JP2023508796A - Dna中のn-4-アセチルデオキシシチジンの検出のための方法およびキット - Google Patents

Dna中のn-4-アセチルデオキシシチジンの検出のための方法およびキット Download PDF

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Abstract

本明細書では、DNA中の新分子マーカー、N-4-アセチルデオキシシチジン(「N4-acdC」)を提供する。本明細書ではまた、DNA分子中のN4-acdC残基を検出する方法のほか、検出したN4-acdC残基をたとえば遺伝子マッピングおよび診断に使用する方法も提供する。TIFF2023508796000002.tif125166

Description

関連出願の相互参照
本願は、2019年12月23日に出願された米国特許仮出願第62/953,062号の優先日の恩典を主張するものであり、その内容の全文が参照により本明細書に組み入れられる。
背景
RNA内のシチジンアセチル化(「N4-acrC」)のプロファイリングの方法が、文献に記載されている(ACS Chem. Biol. (2017), 12, 2922-2926(非特許文献1))。類似性RNA修飾に関する技術分野としては、ACS Chem. Biol. (2018), 140, 12667-12670: A Chemical Signature for Cytidine Acetylation in RNA(非特許文献2)も挙げられる。
ACS Chem. Biol. (2017), 12, 2922-2926 ACS Chem. Biol. (2018), 140, 12667-12670: A Chemical Signature for Cytidine Acetylation in RNA
本明細書に組み入れられ、かつその一部を形成する添付の図面は、例示的態様を説明するほか、本明細書とともに、これらの態様および当業者には明白になるその他の態様をなし、かつ使用することができるよう、さらに役立つ。以下の図面とともに、本発明をより具体的に記載していく。
N4-アセチルデオキシシチジンの化学構造式を示す。 N4-acdC DNA免疫沈降シーケンシングの例示的態様を示す。 NH2OH、NaOH、またはAMA(NH4OH/MeNH2混合物)などのアルカリ性試薬を用いてDNAが脱アセチル化されている、免疫沈降シーケンシングの対照を示す。そのような物質の免疫沈降により、アッセイで用いられるN4-acdC抗体の特異性を理解することが可能になる。 HeLa細胞で実施したACC-seqアッセイのゲノムブラウザートラック。「モック-IP試料」(gDNAをモック処理した後、特異的N4-acdC抗体を用いて免疫沈降)に3つのピークが見える。これらのピークはインプットトラック(反復領域などのゲノムバックグラウンドの測定)でもNH2OH-IPトラック(gDNAをNH2OH処理した後、特異的N4-acdC抗体を用いて免疫沈降)でも見られず、抗体およびアッセイの特異性を示している。 HeLa細胞で実施したACC-seqアッセイのゲノムブラウザートラック。図5で赤い矢印で示される1つのピークの拡大図。図からわかるように、シグナルは非常に低いバックグラウンドで極めて特異的に現れている。 HeLa細胞で実施したACC-seqアッセイのゲノムブラウザートラック。「モック-IP試料」トラックからの1つのピークの拡大図。個々のリードもプロットしており、ゲノムDNA内の修飾の鎖特異性/バイアスを示している(なお、青と赤の四角は鎖の向きを表す)。 HeLa細胞で実施したACC-seqアッセイのゲノムブラウザートラック。「モック-IP試料」トラックからの1つのピークの拡大図。個々のリードもプロットしており、ゲノムDNA内の修飾の鎖特異性/バイアスを示している(なお、青と赤の四角は鎖の向きを表す)。 G4構造の遺伝子マッピングをN4-acdC 残基と比較しており、有意な重複が示されている。 図9A~Dは、HeLa細胞で実施した免疫沈降シーケンシングアッセイのゲノムワイドの分析を示す。(A~B)は、モック処理およびNH2OH処理をした試料の偽発見率(FDR)のほかFRIP(リード内部ピークのパーセンテージ)スコアを示す。(C)では、散布図がモック処理免疫沈降タグ強度対NH2OH処理免疫沈降タグ強度の相関関係を示している。なお、acdCシグナルのほとんどが、化学的脱アセチル化後は失われる。(D)では、DNAモチーフがMEMEアルゴリズムにより特定されている。 モック-IP配列 対 ランダム配列の濃縮パーセンテージを示す:HeLa細胞で得られた有意なACC-seqピークに対するHOMERゲノム特徴分析は、偶然に期待されるもの(ランダムの%)に対しての単純反復領域(赤い四角)におけるacdCの有意な濃縮(IPの%)を明らかにしている。 アセチルシチジン部分を還元剤での処理によりN4-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロシチジンに還元することができる。続いてアセチル基を(化学的または酵素的処理により)除去すると求核性アミノ基が得られ、それをDNA配列中にレポーター基(たとえばビオチン、フルオロフォア)を結合させるのに用いることができる。 修飾メチラーゼ支援バイサルファイト/化学修飾支援バイサルファイトシーケンシングの例示的態様を示す。 示差的消化媒介性DNAシーケンシングの例示的方法を示す。 示差的消化媒介性DNAシーケンシングの例示的方法を示す。
概要
DNA中に類似性修飾が存在することが発見された(N4-アセチルデオキシシチジン(「N4-acdC」))。これは、DNA用に開発された初のN4-アセチルデオキシシチジンの検出およびマッピングの方法である。以下に記載される新規なACC-Seq(アセチルシチジン(ACetylCytidine)-シーケンシング)法は、上で参照したRNA法を改造し、かつ改善するものであり、また、それをDNAおよび次世代シーケンシングに適応させるものである。
一局面では、本明細書では、N4-アセチルデオキシシチジンDNA修飾のマッピングの方法が提供され、該方法は、a)同一DNAの2試料を調製する工程;b)該試料のうち一方をヒドロキシルアミンまたは水酸化ナトリウムなどの強力な求核剤で処理することによる、該試料のN4-アセチルデオキシシチジンバインダーにより認識されるエピトープを除去する工程;c)両試料を、抗体などの該N4-アセチルデオキシシチジンバインダーを用いての免疫沈降、およびシーケンシングに供する工程;d)工程3からの配列データを比較する工程、および無処理試料ではピークが見られるが処理済み試料ではピークが不存在であるかまたは少ない場所をマッピングする工程を含む。
詳細な説明
I.はじめに
天然のDNA分子が、N4-アセチルデオキシシチジン(「N4-acdC」)修飾ヌクレオチドを含み得ることが発見された。シトシンの4位炭素にアミノ基を含むのではなく、アミノ基がアセチル基で置換されている。
本明細書で提供される方法は、DNA分子中のN4-acdC残基のマッピングを可能にする。いくつかの態様では、方法は、N4-acdC残基を含むDNA分子に関し試料を濃縮する工程を含む。N4-acdC残基が濃縮された試料を参照ゲノムに対しマッピングして、4-acdC残基の位置を特定することができ、および別の方法で分析することができる。
本明細書では、関心対象の(たとえば細菌、ウイルス、ヒト)ゲノム全体のN4-アセチルデオキシシチジン修飾DNAを濃縮する、特定する、およびマッピングする方法が開示される。この方法を行えば、免疫沈降に先立ちすべてのN4-アセチルデオキシシチジン部分が化学的脱アセチル化により除去されているパラレル対照試料を維持することにより、シーケンシングを介して観測されるピークの特異性を決定することが可能になる。したがって、N4-アセチルデオキシシチジン含有DNAの免疫沈降+/-化学的脱アセチル化の組み合わせによって、この修飾がどこに見出されるかをゲノムワイドに見ることができる。この方法は、「アセチルシチジン-シーケンシング」を略して「ACC-Seq」と呼ばれる。
特定の態様では、DNAをプロセスして、N4-acdCをより安定した形態のN4-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロシチジン(「N4-athC」)に変換する。本明細書に記載されるすべてのプロセスは、この形態のDNAを用いるように改変することができる。そのような方法は、適切な変更、たとえばN4-acdCではなくN4-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロシチジンに結合する抗体またはタンパク質の使用を取り入れる必要があり得る。
本明細書に記載される方法は、以下の主要な3点を達成する:
1.)これまで検出できなかったために知られていなかったDNA中の修飾を検出する方法を提供する;
2.)この修飾はG四重構造との関連性が高いので、ゲノム全体のG四重構造のマッピングの方法を提供する。G四重二次構造(G4)は、核酸中で、グアニンが豊富な配列により形成される。それらはらせん形状であって、1、2、または4本の鎖から形成し得るグアニン四分子を含んでいる。
3.)診断および臨床用途におけるN4-アセチルデオキシシチジン関連バイオマーカーの特定および追跡を可能にする。
用途としては以下が挙げられる:
1.)研究開発用の上記のキット。
2.)本明細書に詳述されるストラテジーに基づく、他のN4-acdCシーケンシング/検出キット。
3.)N4-acdC含有バイオマーカーを検出する診断アッセイ。
4.)アセチル化および(対照としての)脱アセチル化コンセンサス配列を核抽出物といっしょにインキュベートすることによる、N4-acdCのリーダーの特定。
本明細書では、「リーダー」は、(インビトロ合成されていようとACC-seqによりプルダウンされていようと)N4-acdC構造を認識する能力のあるタンパク質またはタンパク質ドメインを指すかまたは含み、「核抽出物」は、この修飾を調査されている細胞または組織から調製された核タンパク質を指すかまたは含む。
II.N4-acdCを含む配列に関する核酸の濃縮
本明細書で提供される方法は、修飾シトシン残基N4-acdCを有する核酸、具体的にはDNAの濃縮を可能にする。N4-acdCが濃縮された分子を、核酸シーケンシングを含む分析に供することができる。こうして産生されたヌクレオチド配列リードを参照ゲノムに対しマッピングして、修飾残基の場所を特定することができる。
A.核酸を含む試料
N4-acdC残基を含むあらゆる核酸分子が、本明細書に開示される方法の対象となり得る。これはDNA、および特定の態様ではRNAの両方を含む。
核酸は、たとえばウイルス、またはあらゆる生命体の1つもしくは複数の細胞、もしくはミクロビオームを含め、あらゆる生物学的試料を供給源とし得る。これには原核生物(たとえば古細菌および細菌)および真核生物(たとえば植物、動物、および真菌)の両方が含まれる。動物としては、限定ではないが、昆虫類、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、および哺乳類が挙げられる。哺乳類としては、限定ではないが、肉食動物(たとえばイヌおよびネコ)、偶蹄目(たとえばウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)、ウサギ類(たとえばウサギ)、奇蹄類(たとえばウマ)、げっ歯類(たとえばマウス、ラット)、および霊長類(たとえばヒトおよび非ヒト霊長類(たとえばサル、チンパンジー、ヒヒ、ゴリラ))が挙げられる。
核酸は、細胞系、組織、器官、または体液に由来し得る。動物のあらゆる器官または器官系に由来する細胞。そのような器官としては、限定ではないが、心臓、脳、腎臓、肝臓、肺、筋肉、血液が挙げられる。核酸の供給源となり得る体液としては、限定ではないが、血液、血漿、血清、唾液、痰、粘液、リンパ液、尿、精液、脳脊髄液、または羊水が挙げられる。器官系としては、限定ではないが、筋肉系、消化系、呼吸系、泌尿系、生殖系、内分泌系、循環系、神経系、および外皮系が挙げられる。試料は、たとえば生検により調製され得る。これには、固形組織生検および液体生検の両方が含まれる。試料は、セルフリーDNA(「cfDNA」)、たとえば循環腫瘍DNAを含み得る。核酸断片は、約100~約800ヌクレオチドまたは350~450ヌクレオチド、たとえば約400ヌクレオチドの長さを有し得る。cfDNAは、典型的には、約120~220ヌクレオチドのサイズを有する。
核酸を含む試料は、病的状態を有する、または有すると考えられる対象を供給源とし得る。そのような状態としては、限定ではないが、たとえばがん(たとえばがん生検試料)を含む、過形成、肥大、萎縮、および異形成が挙げられる。他の病理としては、神経疾患(たとえばアルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、クロイツフェルトヤコブ病、フリートライヒ運動失調症、多発性硬化症)が挙げられる。
核酸は、ネイキッド核酸、つまりタンパク質が結合していない核酸であり得る。あるいは、核酸はクロマチンの形態であり得る。本明細書で使用する場合、「クロマチン」という用語は、DNAとヒストンおよび/または非ヒストンタンパク質との複合体を指す。
DNAは、クロマチンの形態で精製され得る。クロマチンからのDNAは、クロマチン免疫沈降(ChIP)およびトランスポゾン支援クロマチン免疫沈降などの方法により濃縮され得る。ChIP法は、典型的には、タンパク質を核酸と共有結合させるためにクロマチンを架橋することを含む。クロマチンは、まだ細胞内にあるときに架橋することができる。それからクロマチンをせん断することができる。ヒストンなどの特定のタンパク質が結合した核酸を、該標的タンパク質に対する抗体を用いて免疫沈降することができる。トランスポゾン支援クロマチン免疫沈降では、標的タンパク質に対する抗体を直接または間接的にトランスポソームに付加させる。トランスポソームは、トランスポゾンに結合したトランスポサーゼを含む。トランスポゾンはその標的を見つけるとDNAに挿入される。トランスポゾンがプライマー結合部位を備えている場合、プライマー結合部位間に位置する核酸を増幅することができる(たとえばJelinek et al.の米国特許第10,689,643号を参照)。
B.ヌクレオチドおよびそれらの修飾形態
RNAおよびDNAのヌクレオチドは、未変性の形態でも、様々な修飾形態でも存在し得る。シトシンはいくつかの異なる形態で存在し得る。
塩基と違って、文字によりヌクレオチドに言及する場合、特に明言しないかぎり、「リボ」バージョンまたは「デオキシリボ」バージョンのいずれかを指し得る。一般に、DNAのヌクレオチドは「デオキシリボ」バージョンとなり、RNAのヌクレオチドは「リボ」形態ということになる。
「修飾ヌクレオチド」という用語は、シトシン、アデニン、グアニン、チミン、またはウラシルの誘導体を指す。「修飾シトシン」という用語は、典型的には5位または4位に化学部分を有する状態で誘導されたシトシンの誘導体を指す。「シトシン」および「シチジン」という用語は交換可能に用いられるときもあり、「シチジン」はポリヌクレオチド中のヌクレオチド残基を指すことができる。
シトシンの一修飾形態がN-4-アセチルデオキシシチジン(「NA-acdC」)である。N4-acdCの化学構造式を図1に示す。本明細書に開示される特定の方法では、N4-acdCの4-炭素で窒素に結合したアセチル基がアミノ基に変換される。この過程は「脱アセチル化」と呼ばれる。他の態様では、N4-acdCの4-炭素で窒素に結合したアセチル基を還元剤で処理し、核酸分子中のN4-アセチルデオキシシチジン(「N4-acdC」)残基をN4-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロシチジン残基に変換する。他の態様では、N4-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロシチジン残基を脱アセチル化すると、求核性一級アミンが生じる。N-4-アセチルデオキシシチジンは、限定ではないが、NaOH、NH2OH、および水酸化アンモニウム/メチルアミン水溶液(「AMA試薬」)などのアルカリ性試薬を用いて、成功裏に脱アセチル化することができる。
他の修飾シトシンとしては、酸化状態の昇順に、5メチルシトシン(「5mC」)、5ヒドロキシメチルシトシン(「5hmC」)、5ホルミルシトシン(「5fC」)、および5カルボキシルシトシン(「5caC」)が挙げられる。
シトシンの4-アミノ基がカルボニル基に変換され得る。このプロセスは「脱アミノ化」と呼ばれる。この例では、該塩基はウラシルになっている。4位のアミノ基をカルボニル基で置換することによるシトシンまたは修飾シトシンの脱アミノ化は、シトシンまたは修飾シトシンをウラシルに変換する。
C.核酸の断片化
特定の態様では、N4-acdCを含むDNAなどの核酸を断片化する。核酸は、限定ではないが、超音波せん断、およびたとえば制限エンドヌクレアーゼなどのエンドヌクレアーゼを用いての酵素的断片化を含め、当技術分野で公知の任意の方法により断片化することができる。本明細書で使用する場合、「濃縮」および「精製」という用語は、濃縮または精製の工程後の組成物中、N4-acdCを含む核酸などの分子種が、一般的な核酸などの同タイプの他の分子種に対し相対的に多数である(たとえばモルベースでより豊富である)プロセスを指す。
D.N4-acdC残基を含む核酸の免疫沈降による単離
核酸を含む組成物は、特異的結合法により、N4-acdC残基を含む分子を濃縮することができる。これらは、たとえば、N4-acdCに特異的な抗体との結合を含む。そのような抗体は、当技術分野の標準的な抗体調製法により調製することができる。そのような抗体は、たとえばAbcamから市販されてもいる(ab252215)。(ワールドワイドウェブサイトabcam.com/n4-acetylcytidine-ac4c-antibody-eprnci-184-128-ab252215.htmlを参照)。
本明細書で使用する場合、「抗体」という用語は、(1)全免疫グロブリン(2本の軽鎖および2本の重鎖、たとえばテトラマー);(2)免疫グロブリンポリペプチド(1本の軽鎖および1本の重鎖)、(3)抗体断片、たとえばFv(一価または二価可変領域断片であって、可変領域(たとえばVLおよび/またはVH)だけを含み得る)、Fab(VLCL VHCH)、F(ab')2、Fv(VLVH)、scFv(一本鎖Fv)(リンカー、たとえばペプチドリンカーにより連結されたVLとVHとを含むポリペプチド)、(scFv)2、sc(Fv)2、二特異性sc(Fv)2、二特異性(scFv)2、ミニボディ(CH3ドメインに融合させたsc(FV)2)、トリアボディは三価sc(Fv)3または三特異性sc(Fv)3、(4)多価抗体(2つの異なるエピトープまたはタンパク質に結合する結合領域を含む抗体、たとえば「スコルピオン」抗体)、ならびに(5)別のアミノ酸配列(たとえば蛍光タンパク質)に融合した免疫グロブリンの結合部分を含む融合タンパク質、を含む。抗体はモノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でもよい。抗体が標的抗原または標的抗原群に「特異的に結合する」または「特異的である」のは、それが1×10-6 M、1×10-7 M、1×10-8 M、1×10-9 M、1×10-10 M、1×10-11 M、1×10-12 Mの少なくともいずれかの親和性で、標的抗原または標的抗原群の各メンバーに結合する場合であり、たとえば、それが比較される非標的抗原に対する親和性よりも少なくとも2倍高い親和性で、標的抗原または標的抗原群の各メンバーに結合する場合である。
N4-acdCに結合する他の分子としては、たとえば、天然のN4-acdC結合タンパク質、およびN4-acdCに結合するよう操作されているタンパク質が挙げられる。そのようなタンパク質の一つは、N-アセチルトランスフェラーゼ10(「Nat10」)である。
抗体またはその他の結合剤がN4-acdC残基を含む核酸に結合すると、精製可能な複合体が生じる。たとえば結合剤を、クロマトグラフィー媒体または磁気誘因性ビーズなどの粒子などの固体支持体に、結合させることができる。N4-acdC残基を含む核酸が結合剤と結合した後、非結合物は除去され、捕捉された核酸は結合剤から溶離または放出される。あるいは、一次結合剤に結合する二次結合剤を用いて複合体を捕捉してもよい。たとえば、一次結合剤はIgG抗体であってもよく、二次結合剤はIgGに結合する抗体であってもよい。
N4-acdCがN4-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロシチジン(「N4-athC」)に変換されている別の態様では、N4-athCを認識する抗体を生成し用いることができる。
E.タグを用いた誘導体化による、N4-acdC残基を含む核酸の単離
図11を参照すると、N4-acdC残基を含む核酸を濃縮する別の方法には、結合剤により捕捉可能なタグを用いて残基を誘導体化することが含まれる。たとえば、水素化ホウ素ナトリウムなどの強力な化学還元剤が、N4-アセチルデオキシシチジンをN4-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロシチジンに変換することができる。N4-アセチル部分の酵素的脱アセチル化により一級求核性アミンが生じ、次にそれをある範囲の標準的な生体共役化学反応(たとえばN-ヒドロキシスクシニミジルエステル官能化色素、ビオチン、その他での標識)に供することができる。次に、誘導体化した分子を、タグの結合性部分を用いて捕捉することができる。たとえば、タグがビオチンである場合、キャプチャー部分はストレプトアビジンであり得る。
III.マッピングストラテジー
次に、N4-acdC残基を含む分子が濃縮された核酸を分析に供することができる。
DNA分子中のN4-acdC残基のマッピングのストラテジーは、N4-acdC残基を有するDNAが濃縮された試料を、同じようにして濃縮されていない試料と比較する方法を含み得る。ストラテジーは、非N4-acdC残基をウラシルなどの別の形態に変換することも含み得、シーケンシングを行うとそれが区別され得る。この場合、シーケンシングを行うと、N4-acdC残基はCとして読み出され、他の形態のシトシンはTとして読み出される。あるいは、N4-acdC残基をウラシルなどの別の形態に変換することができる。この場合、シーケンシングを行うと、N4-acdC残基はTとして読み出され、他の形態のシトシンはCとして読み出される。
DNA中のN4-acdC残基はG4構造と有意な重複を有するので、本明細書で提供される方法はG4構造のマッピングにも有用である。
A.DNA免疫沈降シーケンシング
一態様では、核酸分子中のN4-acdC残基のマッピングは、N4-acdC残基が除去されている第1のアリコートを、除去されていない第2のアリコートと比較することを含む。
そのような方法では、第1のアリコートの試料中のN4-acdC残基が脱アセチル化されてシチジン残基になる(たとえば図3参照)。N4-acdC残基を、求核剤を用いてシチジンに変換することができる。求核剤は、たとえば、ヒドロキシルアミン、水酸化ナトリウム、またはNH4OH/CH3NH2(水酸化アンモニウム/メチルアミン水溶液またはAMA試薬)試薬であり得る。水酸化ナトリウムは変性剤にもなり得る。
次に、各アリコートを、N4-acdC残基を含む核酸を認識する結合剤といっしょにインキュベートする(たとえば図2参照)。結合した核酸を各アリコートから単離する。各アリコートから単離した核酸を、核酸シーケンシングに供する。無処理アリコートから単離した核酸は、N4-acdC残基を含む分子によって大きな比率が占められる。したがって、両アリコートからの配列リードを参照ゲノムに対しマッピングすると、N4-acdC残基を有するDNAを含む試料からのリード深度は、どの遺伝子座でも、DNAが脱アセチル化されている試料からのリード深度よりも深くなる。このことは、分析した試料中のこれらの座におけるN4-acdC残基の存在量の指標となる。
別の態様では、細胞がNaBH4またはその他の還元剤で処理されて、非常に安定したN4-acdC還元体であるN4-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロシチジンを生じる。この場合、使用される結合剤は、N4-acdCではなく、N4-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロシチジンに対するものとなる。この方法は、シーケンシングリードのN4-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロシチジン部位にC-T SNP、またはストップ/欠失が見られるという利点も提供し、ゲノムDNA中のN4-acdCの塩基分解能による特定を提供する。
B.動態トラッピング、その後のバイサルファイトシーケンシング:
一態様では、N4-acdC以外のシトシン残基を、たとえば求核剤の存在下でバイサルファイトを用いてのアミノ基転移プロセスにより保護する。たとえば、メチルヒドロキシルアミンを用いて、4位のアミン基をヒドロキシメチルアミンに変換する。
アミノ基転移の後、N4-acdC残基をたとえばバイサルファイトを用いて脱アミノ化し、それらをウラシルに変換する。アミノ基転移シトシン、ならびに5mCおよび5hmCなどの他の5’修飾シトシンは、脱アミノ化されない。
シーケンシングを行うと、以前のN4-acdC残基はチミンとして読み出されることになる。
この方法では、バイサルファイト処理後に5fCおよび5caCもチミンとして読み出されるので、脱アセチル化によりN4-acdCが除去されている対照試料を要する。これを、N4-acdCの明確な検出のため、もとの試料の対照と比較する。
あるいは、TET酵素または触媒ドメインを用いて5fCを5caCに変換してから、5caCをカルボジイミド、および一級アミンを含む求核剤、たとえばベンジルアミンでブロックすることができる。次に、バイサルファイト処理後、5fCおよび5caCもCとして読み取られ、N4-acdCだけがTとして読み取られることになる。
このストラテジーは、アミノ基転移シトシン対N4-アセチルデオキシシチジンのバイサルファイトとの反応率の違いを利用している。該方法は、まず、求核剤(たとえばメチルヒドロキシルアミン)の存在下ですべての未修飾シトシンをバイサルファイトと反応させて、バイサルファイトによる脱アミノ化に抵抗性であるアミノ基転移反応産物を得ることを含む。これらのアミノ基転移産物は、シーケンシングではシトシンとして読み出されることになる。バイサルファイトとのさらなる反応の結果、N4-アセチルデオキシシチジンが脱アミノ化され、その後の下流シーケンシングでそれがTとして読み出される。5-mC(5-メチルシトシン)/5-hmC(5-ヒドロキシメチルシトシン)もバイサルファイトによる脱アミノ化に抵抗性であるため、N4-アセチルデオキシシチジンの塩基分解能による検出を妨げることはない。それに加えて、N4-アセチルデオキシシチジンの示差的化学的脱アセチル化は、N4-アセチルデオキシシチジンの存在を極めて特異的に、ゲノムワイドに検索することを可能にするであろう。
C.修飾メチラーゼ支援バイサルファイト/化学修飾支援バイサルファイトシーケンシング):
図12は、修飾メチラーゼ支援バイサルファイト/化学修飾支援バイサルファイトシーケンシングの方法を示す。
IV.最初の工程で、シトシン残基を5mC残基に変換する。これは、たとえば、メチラーゼ、またはCpGメチルトランスフェラーゼ(mSssI)などのメチルトランスフェラーゼを用いて、行うことができる。CpGおよび非CpG部位をメチル化することができる植物メチルトランスフェラーゼを用いることもできる。
核酸試料中の5mC、5hmC、および5fCなどの非N4-acdC残基を5-カルボキシルシトシン残基に変換する。ヌクレオチドの5-カルボキシルシトシンへの変換は、TETを用いて達成することができる。テン-イレブン転座メチルシトシンジオキシゲナーゼ(「TET」)は、5mC、5hmC、および5fCを5caCに変換する。TETは、ヒト、マウス、または無脊椎動物(たとえば、ネグレリア(Naegleria)、ショウジョウバエ(Drosophila)(dTet、またの名をDMADまたはCG43444))などのいくつかの異なる種から入手可能である。哺乳動物のTETとしては、TET1、TET2、およびTET3が挙げられる。TET酵素はそれぞれ、Fe(II)/α-KG-依存性オキシゲナーゼのファミリーに見られる重要な金属結合性残基を含有する二本鎖βヘリックスフォールドを有するコア触媒ドメインをもつ。これらの触媒ドメインは、変換工程で用いることもできる。したがって、特に明言しないかぎり、「TET」は全酵素または機能性触媒ドメインを指す。
次に、5-カルボキシルシトシン残基をブロックする。ブロックすることは、カルボジイミド、および一級アミンを含む求核剤、たとえばベンジルアミンを用いて実施することができる。
続いて、たとえばバイサルファイト処理を用いて、N4-acdC残基をウラシルに変換することができる。
核酸シーケンシング中、シトシンは「C」として読み出され、N4-acdC残基は「T」として読み出されることになる。
A.示差的制限DNA免疫沈降
図13A~Bを参照すると、別の態様では、ゲノムDNAなどのDNAが抽出される。抽出したDNAを、1つまたは複数のN4-acdC残基を有する制限部位を切断しない制限酵素による制限に供する。そのような酵素としては、たとえば、SacI(制限部位:GAGCTC)、KpnI、PauI、およびBsh1236Iが挙げられる(たとえば、Jakubovska et al. DOI: 10.1002/cbic.201900280を参照)。したがって、非アセチル化制限部位を含む座(B)はすべて消化され、5’のリン酸基が露出することになる。しかし、N4-acdC残基を含む制限部位を有する座(A)は切断されない。
DNA融解(適切な脱アセチル化のために必要)、および化学的脱アセチル化+酵素的脱リン酸化の後、DNAポリメラーゼ(たとえばクレノウ、T4、その他)を用いてDNAの第2鎖が作られ、座AではSacI制限部位が再構成されるが、座Bでは再構成されない。
第2鎖合成を実施するために、適切なポリメラーゼを用いてプライマーを伸長させる。ポリメラーゼは、中温性または好熱性ポリメラーゼであり得る。たとえば、ポリメラーゼは、クレノウエクソ-ポリメラーゼ、クレノウポリメラーゼ、T4 DNAポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、pfuポリメラーゼ、DNAポリメラーゼI、およびリバーストランスクリプターゼ(たとえば、モロニーマウス白血病ウイルス(M-MLV)、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)、およびそれらの変異/改変バージョン)であり得る。
第2の消化後、以前のアセチル化領域でリン酸が露出しており、シーケンシングアダプターの連結およびN4-acdCのさらなる分析を可能にしている。
B.N4-acdC残基に結合するタンパク質の特定
本明細書では、DNA中のN4-acdCに結合する、またはN4-acdCを含むDNA配列に結合する候補タンパク質を特定する方法も提供される。一態様では、方法は、DNA試料の断片を生成する工程、および該断片を2つの部分に分ける工程を含む。第1の部分のDNA断片は脱アセチル化剤で処理される。第2の部分はその処理をされない。次に、第1および第2の部分からのDNAに、1つまたは複数のタンパク質を接触させ、これらの部分のDNAに結合させる。次に、第1の部分のDNAに結合する1つまたは複数のタンパク質を、第2の部分のDNAに結合するタンパク質の量と比較する。第1の部分よりも第2の部分のDNAにより多量に結合するタンパク質が、候補N4-acdC結合タンパク質である。タンパク質は、質量分析法により特定することができる。
V.核酸の分析
増幅ありまたはなしで、二本鎖核酸分子を分析に供することができる。
A.ライブラリーの調製
DNAのシーケンシングは、典型的には、ライブラリー調製の工程を含む。
1.二本鎖核酸の単離
二本鎖核酸を、いくつかの方法で、残りの一本鎖核酸から分離することができる。一態様では、組成物を、たとえば限定ではないがヌクレアーゼS1などの一本鎖ヌクレアーゼに供して、一本鎖分子を消化させることができる。別の態様では、一本鎖核酸と二本鎖核酸とを、既知の方法により、互いから分画することができる。そのような態様の一つでは、DNAは、シリカまたはヒドロキシアパタイトなどの二本鎖核酸に対する高親和性および一本鎖核酸に対する低親和性を有するシリカベースの方法または非シリカベースの方法を用いて単離される。これらは、DNAをシリカ粒子もしくは膜に、またはDNAグレードのBio-Gel HTPヒドロキシアパタイトに結合させること、および他の夾雑物から分離することを含み得る。一態様では、抗二本鎖DNA抗イディオタイプ抗体などの二本鎖核酸結合タンパク質の使用により、二本鎖核酸を特異的に濃縮することができる。一態様では、抗一本鎖DNA抗イディオタイプ抗体などの一本鎖核酸結合タンパク質により、一本鎖核酸を除去することができる(ネガティブ選択)。一態様では、プライマーは、たとえばビオチンまたはデスチオビオチンなどのキャプチャー部分を備えている。したがって、プライマー伸長により生成した二本鎖分子はビオチン化されていることになる。これらの分子は、ストレプトアビジンなどのキャプチャー部分のパートナーで捕捉して単離することができ、一本鎖DNA分子は、限定ではないがヌクレアーゼS1などの一本鎖ヌクレアーゼにより消化することができる。
末端修復およびアダプター連結の後、キャプチャー配列を用いて標的核酸配列を単離することができる。キャプチャー配列は、標的配列を有する核酸分子にハイブリダイズする能力のあるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。標的配列は、ハイブリダイズすると、ハイブリダイズした配列を捕捉する。典型的には、プローブは、ビオチンなどのキャプチャー部分を含むか、または磁気誘因性粒子などの固体支持体に結合させられて、非結合物からの結合物の分離を可能にする。
2.末端修復およびアダプター連結
断片化に供されたポリヌクレオチド、またはセルフリーDNAは、典型的には、アダプター連結前に末端修復を要する一本鎖オーバーハングを有する末端を含む。末端修復は、たとえば、5’オーバーハングを除去し3’オーバーハングの埋め込みをするクレノウポリメラーゼなどの酵素により達成され得る。その結果、平滑末端の分子となる。アダプターは、平滑末端連結により、平滑末端DNAに直接結合させることができる。あるいは、平滑末端分子の3’末端を「A尾部化」して、1ヌクレオチド「A」オーバーハングを産生してもよい。したがって、5’末端に1つの「T」オーバーハングを有するシーケンシングアダプターを結合させることができる。
あるいは、上述したように、プライマー分子が本明細書に記載されるようにアダプター配列をさらに含んでいるプライマー伸長反応によって、標的ポリヌクレオチドはアダプターを備えることができる。この場合、ポリメラーゼによる伸長後、DNAは3’末端にアジドddNTPが付けられている。次に、アルキル5’を含むアダプターを、クリックケミストリーにより結合させることができる。それからDNAをPCR増幅することができ、さらに分析することができる。
別の態様では、二本鎖ステムにメチル化C残基を含む(そしてループ中にC残基を含まない)、ヘアピンループを含むアダプター分子が連結され、そしてバイサルファイトおよびプライマーのアンカリング後、RM29/F29ポリメラーゼなどの強力な置換活性を有する酵素を用いて「ローリングサークル」介在ライブラリーを実施する。
3.核酸の増幅
二本鎖核酸を増幅することができる。増幅は、典型的には、プライマーハイブリダイゼーション配列を含むアダプターを備えた核酸に対し実施される。二本鎖核酸は、任意の公知の増幅方式により増幅され得る。これには、限定ではないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、定量PCR、ローリングサークル増幅、多置換増幅、ループ介在等温増幅(LAMP)、逆転写ループ介在等温増幅(RT-LAMP)、鎖置換増幅(SDA)、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)、または転写介在増幅(TMA)が含まれる。説明を簡潔にするため、反応はPCRに関して論じることにする。他の増幅方法に必要な調節は、当業者には容易に明らかになろう。
B.核酸のシーケンシング
一態様では、核酸シーケンシングにより二本鎖核酸を分析する。典型的には、核酸は、ハイスループットシーケンシングを用いて配列決定される。本明細書で使用する場合、「ハイスループットシーケンシング」という用語は、何千という核酸分子の同時またはほぼ同時のシーケンシングを指す。ハイスループットシーケンシングは、「次世代シーケンシング」または「超並列シーケンシング」と呼ばれることもある。ハイスループットシーケンシングのプラットフォームとしては、限定ではないが、超並列シグネチャーシーケンシング(MPSS)、Polonyシーケンシング、454パイロシーケンシング、Illumina(Solexa)シーケンシング、SOLiDシーケンシング、Ion Torrent半導体シーケンシング、DNAナノボールシーケンシング、Heliscope一分子シーケンシング、一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシング(PacBio)、およびナノポアDNAシーケンシング(たとえばOxford Nanopore)が挙げられる。
C.核酸配列の分析
核酸シーケンシングは配列リードを生成する。配列リードは、典型的には、配列リードを参照ゲノムに対しマッピングすることにより分析される。たとえば、現在のヒトゲノム参照配列はhg38であり、たとえばNCBIのウェブサイトからアクセス可能である。分析対象の遺伝子座は、ゲノム中の1ヌクレオチド位置、またはゲノムの配列もしくはプロモーター領域などの周辺領域を含めた領域、たとえば遺伝子、または染色体であり得る。
配列を参照ゲノムに対しマッピングした後、結果をいくつかの方法で分析することができる。分析の一つの方法は、「ピーク分析」と呼ばれる。この方法では、参照ゲノム全体の座に対する配列リードのマッピング数が決定され得る。核酸は、修飾ヌクレオチドを含む配列が濃縮されているので、たとえば、X軸がゲノムを表し、「Y」軸がそれに対するリードマッピング数を表すグラフにおいて、多数の配列リードがリードの「ピーク」として現れる。ピークは、ヌクレオチド修飾の座を表すことができる。
別の方法は、一塩基分解能の分析を含む。この方法では、参照ゲノム中の1ヌクレオチドを1つの「座」として用いて、配列リードを該参照ゲノムに対し比較する。非シトシン形態のヌクレオチドへと変換されたシトシン形態のヌクレオチドは、参照ゲノムに対しミスマッチとして現れることになる。たとえば、配列リード中の未修飾シトシン残基は、参照ゲノム中のシトシン残基とマッチするであろう。ウラシルに変換されている配列リード中の修飾シトシン残基は、参照ゲノム中のシトシン残基とミスマッチになる。
D. Oxford Nanoporeシーケンシングによる直接的特定:
ナノポアシーケンシング(第4世代シーケンシング)は、シーケンシングを介して直接的にDNA修飾を特定できる数少ない方法の一つであることから、過去数年で認知度を上げた。このストラテジーは、DNAを脱アセチル化剤(たとえばNH2OH/NaOH)、還元剤(たとえばNaBH4)、またはN4-アセチルデオキシシチジンに特異的に結合することができる任意の大きな付加物で示差的に処理すること、そしてOxford NanoporeによりDNAのシーケンシングを行うことにより、N4-アセチルデオキシシチジンを調べるのに適用される。示差的処理は、修飾塩基を特定するのに用いることができる、電流/電圧の変動を生じる。
E.DNAマイクロアレイ分析
いくつかの態様では、本明細書に記載される方法により調製された核酸を、DNAマイクロアレイを用いて分析することができる。DNAマイクロアレイは、比較ゲノムハイブリダイゼーション、クロマチン免疫沈降分析、およびSNP検出に使用され得る。「DNAチップ」とも呼ばれるDNAマイクロアレイは固体支持体であって、オリゴヌクレオチドプローブが所定の位置にアドレス可能に結合している。この一連の核酸プローブに試料核酸を接触させると、試料核酸は相補的またはほぼ相補的な配列を有するプローブとハイブリダイズする。試料核酸がハイブリダイズした場所を決定することができる。そしてこの情報を使って、試料核酸の素性または配列を決定することができる。DNAマイクロアレイは、核酸分子を配列特異的に検出できるので、参照ゲノムでは「C」として読み取られる塩基が本明細書に記載される方法で処理された後は「T」に置き換わっているような改変配列の検出に有用である。DNAマイクロアレイは、実験室で調製してもよいし、たとえばAffymetrix(ThermoFisher)から購入してもよい。
VI.診断方法
DNA分子中のN4-acdC残基の位置を、バイオマーカーとしての修飾塩基の検出を含む診断方法に用いることができる。バイオマーカーを発見する方法では、一方は診断されるべき病気を有しており、他方はその病気をもたない、2つの対象群由来の試料が準備される。病気は、限定ではないが、遺伝的病気、がん、早老症または促進老化などの年齢関連の病気、細胞病理、神経病理、その他を含め、任意の病態であり得る。
本明細書に記載される方法は、異なる群それぞれの各試料の塩基修飾パターンの遺伝子解析をもたらすために用いられる。この遺伝子解析は、配列情報の形態をとり得る。データをデータセットとしてまとめ、統計学的分析に供して、2群を区別するモデルを生成する。このために、当技術分野で公知の任意の統計学的方法を用いることができる。そのような方法またはツールとしては、限定ではないが、相関、ピアソンの相関、スピアマンの相関、カイ二乗、平均もしくは分散の比較(たとえば、対応T検定、独立T検定、ANOVA)回帰分析(たとえば、単回帰、重回帰、線形回帰、非線形回帰、ロジスティック回帰、多項式回帰、段階的回帰、リッジ回帰、ラッソ回帰、エラスティックネット回帰)、またはノンパラメトリック分析(たとえば、ウィルコクソンの順位和検定、ウィルコクソンの符号順位検定、符号検定)が挙げられる。そのようなツールは、MATLAB、JMP Statistical Software、およびSASなどの市販されている統計学パッケージに含まれる。そのような方法は、特定のバイオマーカープロファイルを特定の状態に分類するのに使えるモデルまたは分類子を生成する。統計学的分析は、オペレーターが実行してもよいし、機械学習により実行してもよい。そのような分析の結果は、修飾塩基、たとえば修飾シトシン残基の場所についての情報を用いて、試料が採取された対象を病気を有するかまたは有さないかに分類するモデルである。
病気を診断するモデルが確立されると、そのモデルを対象の診断に用いることができる。そのような方法では、対象由来の核酸を含む試料が準備される。核酸を、本明細書に記載される方法に供する。処理した核酸を分析して配列データなどの特徴データを生成する。該モデルを該配列データに適用して、該試料を適当なカテゴリーに分類する。
たとえば、検出の方法は、(1)対象由来のDNA試料を準備する工程、および(2)試料中のN4-acdC残基の場所を遺伝子座に対しマッピングする工程を含むことができる。分析は、ゲノムワイドであってもよいし、または既知のN4-acdCバイオマーカーを有する遺伝子座に限定してもよい。
方法は、本明細書に記載されるいずれかのマッピングストラテジーを含むことができる。これは免疫沈降法を含み、試料は2つのアリコートに分けられ、一方のアリコートが脱アセチル化に供される。あるいは、生物学的試料由来のDNAを、N4-acdC残基がウラシルに変換される処理に供することができる(たとえばバイサルファイトシーケンシング)。マッピングすると、ウラシル残基は参照ゲノム中のシトシン残基に対しマッピングし、それによって生物学的試料中のN4-acdC残基の存在が示される。さらに、検出は、限定ではないが、DNAシーケンシング、PCR、qPCR、バイオマーカーに対する標識プローブのハイブリダイゼーション、TaqMan増幅、または分子ビーコンによる検出を含む、特定のヌクレオチド配列を検出する当技術分野で公知の任意の方法により行うことができる。
VII.組成物
天然のDNA分子におけるN4-acdC残基の存在は、新発見である。したがって、本明細書では、N4-acdC残基を含むDNA分子を含む組成物が提供される。
別の態様では、本明細書では、任意選択により精製されていてもよい、N4-athC残基を含むDNA分子が提供される。
一態様では、本明細書では、N4-acdCのアセチル基に特異的に結合する結合剤とN4-acdC残基を含むDNA分子との複合体を含む組成物が提供される。そのような組成物は、ネイキッドDNAまたはクロマチンの形態のDNAを含むことができる。複合体は、タンパク質、複合糖質、または脂質のいずれかなどの通常存在する細胞高分子から濃縮するまたは単離することができる。別の態様ではN4-acdC分子を含むDNA分子は、同等の天然の試料と比べて、少なくとも2倍、少なくとも10倍、または少なくとも100倍濃縮されている。
VIII.キット
本明細書で使用する場合、「キット」という用語は、一緒に使用されるための物品の集合体を指す。そのような物品は1個の容器に詰められ得る。キットは、任意選択により、その使用説明書を含むことができる。キットは、本明細書に開示される組成物を収容しているバイアルなどの容器を保持するようにされた輸送用容器をさらに含むことができる。
本明細書で提供されるキットは、求核剤などの脱アセチル化剤、たとえばヒドロキシルアミン、水酸化ナトリウム、またはNH4OH/CH3NH2(水酸化アンモニウム/メチルアミン水溶液またはAMA試薬)試薬を収容している第1の容器、およびN4-acdC残基またはN4-athC残基を含むDNAに特異的に結合する結合剤を収容している第2の容器を、適宜含むことができる。
別の態様では、キットは、脱アセチル化剤を収容している第1の容器、および少なくとも1つのアセチル化ヌクレオチドを有する制限部位を認識しない制限酵素を収容している第2の容器を含む。
別の態様では、キットは、脱アセチル化剤を収容している第1の容器、還元剤を収容している第2の容器、デアセチラーゼを収容している第3の容器、分子タグを収容している第4の容器、および任意選択によりタグに結合する結合剤を収容している第5の容器を含む。
別の態様では、キットは、脱アセチル化剤を収容している第1の容器、バイサルファイト試薬を収容している第2の容器、およびTET酵素または触媒ドメインを収容している第3の容器を含む。
別の態様では、キットは、脱アセチル化剤を収容している第1の容器、およびBSMポリメラーゼなどのポリメラーゼを収容している第2の容器を含む。キットは、オリゴヌクレオチドアダプターなどのライブラリー調製用の他の要素を含む容器を含むこともできる。ある事例では、N4-acdC自体が、C→T変換などのSNPを誘導する。
例示的態様
本発明の例示的態様は、限定されないが、以下を含む。
1. N4-アセチルデオキシシチジン(N4-acdC)を含むDNA断片の集団を得るための方法であって、
(a)試料中のDNAからDNA断片を生成する工程;
(b)前記DNA断片をN4-acdC結合剤と接触させる工程;および
(c)前記結合剤と前記DNA断片との複合体を濃縮する工程
を含む、方法。
2. a)核酸分子を含む試料を準備する工程;
b)前記核酸分子中のN4-アセチルデオキシシチジン(「N4-acdC」)残基をN4-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロシチジン残基に変換する工程;
c) 求核性一級アミンを産生するために、前記N4-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロシチジン残基を脱アセチル化する工程;
d)前記求核性一級アミンをタグとコンジュゲートする工程;
e)前記試料から前記タグに結合した核酸をキャプチャー分子を用いて捕捉する工程;
f) シーケンシングリードを含む配列データを生成するために、捕捉した核酸分子のシーケンシングを行う工程
を含む、方法。
3. 前記核酸分子中のN4-アセチルデオキシシチジン(「N4-acdC」)残基をN4-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロシチジン残基に変換する工程が、還元剤(たとえばNaBH4、LiBH4、KBH4、NBu4BH4、NaCNBH3、BH3-pyr)の使用を含む、態様2記載の方法。
4. 脱アセチル化が、化学的または酵素的に実施される、態様2記載の方法。
5. 前記タグが、ビオチンまたはデスチオビオチンを含む、態様2記載の方法。
6. キャプチャー分子が、アビジン、ストレプトアビジン、またはニュートラアビジンを含む、態様2記載の方法。
7. (a)核酸分子を含む試料から第1のアリコートおよび第2のアリコートを調製する工程;
(b)第1の脱アセチル化アリコートを産生するために、前記第1のアリコートにおいて、核酸分子中のN4アセチルデオキシシチジン(「N4-acdC」)残基をシチジン残基に変換する工程;
(c)前記第1の脱アセチル化アリコートおよび前記第2のアリコート中の核酸をN4-acdC結合剤と接触させる工程;ならびに
(d)濃縮された第1および第2のアリコートを産生するために、前記第1の脱アセチル化アリコートおよび前記第2のアリコートにおける前記結合剤とN4-acdC残基を含む前記核酸分子との複合体を濃縮する工程;ならびに
(e)前記濃縮アリコート中の核酸を単離する工程
を含む、方法。
8. (f)シーケンシングリードを含む配列データを生成するために、両濃縮アリコートから単離した核酸分子のシーケンシングを行う工程;
(g)1つまたは複数の遺伝子座にマッピングする各濃縮アリコートからの配列リードを測定する工程;
(h)前記第2のアリコートからのマッピングされた配列リードの測定値が前記脱アセチル化アリコートからマッピングされた配列リードの測定値よりも大きい1つまたは複数の遺伝子座を特定する工程であって、マッピングされた配列リードの測定値が、前記脱アセチル化アリコートよりも前記第2のアリコートにおいて大きい遺伝子座が、前記試料中のN4-acdCを含む核酸の座を表す、特定する工程
をさらに含む、態様2記載の方法。
9. 変換する工程が、前記核酸を求核剤で処理することを含む、態様2記載の方法。
10. 前記求核剤が、ヒドロキシルアミン、水酸化ナトリウム、またはNH4OH/CH3NH2(水酸化アンモニウム/メチルアミン水溶液またはAMA試薬)試薬を含む、態様9記載の方法。
11. NaOHが変性剤の役割も果たす、態様10記載の方法。
12. 前記核酸分子を、抗N4-acdCまたは抗N4-アセチルシチジン(「4N-AcC」)抗体を用いて免疫沈降する、態様1および7記載の方法。
13. a)核酸分子を含む試料を準備する工程;
b)前記核酸分子中の未修飾シチジンを、求核剤の存在下で前記分子をバイサルファイトで処理することにより、アミノ基転移する工程;
c)ウラシル残基を産生するために、前記核酸分子中のN4-acdC残基を(たとえばバイサルファイトを用いて)脱アミノ化する工程;および
d)前記脱アミノ化核酸分子のシーケンシングを行う工程であって、N4-acdC残基がチミジンとして読み出される、シーケンシングを行う工程;
e)任意選択により、対照試料を準備する工程であって、未修飾シチジンをアミノ基転移する前にN4-acdC残基が脱アセチル化されており、後にN4-acdCがシトシンとして読み出される、対照試料を準備する工程
を含む、方法。
14. a)核酸分子を含む試料を準備する工程;
b)前記核酸分子中の未修飾シチジンを、求核剤の存在下で前記分子をバイサルファイトで処理することにより、アミノ基転移する工程;
c)5-メチルシトシン(5mC)、5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)、および5-ホルミルシトシン(「5fC」)を(たとえばテン-イレブン転座メチルシトシンジオキシゲナーゼを用いて)5-カルボキシルシトシン(「5caC」)に変換する工程;
d)5caC残基をカルボジイミド、および一級アミンを含む求核剤でブロックする工程;
e)ウラシル残基を産生するために、前記核酸分子中のN4-acdC残基を(たとえばバイサルファイトを用いて)脱アミノ化する工程;ならびに
f)前記脱アミノ化核酸分子のシーケンシングを行う工程であって、N4-acdC残基がチミジンとして読み出される、シーケンシングを行う工程
を含む、方法。
15. a)核酸分子を含む試料を準備する工程;
b)シトシンを5-メチルシトシン(「5mC」)に変換するために、前記核酸をたとえばメチラーゼ、またはmSssIなどのメチルトランスフェラーゼで処理する工程;
c)5-メチルシトシン(「5mC」)、5-ヒドロキシメチルシトシン(「5hmC」)、および5-ホルミルシトシン(「5fC」)を、たとえばテン-イレブン転座メチルシトシンジオキシゲナーゼ(「TET」)での処理により、5-カルボキシルシトシン(「5caC」)残基に変換する工程;
d)5caC部位を、カルボジイミド、および一級アミンを含む求核剤、たとえばベンジルアミンでブロックする工程;ならびに
e)N4アセチルデオキシシチジン(「N4-acdC」)残基を、バイサルファイトを用いてウラシル残基に変換する工程;ならびに
f)前記変換核酸分子のシーケンシングを行う工程であって、N4-acdC残基がチミジンとして読み出される、シーケンシングを行う工程
を含む、方法。
16. シトシンが、化学的に、または(たとえば細菌または植物に由来する)CpGメチルトランスフェラーゼにより、5mCに変換される、態様15記載の方法。
17. 前記TETが、TET1、TET2、TET3、マウスTET、ショウジョウバエ(drosophila)TET(CG43444)、およびNgTET(ネグレリア(Naegleria)Tet様ジオキシゲナーゼ)から選択される、態様15記載の方法。
18. (a)N4-acdC残基を含むDNAを制限酵素で消化する工程であって、前記制限酵素が、N4-acdCを含む制限部位を消化しない(たとえばSacI)、消化する工程;
(b)前記消化されたDNAを変性させ、脱アセチル化し、かつ脱リン酸化する工程;
(c)二本鎖DNA分子を産生するために、前記変性させ、脱アセチル化し、かつ脱リン酸化したDNAについて第2鎖合成を実施する工程;
(d)操作(c)からの二本鎖DNAを制限酵素で消化して、切断されたリン酸化分子を残す、工程;
(e)アダプター-タグ分子を産生するために、前記切断されたリン酸化分子にアダプター分子を結合させる工程;および
(f)任意選択により、前記アダプター-タグ分子をPCRにより増幅し、かつシーケンシングを行う工程
を含む、方法。
19. a)核酸分子を含む試料を準備する工程;
b)前記核酸中のN4-アセチルデオキシシチジン(「N4-acdC」)残基を、脱アセチル化剤により、還元剤により、または付加物を結合させることにより、処理する工程;および
c)ナノポアシーケンシングにより、前記処理された核酸分子のシーケンシングを行う工程であって、処理されたN4-acdC残基が、シーケンシング中に電流または電圧の特徴的な変動を生じる、シーケンシングを行う工程
を含む、方法。
20. DNA中のN4-acdCに結合する、またはN4-acdCを含むDNA配列に結合する候補タンパク質を特定する方法であって、
(a)DNA試料の断片を生成する工程;
(b)前記DNA断片の第1の部分を脱アセチル化剤と接触させるが、第2の部分は接触させない工程;
(c)前記第1および前記第2の部分からのDNAを、被検タンパク質と接触させる工程;ならびに
(d)前記第1の部分のDNAに結合するタンパク質の量を、前記第2の部分のDNAに結合するタンパク質の量と比較する工程
を含み、
前記第1の部分よりも前記第2の部分のDNAにより多量に結合するタンパク質が、候補N4-acdC結合タンパク質である、
方法。
21. 前記タンパク質が質量分析法により特定される、態様20記載の方法。
22. ある状態についてのバイオマーカーを特定するための方法であって、
(a)前記状態を有する複数の対象のそれぞれから、第1の組のDNA試料を得る工程;
(b)前記状態を有さない複数の対象のそれぞれから、第2の組のDNA試料を得る工程;
(c)前記第1および前記第2のDNA試料の組の断片を生成する工程;
(d)前記第1および前記第2のDNA試料の組のそれぞれからの断片を、別々に、N4-acdC結合剤と接触させる工程;
(e)前記結合剤と前記第1および前記第2のDNA試料の組のDNA断片との複合体を濃縮する工程;ならびに
(f)前記第1および前記第2のDNA試料の組から得られた複合体中のDNA断片のヌクレオチド配列を決定する工程
を含み、
前記第2のDNA試料の組に比べて、前記第1のDNA試料の組と形成された複合体においてより豊富なDNA配列が、前記状態についてのバイオマーカーである、
方法。
23. 前記状態が、がん、感染症、または遺伝病から選択される、態様20記載の方法。
24. 前記DNA試料が、腫瘍、体液、組織、または器官から得られる、態様20記載の方法。
25. 前記体液が、血液、血漿、血清、唾液、痰、粘液、リンパ液、尿、精液、脳脊髄液、または羊水である、態様24記載の方法。
26. 前記DNA試料がセルフリーDNA(cfDNA)を含む、態様20記載の方法。
27. 前記DNA断片が、超音波処理、せん断、または酵素的断片化により得られる、態様20記載の方法。
28. 前記DNA試料がクロマチンである、態様20記載の方法。
29. 前記DNA試料がネイキッドDNAである、態様20記載の方法。
30. 前記DNA試料が二本鎖である、態様29記載の方法。
31. 前記DNA試料が一本鎖である、態様29記載の方法。
32. 工程(a)の前または後に、前記DNAを変性させる工程をさらに含む、態様31記載の方法。
33. 前記N4-acdC結合剤が、
(a)抗体、
(b)天然のN4-acdC結合タンパク質、または
(c)N4-acdCに結合するよう操作されたタンパク質
である、態様20記載の方法。
34. 前記濃縮が、免疫沈降、親和性クロマトグラフィー、ゲルろ過法、またはゲルシフト法により達成される、態様20記載の方法。
35. 前記N4-acdC結合剤が、ビオチンまたはデスチオビオチンを含む、態様20記載の方法。
36. 前記濃縮が、アビジン、ストレプトアビジン、またはニュートラアビジンを用いて達成される、態様35記載の方法。
37. (a)対象由来のDNAを含む生物学的試料を準備する工程;および
(b)N4-acdC残基を前記DNA中の1つまたは複数の遺伝子座にマッピングする工程
を含む、方法。
38. マッピングする工程が、前記DNA中のN4-acdC残基をウラシル残基に変換すること、および参照ゲノムにおいては「C」で表されるが、前記対象由来の前記DNAにおいては「T」で表される、1つまたは複数の遺伝子座を特定することを含む、態様37記載の方法。
39. マッピングする工程が、前記DNA中のN4-acdC残基をウラシル残基に変換すること、および参照ゲノムにおいては「C」で表されるが、前記対象由来の前記DNAにおいては「T」で表される、1つまたは複数の遺伝子座を特定することを含む、態様37記載の方法。
40. マッピングする工程が、前記DNA中のN4-acdC残基をウラシル残基に変換すること、および参照ゲノムにおいては「C」で表されるが、前記対象由来の前記DNAにおいては「T」で表される、1つまたは複数の遺伝子座を特定することを含む、態様37記載の方法。
41. マッピングする工程が、前記DNA中の非N4-acdC残基をウラシル残基に変換すること、および参照ゲノムにおいて「C」で表され、かつ前記対象由来の前記DNAにおいて「C」で表される、1つまたは複数の遺伝子座を特定することを含む、態様37記載の方法。
42. マッピングする工程が、
試料を第1のアリコートと第2のアリコートとに分けること;
前記第1のアリコート中のDNAを脱アセチル化すること;
任意選択により、N4-acdC残基に特異的に結合する結合剤を用いて、前記2つのアリコート中のDNAを免疫沈降すること;
前記脱アセチル化した第1のアリコートおよび前記第2のアリコート中の前記DNAのシーケンシングを行うこと;ならびに
配列リードを参照ゲノムに対しマッピングすることであって、前記第1のアセチル化アリコートよりも前記第2のアリコートの方が配列リードが深い遺伝子座が、N4-acdCの存在を表している、マッピングすること
を含む、態様37記載の方法。
43. 検出する工程が、DNAシーケンシング、PCR、qPCR、バイオマーカーに対する標識プローブのハイブリダイゼーション、TaqMan増幅、または分子ビーコンによる検出を含む、態様37記載の方法。
44. 前記1つまたは複数の座が、たとえば態様22記載の方法により決定される状態についてのバイオマーカーである、態様37記載の方法。
45. 前記DNA試料が、真核細胞、原核細胞、古細菌細胞、細胞系、組織、器官、または体液から得られる、態様1~46のいずれか記載の方法。
46. 前記体液が、血液、血漿、血清、唾液、痰、粘液、リンパ液、尿、精液、脳脊髄液、または羊水である、態様37記載の方法。
47. 前記DNA試料がセルフリーDNAを含む、態様1~46のいずれか記載の方法。
48. 前記DNA断片が、超音波処理、せん断、または酵素的断片化により得られる、態様1~46のいずれか記載の方法。
49. 前記DNA試料がクロマチンを含む、態様1~46のいずれか記載の方法。
50. 前記DNA試料がネイキッドDNAを含む、態様1~46のいずれか記載の方法。
51. 前記DNA試料が二本鎖DNAを含む、態様50記載の方法。
52. 前記DNA試料が一本鎖DNAを含む、態様50記載の方法。
53. 工程(a)の前または後に、前記DNAを変性させる工程をさらに含む、態様52記載の方法。
54. 前記N4-acdC結合剤が、
(a)抗体、
(b)天然のN4-acdC結合タンパク質、または
(c)N4-acdCに結合するよう操作されたタンパク質
である、態様1~46のいずれか記載の方法。
55. 濃縮する工程が、免疫沈降、親和性クロマトグラフィー、ゲルろ過法、またはゲルシフト法を含む、態様54記載の方法。
56. 前記N4-acdC結合剤が、ビオチンまたはデスチオビオチンを含む、態様1~46のいずれか記載の方法。
57. 前記濃縮が、アビジン、ストレプトアビジン、またはニュートラアビジンを用いて達成される、態様54記載の方法。
58. N4-アセチルデオキシシチジン(N4-acdC)を含むDNA断片の1つまたは複数が、G四重体も含む、態様1~46のいずれか記載の方法。
59. N4-acdC残基を還元によりN4-athC残基に変換する工程、および
必要に応じて、N4-acdCではなくN4-athCに対する抗体またはタンパク質を用いる工程
を含む、態様1~58のいずれか記載の方法。
60. N4-acdC結合剤に結合したDNA分子を含む、組成物。
61. 前記DNA分子が、RNAおよび/または細胞質内タンパク質から精製されている、態様60記載の組成物。
62. 前記N4-acdC結合剤が、N4-acdC残基に特異的に結合する抗体である、態様60記載の組成物。
63. 前記抗体が標識されている、態様62記載の組成物。
64. 前記標識が、キャプチャー部分(たとえばビオチン)または検出可能部分(たとえば蛍光分子)を含む、態様63記載の組成物。
65. N4-acdC残基またはN4-athC残基が濃縮されているDNA分子を含む組成物であって、濃縮が、前記DNA分子と同じ種に由来する対照核酸と比べて、少なくとも2倍、少なくとも10倍、または少なくとも100倍である、組成物。
66. (a)脱アセチル化剤を収容している第1の容器;および
(b)N4-acdC残基を含むDNAに特異的に結合する結合剤を収容している第2の容器
を含む、キット。
67. (a)脱アセチル化剤を収容している第1の容器;および
(b)亜硫酸水素ナトリウムを収容している第2の容器
を含む、キット。
68. (c)求核剤を収容している第3の容器
をさらに含む、態様67記載のキット。
69. (d)TET酵素を収容している第3の容器
をさらに含む、態様67記載のキット。
70. (a)メチラーゼを収容している第1の容器;
(b)TET酵素を収容している第2の容器;
(c)亜硫酸水素ナトリウムを収容している第3の容器
71. (d)脱アセチル化剤を収容している第4の容器
をさらに含む、態様70記載のキット。
72. 脱アセチル化剤を収容している第1の容器、
少なくとも1つのアセチル化ヌクレオチドを有する制限部位を認識しない制限酵素を収容している第2の容器、および
任意選択により、ホスファターゼ酵素を収容している第3の容器
を含む、キット。
73. 脱アセチル化剤を収容している第1の容器、
還元剤を収容している第2の容器、
デアセチラーゼを収容している第3の容器、
分子タグを収容している第4の容器、および
任意選択により、前記タグに結合する結合剤を収容している第5の容器
を含む、キット。
74. 脱アセチル化剤を収容している第1の容器、および
ポリメラーゼを収容している第2の容器
を含む、キット。
75. 還元剤を収容している第1の容器、および
N4-athCに結合する抗体またはタンパク質を収容している第2の容器
を含む、キット。
I.ACC-Seq:
ACC-Seqでは、1つのDNA試料(組織、細胞系、処理細胞その他に由来)を2つに分ける:(1)一方は、ヒドロキシルアミンまたは水酸化ナトリウムまたはAMAなどの強力な求核剤で処理。(2)他方の試料は対照または参照とする(「モック」処理試料)。求核剤で処理した群では、アセチル部分が除去されてシトシンが生じ、したがってN4-アセチルシチジン/N4-アセチルデオキシシチジン特異的抗体により認識されるエピトープが除去される。その後、処理群および無処理群の両方が、N4-アセチルシチジン/N4-アセチルデオキシシチジン特異的抗体を用いた免疫沈降を受ける。次に、両処理群からの免疫沈降DNAを精製し、分析用にNGSシーケンシングライブラリーを調製する。得られたシーケンシングデータは、ゲノム中でN4-アセチルデオキシシチジンがどこに局在するかの指標であるピークを明らかにし、これらのピークが無処理群には見られるがヒドロキシルアミンまたはNaOHで処理した群では存在しないかまたは低減していれば、それらは真にN4-アセチルデオキシシチジンを含む座とみなされる。この方法は、DNAはRNAと比べて相対的に塩基媒介性加水分解に対し非感受性であるため、水酸化ナトリウムのような強力な求核性塩基を用いてゲノム全体で包括的にN4-acdC部位の脱アセチル化を達成することができるが、RNAにNaOHを使用することはRNAの化学的不安定さのせいでできないという点で、既知のRNA法とは異なり、かつそれを改善するものである。
詳細な工程:
・70%コンフルエントHeLa細胞を採取し、Qiagen DNeasyキットを用いてgDNAを抽出し、抽出中にRNaseAを添加する。
・Nanodropで260/280比で濃度を測定。
・200 μgのgDNAをPIXULで超音波処理:20 μg/100uL トリス-HCl pH8.0 10 mMの入ったウェル。
工程続き:パラメーター:
・-パルス: 50 N
・-PRF:1 Khz
・-プロセス時間: 30分
・-バーストレート:20 Hz
工程続き:
・Tapestation HS D-1000:200~700bpのプロファイル。
・500 uL(100 μg)をNH2OHで処理:98℃で5分間加熱してから4℃で5分間、その後氷中保存。
・173 mgのNH2OHを計量し、10 mLの1M トリス HCl pH 8.0を添加。
・125 μLのこの溶液を、熱変性させた500 μLのgDNAに添加。
・65℃で1時間加熱(脱アセチル化が生じる)してから、4℃で冷却。
・酢酸-EtOH沈殿、1 mLのEtOH 75%で2回洗浄。
・100 μLのトリスHCl pH 7.5 10mMにペレットを再懸濁。
・100 μgの無処理gDNA(「モック」試料)も変性。
・60 μgのモックまたはNH2OH処理gDNAでIP。
・409 μLのトリスHCl pH 8.0 10 mM中60 μg。
・1x PBS(1 mL中終濃度)、0.05% トリトンX-100(1 mL中終濃度)、および0.1% BSA(1 mL中終濃度)を含有する591 μLを調製(各条件につき)。この溶液をDNAに添加。
・7.5 μgのAbcam製抗N4-AcdC抗体(#Ab252215) = 13.5 uL。
・4℃で3時間回転。
・3時間後、1 mLの低温1x PBSで2回洗浄し50 μLの1x PBSに再懸濁させた75 μLのProtein G Dynabeadsを添加。
・ローテーター上で4℃で1~2時間インキュベートしてから、上清を除去して保管。
・1 mLの低温洗浄バッファー(PBS 1x、0.05% トリトンX-100、0.1% BSA)で5回洗浄。
・150 μLの溶出バッファー(EB = 50 mM トリスHCl pH 8.0、75 mM NaCl、6.25 mM EDTA、1% SDS、7 μLのActive Motif製Proteinase K)中、800 RPM/37℃で溶出。注:DNA LoBindチューブ内で溶出。
・上清を採取し、1.5x Ampure Beadsで精製。
・Swift 1sプロトコルを用いてライブラリーを調製。
・75サイクル、シングルエンド、少なくとも10 Mリード/試料、Illuminaシーケンシング。
完全なACC-Seq法のシーケンシングデータを添付の図面に示す。このデータは、ヒトDNAからの非常に強力なN4-アセチルデオキシシチジンの濃縮を明らかにしている。
II.化学的還元、その後の酵素的脱アセチル化:
このストラテジーは、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)などの強力な化学的還元剤を利用してN4-アセチルデオキシシチジンをN4-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロシチジンに変換する。N4-アセチル部分の酵素的脱アセチル化により一級求核性アミンが生じ、次にそれをある範囲の標準的な生体共役化学反応(たとえばN-ヒドロキシスクシニミジルエステル官能化色素、ビオチン、その他での標識)に供することができる。
工程:
・1.)DNAを100 mM NaBH4と1時間37℃で反応させる。
・2.)Active Motif製ChIP IP DNA精製キット、または酢酸ナトリウム/エタノール沈殿によりDNAを精製して反応物をすべて除去する。
・3.)NaBH4還元DNAを組み換えHDACまたはサーチュインデアセチラーゼ(たとえばSIRT1)と一緒にインキュベートする。
・4.)Active Motif製ChIP IP DNA精製キット、または酢酸ナトリウム/エタノール沈殿によりDNAを精製して反応物をすべて除去する。
・5.)DNAを10 mM HEPESバッファー、pH 7.5中NHS-LC-ビオチン(Pierce Chemical)と反応させてシチジンN4一級アミンをビオチン標識し、その後ストレプトアビジンをコンジュゲートさせた樹脂を用いて濃縮する。
本明細書で使用する場合、特に明言しないかぎり、次の意味が適用される。「~することができる」という言葉は、強制の意味(すなわち、~でなくてはならない、という意味)ではなく、容認の意味(すなわち、~する可能性を有する、という意味)で使用される。「含む(include)」、「含む(including)」、および「含む(includes)」等の言葉は、限定ではないが、「~を含む」を意味する。単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、複数形も含む。したがって、たとえば、「1つの要素(an element)」への言及は、「1つまたは複数の」などの1つまたは複数の要素を指す他の用語および語句の使用にかかわらず、2つ以上の要素の組み合わせも含む。「少なくとも1つの」という語句は、「1つの」、「1つ以上の」、「1つまたは複数の」、および「複数」を含む。「または」という用語は、特に明言しないかぎり、排他的ではなく、すなわち「および」と「または」の両方を包含する。修飾語と一連の連続物との間の「のいずれか」という用語は、その修飾語が、その一連の連続物の各メンバーを修飾することを意味する。したがって、たとえば「少なくとも1、2、または3のいずれか」は、「少なくとも1、少なくとも2、または少なくとも3」を意味する。「~から本質的になる」という用語は、記載の要素、および言明している組み合わせの基本的かつ新規な特徴に重大な影響を与えないその他の要素を含む、ということを指す。
本明細書および図面は、本発明を開示の特定の形態に限定する意図はなく、むしろその意図は、添付の請求項に定められる本発明の趣旨および範囲内であらゆる改造物、均等物、および代替物を網羅することである、と理解すべきである。本発明の様々な局面のさらなる改造および代替の態様は、本明細書に鑑み当業者には明らかになる。したがって、本明細書および図面は、単に説明的なものであって、本発明を実施する一般的な方法を当業者に教示するためのものである、と解釈すべきである。本明細書に示され、かつ記載される本発明の諸形態は、諸態様の例と考えるべきであることを理解されたい。本明細書に説明されかつ記載された要素および材料を別のもので置き換えることもでき、部分およびプロセスを逆にすることも省略することもでき、また本発明の特定の特徴を独立して利用することもでき、それらはすべて、本発明の明細書の利益を受けた後当業者には明白になろう。添付の請求項に記載される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される要素に変更を加えることができる。本明細書で用いた見出しは単に編成上のものであり、本明細書の範囲を限定するために使ったものではない。
本明細書に記載したすべての刊行物、特許、特許出願は、個々の刊行物、特許、特許出願が、参照により組み入れられることがあたかも具体的かつ個別に表明されたも同然に、参照により本明細書に組み入れられる。

Claims (75)

  1. N4-アセチルデオキシシチジン(N4-acdC)を含むDNA断片の集団を得るための方法であって、
    (a)試料中のDNAからDNA断片を生成する工程;
    (b)前記DNA断片をN4-acdC結合剤と接触させる工程;および
    (c)前記結合剤と前記DNA断片との複合体を濃縮する工程
    を含む、方法。
  2. a)核酸分子を含む試料を準備する工程;
    b)前記核酸分子中のN4-アセチルデオキシシチジン(「N4-acdC」)残基をN4-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロシチジン残基に変換する工程;
    c) 求核性一級アミンを産生するために、前記N4-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロシチジン残基を脱アセチル化する工程;
    d)前記求核性一級アミンをタグとコンジュゲートする工程;
    e)前記試料から前記タグに結合した核酸をキャプチャー分子を用いて捕捉する工程;
    f) シーケンシングリードを含む配列データを生成するために、捕捉した核酸分子のシーケンシングを行う工程
    を含む、方法。
  3. 前記核酸分子中のN4-アセチルデオキシシチジン(「N4-acdC」)残基をN4-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロシチジン残基に変換する工程が、還元剤(たとえばNaBH4、LiBH4、KBH4、NBu4BH4、NaCNBH3、BH3-pyr)の使用を含む、請求項2記載の方法。
  4. 脱アセチル化が、化学的または酵素的に実施される、請求項2記載の方法。
  5. 前記タグが、ビオチンまたはデスチオビオチンを含む、請求項2記載の方法。
  6. キャプチャー分子が、アビジン、ストレプトアビジン、またはニュートラアビジンを含む、請求項2記載の方法。
  7. (a)核酸分子を含む試料から第1のアリコートおよび第2のアリコートを調製する工程;
    (b)第1の脱アセチル化アリコートを産生するために、前記第1のアリコートにおいて、核酸分子中のN4アセチルデオキシシチジン(「N4-acdC」)残基をシチジン残基に変換する工程;
    (c)前記第1の脱アセチル化アリコートおよび前記第2のアリコート中の核酸をN4-acdC結合剤と接触させる工程;ならびに
    (d)濃縮された第1および第2のアリコートを産生するために、前記第1の脱アセチル化アリコートおよび前記第2のアリコートにおける前記結合剤とN4-acdC残基を含む前記核酸分子との複合体を濃縮する工程;ならびに
    (e)前記濃縮アリコート中の核酸を単離する工程
    を含む、方法。
  8. (f)シーケンシングリードを含む配列データを生成するために、両濃縮アリコートから単離した核酸分子のシーケンシングを行う工程;
    (g)1つまたは複数の遺伝子座にマッピングする各濃縮アリコートからの配列リードを測定する工程;
    (h)前記第2のアリコートからのマッピングされた配列リードの測定値が前記脱アセチル化アリコートからマッピングされた配列リードの測定値よりも大きい1つまたは複数の遺伝子座を特定する工程であって、マッピングされた配列リードの測定値が、前記脱アセチル化アリコートよりも前記第2のアリコートにおいて大きい遺伝子座が、前記試料中のN4-acdCを含む核酸の座を表す、特定する工程
    をさらに含む、請求項2記載の方法。
  9. 変換する工程が、前記核酸を求核剤で処理することを含む、請求項2記載の方法。
  10. 前記求核剤が、ヒドロキシルアミン、水酸化ナトリウム、またはNH4OH/CH3NH2(水酸化アンモニウム/メチルアミン水溶液またはAMA試薬)試薬を含む、請求項9記載の方法。
  11. NaOHが変性剤の役割も果たす、請求項10記載の方法。
  12. 前記核酸分子を、抗N4-acdCまたは抗N4-アセチルシチジン(「4N-AcC」)抗体を用いて免疫沈降する、請求項1および7記載の方法。
  13. a)核酸分子を含む試料を準備する工程;
    b)前記核酸分子中の未修飾シチジンを、求核剤の存在下で前記分子をバイサルファイトで処理することにより、アミノ基転移する工程;
    c)ウラシル残基を産生するために、前記核酸分子中のN4-acdC残基を(たとえばバイサルファイトを用いて)脱アミノ化する工程;および
    d)前記脱アミノ化核酸分子のシーケンシングを行う工程であって、N4-acdC残基がチミジンとして読み出される、シーケンシングを行う工程;
    e)任意選択により、対照試料を準備する工程であって、未修飾シチジンをアミノ基転移する前にN4-acdC残基が脱アセチル化されており、後にN4-acdCがシトシンとして読み出される、対照試料を準備する工程
    を含む、方法。
  14. a)核酸分子を含む試料を準備する工程;
    b)前記核酸分子中の未修飾シチジンを、求核剤の存在下で前記分子をバイサルファイトで処理することにより、アミノ基転移する工程;
    c)5-メチルシトシン(5mC)、5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)、および5-ホルミルシトシン(「5fC」)を(たとえばテン-イレブン転座メチルシトシンジオキシゲナーゼを用いて)5-カルボキシルシトシン(「5caC」)に変換する工程;
    d)5caC残基をカルボジイミド、および一級アミンを含む求核剤でブロックする工程;
    e)ウラシル残基を産生するために、前記核酸分子中のN4-acdC残基を(たとえばバイサルファイトを用いて)脱アミノ化する工程;ならびに
    f)前記脱アミノ化核酸分子のシーケンシングを行う工程であって、N4-acdC残基がチミジンとして読み出される、シーケンシングを行う工程
    を含む、方法。
  15. a)核酸分子を含む試料を準備する工程;
    b)シトシンを5-メチルシトシン(「5mC」)に変換するために、前記核酸をたとえばメチラーゼ、またはmSssIなどのメチルトランスフェラーゼで処理する工程;
    c)5-メチルシトシン(「5mC」)、5-ヒドロキシメチルシトシン(「5hmC」)、および5-ホルミルシトシン(「5fC」)を、たとえばテン-イレブン転座メチルシトシンジオキシゲナーゼ(「TET」)での処理により、5-カルボキシルシトシン(「5caC」)残基に変換する工程;
    d)5caC部位を、カルボジイミド、および一級アミンを含む求核剤、たとえばベンジルアミンでブロックする工程;ならびに
    e)N4アセチルデオキシシチジン(「N4-acdC」)残基を、バイサルファイトを用いてウラシル残基に変換する工程;ならびに
    f)前記変換核酸分子のシーケンシングを行う工程であって、N4-acdC残基がチミジンとして読み出される、シーケンシングを行う工程
    を含む、方法。
  16. シトシンが、化学的に、または(たとえば細菌または植物に由来する)CpGメチルトランスフェラーゼにより、5mCに変換される、請求項15記載の方法。
  17. 前記TETが、TET1、TET2、TET3、マウスTET、ショウジョウバエ(drosophila)TET(CG43444)、およびNgTET(ネグレリア(Naegleria)Tet様ジオキシゲナーゼ)から選択される、請求項15記載の方法。
  18. (a)N4-acdC残基を含むDNAを制限酵素で消化する工程であって、前記制限酵素が、N4-acdCを含む制限部位を消化しない(たとえばSacI)、消化する工程;
    (b)前記消化されたDNAを変性させ、脱アセチル化し、かつ脱リン酸化する工程;
    (c)二本鎖DNA分子を産生するために、前記変性させ、脱アセチル化し、かつ脱リン酸化したDNAについて第2鎖合成を実施する工程;
    (d)操作(c)からの二本鎖DNAを制限酵素で消化して、切断されたリン酸化分子を残す、工程;
    (e)アダプター-タグ分子を産生するために、前記切断されたリン酸化分子にアダプター分子を結合させる工程;および
    (f)任意選択により、前記アダプター-タグ分子をPCRにより増幅し、かつシーケンシングを行う工程
    を含む、方法。
  19. a)核酸分子を含む試料を準備する工程;
    b)前記核酸中のN4-アセチルデオキシシチジン(「N4-acdC」)残基を、脱アセチル化剤により、還元剤により、または付加物を結合させることにより、処理する工程;および
    c)ナノポアシーケンシングにより、前記処理された核酸分子のシーケンシングを行う工程であって、処理されたN4-acdC残基が、シーケンシング中に電流または電圧の特徴的な変動を生じる、シーケンシングを行う工程
    を含む、方法。
  20. DNA中のN4-acdCに結合する、またはN4-acdCを含むDNA配列に結合する候補タンパク質を特定する方法であって、
    (a)DNA試料の断片を生成する工程;
    (b)前記DNA断片の第1の部分を脱アセチル化剤と接触させるが、第2の部分は接触させない工程;
    (c)前記第1および前記第2の部分からのDNAを、被検タンパク質と接触させる工程;ならびに
    (d)前記第1の部分のDNAに結合するタンパク質の量を、前記第2の部分のDNAに結合するタンパク質の量と比較する工程
    を含み、
    前記第1の部分よりも前記第2の部分のDNAにより多量に結合するタンパク質が、候補N4-acdC結合タンパク質である、
    方法。
  21. 前記タンパク質が質量分析法により特定される、請求項20記載の方法。
  22. ある状態についてのバイオマーカーを特定するための方法であって、
    (a)前記状態を有する複数の対象のそれぞれから、第1の組のDNA試料を得る工程;
    (b)前記状態を有さない複数の対象のそれぞれから、第2の組のDNA試料を得る工程;
    (c)前記第1および前記第2のDNA試料の組の断片を生成する工程;
    (d)前記第1および前記第2のDNA試料の組のそれぞれからの断片を、別々に、N4-acdC結合剤と接触させる工程;
    (e)前記結合剤と前記第1および前記第2のDNA試料の組のDNA断片との複合体を濃縮する工程;ならびに
    (f)前記第1および前記第2のDNA試料の組から得られた複合体中のDNA断片のヌクレオチド配列を決定する工程
    を含み、
    前記第2のDNA試料の組に比べて、前記第1のDNA試料の組と形成された複合体においてより豊富なDNA配列が、前記状態についてのバイオマーカーである、
    方法。
  23. 前記状態が、がん、感染症、または遺伝病から選択される、請求項20記載の方法。
  24. 前記DNA試料が、腫瘍、体液、組織、または器官から得られる、請求項20記載の方法。
  25. 前記体液が、血液、血漿、血清、唾液、痰、粘液、リンパ液、尿、精液、脳脊髄液、または羊水である、請求項24記載の方法。
  26. 前記DNA試料がセルフリーDNA(cfDNA)を含む、請求項20記載の方法。
  27. 前記DNA断片が、超音波処理、せん断、または酵素的断片化により得られる、請求項20記載の方法。
  28. 前記DNA試料がクロマチンである、請求項20記載の方法。
  29. 前記DNA試料がネイキッドDNAである、請求項20記載の方法。
  30. 前記DNA試料が二本鎖である、請求項29記載の方法。
  31. 前記DNA試料が一本鎖である、請求項29記載の方法。
  32. 工程(a)の前または後に、前記DNAを変性させる工程をさらに含む、請求項31記載の方法。
  33. 前記N4-acdC結合剤が、
    (a)抗体、
    (b)天然のN4-acdC結合タンパク質、または
    (c)N4-acdCに結合するよう操作されたタンパク質
    である、請求項20記載の方法。
  34. 前記濃縮が、免疫沈降、親和性クロマトグラフィー、ゲルろ過法、またはゲルシフト法により達成される、請求項20記載の方法。
  35. 前記N4-acdC結合剤が、ビオチンまたはデスチオビオチンを含む、請求項20記載の方法。
  36. 前記濃縮が、アビジン、ストレプトアビジン、またはニュートラアビジンを用いて達成される、請求項35記載の方法。
  37. (a)対象由来のDNAを含む生物学的試料を準備する工程;および
    (b)N4-acdC残基を前記DNA中の1つまたは複数の遺伝子座にマッピングする工程
    を含む、方法。
  38. マッピングする工程が、前記DNA中のN4-acdC残基をウラシル残基に変換すること、および参照ゲノムにおいては「C」で表されるが、前記対象由来の前記DNAにおいては「T」で表される、1つまたは複数の遺伝子座を特定することを含む、請求項37記載の方法。
  39. マッピングする工程が、前記DNA中のN4-acdC残基をウラシル残基に変換すること、および参照ゲノムにおいては「C」で表されるが、前記対象由来の前記DNAにおいては「T」で表される、1つまたは複数の遺伝子座を特定することを含む、請求項37記載の方法。
  40. マッピングする工程が、前記DNA中のN4-acdC残基をウラシル残基に変換すること、および参照ゲノムにおいては「C」で表されるが、前記対象由来の前記DNAにおいては「T」で表される、1つまたは複数の遺伝子座を特定することを含む、請求項37記載の方法。
  41. マッピングする工程が、前記DNA中の非N4-acdC残基をウラシル残基に変換すること、および参照ゲノムにおいて「C」で表され、かつ前記対象由来の前記DNAにおいて「C」で表される、1つまたは複数の遺伝子座を特定することを含む、請求項37記載の方法。
  42. マッピングする工程が、
    試料を第1のアリコートと第2のアリコートとに分けること;
    前記第1のアリコート中のDNAを脱アセチル化すること;
    任意選択により、N4-acdC残基に特異的に結合する結合剤を用いて、前記2つのアリコート中のDNAを免疫沈降すること;
    前記脱アセチル化した第1のアリコートおよび前記第2のアリコート中の前記DNAのシーケンシングを行うこと;ならびに
    配列リードを参照ゲノムに対しマッピングすることであって、前記第1のアセチル化アリコートよりも前記第2のアリコートの方が配列リードが深い遺伝子座が、N4-acdCの存在を表している、マッピングすること
    を含む、請求項37記載の方法。
  43. 検出する工程が、DNAシーケンシング、PCR、qPCR、バイオマーカーに対する標識プローブのハイブリダイゼーション、TaqMan増幅、または分子ビーコンによる検出を含む、請求項37記載の方法。
  44. 前記1つまたは複数の座が、たとえば請求項22記載の方法により決定される状態についてのバイオマーカーである、請求項37記載の方法。
  45. 前記DNA試料が、真核細胞、原核細胞、古細菌細胞、細胞系、組織、器官、または体液から得られる、請求項1~46のいずれか一項記載の方法。
  46. 前記体液が、血液、血漿、血清、唾液、痰、粘液、リンパ液、尿、精液、脳脊髄液、または羊水である、請求項37記載の方法。
  47. 前記DNA試料がセルフリーDNAを含む、請求項1~46のいずれか一項記載の方法。
  48. 前記DNA断片が、超音波処理、せん断、または酵素的断片化により得られる、請求項1~46のいずれか一項記載の方法。
  49. 前記DNA試料がクロマチンを含む、請求項1~46のいずれか一項記載の方法。
  50. 前記DNA試料がネイキッドDNAを含む、請求項1~46のいずれか一項記載の方法。
  51. 前記DNA試料が二本鎖DNAを含む、請求項50記載の方法。
  52. 前記DNA試料が一本鎖DNAを含む、請求項50記載の方法。
  53. 工程(a)の前または後に、前記DNAを変性させる工程をさらに含む、請求項52記載の方法。
  54. 前記N4-acdC結合剤が、
    (a)抗体、
    (b)天然のN4-acdC結合タンパク質、または
    (c)N4-acdCに結合するよう操作されたタンパク質
    である、請求項1~46のいずれか一項記載の方法。
  55. 濃縮する工程が、免疫沈降、親和性クロマトグラフィー、ゲルろ過法、またはゲルシフト法を含む、請求項54記載の方法。
  56. 前記N4-acdC結合剤が、ビオチンまたはデスチオビオチンを含む、請求項1~46のいずれか一項記載の方法。
  57. 前記濃縮が、アビジン、ストレプトアビジン、またはニュートラアビジンを用いて達成される、請求項54記載の方法。
  58. N4-アセチルデオキシシチジン(N4-acdC)を含むDNA断片の1つまたは複数が、G四重体も含む、請求項1~46のいずれか一項記載の方法。
  59. N4-acdC残基を還元によりN4-athC残基に変換する工程、および
    必要に応じて、N4-acdCではなくN4-athCに対する抗体またはタンパク質を用いる工程
    を含む、請求項1~58のいずれか一項記載の方法。
  60. N4-acdC結合剤に結合したDNA分子を含む、組成物。
  61. 前記DNA分子が、RNAおよび/または細胞質内タンパク質から精製されている、請求項60記載の組成物。
  62. 前記N4-acdC結合剤が、N4-acdC残基に特異的に結合する抗体である、請求項60記載の組成物。
  63. 前記抗体が標識されている、請求項62記載の組成物。
  64. 前記標識が、キャプチャー部分(たとえばビオチン)または検出可能部分(たとえば蛍光分子)を含む、請求項63記載の組成物。
  65. N4-acdC残基またはN4-athC残基が濃縮されているDNA分子を含む組成物であって、濃縮が、前記DNA分子と同じ種に由来する対照核酸と比べて、少なくとも2倍、少なくとも10倍、または少なくとも100倍である、組成物。
  66. (a)脱アセチル化剤を収容している第1の容器;および
    (b)N4-acdC残基を含むDNAに特異的に結合する結合剤を収容している第2の容器
    を含む、キット。
  67. (a)脱アセチル化剤を収容している第1の容器;および
    (b)亜硫酸水素ナトリウムを収容している第2の容器
    を含む、キット。
  68. (c)求核剤を収容している第3の容器
    をさらに含む、請求項67記載のキット。
  69. (d)TET酵素を収容している第3の容器
    をさらに含む、請求項67記載のキット。
  70. (a)メチラーゼを収容している第1の容器;
    (b)TET酵素を収容している第2の容器;
    (c)亜硫酸水素ナトリウムを収容している第3の容器
    を含む、キット。
  71. (d)脱アセチル化剤を収容している第4の容器
    をさらに含む、請求項70記載のキット。
  72. 脱アセチル化剤を収容している第1の容器、
    少なくとも1つのアセチル化ヌクレオチドを有する制限部位を認識しない制限酵素を収容している第2の容器、および
    任意選択により、ホスファターゼ酵素を収容している第3の容器
    を含む、キット。
  73. 脱アセチル化剤を収容している第1の容器、
    還元剤を収容している第2の容器、
    デアセチラーゼを収容している第3の容器、
    分子タグを収容している第4の容器、および
    任意選択により、前記タグに結合する結合剤を収容している第5の容器
    を含む、キット。
  74. 脱アセチル化剤を収容している第1の容器、および
    ポリメラーゼを収容している第2の容器
    を含む、キット。
  75. 還元剤を収容している第1の容器、および
    N4-athCに結合する抗体またはタンパク質を収容している第2の容器
    を含む、キット。
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