JP2023177932A - マルチ荷電粒子ビーム描画装置及びマルチ荷電粒子ビーム描画方法 - Google Patents

マルチ荷電粒子ビーム描画装置及びマルチ荷電粒子ビーム描画方法 Download PDF

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Abstract

【課題】描画処理速度に欠陥ビーム補正のデータ処理が間に合わなくなることを回避可能なマルチビーム描画装置を提供する。【解決手段】マルチビーム描画装置は、成形アパーチャアレイ基板と、描画パターンに関わらずマルチビーム全体での照射領域に対応する試料面上の単位領域の各位置が一様のドーズ量で定義されるドーズ分布を用いて、マルチ荷電粒子ビームのうち常時ビームOFFとなる欠陥ビームが担当する位置のドーズ量を他の1つ以上の画素へと分配することによって補正するための、ドーズ変調率を定義する欠陥補正データを作成する欠陥補正データ作成部と、描画パターン毎に描画パターンに応じた個別のドーズ量を演算するドーズマップ作成部と、描画パターン毎に記憶装置から欠陥補正データを読み出し、試料上の各位置の個別のドーズ量を補正したドーズ量を得るドーズ補正部と、補正したドーズ量で試料に描画パターンを描画する描画機構と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明の一態様は、マルチ荷電粒子ビーム描画装置及びマルチ荷電粒子ビーム描画方法に係り、例えば、マルチビーム描画によるパターンの寸法ずれを低減する手法に関する。
半導体デバイスの微細化の進展を担うリソグラフィ技術は半導体製造プロセスのなかでも唯一パターンを生成する極めて重要なプロセスである。近年、LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスに要求される回路線幅は年々微細化されてきている。ここで、電子線(電子ビーム)描画技術は本質的に優れた解像性を有しており、マスクブランクスへ電子線を使ってマスクパターンを描画することが行われている。
例えば、マルチビームを使った描画装置がある。1本の電子ビームで描画する場合に比べて、マルチビームを用いることで一度に多くのビームを照射できるのでスループットを大幅に向上させることができる。かかるマルチビーム方式の描画装置では、例えば、電子銃から放出された電子ビームを複数の穴を持ったマスクに通してマルチビームを形成し、各々、ブランキング制御され、遮蔽されなかった各ビームが光学系で縮小されることによりマスク像が縮小されて、偏向器で偏向されることにより試料上の所望の位置へと照射される。
マルチビーム描画では、各ビームから照射されるドーズ量を照射時間によって制御している。しかしながら、ブランキング制御機構の故障等により照射時間制御が困難となり、ビームが照射されない常時OFFビームとなる欠陥ビームが発生し得る。必要なドーズが試料に照射されない場合、試料上に形成されるパターンの形状誤差が生じてしまうといった問題があった。かかる問題に対して、描画したい描画パターンに応じた各画素のドーズ量を演算し、常時OFF欠陥ビームが担当する画素で不足する分のドーズ量を周囲のビームに分配することにより補正することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、欠陥ビーム補正のデータ処理には時間がかかる。そのため、描画処理速度にデータ生成が間に合わなくなるといった問題が生じ得る。
特開2019-033117号公報
本発明の一態様は、マルチビーム描画において、描画処理速度に欠陥ビーム補正のデータ処理が間に合わなくなることを回避可能な装置及び方法を提供する。
本発明の一態様のマルチ荷電粒子ビーム描画装置は、
マルチ荷電粒子ビームを形成するビーム形成機構と、
描画されるための描画パターンに関わらずマルチ荷電粒子ビーム全体での照射領域に対応する試料面上の単位領域の各位置が一様のドーズ量で定義されるドーズ分布を用いて、マルチ荷電粒子ビームのうち常時ビームOFFとなる欠陥ビームが担当する位置のドーズ量を他の1つ以上の画素へと分配することによって補正するための、ドーズ変調率を定義する欠陥補正データを作成する欠陥補正データ作成部と、
欠陥補正データを記憶する記憶装置と、
描画パターン毎に、当該描画パターンに応じた試料上の各位置の個別のドーズ量を演算するドーズ量演算部と、
描画パターン毎に、記憶装置から欠陥補正データを読み出し、読み出した欠陥補正データに定義されるドーズ変調率を試料上の各位置の個別のドーズ量に乗じた値を用いたドーズ分配により当該描画パターンに応じた、試料上の各位置の個別のドーズ量を補正し、補正したドーズ量を得るドーズ補正部と、
補正したドーズ量で照射される前記マルチ荷電粒子ビームを用いて、前記試料に前記描画パターンを描画する描画機構と、
を備えたことを特徴とする。
また、欠陥補正データ作成部は、マルチ荷電粒子ビームの各照射位置の個別の位置ずれを補正するための位置ずれ補正データを入力し、位置ずれ補正データをさらに用いて、欠陥補正データを作成すると好適である。
また、描画パターンは、多重描画によって試料に描画され、
欠陥補正データ作成部は、多重描画の複数のパスの1つで行われる欠陥ビームが担当する位置のドーズ量の補正を他のパスで行うように欠陥補正データを作成すると好適である。
また、欠陥補正データ作成部は、欠陥ビームが担当する位置のドーズ量の補正を欠陥ビームが担当する位置の周囲の位置を照射する周辺ビームにより行うように欠陥補正データを作成すると好適である。
本発明の一態様のマルチ荷電粒子ビーム描画方法は、
マルチ荷電粒子ビームを形成する工程と、
描画されるための描画パターンに関わらずマルチ荷電粒子ビーム全体での照射領域に対応する試料面上の単位領域の各位置が一様のドーズ量で定義されるドーズ分布を用いて、マルチ荷電粒子ビームのうち常時ビームOFFとなる欠陥ビームが担当する位置のドーズ量を他の1つ以上の画素へと分配することによって補正するための、ドーズ変調率を定義する欠陥補正データを作成する工程と、
欠陥補正データを記憶装置に記憶する工程と、
描画パターン毎に、当該描画パターンに応じた試料上の各位置の個別のドーズ量を演算する工程と、
描画パターン毎に、記憶装置から欠陥補正データを読み出し、読み出した欠陥補正データに定義されるドーズ変調率を試料上の各位置の個別のドーズ量に乗じた値を用いたドーズ分配により当該描画パターンに応じた、試料上の各位置の個別のドーズ量を補正し、補正したドーズ量を得る工程と、
補正したドーズ量で照射されるマルチ荷電粒子ビームを用いて、試料に描画パターンを描画する工程と、
を備えたことを特徴とする。
本発明の一態様によれば、マルチビーム描画において、描画処理速度に欠陥ビーム補正のデータ処理が間に合わなくなることを回避できる。
実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。 実施の形態1における成形アパーチャアレイ基板の構成を示す概念図である。 実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ機構の構成を示す断面図である。 実施の形態1における描画動作の一例を説明するための概念図である。 実施の形態1におけるマルチビームの照射領域と描画対象画素との一例を示す図である。 実施の形態1におけるマルチビームの描画方法の一例を説明するための図である。 実施の形態1における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。 実施の形態1におけるビームの位置ずれと位置ずれ周期性とを説明するための図である。 実施の形態1における位置ずれ補正方法の一例を説明するための図である。 実施の形態1における欠陥補正用の矩形単位領域のドーズマップの一例を示す図である。 実施の形態1における多重描画で欠陥補正を行う手法の一例を説明するための図である。 実施の形態1における周辺画素を用いて欠陥補正を行う手法の一例を説明するための図である。 実施の形態1における周辺画素を用いて欠陥補正を行う手法の他の一例を説明するための図である。
以下、実施の形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の荷電粒子を用いたビームでも構わない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。図1において、描画装置100は、描画機構150と制御系回路160を備えている。描画装置100は、マルチ荷電粒子ビーム描画装置の一例である。描画機構150は、電子鏡筒102(マルチ電子ビームカラム)と描画室103を備えている。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、ブランキングアパーチャアレイ機構204、縮小レンズ205、制限アパーチャ基板206、対物レンズ207、偏向器208、及び偏向器209が配置されている。描画室103内には、XYステージ105が配置される。XYステージ105上には、描画時には描画対象基板となるレジストが塗布されたマスクブランクス等の試料101が配置される。試料101には、半導体装置を製造する際の露光用マスク、或いは、半導体装置が製造される半導体基板(シリコンウェハ)等が含まれる。XYステージ105上には、さらに、XYステージ105の位置測定用のミラー210が配置される。XYステージ105上には、さらに、ファラディーカップ106が配置される。
制御系回路160は、制御計算機110、メモリ112、偏向制御回路130、デジタル・アナログ変換(DAC)アンプユニット132,134、ステージ位置検出器139及び磁気ディスク装置等の記憶装置140,142,144を有している。制御計算機110、メモリ112、偏向制御回路130、DACアンプユニット132,134、ステージ位置検出器139及び記憶装置140,142,144は、図示しないバスを介して互いに接続されている。偏向制御回路130には、DACアンプユニット132,134及びブランキングアパーチャアレイ機構204が接続されている。DACアンプユニット132の出力は、偏向器209に接続される。DACアンプユニット134の出力は、偏向器208に接続される。偏向器208は、4極以上の電極により構成され、電極毎にDACアンプ134を介して偏向制御回路130により制御される。偏向器209は、4極以上の電極により構成され、電極毎にDACアンプ132を介して偏向制御回路130により制御される。ステージ位置検出器139は、レーザ光をXYステージ105上のミラー210に照射し、ミラー210からの反射光を受光する。そして、かかる反射光の情報を使ったレーザ干渉の原理を利用してXYステージ105の位置を測定する。
制御計算機110内には、ビーム位置ずれマップ作成部50、位置ずれ補正データ作成部52、検出部54、特定部55、欠陥補正データ作成部56、ラスタライズ部60、ドーズマップ作成部62、ドーズ補正部64、照射時間演算部72、及び描画制御部74が配置されている。ビーム位置ずれマップ作成部50、位置ずれ補正データ作成部52、検出部54、特定部55、欠陥補正データ作成部56、ラスタライズ部60、ドーズマップ作成部62、ドーズ補正部64、照射時間演算部72、及び描画制御部74といった各「~部」は、処理回路を有する。かかる処理回路は、例えば、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置を含む。各「~部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いても良いし、或いは異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。ビーム位置ずれマップ作成部50、位置ずれ補正データ作成部52、検出部54、特定部55、欠陥補正データ作成部56、ラスタライズ部60、ドーズマップ作成部62、ドーズ補正部64、照射時間演算部72、及び描画制御部74に入出力される情報および演算中の情報はメモリ112にその都度格納される。
また、描画装置100の外部から描画データが入力され、記憶装置140に格納される。描画データには、通常、描画するための複数の図形パターンの情報が定義される。具体的には、図形パターン毎に、図形コード、座標、及びサイズ等が定義される。
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。描画装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。
図2は、実施の形態1における成形アパーチャアレイ基板の構成を示す概念図である。図2において、成形アパーチャアレイ基板203には、縦(y方向)p列×横(x方向)q列(p,q≧2)の穴(開口部)22が所定の配列ピッチでマトリクス状に形成されている。図2では、例えば、縦横(x,y方向)に512×512列の穴22が形成される。各穴22は、共に同じ寸法形状の矩形で形成される。或いは、同じ直径の円形であっても構わない。成形アパーチャアレイ基板203(ビーム形成機構)は、マルチビーム20を形成する。具体的には、これらの複数の穴22を電子ビーム200の一部がそれぞれ通過することで、マルチビーム20が形成されることになる。また、穴22の配列の仕方は、図2のように、縦横が格子状に配置される場合に限るものではない。例えば、縦方向(y方向)k段目の列と、k+1段目の列の穴同士が、横方向(x方向)に寸法aだけずれて配置されてもよい。同様に、縦方向(y方向)k+1段目の列と、k+2段目の列の穴同士が、横方向(x方向)に寸法bだけずれて配置されてもよい。
図3は、実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ機構の構成を示す断面図である。ブランキングアパーチャアレイ機構204は、図3に示すように、支持台33上にシリコン等からなる半導体基板31が配置される。基板31の中央部は、例えば裏面側から削られ、薄い膜厚hのメンブレン領域330(第1の領域)に加工されている。メンブレン領域330を取り囲む周囲は、厚い膜厚Hの外周領域332(第2の領域)となる。メンブレン領域330の上面と外周領域332の上面とは、同じ高さ位置、或いは、実質的に同じ高さ位置になるように形成される。基板31は、外周領域332の裏面で支持台33上に保持される。支持台33の中央部は開口しており、メンブレン領域330の位置は、支持台33の開口した領域に位置している。
メンブレン領域330には、図2に示した成形アパーチャアレイ基板203の各穴22に対応する位置にマルチビーム20のそれぞれのビームの通過用の通過孔25(開口部)が開口される。言い換えれば、基板31のメンブレン領域330には、電子線を用いたマルチビーム20のそれぞれ対応するビームが通過する複数の通過孔25がアレイ状に形成される。そして、基板31のメンブレン領域330上であって、複数の通過孔25のうち対応する通過孔25を挟んで対向する位置に2つの電極を有する複数の電極対がそれぞれ配置される。具体的には、メンブレン領域330上に、図3に示すように、各通過孔25の近傍位置に該当する通過孔25を挟んでブランキング偏向用の制御電極24と対向電極26の組(ブランカー:ブランキング偏向器)がそれぞれ配置される。また、基板31内部であってメンブレン領域330上の各通過孔25の近傍には、各通過孔25用の制御電極24に偏向電圧を印加する制御回路41(ロジック回路)が配置される。各ビーム用の対向電極26は、グランド接続される。
制御回路41内には、図示しないアンプ(スイッチング回路の一例)が配置される。アンプの一例として、CMOS(Complementary MOS)インバータ回路が配置される。そして、CMOSインバータ回路は正の電位(Vdd:ブランキング電位:第1の電位)(例えば、5V)(第1の電位)とグランド電位(GND:第2の電位)に接続される。CMOSインバータ回路の出力線(OUT)は制御電極24に接続される。一方、対向電極26は、グランド電位が印加される。そして、ブランキング電位とグランド電位とが切り替え可能に印加される複数の制御電極24が、基板31上であって、複数の通過孔25のそれぞれ対応する通過孔25を挟んで複数の対向電極26のそれぞれ対応する対向電極26と対向する位置に配置される。
CMOSインバータ回路の入力(IN)には、閾値電圧よりも低くなるL(low)電位(例えばグランド電位)と、閾値電圧以上となるH(high)電位(例えば、1.5V)とのいずれかが制御信号として印加される。実施の形態1では、CMOSインバータ回路の入力(IN)にL電位が印加される状態では、CMOSインバータ回路の出力(OUT)は正電位(Vdd)となり、対向電極26のグランド電位との電位差による電界によりマルチビーム20中の対応する1本を偏向し、制限アパーチャ基板206で遮蔽することでビームOFFになるように制御する。一方、CMOSインバータ回路の入力(IN)にH電位が印加される状態(アクティブ状態)では、CMOSインバータ回路の出力(OUT)はグランド電位となり、対向電極26のグランド電位との電位差が無くなりマルチビーム20中の対応する1本を偏向しないので制限アパーチャ基板206を通過することでビームONになるように制御する。
各通過孔を通過するマルチビーム20中の対応する1本の電子ビームは、それぞれ独立に対となる2つの制御電極24と対向電極26に印加される電圧によって偏向される。かかる偏向によってブランキング制御される。具体的には、制御電極24と対向電極26の組は、それぞれ対応するスイッチング回路となるCMOSインバータ回路によって切り替えられる電位によってマルチビーム20の対応ビームをそれぞれ個別にブランキング偏向する。このように、複数のブランカーが、成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22(開口部)を通過したマルチビーム20のうち、それぞれ対応するビームのブランキング偏向を行う。
図4は、実施の形態1における描画動作の一例を説明するための概念図である。図4に示すように、試料101の描画領域30は、例えば、y方向に向かって所定の幅で短冊状の複数のストライプ領域32に仮想分割される。まず、XYステージ105を移動させて、第1番目のストライプ領域32の左端、或いはさらに左側の位置に一回のマルチビーム20のショットで照射可能な照射領域34が位置するように調整し、描画が開始される。第1番目のストライプ領域32を描画する際には、XYステージ105を例えば-x方向に移動させることにより、相対的にx方向へと描画を進めていく。XYステージ105は例えば等速で連続移動させる。第1番目のストライプ領域32の描画終了後、ステージ位置を-y方向に移動させて、第2番目のストライプ領域32の右端、或いはさらに右側の位置に照射領域34が相対的にy方向に位置するように調整し、今度は、XYステージ105を例えばx方向に移動させることにより、-x方向に向かって同様に描画を行う。第3番目のストライプ領域32では、x方向に向かって描画し、第4番目のストライプ領域32では、-x方向に向かって描画するといったように、交互に向きを変えながら描画することで描画時間を短縮できる。但し、かかる交互に向きを変えながら描画する場合に限らず、各ストライプ領域32を描画する際、同じ方向に向かって描画を進めるようにしても構わない。1回のショットでは、成形アパーチャアレイ基板203の各穴22を通過することによって形成されたマルチビームによって、最大で成形アパーチャアレイ基板203に形成された複数の穴22と同数の複数のショットパターンが一度に形成される。また、図4の例では、各ストライプ領域32を1回ずつ描画する場合を示しているが、これに限るものではない。同じ領域を複数回描画する多重描画を行っても好適である。多重描画を行う場合には、位置をずらしながら各パスのストライプ領域32を設定すると好適である。
図5は、実施の形態1におけるマルチビームの照射領域と描画対象画素との一例を示す図である。図5において、ストライプ領域32には、例えば、試料101面上におけるマルチビーム20のビームサイズピッチで格子状に配列される複数の制御グリッド27(設計グリッド)が設定される。この制御グリッド27は、例えば、10nm程度の配列ピッチにすると好適である。かかる複数の制御グリッド27が、マルチビーム20の設計上の照射位置となる。制御グリッド27の配列ピッチはビームサイズに限定されるものではなく、ビームサイズとは関係なく偏向器209の偏向位置として制御可能な任意の大きさで構成されるものでも構わない。そして、各制御グリッド27を中心とした、制御グリッド27の配列ピッチと同サイズでメッシュ状に仮想分割された複数の画素36が設定される。各画素36は、マルチビームの1つのビームあたりの照射単位領域となる。図5の例では、試料101の描画領域が、例えばy方向に、1回のマルチビーム20(ビームアレイ)の照射で照射可能な照射領域34(描画フィールド)のサイズと実質同じ幅サイズで複数のストライプ領域32に分割された場合を示している。照射領域34のx方向サイズは、マルチビーム20のx方向のビーム間ピッチにx方向のビーム数を乗じた値で定義できる。照射領域34のy方向サイズは、マルチビーム20のy方向のビーム間ピッチにy方向のビーム数を乗じた値で定義できる。なお、ストライプ領域32の幅は、これに限るものではない。照射領域34のn倍(nは1以上の整数)のサイズであると好適である。図5の例では、例えば512×512列のマルチビームの図示を8×8列のマルチビームに省略して示している。そして、照射領域34内に、1回のマルチビーム20のショットで照射可能な複数の画素28(ビームの描画位置)が示されている。言い換えれば、隣り合う画素28間のピッチが設計上のマルチビームの各ビーム間のピッチとなる。図5の例では、ビーム間ピッチで囲まれる領域で1つのサブ照射領域29を構成する。図5の例では、各サブ照射領域29は、4×4画素で構成される場合を示している。
図6は、実施の形態1におけるマルチビームの描画方法の一例を説明するための図である。図6では、図5で示したストライプ領域32を描画するマルチビームのうち、y方向k段目の座標(1,3),(2,3),(3,3),・・・,(512,3)の各ビームで描画するサブ照射領域29の一部を示している。図6の例では、例えば、XYステージ105が8ビームピッチ分の距離を移動する間に4つの画素を描画(露光)する場合を示している。かかる4つの画素を描画(露光)する間、照射領域34がXYステージ105の移動によって試料101との相対位置がずれないように、偏向器208によってマルチビーム20全体を一括偏向する。これによって、照射領域34をXYステージ105の移動に追従させる。言い換えれば、トラッキング制御が行われる。図6の例では、8ビームピッチ分の距離を移動する間に4つの画素を描画(露光)することで1回のトラッキングサイクルを実施する場合を示している。
具体的には、各ショットにおいて、設定された最大描画時間内のそれぞれの制御グリッド27に対応する描画時間(照射時間、或いは露光時間)ビームを照射する。具体的には、各制御グリッド27にマルチビーム20のうちONビームのそれぞれ対応するビームを照射する。そして、最大描画時間にDACアンプの整定時間を加算したショットサイクル時間Ttr毎に、偏向器209による一括偏向により各ビームの照射位置を次のショット位置へと移動する。
そして、図6の例では4ショット終了した時点で、DACアンプユニット134は、トラッキング制御用のビーム偏向をリセットする。これにより、トラッキング位置をトラッキング制御が開始されたトラッキング開始位置に戻す。
なお、各サブ照射領域29の右から1番目の画素列の描画は終了している。よって、トラッキングリセットした後に、次回のトラッキングサイクルにおいてまず偏向器209は、各サブ照射領域29の下から1段目かつ右から2番目の画素の制御グリッド27にそれぞれ対応するビームの描画位置を合わせる(シフトする)ように偏向する。かかる動作を繰り返すことで、すべての画素の描画が行われる。サブ照射領域29がn×n画素で構成される場合に、n回のトラッキング動作でそれぞれ異なるビームによってn画素ずつ描画される。これにより、1つのn×n画素の領域内のすべての画素が描画される。マルチビームの照射領域内の他のn×n画素の領域についても同時期に同様の動作が実施され、同様に描画される。
次に描画装置100における描画機構150の動作について説明する。電子銃201(放出源)から放出された電子ビーム200は、照明レンズ202により成形アパーチャアレイ基板203全体を照明する。成形アパーチャアレイ基板203には、矩形の複数の穴22(開口部)が形成される。そして、電子ビーム200は、すべての複数の穴22が含まれる領域を照明する。複数の穴22の位置に照射された電子ビーム200の各一部が、かかる成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22をそれぞれ通過する。これによって、例えば矩形形状の複数の電子ビーム(マルチビーム20)が形成される。かかるマルチビーム20は、ブランキングアパーチャアレイ機構204のそれぞれ対応するブランカー(第1の偏向器:個別ブランキング機構)内を通過する。かかるブランカーは、それぞれ、個別に通過する電子ビームを偏向する(ブランキング偏向を行う)。
ブランキングアパーチャアレイ機構204を通過したマルチビーム20は、縮小レンズ205によって、縮小され、制限アパーチャ基板206に形成された中心の穴に向かって進む。ここで、マルチビーム20のうち、ブランキングアパーチャアレイ機構204のブランカーによって偏向された電子ビームは、制限アパーチャ基板206の中心の穴から位置がはずれ、制限アパーチャ基板206によって遮蔽される。一方、ブランキングアパーチャアレイ機構204のブランカーによって偏向されなかった電子ビームは、図1に示すように制限アパーチャ基板206の中心の穴を通過する。かかる個別ブランキング機構のON/OFFによって、ブランキング制御が行われ、ビームのON/OFFが制御される。このように、制限アパーチャ基板206は、個別ブランキング機構によってビームOFFの状態になるように偏向された各ビームを遮蔽する。そして、ビーム毎に、ビームONになってからビームOFFになるまでに形成された、制限アパーチャ基板206を通過したビームにより、1回分のショットのビームが形成される。制限アパーチャ基板206を通過したマルチビーム20は、対物レンズ207により焦点が合わされ、所望の縮小率のパターン像となり、偏向器208,209によって、制限アパーチャ基板206を通過した各ビーム(通過したマルチビーム20全体)が同方向に一括して偏向され、各ビームの試料101上のそれぞれの照射位置に照射される。一度に照射されるマルチビーム20は、理想的には成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22の配列ピッチに上述した所望の縮小率を乗じたピッチで並ぶことになる。
上述したように、マルチビームには欠陥ビームが生じ得る。欠陥ビームには、ビームのドーズ量制御ができず照射されるドーズ量が過剰になるドーズ過剰欠陥ビームと、ビームのドーズ量制御ができず照射されるドーズ量が不足になるドーズ不足欠陥ビームと、があげられる。ドーズ過剰欠陥ビームの中には、常時ONとなるON欠陥ビームと照射時間制御が不良な制御不良欠陥ビームの一部とが含まれる。ドーズ不足欠陥ビームの中には、常時OFFとなるOFF欠陥ビームと制御不良欠陥ビームの残部とが含まれる。
欠陥ビームによって予定されるドーズ量が試料に照射されない場合、試料上に形成されるパターンの形状誤差が生じてしまうといった問題があった。かかる問題に対して、従来、描画したい描画パターンに応じた各画素のドーズ量を演算する。そして、各画素のドーズ量に対して、欠陥ビームが担当する画素で過不足する分のドーズ量を求める。そして、求めた過不足する分のドーズ量を周辺のビームに分配するための分配率を求める。そして、分配率に沿って各画素のドーズ変調を行う。このような補正手法が検討されていた。しかしながら、欠陥ビーム補正のデータ処理には時間がかかる。このため、描画処理速度にデータ生成が間に合わなくなるといった問題が生じ得る。また、描画対象となる描画パターンが変わると、周辺のビームに分配するための分配率を求めるために、描画パターンに応じた各画素のドーズ量を演算するところからやり直す必要がある。このように、描画パターンが変わるたびに、周辺のビームに分配するための分配率を求めるために1からデータ処理をやり直す必要があった。
ここで、欠陥ビームのうち、常時OFF以外の欠陥ビームでは、描画パターンに応じた設計上のドーズ量が決まらないとドーズが不足するのか過剰となるのか不明である。過剰ドーズを補正する場合、周辺のビームのドーズ量を減らすことになる。よって、パターン無しで設計上のドーズ量がゼロの画素では、それ以上減らせないので欠陥補正に使用できない。よって、描画パターンを用いずに周辺のビームに分配するための分配率を求めることが困難である。これに対して、欠陥ビームのうち、常時OFF欠陥ビームについては、照射されるドーズ量がゼロになるので、欠陥補正する場合、周辺のビームのドーズ量を増やすことになる。よって、パターン無しで設計上のドーズ量がゼロの画素でも欠陥補正に使用できる。よって、描画パターンに関わらず、独立して周辺のビームに分配するための分配率を求めることができ得る。
そこで、実施の形態1では、欠陥ビームのうち、常時OFFビームについて、描画処理を開始する前の前処理として、描画パターンに関わらず不足ドーズ量を周囲のビームに分配するための分配率を求める。そして、各画素の分配先ごとの分配率を定義した欠陥補正データを予め作成する。そして、実際の描画処理では、描画パターン毎に、既に作成された描画パターンに依存しない欠陥補正データを流用して各画素のドーズ変調を行う。以下、具体的に説明する。
図7は、実施の形態1における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。図7において、実施の形態1における描画方法は、ビーム位置ずれ量測定工程(S102)と、欠陥ビーム検出工程(S104)と、位置ずれ補正データ作成工程(S106)と、欠陥ビーム位置特定工程(S108)と、欠陥補正データ作成工程(S110)と、ドーズ量演算工程(S120)と、ドーズ補正工程(S130)と、照射時間演算工程(S140)と、描画工程(S142)と、いう一連の工程を実施する。実施の形態1では、欠陥ビーム補正の他に、ビーム位置ずれ補正も併せて行う場合を説明するが、これに限るものではない。ビーム位置ずれ補正を行わない場合には、ビーム位置ずれ量測定工程(S102)と、位置ずれ補正データ作成工程(S106)とを省略しても構わない。
ビーム位置ずれ量測定工程(S102)と、欠陥ビーム検出工程(S104)と、位置ずれ補正データ作成工程(S106)と、欠陥ビーム位置特定工程(S108)と、欠陥補正データ作成工程(S110)と、の各工程は、描画処理を開始する前の前処理として実施される。
ビーム位置ずれ量測定工程(S102)として、描画装置100は、マルチビーム20の各ビームの試料101面上の照射位置が、対応する制御グリッド27からずれる位置ずれ量を測定する。
図8は、実施の形態1におけるビームの位置ずれと位置ずれ周期性とを説明するための図である。マルチビーム20では、図8(a)に示すように、光学系の特性上、露光フィールドに歪が生じ、かかる歪等によって、個々のビームの実際の照射位置39が理想グリッドに照射される場合の照射位置37からずれてしまう。そこで、実施の形態1では、かかる個々のビームの実際の照射位置39の位置ずれ量を測定する。具体的には、レジストが塗布された評価基板に、マルチビーム20を照射し、評価基板を現像することで生成されるレジストパターンの位置を位置測定器で測定する。これにより、ビーム毎の位置ずれ量を測定する。各ビームのショットサイズでは、各ビームの照射位置におけるレジストパターンのサイズを位置測定器で測定困難であれば、各ビームで、位置測定器で測定可能なサイズの図形パターン(例えば矩形パターン)を描画する。そして、図形パターン(レジストパターン)の両側(矩形パターンの左右の両辺または上限の両辺)のエッジ位置を測定して、両エッジ間の中間位置と設計上の図形パターンの中間位置との差分から対象ビームの位置ずれ量を測定すればよい。そして、得られた各ビームの照射位置の位置ずれ量データは、描画装置100に入力され、記憶装置144に格納される。また、マルチビーム描画では、ストライプ領域32内において照射領域34をずらしながら描画を進めていくため、例えば、図6において説明した描画シーケンスでは、図4の下段に示すように、ストライプ領域32の描画中、照射領域34a~34oといった具合に順次照射領域34の位置が移動する。そして、照射領域34の移動毎に、各ビームの位置ずれに周期性が生じることになる。或いは、各ビームが、それぞれ対応するサブ照射領域29内のすべての画素36を照射する描画シーケンスの場合であれば、図8(b)に示すように、少なくとも照射領域34と同じサイズの単位領域35毎(35a、35b、・・・)に各ビームの位置ずれに周期性が生じることになる。よって、ビームアレイの照射領域34分の各ビームの位置ずれ量を測定すれば、測定結果を流用できる。言い換えれば、各ビームについて、対応するサブ照射領域29内の各画素36での位置ずれ量を測定できれば良い。
そして、ビーム位置ずれマップ作成部50は、まず、ビームアレイ単位、言い換えれば、照射領域34に対応する試料面上の1つの矩形単位領域35(単位領域の一例)内の各画素36の各ビームの位置ずれ量を定義するビーム位置ずれ量マップ(1)を作成する。矩形単位領域35は、試料面上において、マルチビーム20の各ビームが隣接する他の複数のビームとの間で囲まれる設計上の各サブ照射領域29(小領域)を組み合わせたマルチビーム20の照射領域34に対応する領域となる。ここでは、マルチビーム20が正方格子状に配列されるため単位領域を矩形としているが、マルチビーム20の配列形状に応じて単位領域の形状は変わっても構わない。具体的には、ビーム位置ずれマップ作成部50は、記憶装置144から各ビームの照射位置の位置ずれ量データを読み出し、かかるデータをマップ値としてビーム位置ずれ量マップ(1)を作成すればよい。マルチビーム20全体が照射する照射領域34に対応する試料面上の1つの矩形単位領域35内の各画素36の制御グリッド27を、マルチビーム20全体の内のどのビームが照射するのかは、例えば図6において説明したように、描画シーケンスによって決まる。よって、ビーム位置ずれマップ作成部50は、描画シーケンスに応じて1つの単位領域35内の各画素36の制御グリッド27毎に当該制御グリッド27への照射を担当するビームを特定して、当該ビームの位置ずれ量を演算する。作成されたビーム位置ずれ量マップ(1)は、記憶装置144に格納しておく。
欠陥ビーム検出工程(S104)として、検出部54は、マルチビーム20の中から欠陥ビームを検出する。常時ONとなるON欠陥ビームでは、制御ドーズ量に関わらず、常に、1回のショットにおける最大照射時間のビームを照射する。或いは、さらに画素間の移動時も照射し続ける。また、常時OFFとなるOFF欠陥ビームでは、制御ドーズ量に関わらず、常に、ビームOFFとなる。具体的には、描画制御部74による制御のもと、描画機構150は、マルチビーム20を1本ずつブランキングアパーチャアレイ機構204でビームONになるように制御すると共に、残りはすべてビームOFFになるように制御する。かかる状態で、ファラディーカップ106で電流が検出されなかったビームは、OFF欠陥ビームとして検出される。逆に、かかる状態から検出対象ビームをビームOFFになるように制御を切り替える。この際、ビームONからビームOFFに切り替えたのにもかかわらず、ファラディーカップ106で常時電流が検出されたビームは、ON欠陥ビームとして検出される。ビームONからビームOFFに切り替えたのち、ファラディーカップ106で所定の期間だけ電流が検出されたビームは、制御不良欠陥ビームとして検出される。マルチビーム20のすべてのビームについて同じ方法で順に確認すれば、欠陥ビームの有無、種類及び欠陥ビームがどの位置のビームなのかを検出できる。ここでは、OFF欠陥ビーム以外の欠陥ビームについても検出する場合を説明しているが、常時OFFとなるOFF欠陥ビームを検出するだけでも構わない。検出された欠陥ビームの情報は記憶装置144に格納される。
位置ずれ補正データ作成工程(S106)として、位置ずれ補正データ作成部52は、マルチビーム20の各照射位置の個別の位置ずれを補正するための位置ずれ補正データを作成する。
図9は、実施の形態1における位置ずれ補正方法の一例を説明するための図である。図9(a)の例では、座標(x,y)の画素に照射されたビームa’が-x,-y側に位置ずれを起こした場合を示している。かかる位置ずれが生じているビームa’によって形成されるパターンの位置ずれを図9(b)のように座標(x,y)の画素に合う位置に補正するには、ずれた分の照射量を、ずれた周囲の画素の方向とは反対側の画素に分配することで補正できる。図9(a)の例では、座標(x,y-1)の画素にずれた分の照射量は、座標(x,y+1)の画素に分配されればよい。座標(x-1,y)の画素にずれた分の照射量は、座標(x+1,y)の画素に分配されればよい。座標(x-1,y-1)の画素にずれた分の照射量は、座標(x+1,y+1)の画素に分配されればよい。
実施の形態1では、ビームの位置ずれ量に比例して周囲の少なくとも1つの画素用のビームに照射量を分配する位置ずれ補正分配量を演算する。位置ずれ補正データ作成部52は、当該画素へのビームの位置ずれによりずれた面積の比率に応じて、当該画素へのビームの変調率と当該画素の周囲の少なくとも1つの画素へのビームの変調率とを演算する。具体的には、ビームが注目画素からずれて、ビームの一部が重なった周囲の画素毎に、ずれた分の面積(重なったビーム部分の面積)をビーム面積で割った割合を、重なった画素とは注目画素に対して反対側に位置する画素への分配量(ビームの変調率)として演算する。
図9(a)の例において、座標(x,y-1)の画素へとずれた面積比は、(x方向ビームサイズ-(-x)方向ずれ量)×y方向ずれ量/(x方向ビームサイズ×y方向ビームサイズ)で演算できる。よって、補正のために座標(x,y+1)の画素へと分配するための分配量(ビームの変調率)Vは、(x方向ビームサイズ-(-x)方向ずれ量)×y方向ずれ量/(x方向ビームサイズ×y方向ビームサイズ)で演算できる。
図9(a)の例において、座標(x-1,y-1)の画素へとずれた面積比は、-x方向ずれ量×-y方向ずれ量/(x方向ビームサイズ×y方向ビームサイズ)で演算できる。よって、補正のために座標(x+1,y+1)の画素へと分配するための分配量(ビームの変調率)Wは、-x方向ずれ量×-y方向ずれ量/(x方向ビームサイズ×y方向ビームサイズ)で演算できる。
図9(a)の例において、座標(x-1,y)の画素へとずれた面積比は、-x方向ずれ量×(y方向ビームサイズ-(-y)方向ずれ量)/(x方向ビームサイズ×y方向ビームサイズ)で演算できる。よって、補正のために座標(x+1,y)の画素へと分配するための分配量(ビームの変調率)Zは、-x方向ずれ量×(y方向ビームサイズ-(-y)方向ずれ量)/(x方向ビームサイズ×y方向ビームサイズ)で演算できる。
この結果、分配されずに残った分となる、座標(x,y)の画素のビームの変調率Uは、1-V-W-Zの演算で求めることができる。
以上のようにして、ビームアレイ単位、言い換えれば、照射領域34に対応する試料面上の1つの矩形単位領域35内の各画素36について、当該画素へのビームの変調率と、分配先となる少なくとも1つの周囲の画素へのビームの変調率とを演算する。そして、位置ずれ補正データ作成部52は、各画素36について、当該画素へのビームの変調率と、分配先となる少なくとも1つの周囲の画素へのビームの変調率とが定義された位置ずれ補正データを作成する。位置ずれ補正データは、照射領域34に対応する試料面上の1つの矩形単位領域35について作成される。作成された位置ずれ補正データは、記憶装置144に格納される。
欠陥ビーム位置特定工程(S108)として、特定部55は、ビームアレイ単位、言い換えれば、照射領域34に対応する試料面上の1つの矩形単位領域35内の各画素36について、欠陥ビームのうち、常時OFF欠陥ビームが照射する画素を特定する。矩形単位領域35内の各画素36の制御グリッド27をどのビームが照射するのかは、上述したように、描画シーケンスによって決まる。
欠陥補正データ作成工程(S110)として、欠陥補正データ作成部56は、描画されるための描画パターンに関わらず、ビームアレイ単位、言い換えれば、照射領域34に対応する試料面上の1つの矩形単位領域35の各画素36が一様のドーズ量で定義されるドーズ分布を用いて、マルチビーム20のうち常時ビームOFFとなる欠陥ビームが担当する位置のドーズ量を他の1つ以上の画素へと分配することによって補正するための、ドーズ変調率を定義する欠陥補正データを作成する。
図10は、実施の形態1における欠陥補正用の矩形単位領域のドーズマップの一例を示す図である。図10に示すように、各画素のドーズ量として、基準ドーズ量に対して100%ドーズを用いると好適である。言い換えれば、矩形単位領域35全体が所謂ベタパターンの場合を想定する。矩形単位領域35全体が所謂ベタパターンなので、実際に描画する描画パターンには依存しない。
図6の例では、4回のトラッキング動作でXYステージ105は-x方向に32ビームピッチ(=4回×8ビームピッチ)分移動する。かかる32ビームピッチ分移動する間に1回分の描画処理が行われることになる。かかる構成では、ビームアレイ単位、言い換えれば、照射領域34に対応する試料面上の1つの矩形単位領域35全体を512×512本のマルチビームで描画する場合、各画素36に対して、16回(=512/32)の描画処理(パス)による多重描画(多重度=16)が行われることになる。32×32本のマルチビーム20で描画する場合、各画素に対して、1回の描画処理(パス)が行われることになる。また、XYステージ105の例えば4回の繰り返しの連続移動を行なえば、各画素36に対して、4回の描画処理(パス)による多重描画(多重度=4)が行われることになる。なお、実施の形態1では、多重描画の各描画処理ではなく、ステージの移動回数をパスと表現する。
図11は、実施の形態1における多重描画で欠陥補正を行う手法の一例を説明するための図である。図11の例では、4回の描画処理(パス)による多重描画を行う場合を示している。各画素では、例えば4回の異なるビームで照射される。かかる画素へのドーズ量T(x)は、1/4ずつ各パスに分けて照射される。よって、欠陥ビームが担当しない画素では、図11(a)1回あたりT(x)/passのドーズが照射される。欠陥ビームが担当する画素では、4回の照射のうち1回を欠陥ビームが担当する。欠陥ビームが担当するパスでは、ビームが照射されないので、1回分のドーズ量が不足することになる。そこで、描画パターンが、多重描画によって試料に描画される場合、欠陥補正データ作成部56は、多重描画の複数のパスの1つで行われる欠陥ビームが担当する位置のドーズ量の補正を他のパスで行うように欠陥補正データを作成する。例えば、図11(b)に示すように、1回分のドーズ量を他のパス数で割った分配ドーズ量(不足分)を他のパスに均等に加算するように、欠陥補正データを作成する。図11(b)の例では、25%分のドーズ量の33%ずつ分配する。分配の仕方は均等である場合に限るものではない。一部のパスに偏って分配してもよい。偏って分配すると一部のパスにおいて、ドーズ量が大きくなり過ぎる場合もある。その場合、最大照射時間が大きくなってしまい描画時間の増加に繋がる。よって、他のパスに均等に加算する方が好適である。これにより最大照射時間が大きくなってしまうことを抑制できる。
欠陥補正データは、欠陥ビームが担当する画素には、自身のドーズ変調率0%と分配先となる少なくとも1つのパスへのドーズ変調率とが定義される。その他の画素には、ベタデータである100%のドーズ変調率が定義される。欠陥補正データは、パス毎に作成すると好適である。欠陥ビームが担当する画素の情報は各パス間で共有される。
なお、上述したように、位置ずれ補正データが作成される場合、欠陥補正データ作成部56は、マルチビームの各照射位置の個別の位置ずれを補正するための位置ずれ補正データを入力し、位置ずれ補正データをさらに用いて、欠陥補正データを作成する。よって、欠陥ビームが担当する画素には、自身のドーズ変調率0%と分配先となる少なくとも1つのパスへのドーズ変調率とが定義される。分配先のパスへのドーズ変調率には、さらに、位置ずれ補正データに定義される各ドーズ変調率を掛けた値が定義される。その他の画素には、位置ずれ補正データに定義される各ドーズ変調率×100%のドーズ変調率が定義される。
他のパスへの分配によって欠陥補正を行う場合に限るものではない。例えば、欠陥補正データ作成部56は、欠陥ビームが担当する位置のドーズ量の補正を欠陥ビームが担当する位置の周辺の位置を照射する周辺ビームにより行うように欠陥補正データを作成する。
図12は、実施の形態1における周辺画素を用いて欠陥補正を行う手法の一例を説明するための図である。欠陥補正データ作成部56は、欠陥ビームが担当する画素の制御グリッド10の周辺の少なくとも1つ、例えば3つ以上の周辺画素に欠陥ビームが担当する位置のドーズ量を分配する。図12の例では、照射位置39aの周辺画素と、照射位置39cの周辺画素と、照射位置39gの周辺画素と、に分配する場合を示している。欠陥ビームが担当する画素の制御グリッド10を取り囲む3つ以上の照射位置を用いると好適である。実施の形態1では、分配される複数の分配率(ドーズ変調率)の重心位置が、欠陥ビームが担当する画素の制御グリッド10の位置になるように分配率を決定すると好適である。その場合、制御グリッド10から周辺ビームの照射位置までの距離riに応じて分配率を決定する。iは、N個の周辺ビーム群のうちの対象となる周辺ビームのインデックスを示す。かかる場合、各分配率δdiは、100%ドーズ量Δ、及び距離riを用いて、例えば次の式(1)で定義できる。
Figure 2023177932000002
図12に示すように、分配先の照射位置39gがパターン外になる場合も起こり得る。先に描画パターンに応じたドーズ量分布が作成されている場合、各画素の照射位置がパターン内なのかパターン外なのかがわかる。よって、パターン外に位置する照射位置の画素には、描画パターンに応じたドーズ量がゼロになるので、欠陥補正用に分配するドーズ量を大きくするといった調整ができる。重心位置のずれを許容できれば、例えば、パターン内の2つの画素には5%、パターン外の1つの画素には80%といったように調整できる。これにより、最終的なドーズ量が大きくなり過ぎる画素を作らないようにできる。しかしながら、実施の形態1では、描画パターンに関わらず欠陥補正を行うので、分配先の照射位置がパターン内なのかパターン外なのかが欠陥補正用の分配率を計算する時点では不明である。よって、パターン内外による分配率の調整が困難である。そこで、分配率に上限を設けると好適である。例えば、上限を40%程度に設定すると好適である。また、画素毎の位置ずれ補正分の当該画素のドーズ変調率と他の画素から分配されてくるドーズ変調率との合計値(合計変調率)の最大値を上限に設定すると好適である。これにより、ドーズ量が大きくなり過ぎる画素を回避できる。よって、最大照射時間の増加を抑制できる。この結果、描画時間の短縮につながる。
図13は、実施の形態1における周辺画素を用いて欠陥補正を行う手法の他の一例を説明するための図である。分配先の分配率が設定された上限を超える場合、図13に示すように分配先の数を増やせばよい。図13の例では、11個の画素に分配する場合を示している。
また、精度は劣化することになるが、重心位置のずれを考慮しない場合には、単純に100%ドーズ量Δを分担先の数Nで割った式(2)で分配率δdを決定しても良い。
Figure 2023177932000003
欠陥補正データは、欠陥ビームが担当する画素には、自身のドーズ変調率0%と分配先となる少なくとも1つ以上の画素への分配率(ドーズ変調率)とが定義される。その他の画素には、ベタデータである100%のドーズ変調率が定義される。
なお、上述したように、位置ずれ補正データが作成される場合、欠陥補正データ作成部56は、マルチビームの各照射位置の個別の位置ずれを補正するための位置ずれ補正データを入力し、位置ずれ補正データをさらに用いて、欠陥補正データを作成する。よって、欠陥ビームが担当する画素には、自身のドーズ変調率0%と分配先となる少なくとも1つ、例えば3つ以上の画素へのドーズ変調率とが定義される。ここで、位置ずれを加味した、分配先のドーズ変調率の重心位置を、欠陥ビームが担当する画素の位置に合わせると好適である。その他の画素には、位置ずれ補正データに定義される各ドーズ変調率×100%のドーズ変調率が定義される。
作成された欠陥補正データは、記憶装置144に格納される。なお、欠陥補正データは、上述したように位置ずれ補正データの内容が考慮された状態で作成されても良い。或いは、別々のデータとして記憶装置144に格納されるようにしても良い。
以上のように、描画処理を開始する前の前処理として、描画パターンに依存しない欠陥補正データ(及び位置ずれ補正データ)を作成しておく。次に描画パターン毎の描画処理を行う。
ここで、画素毎の位置ずれ補正分の当該画素のドーズ変調率と他の画素から分配されてくるドーズ変調率との合計値(合計変調率)の最大値(1)と、画素毎の分配されてくる欠陥補正分のドーズ変調率の最大値(2)とのうち、大きい方の値(3)を求める。描画パターンに応じた個別のドーズ量の基準値(4)がわかっていれば、各画素に実際に照射されるドーズ量は、両者を乗じた値((3)×(4))よりも大きくなることはない。よって、両者を乗じた値を最大ドーズ量((3)×(4))として、最大ドーズ量を電流密度で割った最大照射時間を求めておくことができる。個別のドーズ量の基準値(4)は、近接効果補正等のドーズ変調を行わなければ、基準照射量Dbaseを用いることができる。近接効果補正等のドーズ変調を行う場合、個別のドーズ量の基準値(4)として、近接効果補正等のドーズ変調率の最大値に基準照射量Dbaseを乗じた値を用いればよい。
ドーズ量演算工程(S120)として、ドーズマップ作成部62(ドーズ量演算部)は、描画パターン毎に、当該描画パターンに応じた試料101上の各画素36の個別のドーズ量を演算する。具体的には、以下のように動作する。まず、ラスタライズ部60は、記憶装置140から描画データを読み出し、画素36毎に、当該画素36内のパターン面積密度ρ’を演算する。かかる処理は、例えば、ストライプ領域32毎に実行する。
次に、ドーズマップ作成部62は、まず、描画領域(ここでは、例えばストライプ領域32)を所定のサイズでメッシュ状に複数の近接メッシュ領域(近接効果補正計算用メッシュ領域)に仮想分割する。近接メッシュ領域のサイズは、近接効果の影響範囲の1/10程度、例えば、1μm程度に設定すると好適である。ドーズマップ作成部62は、記憶装置140から描画データを読み出し、近接メッシュ領域毎に、当該近接メッシュ領域内に配置されるパターンのパターン面積密度ρを演算する。
次に、ドーズマップ作成部62は、近接メッシュ領域毎に、近接効果を補正するための近接効果補正照射係数Dp(x)(補正照射量)を演算する。未知の近接効果補正照射係数Dp(x)は、後方散乱係数η、しきい値モデルの照射量閾値Dth、パターン面積密度ρ、及び分布関数g(x)を用いた、従来手法と同様の近接効果補正用のしきい値モデルによって定義できる。
次に、ドーズマップ作成部62は、画素36毎に、当該画素36に照射するための入射照射量D(x)(ドーズ量)を演算する。入射照射量D(x)は、例えば、予め設定された基準照射量Dbaseに近接効果補正照射係数Dpとパターン面積密度ρ’とを乗じた値として演算すればよい。基準照射量Dbaseは、例えば、Dth/(1/2+η)で定義できる。以上により、描画データに定義される複数の図形パターンのレイアウトに基づいた、近接効果が補正された本来の所望する入射照射量D(x)を得ることができる。
そして、ドーズマップ作成部62は、ストライプ単位で画素36毎の入射照射量D(x)を定義したドーズマップを作成する。かかる画素36毎の入射照射量D(x)は、設計上、当該画素36の制御グリッド27に照射される予定の入射照射量D(x)となる。言い換えれば、ドーズマップ作成部52は、ストライプ単位で制御グリッド27毎の入射照射量D(x)を定義したドーズマップを作成する。この作成されたドーズマップは、例えば、記憶装置144に格納される。
ドーズ補正工程(S130)として、ドーズ補正部64は、描画パターン毎に、記憶装置144から欠陥補正データを読み出し、読み出した欠陥補正データに定義されるドーズ変調率を試料上の各位置の個別のドーズ量に乗じた値を用いたドーズ分配により当該描画パターンに応じた、試料上の各位置の個別のドーズ量を補正し、補正したドーズ量を得る。
具体的には、ドーズ補正部64は、まず、描画シーケンスに応じてストライプ領域32に矩形単位領域35を繰り返し割り当てる。これにより、ストライプ領域32内の各画素36がどのビームで照射されるのかを特定できる。
ドーズ補正部64は、画素毎に、描画パターンに応じた各画素の個別のドーズ量に欠陥補正データに定義される当該画素のドーズ変調率を乗じた値を算出する。また、ドーズ補正部64は、画素毎に、描画パターンに応じた各画素の個別のドーズ量に欠陥補正データに定義される分配先となる画素へのドーズ変調率を乗じた値を算出して分配先の画素へと分配する。次に、ドーズ補正部64は、画素36毎に、当該画素のドーズ変量率を乗じて得られたドーズ量と分配されてきたドーズ量とを合算する。欠陥ビームが担当する画素では、他の画素から分配されてきたドーズ量が存在する場合、合算後のドーズ量がゼロにならない。その場合、欠陥ビームが担当する画素について、合算後のドーズ量に欠陥補正データに定義される当該画素のドーズ変調率(0%)を乗じた値を算出する。なお、欠陥補正データを作成する段階で、予め、欠陥ビームをドーズの分配先から除いておくと好適である。
欠陥補正データと位置ずれ補正データとを別々に記憶しておく場合には、まず、描画パターンに応じた各画素の個別のドーズ量に位置ずれ補正データに定義される当該画素のドーズ変量率を乗じた値を算出する。また、ドーズ補正部64は、画素毎に、当該画素の個別ドーズ量に欠陥補正データに定義される分配先となる画素へのドーズ変調率を乗じた値を算出して分配先の画素へと分配する。そして、ドーズ補正部64は、画素36毎に、当該画素のドーズ変量率を乗じて得られたドーズ量と分配されてきたドーズ量とを合算する。次に、各画素の個別の合算された各画素のドーズ量に対して欠陥補正データ定義される当該画素のドーズ変量率を乗じた値を算出する。また、ドーズ補正部64は、画素毎に、当該画素の合算された個別ドーズ量に欠陥補正データに定義される分配先となる画素へのドーズ変調率を乗じた値を算出して分配先の画素へと分配する。そして、ドーズ補正部64は、画素36毎に、当該画素のドーズ変量率を乗じて得られたドーズ量と分配されてきたドーズ量とを合算する。また、予め、欠陥補正データと位置ずれ補正データとを合成しておき、欠陥補正と位置ずれ補正を、まとめて一度に実施すると好適である。
図7に示したフローチャート図では、常時OFF欠陥ビーム以外の欠陥ビームについての補正を行っていない。但し、これに限るものではない。常時ON欠陥ビームのような過剰ドーズ欠陥ビームにより照射される過剰ドーズの補正をさらに行っても構わない。過剰ドーズの補正の仕方については、従来の手法と同様で構わない。
照射時間演算工程(S140)として、照射時間演算部72は、ビームの位置ずれが補正され、欠陥ビームによる不足ドーズ量が補正された各画素のドーズ量に対応する照射時間tを演算する。照射時間tは、ドーズ量Dを電流密度Jで割ることで演算できる。各画素36(制御グリッド27)の照射時間tは、マルチビーム20の1ショットで照射可能な最大照射時間Ttr内の値として演算される。各画素36(制御グリッド27)の照射時間tは、最大照射時間Ttrを例えば1023階調(10ビット)とする0~1023階調の階調値データに変換する。階調化された照射時間データは記憶装置142に格納される。
描画工程(S142)として、まず、描画制御部74は、照射時間データを描画シーケンスに沿ってショット順に並び替える。そして、ショット順に照射時間データを偏向制御回路130に転送する。偏向制御回路130は、ブランキングアパーチャアレイ機構204にショット順にブランキング制御信号を出力すると共に、DACアンプユニット132,134にショット順に偏向制御信号を出力する。そして、描画機構150は、補正後のドーズ量で照射されるマルチビーム20を用いて、試料101に描画パターンを描画する。
以上のように、実施の形態1では、描画処理を開始する前に、予め描画パターンに依存しない欠陥補正データ(及び位置ずれ補正データ)を作成している。そして、欠陥補正データ(及び位置ずれ補正データ)を用いて、描画パターン毎に、描画パターンに応じた各画素の個別のドーズ量を補正する。描画パターンが変化しても既に作成済の欠陥補正データ(及び位置ずれ補正データ)を流用することができる。よって、描画パターンが変化するたびに欠陥補正データ(及び位置ずれ補正データ)を作成し直す必要が無い。そのため、描画処理におけるデータ処理時間を短縮できる。
よって、実施の形態1によれば、マルチビーム描画において、描画処理速度に欠陥ビーム補正のデータ処理が間に合わなくなることを回避できる。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。上述した例では、1ショット分の最大照射時間Ttr内で、マルチビーム20の各ビームが照射時間をビーム毎に個別に制御する場合について説明した。しかし、これに限るものではない。例えば、1ショット分の最大照射時間Ttrを照射時間の異なる複数のサブショットに分割する。そして、各ビームに対して、それぞれ複数のサブショットの中から1ショット分の照射時間になるようにサブショットの組合せを選択する。そして、選択されたサブショットの組合せが同じ画素に対して連続して同じビームで照射されることにより、ビーム毎に1ショット分の照射時間を制御するようにしても好適である。
また、上述した例では、各制御回路41の制御用に10ビットの制御信号が入力される場合を示したが、ビット数は、適宜設定すればよい。例えば、2ビット、或いは3ビット~9ビットの制御信号を用いてもよい。なお、11ビット以上の制御信号を用いてもよい。
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、描画装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのマルチ荷電粒子ビーム描画装置及びマルチ荷電粒子ビーム描画方法は、本発明の範囲に包含される。
20 マルチビーム
22 穴
24 制御電極
25 通過孔
26 対向電極
27 制御グリッド
28 画素
29 サブ照射領域
30 描画領域
32 ストライプ領域
31 基板
33 支持台
34 照射領域
35 矩形単位領域
36 画素
37,39 照射位置
41 制御回路
50 ビーム位置ずれマップ作成部
52 位置ずれ補正データ作成部
54 検出部
55 特定部
56 欠陥補正データ作成部
60 ラスタライズ部
62 ドーズマップ作成部
64 ドーズ補正部
72 照射時間演算部
74 描画制御部
100 描画装置
101 試料
102 電子鏡筒
103 描画室
105 XYステージ
110 制御計算機
112 メモリ
130 偏向制御回路
132,134 DACアンプユニット
139 ステージ位置検出器
140,142,144 記憶装置
150 描画機構
160 制御系回路
200 電子ビーム
201 電子銃
202 照明レンズ
203 成形アパーチャアレイ基板
204 ブランキングアパーチャアレイ機構
205 縮小レンズ
206 制限アパーチャ基板
207 対物レンズ
208,209 偏向器
210 ミラー
330 メンブレン領域
332 外周領域

Claims (5)

  1. マルチ荷電粒子ビームを形成するビーム形成機構と、
    描画パターンに関わらず前記マルチ荷電粒子ビーム全体での照射領域に対応する試料面上の単位領域の各位置が一様のドーズ量で定義されるドーズ分布を用いて、前記マルチ荷電粒子ビームのうち常時ビームOFFとなる欠陥ビームが担当する位置のドーズ量を他の1つ以上の画素へと分配することによって補正するための、ドーズ変調率を定義する欠陥補正データを作成する欠陥補正データ作成部と、
    前記欠陥補正データを記憶する記憶装置と、
    描画パターン毎に、当該描画パターンに応じた試料上の各位置の個別のドーズ量を演算するドーズ量演算部と、
    描画パターン毎に、前記記憶装置から前記欠陥補正データを読み出し、読み出した前記欠陥補正データに定義されるドーズ変調率を前記試料上の前記各位置の個別のドーズ量に乗じた値を用いたドーズ分配により当該描画パターンに応じた、前記試料上の前記各位置の個別のドーズ量を補正し、補正したドーズ量を得るドーズ補正部と、
    前記補正したドーズ量で照射される前記マルチ荷電粒子ビームを用いて、前記試料に前記描画パターンを描画する描画機構と、
    を備えたことを特徴とするマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
  2. 前記欠陥補正データ作成部は、前記マルチ荷電粒子ビームの各照射位置の個別の位置ずれを補正するための位置ずれ補正データを入力し、前記位置ずれ補正データをさらに用いて、前記欠陥補正データを作成することを特徴とする請求項1記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
  3. 前記描画パターンは、多重描画によって前記試料に描画され、
    前記欠陥補正データ作成部は、前記多重描画の複数のパスの1つで行われる前記欠陥ビームが担当する位置のドーズ量の補正を他のパスで行うように前記欠陥補正データを作成することを特徴とする請求項1又は2記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
  4. 前記欠陥補正データ作成部は、前記欠陥ビームが担当する位置のドーズ量の補正を前記欠陥ビームが担当する位置の周囲の位置を照射する周辺ビームにより行うように前記欠陥補正データを作成することを特徴とする請求項1又は2記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
  5. マルチ荷電粒子ビームを形成する工程と、
    描画されるための描画パターンに関わらず前記マルチ荷電粒子ビーム全体での照射領域に対応する試料面上の単位領域の各位置が一様のドーズ量で定義されるドーズ分布を用いて、前記マルチ荷電粒子ビームのうち常時ビームOFFとなる欠陥ビームが担当する位置のドーズ量を他の1つ以上の画素へと分配することによって補正するための、ドーズ変調率を定義する欠陥補正データを作成する工程と、
    前記欠陥補正データを記憶装置に記憶する工程と、
    描画パターン毎に、当該描画パターンに応じた試料上の各位置の個別のドーズ量を演算する工程と、
    描画パターン毎に、前記記憶装置から前記欠陥補正データを読み出し、読み出した前記欠陥補正データに定義されるドーズ変調率を前記試料上の前記各位置の個別のドーズ量に乗じた値を用いたドーズ分配により当該描画パターンに応じた、前記試料上の前記各位置の個別のドーズ量を補正し、補正したドーズ量を得る工程と、
    前記補正したドーズ量で照射される前記マルチ荷電粒子ビームを用いて、前記試料に前記描画パターンを描画する工程と、
    を備えたことを特徴とするマルチ荷電粒子ビーム描画方法。
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