JP2023503105A - Igfbp3抗体及びその治療的使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、IGFBP3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合性断片に関する。当該抗体は、TMEM219受容体へのIGFBP3の結合を阻害又は低減する。本発明は、それらの生産方法、前記抗体を含む医薬組成物、及びその使用にも関する。
Description
本発明は、ヒトIGFBP3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合性断片、それらの生産方法、前記抗体を含む医薬組成物、及びその使用に関する。
IGFBP3/TMEM219軸
インスリン様成長因子結合タンパク質は、インスリン様成長因子(IGF)のバイオアベイラビリティを調節する7つの結合タンパク質のファミリーである。それらの中でも、IGFBP3は最も豊富であり、ほとんど全ての組織に存在し、IGFに対してより高い親和性を有し;実際に、IGFのおよそ80~90%は、酸不安定性サブユニット(ALS)との三元複合体におけるIGFBP3に結合する(1)。
インスリン様成長因子結合タンパク質は、インスリン様成長因子(IGF)のバイオアベイラビリティを調節する7つの結合タンパク質のファミリーである。それらの中でも、IGFBP3は最も豊富であり、ほとんど全ての組織に存在し、IGFに対してより高い親和性を有し;実際に、IGFのおよそ80~90%は、酸不安定性サブユニット(ALS)との三元複合体におけるIGFBP3に結合する(1)。
IGFのアベイラビリティを調節するその能力に加えて、IGFBP3は、IGF非依存性機能も有することが分かっている(2)。実際に、それは、細胞表面タンパク質、必須のシグナル伝達能力を有する細胞表面受容体、細胞内タンパク質及び核タンパク質(転写調節因子)と会合することができ、結果として、細胞増殖に影響を及ぼし、アポトーシスを直接誘導する(2)。死受容体の中でも、シングルスパン膜タンパク質であるTMEM219は、IGFBP-3への高い結合性が示された(3)。TMEM219へのIGFBP3の結合はがん細胞(すなわち、前立腺がん細胞及び乳がん細胞)を含む様々な細胞においてカスパーゼ8媒介性アポトーシスを誘導するが(3)、幹細胞(すなわち、結腸幹細胞)においても誘導する(4)。様々な戦略によってIGFBP3/TMEM219軸を遮断又は増強することは、それぞれ細胞死を防止又は増加させることが分かっている。発明者らの知る限りにおいて、IGFBP3/TMEM219の結合を防ぐことができ、TMEM219へのIGFBP3の結合の標的組織/細胞に対するIGF-I非依存性のカスパーゼ8媒介性有害効果を止めることができるような、市販のTMEM219又はIGFBP3に対するモノクローナル抗体は存在しない。
糖尿病におけるIGFBP3/TMEM219軸
1型(T1D)及び2型糖尿病(T2D)は両方とも、結果としてインスリンの分泌の低減、血糖値の制御不全、及び多糖症を引き起こすβ細胞の喪失によって特徴付けられる(5、6)。異なる発症メカニズムにもかかわらず、T1Dにおける自己免疫反応又はT2Dにおけるインスリン耐性/炎症は、両方とも、β細胞集団の漸減を生じる。実際に、発生する自己免疫活性化は、T1Dにおけるβ細胞喪失を完全に説明するのに十分なようには思われないということが明らかになりつつある(5)。その上、免疫療法ではT1Dを治療することができない(7)ことは、(i)自己免疫は、T1D病因に関与する唯一の要因ではないかもしれないこと、及び、(ii)T1Dに対する効果的な処置を確立するためには、β細胞喪失等の疾患の異なるメカニズムを標的にする代替戦略が必要であることを浮き彫りにした。点在するβ細胞が長期のT1Dを有する個体において検出されるという観察(8)は、β細胞の代謝回転を維持するために新たなβ細胞が生じなければならないか(5、9)、又は破壊されたβ細胞は、「異なり」得るか、又は死ぬ傾向にあり得るか(10)のどちらかであることを裏付けている。このことは、表面β細胞受容体の上方/下方制御された発現が、それらを免疫システムに認識させるために、重要な役割を有し得ること、より重要なことに、他の非免疫学的決定因子が、β細胞の運命及び機能を調節し得ることを示唆し得る。したがって、T1Dにおける非免疫学的β細胞破壊及びT2Dにおけるβ細胞の進行性喪失を防ぐことは、β細胞の発生と破壊の間のバランスを、適切なβ細胞集団の回復へと傾け得、結果として、疾患の最初の段階を停止又は遅延させることができる新規の治療アプローチのための道を整え得る。IGFBP3受容体であるTMEM219は、β細胞系及びヒト/マウス膵島において発現されること、及びそのライゲーションは、β細胞に対して毒性であることが分かっている。興味深いことに、ヒトIGFBP3に対するマウス遺伝子移植は、多糖症を発症し、膵島質量の減少を示し、インスリン-グルコース刺激に対する反応の低減を示すが(11)、その一方で、IGFBP3のためにノックダウンされたものは、糖代謝制御に関するいかなる変更も示さなかった(12)ことも観察されている。
1型(T1D)及び2型糖尿病(T2D)は両方とも、結果としてインスリンの分泌の低減、血糖値の制御不全、及び多糖症を引き起こすβ細胞の喪失によって特徴付けられる(5、6)。異なる発症メカニズムにもかかわらず、T1Dにおける自己免疫反応又はT2Dにおけるインスリン耐性/炎症は、両方とも、β細胞集団の漸減を生じる。実際に、発生する自己免疫活性化は、T1Dにおけるβ細胞喪失を完全に説明するのに十分なようには思われないということが明らかになりつつある(5)。その上、免疫療法ではT1Dを治療することができない(7)ことは、(i)自己免疫は、T1D病因に関与する唯一の要因ではないかもしれないこと、及び、(ii)T1Dに対する効果的な処置を確立するためには、β細胞喪失等の疾患の異なるメカニズムを標的にする代替戦略が必要であることを浮き彫りにした。点在するβ細胞が長期のT1Dを有する個体において検出されるという観察(8)は、β細胞の代謝回転を維持するために新たなβ細胞が生じなければならないか(5、9)、又は破壊されたβ細胞は、「異なり」得るか、又は死ぬ傾向にあり得るか(10)のどちらかであることを裏付けている。このことは、表面β細胞受容体の上方/下方制御された発現が、それらを免疫システムに認識させるために、重要な役割を有し得ること、より重要なことに、他の非免疫学的決定因子が、β細胞の運命及び機能を調節し得ることを示唆し得る。したがって、T1Dにおける非免疫学的β細胞破壊及びT2Dにおけるβ細胞の進行性喪失を防ぐことは、β細胞の発生と破壊の間のバランスを、適切なβ細胞集団の回復へと傾け得、結果として、疾患の最初の段階を停止又は遅延させることができる新規の治療アプローチのための道を整え得る。IGFBP3受容体であるTMEM219は、β細胞系及びヒト/マウス膵島において発現されること、及びそのライゲーションは、β細胞に対して毒性であることが分かっている。興味深いことに、ヒトIGFBP3に対するマウス遺伝子移植は、多糖症を発症し、膵島質量の減少を示し、インスリン-グルコース刺激に対する反応の低減を示すが(11)、その一方で、IGFBP3のためにノックダウンされたものは、糖代謝制御に関するいかなる変更も示さなかった(12)ことも観察されている。
ヒトにおいて、最近、Drogan及び同僚は、IGFBP3の高い血中濃度が、T2Dの発症に関連することを公開した(13)。その上、Diabimmune研究グループによる最近の研究は、IGFBP3レベルが、T1Dに対するリスクにある子供での血清変換に対する自己抗体の陽性及び機会と相関し、したがって、β細胞自己免疫の早期発達におけるIGFBP3の循環の役割を示唆していることを実証した(14)。
IGFBP3受容体であるTMEM219は、死受容体として既に記載されているが、その活性化は、標的細胞内においてカスパーゼ8媒介性アポトーシスを引き起こし、結果として、それらの喪失を生じる(4)。
炎症性腸疾患におけるIGFBP3/TMEM219軸
腸幹細胞(ISC)は、小腸及び大腸の陰窩の底部に存在し、陰窩再生及び代謝回転を制御する。特に、ISCは、陰窩に沿って分化することにより、杯細胞、腸細胞、腸内分泌細胞を生じることができる(4)。
腸幹細胞(ISC)は、小腸及び大腸の陰窩の底部に存在し、陰窩再生及び代謝回転を制御する。特に、ISCは、陰窩に沿って分化することにより、杯細胞、腸細胞、腸内分泌細胞を生じることができる(4)。
炎症性腸疾患(IBD)は、2つの臨床エンティティであるクローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎(UC)を包含する免疫媒介性の慢性状態であり、ヨーロッパの約250万人及び米国の100万人に影響を及ぼす(15)。IBDの病因は、まだ調査中であるが、最近の証拠は、回腸CDにおけるパーネト細胞への、並びにUCにおける杯細胞へのISCの分化の減少が、当該疾患の発症において重要な役割を果たし得ることを示唆している。特に、粘膜での局所シグナル伝達及び炎症性経路は両方とも、外部刺激に反応して、ISCの数及び機能を保ち、結果として、腸の恒常性を維持する(16)。実際に、近年、Yancuらは、CDにおけるIGFBP-3の役割を支持する結果を公開した。実際に、彼らは、デキストラン-ナトリウム-サルフェート(DSS)大腸炎マウスモデルにおいて、IGFBP3のノックアウトが、炎症を調節する役割を有することを実証した(17)。
本発明者らは、最近、インスリン様成長因子結合タンパク質3(IGFBP3)受容体、すなわち、TMEM219受容体が、ISCにおいて発現されること、並びに循環ホルモンIGFBP3との相互作用が、糖尿病及び糖尿病性腸疾患での腸障害のモデルにおいて、ISCの運命及び機能を制御することを見出した(4)。糖尿病性腸疾患及びIBDは、腸幹細胞(ISC)恒常性における変更及び粘膜モルホロジーの変更として、共通の特徴を共有するため、これらの結果は、依然として未知であるIBD病因における重要な洞察を加え得、おそらく、IBD処置のための新規の治療アプローチの導入につながるであろう。
IBDに対して現在利用可能な療法は、抗炎症剤の使用及び免疫療法的戦略に基づいており、それらは、いくつかの有害作用及び長期での有効性に対する疑わしさによって悪化される。特にUCでは、疾患の進行した状態において、外科手術も首尾よく用いられている(15)。主にCDにおける疾患の再発も頻繁であり、結果として、異なる治療アプローチの必要性を浮き彫りにする。結果として、IBDの処置における新規の治療標的及び治療戦略の特定は、臨床的に非常に重要であり、健康な共同体にとって必要である。
WO2016193497及びWO2016193496(参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)には、有効な治療剤として機能する、TMEM219細胞外ドメインであるecto-TMEMについて記載されている。しかしながら、受容体コンストラクトは、抗体より治療剤としてあまり望ましくない。したがって、抗体又はその誘導体のような、ecto-TMEMの効果を模倣するさらなる治療剤が依然として必要とされている。
Chothiaら、(1992) J. Mol. Biol. 227:799~817
Tomlinsonら、(1992) J. Mol. Biol. 227:776~798
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Hintonら、J. Immunology 176:346~356 (2006)
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高い親和性でヒトIGF結合タンパク質3(IGFBP3)に特異的に結合し、その同族の受容体であるTMEM219へのIGFBP3の結合を低減又は排除することができる抗体が、本明細書において開示される。これらの中和抗体は、TMEM219に結合するIGFBP3が、糖尿病性腸疾患、炎症性腸疾患(IBD)、例えば、潰瘍性大腸炎及びクローン病等、並びに1型又は2型糖尿病等の疾患の病態生理に貢献するような障害の処置において有用である。そのような中和抗体は、受容体ベースのリガンドトラップecto-TMEM219と類似の治療活性を有する、有利な治療剤を提供する。
第1の態様において、1.1×10-9M以下の親和性定数でヒトIGFBP3に結合し、TMEM219受容体へのIGFBP3の結合を阻害又は低減する、単離された抗体又はその抗原結合性断片が提供される。好ましくは、単離された抗体又はその抗原結合性断片は、IGFBP3の結合によって誘導されるTMEM219受容体の活性化を阻害、低減、又は中和する。
IGFBP3によって誘導されるTMEM219受容体の活性化は、当技術分野において公知の、又は下記に記載される任意の方法によって測定され得る。特に、TMEM219受容体のIGFBP3誘導活性化は、そこで記載されるようなアポトーシスの増加、又は当技術分野において公知であり、そこで記載され、いくつかの刊行物に記載される、ミニ腸(minigut)成長の減少を測定することによって測定され得る(4、18、27、28)。
好ましい実施形態において、単離された抗体又はその抗原結合性断片は、インビボモデルにおける血糖値の制御において有効である。
本発明は、
a-IGFBP3で処置された健康な対象のミニ腸成長の増加
b-IBD患者のミニ腸成長の増加;
c-糖尿病性腸疾患血清で処置された健康な対象のミニ腸成長の増加;
d-IGFBP3で処置された健康な対象のミニ腸におけるEphB2及び/又はLGR5の発現の増加;
e-IGFBP3で処置された健康な対象のミニ腸におけるカスパーゼ8発現の減少;
f-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるβ細胞喪失の減少;
g-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるインスリンの発現の増加;及び
h-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるβ細胞のアポトーシスの減少;
i-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるカスパーゼ8発現の減少;
j-糖尿病の動物モデルにおける膵島炎スコアの減少;
k-糖尿病の動物モデルにおける糖尿病の発症の減少
から選択される少なくとも1つの活性を有する、単離された抗体又はその抗原結合性断片も提供する。
a-IGFBP3で処置された健康な対象のミニ腸成長の増加
b-IBD患者のミニ腸成長の増加;
c-糖尿病性腸疾患血清で処置された健康な対象のミニ腸成長の増加;
d-IGFBP3で処置された健康な対象のミニ腸におけるEphB2及び/又はLGR5の発現の増加;
e-IGFBP3で処置された健康な対象のミニ腸におけるカスパーゼ8発現の減少;
f-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるβ細胞喪失の減少;
g-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるインスリンの発現の増加;及び
h-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるβ細胞のアポトーシスの減少;
i-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるカスパーゼ8発現の減少;
j-糖尿病の動物モデルにおける膵島炎スコアの減少;
k-糖尿病の動物モデルにおける糖尿病の発症の減少
から選択される少なくとも1つの活性を有する、単離された抗体又はその抗原結合性断片も提供する。
好ましくは、a)、b)、及びc)における増加は、少なくとも20%であり;d)及びe)における増加は、少なくとも50%であり;f)における減少及びg)における増加は、少なくとも10%であり;i)、j)、及びk)における減少は、少なくとも50%であり、好ましくは、kにおける減少は、少なくとも70%である。
本発明は、
a.以下を含む重鎖可変ドメイン(VH):
i.配列番号1、4、7、若しくは9からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR1配列;
ii.配列番号2、5、8、若しくは10からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR2配列;及び
iii.配列番号3、6、若しくは11からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR3配列;並びに/又は
b.以下を含む軽鎖可変ドメイン(VL):
i.配列番号12、15、17、20、23、25、若しくは27からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR1配列;
ii.配列番号13、18、若しくは21からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR2配列;及び
iii.配列番号14、16、19、22、24、若しくは26からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR3配列
を含む、単離された抗体又はその抗原結合性断片を提供する。
a.以下を含む重鎖可変ドメイン(VH):
i.配列番号1、4、7、若しくは9からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR1配列;
ii.配列番号2、5、8、若しくは10からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR2配列;及び
iii.配列番号3、6、若しくは11からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR3配列;並びに/又は
b.以下を含む軽鎖可変ドメイン(VL):
i.配列番号12、15、17、20、23、25、若しくは27からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR1配列;
ii.配列番号13、18、若しくは21からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR2配列;及び
iii.配列番号14、16、19、22、24、若しくは26からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR3配列
を含む、単離された抗体又はその抗原結合性断片を提供する。
好ましくは、単離された抗体又はその抗原結合性断片は、Table 3.1(表5、6)を含むTable 2(表3)及び/又はTable 3(表4)に示されるCDRを含む。
好ましくは、それは、
a-IGFBP3で処置された健康な対象のミニ腸成長の増加
b-IBD患者のミニ腸成長の増加;
c-糖尿病性腸疾患血清で処置された健康な対象のミニ腸成長の増加;
d-IGFBP3で処置された健康な対象のミニ腸におけるEphB2及び/又はLGR5の発現の増加;
e-IGFBP3で処置された健康な対象のミニ腸におけるカスパーゼ8発現の減少;
f-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるβ細胞喪失の減少;
g-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるインスリンの発現の増加;;
及び
h-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるβ細胞のアポトーシスの減少;
i-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるカスパーゼ8発現の減少
から選択される少なくとも1つの活性を有する。
a-IGFBP3で処置された健康な対象のミニ腸成長の増加
b-IBD患者のミニ腸成長の増加;
c-糖尿病性腸疾患血清で処置された健康な対象のミニ腸成長の増加;
d-IGFBP3で処置された健康な対象のミニ腸におけるEphB2及び/又はLGR5の発現の増加;
e-IGFBP3で処置された健康な対象のミニ腸におけるカスパーゼ8発現の減少;
f-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるβ細胞喪失の減少;
g-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるインスリンの発現の増加;;
及び
h-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるβ細胞のアポトーシスの減少;
i-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるカスパーゼ8発現の減少
から選択される少なくとも1つの活性を有する。
好ましくは、a)、b)、及びc)における増加は、少なくとも20%であり;d)及びe)における増加は、少なくとも50%であり;f)における減少及びg)における増加は、少なくとも10%である。
好ましくは、単離された抗体又はその抗原結合性断片は、
a.配列番号28から配列番号36からなる群から選択されるアミノ酸配列の重鎖可変ドメイン配列;
b.配列番号37から配列番号45からなる群から選択されるアミノ酸配列の軽鎖可変ドメイン配列;又は
c.(a)の軽鎖可変ドメイン及び(b)の重鎖可変ドメイン
を含む。
a.配列番号28から配列番号36からなる群から選択されるアミノ酸配列の重鎖可変ドメイン配列;
b.配列番号37から配列番号45からなる群から選択されるアミノ酸配列の軽鎖可変ドメイン配列;又は
c.(a)の軽鎖可変ドメイン及び(b)の重鎖可変ドメイン
を含む。
好ましくは、単離された抗体又はその抗原結合性断片は、
- 配列番号9及び配列番号10及び配列番号11及び配列番号27及び配列番号18及び配列番号26又はM1のKabat、IMGT、Chothia、AbM、若しくはContact CDR、或いは
- 配列番号4及び配列番号5及び配列番号6及び配列番号12及び配列番号13及び配列番号14又はE08のKabat、IMGT、Chothia、AbM、若しくはContact CDR、或いは
- 配列番号4及び配列番号5及び配列番号6及び配列番号23及び配列番号18及び配列番号24又はE20のKabat、IMGT、Chothia、AbM、若しくはContact CDR
を含む。
- 配列番号9及び配列番号10及び配列番号11及び配列番号27及び配列番号18及び配列番号26又はM1のKabat、IMGT、Chothia、AbM、若しくはContact CDR、或いは
- 配列番号4及び配列番号5及び配列番号6及び配列番号12及び配列番号13及び配列番号14又はE08のKabat、IMGT、Chothia、AbM、若しくはContact CDR、或いは
- 配列番号4及び配列番号5及び配列番号6及び配列番号23及び配列番号18及び配列番号24又はE20のKabat、IMGT、Chothia、AbM、若しくはContact CDR
を含む。
好ましくは、単離された抗体又はその抗原結合性断片は、
a.以下を含む重鎖可変ドメイン(VH):
i.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR1配列;
ii.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR2配列;及び
iii.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR3配列;並びに/又は
b.以下を含む軽鎖可変ドメイン(VL):
i.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR1配列;
ii.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR2配列;及び
iii.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR3配列
を含む。
a.以下を含む重鎖可変ドメイン(VH):
i.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR1配列;
ii.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR2配列;及び
iii.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR3配列;並びに/又は
b.以下を含む軽鎖可変ドメイン(VL):
i.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR1配列;
ii.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR2配列;及び
iii.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR3配列
を含む。
更に好ましくは、単離された抗体は、Table 2~7(表3~10)において報告される、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1、又はそれらの抗原結合性断片である。
更に好ましくは、単離された抗体は、配列番号28及び配列番号37を含むE01、配列番号29及び配列番号38を含むE02、配列番号30及び配列番号39を含むE08、配列番号31及び配列番号40を含むE14、配列番号32及び配列番号41を含むE19、配列番号33及び配列番号42を含むE20、配列番号34及び配列番号43を含むE23、配列番号35及び配列番号44を含むE24、配列番号36及び配列番号45を含むM1である。
本発明は、
(a)IGFBP3上のエピトープ、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含むモノクローナル抗体E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1によって認識されるエピトープと同じ若しくは類似のエピトープに特異的に結合する;
又は
(b)Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含むモノクローナル抗体E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1との結合に対して交差競合する;又は
(c)Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含むE01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1のいずれかと同じ若しくは類似の結合親和性若しくは特異性若しくはその両方を示す;又は
(d)本明細書に記載される抗体分子、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含む、例えば、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1のいずれかから選択される抗体分子の1つ若しくは複数の生物学的特性を有する;又は
(e)本明細書に記載される抗体分子、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含む、例えば、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1のいずれかから選択される抗体分子の1つ若しくは複数の薬物動態特性を有する、
単離された抗体又はその抗原結合性断片も提供する。
(a)IGFBP3上のエピトープ、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含むモノクローナル抗体E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1によって認識されるエピトープと同じ若しくは類似のエピトープに特異的に結合する;
又は
(b)Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含むモノクローナル抗体E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1との結合に対して交差競合する;又は
(c)Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含むE01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1のいずれかと同じ若しくは類似の結合親和性若しくは特異性若しくはその両方を示す;又は
(d)本明細書に記載される抗体分子、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含む、例えば、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1のいずれかから選択される抗体分子の1つ若しくは複数の生物学的特性を有する;又は
(e)本明細書に記載される抗体分子、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含む、例えば、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1のいずれかから選択される抗体分子の1つ若しくは複数の薬物動態特性を有する、
単離された抗体又はその抗原結合性断片も提供する。
好ましくは、本発明の単離された抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト抗体又はヒト化抗体である。
より好ましくは、本発明の単離された抗体又はその抗原結合性断片は、IgG2又はIgG4抗体、好ましくは、IgG2κ抗体、IgG2λ抗体、IgG4κ抗体、又はIgG4λ抗体であり、好ましくは、前記IgG2又はIgG4は、ヒトIgG2又はヒトIgG4である。
本発明は、上記において定義される抗体又はその抗原結合性断片をコードする少なくとも1つの配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供し、好ましくは、前記ポリヌクレオチドは、cDNAである。
本発明は、上記において定義されるポリヌクレオチドを含むベクターを提供し、好ましくは、前記ベクターは、プラスミド、ウイルスベクター、非エピソーム性哺乳動物ベクター、発現ベクター、及び組換え発現ベクターからなる群から選択される。
本発明は、更に、上記において定義されるポリヌクレオチド又は上記において定義されるベクターを含む、単離された細胞を提供し、好ましくは、当該単離された細胞は、ハイブリドーマ又はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はヒト胚性腎臓細胞(HEK293)である。
本発明は、更に、医薬としての使用のため、好ましくは、糖尿病、腸管及び/又は腸障害、吸収不良症候群、悪液質、又は糖尿病性腸疾患の処置における使用のための、上記において定義された抗体若しくはその抗原結合性断片又は単離されたポリヌクレオチド又はベクター又は単離された細胞を提供し、好ましくは、糖尿病は、I型又はII型糖尿病であり、好ましくは、腸管及び/又は腸障害は、炎症性腸疾患、セリアック病、潰瘍性大腸炎、クローン病、又は腸閉塞である。
本発明は、好ましくは、糖尿病、腸管及び/又は腸障害、吸収不良症候群、悪液質、又は糖尿病性腸疾患の処置における使用のための、上記において定義される単離された抗体若しくはその抗原結合性断片又は単離されたポリヌクレオチド又はベクター又は単離された細胞と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物も提供し、好ましくは、腸管及び/又は腸障害は、炎症性腸疾患、セリアック病、潰瘍性大腸炎、クローン病、又は腸閉塞である。
本発明は、TMEM219受容体へのIGFBP3の結合を阻害する方法であって、IGFBP3を上記において定義される抗体又は組成物と接触させる工程を含む方法を提供する。
本発明は、糖尿病、好ましくは、1型又は2型糖尿病、腸管及び/又は腸障害、吸収不良症候群、悪液質、又は糖尿病性腸疾患の処置方法であって、好ましくは、腸管及び/又は腸障害は、炎症性腸疾患、IBD、セリアック病、潰瘍性大腸炎、クローン病、又は腸閉塞であり、上記において定義される単離された抗体又はその抗原結合性断片又は単離されたポリヌクレオチド又はベクター又は単離された細胞と薬学的に許容される担体と含む医薬組成物をそれを必要とする対象に投与する工程、或いは上記において定義される単離された抗体又はその抗原結合性断片又は単離されたポリヌクレオチド又はベクター又は単離された細胞を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法を提供する。
本発明は、抗体又はその抗原結合性断片を生産するための方法であって、上記において定義される細胞を得る工程及び抗体又はその抗原結合性断片を生産する工程を含む方法も提供する。
いくつかの実施形態において、当該組み合わせは、IGFBP3の阻害剤(例えば、本明細書に記載される抗IGFBP3抗体分子)を含む。したがって、IGFBP3を検出するための組成物及び方法、並びに、糖尿病及び腸管及び/又は腸障害を含む様々な障害を、抗IGFBP3抗体分子及びその組み合わせを使用して処置する方法が、本明細書において開示される。
したがって、一態様において、本発明は、以下の特性:
(i)高い親和性で、例えば、少なくとも約4x106M-1、好ましくは107M-1、典型的には約108M-1、より典型的には約109M-1から1010M-1、又はそれ以上の親和性定数で、IGFBP3、例えば、ヒトIGFBP3に結合する;
(ii)その受容体TMEMへのIGFBP3の結合を阻害又は低減する;
(iii)IGFBP3上のエピトープ、例えば、商業的抗体LSBIO LS-C45037又はクローン83.8F9によって認識されるエピトープとは異なるエピトープに特異的に結合する;
(iv)IGFBP3上のエピトープ、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義されるモノクローナル抗体E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1によって認識されるエピトープと同じ又は類似のエピトープに特異的に結合する;
(v)Table 2~7(表3~10)において定義されるモノクローナル抗体E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1との結合に対して交差競合する;
(vi)Table 2~7(表3~10)において定義されるE01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかと同じ又は類似の結合親和性又は特異性又はその両方を示す;
(vii)Table 2~7(表3~10)に記載される抗体分子(例えば、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域)と同じ又は類似の結合親和性又は特異性又はその両方を示す;
(viii)Table 2~7(表3~10)に示されるアミノ酸配列を有する抗体分子(例えば、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域)と同じ又は類似の結合親和性又は特異性又はその両方を示す;
(ix)Table 6~7(表9~10)(表9~10)に示されるヌクレオチド配列によってコードされる抗体分子(例えば、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域)と同じ又は類似の結合親和性又は特異性又はその両方を示す;
(x)同じエピトープ又は第2の抗体分子とオーバーラップするエピトープをIGFBP3に結合させる(この場合、第2の抗体分子は、本明細書に記載される抗体分子、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義されるE01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1から選択される抗体分子である);
(xi)本明細書に記載される抗体分子、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義される、例えば、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体分子の1つ又は複数の生物学的特性を有する;
(xii)本明細書に記載される抗体分子、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義される、例えば、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体分子の1つ又は複数の薬物動態特性を有する;
(xiii)IGFBP3の1つ又は複数の活性を阻害し、例えば、結果として、未処理試料と比較した場合の、IBD患者由来の組織試料からのミニ腸の発達の少なくとも20%の増加、及び/又は、未処理試料と比較した場合の、IGFBP3の存在下でのミニ腸成長の発達の少なくとも20%の増加、又は未処理試料と比較した場合の、糖尿病性腸疾患血清の存在下でのミニ腸成長の発達の少なくとも20%の増加、うちの1つ又は複数を生じる;
(xiv)IGFBP3処理試料と比較して少なくとも50%のEphB2及びLGR5の増加;又はIGFBP3処理試料と比較して少なくとも50%のカスパーゼ8発現レベルの減少を誘導する;又は
(xv)IGFBP3の1つ又は複数の活性を阻害し、例えば、結果として、β細胞喪失の低減又はインスリンの増加のうちの1つ又は複数を生じる;β細胞喪失の低減又はインスリンの増加は、IGFBP3処理試料と比較して少なくとも10%である;
(xvi)IGFBP3の1つ又は複数の活性を阻害、低減、又は中和し、結果として、IGFBP3誘導アポトーシスの遮断又は低減を生じる;
(xvii)ヒトIGFBP3に結合し、カニクイザルIGFBP3と交差反応する
のうちの1つ又は複数を有する抗体分子(例えば、単離された抗体分子又は組換え抗体分子)を特徴とする。
(i)高い親和性で、例えば、少なくとも約4x106M-1、好ましくは107M-1、典型的には約108M-1、より典型的には約109M-1から1010M-1、又はそれ以上の親和性定数で、IGFBP3、例えば、ヒトIGFBP3に結合する;
(ii)その受容体TMEMへのIGFBP3の結合を阻害又は低減する;
(iii)IGFBP3上のエピトープ、例えば、商業的抗体LSBIO LS-C45037又はクローン83.8F9によって認識されるエピトープとは異なるエピトープに特異的に結合する;
(iv)IGFBP3上のエピトープ、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義されるモノクローナル抗体E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1によって認識されるエピトープと同じ又は類似のエピトープに特異的に結合する;
(v)Table 2~7(表3~10)において定義されるモノクローナル抗体E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1との結合に対して交差競合する;
(vi)Table 2~7(表3~10)において定義されるE01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかと同じ又は類似の結合親和性又は特異性又はその両方を示す;
(vii)Table 2~7(表3~10)に記載される抗体分子(例えば、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域)と同じ又は類似の結合親和性又は特異性又はその両方を示す;
(viii)Table 2~7(表3~10)に示されるアミノ酸配列を有する抗体分子(例えば、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域)と同じ又は類似の結合親和性又は特異性又はその両方を示す;
(ix)Table 6~7(表9~10)(表9~10)に示されるヌクレオチド配列によってコードされる抗体分子(例えば、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域)と同じ又は類似の結合親和性又は特異性又はその両方を示す;
(x)同じエピトープ又は第2の抗体分子とオーバーラップするエピトープをIGFBP3に結合させる(この場合、第2の抗体分子は、本明細書に記載される抗体分子、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義されるE01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1から選択される抗体分子である);
(xi)本明細書に記載される抗体分子、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義される、例えば、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体分子の1つ又は複数の生物学的特性を有する;
(xii)本明細書に記載される抗体分子、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義される、例えば、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体分子の1つ又は複数の薬物動態特性を有する;
(xiii)IGFBP3の1つ又は複数の活性を阻害し、例えば、結果として、未処理試料と比較した場合の、IBD患者由来の組織試料からのミニ腸の発達の少なくとも20%の増加、及び/又は、未処理試料と比較した場合の、IGFBP3の存在下でのミニ腸成長の発達の少なくとも20%の増加、又は未処理試料と比較した場合の、糖尿病性腸疾患血清の存在下でのミニ腸成長の発達の少なくとも20%の増加、うちの1つ又は複数を生じる;
(xiv)IGFBP3処理試料と比較して少なくとも50%のEphB2及びLGR5の増加;又はIGFBP3処理試料と比較して少なくとも50%のカスパーゼ8発現レベルの減少を誘導する;又は
(xv)IGFBP3の1つ又は複数の活性を阻害し、例えば、結果として、β細胞喪失の低減又はインスリンの増加のうちの1つ又は複数を生じる;β細胞喪失の低減又はインスリンの増加は、IGFBP3処理試料と比較して少なくとも10%である;
(xvi)IGFBP3の1つ又は複数の活性を阻害、低減、又は中和し、結果として、IGFBP3誘導アポトーシスの遮断又は低減を生じる;
(xvii)ヒトIGFBP3に結合し、カニクイザルIGFBP3と交差反応する
のうちの1つ又は複数を有する抗体分子(例えば、単離された抗体分子又は組換え抗体分子)を特徴とする。
抗体分子をコードする核酸分子、発現ベクター、宿主細胞、及び抗体分子を作製する方法も提供される。イムノコンジュゲート、多重又は二重特異性抗体分子、及び抗体分子を含む医薬組成物も提供される。
理論に束縛されるわけではないが、IGFBP3/TMEM219軸は、炎症性腸疾患(IBD)において機能不全であり、したがって、ISC喪失及び粘膜関門の機能の変更を引き起こし、それは、更に微生物によって侵入され、免疫反応活性化及び炎症を引き起こし、それを持続させる。IBDにおけるIGFBP3-TMEM219相互作用を遮断する薬剤の使用は、ISCを保護し得、腸のバリアの完全性を維持し得、結果として、局所炎症の発症を防ぎ得ると考えられる。
更に、TMEM219シグナル伝達の活性化は、カスパーゼ8発現の上方調節及びインスリン発現の低減により、β細胞のアポトーシスを増加させる。プレT1D及びプレT2Dを有する患者の血清において、並びに新たに診断された糖尿病患者及び長年の糖尿病患者において、IGFBP3は増加し、TMEM219が、β細胞において発現される。TMEM219の発現又は過剰発現は、β細胞の破壊に有利に働き、β細胞集団に影響を及ぼし、結果として生じる多糖症/炎症は、糖尿病の発症及び進行の間のプロセスを実行する。プレ糖尿病状態における血糖制御の変更及び炎症は、IGFBP3の肝臓での産生の増加に有利に働き、それは、膵臓のβ細胞において発現されたTMEM219を標的にし得、TMEM219過剰発現が、IGFBP3放出の増加と平行するループを引き起こし得る。次いで、TMEM219は、β細胞の死を引き起こし得、結果として、IGFBP3/TMEM219軸の標的化は、そのような細胞死を防ぎ得る。
カスパーゼ8が、対照集団と比較して、T1D患者において過剰発現されることは留意されたい。本明細書において開示される抗IGFBP3抗体分子は、障害、例えば、糖尿病、並びに腸管及び/又は腸障害、吸収不良症候群、炎症性腸疾患、悪液質、IBD、セリアック病、糖尿病性腸疾患等を処置、予防、及び/又は診断するために、(単独で、又は他の薬剤又は治療法と組み合わせて)使用することができる。更に、下記のカテゴリ(i)~(iii):(i)糖尿病を処置する薬剤;(ii)抗炎症剤;又は(iii)免疫療法剤のうちの1つ、2つ、又は全てから選択される2つ、3つ、又はそれ以上の治療剤の組み合わせを含む方法及び組成物が、本明細書において開示される。
追加の治療剤は、インスリン、Vandana, 2014(19、参照により組み入れられる)において詳述されるインスリングラルギン、ビグアニド、グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジンジオン、DPP-4阻害剤、Georgeら 2013(20、参照により組み入れられる)において詳述されるGLP-1受容体アゴニスト、糖尿病を予防するために使用される薬剤、アスピリン、抗凝固及び血小板抗凝集剤(例えば、エノキサパリン、ヘパリン、スロデキシド等);コレステロール低下薬(例えば、スタチン、胆汁酸隔離剤、エゼチミブ、Marshaら 2011(21、参照により組み入れられる)に記載されるフィブレート等);他の血圧降下剤(例えば、チアジド、ACE阻害剤、β及びαブロッカー等);抗アポトーシス剤、抗炎症剤、コルチコステロイド、及び免疫抑制剤(22、参照により組み入れられる)、臓器移植におけるアジュバント療法、細胞治療アプローチにおける保護剤、痛み止め、抗生物質、プロバイオティクス、TNF-αブロッカー(23、参照により組み入れられる)、SGLT2阻害剤(例えば、グリフロジン誘導体等)、インテグリン阻害剤(24、参照により組み入れられる)、等の糖尿病を処置する薬剤から選択され得る。
IGFBP3の存在下、及び/又は糖尿病性腸疾患血清の存在下でのミニ腸成長と比較した場合の、ミニ腸成長の増加を測定する方法は、当該分野において既知であり、いくつかの刊行物(4、18、27、28)に記載され、又は下記の方法のセクションに記載される。
IGFBP3の存在下での発現と比較した場合の、EphB2、LGR5、又はカスパーゼ8の発現の増加及び/又は減少を測定する方法は、当該分野において公知であり、その例としては、定量的RT-PCR、リアルタイムRT-PCR、マイクロアレイ、ノーザンブロット法、RNA-Seq(29、30)、又は下記の方法のセクションに記載されるものが挙げられる。
IGFBP3の存在下でのβ細胞喪失と比較した場合の、β細胞喪失の減少を測定する方法は、当該分野において公知であり、その例としては、細胞増殖アッセイ(CFSE染色法、Calcein/PI染色法、トリパンブルー色素排除法、BrdU染色法、MTT)、アポトーシスアッセイ(TUNEL、カスパーゼ活性化及び検出、Annexin V結合)又は下記の方法のセクションに記載されるものが挙げられる。
IGFBP3の存在下でのインスリンレベルと比較した場合の、インスリンレベルの増加を測定する方法は、当該分野において公知であり、その例としては、ウエスタンブロット法、ELISA、質量分光分析(31~33)が挙げられる。
IGFBP3の存在下でのアポトーシスと比較した場合の、アポトーシスの減少を測定する方法は、当該分野において公知であり、その例としては、DNA断片化、カスパーゼ活性化分析、ミトコンドリアの膜透過化、Annexin V結合(34)、又は下記の方法のセクションに記載されるものが挙げられる。
いくつかの実施形態において、当該抗体分子は、高い親和性で、例えば、マウス抗IGFBP3抗体分子又はキメラ抗IGFBP3抗体分子又は商業的抗IGFBP3抗体分子のKDとほぼ同じか、又は少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%高い又は低いKDで、IGFBP3に結合する。いくつかの実施形態において、マウス又はキメラ抗IGFBP3抗体分子のKDは、例えば、Biacore法又はKinExA=結合平衡除外法によって測定された場合、約0.4、0.3、0.2、0.1、又は0.05nM未満である。いくつかの実施形態において、マウス又はキメラ抗IGFBP3抗体分子のKDは、約0.2nM未満である。他の実施形態において、マウス又はキメラ抗IGFBP3抗体分子のKDは、例えば、IGFBP3を発現する細胞(例えば、300.19細胞)上での結合によって測定した場合、約10、5、3、2、又は1nM未満である。いくつかの実施形態において、マウス又はキメラ抗IGFBP3抗体分子のKDは、約1nM未満である。
IGFBP3への結合を測定する方法は、タンパク質-タンパク質相互作用アッセイとして当該分野において公知であり、その例としては、ELISA、共免疫沈降法、表面プラズモン共鳴、FRET-フェルスター共鳴エネルギー移動(35)、又は下記の方法のセクションに記載されるものが挙げられる。
いくつかの実施形態において、当該抗体分子の発現レベルは、マウス又はキメラ抗体分子、例えば、マウス抗IGFBP3抗体分子、商業的抗IGFBP3抗体分子、又はキメラ抗IGFBP3抗体分子、例えば、LSBIO LS-C45037、クローン83.8F9、又はNovus NBP2-12364等の発現レベルより高い、例えば、少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10倍高い。いくつかの実施形態において、当該抗体分子は、HEK293細胞、CHO細胞、又は当技術分野において公知の任意の好適な哺乳動物細胞系において発現される。
いくつかの実施形態において、当該抗IGFBP3抗体分子は、マウス抗IGFBP3抗体分子、商業的抗IGFBP3抗体分子、又はキメラ抗IGFBP3抗体分子、例えば、本明細書に記載される、マウス抗IGFBP3抗体分子、商業的抗IGFBP3抗体分子、又はキメラ抗IGFBP3抗体分子のIC50とほぼ同じか又はより低い、例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%低いIC50(50%阻害での濃度)での1つ又は複数のIGFBP3関連活性を低減する。
いくつかの実施形態において、当該抗IGFBP3抗体分子は、マウス抗IGFBP3抗体分子、商業的抗IGFBP3抗体分子、又はキメラ抗IGFBP3抗体分子、例えば、LSBIO LS-C45037、クローン83.8F9、又はNovus NBP2-12364等の、マウス抗IGFBP3抗体分子、商業的抗IGFBP3抗体分子、又はキメラ抗IGFBP3抗体分子、より、例えば、インビボ又はインビトロにおいて少なくとも約0.5,1,2,3,4,5,6,7,8,9,又は10倍より安定な向上した安定性を有する。
一実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、ヒト化抗体分子である。
別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される抗体、例えば、Table 2~5(表3~8)において定義される、又はTable 6~7(表9~10)におけるヌクレオチド配列によってコードされる、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体に由来する少なくとも1つの抗原結合性領域、例えば、可変領域又はその抗原結合性断片;或いは前述の配列のいずれかに対して実質的に同一の(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、又はそれ以上において同一の)配列を含む。
さらなる別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される抗体、例えば、Table 2~5(表3~8)において定義される、又はTable 6~7(表9~10)におけるヌクレオチド配列によってコードされる、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体に由来する少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つの可変領域;或いは前述の配列のいずれかに対して実質的に同一の(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、又はそれ以上において同一の)配列を含む。
さらなる別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される抗体、例えば、Table 2~5(表3~8)において定義される、又はTable 6~7(表9~10)におけるヌクレオチド配列によってコードされる、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体に由来する少なくとも1つ又は2つの重鎖可変領域;或いは前述の配列のいずれかに対して実質的に同一の(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、又はそれ以上において同一の)配列を含む。
さらなる別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される抗体、例えば、Table 2~5(表3~8)において定義される、又はTable 6~7(表9~10)におけるヌクレオチド配列によってコードされる、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体に由来する少なくとも1つ又は2つの軽鎖可変領域;或いは前述の配列のいずれかに対して実質的に同一の(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、又はそれ以上において同一の)配列を含む。
さらなる別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、IgG4、例えば、ヒトIgG4に対する重鎖定常領域を含む。一実施形態において、ヒトIgG4は、位置228での置換(例えば、SerからProへの置換)を含む。一実施形態において、ヒトIgG4は、位置235での置換(例えば、LeuからGluへの置換)を含む。一実施形態において、ヒトIgG4は、位置228での置換(例えば、SerからProへの置換)及び位置235での置換(例えば、LeuからGluへの置換)を含む。さらなる別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、IgG1、例えば、ヒトIgG1に対する重鎖定常領域を含む。一実施形態において、ヒトIgG1は、位置297での置換(例えば、AsnからAlaへの置換)を含む。一実施形態において、ヒトIgG1は、位置250での置換、位置428での置換、又はその両方(例えば、位置250でのThrからGlnへの置換及び/又は位置428でのMetからLeuへの置換)を含む。一実施形態において、ヒトIgG1は、位置234での置換、位置235での置換、又はその両方(例えば、位置234でのLeuからAlaへの置換及び/又は位置235でのLeuからAlaへの置換)を含む。一実施形態において、重鎖定常領域は、Table 8(表11)に記載されるアミノ配列、又は当該配列に対して実質的に同一の(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、又はそれ以上において同一の)配列を含む。
さらなる別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、κ軽鎖定常領域、例えば、ヒトκ軽鎖定常領域を含む。一実施形態において、当該軽鎖定常領域は、Table 8(表11)に記載されるアミノ配列、又は当該配列に対して実質的に同一の(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、又はそれ以上において同一の)配列を含む。
別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、IgG4、例えば、ヒトIgG4に対する重鎖定常領域及びκ軽鎖定常領域、例えば、ヒトκ軽鎖定常領域、例えば、Table 8(表11)に記載されるアミノ配列、又は当該配列に対して実質的に同一の(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、又はそれ以上において同一の)配列を含む重鎖及び軽鎖定常領域を含む。さらなる別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、IgG1、例えば、ヒトIgG1に対する重鎖定常領域、及びκ軽鎖定常領域、例えば、ヒトκ軽鎖定常領域、例えば、Table 8(表11)に記載されるアミノ配列、又は当該配列に対して実質的に同一の(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、又はそれ以上において同一の配列を含む重鎖及び軽鎖定常領域を含む。一実施形態において、ヒトIgG1又はIgG4は、凝集を減少させるため、電荷の不均一性を低減するため、親和性を増加させるため、及び抗原結合性を調節するための、可変領域における置換;(26)(参照により組み入れられる)に記載されるような、可変領域における推定されるN-グリコシル化部位のCDRにおける不安定性ホットスポットの変異による除去を含む。
別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、Table 2~5(表3~8)において定義される、又はTable 6~7(表9~10)におけるヌクレオチド配列によってコードされる、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかのアミノ酸配列;或いは前述の配列のいずれかに対して実質的に同一の(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、又はそれ以上において同一の)配列を含む、重鎖可変ドメイン及び定常領域、軽鎖可変ドメイン及び定常領域、又はその両方を含む。抗IGFBP3抗体分子は、適宜、重鎖又は軽鎖に由来するリーダー配列、又はその両方を含む。
さらなる別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される抗体、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義されるE01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれか又はTable 2~7(表3~10)において提示される配列のいずれかに対して実質的に同一の(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、又はそれ以上において同一の)配列のいずれかから選択される抗体の重鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、又は3つの相補性決定領域(CDR)を含む。
さらなる別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、Table 2~5(表3~8)に示されるアミノ酸配列を含むか又はTable 6~7(表9~10)に示されるヌクレオチド配列によってコードされる重鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDR(又は、まとめて全てのCDR)を含む。一実施形態において、1つ又は複数のCDR(又は、まとめて全てのCDR)は、Table 2~5(表3~8)に示されているアミノ酸配列又はTable 6~7(表9~10)に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列に対する、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上の変更、例えば、アミノ酸の置換又は欠失を有する。
さらなる別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される抗体、例えば、Table 2~5(表3~8)及び3.1(表5、6)において定義される、又はTable 6~7(表9~10)におけるヌクレオチド配列によってコードされる、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体の軽鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDR;或いは前述の配列のいずれかに対して実質的に同一の(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、又はそれ以上において同一の)配列を含む。
さらなる別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、Table 2~5(表3~8)に示されているアミノ酸配列又はTable 6~7(表9~10)に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDR(又は、まとめて全てのCDR)を含む。一実施形態において、1つ又は複数のCDR(又は、まとめて全てのCDR)は、Table 2~5(表3~8)及び3.1(表5、6)に示されているアミノ酸配列又はTable 6~7(表9~10)に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列に対する、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上の変更、例えば、アミノ酸の置換又は欠失を有する。ある特定の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、軽鎖CDRにおける置換、例えば、軽鎖のCDR1、CDR2、及び/又はCDR3における1つ又は複数の置換を含む。別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、Table 2~5(表3~8)に示されているアミノ酸配列又はTable 6~7(表9~10)に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び軽鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのCDR(又は、まとめて全てのCDR)を含む。一実施形態において、1つ又は複数のCDR(又は、まとめて全てのCDR)は、Table 2~5(表3~8)及び3.1(表5、6)に示されているアミノ酸配列又はTable 6~7(表9~10)に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列に対する、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上の変更、例えば、アミノ酸の置換又は欠失を有する。
一実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される抗体、例えば、Table 2~5(表3~8)及び3.1(表5、6)において定義される、又はTable 6~7(表9~10)におけるヌクレオチド配列によってコードされる、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体に由来する6つ全てのCDR、或いは密接に関連するCDR、例えば、同一であるか、又は少なくとも1つのアミノ酸変更だが、2つ以下、3つ以下、又は4つ以下の変更(例えば、置換、欠失、又は挿入、例えば、保存的置換)を有するCDRを含む。一実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される任意のCDRを含み得る。ある特定の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、軽鎖CDRにおける置換、例えば、軽鎖のCDR1,CDR2、及び/又はCDR3における1つ又は複数の置換を含む。別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される抗体、例えば、Table 2~5(表3~8)及び3.1(表5、6)において定義される、又はTable 6~7(表9~10)におけるヌクレオチド配列によってコードされる、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体の重鎖可変領域に由来するKabatらに従った少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDR(例えば、Kabat定義又はTable 2~5(表3~8)及び3.1(表5、6)において設定される他の定義に従った少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDR);或いは前述の配列のいずれかに対して実質的に同一の(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、又はそれ以上において同一の)配列;或いはKabatら又はTable 2~5(表3~8)及び3.1(表5、6)に示される他の定義に従った1つ、2つ、又は3つのCDRに対して、少なくとも1つのアミノ酸変更だが、2つ以下、3つ以下、又は4つ以下の変更(例えば、置換、欠失、又は挿入、例えば、保存的置換)を有する配列を含む。
別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される抗体、例えば、Table 2~5(表3~8)において定義される、又はTable 6~7(表9~10)におけるヌクレオチド配列によってコードされる、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体の軽鎖可変領域に由来するKabatらに従った少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDR(例えば、Kabat定義又はTable 2~3(表3~4)及び3.1(表5、6)において設定される他の定義に従った少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDR);或いは前述の配列のいずれかに対して実質的に同一の(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、又はそれ以上において同一の)配列、或いはKabatら又はTable 2~5(表3~8)及び3.1(表5、6)に示される他の定義に従った1つ、2つ、又は3つのCDRに対して、少なくとも1つのアミノ酸変更だが、2つ以下、3つ以下、又は4つ以下の変更(例えば、置換、欠失、又は挿入、例えば、保存的置換)を有する配列を含む。
さらなる別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される抗体、例えば、Table 2~5(表3~8)において定義される、又はTable 6~7(表9~10)におけるヌクレオチド配列によってコードされる、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域に由来するKabatらに従った少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのCDR(例えば、Kabat定義又はTable 2~3(表3~4)及び3.1(表5、6)において設定される他の定義に従った少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのCDR);或いは前述の配列のいずれかに対して実質的に同一の(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、又はそれ以上において同一の)配列;或いは、Kabatら又はTable 2~5(表3~8)及び3.1(表5、6)に示される他の定義に従った1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つCDRに対して、少なくとも1つのアミノ酸変更だが、2つ以下、3つ以下、又は4つ以下の変更(例えば、置換、欠失、又は挿入、例えば、保存的置換)を有する配列を含む。
さらなる別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される抗体、例えば、Table 2~5(表3~8)において定義される、又はTable 6~7(表9~10)におけるヌクレオチド配列によってコードされる、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域に由来するKabatら又は他の定義に従った6つ全てのCDR(例えば、Kabat定義又はTable 2~5(表3~8)及び3.1(表5、6)において設定される他の定義に従った6つ全てのCDR);或いは前述の配列のいずれかに対して実質的に同一の(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、又はそれ以上において同一の)配列;或いはTable 2~5(表3~8)又は3.1(表5、6)に示されるKabatらに従った6つ全てのCDRに対して、少なくとも1つのアミノ酸変更だが、2つ以下、3つ以下、又は4つ以下の変更(例えば、置換、欠失、又は挿入、例えば、保存的置換)を有する配列を含む。一実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される任意のCDRを含み得る。
別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される抗体、例えば、Table 2~5(表3~8)において定義される、又はTable 6~7(表9~10)におけるヌクレオチド配列によってコードされる、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体の重鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、又は3つのChothia又はKabat超可変ループ(例えば、Table 2~5(表3~8)において設定されるChothia又はKabat定義に従った少なくとも1つ、2つ、又は3つの超可変ループ);或いはIGFBP3に接触するそれら超可変ループに由来する少なくともアミノ酸;或いはTable 2~5(表3~8)に示されるChothiaらに従った1つ、2つ、又は3つの超可変ループに対して、少なくとも1つのアミノ酸変更だが、2つ以下、3つ以下、又は4つ以下の変更(例えば、置換、欠失、又は挿入、例えば、保存的置換)を有するアミノ酸を含む。
別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される抗体、例えば、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)において定義される、又はTable 6~7(表9~10)におけるヌクレオチド配列によってコードされる、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体の軽鎖可変領域の少なくとも1つ、2つ、又は3つのChothia超可変ループ(例えば、Table 2~5(表3~8)において設定されるChothia定義に従った少なくとも1つ、2つ、又は3つの超可変ループ);或いはIGFBP3に接触するそれら超可変ループに由来する少なくともアミノ酸;或いは3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)に示されるChothiaらに従った1つ、2つ、又は3つの超可変ループに対して、少なくとも1つのアミノ酸変更だが、2つ以下、3つ以下、又は4つ以下の変更(例えば、置換、欠失、又は挿入、例えば、保存的置換)を有するアミノ酸を含む。
さらなる別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される抗体、例えば、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)において定義される、又は3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)に記載される、又はTable 6~7(表9~10)におけるヌクレオチド配列によってコードされる、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つの超可変ループ(例えば、Table 2~5(表3~8)において設定されるChothia定義に従った少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つの超可変ループ);或いはIGFBP3に接触するそれら超可変ループに由来する少なくともアミノ酸;或いは3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)に示されるChothiaらに従った1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つの超可変ループに対して、少なくとも1つのアミノ酸変更だが、2つ以下、3つ以下、又は4つ以下の変更(例えば、置換、欠失、又は挿入、例えば、保存的置換)を有するアミノ酸を含む。
一実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される抗体、例えば、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)において定義されるE01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体の6つ全ての超可変ループ(例えば、Table 2~5(表3~8)において設定されるChothia定義に従った6つ全ての超可変ループ)、又は密接に関連する超可変ループ、例えば、同一の、又は少なくとも1つのアミノ酸変更だが、2つ以下、3つ以下、又は4つ以下の変更(例えば、置換、欠失、又は挿入、例えば、保存的置換)を有する、超可変ループ;或いはTable 2~5(表3~8)に示されるChothiaらに従った6つ全ての超可変ループに対して、少なくとも1つのアミノ酸変更だが、2つ以下、3つ以下、又は4つ以下の変更(例えば、置換、欠失、又は挿入、例えば、保存的置換)を有する超可変ループを含む。一実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される任意の超可変ループを含み得る。
さらなる別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される抗体、例えば、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)において定義されるE01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体における対応する超可変ループと同じ標準構造、例えば、本明細書に記載される抗体の重鎖及び/又は軽鎖可変ドメインの少なくともループ1及び/又はループ2と同じ標準構造を有する少なくとも1つ、2つ、又は3つの超可変ループを含む。超可変ループの標準構造の説明については、例えば、Chothiaら、(1992) J. Mol. Biol. 227:799~817; Tomlinsonら、(1992) J. Mol. Biol. 227:776~798を参照されたい。これらの構造は、これらの参考文献に記載される表の点検によって特定することができる。
ある特定の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、Kabatら及びChothiaら又は当技術分野において公知の任意の他の定義に従って定義されるCDR又は超可変ループの組み合わせを含む。
一実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される抗体、例えば、Kabat及びChothia又は他の定義に従って、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)において定義される、又はTable 6~7(表9~10)におけるヌクレオチド配列によってコードされる、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体の重鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDR又は超可変ループ(例えば、Kabat及びChothia又は3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)において設定される他の定義に従った少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDR又は超可変ループ);或いは前述の配列のいずれかに対して実質的に同一の(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、又はそれ以上において同一の)配列;或いはKabat及び/又はChothia又は3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)に示される他の定義に従った1つ、2つ、又は3つのCDR又は超可変ループに対して、少なくとも1つのアミノ酸変更だが、2つ以下、3つ以下、又は4つ以下の変更(例えば、置換、欠失、又は挿入、例えば、保存的置換)を有する配列を含む。
例えば、抗IGFBP3抗体分子は、Kabatらに従ったVH CDR1又はChothiaらに従ったVH超可変ループ1又は、例えば、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)に示されるような、それらの組み合わせを含み得る。抗IGFBP3抗体分子は、更に、例えば、Kabatらに従ったVH CDR2~3及びKabatら、又は3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)に示されるような他の定義に従ったVL CDR1~3を含むことができる。したがって、いくつかの実施形態において、フレームワーク領域は、Kabatらに従って定義されるCDR及びChothiaらに従って定義される超可変ループの組み合わせに基づいて定義される。例えば、抗IGFBP3抗体分子は、Chothiaらに従ったVH超可変ループ1に基づいて定義されたVH FR1及びKabatら、又は3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)に示されるような他の定義に従ったVH CDR1~2に基づいて定義されたVH FR2を含むことができる。抗IGFBP3抗体分子は、更に、例えば、Kabatら又は他の定義に従ったVH CDR2~3に基づいて定義されるVH FR3~4及びKabatら又は他の定義に従ったVL CDR1~3に基づいて定義されるVL FR1~4を含むことができる。
抗IGFBP3抗体分子は、Kabat及びChothia定義に従ったCDR又は超可変ループの任意の組み合わせを含有することができる。一実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、本明細書に記載される抗体、例えば、Kabat及びChothia又は他の定義に従って、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)において定義されるE01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかから選択される抗体の軽鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDR(例えば、Table 2~5(表3~8)において設定されるKabat及びChothiaの定義に従った少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDR)を含む。好ましい抗IGFBP3抗体は、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)において定義されるE01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1である。
ある実施形態において、例えば、可変領域、CDR(例えば、Chothia CDR又はKabat CDR)、又は、本明細書において、例えば、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)において言及される他の配列を含む実施形態において、当該抗体分子は、単一特異性抗体分子、二重特異性抗体分子であるか、又は、抗体の抗原結合性断片、例えば、半抗体(half antibody)又は半抗体の抗原結合性断片を含む抗体分子である。ある実施形態において、当該抗体分子は、IGFBP3対する第1の結合特異性、及びTNF-α、インテグリン、IL1、IL12及びIL23、CD3、CD20、CD80、CD86に対する第2の結合特異性を有する二重特異性抗体分子である。
一実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、
(i)配列番号1、4、7、又は9のいずれか1つから選択されるVHCDR1アミノ酸配列と;配列番号2、5、8、又は10のいずれか1つから選択されるVHCDR2アミノ酸配列と;配列番号3、6、又は11のいずれか1つから選択されるVHCDR3アミノ酸配列とを含む重鎖可変領域(VH);及び/又は
(ii)配列番号12、15、17、20、23、25、又は27のいずれか1つから選択されるVLCDR1アミノ酸配列と、配列番号13、18、又は21のいずれか1つから選択されるVLCDR2アミノ酸配列と、配列番号14、16、19、22、24、又は26のいずれか1つから選択されるVLCDR3アミノ酸配列とを含む軽鎖可変領域(VL)
を含む。
(i)配列番号1、4、7、又は9のいずれか1つから選択されるVHCDR1アミノ酸配列と;配列番号2、5、8、又は10のいずれか1つから選択されるVHCDR2アミノ酸配列と;配列番号3、6、又は11のいずれか1つから選択されるVHCDR3アミノ酸配列とを含む重鎖可変領域(VH);及び/又は
(ii)配列番号12、15、17、20、23、25、又は27のいずれか1つから選択されるVLCDR1アミノ酸配列と、配列番号13、18、又は21のいずれか1つから選択されるVLCDR2アミノ酸配列と、配列番号14、16、19、22、24、又は26のいずれか1つから選択されるVLCDR3アミノ酸配列とを含む軽鎖可変領域(VL)
を含む。
別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、
(i)配列番号1、配列番号4、配列番号7、又は配列番号9から選択されるVHCDR1アミノ酸配列と;配列番号2、配列番号5、配列番号8、又は配列番号10のVHCDR2アミノ酸配列と;配列番号3、配列番号6、又は配列番号11のVHCDR3アミノ酸配列とを含む重鎖可変領域(VH);及び
(ii)配列番号12、配列番号15、配列番号17、配列番号20、配列番号23、配列番号25、又は配列番号27のVLCDR1アミノ酸配列と、配列番号13、配列番号18、又は配列番号21のVLCDR2アミノ酸配列と、配列番号14、配列番号16、配列番号19、配列番号22、配列番号24、又は配列番号26のVLCDR3アミノ酸配列とを含む軽鎖可変領域(VL)
を含む。
(i)配列番号1、配列番号4、配列番号7、又は配列番号9から選択されるVHCDR1アミノ酸配列と;配列番号2、配列番号5、配列番号8、又は配列番号10のVHCDR2アミノ酸配列と;配列番号3、配列番号6、又は配列番号11のVHCDR3アミノ酸配列とを含む重鎖可変領域(VH);及び
(ii)配列番号12、配列番号15、配列番号17、配列番号20、配列番号23、配列番号25、又は配列番号27のVLCDR1アミノ酸配列と、配列番号13、配列番号18、又は配列番号21のVLCDR2アミノ酸配列と、配列番号14、配列番号16、配列番号19、配列番号22、配列番号24、又は配列番号26のVLCDR3アミノ酸配列とを含む軽鎖可変領域(VL)
を含む。
一実施形態において、抗IGFBP3抗体分子の軽鎖又は重鎖可変フレームワーク(例えば、少なくともFR1、FR2、FR3、及び適宜FR4を含む領域)は、(a)ヒト軽鎖又は重鎖可変フレームワークのアミノ酸残基、例えば、ヒト成熟抗体、ヒト生殖系列配列、又はヒトコンセンサス配列に由来する軽鎖又は重鎖可変フレームワーク残基の少なくとも80%、85%、87%、90%、92%、93%、95%、97%、98%、好ましくは100%を含む軽鎖又は重鎖可変フレームワーク;(b)ヒト軽鎖又は重鎖可変フレームワークのアミノ酸残基、例えば、ヒト成熟抗体、ヒト生殖系列配列、又はヒトコンセンサス配列に由来する軽鎖又は重鎖可変フレームワーク残基の20%から80%、40%から60%、60%から90%、又は70%から95%を含む軽鎖又は重鎖可変フレームワーク;(c)非ヒトフレームワーク(例えば、齧歯類のフレームワーク);又は(d)例えば、抗原性又は細胞傷害性決定因子を除去する等のために修飾されている、例えば、脱免疫化又は部分的ヒト化されている、非ヒトフレームワークから選択することができる。
一実施形態において、当該軽鎖又は重鎖可変フレームワーク領域(特に、FR1、FR2、及び/又はFR3)は、ヒト生殖系列遺伝子のVL又はVHセグメントのフレームワークに対して少なくとも70、75、80、85、87、88、90、92、94、95、96、97、98、99%同一であるか又は同一である軽鎖又は重鎖可変フレームワーク配列を含む。
ある特定の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、10、15、20、又はそれ以上の変更、例えば、アミノ酸置換又は欠失を有する重鎖可変ドメインを含む。
一実施形態において、抗IGFBP3抗体分子の重鎖又は軽鎖可変領域又はその両方は、本明細書に記載される核酸配列、或いは例えば、低過酷、中過酷、又は高過酷な条件下、又は本明細書に記載される他のハイブリダイゼーション条件下において、本明細書に記載される核酸配列(例えば、Table 6及び7(表9及び10)に示される核酸配列)にハイブリダイズする核酸又はその補体によってコードされるアミノ酸配列を含む。
別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、Table 2~5(表3~8)に記載されるアミノ酸配列、又はそれらと実質的に同一である配列(例えば、それらと少なくとも約85%、90%、95%、99%、又はそれ以上同一である配列、又は、Table 2~5(表3~8)に示される配列とは1以下、2以下、5以下、10以下、又は15以下のアミノ酸残基において異なる配列)を有する少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つの抗原結合性領域、例えば、可変領域を含む。別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、Table 6~7(表9~10)に記載されるヌクレオチド配列、又はそれらと実質的に同一である配列(例えば、それらと少なくとも約85%、90%、95%、99%、又はそれ以上同一である配列、又は、Table 6~7(表9~10)に示される配列とは3以下、6以下、15以下、30以下、又は45以下のヌクレオチドにおいて異なる配列)を有する核酸によってコードされるVH及び/又はVLドメインを含む。
さらなる別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)に記載されるアミノ酸配列、又はそれらと実質的に相同である配列(例えば、それらと少なくとも約85%、90%、95%、99%、又はそれ以上同一である配列、及び/又は1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の置換、挿入、又は欠失、例えば、保存された置換を有する配列)を有する重鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。さらなる別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)に記載されるアミノ酸配列、又はそれらと実質的に相同である配列(例えば、それらと少なくとも約85%、90%、95%、99%、又はそれ以上同一である配列、及び/又は1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の置換、挿入、又は欠失、例えば、保存された置換を有する配列)を有する軽鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。さらなる別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)に記載されるアミノ酸配列、又は、それらと実質的に相同である配列(例えば、それらと少なくとも約85%、90%、95%、99%、又はそれ以上同一である配列、及び/又は1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の置換、挿入、又は欠失、例えば、保存された置換を有する配列)を有する重鎖及び軽鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのCDRを含む。
さらなる他の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、及びIgEの重鎖定常領域(Fc)から選択される、特に、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4の重鎖定常領域から選択される重鎖定常領域、より詳しくは、IgG1、又はIgG4(例えば、ヒトIgG1、IgG2、又はIgG4)の重鎖定常領域を有する。一実施形態において、重鎖定常領域は、ヒトIgG1である。別の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、例えば、κ又はλの軽鎖定常領域から選択される軽鎖定常領域を有する。一実施形態において、定常領域は、抗IGFBP3抗体分子の特性を変えるように(例えば、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞の機能、補体の機能、半減期、凝集、及び安定性のうちの1つ又は複数を増加又は減少させるように)、変更、例えば、変異される。ある特定の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、変異されたヒトIgG4を含む。
一実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、単離されるか、又は組換え型である。
一実施形態において、抗IGFBP3抗体分子は、ヒト化抗体分子又はヒト抗体分子である。
本発明は、本明細書に記載されるような、重鎖及び軽鎖可変領域をコードする一方又は両方のヌクレオチド配列、CDR、超可変ループ、抗IGFBP3抗体分子のフレームワーク領域を含む核酸分子も特徴とする。ある特定の実施形態において、抗IGFBP3抗体分子をコードするヌクレオチド配列は、コドン最適化される。例えば、本発明は、例えば、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)において定義されるE01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれか、又はそれらと実質的に同一である配列のうちの1つ又は複数から選択される抗IGFBP3抗体分子のそれぞれ重鎖及び軽鎖可変領域をコードする第1及び第2の核酸を特徴とする。例えば、当該核酸は、Table 6~7(表9~10)に記載されるヌクレオチド配列、又はそれらと実質的に同一である配列(例えば、それらと少なくとも約85%、90%、95%、99%、又はそれ以上同一である配列、又は、Table 6~7(表9~10)に示される配列とは3以下、6以下、15以下、30以下、又は45以下のヌクレオチドにおいて異なる配列)を含むことができる。
他の実施形態において、核酸分子は、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)において定義されるE01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかのアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及び/又は重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列;或いはTable 6~7(表9~10)におけるヌクレオチド配列;或いは前述の配列のいずれかに対して実質的に同一の(例えば、少なくとも約85%、90%、95%、99%、又はそれ以上において同一の)配列を含む。
他の実施形態において、核酸分子は、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)において定義されるE01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれかのアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン及び/又は軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列;或いはTable 6~7(表9~10)におけるヌクレオチド配列;或いは前述の配列のいずれかに対して実質的に同一の(例えば、少なくとも約85%、90%、95%、99%、又はそれ以上において同一の)配列を含む。
抗IGFBP3重鎖及び軽鎖可変ドメイン及び定常領域をコードする前述のヌクレオチド配列は、別々の核酸分子に、又は同じ核酸分子に存在することができる。ある特定の実施形態において、当該核酸分子は、リーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含む。
ある特定の実施形態において、核酸分子は、Table 2~5(表3~8)に記載されるアミノ酸配列、又は、それらと実質的に相同である配列(例えば、それらと少なくとも約85%、90%、95%、99%、又はそれ以上同一である配列、及び/又は1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の置換、挿入、又は欠失、例えば、保存された置換を有する配列)を有する重鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDR、又は超可変ループをコードするヌクレオチド配列を含む。
別の実施形態において、核酸分子は、Table 6~7(表9~10)に記載されるアミノ酸配列、又はそれらと実質的に相同である配列(例えば、それらと少なくとも約85%、90%、95%、99%、又はそれ以上同一である配列、及び/又は1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の置換、挿入、又は欠失、例えば、保存された置換を有する配列)を有する軽鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDR、又は超可変ループをコードするヌクレオチド配列を含む。
さらなる別の実施形態において、核酸分子は、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)に記載されるアミノ酸配列、又はそれらと実質的に相同である配列(例えば、それらと少なくとも約85%、90%、95%、99%、又はそれ以上同一である配列、及び/又は1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の置換、挿入、又は欠失、例えば、保存された置換を有する配列)を有する重鎖及び軽鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのCDR、又は超可変ループをコードするヌクレオチド配列を含む。
別の実施形態において、核酸分子は、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)において定義されるE01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれか、又はそれらと実質的に同一である配列に対する1つ又は複数の重鎖フレームワーク領域(例えば、VHFW1(タイプa)、VHFW1(タイプb)、VHFW1(タイプc)、VHFW1(タイプd)、VHFW2(タイプa)、VHFW2(タイプa')、VHFW2(タイプb)、VHFW2(タイプc)、VHFW2(タイプd)、VHFW2(タイプe)、VHFW3(タイプa)、VHFW3(タイプb)、VHFW3(タイプc)、VHFW3(タイプd)、VHFW3(タイプe)、又はVHFW4のいずれか、又は、それらの任意の組み合わせ、例えば、本明細書に記載されるフレームワークの組み合わせ)を含む。例えば、核酸分子は、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)に記載される核酸配列、又はそれらと実質的に同一である配列(例えば、それらと少なくとも約85%、90%、95%、99%、又はそれ以上同一である配列、又は、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)に示される配列とは3以下、6以下、15以下、30以下、又は45以下のヌクレオチドにおいて異なる配列)を含むことができる。
別の実施形態において、核酸分子は、3.1(表5、6)を含むTable 2~5(表3~8)において定義されるE01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、又はM1のいずれか、又はそれらと実質的に同一である配列に対する、1つ又は複数の軽鎖フレームワーク領域(例えば、VLFW1(タイプa)、VLFW1(タイプb)、VLFW1(タイプc)、VLFW1(タイプd)、VLFW1(タイプe)、VLFW1(タイプf)、VLFW2(タイプa)、VLFW2(タイプc)、VLFW3(タイプa)、VLFW3(タイプb)、VLFW3(タイプc)、VLFW3(タイプd)、VLFW3(タイプe)、VLFW3(タイプf)、VLFW3(タイプg)、又はVLFW4のいずれか、或いはそれらの任意の組み合わせ、例えば、本明細書に記載されるフレームワークの組み合わせ)を含む。例えば、当該核酸分子は、Table 6~7(表9~10)に記載されるヌクレオチド配列、又はそれらと実質的に同一である配列(例えば、それらと少なくとも約85%、90%、95%、99%、又はそれ以上同一である配列、又は、Table 6~7(表9~10)に示される配列とは3以下、6以下、15以下、30以下、又は45以下のヌクレオチドにおいて異なる配列)を含むことができる。
別の実施形態において、当該核酸分子は、本明細書に記載される1つ又は複数の重鎖フレームワーク領域及び1つ又は複数の軽鎖フレームワーク領域を含む。当該重鎖及び軽鎖フレームワーク領域は、同じベクター又は別々のベクターに存在し得る。
別の態様において、本願は、本明細書に記載される核酸又は公知の方法に従ってコドン最適化のために変更された核酸を含有する宿主細胞及びベクターを特徴とする。当該核酸は、同じ宿主細胞又は別々の宿主細胞に存在する単一のベクター又は別々のベクターに存在し得る。当該宿主細胞は、真核細胞、例えば、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母細胞、又は原核細胞、例えば、大腸菌(E. coli)であり得る。例えば、当該哺乳動物細胞は、培養細胞又は細胞系であり得る。例示的哺乳動物細胞としては、リンパ球細胞系(例えば、NSO)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、COS細胞、卵母細胞、及び遺伝子導入動物に由来する細胞、例えば、乳房上皮細胞が挙げられる。
一態様において、本発明は、本明細書に記載される抗体分子を提供する方法を特徴とする。当該方法は、IGFBP3抗原(例えば、IGFBP3エピトープの少なくとも一部を含む抗原)を提供する工程;当該IGFBP3ポリペプチドに特異的に結合する抗体分子を得る工程;及び当該抗体分子がIGFBP3ポリペプチドに特異的に結合するか否かを評価する工程、又は、IGFBP3の活性の調節、例えば、阻害における抗体分子の有効性を評価する工程を含む。当該方法は、更に、対象、例えば、ヒト又は非ヒト動物に当該抗体分子を投与する工程を含むことができる。
別の態様において、本発明は、薬学的に許容される担体、賦形剤、又は安定化剤と、本明細書に記載される抗IGFBP3抗体分子の少なくとも1つとを含む組成物、例えば、医薬組成物を提供する。一実施形態において、当該組成物、例えば、医薬組成物は、抗体分子と1つ又は複数の薬剤、例えば、本明細書に記載される治療剤又は他の抗体分子との組み合わせを含む。一実施形態において、当該抗体分子は、ラベル又は治療剤にコンジュゲートされる。
本明細書において開示される抗IGFBP3抗体分子は、上記において示されたIGFBP3の1つ又は複数の活性を阻害、低減、又は中和することができる。したがって、そのような抗体分子は、対象におけるIGFBP3誘導活性の阻害、低減、又は中和が望まれる障害を処置又は予防するために使用することができる。
抗IGFBP3抗体分子の使用
本発明の抗体は、様々な障害又は状態、例えば、糖尿病、並びに腸疾患、吸収不良症候群、炎症性腸疾患、悪液質、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、糖尿病性腸疾患等の処置方法において使用される。
本発明の抗体は、様々な障害又は状態、例えば、糖尿病、並びに腸疾患、吸収不良症候群、炎症性腸疾患、悪液質、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、糖尿病性腸疾患等の処置方法において使用される。
したがって、別の態様において、対象におけるIGFBP3/TMEM219軸を調節する方法が提供される。当該方法は、対象におけるIGFBP3/TMEM219軸が調節されるように、対象に、本明細書において開示される抗IGFBP3抗体分子(例えば、抗IGFBP3抗体分子の治療有効量)を、単独において又は1つ又は複数の薬剤又は手順との組み合わせにおいて投与する工程を含む。一実施形態において、当該抗体分子は、対象におけるIGFBP3/TMEM219軸活性を阻害、低減、又は中和、又は遮断する。当該対象は、哺乳動物、例えば、霊長類、好ましくは、高等霊長類、例えば、ヒト(例えば、本明細書に記載される障害を有する患者又は有するリスクにある患者)であり得る。一実施形態において、対象は、IGFBP3/TMEM219軸を阻害、低減、中和、又は遮断することを必要としている。一実施形態において、対象は、本明細書に記載される障害、例えば、糖尿病、又は炎症性腸疾患(IBD)、吸収不良症候群、過敏性腸疾患、悪液質、セリアック病、本明細書に記載される糖尿病性腸疾患を有するか又は有するリスクにある。
本発明の抗体は、ヒトIGFBP3に特異的に結合する。本明細書に記載されるように、本発明の抗体は、まとめて、「抗IGFBP3抗体」と呼ばれる。そのような全ての抗体は、本明細書における説明によって包含される。それぞれの抗体は、単独において、又は本発明の方法における組み合わせにおいて使用することができる。
IGFBP3「に特異的に結合する抗体」によって、当該抗体が、別の非相同ヒトペプチドとは実質的に交差反応しないことが意図される。「実質的に交差反応しない」により、当該抗体又は断片が、非相同タンパク質に対して結合親和性を有し、それが、IGFBP3に対する結合親和性の10%未満、より好ましくは5%未満、更により好ましくは1%未満であることが意図される。
様々な実施形態において、本明細書において使用される、IGFBP3「に特異的に結合する」抗体は、オクテットバイオレイヤー干渉法デバイスによって、又は例えば、BIAcore(商標)システム(Biacore Life Sciences division of GE Healthcare、ピスキャタウェイ、ニュージャージー州)を使用して、表面プラズモン共鳴アッセイにおいて、又は結合平衡除外法において、又は当技術分野において公知の任意の方法において、測定した場合に、約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満、又は約0.5nM未満のKDでヒトIGFBP3に結合する抗体を包含する。
本明細書における用語「抗体」は、参照により本明細書に組み入れられる(25)において抗体として記載される全てのポリペプチドを含む、当技術分野において理解される最も広い意味において使用される。
例えば、用語「抗体」は、本明細書に使用される場合、モノクローナル抗体、ポリクロナール抗体、単一特異性及び多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び断片が所望の抗原結合活性を示す限り、抗体断片(抗原結合性断片)を包含する。当該用語は、当技術分野において認識されるその最も広い意味を有し、全ての公知の形式、例えば、これらに限定されるわけではないが、二価の単一特異性モノクローナル抗体、二価の二重特異性抗体、三価の三重特異性抗体、F(ab)断片、F(ab)'2断片、scFv断片、ダイアボディ、単一ドメイン抗体、例えば、ラクダ化VHHシグナルドメイン抗体等、TandAb、及びフレキシボディを包含する。
抗体の「抗原結合性断片」又は同等の抗体の「抗原結合性部分」等の用語は、本明細書に使用される場合、抗体の一部を含み、抗原に特異的に結合して複合体を形成するような、天然に存在する、酵素的に入手可能な、合成の、又は遺伝子操作による、任意のポリペプチド又は糖タンパク質を包含する。抗体の抗原結合性断片は、例えば、任意の好適な標準的技術、例えば、抗体可変ドメイン及び適宜定常ドメインをコードするDNAの操作及び発現を伴う、タンパク質分解的消化又は組換え遺伝子操作技術等を使用して、完全な抗体分子から得られ得る。そのようなDNAは、公知であり、及び/又は、例えば、市販の供給元、DNAライブラリー(例えば、ファージ抗体ライブラリーを含む)から容易に入手可能であり、又は合成することができる。当該DNAは、配列決定され得、例えば、1つ又は複数の可変ドメイン及び/又は定常ドメインを好適な立体配置へと整列させるため、又は、コドンを導入するため、システイン残基を作り出すため、アミノ酸を修飾、追加、又は欠失するために、化学的に、又は、分子生物学技術を使用することによって、操作される。
完全抗体分子を用いる場合、抗原結合性断片は、単一特異的であり得るか、又は多重特異的(例えば、二重特異的)であり得る。抗体の多重特異的抗原結合性断片は、典型的には、少なくとも2つの異なる可変ドメインを含み、その場合、各可変ドメインは、別々の抗原に、又は同じ抗原上の異なるエピトープに、特異的に結合することができる。
特定の実施形態において、抗体の抗原結合性断片は、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合によって連結された少なくとも1つの可変ドメインを含む。抗体の抗原結合性断片内に見出され得る可変ドメイン及び定常ドメインの非限定的な例示的立体配置としては、(i)VH-CH1;(ii)VH-CH2;(iii)VH-CH3;(iv)VH-CH1-CH2;(v)VH-CH1-CH2-CH3;(vi)VH-CH2-CH3;(vii)VH-CL;(viii)VL-CH1;(ix)VL-CH2;(x)VL-CH3;(xi)VL-CH1-CH2;(xii)VL-CH1-CH2-CH3;(xiii)VL-CH2-CH3;及び(xiv)VL-CLが挙げられる。上記に一覧した例示的立体配置のいずれかを含む、可変ドメイン及び定常ドメインの任意の立体配置において、当該可変ドメイン及び定常ドメインは、お互いに直接連結され得るか、又は完全又は部分的ヒンジ領域又はリンカー領域によって連結され得る。ヒンジ領域は、様々な実施形態において、少なくとも2(例えば、5、10、15、20、40、60、又はそれ以上)のアミノ酸からなり得、結果として、単一のポリペプチド分子において、隣接する可変ドメイン及び/又は定常ドメインの間に、フレキシブルな又はセミフレキシブルな連結を生じる。その上、抗体の抗原結合性断片は、様々な実施形態において、(例えば、ジスルフィド結合による)お互いとの及び/又は1つ若しくは複数の単量体VH又はVLドメインとの非共有結合性会合における、上記において一覧した可変ドメイン及び定常ドメインの立体配置のいずれかにおけるホモ二量体又はヘテロ二量体(又は他の多量体)を含むことができる。
抗体の「抗原結合性断片」なる用語は、更に、単一ドメイン抗体を含む。
単一ドメイン抗体は、単一の単量体可変抗体ドメインからなる抗体断片である。いくつかの実施形態において、単一ドメイン抗体は、ラクダ科の動物に由来する抗体重鎖の可変ドメインから得られる(ナノボディ又はVHH断片とも称される)。いくつかの実施形態において、単一ドメイン抗体は、サメから得られる、自発的ヒト重鎖可変ドメイン(aVH)又はVNAR断片である。
抗原結合性断片の非限定的な例としては、(i)Fab断片;(ii)F(ab')2断片;(iii)Fd断片;(iv)Fv断片;(v)単鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAb断片;及び(vii)抗体の超可変領域(例えば、単離された相補性決定領域(CDR)、例えば、CDR3ペプチド等)又は拘束されたFR3-CDR3-FR4ペプチドを模倣するアミノ酸残基からなる最小認識ユニットが挙げられる。他の操作された分子、例えば、ドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ナノボディ、(例えば、一価のナノボディ及び二価のナノボディ)、小モジュラー免疫薬(SMIPs)、及びサメ可変IgNARドメイン等、も、本明細書において使用される表現「抗原結合性断片」に包含される。
抗体の抗原結合性断片は、典型的には、少なくとも1つの可変ドメインを含むであろう。当該可変ドメインは、任意のサイズ又はアミノ酸組成であり得、概して、1つ又は複数のフレームワーク配列に隣接するか又はインフレームにおける、少なくとも1つのCDRを含むであろう。VLドメインに関連するVHドメインを有する抗原結合性断片において、当該VH及びVLドメインは、お互いに対して任意の好適な配置に位置され得る。例えば、当該可変領域は、二量性であり、VH-VH、VH-VL、又はVL-VL二量体を含有し得る。或いは、抗体の抗原結合性断片は、単量体VH又はVLドメインを含有し得る。
本発明の抗体又は結合性分子は、更に、活性物質、好ましくはナノ粒子又はラジオヌクレオチドに連結することができる。
本明細書において使用される場合、用語「抗原結合性分子」は、最も広い意味において、抗原決定基に特異的に結合する分子を意味する。抗原結合性分子の例は、抗原結合性抗体断片を含めた抗体、及び足場抗原結合タンパク質である。
用語「抗原結合性部分」は、抗原決定基に特異的に結合する抗原結合性分子の一部分を意味する。抗原結合性部分は、標的細胞上の抗原に特異的に結合することができる抗体及びその抗原結合性断片、例えば、scFv等を含む。特定の態様において、抗原結合性部分は、それが取り付けられたエンティティ、例えば、細胞等を、標的部位へと向かわせることができる。加えて、標的細胞抗原に特異的に結合することができる抗原結合性部分は、本明細書の下記において定義される足場抗原結合タンパク質、例えば、設計された反復タンパク質又は設計された反復ドメイン、例えば、設計されたアンキリン反復タンパク質(DARPin)(例えば、WO2002/020565を参照されたい)又はリポカリン(アンチカリン)等に基づく結合性ドメインを含む。
細胞骨格への膜内在性タンパク質の取り付けを媒介するタンパク質のファミリーであるアンキリンから得られる設計されたアンキリン反復タンパク質(DARPin)。単一のアンキリン反復は、2つのα螺旋とβターンからなる33残基モチーフである。それらは、各反復の第1のα螺旋及びβターンにおいて残基をランダマイズすることによって、異なる標的抗原に結合するように操作され得る。それらの結合界面は、モジュールの数を増加させることによって(親和性成熟の方法)、増加させることができる。さらなる詳細については、J. Mol. Biol. 332, 489~503 (2003)、PNAS 100(4), 1700~1705 (2003)、及びJ. Mol. Biol. 369, 1015~1028 (2007)、並びにUS20040132028を参照されたい。
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される抗体及び抗原結合性分子は、抗原結合性部分がグリコシル化される程度を、増加又は減少させるように変更される。当該分子のグリコシル化バリアントは、1つ又は複数のグリコシル化部位が作り出されるように、又は除去されるようにアミノ酸配列を変更することによって簡便に得られ得る。抗原結合性分子が、Fc領域を含む場合、それらに取り付けられる炭水化物は変更され得る。一態様において、Fc領域に(直接的又は間接的に)取り付けられたフコースを欠く炭水化物構造を有する抗原結合性分子のバリアントが提供される。そのようなフコシル化バリアントは、改善されたADCC機能を有し得、例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号(Presta, L.)又はUS2004/0093621(協和発酵工業社)を参照されたい。本発明の抗原結合性分子のさらなるバリアントとしては、二分されたオリゴ糖、例えば、Fc領域に取り付けられた二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されるオリゴ糖を有するものが挙げられる。そのようなバリアントは、低減したフコシル化及び/又は改善されたADCC機能を有し得、例えば、WO2003/011878(Jean-Mairetら);米国特許第6,602,684号(Umanaら);及びUS2005/0123546 (Umanaら)を参照されたい。Fc領域に取り付けられたオリゴ糖における少なくとも1つのガラクトース残基を有するバリアントも提供される。そのような抗体バリアントは、改善されたCDC機能を有し得、例えば、WO1997/30087(Patelら);WO1998/58964(Raju, S.)及びWO1999/22764(Raju, S.)に記載される。
ある特定の実施形態において、分子の1つ又は複数の残基がシステイン残基で置換されている、本発明の抗体又は抗原結合性分子のシステイン操作されたバリアント、例えば、「thioMAb」を作り出すことは望ましくあり得る。特定の実施形態において、当該置換された残基は、当該分子におけるアクセス可能な部位において生じる。これらの残基をシステインで置換することにより、結果として、反応性チオール基が、当該抗体のアクセス可能な部位に位置され、イムノコンジュゲートを作り出すために、当該抗体を他の部分、例えば、薬物部分又はリンカー-薬物部分等にコンジュゲートするために使用され得る。ある特定の実施形態において、以下の残基の任意の1つ又は複数は、システインで置換され得る:軽鎖のV205(Kabat付番);重鎖のA118(EU付番);及び重鎖Fc領域のS400(EU付番)。システイン操作された抗原結合性分子は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されているように生成され得る。
ある特定の態様において、本明細書において提供される抗体又は抗原結合性分子は、当技術分野において公知で容易に利用可能な追加の非タンパク質性部分を含むように、更に修飾され得る。当該抗体又は抗原結合性分子の誘導体化にとって好適な部分としては、これらに限定されるわけではないが、水溶性ポリマーが挙げられる。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、これらに限定されるわけではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1、3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのどちらか)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレン(propropylene)グリコールホモポリマー、プロリプロピレン(prolypropylene)オキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、並びにそれらの混合物が挙げられる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中における安定性に起因する製造上の利点を有し得る。当該ポリマーは、任意の分子量のものであってもよく、分岐していても分岐していなくてもよい。抗体に結合したポリマーの数は様々であり得、2つ以上のポリマーが結合される場合、それらは、同じ分子又は異なる分子であり得る。一般的に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又はタイプは、これらに限定されるわけではないが、向上させるべき抗体の特定の特性又は機能、当該抗体誘導体が、規定された条件下の療法において使用されるか否か等の考慮に基づいて決定することができる。
別の態様において、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る抗体及び非タンパク質性部分のコンジュゲートが提供される。一実施形態において、当該非タンパク質性部分は、炭素ナノチューブである(Kam, N.W.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102 (2005) 11600~11605)。当該放射線は、任意の波長のものであり得、例えば、これらに限定されるわけではないが、通常の細胞を害さないが、非タンパク質性部分を、抗体-非タンパク質性部分の近位の細胞が死ぬ温度まで加熱する波長が挙げられる。別の態様において、本明細書において提供される抗原結合性分子のイムノコンジュゲートが、得られ得る。「イムノコンジュゲート」は、1つ又は複数の非相同分子、例えば、これらに限定されるわけではないが、細胞毒性薬等にコンジュゲートした抗体である。
抗体の当該定常領域は、補体を固定する抗体の能力において重要であり、細胞依存性細胞傷害性を媒介する。したがって、抗体のアイソタイプは、当該抗体が細胞傷害性を媒介することが望ましいか否かに基づいて選択され得る。ある特定の実施形態において、当該定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4定常領域である。
本発明は、様々な実施形態において、例えば、所望の抗体形態の収量を改善するために生産において望ましくあり得るヒンジ領域、CH2領域、又はCH3領域に1つ又は複数の変異を有する抗体を包含する。いくつかの実施形態において、例えば、本明細書に記載される抗体は、ヒトIgG4定常領域を含む。特定の実施形態において、当該IgG4定常領域は、Fabアーム交換(Angalら(1993) Molecular Immunology 30:105)を、ヒトIgG1ヒンジを使用して典型的に観察されるレベルまで低減させたヒトIgG4ヒンジのヒンジ領域に単一のアミノ酸置換を有する。
ある特定の実施形態において、当該抗体は、血清半減期を増加させる、定常領域における1つ又は複数の変異、例えば、米国特許第7,083,784号、同第8,323,962号、及びDall'Aquaら、J. Biol. Chem. 281(33):23514~23524 (2006); Hintonら、J. Immunology 176:346~356 (2006); Yeungら、J. Immunology 182:7663~7671 (2009);及びPetkovaら、Intn'l Immunology,18: 1759~1769 (2006)に記載されるものを含み、なお、当該文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
用語「ヒト抗体」は、本明細書に使用される場合、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体を含むことが意図される。それにもかかわらず、本発明において取り上げられるヒト抗体は、様々な実施形態において、例えば、CDRにおいて、及びいくつかの実施形態ではCDR3において、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダム変異誘発又は部位特異的変異誘発によって、又はインビボでの体細胞変異によって導入された変異)を含むことができる。しかしながら、用語「ヒト抗体」は、本明細書に使用される場合、CDR配列が、ヒトフレームワーク配列にグラフト化されている、別の哺乳動物種、例えば、マウス等の生殖系列に由来する抗体を含むことを意図しない。
用語「組換えヒト抗体」は、本明細書に使用される場合、組換え手段によって調製、発現、作出、又は単離される全てのヒト抗体、例えば、宿主細胞へトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現される抗体(下記に更に記載される)、組換え型から単離された抗体、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリー(下記に更に記載される)、ヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、Taylorら(1992) Nucl. Acids Res.20:6287~6295を参照されたい)、又は他のDNA配列へのヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを伴う任意の他の手段によって調製、発現、作出、又は単離される抗体等を含むことが意図される。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する。しかしながら、ある特定の実施形態において、そのような組換えヒト抗体は、インビトロ変異誘発を受け(又は、ヒトIg配列に対する動物トランスジェニックが使用される場合は、インビボ体細胞変異)、結果として、当該組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH及びVL配列に由来しそれらに関連するが、インビボにおいてヒト抗体生殖系列レパートリー内には天然には存在し得ない、配列である。
「単離された抗体」は、本明細書に使用される場合、同定され、その天然環境の少なくとも1つの構成要素から分離及び/又は回収されている抗体を意味する。例えば、有機体の少なくとも1つの構成要素から、又は当該抗体が天然において存在するか又は天然において生み出される組織又は細胞から分離又は除去されている抗体は、「単離された抗体」である。様々な実施形態において、単離された抗体は、組換え細胞内においてインサイチューの抗体も含む。他の実施形態において、単離された抗体は、少なくとも1つの精製工程又は単離工程を受けている抗体である。様々な実施形態において、単離された抗体は、他の細胞材料及び/又は化学物質を実質的に不含であり得る。
用語「エピトープ」は、パラトープとして知られる抗体分子の可変領域における特定の抗原結合性部位と相互作用する抗原決定基を意味する。単一の抗原は、2つ以上のエピトープを有し得る。したがって、異なる抗体は、抗原上の異なるエリアに結合し得、異なる生物学的効果を有し得る。エピトープは、立体構造的又は直線状のどちらかであり得る。立体構造エピトープは、直鎖状ポリペプチド鎖の様々なセグメントからの空間的に並置されたアミノ酸で作り出される。直線状エピトープは、ポリペプチド鎖における隣接するアミノ酸残基によって作り出されるものである。ある特定の状況において、エピトープは、当該抗原における糖類、ホスホリル基類、又はスルホニル基類の部分を含み得る。
本明細書に記載され、本明細書において取り上げられる方法にとって有用である抗IGFBP3抗体は、様々な実施形態において、当該抗体が由来する対応する生殖系列配列と比較した場合、重鎖及び軽鎖可変ドメインのフレームワーク及び/又はCDR領域において1つ又は複数のアミノ酸置換、挿入、及び/又は欠失を含み得る。そのような変異は、本明細書において開示されるアミノ酸配列を、例えば公共の抗体配列データベースに由来する生殖系列配列と比較することによって、容易に確認することができる。
本発明は、様々な実施形態において、抗体及び抗体の使用を伴う方法、並びに本明細書において開示されるアミノ酸配列のいずれかに由来するその抗原結合性断片を含み、この場合、1つ又は複数のフレームワーク領域及び/又はCDR領域内の1つ又は複数のアミノ酸は、当該抗体が由来する生殖系列配列における対応する残基へ、又は別のヒト生殖系列配列における対応する残基へ、又は当該対応する生殖系列残基の保存的アミノ酸置換(そのような配列変更は、本明細書においてまとめて「生殖細胞系列変異」と呼ばれる)へと変異される。
1つ又は複数の個々の生殖細胞系列変異又はその組み合わせを含む多数の抗体及び抗原結合性断片が構築され得る。ある特定の実施形態において、VHドメイン及び/又はVLドメイン内のフレームワーク及び/又はCDR残基の全ては、当該抗体が由来する元の生殖系列配列に見出される残基へと変異し戻る。他の実施形態において、ある特定の残基のみ、例えば、FR1の最初の8つのアミノ酸内又はFR4の最後の8つのアミノ酸内に見出される変異した残基のみ、又は、CDR1、CDR2、又はCDR3内に見出される変異した残基のみが、元の生殖系列配列へと変異し戻る。他の実施形態において、フレームワーク及び/又はCDR残基の1つ又は複数は、異なる生殖系列配列(すなわち、当該抗体が元々由来する生殖系列配列とは異なる生殖系列配列)における対応する残基へと変異する。その上、当該抗体は、フレームワーク領域及び/又はCDR領域内の2つ以上の生殖細胞系列変異の任意の組み合わせを有し得、例えば、その場合、ある特定の個々の残基は、ある特定の生殖系列配列における対応する残基へと変異し、その一方で、元の生殖系列配列とは異なるある特定の他の残基は、維持されるか、又は異なる生殖系列配列における対応する残基へと変異する。得られた後、1つ又は複数の生殖細胞系列変異を有する抗体及び抗原結合性断片は、1つ又は複数の所望の特性、例えば、向上した結合特異性、増加した結合親和性、改善又は増強したアンタゴニスト又はアゴニスト生物学的特性(場合によって)、低減した免疫原性等について容易に試験することができる。この一般的な方式において得られる抗体及び抗原結合性断片の使用は、本発明内に包含される。
本発明は、抗IGFBP3抗体並びに1つ又は複数の保存的置換を有する本明細書において開示されるHCVR、LCVR、及び/又はCDRアミノ酸配列のいずれかのバリアントを含む抗IGFBP3抗体の使用を伴う方法も含む。例えば、本発明は、本明細書において開示されるHCVR、LCVR、及び/又はCDRアミノ酸配列のいずれかに対して、例えば、10つ以下、8つ以下、6つ以下、又は4つ以下等の保存的アミノ酸置換を伴うHCVR、LCVR、及び/又はCDRアミノ酸配列を有する抗IL-6R抗体の使用を含む。
用語「生物学的に同等」は、本明細書に使用される場合、類似の条件下(例えば、同じ投与経路)において同じモル用量の投与後に類似のバイオアベイラビリティ(アベイラビリティの率及び程度)を有し、それにより、有効性及び安全性の両方において、当該効果が、比較対象の分子と実質的に同じであると予想できる分子を意味する。抗IGFBP3抗体を含む2つの医薬組成物は、それらが、薬学的に同等である場合、生物学的に同等であり、それは、それらが、同じ投与経路に対して、同じ剤形において、同じ量の有効成分(例えば、IGFBP3抗体)を含有し、同じ又は匹敵する標準を満たすことを意味する。生物学的等価は、例えば、2つの組成物に対する、薬物動力学パラメータを比較するインビボ研究によって特定することができる。生物学的等価試験において一般的に使用されるパラメータとしては、ピーク血漿濃度(Cmax)及び血漿薬物濃度時間曲線下面積(AUC)が挙げられる。
ある特定の実施形態において、本発明は、抗体、並びに、配列番号28から配列番号36の群から選択される配列を含む重鎖可変領域と配列番号37から配列番号45の群から選択される配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗体を対象に投与する工程を含む方法に関する。本開示は、そのような抗体を含む医薬組成物、及びこれらの組成物を使用する方法を提供する。
様々な実施形態において、当該抗体は、向上した移動、送達、容認性等を提供するために好適な担体、賦形剤、及び他の薬剤を含み、静脈内又は皮下注射に好適な、製剤において対象に投与される。
注入可能な調製物は、公的に知られる方法によって調製され得る。例えば、注入可能な調製物は、例えば、上記に記載される抗体又はその塩を注射液のために慣習的に使用される無菌水性媒体又は油性媒体に溶解、懸濁、又は乳化することによって調製され得る。注射液のための水性媒体としては、例えば、生理食塩水、グルコース及び他の助剤を含有する等張液等が存在し、それらは、適切な可溶化剤、例えば、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート20又は80、HCO-50(水素化ひまし油のポリオキシエチレン(50mol)付加体)]等、と組み合わせて使用され得る。油性媒体として、例えば、胡麻油、大豆油等が採用され、それらは、可溶化剤、例えば、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等と組み合わせて使用され得る。このように調製された注入可能な調製物は、適切なアンプルに充填することができる。
本発明による抗体は、任意の許容可能なデバイス又はメカニズムを使用して対象に投与することができる。例えば、投与は、注射器及び針を使用して、又は再使用可能なペン及び/又は自動注入送達装置によって、達成することができる。本発明の方法は、抗体(又は、当該抗体を含む医薬製剤)を投与するために、多数の再使用可能なペン及び/又は自動注入送達装置の使用を含む。そのようなデバイスの例としては、これらに限定されるわけではないが、ほんのいくつかの名前を挙げると、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford社、ウッドストック、イギリス)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems社、バーグドルフ、スイス)、HUMALOG MIX75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN70/30(商標)ペン(Eli Lilly社、インディアナポリス、インディアナ州)、NOVOPEN(商標) I、II、及びIII(Novo Nordisk社、コペンハーゲン、デンマーク)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk社、コペンハーゲン、デンマーク)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson社、フランクリン・レイクス、ニュージャージー州)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)、及びOPTICLIK(商標)(Sanofi-Aventis社、フランクフルト、ドイツ)が挙げられる。本発明の医薬組成物の皮下送達において用途を有する使い捨てペン及び/又は自動注入送達装置の例としては、これらに限定されるわけではないが、SOLOSTAR(商標)ペン(Sanofi-Aventis社)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk社)、及びKWIKPEN(商標)(Eli Lilly社)、SURECLICK(商標)自動注入装置(Amgen社、サウサンドオークス、カリフォルニア州)、PENLET(商標)(Haselmeier社、シュツットガルト、ドイツ)、EPIPEN(Dey, L.P社)、HUMIRA(商標)ペン(Abbott Labs社、アボットパーク、イリノイ州)、DAI(登録商標)自動注入装置(SHL Group社)、及びPUSHCLICK(商標)技術(SHL Group社)を特徴とする任意の自動注入装置が挙げられる。
一実施形態において、抗体は、プレフィルドシリンジによって投与される。別の実施形態において、抗体は、安全システムを含むプレフィルドシリンジによって投与される。例えば、当該安全システムは、偶発的な針刺し損傷を防ぐ。様々な実施形態において、抗体は、ERIS(商標)安全システム(West Pharmaceutical Services社)を含むプレフィルドシリンジによって投与される。参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、米国特許第5,215,534号及び同第9,248,242号も参照されたい。
別の実施形態において、抗体は、自動注入装置によって投与される。様々な実施形態において、抗体は、PUSHCLICK(商標)技術(SHL Group社)を特徴とする自動注入装置によって投与される。様々な実施形態において、当該自動注入装置は、対象への、ある用量の組成物及び/又は抗体の投与を可能にする注射器を備える装置である。参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、米国特許第9,427,531号及び同第9,566,395号も参照されたい。
本発明によれば、「対象」は、ヒト対象又はヒト患者を意味する。
方法
患者及び研究設計
健康な対照対象は、炎症性腸疾患(IBD)の診断を欠く個人であり(CTRL)、憩室炎、直腸癌、過敏性腸症候群のために結腸鏡検査又は腸手術を受ける患者から登録した。
患者及び研究設計
健康な対照対象は、炎症性腸疾患(IBD)の診断を欠く個人であり(CTRL)、憩室炎、直腸癌、過敏性腸症候群のために結腸鏡検査又は腸手術を受ける患者から登録した。
CD個体は、クローン病の長い病歴を有し、疾患合併症(狭窄、瘻管)に対する手術手順の際に、又は手術を受ける前の内視法の常套的診察の間に登録した。全ての対象は、研究登録の前にインフォームドコンセントを提供した。
動物実験
C57BL/6J(B6)マウスをCharles River Italian Laboratories社(Calco、イタリア)から入手し、動物飼育に関するイタリアの法律N°116/1992及び欧州共同体Council Directive EEC/609/86に従って飼育し使用した。
C57BL/6J(B6)マウスをCharles River Italian Laboratories社(Calco、イタリア)から入手し、動物飼育に関するイタリアの法律N°116/1992及び欧州共同体Council Directive EEC/609/86に従って飼育し使用した。
組換えタンパク質及び介入研究
組換えヒトIGFBP3をLife Technologies社から入手した(IGFBP3、Life Technologies社、10430H07H5)。TMEM219受容体の細胞外ドメインであるEcto-TMEM219を、陽性対照として使用した。Ecto-TMEM219は、関連疾患モデルにおいて、インビトロ及びインビボにてIGFBP3媒介損傷を首尾よく防ぐことが分かっている。WO2016/193496及びWO2016/193497を参照されたい。Genescript社のカスタマイズされたタンパク質サービスを通じてEcto-TMEMを入手した。大腸菌において産生される当該タンパク質は、以下のアミノ酸配列を有する。
組換えヒトIGFBP3をLife Technologies社から入手した(IGFBP3、Life Technologies社、10430H07H5)。TMEM219受容体の細胞外ドメインであるEcto-TMEM219を、陽性対照として使用した。Ecto-TMEM219は、関連疾患モデルにおいて、インビトロ及びインビボにてIGFBP3媒介損傷を首尾よく防ぐことが分かっている。WO2016/193496及びWO2016/193497を参照されたい。Genescript社のカスタマイズされたタンパク質サービスを通じてEcto-TMEMを入手した。大腸菌において産生される当該タンパク質は、以下のアミノ酸配列を有する。
ヒトEcto-TMEMアミノ酸配列
マウスEcto-TMEMアミノ酸配列
50ng/mlのIGFBP3及び130ng/mlのecto-TMEM219を、+1日目に、ミニ腸培養物から培養培地に加えた(下記を参照されたい)。
新たに生成した抗IGFBP3モノクローナル抗体を、10μg/mlの最終濃度においてIGFBP3と比較して1:1のモル比において加えた。
陰窩分離及びミニ腸発達
ヒト
健康な対象(健康な対照)の腸試料の粘膜及び粘膜下組織から陰窩を採取するか、又は疾患合併症(狭窄、瘻管)手術を受ける確立されたクローン病の患者から入手した。粘膜を、抗生物質ノルモシン(Normocin)[Invivogen社、サンディエゴ、カリフォルニア州 92121、米国;カタログコードant-nr]、ゲンタマイシン[Invivogen社、カールスバッド、カリフォルニア州、米国 カタログコードant-gn]、及びファンギゾン[Invitrogen社 15290018]の混合物と共に、室温において15分間、インキュベートし、次いで、組織を小片へと刻み、2~3倍のPBS中における10mMのジチオスレイトール(DTT)(Sigma社)と共に、数分間インキュベートした。次いで、試料をPBS中における8mMのEDTAに移し、37℃において30分間インキュベートした。この工程の後、試料を激しく振盪することにより、結腸陰窩が負荷された上澄みを得た。ウシ胎児血清(FBS、Sigma社 12103C-500ML)を、5%の最終濃度まで加え、2分間の遠心分離40×gによって単一の細胞を除去した。陰窩を50μlのマトリゲル(BD Biosciences社 354234)と混合し、予め温めておいた培養皿に播種した。凝固後、陰窩に、完全な陰窩培養培地:グルタマックス10mM(Life Technologies社 35050038)、HEPES(Life Technologies社 15630080)、N-2[1倍](Life Technologies社 17502048)、レチノイン酸を伴わないB-27[1倍](Life Technologies社 12587010)、10mMのニコチンアミド(Sigma社 N0636)、1mMのN-アセチル-L-システイン(Sigma社 A965)、50ng/mlのヒトEGF(Life Technologies社 PHG0311)、1μg/mlのRSPO1 (Sino Biological社 11083-H08H)、100ng/mのヒトノギン(Noggin)(Peprotech社 12010C)、1μg/mlのガストリン(Sigma-Aldrich社 SCP0152)、500nMのLY2157299 (Axon MedChem社 1491)、10μmのSB202190(Sigma社 S7067)、及び0.01μMのPGE2(Sigma社 P6532)を補ったWnt3a-馴化培地及びAdvanced DMEM/F12(Life Technologies社 1263010)50: 50をかぶせた。培地を3日間毎に取り替えた。精製した陰窩、組換えタンパク質及び介入研究のセクションに記載されるような組換えタンパク質/抗体の有無において8日間培養した。8日後、陰窩を収集し、モルホロジー、ミニ腸成長、腸シグネチャーマーカー(EphB2、LGR5、h-TERT)の発現、及びカスパーゼ8(Life Technologies社)を、RT-PCRを使用して調べた。少なくとも1つの陰窩ドメインを伴った発達したミニ腸の割合を、既に説明したように評価した(4、18)。
ヒト
健康な対象(健康な対照)の腸試料の粘膜及び粘膜下組織から陰窩を採取するか、又は疾患合併症(狭窄、瘻管)手術を受ける確立されたクローン病の患者から入手した。粘膜を、抗生物質ノルモシン(Normocin)[Invivogen社、サンディエゴ、カリフォルニア州 92121、米国;カタログコードant-nr]、ゲンタマイシン[Invivogen社、カールスバッド、カリフォルニア州、米国 カタログコードant-gn]、及びファンギゾン[Invitrogen社 15290018]の混合物と共に、室温において15分間、インキュベートし、次いで、組織を小片へと刻み、2~3倍のPBS中における10mMのジチオスレイトール(DTT)(Sigma社)と共に、数分間インキュベートした。次いで、試料をPBS中における8mMのEDTAに移し、37℃において30分間インキュベートした。この工程の後、試料を激しく振盪することにより、結腸陰窩が負荷された上澄みを得た。ウシ胎児血清(FBS、Sigma社 12103C-500ML)を、5%の最終濃度まで加え、2分間の遠心分離40×gによって単一の細胞を除去した。陰窩を50μlのマトリゲル(BD Biosciences社 354234)と混合し、予め温めておいた培養皿に播種した。凝固後、陰窩に、完全な陰窩培養培地:グルタマックス10mM(Life Technologies社 35050038)、HEPES(Life Technologies社 15630080)、N-2[1倍](Life Technologies社 17502048)、レチノイン酸を伴わないB-27[1倍](Life Technologies社 12587010)、10mMのニコチンアミド(Sigma社 N0636)、1mMのN-アセチル-L-システイン(Sigma社 A965)、50ng/mlのヒトEGF(Life Technologies社 PHG0311)、1μg/mlのRSPO1 (Sino Biological社 11083-H08H)、100ng/mのヒトノギン(Noggin)(Peprotech社 12010C)、1μg/mlのガストリン(Sigma-Aldrich社 SCP0152)、500nMのLY2157299 (Axon MedChem社 1491)、10μmのSB202190(Sigma社 S7067)、及び0.01μMのPGE2(Sigma社 P6532)を補ったWnt3a-馴化培地及びAdvanced DMEM/F12(Life Technologies社 1263010)50: 50をかぶせた。培地を3日間毎に取り替えた。精製した陰窩、組換えタンパク質及び介入研究のセクションに記載されるような組換えタンパク質/抗体の有無において8日間培養した。8日後、陰窩を収集し、モルホロジー、ミニ腸成長、腸シグネチャーマーカー(EphB2、LGR5、h-TERT)の発現、及びカスパーゼ8(Life Technologies社)を、RT-PCRを使用して調べた。少なくとも1つの陰窩ドメインを伴った発達したミニ腸の割合を、既に説明したように評価した(4、18)。
マウス
C57BL/6Jマウスから陰窩を得た。簡潔に説明すると、結腸をハサミで2~4mm片に切断し、断片を30mlの氷冷PBSで洗浄し、次いで、37℃において20mMのEDTA-PBSと共にインキュベートした。最後に、断片をトリプシン/DNAse溶液で処理して、陰窩を得た。この工程の後、試料を激しく振盪することにより、結腸陰窩が負荷された上澄みを得た。陰窩をマトリゲルと混合し、予め温めておいた培養皿に播種した。マトリゲルの凝固(37℃において10~15分)の後、陰窩に、培養培地(ADF、10mMのHEPES、N-2、レチノイン酸を伴わないB27、10μMのY-27632、1μMのJAG1ペプチド(Anaspec社、フレモント、カリフォルニア州、米国)、1μg/mlのR-スポンジン1、50ng/mlのEGF(Invitrogen社)、及び100ng/mlのノギン(Peprotech, ロッキー・ヒル、ニュージャージー州、米国))をかぶせ、8日目まで、培地を一日おきに変えた。8日後、発達したミニ腸の割合を評価した。
C57BL/6Jマウスから陰窩を得た。簡潔に説明すると、結腸をハサミで2~4mm片に切断し、断片を30mlの氷冷PBSで洗浄し、次いで、37℃において20mMのEDTA-PBSと共にインキュベートした。最後に、断片をトリプシン/DNAse溶液で処理して、陰窩を得た。この工程の後、試料を激しく振盪することにより、結腸陰窩が負荷された上澄みを得た。陰窩をマトリゲルと混合し、予め温めておいた培養皿に播種した。マトリゲルの凝固(37℃において10~15分)の後、陰窩に、培養培地(ADF、10mMのHEPES、N-2、レチノイン酸を伴わないB27、10μMのY-27632、1μMのJAG1ペプチド(Anaspec社、フレモント、カリフォルニア州、米国)、1μg/mlのR-スポンジン1、50ng/mlのEGF(Invitrogen社)、及び100ng/mlのノギン(Peprotech, ロッキー・ヒル、ニュージャージー州、米国))をかぶせ、8日目まで、培地を一日おきに変えた。8日後、発達したミニ腸の割合を評価した。
qRT-PCR分析
精製した腸陰窩由来のRNAを、TRIzol試薬(Invitrogen社)を使用して抽出し、製造元の取扱説明書に従ってTaqManアッセイ(Life Technologies社、グランドアイランド、ニューヨーク州)を使用してqRT-PCR分析を実施した。ΔΔCt法又はΔCt法を使用して、正規化された発現値を特定した。定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)データを、ACTBの発現に対して正規化した。統計解析は、関心対象の集団と全ての他の集団との間の多重比較のために、一元配置分散分析とその後のBonferroni事後検定によって、各患者に対する全ての細胞集団での遺伝子発現を比較した。解析は、技術的及び生物学的に3連で実施した。
精製した腸陰窩由来のRNAを、TRIzol試薬(Invitrogen社)を使用して抽出し、製造元の取扱説明書に従ってTaqManアッセイ(Life Technologies社、グランドアイランド、ニューヨーク州)を使用してqRT-PCR分析を実施した。ΔΔCt法又はΔCt法を使用して、正規化された発現値を特定した。定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)データを、ACTBの発現に対して正規化した。統計解析は、関心対象の集団と全ての他の集団との間の多重比較のために、一元配置分散分析とその後のBonferroni事後検定によって、各患者に対する全ての細胞集団での遺伝子発現を比較した。解析は、技術的及び生物学的に3連で実施した。
発現がqRT-PCRによって定量化されている遺伝子の一覧を下記に報告する。
競合ELISA結合アッセイ
以下の試薬を使用して、新たに生成した抗IGFBP3抗体をスクリーニングした:組換えヒトIGFBP3(0,223mg/ml R&D System社 8874-B3-025)、Ecto-TMEM219(0.5mg/ml GenScript社)、新たに生成された抗IGFBP3 mAb(Trianni社)、抗ヒトIgG HRP(Life Technologies社 A24470)、ウシ血清アルブミン(BSA)、Tween20(TW)、ELISA比色分析TMB試薬(HRP基質、Item H Sigma社、RABTMB3)、ELISA STOP溶液(Item I、Sigma社、RABSTOP3)。発明者らは、ブロッキング試薬溶液(PBS中における3%のBSA)及び希釈溶液(0.5%のBSA、PBS中における0.05%のTw)も用いた。
以下の試薬を使用して、新たに生成した抗IGFBP3抗体をスクリーニングした:組換えヒトIGFBP3(0,223mg/ml R&D System社 8874-B3-025)、Ecto-TMEM219(0.5mg/ml GenScript社)、新たに生成された抗IGFBP3 mAb(Trianni社)、抗ヒトIgG HRP(Life Technologies社 A24470)、ウシ血清アルブミン(BSA)、Tween20(TW)、ELISA比色分析TMB試薬(HRP基質、Item H Sigma社、RABTMB3)、ELISA STOP溶液(Item I、Sigma社、RABSTOP3)。発明者らは、ブロッキング試薬溶液(PBS中における3%のBSA)及び希釈溶液(0.5%のBSA、PBS中における0.05%のTw)も用いた。
マイクロプレート(Thermofisher社、Electron Corporation、2801)を、PBSに溶解させた4μg/mlのrhIGFBP3を50μl/ウェルにおいてコーティングし、又はPBSを用いた(コーティングせず)。プレートを37℃で90分間インキュベートし、PBS(300μl/ウェル)で洗浄し、ブロッキング試薬(200μl/ウェル)と共に室温で2時間インキュベートした。次いで、試料を希釈溶液(50μl/ウェル)において希釈し、以下のようにプレートに加えた:希釈溶液(なし)、ecto-TMEM219 10μg/ml、ecto-TMEM219 10μg/ml+抗IGFBP3 mAb 10μg/ml、抗IGFBP3 mAb 10μg/mlのみ。洗浄工程の後、プレートを、希釈溶液(50μl/ウェル)において1:2000で希釈した抗6X HisタグHRPと共に室温で1時間インキュベートした。次いで、ELISAリーダーにおいて、可視化溶液を加えた後にELISAプレートを読み取り、吸収を測定した。
β細胞
ヒトβ細胞系であるBetalox-5細胞(36)を、DMEM(グルコース 1g/L)、BSAフラクションV(0.02%重量/体積)、非必須アミノ酸(1倍)ペニシリン(100単位/mL)、及びストレプトマイシン(100μg/mL)を含む培養フラスコにおいて増殖させた。当該細胞を、5%のCO2の加湿されたインキュベーターにおいて37℃で培養した。当該細胞を2週間に1回継代させた。β細胞を、IGFBP3の有無、ecto-TMEM219の有無、新たに生成したモノクローナル抗体の有無(組換えタンパク質及び介入研究を参照されたい)において培養し、細胞を、免疫蛍光研究、RNA抽出、アポトーシス検出、及びタンパク質分析のために収集した。インスリンの評価のために上清を収集した。インスリンのレベルは、マイクロ粒子エンザイムイムノアッセイ(Mercodia Iso-Insulin ELISA、10-1113-01)によって評価した。
ヒトβ細胞系であるBetalox-5細胞(36)を、DMEM(グルコース 1g/L)、BSAフラクションV(0.02%重量/体積)、非必須アミノ酸(1倍)ペニシリン(100単位/mL)、及びストレプトマイシン(100μg/mL)を含む培養フラスコにおいて増殖させた。当該細胞を、5%のCO2の加湿されたインキュベーターにおいて37℃で培養した。当該細胞を2週間に1回継代させた。β細胞を、IGFBP3の有無、ecto-TMEM219の有無、新たに生成したモノクローナル抗体の有無(組換えタンパク質及び介入研究を参照されたい)において培養し、細胞を、免疫蛍光研究、RNA抽出、アポトーシス検出、及びタンパク質分析のために収集した。インスリンの評価のために上清を収集した。インスリンのレベルは、マイクロ粒子エンザイムイムノアッセイ(Mercodia Iso-Insulin ELISA、10-1113-01)によって評価した。
統計解析
データは、平均値及び標準誤差(SEM)として提示され、正規分布に対してコルモゴロフ・スミルノフ検定を用いて、並びに等分散性に対してレビーン検定を用いて検定した。違いの統計的有意性を、両側t検定を用いて検定した。2つの群の間の有意性を、両側独立スチューデントt検定によって特定した。多重比較のために、Bonferroni補正による分散分析を用いた。グラフ及びデータは、GraphPad Prismバージョン6.0(GraphPad Software社、ラ・ホーヤ、カリフォルニア州)を使用して生成した。全ての統計検定は、5%有意水準において実施した。
データは、平均値及び標準誤差(SEM)として提示され、正規分布に対してコルモゴロフ・スミルノフ検定を用いて、並びに等分散性に対してレビーン検定を用いて検定した。違いの統計的有意性を、両側t検定を用いて検定した。2つの群の間の有意性を、両側独立スチューデントt検定によって特定した。多重比較のために、Bonferroni補正による分散分析を用いた。グラフ及びデータは、GraphPad Prismバージョン6.0(GraphPad Software社、ラ・ホーヤ、カリフォルニア州)を使用して生成した。全ての統計検定は、5%有意水準において実施した。
腹腔内(IP)投与後のT1Dマウスモデルにおける抗IGFBP3 mAb有効性
動物
雌の非肥満体糖尿病(NOD)マウス(10週齢)を、Charles River Laboratories社(カルコ、バレーゼ、イタリア)から入手した(ストック#613)。全てのマウスは、動物飼育に関するイタリアの法律N°116/1992及び欧州共同体Council Directive EEC/609/86に従って飼育し使用した。
動物
雌の非肥満体糖尿病(NOD)マウス(10週齢)を、Charles River Laboratories社(カルコ、バレーゼ、イタリア)から入手した(ストック#613)。全てのマウスは、動物飼育に関するイタリアの法律N°116/1992及び欧州共同体Council Directive EEC/609/86に従って飼育し使用した。
糖尿病のモニタリング及び処置
顕性糖尿病(最も進行した段階であり、高い絶食血糖濃度及び古典的な症状によって特徴付けられる)を、3回の連続した測定に対して250mg/dLを超える血糖値として定義した。糖血症を1週間に2回モニターした。
顕性糖尿病(最も進行した段階であり、高い絶食血糖濃度及び古典的な症状によって特徴付けられる)を、3回の連続した測定に対して250mg/dLを超える血糖値として定義した。糖血症を1週間に2回モニターした。
発明者らは以下の処置グループを設定した:
1)未処置
2)10日間のEcto-TMEM219 0.1mg/日(i.p)
3)10日間の抗IGFBP3 M1 0.5mg/日(i.p)
1)未処置
2)10日間のEcto-TMEM219 0.1mg/日(i.p)
3)10日間の抗IGFBP3 M1 0.5mg/日(i.p)
Ecto-TMEM及び抗体は、PBSに溶解させた。
N=10匹のマウスを処置の各群に含ませた。処置は、マウスが10週齢になった時に0日目において開始した。マウスを、23週齢まで経過観察した。糖尿病が評価されるか又は23週齢になった時にマウスを捕獲した。エクスビボ分析のために血漿試料及び膵臓を採取した。実験のタイムラインを図13に示す。
膵島炎スコアリング及び膵島組織病理学
膵島炎スコアリングを、前に説明したように、5μm厚のホルマリン固定されパラフィン包埋されたヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色した膵臓切片に対して実施した(Vergani Aら Diabetes 2010; Ben Nasr Mら Sci Transl Med 2017)。膵島炎スコアリングは、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)及びインスリン染色膵臓切片において実施した。0から4のスコアを、経験豊富な病理学者によって膵島浸潤に基づいて割り当てた。膵島炎スコアは、以下のように等級付けした:グレード0、正常な膵島; グレード1、周囲での穏やかな単核浸潤(25%);グレード2、膵島の25~50%が浸透;グレード3、(膵島の50%が浸透);グレード4、膵島が完全に浸透し、残存実質は残っていない。グループあたり少なくとも30の膵島を分析し、異なるマウスから得られた切片からプールした。
膵島炎スコアリングを、前に説明したように、5μm厚のホルマリン固定されパラフィン包埋されたヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色した膵臓切片に対して実施した(Vergani Aら Diabetes 2010; Ben Nasr Mら Sci Transl Med 2017)。膵島炎スコアリングは、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)及びインスリン染色膵臓切片において実施した。0から4のスコアを、経験豊富な病理学者によって膵島浸潤に基づいて割り当てた。膵島炎スコアは、以下のように等級付けした:グレード0、正常な膵島; グレード1、周囲での穏やかな単核浸潤(25%);グレード2、膵島の25~50%が浸透;グレード3、(膵島の50%が浸透);グレード4、膵島が完全に浸透し、残存実質は残っていない。グループあたり少なくとも30の膵島を分析し、異なるマウスから得られた切片からプールした。
統計解析
データは、特に報告されない限り、平均及び標準誤差(SEM)として提示される。異なる群の間での糖尿病発症は、ログランク(マンテル・コックス)検定によって解析した。GraphPad Prismバージョン7.0(GraphPad Software社、ラ・ホーヤ、カリフォルニア州)を使用して、統計解析を行った。全ての統計検定は、5%有意水準において実施した。
データは、特に報告されない限り、平均及び標準誤差(SEM)として提示される。異なる群の間での糖尿病発症は、ログランク(マンテル・コックス)検定によって解析した。GraphPad Prismバージョン7.0(GraphPad Software社、ラ・ホーヤ、カリフォルニア州)を使用して、統計解析を行った。全ての統計検定は、5%有意水準において実施した。
(実施例1)
モノクローナル抗体開発
関連するヒト免疫グロブリン配列が遺伝子工学によって動物のゲノム中に導入されている遺伝子導入マウスTrianni Mouse(商標)(Trianni社)の利用によって、モノクローナル抗IGFBP3抗体を発見した。そのような技術の使用によって、ヒト重鎖及び軽鎖可変ドメインの完全なレパートリーを含み、マウスの定常ドメインを保持するキメラモノクローナル抗体を生産した。
モノクローナル抗体開発
関連するヒト免疫グロブリン配列が遺伝子工学によって動物のゲノム中に導入されている遺伝子導入マウスTrianni Mouse(商標)(Trianni社)の利用によって、モノクローナル抗IGFBP3抗体を発見した。そのような技術の使用によって、ヒト重鎖及び軽鎖可変ドメインの完全なレパートリーを含み、マウスの定常ドメインを保持するキメラモノクローナル抗体を生産した。
本質的には、Trianni Mouse(商標)の2つの群(群1:ALD/MDPアジュバント及び群2:SAS/Ribiアジュバント)を、精製したIGFPP3抗原の調製物(ロット#AB08BP1210)により、1週間に2回の注射において4週間、更に2週間の延長によって免疫した。次いで、リンパ細胞(B細胞等)を、抗体を発現するマウスから回収し、そのような細胞を、不死のハイブリドーマ細胞系を調製するために骨髄タイプの細胞系と融合させ、そのようなハイブリドーマ細胞系を、ヒトIGFBP3(ロット#AB08BP1210)に対して特異的な抗体を産生するハイブリドーマ細胞系を同定するために、ELISAによってスクリーニングし選択した。関心対象の抗原に対して反応性であったハイブリドーマ細胞系を増殖させた。RNA単離によって配列決定を実施し、その後に、Sanger配列決定法を用いて、ヒトVH及びヒトVKのcDNA配列決定を実施した。
抗体は、ハイブリドーマ細胞系以外の細胞系において発現することができる。好適な哺乳動物宿主細胞の形質転換のために、抗体をコードする配列を使用することができる。実際に、群1に由来するモノクローナル抗体M1は、哺乳動物細胞における一過性の遺伝子発現系において発現した。
CHO細胞において組換えタンパク質を発現する方法
完全ヒトIgG4 mAbを生産するために、対応するM1 cDNAを、従来の(非PCRベースの)クローニング技術を使用して、evitria社のベクターシステムへとクローニングした。当該evitria社のベクタープラスミドは、合成された遺伝子であった。アニオン交換クロマトグラフィに基づく低エンドトキシン条件下において、プラスミドDNAを調製した。配列の正しさを、Sanger配列決定法によって検証した(cDNAのサイズに応じてプラスミドあたり最大2回の配列決定反応による)。
完全ヒトIgG4 mAbを生産するために、対応するM1 cDNAを、従来の(非PCRベースの)クローニング技術を使用して、evitria社のベクターシステムへとクローニングした。当該evitria社のベクタープラスミドは、合成された遺伝子であった。アニオン交換クロマトグラフィに基づく低エンドトキシン条件下において、プラスミドDNAを調製した。配列の正しさを、Sanger配列決定法によって検証した(cDNAのサイズに応じてプラスミドあたり最大2回の配列決定反応による)。
懸濁液適合CHO K1細胞(evitria社)を生産のために使用した。シードを、既知組成の、動物成分不含の、血清不含の培地であるeviGrow培地において増殖させた。細胞を、evitria社のカスタムメイドの、独占所有権のあるトランスフェクション試薬であるeviFectを用いてトランスフェクトし、トランスフェクション後に、細胞を、動物成分不含で血清不含の培地であるeviMakeにおいて、37℃及び5%のCO2において7日間増殖させた。遠心分離及びその後のろ過(0.2μmフィルター)によって、上清を収穫した。
抗体を、洗浄緩衝液としてダルベッコPBS(Lonza BE17-512Q)及び溶出緩衝液としてpH3.5の0.1Mグリシンを用いたMabSelect(TM) SuRe(TM)を使用して精製した。その後に、ランニングバッファーとして最終緩衝液を使用したHiLoad Superdex 200pgカラムにおいてサイズ排除クロマトグラフィを実施した。
Agilent AdvanceBio SECカラム(300A 2.7μm 7.8×300mm)と、ランニングバッファーとして0.8ml/分のDPBSとを用いた分析的サイズ排除クロマトグラフィによって単量体性を特定した。驚くことに、M1の単量体性は>95%であり、凝集が<5%のみであることを示した。当該タンパク質の高い単量体性は、例外的特性であり、その製造を支援するはずである。
親和性測定
Octet BLIベースの分析
抗体は、標的に対して高い親和性を有する。生体分子間相互作用解析に基づくバイオレイヤー干渉法(BLI)プラットフォームであるOctet機器(Octet BMIA)を使用して、結合親和性測定を実施した。当該アッセイを確立するために、標的モノクローナル抗体(PBS中における30μg/ml)を、抗マウスIgG Fc捕捉(AMC)バイオセンサー又は抗ヒトIgG Fc捕捉(AMC)バイオセンサーによって、Fcにより固定化し、150nMでの抗原ヒトIGFBP3(R&D社、カタログn°675 B3)との相互作用を測定した。
Octet BLIベースの分析
抗体は、標的に対して高い親和性を有する。生体分子間相互作用解析に基づくバイオレイヤー干渉法(BLI)プラットフォームであるOctet機器(Octet BMIA)を使用して、結合親和性測定を実施した。当該アッセイを確立するために、標的モノクローナル抗体(PBS中における30μg/ml)を、抗マウスIgG Fc捕捉(AMC)バイオセンサー又は抗ヒトIgG Fc捕捉(AMC)バイオセンサーによって、Fcにより固定化し、150nMでの抗原ヒトIGFBP3(R&D社、カタログn°675 B3)との相互作用を測定した。
標的ヒトIGFBP3に対する抗IGFBP3 mAbの親和性測定を、Table 1(表2)において報告する。
9つの新規の抗IGFBP3抗体の配列を下記のTable 2~5(表3~8)において報告する。
Table 4及び5(表7及び8)において定義される完全VH及びVLアミノ酸配列に基づいて、http://www.abysis.org/から注釈ツールを使用することにより、CDRの定義が提供される。
例えば、本明細書において開示される任意の抗体のVHアミノ酸配列は、当該注釈ツールにつながれており、Kabat定義されたCDR配列、又はIMGT、又はChothia、又はAbM、又はContact定義されたCDR配列が提供される。「All, side by side」機能を使用することにより、定義されたCDR配列が提供される。以下の例は、配列番号36及び45に基づいている。
(実施例2)
ハイブリドーマによって産生された抗IGFBP3 mAbはIGFBP3-TMEM219結合を阻害する
ハイブリドーマを使用して生成された新規の抗IGFBP3モノクローナル抗体を、IGFBP3との相互作用に対してecto-TMEM219と競合するその能力に対して、競合的ELISA結合アッセイを使用してスクリーニングした。IGFBP3、ecto-TMEM219、及び利用可能な抗体は、全て1:1比において使用した。抗IGFBP3 mAbは、IGFBP3-Ecto-TMEM219を阻害することができた(図1)。このことは、本発明の抗IGFBP3 mAbが、天然のTMEM219受容体へのIGFBP3の結合を阻害し得ること、及びecto-TMEM219タンパク質の中和活性を模倣し得ることを実証している。
ハイブリドーマによって産生された抗IGFBP3 mAbはIGFBP3-TMEM219結合を阻害する
ハイブリドーマを使用して生成された新規の抗IGFBP3モノクローナル抗体を、IGFBP3との相互作用に対してecto-TMEM219と競合するその能力に対して、競合的ELISA結合アッセイを使用してスクリーニングした。IGFBP3、ecto-TMEM219、及び利用可能な抗体は、全て1:1比において使用した。抗IGFBP3 mAbは、IGFBP3-Ecto-TMEM219を阻害することができた(図1)。このことは、本発明の抗IGFBP3 mAbが、天然のTMEM219受容体へのIGFBP3の結合を阻害し得ること、及びecto-TMEM219タンパク質の中和活性を模倣し得ることを実証している。
新たに生成されたモノクローナル抗IGFBP3抗体は、ヒトにおけるミニ腸アッセイにおいてIGFBP3損傷をレスキューする
新たに生成されたモノクローナル抗体は、ミニ腸アッセイにおいても試験した。簡潔に説明すると、健康な対照(n=3)から得られた陰窩からミニ腸を生成し、IGFBP3の存在下において8日間培養し、1:1の比率(mAb/ecto-TMEM219:IGFBP3)においてecto-TMEM219又は新たに生成した抗IGFBP3 mAbのどちらかを用いて処理した。
新たに生成されたモノクローナル抗体は、ミニ腸アッセイにおいても試験した。簡潔に説明すると、健康な対照(n=3)から得られた陰窩からミニ腸を生成し、IGFBP3の存在下において8日間培養し、1:1の比率(mAb/ecto-TMEM219:IGFBP3)においてecto-TMEM219又は新たに生成した抗IGFBP3 mAbのどちらかを用いて処理した。
発明者らは、抗IGFBP3 mAbが、自己再生能力に対するIGFBP3の負の効果をレスキューすること(%発達)、及び大きな陰窩オルガノイドのモルホロジー(陰窩ドメインの不在、小さいスフェロイドの生成)においてecto-TMEM219に匹敵することを観察した(図2)。このことは、本発明の抗IGFBP3 mAbが、TMEM219へのIGFBP3の結合を防ぐことにより腸幹細胞(ISC)損傷疾患状態におけるミニ腸成長をレスキューするecto-TMEM219の能力を模倣することを実証している。
新たに生成したモノクローナル抗IGFBP3抗体は、ISCマーカーにおけるIGFBP3損傷をレスキューする
IGFBP3曝露におけるミニ腸の発達を促進することにおいて有効であることが示された、新たに生成された抗IGFBP3 mAbは、ISCマーカーであるEphB2及びLGR5の発現を回復することもできた(図3)。ISCに対するIGFBP3有害効果は、カスパーゼ8が媒介する。抗IGFBP3 mAbは、IGFBP3処置によって誘導されるカスパーゼ8上方制御を阻害することができ、更に、それが、IGFBP3/TMEM219カスパーゼ8媒介性アポトーシス傷害を遮断することによって、ISCプールに対する予防効果を発揮することを示唆していた(図4)。
IGFBP3曝露におけるミニ腸の発達を促進することにおいて有効であることが示された、新たに生成された抗IGFBP3 mAbは、ISCマーカーであるEphB2及びLGR5の発現を回復することもできた(図3)。ISCに対するIGFBP3有害効果は、カスパーゼ8が媒介する。抗IGFBP3 mAbは、IGFBP3処置によって誘導されるカスパーゼ8上方制御を阻害することができ、更に、それが、IGFBP3/TMEM219カスパーゼ8媒介性アポトーシス傷害を遮断することによって、ISCプールに対する予防効果を発揮することを示唆していた(図4)。
新たに発見された抗IGFBP3抗体は疾患モデルにおけるミニ腸成長をレスキューする
新たに発見されたモノクローナル抗IGFBP3抗体が、TMEM219を発現する腸幹細胞に対するIGFBP3の有害効果を防ぐことを確認するために、発明者らは更に、IBD患者から得られたミニ腸においてインビトロにてそれらを試験した。
新たに発見されたモノクローナル抗IGFBP3抗体が、TMEM219を発現する腸幹細胞に対するIGFBP3の有害効果を防ぐことを確認するために、発明者らは更に、IBD患者から得られたミニ腸においてインビトロにてそれらを試験した。
当該新規の抗IGFBP3 mAbは、Ecto-TMEM219処置と同様に、少なくとも20%のIBD患者からのミニ腸の発達を著しく改善した(図5)。
これは、IGFBP3へのecto-TMEMの結合を競合的に阻害する能力のために選択された本発明の抗IGFBP3 mAbは、ISC機能をレスキューすることができ、IGFBP3有害効果からISCプールを保護することを際立たせる。
新たに生成したモノクローナル抗IGFBP3抗体はマウスのミニ腸におけるIGFBP3損傷をレスキューする
陰窩単離及びマウスのミニ腸発達
本発明の抗体が、ヒト組織に関してマウス組織において類似の組織交差反応性プロファイルを有することを確認するために、発明者らは、マウス陰窩でのインビトロミニ腸アッセイにおいて、本発明のモノクローナル抗IGFBP3抗体を更に試験した。陰窩は、対照マウス(n=3)(632C57BL/6J Charles River Laboratories社、リヨン、フランス)から得た。
陰窩単離及びマウスのミニ腸発達
本発明の抗体が、ヒト組織に関してマウス組織において類似の組織交差反応性プロファイルを有することを確認するために、発明者らは、マウス陰窩でのインビトロミニ腸アッセイにおいて、本発明のモノクローナル抗IGFBP3抗体を更に試験した。陰窩は、対照マウス(n=3)(632C57BL/6J Charles River Laboratories社、リヨン、フランス)から得た。
大きな陰窩オルガノイド、すなわち、ミニ腸を生成するために、単離した陰窩を、ecto-TMEM219の有無においてIGFBP3の存在下で8日間培養した。新たに生成した抗IGFBP3 mAbを、1:1の比率(mAb/ecto-TMEM219:IGFBP3)において0日目に加えた。8日後に、播種された単離陰窩と比較して、ミニ腸発達をオルガノイド成長の割合として計算した(D'Addio Fら Cell Stem Cell 2015 October 1; 17(4): 486-498)。
図6に示されるように、抗IGFBP3 mAbは、ecto-TMEM219において観察されるものと同様に、マウスのミニ腸の自己再生能力(%発達)に対するIGFBP3の負の効果及び大きな陰窩オルガノイドのモルホロジー(陰窩ドメインの不在、小さいスフェロイドの生成)をレスキューする。
新たに生成したモノクローナル抗IGFBP3抗体はヒトβ細胞におけるカスパーゼ8のIGFBP3媒介性過剰発現を阻害する
ヒトβ細胞に対するIGFBP3有害効果は、カスパーゼ8が媒介する。興味深いことに、新たに発見された抗IGFBP3 mAbは、IGFBP3のみによって処置された試料と比較した場合、IGFBP3処置によって誘導されたカスパーゼ8上方制御を、少なくとも50%阻害することができた(図7)。
ヒトβ細胞に対するIGFBP3有害効果は、カスパーゼ8が媒介する。興味深いことに、新たに発見された抗IGFBP3 mAbは、IGFBP3のみによって処置された試料と比較した場合、IGFBP3処置によって誘導されたカスパーゼ8上方制御を、少なくとも50%阻害することができた(図7)。
これらの結果は、発見された抗IGFBP3 mAbは、IGFBP3/TMEM219カスパーゼ8媒介性アポトーシス傷害を遮断することによって、ヒトβ細胞に対する保護的効果を発揮することを示唆している。
(実施例3)
新たに生成したモノクローナル抗IGFBP3抗体はヒトにおけるミニ腸アッセイにおいてIGFBP3損傷をレスキューする
抗IGFBP3モノクローナル抗体を、ミニ腸アッセイにおいて試験した。簡潔に説明すると、健康な対照(n=3)から得られた陰窩からミニ腸を生成し、IGFBP3曝露の下で8日間培養し、1:1の比率(mAb:IGFBP3)において抗IGFBP3 mAbで処理した。本発明者らは、8つのmAbの中で、E08及びE20は、IGFBP3の存在下での大きな陰窩オルガノイドの自己再生能力をレスキューすることにおいてecto-TMEM219に匹敵し、したがって、局所幹細胞に対するIGFBP3媒介性損傷を防ぐ関連効果を支援することを観察した(図8)。
新たに生成したモノクローナル抗IGFBP3抗体はヒトにおけるミニ腸アッセイにおいてIGFBP3損傷をレスキューする
抗IGFBP3モノクローナル抗体を、ミニ腸アッセイにおいて試験した。簡潔に説明すると、健康な対照(n=3)から得られた陰窩からミニ腸を生成し、IGFBP3曝露の下で8日間培養し、1:1の比率(mAb:IGFBP3)において抗IGFBP3 mAbで処理した。本発明者らは、8つのmAbの中で、E08及びE20は、IGFBP3の存在下での大きな陰窩オルガノイドの自己再生能力をレスキューすることにおいてecto-TMEM219に匹敵し、したがって、局所幹細胞に対するIGFBP3媒介性損傷を防ぐ関連効果を支援することを観察した(図8)。
新たに生成したモノクローナル抗IGFBP3抗体はISCマーカーにおけるIGFBP3損傷をレスキューする
ミニ腸発達を促進することにおいて有効であることが示された抗IGFBP3 mAbは、ISCマーカーであるEphB2及びLGR5の発現を回復することもできる(図9)。この効果は、カスパーゼ8の発現がE08及びE20への曝露の際に下方制御されるため、カスパーゼ8媒介性であり、更に、これらの抗IGFBP3 mAbがIGFBP3/TMEM219カスパーゼ8媒介性アポトーシス傷害を遮断することによってISCプールに対する予防効果を発揮することを支援する(図10)。
ミニ腸発達を促進することにおいて有効であることが示された抗IGFBP3 mAbは、ISCマーカーであるEphB2及びLGR5の発現を回復することもできる(図9)。この効果は、カスパーゼ8の発現がE08及びE20への曝露の際に下方制御されるため、カスパーゼ8媒介性であり、更に、これらの抗IGFBP3 mAbがIGFBP3/TMEM219カスパーゼ8媒介性アポトーシス傷害を遮断することによってISCプールに対する予防効果を発揮することを支援する(図10)。
新たに生成したモノクローナル抗IGFBP3抗体はマウスのミニ腸におけるIGFBP3損傷をレスキューする
陰窩単離及びマウスのミニ腸発達
本発明の抗体が、ヒト組織に関してマウス組織において類似の組織交差反応性プロファイルを有することを確認するために、本発明者らは更に、マウス陰窩でのインビトロミニ腸アッセイにおいて、本発明のモノクローナル抗IGFBP3抗体を試験した。陰窩は、対照マウス(n=3)(632C57BL/6J Charles River Laboratories社、リヨン、フランス)から得た。
陰窩単離及びマウスのミニ腸発達
本発明の抗体が、ヒト組織に関してマウス組織において類似の組織交差反応性プロファイルを有することを確認するために、本発明者らは更に、マウス陰窩でのインビトロミニ腸アッセイにおいて、本発明のモノクローナル抗IGFBP3抗体を試験した。陰窩は、対照マウス(n=3)(632C57BL/6J Charles River Laboratories社、リヨン、フランス)から得た。
大きな陰窩オルガノイド、すなわち、ミニ腸を生成するために、単離した陰窩を、ecto-TMEM219の有無においてIGFBP3の存在下で8日間、培養した。新たに生成した抗IGFBP3 mAbを、1:1の比率(mAb/ecto-TMEM219:IGFBP3)において0日目に加えた。8日後に、播種された単離陰窩と比較して、ミニ腸発達をオルガノイド成長の割合として計算した(D'Addio FらCell Stem Cell 2015 October 1;17(4):486-498)。
図11に示されるように、抗体E08は、IGFBP3の存在下においてミニ腸成長をレスキューし、さらなる試験のための関連候補である。
抗IGFBP3 mAbはインビトロにおいてアポトーシスからβ細胞系を保護する
抗IGFBP3 mAbが膵臓内においてTMEM219発現細胞に対するIGFBP3のアポトーシス促進効果を防ぐことを確認するために、発明者らは更に、ヒトβ細胞系Betalox-5においてインビトロにてそれらを試験した。プールされたT1D血清へのβ細胞の曝露は、CASP8発現を増加させ、抗IGFBP3 mAbであるE08は、この効果を相殺することができ、したがって、脾臓のβ細胞アポトーシスを防ぐ際の、新たに生成されたモノクローナル抗TMEM219抗体の有益効果を支援することができる(図12)。
抗IGFBP3 mAbが膵臓内においてTMEM219発現細胞に対するIGFBP3のアポトーシス促進効果を防ぐことを確認するために、発明者らは更に、ヒトβ細胞系Betalox-5においてインビトロにてそれらを試験した。プールされたT1D血清へのβ細胞の曝露は、CASP8発現を増加させ、抗IGFBP3 mAbであるE08は、この効果を相殺することができ、したがって、脾臓のβ細胞アポトーシスを防ぐ際の、新たに生成されたモノクローナル抗TMEM219抗体の有益効果を支援することができる(図12)。
(実施例3)
T1Dマウスモデル
図14に示されるように、本発明者らは、新たに生成した抗IGFBP3 mAbの10日間の投与が、NODマウス、すなわち、自己免疫性1型糖尿病(T1D)を研究するために選別されたマウスモデルにおいて臨床糖尿病発症を防ぎ得るか否かを評価した。腹腔内投与された抗IGFBP3 mAbは、経時において血糖値を制御下に維持し、T1D NODマウスモデルにおいて糖尿病の発症を遅延させ、この場合、未処置の対照の50%と比較して、処置されたマウスの80%は、24週において糖尿病を発症しなかった。
T1Dマウスモデル
図14に示されるように、本発明者らは、新たに生成した抗IGFBP3 mAbの10日間の投与が、NODマウス、すなわち、自己免疫性1型糖尿病(T1D)を研究するために選別されたマウスモデルにおいて臨床糖尿病発症を防ぎ得るか否かを評価した。腹腔内投与された抗IGFBP3 mAbは、経時において血糖値を制御下に維持し、T1D NODマウスモデルにおいて糖尿病の発症を遅延させ、この場合、未処置の対照の50%と比較して、処置されたマウスの80%は、24週において糖尿病を発症しなかった。
次に、未処置のマウスM1S及びEcto-TMEM処置群からのNODマウスの脾臓組織片を、24週齢において分析し、膵島浸潤の低減を実証し、この場合、未処置の対照と比較して、インスリン陽性細胞の検出がわずかに増加した(図15)。
参照による組み入れ
本願において列記された全ての刊行物、特許、特許出願、及び他の文献は、それぞれ個々の刊行物、特許、特許出願、又は他の文が、全ての目的のために参照により組み入れられることが個別に示されているのと同程度に、全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
本願において列記された全ての刊行物、特許、特許出願、及び他の文献は、それぞれ個々の刊行物、特許、特許出願、又は他の文が、全ての目的のために参照により組み入れられることが個別に示されているのと同程度に、全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
同等物
様々な特定の実施形態を例示し説明したが、上記の明細書は制限されない。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更を為すことができることは理解されるであろう。本明細書を検討する際に、多くの変更例が当業者に明らかとなるであろう。
様々な特定の実施形態を例示し説明したが、上記の明細書は制限されない。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更を為すことができることは理解されるであろう。本明細書を検討する際に、多くの変更例が当業者に明らかとなるであろう。
Claims (20)
1.1×10-9M以下の親和性定数でヒトIGFBP3に結合し、TMEM219へのIGFBP3の結合を阻害又は低減する、単離された抗体又はその抗原結合性断片。
IGFBP3によって誘導されるTMEM219受容体の活性化を阻害、低減、又は中和する、請求項1に記載の単離された抗体又はその抗原結合性断片。
インビボモデルにおける血糖値の制御において有効である、請求項1又は2に記載の単離された抗体又はその抗原結合性断片。
a-IGFBP3で処置された健康な対象のミニ腸成長の増加;
b-IBD患者のミニ腸成長の増加;
c-糖尿病性腸疾患血清で処置された健康な対象のミニ腸成長の増加;
d-IGFBP3で処置された健康な対象のミニ腸におけるEphB2及び/又はLGR5の発現の増加;
e-IGFBP3で処置された健康な対象のミニ腸におけるカスパーゼ8発現の減少;
f-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるβ細胞喪失の減少;
g-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるインスリンの発現の増加;及び
h-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるβ細胞のアポトーシスの減少;
i-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるカスパーゼ8発現の減少;
j-糖尿病の動物モデルにおける膵島炎スコアの減少;
k-糖尿病の動物モデルにおける糖尿病の発症の減少
から選択される少なくとも1つの活性を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合性断片。
b-IBD患者のミニ腸成長の増加;
c-糖尿病性腸疾患血清で処置された健康な対象のミニ腸成長の増加;
d-IGFBP3で処置された健康な対象のミニ腸におけるEphB2及び/又はLGR5の発現の増加;
e-IGFBP3で処置された健康な対象のミニ腸におけるカスパーゼ8発現の減少;
f-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるβ細胞喪失の減少;
g-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるインスリンの発現の増加;及び
h-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるβ細胞のアポトーシスの減少;
i-IGFBP3で処置されたβ細胞におけるカスパーゼ8発現の減少;
j-糖尿病の動物モデルにおける膵島炎スコアの減少;
k-糖尿病の動物モデルにおける糖尿病の発症の減少
から選択される少なくとも1つの活性を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合性断片。
a)、b)、及びc)における増加が、少なくとも20%であり;d)及びe)における増加が、少なくとも50%であり;f)における減少及びg)における増加が、少なくとも10%である、請求項4に記載の単離された抗体又はその抗原結合性断片。
a.以下を含む重鎖可変ドメイン(VH):
i.配列番号1、4、7、若しくは9からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR1配列;
ii.配列番号2、5、8、若しくは10からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR2配列;及び
iii.配列番号3、6、若しくは11からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR3配列;並びに/又は
b.以下を含む軽鎖可変ドメイン(VL):
i.配列番号12、15、17、20、23、25、若しくは27からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR1配列;
ii.配列番号13、18、若しくは21からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR2配列;及び
iii.配列番号14、16、19、22、24、若しくは26からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR3配列
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合性断片。
i.配列番号1、4、7、若しくは9からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR1配列;
ii.配列番号2、5、8、若しくは10からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR2配列;及び
iii.配列番号3、6、若しくは11からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR3配列;並びに/又は
b.以下を含む軽鎖可変ドメイン(VL):
i.配列番号12、15、17、20、23、25、若しくは27からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR1配列;
ii.配列番号13、18、若しくは21からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR2配列;及び
iii.配列番号14、16、19、22、24、若しくは26からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR3配列
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合性断片。
Table 3.1(表5、6)を含むTable 2(表3)及び/又はTable 3(表4)に示されるCDRを含む、請求項6に記載の単離された抗体又はその抗原結合性断片。
- 配列番号9及び配列番号10及び配列番号11及び配列番号27及び配列番号18及び配列番号26又はM1のKabat、IMGT、Chothia、AbM、若しくはContact CDR、或いは
- 配列番号4及び配列番号5及び配列番号6及び配列番号12及び配列番号13及び配列番号14又はE08のKabat、IMGT、Chothia、AbM、若しくはContact CDR、或いは
- 配列番号4及び配列番号5及び配列番号6及び配列番号23及び配列番号18及び配列番号24又はE20のKabat、IMGT、Chothia、AbM、若しくはContact CDR
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合性断片。
- 配列番号4及び配列番号5及び配列番号6及び配列番号12及び配列番号13及び配列番号14又はE08のKabat、IMGT、Chothia、AbM、若しくはContact CDR、或いは
- 配列番号4及び配列番号5及び配列番号6及び配列番号23及び配列番号18及び配列番号24又はE20のKabat、IMGT、Chothia、AbM、若しくはContact CDR
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合性断片。
a.以下を含む重鎖可変ドメイン(VH):
i.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR1配列;
ii.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR2配列;及び
iii.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR3配列;並びに/又は
b.以下を含む軽鎖可変ドメイン(VL):
i.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR1配列;
ii.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR2配列;及び
iii.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR3配列
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合性断片。
i.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR1配列;
ii.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR2配列;及び
iii.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR3配列;並びに/又は
b.以下を含む軽鎖可変ドメイン(VL):
i.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR1配列;
ii.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR2配列;及び
iii.abysisツール解析(www.abysis.org)を使用して定義される配列からなる群から選択されるアミノ酸配列のCDR3配列
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合性断片。
a.配列番号28から配列番号36からなる群から選択されるアミノ酸配列の重鎖可変ドメイン配列;又は
b.配列番号37から配列番号45からなる群から選択されるアミノ酸配列の軽鎖可変ドメイン配列;又は
c.(a)の軽鎖可変ドメイン及び(b)の重鎖可変ドメイン
を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合性断片。
b.配列番号37から配列番号45からなる群から選択されるアミノ酸配列の軽鎖可変ドメイン配列;又は
c.(a)の軽鎖可変ドメイン及び(b)の重鎖可変ドメイン
を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合性断片。
Table 2~7(表3~10)において報告される、抗体E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1、又はそれらの抗原結合性断片である、請求項1から10のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合性断片。
(a)IGFBP3上のエピトープ、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含むモノクローナル抗体E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1によって認識されるエピトープと同じ若しくは類似のエピトープに特異的に結合する;又は
(b)Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含むモノクローナル抗体E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1との結合に対して交差競合する;又は
(c)Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含むE01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1のいずれかと同じ若しくは類似の結合親和性若しくは特異性若しくはその両方を示す;又は
(d)本明細書に記載される抗体分子、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含む、例えば、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1のいずれかから選択される抗体分子の1つ若しくは複数の生物学的特性を有する;又は
(e)本明細書に記載される抗体分子、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含む、例えば、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1のいずれかから選択される抗体分子の1つ若しくは複数の薬物動態特性を有する、
単離された抗体又はその抗原結合性断片。
(b)Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含むモノクローナル抗体E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1との結合に対して交差競合する;又は
(c)Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含むE01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1のいずれかと同じ若しくは類似の結合親和性若しくは特異性若しくはその両方を示す;又は
(d)本明細書に記載される抗体分子、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含む、例えば、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1のいずれかから選択される抗体分子の1つ若しくは複数の生物学的特性を有する;又は
(e)本明細書に記載される抗体分子、例えば、Table 2~7(表3~10)において定義される配列を含む、例えば、E01、E02、E08、E14、E19、E20、E23、E24、若しくはM1のいずれかから選択される抗体分子の1つ若しくは複数の薬物動態特性を有する、
単離された抗体又はその抗原結合性断片。
ヒト抗体又はヒト化抗体である、請求項1から12のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合性断片。
IgG2又はIgG4抗体、好ましくは、IgG2κ抗体、IgG2λ抗体、IgG4κ抗体、又はIgG4λ抗体であり、好ましくは、前記IgG2又はIgG4は、ヒトIgG2又はヒトIgG4である、請求項1から13のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合性断片。
好ましくはcDNAである、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合性断片をコードする少なくとも1つの配列を含む単離されたポリヌクレオチド。
好ましくは、プラスミド、ウイルスベクター、非エピソーム性哺乳動物ベクター、発現ベクター、及び組換え発現ベクターからなる群から選択される、請求項15に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
好ましくは、ハイブリドーマ又はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はヒト胚性腎臓細胞(HEK293)である、請求項15に記載のポリヌクレオチド又は請求項16に記載のベクターを含む単離された細胞。
医薬としての使用のため、好ましくは、糖尿病、腸管及び/又は腸障害、吸収不良症候群、悪液質、又は糖尿病性腸疾患の処置における使用のためであって、好ましくは、糖尿病が、I型又はII型糖尿病であり、好ましくは、腸管及び/又は腸障害が、炎症性腸疾患、セリアック病、潰瘍性大腸炎、クローン病、又は腸閉塞である、使用のための、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合性断片又は請求項15に記載のポリヌクレオチド又は請求項16に記載のベクター又は請求項17に記載の細胞。
好ましくは、糖尿病、腸管及び/又は腸障害、吸収不良症候群、悪液質、又は糖尿病性腸疾患の処置における使用のためであって、好ましくは、腸管及び/又は腸障害が、炎症性腸疾患、セリアック病、潰瘍性大腸炎、クローン病、又は腸閉塞である、使用のための、請求項1から18のいずれか一項に記載の単離された抗体若しくはその抗原結合性断片又は単離されたポリヌクレオチド又はベクター又は細胞と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
TMEM219受容体へのIGFBP3の結合を阻害する方法であって、IGFBP3を請求項1から14又は19のいずれか一項に記載の抗体又は組成物と接触させる工程を含む方法。
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