JP2023177673A - モータ特性試験装置及びモータ特性試験方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本開示は、モータ特性試験装置及びモータ特性試験方法に関する。
近年、CO2の排出抑制の観点から電動車の普及が拡大している。このような電動化は自動車分野に限らず様々な産業、製品にも波及しており、様々な出力範囲の高効率モータの開発が求められている。より高いモータ効率を達成するために、様々なモータ設計又はモータ材料について試作と評価が繰り返されて、エネルギー損失の小さいモータの探索が行われている。このような評価に関連して、例えば特許文献1は、負荷装置により負荷が与えられたモータの回転状態を試験するモータ試験装置を開示する。
特にモータ用の磁石及び電磁鋼板などの磁性材料に関しては、材料特性に基づく数値シミュレーションで予測されるモータ特性が実際に得られるかについて、実際にモータを試作した上で評価することが多い。また、試作された試験体であるモータ(以下「供試モータ」)の特性評価は、新たな磁性材料の材料特性評価の一環として実施されることもある。
ここで、供試モータの構造、形式、出力をどのように設定するかは、開発された材料の特徴に応じて決定されることが多い。そのため、供試モータの出力は多様である。しかしながら従来、1つの試験装置で大小様々な出力範囲の供試モータを高精度に評価することが難しかった。仮に出力範囲に応じて異なる試験装置を用意すると、供試モータ評価にかかるコストが大きく上昇する。また、評価のために供試モータを制御して適切に回転させるために回転角の情報が必要になるが、供試モータは回転角を備えないものも多い。また、回転角センサの検出精度の高さは、回転軸1回転あたりのパルス数に依るが、パルス数の多い製品では一般に回転角センサのサイズが大きくなる。特に出力の小さい供試モータを評価する場合に、供試モータに直接的に設けられる回転角センサのサイズには限界がある。そのため、特に出力の小さい供試モータを高精度に評価することは難しかった。
本開示は、上記のような事情を鑑みてなされたものであり、出力が比較的小さいモータであっても高精度な特性試験を実施可能にするモータ特性試験装置及びモータ特性試験方法を提供することを目的とする。
(1)本開示の一実施形態に係るモータ特性試験装置は、
供試モータと負荷モータとが対向して配置され、前記供試モータ及び前記負荷モータの回転軸がトルク計を介してカップリングにより機械的に接続される構造であり、前記供試モータ及び前記負荷モータのそれぞれにインバータが接続され、前記負荷モータは回転角センサを有しているモータ特性試験装置であって、
前記回転角センサは前記供試モータより外径が大きく、前記供試モータのベクトル制御が可能であるように前記回転角センサからの信号が前記供試モータのインバータに出力される。
供試モータと負荷モータとが対向して配置され、前記供試モータ及び前記負荷モータの回転軸がトルク計を介してカップリングにより機械的に接続される構造であり、前記供試モータ及び前記負荷モータのそれぞれにインバータが接続され、前記負荷モータは回転角センサを有しているモータ特性試験装置であって、
前記回転角センサは前記供試モータより外径が大きく、前記供試モータのベクトル制御が可能であるように前記回転角センサからの信号が前記供試モータのインバータに出力される。
(2)本開示の一実施形態として、
(1)に記載のモータ特性試験装置において、前記トルク計は、2つの測定レンジを有し、一方の前記測定レンジは他方の前記測定レンジの1/10以下である。
(1)に記載のモータ特性試験装置において、前記トルク計は、2つの測定レンジを有し、一方の前記測定レンジは他方の前記測定レンジの1/10以下である。
(3)本開示の一実施形態として、
(1)又は(2)に記載のモータ特性試験装置において、前記カップリングはベローズ構造である。
(1)又は(2)に記載のモータ特性試験装置において、前記カップリングはベローズ構造である。
(4)本開示の一実施形態に係るモータ特性試験方法は、
(1)から(3)のいずれか1つに記載のモータ特性試験装置を用いるモータ特性試験方法であって、
前記カップリングにより前記供試モータと前記負荷モータの回転軸を機械的に接続する前に、前記負荷モータによる回転数制御駆動によって段階的に回転数を上昇させて、各回転数において前記トルク計によって負荷トルクを計測するステップと、
計測された前記負荷トルクに基づいて、前記カップリングにより前記供試モータと前記負荷モータの回転軸を機械的に接続した後に計測されるトルク値にオフセット量として補正を与えるステップと、を含み、
前記負荷トルクを計測するステップは、前記供試モータのインバータへ直流電源から所定の電圧を印加した状態で0Arms制御を行う。
(1)から(3)のいずれか1つに記載のモータ特性試験装置を用いるモータ特性試験方法であって、
前記カップリングにより前記供試モータと前記負荷モータの回転軸を機械的に接続する前に、前記負荷モータによる回転数制御駆動によって段階的に回転数を上昇させて、各回転数において前記トルク計によって負荷トルクを計測するステップと、
計測された前記負荷トルクに基づいて、前記カップリングにより前記供試モータと前記負荷モータの回転軸を機械的に接続した後に計測されるトルク値にオフセット量として補正を与えるステップと、を含み、
前記負荷トルクを計測するステップは、前記供試モータのインバータへ直流電源から所定の電圧を印加した状態で0Arms制御を行う。
(5)本開示の一実施形態として、
(4)に記載のモータ特性試験方法において、
前記負荷モータによって回転数を制御し、前記信号によって前記供試モータの出力が階段状にスイープするように制御して、前記供試モータの特性をマップ状に取得するステップと、
前記供試モータと前記負荷モータの回転軸の機械的な接続を解除し、前記負荷モータによって段階的に回転数を上昇させて、各回転数において前記トルク計によって負荷トルクを計測するステップと、
前記回転軸の機械的な接続を解除して計測された前記負荷トルクに基づいて、前記マップ状に取得された前記供試モータの特性を補正するステップと、を含む。
(4)に記載のモータ特性試験方法において、
前記負荷モータによって回転数を制御し、前記信号によって前記供試モータの出力が階段状にスイープするように制御して、前記供試モータの特性をマップ状に取得するステップと、
前記供試モータと前記負荷モータの回転軸の機械的な接続を解除し、前記負荷モータによって段階的に回転数を上昇させて、各回転数において前記トルク計によって負荷トルクを計測するステップと、
前記回転軸の機械的な接続を解除して計測された前記負荷トルクに基づいて、前記マップ状に取得された前記供試モータの特性を補正するステップと、を含む。
本開示によれば、出力が比較的小さいモータであっても高精度な特性試験を実施可能にするモータ特性試験装置及びモータ特性試験方法を提供することができる。
以下、図面を参照して本開示の一実施形態に係るモータ特性試験装置及びモータ特性試験方法が説明される。各図中、同一又は相当する部分には、同一符号が付されている。以下の実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
図1は、本実施形態に係るモータ特性試験装置の構成を示す図である。供試モータと負荷モータとは互いに対向して配置される。ここで、供試モータは試作された試験体であるモータである。また、負荷モータは、試験(特性評価)において供試モータに対して負荷をかける、モータ特性試験装置に備えられたモータである。
モータ特性試験装置は、供試モータ及び負荷モータの回転軸がトルク計を介してカップリング(軸継手)により機械的に接続される構造を有する。換言すると、両モータの回転軸はトルク計を介してカップリングにより機械的に連結される。負荷モータと供試モータのそれぞれに対して、直流電源及びインバータが備えられており、別々にモータへの通電制御が可能となっている。また、供試モータへの入力電力を計測するために、インバータと供試モータの間には電力計が備わっている。モータ特性試験装置は、その他の構成要素として、モータ制御指令値を与える制御部、温度管理用の測温系統及び冷却系統などを備えてよい。制御部は例えばコンピュータで構成される。制御部はモータ制御指令値を与えるだけでなく、モータ特性試験装置の全体を制御してよいし、後述するモータ特性試験方法の処理を実行してよい。また、モータ特性試験装置は、トルクと回転数の関係を試験(評価)に応じて調整するために、図2に示すように、変速機を備える構成であってよい。
ここで、図1に示すように、負荷モータには供試モータよりも外径が大きな回転角センサが備わっている。ここで、外径は、回転軸を中心に円筒形状である負荷モータ、供試モータ及び回転角センサの外側の円の直径である。回転角センサは、供試モータ制御インバータ(供試モータ用のインバータ)及び負荷モータ制御インバータ(負荷モータ用のインバータ)の両方に、検出した回転角の情報を含む信号を出力するように構成されている。回転角センサの精度としては、例えば一回転あたりのパルス数などの指標があるが、一般に外径が大きいものほどパルス数が大きいように製品がラインナップされる。また、一般に出力の小さい供試モータは体格(サイズ)も小さい傾向がある。したがって、外径が大きい回転角センサを用いることが好ましいが、出力の小さい(体格の小さい)供試モータに大きい回転角センサを直接的に設けると、機械的な抵抗によりエネルギー損失が生じ、精度よくモータ特性を試験することが阻まれる。本実施形態に係るモータ特性試験装置は、供試モータより外径が大きい回転角センサを、比較的体格の大きい負荷モータに備える。そして、本実施形態に係るモータ特性試験装置では、負荷モータが備える回転角センサの信号を活用して供試モータのベクトル制御を実行でき、直接的に供試モータに回転角センサを取り付ける必要がない。そのため、出力の小さい供試モータの回転角を高精度に検出することができ、結果として高精度な特性試験が実施可能になる。
ここで、別の方法として、供試モータの体格に見合った回転角センサを供試モータに取り付ける方法が考えられるが、以下で説明する理由により計測誤差を招くため好ましくない。
まず、回転同期モータのモータトルク(T)は下記式により示されることが知られている。
ここで、Pnは極数である。ψaは鎖交磁束である。iaは電流である。Ldはd軸インダクタンスである。Lqはq軸インダクタンスである。また、βは電流進角である。電流進角(β)の制御精度に回転角センサの計測誤差が関わってくる。回転角センサは機械角を計測している。モータの制御において、回転角センサの誤差は電気角の制御誤差となる。機械角と電気角の関係は下記式で表される。
ここで、θEは電気角[deg]である。また、θMは機械角[deg]である。機械角と電気角の関係式から、供試モータが多極であるほど、機械角の計測誤差に基づく電気角の誤差が大きくなることがわかる。例えばドローン用モータでは、アウターロータ形式のモータ構造を採用することが多く、多極な設計となっていることが多い。一例として、空撮用ドローンのモータでは外径が40mm程度でありながら14極以上の多極な構成となっていることがある。14極の場合に、回転角センサで機械角の1[deg]の計測誤差が生じると、7[deg]の電気角誤差となる。モータトルクの式より、例えばd軸インダクタンスとq軸インダクタンスの差が0のモータでは0.75%の計測誤差が生じる。
ここで、一般にモータ特性試験はモータ効率η(%)を評価項目に含む。モータ効率η(%)は、モータ出力をPout(W)、モータ入力をPin(W)として、η=(Pout/Pin)×100(%)で得られる。ここで、モータ入力のPin(W)は電力計(図1参照)により計測された3相電力実効値で与えられる。また、モータ出力のPout(W)は、Pout(W)=T(Nm)×N(rpm)×(2π/60)で得られる。ここで、Tはモータトルクである。Nはモータの回転数である。
一例として説明した0.75%のトルク誤差は、そのままモータ効率ηの誤差に反映されるため、高精度に電流進角を制御することが非常に重要である。したがって、供試モータの体格に見合った回転角センサを用いるより、比較的外径が大きい、すなわち一回転あたりのパルス数が大きく、測定精度が高い回転角センサを用いることが好ましい。本実施形態に係るモータ特性試験装置を用いることによって、負荷モータに具備された十分体格が大きく分解能の高い回転角センサの信号を供試モータの制御に使うことができるため、試験における大きな計測誤差を防ぐことができる。ここで、回転角センサの種類としてはレゾルバ、エンコーダなどが挙げられるが、特定の種類のものに限定されない。
ここで、モータ特性試験装置は、誤差精度の小さいトルク計を適宜選択して備えればよいが、最大定格トルクが大きいと微小なトルク変化を精度よく検出することができないことがある。トルク計のメーカによる精度保証は、最大定格トルクに対して定められていることが多いためである。試験対象である供試モータを入れ替えるたびにトルク計を入れ替えることは、労力、コスト及び時間を要する。そこで、トルク計は、2つの測定レンジを有し、一方の測定レンジが他方の測定レンジの1/10以下であることが好ましい。一例として、モータ特性試験装置の最大出力に対応した20Nmの第1のレンジと、第1のレンジの1/10である2Nmの第2のレンジと、を測定レンジとして有するトルク計が使用されてよい。具体例として、2重定格トルク計であるキスラ社の4503B等が使用されてよい。
また、カップリングについては、回転軸径に適合するものを選定して用いればよく、特定の種類のものに限定されない。ただし、供試モータが市中製品を流用して作製された場合など、供試モータの回転軸を負荷モータの回転軸に対して精緻に芯出しできないケースがあり得る。そのため、カップリングは、軸芯ずれを吸収して回転軸を機械的に接続することが可能なベローズ構造であることが好ましい。
続いて、本実施形態に係るモータ特性試験装置を用いたモータ特性試験方法が説明される。上記のように、本実施形態に係るモータ特性試験装置によって、出力の小さい供試モータであっても回転角を高精度に検出することが可能である。本実施形態に係るモータ特性試験方法においては、さらにトルク計が有するオフセット量を特定して補正することによって、さらに高精度な特性試験を可能にする。
まず、カップリングにより供試モータと負荷モータの回転軸を機械的に接続する前に、負荷モータによる回転数制御駆動によって段階的に回転数を上昇させて、各回転数においてトルク計によって負荷トルクを計測する処理が実行される。回転軸を機械的に接続する前に、モータ特性試験装置は図3のような状態になっている。図4は段階的な回転数の変化の一例を示す。正の回転数は正転であることを示す。負の回転数は逆転方向の回転状態であることを示す。また、図5は各回転数において計測された負荷トルクの例を示す。図5の丸でプロットされた曲線のように、供試モータと負荷モータの回転軸が接続されておらず、かつ、供試モータ駆動用のインバータがOFFであるにも関わらず、非ゼロの回転数においてトルクが検出されている。つまり、0rpmを中心に原点対称のトルクセンサオフセット量が観測されている。このトルクセンサオフセット量の主要因は、トルク計自身の機械的な抵抗と考えられる。
また、図5の三角形でプロットされた曲線のように、供試モータ駆動用のインバータをOFFからONにして計測した場合に、さらにトルクセンサオフセット量が大きくなっている。トルクセンサオフセット量が大きくなった原因は、供試モータ駆動用のインバータによるノイズが、トルク計に影響を及ぼした結果と考えられる。実際の試験(評価)において、供試モータは、供試モータ駆動用のインバータがONの状態でオフセットの影響を受ける。そのため、供試モータ駆動用のインバータがONの状態でトルクセンサオフセット量が計測されることが好ましい。具体的に述べると、供試モータのインバータへ直流電源から所定の電圧を印加した状態で0Arms制御を行って、トルクセンサオフセット量が計測されることが好ましい。0Arms制御は、供試モータの電流(ia)の実効値がゼロになるようにする制御である。
このように計測された負荷トルクに基づいて、カップリングにより供試モータと負荷モータの回転軸を機械的に接続した後に計測されるトルク値にオフセット量として補正を与える処理が実行される。トルク計の機械的な抵抗に起因すると考えられるオフセット量を特定して補正することによって、さらに高精度な特性試験(モータ特性評価)が可能になる。
続いて、負荷モータによって回転数を制御し、回転角センサからの信号によって供試モータの出力が階段状にスイープするように制御して、供試モータの特性をマップ状に取得する。ここで、「供試モータの特性をマップ状に取得する」とは、例えば横軸に回転数、縦軸にトルクなどをマッピングして、相関関係などを特定することによって、モータ特性を測定することを意味する。また、供試モータの出力が階段状にスイープする状態は、図4のように段階的に回転数が変化する状態をいう。
供試モータの特性をマップ状に取得した後に、供試モータと負荷モータの回転軸の機械的な接続を解除し、負荷モータによって段階的に回転数を上昇させて、各回転数においてトルク計によって負荷トルクが計測される。段階的な回転数の上昇は、図4のような変化であってよい。このとき、モータ特性試験装置は、供試モータが回転しない状態であるが、インバータがONとなった状態である。図6は、回転軸の機械的な接続を解除して計測された負荷トルクに基づくトルクオフセット量の例を示す。図6の例では、1つの回転数について約10秒の保持の後に、1秒毎に8回のトルク計測が行われて、各計測において求められたトルクオフセット量がプロットされている。そのため、回転数の一水準あたりに複数のプロットが見られる。上記のように、トルク計の機械的な抵抗に起因すると考えられるオフセット量についての補正(一次補正)は実行済みであるが、図6に示されるように微小量のオフセット(図5に示した値と比較すると絶対値が非常に小さい)が生じている。一次補正後にもオフセットが生じる原因として、機械損の温度依存性の影響が考えられる。網羅的にマップ状にモータ特性を計測して評価する場合に、計測条件を変えて1000ポイント以上で計測が行われて、場合によって6時間ほどモータが回転し続ける。特にベアリングの温度は初期の状態(室温)とは大きく異なることが想定される。機械損の温度依存性の影響と考えられる負荷トルクに基づいて、マップ状に取得された供試モータの特性を補正することによって、さらに高精度な特性試験が可能になる。
以上のように、本実施形態に係るモータ特性試験装置及びモータ特性試験方法は、上記の構成及び工程によって、出力が比較的小さいモータであっても高精度な特性試験を実施可能にする。また、本実施形態に係るモータ特性試験装置及びモータ特性試験方法は、多種多様な形式、出力範囲のモータを対象として高精度な特性評価を実施できる。そのため、試験装置の設備投資を抑制して、高効率モータの開発に不可欠な供試モータ評価にかかるコストを削減することができる。
本開示の実施形態について、諸図面に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。例えば、各構成部などに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部などを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態は、装置が備えるプロセッサにより実行されるプログラム又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
以下、本開示内容の効果を実施例(実験例)に基づいて具体的に説明するが、本開示内容はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例)
本実施例として、図1に示す構成を有するモータ特性試験装置によって、上記のモータ特性試験方法が実行された。ここで、供試モータは、負荷モータに比べて小型であり、供試モータの外径が42mm、負荷モータの回転角センサ(エンコーダ)外径が63mmであった。つまり、供試モータの外径は、負荷モータの外径の2/3であった。本実施例において、BEI Sensors社製の型番が「H25D-SS-975-T3-ABZC-28V/V-SM20-S」である回転角センサが用いられた。パルス数は975/回転であった。
本実施例として、図1に示す構成を有するモータ特性試験装置によって、上記のモータ特性試験方法が実行された。ここで、供試モータは、負荷モータに比べて小型であり、供試モータの外径が42mm、負荷モータの回転角センサ(エンコーダ)外径が63mmであった。つまり、供試モータの外径は、負荷モータの外径の2/3であった。本実施例において、BEI Sensors社製の型番が「H25D-SS-975-T3-ABZC-28V/V-SM20-S」である回転角センサが用いられた。パルス数は975/回転であった。
供試モータの極数は、14極のアウターロータである。磁石はNd焼結磁石を用いた。磁気特性の異なる5種類の鉄心材料を用いて、図7に示す形状のステータ鉄心が、打抜き加工及びカシメ積層により製作された。5種類の鉄心材料(A~E)についての特性は表1の通りである。次いで、上記の形状のステータ鉄心などを用いて、供試モータが組立てられて、モータ特性が評価された。ここで、供試モータに回転角センサを取り付ける従来法(比較例)と上記の実施形態として説明したモータ特性試験方法(実施例)によって各5回ずつモータ特性が評価された。比較例及び実施例のモータ特性の評価は、5種類の鉄心材料(A~E)を用いた供試モータのそれぞれについて行われた。ここで、供試モータ及び回転角センサは、1回の評価を実行する度に、取付けと取外しが実施された。インバータへの印加電圧を30V、キャリア周波数17.5kHz、電流進角βは0degで固定し供試モータをPWMインバータ制御した。供試モータは、回転数を1000rpm毎に最大で10000rpmまで1000rpm刻みで駆動された。電流は2.5Armsから25.0Armsまで2.5Arms刻みで通電された。供試モータの特性がマップ状に取得された。図8は、代表的なモータ特性である最大効率と最大トルクについて鉄心材料の磁気特性との関係を示したものである。ここで、標準偏差をσとして、モータ特性値のエラーバーが1σで示されている。図8のデータのうち、実施例に関するものが表2に、比較例に関するものが表3にまとめられている。表2及び表3で、評価された供試モータのそれぞれは鉄心材料(A~E)を識別子として区別される。鉄心材料(A~E)は表1に記載されたものと同じである。一般に、鉄心材料の鉄損が低いほどモータの最大効率が向上する。また、一般に、鉄心材料の磁束密度が高いほど最大トルクが向上する。比較例及び実施例はどちらもこのような傾向を示した。しかし、比較例ではモータ特性の測定値が安定せず、ばらつきが大きかった。比較例における測定値のばらつきは、回転角センサの機械損の影響と考えられ、1回の評価毎の取付け精度のばらつきなどが評価結果へ反映されたと考えられる。鉄心材料の磁気特性とモータ特性の相関関係及びエラーバーの大きさから判断できるように、本実施形態に係るモータ特性試験装置及びモータ特性試験方法を用いることによって高精度な特性試験が可能になる。
Claims (5)
- 供試モータと負荷モータとが対向して配置され、前記供試モータ及び前記負荷モータの回転軸がトルク計を介してカップリングにより機械的に接続される構造であり、前記供試モータ及び前記負荷モータのそれぞれにインバータが接続され、前記負荷モータは回転角センサを有しているモータ特性試験装置であって、
前記回転角センサは前記供試モータより外径が大きく、前記供試モータのベクトル制御が可能であるように前記回転角センサからの信号が前記供試モータのインバータに出力される、モータ特性試験装置。 - 前記トルク計は、2つの測定レンジを有し、一方の前記測定レンジは他方の前記測定レンジの1/10以下である、請求項1に記載のモータ特性試験装置。
- 前記カップリングはベローズ構造である、請求項1又は2に記載のモータ特性試験装置。
- 請求項1又は2に記載のモータ特性試験装置を用いるモータ特性試験方法であって、
前記カップリングにより前記供試モータと前記負荷モータの回転軸を機械的に接続する前に、前記負荷モータによる回転数制御駆動によって段階的に回転数を上昇させて、各回転数において前記トルク計によって負荷トルクを計測するステップと、
計測された前記負荷トルクに基づいて、前記カップリングにより前記供試モータと前記負荷モータの回転軸を機械的に接続した後に計測されるトルク値にオフセット量として補正を与えるステップと、を含み、
前記負荷トルクを計測するステップは、前記供試モータのインバータへ直流電源から所定の電圧を印加した状態で0Arms制御を行う、モータ特性試験方法。 - 前記負荷モータによって回転数を制御し、前記信号によって前記供試モータの出力が階段状にスイープするように制御して、前記供試モータの特性をマップ状に取得するステップと、
前記供試モータと前記負荷モータの回転軸の機械的な接続を解除し、前記負荷モータによって段階的に回転数を上昇させて、各回転数において前記トルク計によって負荷トルクを計測するステップと、
前記回転軸の機械的な接続を解除して計測された前記負荷トルクに基づいて、前記マップ状に取得された前記供試モータの特性を補正するステップと、を含む、請求項4に記載のモータ特性試験方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022090465A JP2023177673A (ja) | 2022-06-02 | 2022-06-02 | モータ特性試験装置及びモータ特性試験方法 |
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JP2022090465A Pending JP2023177673A (ja) | 2022-06-02 | 2022-06-02 | モータ特性試験装置及びモータ特性試験方法 |
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-
2022
- 2022-06-02 JP JP2022090465A patent/JP2023177673A/ja active Pending
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