JP2023184214A - 樹脂組成物、および、成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 計量時間が短く、金属部材に対する動摩擦係数が低く、かつ、樹脂部材に対する限界PV値が高い成形品を提供可能な樹脂組成物、および、成形品の提供。【解決手段】 (A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、(B)カルシウムおよび/またはマグネシウムを含み、かつ、炭素数10~50の脂肪族基を有する脂肪酸金属塩0.3~2.5質量部と、(C)脂肪酸フルエステル0.3~2.5質量部を含み、(B)/(C)の質量比率が0.5以上5未満である、樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂組成物、および、成形品に関する。
ポリアセタール樹脂は、機械的性質、電気的性質、および、耐薬品性などの化学的性質に優れたプラスチックとして、広範囲の用途で使用されている。
ここで、ポリアセタール樹脂の機能性をより高めるため、各種添加剤を配合することが検討されている。
例えば、特許文献1には、ポリアセタール樹脂、所定の脂肪酸ジエステル化合物、所定の脂肪酸モノエステル化合物、脂肪酸、および、脂肪酸金属塩からなるポリアセタール樹脂組成物が開示されている。
特開平11-323076号公報
ここで、ポリアセタール樹脂に摺動性を付与するため、脂肪酸エステルを配合することがある。しかしながら、脂肪酸エステルは滑りがよく、計量時間が長くなってしまうことが分かった。本発明者が検討を行った結果、脂計量時間を短くするために、脂肪酸金属塩を配合するが考えられた。しかしながら、脂肪酸金属塩を配合すると、金属部材に対する動摩擦係数が高くなったり、樹脂部材に対する限界PV値が低くなってしまうことが分かった。
本発明は、上記課題を解決することを目的とするものであって、計量時間が短く、金属部材に対する動摩擦係数が低く、かつ、樹脂部材に対する限界PV値が高い成形品を提供可能な樹脂組成物、および、成形品を提供することを目的とする。
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、脂肪酸エステルとして脂肪酸フルエステルを用い、脂肪酸金属塩として、脂肪族鎖がある程度長いものを用い、両者の比率を精密に調整すること等により、上記課題は解決された。
具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、
(B)カルシウムおよび/またはマグネシウムを含み、かつ、炭素数10~50の脂肪族基を有する脂肪酸金属塩0.3~2.5質量部と、
(C)脂肪酸フルエステル0.3~2.5質量部を含み、
(B)/(C)の質量比率が0.5以上5未満である、樹脂組成物。
<2>前記脂肪酸金属塩(B)が、炭素数12~36の直鎖脂肪族基を有する脂肪酸金属塩を含む、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>前記脂肪酸フルエステル(C)が、一分子中に1~4個のエステル基を含む、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4>前記脂肪酸フルエステル(C)が、炭素数10~50の直鎖脂肪族基を有する、<1>~<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5>前記脂肪酸金属塩(B)が、炭素数12~36の直鎖脂肪族基を有する脂肪酸金属塩を含み、前記脂肪酸フルエステル(C)が、一分子中に1~4個のエステル基を含み、かつ、炭素数10~50の直鎖脂肪族基を有する、<1>に記載の樹脂組成物。
<6>前記樹脂組成物を円筒型スラスト試験片に成形した試験片について、炭素鋼S45Cに対する、線速度10cm/sで3kgから3分毎に面圧力を向上させて行うスラスト式摩擦摩耗試験において、面圧力4.9MPa時の動摩擦係数が0.15以下である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<7>前記樹脂組成物を円筒型スラスト試験片に成形した試験片について、ポリアミド6を同様な円筒型スラスト試験片に成形した試験片に対する、線速度10cm/sで3kgから3分毎に面圧力を向上させて行うスラスト式摩擦摩耗試験において、限界PV値が29MPa・cm/s以上である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<8><1>~<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された成形品。
本発明により、計量時間が短く、金属部材に対する動摩擦係数が低く、かつ、樹脂部材に対する限界PV値が高い成形品を提供可能な樹脂組成物、および、成形品を提供可能になった。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
本明細書で示す規格で説明される測定方法等が年度によって異なる場合、特に述べない限り、2022年1月1日時点における規格に基づくものとする。
本実施形態の樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、(B)カルシウムおよび/またはマグネシウムを含み、かつ、炭素数10~50の脂肪族基を有する脂肪酸金属塩0.3~2.5質量部と、(C)脂肪酸フルエステル0.3~2.5質量部を含み、(B)/(C)の質量比率が0.5以上5未満であることを特徴とする。
このような構成とすることにより、計量時間が短く、金属部材に対する動摩擦係数が低く、かつ、樹脂部材に対する限界PV値が高い成形品を提供可能な樹脂組成物を提供可能になる。
ポリアセタール樹脂に摺動性を付与するために、脂肪酸エステルを配合することが考えられる。しかしながら、脂肪酸エステルを配合すると、樹脂組成物の成形時にスリッピングしやすいことが分かった。すなわち、摺動性には優れるものの、滑りが良すぎて、計量時間が長くなってしまうことが分かった。計量時間が長いと成形性の観点から望ましくない。そこで、本発明者が検討を行ったところ、さらに、脂肪酸金属塩を配合することにより、成形時のスリッピングを抑制できることを見出した。脂肪酸金属塩は、ポリアセタール樹脂の内部側に分散し、脂肪酸エステルのアンカー効果をもたらすことで成形時にスリッピングを引き起こすことを抑制できると推測された。さらに、本発明者が検討を行ったところ、脂肪酸金属塩であっても、脂肪族基の鎖が短いなど炭素数が小さい場合、アンカー効果が不十分となり、脂肪酸エルテル添加時のスリッピングの抑制が不十分となる可能性が示唆された。また、脂肪酸金属塩であっても、亜鉛塩などを用いた場合、計量時間が長くなってしまうことが分かった。これは、脂肪酸亜鉛を用いた場合、ポリアセタール樹脂成形品のスキン層が分厚くなり、脂肪酸亜鉛が表面に出やすいと推測された。すなわち、樹脂組成物の成形の際に、脂肪酸亜鉛が滑剤として作用し、ペレットとシリンダー壁面との摩擦力Fcがペレットとスクリュー表面の摩擦力Fsを下回ることで計量時間が長くなると推測された。また、脂肪酸エステルであっても、脂肪酸フルエステルを用い、かつ、脂肪酸金属塩と脂肪酸フルエステルの比率を精密に調整することにより、得られる成形品の樹脂部材に対する限界PV値を高くすることができた。
以下、本発明の詳細についてさらに説明する。
<(A)ポリアセタール樹脂>
本実施形態の樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂を含む。ポリアセタール樹脂を含むことにより、摺動性と機械的強度に優れた成形品が得られる。
本実施形態で用いるポリアセタール樹脂は、アセタール構造-(-O-CRH-)-(但し、Rは、水素原子または有機基を示す。)を繰り返し構造に有する高分子であり、通常はRが水素原子であるオキシメチレン基(-CHO-)を主たる構成単位とするものである。本実施形態で用いるポリアセタール樹脂は、この繰り返し構造のみからなるアセタールホモポリマー以外に、前記オキシメチレン基以外の構成単位を1種以上含むコポリマー(ブロックコポリマーを含む)やターポリマー等も含み、さらには線状構造のみならず分岐、架橋構造を有していてもよい。
前記オキシメチレン基以外の構成単位としては例えば、オキシエチレン基(-CHCHO-)、オキシプロピレン基(-CHCHCHO-)、オキシブチレン基(-CHCHCHCHO-)等の炭素数2以上10以下の、分岐していてもよいオキシアルキレン基が挙げられ、中でも炭素数2以上4以下の、分岐していてもよいオキシアルキレン基が好ましく、特にオキシエチレン基が好ましい。また、この様な、オキシメチレン基以外のオキシアルキレン構成単位の含有量としては、ポリアセタール樹脂中において、0.1mol%以上20mol%以下であることが好ましく、0.1mol%以上15mol%以下であることがより好ましい。
本実施形態で用いるポリアセタール樹脂の製造方法は任意であり、従来公知の任意の方法によって製造すればよい。例えば、オキシメチレン基と、炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基を構成単位とするポリアセタール樹脂の製造方法としては、ホルムアルデヒドの3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のオキシメチレン基の環状オリゴマーと、エチレンオキサイド、1,3-ジオキソラン、1,3,6-トリオキソカン、1,3-ジオキセパン等の炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基を含む環状オリゴマーとを共重合することによって製造することができる。
中でも本発明に用いるポリアセタール樹脂としては、トリオキサンやテトラオキサン等の環状オリゴマーと、エチレンオキサイドおよび/または1,3-ジオキソランとの共重合体であることが好ましく、特にトリオキサンと1,3-ジオキソランとの共重合体であることが好ましい。この場合、環状オリゴマー80~99質量%に対し、エチレンオキサイドおよび/または1,3-ジオキソランの合計が1~20質量%であることが好ましい。
ポリアセタール樹脂のメルトフローレート(MFR)は任意だが、ASTM-D1238に従い、190℃、2.16kg荷重下で測定した値が、通常、1g/10分以上であり、10g/10分以上であることが好ましく、13g/10分以上であることがより好ましく、20g/10分以上であることがさらに好ましく、32g/10分以上であることが一層好ましく、35g/10分以上であることがより一層好ましく、40g/10分以上であることがさらに一層好ましい。また、前記MFRは、通常、150g/10分以下であり、100g/10分以下であることが好ましく、70g/10分以下であることがより好ましく、60g/10分以下であることがさらに好ましく、50g/10分以下であることが一層好ましい。
本実施形態の樹脂組成物が(A)ポリアセタール樹脂を2種以上含む場合、混合物のMFRが上記範囲を満たすことが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂を樹脂組成物の80質量%以上の割合で含むことが好ましく、85質量%以上の割合で含むことがより好ましく、90質量%以上の割合で含むことがさらに好ましく、95質量%以上の割合で含むことが一層好ましい。上限は、(B)脂肪酸金属塩と(C)脂肪酸フルエステル以外の全量がポリアセタール樹脂となる量である。
本実施形態の樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<(B)脂肪酸金属塩>
本実施形態の樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、(B)カルシウムおよび/またはマグネシウムを含み、かつ、炭素数10~50の脂肪族基を有する脂肪酸金属塩0.3~2.5質量部の割合で含む。
(B)脂肪酸金属塩を含むことにより(C)脂肪酸フルエステルを配合しても、計量時間を短くすることができる。
本実施形態で用いる(B)脂肪酸金属塩は、カルシウム塩および/またはマグネシウム塩であり、少なくとも、カルシウム塩を含むことが好ましい。
また、本実施形態で用いる(B)脂肪酸金属塩は、炭素数10~50の脂肪族基を有するが、前記炭素数は、12以上であることが好ましく、14以上であることがより好ましく、また、36以下であることが好ましく、28以下であることがより好ましく、25以下であることが一層好ましく、20以下であることがより一層好ましい。
前記脂肪族基は、直鎖脂肪族基であることが好ましい。
また、脂肪族基は水酸基を置換基として有していてもよい。水酸基を置換基として有することにより、得られる樹脂組成物の成形時の計量時間をより短くできる傾向にある。また、前記脂肪族基は、飽和脂肪族基であってもよいし、不飽和脂肪族基であってもよいが、飽和脂肪族基が好ましい。
より具体的には、脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸としては、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、および、モンタン酸、ならびに、これらの脂肪酸の脂肪族鎖が有する水素原子の1つが水酸基で置換された脂肪酸が例示され、ステアリン酸およびヒドロキシステアリン酸が好ましい。
本実施形態においては、(B)脂肪酸金属塩は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシステアリン酸カルシウム、ヒドロキシステアリン酸マグネシウムが好ましく、ヒドロキシステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウムがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における(B)脂肪酸金属塩の含有量は、ポリアセタール樹脂100質量部に対し、0.3質量部以上であり、0.4質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましく、0.6質量部以上であってもよく、0.9質量部以上であってもよい。前記下限値以上とすることにより、(C)脂肪酸フルエステルと併用した際の成形時のスリッピングの抑制効果がより向上する傾向にある。また、前記(B)脂肪酸金属塩の含有量は、ポリアセタール樹脂100質量部に対し、2.5質量部以下であり、2.2質量部以下であることが好ましく、2.0質量部以下であることがより好ましく、1.8質量部以下であることがさらに好ましく、1.5質量部以下であることが一層好ましく、1.1質量部以下であってもよい。前記上限値以下とすることにより、成形品に熱をかけた際の変色抑制効果がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、(B)脂肪酸金属塩を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、(B)脂肪酸金属塩以外の脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛等)を本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で含んでいてもよい。しかしながら、本実施形態においては、(B)脂肪酸金属塩以外の脂肪酸金属塩を実質的に含まないことが好ましい。(B)脂肪酸金属塩以外の脂肪酸金属塩を実質的に含まないとは、(B)脂肪酸金属塩以外の脂肪酸金属塩の含有量が、(B)脂肪酸金属塩の含有量の10質量%以下であることをいい、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが一層好ましい。
<(C)脂肪酸フルエステル>
本実施形態の樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、(C)脂肪酸フルエステル0.3~2.5質量部を含む。(C)脂肪酸フルエステルを含むことにより、得られる成形品の摺動性を高めることができると共に、樹脂部材に対する限界PV値を高くすることができる。
(C)脂肪酸フルエステルは、分子中に1つまたは2つ以上のエステル結合を有する化合物である。(C)脂肪酸フルエステルは、通常、脂肪酸のCOOHとアルコールのOHが反応して得られる化合物であり、通常、分子中に、脂肪酸由来の遊離のCOOHおよびアルコール由来の遊離のOHが存在していない。(C)脂肪酸フルエステルを用いることにより、樹脂部材に対する限界PV値をより高くすることができる。なお、本実施形態における(C)脂肪酸フルエステルは、市販品を用いる場合など、当業者が通常許容される範囲で、未反応の脂肪酸由来の遊離のCOOHおよびアルコール由来の遊離のOHが残存している化合物がその一部に含まれる場合はあるであろう。
また、(C)脂肪酸フルエステル一分子中のエステル基の数は、1~4個であることが好ましく、1~3個であることがより好ましく、1または2個であることがさらに好ましく、1個であることが一層好ましい。
(C)脂肪酸フルエステルの分子量としては、300~2000であることが好ましい。特に、(C)脂肪酸フルエステルがエステル基を1つ有する場合、分子量は300~800であることが好ましく、(C)脂肪酸フルエステルがエステル基を2つ有する場合、分子量は300~800であることが好ましく、(C)脂肪酸フルエステルがエステル基を2つ有する場合、分子量は300~1000であることが好ましく、(C)脂肪酸フルエステルがエステル基を3つ有する場合、分子量は500~1200であることが好ましく、(C)脂肪酸フルエステルがエステル基を4つ有する場合、分子量は800~2000であることが好ましい。
また、本実施形態で用いる(C)脂肪酸フルエステルは、炭素数10~50の脂肪族基を有することが好ましいが、前記炭素数は、12以上であることが好ましく、14以上であることがより好ましく、また、36以下であることが好ましく、28以下であることがより好ましく、25以下であることが一層好ましく、20以下であることがより一層好ましい。
前記脂肪族基は、直鎖脂肪族基であることが好ましい。
また、前記脂肪族基は、飽和脂肪族基であってもよいし、不飽和脂肪族基であってもよいが、飽和脂肪族基が好ましい。
より具体的には、(C)脂肪酸フルエステルを構成する脂肪酸としては、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸が例示され、ステアリン酸が好ましい。
脂肪酸フルエステル(C)の具体例としては、ステアリン酸ステアリル、ジステアリン酸グリコール、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリン酸トリグリセリドが好ましく、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリン酸トリグリセリドがより好ましく、ステアリン酸ステアリルがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における(C)脂肪酸フルエステルの含有量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、0.3質量部以上であり、0.4質量部以上であることが好ましく、0.6質量部以上であることがより好ましく、0.8質量部以上であることがさらに好ましく、0.9質量部以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、計量時間を短くできる。また、前記(C)脂肪酸フルエステルの含有量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、2.5質量部以下であり、2.0質量部以下であることが好ましく、1.8質量部以下であることがより好ましく、1.6質量部以下であることがさらに好ましく、1.4質量部以下であることが一層好ましく、1.2質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、成形時の計量安定性の向上効果がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、(C)脂肪酸フルエステルを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、(C)脂肪酸フルエステル以外の脂肪酸エステル(例えば、ステアリン酸モノグリセリド等)を本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で含んでいてもよい。しかしながら、本実施形態においては、(C)脂肪酸フルエステル以外の脂肪酸エステルを実質的に含まないことが好ましい。(C)脂肪酸フルエステル以外の脂肪酸エスエルを実質的に含まないとは、(C)脂肪酸フルエステル以外の脂肪酸エステルの含有量が、(C)脂肪酸フルエステルの含有量の10質量%以下であることをいい、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが一層好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、(B)脂肪酸金属塩と(C)脂肪酸フルエステルの質量比率((B)/(C)の質量比率)が0.5以上であり、0.6以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましく、0.9以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、計量時間をより短くすることができる。また、前記(B)/(C)の質量比率は、5未満であり、4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、2以下であることがさらに好ましく、1.5以下であることが一層好ましく、1.2以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、金属部材に対する動摩擦係数をより小さくすることができる。
<他の成分>
本実施形態の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲内で、公知の添加剤や充填剤を添加してもよい。本実施形態に使用することのできる添加剤や充填剤としては、具体的には例えば公知の熱可塑性ポリマー、酸化防止剤、ホルムアルデヒド捕捉剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、炭素繊維、ガラス繊維、ガラスフレーク、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、チタン酸カリウムウイスカー等が挙げられる。
これらの成分の含有量は、合計で、樹脂組成物の10質量%以下の割合であることが好ましい。
<樹脂組成物の物性値>
本実施形態の樹脂組成物は、円筒型スラスト試験片に成形した試験片について、炭素鋼S45Cに対する、線速度10cm/sで3kgから3分毎に面圧力を向上させて行うスラスト式摩擦摩耗試験において、面圧力4.9MPa時の動摩擦係数が0.15以下であることが好ましく、0.14以下であることがより好ましく、0.13以下であることがさらに好ましく、0.12以下であることが一層好ましい。下限値は、例えば、0.01以上が実際的である。このような動摩擦係数は、主に、(B)脂肪酸金属塩および(C)脂肪酸フルエステルを配合することによって達成される。
本実施形態の樹脂組成物は、円筒型スラスト試験片に成形した試験片について、ポリアミド6を同様な円筒型スラスト試験片に成形した試験片に対する、線速度10cm/sで3kgから3分毎に面圧力を向上させて行うスラスト式摩擦摩耗試験において、限界PV値が29MPa・cm/s以上である好ましく、30MPa・cm/s以上であることがより好ましく、35MPa・cm/s以上であることが一層好ましく、49MPa・cm/s超であることがより一層好ましい。前記限界PV値の上限値は、例えば、100MPa・cm/s以下が実際的である。このような限界PV値は、主に、(C)脂肪酸フルエステルを配合することによって達成される。
動摩擦係数および限界PV値は、後述する実施例の記載に従って測定される。
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物は、従来の熱可塑性樹脂組成物の調製法として一般に用いられる公知の方法により容易に調製される。例えば、(1)樹脂組成物を構成する全成分を混合し、これを押出機に供給して溶融混練し、ペレット状の組成物を得る方法、(2)組成物を構成する成分の一部を押出機の主フィード口から、残余成分をサイドフィード口から供給して溶融混練し、ペレット状の組成物を得る方法、(3)押出し等により一旦組成の異なるペレットを調製し、そのペレットを混合して所定の組成に調整する方法等を採用できる。
混練機は、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機等が例示される。混合・混練の各種条件や装置についても、特に制限はなく、従来公知の任意の条件から適宜選択して決定すればよい。混練はポリアセタール樹脂が溶融する温度以上、具体的にはポリアセタール樹脂の融解温度以上(一般的には180℃以上)で行うことが好ましい。
<成形品>
本実施形態の成形品は、本実施形態の樹脂組成物から形成される。本実施形態の樹脂組成物をペレタイズして得られたペレットは、各種の成形法で成形して成形品とされる。またペレットを経由せずに、押出機で溶融混練された樹脂組成物を直接、成形して成形品にすることもできる。
成形品の形状としては、特に制限はなく、成形品の用途、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、プレート状、ロッド状、シート状、フィルム状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、歯車状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状のもの等が挙げられる。本実施形態の成形品は、完成品であってもよいし、部品であってもよい。
成形品を成形する方法としては、特に制限されず、従来公知の成形法を採用でき、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、異形押出法、トランスファー成形法、中空成形法、ガスアシスト中空成形法、ブロー成形法、押出ブロー成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、回転成形法、多層成形法、2色成形法、インサート成形法、サンドイッチ成形法、発泡成形法、加圧成形法等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物は、摺動部材形成用として好ましく用いられる。従って、本実施形態の樹脂組成物から形成された成形品は、摺動部材(摺動部品)として好ましく用いられる。
摺動部材の具体的な例としては、電気・電子機器、事務機器、車両(自動車)、産業機器等で要求されている高品質化を目的とした、歯車、回転軸、軸受け、各種ギア、カム、メカニカルシールの端面材、バルブなどの弁座、Vリング、ロッドパッキン、ピストンリング、ライダーリング等のシール部材、圧縮機の回転軸、回転スリーブ、ピストン、インペラー、ローラー等の摺動部材が挙げられる。
本実施形態の摺動部材は、本実施形態の摺動部材同士はもちろん、他の樹脂製摺動部材や、繊維強化樹脂摺動部材の他、セラミックスや金属製摺動部材と組み合わせた摺動部材として用いることも可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
1.原料
表1に示す原料を用いた。
Figure 2023184214000001
2.実施例1~8、比較例1~10
<樹脂組成物(ペレット)の製造>
表2~表5に示す各成分を表2~表5に示す割合(質量部)で、川田製作所社製スーパーミキサーを用いて均一に混合した。得られた混合物をスクリュー径40mmのベント付き単軸押出機(田辺プラスチックス機械社製「VS-40」)を用いて、シリンダー温度190℃、スクリュー回転数60rpm、吐出量18kg/時間で溶融せん断混合し、樹脂組成物のペレットを製造した。
<計量時間>
住友重機械工業製射出成形機SE-30DUZを用いて、シリンダー温度190℃、金型温度80℃で各サンプルにつき20個のスラストリングの成形を行った際にモニターに表示された計量時間の最大値(単位は秒)を記録した。なお、計量時のスクリュー回転数は150rpm、背圧5MPaとした。
なお、比較例8は、計量時間が300秒を経過しても一向にスクリューが後退しなかったため、成形を断念し、計量不能とした。
結果を下記表2~5に示した。
<動摩擦係数(面圧4.9MPa)>
樹脂組成物の円筒型スラスト試験片について、炭素鋼S45Cに対する、線速度10cm/sで3分毎に3kg、5kg、10kgと5kg以降は5kgずつ面圧力を向上させて行うスラスト式摩擦摩耗試験において、処方による動摩擦係数の差が生じやすい高面圧下(荷重100kg、面圧力4.9MPa)の動摩擦係数に着目し、3分間の動摩擦係数の平均値を記録した。
結果を下記表2~5に示した。
<限界PV値(MPa・cm/s)>
樹脂組成物の円筒型スラスト試験片について、ポリアミド6の試験片に対する、線速度10cm/sで3分毎に3kg、5kg、10kgと5kg以降は5kgずつ面圧力を向上させて行うスラスト式摩擦摩耗試験を行い、摩擦熱により融着した1段階下の面圧力と速度の積を限界PV値(単位:MPa・cm/s)とした。
結果を下記表2~5に示した。
Figure 2023184214000002
Figure 2023184214000003
Figure 2023184214000004
Figure 2023184214000005
上記結果から明らかなとおり、本発明の樹脂組成物は、計量時間が短く、金属部材に対する動摩擦係数が低く、かつ、樹脂部材に対する限界PV値が高い成形品を提供可能であった(実施例1~8)。これに対し、(B)脂肪酸金属塩を含まない場合、または、含んでいても、その含有量が少ない場合(比較例1、2、7)、計量時間が長くなってしまった。また、脂肪酸金属塩を配合しても、脂肪族基の長さが短い場合(比較例10)、計量時間が長くなってしまった。一方、(C)脂肪酸フルエステルを配合しない場合(比較例4、5)、あるいは、(C)脂肪酸フルエステルを配合しても、その配合量が少ない場合(比較例3)、限界PV値が低かった。また、脂肪酸エステルを配合しても、脂肪酸フルエステル(C)ではない場合(比較例9)、限界PV値が低かった。

Claims (8)

  1. (A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、
    (B)カルシウムおよび/またはマグネシウムを含み、かつ、炭素数10~50の脂肪族基を有する脂肪酸金属塩0.3~2.5質量部と、
    (C)脂肪酸フルエステル0.3~2.5質量部を含み、
    (B)/(C)の質量比率が0.5以上5未満である、樹脂組成物。
  2. 前記脂肪酸金属塩(B)が、炭素数12~36の直鎖脂肪族基を有する脂肪酸金属塩を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記脂肪酸フルエステル(C)が、一分子中に1~4個のエステル基を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  4. 前記脂肪酸フルエステル(C)が、炭素数10~50の直鎖脂肪族基を有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  5. 前記脂肪酸金属塩(B)が、炭素数12~36の直鎖脂肪族基を有する脂肪酸金属塩を含み、
    前記脂肪酸フルエステル(C)が、一分子中に1~4個のエステル基を含み、かつ、炭素数10~50の直鎖脂肪族基を有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  6. 前記樹脂組成物を円筒型スラスト試験片に成形した試験片について、炭素鋼S45Cに対する、線速度10cm/sで3kgから3分毎に面圧力を向上させて行うスラスト式摩擦摩耗試験において、面圧力4.9MPa時の動摩擦係数が0.15以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記樹脂組成物を円筒型スラスト試験片に成形した試験片について、ポリアミド6を同様な円筒型スラスト試験片に成形した試験片に対する、線速度10cm/sで3kgから3分毎に面圧力を向上させて行うスラスト式摩擦摩耗試験において、限界PV値が29以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成された成形品。
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