JP2023182284A - 床排水構造及び床排水構造の施工方法 - Google Patents

床排水構造及び床排水構造の施工方法 Download PDF

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岳樹 松本
Dakejiyu Matsumoto
幸 ▲高▼野
Miyuki Takano
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Abstract

【課題】施工の手間がかからず、安定した品質の水勾配が設けられることで、水勾配部分に水溜まりができにくい床排水構造を提供する。【解決手段】床排水構造11では、一体型排水トラップ40が床構造物20の排水用孔30に設けられ、一体型排水トラップ40の上端の開口部41aによって排水口24が形成されている。一体型排水トラップ40の上端部には、本体部41の側方に突出する勾配床部52が設けられ、排水口の周囲には勾配床部52を設置する設置凹部26が設けられている。勾配床部52は、目皿43の周囲から外周側ほど厚くなり、かつ外周側ほど上方に延びるように傾斜する上面55を有している。【選択図】 図1

Description

本発明は、床排水構造及び床排水構造の施工方法に関する。
厨房、食品工場、屋外施設やビル等の各種施設に設けられたトイレ、洗面及び浴場、マンションやアパートの屋外通路といった、床に溜まった水を排水する必要がある箇所には、一般に排水口を有する床排水構造が設けられる。排水口には、排水トラップが埋め込まれており、排水トラップに排水管が接続される(例えば特許文献1参照)。排水口が設けられるような床の上面は、特許文献1に示されているように、排水口に設けられた排水目皿の上面と略面一に形成されている。
特開2005-290944号公報
床の上面が排水目皿の上面と略面一に形成された場合、床に溜まった水を排水口に集めづらく、床に水溜まりができてしまう。床に存在する水溜まりは不衛生なことから、排水口の周囲の水を排水口に集めやすくするため、排水口の周辺に水勾配が設けられる場合がある。その場合、左官工がコテを使って床の表面を仕上げることになる。しかしながら、連続して傾斜する勾配の形成には熟練した技術が必要となるため、左官工の技能に品質が左右されてしまい、水勾配部分に水溜まりができやすく、施工の手間もかかる。
本発明は、この課題に鑑みてなされたものであり、施工の手間がかからず、安定した品質の水勾配が設けられることで、水勾配部分に水溜まりができにくい床排水構造を提供することを主たる目的とする。
上記課題を解決すべく、第1の発明は、
筒状をなす本体部と、上方に向けて開口する排水用開口部と、前記排水用開口部に設けられる目皿とを備えた排水トラップが床構造物の排水用孔に設けられ、前記排水用開口部が排水口を形成している床排水構造であって、
前記本体部の全周にわたり当該本体部の側方に突出する勾配床部と、
前記排水口の周囲全域に設けられ、前記勾配床部を設置する設置凹部と、
を備え、
前記勾配床部は、水平な下面と、前記目皿の周縁から外周側ほど厚くなり、かつ外周側ほど上方に延びるように傾斜する上面とを有しており、
前記設置凹部は前記勾配床部の下面が載置される水平な底面を有し、前記勾配床部の外周端の高さは、前記底面と前記床構造物の上面との間の高さと同じに設定されている。
第2の発明の床排水構造では、前記排水トラップの本体部及び前記勾配床部は鋳鉄製であって、鋳造によって一体成形されている。
第3の発明の床排水構造では、前記排水トラップの本体部及び前記勾配床部は鋳鉄製であって、両者は別々に形成されており、
前記勾配床部の中心部には前記本体部の上端部を挿入する本体挿入孔が設けられ、
前記本体挿入孔の内面と前記本体部の上端部とは、凹凸を組み合わせて一体化されている。
第4の発明の床排水構造では、前記勾配床部及び前記設置凹部は、平面視において四角形状をなしている。
第5の発明は、上記第2の発明の床排水構造の施工方法であって、
排水用孔を形成しつつ床構造層及び防水層を順に施工する工程と、
前記排水用孔の周囲全域に前記設置凹部を形成しつつ、前記防水層の上に押さえ層を施工する工程と、
前記排水用孔に前記排水トラップの本体部を挿入し、前記勾配床部の下面を前記設置凹部の底面に載置することで前記勾配床部を前記設置凹部に設置する工程と、
を備えている。
第6の発明は、上記第3の発明の床排水構造であって、前記排水トラップの本体部の周囲に、当該本体部の側方に突出するつば部が設けられている場合の施工方法であり、
排水用孔を形成しつつ床構造層を施工する工程と、
前記排水用孔に前記本体部を挿入し、前記つば部が前記排水用孔の周囲に載置された状態で、前記床構造層及び前記つば部の上に防水層を施工する工程と、
前記排水用孔の周囲全域に前記設置凹部を形成しつつ、前記防水層の上に押さえ層を施工する工程と、
前記勾配床部の本体挿入孔に前記本体部の上端部を挿入しつつ、前記勾配床部の下面を前記設置凹部の底面に載置することで前記勾配床部を前記設置凹部に設置して、前記本体部と前記勾配床部とを組み合わせて一体化する工程と、
を備えている。
第1の発明の床排水構造によれば、工場生産によって品質管理された勾配床部が排水口の周囲に設置されることにより、排水口の周辺に水勾配が設けられる。そのため、左官工が水勾配を形成する必要がなく、施工の手間がかからないし、排水口周囲の水勾配部分に水溜まりをできにくくすることができる。
第2の発明の床排水構造によれば、勾配床部を本体部と同じ鋳鉄製とすることで、設置凹部の底面から高さの違いに対して柔軟に対応し、異なる高さの勾配床部を簡単に製造することができる。また、床に設けられた排水用孔に排水トラップを設置すれば、それと同時に勾配床部も設けられるため、より手間がかからないで床排水構造を施工できる。
第3の発明の床排水構造によれば、勾配床部を本体部と同じ鋳鉄製とすることで、設置凹部の底面から高さの違いに対して柔軟に対応し、異なる高さの勾配床部を簡単に製造することができる。また、床に設けられた排水用孔に排水トラップを設置した後で、排水トラップとは別に設けられた勾配床部を設置して、両者を組み付けて一体化することができる。例えば、本体部にその側方に突出するつば部が設けられた排水トラップの場合、つば部は排水用孔よりも大きいため、設置凹部まで施工した後に排水トラップを挿入することができない。勾配床部を排水トラップと別部材とすることで、つば部を有する排水トラップについても、鋳鉄製の勾配床部を設置することができる。
この第4の発明の床排水構造によれば、平面視において四角形状をなす設置凹部を左官工が施工する。仮に設置凹部が平面視円形状であるとすると、連続した曲線からなる円形を左官工が設計図どおりに形成するには熟練した技術が必要となり、勾配床部に合わせた設置凹部を形成することが難しい。この点、平面視四角形状の設置凹部であれば平面視円形状である場合と比較して施工がしやすいため、設置凹部の施工の手間をより軽減できる。
第5及び第6の発明の施工方法によれば、左官工が排水口の周囲に水勾配を形成する必要がないため、排水口周囲の水勾配部分に水溜まりができにくく、施工の手間もかからない上記床排水構造を施工できる。
第1実施形態の床排水構造を示す断面図。 第1実施形態における排水トラップを示す斜視図。 第1実施形態の床排水構造の施工手順を示す説明図。 第2実施形態の床排水構造を示す断面図。 第2実施形態の床排水構造の施工手順を示す説明図。 排水トラップの別形態を示す一部断面図。
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態と、第2の実施の形態とについて、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態の床排水構造11は、床構造物20と、排水用孔30と、勾配床一体型排水トラップ40(以下「一体型排水トラップ40」という。)とを有している。
床構造物20は、地面Gにコンクリートが打設されて形成された床スラブ層21が床構造層として設けられ、その上に防水シートが敷き詰められて形成された防水層22が積層されている。防水層22の上には、モルタルが敷設されて形成された押さえ層23が設けられている。押さえ層23は防水層22を押え、これを保護する役割を担っている。
排水用孔30は床構造物20に設けられ、床構造物20の上面(押さえ層23の上面25)で開口している。排水用孔30には、一体型排水トラップ40が設けられている。排水用孔30の穴形状は、一体型排水トラップ40の本体部41の外径と同じかそれよりも若干大きい寸法を有する円形状をなし、鉛直方向に床構造物20を貫通している。排水用孔30の下方には排水管31の一端部が設けられ、当該排水管31の端部は排水用孔30に設けられた一体型排水トラップ40と接続されている。そのため、床の水は一体型排水トラップ40を通って排水管31へ排出される。
一体型排水トラップ40は、椀型トラップが有する一般的な構成を備えている。それについてまず説明すると、一体型排水トラップ40は、略円筒状をなす本体部41を備えている。本体部41は上端において開口し、上端の開口部41aは床排水構造11の排水口24を形成している。そのため、上端の開口部41aは排水用開口部に相当する。本体部41の上端には、本体部41の内側に向けて水平に突出する環状突部42が設けられ、この環状突部42によって円板状をなす目皿43が水平な状態で受け止められている。目皿43が有する多数の流通孔43aから、排水が本体部41の内部に流入する。
本体部41の筒内部には、内筒部44が設けられている。内筒部44は本体部41と同じ中心軸線を有し、当該中心軸線に沿って立設されている。内筒部44の下端部は、その全周にわたり、連結部45によって本体部41の内面と連結されている。本体部41と、内筒部44と、連結部45とは鋳鉄によって形成されており、これらは別々に製造された後に組み付けられて一体化されるのではく、鋳造によって一体成形されている。
内筒部44の内部は排水が通過する排水路46となっており、内筒部44の上端面に設けられた排水流入口47から排水路46に排水が流入する。本体部41の下端には排水路46に連通する排水管接続部48が設けられており、排水管接続部48に排水管31が接続されると、排水路46と排水管31の内部とが連通する。内筒部44には、内筒部44との間に間隔を空けながら略釣鐘型の椀状体49が被せられている。
本体部41と内筒部44と連結部45とで囲まれた空間により、封水室51が形成されている。排水口24から本体部41の内部に流入した排水は、いったん封水室51に溜められる。封水室51に溜められた排水の水面が内筒部44の上端よりも上方に至ると、排水は内筒部44を乗り越えて排水流入口47から排水路46に流入する。その後、排水は排水路46を流通して排水管31に流れ出て排出される。
以上の基本的構成に加え、一体型排水トラップ40は、本体部41の上端外側に勾配床部52が設けられている。勾配床部52は本体部41の全周にわたって当該本体部41の側方に突出し、図2に示すように平面視において四角形状をなしている。図1に戻り、勾配床部52の下面53は、その全域において本体部41の中心軸線と直交する水平をなしている。勾配床部52は、下面53に対して垂直をなす4つの側面54を有している。勾配床部52の上面55は、目皿43の周囲から外周側ほど厚くなり、かつ外周側ほど上方に延びるように傾斜している。勾配床部52も鋳鉄によって形成されている。本体部41と勾配床部52とは、別々に製造された後に組み付けられて一体化されるのではく、勾配床部52は本体部41、内筒部44及び連結部45とともに鋳造によって一体成形されている。
一体型排水トラップ40に勾配床部52が設けられているため、床構造物20を構成する押さえ層23の上面25には、勾配床部52を設置するための設置凹部26が設けられている。設置凹部26は排水口24の周囲全域にわたって設けられ、平面視において勾配床部52と同じ四角形状をなしている。設置凹部26は水平な底面27と底面27に対して垂直をなす側壁面28とを有しており、底面27と押さえ層23の上面25との間の高さは、勾配床部52の外周端における高さと同じに設定されている。そのため、勾配床部52が設置凹部26に設置された状態では、押さえ層23の上面25と勾配床部52の外周端とが段差なくつながっている。なお、勾配床部52の外周端と設置凹部26の周縁部との間の目地は、図示が省略されているものの、目地材で埋められて防水処理が施される。
以上の第1実施形態の床排水構造11によれば、勾配床部52の上面55によって排水口24の周辺に水勾配が設けられているため、この水勾配によって床上の水が排水口24に集められる。排水口24に集められた水は、排水として、前述したように、目皿43の流通孔43aから本体部41の内部に流入し、封水室51に溜められた後、内筒部44を乗り越えた排水が排水路46を流通して排水管31に排出される。
次に、第1実施形態の床排水構造11を施工する施工方法について、図3を参照しながら説明する。
図3(a)に示すように、床構造物20を設ける地面Gにコンクリートを打設して、所定厚さの床スラブ層21を形成する。この時、地面Gには排水管用孔32が形成されており、排水管用孔32には排水管31が設置されている。床スラブ層21を施工する際には、排水管用孔32が設けられた位置に排水用孔30を設ける。次いで、図3(b)及び図3(c)に示すように、床スラブ層21に設けられた排水用孔30をその上方に延ばしつつ、床スラブ層21の上に防水層22を設け、さらにその上にモルタルを打設して押さえ層23を形成する。押さえ層23の施工時には、排水用孔30の周囲に、一体型排水トラップ40の勾配床部52を設置するための設置凹部26を形成する。
その後、図3(d)に示すように、排水用孔30に一体型排水トラップ40の本体部41をその下部側から挿入し、下端部の排水管接続部48を排水管31と接続する。併せて、勾配床部52の下面53を設置凹部26の底面27に載置し、設置凹部26に勾配床部52を設置する。その後、勾配床部52の外周端と設置凹部26の周縁部との間の目地を目地材で埋めて防水処理を施すことで、床排水構造11の施工が完了する。
(第2実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図4に示すように、第2実施形態の床排水構造12は、床構造物20と排水用孔30とを有していることは上記第1実施形態の床排水構造11と同じである。一方で、一体型排水トラップ40と異なり、非一体型排水トラップ60が用いられている点で、第1実施形態の床排水構造11と異なる。非一体型排水トラップ60は、勾配床部52に相当する勾配床部材70が本体部41と別体になっている。そのため、第1実施形態の床排水構造11と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略し、ここでは異なる構成を中心に説明する。
第2実施形態で使用される非一体型排水トラップ60は、図4に示すように、本体部41の外周部に水受けつば部61が設けられている。水受けつば部61は、本体部41の全周にわたって当該本体部41の側方に突出し、平面視において円環状をなし、水平な下面62を有するつば部である。床排水構造12において、水受けつば部61の下面62は、床構造物20の床スラブ層21の上に載置されている。床構造物20の防水層22は、水受けつば部61の上に重ねられるように設けられている。排水口24の周辺において、床上の水が押さえ層23に浸透してしまった場合に、その水は水受けつば部61で受け止められる。水受けつば部61には排水孔(図示略)が設けられており、当該排水孔を通じてその水が本体部41の内部に流入するように構成されている。
排水口24を形成する開口部41aが設けられている非一体型排水トラップ60の上端には、目皿43を受け止める目皿受け部63が設けられている。目皿受け部63は、本体部41の内面から内側に突出し、環状をなす水平な受け面64を有している。この受け面64によって目皿43が水平な状態で受け止められる。目皿43の周囲には目皿43を囲うように本体部41の上端面が設けられ、それが水平上面を有し、かつ環状をなす目皿43の枠部65となっている。
勾配床部材70は非一体型排水トラップ60とは別に鋳造されて形成され、施工によって非一体型排水トラップ60と一体化されている。勾配床部材70は、第1実施形態の勾配床部52と略同じ構成を有し、勾配床部52の上面55及び下面53に相当する上面71及び下面72を有している。ただ、非一体型排水トラップ60とは別体であることから、勾配床部材70には、目皿43の枠部65の外縁と同じかそれよりも若干大きい径を有する円形の本体挿入孔73が形成されている。勾配床部材70の上面71は、この本体挿入孔73の周縁から外周側ほど厚くなり、かつ外周側ほど上方に延びるように傾斜している。
本体挿入孔73の内面の下部には、当該内面の全域にわたって環状凹部74が設けられている。一方、非一体型排水トラップ60の本体部41には、上端部の外周部においてその側方に突出する環状突部66が設けられている。環状凹部74には、この環状突部66が嵌め合わされている。環状凹部74と環状突部66の断面形状は略同じかつ略同一寸法に形成されており、環状凹部74と環状突部66とが嵌め合わされることで、本体部41の上端部と勾配床部材70とが組み合わされている。
以上の第2実施形態の床排水構造12によっても、勾配床部材70の上面71によって排水口24の周辺に水勾配が設けられるため、この水勾配によって床上の水が排水口24に集められる。排水口24に集められた水は、排水として、非一体型排水トラップ60を経て排水管31に排出される。
次に、第2実施形態の床排水構造12を施工する施工方法について、図5を参照しながら説明する。
図5(a)に示すように床スラブ層21を形成した後、図5(b)に示すように、排水用孔30に非一体型排水トラップ60の本体部41をその下部側から挿入し、水受けつば部61を床スラブ層21に形成された排水用孔30の周囲に載置して、非一体型排水トラップ60を排水用孔30に設置する。併せて、下端部の排水管接続部48を排水管31と接続する。次いで、図5(c)に示すように、床スラブ層21の上に防水層22を形成する。この時、水受けつば部61が設けられている箇所では、水受けつば部61の上に重ねられるように防水層22を形成する。
続いて、図5(d)に示すように、床スラブ層21に設けられた排水用孔30をその上方に延ばしつつ、防水層22の上にモルタルを打設して押さえ層23を形成する。押さえ層23の施工時には、排水用孔30の周囲に、勾配床部材70を設置するための設置凹部26を形成する。次いで、図5(e)に示すように、排水用孔30から突出する非一体型排水トラップ60の本体部41の上部を、勾配床部材70の本体挿入孔73に挿入する。環状凹部74を本体部41の上端の環状突部66に組み合わせながら(図4参照)、勾配床部材70の下面72を設置凹部26の底面27に載置し、勾配床部材70を設置凹部26に設置する。その後、勾配床部材70の外周端と設置凹部26の周縁部との間の目地を目地材で埋めて防水処理を施し、床排水構造12の施工が完了する。
(床排水構造の作用効果)
第1及び第2の実施形態の床排水構造11,12の構成及びその施工方法は以上のとおりであり、それによれば以下の作用効果を得ることができる。
(1)上記両実施形態の床排水構造11,12によれば、工場生産によって品質管理された勾配床部52又は勾配床部材70が設置凹部26に設置されることにより、排水口24の周辺に水勾配が設けられる。これにより、左官工が水勾配を形成する必要がなくなり、施工の手間がかからないし、排水口24周囲の水勾配部分に水溜まりをできにくくすることができる。
(2)上記両実施形態の床排水構造11,12では、勾配床部52又は勾配床部材70が本体部41と同じ鋳鉄製とされているため、設置凹部26の底面27から高さの違いに対して柔軟に対応し、異なる高さの勾配床部52又は勾配床部材70を簡単に製造することができる。
(3)上記第1実施形態の床排水構造11では、一体型排水トラップ40の本体部41と勾配床部52とが鋳造によって一体成形されている。そのため、床に設けられた排水用孔30に一体型排水トラップ40を設置すれば、それと同時に勾配床部52も設けられ、より手間がかからないで床排水構造11を施工できる。
(4)上記第2実施形態の床排水構造12では、非一体型排水トラップ60の本体部41と勾配床部材70とが別々に形成され、非一体型排水トラップ60が排水用孔30に設置された後に、勾配床部材70が非一体型排水トラップ60に組み付けられて一体化される。第2実施形態の非一体型排水トラップ60のように、本体部41の外周部に水受けつば部61が設けられている場合、水受けつば部61は排水用孔30よりも大きいため、第1実施形態の一体型排水トラップ40のように設置凹部26まで施工した後で排水用孔30に挿入できない。勾配床部材70を非一体型排水トラップ60と別体とすることで、先に非一体型排水トラップ60を設置し、その後、設置凹部26まで施工した後に勾配床部材70を設置することができる。
(5)上記両実施形態の床排水構造11,12では、勾配床部52又は勾配床部材70と設置凹部26とは、平面視において四角形状をなしている。設置凹部26の施工は左官工が行うが、仮に設置凹部26が平面視円形状であるとすると、連続した曲線からなる円形を左官工が設計図どおりに形成するには熟練した技術が必要となり、勾配床部52又は勾配床部材70に合わせた設置凹部26を形成することが難しい。この点、設置凹部26が平面視で四角形状であれば、平面視円形状である場合と比較して施工がしやすいため、施工の手間をより軽減できる。
(6)上記両実施形態の床排水構造11,12の施工方法によれば、左官工が排水口24の周囲に水勾配を形成する必要がないため、排水口24周囲の水勾配部分に水溜まりができにくく、施工の手間もかからない床排水構造11,12を施工できる。
(さらに別の形態)
上記各実施の形態の床排水構造11,12に限らず、例えば次のような構成を採用してもよい。
(a)上記各実施の形態では、一体型排水トラップ40及び非一体型排水トラップ60が椀型トラップの構造を有しているが、ドラムトラップ型や管トラップ型の構造を有していてもよい。
(b)押さえ層23の上に、タイルや樹脂製の床仕上げ材からなる表面層(仕上げ層)が設けられていてもよい。この場合、表面層は床構造物20に含まれ、表面層の上面と勾配床部52又は勾配床部材70の外周端とが段差なくつながる。また、勾配床部52又は勾配床部材70の表面にも、同じタイルや仕上げ材等が設けられることで、統一感を持たせることができる。
(c)第2実施形態の床排水構造12において、非一体型排水トラップ60の本体部41と勾配床部材70との組み付け構造を、例えば図6に示すように別形態としてもよい。この例の非一体型排水トラップ80では、本体部41の上端部を拡張し、拡張部81の内側に水平面82を有する段差が設けられている。一方、勾配床部材90の本体挿通孔91の内径は拡張部81の外径と同じかそれよりも若干大きく設定されている。その上で、本体挿通孔91の内面の下部に、内側に突出する環状突部92が設けられ、この環状突部92が拡張部81の下方に組み付けられている。かかる構成を採用した場合、非一体型排水トラップ80を設置した後に勾配床部材90を設置することができないため、第1実施形態の床排水構造11の施工方法と同じ施工方法を用いて施工される。
(e)上記各実施の形態では、一体型排水トラップ40及び非一体型排水トラップ60が鋳鉄によって形成されているが、鋳鉄以外の金属、セラミック、樹脂等によって形成されていてもよい。
(f)上記各実施の形態では、勾配床部52又は勾配床部材70の平面視における形状が四角形状とされているが、円形状であったり、楕円形状であったり、四角以外の多角形状であったりしてもよい。
(g)上記各実施の形態では、床スラブ層21はコンクリートにより形成され、押さえ層23はモルタルによって形成されている。これに代えて、石材で床スラブ層21を形成したり、コンクリートで押さえ層23を形成したりする等、いずれも他の材料が用いられていてもよい。
11,12…床排水構造、21…床スラブ層(床構造層)、22…防水層、23…押さえ層、24…排水口、26…設置凹部、27…底面、30…排水用孔、40…一体型排水トラップ(排水トラップ)、41…本体部、41a…開口部(排水用開口部)、43…目皿、52…勾配床部、53…下面、55…上面、60…非一体型排水トラップ(排水トラップ)、61…水受けつば部(つば部)、70…勾配床部材(勾配床部)、71…上面、72…下面、73…本体挿入孔。

Claims (6)

  1. 筒状をなす本体部と、上方に向けて開口する排水用開口部と、前記排水用開口部に設けられる目皿とを備えた排水トラップが床構造物の排水用孔に設けられ、前記排水用開口部が排水口を形成している床排水構造であって、
    前記本体部の全周にわたり当該本体部の側方に突出する勾配床部と、
    前記排水口の周囲全域に設けられ、前記勾配床部を設置する設置凹部と、
    を備え、
    前記勾配床部は、水平な下面と、前記目皿の周縁から外周側ほど厚くなり、かつ外周側ほど上方に延びるように傾斜する上面とを有しており、
    前記設置凹部は前記勾配床部の下面が載置される水平な底面を有し、前記勾配床部の外周端の高さは、前記底面と前記床構造物の上面との間の高さと同じに設定されている、床排水構造。
  2. 前記排水トラップの本体部及び前記勾配床部は鋳鉄製であって、鋳造によって一体成形されている、請求項1に記載の床排水構造。
  3. 前記排水トラップの本体部及び前記勾配床部は鋳鉄製であって、両者は別々に形成されており、
    前記勾配床部の中心部には前記本体部の上端部を挿入する本体挿入孔が設けられ、
    前記本体挿入孔の内面と前記本体部の上端部とは、凹凸を組み合わせて一体化されている、請求項1に記載の床排水構造。
  4. 前記勾配床部及び前記設置凹部は、平面視において四角形状をなしている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の床排水構造。
  5. 請求項2に記載の床排水構造の施工方法であって、
    排水用孔を形成しつつ床構造層及び防水層を順に施工する工程と、
    前記排水用孔の周囲全域に前記設置凹部を形成しつつ、前記防水層の上に押さえ層を施工する工程と、
    前記排水用孔に前記排水トラップの本体部を挿入し、前記勾配床部の下面を前記設置凹部の底面に載置することで前記勾配床部を前記設置凹部に設置する工程と、
    を備えている床排水構造の施工方法。
  6. 請求項3に記載の床排水構造であって、前記排水トラップの本体部の周囲に、当該本体部の側方に突出するつば部が設けられている場合の施工方法であり、
    排水用孔を形成しつつ床構造層を施工する工程と、
    前記排水用孔に前記本体部を挿入し、前記つば部が前記排水用孔の周囲に載置された状態で、前記床構造層及び前記つば部の上に防水層を施工する工程と、
    前記排水用孔の周囲全域に前記設置凹部を形成しつつ、前記防水層の上に押さえ層を施工する工程と、
    前記勾配床部の本体挿入孔に前記本体部の上端部を挿入しつつ、前記勾配床部の下面を前記設置凹部の底面に載置することで前記勾配床部を前記設置凹部に設置して、前記本体部と前記勾配床部とを組み合わせて一体化する工程と、
    を備えている、床排水構造の施工方法。
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