス・ペースメーカー・デバイスが心室内に設置される場合に、ペーシング刺激を注入する前の内因的な心房活動を第2の信号によって捕捉できるように、遠隔場におけるイベント、すなわち心房収縮を検出するように処理され得る。
心室におけるペースメーカー・デバイスの埋め込みの位置に心房収縮に続いて適時に刺激を注入することによって心房と心室の同期をもたらすために、第1の電極と第3の電極の間で感知される第2の信号を使用して、内因的な心房収縮を感知することができる。第2の信号は、検出された心房イベントに基づいてペーシング作用を提供し、これにより房室(AV)同期下での心室ペーシングを可能にする目的で、信号を処理し信号から心房イベントを検出するために、第2の処理チャネルに提供される。
一態様では、収縮信号を感知するため及びペーシング刺激信号を発出するための両方で、リードレス・ペースメーカー・デバイスの電極の同じセット(又はサブセット)が使用される。このために、一実施例では、リードレス・ペースメーカー・デバイスの処理回路構成は、受信した信号の処理とペーシング信号の生成を交互に行うことによって、感知モードと刺激モードの間の切り替えを行うように構成されている。特に、処理回路構成は、心周期の第1の段階において心房収縮を感知するように構成され得る。心房収縮が検出される場合、処理回路構成は、感知された心房イベント後にある時間遅延内で心室活動を感知し得る。心室活動が感知されない場合、ペースメーカー・デバイスは、第1の電極及び第2の電極の少なくとも一方を使用してペーシング信号が生成及び発出される、刺激モードへの切り替えを行い得る。ペーシング信号が発出された後で、心房収縮を新たに感知してペーシング動作を継続することができる。
一実施例では、第2の処理チャネルは、第2の処理信号においてある波部分を別の波部分から区別するための処理段を備える。処理段は特に、第2の処理信号にバンドパス・フィルタリング、第2の受信信号の一部を更なる処理から除外するためのブランキング窓、移動平均フィルタリング、及び整流を適用するように構成され得、これらを含み得る。処理段によって、特に処理されるべき信号内の例えば心房イベントを示し得るような波部分が、分離及び/又は強調されることになる。リードレス・ペースメーカー・デバイスが患者の心臓の心室内に設置される場合、遠隔場(例えば心房)活動に関連する信号部分は、近接場(例えば心室)活動に関連する信号部分よりもはるかに小さい振幅を有し得る。このように、この処理は、遠隔場(心房)活動に関連する信号、すなわちいわゆるP波を含み得るような異なる信号部分を識別するために、そのような信号部分を区別する役割を果たす。
P波を分離するために、バンドパス・フィルタリングを適用し、これにより、心室活動に由来するQRS波及びT波に特に関連する波部分から、P波に関連する波部分を区別することができる。別法として又は追加として、第2の処理信号の特定の部分、すなわち遠隔場(例えば)心房活動以外のイベントに由来する信号を含むような部分を無効にするために、ブランキング法を適用してもよい。この場合、ブランキング窓が、遠隔場活動にとって重要でなくむしろ遠隔場活動の検出に干渉し得る信号部分を発現させないように機能する。ブランキング窓によって、信号の遠隔場(例えば心房)活動に関連しないような部分はしたがって、遠隔場活動に関連する(可能性の高い)信号部分に処理が限定されるように、処理から除外される。別法として又は追加として、移動平均フィルタリング、有限差分、又は信号の整流などの他の方法を適用してもよい。移動平均フィルタは本明細書では処理信号を平滑化するために使用され得る。整流は、信号の大きさが事前に決定された閾値を上回る時点を識別するために、処理された信号を(単一の)閾値と容易に比較する役割を果たし得る。整流された処理済みの信号を調整可能な閾値と比較することもできる。
一実施例では、第1の処理チャネルは、第1の受信信号における少なくとも1つの近接場イベントを検出するための第1の検出段を備える。本明細書では、第2の処理チャネルの処理段は、第1の処理チャネルの第1の検出段によって検出された近接場(例えば心室)イベントに基づいて、第2の受信信号の一部を更なる処理から除外するためのブランキング窓の少なくとも1つの限度値を決定するように構成され得る。第1の処理チャネルは、近接場イベント、すなわち埋め込まれたリードレス・ペースメーカー・デバイスに密に近接した、例えばリードレス・ペースメーカー・デバイスが中に埋め込まれている心室における活動に起因するイベントを検出するために、処理信号をより低い利得で処理する役割を果たす。近接場イベントは第2の処理信号にも含まれることになるので、近接場活動に関連するような信号部分、すなわちリードレス・ペースメーカー・デバイスが心室内に設置される場合のQRS波及びT波を無効にするのが有利である。ブランキング窓を適正に位置付ける目的で、例えば心房イベントと心室イベントの間の標準的なタイミングを判定するために、検出された近接場イベントを考慮してもよい。開始時間及び停止時間によって定められるブランキング窓が第2の処理信号の近接場(心室)イベントに関連するような部分を無効にするために適切に設定され得るように、検出された近接場イベントから、遠隔場イベント後にどのような時間範囲内で近接場イベントが典型的に発生することになるかを判定することができる。
例えば第2の高利得処理チャネル内で電力を節減するために、ブランキング窓の間、第2の処理チャネルは少なくとも部分的にオフにされ得る。第2の処理チャネルは例えば、第2の処理信号を増幅するための増幅段を備えてもよく、増幅段は、ブランキング窓の時間間隔中に増幅によって電力が消費されないように、ブランキング窓の期間中オフにされてもよい。
ブランキング窓の外にある検出窓において、遠隔場(心房)イベントの検出が行われる。本明細書における検出窓は、先行するブランキング窓の終了時に(直ちに)開始されてもよく、次のブランキング窓の開始時に終了してもよい。ただし、検出窓が例えば、先行するブランキング窓の終了後のある程度の時間遅延時に開始することも考えられる。ブランキング窓の終了と検出窓の開始の間、第2の処理チャネルは完全に機能できる状態であってもよく、関連付けられた第2の処理信号を処理してもよいが、ただしこの場合、検出窓の開始まで遠隔場(心房)イベントの検出は行われない。
一実施例では、第2の処理チャネルは、第2の処理信号における少なくとも1つの遠隔場イベントを検出するための第2の検出段を備える。第2の検出段は、第2の検出段が第2の処理チャネルの処理段から処理された信号を受信するように、第2の処理チャネルの処理段よりも論理的に後ろに配置され得る。本明細書における第2の検出段は、検出された遠隔場イベントのタイミングに関連する情報を出力するために、第2の処理信号において遠隔場(心房)イベントを識別する役割を果たす。
第2の処理チャネルの第2の検出段は特に、第2の処理信号を閾値と比較することによって心房イベントを検出するように構成され得る。第2の処理信号の大きさが閾値を上回る場合、遠隔場イベントが存在すると結論付けることができる。本明細書における処理は整流された信号に対して行われもよく、これにより整流された信号と比較され得る単一の閾値の適用が可能になる。ただし、例えば2つの閾値、すなわち正の閾値と負の閾値を適用することによって、整流されていない信号において遠隔場(心房)イベントを識別することも可能であり、この場合、正の信号部分が正の閾値を上回る及び/又は負の信号部分(の大きさ)が負の閾値を上回る場合に、遠隔場(心房)イベントが識別される。
本明細書における閾値は調整可能であり得る。例えば、閾値は、検出されたP波の最大値及び/又は最小値に基づいて設定されてもよい。閾値は例えば、先に検出されたP波の最大値又は最小値の事前に決定されたパーセンテージに従って設定されてもよい。
別法として又は追加として、遠隔場(心房)イベントを確定又は識別するために、第2の処理信号の1つ又は複数の形態的特徴を評価してもよい。本明細書における1つ又は複数の形態的特徴を評価することは、振幅値を判定すること、波部分の、例えばP波の継続時間を判定すること、閾値交差若しくはゼロ交差の数を判定すること、及び/又は検出窓における波部分の位置を判定することを含み得る。
一般に、第2の処理チャネルにおいて第2の処理信号を1つ又は複数の閾値と比較することにより遠隔場(心房)イベントを識別することによって、遠隔場(心房)イベントの高速の検出及び識別が可能になる。しかしながらそのような検出は、例えば遠隔場信号部分の信号対ノイズ比に限度があることに起因して、場合によっては完全には正確ではない可能性がある。この場合、心房イベントの高速だが正確な検出及び識別を可能にするために、閾値との比較によって検出された遠隔場(心房)イベントを、第2の処理チャネルにおいて処理された処理信号の形態的特徴を評価することによって確定することが有益であり得る。このことにより例えば、真のP波を確定すること、及び、ノイズ、QRS波、又はT波に由来する誤検出を却下することが可能になる。例えば波形の長さを判定することによる形態的特徴の評価は、特定の時間間隔内での評価を必要とする可能性があるので、確定は、閾値交差によって検出された遠隔場(心房)イベントの初期の識別からの、ある程度の遅延後に行われる場合がある。
この場合、遠隔場(心房)を閾値交差によって予備的に検出して、第2の処理チャネルによって例えば心房感知マーカを出力させてもよく、この心房感知マーカは、形態的特徴による評価が心房イベントを確定しない場合は後でキャンセルされる。別法として、形態的特徴による確定後に初めて、ただし実際のP波の発生に対する心房感知マーカの出力の潜在的遅延という犠牲の上で、第2の処理チャネルによって心房感知マーカを出力してもよい。
一態様では、処理回路構成は、少なくとも1つの検出された遠隔場(例えば心房)イベントに基づいて、ペーシング信号をトリガするように構成されている。リードレス・ペースメーカー・デバイスは同期ペーシングを提供し得る。このため、内因的な心室活動が定められた遅延時間窓内に第1の処理チャネルを介して検出されない場合、心室活動を刺激するためのシミュレーション信号がペースメーカー・デバイスによって発出され得る。
一実施例では、例えば第2の処理信号において収縮特徴が判別不可能であることに起因して、遠隔場(心房)トラッキングの喪失が生じた場合、第2の処理信号において遠隔場トラッキング特徴が再び識別されるまで、遠隔場トラッキングは一時的に、電極構成体によって受信された電気信号に基づくことができない可能性がある。(特に心室ペーシングのための)ペーシング作用はこの場合、動きセンサなどの代替の心房センサ、インピーダンス信号、又は心房活動の別の指標を使用して時間設定されてもよい。別法として、ペーシングを非同期型ペーシング・モードに切り替えてもよい。遠隔場活動をトラッキングできない場合、第2の処理チャネルは、調整可能であり得る検出窓内に遠隔場イベントが戻った時点を判定するために連続的な又は周期的間隔でのモニタを行うように、第2の処理信号を処理し得る。
本発明の様々な特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図面に示されている実施例を参照することによってより容易に理解され得る。
ヒトの心臓の概略図である。 リードレス・ペースメーカー・デバイスの概略図である。 リードレス・ペースメーカー・デバイスの異なる電極間の信号ベクトルを示す、リードレス・ペースメーカー・デバイスの概略図である。 リードレス・ペースメーカー・デバイスの実施例の処理回路構成の概略図である。 処理回路構成の第1の処理チャネルによって受信された心内心電図(IEGM:intra-cardiac electrogram)の形状の第1の処理信号を示す図である。 第2の処理チャネルによる処理前の未加工の状態の第2の処理信号を示す図である。 第2の処理チャネルの処理段による処理後の第2の処理信号を示す図である。 第1の処理信号及び第2の処理信号において検出された心室及び心房イベントのタイミングを示す図である。
続いて、本発明の実施例について図面を参照して詳細に記載する。図面では、類似の参照番号は類似の構造要素を指し示す。
これらの実施例は本発明を限定するものではなく、単に例示的な実例を表しているに過ぎないことに留意すべきである。
本発明では、心臓内ペーシングを提供するリードレス・ペースメーカー・デバイスを、特に心室ペーシングを、詳細にはいわゆるVDDペーシングを提供することが提案される。
図1は、右心房(right atrium)RA、右心室(right ventricle)RV、左心房(left atrium)LA、及び左心室(left ventricle)LVを備えるヒトの心臓を概略図で示しており、右心房RAの壁にいわゆる洞房結節(sinoatrial node)SANが位置しており、この洞房結節SANは、心臓の電気伝導系を通って伝わりその結果心臓を介して血液を圧送するために心臓を収縮させる電気インパルスを自発的に生み出す能力を有する、一群の細胞によって形成されている。房室結節(atrioventricular node)AVNは、心房と心室の間の電気伝導を調節する役割を果たし、心房内中隔の背中側下方の区域の冠状静脈洞の開口部付近に位置している。房室結節AVNからいわゆるHIS束Hが延びており、このHIS束Hは専ら電気伝導を行う心筋細胞で構成されており、房室結節AVNからの電気インパルスをいわゆる右脚(right bundle branch)RBBを介して右心室RVの周囲に、及び左脚(left bundle branch)LBBを介して左心室LVの周囲に伝達するための、電気伝導系の一部を形成する。
房室結節AVNでブロックがある場合、心臓Hの内因的な電気伝導系が妨害される場合があり、これにより心室活動の内因的な刺激が不十分になる可能性がある、すなわち、右心室RV及び/又は左心室LVの収縮が不十分又は不規則となる。そのような場合、ペースメーカー・デバイスによる心室活動のペーシングが必要とされる場合があり、そのようなペースメーカー・デバイスは、心臓内組織、特に心筋Mに刺激エネルギーを注入することによって心室活動を刺激する。
本テキスト内では、図1に概略的に示すような、心室ペーシング作用を提供するためのリードレス心臓ペースメーカー・デバイス1を使用することが提案される。
一般的なリードレス・ペースメーカー・デバイスは、それらが中に設置されている心室RV、LVから電気信号を受信することによって心室活動を感知するように設計されているが、内因的な心房活動と同期したペーシングを心室において提供することによって房室(AV)同期を達成するペーシング作用を提供するのが望ましい場合がある。VDDペーシング・モードとも表されるそのようなペーシング・モードの場合、心室ペーシングを心房イベントに基づいて行うために、心房活動を感知する、及び心房収縮に関連するそのような心房イベントを識別する必要がある。
ここで図2及び図3を参照すると、一実施例では、特にVDDペーシング・モードで心臓内ペーシングを提供するように構成されているリードレス・ペースメーカー・デバイス1は、リードレス・ペースメーカー・デバイス1を動作させるための電気及び電子構成要素を封入したハウジング10を備える。特に、ハウジング10内には、例えばプログラマ・ワンドなどの外部デバイスと通信するための通信インターフェースも備える、処理回路構成15が封入されている。更に、ハウジング10内には、バッテリの形状のエネルギー貯蔵部などの電気及び電子構成要素が閉じ込められている。ハウジング10にはその中で受けられている構成要素が封入されており、ハウジング10は、例えば数センチメートルの長さを有する、例えば円筒形シャフトの形状を有する。
リードレス・ペースメーカー・デバイス1は心臓内組織Mに直に埋め込まれることになる。このため、リードレス・ペースメーカー・デバイス1は先端部100の領域内に、埋め込まれた状態においてリードレス・ペースメーカー・デバイス1を組織上に固定的に保持するための、心臓内組織Mに係合するための例えばニチノール製ワイヤの形状の、固定デバイス14を備える。
リードレス・ペースメーカー・デバイス1はリードを備えないが、ハウジング10上に配置されている電極構成体によって心臓活動に関連する信号を受信し、またそのような電極構成体によって刺激信号の発出も行う。図2及び図3の実施例では、リードレス・ペースメーカー・デバイス1は、電極構成体を構成しており、ペーシングを提供するためのペーシング信号を心臓内組織Mに向けて発出する、並びに心臓活動を示す、特に心房及び心室の収縮を示す電気信号を感知する役割を果たす、異なる電極11、12、13を備える。
第1の電極11は本明細書ではペーシング電極として表されている。第1の電極11はハウジング10の先端部100に設置されており、心臓組織Mと係合するように構成されている。
第2の電極12は第1の電極11に対するカウンター電極の役割を果たし、第1の電極11と第2の電極12の間で生じる信号ベクトルPは、心臓内組織Mに向かうペーシング信号を発出するためのペーシング・ベクトルPを与える。
更に、第2の電極12は、特に心室収縮に関連する感知信号用の感知電極の役割を果たし、第2の電極12と第1の電極11の間で信号ベクトルVが生じ、この信号ベクトルVは近接場ベクトルとして表される。
第2の電極12は第1の電極11から距離をおいて設置されており、例えばハウジング10の周囲に円周方向に延在するリングの形状を有する。第2の電極12は例えば、第1の電極11が設置されているハウジング10の先端部100から約1cmの距離に設置されている。
リードレス・ペースメーカー・デバイス1は、図2及び図3の実施例では、ハウジング10の遠端部101に設置されている第3の電極13を更に備え、第3の電極13は、遠隔場における心臓活動を示す感知信号用の感知電極の役割を果たす。特に、信号ベクトルAは第3の電極13と第1の電極11の間で生じ、信号ベクトルAは例えば心房収縮を示す信号を含んでおり、遠隔場ベクトルと表される。
電極11、12、13は処理回路構成15と動作可能に接続しており、処理回路構成15は、第1の電極11及び第2の電極12に、心室に刺激を与えるためのペーシング信号を発出させるように構成されている。処理回路構成15はまた更に、電極11、12、13を介して受信された信号を、心臓活動、特に心房及び心室収縮の感知を行うために処理するように構成されている。
リードレス・ペースメーカー・デバイス1が中に設置されている心室においてペーシングを提供する目的で、特にVDDモードでのペーシングを可能にする目的で、房室(AV)同期が得られるように心室におけるペーシングを時間設定するための心房感知マーカを検出するために、心房活動の感知が必要である。このため、右心室RVにおける同期ペーシングを可能にするために、右心室RV内の心臓内組織M上に埋め込まれているリードレス・ペースメーカー・デバイス1によって、特に右心房RA(図1を参照)からの遠隔場信号が感知されることになる。
ここで図4を参照すると、処理回路構成15は、一実施例では、心室活動及び心房活動に関連する異なる処理信号を処理するための、2つの処理チャネル16、17を備える。本明細書において通常、心内心電図(IEGM)は、心室活動(特にQRS波)及び心房活動(特にP波)に関連する信号部分と、心房活動に関連するが遠隔場信号源から生じ、したがって近接場における心室活動に関連する、すなわち埋め込まれたリードレス・ペースメーカー・デバイス1に密に近接して生じる信号部分よりも、はるかに目立たず、且つはるかに小さい振幅を有する信号部分とを含む。この理由から、2つの処理チャネル16、17は異なる利得G1、G2と関連付けられ、第1の処理チャネル16は、比較的低い利得G1で心室イベントを識別するように第1の処理信号を処理する役割を果たし、第2の処理チャネル17は、顕著に高い利得G2で心房イベントを識別するように第2の処理信号を処理するように構成されている。
特に、第1の処理チャネル16は電極11、12、13で構成される電極構成体に接続されており、第1の処理チャネル16は、電極11、12を介して受信された信号(図2及び図3の近接場ベクトルV)を特に感知及び処理するように構成されている。第1の処理チャネル16は、利得G1を有する第1の増幅段161と、増幅段161に続いて、第1の処理チャネル16内で処理された第1の処理信号から心室感知マーカVsを識別するように構成されている、検出段162とを備える。
このことは図5Aに図示されている。第1の処理チャネル16内で処理された第1の処理信号は、リードレス・ペースメーカー・デバイス1が埋め込まれている心室内で取得される心内心電図(IEGM)と似ており、この信号は心室活動及び心房活動に関連する部分を含むが、心室活動に関連する信号部分は他の信号部分に対してはるかに顕著である(図5Aにおいて見ることができるQRS波)。例えば信号を適切な閾値と比較することによって又は形態分析を適用することによって、心室イベントの発生、特にQRS波の開始を判別してもよく、第2の処理チャネル16は、そのような心室イベントを示す心室感知マーカVsを出力する。
第2の処理チャネル17は電極11、12、13で構成される電極構成体に同様に接続されており、第2の処理チャネル17は、図2及び図3に図示するようにハウジング10の先端部100及び遠端部101に設置されている電極11、13の間の遠隔場ベクトルAを介して特に感知された信号を処理するように構成されている。第2の処理チャネル17は第2の利得G2を有する第2の増幅段171を備え、第2の増幅段171には処理段172及び第2の検出段173が続いている。
処理段172は、増幅後の第2の処理信号を事前処理する役割を果たす。次いで検出段173は、第2の処理信号内の心房イベントを識別するために、処理された信号を評価及び分析する役割を果たし、その後第2の処理チャネル17は、処理された信号において検出された心房イベントを示す心房感知マーカAsを出力する。
心房イベントを識別及び分析するために、第2の処理チャネル17の利得G2は、第1の処理チャネル16の利得G1よりも(顕著に)高い可能性がある。処理段172による処理前の未加工の状態の第2の処理信号を図示する図5Bにおいて見ることができるように、これによって、心房イベントに関連する信号部分を分析することが可能になるが、心房イベントに関連するそのような信号部分を、他の信号部分、特に近接場における心室イベントに関連しておりしたがって遠隔場における心房イベントから発する信号部分よりもはるかに強い信号部分から、判別することが必要になる。
処理段172内で、例えばバンドパス・フィルタリング、部分的ブランキング、移動平均フィルタリングによる平滑化、及び整流が行われ得る。P波検出を向上させながら非ゼロ・ベースラインを除去するために、一次又は二次差分を適用してもよい。
図5Cは、第2の処理チャネル17における処理段172による処理後の信号を示す。特に、この処理中、心房活動に関連しない-可能性の高い-そのような時間間隔で信号をミュートする役割を果たす、ブランキング窓Tblankが適用され得る。本明細書におけるブランキング窓Tblankの配置は、図4の実施例において、第1の処理チャネル16による先行する心室イベントの識別に従って決定される。
特に、第1の処理チャネル16における心室イベントの検出によって、心房イベントと心室イベントの間のタイミングが判定され得る。そのようなタイミングに従ってブランキング窓Tblankの開始点及び終了点を設定することができ、その結果、心房活動に関連しない信号部分が処理から除外される。心室活動に関連する信号部分が心房イベントの検出に干渉できないように、強い心室信号をこのようにして抑制することができる。
ブランキング窓Tblankの間、第2の処理チャネル17はオフにされ得る。特に、第2の処理チャネル17の増幅段171を、電力を節減するためにオフにしてもよい。
一般に、心房イベントの検出はブランキング窓Tblankの外で行われる。本明細書では、心房イベントを検出するための検出窓は、先行するブランキング窓Tblankの終了時に開始し得る。別法として、検出窓は先行するブランキング窓Tblankの終わりに対して遅延を有してもよく、その場合、第2の処理チャネル17内での信号処理は、先行するブランキング窓Tblankの終了時に開始するが、心房イベントの検出は特定の遅延後に初めて開始する。
図5Dに図示する心房感知マーカAsを出力するべく、第2の処理チャネル17において処理された第2の処理信号内の心房イベントを検出するために、異なる手段を採用してもよい。
心房イベントの高速の検出を可能にするために、信号を例えば処理段172内で整流してもよく、検出段173は、処理された信号が(正の)閾値を上回るかどうかをモニタするように構成される。別法として、処理段172において整流を適用しなくてもよく、検出段173は、正の閾値若しくは負の閾値(又は両方)の交差がないかモニタする。
そのような閾値は本明細書では、検出されたP波振幅に従って連続的に適合され得る。特に、次の心房イベント検出に関する続く周期の閾値は、先行する周期において検出されたP波の振幅の事前に決定されたパーセンテージに従って設定され得る。
閾値交差をモニタすることによって心房イベントの高速検出が可能であるが、ただし信頼性が低下する可能性があるという犠牲を伴う。したがって、一実施例では、心房イベントを確定するために、又は、そうでない場合は心房イベントの誤検出を却下するために、例えば信号、特に検出されたP波の形態的特徴の、更なる分析を適用してもよい。そのような形態分析に関して、例えば検出されたP波の振幅、検出されたP波の継続時間、検出されたP波における閾値交差若しくはゼロ交差の数、及び/又は検出窓における検出されたP波の位置が評価され得る。形態分析から真の心房イベントが存在すると結論付けられる場合、初期の閾値交差モニタリングによって識別された心房イベントが確定される。それ以外の場合は、心房イベントは誤りとして却下される。
形態分析には特定の時間間隔内での信号の評価が必要なので、形態分析による確定又は却下は、閾値交差に従う識別に対して遅れて行われる場合がある。本明細書では心房感知マーカを出力することが可能である。閾値交差による初期の識別において既に行ったように、次いで形態分析後に、誤検出の場合に心房感知マーカをキャンセルするためである。別法として、P波の真の発生と心房感知マーカAsの出力との間の遅延が増大するという犠牲の上で、形態分析による確定後に初めて心房感知マーカAsを出力してもよい。
第2の処理チャネル17によって出力される心房感知マーカAsを使用して、心室同期ペーシングを達成し得る。このために、検出された心房感知マーカAsに続いて、心房感知マーカAsの後に事前に決定された時間遅延窓内で(第1の処理チャネル16によって出力される)内因的な心室感知マーカVsが生じるかどうかを検出することができ、この場合、刺激は必要ない。心室感知マーカVsが検出されない場合、刺激パルスを発出して、心室における同期ペーシングを引き起こすことができる。
逆に、非同期型ペーシングを行うこともできる。
リードレス・ペースメーカー・デバイスによって受信された遠隔場電気信号を利用することによって、遠隔場イベント、特にリードレス・ペースメーカー・デバイスが心室内に埋め込まれる場合の心房イベントの、優れた検出を提供できる。電気信号を使用すること及び評価することによる遠隔場イベントのトラッキングによって、特に姿勢及び患者活動などの外部要因に対する、一貫性及び信頼性の向上が可能になり得る。
1 リードレス・ペースメーカー・デバイス
10 ハウジング
100 先端部
101 遠端部
11 第1の電極(ペーシング電極)
12 第2の電極(ペーシング・リング)
13 第3の電極
14 固定デバイス
15 処理回路構成
16 処理チャネル
160 電極構成体
161 増幅段
162 検出段
17 処理チャネル
170 電極構成体
171 増幅段
172 処理段
173 検出段
A 心房ベクトル
As 心房イベント
AVN 房室結節
G1、G2 利得
H HIS束
LA 左心房
LBB 左脚
LV 左心室
M 心臓内組織(心筋)
P ペーシング・ベクトル
RA 右心房
RBB 右脚
RV 右心室
SAN 洞房結節
blank ブランキング窓
V 心室ベクトル
Vs 心室イベント

Claims (15)

  1. 心臓内ペーシングを提供するように構成されているリードレス・ペースメーカー・デバイス(1)であって、
    ハウジング(10)と、
    前記ハウジング(10)上に配置されており電気信号を受信するように構成されている電極構成体と、
    前記ハウジング(10)内に封入されており前記電極構成体に動作可能に接続されている処理回路構成(15)とを備え、前記処理回路構成(15)は、前記電極構成体を介して受信された電気信号から導出された第1の処理信号を処理するための第1の利得(G1)を有する第1の処理チャネル(16)と、前記電極構成体を介して受信された電気信号から導出された第2の処理信号を処理するための第2の利得(G2)を有する第2の処理チャネル(17)とを備え、前記第2の利得(G2)は前記第1の利得(G1)よりも高い、リードレス・ペースメーカー・デバイス(1)。
  2. 前記ハウジング(10)は先端部(100)を備え、前記電極構成体は前記先端部(100)上に設置されており心臓内組織(M)と係合するための第1の電極(11)を備える、請求項1に記載のリードレス・ペースメーカー・デバイス(1)。
  3. 前記電極構成体は、前記ハウジング(10)の周囲に円周方向に延在する電極リングによって形成されており且つ前記先端部(100)から距離をおいて設置されている第2の電極(12)を備える、請求項2に記載のリードレス・ペースメーカー・デバイス(1)。
  4. 前記処理回路構成(15)は、前記第1及び/又は第2の処理信号として、前記第1の電極(11)と前記第2の電極(12)の間で感知された第1及び/又は第2の信号を処理するように構成されている、請求項3に記載のリードレス・ペースメーカー・デバイス(1)。
  5. 前記ハウジング(10)は前記先端部(100)の反対側に遠端部(101)を備え、前記電極構成体は前記遠端部(101)の近傍に配置されている第3の電極(14)を備える、請求項2から4までの少なくともいずれか一項に記載のリードレス・ペースメーカー・デバイス(1)。
  6. 前記処理回路構成(15)は、前記第1及び/又は第2の処理信号として、前記第1の電極(11)と前記第3の電極(13)の間で感知された第1及び/又は第2の信号を処理するように構成されている、請求項5に記載のリードレス・ペースメーカー・デバイス(1)。
  7. 前記処理回路構成(15)は、前記第1の処理信号を処理して心室活動を検出するように、及び前記第2の処理信号を処理して心房活動を検出するように構成されている、請求項1から6までのいずれか一項に記載のリードレス・ペースメーカー・デバイス(1)。
  8. 前記第2の処理チャネル(17)は、前記第2の処理信号においてある波部分を別の波部分から区別するための処理段(172)を備える、請求項1から7までのいずれか一項に記載のリードレス・ペースメーカー・デバイス(1)。
  9. 前記処理段(172)は、前記第2の処理信号に、バンドパス・フィルタリング、前記第2の処理信号の一部を更なる処理から除外するためのブランキング窓(Tblank)、移動平均フィルタリング、有限差分フィルタリング、及び整流のうちの少なくとも1つを適用するように構成されている、請求項8に記載のリードレス・ペースメーカー・デバイス(1)。
  10. 前記第1の処理チャネル(16)は、前記第1の処理信号における少なくとも1つの近接場イベント(Vs)を検出するための第1の検出段(162)を備え、前記第2の処理チャネル(17)の前記処理段(172)は、前記第1の検出段(162)によって検出された少なくとも1つの近接場イベント(Vs)に基づいて、前記第2の処理信号の一部を更なる処理から除外するためのブランキング窓(Tblank)の少なくとも1つの限度値を決定するように構成されている、請求項8又は9に記載のリードレス・ペースメーカー・デバイス(1)。
  11. 前記第2の処理チャネル(17)は前記第2の処理信号を増幅するための増幅段(170)を備え、前記増幅段(170)は前記ブランキング窓(Tblank)中にオフにされる、請求項10に記載のリードレス・ペースメーカー・デバイス(1)。
  12. 前記第2の処理チャネル(17)は、前記第2の処理信号において少なくとも1つの遠隔場イベント(As)を検出するための第2の検出段(173)を備える、請求項1から11までのいずれか一項に記載のリードレス・ペースメーカー・デバイス(1)。
  13. 前記第2の検出段(173)は、
    前記第2の処理信号を閾値と比較すること、及び、前記第2の処理信号の少なくとも1つの形態的特徴を評価すること、の少なくとも一方によって、前記少なくとも1つの遠隔場イベント(As)を検出するように構成されており、前記少なくとも1つの形態的特徴を評価することは、
    前記第2の処理信号から振幅値を判定すること、
    前記第2の処理信号の波部分の継続時間を判定すること、
    前記第2の処理信号における閾値交差又はゼロ交差の数を判定すること、及び
    検出窓における波部分の位置を判定することのうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載のリードレス・ペースメーカー・デバイス(1)。
  14. 前記処理回路構成(15)は、少なくとも1つの検出された遠隔場イベント(As)に基づいてペーシング信号をトリガするように構成されている、請求項12又は13に記載のリードレス・ペースメーカー・デバイス(1)。
  15. 心臓内ペーシングを提供するためのリードレス・ペースメーカー・デバイス(1)を動作させるための方法であって、
    前記リードレス・ペースメーカー・デバイス(1)のハウジング(10)上に配置されている電極構成体を使用して電気信号を受信することと、
    前記ハウジング(10)内に封入されており前記電極構成体に動作可能に接続されている処理回路構成(15)を使用して、前記電極構成体を介して受信された電気信号から導出された第1の処理信号及び第2の処理信号を処理することとを含み、前記処理回路構成(15)は、前記第1の処理信号を処理するための第1の利得(G1)を有する第1の処理チャネル(16)と、前記第2の処理信号を処理するための第2の利得(G2)を有する第2の処理チャネル(17)とを備え、前記第2の利得(G2)は前記第1の利得(G1)よりも高い、方法。
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