定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する当該技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に指定していない限り、複数の内容を含む。
用語「Cx-y」は、アルキル、アルケニル、またはアルキニルなどの化学部分と組み合わせて使用されるとき、鎖中にx~y個の炭素を含む基を含むことを意味する。例えば、用語「C1-6アルキル」は、1~6個の炭素を含む直鎖アルキル基および分岐鎖アルキル基を含む置換または非置換の飽和炭化水素基を指す。用語-Cx-yアルキレン-は、アルキレン鎖中のx~y個の炭素を有する置換または非置換のアルキレン鎖を指す。例えば、-C1-6アルキレン-は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、およびヘキシレンから選択されてもよく、これらのうちのいずれか1つは任意選択で置換される。
「アルキル」は、直鎖アルキルおよび分枝鎖アルキル基を含む置換または非置換の飽和炭化水素基を指す。アルキル基は、1~8の炭素原子(C1-8アルキル)または1~6の炭素原子(C1-6アルキル)などの1~12の炭素原子(例えばC1-12アルキル)を含み得る。例示的なアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、セプチル、オクチル、ノニル、およびデシルを含む。アルキル基は単結合によって分子の残りに結合する。本明細書において具体的に別段の定めがない限り、アルキル基は、本明細書に記載される置換基など、1以上の置換基によって任意選択で置換される。
「ハロアルキル」は、1以上のハロゲンによって置換されるアルキル基を指す。例示的なハロアルキル基は、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、3-ブロモ-2-フルオロプロピル、および1,2-ジブロモエチルを含む。
「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を含む直鎖または分枝鎖アルケニル基を含む置換または非置換の炭化水素基を指す。アルケニル基は2~12の炭素原子(例えばC2-12アルケニル)を含み得る。例示的なアルケニル基は、エテニル(つまりビニル)、プロプ-1-エニル、ブト-1-エニル、ペント-1-エニル、ペンタ-1,4-ジエニルなどを含む。本明細書において具体的に別段の定めがない限り、アルケニル基は、本明細書に記載される置換基など、1以上の置換基によって任意選択で置換される。
「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を含む直鎖または分枝鎖アルキニル基を含む置換または非置換の炭化水素基を指す。アルキニル基は2~12の炭素原子(例えばC2-12アルキニル)を含み得る。例示的なアルキニル基はエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどを含む。本明細書において具体的に別段の定めがない限り、アルケニル基は、本明細書に記載される置換基など、1以上の置換基によって任意選択で置換される。
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、および「ヘテロアルキニル」は、炭素以外に原子から選択されるそれぞれ1以上の骨格鎖原子を有する置換または非置換のアルキル、アルケニル、およびアルキニル基を指す。炭素以外に原子から選択される例示的な骨格鎖原子は、例えばO、N、P、Si、S、またはそれらの組み合わせを含み、ここでは、窒素、リン、および硫黄原子は、任意選択で酸化することがあり、窒素ヘテロ原子は任意選択で四級化されることがある。もし与えられれば、数値の範囲は鎖の全長を指す。例えば、3員から8員のヘテロアルキルは3~8の原子の鎖長を有する。分子の残りへの結合は、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニル鎖中のヘテロ原子または炭素のいずれかによることがある。本明細書において具体的に別段の定めがない限り、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニル基は、本明細書に記載される置換基など、1以上の置換基によって任意選択で置換される。
「アリール」は、環を形成する原子の各々が炭素原子である芳香環を指す。アリール基は任意選択で置換可能である。アリール基の例は、フェニルおよびナフチルを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アリールはフェニルである。構造によっては、アリール基はモノラジカルまたはジラジカル(つまり、アリーレン基)であり得る。他に明確に明細書で言及されていない限り、用語「アリール」または接頭語「ar-」(「アラルキル」中など)は、任意選択で置換されるアリールラジカルを含むことを意味する。
「ヘテロアリール」は、各ヘテロ原子がN、O、およびSから独立して選択され得る、少なくとも1つのヘテロ原子を含む3員~12員の芳香環を指す。本明細書に使用されるように、ヘテロアリール環は、単環式または二環式、および融合または架橋された環系から選択されてもよく、ここでは、環系における環の少なくとも1つは芳香族であり、即ち、ヒュッケル理論に従った環式の非局在化(4n+2)π-電子系を含む。ヘテロアリール中のヘテロ原子は任意選択で酸化し得る。1以上の窒素原子は、存在する場合、任意選択で四級化される。ヘテロアリールは、原子価が許容する、ヘテロアリールの炭素原子または窒素原子などの、ヘテロアリールの任意の原子を介して分子の残部に結合し得る。ヘテロアリールの例は、限定されないが、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズインドリル(benzindolyl)、1,3-ベンゾジオキソリル(benzodioxolyl)、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾチアジアゾリル(benzothiadiazolyl)、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル(benzonaphthofuranyl)、ベンゾキサゾリル、ベンゾジオキソリル(benzodioxolyl)、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル(benzopyranyl)、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル(benzofuranonyl)、ベンゾチエニル(benzothiophenyl)、ベンゾチエノ[3,2-d]ピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、シクロペンタ[d]ピリミジニル、6、7-ジヒドロ-5Hシクロペンタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル(quinazolinyl)、5,6-ジヒドロベンゾ[h]シンノリニル、6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-c]ピリダジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、フロ[3,2-c]ピリジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリダジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリジニル、イソチアゾリル(isothiazolyl)、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル(isoindolyl)、インドリニル、イソインドリニル(isoindolinyl)、イソキノリル、インドリジニル(indolizinyl)、イソキサゾリル、5,8-メタノ-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル(tetrahydroquinazolinyl)、ナフチリジニル(naphthyridinyl)、1,6-ナフチリジノニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル(oxoazepinyl)、オキサゾリル、オキシラニル、5,6,6a,7,8,9,10,10a-オクタヒドロベンゾ[h]キナゾリニル(quinazolinyl)、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル(phenothiazinyl)、フェノキサジニル(phenoxazinyl)、フタラジニル(phthalazinyl)、プテリジニル(pteridinyl)、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジニル、ピリジニル、ピリド[3,2-d]ピリミジニル、ピリド[3,4-d]ピリミジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル(quinoxalinyl)、キノリニル、イソキノリニル(isoquinolinyl)、テトラヒドロキノリニル(tetrahydroquinolinyl)、5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル(tetrahydroquinazolinyl)、5,6,7,8-テトラヒドロベンゾ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,5-c]ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、チエノ[2,3-d]ピリミジニル、チエノ[3,2-d]ピリミジニル、チエノ[2,3-c]ピリジニル、およびチオフェニル(即ち、チエニル)を含む。本明細書において具体的に別段の定めがない限り、ヘテロアリールは、本明細書に記載される置換基など、1以上の置換基によって任意選択で置換される。
用語「シクロアルキル」は、単環式または多環式の非芳香族ラジカルを指し、ここでは、環を形成する原子(すなわち、骨格原子)の各々は炭素原子である。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、飽和されるか、部分的に飽和されない。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、スピロ環状化合物または架橋化合物である。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは芳香族環と縮合され得る(その場合、シクロアルキルは非芳香族環炭素原子を介して結合する)。シクロアルキル基は、3~10の環原子を有する基を含む。代表的なシクロアルキルは、限定されないが、3~10の炭素原子、3~8の炭素原子、3~6の炭素原子、または3~5の炭素原子を有するシクロアルキルを含む。単環式シクロアルキルラジカルは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、および、シクロオクチル(cyclooctyl)を含む。多環式ラジカルは、例えば、アダマンチル、1,2-ジヒドロナフタレニル(dihydronaphthalenyl)、1,4-ジヒドロナフタレニル(dihydronaphthalenyl)、テトライニル(tetrainyl)、デカリニル(decalinyl)、3,4-ジヒドロナフタレニル(dihydronaphthalenyl)-1(2H)-オン、スピロ[2.2]ペンチル、ノルボルニル、およびビシクル(bicycle)[1.1.1]ペンチルを含む。特に明細書で別途定められていない限り、シクロアルキル基は任意選択で置換されてもよい。
用語「ヘテロシクロアルキル」は、窒素、酸素、および硫黄から選択された少なくとも1つのヘテロ原子を含むシクロアルキル基を指す。本明細書で他に具体的に明記のない限り、ヘテロシクロアルキルラジカルは、単環式、または二環式の環系であり得、これは、縮合した(アリール環またはヘテロアリール環と縮合したときに、ヘテロシクロアルキルは、非芳香族環原子を介して結合される)または架橋された環系を含み得る。ヘテロシクリルラジカル中の窒素、炭素または硫黄の原子は、任意選択で酸化されてもよい。窒素原子は、任意選択で四級化されてもよい。ヘテロシクリルラジカルは、部分的または完全に飽和であり得る。ヘテロシクロアルキルラジカルの例は、限定されないが、ジオキソラニル(dioxolanyl)、チエニル[1,3]ジチアニル(dithianyl)、テトラヒドロキノリル(tetrahydroquinolyl)、テトラヒドロイソキノリル(tetrahydroisoquinolyl)、デカヒドロキノリル(decahydroquinolyl)、デカヒドロイソキノリル(decahydroisoquinolyl)イミダゾリニル(imidazolinyl)、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル(isothiazolidinyl)、イソキサゾリジニル(isoxazolidinyl)、モルホリニル 、オクタヒドロインドリル(octahydroindolyl)、オクタヒドロイソインドリル(octahydroisoindolyl)、2-オキソピペラジニル(oxopiperazinyl)、2-オキソピペリジニル(oxopiperidinyl)、2-オキソピロリジニル(oxopyrrolidinyl)、オキサゾリジニル(oxazolidinyl)、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル(piperidonyl)、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル 、チアゾリジニル(thiazolidinyl)、テトラヒドロフリル、トリチアニル(trithianyl)、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル(thiomorpholinyl)、チアモルホリニル(thiamorpholinyl)、1-オキソ-チオモルホリニル(thiamorpholinyl)、1,1-ジオキソ-チオモルホリニル(thiomorpholinyl)を含む。用語、ヘテロシクロアルキルはまた、限定されないが、単糖類、二糖類およびオリゴ糖類を含む、炭水化物のすべての環形状を含む。別段の定めのない限り、ヘテロシクロアルキルは環に2~12の炭素を有する。ヘテロシクロアルキル中の炭素原子の数を参照する際、ヘテロシクロアルキル中の炭素原子の数は、ヘテロシクロアルキル(すなわち、ヘテロシクロアルキル環の骨格原子)を構成する原子(ヘテロ原子を含む)の総数と同じではないことに留意する。明細書に別段の定めのない限り、ヘテロシクロアルキル基は任意選択で置換されてもよい。
用語「置換された」は、構造の1以上の炭素またはヘテロ原子上で水素を置き換える置換基を有する部分を指す。「置換」または「~で置換される」は、そのような置換が置換された原子および置換基の許容された原子価に従うものであり、かつ、置換の結果、例えば、再構成、環化、除去などによる変形を自発的に受けない、安定した化合物がもたらされるという、暗黙の条件を含んでいる。本明細書で使用されるように、用語「置換された」は、有機化合物の許容可能な置換基をすべて含むものと企図される。広範囲の態様では、許容可能な置換基は、有機化合物の非環式および環式の、分岐および未分岐の、炭環式および複素環式の、芳香族および非芳香族の置換基を含む。許容可能な置換基は、適切な有機化合物に対して1以上であり、かつ、同じものまたは異なるものであり得る。本開示の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基、および/または、ヘテロ原子の原子価を満たす本明細書に記載される有機化合物の任意の許容可能な置換基を備え得る。置換基は、本明細書に記載される任意の置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、またはチオホルメートなど)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、サルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、炭素環、複素環、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香部分およびヘテロ芳香部分を含み得る。
置換基は、適切な場合には、それ自体で置換され得ることが当業者によって理解される。「非置換の」と具体的に明記されていない限り、本明細書中の化学部分への言及は、置換された変異体を含むと理解される。例えば、「ヘテロアリール」基または部分に対する言及は、置換および非置換の変異体の両方を暗黙に含んでいる。
置換基がそれらの従来の化学式によって特定され、左から右に書かれる場合に、これらは、右から左に構造を書くことに起因する化学的に同一の置換基を等しく包含し、例えば、-CH2O-は-OCH2-に等しい。
「任意選択の」または「任意選択で」とは、後に記載される事象または状況が生じるまたは生じない場合があることを意味するとともに、この記載が、事象または状況が生じる場合の例、および生じない場合の例を含むことを意味する。例えば、「任意選択で置換したアリール」は、アリール基が置換されるまたは置換されない場合があることを意味するとともに、この記載は、置換されたアリール基および置換を有さないアリール基の両方を含むことを意味する。
本開示の化合物は、それらの化合物、同じタイプの活性を有するこれらの化合物の薬学的に許容可能な塩、および活性代謝物の結晶形態と非結晶形態を含んでおり、例えば、上記化合物の多形、擬似多形、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形(無水物を含む)、立体多形、および非結晶形態の他に、これらの混合物を含む。
本明細書に記載される化合物は、それらの天然の同位体存在度を示すこともあれば、原子の1以上が、同じ原子番号であるが自然界で主に見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する特定の同位体で人為的に富化されることもある。本開示の化合物の同位体の変形はすべて、放射性であるか否かにかかわらず、本開示の範囲内に包含される。例えば、水素は、1H(プロチウム)、2H(重水素)、および3H(トリチウム)と示される、3つの自然発生の同位体を有する。プロチウムは、自然界において最も豊富な水素の同位体である。重水素の富化は、インビボでの半減期および/または暴露の増加などの、特定の治療上の利点をもたらし得るか、あるいは薬物排出および代謝のインビボでの経路を調査するのに有用な化合物を提供し得る。同位体的に富化された化合物は、当業者に周知の従来技術によって調製され得る。
「異性体」は、同じ分子式を有する異なる化合物である。「立体異性体」は、原子が空間配置される方法においてのみ異なる、異性体である。「エナンチオマー」は、互いの重ね合わせることができない鏡像である立体異性体の対である。一対のエナンチオマーの1:1の混合物は、「ラセミ」混合物である。用語「(±)」は、適切な場合にラセミ混合物を表すために使用される。「ジアステレオ異性体」または「ジアステレオマー」は、少なくとも2つの不斉原子を有するが、互いの鏡像ではない、立体異性体である。絶対立体化学は、Cahn-Ingold-PrelogのR-Sシステムに従って特定される。化合物が純粋なエナンチオマーである場合、各キラル炭素の立体化学はRまたはSのいずれかによって特定される。絶対配置が未知である分解化合物は、ナトリウムD線の波長で平面偏光を回転させる方向(右旋性または左旋性)によって、(+)または(-)で指定することができる。本明細書に記載される特定の化合物は、1以上の不斉中心を含んでおり、故に、エナンチオマー、ジアステレオマー、および他の立体異性型を生じさせることができ、その不斉中心は、絶対立体化学に関して、(R)-または(S)-として定義され得る。本件の化学実体、医薬組成物、および方法は、ラセミ混合物、光学上純粋な形態、ジアステレオマーの混合物、および中間の混合物を含む、そのようなすべての起こり得る立体異性体を含むことを意味する。光学的に活性な(R)-および(S)-異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して調製され得、あるいは従来の技術を使用して分割され得る。化合物の光学活性は、限定されないが、キラルクロマトグラフィーおよび偏光分析を含む適切な方法を介して分析することができ、他の異性体を上回る1つの立体異性体の優位の程度が判定され得る。
炭素-炭素二重結合または炭素-窒素二重結合を有する化学実体は、Z-形態またはE-形態(あるいは、シス-形態またはトランス-形態)で存在し得る。さらに、いくつかの化学実体は様々な互変異性型で存在し得る。別段の定めがない限り、本明細書に記載される化学実体は、同様にZ-、E-、および互変異性型をすべて含むように意図される。
本明細書に記載される化学実体と中間体の単離および精製は、所望であれば、例えば、濾過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーまたは厚層クロマトグラフィーなどの任意の適切な分離または精製の手順、あるいはそれらの手順の組み合わせによって、行われ得る。適切な分離および単離の手順の具体的な図は、以下の本明細書の実施例を参照することにより、有することができる。しかしながら、他の相当する分離あるいは単離の手順も使用することができる。
立体化学が特定されない場合、本明細書に記載されるある小分子は、限定されないが、可能な場合、エナンチオマーおよびジアステレオマーなどの異性体、ラセミ体を含むエナンチオマーの混合物、ジアステレオマーの混合物、およびそれらの他の混合物を、当業者が日常の実験により製造できる程度に含んでいる。これらの場合では、単一エナンチオマーまたはジアステレオマー、すなわち、光学活性形態は、不斉合成によって、またはラセミ体もしくはジアステレオマーの混合物の分割によって得ることができる。ラセミ体またはジアステレオマーの混合物の分割は、可能であれば、従来の方法、例えば、分解剤の存在下での結晶化、あるいは、例えば、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムを用いたクロマトグラフィーによって、達成することができる。さらに、2つのエナンチオマーのうちの一方に富む混合物を精製して、再結晶化および/またはトリチュレーションにより主要なエナンチオマーのさらに光学的に富化された形態を提供することができる。加えて、そのようなある小分子は、炭素-炭素二重結合または炭素-窒素二重結合を有するある小分子のZ-とE-形態(あるいはシス-およびトランス-形態)を含む。本明細書に記載されたある小分子が様々な互変異性型に存在するところで、用語「ある小分子」はある小分子の互変異性型をすべて含むように意図される。
用語「塩」または「薬学的に許容可能な塩」は、当該技術分野で周知の様々な有機および無機の対イオンに由来する塩を指す。薬学的に許容可能な酸付加塩は無機酸と有機酸で形成することができる。塩が由来し得る無機酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを含んでいる。塩が由来し得る有機酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などを含む。薬学的に許容可能な塩基付加塩は無機塩基と有機塩基で形成することができる。塩が由来し得る無機塩基は、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどを含む。塩が由来し得る有機塩基は、例えば、一級アミン、二級アミン、および三級アミン、自然発生の置換されたアミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などを含む置換されたアミン、具体的には、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、およびエタノールアミンを含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩基付加塩は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩から選択される。
本明細書で使用されるような「薬学的に許容可能な賦形剤」または「薬学的に許容可能な担体」という語句は、液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、またはカプセル化材料などの、薬学的に許容可能な材料、組成物、またはビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分に適合可能であり、かつ患者に有害ではないという意味で、「許容可能」でなければならない。薬学的に許容可能な担体として機能することができる物質のいくつかの例としては、(1)ラクトース、グルコース、およびスクロースなどの糖類、(2)トウモロコシデンプンとジャガイモデンプンなどのデンプン、(3)カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロースなどのセルロースとその誘導体、(4)粉末状トラガント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)ココアバターと座剤用ワックスなどの賦形剤、(9)落花生油、綿実油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油などの油、(10)プロピレングリコールなどのグリコール、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなどのポリオール、(12)オレイン酸エチルとラウリン酸エチルなどのエステル、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)発熱物質を含まない水、(17)等張食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝液、および、(21)医薬製剤中で利用される他の非毒性の適合物質が挙げられる。
用語「有効な量」または「治療上有効な量」は、限定されないが以下に定義されるような疾患の処置を含む、意図される用途に影響を及ぼすのに十分な本明細書に記載される化合物の量を指す。治療上有効な量は、意図される処置用途(インビボ)、または対象および処置される疾患の状態、例えば、対象の体重と年齢、疾患の状態の重症度、投与方法等に依存して変動し、これらは当業者により容易に決定され得る。この用語は、標的細胞における特定の反応、例えば、血小板粘着および/または細胞移動の減少を誘発する投与量にも適用される。特定の投与量は、選択される特定の化合物、その後に続く投与レジメン、それが他の化合物と組み合わせて投与されるか否か、投与のタイミング、それが投与される組織、およびそれが運ばれる物理的な送達系に依存して変動する。
本明細書で使用されるように「処置(treatment)」または「処置すること(treating)」は、限定されないが、治療的な利点および/または予防的な利点を含む、疾患、障害、または医学的疾病に関する有益または所望の結果を得るための方法を指す。治療的な利点は、例えば、処置されている基礎障害の根絶または寛解を含み得る。また、治療的な利点は、例えば、対象が未だに基礎障害による影響を受ける場合があるにも関わらず、対象の改善が観察されるように、基礎障害に関連した1以上の生理学的症状の根絶または寛解を含み得る。特定の実施形態では、予防的な利点に関して、組成物は、疾患の診断が行われていなくても、特定の疾患を進行させるリスクのある対象に、または、疾患の1以上の生理学的症状を報告する対象に、投与される。
「治療効果」は、その用語が本明細書で使用されるように、上記のような治療的な利点および/または予防的な利点を包含する。予防効果は、疾患または疾病の出現を遅らせるか排除すること、疾患または疾病の症状の発症を遅らせるか排除すること、疾患または疾病の進行を遅らせるか、停止させるか、あるいは撤回させること、もしくはこれらの任意の組み合わせを含んでいる。
用語「共投与」、「~と組み合わせて投与される」、およびそれらの文法上の同等物は、本明細書に使用されるように、ヒトを含む動物への2以上の薬剤の投与を包含しており、それにより、薬剤および/またはそれらの代謝物質の両方が、同時に対象に存在する。共投与は、別々の組成物における同時投与、別々の組成物における異なる時間での投与、または両方の薬剤が中に存在する組成物における投与を含む。
用語「固形腫瘍」は、嚢胞または液体の領域を含まない組織の任意の異常な塊を指す。固形腫瘍は良性または悪性であり得る。異なる種類の固形腫瘍は、それらが構成される細胞の種類によって、名前が付けられる。固形腫瘍の例は、肉腫(例えば脂肪肉腫など)、細胞腫、およびリンパ腫を含む。
化合物
一態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物、
またはその薬学的に許容可能な塩であり、式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、およびR
8の各々は、H、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OR
10、-SR
10、-S(=O)R
10、-S(=O)
2R
10、-NR
11R
12、-C(=O)NR
11R
12、-S(=O)NR
11R
12、-S(=O)
2NR
11R
12、-C(=O)R
10、-C(=O)OR
10、-NR
13C(=O)R
10、-NR
13C(=O)NR
11R
12、-NR
13S(=O)
2R
10、-NR
13S(=O)
2NR
11R
12、-C(=S)R
10、-N(=O)、-SN(=O)、-NR
13N(=O)、-ON(=O)、C
1-5アルキル、C
2-5アルケニル、およびC
2-5アルキニルから独立して選択され、式中、アルキル、アルケニル、およびアルキニルはそれぞれ、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OR
10、-SR
10、-S(=O)R
10、-S(=O)
2R
10、-NR
11R
12、-C(=O)NR
11R
12、-S(=O)NR
11R
12、-S(=O)
2NR
11R
12、-C(=O)R
10、-C(=O)OR
10、-NR
13C(=O)R
10、-NR
13C(=O)NR
11R
12、-NR
13S(=O)
2R
10、-NR
13S(=O)
2NR
11R
12、-C(=S)R
10、-N(=O)、-SN(=O)、-NR
13N(=O)、および-ON(=O)から選択される1以上の置換基で独立して任意選択で置換され、
R
9は、C
1-9アルキル、C
2-9アルケニル、C
2-9アルキニル、および3員から10員のヘテロシクロアルキルから選択され、式中、R
9は少なくとも1つの第四級アミノ基またはホスホニウム基で置換され、
R
10はそれぞれ、H、C
1-5アルキル、C
2-5アルケニル、C
2-5アルキニル、C
1-5ヘテロアルキル、C
1-5ハロアルキル、およびC
3-6シクロアルキルから独立して選択され、
R
11およびR
12はそれぞれ、H、C
1-5アルキル、C
2-5アルケニル、C
2-5アルキニル、C
1-5ヘテロアルキル、C
1-5ハロアルキル、C
3-6シクロアルキルから独立して選択され、または、R
12およびR
13は、それらが結合する窒素原子と一体となって、3員から10員のヘテロシクロアルキルを形成し得、および、
R
13はそれぞれ、H、C
1-5アルキル、C
2-5アルケニル、C
2-5アルキニル、C
1-5ヘテロアルキル、C
1-5ハロアルキル、およびC
3-6シクロアルキルから独立して選択される。
いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8の各々は、H、ハロゲン、-CN、-NO2、-OR10、-SR10、-S(=O)R10、-S(=O)2R10、-NR11R12、-C(=O)NR11R12、-S(=O)NR11R12、-S(=O)2NR11R12、-C(=O)R10、-C(=O)OR10、-NR13C(=O)R10、-NR13C(=O)NR11R12、-NR13S(=O)2R10、-NR13S(=O)2NR11R12、-C(=S)R10、-N(=O)、-SN(=O)、-NR13N(=O)、-ON(=O)、C1-5アルキル、C2-5アルケニル、およびC2-5アルキニルから独立して選択され、式中、アルキル、アルケニル、およびアルキニルはそれぞれ、ハロゲン、-CN、-NO2、-OR10、-SR10、-S(=O)R10、-S(=O)2R10、-NR11R12、-C(=O)NR11R12、-S(=O)NR11R12、-S(=O)2NR11R12、-C(=O)R10、-C(=O)OR10、-NR13C(=O)R10、-NR13C(=O)NR11R12、-NR13S(=O)2R10、-NR13S(=O)2NR11R12、-C(=S)R10、-N(=O)、-SN(=O)、-NR13N(=O)、および-ON(=O)から選択される1以上の置換基で独立して任意選択で置換される。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8の各々は、H、ハロゲン、-CN、-NO2、-OR10、-S(=O)2R10、-NR11R12、-C(=O)NR11R12、-S(=O)2NR11R12、-C(=O)R10、-C(=O)OR10、-NR13C(=O)R10、-NR13C(=O)NR11R12、-NR13S(=O)2R10、-NR13S(=O)2NR11R12、C1-5アルキル、C2-5アルケニル、およびC2-5アルキニルから独立して選択され、式中、アルキル、アルケニル、およびアルキニルはそれぞれ、ハロゲン、-CN、-NO2、-OR10、-S(=O)2R10、-NR11R12、-C(=O)NR11R12、-S(=O)2NR11R12、-C(=O)R10、-C(=O)OR10、-NR13C(=O)R10、-NR13C(=O)NR11R12、-NR13S(=O)2R10、および-NR13S(=O)2NR11R12から選択される1以上の置換基で独立して任意選択で置換される。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8の各々は、H、ハロゲン、-CN、-NO2、-OR10、-NR11R12、-C(=O)R10、-C(=O)OR10、およびC1-5アルキルから独立して選択され、式中、各アルキルは、ハロゲン、-CN、-NO2、-OR10、-S(=O)2R10、-NR11R12、-C(=O)NR11R12、-S(=O)2NR11R12、-C(=O)R10、-C(=O)OR10、-NR13C(=O)R10、-NR13C(=O)NR11R12、-NR13S(=O)2R10、および-NR13S(=O)2NR11R12から選択される1以上の置換基で独立して任意選択で置換される。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8の各々は、H、ハロゲン、-CN、-NO2、-OR10、および-NR11R12から独立して選択される。
いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つはハロゲンである。いくつかの実施形態では、R1はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R2はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R3はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R4はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R5、R6、R7、およびR8の少なくとも1つはハロゲンである。いくつかの実施形態では、R5はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R6はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R7はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R8はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つはハロゲンであり、R5、R6、R7、およびR8の少なくとも1つはハロゲンである。いくつかの実施形態では、R1はハロゲンであり、R5はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R1はハロゲンであり、R6はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R1はハロゲンであり、R7はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R1はハロゲンであり、R8はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R2はハロゲンであり、R5はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R2はハロゲンであり、R6はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R2はハロゲンであり、R7はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R2はハロゲンであり、R8はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R3はハロゲンであり、R5はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R3はハロゲンであり、R6はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R3はハロゲンであり、R7はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R3はハロゲンであり、R8はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R4はハロゲンであり、R5はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R4はハロゲンであり、R6はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R4はハロゲンであり、R7はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R4はハロゲンであり、R8はハロゲンである。いくつかの実施形態では、ハロゲンはブロモである。いくつかの実施形態では、ハロゲンはクロロである。いくつかの実施形態では、ハロゲンはフルオロである。
いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つはOHである、いくつかの実施形態では、R1はOHである。いくつかの実施形態では、R2はOHである。いくつかの実施形態では、R3はOHである。いくつかの実施形態では、R4はOHである。いくつかの実施形態では、R5、R6、R7、およびR8の少なくとも1つはOHである、いくつかの実施形態では、R5はOHである。いくつかの実施形態では、R6はOHである。いくつかの実施形態では、R7はOHである。いくつかの実施形態では、R8はOHである。
いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つはニトロであり、R5、R6、R7、およびR8の少なくとも1つはニトロである。いくつかの実施形態では、R1はニトロであり、R5はニトロである。いくつかの実施形態では、R1はニトロであり、R6はニトロである。いくつかの実施形態では、R1はニトロであり、R7はニトロである。いくつかの実施形態では、R1はニトロであり、R8はニトロである。いくつかの実施形態では、R2はハロゲンであり、R5はニトロである。いくつかの実施形態では、R2はニトロであり、R6はニトロである。いくつかの実施形態では、R2はハロゲンであり、R7はニトロである。いくつかの実施形態では、R2はニトロであり、R8はニトロである。いくつかの実施形態では、R3はハロゲンであり、R5はニトロである。いくつかの実施形態では、R3はニトロであり、R6はニトロである。いくつかの実施形態では、R3はハロゲンであり、R7はニトロである。いくつかの実施形態では、R3はニトロであり、R8はニトロである。いくつかの実施形態では、R4はハロゲンであり、R5はニトロである。いくつかの実施形態では、R4はニトロであり、R6はニトロである。いくつかの実施形態では、R4はハロゲンであり、R7はニトロである。いくつかの実施形態では、R4はニトロであり、R8はニトロである。
いくつかの実施形態では、R9は、C1-9アルキル、C2-9アルケニル、C2-9アルキニル、および3員から10員のヘテロシクロアルキルから選択され、式中、R9は少なくとも1つの第四級アミノ基またはホスホニウム基で置換される。いくつかの実施形態では、R9は少なくとも1つのホスホニウム基で置換されるC2-9アルケニルである。いくつかの実施形態では、R9は少なくとも1つの第四級アミノ基で置換されるC2-9アルケニルである。いくつかの実施形態では、R9は少なくとも1つのホスホニウム基で置換されるC2-9アルキニルである。いくつかの実施形態では、R9は少なくとも1つの第四級アミノ基で置換されるC2-9アルキニルである。いくつかの実施形態では、R9は3員から10員のヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、R9はピペラジニルである。いくつかの実施形態では、R9はピリジニルである。いくつかの実施形態では、R9はピペリジニルである。いくつかの実施形態では、R9はモルホリニルである。いくつかの実施形態では、R9はチオモルホリニル(thiomorpholinyl)である。いくつかの実施形態では、R9は少なくとも1つのホスホニウム基で置換されるC1-9アルキルである。いくつかの実施形態では、R9は少なくとも1つの第四級アミノ基で置換されるC1-9アルキルである。いくつかの実施形態では、R9は少なくとも1つの第四級アミノ基で置換されるプロピルである。いくつかの実施形態では、R9は少なくとも1つの第四級アミノ基で置換されるペンチルである。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第四級アミノ基は、式(V)のものであり、
式中、R
14、R
15、およびR
16の各々は、C
1-9アルキル、C
2-9アルケニル、およびC
2-9アルキニルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、R
14、R
15、およびR
16の各々は、独立してC
2-9アルケニルである。いくつかの実施形態では、R
14、R
15、およびR
16の各々は、独立してC
2-9アルキニルである。いくつかの実施形態では、R
14、R
15、およびR
16の各々は、独立してC
1-9アルキルである。いくつかの実施形態では、R
14、R
15、およびR
16の各々は、メチルである。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのホスホニウム基は、式(VI)のものであり、
式中、R
17、R
18、およびR
19の各々は、C
1-9アルキル、C
2-9アルケニル、およびC
2-9アルキニルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、R
17、R
18、およびR
19の各々は、独立してC
2-9アルケニルである。いくつかの実施形態では、R
17、R
18、およびR
19の各々は、独立してC
2-9アルキニルである。いくつかの実施形態では、R
17、R
18、およびR
19の各々は、独立してC
1-9アルキルである。いくつかの実施形態では、R
17、R
18、およびR
19の各々は、メチルである。
いくつかの実施形態では、R10はそれぞれ、H、C1-5アルキル、C2-5アルケニル、C2-5アルキニル、C1-5ヘテロアルキル、C1-5ハロアルキル、およびC3-6シクロアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、R10はそれぞれ、H、C1-5アルキル、C1-5ヘテロアルキル、C1-5ハロアルキル、およびC3-6シクロアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、R10はそれぞれ、H、C1-5アルキル、およびC3-6シクロアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、R10はそれぞれHである。いくつかの実施形態では、R10はそれぞれ独立してC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、R10はそれぞれ独立してC2-5アルケニルである。いくつかの実施形態では、R10はそれぞれ独立してC2-5アルキニルである。いくつかの実施形態では、R10はそれぞれ独立してC1-5ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、R10はそれぞれ独立してC1-5ハロアルキルである。いくつかの実施形態では、R10はそれぞれ独立してC3-6シクロアルキルである。
いくつかの実施形態では、R11およびR12はそれぞれ、H、C1-5アルキル、C2-5アルケニル、C2-5アルキニル、C1-5ヘテロアルキル、C1-5ハロアルキル、およびC3-6シクロアルキルから独立して選択され、または、R12およびR13は、それらが結合する窒素原子と一体となって、3員から10員のヘテロシクロアルキルを形成し得る。いくつかの実施形態では、R11およびR12はそれぞれ、H、C1-5アルキル、C2-5アルケニル、C2-5アルキニル、C1-5ヘテロアルキル、C1-5ハロアルキル、およびC3-6シクロアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、R11およびR12はそれぞれ、H、C1-5アルキル、C1-5ヘテロアルキル、C1-5ハロアルキル、およびC3-6シクロアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、R11およびR12はそれぞれ、H、C1-5アルキル、およびC3-6シクロアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、R11およびR12はそれぞれHである。いくつかの実施形態では、R11およびR12はそれぞれ独立してC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、R11およびR12はそれぞれ独立してC2-5アルケニルである。いくつかの実施形態では、R11およびR12はそれぞれ独立してC2-5アルキニルである。いくつかの実施形態では、R11およびR12はそれぞれ独立してC1-5ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、R11およびR12はそれぞれ独立してC1-5ハロアルキルである。いくつかの実施形態では、R11およびR12はそれぞれ独立してC3-6シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、R12およびR13は、それらが結合する窒素原子と一体となって、3員から10員のヘテロシクロアルキルを形成する。
いくつかの実施形態では、R13はそれぞれ、H、C1-5アルキル、C2-5アルケニル、C2-5アルキニル、C1-5ヘテロアルキル、C1-5ハロアルキル、およびC3-6シクロアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、R13はそれぞれ、H、C1-5アルキル、C1-5ヘテロアルキル、C1-5ハロアルキル、およびC3-6シクロアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、R13はそれぞれ、H、C1-5アルキル、およびC3-6シクロアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、R13はそれぞれHである。いくつかの実施形態では、R13はそれぞれ独立してC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、R13はそれぞれ独立してC2-5アルケニルである。いくつかの実施形態では、R13はそれぞれ独立してC2-5アルキニルである。いくつかの実施形態では、R13はそれぞれ独立してC1-5ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、R13はそれぞれ独立してC1-5ハロアルキルである。いくつかの実施形態では、R13はそれぞれ独立してC3-6シクロアルキルである。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、3-(3,6-ジブロモ-9H-カルバゾ-ル-9-イル)-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム、5-(9H-カルバゾ-ル-9-イル)-N,N,N-トリメチルペンタン-1-アミニウム、5-(2-ヒドロキシ-9H-カルバゾ-ル-9-イル)-N,N,N-トリメチルペンタン-1-アミニウム、および5-(3,6-ジブロモ-9H-カルバゾ-ル-9-イル)-N,N,N-トリメチルペンタン-1-アミニウムから選択される。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、3-(3,6-ジブロモ-9H-カルバゾ-ル-9-イル)-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウムである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、5-(9H-カルバゾ-ル-9-イル)-N,N,N-トリメチルペンタン-1-アミニウムである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、5-(2-ヒドロキシ-9H-カルバゾ-ル-9-イル)-N,N,N-トリメチルペンタン-1-アミニウムである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、5-(3,6-ジブロモ-9H-カルバゾ-ル-9-イル)-N,N,N-トリメチルペンタン-1-アミニウムである。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、構造
によって、表される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、構造
によって、表される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、構造
によって、表される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、構造
医薬組成物
本開示の組成物は任意の適切な医薬製剤で製剤化され得る。本開示の医薬組成物は典型的には有効成分(例えば式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩および/またはその配位化合物)および1以上の薬学的に許容可能な賦形剤または担体を含み、不活性な固体希釈液と充填剤、希釈液、無菌水溶液と様々な有機溶剤、浸透エンハンサー、可溶化剤、およびアジュバントが挙げられるが、これらに限定されない。本開示の組成物は任意の適切な医薬製剤で製剤化され得る。
医薬組成物は、投与経路に依存し得る任意の適切な形態で提供されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、対象への投与のために剤形で製剤化され得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非経口、局所的、経皮的、バッカル、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、腫瘍内、および/または腹腔内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は単位投与量として製剤化され得る。
投与された各化合物の量は、処置される哺乳動物、障害または疾病の重症度、投与率、化合物の素因と処方医師の裁量によるものである。しかしながら、有効な投与量は、単一投与量または分割投与量で、1日当たり体重1kgごとに約0.001~約100mgの範囲であり得る。いくつかの例では、前記範囲の下限未満の投与量レベルは、十分以上であり得るが、他の場合では、例えば、このような多量の投与量を、一日に渡って投与のためにいくつかの小投与量へと分割することによって、さらに多量の投与量が、任意の有害な副作用を引き起こすことなく利用され得る。いくつかの実施形態では、有効な投与量は、パルス投与で提供され得る(つまり化合物を連日投与し、その後投与を連日やめる)。
いくつかの実施形態では、組成物は1以上の単位投与量で提供される。例えば、組成物は1、2、3、4、5、6、7、14、30、60またはそれを越える投与量で投与され得る。そのような量は、例えば、1日当たり1回、2回、または3回、あるいはそれ以上の回数で投与される個人投与量で、毎日投与され得る。しかしながら、本明細書に記載される1日当たりの投与量は、毎日1日量の投与を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、薬剤のうちの1つが適切に徐放性形態で提供される場合、1日2回以上の投与量を、例えば、2日おきから1か月に1回あるいはさらに長い頻度で投与するデポ注射として、より低い頻度で投与され得る。対象にとって、最も典型的で便利なことに、式(I)の化合物を含む医薬組成物は、例えば、朝、夜、または日中に、1日1回投与され得る。
単位投与量は、同時にあるいは順次に投与することができる。組成物は延長された処置期間で投与され得る。例示的には、処置期間は、少なくとも約1ヶ月、例えば少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、または少なくとも約1年であり得る。いくつかの場合では、投与は、実質的に対象の生涯にわたって、継続し得る。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物を含む医薬組成物は、式(I)の化合物を含む医薬組成物で同時または順次のどちらかで、1以上の第2の薬剤(例えば1、2、3、4、5以上の第2の薬剤)を投与することを含む治療レジメンの一部として投与され得る。順次に投与された場合、式(I)の化合物を含む医薬組成物は、1以上の第2の薬剤の前か後に投与され得る。同時に投与された場合、式(I)の化合物および1以上の第2の薬剤を含む医薬組成物は、同じ経路によって(例えば同じ位置への注射)、異なる経路によって(例えば静脈内注射を受ける間に経口的に服用された錠剤)、または同じ組み合わせの一部(例えば式(I)の化合物および1以上の第2の薬剤を含む医薬組成物を含む溶液)として、投与され得る。
発明に係る組み合わせ処置は、幅広い投与量範囲にわたり有効であり得る。例えば、成人のヒトの処置において、1日当たり0.01~1000mg、0.5~100mg、1日当たり1~50mg、および1日当たり5~40mgの投与量が、使用され得る投与量の例である。正確な投与量は、投与経路、化合物が投与される形態、処置される対象、処置される対象の体重、および主治医の優先度および経験による。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は1以上の界面活性剤を含む。医薬組成物を形成するために使用され得る界面活性剤および本開示の投与形態は、限定されないが、親水性界面活性剤、親油性界面活性剤、およびそれらの混合物を含む。すなわち、親水性界面活性剤の混合物が使用され得、親油性界面活性剤の混合物が使用され得、または少なくとも1つの親水性界面活性剤の混合物と少なくとも1つの親油性界面活性剤が使用され得る。
適切な親水性界面活性剤は一般的に少なくとも10のHLB値を有し得、一方で適切な親油性界面活性剤は一般的に10未満のHLB値を有し得る。非イオン性の両親媒性化合物の相対的な親水性および疎水性を特徴付けるために使用される経験的なパラメーターは、親水‐親油性バランス(「HLB」値)である。より低いHLB値を有する界面活性剤は、より親油性または疎水性であり、油の中でより大きな可溶性を有し、一方でより高いHLB値を有する界面活性剤はより親水性であり、水溶液中でより大きな可溶性を有する。親水性界面活性剤は一般的に、HLB尺度が一般的に適用可能でない陰イオン、陽イオン、または両性イオンの化合物と同様に、約10より大きなHLB値を有する化合物であると考えられる。同様に、親油性(即ち、疎水性)の界面活性剤は、約10に等しいまたは約10未満のHLB値を有する化合物である。しかしながら、界面活性剤のHLB値は、単に、産業上、製薬用、および化粧用のエマルジョンの製剤化を可能にするために一般的に使用されるおおまかな目安である。
親水性界面活性剤はイオンまたは非イオンのどちらかであり得る。適切なイオン界面活性剤は、限定されないが、アルキルアンモニウム塩、フシジン酸塩、アミノ酸、オリゴペプチド、およびポリペプチドの脂肪酸誘導体、アミノ酸、オリゴペプチド、およびポリペプチドのグリセリド誘導体、レシチンおよび水素化したレシチン、リソレシチンおよび水素化したリソレシチン、リン脂質およびその誘導体、リゾリン脂質およびその誘導体、カルニチン脂肪酸エステル塩、硫酸アルキルの塩、脂肪酸塩、ナトリウムドクセート、アシルアクチレート(acylactylates)、モノ-およびジ-グリセリドのモノアセチル化およびジアセチル化の酒石酸エステル、スクシニル化したモノ-およびジ-グリセリド、モノ-およびジ-グリセリドのクエン酸エステル、および、これらの混合物を含む。
前記基内では、イオン界面活性剤は、例として、レシチン、リソレシチン、リン脂質、リゾリン脂質、およびそれらの誘導体、カルニチン脂肪酸エステル塩、硫酸アルキルの塩、脂肪酸塩、ナトリウムドクセート、アシルアクチレート(acylactylates)、モノ-およびジ-グリセリドのモノアセチル化およびジアセチル化の酒石酸エステル、スクシニル化したモノ-およびジ-グリセリド、モノ-およびジ-グリセリドのクエン酸エステル、および、これらの混合物を含む。
イオン界面活性剤は、レシチン、リソレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチド酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸の乳酸エステル、ステアロイル-2-乳酸、ステアロイル乳酸、サクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン(cholylsarcosine)、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、ラウリル硫酸、テラセシル(teracecyl)硫酸、ドクセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチン、およびそれらの塩並びに混合物の、イオン化した形態である。
親水性の非イオン界面活性剤は、限定されないが、アルキルグルコシド、アルキルマルトシド、アルキルチオグルコシド、ラウリルマクロゴルグリセリド、ポリエチレングリコールアルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルフェノールなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステルおよびポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリド、植物油、硬化植物油、脂肪酸、およびステロールの基の少なくとも1つの員を有する、ポリオールの親水性エステル転移反応の生成物、ポリオキシエチレンステロール、その誘導体、およびアナログ、ポリオキシエチル化したビタミンおよびその誘導体、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、およびそれらの混合物、トリグリセリド、植物油、および硬化植物油の基の少なくとも1つの員を有するポリオールのポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルおよび親水性エステル転移反応の生成物を含み得る。ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリトリトール、またはサッカライドである。
他の親水性非イオン界面活性剤は限定されることなく、PEG-10ラウリン酸、PEG-12ラウリン酸、PEG-20ラウリン酸、PEG-32ラウリン酸、PEG-32ジラウリン酸、PEG-12オレイン酸、PEG-15オレイン酸、PEG-20オレイン酸、PEG-20ジオレイン酸、PEG-32オレイン酸、PEG-200オレイン酸、PEG-400オレイン酸、PEG-15ステアリン酸、PEG-32ジステアリン酸、PEG-40ステアリン酸、PEG-100ステアリン酸、PEG-20ジラウリン酸、PEG-25三オレイン酸グリセリル、PEG-32ジオレイン酸、PEG-20ラウリン酸グリセリル、PEG-30ラウリン酸グリセリル、PEG-20ステアリン酸グリセリル、PEG-20オレイン酸グリセリル、PEG-30オレイン酸グリセリル、PEG-30ラウリン酸グリセリル、PEG-40ラウリン酸グリセリル、PEG-40パーム核油、PEG-50硬化ヒマシ油、PEG-40ヒマシ油、PEG-35ヒマシ油、PEG-60ヒマシ油、PEG-40硬化ヒマシ油、PEG-60硬化ヒマシ油、PEG-60コーン油、PEG-6カプリン酸/カプリル酸グリセリド、PEG-8カプリン酸/カプリル酸グリセリド、ポリグルセリル-10ラウリン酸、PEG-30コレステロール、PEG-25フィトステロール、PEG-30大豆ステロール、PEG-20トリオレイン酸、PEG-40オレイン酸ソルビタン、PEG-80ラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE-9ラウリルエーテル、POE-23ラウリルエーテル、POE-10オレイルエーテル、POE-20オレイルエーテル、POE-20ステアリルエーテル、トコフェリルPEG-100コハク酸、PEG-24コレステロール、ポリグルセリル-10オレイン酸、Tween40、Tween60、モノステアリン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、モノパルミチン酸スクロース、PEG10-100ノニルフェノールシリーズ、PEG15-100オクチルフェノールシリーズ、およびポロクサマーを含む。
適切な親油性界面活性剤は、ほんの一例として、脂肪アルコール、グリセロール脂肪酸エステル、アセチル化グリセロール脂肪酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ステロールおよびステロール誘導体、ポリオキシエチル化ステロールおよびステロール誘導体、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖エステル、糖エーテル、モノ-およびジ-グリセリドの乳酸誘導体、グリセリド、植物油、硬化植物油、脂肪酸、およびステロールの基の少なくとも1つの員を有する、ポリオールの親水性エステル転移反応の生成物、脂溶性ビタミン/ビタミン誘導体、および、これらの混合物を含む。この基内で、好ましい親油性界面活性剤は、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、およびそれらの混合物を含むか、または、植物油、硬化植物油、およびトリグリセリドの基の少なくとも1つの員を有するポリオールの親水性エステル転移反応の生成物である。
一実施形態では、組成物は、本開示の化合物の良好な可溶化および/または溶解を確かなものにし、かつ本開示の化合物の沈澱を最小限に抑えるために可溶化剤を含み得る。これは、注射にとって特に重要であり得る。可溶化剤はさらに、親水性薬物および/または界面活性剤などの他の成分の溶解性を増大させるため、または組成物を安定あるいは均質な溶液または分散液として維持するために、添加され得る。
適切な可溶化剤の例は、限定されないが、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールおよびその異性体、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および他のセルロース誘導体、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体などの、アルコールおよびポリオール、テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール)またはメトキシPEなどの、約200~約6000の平均分子量を有するポリエチレングリコールのエーテル、2-ピロリドン、2-ピペリドン、ε-カプロラクタム、N-アルキルピロリドン、N-ヒドロキシアルキルピロリドン、N-アルキルピペリドン、N-アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド、およびポリビニルピロリドンなどの、アミドおよび他の窒素含有化合物、プロピオン酸エチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、酪酸エチル、トリアセチン、モノ酢酸プロピレングリコール、ジ酢酸プロピレングリコール、ε-カプロラクトンおよびその異性体、δ-バレロラクトンおよびその異性体、β-ブチロラクトンおよびその異性体などの、エステル、
並びに、ジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N-メチルピロリドン、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、および水などの、当該技術分野で既知の他の可溶化剤を含む。
可溶化剤の混合物はまた使用され得る。例は、限定されないが、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200-100、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、およびジメチルイソソルビドを含む。特に好ましい可溶化剤はソルビトール、グリセロール、トリアセチン、エチルアルコール、PEG-400、グリコフロール、およびプロピレングリコールを含む。
含まれ得る可溶化剤の量は特に制限されていない。与えられた可溶化剤の量は、生物学的に許容可能な(bioacceptable)量に制限され得、これは当技術分野の当業者によって容易に決定され得る。いくつかの状況では、蒸留または蒸発などの、従来技術を使用して、組成物を患者に提供する前に、過剰な可溶化剤を除去し、例えば、薬物の濃度を最大化するために、生物学的に許容可能な(bioacceptable)量をはるかに超える量の可溶化剤を含むことが、利点であり得る。存在する場合、可溶化剤は、薬物および他の賦形剤の合計重量に基づいて、10重量%、25重量%、50重量%、100重量%、または最大で約200重量%の重量比であり得る。所望の場合、さらに、5%、2%、1%、あるいはそれ未満など、非常に少量の可溶化剤を使用し得る。典型的には、可溶化剤は、約1重量%~約100重量%、さらに典型的には約5重量%~約25重量%の量で存在し得る。
組成物はさらに1以上の薬学的に許容可能な添加剤および賦形剤を含むことができる。
そのような添加剤および賦形剤は限定されることなく、粘着防止剤(detackifiers)、抗発泡剤、緩衝剤、ポリマー、抗酸化剤、防腐剤、キレート化剤、粘度調節剤(viscomodulators)、等張化剤(tonicifiers)、風味剤、着色剤、臭気剤、乳白剤、懸濁化剤、結合剤、充填剤、可塑剤、潤滑剤、およびそれらの混合物を含む。
加えて、処理を容易にするため、安定性を増強させるため、または他の理由で、酸または塩基を、組成物に組み込み得る。薬学的に許容可能な塩基の例は、アミノ酸、アミノ酸エステル、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ハイドロカルサイト(hydrocalcite)、マグネシウム水酸化アルミニウム、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)などが挙げられる。酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ハイドロキノンスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルフォン酸、尿酸などのような薬学的に許容可能な酸の塩である塩基はさらに適切である。リン酸ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム、およびリン酸2水素ナトリウムなどの多塩基酸の塩も使用することができる。塩基が塩である場合、カチオンは、アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの任意で便利な薬学的に許容可能なカチオンになり得る。例は、制限されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、およびアンモニウムを含み得る。
適切な酸は薬学的に許容可能な有機酸または無機酸である。適切な無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸などを含む。適切な有機酸の例は、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ハイドロキノンスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルフォン酸、尿酸などを含む。
一態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物
またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物であり、式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、およびR
8の各々は、H、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OR
10、-SR
10、-S(=O)R
10、-S(=O)
2R
10、-NR
11R
12、-C(=O)NR
11R
12、-S(=O)NR
11R
12、-S(=O)
2NR
11R
12、-C(=O)R
10、-C(=O)OR
10、-NR
13C(=O)R
10、-NR
13C(=O)NR
11R
12、-NR
13S(=O)
2R
10、-NR
13S(=O)
2NR
11R
12、-C(=S)R
10、-N(=O)、-SN(=O)、-NR
13N(=O)、-ON(=O)、C
1-5アルキル、C
2-5アルケニル、およびC
2-5アルキニルから独立して選択され、式中、アルキル、アルケニル、およびアルキニルはそれぞれ、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OR
10、-SR
10、-S(=O)R
10、-S(=O)
2R
10、-NR
11R
12、-C(=O)NR
11R
12、-S(=O)NR
11R
12、-S(=O)
2NR
11R
12、-C(=O)R
10、-C(=O)OR
10、-NR
13C(=O)R
10、-NR
13C(=O)NR
11R
12、-NR
13S(=O)
2R
10、-NR
13S(=O)
2NR
11R
12、-C(=S)R
10、-N(=O)、-SN(=O)、-NR
13N(=O)、および-ON(=O)から選択される1以上の置換基で独立して任意選択で置換され、
R
9は、C
1-9アルキル、C
2-9アルケニル、C
2-9アルキニル、および3員から10員のヘテロシクロアルキルから選択され、式中、R
9は少なくとも1つの第四級アミノ基またはホスホニウム基で置換され、
R
10はそれぞれ、H、C
1-5アルキル、C
2-5アルケニル、C
2-5アルキニル、C
1-5ヘテロアルキル、C
1-5ハロアルキル、およびC
3-6シクロアルキルから独立して選択され、
R
11およびR
12はそれぞれ、H、C
1-5アルキル、C
2-5アルケニル、C
2-5アルキニル、C
1-5ヘテロアルキル、C
1-5ハロアルキル、C
3-6シクロアルキルから独立して選択され、または、R
12およびR
13は、それらが結合する窒素原子と一体となって、3員から10員のヘテロシクロアルキルを形成し得、および、
R
13はそれぞれ、H、C
1-5アルキル、C
2-5アルケニル、C
2-5アルキニル、C
1-5ヘテロアルキル、C
1-5ハロアルキル、およびC
3-6シクロアルキルから独立して選択される。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は約50重量%未満の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約30重量%未満の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約10重量%未満の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約0重量%~約30重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約10重量%~約30重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約15重量%~約30重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約15重量%~約25重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約20重量%~約30重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約23重量%~約27重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約24重量%~約26重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約0重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約1重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約2重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約3重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約4重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約5重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約6重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約7重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約8重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約9重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約10重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約11重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約12重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約13重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約14重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約15重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約16重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約17重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約18重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約19重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約20重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約21重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約22重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約23重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約24重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約25重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約26重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約27重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約28重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約29重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約30重量%の水を含む。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の少なくとも約0.1重量%を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約0.1重量%~約10重量%を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約1重量%~約5重量%を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約0.1重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約0.2重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約0.3重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約0.4重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約0.5重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約0.6重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約0.7重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約0.8重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約0.9重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約1重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約1.5重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約2重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約2.5重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約3重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約3.5重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約4重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約4.5重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約5重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約5.5重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約6重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約6.5重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約7重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約7.5重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約8重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約8.5重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約9重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約9.5重量%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物の約10重量%含む。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの追加の活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、追加の活性剤は細胞毒性剤である。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非経口、局所的、経皮的、バッカル、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、腫瘍内、および/または腹腔内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は非経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は注射のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は腫瘍内注射のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、注射、パッチ、クリーム、ゲル、または軟膏として製剤化される。
注射のための医薬組成物
いくつかの実施形態では、本開示は、式(I)の化合物および注射に適した医薬賦形剤を含有する注射のための医薬組成物を提供する。組成物中の薬剤の成分および量は、本明細書に記載されている通りである。
本開示の新規な組成物が注射による投与のために組み込まれる場合がある形態は、ゴマ油、トウモロコシ油、綿実油、またはピーナッツ油、並びに、エリキシル剤、マンニトール、ブドウ糖を有する、水性懸濁液または油懸濁液、あるいはエマルジョン、もしくは無菌液剤、および同様の医薬ビヒクルを含む。
生理食塩水中の水溶液はまた、従来、注射のために使用される。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど(およびそれらの適切な混合物)、シクロデキストリン誘導体、および植物油も使用され得る。適切な流動性は、例えば、分散の場合に要求される粒径を維持するためにレシチンなどのコーティングを使用すること、および界面活性剤を使用することによって維持することができる。微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤と抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって引き起こされる場合がある。
注射可能な水溶液は、上に列挙されるような様々な他の成分を有する適切な溶媒において要求される量で、本開示の化合物を組み込むことによって、調製され、必要に応じて、その後濾過殺菌される。一般に、分散剤は、様々な殺菌された有効成分を、上に列挙されたものの塩基性分散媒および必要な他の成分を含む無菌のビヒクルへ、組み入れることにより調製される。無菌の注射可能な溶液を調製するための無菌の粉末の場合、特定の所望の調製方法は真空乾燥および凍結乾燥の技術であり、これにより、以前に濾過殺菌されたその溶液からの任意の追加の所望の成分に加えて、有効成分の粉末が得られる。
本発明はまたキットを提供する。キットは、使用のための説明書、臨床研究の議論、副作用のリスト等を含み得る資料と共に適切な包装において、式(I)の化合物および1以上の追加の薬剤を含む医薬組成物を含み得る。このようなキットはさらに、科学文献参照、添付文書資料、臨床試験結果、および/またはこれらの概要などの情報を含んでもよく、これらは、組成物の活性および/または利点を表示または設定し、および/または薬注、投与、副作用、薬理相互作用、あるいは医療従事者にとって有用な他の情報を記載する。このような情報は、様々な研究、例えば、インビボ(in vivo)モデルに関係する実験動物を使用する研究、およびヒト臨床試験に基づく研究の結果に基づき得る。キットはさらに別の薬剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本発明の化合物および薬剤はキット内の別個の容器において別個の組成物として提供される。いくつかの実施形態では、本発明の化合物および薬剤はキット中の容器内で単一組成物として提供される。適切な包装および使用のための追加の物品(例えば、液体製剤用の計量カップ、空気への露出を最小限に抑えるためのホイル包装など)は、当技術分野で知られており、キットに含まれていてもよい。本明細書に記載されるキットは、医師、看護婦、薬剤師、薬局員(formulary officials)などを含む、医療提供者に提供され、販売され、および/または促進されてもよい。キットも実施形態によっては消費者に直接販売され得る。
使用の方法
一態様において、本明細書に提供されるのは、固形腫瘍を処置する必要のある対象において固形腫瘍を処置する方法であって、前記方法は、式(I)の化合物、
またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を対象に投与する工程を含み、式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、およびR
8の各々は、H、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OR
10、-SR
10、-S(=O)R
10、-S(=O)
2R
10、-NR
11R
12、-C(=O)NR
11R
12、-S(=O)NR
11R
12、-S(=O)
2NR
11R
12、-C(=O)R
10、-C(=O)OR
10、-NR
13C(=O)R
10、-NR
13C(=O)NR
11R
12、-NR
13S(=O)
2R
10、-NR
13S(=O)
2NR
11R
12、-C(=S)R
10、-N(=O)、-SN(=O)、-NR
13N(=O)、-ON(=O)、C
1-5アルキル、C
2-5アルケニル、およびC
2-5アルキニルから独立して選択され、式中、アルキル、アルケニル、およびアルキニルはそれぞれ、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OR
10、-SR
10、-S(=O)R
10、-S(=O)
2R
10、-NR
11R
12、-C(=O)NR
11R
12、-S(=O)NR
11R
12、-S(=O)
2NR
11R
12、-C(=O)R
10、-C(=O)OR
10、-NR
13C(=O)R
10、-NR
13C(=O)NR
11R
12、-NR
13S(=O)
2R
10、-NR
13S(=O)
2NR
11R
12、-C(=S)R
10、-N(=O)、-SN(=O)、-NR
13N(=O)、および-ON(=O)から選択される1以上の置換基で独立して任意選択で置換され、
R
9は、C
1-9アルキル、C
2-9アルケニル、C
2-9アルキニル、および3員から10員のヘテロシクロアルキルから選択され、式中、R
9は少なくとも1つの第四級アミノ基またはホスホニウム基で置換され、
R
10はそれぞれ、H、C
1-5アルキル、C
2-5アルケニル、C
2-5アルキニル、C
1-5ヘテロアルキル、C
1-5ハロアルキル、およびC
3-6シクロアルキルから独立して選択され、
R
11およびR
12はそれぞれ、H、C
1-5アルキル、C
2-5アルケニル、C
2-5アルキニル、C
1-5ヘテロアルキル、C
1-5ハロアルキル、C
3-6シクロアルキルから独立して選択され、または、R
12およびR
13は、それらが結合する窒素原子と一体となって、3員から10員のヘテロシクロアルキルを形成し得、および、
R
13はそれぞれ、H、C
1-5アルキル、C
2-5アルケニル、C
2-5アルキニル、C
1-5ヘテロアルキル、C
1-5ハロアルキル、およびC
3-6シクロアルキルから独立して選択される。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、固形腫瘍細胞に対する細胞毒性活性を示す。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、細胞膜の統合を妨害することにより、腫瘍細胞の固形腫瘍細胞に対する細胞毒性活性を示す。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、細胞型にかかわらず固形腫瘍細胞に対する細胞毒性活性を示す。
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は脂肪肉腫である。
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、肺癌、乳癌、大腸癌、前立腺癌、黒色腫、胃癌、膀胱癌、子宮内膜癌、腎癌、肝臓癌、膵臓癌、または甲状腺癌である。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非経口、局所的、経皮的、バッカル、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、腫瘍内、および/または腹腔内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は非経口投与を介して投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、注射、パッチ、クリーム、ゲル、または軟膏として、投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、注射として投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、腫瘍に直接注射される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は非侵襲性の超音波によって方向付けられる注射によって投与される。
いくつかの実施形態では、各注射の容積は約25~約250マイクロリットルである。いくつかの実施形態では、各注射の容積は約25~約150マイクロリットルである。いくつかの実施形態では、各注射の容積は約50~約100マイクロリットルである。いくつかの実施形態では、各注射の容積は約25マイクロリットルである。いくつかの実施形態では、各注射の容積は約50マイクロリットルである。いくつかの実施形態では、各注射の容積は約75マイクロリットルである。いくつかの実施形態では、各注射の容積は約100マイクロリットルである。いくつかの実施形態では、各注射の容積は約125マイクロリットルである。いくつかの実施形態では、各注射の容積は約150マイクロリットルである。いくつかの実施形態では、各注射の容積は約175マイクロリットルである。いくつかの実施形態では、各注射の容積は約200マイクロリットルである。いくつかの実施形態では、各注射の容積は約225マイクロリットルである。いくつかの実施形態では、各注射の容積は約250マイクロリットルである。
いくつかの実施形態では、医薬組成物中の式(I)の化合物の濃度は、1ミリリットル当たり約20~約100ミリグラムである。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の式(I)の化合物の濃度は、1ミリリットル当たり約40~約70ミリグラムである。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の式(I)の化合物の濃度は、1ミリリットル当たり約10ミリグラムである。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の式(I)の化合物の濃度は、1ミリリットル当たり約20ミリグラムである。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の式(I)の化合物の濃度は、1ミリリットル当たり約30ミリグラムである。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の式(I)の化合物の濃度は、1ミリリットル当たり約40ミリグラムである。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の式(I)の化合物の濃度は、1ミリリットル当たり約50ミリグラムである。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の式(I)の化合物の濃度は、1ミリリットル当たり約60ミリグラムである。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の式(I)の化合物の濃度は、1ミリリットル当たり約70ミリグラムである。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の式(I)の化合物の濃度は、1ミリリットル当たり約80ミリグラムである。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の式(I)の化合物の濃度は、1ミリリットル当たり約90ミリグラムである。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の式(I)の化合物の濃度は、1ミリリットル当たり約100ミリグラムである。
いくつかの実施形態では、注射はそれぞれ約1ミリグラム~約25ミリグラムの式(I)の化合物を含む。いくつかの実施形態では、注射はそれぞれ約2.5ミリグラム~約15ミリグラムの式(I)の化合物を含む。いくつかの実施形態では、注射はそれぞれ約5ミリグラム~約10ミリグラムの式(I)の化合物を含む。いくつかの実施形態では、注射はそれぞれ約1ミリグラムの式(I)の化合物を含む。いくつかの実施形態では、注射はそれぞれ約2.5ミリグラムの式(I)の化合物を含む。いくつかの実施形態では、注射はそれぞれ約5ミリグラムの式(I)の化合物を含む。いくつかの実施形態では、注射はそれぞれ約10ミリグラムの式(I)の化合物を含む。いくつかの実施形態では、注射はそれぞれ約15ミリグラムの式(I)の化合物を含む。いくつかの実施形態では、注射はそれぞれ約20ミリグラムの式(I)の化合物を含む。いくつかの実施形態では、注射はそれぞれ約25ミリグラムの式(I)の化合物を含む。
いくつかの実施形態では、方法は追加の医薬組成物を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、2つの医薬組成物は、互いから所定の距離を置いて、腫瘍に直接注射される。いくつかの実施形態では、2つの医薬組成物は、互いから1cm置いての腫瘍に直接注射される。いくつかの実施形態では、2つの医薬組成物は、互いから2cm置いての腫瘍に直接注射される。いくつかの実施形態では、2つの医薬組成物は、互いから3cm置いての腫瘍に直接注射される。いくつかの実施形態では、2つの医薬組成物は、互いから4cm置いての腫瘍に直接注射される。いくつかの実施形態では、2つの医薬組成物は、互いから5cm置いての腫瘍に直接注射される。いくつかの実施形態では、2つの医薬組成物は、互いから6cm置いての腫瘍に直接注射される。いくつかの実施形態では、2つの医薬組成物は、互いから7cm置いての腫瘍に直接注射される。いくつかの実施形態では、2つの医薬組成物は、互いから8cm置いての腫瘍に直接注射される。いくつかの実施形態では、2つの医薬組成物は、互いから9cm置いての腫瘍に直接注射される。いくつかの実施形態では、2つの医薬組成物は、互いから10cm置いての腫瘍に直接注射される。
いくつかの実施形態では、方法は、アブレーション、放射線、腫瘍とマージンの外科的除去、およびそれらの任意の組み合わせ等の少なくとも1つの追加の直接的な腫瘍処置をさらに含む。
実施例1:異種移植片試験1
A549細胞をヌードマウスに皮下注射し、キャリパーによって決定した推定腫瘍容積の約500mm3まで成長させた。マウスを4つの群に分け(1群当たりN=10)、以下の表1に示される実験デザインに従って、ビヒクル(注射のための水、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、およびTween 80を含む)か、1mg、2.5mg、または5mgの5-(3,6-ジブロモ-9H-カルバゾール-9-イル)-N,N,N-トリメチルペンタン-1-アミニウムクロライドのいずれかを腫瘍内注射によって2回投与した。
注射後3週間、腫瘍サイズをキャリパーによって決定し、腫瘍容積を計算した。様々なコホートに対する平均の腫瘍容積を以下の表2に要約し、図1にグラフで要約する(矢は処置日を指す)一方で、マウスの体重の変動を図2に要約する。5mgの5-(3,6-ジブロモ-9H-カルバゾール-9-イル)-N,N,N-トリメチルペンタン-1-アミニウムクロライドを用いる処置は、大幅に腫瘍サイズを低減させ、マウスの体重に影響しなかった。
実施例2:異種移植片試験2
A549細胞をヌードマウスに皮下注射し、キャリパーによって決定した推定腫瘍容積の約300mm3まで成長させた。マウスを3つの群に分け(1群当たりN=10)、以下の表3に示される実験デザインに従って、ビヒクル(注射のための水、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、およびTween 80を含む)か、5mgの5-(3,6-ジブロモ-9H-カルバゾール-9-イル)-N,N,N-トリメチルペンタン-1-アミニウムクロライドのいずれかを腫瘍内注射によって3回投与するか、あるいは全く注射しない。
注射後3週間、腫瘍サイズをキャリパーによって決定し、腫瘍容積を計算した。様々なコホートに対する中央値の腫瘍容積を以下の表4に要約し、図3にグラフで要約する(矢は処置日を指す)一方で、マウスの体重の変動を図4に要約する。5-(3,6-ジブロモ-9H-カルバゾール-9-イル)-N,N,N-トリメチルペンタン-1-アミニウムクロライドを用いる処置は、大幅に腫瘍サイズを低減させ、マウスの体重に影響しなかった。
本発明の好ましい実施形態が本明細書中で示され、記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されているに過ぎないことが当業者に明らかであろう。当業者であれば、多くの変更、変化、および置換が、本発明から逸脱することなく思いつくだろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替案が、本発明の実施に際して利用され得ることを理解されたい。以下の請求項は本発明の範囲を定義するものであり、この請求項とその均等物の範囲内の方法、および構造体がそれによって包含されるものであるということが意図されている。