JP2023184057A - 熱傷治療用の細胞及び熱傷治療方法 - Google Patents

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雅彦 荒川
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Abstract

【課題】重度熱傷の真皮欠損あるいは皮下組織欠損部で肉芽増生を有効に促進する。【解決手段】熱傷の治療に用いられ、人を含む動物の胎盤由来細胞であって、治癒を促進する熱傷治療用の細胞。【選択図】図2

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年6月20日に国立大学法人富山大学がウェブサイトにて発明を学位論文として公開
本発明は、熱傷の治療において欠損した真皮組織(皮下組織を含む)周辺を修復する細胞及び熱傷治療方法に関する。
熱傷の重症度は、面積および深さで決まる。深さは、表面の色調から深度をI~III度に分類される。II度熱傷は、真皮に達する熱傷、III度熱傷は、皮膚がすべて損傷された状態である。
熱傷深度II度で体表面積30%以上または熱傷深度III度で体表面積10%以上が重症で、救急センターでの集中治療が必要とされる。
救急外科の領域におけるIII度熱傷は、皮膚だけでなくその下の組織や神経・血管が障害を受けるために外科的治療が不可欠である。また、感染などのリスクが高くなることから一般の創傷被覆材は適応外となる。熱傷により障害を受けた部位は可能な限り早急に除去し、移植床としての肉芽の形成をみて皮膚移植を行う。
しかしながら、移植時に不可欠な移植床形成(woundbed preparation:良好な肉芽形成)が十分に行われていないために、移植した皮膚が生着し難く、敗血症などを誘発して病状の悪化・死亡という問題をしばしば引き起こしている。
非特許文献1(一般社団法人日本熱傷学会から刊行されている「熱傷診療ガイドライン〔改訂第2 版〕、2015年」)によれば、創傷被覆材の報告はII度熱傷に対するものであり、III度熱傷創に創傷被覆材を用いるという積極的なエビデンスは無い。なお、熱傷に用いられる創傷被覆材は、フォーム材、ファイバー材、コロイド材に大別され、形状や滲出液の吸収度で使い分けている。いずれも良好な肉芽形成を目的とするものである。
なお、羊膜は、コラーゲンと弾性線維で構成された強靱な生体膜であり、生羊膜は、外傷や熱傷に対する有用な被覆材料として報告されている(非特許文献2)。
しかし、必要なときにすぐに手に入らないこと、保存や取り扱いが煩雑であったことから実際の臨床では限定的な使用にとどまっていた。これに対して、特定の乾燥処理により製造される乾燥羊膜(ハイパードライヒト乾燥羊膜:以下、HD-AM)が報告されている(特許文献1、非特許文献3)。HD-AMを用いた肉芽形成について報告もある(特許文献2)。
特開2007-54015号公報 特開2021-020868号公報 国際公開第2013/077428号
熱傷診療ガイドライン 改訂第2 版 2015年 一般社団法人日本熱傷学会 Gruss, J. S. & Jirsch, D. W. Human amniotic membrane: A versatile wound dressing. Can. Med. Assoc. J. 118, 1237-1246 (1978). Okabe, M. et al. Hyperdry human amniotic membrane is useful material for tissue engineering: Physical, morphological properties, and safety as the new biological material. J. Biomed. Mater. Res. - Part A 102, 862-870 (2014).
上述してきたように、これまでIII度熱傷に対する治療方法には感染を予防し、良好な肉芽形成を促進する効果を持つものは無く、患者側の生命力、免疫力に頼らざるを得ないのが現状である。
III度熱傷に対する処置には、早期に肉芽を増生させる必要があるものの、効果のあるものがない。
このため、早期に良好な肉芽を形成し、感染をおこすことなく早期に皮膚移植を行ことが、重傷熱傷患者の延命に有効に働く。
発明者らは、熱傷深度II度~III度の熱傷モデル動物を作成し、胎盤由来細胞が、熱傷モデル動物の真皮欠損あるいは皮下組織欠損部で肉芽増生を有効に促進できることを組織学的、免疫化学的、分子生物学的に確かめることにより本発明に想到した。
本発明にかかる熱傷治療用の細胞によれば、熱傷の治療に用いられ、人を含む動物の胎盤由来細胞であって、治癒を促進することを特徴としている。
この構成を採用することによって、特に重症熱傷患者の真皮欠損部あるいは皮下組織の再生に用いられる細胞として用いる場合、重症熱傷の創傷部位における炎症性サイトカインや増殖因子などの生理活性物質の分泌を促進させ、その炎症性サイトカインにより、外部からの異物による感染を防御するとともに、これらにより、IL-6、IFN-γ、IL-10やCOX2(PGE2)の分泌を促すなどの能動的な作用により、重症熱傷における創傷治癒を促進する。また、倫理的問題が少なく、かつ、他家移植による免疫拒絶反応が少ない安全な再生医療が可能である。
また、羊膜間葉系幹細胞を含むことを特徴としてもよい。
この構成によれば、高い分化能と増殖能を有し、重症熱傷における創傷治癒を促進する。
また、熱傷の処置において熱傷用の組織再生として用いられ、肉芽形成を促進することを特徴としてもよい。
また、熱傷用の組織再生および抗菌・抗炎症作用を持つ細胞であることを特徴としてもよい。
また、熱傷創傷部に滴下するために溶媒に含まれていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、熱傷創傷部への胎盤由来細胞の配置が容易である。
また、前記溶媒は高粘性を有することを特徴としてもよい。
この構成によれば、熱傷創傷部から胎盤由来細胞が流れ落ちることを防止できる。
また、熱傷がII度および/またはIII度の熱傷であることを特徴としてもよい。
この構成によれば、特に重症熱傷患者の真皮欠損部あるいは皮下組織の再生に用いられ、重症熱傷の創傷部位における炎症性サイトカインや増殖因子などの生理活性物質の分泌を促進させ、その炎症性サイトカインにより、外部からの異物による感染を防御するとともに、これらにより、IL-6、IFN-γ、IL-10やCOX2(PGE2)の分泌を促すなどの能動的な作用により、重症熱傷における創傷治癒を促進する。
また、熱傷用被覆材および/または熱傷用再生足場材と共に、または単独で用いることが可能な細胞であることを特徴してもよい。
また、前記熱傷用被覆材および/または前記熱傷用再生足場材は、人を含む動物の胎児を包む生羊膜を乾燥処理して得た乾燥羊膜であって、大気中で保存できるように乾燥されており、かつ水又は緩衝液に浸漬して再水和した際に生羊膜を構成する上皮細胞、基底膜、及び結合組織が保持されている乾燥羊膜であることを特徴としてもよい。
この構成によれば、乾燥羊膜が細胞の足場(scaffold)としての機能、成長因子や細胞遊走系ケモカインの誘導、そしてM2マクロファージへの分化調整による局所での抗炎症や組織再生の促進が可能である。
本発明にかかる熱傷治療方法によれば、人を含む動物の胎盤由来細胞を、熱傷創傷部に配置することにより治癒を促進することを特徴としている。
この方法によれば、特に重症熱傷患者の真皮欠損部あるいは皮下組織の再生に用いられる細胞として用いる場合、重症熱傷の創傷部位における炎症性サイトカインや増殖因子などの生理活性物質の分泌を促進させ、その炎症性サイトカインにより、外部からの異物による感染を防御するとともに、これらにより、IL-6、IFN-γ、IL-10やCOX2(PGE2)の分泌を促すなどの能動的な作用により、重症熱傷における創傷治癒を促進する。また、倫理的問題が少なく、かつ、他家移植による免疫拒絶反応が少ない安全な再生医療が可能である。
また、前記胎盤由来細胞は、羊膜間葉系幹細胞を含むことを特徴としてもよい。
この構成によれば、高い分化能と増殖能を有し、重症熱傷における創傷治癒を促進する。
また、前記胎盤由来細胞を溶媒に混ぜて熱傷創傷部に滴下することを特徴としてもよい。
また、前記胎盤由来細胞を溶媒50μL中100個以上含有させることを特徴としてもよい。
また、前記胎盤由来細胞を溶媒50μL中30万個含有させることを特徴としてもよい。
また、前記溶媒は、高粘性を有することを特徴としてもよい。
この方法によれば、胎盤由来細胞を含んだ溶媒が、熱傷創傷部から流れ落ちてしまうことを防止できる。
また、人を含む動物の胎盤由来細胞を、熱傷創傷部に配置し、その上から人を含む動物の胎児を包む生羊膜を乾燥処理して得た乾燥羊膜であって、大気中で保存できるように乾燥されており、かつ水又は緩衝液に浸漬して再水和した際に生羊膜を構成する上皮細胞、基底膜、及び結合組織が保持されている乾燥羊膜を配置することを特徴としてもよい。
この方法によれば、乾燥羊膜が細胞の足場(scaffold)としての機能、成長因子や細胞遊走系ケモカインの誘導、そしてM2マクロファージへの分化調整による局所での抗炎症や組織再生の促進が可能である。
また、熱傷がII度および/またはIII度の熱傷であることを特徴としてもよい。
この方法によれば、特に重症熱傷患者の真皮欠損部あるいは皮下組織の再生に用いられ、重症熱傷の創傷部位における炎症性サイトカインや増殖因子などの生理活性物質の分泌を促進させ、その炎症性サイトカインにより、外部からの異物による感染を防御するとともに、これらにより、IL-6、IFN-γ、IL-10やCOX2(PGE2)の分泌を促すなどの能動的な作用により、重症熱傷における創傷治癒を促進する。
本発明にかかる熱傷治療用の細胞及び熱傷治療方法によれば、重度の熱傷創傷部における治癒を促進することができる。
実験マウスモデルとHD‐AMの応用を説明する図である。(A)、(B)実験用マウスの熱傷部位の作成を示す図である。(C)III度熱傷実験モデルとしての正当性を示す図である。 HD-AMと胎盤由来細胞の適用を説明する図である(Control群:HD-AMおよび胎盤由来細胞を使用していないマウスの模式図、Cell群:胎盤由来細胞を使用したマウスの模式図、HD-AM群:HD-AMを使用したマウスの模式図、HD-AM/Cell群:HD-AMおよび胎盤由来細胞を使用したマウスの模式図)。 肉芽組織の厚さを測定する方法の模式図である。(A)熱傷受傷後、結合組織を選択的に染色するアザン染色法により染色した組織を経時的に観察した図である。(B)熱傷受傷後の処置で、形成された肉芽の厚さを計測する方法を示した模式図である。 定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(q RT-PCR)で使用したプライマーを示す表である。 受傷後の処置での経時的な肉芽形成の顕微鏡写真および肉芽組織の厚さの平均を比較するグラフである。(A)Control群、Cell群、HD-AM群、HD-AM/Cell群治療後1、4、7日目(POD1、POD4、POD7)の顕微鏡写真。肉芽組織の厚さは黒色の矢印で示す。(B)肉芽組織の厚さの平均値を比較するグラフである。 肉芽組織内の血管形成を説明する図である。 (A)POD4の血管新生の状態を示す写真である。(B)POD7の血管新生の状態を示す写真である。(C)肉芽組織内に形成された血管の測定部位および測定値の平均を比較したグラフである。 炎症および抗炎症系サイトカインをquantitative RT-PCRを用いて比較したグラフである。(A)炎症に関与するサイトカインのmRNAの発現を示すグラフである。(B)炎症性サイトカインIL-6のmRNAの発現およびIL-6の分布を示すグラフおよび写真である。(C)抗炎症に関与するTypeIIマクロファージマーカー(CD163)のmRNAの発現およびTypeIIマクロファージの分布を示すグラフおよび写真である。(D)炎症性サイトカインIL-10のmRNAの発現およびIL-10の分布を示すグラフおよび写真である。 乾燥羊膜(HD-AM)を作成する乾燥装置を示す図である。
(胎盤由来細胞)
まず、胎盤由来細胞について説明する。胎盤由来細胞とは、以下の実験では羊膜間葉系細胞および羊膜間葉系幹細胞であるが、これらに限定するものではない。
羊膜は、外胚葉由来の上皮細胞と中胚葉由来の間葉系細胞から構成される胚体外組織であり、多能性幹細胞としての特性を有する細胞群を含有する。羊膜は、出産後の排泄物として廃棄されるものであるので、生体材料として使用する上での倫理的問題が少ない。また、羊膜は、免疫学的にも特殊な性質を有しており、免疫原性が低いため、他家移植による免疫拒絶反応も比較的穏やかである。
胎盤由来細胞は、人を含む哺乳動物の羊膜から採取されるが、羊膜は上皮細胞と間葉系細胞とから構成されており、羊膜から間葉系細胞の細胞集団を採取するには、羊膜から上皮細胞を取り除き、分離操作を行えばよい。間葉系細胞の細胞集団の採取は、例えば特開2003-231639号公報に記載される方法に準じて行うことができる。
なお、人の羊膜は、例えばインフォームドコンセントを得た妊婦から、帝王切開により採取することができる。
採取された羊膜間葉系細胞の細胞集団には、種々の増殖能、寿命、性質を有する細胞が混在している。そのため、一般的な培養条件において間葉系細胞の細胞集団について維持培養を行った場合には、間葉系細胞の細胞集団に含まれる細胞のうち、培養開始初期に接着し、増殖を開始する上皮様の細胞が培養面の大半を占拠してしまうことにより、それよりも遅れて増殖を開始する羊膜間葉系幹細胞は、増殖できずに駆逐されてしまい、単離することができない。
そこで、採取された羊膜間葉系細胞の細胞集団から羊膜間葉系幹細胞の細胞集団を調製するには、例えば国際公開第2013/077428号に記載された方法に準じて行うことができる。
羊膜間葉系幹細胞の細胞集団は、紡錘状の形態を有する細胞を含み、かつ、高い増殖能を有し、好ましくは50回以上の細胞分裂(population doublings)が可能である。
胎盤由来細胞を熱傷の処置に用いる場合、例えば溶媒50μLあたりに100個以上の胎盤由来細胞を含有させ、好ましくは溶媒50μLあたりに30万個の胎盤由来細胞を含有させ、熱傷創傷部に胎盤由来細胞が含有した溶液を滴下することにより熱傷部位に胎盤由来細胞を配置することができる。
また、胎盤由来細胞を含有した溶液を熱傷創傷部に滴下する場合、胎盤由来細胞を含有した溶液が流れないように、胎盤由来細胞を含有した溶液を熱傷創傷部に滴下した上から、絆創膏などの創傷被覆材を熱傷創傷部に貼り付けるとよい。ただし、III度熱傷の場合は、一般の創傷被覆材は適用できない場合もあるため、後述する乾燥羊膜(HD-AM)を、胎盤由来細胞が含有した溶液が流れないようにする被覆材として採用することができる。なお、胎盤由来細胞を、流動性を失わない程度に高粘性を有する溶媒に含ませることにより、胎盤由来細胞を含有した溶液が熱傷創傷部から流れ落ちないようにできる。胎盤由来細胞を、高粘性を有する溶媒に含ませる場合、粘性が高いほど溶媒あたりに含ませる細胞数を少なくしてもよい。
そして、胎盤由来細胞を熱傷の治療に用いる場合、胎盤由来細胞を単独で用いてもよいし、後述する乾燥羊膜(HD-AM)と併用してもよい。
(乾燥羊膜)
特定の乾燥処理(ハイパードライ)により製造される乾燥羊膜とは、例えば、特許文献1に記載された乾燥羊膜である。すなわち、処理槽内に載置した生羊膜を処理槽内に設けた赤外線ヒーターによって連続して加温して、処理槽内を減圧状態とする減圧操作と、減圧状態の処理槽内を僅かに大気圧側に上昇させる復圧操作時に、この生羊膜に処理槽内に設けたマイクロ波発生装置からもマイクロ波を照射して羊膜中に存在する水分子にエネルギーを加えつつ乾燥を行う。これを複数回繰り返すことによって製造される乾燥羊膜(HD-AM)は、羊膜細胞自体は不活化されるが、その細胞・組織構造が保持される。具体的には、乾燥羊膜(HD-AM)は大気中で保存できるように乾燥されており、かつ水又は緩衝液に浸漬して再水和した羊膜には、生羊膜を構成する上皮細胞、基底膜、及び結合組織が保持されているものである。
(胎盤由来細胞と乾燥羊膜の併用)
救急外科の領域におけるIII度熱傷は、皮膚だけでなくその下の組織や神経・血管が障害を受けるために、外科的治療が不可欠である。感染などのリスクが高くなることから、一般の創傷被覆材は適応外となる。熱傷により障害された部位は可能な限り早急に除去し、移植床としての肉芽の形成をみて、皮膚移植を行う。
しかしながら、移植時に不可欠な移植床形成(woundbed preparation:良好な肉芽形成)が十分に行われていないために、移植した皮膚が生着し難く、敗血症などを誘発し病状の悪化・死亡という問題をしばしば引き起こしている。
そこで、本実施形態では、胎盤由来細胞単独でまたはHD-AMを併用して、良好な肉芽組織の形成について実験を行った。
そして、HD-AMを被覆材および足場材として重傷熱傷の創部に配置することによって、TypeIマクロファージを含む炎症性効果細胞の出現と共に炎症性サイトカインの一過性の上昇による感染症の防御および血管新生を促進し、その後それらの減少およびTypeIIマクロファージの出現と共に抗炎症性サイトカインの上昇に転じることで良質な肉芽形成などの能動的な作用を促す。
本実施形態では、HD-AMを被覆材および足場材に用いるにあたり、例えば、一般の創傷被覆材が使用できない熱傷あるいは重傷熱傷などの創傷部位に合わせ、はさみ等で適切な形状に成型すればよく、また、被覆したHD-AMには、滲出液などを体外に排出させるためのドレナージ孔を作製するとよい。
(動物での熱傷モデルの作成)
図1および図2に実験モデルマウスとHD‐AMの応用を説明する図を示す。
マウスを麻酔して腹臥位にしたのちに、四肢を固定する。次に、背部の皮膚を剃毛し、脱毛クリームにて上毛する。次に、背部にチューブを用いて(図1A)、10mmの範囲を90度10秒間、熱湯に暴露し、φ=10mmのサイズで背部中央に(図1B)III度熱傷創を形成した。
図1CにIII度熱傷実験モデルにおいて、90度10秒間の熱湯処理後、暴露皮膚が直後には蒼白となり、7日目には皮膚全層が壊死、脱落する像を示す。この結果から、本実験モデルがIII度熱傷モデルとして、妥当であると判断し、肉芽形成など熱傷治療の効果を検討するIII度熱傷モデルとした。
なお、実験動物の取り扱いは、National Institutes of Health のガイドラインに従い、富山大学動物実験委員会の許可を得た。また、実験は富山大学動物実験委員会の指針に従って行った。
本方法は、投入する熱湯の温度および熱湯の暴露時間を変えることにより熱傷の深達度を調製する事ができるだけでなく、使用するチューブの径を変えることにより、熱傷の受傷面積を変えることができる。これにより、これまで高価な機器を利用して作成していた熱傷を安価な材料で、簡単にかつ安定して必要に応じた熱傷モデルを作成することが可能となる。
(HD-AMおよび/または胎盤由来細胞を用いた熱傷治療)
図2に熱傷治療において、HD-AMおよび/または胎盤由来細胞を用いた説明図を示す。
なお、以下の説明では、胎盤由来細胞として羊膜間葉系幹細胞を用いた事例について説明している。
実験では胎盤由来細胞を使用した群 (Cell群)、HD-AMを使用した群(HD-AM群)、HD-AMおよび胎盤由来細胞を使用した群 (HD-AM /Cell群)、対照群としてどちらも使用しない群(Control群)の4群を作成した。
各群はそれぞれ6匹のマウスで、それぞれ術後1日(POD 1)、術後4日(POD4)、と術後7日(POD7)で評価したため、合計72匹のマウスを用いた。
Control群ではマウスモデルの熱傷創部(Wall of exposed bowel)を、ポリウレタンフォームの被覆材 (Tegaderm(登録商標)Diamond transparent film(登録商標)、3M Deutschiand GmbH Health Care Business, Germany)で被覆し、さらにステンレスメッシュ (0.06mmφ、150mesh)でカバーした。
Cell群ではマウスモデルの熱傷創部(Wall of exposed bowel)に、胎盤由来細胞が30万個含有した溶液50μLを滴下し、その上をポリウレタンフォームの被覆材 (Tegaderm(登録商標)Diamond transparent film(登録商標)、3M Deutschiand GmbH Health Care Business, Germany)で被覆し、さらにステンレスメッシュ (0.06mmφ、150mesh)でカバーした。
HD-AM群ではマウスモデルの熱傷創部(Wall of exposed bowel)に、HD-AMを配置し、その上をポリウレタンフォームの被覆材 (Tegaderm(登録商標)Diamond transparent film(登録商標)、3M Deutschiand GmbH Health Care Business, Germany)で被覆し、さらにステンレスメッシュ (0.06mmφ、150mesh)でカバーした。
HD-AM /Cell群ではマウスモデルの熱傷創部(Wall of exposed bowel)に、胎盤由来細胞が30万個含有した溶液50μLを滴下し、その上にHD-AMを配置し、その上をポリウレタンフォームの被覆材 (Tegaderm(登録商標)Diamond transparent film(登録商標)、3M Deutschiand GmbH Health Care Business, Germany)で被覆し、さらにステンレスメッシュ (0.06mmφ、150mesh)でカバーした。
なお、胎盤由来細胞を含有させる溶媒とは、生理食塩水(saline)、またはリン酸緩衝液(Phosphate-buffered saline:PBS)を用いることができる。
さらに、胎盤由来細胞が熱傷による創部から流れ落ちないように、胎盤由来細胞を、細胞培養用の培地またはゼリー状の培地に含有させるとよい。細胞培養用のゼリー状の培地とは例えば寒天を用いることができる。ゼリー状とは、流動性を失っていない高粘性の流体をいう。生理食塩水(saline)、またはリン酸緩衝液(Phosphate-buffered saline:PBS)に対して粘性を付加してもよい。
なお、ステンレスメッシュはHD-AMや創傷被覆材等がマウスの行動によって逸脱しないようにカバーしたものである。
(組織学的および免疫組織化学的染色)
組織学的な観察のため、POD 1、POD 4およびPOD 7に各マウスから熱傷創傷部を採取し、パラフィン包埋した。パラフィンブロックから薄切した切片をヘマトキシリン-エオジン(H&E)およびアザン染色法にて染色した。また、CD31、αSMA 、IL-6、CD163、IL-10に対する免疫組織化学的染色を行った。染色された組織を、Leica(登録商標) DMRBE顕微鏡(Leica、Wetzlar、Germany)およびDP73 system(Olympus、Tokyo、Japan)を用いて撮影した。
(熱傷の治療部位における肉芽組織(再生部)の測定)
図3に肉芽組織の厚さを測定する方法の模式図を示す。図3Aは、熱傷受傷後、結合組織を選択的に染色するアザン染色法により染色した組織を経時的に観察した図であり、HD-AM直下の組織を組織1とし、コラーゲン層より上層を組織2とし、コラーゲン層より下層を組織3とした。
図3Bは、熱傷受傷後の処置で、創傷部に形成された肉芽組織の厚さを計測する部位を示した模式図である。
なお、図3Aにおいて、組織1・2・3を区別し、組織3に新たに構築される肉芽組織を測定した。図3Bの模式図では組織3はadipose tissue(脂肪組織)の上層にあることを示す。
アザン染色はコラーゲン線維とフィブリンとを区別し、新たに構築された肉芽組織の観察を容易にした。コラーゲン線維を含有する肉芽組織の厚さは、Olympus(登録商標) CellSens(登録商標)イメージングプログラム(バージョン1.7; Olympus、Tokyo、Japan)を用いて測定した。
治療後4日目(POD4)において、HD-AM添付の有無に関わりなく、周囲の正常組織の皮下組織と筋層の間から一層のコラーゲン膜の出現が認められた。この膜を境に浸潤細胞の動向および肉芽形成が観察されたことから、図3Aのように、各領域を決定した。
図3Bのように、これらの領域における変化を経時的に観察し、測定部位は上皮欠損断端部a、上皮欠損断端の中央部b、aとbの中点部cの3点とし、これら3点a、b、cにおける組織3に形成される肉芽組織の厚さを測定し、その平均値を肉芽形成組織の厚さとした。
(定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR))
図4に定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(q RT-PCR)で使用したプライマーの配列を示す。
熱傷による創傷部における肉芽組織中のmRNAを抽出するために、各試料から標的部位を選択的に採取した。採取する際には、どの検体も同様に肉芽組織を切離し、それらが採取部位や範囲の差異に影響されないように解剖学的に可能な限り一定にするようにした。Isogen II(Nippon Gene Co. LTD., Tokyo, Japan)を使用して、製造元の指示に従って全mRNAを組織から抽出した。そのmRNAの一部3μgを室温で15分間、デオキシリボヌクレアーゼI(DNase I、Sigma-Aldrich, Inc., Tokyo, Japan)で処理した。 Rever Tra Ace qPCR RT Kit(Toyobo Co., Ltd.,Osaka, Japan)を用いて500ngのDNアーゼI処理RNAを用いてcDNAを合成した。遺伝子発現は、Mx3000P定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)システム(Stratagene; Agilent Technologies Japan Ltd, Japan)を用いて、Brilliant SYBR Green QRT-PCR Mix(Stratagene; Agilent Technologies Japan Ltd. Japan)を用いてリアルタイムRT-PCR分析により定量した。
POD1、POD4およびPOD7において6匹のマウス/群ごとにmRNAを抽出し、TypeIマクロファージが産生するinducible nitric oxide synthase(iNOS)、TypeIIマクロファージの指標であるCD163、炎症性サイトカインであるIL-6、IFN-γ、血管新生に関与するPGE2を誘導するCOX-2についてsingleで測定した。
サイトカインの変動が術後変化であることを明確にするために、モデルマウス6匹を作成した直後に組織を採取し、POD0として手術直後における各プライマーのmRNA発現量を調べた。各mRNAの発現量はGAPDHを内部コントロールとして補正し、POD7のControl群の平均値を基準として相対比較した。
(熱傷の治療部位における肉芽組織の厚さを評価)
図5に受傷後の治療での代表的な顕微鏡写真と肉芽組織の測定平均厚さを比較するグラフを示す。
図5Aは、Control群、Cell群、HD-AM群、HD-AM/Cell群の治療後1、4、7日目(POD1、POD4、POD7)の各群の代表的な顕微鏡写真である。各群の創傷部における肉芽組織の厚さは黒色の矢印で示す。
図5Bは、測定した肉芽組織の平均値を比較したグラフである。
POD1では、いずれの群もほとんど肉芽組織が認められない。
POD4では、処置群間では肉芽組織の厚さに差は認められなかった。
POD7では、HD-AM/Cell群の肉芽組織は他の群と比較して有意に厚い肉芽組織を示した(n=5、* p<0.05、** p<0.01)。
(形成された肉芽組織内の血管形成)
図6に、肉芽組織内の血管形成を説明する写真を示す。
図6Aは、Control群以外の各群におけるPOD4の血管新生の状態を示す。全体として肉芽組織内にCD31陽性細胞、α-SMA陽性細胞が観察された。
Cell群及びHD-AM/Cell群では、CD31陽性細胞が血管内腔を構成し、α-SMA陽性細胞が周囲を取り囲む像が観察された。
HD-AM群では、CD31陽性細胞は存在するが血管内腔は観察されなかった。
図6Bは、Control群以外の各群におけるPOD7の血管新生の状態を示す。
HD-AM群ではCD31陽性細胞とα-SMA陽性細胞が集約し、肉芽内に血管を造る像が観察された。
Cell群、HD-AM/Cell群ではこれらの細胞の数は減少し、完全な血管として走行している像が観察された。Cell群、HD-AM/Cell群はHD-AM群に比べてより深層での血管形成が観察された。
図6Cは、肉芽組織内の血管形成の比較を示す。左側の写真は、20倍対物レンズで肉芽組織を拡大表示した例を示しており、一視野に存在するCD31陽性細胞によって形成されている血管の内周の長さをPOD4、POD7における各群で測定した。測定した結果が右側のグラフである。
POD4のグラフを見ると、POD4ではControl群における血管の長さは極めて短く0に近い値であるが、Cell群、HD-AM群 、HD-AM/Cell群で有為に血管の長さが増加した。Cell群では1500μm程度、HD-AM群では1100μm程度、HD-AM/Cell群では2500μm程度の長さである。
POD7で血管の長さが有為に増加したのはCell群であり、5700μm程度の長さである。Cell群、HD-AM/Cell群において、血管の数は少ないが広い領域(表層から深層にかけて)での血管走行が観察された。
(TypeIマクロファージおよびTypeIIマクロファージマーカー関連mRNAの発現パターンと、炎症性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインのmRNAの発現パターンの治癒過程における比較)
図7に、炎症に関与する細胞のマーカーおよびサイトカインのmRNAの発現を示す。
iNOS(TypeI マクロファージ)の発現量は、POD4のcell群、HD-AM群、HD-AM/cell群で増加する傾向にあり、HD-AM/Cell群 >Cell群 >HD-AM群の傾向がみられた。POD7では全ての群でiNOS(TypeI マクロファージ)の発現が低下する傾向にあった。
COX-2(PGE2)の発現量は、POD4ですべての群で発現量が増加する傾向にあった。POD7ではcontrol群以外で発現量が低下する傾向にあった。このように、血管新生を引き起こすPGE2の生成過程で上流に存在するCOX2は、免疫組織化学(CD31およびαSMA)の結果を裏付けるようにPOD4で増加し、POD7で全ての群で減少する傾向にあった。
炎症性サイトカインIFN-γの発現量は、POD4ではcontrol群、HD-AM群に比べてcell群、HD-AM/cell群で発現量が高い傾向にあった。POD7では全ての群で発現が低下する傾向にあった。
図7Bに、炎症性サイトカインIL-6のmRNAの発現およびIL-6の分布を示す。
IL-6 mRNAの発現量は、すべての群でPOD1に比べてPOD4で発現が増加し、POD7では発現が低下する傾向にあった。
免疫組織化学染色の結果(POD4、cell群)、IL-6陽性細胞は肉芽組織内にびまん性に存在していた。
図7Cに、TypeIIマクロファージマーカー関連mRNA(CD163)の発現パターンおよびCD163陽性細胞の分布を示す。
CD163(TypeII Mφ)の発現量は、POD1ではほとんど発現がなかったものの、POD4ではすべての群で発現が増加する傾向にあった。POD7ではHD-AM群では発現が増加する傾向にあった。
また右側に免疫組織化学染色した肉芽組織(POD7、HD-AM/cell群)を示すが、これによるとPOD7では新たに形成された肉芽組織にCD163陽性細胞が顕著に観察された。
図7Dに、炎症性サイトカインIL-10のmRNAの発現およびIL-10の分布を示す。
IL-10 mRNAの発現量が、POD7では、control群とHD-AM群に比べ、HD-AM/cell群で有意に発現が高かった。
上述してきた実験結果より、重度の熱傷であるIII度熱傷に対し、胎盤由来細胞の単独またはHD-AMとの併用において、皮下組織上に血管に富んだ肉芽形成が促進されていることが示された。
(HD-AMの製造)
図8に示す乾燥装置を用いて下記の真空・遠赤外線・マイクロ波照射の各装置の条件において、生羊膜を乾燥させて乾燥羊膜(HD-AM)を生成した。
処理槽10内の回転テーブル12に載置した生羊膜を、処理槽10内に設けた遠赤外線ヒーター14によって連続して加温して、処理槽10内を減圧状態とする減圧操作と、減圧状態の処理槽10内を僅かに大気圧側に上昇させる復圧操作時に、この生羊膜に処理槽内に設けたマイクロ波照射装置30からもマイクロ波を照射して羊膜中に存在する水分子にエネルギーを加えつつ乾燥を行う。これを複数回繰り返すことによって細胞・組織構造を保持しつつ乾燥させた羊膜は、保存性が向上すると共に、取り扱いがしやすい。
・乾燥槽加温:50℃、F.I.R:50℃、ストップ弁:37%、最高到達圧力0.34kPa 空運転最高到達圧力0.33kPa
・乾燥処理の方法
(1)減圧 180sec
(2)復圧 30sec(ストップ弁開度37%)
マイクロ波投入 0.1kw-180sec(復圧は継続)
(3)減圧 180sec
(4)以降、(2)・(3)の繰返し
(5)乾燥終了は、(3)の180sec減圧後到達圧力を確認し(0.30~0.35 kPa)、手動にて行う。
大気圧まで復圧し終了。
人を含む動物の胎盤由来細胞は、特に重度の熱傷の治療において再生医療用材料として用いられる。また、医療機器としての乾燥羊膜を、胎盤由来細胞と併用して用いることにより、胎盤由来細胞を配置した重症熱傷患者の真皮欠損部あるいは皮下組織を被覆することができるとともに、皮膚移植を行うための組織再生(血管新生を伴う良好な肉芽形成)に使用することで、III度熱傷等で必須な皮膚移植を早期に実現可能である。さらに、熱傷創傷部の感染を防ぐ目的で使用することで、患者の生存率・治療効果(ケイロイドの心配がないこと)を高めることができる。
10 処理槽
12 回転テーブル
14 遠赤外線ヒータ
16 モータ
18 真空ポンプ
20 電磁弁
22 減圧配管
24 フィルター
28 復圧配管
30 マイクロ波照射装置

Claims (17)

  1. 熱傷の治療に用いられ、人を含む動物の胎盤由来細胞であって、治癒を促進することを特徴とする熱傷治療用の細胞。
  2. 羊膜間葉系幹細胞を含むことを特徴とする請求項1記載の熱傷治療用の細胞。
  3. 熱傷の処置において熱傷用の組織再生として用いられ、肉芽形成を促進することを特徴とする請求項1記載の熱傷治療用の細胞。
  4. 熱傷用の組織再生および抗菌・抗炎症作用を持つ細胞であることを特徴とする請求項1記載の熱傷治療用の細胞。
  5. 熱傷創傷部に滴下するために溶媒に含まれていることを特徴とする請求項1記載の熱傷治療用の細胞。
  6. 前記溶媒は高粘性を有することを特徴とする請求項5記載の熱傷治療用の細胞。
  7. 熱傷がII度および/またはIII度の熱傷である請求項1記載の熱傷治療用の細胞。
  8. 熱傷用被覆材および/または熱傷用再生足場材と共に、または単独で用いることが可能な細胞であることを特徴とする請求項1記載の熱傷治療用の細胞。
  9. 前記熱傷用被覆材および/または前記熱傷用再生足場材は、人を含む動物の胎児を包む生羊膜を乾燥処理して得た乾燥羊膜であって、大気中で保存できるように乾燥されており、かつ水又は緩衝液に浸漬して再水和した際に生羊膜を構成する上皮細胞、基底膜、及び結合組織が保持されている乾燥羊膜であることを特徴とする請求項8記載の熱傷治療用の細胞。
  10. 人を含む動物の胎盤由来細胞を、熱傷創傷部に配置することにより治癒を促進することを特徴とする熱傷治療方法。
  11. 前記胎盤由来細胞は、羊膜間葉系幹細胞を含むことを特徴とする請求項10記載の熱傷治療方法。
  12. 前記胎盤由来細胞を溶媒に混ぜて熱傷創傷部に滴下することを特徴とする請求項10記載の熱傷治療方法。
  13. 前記胎盤由来細胞を溶媒50μL中100個以上含有させることを特徴とする請求項12記載の熱傷治療方法。
  14. 前記胎盤由来細胞を溶媒50μL中30万個含有させることを特徴とする請求項13記載の熱傷治療方法。
  15. 前記溶媒は、高粘性を有することを特徴とする請求項12記載の熱傷治療方法。
  16. 人を含む動物の胎盤由来細胞を、熱傷創傷部に配置し、その上から人を含む動物の胎児を包む生羊膜を乾燥処理して得た乾燥羊膜であって、大気中で保存できるように乾燥されており、かつ水又は緩衝液に浸漬して再水和した際に生羊膜を構成する上皮細胞、基底膜、及び結合組織が保持されている乾燥羊膜を配置することを特徴とする請求項10記載の熱傷治療方法。
  17. 熱傷がII度および/またはIII度の熱傷である請求項10記載の熱傷治療方法。
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