JP2023181016A - 酢酸セルロース組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属部品に対する溶融体の固着抑制及び固着物の剥離性に優れさらに溶融紡糸による繊維生産の安定性及び均一性に優れる酢酸セルロース組成物の製造技術を提供する。【解決手段】酢酸セルロースの粒状体25と可塑剤26とを混合し、この粒状体25及び可塑剤26の合計100重量部に対し滑剤21を0.1~2.0重量部の範囲で有機過酸化物23を0.1~1.0重量部の範囲で混合し、粒状体25、可塑剤26、滑剤21及び有機過酸化物23の混合体27を粘性流動する温度に設定し混練する。【選択図】図1

Description

本発明は、可塑剤が充填される酢酸セルロース組成物の製造技術に関する。
酢酸セルロースは、セルロースを無水酢酸でエステル化した半合成高分子であり、酢化度によって大きく2種類に分類される。一つ目は酢化度が59%以上の三酢酸セルロース(CTA)であり、二つ目は酢化度で50~59%程度の二酢酸セルロース(CDA)である。
酢酸セルロースは、優れた物性、特に易加工性と高い光学的性質とを有するため、プラスチック、繊維、フィルム(例えば、写真用フィルムなど)等の分野で長年にわたり利用されてきた。また、酢酸セルロースは生分解性などを有するため、近年では、地球の環境保全の観点からも脚光を浴びている。
通常、酢酸セルロースの成形品は、溶媒に溶解した酢酸セルロース溶液を所望の形態に流動させた後、溶媒を蒸発などにより除去することで得られる。一方において、このような溶媒法でなく、可塑剤を充填するコンパウンド法により、加熱成形性を持たせ、一般的な方法で成形加工できる酢酸セルロースの開発も検討されている(例えば、特許文献1)。
一方で、酢酸セルロース繊維は、天然パルプを主原料としているために、半合成繊維といわれ、天然繊維の特徴も併せ持つ繊維である。そして、酢酸セルロース繊維は、優雅な光沢、深みのある色調、発色性、ドライ感、更には適度な吸湿性等、衣料用繊維として数多くの優れた特性を有する。このため、酢酸セルロース繊維は、他の合成繊維とは異なり、高級衣料用素材として位置付けられている。
酢酸セルロース繊維は、誘導体化したセルロースを、二硫化炭素、塩化メチレンやアセトン等の有機溶媒に溶解し、その後にノズルから噴出させ有機溶媒を蒸発させて繊維にする乾式紡糸が、製造方法として一般的である(例えば、特許文献2)。
特許6599197号公報 特許5191332号公報
酢酸セルロース組成物の成形加工は、初期段階で安定していても、時間経過とともに不安定になる場合がある。具体的には、連続的に成形加工していくと、酢酸セルロース組成物が、成形加工機のシリンダー、スクリュー、ダイスなどに固着し始める。そうなると、固着物は成形時間と共に成長し、溶融体の流動を阻害し、成形加工品の生産の安定性及び均一性の維持を困難にする課題がある。
さらに、酢酸セルロース組成物の溶融体は、成形加工機の金属部品にいったん固着すると、簡単には剥離しなくなる。そうなると、成形品の構成樹脂の種類交換に伴う清掃に、多大な時間を要する課題がある。これら課題は、成形品の加工段階のみでなく、ペレットの製造段階でも同様に発生する。ペレットを製造する二軸押出機のスクリュー、バレル、ストランド用ダイスなどにも固着が生じ、長期的な安定生産を阻害し、清掃に多大な時間を割く必要があった。
また、上述した乾式紡糸による酢酸セルロース繊維の製造方法は、紡糸速度が遅く生産性が低いだけでなく、使用する二硫化炭素、アセトン、塩化メチレン等の有機溶剤の処理が重い環境負担となっていた。この一方で、溶融紡糸による酢酸セルロース繊維の製造方法は、生産性の向上及び環境負担の軽減の観点からも有望となっている。
しかし、酢酸セルロースの溶融体は、上述したように固着し易く、さらに微細繊維を紡糸するノズルのオリフィス部分に、せん断流動不安定性及び伸張流動不安定性が生じ易い。このため、溶融紡糸による酢酸セルロース繊維の製造方法は、太さが不均一で紡糸速度を上げると糸切れし易いため、生産の安定性及び均一性の維持が困難な課題があり、普及するに至っていない。
このような、せん断流動不安定性及び伸張流動不安定性は、酢酸セルロース組成物の溶融体のレオロジー特性に起因するとの仮説を立てた。そして、この仮説を検証するために種々の実験を実施し、データを収集した。その結果、酢酸セルロース繊維の溶融紡糸の安定性及び均一性は、キャピラリーレオメーターによる加速切断試験で得られる切断時引取り速度や溶融伸度と、正の相関関係を強く持つことが見出された。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、金属部品に対する溶融体の固着抑制及び固着物の剥離性に優れ、さらに溶融紡糸による繊維生産の安定性及び均一性に優れる酢酸セルロース組成物の製造技術を提供することを目的とする。
本発明に係る酢酸セルロース組成物の製造方法は、酢酸セルロースの粒状体と可塑剤とを混合する工程と、前記粒状体及び前記可塑剤の合計100重量部に対し滑剤を0.1~2.0重量部の範囲で有機過酸化物を0.1~1.0重量部の範囲で混合する工程と、前記粒状体、前記可塑剤、前記滑剤及び前記有機過酸化物の混合体を粘性流動する温度に設定し混練する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明により、金属部品に対する溶融体の固着抑制及び固着物の剥離性に優れ、さらに溶融紡糸による繊維生産の安定性及び均一性に優れる酢酸セルロース組成物の製造技術が提供される。
本発明に係る酢酸セルロース組成物の製造システムの概略図。 有機過酸化物の熱分解特性を説明する関係式。 本発明に係る酢酸セルロース組成物の製造方法の実施形態を示すフローチャート。 本実施形態の効果を確認した実施例を示すテーブル。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る酢酸セルロース組成物の製造システム10の概略図である。このように製造システム10は、酢酸セルロースの粒状体25と可塑剤26とを混合し、この粒状体25及び可塑剤26の合計100重量部に対し滑剤21を0.1~2.0重量部の範囲で有機過酸化物23を0.1~1.0重量部の範囲で混合する混合容器11と、粒状体25、可塑剤26、滑剤21及び有機過酸化物23の混合体27を粘性流動する温度に設定し混練する混練機30と、から構成されている。
本実施形態では、上述したように滑剤21が配合されることで、混練機30を連続的に駆動し続けても、混合体27からペレットを安定的に製造し続けることができる。つまり、混練機30のスクリュー、バレル、ストランド用ダイス等への混合体27の溶融体の固着が抑制される。さらに、混練機30で製造したペレットを溶融紡糸して繊維を製造する際も、ノズルのオリフィス部分における目詰まり等が抑制される。
仮に溶融体が固着したとしても、その成長の途中で剥離するので、溶融体の流動は阻害されることなく、成形加工品の生産の安定性及び均一性が維持される。このように、ペレットの製造段階及び繊維の紡糸段階においても、長期的な安定生産が達成され、清掃にかける時間も削減することができる。
さらに、有機過酸化物23が配合されることで、混練工程において、構造内の-O-O-結合が開裂し発生したラジカルによって、酢酸セルロースの分子量が調整される。この有機過酸化物23による分子量の調整作用と滑剤21による固着抑制作用との相乗効果によって、紡糸ノズルのオリフィス部分におけるせん断流動不安定性及び伸張流動不安定性が解消される。
このような有機過酸化物23は、下記に分類されるような7種類の化学構造を持つ。ここでR,R’は有機原子団を表す。ハイドロパーオキサイト(R-O-O-H)、ジアルキルパーオキサイト(R-O-O-R)、パーオキシエステル(R-(C=O)-O-O-R)、ジアシルパーオキサイト(R-(C=O)-O-O-(C=O)-R’)、パーオキシケタール(R-O-O-(R’-C-R’)-O-O-R’)、ケトンパーオキサイド(H-O-O-(R-C-R’)-O-O-H)。
有機過酸化物23は、1分間半減期温度Tが混錬の設定温度170~200℃の範囲で、活性化エネルギーが140kJ/mol以上のものを選択する。ここで1分間半減期温度Tとは、有機過酸化物23の濃度が1分間で半分になる温度のことである。
図2は有機過酸化物23の熱分解特性を説明する関係式である。有機過酸化物23の熱分解は一次反応と近似できるので式(1)の関係が成立する。この式(1)においてC0/Ct=2になる時間tが半減期t1/2に相当するので式(2)の関係が成立する。
一方において、熱分解の速度定数kdの温度依存性はアレニウスの式で表されるので式(3)の関係が成立する。ここで1分間半減期温度Tが混錬の設定温度170~200℃に設定されているということは、半減期t1/2が1分、半減期温度Tが170~200℃ということである。さらに活性化エネルギーΔEが140kJ/mol以上という条件で式(2)(3)を満たす頻度因子Aを持つ有機過酸化物23が好適に選択される。
このような条件で選択された有機過酸化物23は、混錬温度Tに設定された混練機30におけるコンパウンド時間(約3~5分間)の間に、熱分解反応が完全に終了する。このため、最終製品である繊維加工製品に、有機過酸化物23は残らず、悪影響を及ぼすこともない。
酢酸セルロースの平均分子量は、1×104~100×104、好ましくは5×104~75×104、さらに好ましくは10×104~50×104程度であるが、特に制限はなく、用途に応じて選択できる。また酢酸セルロースの酢化度(結合酢酸%)は、52.0~62.5%の範囲から選択できる。好ましい酢酸セルロースの酢化度は、59%以下(例えば、52.0~58.0%)、特に54~56%(例えば、55%)程度である。
酢酸セルロースの粒状体25は、供給容器15から混合容器11に供給される。この酢酸セルロースの粒状体25は、平均粒径が0.1mmから1.0mmの範囲にある粒状体であることが好ましい。この平均粒径が0.1mmよりも小さいと取り扱いが困難となり粒状体が舞い上がる等して作業性が低下してしまう。
また、この最大粒径が1mmよりも大きいと、混合容器11に供給された酢酸セルロースの粒状体25の比表面積が小さくなり、粒状体25の表面を濡らすことができず可塑剤26が分離してしまう場合がある。しかし、本発明に適用される酢酸セルロースの粒状体25の平均粒径は、上述した範囲に限定されない。
また酢酸セルロース組成物の基本物性や成形加工性をより好ましく調整するため、複数の品種の酢酸セルロースの粒状体25を混合して使用する場合もある。具体的には酢酸セルロースの粒状体25に、他のセルロースエステル(例えば、セルロースプロピオネート、セルロースブチレートなどの有機酸エステル、硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロースなどの無機酸エステル)等の粒状体25を複合させてもよい。
混合体27に占める可塑剤26の比率は10~30重量%の範囲とする。なお可塑剤26の性状として粉末状、液状、あるいはその混合物が有り得る。その比率が10重量%未満であると粒状体25における可塑剤26の浸透度にバラツキが生じやすくなり、また比率が30重量%を超えると静置スペースにおける静置期間中に粒状体25と可塑剤26とが重力分離してしまう場合がある。
可塑剤26としては、グリセリントリアセテート化合物(トリアセチン)、アジピン酸エステル含有化合物、アジピン酸ポリエステル含有化合物ポリエーテルエステル化合物、セバシン酸エステル化合物、エポキシ系エステル、安息香酸系エステル、トリメリット酸エステル、グリコールエステル化合物、酢酸エステル、二塩基酸エステル化合物、リン酸エステル化合物、フタル酸エステル化合物、樟脳、クエン酸エステル、ステアリン酸エステル、金属石鹸、ポリオール、ポリアルキレンオキサイド等が挙げられる。これらの中でも、アジピン酸エステル含有化合物、ポリエーテルエステル化合物、非フタル酸系化合物が好ましく、アジピン酸エステル含有化合物がより好ましい。
アジピン酸エステル含有化合物(アジピン酸エステルを含む化合物)とは、アジピン酸エステル単独の化合物、又は、アジピン酸エステルと異なる化合物との混合物であることを示す。アジピン酸エステルとしては、アジピン酸ジエステル、アジピン酸ポリエステル等が挙げられる。
非フタル酸系化合物の可塑剤26としては、ベンジルブチルフタレート(BBP)、ビス(2エチルへキシル)フタレート(DEHP)、ディブチルフタレート(DBP)、ディイソブチルフタレート(DIBP)等が挙げられる。
ポリエーテルエステル化合物の可塑剤26は、その溶解度パラメータ(SP値)が、9.5以上9.9以下が好ましく、9.6以上9.8以下がより好ましい。溶解度パラメータ(SP値)を9.5以上9.9以下にすると、酢酸セルロース誘導体への分散性が向上する。
滑剤21は、特に、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド及びエルカ酸アミドから選択される一又は二以上の脂肪酸アミドが好適に用いられる。さらに滑剤21は、酢酸セルロースの粒状体25及び可塑剤26の合計100重量部に対し、0.1~2.0重量部の範囲より好ましくは0.2~1.0重量部の範囲で混合される。これら化合物は、スクリュー、シリンダー、ダイス等の金属部品との剥離性、成形加工後の成形加工機の清掃の容易さの観点から滑剤21として優れた効果を発揮する。
また、脂肪酸アミドとしては、上記したステアリン酸アミド、オレイン酸アミド及びエルカ酸アミド以外に、ラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド等が挙げられる。
滑剤21としては、上記した脂肪酸アミドに限定されず、広く脂肪族アミド系、炭化水素系、脂肪酸系、高級アルコール系、金属石鹸系、エステル系等の化合物を適用できる。
脂肪族アミド系の化合物としては、上記した脂肪酸アミド以外に、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドといったアルキレン脂肪酸アミドが挙げられる。これら脂肪族アミドには、モノアミド、置換アミド、ビスアミドがあり、いずれも適用できる。
炭化水素系の化合物としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックス等が挙げられる。脂肪酸系、高級アルコール系の化合物としては、ステアリン酸やステアリルアルコールなどが挙げられる。
金属石鹸系の化合物としては、ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムといったステアリン酸金属塩が挙げられる。エステル系の化合物としては、アルコールの脂肪酸エステルである、ステアリン酸モノグリセリドやステアリルステアレート、硬化油などが挙げられる。
さらに添加剤として、熱安定化剤として、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤、金属不活性化剤、イオウ系熱安定剤を用いたり、耐候性添加剤として例えば、液状紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤を用いたり、分散剤・滑剤として炭化水素系滑剤、脂肪酸、高級アルコール系滑剤、脂肪酸アミド系、金属石鹸系、エステル系等を用いたり、アンチブロッキング剤としてシリカ等を用いたり、その他に着色剤等を用いたりする場合がある。
また充填材として、セルロース繊維、セルロース粉末、CNF(カーボンナノファイバー)、木粉、コーヒー粕粉体、デンプン等の有機粉体、あるいは、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ等の無機粉体を、最終製品に求められる性能に応じて用いる場合がある。
混合容器11は、供給容器15から供給された酢酸セルロースの粒状体25を撹拌させる回転体12と、撹拌される粒状体25に可塑剤26を噴霧する噴霧器16と、滑剤21を注入する注入器22と、有機過酸化物23を投入する投入器24とを有している。なお、粒状体25、可塑剤26、滑剤21及び有機過酸化物23は、予め定められた分量が混合容器11に投入される。
そして、混合容器11では、粒状体25を撹拌しながら可塑剤25を噴霧する。そして注入器22は、粒状体25及び可塑剤26の合計100重量部に対し0.1~2.0重量部の範囲にある予め定められた分量の滑剤21を混合容器11に注入する。また注入器23は、粒状体25及び可塑剤26の合計100重量部に対し0.1~1.0重量部の範囲にある予め定められた分量の有機過酸化物23を混合容器11に注入する。
なお滑剤21の注入方法としては、可塑剤26の噴霧期間中に断続的に注入したり、可塑剤26を全量噴霧してから回転体12の動作をそのまま継続して注入したり、可塑剤26と混合してから注入したりすることができる。特に、液体の滑剤21を用いる場合は、可塑剤26と混合して注入するとよい。なお、可塑剤26の混合は、噴霧ではなくパイプ(図示略)から流下させるようにしてもよい。このように滑剤21の注入することで、酢酸セルロースの粒状体25の表面に対し、可塑剤26とともに滑剤21を一様に分散させることができる。
また有機過酸化物23の注入方法としては、上述した滑剤21の注入方法に準拠してもよいが、混合中に分解することを避けるために、粒状体25、可塑剤26、滑剤21を混合してから、撹拌時間が短時間となるように撹拌の終盤に混合してもよい。もしくは、混合容器11では、粒状体25、可塑剤26及び滑剤21を混合し、これら混合体27の混練機30への投入時に、同時に有機過酸化物23も投入するようにしてもよい。
なお図示において、滑剤21の注入器22及び有機過酸化物23の投入器24は、可塑剤26の噴霧器16と粒状体25の供給容器15が設置される混合容器11に一緒に設置されている。しかし、このような形態に限定されず、注入器22及び投入器24は、図示される混合容器11とは別の専用の混合容器(図示略)に、その他の添加剤の注入器(図示略)とともに設置される場合もある。この場合、専用の混合容器(図示略)の動作条件を調整し、滑剤21及び有機過酸化物23の分散性を最適化できる。
混合容器11は、特に制限されるものではなく、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー、ニーダなどの混合機を使用することができる。混合容器11における撹拌翼の回転数は、200rpm以上、好ましくは400rpm以上、より好ましくは500rpm以上の高速回転が実現されるものが好ましい。
このような高速回転が実現されることで、混合容器11に加熱手段を設けなくても(もちろん加熱手段を設けてもよい)、運動エネルギーの摩擦熱により酢酸セルロースの粒状体25を昇温させることができる。このときの温度は、40℃~70℃、好ましくは50℃~60℃の範囲に調整する。これにより、可塑剤26の粘性を下げて濡れ性を向上させて、酢酸セルロースの粒状体25の表面に、滑剤21を満遍なくムラ無く均一に分散させることができる。
混練機30は、投入手段31と、駆動手段32と、混練手段33と、造粒手段35と、から構成されている。ここで混練手段33は、外側を構成するシリンダーと、駆動手段32の駆動力でシリンダー内部を回転するスクリュー(図示略)とから構成されている。ここでシリンダー及びスクリューは、混合体27が粘性流動する120℃から250℃の範囲、または分解防止の観点から230℃以下の温度に設定されている。
投入手段31では、混合体27が、混合容器11から直接投入される場合の他に、静置スペース(図示略)で一定時間寝かされてから搬送され投入される場合もある。そして、投入された混合体27は、シリンダーの内部で軸回転するスクリューにより加熱混練され混練手段33の最下流から吐出する。そして吐出した混合体27の混練体は、造粒手段35において束状に分岐されて冷却凝固させた後にペレット状の酢酸セルロース組成物にカットされる。
このペレット状の酢酸セルロース組成物は、これまで述べたように溶融紡糸して繊維にする以外に、図示略の成形加工機で再加熱して溶融させてから、金型に注入してバルク状の成形品としたり、押出成形加工(例えばインフレーション法、カレンダー加工法、T-ダイ法、吹き込み法等)してフィルム状の成形品としたり、発泡させて発泡成形品としたりして、一般的な高分子成形品を製造するための原料にもなる。
なお、図1において混練機30として、一軸や多軸の押出器等の連続式のものを例示しているが、ニーダやバンバリミキサー等のバッチ式のものも採用することができる。混練機30は、混合体27が粘性流動する温度に密閉空間を調整して撹拌(混練)を実行することができるものであれば適宜採用される。
図3のフローチャートに基づいて本発明の実施形態に係る酢酸セルロース組成物の製造方法を説明する(適宜、図1参照)。まず、混合容器11で酢酸セルロースの粒状体25と粉末状、液状、あるいはこれらの混合物の性状を持つ可塑剤26とを混合する(S11)。次に、この粒状体25及び可塑剤26の合計100重量部に対し滑剤21を0.1~2.0重量部の範囲で混合する(S12)。さらに有機過酸化物23を0.1~1.0重量部の範囲で混合する(S13)。
そして、粒状体25、可塑剤26、滑剤21及び有機過酸化物23の混合体27を混練機30に投入し粘性流動する温度に設定して混練する(S14)。この混錬体を冷却凝固させペレット状にカットした酢酸セルロース組成物を生成する(S15)。そして、このペレットを、繊維紡糸装置で再加熱し、ノズルのオリフィスから吐出させ、繊維を溶融紡糸する(S16)。
図4は本実施形態の効果を確認した実施例を示すテーブルである。参考例は酢酸セルロースの粒状体25に滑剤21及び有機過酸化物23が未混合のもので、比較例1-3は、参考例の配合に対し、さらにエルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミドから選択される脂肪酸アミドの滑剤21を混合したものであるが、有機過酸化物23は未混合のものである。実施例1-3は、対応する比較例1-3それぞれの配合に対し、さらにジターシャリーブチルパーオキサイド及びジクミルパーオキサイドから選択される有機過酸化物23を混合したものである。
そして、参考例、比較例、実施例の基本物性は、通常の石油系プラスチックに適用されるJIS規格に準拠して測定した。ここで、ジターシャリーブチルパーオキサイド及びジクミルパーオキサイドは、共に上述したジアルキルパーオキサイト(R-O-O-R)の一種である。
使用した酢酸セルロースの粒状体25は、ダイセル社製、商品名「L-50」、アセチル総置換度2.43、6%粘度:110mPa・sの仕様を持つ製品である。500rpm/minに設定した高速ミキサーを混合容器11として、酢酸セルロースの粒状体25を投入し撹拌しながら、滑剤21をブレンドした可塑剤26(トリアセチン)を噴霧し、混合する。なお、高速ミキサーによる酢酸セルロースの粒状体25の撹拌と静置の繰り返し動作に組み合わせて、可塑剤26(トリアセチン)を断続的に繰り返して噴霧した。そして、有機過酸化物23は、撹拌動作の最終段階で添加した。
混錬機30は、台湾メーカーCKF社製、CK70HT(スクリュー径70mm、L/D=44)を用いた。スクリュー回転数の設定は300~600rpmであり、成形加工温度を200-220℃とした。
そして、混錬機30から吐出した混練体をペレットに成形し冷却した後に、射出成形機で再加熱し溶融させて試験片を作成し、固体の基本物性(引張強度,引張伸度,曲げ弾性率,曲げ強度)を試験した。その結果、有機過酸化物23の有無及び有機過酸化物23の種類で分類される比較例1-3と実施例1-3の間に、基本物性の有意差は認められなかった。
一方で、酢酸セルロース組成物のレオロジー挙動をさらに評価するために実施したキャピラリーレオメーターによる加速切断試験の結果(「切断時引取り速度」及び「溶融伸度」)を、テーブルに記載した。なおキャピラリーレオメーターの測定条件は、キャピラリー長さ10mm、キャピラリー穴直径1mm、樹脂押出ピストン速度10mm/min、ダイス出口押出速度0.91m/min、初期引取速度10m/min、最終引取速度200m/min、加速時間0.5min、加速度0.111m/minとした。測定温度は、230℃とした。その結果、滑剤21の有無及び滑剤21の種類で分類される比較例1-3と実施例1-3の間で、レオロジー挙動にはっきりと有意差が認められた。
(繊維の紡糸)
比較例及び実施例の混合体27で成形したペレットをさらに繊維に紡糸する条件について説明する。ペレットを投入する繊維紡糸装置は、(株)AIKIリオテック製の単繊維成形機であり、紡糸ノズルのオリフィス径は1.5mmに設定した。そして、成形条件として、成形温度が220~225℃、吐出線速度が650m/min、巻き取り速度を300m/minとした。
比較例及び実施例1のペレットを上述した単繊維成形機のホッパーに投入し成形した単繊維の成形性について比較検討する。比較例では、糸切れをおこして単繊維は得られなかった。一方で実施例では糸切れをおこさずに単繊維が得られ、実施例1の配合では、比重が1.31、短繊維繊度が4.2dtex、引張強度が5.3g/d、引張伸度が32%、ヤング率が530kg/minという特性が得られた。
次に、上述の成形条件のうち吐出線速度を750m/min、巻き取り速度を330m/minに設定変更した。すると、実施例2の配合では、比重が1.31、短繊維繊度が4.8dtex、引張強度が5.5g/d、引張伸度が33%、ヤング率が510kg/minという特性が得られた。そして、実施例3の配合では、比重が1.31、短繊維繊度が4.1dtex、引張強度が4.8g/d、引張伸度が30%、ヤング率が490kg/minという特性が得られた。
10…製造システム、11…混合容器、12…回転体、15…供給容器、16…噴霧器、21…滑剤、22…注入器、23…有機過酸化物、24…投入器、25…酢酸セルロースの粒状体(粒状体)、26…可塑剤、27…混合体、30…混練機、31…投入手段、32…駆動手段、33…混練手段、35…造粒手段。

Claims (8)

  1. 酢酸セルロースの粒状体と可塑剤とを混合する工程と、
    前記粒状体及び前記可塑剤の合計100重量部に対し、滑剤を0.1~2.0重量部の範囲で、有機過酸化物を0.1~1.0重量部の範囲で、混合する工程と、
    前記粒状体、前記可塑剤、前記滑剤及び前記有機過酸化物の混合体を粘性流動する温度に設定し混練する工程と、を含む酢酸セルロース組成物の製造方法。
  2. 請求項1に記載の酢酸セルロース組成物の製造方法において、
    前記混合体は、混合容器において、前記酢酸セルロースの粒状体を撹拌しながら前記可塑剤を噴霧し前記滑剤及び前記有機過酸化物を注入して生成される酢酸セルロース組成物の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の酢酸セルロース組成物の製造方法において、
    前記有機過酸化物は、1分間半減期温度が前記混錬の設定温度170~200℃の範囲で、活性化エネルギーが140kJ/mol以上のものが選択される酢酸セルロース組成物の製造方法。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の酢酸セルロース組成物の製造方法において、
    前記滑剤は、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド及びエルカ酸アミドから選択される一又は二以上の化合物である酢酸セルロース組成物の製造方法。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の酢酸セルロース組成物の製造方法において、
    前記混合体に占める前記可塑剤の比率は10~30重量%の範囲となる酢酸セルロース組成物の製造方法。
  6. 請求項1又は請求項2に記載の酢酸セルロース組成物の製造方法において、
    前記混錬の設定温度において前記粘性流動する前記混合体は、切断時引取り速度が200m/min以上でかつ溶融伸度が70000%以上である酢酸セルロース組成物の製造方法。
  7. 酢酸セルロース及び可塑剤の合計100重量部に対し、滑剤が0.1~2.0重量部の範囲で、有機過酸化物の分解物が0.1~1.0重量部の範囲で、混合されている酢酸セルロース組成物。
  8. 請求項7に記載の酢酸セルロース組成物を、
    溶融紡糸したモノフィラメントにするか、溶融紡糸した繊維を不織布にするか、溶融紡糸した繊維を撚った糸にするか、前記モノフィラメント又は前記糸を編んだ織物にするか、した成形品。
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