JP2023180005A - 姿勢制御評価方法及び姿勢制御評価装置 - Google Patents

姿勢制御評価方法及び姿勢制御評価装置 Download PDF

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順子 跡見
Junko Atomi
美穂 清水
Yoshio Shimizu
和哉 田中
Kazuya Tanaka
友章 跡見
Tomoaki Atomi
聡一朗 藤木
Soichiro Fujiki
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Teikyo Univ Of Science & Technology
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Abstract

【課題】人等の評価対象の体幹にて計測される加速度に基づいて評価対象が姿勢をどのように制御しているかを評価することを図る。【解決手段】評価対象の体幹に装着された複数の加速度センサから加速度情報を単位時間毎に取得し、時系列に沿って収集された加速度情報から高周波ノイズを除去した評価用加速度情報と評価用瞬時位相情報を生成し、評価用加速度情報と評価用瞬時位相情報に基づいて加速度センサ間の加速度情報の類似度と加速度センサ間の瞬時位相の同期度とのうち少なくとも一方を算出し、評価対象が姿勢をどのように制御しているかの評価情報を生成し出力する。【選択図】図1

Description

本発明は、姿勢制御評価方法及び姿勢制御評価装置に関する。
人等の脊椎動物(以下、「人等」と称する)の姿勢は、筋、骨格、神経及び脳が関与する複雑な調整機能により成り立っており、脳が高度に機能してバランスを維持していると考えられる。
すなわち、人等の立位姿勢は、足部で構成される支持基底面内に、身体の質量中心が制御されることで成り立つ。特に、人は、四足歩行から直立二足歩行に進化したことで、狭い支持基底面に対して、身体質量中心位置が高くなっている。人の身体のうち頭部、頸部、胸部、腹部、骨盤部及び尾部からなる体幹は、身体質量に対する寄与率の50%から60%を占めている。従って、身体質量比の高い体幹が、上部に配列され、重心位置が相対的に高位となっていることは、姿勢を不安定にする要因である。人は立位姿勢におけるこの物理学的な不安定性を、極めて安定的、かつ精緻に制御している。
一方で、人の身体は極めて多くの組織、例えば骨格や筋や靱帯などで構成されるため、力学的に冗長な構造体である。中でも体幹は、解剖学的な側面から考えると、四肢と比較して非常に関節が多く、約33個の脊椎や24個の肋骨などで構成されることに加え、靭帯や筋や皮膚などの様々な力学的係数を有する軟部組織に連続的に支えられている。また、脊椎は、局所的な分節的構造を有し、頸椎、胸椎、腰椎、仙椎及び尾椎に分類されている。この中で胸椎の部分は、肋骨と胸骨によって胸郭を形成し、骨格構造として剛性が高い部位である。骨格構造的に腰椎の部分は、剛性の高い胸郭と骨盤の間に位置し、姿勢制御や動作において骨格構造的な冗長性があると考えられている。
また、姿勢制御戦略は、感覚条件の差異でも異なる。静止立位での姿勢制御戦略について、開眼や閉眼などの、感覚入力の条件が異なる姿勢制御課題において、頭部位置や足圧中心の制御戦略を変更することが知られている。
不安定な立位姿勢を維持するために、力学的構造が冗長である体幹を、人は動的かつ高度に制御している。従って、人の立位姿勢制御において、冗長な構造を有する体幹が果たす役割を調べることは、最も重要な因子の一つである。
バイオメカニクスの分野において、人の立位姿勢の解析に良く用いられる手法の1つとして、リンク・セグメントモデルが知られている。
リンク・セグメントモデルは、身体をいくつかのリンク部位とセグメント部位に分けて、身体の分節性に関する運動力学的解析を行う際に良く用いられる。多くの場合、リンク・セグメントモデルは、四肢の関節のみをリンクとして設定する。しかしながら、体幹は、解剖学的には複数の関節構造を有している。一方で、体幹は、各関節における可動域は四肢に比較して少ない。そのため、体幹の関節は、リンク・セグメントモデルにおけるリンク部位とセグメント部位に明確に分けることが難しい。一部の先行研究では、体幹運動の解析手法として、3つ以上のセグメントモデルが、より適切に体幹運動を表現できるとの報告もある。しかしながら、研究分野によって異なるモデルが用いられているなど、体幹に関するリンク・セグメントモデルの説明については、様々な議論がある。
人の安静立位姿勢を評価する方法としては、人の足圧中心(COP:Center of Pressure)を記録するCOP記録法や、頭部の動揺を記録するCephalogram法が知られている。
COP記録法では、例えば、被験者をフォースプレート上に立たせてフォースプレートに加わった荷重中心の動揺を計測している(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、立位姿勢バランス機能の維持や向上のためのトレーニングを行うとともにCOP動揺および体幹動揺に基づいて立位姿勢バランスを総合的に評価するシステムが記載されている。
特許文献1に記載された立位姿勢バランス評価訓練システムは、人が両足で立って乗ることができる踏み板を有し、踏み板上の人の足圧中心の動揺により所定方向に傾動し、当該傾斜を検出するバランスボードと、バランスボードに乗っている人の頭部の動揺を検出する頭部動揺検出器と、バランスボードおよび頭部動揺検出器の各検出結果を受け、バランスボードの傾斜変動とそれに乗っている人の頭部の動揺とに基づいてその人の立位姿勢バランスを評価する処理装置とを備える。
Cephalogram法では、例えば、頭頂部を示すマーカが付いたキャップを被験者に被らせて、上からカメラで被験者の頭部を撮影して当該マーカの動きを追跡することで頭部の動揺を計測している(例えば、特許文献2参照)。特許文献2には、頭部マーカの装着位置にずれ(傾き)が生じていても立位姿勢の評価精度を担保し得るようにした立位姿勢評価装置が記載されている。
特許文献2に記載された立位姿勢評価装置は、立位姿勢にある評価対象者の頭部に装着された頭部マーカを頭上3Dカメラで撮影して頭部重心を床面に投影した頭部重心位置を検出する。頭部マーカの傾きを加速度センサ等で検出し、頭部重心位置を補正する。体圧センサで立位姿勢にある評価対象者の身体重心を床面に投影した身体重心位置を検出する。制御装置は、補正された頭部重心位置と検出された身体重心位置を用いて評価対象者の立位姿勢バランスを評価する。
また、特許文献3には、日常生活での連続した歩行における歩行姿勢の良否の時間的な推移をユーザにとってよりわかりやすく提示できる歩行姿勢計が記載されている。
特許文献3に記載された歩行姿勢計は、被測定者の腰の正中線上に装着される加速度センサと、10分以下の予め定められた連続した歩行期間内において、予め定められた単位期間ごとに、加速度センサの出力に基づいて被測定者の歩行姿勢を定量的に表した評価量を繰り返し求める評価部と、繰り返し求められた評価量を時系列で並べて表示画面に表示する表示処理部とを備える。
特開2014-204759号公報 特許第6798204号公報 特許第6111837号公報
Yang Wang,Salam Rahmatalla、"Three-dimensional modeling of supine human and transport system under whole-body vibration"、Journal of Biomechanical Engineering、Volume 135、Issue 6、2013年
人の立位姿勢は、静止しているようにみえるが、身体の各部位が常にある一定の範囲で振動していることが知られている。立位姿勢において、身体の各部位の振動は、増減しつつ構造体の間を伝播する。構造体の振動特性は類似している部位では、分節性が低い。一方で、構造体の振動特性は異なる部位では、分節性が高い。
非特許文献1には、振動特性の類似度を評価することで分節性を検討できるとされている立位姿勢の解析において、姿勢制御における微細な振動特性の変化を検証するためには、高い時間分解能と感度を有する加速度センサが有用であることが示されている。
加速度センサを用いた振動特性の解析では、瞬間的な加速度の大きさや方向を解析することが多い。加えて、時系列的な加速度の変化による位相情報を用いた解析では、振動の大きさに差がない場合でも、振動特性の違いを検出することが可能である。従って、振動特性の位相情報は、その同期性を解析することで、時系列的に相似する運動を検出することが可能である。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、人等の評価対象の体幹にて計測される加速度に基づいて、評価対象が姿勢をどのように制御しているかを評価することのできる姿勢制御評価方法及び姿勢制御評価装置を提供することにある。
本発明の一態様は、人等の評価対象が姿勢をどのように制御しているかを評価する姿勢制御評価方法であって、前記評価対象の体幹に装着された複数の加速度センサから加速度情報を単位時間毎に取得する加速度情報収集工程と、前記加速度情報収集工程において時系列に沿って収集された加速度情報から高周波ノイズを除去し、高周波ノイズが除去された評価用の加速度情報である評価用加速度情報と前記評価用加速度情報の瞬時位相情報である評価用瞬時位相情報とを生成するデータ処理工程と、前記データ処理工程において生成された評価用加速度情報と評価用瞬時位相情報に基づいて加速度センサ間の加速度情報の類似度と加速度センサ間の瞬時位相の同期度とのうち少なくとも一方を算出し、加速度センサ間の加速度情報の類似度と加速度センサ間の瞬時位相の同期度とのうち少なくとも一方に基づいて前記評価対象が姿勢をどのように制御しているかの評価情報を生成するデータ解析工程と、前記データ解析工程において生成された評価情報を出力する評価情報出力工程と、を含む姿勢制御評価方法である。
本発明の一態様は、上記の姿勢制御評価方法の前記加速度情報収集工程において、前記評価対象が目を開いている開眼状態での加速度情報と前記評価対象が目を閉じている閉眼状態での加速度情報とをそれぞれに時系列に沿って収集する。
本発明の一態様は、上記の姿勢制御評価方法の前記加速度情報収集工程において、前記複数の加速度センサとして多軸の加速度センサを用いて、立位姿勢の前記評価対象の脊柱に沿った鉛直方向に直交する少なくとも左右方向の加速度情報と前後方向の加速度情報とをそれぞれ時系列に沿って収集する。
本発明の一態様は、上記の姿勢制御評価方法の前記加速度情報収集工程において、前記複数の加速度センサとして3軸の加速度センサを用いて、立位姿勢の前記評価対象の脊柱に沿った鉛直方向の加速度情報と、鉛直方向に直交する左右方向の加速度情報及び前後方向の加速度情報とをそれぞれ時系列に沿って収集する。
本発明の一態様は、上記の姿勢制御評価方法の前記加速度情報収集工程において、前記複数の加速度センサとして6軸の加速度センサを用いて、前記鉛直方向、前記左右方向及び前記前後方向の3軸の方向の加速度情報に加えてさらに前記3軸の軸周り方向の加速度情報をそれぞれ時系列に沿って収集する。
本発明の一態様は、上記の姿勢制御評価方法の前記加速度情報収集工程において、前記複数の加速度センサは、前記評価対象の体幹に等間隔で脊柱に沿って背中側に装着される。
本発明の一態様は、上記の姿勢制御評価方法の前記加速度情報収集工程において、前記複数の加速度センサは、前記評価対象の頭部から体幹の所定の部位まで等間隔で脊柱に沿って背中側に装着される。
本発明の一態様は、上記の姿勢制御評価方法の前記加速度情報収集工程において、前記複数の加速度センサは、前記評価対象の体幹の複数の所定部に分散して装着される。
本発明の一態様は、上記の姿勢制御評価方法の前記加速度情報収集工程において、前記複数の加速度センサは、前記評価対象の体幹の3つの所定部である頭部と胸部と骨盤部とにそれぞれ分散して装着される。
本発明の一態様は、上記の姿勢制御評価方法の前記加速度情報収集工程において、前記複数の加速度センサとして、前記所定部間に追加の加速度センサがさらに装着される。
本発明の一態様は、上記の姿勢制御評価方法の前記加速度情報収集工程において、前記複数の加速度センサは、前記評価対象の体幹の背中側の脊柱上の部位に装着される。
本発明の一態様は、上記の姿勢制御評価方法の前記データ解析工程において、前記評価用加速度情報を用いて、加速度情報の類似度として加速度センサ間の相関係数を算出する。
本発明の一態様は、上記の姿勢制御評価方法の前記評価情報出力工程において、前記評価情報をヒートマップ及び/又は棒グラフとして出力する。
本発明の一態様は、上記の姿勢制御評価方法の前記評価情報出力工程において、前記評価情報を、時間的変化が分かる動画像として出力する。
本発明の一態様は、上記の姿勢制御評価方法の前記データ解析工程において、さらに、前記複数の加速度センサの加速度情報について周波数パワーと加速度センサ間の位相差と加速度センサ間の相互相関係数とのうち少なくとも一つを求め、前記評価対象が姿勢をどのように制御しているかの評価情報とする。
本発明の一態様は、上記の姿勢制御評価方法において、複数の前記評価対象を評価対象グループとし、前記加速度情報収集工程において、前記評価対象グループについて評価対象毎に前記複数の加速度センサから加速度情報を単位時間毎に取得し、前記データ処理工程において前記評価対象グループについて評価対象毎に前記評価用加速度情報と前記評価用瞬時位相情報とを生成し、前記データ解析工程において、前記評価対象グループについて評価対象毎に算出された加速度センサ間の加速度情報の類似度と加速度センサ間の瞬時位相の同期度とに対してそれぞれに統計処理を行い、統計処理の結果に基づいて前記評価情報を生成する。
本発明の一態様は、人等の評価対象が姿勢をどのように制御しているかを評価する姿勢制御評価装置であって、前記評価対象の体幹に装着される複数の加速度センサと、前記複数の加速度センサから加速度情報を単位時間毎に取得する加速度情報収集部と、前記加速度情報収集部により時系列に沿って収集された加速度情報から高周波ノイズを除去し、高周波ノイズが除去された評価用の加速度情報である評価用加速度情報と前記評価用加速度情報の瞬時位相情報である評価用瞬時位相情報とを生成するデータ処理部と、前記データ処理部により生成された評価用加速度情報と評価用瞬時位相情報に基づいて加速度センサ間の加速度情報の類似度と加速度センサ間の瞬時位相の同期度とのうち少なくとも一方を算出し、加速度センサ間の加速度情報の類似度と加速度センサ間の瞬時位相の同期度とのうち少なくとも一方に基づいて前記評価対象が姿勢をどのように制御しているかの評価情報を生成するデータ解析部と、前記データ解析部により生成された評価情報を出力する評価情報出力部と、を備える姿勢制御評価装置である。
本発明によれば、人等の評価対象の体幹にて計測される加速度に基づいて、評価対象が姿勢をどのように制御しているかを評価することができるという効果が得られる。
一実施形態に係る姿勢制御評価方法の一例を示す工程図である。 一実施形態に係る姿勢制御評価装置の構成例を示すブロック図である。 一実施形態に係る複数の加速度センサの装着方法の一例を模式的に示す図である。 一実施形態に係る評価対象の立位姿勢と多軸加速度センサの検出軸との関係を模式的に示す図である。 一実施形態に係る姿勢制御評価処理の手順の一例を示すフローチャートである。 一実施形態に係る加速度データ処理の手順の一例を示すフローチャートである。 一実施形態に係る加速度データ解析処理及び加速度データ解析結果出力処理の手順の一例を示すフローチャートである。 一実施形態に係る立位姿勢の評価情報の構成例を示す図である。 一実施形態に係る立位姿勢の評価情報の構成例を示す図である。 一実施形態に係る立位姿勢の評価情報の構成例を示す図である。 一実施形態に係る立位姿勢の評価情報の構成例を示す図である。 一実施形態に係る立位姿勢の評価情報の構成例を示す図である。 一実施形態に係る立位姿勢の評価情報の構成例を示す図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態に係る姿勢制御評価方法の手順の一例を示す工程図である。図2は、本実施形態に係る姿勢制御評価装置の構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る姿勢制御評価方法は、人等の評価対象が姿勢をどのように制御しているかを評価する姿勢制御評価方法であって、図1の工程図に例示されるように、加速度情報収集工程ST1、データ処理工程ST2、データ解析工程ST3、及び評価情報出力工程ST4の4工程を有する。また、本実施形態に係る姿勢制御評価方法は、図2に例示される姿勢制御評価装置100により実行される。
以下、本実施形態では、評価対象の一例として人を挙げて説明する。
図3は、本実施形態に係る姿勢制御評価方法において評価対象の体幹に装着される複数の加速度センサの配置の一例を模式的に示す図である。図3に例示されるように、複数の加速度センサは、評価対象50の身体のうち頭部、頸部、胸部、腹部、骨盤部及び尾部からなる体幹52に装着される。図3の例では、22個の加速度センサS1,S2,・・・,S22が、評価対象50の頭部51から体幹52の所定の部位まで等間隔で脊柱に沿って背中側に装着されている。
なお、等間隔とは、厳密に一定の間隔である場合のみに限定されず、実質的に等間隔であってもよい。例えば、全ての加速度センサ間の距離が一定の長さに対して許容可能な範囲で長短があってもよい。
図1において、加速度情報収集工程ST1では、評価対象50の体幹52に装着された複数の加速度センサS1,S2,・・・,S22からなるセンサ群10から加速度情報を単位時間毎に取得する。
次いでデータ処理工程ST2では、加速度情報収集工程ST1において時系列に沿って収集された加速度情報から高周波ノイズを除去し、高周波ノイズが除去された評価用の加速度情報(評価用加速度情報)と、当該評価用加速度情報の瞬時位相情報(評価用瞬時位相情報)とを生成する。
次いでデータ解析工程ST3では、データ処理工程ST2において生成された評価用加速度情報と評価用瞬時位相情報から、加速度情報の類似度と瞬時位相の同期度を求め、評価対象50が立位姿勢をどのように制御しているかの評価情報(立位姿勢の評価情報)を生成する。
次いで評価情報出力工程ST4では、データ解析工程ST3において生成された立位姿勢の評価情報を出力する。
図2において、姿勢制御評価装置100は、複数の加速度センサS1,S2,・・・,S22からなるセンサ群10と、A/D変換部20と、データ収集部30(データーロガー)と、演算処理部40(PC:パーソナルコンピュータ)とを備える。
センサ群10の複数の加速度センサS1,S2,・・・,S22は、図3に例示されるように、評価対象50の体幹52に装着される。A/D変換部20は、センサ群10の加速度センサS1,S2,・・・,S22から出力される加速度に応じた信号レベルのアナログ信号をデジタル化することにより、単位時間毎に加速度情報を生成する。データ収集部30は、A/D変換部20により単位時間毎に生成された加速度情報を時系列に沿って収集する。演算処理部40は、データ収集部30により時系列に沿って収集された単位時間毎の加速度情報を取り込み、時系列に沿って収集された単位時間毎の加速度情報に基づいて、評価対象50が立位姿勢をどのように制御しているかの評価情報(立位姿勢の評価情報)を生成する。演算処理部40は、生成した立位姿勢の評価情報を出力する。
姿勢制御評価装置100は、加速度情報収集工程ST1において、センサ群10の複数の加速度センサS1,S2,・・・,S22から出力される加速度に応じた信号レベルのアナログ信号をA/D変換部20によりデジタル化することにより単位時間毎に加速度情報を生成し、単位時間毎に生成した加速度情報をデータ収集部30により時系列に沿って収集し、時系列に沿って収集した単位時間毎の加速度情報を演算処理部40に取り込む。次いで、姿勢制御評価装置100は、データ処理工程ST2において、演算処理部40により、時系列に沿って収集された単位時間毎の加速度情報から高周波ノイズを除去し、高周波ノイズが除去された評価用の加速度情報(評価用加速度情報)と、当該評価用加速度情報の瞬時位相情報(評価用瞬時位相情報)とを生成する。次いで、姿勢制御評価装置100は、データ解析工程ST3において、演算処理部40により、評価用加速度情報と評価用瞬時位相情報から、加速度情報の類似度と瞬時位相の同期度を求め、評価対象50が立位姿勢をどのように制御しているかの評価情報(立位姿勢の評価情報)を生成する。次いで、姿勢制御評価装置100は、評価情報出力工程ST4において、演算処理部40により、立位姿勢の評価情報を出力する。
姿勢制御評価装置100において、A/D変換部20及びデータ収集部30は加速度情報収集部に対応し、演算処理部40はデータ処理部とデータ解析部と評価情報出力部とに対応する。
なお、姿勢制御評価装置100の演算処理部40の各機能は、演算処理部40がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現されてもよい。演算処理部40として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、演算処理部40は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、演算処理部40の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。例えば、演算処理部40は、スマートフォンやタブレット型のコンピュータ(タブレットPC)等の携帯端末装置を使用して構成されてもよい。また、演算処理部40は、単独のコンピュータにより実現するものであってもよく、又は演算処理部40の機能を複数のコンピュータに分散させて実現するものであってもよい。また、演算処理部40として、例えばWWWシステム等を利用してウェブサイトを開設するように構成してもよい。
姿勢制御評価装置100におけるセンサ群10は、原理的には1軸の加速度センサを複数備えることにより、評価対象50の体幹52にて計測される加速度に基づいて評価対象50が立位姿勢をどのように制御しているかを評価することができる。一方で、姿勢制御評価装置100におけるセンサ群10は、脊柱に沿った鉛直方向に直交する少なくとも左右方向の加速度情報と前後方向の加速度情報とをそれぞれに計測する多軸の加速度センサS1,S2,・・・,S22(多軸加速度センサS1,S2,・・・,S22)を備えてもよい。
図4は、複数の多軸加速度センサS1,S2,・・・,S22が装着された評価対象50の立位姿勢と多軸加速度センサS1,S2,・・・,S22の検出軸との関係を示す模式的に示す図である。
図4に示すように、人の立位姿勢の脊柱及び体幹52は、重力の方向G(鉛直方向)をZ軸とするXYZ空間においてZ軸に沿っているが、当該体幹52の前後方向であるY軸方向で緩やかに湾曲したS字状になっている。このため、姿勢制御評価装置100は、センサ群10として、X軸、Y軸及びZ軸の3軸を検出軸とする3軸加速度センサS1,S2,・・・,S22を備えることにより、XYZ空間において、加速度センサのZ軸方向の加速度情報を用いて、加速度センサの向きを補正して、評価対象50が立位姿勢をどのように制御しているかを評価するようにしてもよい。これにより、加齢に伴って体幹52に生じる柔軟性の低下なども評価することができるようになる。
本実施形態では、具体例として、センサ群10の加速度センサS1,S2,・・・,S22として、小型の3軸加速度センサーモジュールMMA7361LC(株式会社ストロベリー・リナックス社製)を用いる。加速度センサの機器仕様は以下の通りである。
測定範囲:±58.8m/sec(±6G)、感度:206mV/G、応答周波数:DCから1500Hz、ノイズ:350μG/√Hz(0.1Hzから1000Hz)、モジュールサイズ:縦10mm×横10mm×高さ3.56mm、質量:2g.
計測部位は、後頭隆起から仙骨(仙椎)までを等間隔に22点に分割した点とし、22個の加速度センサS1,S2,・・・,S22を脊柱に沿って頭部から仙骨までの背中側の皮膚上に等間隔で22点貼付する。
また、A/D変換部20としてA/D変換ボード(NI USB-6225,National Instruments社製)を用い、加速度センサS1,S2,・・・,S22から出力されたアナログ信号を1000Hzのサンプリング周波数でデジタル化して、LabVIEW2012(National Instruments社製)を用いたデータ収集部30を介して演算処理部40(PC)にデータを取り込んだ後、加速度センサS1,S2,・・・,S22から得られたデータをX軸、Y軸及びZ軸の3軸の加速度情報として抽出する。
図5は、本実施形態に係る姿勢制御評価装置100により実行される姿勢制御評価処理の手順を示すフローチャートである。
先ずステップSP1(加速度データ取得処理)では、姿勢制御評価装置100は、加速度センサS1,S2,・・・,S22から出力されたアナログ信号をA/D変換部20により1000Hzのサンプリング周波数でデジタル化して、データ収集部30を介して演算処理部40に加速度データを時系列に沿って取り込む。ステップSP1(加速度データ取得処理)は、本実施形態に係る姿勢制御評価方法における加速度情報収集工程ST1に対応する。
なお、姿勢制御評価装置100において、複数の評価対象50について姿勢制御評価を行う場合には、ステップSP1で、複数の評価対象50について個別に加速度データ取得処理を順次実行することにより、複数の評価対象50から各加速度データをそれぞれ時系列に沿って演算処理部40に取り込むようにする。ここでは、一の評価対象50について説明を進める。
次いでステップSP2(加速度データ処理)では、演算処理部40は、ステップSP1の加速度データ取得処理により時系列に沿って取り込まれた加速度データに対して、遮断周波数が20Hzであるローパスフィルタ処理により、高周波ノイズを除去し、高周波ノイズが除去された評価用の加速度情報(評価用加速度情報)を生成する。また、演算処理部40は、当該評価用加速度情報の瞬時位相情報(評価用瞬時位相情報)を生成する。
図6は、本実施形態に係る加速度データ処理のフローチャートである。図6(A)において、演算処理部40は、ステップSP1の加速度データ取得処理により時系列に沿って取り込まれた加速度データに対して、遮断周波数が20Hzであるローパスフィルタ処理(SP21)を施して高周波ノイズを除去し、高周波ノイズが除去された評価用加速度情報を生成する。また、。図6(B)において、演算処理部40は、当該ローパスフィルタ処理(SP21)により高周波ノイズが除去された評価用加速度情報からヒルベルト変換処理(SP22)により評価用瞬時位相情報を生成する。この評価用瞬時位相情報生成処理では、評価用加速度情報のうち立位姿勢の評価対象50の体幹52の左右(X軸)方向と前後(Y軸)方向の時系列データに対してヒルベルト変換を施し、サンプリング時刻tにおける左右(X軸)方向(ML)の瞬時位相MLφ(t)と前後(Y軸)方向(AP)の瞬時位相APφ(t)とを算出する。ステップSP2(加速度データ処理)は、本実施形態に係る姿勢制御評価方法におけるデータ処理工程ST2に対応する。
次いでステップSP3(加速度データ解析処理)では、演算処理部40は、ステップSP2の加速度データ処理により生成された評価用加速度情報と評価用瞬時位相情報とを用いて、加速度の類似度(AC)検出処理と瞬時位相の同期度(PLV)算出処理を行い、評価対象50が立位姿勢をどのように制御しているかの評価情報を生成する。
ステップSP3において、加速度の類似度(AC)検出処理では、演算処理部40は、評価用加速度情報を用いて、加速度センサS1,S2,・・・,S22間の加速度データの類似度(AC)として、立位姿勢の評価対象50の体幹52の左右(X軸)方向と前後(Y軸)方向の加速度それぞれについて加速度センサS1,S2,・・・,S22間の相関係数を算出する。
また、加速度の瞬時位相の同期度(PLV)算出処理では、脳波などの振動的な信号の解析において、計測点間を調べるための指標として用いられている瞬時位相の同期度(PLV:Phase Locking Value)を採用し、全ての加速度センサS1,S2,・・・,S22同士の位相の同期度(PLV)を求める。
加速度の瞬時位相の同期度(PLV)算出処理について具体的に説明する。
ステップSP2で算出された評価用瞬時位相情報であるサンプリング時刻tにおける瞬時位相MLφ(t)とAPφ(t)を用いて、サンプリング時刻tにおけるj方向のセンサn,mの瞬時位相φ(t)、φ(t)の差を複素数平面上に表し、最終的に全サンプリング時間数Tで平均したものを次の(1)式に示すようにnmと定義する。
Figure 2023180005000002
ここで、nmに絶対値を取ると時間平均PLVになるが、時間平均PLVでは同期度をベクトルの大きさで表現するのみであり、同位相であるか逆位相であるかを判別することができない。このため、次の(2)式を用いて、同期度の指標nmを次の(3)式に示すように定義する。
Figure 2023180005000003
Figure 2023180005000004
上記の(3)式の同期度の指標nmは、値が1に近ければ同相で強く同期し、-1に近ければ逆相で強く同期し、また、0に近ければ同相あるいは逆相での同期が弱いことを示す。演算処理部40は、瞬時位相の同期度(PLV)として、上記の(3)式に示される同期度の指標nmを算出する。
ステップSP3では、立位姿勢の評価対象50の体幹52の左右(X軸)方向と前後(Y軸)方向の加速度それぞれについて、加速度センサS1,S2,・・・,S22間の評価用加速度情報の類似度(AC:Acceleration Correlation)として相関係数を算出するとともに、瞬時位相の同期度(PLV:Phase Locking Value)を求め、評価対象50が立位姿勢をどのように制御しているかの評価情報(立位姿勢の評価情報)とする。ステップSP3(加速度データ解析処理)は、本実施形態に係る姿勢制御評価方法におけるデータ解析工程ST3に対応する。
次いでステップSP4(加速度データ解析結果出力処理)では、演算処理部40は、ステップSP3において生成された立位姿勢の評価情報を用いて、ヒートマップ表示データや棒グラフ表示データを生成する。当該ヒートマップ表示データや棒グラフ表示データは、立位姿勢の評価情報に含まれる加速度センサS1,S2,・・・,S22間の相関係数や瞬時位相の同期度を、ヒートマップや棒グラフで表示するためのデータである。ステップSP4(加速度データ解析結果出力処理)は、本実施形態に係る姿勢制御評価方法における評価情報出力工程ST4に対応する。
なお、姿勢制御評価装置100は、複数の評価対象50に対して姿勢制御評価を行ってもよい。まずステップSP1において、姿勢制御評価装置100は、複数の評価対象50について個別に加速度データ取得処理を順次実行することにより、複数の評価対象50から各加速度データをそれぞれ時系列に沿って演算処理部40に取り込む。次いでステップSP2において、演算処理部40は、複数の評価対象50から収集された各加速度データを用いて、評価対象50毎に、加速度データ処理により評価用加速度情報と評価用瞬時位相情報を生成する。次いでステップSP3において、演算処理部40は、評価対象50毎に、評価用加速度情報と評価用瞬時位相情報を用いて、加速度センサS1,S2,・・・,S22間の評価用加速度情報の類似度(AC)として相関係数を算出するとともに、瞬時位相の同期度(PLV)を求める。また、演算処理部40は、当該相関係数と当該同期度について統計処理を行って、平均値(AAC:Average Acceleration Correlation、APLV:Average Phase Locking Value)と標準偏差(SDAC:Standard Deviation Acceleration Correlation、SDPLV:Standard Deviation Phase Locking Value)を求める。演算処理部40は、当該平均値(AAC、APLV)と当該標準偏差(SDAC、SDPLV)を評価対象グループの評価データとして出力する。評価対象グループの評価データは、ヒートマップや棒グラフで表示するためのヒートマップ表示データや棒グラフ表示データであってもよい。
図7は、本実施形態に係る加速度データ解析処理及び加速度データ解析結果出力処理のフローチャートである。
図7(A)において、演算処理部40は、ステップSP2の加速度データ処理により生成された評価対象50毎の評価用加速度情報から、評価対象50毎に、加速度センサS1,S2,・・・,S22間の評価用加速度情報の類似度(AC)として相関係数を算出する(ステップSP31)。次いで演算処理部40は、評価対象50毎に、加速度センサS1,S2,・・・,S22間の相関係数の表示データを作成する(ステップSP32)。次いで演算処理部40は、全ての評価対象50について得られた各評価対象50の相関係数について統計処理を行うことにより、全ての評価対象50の平均値(AAC)と標準偏差(SDAC)を求める(ステップSP33)。次いで演算処理部40は、当該平均値(AAC)と当該標準偏差(SDAC)を評価対象グループの評価データとして表示するための表示データを作成して出力する(ステップSP34)。
図7(B)において、演算処理部40は、ステップSP2の加速度データ処理により生成された評価対象50毎の評価用瞬時位相情報から、評価対象50毎に、加速度センサS1,S2,・・・,S22間の瞬時位相の同期度(PLV)を求める(ステップSP35)。次いで演算処理部40は、評価対象50毎に、加速度センサS1,S2,・・・,S22間の瞬時位相の同期度(PLV)の表示データを作成する(ステップSP36)。次いで演算処理部40は、全ての評価対象50について得られた各評価対象50の同期度(PLV)について統計処理を行うことにより、全ての評価対象50の平均値(APLV)と標準偏差(SDPLV)を求める(ステップSP37)。次いで演算処理部40は、当該平均値(APLV)と当該標準偏差(SDPLV)を評価対象グループの評価データとして表示するための表示データを作成して出力する(ステップSP38)。
次に、上述した姿勢制御評価装置100を用いて行った姿勢制御評価の実験の結果について説明する。当該実験では、10名の健康な成人(男10名、年齢:20.9±0.7歳、身長:171.22±4.6cm、体重:68.9±6.3kg)が評価対象50である。当該実験により、安定性の異なる立位姿勢制御条件における冗長な構造である体幹52の挙動について多点的に、かつモデルベースドではなくデータ駆動型に検討し、評価対象50が分節性をどのように制御しているかについて、以下のような評価結果を得ることができた。
当該実験では、開眼と閉眼の2条件による立位姿勢を保持する課題において、体幹52における構造的冗長性をどのように制御するかについて評価した。
10名の評価対象50は、全て整形外科疾患の既往がないことを確認した。当該実験は、ヘルシンキ宣言で提案されているガイドラインに沿って実施され、研究プロトコルは帝京科学大学の倫理委員会(承認番号20A018号)で承認されており、10名の評価対象50を含む全ての参加者は、実験の同意をした上で実験を行った。
評価対象50には、平面上に裸足にて両足の内側が触れる状態で静止立位姿勢をさせた。課題は、開眼立位と閉眼立位の2条件として、各課題をランダムに行った。課題思考時間は、20秒間とし各2試行を計測した。測定の際、2m前方の目の高さに合わせたポイントを注視するように指示した。閉眼条件においても指標を注視させたのちに閉眼をさせた。評価対象50の視線および静止立位姿勢が安定していることを確認したのちに測定を開始した。
評価対象50毎に、測定結果の加速度センサS1,S2,・・・,S22の加速度情報から得られた評価用加速度情報を用いて、加速度の類似度(AC)として各加速度センサS1,S2,・・・,S22間の相関係数を算出した。また、加速度センサS1,S2,・・・,S22間毎に、評価対象50の10人分の平均値(AAC)を算出し、評価対象50間の加速度の類似度(AC)のばらつきとして類似度(AC)の標準偏差(SDAC)を算出し、10人の評価対象50間で生じるばらつきを評価した。
また、評価対象50毎に得られた評価用瞬時位相情報を用いて各加速度センサS1,S2,・・・,S22間の瞬時位相の同期度(PLV)を算出し、加速度センサS1,S2,・・・,S22間毎に、評価対象50の10人分の平均値(APLV)を算出するとともに、瞬時位相の同期度(PLV)の標準偏差(SDPLV)を算出し、10人の評価対象50間で生じるばらつきを評価した。
当該実験では、分節性の程度を表す一つの指標として、加速度の類似度(AC)を用いて、
(1)0.6以上0.8未満は、「強い類似度を有し、分節性が低下している部位」、
(2)0.4以上0.6未満は、「中等度の類似度を有し、ある程度分節性が低下している部位」、
(3)0.4未満は、「類似が弱く、明らかに分節性が高くなっている部位」、
を指標に用いた。
また、当該実験では、分節性の程度を表す一つの指標として、瞬時位相の同期度(PLV)を用いて、
(1)0.6以上0.8未満は、「強い同期度を有し、分節性が低下している部位」、
(2)0.4以上0.6未満は、「中等度の同期度を有し、ある程度分節性が低下している部位」、
(3)0.4未満は、「同期が弱く、明らかに分節性が高くなっている部位」、
を指標に用いた。
なお、分節性の程度を表す指標として、加速度の類似度(AC)と瞬時位相の同期度(PLV)の両方を用いた指標を使用してもよい。
また、加速度の類似度(AC)と瞬時位相の同期度(PLV)について平均と標準偏差をそれぞれヒートマップに示した。
なお、加速度の類似度と瞬時位相の同期度算出についてはMATLAB(登録商標)、統計処理にはSPSS(Statistics Desktop 22.0)を用い、有意水準は全て0.05とした。
10名の評価対象50における各加速度センサS1,S2,・・・,S22間の加速度の類似度(AC)については、図8に示すような評価結果が得られた。
図8は、加速度の類似度(AC)に関する評価結果の例を示すヒートマップである。図8には、10名の評価対象50について、加速度センサS1,S2,・・・,S22間毎に加速度の類似度(AC)の平均値(AAC(a,b,c,d))を評価情報として、条件(ML(Medial Lateral):左右方向、AP(Anterior Posterior):前後方向、EO:開眼条件、EC:閉眼条件)別にグレースケール化して示したヒートマップ(Average Heatmap)が示されている。また、図8には、10名の評価対象50について、加速度センサS1,S2,・・・,S22間毎に加速度の類似度(AC)の標準偏差(SDAC(e,f,g,h))を評価情報として、条件(ML:左右方向、AP:前後方向、EO:開眼条件、EC:閉眼条件)別にグレースケール化して示したヒートマップ(SD Heatmap)が示されている。
図8において、加速度の類似度(AC)の平均(AAC(a,b,c,d))のヒートマップでは、左縦軸と横軸がセンサ番号であり、ヒートマップ内の各区画の濃淡が各区画に対応する2個の加速度センサ間の類似度を示す。区画の濃淡と類似度の関係はヒートマップに並べて示される棒状グラフに示されており、当該棒状グラフの縦軸が類似度である。なお、区画の濃淡の代わりに区画を色分けしてもよい。
また、図8において、標準偏差(SDAC(e,f,g,h))のヒートマップでは、左縦軸と横軸はセンサ番号であり、ヒートマップ内の各区画の濃淡が各区画に対応する2個の加速度センサ間の類似度の標準偏差値を示す。区画の濃淡と標準偏差値の関係はヒートマップに並べて示される棒状グラフに示されており、当該棒状グラフの縦軸が標準偏差値である。
また、図8において、開眼条件EOで特に高い平均値(AAC)を示した加速度センサの組を示す区画を白丸で囲ってあり、開眼条件EOで標準偏差(SDAC)が低い値を示した加速度センサの組を示す区画を黒丸で囲ってある。
開閉眼の左右方向と前後方向共に加速度センサS8-S15における組合せにおいてAAC0.4以上を連続的に示す区画が抽出された。
加速度の類似度(AC)は、開眼条件EOでの左右方向MLで以下の結果となった。
類似度0.8以上の加速度センサの組み合わせは、S9-S10,S10-S11,S11-S12であった。
類似度0.6以上0.8未満の加速度センサの組み合わせは、S1-S2,S5-S6,S7-S8,S8-S9,S12-S13,S13-S14,S14-15,S15-S16,S16-S17であった。
類似度0.4以上0.6未満の加速度センサの組み合わせは、S4-S5,S17-S18,S20-S21,S21-S22であった。
類似度0.4未満の加速度センサの組み合わせは、S2-S3,S3-S4,S6-S7,S18-S19,S19-20であった。
加速度の類似度(AC)は、開眼条件EOでの前後方向APで以下の結果となった。
類似度0.8以上の加速度センサの組み合わせは、S9-S10,S10-S11,S11-S12であった。
類似度0.6以上0.8未満の加速度センサの組み合わせは、S1-S2,S5-S6,S7-S8,S8-S9,S12-S13,S13-S14,S14-S15,S15-S16,S16-S17,S17-S18であった。
類似度0.4以上0.6未満の加速度センサの組み合わせは、S2-S3,S21-S22であった。
類似度0.4未満の加速度センサの組み合わせは、S3-S4,S4-S5,S6-S7,S18-S19,S19-S20,S20-S21であった。
加速度の類似度(AC)は、閉眼条件ECでの左右方向MLで以下の結果となった。
類似度0.8以上の加速度センサの組み合わせは、見られなかった。
類似度0.6以上0.8未満の加速度センサの組み合わせは、S8-S9,S9-S10,S10-S11,S11-S12,S13-S14,S14-S15であった。
類似度0.4以上0.6未満の加速度センサの組み合わせは、S4-S5,S6-S7,S12-S13,S16-S17,S17-S18,S18-S19,S20-S21,S21-S22であった。
類似度0.4未満の加速度センサの組み合わせは、S1-S2,S2-S3,S3-S4,S5-S6,S7-S8,S15-S16,S19-S20であった。
加速度の類似度(AC)は、閉眼条件ECでの前後方向向APで以下の結果となった。
類似度0.8以上の加速度センサの組み合わせは、見られなかった。
類似度0.6以上0.8未満の加速度センサの組み合わせは、S9-S10,S10-S11,S11-S12,S13-S14,S14-S15,S17-S18であった。
類似度0.4以上0.6未満の加速度センサの組み合わせは、S1-S2,S6-S7,S8-S9,S12-S13,S16-S17,S18-S19であった。
類似度0.4 未満の加速度センサの組み合わせは、S2-S3,S3-S4,S4-S5,S5,S7-S8,S15-S16,S19-S20,S20-S21,S21-S22であった。
加速度の類似度(AC)の(AAC(a,b,c,d))は、開眼条件EOに比較して閉眼条件ECでは、左右方向ML及び前後方向AP共に低下した。
閉眼条件ECで加速度の類似度(AC)の(AAC(b,d))が低下する傾向は、左右方向MLに比較して前後方向APでより顕著に見られた。
10名の評価対象50において、各加速度センサS1、S2、・・・S22間の加速度の類似度(AC)のばらつきを示す標準偏差(SDAC(e,f,g,h))については、以下のような結果となった。
各加速度センサS1、S2、・・・S22間の加速度の類似度(AC)の標準偏差(SDAC(e,f,g,h))は、閉眼よりも開眼時に低値を示した。
また、開眼条件EOにおいて、加速度センサS8-S12における組合せでは、評価対象50の加速度の類似度(AC)の標準偏差(SDAC(f,h))が特に低値を示した。
開眼条件EOで標準偏差(SDAC(f,h))が低くなる傾向は、前後方向APに比較して左右方向MLでより顕著にみられた。
加速度センサS1-S2の組み合わせは、左右方向ML及び前後方向APにおいて、閉眼条件ECに比較して開眼条件EOで標準偏差(SDAC(f,h))が高くなった。
加速度センサS11-S12の組み合わせは、左右方向ML及び前後方向APにおいて、閉眼条件ECに比較して開眼条件EOで標準偏差(SDAC(f,h))が低くなった。
また、10名の評価対象50における各加速度センサS1、S2、・・・S22間の瞬時位相の同期度(PLV)の平均値(APLV)については、図9に示すような評価結果が得られた。
図9は、瞬時位相の同期度(PLV)に関する評価結果の例を示すヒートマップである。図9には、10名の評価対象50について、加速度センサS1、S2、・・・S22間毎に加速度の瞬時位相の同期度(PLV)の平均値(APLV(a,b,c,d))を評価情報として条件(ML:左右方向、AP:前後方向、EO:開眼条件、EC:閉眼条件)別にグレースケール化して示したヒートマップ(Average Heatmap)が示されている。また、図9には、10名の評価対象50について、加速度センサS1、S2、・・・S22間毎に加速度の瞬時位相の同期度(PLV)の標準偏差(SDPLV(e,f,g,h))を評価情報として条件(ML:左右方向、AP:前後方向、EO:開眼条件、EC:閉眼条件)別にグレースケール化して示したヒートマップ(SD Heatmap)が示されている。
図9において、瞬時位相の同期度(PLV)の平均値(APLV(a,b,c,d))のヒートマップでは、左縦軸と横軸はセンサ番号であり、ヒートマップ内の各区画の濃淡が各区画に対応する2個の加速度センサ間の同期度を示す。区画の濃淡と同期度の関係はヒートマップに並べて示される棒状グラフに示されており、当該棒状グラフの縦軸が同期度である。なお、区画の濃淡の代わりに区画を色分けしてもよい。
また、図9において、標準偏差(SDPLV(e,f,g,h))のヒートマップでは、左縦軸と横軸はセンサ番号であり、ヒートマップ内の各区画の濃淡が各区画に対応する2個の加速度センサ間の同期度の標準偏差値を示す。区画の濃淡と標準偏差値の関係はヒートマップに並べて示される棒状グラフに示されており、当該棒状グラフの縦軸が標準偏差値である。
また、図9において、開眼条件EOで特に高い平均値(APLV)を示した加速度センサの組を示す区画を白丸で囲ってあり、開眼条件EOで標準偏差(SDPLV)が低い値を示した加速度センサの組を示す区画を黒丸で囲ってある。
瞬時位相の同期度(PLV)は、前後方向APと左右方向ML共に加速度センサS8-S15における組合せにおいて連続してAPLV0.4以上を示す区画が抽出された。
加速度の瞬時位相の同期度(PLV)は、開眼条件EOでの左右方向MLで以下のような結果になった。
同期度0.8以上の加速度センサの組み合わせは、見られなかった。
同期度0.6以上0.8未満の加速度センサの組み合わせは、S9-S10,S10-S11,S11-S12,S13-S14,S14-S15であった。
同期度0.4以上0.6未満の加速度センサの組み合わせは、S1-S2,S8-S9,S12-S13,S16-S17,S17-S18,S18-S19であった。
同期度0.4未満の加速度センサの組み合わせは、S2-S3,S3-S4,S4-S5,S5-S6,S6-S7,S7-S8,S15-S16,S19-S20,S20-S21,S21-S22であった。
瞬時位相の同期度(PLV)の平均値(APLV)は、開眼条件EOに比較して閉眼条件ECでは,左右方向ML及び前後方向APで共に低下した。
閉眼条件ECで瞬時位相の同期度(PLV)の平均値(APLV)が低下する傾向は、左右方向MLに比較して前後方向APでより顕著に見られた。
10名の評価対象50において、各加速度センサS1、S2、・・・S22間の加速度の瞬時位相の同期度(PLV)のばらつきを示す標準偏差(SDPLV(e,f,g,h))については、以下のような結果となった。
各加速度センサS1、S2、・・・S22間の加速度の瞬時位相の同期度(PLV)の標準偏差(SDPLV(e,f,g,h))は、閉眼よりも開眼時に低値を示した。
また、加速度センサS8-S12における組み合わせでは、同期度(PLV)の標準偏差(SDPLV(e,f,g,h))が特に低値を示した。
開眼条件EOで同期度(PLV)の標準偏差(SDPLV(e,f,g,h))が低くなる傾向は、前後方向APに比較して左右方向MLでより顕著に見られた。
加速度センサS1-S2の組み合わせは、左右方向ML及び前後方向APにおいて、閉眼条件ECに比較して同期度(PLV)の標準偏差(SDPLV(e,f,g,h))が高くなった。
加速度センサS11-S12の組み合わせは、左右方向ML及び前後方向APにおいて、閉眼条件ECに比較して開眼条件EOで同期度(PLV)の標準偏差(SDPLV(e,f,g,h))が低くなった。
図10は、加速度の瞬時位相の同期度(PLV)の平均値(APLV)に基づいた体幹姿勢制御の冗長性を横棒グラフで示す図である。図10には、隣接して位置する加速度センサの左右方向MLのAPLV(a)と前後方向APのAPLV(b)とを示している。
図10において、グラフの横軸は、隣接して位置する加速度センサ間のAPLV値を、開眼条件EOと閉眼条件ECの別に示した。加速度センサS1から加速度センサS22までの21組のAPLVを上から順に示した。APLVが高値を示した加速度センサの組み合わせを濃い灰色で示し、APLVが低値を示した加速度センサの組み合わせを淡い灰色で示した。なお、濃淡の代わりに色分けしてもよい。
開眼条件EOに比べ、閉眼条件ECでは胸郭部を中心としたAPLVの低下がみられた。
上述した姿勢制御評価装置100を用いて行った姿勢制御評価の実験の結果から、加速度の類似度(AC)の平均値(AAC)と瞬時位相の同期度(PLV)の平均値(APLV)は、開眼条件EO及び閉眼条件ECの両方ともに、左右方向ML及び前後方向APにおいて、ヒートマップ上で高値となる加速度センサのまとまりが複数確認された。そのAPLVとAACが高い計測部位は、分節性が低い部位になっていると評価することができる。
また、加速度の類似度(AC)の平均値(AAC)と瞬時位相の同期度(PLV)の平均値(APLV)の値が特に0.6以上の高い値を示している加速度センサ群は、頭部や胸郭部や腰椎部の位置に装着されたものとなっている。脊柱をなす骨である脊椎は、頸椎、胸椎、腰椎、仙椎及び尾椎に分類され、局所的な分節的構造を有している。胸椎部は、肋骨と胸骨によって胸郭を形成し、骨格構造として剛性が高い部位である。一方で、剛性の高い胸郭部と骨盤部の間にある腰椎部は、骨格構造上においては柔軟性が高い部位であるにも関わらず、APLVおよびAACが高値を示した。腰椎部の骨格構造における不安定性を支持するために腰背部の筋群が活動することにより、腰椎部の剛性が高くなったと考えられる。
また、上述した姿勢制御評価装置100を用いて行った姿勢制御評価の実験の結果から、加速度の瞬時位相の同期度(PLV)の平均値(APLV)に基づいた体幹姿勢制御の冗長性を図10に横棒グラフで表示して示すように、開眼条件EO及び閉眼条件ECにおけるAPLVの比較から、立位姿勢における体幹52の構造的冗長性の制御戦略は条件の相違によって変化し得ることが明らかになった。
また、上述した姿勢制御評価装置100を用いて行った姿勢制御評価の実験の結果から、加速度の類似度(AC)の平均値(AAC)と瞬時位相の同期度(PLV)の平均値(APLV)において、開眼条件EOで、左右方向ML及び前後方向APともに高値を示した胸郭部から腰椎部に位置する加速度センサ群(加速度センサS8-S15)群が、より不安定な閉眼条件ECでは低値を示した。また、加速度の類似度(AC)及び瞬時位相の同期度(PLV)の標準偏差(SDAC,SDPLV)の結果から、開眼条件EOに比べ閉眼条件ECでは、左右方向ML及び前後方向APともに、体幹52における評価対象50間のばらつきが増加することが明らかになった。
上述したように本実施形態によれば、人である評価対象50の体幹52にて計測される加速度に基づいて評価対象50が立位姿勢をどのように制御しているかを評価することができるという効果が得られる。
なお、上述した実施形態では、立位姿勢の評価情報をヒートマップや棒グラフで表示するようにしたが、これに限定されない。例えば、立位姿勢の評価情報を、時間的変化が分かるように動画像等で出力してもよい。
図11-図13は、立位姿勢の評価情報の動画像の一例を示す画面キャプチャデータである。図11-図13において、画面領域200には、22個の加速度センサS1,S2,・・・,S22のそれぞれから得られた加速度情報が加速度センサ毎に時系列に沿って示されている。また、画面領域200において、時刻t(秒)における各加速度センサS1,S2,・・・,S22の加速度情報が丸印で示されている。また、当該丸印の濃淡によって、各加速度センサS1,S2,・・・,S22間の加速度の類似度(AC)が示されている。当該丸印の濃淡が類似する加速度センサ同士は、加速度の類似度(AC)が高い。また、画面領域210には、当該丸印の濃淡を認識しやすくするために、各加速度センサS1,S2,・・・,S22の当該丸印の濃淡が示されている。
図11は時刻「0.001秒」の画面キャプチャデータであり、図12は時刻「5.001秒」の画面キャプチャデータであり、図13は時刻「10.001秒」の画面キャプチャデータである。演算処理部40は、図11-図13に示されるように、各時刻tにおける各加速度センサS1,S2,・・・,S22の加速度情報及び各加速度センサS1,S2,・・・,S22間の加速度の類似度(AC)が丸印及び丸印の濃淡で時系列に沿って連続的に画面表示される動画像を表示するための動画像表示データを生成し、当該動画像表示データを立位姿勢の評価情報として出力する。当該動画像表示データが再生されて画面表示されることによって、評価対象50の体幹52の各部(各加速度センサが装着された部位)の加速度や加速度の類似度(AC)の時間的変化を分かりやすく提示することができる。なお、丸印の濃淡の代わりに丸印を色分けしてもよい。
また、上述した実施形態では、図3に例示されるように、22個の加速度センサS1,S2,・・・,S22を、評価対象50の頭部51から体幹52の所定の部位(例えば上記の実験では仙骨の部位)まで等間隔で脊柱に沿って背中側に装着したが、加速度センサの装着方法は適宜に変更可能である。
例えば、加速度センサの個数は、上述した図3に例示されるように22個が装着されることに限定されることなく、3個以上の加速度センサが装着されることにより、それらから得られる加速度情報に基づいて加速度情報の類似度(AC)と瞬時位相の同期度(PLV)を算出し、評価対象50が姿勢をどのように制御しているかの評価情報を生成することができる。
また、例えば、評価対象50の頭部と胸部と骨盤部とに対してそれぞれ3個ずつ合計9個の加速度センサを背中側に装着してもよい。その各部(頭部、胸部、骨盤部)において、3個の加速度センサは等間隔であってもよく、又は等間隔でなくてもよい。さらに、頭部と胸部との間に、追加の加速度センサを背中側に装着してもよい。また、胸部と骨盤部との間に、追加の加速度センサを背中側に装着してもよい。
なお、多数の加速度センサを用いる場合、体幹52の各部における加速度の特徴をつかみやすくするために、加速度センサを等間隔にすることは好ましい。
また、加速度センサを装着する部位は、背中側の脊柱上が好ましい。これは、背中側の脊柱上には筋肉がほぼないので、加速度センサが筋肉の動きによる加速度情報までも検出することを防止して分析精度を向上させることができるからである。なお、加速度センサが筋肉の動きによる加速度情報までも検出することを許容できるような評価を行う場合には、加速度センサを装着する部位は背中側の脊柱上ではなくてもよい。例えば、背中側の脊柱上から左又は右にずれた部位に、加速度センサを装着してもよい。
また、上述した実施形態では、センサ群10の一例として3軸加速度センサS1、S2、・・・S22を備える場合について説明したが、センサ群10として、図4に示されるようにX軸、Y軸、Z軸の各軸周り方向θx、θy、θzの加速度(角速度又は回転加速度)も検出する6軸の加速度センサS1、S2、・・・S22を備えることにより、体幹の捻れ等も評価することができる。
さらに、地磁気に基づいて方位も検出する9軸の加速度センサを用いるようにすれば、評価対象50の体幹52に脊柱に沿って装着された各加速度センサS1、S2、・・・S22の三次元空間における原点姿勢に対するキャリブレーション処理を自動化することが可能になる。
なお、演算処理部40は、加速度の類似度(AC)と加速度の瞬時位相の同期度(PLV)とのうち少なくとも一方を算出してもよい。例えば、演算処理部40は、加速度の類似度(AC)のみを算出してもよく、又は加速度の瞬時位相の同期度(PLV)のみを算出してもよい。例えば、演算処理部40は、加速度の類似度(AC)と加速度の瞬時位相の同期度(PLV)との両方を算出してもよい。
また、演算処理部40は、加速度センサS1、S2、・・・S22の加速度情報について、周波数パワーと加速度センサ間の位相差と加速度センサ間の相互相関係数とのうち少なくとも一つをさらに求め、評価対象50が姿勢をどのように制御しているかの評価情報としてもよい。
また、姿勢制御評価装置100は、評価対象50の重心を測定するためのセンサをさらに備えてもよい。演算処理部40は、評価対象50の重心の測定結果から得られる評価対象50の重心動揺の時系列データと、評価対象50の体幹52に等間隔で装着された加速度センサS1,S2,・・・,S22から得られた加速度情報の時系列データとに基づいて、体幹52のどの部位(どの加速度センサが装着された部位)が評価対象50の重心動揺に関与しているかを示す評価情報を生成する。
なお、上述した実施形態では、評価対象の一例として人を挙げて説明したが、人以外の脊椎動物にも適用可能である。
上述したように本実施形態によれば、姿勢制御評価装置100は、評価対象の体幹に装着された複数の加速度センサから加速度情報を単位時間毎に取得し、時系列に沿って収集された加速度情報から高周波ノイズを除去し、高周波ノイズが除去された評価用の加速度情報である評価用加速度情報と当該評価用加速度情報の瞬時位相情報である評価用瞬時位相情報とを生成し、生成された評価用加速度情報と評価用瞬時位相情報に基づいて加速度センサ間の加速度情報の類似度と加速度センサ間の瞬時位相の同期度とのうち少なくとも一方を算出し、加速度センサ間の加速度情報の類似度と加速度センサ間の瞬時位相の同期度とのうち少なくとも一方に基づいて評価対象が姿勢をどのように制御しているかの評価情報を生成し、生成された評価情報を出力する。これにより、人等の評価対象の体幹にて計測される加速度に基づいて、評価対象が姿勢をどのように制御しているかを評価することができるという効果が得られる。
また、安定性の異なる立位姿勢制御条件(開眼、閉眼)における冗長な構造である体幹の挙動について多点的に、かつモデルベースドではなくデータ駆動型に検討し、評価対象が分節性をどのように制御しているかを評価することができる。この点について、上述した実験結果から明らかなように、視覚からの入力が失われ、より一層不安定になった立位姿勢を制御する必要が生じた場合に、胸郭部においてリンクを増やす応答が認められ、人の立位姿勢における体幹の構造的冗長性を制御するためには、胸郭部を一定程度「まとまり」にして、その加速度を調整することが重要な一因子であると考えられる。上述した実験によれば、開眼と閉眼の2条件による立位姿勢を保持する課題において、複数の加速度センサを用いて体幹における構造的冗長性を評価対象がどのように制御するかについて評価することができる。
また、上述した実験では、10名の健康な成人を評価対象50として姿勢をどのように制御しているかの評価を行ったが、評価対象50は健康な成人に限定されない。例えば、姿勢が類似している複数の評価対象を評価対象グループにしてもよい。
また、評価対象グループの姿勢評価情報を蓄積することにより、評価対象グループ間の姿勢評価情報を比較評価したり、個人の姿勢評価情報がどの評価対象グループの姿勢評価情報に近いかなどの評価を行うこともできる。例えば、加齢、成長、疾患、武道、舞踊、茶道などの経験が評価対象の姿勢にどのように影響しているかの評価を行うこともできる。
なお、本実施形態に係る姿勢制御評価方法及び姿勢制御評価装置は、各種の分野に応用することができる。例えば、評価対象50から得られた立位姿勢の評価情報を、評価対象50の疾病や心身バランス等の判定に利用することができる。例えば、スポーツ種別毎に評価対象グループを形成し、各スポーツ種別の評価対象グループから得られた立位姿勢の評価情報を、各スポーツ種別における身体制御等の分析に利用することができる。例えば、評価対象グループから得られた立位姿勢の評価情報を、立位姿勢で作業するロボットの開発に利用することができる。
また、上述した姿勢制御評価装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
10…センサ群、20…A/D変換部、30…データ収集部、40…演算処理部、100…姿勢制御評価装置、S1,S2,・・・,S22…加速度センサ

Claims (17)

  1. 人等の評価対象が姿勢をどのように制御しているかを評価する姿勢制御評価方法であって、
    前記評価対象の体幹に装着された複数の加速度センサから加速度情報を単位時間毎に取得する加速度情報収集工程と、
    前記加速度情報収集工程において時系列に沿って収集された加速度情報から高周波ノイズを除去し、高周波ノイズが除去された評価用の加速度情報である評価用加速度情報と前記評価用加速度情報の瞬時位相情報である評価用瞬時位相情報とを生成するデータ処理工程と、
    前記データ処理工程において生成された評価用加速度情報と評価用瞬時位相情報に基づいて加速度センサ間の加速度情報の類似度と加速度センサ間の瞬時位相の同期度とのうち少なくとも一方を算出し、加速度センサ間の加速度情報の類似度と加速度センサ間の瞬時位相の同期度とのうち少なくとも一方に基づいて前記評価対象が姿勢をどのように制御しているかの評価情報を生成するデータ解析工程と、
    前記データ解析工程において生成された評価情報を出力する評価情報出力工程と、
    を含む姿勢制御評価方法。
  2. 前記加速度情報収集工程において、前記評価対象が目を開いている開眼状態での加速度情報と前記評価対象が目を閉じている閉眼状態での加速度情報とをそれぞれに時系列に沿って収集する、
    請求項1に記載の姿勢制御評価方法。
  3. 前記加速度情報収集工程において、前記複数の加速度センサとして多軸の加速度センサを用いて、立位姿勢の前記評価対象の脊柱に沿った鉛直方向に直交する少なくとも左右方向の加速度情報と前後方向の加速度情報とをそれぞれ時系列に沿って収集する、
    請求項1に記載の姿勢制御評価方法。
  4. 前記加速度情報収集工程において、前記複数の加速度センサとして3軸の加速度センサを用いて、立位姿勢の前記評価対象の脊柱に沿った鉛直方向の加速度情報と、鉛直方向に直交する左右方向の加速度情報及び前後方向の加速度情報とをそれぞれ時系列に沿って収集する、
    請求項1に記載の姿勢制御評価方法。
  5. 前記加速度情報収集工程において、前記複数の加速度センサとして6軸の加速度センサを用いて、前記鉛直方向、前記左右方向及び前記前後方向の3軸の方向の加速度情報に加えてさらに前記3軸の軸周り方向の加速度情報をそれぞれ時系列に沿って収集する、
    請求項4に記載の姿勢制御評価方法。
  6. 前記加速度情報収集工程において、前記複数の加速度センサは、前記評価対象の体幹に等間隔で脊柱に沿って背中側に装着される、
    請求項1に記載の姿勢制御評価方法。
  7. 前記加速度情報収集工程において、前記複数の加速度センサは、前記評価対象の頭部から体幹の所定の部位まで等間隔で脊柱に沿って背中側に装着される、
    請求項1に記載の姿勢制御評価方法。
  8. 前記加速度情報収集工程において、前記複数の加速度センサは、前記評価対象の体幹の複数の所定部に分散して装着される、
    請求項1に記載の姿勢制御評価方法。
  9. 前記加速度情報収集工程において、前記複数の加速度センサは、前記評価対象の体幹の3つの所定部である頭部と胸部と骨盤部とにそれぞれ分散して装着される、
    請求項1に記載の姿勢制御評価方法。
  10. 前記加速度情報収集工程において、前記複数の加速度センサとして、前記所定部間に追加の加速度センサがさらに装着される、
    請求項8又は9のいずれか1項に記載の姿勢制御評価方法。
  11. 前記加速度情報収集工程において、前記複数の加速度センサは、前記評価対象の体幹の背中側の脊柱上の部位に装着される、
    請求項1に記載の姿勢制御評価方法。
  12. 前記データ解析工程において、前記評価用加速度情報を用いて、加速度情報の類似度として加速度センサ間の相関係数を算出する、
    請求項1に記載の姿勢制御評価方法。
  13. 前記評価情報出力工程において、前記評価情報をヒートマップ及び/又は棒グラフとして出力する、
    請求項1に記載の姿勢制御評価方法。
  14. 前記評価情報出力工程において、前記評価情報を、時間的変化が分かる動画像として出力する、
    請求項1に記載の姿勢制御評価方法。
  15. 前記データ解析工程において、さらに、前記複数の加速度センサの加速度情報について周波数パワーと加速度センサ間の位相差と加速度センサ間の相互相関係数とのうち少なくとも一つを求め、前記評価対象が姿勢をどのように制御しているかの評価情報とする、
    請求項1に記載の姿勢制御評価方法。
  16. 複数の前記評価対象を評価対象グループとし、
    前記加速度情報収集工程において、前記評価対象グループについて評価対象毎に前記複数の加速度センサから加速度情報を単位時間毎に取得し、
    前記データ処理工程において前記評価対象グループについて評価対象毎に前記評価用加速度情報と前記評価用瞬時位相情報とを生成し、
    前記データ解析工程において、前記評価対象グループについて評価対象毎に算出された加速度センサ間の加速度情報の類似度と加速度センサ間の瞬時位相の同期度とに対してそれぞれに統計処理を行い、統計処理の結果に基づいて前記評価情報を生成する、
    請求項1に記載の姿勢制御評価方法。
  17. 人等の評価対象が姿勢をどのように制御しているかを評価する姿勢制御評価装置であって、
    前記評価対象の体幹に装着される複数の加速度センサと、
    前記複数の加速度センサから加速度情報を単位時間毎に取得する加速度情報収集部と、
    前記加速度情報収集部により時系列に沿って収集された加速度情報から高周波ノイズを除去し、高周波ノイズが除去された評価用の加速度情報である評価用加速度情報と前記評価用加速度情報の瞬時位相情報である評価用瞬時位相情報とを生成するデータ処理部と、
    前記データ処理部により生成された評価用加速度情報と評価用瞬時位相情報に基づいて加速度センサ間の加速度情報の類似度と加速度センサ間の瞬時位相の同期度とのうち少なくとも一方を算出し、加速度センサ間の加速度情報の類似度と加速度センサ間の瞬時位相の同期度とのうち少なくとも一方に基づいて前記評価対象が姿勢をどのように制御しているかの評価情報を生成するデータ解析部と、
    前記データ解析部により生成された評価情報を出力する評価情報出力部と、
    を備える姿勢制御評価装置。
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