JP2023501386A - 肝障害の治療 - Google Patents

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Abstract

本明細書において、患者において、これに限定されるものではないが、非アルコール性脂肪性肝炎ならびにその症状および兆候を含めた、肝障害を治療するための方法および組成物が提供される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2019年11月8日に出願された米国仮出願第62/933,277号、および2020年4月2日に出願された米国仮出願第63/004,403号に対する優先権を主張し、これらの各内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、患者の肝障害を治療するための方法および組成物に関する。
脂肪肝疾患(FLD)は、しばしば炎症を伴う肝臓における脂肪の過剰な蓄積を特徴とする一連の病状を包含する。FLDは、インスリン抵抗性を特徴とし得る非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を引き起こす可能性がある。治療を行わない場合、NAFLDは、持続性の炎症反応、または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、進行性肝線維症、そして最終的には肝硬変に進行する可能性がある。ヨーロッパと米国では、NAFLDは、肝移植の2番目に多い理由である。したがって、治療の必要性は急務であるが、患者に明らかな症状がないために、患者は、治療計画、特に注射薬、1日に何度も投与される薬、または危険なまたは刺激のある副作用を引き起こすものなどの厄介な治療計画、を維持する動機を欠く可能性がある。現在、NASHの承認された治療法はない。
本明細書において、治療有効量の式(I):
Figure 2023501386000002
(I)
の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする患者における肝障害を治療する方法であって、肝障害が、肝炎症、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から選択される、方法が提供される。
また本明細書において、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストを用いて、それを必要とする患者における肝障害を治療する方法であって、方法が、治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、FXRアゴニストが、式(I):
Figure 2023501386000003
(I)
の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、患者が、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩以外の別のFXRアゴニストによる1つ以上の以前の治療を中止しており、肝障害が、肝炎症、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から選択される、方法が提供される。いくつかの実施形態において、患者は、1つ以上の以前の治療中に掻痒を患っていた。
また本明細書において、治療有効量の式(I):
Figure 2023501386000004
(I)
の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする患者において、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)から非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)への進行を阻害または遅延させる方法が提供される。
また本明細書において、治療有効量の式(I):
Figure 2023501386000005
(I)
の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする患者において、NASHの進行を阻害または遅延させる方法が提供される。
また本明細書において、腎臓、肺、心臓、および皮膚組織のうちの1つ以上よりも肝臓組織に優先的に集まるファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストを用いて、それを必要とする患者における肝障害を治療する方法であって、方法が、治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、FXRアゴニストが、式(I):
Figure 2023501386000006
(I)
の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、肝障害が、肝炎症、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から選択される、方法が提供される。
いくつかの実施形態において、投与は、重症度がグレード2を超える掻痒を患者にもたらさない。いくつかの実施形態において、投与は、重症度がグレード1を超える掻痒を患者にもたらさない。いくつかの実施形態において、投与は、患者に掻痒をもたらさない。
また本明細書において、FXRアゴニストを用いて、それを必要とする患者に検出可能な掻痒をもたらさずに肝障害を治療する方法であって、方法が、治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、FXRアゴニストが、式(I):
Figure 2023501386000007
(I)
の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、肝障害が、肝炎症、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から選択される、方法が提供される。
いくつかの実施形態において、肝障害は、NAFLDである。いくつかの実施形態において、肝障害は、NASHである。いくつかの実施形態において、肝障害はPSCである。いくつかの実施形態において、肝障害はPBCである。
いくつかの実施形態において、投与によって、式(I)の化合物の、血漿濃度に対する肝臓濃度の比率が、10以上になる。
いくつかの実施形態において、治療有効量は、0.5μg/日~600mg/日である。いくつかの実施形態において、治療的有効量は、0.5μg/日~20mg/日である。いくつかの実施形態において、治療的有効量は、0.5μg/日~4mg/日である。
いくつかの実施形態において、投与は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、1週間以上の治療期間にわたって毎日投与することを含む。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、1日1回または1日2回投与される。いくつかの実施形態において、治療期間の1日目に投与される式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、その後の治療期間のすべての日に投与される量と同じかそれ以上である。いくつかの実施形態において、治療期間の1日目に投与される式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、その後の治療期間のすべての日に投与される量と同じである。いくつかの実施形態において、治療期間は1ヶ月以上である。いくつかの実施形態において、治療期間は、患者の残りの生涯の間である。
いくつかの実施形態において、患者は肥満である。いくつかの実施形態において、患者は肥満でない。いくつかの実施形態において、患者は、糖尿病(真性)および/または心血管障害も有する。いくつかの実施形態において、患者は、腎臓、肺、心臓、および皮膚の1つ以上に影響を与える有害作用を発症するリスクがある。いくつかの実施形態において、患者は2~17歳である。いくつかの実施形態において、患者は18~54歳である。いくつかの実施形態において、患者は65歳以上である。いくつかの実施形態において、患者は肝移植を受けている。いくつかの実施形態において、患者の、アルカリホスファターゼ、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、および/またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)のレベルは上昇している。
いくつかの実施形態において、この方法は、抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤、ステロイド、リファンピシン、オピオイド拮抗薬、または選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を投与することを含まない。
いくつかの実施形態において、患者のNASスコアは、投与時に低下する。いくつかの実施形態において、TGR5シグナル伝達は、投与時に活性化されない。
いくつかの実施形態において、投与は、線維症のマーカーの発現レベルの低下をもたらす。いくつかの実施形態において、Ccr2、Col1a1、Col1a2、Col1a3、Cxcr3、Dcn、Hgf、Il1a、Inhbe、Lox、Loxl1、Loxl2、Loxl3、Mmp2、Pdgfb、Plau、Serpine1、Perpinh1、Snai、Tgfb1、Tgfb3、Thbs1、Thbs2、Timp2、および/またはTimp3の発現レベルが低下する。
いくつかの実施形態において、投与は、肝炎症のマーカーの発現レベルの低下をもたらす。いくつかの実施形態において、Adgre1、Ccr2、Ccr5、Il1A、および/またはTlr4のレベルが低下する。
図1Aは、ラット(1mg/kg)、イヌ(1mg/kg)、およびサル(0.3mg/kg)への静脈内(IV)投与後の様々な時点での化合物Iの血漿濃度を示す。
図1Bは、マウス(10mg/kg)、ラット(10mg/kg)、イヌ(3mg/kg)、およびサル(5mg/kg)への経口投与後の様々な時点での化合物Iの血漿濃度を示す。
図2Aは、Sprague-Dawley(SD)ラットへの2mg/kgのIV投与後の、化合物I、オベチコール酸(OCA)、シロフェキソール(cilofexor)、またはトロピフェキソール(tropifexor)の濃度の、血漿に対する肝臓の比率を示す。
図2Bは、リファンピシンの共投与の有無における、SDラットへの化合物Iの2mg/kgのIV投与後の、腎臓、肺、および肝臓に対する、化合物Iの濃度の、血漿に対する組織の比率を示す。
図3は、Long-Evansラットへの化合物Iの5mg/kgの経口投与後の、血漿、肝臓、小腸、盲腸、腎臓、肺、心臓、および皮膚における、放射性標識された化合物Iの組織分布を示している。
図4は、カニクイザルへの、0.3mg/kg、1mg/kg、または5mg/kgの経口用量の投与後の、7α-ヒドロキシ-4-コレステン-3-オン(7α-C4)によって測定される、化合物Iの投与の薬力学を示す。。
図5Aは、カニクイザルに1mg/kgの経口用量を1日投与した後、または7日間連続して毎日投与した後の、化合物Iの投与の薬物動態を示している。
図5Bは、カニクイザルに1mg/kgの経口用量を1日投与した後、または7日間連続して毎日投与した後の、7α-ヒドロキシ-4-コレステン-3-オン(7α-C4)によって測定される、化合物Iの投与の薬力学を示す。
図6は、C5BL/6マウスに、10mg/kgの化合物I、30mg/kgのOCA、またはビヒクル対照を投与した後の、肝臓SHP1、肝臓OSTb、回腸SHP1、および回腸FGF15の、RNA発現を測定して得られる、RT-qPCRの結果を示す。
図7Aは、C5BL/6マウスに、10mg/kgの化合物I(合計500個の遺伝子が調節された)、または30mg/kgのOCA(合計44個の遺伝子が調節された)の投与によって調節された、発現変動遺伝子(対ビヒクル処置:倍数変化が>1.5倍;p<0.05)の数、および、両方の化合物によって調節された、発現変動遺伝子(合計37個の遺伝子)の共有の数、を示す。
図7Bは、10mg/kgの化合物I、または30mg/kgのOCA、またはビヒクル対照で処置された、C5BL/6マウスにおける選択されたFXR関連遺伝子の平均発現レベル(CPM値によって示される)を示す。
図7Cは、10mg/kgの化合物I(32経路)、または30mg/kgのOCA(6経路)を、C5BL/6マウスに投与することによって濃縮された経路の数(p<0.05)、および、いずれかの化合物によって濃縮された経路(2経路)の数を示す。
図7Dは、10mg/kgの化合物IをC57BL/6マウスに投与したときに最も統計的に濃縮された25個の経路を示し、これらの経路の濃縮を30mg/kgのOCAを投与したときの濃縮と比較している。
図8は、NASHのマウスモデルに対する化合物Iの有効性を試験する研究の計画を示している。
図9は、対照マウス、および、10、30、および100mg/kgの化合物Iで処置されたマウスの、NAFLD活性スコア(NAS)を示す。
図10Aは、対照マウス、および、10、30、および100mg/kgの化合物Iで処置されたNASHマウスの、脂肪症スコアを示す。
図10Bは、対照マウス、および、10、30、および100mg/kgの化合物Iで処置されたNASHマウスの、炎症スコアを示す。
図10Cは、対照マウス、および、10、30、および100mg/kgの化合物Iで処置されたNASHマウスの、バルーニング(ballooning)スコアを示す。
図11Aは、対照マウス、および、100mg/kgの化合物Iで処置されたNASHマウスの、線維症の組織学的切片を示す。
図11Bは、対照マウス、および、10、30、および100mg/kgの化合物Iで処置されたNASHマウスの、線維症の量を示す。
図12Aは、対照マウス、および、10、30、および100mg/kgの化合物Iで処置されたNASHマウスの、血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを示す。
図12Bは、対照マウス、および、10、30、および100mg/kgの化合物Iで処置されたNASHマウスの、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)を示す。
図12Cは、対照マウス、および、10、30、および100mg/kgの化合物Iで処置されたNASHマウスの、血清トリグリセリドレベルを示す。
図12Dは、対照マウス、および、10、30、および100mg/kgの化合物Iで処置されたNASHマウスの、血清総コレステロールレベルを示す。
図13Aは、対照マウス、および、10、30、および100mg/kgの化合物Iで処置されたNASHマウスの、肝臓トリグリセリドレベルを示す。
図13Bは、対照マウス、および、100mg/kgの化合物Iで処置されたNASHマウスの、脂肪症評価の代表的な組織所見を示す。
図14Aは、対照マウス、および、10、30、および100mg/kgの化合物Iで処置されたNASHマウスの、肝臓におけるCOL1A発現を示す。
図14Bは、対照マウス、および、30mg/kgの化合物Iで処置されたNASHマウスの、炎症遺伝子の発現レベルを示す。
図14Cは、対照マウス、および、30mg/kgの化合物Iで処置されたNASHマウスの、線維症遺伝子の発現を示す。
図15Aは、1日目の、化合物Iの投与後の異なる投与群における化合物Iの平均血清濃度を示し、 図15Bは、7日目の、化合物Iの投与後の異なる投与群における化合物Iの平均血清濃度を示す。
図16Aは、1日目の、化合物Iまたはプラセボの投与後の異なる投与群における投与前ベースラインからの7α-C4の平均血清レベルの変化を示し、 図16Bは、7日目の、化合物Iまたはプラセボの投与後の異なる投与群における投与前ベースラインからの7α-C4の平均血清レベルの変化を示す。
図17Aは、1日目の、化合物Iまたはプラセボの投与後の異なる投与群における投与前ベースラインからのFGF-19の平均血清レベルの変化を示し、 図17Bは、7日目の、化合物Iまたはプラセボの投与後の異なる投与群における投与前ベースラインからのFGF-19の平均血清レベルの変化を示す。
図18は、化合物Iまたはプラセボの投与後の異なる投与群における投与前ベースラインからの低密度リポタンパク質(LDL)の平均血清レベルの変化を示す。
脂肪肝疾患(FLD)は、しばしば炎症を伴う肝臓における脂肪の過剰な蓄積を特徴とする一連の病状を包含する。FLDは、インスリン抵抗性を特徴とし得る非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を引き起こす可能性がある。治療を行わない場合、NAFLDは、持続性の炎症反応または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、進行性肝線維症、そして最終的には肝硬変に進行する可能性がある。
NAFLDおよびNASHなどの脂肪肝疾患は、しばしば無症状であるか、または症状が曖昧であり、患者によって定義することが困難であり得る。しかしながら、ヨーロッパと米国では、NAFLDが、肝移植の2番目に多い理由である。したがって、治療の必要性は急務であるが、患者に明らかな症状がないために、患者は、治療計画、特に注射薬や、1日に何度も投与される薬、または危険なまたは刺激のある副作用を引き起こすものなどの厄介な治療計画を維持する動機を欠く可能性がある。
ファルネソイド(Farnesoid)X受容体(FXR)は、コレステロールの胆汁酸への変換を制御し、複数の代謝経路の恒常性を維持する核ホルモン受容体であり、したがって、NASHの重要な臨床的標的と考えられている。しかしながら、シロフェキソール(cilofexor)、またはトロピフェキソール(tropifexor)、オベチコール酸(OCALIVA(登録商標))、およびED-305(エナンタ(Enanta))などのFXRアゴニストはすべて、副作用として掻痒(かゆみ)が報告されている。掻痒は、患者の不快感を引き起こし、患者の生活の質を低下させ、治療計画の順守に影響を与える可能性があり、これは、慢性的な薬物投与を必要とする状態で特に問題となる可能性がある。
本明細書において、それを必要とする患者において肝障害を治療するための方法および組成物が提供される。いくつかの実施形態において、治療は掻痒をもたらさない。いくつかの実施形態において、治療は、オベチコール酸(OCA)、シロフェキソール、またはトロピフェキソールからなる群から選択されるFXRアゴニストによる対応する治療に関するものよりももたらす掻痒が少ない。いくつかの実施形態において、この方法は、治療有効量の式(I):
Figure 2023501386000008
(I)
の化合物またはその薬学的に許容される塩またはエナンチオマーを患者に投与することを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、治療有効量の別の薬剤と組み合わせて、治療有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩またはエナンチオマーを患者に投与することを含む。式(I)の化合物は、米国特許US2010/0152166号に開示されており、その内容は、参照によりその全体が組み込まれ、特に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩またはエナンチオマー、および、それらを製造および使用する方法に関するものが組み込まれる。
特定の実施形態において、肝障害は、肝炎症、線維症、または脂肪性肝炎である。特定の実施形態において、肝障害は、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、NAFLD、およびNASHから選択される。いくつかの実施形態において、肝障害は、NASHである。いくつかの実施形態において、肝障害は、肝炎症である。いくつかの実施形態において、肝障害は、肝線維症である。いくつかの実施形態において、肝障害は、アルコール誘発性線維症である。いくつかの実施形態において、肝障害は、脂肪症である。いくつかの実施形態において、肝障害は、アルコール性脂肪症である。いくつかの実施形態において、肝障害は、NAFLDである。いくつかの実施形態において、肝障害は、原発性硬化性胆管炎(PSC)である。いくつかの実施形態において、肝障害は、原発性胆汁性肝硬変(PBC)である
NAFLDからNASHへの進行を阻害または遅延させる方法も本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、本明細書において、NASHの進行を阻害または遅延させる方法が提供される。NASHは、例えば、肝硬変、肝臓癌などの1つ以上に進行する可能性がある。
定義
本明細書において、特に断りのない限り、下記の定義が適用されるものとする。さらに、本明細書で使用される用語または記号が、下記において定義されていない場合、それは当技術分野においてその通常の意味を有するものとする。
「含む」とは、組成物および方法が記載された要素を含むが、他のものを除外しないことを意味することを意図する。組成物および方法を定義するために使用される場合、「本質的にからなる」とは、組み合わせにとって本質的に重要な他の要素を除外することを意味するものとする。例えば、本明細書で定義される要素から本質的になる組成物は、特許請求される発明の基本的かつ新規な特性に実質的に影響を及ぼさない他の要素を排除しないであろう。「からなる」とは、微量を超える量の、例えば、他の成分、および記載されている実質的な方法のステップ、を除外することを意味するものとする。これらの移行部の用語のそれぞれによって定義される実施形態は、本発明の範囲内である。
「組み合わせ療法」または「組み合わせ治療」は、治療における2つ以上の薬物または薬剤の使用を意味し、例えば、肝障害、例えば、NAFLD、NASH、およびそれらのそれぞれの症状と兆候、を治療するのに有用な第2の薬剤と一緒に、式(I)の化合物を使用することは、組み合わせ療法である。「組み合わせ」における投与は、両方の薬理学的効果が同時に患者に現れる任意の方法で、2つの薬剤(例えば、式(I)の化合物、および第2の薬剤)を投与することを意味する。したがって、組み合わせの投与は、単一の医薬組成物、同じ剤形、または同じ投与経路が、両方の薬剤の投与に使用されることを必要とせず、そして、2つの薬剤が正確に同時に投与されることを必要としない。両方の薬剤は、単一の薬学的に許容される組成物に製剤化することもできる。そのような単一の組成物としては、これに限定されるものではないが、例えば、経口組成物、または経口剤形である。例えば、限定されるものではないが、式(I)の化合物は、本開示にしたがって第2の薬剤との併用療法で投与され得ることが企図される。
本明細書において、「第2の薬剤」は、式(I)の化合物以外であって、本明細書に記載の方法において有用である、薬剤を意味する。第2との用語は、薬剤を式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩またはエナンチオマーと区別するための用語として意味するものであり、投与の順序を意味することを意図するものではない。
本明細書において、「賦形剤」との用語は、有効成分として本発明の化合物を含む錠剤などの薬物または医薬品の製造に使用され得る、不活性または非活性な物質を意味する。様々な物質を賦形剤との用語に含むことができ、これに限定されるものではないが、結合剤、崩壊剤、コーティング剤、圧縮/カプセル化助剤、クリームまたはローション、滑沢剤、非経口投与用の溶液、チュアブル錠の材料、甘味料または香料、懸濁剤/ゲル化剤、または湿潤造粒剤、として使用される物質が挙げられる。結合剤としては、例えば、カーボマー、ポビドン、キサンタンガムなどが挙げられ;コーティング剤としては、例えば、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、ジェランガム、マルトデキストリン、腸溶性コーティング剤などが挙げられ;圧縮/カプセル化助剤としては、例えば、炭酸カルシウム、デキストロース、フルクトースdc(dc=「直接圧縮可能」)、ハニーdc、ラクトース(無水物または一水和物;場合によりアスパルテーム、セルロース、または微結晶セルロースと組み合わせられる)、デンプンdc、スクロースなどが挙げられ;崩壊剤としては、例えば、クロスカルメロースナトリウム、ジェランガム、デンプングリコール酸ナトリウムなどが挙げられ;クリームまたはローションとしては、例えば、マルトデキストリン、カラギーナンなどが挙げられ;滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウムなどが挙げられ;チュアブル錠の材料としては、例えば、デキストロース、フルクトースdc、ラクトース(一水和物、場合によりアスパルテームまたはセルロースと組み合わせられる)などが挙げられ;懸濁剤/ゲル化剤としては、例えば、カラギーナン、デンプングリコール酸ナトリウム、キサンタンガムなどが挙げられ;甘味料としては、例えば、アスパルテーム、デキストロース、フルクトースdc、ソルビトール、スクロースdcなどが挙げられ;そして、湿潤造粒剤としては、例えば、炭酸カルシウム、マルトデキストリン、微結晶セルロースなどが挙げられる。
「患者」は哺乳動物を意味し、ヒト、およびヒト以外の哺乳動物を含む。患者としては、これに限定されるものではないが、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ブタ、ウサギ、ネコ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、およびヒトが挙げられる。いくつかの実施形態において、患者はヒトを意味する。
「薬学的に許容される」とは、安全で非毒性であることを意味し、好ましくはインビボにおいてそうであり、より好ましくはヒト投与においてそうである。
「薬学的に許容される塩」は、塩が薬学的に許容されるものであることを意味する。本明細書に記載の化合物は、薬学的に許容される塩として投与されてもよい。
「塩」は、酸と塩基とによって形成されるイオン性の化合物を意味する。本明細書で提供される化合物が酸性の官能基を含む場合、そのような塩としては、これに限定されるものではないが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびアンモニウムの塩が挙げられる。本明細書において、アンモニウム塩としては、プロトン化窒素塩基およびアルキル化窒素塩基を含む塩が挙げられる。薬学的に許容される塩において有用なカチオンとしては、これに限定されるものではないが、例えば、Na、K、Rb、Cs、NH、Ca、Ba、イミダゾリウム、および天然に存在するアミノ酸に基づくアンモニウムカチオン、が挙げられる。本明細書で用いられる化合物が塩基性の官能基を含む場合、そのような塩としては、これに限定されるものではないが、カルボン酸およびスルホン酸などの有機酸の塩、および、ハロゲン化水素、硫酸、リン酸などの無機酸の塩が挙げられる。薬学的に許容される塩において有用なアニオンとしては、これに限定されるものではないが、例えば、シュウ酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、一塩基性、二塩基性および三塩基性のリン酸塩、メシレート、トシレートなどが挙げられる。
化合物または組成物の「治療有効量」または用量は、患者の症状の軽減または抑制または生存の延長をもたらす、化合物または組成物の量を意味する。結果、化合物または組成物の複数回の投与を必要とする場合がある。
患者における疾患の「治療」または「処置」とは、1)疾患の素因があるか、またはまだ疾患の症状を示さない患者において、疾患が発生するのを防ぐこと、2)疾患を抑制するか、その発症を阻止すること、または、3)疾患の改善または退行を引き起こすこと、を意味する。
本明細書を通して用いられる「任意の」または「任意に」との用語は、その後に説明される事象または状況が発生する可能性があるが、発生する必要はないことを意味し、その説明には、事象または状況が発生する場合と発生しない場合が含まれる。例えば、「窒素原子は、任意に、N-オキシド(N→O)部分を提供するために酸化される」とは、窒素原子が酸化される可能性があるが、酸化される必要がないことを意味し、その説明には、窒素原子が酸化されない状況と窒素原子が酸化される状況とが含まれる。
使用方法および使用
本明細書において、治療有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする患者(例えば、ヒト患者)における肝障害を治療する方法であって、肝障害が、肝炎症、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から選択される方法、が提供される。また、本明細書において、FXRアゴニストを用いて、それを必要とする患者(例えば、ヒト患者)における肝障害を治療する方法であって、方法が、治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、FXRアゴニストが、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩である方法、が提供される。
いくつかの実施形態において、肝障害は、NAFLDまたはNASHである。いくつかの実施形態において、肝障害は、NAFLDである。いくつかの実施形態において、肝障害は、NASHである。いくつかの実施形態において、患者は、肝生検を受けている。いくつかの実施形態において、この方法は、肝生検の結果を取得することをさらに含む。
本明細書において、また、治療有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする患者(例えば、ヒト患者)において、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)から非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)への進行を阻害または遅延させる方法、が提供される。また、本明細書において、治療有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする患者(例えば、ヒト患者)において、NASHの進行を阻害または遅延させる方法、が提供される。
式(I)の化合物は、本明細書に記載の実施例に示されるように、肝臓に優先的に分布され、理論に拘束されるものではないが、化合物が、標的外の有害作用をより少なくして、肝臓においてそのFXR標的に到達することを可能にする。例えば、本明細書の実施例は、式(I)の化合物が、血漿、腎臓、肺、心臓、および皮膚よりも、肝臓において約20倍高い濃度になることを示している。この特性は、子供、高齢者、および併存疾患を有する人などの脆弱な集団にとって特に有益である可能性がある。
さらに、掻痒は、いくつかのFXRアゴニストの十分に裏付けられた有害作用であり、患者の不快感、患者の生活の質の低下、および治療を中止する可能性の増加をもたらし得る。掻痒は、慢性的な薬物投与となる可能性がある、NASHを含む本明細書に記載されるものなどの疾患にとって、特に負担が大きい。式(I)の化合物の組織特異性、特に皮膚組織よりも肝臓を優先することは、画期的で予測不可能な観察結果であり、これまでのヒトの試験によって実証されている理論で、化合物が皮膚に掻痒を引き起こさない可能性を高める。
したがって、本明細書において、腎臓、肺、心臓、および皮膚組織のうちの1つ以上よりも肝臓組織に優先的に分布するファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストを用いて、それを必要とする患者(例えば、ヒト患者)における肝障害を治療する方法であって、方法が、治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、FXRアゴニストが、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩である方法、が提供される。
いくつかの実施形態において、本明細書において、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト(式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩など)を用いて、それを必要とする患者における肝障害を治療する方法であって、FXRアゴニストは、TGR5シグナル伝達を活性化しない方法、が提供される。いくつかの実施形態において、FXR調節遺伝子のレベルが増加する。いくつかの実施形態において、低分子ヘテロ二量体パートナー(small heterodimer partner)(SHP)、胆汁酸塩輸出ポンプ(BSEP)、および線維芽細胞成長因子19(FGF-19)のレベルが増加する。いくつかの実施形態において、肝障害は、NASHである。
いくつかの実施形態において、本明細書において、FXRアゴニスト(式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩など)を、それを必要とする個体に投与することを含む、肝臓損傷を低減する方法、が提供される。いくつかの実施形態において、線維症が、低減される。いくつかの実施形態において、線維症の1つ以上のマーカーの発現レベルが低下する。いくつかの実施形態において、Ccr2、Col1a1、Col1a2、Col1a3、Cxcr3、Dcn、Hgf、Il1a、Inhbe、Lox、Loxl1、Loxl2、Loxl3、Mmp2、pdgfb、Plau、Serpine1、Perpinh1、Snai、Tgfb1、Tgfb3、Thbs1、Thbs2、Timp2、および/またはTimp3の発現レベルが低下する。いくつかの実施形態において、コラーゲンのレベルが低下する。いくつかの実施形態において、コラーゲンフラグメントのレベルが低下する。いくつかの実施形態において、線維症マーカーの発現のレベルは、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍低下する。いくつかの実施形態において、線維症マーカーの発現のレベルは、約2倍、約3倍、約4倍、または約5倍低下する。
いくつかの実施形態において、本明細書において、FXRアゴニスト(式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩など)を、それを必要とする個体に投与することを含む、肝臓損傷を低減する方法、が提供される。いくつかの実施形態において、炎症が、低減される。いくつかの実施形態において、炎症の1つ以上のマーカーが低下する。いくつかの実施形態において、Adgre1、Ccr2、Ccr5、Il1A、および/またはTlr4の発現レベルが低下する。いくつかの実施形態において、炎症マーカーの発現レベルは、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍低下する。いくつかの実施形態において、線維症マーカーの発現のレベルは、約2倍、約3倍、約4倍、または約5倍低下する。
いくつかの実施形態において、投与により、式(I)の化合物の、血漿濃度に対する肝臓濃度の比率が、10以上、例えば、11以上、12以上、13以上、14以上、または15以上、になる。
いくつかの実施形態において、投与は、重症度がグレード2を超える掻痒を患者にもたらさない。いくつかの実施形態において、投与は、重症度がグレード1を超える掻痒を患者にもたらさない。いくつかの実施形態において、投与は、患者に掻痒をもたらさない。有害作用のグレード付けは知られている。有害事象の共通用語基準(Common Terminology Criteria for Adverse Events)のバージョン5(2017年11月27日公開)によると、グレード1の掻痒は「軽度または局所的:局所介入が適用される。」と特徴付けられ、グレード2の掻痒は、「広範囲で断続的:引っかき傷による皮膚の変化(例えば、浮腫、丘疹形成、擦過傷、苔癬化、滲出/痂皮など);経口介入が適用される;手段的ADLを制限する。」と特徴付けられ、グレード3の掻痒は、「広範囲で継続的:セルフケアADLまたは睡眠を制限する;全身性のコルチコステロイドまたは免疫抑制療法が適用される。」と特徴付けられる。日常生活活動(ADL)は、2つのカテゴリーに分類され、「食事の準備、食料品や衣類の買い物、電話の使用、金銭の管理などを意味する、手段的ADL」、および、「入浴、着衣および脱衣、自分での食事、トイレの使用、薬の服用、寝たきりでないことを意味する、セルフケアADL」がある。
したがって、本明細書においてまた、FXRアゴニストを用いて、それを必要とする患者に検出可能な掻痒をもたらさずに、それを必要とする患者(例えば、ヒト患者)における肝障害を治療する方法であって、方法が、それを必要とする患者に治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、FXRアゴニストが、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩である方法、提供される。
いくつかの実施形態において、患者はヒトである。肥満は、NAFLDおよびNASHと高い相関関係があるが、痩せた人も、NAFLDおよびNASHの影響を受ける可能性がある。したがって、いくつかの実施形態において、患者は、肥満である。いくつかの実施形態において、患者は、肥満でない。肥満は、糖尿病や心血管障害などの他の疾患と相関するか、他の疾患を引き起こす可能性がある。したがって、いくつかの実施形態において、患者はまた、糖尿病および/または心血管障害を有する。理論に拘束されるものではないが、肥満、糖尿病、および心血管障害などの併存疾患は、NAFLDおよびNASHの治療をより困難にする可能性があると考えられている。逆に、NAFLDおよびNASHに対処するための現在認識されている唯一の方法は、体重減少であり、それは、痩せた患者にはほとんどまたはまったく効果がない可能性がある。
NAFLDおよびNASHのリスクは年齢とともに増加するが、子供もNAFLDおよびNASHに罹患する可能性があり、2歳の子供に関する文献報告がある(Schwimmer, et al., Pediatrics, 2006, 118:1388-1393)。いくつかの実施形態において、患者は、2~17歳であり、例えば、2~10歳、2~6歳、2~4歳、4~15歳、4~8歳、6~15歳、6~10歳、8~17歳、8~15歳、8~12歳、10~17歳、または13~17歳、である。いくつかの実施形態において、患者は、18~64歳であり、例えば、18~55歳、18~40歳、18~30歳、18~26歳、18~21歳、21~64歳、21~55歳、21~40歳、21~30歳、21~26歳、26~64歳、26~55歳、26~40歳、26~30歳、30~64歳、30~55歳、30~40歳、40~64歳、40~55歳、または55~64歳、である。いくつかの実施形態において、患者は、65歳以上であり、例えば、70歳以上、80歳以上、90歳以上である。
NAFLDおよびNASHは、肝移植の一般的な原因であるが、すでに1回の肝移植を受けている患者は、しばしばNAFLDおよび/またはNASHを再び発症する。したがって、いくつかの実施形態において、患者は肝移植を受けている。
いくつかの実施形態において、患者の、アルカリホスファターゼ、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、および/またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)のレベルが上昇している。いくつかの実施形態において、GGT、ALT、および/またはASTレベルは、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩での治療の前に上昇している。いくつかの実施形態において、患者のALTレベルは、正常レベルの上限よりも約2~4倍高い。いくつかの実施形態において、患者のASTレベルは、正常レベルの上限よりも約2~4倍高い。いくつかの実施形態において、患者のGGTレベルは、正常レベルの上限よりも約1.5~3倍高い。いくつかの実施形態において、患者のアルカリホスファターゼレベルは、正常レベルの上限よりも約1.5~3倍高い。これらの分子のレベルを決定する方法はよく知られている。血中のALTの正常なレベルは、約7~56単位/リットルの範囲である。血液中のASTの正常なレベルは、約10~40単位/リットルの範囲である。血中のGGTの正常なレベルは、約9~48単位/リットルの範囲である。血中のアルカリホスファターゼの正常レベルは、20~50歳の男性で約53~128単位/リットルの範囲であり、20~50歳の女性で約42~98単位/リットルの範囲である。
したがって、いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、AST、ALT、および/またはGGTレベルが上昇している個体において、AST、ALT、および/またはGGTのレベルを低下させる。いくつかの実施形態において、ALTのレベルは、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍低下する。いくつかの実施形態において、ALTのレベルは、約2倍~約5倍低下する。いくつかの実施形態において、ASTのレベルは、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍低下する。いくつかの実施形態において、ASTのレベルは、約1.5倍~約3倍低下する。いくつかの実施形態において、GGTのレベルは、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍低下する。いくつかの実施形態において、GGTのレベルは、約1.5倍~約3倍低下する。
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の対象への投与は、対象において、低密度リポタンパク質(LDL)のレベル(例えば、LDLの血清レベル)を実質的に変化させない。
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の対象への投与により、NAFLD活性(NAS)スコアが低下する。例えば、いくつかの実施形態において、脂肪症、炎症、および/またはバルーニングは、治療時に低下する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示の化合物は、肝線維症を低下させる。いくつかの実施形態において、化合物は、血清トリグリセリドを低下させる。いくつかの実施形態において、化合物は、肝臓トリグリセリドを低下させる。
いくつかの実施形態において、患者は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する前に、有害作用を発症するリスクがある。いくつかの実施形態において、有害作用は、腎臓、肺、心臓、および/または皮膚に影響を与える、有害作用である。いくつかの実施形態において、有害作用は、掻痒である。
いくつかの実施形態において、患者は、1つ以上の以前の治療を受けている。いくつかの実施形態において、肝障害は、治療中に進行したものである。いくつかの実施形態において、患者は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩以外の別のFXRアゴニストによる1つ以上の以前の治療を受けている。いくつかの実施形態において、患者は、1つ以上の以前の治療の少なくとも1つの間に、掻痒を患っていた。
いくつかの実施形態において、治療有効量は、患者に有害作用を誘発するレベル未満、例えば、グレード2またはグレード3の掻痒などの掻痒を誘発するレベル未満、である。
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、500μg/日~600mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、500μg/日~300mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、500μg/日~150mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、500μg/日~100mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、500μg/日~20mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、1mg/日~600mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、1mg/日~300mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、1mg/日~150mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、1mg/日~100mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、1mg/日~20mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、5mg/日~300mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、5mg/日~150mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、5mg/日~100mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、5mg/日~20mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、5mg/日~15mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、25mg/日~300mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、25mg/日~150mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、25mg/日~100mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、500μg/日~5mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、500μg/日~4mg/日である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、5mg/日~600mg/日である。別の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、75mg/日~600mg/日である。
別の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、約1mg/日である。別の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、約2mg/日である。別の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、約5mg/日である。別の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、約10mg/日である。別の実施形態において、治療有効量は、約15mg/日である。別の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、約25mg/日である。別の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、約75mg/日である。別の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、約200mg/日である。別の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、約400mg/日である。別の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、約600mg/日である。
いくつかの実施形態において、投与は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、1週間以上の治療期間にわたって毎日投与することを含む。いくつかの実施形態において、投与は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、1週間以上の治療期間にわたって、1日2回投与することを含む。いくつかの実施形態において、投与は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、1週間以上の治療期間にわたって、1日おきに投与することを含む。
いくつかの実施形態において、治療期間の1日目に投与される式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、その後の治療期間のすべての日に投与される量と同じかそれ以上である。いくつかの実施形態において、治療期間の1日目に投与される式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、その後の治療期間のすべての日に投与される量と同じである。
いくつかの実施形態において、治療期間は、少なくとも、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、1年、2年、3年、4年、またはそれ以上である。いくつかの実施形態において、治療期間は、約1週間~約1ヶ月、約1ヶ月~約1年、または約1年~約数年である。いくつかの実施形態において、治療期間は、少なくとも、約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、1年、2年、3年、4年、またはそれ以上のいずれかである。いくつかの実施形態において、治療期間は、患者の残りの生涯の間である。
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、リファンピシンと共に投与される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、単剤療法として投与され、すなわち、別の薬剤の非存在下で投与され、該薬剤は、肝障害を治療または実質的に治療するのに有用であり、それを必要としている患者において、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)から非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)への進行を阻害または遅延させ;または、NASHの進行を阻害または遅延させる。いくつかの実施形態において、この方法は、患者の掻痒を治療することを含まない。いくつかの実施形態において、この方法は、抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤、ステロイド(コルチコステロイドなど)、リファンピシン、オピオイド拮抗薬、または選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を投与することを含まない。
いくつかの実施形態において、治療有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、1日1回投与される。いくつかの実施形態において、治療有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、1日2回投与される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、患者あたり、1日2回、75mg~200mgである。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤を含む薬学的に許容される組成物として、投与される。
いくつかの実施形態において、投与は、次のうちの1つ以上を調節する:代謝経路、胆汁分泌、レチノール代謝、薬物代謝-チトクロームP450、脂肪の消化と吸収、グリセロ脂質代謝、化学性発癌、グリセロリン脂質代謝、ニコチン依存、リノール酸代謝、ABCトランスポーター、チトクロームP450による異種生物代謝、スフィンゴ脂質代謝、グルタチオン代謝、葉酸生合成、モルヒネ依存、スフィンゴ糖脂質生合成-ラクトおよびネオラクトシリーズ、アラキドン酸代謝、チロシン代謝、若年発症成人型糖尿病、DNA複製、コレステロール代謝、薬物代謝-他の酵素、およびエーテル脂質代謝。いくつかの実施形態において、投与は、次のうちの1つ以上を調節する:代謝経路、レチノール代謝、脂肪の消化と吸収、グリセロ脂質代謝、化学性発癌、グリセロリン脂質代謝、ABCトランスポーター、シトクロムP450による異種生物代謝、スフィンゴ脂質代謝、グルタチオン代謝、葉酸生合成、およびモルヒネ依存。いくつかの実施形態において、投与は、次のうちの1つ以上の発現を調節する:Abcb4、Apoa5、Cyp7a1、Cyp8b1、Nr0b2、およびSic51b。
化合物
いくつかの実施形態において、本明細書で用いられる化合物は、式(I):
Figure 2023501386000009
(I)
で示される化合物、またはその互変異性体、またはそれらのそれぞれの同位体異性体、またはそれらのエナンチオマーまたはジアステレオマー、または前記のそれぞれの薬学的に許容される塩、である。いくつかの実施形態において、本明細書で用いられる化合物は、式(I)の化合物である。いくつかの実施形態において、本明細書で用いられる化合物は、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩である。
本明細書で用いられる化合物は、例えば、米国特許US2010/0152166(参照により本明細書に組み込まれる)などの当技術分野で知られている様々な段階的手法の組み合わせによって、製造することができる。
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、6-{4-[5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロ-フェニル)-イソオキサゾール-4-イルメトキシ]-ピペリジン-1-イル}-1-メチル-1H-インドール-3-カルボン酸:
Figure 2023501386000010
またはその薬学的に許容される塩またはエナンチオマー、である。
組成物
本明細書に詳述される化合物は、いくつかの態様において、精製された形態であり得、そして、精製された形態の化合物を含む組成物が、本明細書において詳述される。実質的に純粋な化合物の組成物など、本明細書に詳述される化合物またはその塩を含む組成物が、提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に詳述される化合物またはその塩を含む組成物は、実質的に純粋な形態である。一変形例において、「実質的に純粋」は、不純物の含有量が35%以下の組成物を意図し、不純物は、組成物の主要部分を構成する化合物またはその塩以外の化合物を意味する。例えば、実質的に純粋な化合物の組成物は、化合物またはその塩以外の化合物で示される不純物の含有量が35%以下の組成物を意図する。一変形例において、不純物の含有量が25%以下である、実質的に純粋な化合物またはその塩の組成物が提供される。別の変形例において、不純物の含有量が20%以下である、実質的に純粋な化合物またはその塩の組成物が提供される。さらに別の変形例において、不純物の含有量が10%以下である、実質的に純粋な化合物またはその塩の組成物が提供される。さらなる変形例において、不純物の含有量が5%以下である、実質的に純粋な化合物またはその塩の組成物が提供される。別の変形例において、不純物の含有量が3%以下である、実質的に純粋な化合物またはその塩の組成物が提供される。さらに別の変形例において、不純物の含有量が1%以下である、実質的に純粋な化合物またはその塩の組成物が提供される。さらなる変形例において、不純物の含有量が0.5%以下である、実質的に純粋な化合物またはその塩の組成物が提供される。さらに他の変形例において、実質的に純粋な化合物の組成物は、不純物の含有量が、15%以下、例えば10%以下、5%以下、3%以下、または1%以下であって、不純物は、異なる立体化学形態の化合物である得る、組成物を意味する。例えば、これに限定されるものではないが、実質的に純粋な(S)体の化合物の組成物は、組成物における(R)体の化合物の含有量が、15%以下、または10%以下、または5%以下、または3%以下、または1%以下、であることを意味する。。
一変形例において、本明細書の化合物は、ヒトなどの個体への投与のために調製された合成化合物である。別の変形例において、実質的に純粋な形態の化合物を含む組成物が提供される。別の変形例において、本開示は、本明細書に詳述される化合物、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物を包含する。別の変形例において、本明細書において、本明細書で提供される方法のいずれかに使用するための組成物または医薬組成物、が提供される。精製された形態、医薬組成物、および化合物を投与する方法は、本明細書に詳述される任意の化合物またはその形態に適している。
本明細書に詳述される化合物のいずれかの医薬組成物は、本開示に包含される。したがって、本開示は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物を含む。一態様において、薬学的に許容される塩は、無機酸または有機酸で形成された塩などの酸付加塩である。本発明による医薬組成物は、経口、口腔内、非経口、経鼻、局所、または直腸投与に適した形態、または吸入による投与に適した形態をとることができる。
化合物または医薬組成物は、口腔、粘膜(例えば、鼻、舌下、膣、口腔内、または直腸)、非経口(例えば、筋肉内、皮下、または静脈内)、局所または経皮の送達形態を含む、任意の利用可能な送達経路のために製剤化され得る。化合物または医薬組成物は、これに限定されるものではないが、錠剤、カプレット、カプセル(ハードゼラチンカプセルまたはソフト弾性ゼラチンカプセルなど)、カシェ剤、トローチ、ロゼンジ、ガム、分散液、坐剤、軟膏、湿布(貼付剤)、ペースト、粉末、包帯、クリーム、溶液、パッチ、エアロゾル(例えば、経鼻スプレーまたは吸入器)、ゲル、懸濁液(例えば、水性または非水性の液体懸濁液、水中油型エマルジョン、または油中水型液体エマルジョン)、溶液、およびエリキシルなどの、送達形態を提供するために適切な担体と共に製剤化することができる。
本明細書に記載の化合物は、有効成分としての化合物を上記のような薬学的に許容される担体と組み合わせることにより、医薬組成物などの組成物の製造に使用することができる。系の治療形態に応じて(例えば、経皮パッチと経口錠剤との対比)、担体は、様々な形態であり得る。さらに、医薬組成物は、保存剤、可溶化剤、安定剤、再湿潤剤、乳化剤、甘味料、染色剤、調整剤、および浸透圧を調整するための塩、緩衝剤、コーティング剤、または抗酸化剤、を含み得る。
化合物を含有する組成物はまた、価値のある治療特性を有する他の物質を含み得る。医薬組成物は、既知の薬学的な方法によって製造することができる。適切な製剤は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins, 21st ed. (2005)に見ることができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載の化合物は、錠剤、コーティング錠、および、ハードシェルまたはソフトシェルのゲルカプセル、エマルジョン、または懸濁液などの、一般に許容される経口組成物の形態で、個体(例えば、ヒト)に投与することができる。そのような組成物の製造に使用できる担体は、例えば、ラクトース、コーンスターチまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩などである。ソフトシェルを用いたゲルカプセルに許容される担体は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体および液体のポリオールなどである。さらに、医薬製剤は、保存剤、可溶化剤、安定剤、再湿潤剤、乳化剤、甘味料、染色剤、調整剤、および浸透圧を調整するための塩、緩衝剤、コーティング剤、または抗酸化剤を含み得る。
本明細書に記載の化合物は、記載された任意の剤形で、錠剤(タブレット)に製剤化することができる。
本明細書で提供される化合物を含む組成物も記載される。一変形例において、組成物は、化合物、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。別の変形例において、実質的に純粋な化合物の組成物が提供される。
いくつかの実施形態において、本明細書において、式(I)の化合物、またはその互変異性体、またはそれらのそれぞれの同位体異性体、または前記のエナンチオマーまたはジアステレオマー、または上記のそれぞれの薬学的に許容される塩、および、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤、を含む、それを必要とする患者において、肝障害を治療するための;非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)から非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)への進行を阻害または遅延させるための;または、NASHの進行を阻害または遅延させるための、薬学的に許容される組成物であって、肝障害が、肝炎症、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、NAFLD、およびNASH、から選択される、組成物が提供される。
いくつかの実施形態において、本明細書において、本明細書で提供される薬学的に許容される製剤の単位剤形が提供される。いくつかの実施形態において、単位剤形は、治療有効量の式(I)の化合物を含む。いくつかの実施形態において、単位剤形は、治療有効量の式(I)の化合物、および治療有効量の別の薬剤を含む。いくつかの実施形態において、単位剤形は、それを必要とする患者において、肝障害を治療するための;非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)から非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)への進行を阻害または遅延させるための;または、NASHの進行を阻害または遅延させるためのものであり、肝障害は、肝炎症、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、NAFLD、およびNASHから選択される。
また、本明細書において、医薬の製造における、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用が提供される。いくつかの実施形態において、医薬の製造は、肝炎症、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)からなる群から選択される、肝障害の治療のためのものである。いくつかの実施形態において、医薬の製造は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療のためのものである。
例示的な実施形態
提供される実施形態の中には、以下のものがある。
1.治療有効量の式(I):
Figure 2023501386000011
(I)
の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする患者における肝障害を治療する方法であって、肝障害が、肝炎症、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から選択される、方法。
2.ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストを用いて、それを必要とする患者における肝障害を治療する方法であって、方法が、治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、FXRアゴニストが、式(I):
Figure 2023501386000012
(I)
の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、患者が、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩以外の別のFXRアゴニストによる1つ以上の以前の治療を中止しており、肝障害が、肝炎症、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から選択される、方法。
3.患者が、1つ以上の以前の治療中に掻痒を患っていた、実施形態2に記載の方法。
4.治療有効量の式(I):
Figure 2023501386000013
(I)
の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする患者において、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)から非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)への進行を阻害または遅延させる方法。
5.治療有効量の式(I):
Figure 2023501386000014
(I)
の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする患者において、NASHの進行を阻害または遅延させる方法。
6.腎臓、肺、心臓、および皮膚組織のうちの1つ以上よりも肝臓組織に優先的に集まるファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストを用いて、それを必要とする患者における肝障害を治療する方法であって、方法が、治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、FXRアゴニストが、式(I):
Figure 2023501386000015
(I)
の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、肝障害が、肝炎症、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から選択される、方法。
7.投与が、重症度がグレード2を超える掻痒を患者にもたらさない、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
8.投与が、重症度がグレード1を超える掻痒を患者にもたらさない、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.投与が、患者に掻痒をもたらさない、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
10.FXRアゴニストを用いて、それを必要とする患者に検出可能な掻痒をもたらさずに肝障害を治療する方法であって、方法が、治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、FXRアゴニストが、式(I):
Figure 2023501386000016
(I)
の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、肝障害が、肝炎症、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から選択される、方法。
11.肝障害が、NAFLDである、実施形態1~3または6~10のいずれか1つに記載の方法。
12.肝障害が、NASHである、実施形態1~3または6~10のいずれか1つに記載の方法。
13.肝障害が、PSCである、実施形態1~3または6~10のいずれか1つに記載の方法。
14.肝障害がPBCである、実施形態1~3または6~10のいずれか1つに記載の方法。
15.投与によって、式(I)の化合物の、血漿濃度に対する肝臓濃度の比率が、10以上になる、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
16.治療有効量が、0.5μg/日~600mg/日である、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
17.治療有効量が、0.5μg/日~20mg/日である、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
18.治療有効量が、0.5μg/日~4mg/日である、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
19.投与が、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、1週間以上の治療期間にわたって毎日投与することを含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
20.式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩が、1日1回または1日2回投与される、実施形態19に記載の方法。
21.治療期間の1日目に投与される式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、その後の治療期間のすべての日に投与される量と同じかそれ以上である、実施形態19または20の方法。。
22.治療期間の1日目に投与される式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、その後の治療期間のすべての日に投与される量と同じである、実施形態19~21のいずれか1つに記載の方法。
23.治療期間が、1ヶ月以上である、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法。
24.治療期間が、患者の残りの生涯の間である、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
25.患者が、肥満である、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
26.患者が、肥満でない、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
27.患者が、糖尿病および/または心血管障害も有する、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
28.患者が、腎臓、肺、心臓、および皮膚の1つ以上に影響を与える有害作用を発症するリスクがある、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
29.患者が、2~17歳である、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
30.患者が、18~54歳である、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
31.患者が、65歳以上である、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
32.患者が、肝移植を受けている、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
33.患者の、アルカリホスファターゼ、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、および/またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルが上昇している、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法。
34.方法が、抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤、ステロイド、リファンピシン、オピオイド拮抗薬、または選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を投与することを含まない、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
本出願は、本出願の例示的な実施形態として提供される以下の実施例を参照することによってさらに理解することができるが、本出願はこれに限定されるものではない。以下の実施例は、実施形態をより十分に説明するために提示されるものであり、本出願の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本出願の特定の実施形態が本明細書に示され、説明されているが、そのような実施形態は例示としてのみ提供されることは明らかであるものである。多数の変形、変化、および置換は、本発明の精神および範囲から逸脱することがない限り、当業者にとって生じ得る。本明細書に記載の方法を実施する際に、本明細書に記載の実施形態の様々な代替手段を使用できることが理解されるものである。
本明細書において、「化合物I」は、式(I):
Figure 2023501386000017
(I)
の化合物を意味する。
実施例1:インビトロ代謝安定性
化合物Iの肝代謝の速度を、凍結保存された肝細胞において評価して、化合物のインビトロ半減期を決定した。1μMの化合物Iを、前処理した、マウス、ラット、イヌ、サル、またはヒト肝細胞(0.5×10細胞/mL)と混合し、37℃で2時間インキュベートし、サンプルをいくつかの時点で収集して、化合物Iをアッセイした。インビトロ半減期値を決定およびスケール化し、肝クリアランス(CLpred)、および肝抽出を予測した。ここで、Obach et al., The Prediction of Human Pharmacokinetic Parameters from Preclinical and In Vitro Metabolism Data, J. of Pharmacology and Experimental Therapeutics, vol. 283, no. 1, pp. 46-58 (1997)に記載された、血漿タンパク質についての補正のない十分に撹拌した肝臓モデルを使用した。表1に結果を示す。化合物Iが、すべての試験種の肝細胞でおだやかに代謝されたことが示されている。

表1.化合物Iのインビトロ代謝安定性
Figure 2023501386000018
実施例2:インビトロOATP輸送アッセイ
透過性支持体上で増殖したMDCK-II細胞の分極単層を用いて、有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)-1B1、またはOATP-1B3が脂質二重層を越えて細胞内に化合物Iを輸送する能力を試験した。MDCK-II細胞を、(1)OATP-1B1を発現するベクター、(2)OATP-1B3を発現するベクター、または、(3)対照ベクターのいずれかにトランスフェクトした。細胞を、37℃、5%CO雰囲気で培養する前に、細胞内で発現が誘導された。発現を誘導した後、細胞を1μM、3μM、および10μMの化合物I、または、3μMの化合物Iと100μMのリファンピン(rifampin)、で処置した。その後、化合物Iの細胞取り込みを測定した。この実験の結果は、化合物Iが、OATP-1B1またはOATP-1B3の基質ではないことを示した。
実施例3:薬物動態アッセイ
化合物Iを、Sprague-Dawley(SD)ラットに、1mg/kg(n=3)で静脈内投与、または、10mg/kg(n=3)で経口投与し、また、イヌ(ビーグル犬)に、1mg/kg(n=3)で静脈内投与、または、3mg/kg(n=3)で経口投与し、また、カニクイザルに、0.3mg/kg(n=6)で静脈内投与、または、5mg/kg(n=6)で経口投与し、また、マウスに、5mg/kg(n=9)で経口投与した。SDラットに経口投与するための化合物Iは、10%DMSO、10%Cremophor-EL、および、80%水溶液(10%の2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)を含む、ビヒクルに製剤化された。ビーグル犬に経口投与するための化合物Iは、1%のカルボキシメチルセルロース、0.25%のTween-80、および0.05%の消泡剤を含む水溶液で製剤化された。カニクイザルに経口投与するための化合物Iは、10%のSolutol、20%のPEG400、0.5%のTween-80、および69.5%脱イオン水で製剤化された。一連の血液サンプルを収集し、化合物Iの血漿濃度を測定した。結果を、図1A(IV投与)、および図1B(経口投与)、および表2に示す。結果は、化合物Iがインビボで低から中程度のクリアランスを有することを示している。化合物Iの分布容積(Vdss)は、ラットとイヌにおいて総全身水分量(0.70L/kg)よりも大きくなっている。サルにおいては、Vdssが小さくなりと、血漿タンパク結合が高くなっている。

表2.化合物Iの薬物動態パラメータ
Figure 2023501386000019
実施例5:化合物Iの組織分布
ラットに投与した化合物Iの組織分布を決定し、他のファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストである、シロフェキソール、トロピフェキソール、およびオベチコール酸(OCA)の分布と比較した。試験化合物を、2mg/kgで、30分間の静脈内注入によって、SDラット(1つの化合物につきn=3)に投与した。血液、肝臓、腎臓、および肺の組織サンプルをラットから収集して、組織/血漿の比率を決定した。化合物の肝臓組織/血漿の比率を、図2Aに示しており、これにより、化合物Iは、他の試験化合物と比較して、実質的により多く肝臓組織に局在することをが示された。化合物Iと100μMのリファンピンとの同時投与は、肝臓への化合物Iの分布に有意な変化をもたらさなかった(図2B)。まとめると、これらの結果は、化合物Iが優先的に肝臓に分布し、げっ歯類種において高い肝臓/血漿の比率を示し、NASHの治療のために研究されている他のFXRアゴニスト(シロフェキソール、トロピフェキソール、およびOCA)よりも約3~20倍高いことを示した。。
また、放射性標識(14C)した化合物Iを、5mg/kg(100μCi/kg)の経口用量で、Long-Evansラットに投与した。血漿、肝臓、小腸、盲腸、腎臓、肺、心臓、皮膚の組織サンプルを最大168時間収集し、さまざまな時点での放射性物質の量を測定した。図3に結果をに示す。肝臓、小腸、盲腸において最も放射性物質が多かった。
実施例6:化合物Iの代謝
放射性標識(14C)した化合物Iを、胆管が無傷のまたはカニューレを挿入したSDラットに、総放射線量100μCi/kgとして、5mg/kgで経口投与、または2mg/kgで静脈内投与した(4つの群のそれぞれについてn=3)。血液、胆汁、糞便、および尿のサンプルを、各ラットから最大168時間収集した。化合物Iは、胆汁排泄の前に、アシルグルクロニド代謝物に代謝された。これは、化合物の主要な排泄経路として決定された。
実施例7:薬物動態/薬力学プロファイル
カニクイザルの薬物動態/薬力学(PK/PD)プロファイルは、0mg/kg(ビヒクル)、0.3mg/kg、1mg/kg、または5mg/kgの用量で、化合物Iの懸濁液の経口投与剤を投与し、そして、血液サンプルを最大24時間収集することによって決定した。薬力学は、LC-MS/MSによって定量化されるように、7α-ヒドロキシ-4-コレステン-3-オン(7α-C4)還元の相関として測定した(図4)。表3に薬物動態データを示し、非コンパートメント分析によって決定した。

表3.化合物Iの薬物動態パラメータ
Figure 2023501386000020
また、化合物Iを、カニクイザル(n=6)に、1mg/kgで7日間連続して経口投与し、複数回投与後のPK/PDプロファイルを求めた。この研究の結果を、図5A(PKプロファイル)、および図5B(PDプロファイル)、および表4に示す。化合物Iの血漿曝露が1日目と7日目で同等であり、薬力学バイオマーカー7α-C4の持続的な抑制が反復経口投与後に達成されたことが示されている。

表4.化合物Iの薬物動態パラメータ
Figure 2023501386000021
実施例8:作用機序
C5BL/6マウスに、10mg/kgの化合物I(n=6)、30mg/kgのOCA(n=6)、またはビヒクル対照(n=6)を、単回経口投与によって投与し、投与の6時間後に、組織RNAのサンプルを収集した。RNAは、RT-qPCRおよびRNAseqによって分析した。
RT-qPCRでは、遺伝子特異的プライマーを使用して、2-ddCT法を用いて、肝臓および回腸におけるFXR調節遺伝子発現を定量化した。図6に結果を示す(データは、平均±SEMとして表され、ビヒクルに対して、****は、p<0.0001を示し、*は、p<0.05を示しており、統計は、一元配置分散分析とそれに続くテューキー検定によって決定された)。このデータは、化合物Iが、マウスの肝臓でFXR特異的遺伝子を優先的に誘導することを示している。
RNAseq分析では、mRNAを、肝臓全体から抽出し、標準イルミナ(Illumina)ライブラリー調製および配列決定プロトコルを使用して、配列決定された。発現変動遺伝子(DEG)を、RSEMおよびedgeRソフトウェアパッケージを使用して決定し、AdvaitaBioのiPathwayGuideソフトウェアを使用して分析した。図7A~7Dに結果を示す。化合物Iは、OCAと比較して、有意に多数のNASHに関連する遺伝子および代謝経路を調節することが示されている。図7Aは、化合物Iの投与が、500個のNASH関連遺伝子の発現を調節し、OCAが、44個のNASH関連遺伝子の発現を調節することを示しており、それには、化合物IとOCAの両方によって調節される37個の共通のNAS関連遺伝子が含まれ、これは、ビヒクル対照と比較してのものである(倍率変化≧1.5、q値<0.05)。図7Bは、ビヒクル、OCA、および化合物Iで処置したマウスにおける、選択されたFXR関連遺伝子の平均発現レベル(CPM値によって示される)を示す。図7Cは、化合物Iの投与が、32個の一般的経路の濃縮(enrichment)をもたらし、OCAの投与が、6個の一般的経路の濃縮をもたらすことを示しており、それには、化合物IとOCAの投与の両方に対する2個の共通の一般的経路を含が含まれる。図7Dは、化合物Iの投与において最も統計的に濃縮された25個の経路を示し、これらの経路の濃縮を、OCA投与での濃縮と比較している。全体として、化合物Iで処置したマウスの肝臓のRNAseq分析は、OCAの処置と比較して、非アルコール性脂肪性肝疾患に関連するFXR関連遺伝子および代謝経路についてより強力な調節を示した。
実施例9:臨床研究
第1の研究
健康なヒトのボランティアの被験者について、化合物Iを、5mg(n=9)、75mg(n=9)、200mg、または400mg(n=18)で、毎日経口投与し、または、プラセボ(n=12)を投与し、これを14日間行った。この研究の間、掻痒の発生は観察されなかった。
第2の研究
化合物Iを、ヒト被験者に、25mg(n=11)、75mg(n=10)、または150mg(n=10)の用量で、7日間、毎日経口投与し、または、プラセボ(n=5)を投与した。表5に示すように、患者の7α-ヒドロキシ-4-コレステン-3-オン(7α-C4)レベルを、定期的に測定した。これは、化合物Iによってレベルが抑制されたことを示している。FXRアゴニストMET409(メタクリン)は、健康なヒトのボランティアに、毎日、20mg、40mg、50mg、80mg、100mg、または150mgの用量で投与すると、表5に示すような7α-C4レベルが測定されることが報告されている。MET409, an Optimized Sustained FXR Agonist, Was Safe and Well-Tolerated in a 14-Day Phase 1 Study in Healthy Subjects, The International Liver Congress, Vienna, Austria, April 10-14, 2019を参照されたい。100mg以上の用量でMET409を投与した被験者において掻痒が観察されたのに対し、化合物Iの最高用量を投与した被験者において掻痒は観察されなかった。シロフェキソール、トロピフェキソール、OCA、ED-305(Enanta)などの他のFXRアゴニストはすべて、長期の試験で掻痒を引き起こすことが知られている。

表5.MET409と化合物Iの比較
Figure 2023501386000022
実施例10:NASHのマウスモデル
NASHに対する化合物Iの効果は、CCl投与と組み合わせた高脂肪食によってNASHが誘発されるマウスモデルを使用して評価した。
マウスC57/BL6Jのマウスに、高脂肪食(D12492、Research Diet、脂肪/タンパク質/炭水化物=60/20/20Kcal%、10w)を与えて、肥満(>36gマウス)を誘発し、その後、4週間、化合物Iの毎日の経口の処置、およびの四塩化炭素(CCl)の隔週の腹腔内の処置、を行った。図8を参照。化合物Iは、10、30、および100mg/kgの用量で投与した。
化合物I投与の28日後、血清脂質、血清トランスアミナーゼ、および肝臓脂質を分析した。肝臓組織についてヘマトキシリン&エオシン(H&E)、およびシリウスレッド組織学的染色を行って、NAFLD活性スコア(NAS)、脂肪症、バルーニング、炎症、および線維症を定量化した。血漿7-α-ヒドロキシ-4-コレステン-3-オン(7α-C4)を、FXR活性化のバイオマーカーとして測定した。RNAの遺伝子発現は、RT-qPCRおよびRNAseqによって分析した。
非アルコール性脂肪性肝疾患活性スコア(NAS)は、NASHを評価するために使用される複合スコアである。NASは、脂肪肝、炎症、およびバルーニングに基づいて、計算され、H&E染色を用いた肝臓組織の組織学的分析によって決定された。具体的には、炎症スコアは、H&E染色に基づいて計算され、スコアは、0が、なし;1が、200X領域あたり<2個;2が、200X領域あたり2~4個;3が、200X領域あたり>4個、とした。脂肪症スコアは、H&E染色によって計算され、スコアは、0が、<5%;1が、5~33%;2が、>33~66%;3が、>66%、とした。肝細胞バルーニングは、細胞の腫れに関連する肝細胞損傷の一形態であり、H&E染色された肝臓切片によって測定される。バルーニングスコアは、次のように計算され、スコアは、0-肝細胞バルーニングなし;1-肝細胞バルーニングはほとんどなし;2-顕著なバルーニングを伴う多くの肝細胞がある、とした。
図9に示すように、10、30、または100mg/kgの化合物Iで処置したマウスは、未処置のNASHマウスと比較して、NASスコアが有意に低かった。化合物Iによる処置はまた、未処置のNASHマウスと比較して、脂肪症、炎症、およびバルーニングを有意に低下させた。図10A~Cを参照。
肝線維症は、シリウスレッド陽性肝臓切片のパーセンテージの組織学的分析によって定量化した。図11Aは、健康なマウス、NASHマウス、および、100mg/kgの化合物Iで処置したNASHマウスの代表的な組織を示している。図11Bは、化合物Iで処置したマウスの線維症領域の定量化を示す。10、30または100mg/kgでの化合物Iの処置は、未処置のNASH対照と比較して、統計的に有意な線維症の低下をもたらした。図14Aに示すように、10、30、または100mg/kgでの投与の化合物Iは、対照NASHマウスと比較して、肝臓における、コラーゲン、タイプ1、アルファ1の発現の低下をもたらした。
処置後、血清について、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、トリグリセリド、および総コレステロールレベルについて分析した。図12Aおよび図12Bに示すように、血清ALTおよびASTレベルは、化合物Iで処置したマウスにおいて低下した。図12Cは、100mg/kgの化合物Iで処置したマウスにおいて、血清トリグリセリド濃度が統計的に有意に低下したを示している。図12Dは、10、30、および100mg/kgの化合物Iで処置したマウスにおいて、総コレステロールレベルが統計的に有意に低下したことを示している。
肝臓トリグリセリドを、生化学的分析器(Hitachi-700)を使用して、肝臓組織から測定した。図13Aは、対照マウス、または、10、30、または100mg/kgの化合物Iで処置したマウスにおける、肝臓トリグリセリドの濃度を示す。100mg/kgの化合物Iで処置したマウスは、トリグリセリドレベルが統計的に有意に低下したことを示した。図13Bは、代表的な組織学切片を示している。
遺伝子発現に対する化合物Iの効果を、肝臓サンプルのRT-qPCRまたはRNA-seqを使用して分析した(図14A~C、および表6)。表6は、肝臓におけるFXR調節遺伝子発現に対する化合物Iの効果を示している。化合物Iでの処置後に、提示される各遺伝子の発現レベル(百万あたりの遺伝子数(CPM)値によって定義される)を、ビヒクル処置動物におけるその遺伝子の発現レベルで割って、ビヒクルに対する化合物Iの活性を決定した。

表6.FXR標的、炎症、および線維症遺伝子の発現
Figure 2023501386000023
FXRに対する化合物IのEC50濃度は、蛍光ベースのFXR共活性化アッセイによって決定した。化合物IまたはOCA(オベチコール酸、既知のFXRアゴニスト)の半対数段階希釈液(10μM~3nM)を、Sf9昆虫細胞で産生されたヒトFXRリガンド結合ドメイン、標識コアクチベーターSRC-1ペプチド、およびTR-FRETコレギュレーターバッファーGと、25℃で1時間、インキュベートした。TGR5活性は、細胞ベースのcAMPアッセイを用いて測定した。Kawamata et al JBC 278 (11)935-440 (2003)を参照されたい。化合物IまたはOCAの半対数段階希釈液(10μM~3nM)を、組換えヒトTGR5を発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞に添加した。RTで30分後、HTRFのリードアウトを用いて、cAMPを測定した。FXR調節遺伝子発現のEC50値は、細胞ベースのRNAアッセイを用いて決定した。化合物IまたはOCAの半対数段階希釈液(3μM~3nM)を、ヒトHuH7肝臓癌細胞に添加した。37℃で11時間後、RNAを単離し、FXR関連遺伝子のプライマー:低分子ヘテロ二量体パートナー(SHP)、胆汁酸塩輸出ポンプ(BSEP)、線維芽細胞成長因子19(FGF-19)、を使用したRT-qPCRにより分析した。
表7に示すように、化合物Iは、強力かつ選択的なFXRアゴニストである。

表7.化合物IのEC50
Figure 2023501386000024
要約すると、化合物Iは、強力かつ選択的なFXRアゴニストである。化合物Iは、炎症および線維症に関連する遺伝子の発現を低下させ、NASHのマウスモデルにおいて、脂肪肝、炎症、バルーニング、および線維症を強力に抑制した。
実施例11:薬物動態研究
36人の健康な被験者を4つの投与群にランダム化し、それぞれに、プラセボ、25mg、75mg、または150mgの化合物Iを、7日間、経口(QD)投与した。被験者の化合物Iの血清レベルを定期的に測定した。1日目および7日目の化合物Iの平均血清濃度を、それぞれ、図15Aおよび15Bに示す。
対象における7α-ヒドロキシ-4-コレステン-3-オン(7α-C4)の血清レベルを定期的に測定した。図16Aおよび16Bは、それぞれ、1日目および7日目の異なる投与群における投与前ベースラインからの7α-C4の平均血清レベルの変化を示している。プラセボ群の被験者は、摂取後の7α-C4スパイクを経験したが、これは、化合物Iを投与した被験者では抑制された。1日目の単回投与後、血清7α-C4レベルの部分的抑制が、すべての化合物I投与群で観察された。7日目において、血清7α-C4レベルの最大抑制が、投与の6時間後に観察され、25、75、および150mgの投与群においてそれぞれ、74%、82%、および91%の低下に対応した。各24時間投与期間中、化合物I投与群のすべてにおいて、化合物Iの平均血清レベルは、概して、化合物IのEC50を超えなかった。理論に拘束されるものではないが、7α-C4の低下は、肝臓での優先的な分布から、肝臓での化合物Iの濃度が高くなることに関連していると考えられる。
被験者におけるFGF-19の血清レベルを定期的に測定した。図17Aおよび図17Bは、それぞれ、1日目および7日目の異なる投与群における、投与前ベースラインからのFGF-19の平均血清レベルの変化を示している。血清FGF19レベルにおいて、ベースラインからの、718%、486%、および454%の最大の増加が、7日目の投与後4時間で観察された。
被験者における低密度リポタンパク質(LDL)の血清レベルを定期的に測定した。図18は、異なる投与群における、投与前ベースラインからの低密度リポタンパク質(LDL)の平均血清レベルの変化を示している。ベースラインを超える血清LDL変化は、化合物I投与群では最小限であり、プラセボ投与群で観察されたLDL上昇を超えなかった。
安全性は、投与中および投与後10(±1)日間、評価した。化合物Iは、掻痒の報告がなく、すべての投与群で、健康な被験者ボランティアにおいて安全であり、忍容性が良好であった。
文献、特許、特許出願および公開された特許出願などの全体にわたるすべての参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (40)

  1. 治療有効量の式(I):
    Figure 2023501386000025
    (I)
    の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする患者における肝障害を治療する方法であって、肝障害が、肝炎症、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から選択される、方法。
  2. ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストを用いて、それを必要とする患者における肝障害を治療する方法であって、方法が、治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、FXRアゴニストが、式(I):
    Figure 2023501386000026
    (I)
    の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、患者が、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩以外の別のFXRアゴニストによる1つ以上の以前の治療を中止しており、肝障害が、肝炎症、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から選択される、方法。
  3. 患者が、1つ以上の以前の治療中に掻痒を患っていた、請求項2に記載の方法。
  4. 治療有効量の式(I):
    Figure 2023501386000027
    (I)
    の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする患者において、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)から非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)への進行を阻害または遅延させる方法。
  5. 治療有効量の式(I):
    Figure 2023501386000028
    (I)
    の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする患者において、NASHの進行を阻害または遅延させる方法。
  6. 腎臓、肺、心臓、および皮膚組織のうちの1つ以上よりも肝臓組織に優先的に集まるファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストを用いて、それを必要とする患者における肝障害を治療する方法であって、方法が、治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、FXRアゴニストが、式(I):
    Figure 2023501386000029
    (I)
    の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、肝障害が、肝炎症、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から選択される、方法。
  7. 投与が、重症度がグレード2を超える掻痒を患者にもたらさない、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 投与が、重症度がグレード1を超える掻痒を患者にもたらさない、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 投与が、患者に掻痒をもたらさない、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. FXRアゴニストを用いて、それを必要とする患者に検出可能な掻痒をもたらさずに肝障害を治療する方法であって、方法が、治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、FXRアゴニストが、式(I):
    Figure 2023501386000030
    (I)
    の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、肝障害が、肝炎症、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から選択される、方法。
  11. 肝障害が、NAFLDである、請求項1~3または6~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 肝障害が、NASHである、請求項1~3または6~10のいずれか1項に記載の方法。
  13. 肝障害が、PSCである、請求項1~3または6~10のいずれか1項に記載の方法。
  14. 肝障害が、PBCである、請求項1~3または6~10のいずれか1項に記載の方法。
  15. 投与によって、式(I)の化合物の、血漿濃度に対する肝臓濃度の比率が、10以上になる、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 治療有効量が、0.5μg/日~600mg/日である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 治療有効量が、0.5μg/日~20mg/日である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 治療有効量が、0.5μg/日~4mg/日である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 投与が、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、1週間以上の治療期間にわたって毎日投与することを含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩が、1日1回または1日2回投与される、請求項19に記載の方法。
  21. 治療期間の1日目に投与される式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、その後の治療期間のすべての日に投与される量と同じかそれ以上である、請求項19または20に記載の方法。
  22. 治療期間の1日目に投与される式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、その後の治療期間のすべての日に投与される量と同じである、請求項19~21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 治療期間が、1ヶ月以上である、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 治療期間が、患者の残りの生涯の間である、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 患者が、肥満である、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 患者が、肥満でない、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
  27. 患者が、糖尿病および/または心血管障害も有する、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 患者が、腎臓、肺、心臓、および皮膚の1つ以上に影響を与える有害作用を発症するリスクがある、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 患者が、2~17歳である、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 患者が、18~54歳である、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
  31. 患者が、65歳以上である、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
  32. 患者が、肝移植を受けている、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  33. 患者の、アルカリホスファターゼ、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、および/またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)のレベルが上昇している、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
  34. 方法が、抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤、ステロイド、リファンピシン、オピオイド拮抗薬、または選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を投与することを含まない、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
  35. 患者のNASスコアが低下する、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
  36. TGR5シグナル伝達が活性化されない、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
  37. 線維症のマーカーの発現レベルが低下する、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
  38. Ccr2、Col1a1、Col1a2、Col1a3、Cxcr3、Dcn、Hgf、Il1a、Inhbe、Lox、Loxl1、Loxl2、Loxl3、Mmp2、Pdgfb、Plau、Serpine1、Perpinh1、Snai、Tgfb1、Tgfb3、Thbs1、Thbs2、Timp2、および/またはTimp3の発現レベルが低下する、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
  39. 肝炎症のマーカーの発現レベルが低下する、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
  40. Adgre1、Ccr2、Ccr5、Il1A、および/またはTlr4のレベルが低下する、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
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