JP2023174049A - フレイル推定装置、推定システム、フレイル推定方法、およびプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】被験者の歩容に基づいてフレイルを推定できるフレイル推定装置を提供する。【解決手段】被験者の歩容の特徴を含む歩行波形データと、歩行波形データから抽出された特徴量を含む特徴量データとを取得する受信部と、特徴量データを用いて被験者の握力を推定し、歩行波形データを用いて被験者の歩行速度を推定し、推定された握力および歩行速度を用いて被験者のフレイルを推定する推定部と、推定されたフレイルに関する情報を出力する出力部と、を備えるフレイル推定装置とする。【選択図】 図1

Description

本開示は、歩容に関するデータを用いて、フレイルの可能性を推定するフレイル推定装置等に関する。
ヘルスケアへの関心の高まりに伴って、歩容に応じた情報を提供するサービスに注目が集まっている。例えば、靴等の履物に実装されたセンサによって計測されるセンサデータを用いて、歩容を解析する技術が開発されている。センサデータの時系列データには、身体状態と関連する歩容事象(歩行イベントとも呼ぶ)に伴った特徴が現れる。
特許文献1には、歩行者の歩行の特徴に基づいて足の異常を検出する装置について開示されている。特許文献1の装置は、履物に設置されたセンサから取得されたデータを用いて、履物を履いた歩行者の歩行において特徴的な歩行特徴量を抽出する。特許文献1の装置は、抽出された歩行特徴量に基づいて、履物を履いて歩行する歩行者の異常を検出する。例えば、特許文献1の装置は、一歩行周期分の歩行波形データから、外反母趾に関する特徴部位を抽出する。特許文献1の装置は、抽出された特徴部位の歩行特徴量を用いて、外反母趾の進行状態を推定する。
歩容に関する情報に基づいて、加齢による心身の老い衰えを示すフレイルの可能性を推定できれば、高齢者が要介護になることを回避できる可能性がある。フレイルの診断基準には、J-CHS基準(Japan-Cardiovascular Health Study基準)がある(非特許文献1)。J-CHS基準において、フレイルは、筋力低下、歩行速度、体重減少、疲労感、および身体活動の5つの項目によって評価される。5つの項目のうち、3個以上に該当する場合、フレイルであると判定される。5つの項目のうち、1~2個に該当する場合、プレフレイルであると判定される。5つの項目のうち、いずれにも該当しない場合、ロバスト(健常)であると判定される。例えば、筋力低下については、握力で評価される。握力は、全身の総合的な筋力(全身総合筋力とも呼ぶ)を評価するための指標である。握力は、転倒リスクを評価するための重要な指標にもなりうる。
特許文献2には、通信式握力計による計測データを用いて、被験者の脚筋力に関連する情報を推定する脚筋力推定装置について開示されている。特許文献2の装置は、通信式握力計によって計測された握力値データと、個人データ入力手段から入力された個人データとを用いて、当該個人の最大脚伸展筋力/体重データを演算する。特許文献2の装置は、当該個人の最大脚伸展筋力/体重データと、個人データとを用いて、転倒する可能性が増加する年齢である転倒年齢データを演算する。
非特許文献2には、フレイルの初期症状や表現型について開示されている。非特許文献2には、フレイルのサイクルに関する図(非特許文献の図1)が開示されている。非特許文献2は、体重や活動量、歩行速度、筋力、バランス等の因子が相互に関係し合うことで、フレイルが進行することを示している。非特許文献2によると、筋力の低下に伴って、歩行速度の低下やバランス障害が起こりやすくなる。
非特許文献3には、フレイルの症状の有無に応じて、歩行速度に表れる特徴の相違について開示されている(非特許文献3の表4)。非特許文献3によると、フレイルの症状が見られる被験者に関しては、歩行速度が低下し、歩行速度の分布が大きくなる傾向がある。
国際公開第2021/140658号 特開2014-221139号公報
S. Satake and H. Arai, "The revised Japanese version of the Cardiovascular Health Study criteria (revised J-CHS criteria)", Geriatr Gerontol Int., 2020 Oct, 20(10), pp. 992-993. Q. Xue. et al., "Initial Manifestations of Frailty Criteria and the Development of Frailty Phenotype in the Women’s Health and Aging Study II", Journal of Gerontology: MEDICAL SCIENCES, 2008, 63A(9), pp.984-990. M. Schwenk, et al., "Wearable Sensor-Based In-Home Assessment of Gait, Balance, and Physical Activity for Discrimination of Frailty Status: Baseline Results of the Arizona Frailty Cohort Study", Gerontology, 2015, 61(3), pp.258-67.
特許文献1の手法では、履物に設置されたセンサから取得されたデータから抽出された特徴部位の歩行特徴量を用いて、外反母趾の進行状態を推定する。特許文献1には、履物に設置されたセンサから取得されたデータから抽出された特徴部位の歩行特徴量を用いて、フレイルの可能性を推定することは開示されていない。
特許文献2の手法では、通信式握力計による計測データと、入力された個人データとを用いて、当該個人の最大脚伸展筋力/体重データを演算する。特許文献2には、通信式握力計を用いて計測された握力を用いて、フレイルの可能性を推定することは開示されていない。
本開示の目的は、被験者の歩容に基づいてフレイルを推定できるフレイル推定装置等を提供することにある。
本開示の一態様のフレイル推定装置は、被験者の歩容の特徴を含む歩行波形データと、歩行波形データから抽出された特徴量を含む特徴量データとを取得する受信部と、特徴量データを用いて被験者の握力を推定し、歩行波形データを用いて被験者の歩行速度を推定し、推定された握力および歩行速度を用いて被験者のフレイルを推定する推定部と、推定されたフレイルに関する情報を出力する出力部と、を備える。
本開示の一態様のフレイル推定方法においては、被験者の歩容の特徴を含む歩行波形データと、歩行波形データから抽出された特徴量を含む特徴量データとを取得し、特徴量データを用いて被験者の握力を推定し、歩行波形データを用いて被験者の歩行速度を推定し、推定された握力および歩行速度を用いて被験者のフレイルを推定し、推定されたフレイルに関する情報を出力する。
本開示の一態様のプログラムは、被験者の歩容の特徴を含む歩行波形データと、歩行波形データから抽出された特徴量を含む特徴量データとを取得する処理と、特徴量データを用いて被験者の握力を推定する処理と、歩行波形データを用いて被験者の歩行速度を推定する処理と、推定された握力および歩行速度を用いて被験者のフレイルを推定する処理と、推定されたフレイルに関する情報を出力する処理と、をコンピュータに実行させる。
本開示によれば、被験者の歩容に基づいてフレイルを推定できるフレイル推定装置等を提供することが可能になる。
第1の実施形態に係る推定システムの構成の一例を示すブロック図である。 第1の実施形態に係る推定システムが備える歩容計測装置の構成の一例を示すブロック図である。 第1の実施形態に係る歩容計測装置の配置例を示す概念図である。 第1の実施形態に係る歩容計測装置に設定されるローカル座標系と世界座標系の関係の一例について説明するための概念図である。 第1の実施形態に係る歩容計測装置に関する説明で用いられる人体面について説明するための概念図である。 第1の実施形態に係る歩容計測装置に関する説明で用いられる歩行周期について説明するための概念図である。 第1の実施形態に係る歩容計測装置が計測するセンサデータの時系列データの一例について説明するためのグラフである。 第1の実施形態に係る歩容計測装置が計測するセンサデータの時系列データから抽出される歩行波形データの正規化の一例について説明するための図である。 第1の実施形態に係る歩容計測装置の特徴量データ生成部が特徴量を抽出する歩行フェーズクラスターの一例について説明するための概念図である。 第1の実施形態に係る推定システムが備えるフレイル推定装置の構成の一例を示すブロック図である。 第1の実施形態に係る推定システムが備える歩容計測装置が男性の握力を推定するために抽出する特徴量の具体例に関する表である。 第1の実施形態に係る推定システムが備えるフレイル推定装置による男性の握力の推定例を示すブロック図である。 第1の実施形態に係る推定システムが備える歩容計測装置が女性の握力を推定するために抽出する特徴量の具体例に関する表である。 第1の実施形態に係る推定システムが備えるフレイル推定装置による女性の握力の推定例を示すブロック図である。 第1の実施形態に係る推定システムが備える歩容計測装置の動作の一例について説明するためのフローチャートである。 第1の実施形態に係る推定システムが備えるフレイル推定装置の動作の一例について説明するためのフローチャートである。 第1の実施形態に係る推定システムが備えるフレイル推定装置による握力推定処理の一例について説明するためのフローチャートである。 第1の実施形態に係る推定システムが備えるフレイル推定装置による歩行速度推定処理の一例について説明するためのフローチャートである。 第1の実施形態に係る推定システムの適用例について説明するための概念図である。 第1の実施形態に係る推定システムの適用例について説明するための概念図である。 第2の実施形態に係るフレイル推定装置の構成の一例を示すブロック図である。 各実施形態の処理を実行するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る推定システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の推定システムは、被験者の歩行に応じた足の動きに関するセンサデータを計測する。本実施形態の推定システムは、計測されたセンサデータを用いて、その被験者の握力を推定する。また、本実施形態の推定システムは、計測されたセンサデータを用いて、その被験者の歩行速度を推定する。本実施形態の推定システムは、推定された握力と歩行速度に応じて、被験者がフレイルである可能性を推定する。なお、センサデータは、足の動きに関するセンサデータに限定されず、歩容に関する特徴を含めばよい。例えば、センサデータは、モーションキャプチャーやスマートアパレル等を用いて計測された、歩容に関する特徴を含むセンサデータであってもよい。
(構成)
図1は、本実施形態に係る推定システム1の構成の一例を示すブロック図である。推定システム1は、歩容計測装置10とフレイル推定装置13を備える。本実施形態においては、歩容計測装置10とフレイル推定装置13が別々のハードウェアに構成される例について説明する。例えば、歩容計測装置10は、フレイルの推定対象である被験者(ユーザ)の履物等に設置される。例えば、フレイル推定装置13の機能は、被験者(ユーザ)の携帯する携帯端末にインストールされる。以下においては、歩容計測装置10およびフレイル推定装置13の構成について、個別に説明する。
〔歩容計測装置〕
図2は、歩容計測装置10の構成の一例を示すブロック図である。歩容計測装置10は、センサ11と特徴量データ生成部12を有する。本実施形態においては、センサ11と特徴量データ生成部12が一体化された例をあげる。センサ11と特徴量データ生成部12は、別々の装置として提供されてもよい。以下においては、センサ11および特徴量データ生成部12の構成について、個別に説明する。
<センサ>
図2のように、センサ11は、加速度センサ111と角速度センサ112を有する。図2には、加速度センサ111と角速度センサ112が、センサ11に含まれる例をあげる。センサ11には、加速度センサ111および角速度センサ112以外のセンサが含まれてもよい。センサ11に含まれうる加速度センサ111および角速度センサ112以外のセンサについては、説明を省略する。
加速度センサ111は、3軸方向の加速度(空間加速度とも呼ぶ)を計測するセンサである。加速度センサ111は、足の動きに関する物理量として、加速度(空間加速度とも呼ぶ)を計測する。加速度センサ111は、計測した加速度を特徴量データ生成部12に出力する。例えば、加速度センサ111には、圧電型や、ピエゾ抵抗型、静電容量型等の方式のセンサを用いることができる。加速度センサ111として用いられるセンサは、加速度を計測できれば、その計測方式に限定を加えない。
角速度センサ112は、3軸周りの角速度(空間角速度とも呼ぶ)を計測するセンサである。角速度センサ112は、足の動きに関する物理量として、角速度(空間角速度とも呼ぶ)を計測する。角速度センサ112は、計測した角速度を特徴量データ生成部12に出力する。例えば、角速度センサ112には、振動型や静電容量型等の方式のセンサを用いることができる。角速度センサ112として用いられるセンサは、角速度を計測できれば、その計測方式に限定を加えない。
センサ11は、例えば、加速度や角速度を計測する慣性計測装置によって実現される。慣性計測装置の一例として、IMU(Inertial Measurement Unit)があげられる。IMUは、3軸方向の加速度を計測する加速度センサ111と、3軸周りの角速度を計測する角速度センサ112を含む。センサ11は、VG(Vertical Gyro)やAHRS(Attitude Heading)などの慣性計測装置によって実現されてもよい。また、センサ11は、GPS/INS(Global Positioning System/Inertial Navigation System)によって実現されてもよい。センサ11は、足の動きに関する物理量を計測できれば、慣性計測装置以外の装置によって実現されてもよい。
図3は、右足の靴100の中に、歩容計測装置10が配置される一例を示す概念図である。図3の例では、足弓の裏側に当たる位置に、歩容計測装置10が設置される。例えば、歩容計測装置10は、靴100の中に挿入されるインソールに配置される。例えば、歩容計測装置10は、靴100の底面に配置されてもよい。例えば、歩容計測装置10は、靴100の本体に埋設されてもよい。歩容計測装置10は、靴100から着脱できてもよいし、靴100から着脱できなくてもよい。歩容計測装置10は、足の動きに関するセンサデータを計測できさえすれば、足弓の裏側ではない位置に設置されてもよい。また、歩容計測装置10は、被験者が履いている靴下や、被験者が装着しているアンクレット等の装飾品に設置されてもよい。また、歩容計測装置10は、足に直に貼り付けられたり、足に埋め込まれたりしてもよい。図3には、右足の靴100に歩容計測装置10が設置される例を示す。歩容計測装置10は、両足の靴100に設置されてもよい。
図3の例では、歩容計測装置10(センサ11)を基準として、左右方向のx軸、前後方向のy軸、上下方向のz軸を含むローカル座標系が設定される。x軸は左方を正とし、y軸は後方を正とし、z軸は上方を正とする。センサ11に設定される軸の向きは、左右の足で同じでもよく、左右の足で異なっていてもよい。例えば、同じスペックで生産されたセンサ11が左右の靴100の中に配置される場合、左右の靴100に配置されるセンサ11の上下の向き(Z軸方向の向き)は、同じ向きである。その場合、左足に由来するセンサデータに設定されるローカル座標系の3軸と、右足に由来するセンサデータに設定されるローカル座標系の3軸とは、左右で同じにある。
図4は、足弓の裏側に設置された歩容計測装置10(センサ11)に設定されるローカル座標系(x軸、y軸、z軸)と、地面に対して設定される世界座標系(X軸、Y軸、Z軸)について説明するための概念図である。世界座標系(X軸、Y軸、Z軸)では、進行方向に正対した状態の被験者が直立した状態で、被験者の横方向がX軸方向(左向きが正)、被験者の背面の方向がY軸方向(後ろ向きが正)、重力方向がZ軸方向(鉛直上向きが正)に設定される。なお、図4の例は、ローカル座標系(x軸、y軸、z軸)と世界座標系(X軸、Y軸、Z軸)の関係を概念的に示すものであり、被験者の歩行に応じて変動するローカル座標系と世界座標系の関係を正確に示すものではない。
図5は、人体に対して設定される面(人体面とも呼ぶ)について説明するための概念図である。本実施形態では、身体を左右に分ける矢状面、身体を前後に分ける冠状面、身体を水平に分ける水平面が定義される。本実施形態においては、x軸を回転軸とする矢状面内の回転をロール、y軸を回転軸とする冠状面内の回転をピッチ、z軸を回転軸とする水平面内の回転をヨーと定義する。また、x軸を回転軸とする矢状面内の回転角をロール角、y軸を回転軸とする冠状面内の回転角をピッチ角、z軸を回転軸とする水平面内の回転角をヨー角と定義する。
<特徴量データ生成部>
図2のように、特徴量データ生成部12(特徴量データ生成装置とも呼ぶ)は、取得部121、正規化部122、抽出部123、生成部125、および送信部127を有する。例えば、特徴量データ生成部12は、歩容計測装置10の全体制御やデータ処理を行うマイクロコンピュータまたはマイクロコントローラによって実現される。例えば、特徴量データ生成部12は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等を有する。特徴量データ生成部12は、加速度センサ111および角速度センサ112を制御して、角速度や加速度を計測する。例えば、特徴量データ生成部12は、被験者(ユーザ)の携帯する携帯端末(図示しない)の側に実装されてもよい。
取得部121は、加速度センサ111から、3軸方向の加速度を取得する。また、取得部121は、角速度センサ112から、3軸周りの角速度を取得する。例えば、取得部121は、取得された角速度および加速度等の物理量(アナログデータ)をAD変換(Analog-to-Digital Conversion)する。なお、加速度センサ111および角速度センサ112によって計測された物理量(アナログデータ)は、加速度センサ111および角速度センサ112の各々においてデジタルデータに変換されてもよい。取得部121は、変換後のデジタルデータ(センサデータとも呼ぶ)を正規化部122に出力する。取得部121は、図示しない記憶部に、センサデータを記憶させるように構成されてもよい。センサデータには、デジタルデータに変換された加速度データと、デジタルデータに変換された角速度データとが少なくとも含まれる。加速度データは、3軸方向の加速度ベクトルを含む。角速度データは、3軸周りの角速度ベクトルを含む。加速度データおよび角速度データには、それらのデータの取得時間が紐付けられる。また、取得部121は、加速度データおよび角速度データに対して、実装誤差や温度補正、直線性補正などの補正を加えてもよい。
正規化部122は、取得部121からセンサデータを取得する。正規化部122は、センサデータに含まれる3軸方向の加速度および3軸周りの角速度の時系列データから、一歩行周期分の時系列データ(歩行波形データとも呼ぶ)を抽出する。正規化部122は、抽出された一歩行周期分の歩行波形データの時間を、0~100%(パーセント)の歩行周期に正規化(第1正規化とも呼ぶ)する。0~100%の歩行周期に含まれる1%や10%などのタイミングを、歩行フェーズとも呼ぶ。また、正規化部122は、第1正規化された一歩行周期分の歩行波形データに関して、立脚相が60%、遊脚相が40%になるように正規化(第2正規化とも呼ぶ)する。立脚相は、足の裏側の少なくとも一部が地面に接している期間である。遊脚相は、足の裏側が地面から離れている期間である。歩行波形データを第2正規化すれば、特徴量が抽出される歩行フェーズのずれが、外乱の影響でぶれることを抑制できる。
図6は、右足を基準とする一歩行周期において検出される歩行イベントについて説明するための概念図である。図6の横軸は、右足の一歩行周期を100パーセント(%)として正規化された歩行周期である。右足の踵が地面に着地した時点を起点(0%)とし、次に右足の踵が地面に着地した時点を終点(100%)とする。一歩行周期に含まれる複数のタイミングの各々を、歩行フェーズと呼ぶ。片足の一歩行周期は、足の裏側の少なくとも一部が地面に接している立脚相と、足の裏側が地面から離れている遊脚相とに大別される。図6の例では、立脚相が60%を占め、遊脚相が40%を占めるように、歩行周期が正規化される。立脚相は、立脚初期T1、立脚中期T2、立脚終期T3、遊脚前期T4に細分される。遊脚相は、遊脚初期T5、遊脚中期T6、遊脚終期T7に細分される。一歩行周期の歩行波形は、踵が地面に着地した時点を起点としなくてもよい。例えば、一歩行周期の歩行波形の起点は、立脚相の中央の時点などに設定されてもよい。本実施形態においては、立脚相の中央の時点を、一歩行周期の始点/終点とする例をあげる。
歩行イベントE1は、一歩行周期の始まりの踵接地(HC:Heel Contact)を表す。踵接地は、遊脚相において地面から離れていた右足の踵が、地面に着地する事象である。歩行イベントE2は、反対足爪先離地(OTO:Opposite Toe Off)を表す。反対足爪先離地は、右足の足裏の接地面が接地した状態で、左足の爪先が地面から離れる事象である。歩行イベントE3は、踵持ち上がり(HR:Heel Rise)を表す。踵持ち上がりは、右足の足裏の接地面が接地した状態で、右足の踵が持ち上がる事象である。歩行イベントE4は、反対足踵接地(OHS:Opposite Heel Strike)を表す。反対足踵接地は、左足の遊脚相において地面から離れていた左足の踵が、地面に着地する事象である。歩行イベントE5は、爪先離地(TO:Toe Off)を表す。爪先離地は、左足の足裏の接地面が接地した状態で、右足の爪先が地面から離れる事象である。歩行イベントE6は、足交差(FA:Foot Adjacent)を表す。足交差は、左足の足裏の接地面が接地した状態で、左足と右足が交差する事象である。歩行イベントE7は、脛骨垂直(TV:Tibia Vertical)を表す。脛骨垂直は、左足の足裏が接地した状態で、右足の脛骨が地面に対してほぼ垂直になる事象である。歩行イベントE8は、一歩行周期の終わりの踵接地(HS:Heel Strike)を表す。歩行イベントE8は、歩行イベントE1から始まる歩行周期の終点に相当するとともに、次の歩行周期の起点に相当する。
図7は、進行方向加速度(Y方向加速度)の時系列データ(実線)から、踵接地HCや爪先離地TOを検出する一例について説明するための図である。踵接地HCのタイミングは、進行方向加速度(Y方向加速度)の時系列データに表れる極大ピークの直後の極小ピークのタイミングである。踵接地HCのタイミングの目印になる極大ピークは、一歩行周期分の歩行波形データの最大ピークに相当する。連続する踵接地HCの間の区間が、一歩行周期である。爪先離地TOのタイミングは、進行方向加速度(Y方向加速度)の時系列データに変動が表れない立脚相の期間の後に表れる極大ピークの立ち上がりのタイミングである。図7には、ロール角(X軸周り角速度)の時系列データ(破線)も示す。ロール角が最小のタイミングと、ロール角が最大のタイミングとの中点(立脚中点とも呼ぶ)のタイミングが、立脚相の中央のタイミングに相当する。例えば、歩行速度や、歩幅、分回し、内旋/外旋、底屈/背屈などのパラメータ(歩容パラメータとも呼ぶ)は、立脚中点のタイミングを基準として求めることができる。
図8は、正規化部122によって正規化された歩行波形データの一例について説明するための図である。正規化部122は、進行方向加速度(Y方向加速度)の時系列データから、踵接地HCと爪先離地TOを検出する。正規化部122は、連続する踵接地HCの間の区間を、一歩行周期分の歩行波形データとして抽出する。正規化部122は、第1正規化によって、一歩行周期分の歩行波形データの横軸(時間軸)を、0~100%の歩行周期に変換する。図7には、第1正規化後の歩行波形データを破線で示す。第1正規化後の歩行波形データ(破線)では、爪先離地TOのタイミングが60%からずれている。
図8の例において、正規化部122は、歩行フェーズが0%の踵接地HCから、その踵接地HCに後続する爪先離地TOまでの区間を0~60%に正規化する。また、正規化部122は、爪先離地TOから、爪先離地TOに後続する歩行フェーズが100%の踵接地HCまでの区間を60~100%に正規化する。その結果、一歩行周期分の歩行波形データは、歩行周期が0~60%の区間(立脚相)と、歩行周期が60~100%の区間(遊脚相)とに正規化される。図8には、第2正規化後の歩行波形データを実線で示す。第2正規化後の歩行波形データ(実線)では、爪先離地TOのタイミングが60%に一致する。
図7~図8には、進行方向加速度(Y方向加速度)に基づいて、一歩行周期分の歩行波形データを抽出/正規化する例を示した。進行方向加速度(Y方向加速度)以外の加速度/角速度に関して、正規化部122は、進行方向加速度(Y方向加速度)の歩行周期に合わせて、一歩行周期分の歩行波形データを抽出/正規化する。また、正規化部122は、3軸周りの角速度の時系列データを積分することで、3軸周りの角度の時系列データを生成してもよい。その場合、正規化部122は、3軸周りの角度に関しても、進行方向加速度(Y方向加速度)の歩行周期に合わせて、一歩行周期分の歩行波形データを抽出/正規化する。
正規化部122は、進行方向加速度(Y方向加速度)以外の加速度/角速度に基づいて、一歩行周期分の歩行波形データを抽出/正規化してもよい。例えば、正規化部122は、垂直方向加速度(Z方向加速度)の時系列データから、踵接地HCや爪先離地TOを検出してもよい。踵接地HCのタイミングは、垂直方向加速度(Z方向加速度)の時系列データに表れる急峻な極小ピークのタイミングである。急峻な極小ピークのタイミングにおいては、垂直方向加速度(Z方向加速度)の値がほぼ0になる。踵接地HCのタイミングの目印になる極小ピークは、一歩行周期分の歩行波形データの最小ピークに相当する。連続する踵接地HCの間の区間が、一歩行周期である。爪先離地TOのタイミングは、垂直方向加速度(Z方向加速度)の時系列データが、踵接地HCの直後の極大ピークの後に変動の小さい区間を経た後に、なだらかに増大する途中の変曲点のタイミングである。また、正規化部122は、進行方向加速度(Y方向加速度)および垂直方向加速度(Z方向加速度)の両方に基づいて、一歩行周期分の歩行波形データを抽出/正規化してもよい。また、正規化部122は、進行方向加速度(Y方向加速度)および垂直方向加速度(Z方向加速度)以外の加速度や角速度、角度等に基づいて、一歩行周期分の歩行波形データを抽出/正規化してもよい。
抽出部123は、正規化部122によって正規化された一歩行周期分の歩行波形データを取得する。抽出部123は、一歩行周期分の歩行波形データから、握力の推定に用いられる特徴量を抽出する。抽出部123は、予め設定された条件に基づいて、歩行フェーズクラスターごとの特徴量を抽出する。歩行フェーズクラスターは、時間的に連続する歩行フェーズを統合したクラスターである。歩行フェーズクラスターは、少なくとも一つの歩行フェーズを含む。歩行フェーズクラスターは、単一の歩行フェーズで構成されてもよい。握力の推定に用いられる特徴量が抽出される歩行波形データや歩行フェーズについては、後述する。
図9は、一歩行周期分の歩行波形データから、握力を推定するための特徴量を抽出する一例について説明するための概念図である。例えば、抽出部123は、時間的に連続する歩行フェーズi~i+mを、歩行フェーズクラスターCとして抽出する(i、mは自然数)。歩行フェーズクラスターCは、m個の歩行フェーズ(構成要素)を含む。すなわち、歩行フェーズクラスターCを構成する歩行フェーズ(構成要素)の数(構成要素数とも呼ぶ)は、mである。図9には、歩行フェーズが整数値の例をあげるが、歩行フェーズは小数点以下まで細分化されてもよい。歩行フェーズが小数点以下まで細分化される場合、歩行フェーズクラスターCの構成要素数は、歩行フェーズクラスターの区間のデータ点数に応じた数になる。抽出部123は、歩行フェーズi~i+mの各々から特徴量を抽出する。歩行フェーズクラスターCが単一の歩行フェーズjによって構成される場合、抽出部123は、その単一の歩行フェーズjから特徴量を抽出する(jは自然数)。
生成部125は、歩行フェーズクラスターを構成する歩行フェーズの各々から抽出された特徴量(第1特徴量)に特徴量構成式を適用して、歩行フェーズクラスターの特徴量(第2特徴量)を生成する。特徴量構成式は、歩行フェーズクラスターの特徴量を生成するために、予め設定された計算式である。例えば、特徴量構成式は、四則演算に関する計算式である。例えば、特徴量構成式を用いて算出される第2特徴量は、歩行フェーズクラスターに含まれる各歩行フェーズにおける第1特徴量の積分平均値や算術平均値、傾斜、ばらつきなどである。例えば、生成部125は、歩行フェーズクラスターを構成する歩行フェーズの各々から抽出された第1特徴量の傾斜やばらつきを算出する計算式を、特徴量構成式として適用する。例えば、歩行フェーズクラスターが単独の歩行フェーズで構成される場合は、傾斜やばらつきを算出できないため、積分平均値や算術平均値などを計算する特徴量構成式を用いればよい。
送信部127は、生成部125によって生成された、歩行フェーズクラスターごとの特徴量データ(第2特徴量)を送信する。また、送信部127は、正規化部122によって正規化された、一歩行周期分の歩行波形データを送信する。送信部127は、特徴量データおよび歩行波形データを、それらを使用するフレイル推定装置13に送信する。例えば、歩容計測装置10において、歩行速度を計算してもよい。その場合、送信部127は、歩行波形データの代わりに、歩行速度をフレイル推定装置13に送信する。歩行波形データの代わりに歩行速度が送信されれば、通信容量を抑制できる。
例えば、送信部127は、無線通信を介して、フレイル推定装置13に特徴量データを送信する。例えば、送信部127は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)などの規格に則した無線通信機能(図示しない)を介して、フレイル推定装置13に特徴量データを送信するように構成される。なお、送信部127の通信機能は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)以外の規格に則していてもよい。送信部127は、ケーブルなどの有線を介して、フレイル推定装置13に特徴量データを送信してもよい。
〔フレイル推定装置〕
図10は、フレイル推定装置13の構成の一例を示すブロック図である。フレイル推定装置13は、受信部131、記憶部132、握力推定部133、歩行速度推定部134、フレイル推定部135、および出力部137を有する。記憶部132、握力推定部133、歩行速度推定部134、およびフレイル推定部135は、推定部130を構成する。推定部130は、握力推定部133、歩行速度推定部134、およびフレイル推定部135によって構成されてもよい。
受信部131は、歩容計測装置10から、特徴量データおよび歩行波形データを受信する。受信部131は、受信された特徴量データを握力推定部133に出力する。また、受信部131は、受信された歩行波形データを、歩行速度推定部134に出力する。例えば、受信部131は、無線通信を介して、特徴量データを歩容計測装置10から受信する。例えば、受信部131は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)などの規格に則した無線通信機能(図示しない)を介して、特徴量データを歩容計測装置10から受信するように構成される。なお、受信部131の通信機能は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)以外の規格に則していてもよい。受信部131は、ケーブルなどの有線を介して、特徴量データを歩容計測装置10から受信してもよい。
記憶部132は、握力の推定に用いられる握力推定モデルを記憶する。握力推定モデルは、握力の推定も用いられる特徴量データの入力に応じて、握力の推定値を出力するモデルである。握力推定モデルは、複数の被験者の握力に関する特徴量データと、握力との関係を学習したモデルである。握力の推定に用いられる特徴量データが抽出される歩行フェーズクラスターは、性別で異なる。そのため、記憶部132には、男性用推定モデルと女性用推定モデルが記憶されてもよい。言い換えると、記憶部132には、属性に応じた握力推定モデルが記憶されてもよい。
例えば、握力推定モデルは、製品の工場出荷時の時点において、記憶部132に記憶させる。例えば、握力推定モデルは、推定システム1の使用前におけるキャリブレーションの時点において、記憶部132に記憶させもよい。例えば、外部のサーバ等の記憶装置に保存された握力推定モデルを用いるように、構成されてもよい。その場合、その記憶装置と接続されたインターフェース(図示しない)を介して、握力推定モデルを用いるように構成されればよい。
また、記憶部132は、握力推定部133によって推定された握力の推定値と、歩行速度推定部134によって推定された歩行速度の推定値とを記憶する。記憶部132には、複数の歩行周期に関して、握力および歩行速度の推定値が記憶される。記憶部132には、歩行周期に対応付けられた握力および歩行速度の推定値が記憶される。記憶部132は、握力推定モデルを記憶する記憶領域と、握力および歩行速度の推定値を記憶する記憶領域とを含む。握力推定モデルを記憶する記憶領域と、握力および歩行速度の推定値を記憶する記憶領域とは、異なる記憶装置に構成されてもよい。
握力推定部133は、受信部131から、一歩行周期分の特徴量データを取得する。握力推定部133は、取得された特徴量データを用いて、握力を推定する。握力推定部133は、記憶部132に記憶された握力推定モデルに、特徴量データを入力する。握力推定部133は、推定モデルから出力される握力の推定値を出力する。クラウドやサーバ等に構築された外部の記憶装置に保存された握力推定モデルを用いる場合、握力推定部133は、その記憶装置と接続されたインターフェース(図示しない)を介して、推定モデルにアクセスする。握力推定部133は、握力の推定値を記憶部132に記憶させる。
また、握力推定部133は、所定計測回数分の握力の推定値が記憶部132に蓄積されると、それらの推定値を取得する。例えば、所定計測回数は、10である。例えば、一日あたり三回計測すれば、一週間で21個の特徴量データが蓄積される。握力推定部133は、記憶部132に蓄積された握力の推定値のうち、所定計測回数分の推定値を用いて、握力の確率分布を推定する。例えば、握力推定部133は、所定計測回数分の推定値の平均値(期待値)および分散を計算して、握力の確率関数を生成する。本実施形態においては、特徴量データの分布が正規分布に従うと仮定する。単一の計測機会に計測された特徴量データを用いると、計測機会ごとに握力の推定値にばらつきが生じる。そのため、本実施形態では、複数の計測機会において計測された握力の確率関数を生成する。握力推定部133は、算出された握力の確率分布を、記憶部132に記憶させる。握力推定部133は、算出された握力の確率分布を、フレイル推定部135に出力してもよい。
歩行速度推定部134は、受信部131から、連続する二歩行周期分の歩行波形データを取得する。歩行速度推定部134は、取得された二歩行周期分の歩行波形データから、立脚中点を検出する。立脚中点は、一歩行周期分の歩行波形データから一点だけ検出される。すなわち、歩行速度推定部134は、二歩行周期分の歩行波形データから、二つの立脚中点を検出する。歩行速度推定部134は、二つの立脚中点間の歩行波形データを用いて、水平面内における足部の軌跡を計算する。歩行速度推定部134は、歩行波形データに含まれる空間加速度および空間角速度を用いて、水平面内における足部の軌跡を計算する。歩行速度推定部134は、算出された足部の軌跡の始点と終点との距離を、移動距離として計算する。歩行速度推定部134は、水平面内における移動距離を、二つの立脚中点間の時間で除して、歩行速度を計算する。歩行速度推定部134は、歩行速度の推定値を記憶部132に記憶させる。
また、歩行速度推定部134は、所定計測回数分の歩行速度の推定値が記憶部132に蓄積されると、それらの推定値を取得する。例えば、所定計測回数は、10である。歩行速度推定部134は、所定計測回数分の歩行速度の推定値を用いて、歩行速度の確率分布を推定する。例えば、歩行速度推定部134は、所定計測回数分の推定値の平均値(期待値)および分散を計算して、歩行速度の確率関数を生成する。本実施形態においては、歩行波形データの分布が正規分布に従うと仮定する。単一の計測機会に計測された特徴量データを用いると、計測機会ごとに歩行速度の推定値にばらつきが生じる。そのため、本実施形態では、複数の計測機会において計測された歩行速度の確率関数を生成する。歩行速度推定部134は、算出された歩行速度の確率分布を、記憶部132に記憶させる。歩行速度推定部134は、算出された歩行速度の確率分布を、フレイル推定部135に出力してもよい。
フレイル推定部135は、握力推定部133から、被験者の握力の確率分布を取得する。また、フレイル推定部135は、歩行速度推定部134から、被験者の歩行速度の確率分布を取得する。フレイル推定部135は、握力の確率分布と、歩行速度の確率分布とを用いて、被験者のフレイルの推定を行う。フレイル推定部135は、握力および歩行速度を用いて、被験者のフレイルを推定してもよい。
フレイルの診断基準には、J-CHS基準(Japan-Cardiovascular Health Study基準)がある(非特許文献1:S. Satake and H. Arai, ”The revised Japanese version of the Cardiovascular Health Study criteria (revised J-CHS criteria)”, Geriatr Gerontol Int., 2020 Oct, 20(10), pp. 992-993.)。J-CHS基準において、フレイルは、筋力低下、歩行速度、体重減少、疲労感、および身体活動の5つの項目によって評価される。5つの項目のうち、3個以上に該当する場合、フレイルであると判定される。5つの項目のうち、1~2個に該当する場合、プレフレイルであると判定される。5つの項目のうち、いずれにも該当しない場合、ロバスト(健常)であると判定される。例えば、筋力低下については、握力で評価される。握力は、全身の総合的な筋力(全身総合筋力とも呼ぶ)を評価するための指標である。握力は、転倒リスクを評価するための重要な指標にもなりうる。
フレイル推定部135は、J-CHS基準の5項目のうち、握力と歩行速度を用いて、フレイルの推定を行う。握力については、男女で異なる基準が設定されている。男性に関しては、握力が26キログラム未満の場合、筋力が低下していると判定される。女性に関しては、握力が18キログラム未満の場合、筋力が低下していると判定される。歩行速度については、男女で共通の基準が設定されている。歩行速度が秒速1メートル未満の場合、歩行速度が低下していると判定される。
フレイル推定部135は、被験者の握力および歩行速度の2項目に該当する場合、その被験者がフレイルの可能性があると判定する。フレイル推定部135は、被験者の握力および歩行速度のうちいずれか1項目に該当する場合、その被験者がプレフレイルであると判定する。フレイル推定部135は、被験者の握力および歩行速度のうちいずれにも該当しない場合、その被験者がロバスト(健常)であると判定する。
フレイルの可能性があると判定された場合(握力および歩行速度の2項目に該当する場合)、体重減少、疲労感、および身体活動の3項目について、追加評価されればよい。例えば、追加評価は、アンケート方式で行われればよい。体重減少、疲労感、および身体活動の3項目のうち少なくともいずれかがチェック対象であれば、J-CHS基準の5項目のうち3項目以上に該当するため、フレイルであると判定される。体重減少については、6か月間で2キログラム以上の体重減少があった場合、フレイルのチェック対象である。疲労感については、(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする場合、フレイルのチェック対象である。身体活動に関しては、「軽い運動・体操」および「定期的な運動・スポーツ」のいずれもしていない場合、フレイルのチェック対象である。体重減少、疲労感、および身体活動の3項目のうちいずれもチェック対象でなければ、J-CHS基準の5項目のうち2項目に該当するため、プレフレイルであると判定される。
フレイル推定部135は、握力の確率分布PH(H)および歩行速度の確率分布Pv(v)を用いて、フレイルである確率PFを推定する。Hは、握力の推定値を示す。vは、歩行速度を示す。フレイル推定部135は、下記の式1に基づいて、フレイルに関する確率PF(フレイル確率とも呼ぶ)を推定する。
Figure 2023174049000002
上記の式1において、確率分布PH(H>Hth)は、握力の推定値Hが閾値Hth(第1閾値とも呼ぶ)よりも大きい場合の確率分布である。確率分布PH(H>Hth)を第1確率分布とも呼ぶ。確率分布Pv(v>vth)は、歩行速度の推定値vが閾値vth(第2閾値とも呼ぶ)よりも大きい場合の確率分布である。確率分布Pv(v>vth)を第2確率分布とも呼ぶ。確率分布PH(H>Hth)および確率分布Pv(v>vth)は、積分値である。被験者が男性の場合、閾値Hthは26キログラムである。被験者が女性の場合、閾値Hthは18キログラムである。男女に関わらず、閾値vthは秒速1メートルである。
フレイル推定部135は、上記の式1を用いて、被験者のフレイルを推定する。確率PFが大きいほど、フレイルである可能性が高い。ここで、プレフレイルであると判定される閾値(第3閾値とも呼ぶ)を0.3に設定し、フレイルであると判定される閾値(第4閾値とも呼ぶ)を0.6に設定する。この条件において、確率PFが0.3~0.6の場合、フレイル推定部135は、被験者がプレフレイルであると推定する。確率PFが0.6を超える場合、フレイル推定部135は、被験者がフレイルである可能性が高いと推定する。確率PFが0.3未満の場合、フレイル推定部135は、被験者がロバスト(健常)であると推定する。プレフレイルであると判定される下限閾値や、フレイルであると判定される下限閾値は、上記とは異なる値に設定されてもよい。例えば、フレイル推定部135は、握力の確率分布PH(H>Hth)と、歩行速度の確率分布Pv(v>vth)とを用いて、握力と歩行速度を個別に検証してもよい。
出力部137は、フレイル推定部135によるフレイルに関する推定結果を出力する。例えば、出力部137は、被験者(ユーザ)の携帯端末の画面に、フレイルに関する推定結果を表示させる。例えば、出力部137は、推定結果を使用する外部システム等に対して、その推定結果を出力する。フレイル推定装置13から出力されたフレイルに関する推定結果の使用に関しては、特に限定を加えない。
例えば、フレイル推定装置13は、被験者(ユーザ)が携帯する携帯端末(図示しない)を介して、クラウドやサーバに構築された外部システム等に接続される。携帯端末(図示しない)は、携帯可能な通信機器である。例えば、携帯端末は、スマートフォンや、スマートウォッチ、携帯電話等の通信機能を有する携帯型の通信機器である。例えば、フレイル推定装置13は、ケーブルなどの有線を介して、携帯端末に接続される。例えば、フレイル推定装置13は、無線通信を介して、携帯端末に接続される。例えば、フレイル推定装置13は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)などの規格に則した無線通信機能(図示しない)を介して、携帯端末に接続される。なお、フレイル推定装置13の通信機能は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)以外の規格に則していてもよい。握力の推定結果は、携帯端末にインストールされたアプリケーションによって使用されてもよい。その場合、携帯端末は、その携帯端末にインストールされたアプリケーションソフトウェア等によって、推定結果を用いた処理を実行する。
〔男性の握力推定〕
次に、男性の握力と特徴量データとの相関関係について、図面を参照しながら説明する。図11は、男性の握力の推定に用いられる特徴量をまとめた対応表である。図11の対応表は、特徴量の番号、特徴量が抽出される歩行波形データ、歩行フェーズクラスターが抽出される歩行フェーズ(%)、および関連筋肉を対応付ける。男性の場合、大腿四頭筋の活動と握力との間に相関がある。そのため、男性の握力の推定には、大腿四頭筋の活動の特徴が表れる歩行フェーズから抽出される特徴量M1~M4が用いられる。
特徴量M1は、進行方向加速度(Y方向加速度)の時系列データに関する歩行波形データAyの歩行フェーズ3%の区間から抽出される。歩行フェーズ3%は、立脚初期T1に含まれる。特徴量M1には、主に、大腿四頭筋のうち外側広筋、中間広筋、および内側広筋の動きに関する特徴が含まれる。
特徴量M2は、進行方向加速度(Y方向加速度)の時系列データに関する歩行波形データAyの歩行フェーズ59~62%の区間から抽出される。歩行フェーズ59~62%は、遊脚前期T4に含まれる。特徴量M2には、主に、大腿四頭筋のうち大腿直筋の動きに関する特徴が含まれる。
特徴量M3は、垂直方向加速度(Z方向加速度)の時系列データに関する歩行波形データAzの歩行フェーズ59~62%の区間から抽出される。歩行フェーズ59~62%は、遊脚前期T4に含まれる。特徴量M3には、主に、大腿四頭筋のうち大腿直筋の動きに関する特徴が含まれる。
特徴量M4は、両足が地面に同時に接地している期間のうち、踵接地から反対足爪先離地までの期間の割合(DST1)である(DST:Double Support Time)。DST1は、一歩行周期における、踵接地から反対足爪先離地までの期間の割合である。特徴量M4には、主に、大腿四頭筋に起因する特徴が含まれる。
図12は、男性の握力を推定するために予め構築された推定モデル151に、被験者の歩行に伴って計測されたセンサデータから抽出される特徴量M1~M4を入力して、握力の推定値が出力される一例を示す概念図である。推定モデル151(男性用推定モデルとも呼ぶ)は、特徴量M1~M4の入力に応じて、握力の推定値を出力する。例えば、推定モデル151は、男性の握力の推定に用いられる特徴量M1~M4を説明変数とし、男性の握力を目的変数とする教師データを用いた学習で生成される。男性の握力を推定するための特徴量データの入力に応じて、握力に関する推定結果が出力されれば、推定モデル151の推定結果には限定を加えない。例えば、推定モデル151は、男性の握力の推定に用いられる特徴量M1~M4に加えて、年齢や身長などの属性を説明変数として、男性の握力を推定するモデルであってもよい。
例えば、記憶部132には、重回帰予測法を用いて、男性の握力を推定する推定モデルが記憶される。例えば、記憶部132には、以下の式2を用いて、男性の握力GMを推定するためのパラメータが記憶される。
Figure 2023174049000003
上記の式1において、M1、M2、M3、M4は、図11の対応表に示した男性の握力の推定に用いられる歩行フェーズクラスターごとの特徴量である。a1、a2、a3、a4は、M1、M2、M3、M4に掛け合わされる係数である。a0は、定数項である。例えば、記憶部132には、機械学習などの手法を用いて予め設定された定数項(a0、a1、a2、a3、a4)を記憶させておく。
〔女性の握力推定〕
次に、女性の握力と特徴量データとの相関関係について、検証例を交えて説明する。図13は、女性の握力の推定に用いられる特徴量をまとめた対応表である。図13の対応表は、特徴量の番号、特徴量が抽出される歩行波形データ、歩行フェーズクラスターが抽出される歩行フェーズ(%)、および関連筋肉を対応付ける。女性の場合、大腿四頭筋の外側広筋、中間広筋、および内側広筋の活動と握力との間に相関がある。そのため、女性の握力の推定には、外側広筋、中間広筋、および内側広筋の活動の特徴が表れる歩行フェーズから抽出される特徴量F1~F3が用いられる。
特徴量F1は、横方向加速度(X方向加速度)の時系列データに関する歩行波形データAxの歩行フェーズ13%の区間から抽出される。歩行フェーズ13%は、立脚中期T2に含まれる。特徴量F1には、主に、大腿四頭筋のうち外側広筋、中間広筋、および内側広筋の動きに関する特徴が含まれる。
特徴量F2は、冠状面内(Y軸周り)の角速度(ピッチ角速度)の時系列データに関する歩行波形データGyの歩行フェーズ7~10%の区間から抽出される。歩行フェーズ7~10%は、立脚初期T1に含まれる。特徴量F2には、主に、外側広筋、中間広筋、および内側広筋の動きに関する特徴が含まれる。
特徴量F3は、両足が地面に同時に接地している期間のうち、反対足踵接地から爪先離地までの期間の割合(DST2)である(DST:Double Support Time)。DST2は、一歩行周期における、反対足踵接地から爪先離地までの期間の割合である。DST1とDST2の和が、一歩行周期において、両足が地面に同時に接地している期間に相当する。特徴量F3には、主に、外側広筋、中間広筋、および内側広筋の動きに関する特徴が含まれる。
図14は、女性の握力を推定するために予め構築された推定モデル152に、被験者の歩行に伴って計測されたセンサデータから抽出される特徴量データを入力して、握力の推定値が出力される一例を示す概念図である。推定モデル152(女性用推定モデルとも呼ぶ)は、特徴量データの入力に応じて、筋力指標である握力を出力する。例えば、推定モデル152は、女性の握力の推定に用いられる特徴量データを説明変数とし、女性の握力を目的変数とする教師データを用いた学習で生成される。女性の握力を推定するための特徴量データの入力に応じて、筋力指標である握力に関する推定結果が出力されれば、推定モデル152の推定結果には限定を加えない。例えば、推定モデル152は、女性の握力の推定に用いられる特徴量データに加えて、年齢や身長などの属性を説明変数として、女性の握力を推定するモデルであってもよい。
例えば、記憶部132には、重回帰予測法を用いて、女性の握力を推定する推定モデルが記憶される。例えば、記憶部132には、以下の式3を用いて、女性の握力GFを推定するためのパラメータが記憶される。
Figure 2023174049000004
上記の式1において、F1、F2、F3は、図13の対応表に示した女性の握力の推定に用いられる歩行フェーズクラスターごとの特徴量である。b1、b2、b3は、F1、F2、F3に掛け合わされる係数である。b0は、定数項である。例えば、記憶部132には、機械学習などの手法を用いて予め設定された定数項(b0、b1、b2、b3)を記憶させておく。
例えば、推定モデルは、線形回帰のアルゴリズムを用いた学習によって生成される。例えば、推定モデルは、サポートベクターマシン(SVM:Support Vector Machine)のアルゴリズムを用いた学習によって生成される。例えば、推定モデルは、ガウス過程回帰(GPR:Gaussian Process Regression)のアルゴリズムを用いた学習によって生成される。例えば、推定モデルは、ランダムフォレスト(RF:Random Forest)のアルゴリズムを用いた学習によって生成される。例えば、推定モデルは、特徴量データに応じて、その特徴量データの生成元の被験者を分類する教師なし学習によって生成されてもよい。推定モデルの生成に用いられる学習のアルゴリズムには、特に限定を加えない。
推定モデルは、一歩行周期分の歩行波形データを説明変数とする学習によって生成されてもよい。例えば、推定モデルは、3軸方向の加速度、3軸周りの角速度、3軸周りの角度(姿勢角)の歩行波形データを説明変数とし、推定対象である握力を目的変数とする教師あり学習によって生成される。
(動作)
次に、推定システム1の動作について図面を参照しながら説明する。ここでは、推定システム1に含まれる歩容計測装置10およびフレイル推定装置13について、個別に説明する。歩容計測装置10に関しては、歩容計測装置10に含まれる特徴量データ生成部12の動作について説明する。
〔歩容計測装置〕
図15は、歩容計測装置10に含まれる特徴量データ生成部12の動作の一例について説明するためのフローチャートである。図15のフローチャートに沿った説明においては、特徴量データ生成部12を動作主体として説明する。
図15において、まず、特徴量データ生成部12は、歩容に関するセンサデータの時系列データを取得する(ステップS101)。
次に、特徴量データ生成部12は、センサデータの時系列データから一歩行周期分の歩行波形を抽出する(ステップS102)。特徴量データ生成部12は、センサデータの時系列データから踵接地および爪先離地を検出する。特徴量データ生成部12は、連続する踵接地間の区間の時系列データを、一歩行周期分の歩行波形として抽出する。
次に、特徴量データ生成部12は、抽出された一歩行周期分の歩行波形を正規化する(ステップS103)。特徴量データ生成部12は、一歩行周期分の歩行波形を0~100%の歩行周期に正規化する(第1正規化)。さらに、特徴量データ生成部12は、第1正規化された一歩行周期分の歩行波形の立脚相と遊脚相の比を60:40に正規化する(第2正規化)。正規化された歩行波形を歩行波形データと呼ぶ。
次に、特徴量データ生成部12は、正規化された歩行波形データから、握力の推定に用いられる歩行フェーズから特徴量を抽出する(ステップS104)。例えば、特徴量データ生成部12は、性別ごとに構築された推定モデルに入力される特徴量を抽出する。
次に、特徴量データ生成部12は、抽出された特徴量を用いて、歩行フェーズクラスターごとの特徴量を生成する(ステップS105)。
次に、特徴量データ生成部12は、歩行フェーズクラスターごとの特徴量を統合して、一歩行周期分の特徴量データを生成する(ステップS106)。
次に、特徴量データ生成部12は、生成された特徴量データをフレイル推定装置13に送信する(ステップS107)。
〔フレイル推定装置〕
図16は、フレイル推定装置13の動作について説明するためのフローチャートである。図16のフローチャートに沿った説明においては、フレイル推定装置13を動作主体として説明する。
図16において、まず、フレイル推定装置13は、歩容計測装置10から送信された特徴量データ/歩行波形データを受信する(ステップS111)。
次に、フレイル推定装置13は、握力推定処理(ステップS112)と歩行速度推定処理(ステップS113)とを並行で実行する。握力推定処理および歩行速度推定処理の詳細については、後述する。握力推定処理と歩行速度推定処理とは、順番に実行されてもよい。
次に、フレイル推定装置13は、握力推定処理によって推定された握力の確率分布と、歩行速度推定処理によって推定された歩行速度の確率分布とを用いて、フレイルを推定する(ステップS114)。
次に、フレイル推定装置13は、推定されたフレイルに関する情報を出力する(ステップS115)。例えば、フレイルに関する情報は、被験者の携帯する端末装置(図示しない)に出力される。例えば、フレイルに関する情報は、その情報を用いた処理を実行するシステムに出力される。
<握力推定処理>
次に、フレイル推定装置13による握力推定処理(図16のステップS112)について図面を参照しながら説明する。図17は、握力推定処理について説明するためのフローチャートである。図17のフローチャートに沿った説明においては、フレイル推定装置13を動作主体として説明する。
図17において、まず、フレイル推定装置13は、一歩行周期分の特徴量データを取得する(ステップS121)。例えば、フレイル推定装置13は、被験者に関して評価対象期間において計測された一歩行周期分の特徴量データを取得する。例えば、評価対象期間は、一週間や一か月など、握力の推定値のばらつきを統計的に集計しやすい期間に設定される。
次に、フレイル推定装置13は、取得した特徴量データを用いて、被験者の握力を推定する(ステップS122)。例えば、フレイル推定装置13は、性別ごとの推定モデルを用いて、被験者の握力を推定する。
次に、フレイル推定装置13は、握力の推定値を記憶部132に記憶させる(ステップS123)。
ここで、握力の推定値を集計するタイミングの場合(ステップS124でYes)、評価対象期間における複数の握力の推定値を用いて、握力の確率分布を推定する(ステップS125)。推定された握力の確率分布は、図16のステップS114におけるフレイルの推定に用いられる。一方、握力の推定値を集計するタイミングではない場合(ステップS124でNo)、ステップS121に戻る。握力の推定値を集計のタイミングは、任意に設定できる。例えば、評価対象期間における全ての握力の推定が終わったタイミングが、集計のタイミングである。例えば、所定歩行周期分の握力の推定が終わったタイミングが、集計のタイミングである。
<歩行速度推定処理>
次に、フレイル推定装置13による握力推定処理(図16のステップS113)について図面を参照しながら説明する。図18は、歩行速度推定処理について説明するためのフローチャートである。図18のフローチャートに沿った説明においては、フレイル推定装置13を動作主体として説明する。
図18において、まず、フレイル推定装置13は、連続する二歩行周期分の歩行波形データを取得する(ステップS131)。例えば、フレイル推定装置13は、被験者に関して評価対象期間において計測された、連続する二歩行周期分の歩行波形データを取得する。例えば、評価対象期間は、一週間や一か月など、歩行速度の推定値のばらつきを統計的に集計しやすい期間に設定される。
次に、フレイル推定装置13は、取得した二歩行周期分の歩行波形データから、立脚中点を検出する(ステップS132)。フレイル推定装置13は、二歩行周期分の歩行波形データの各々から、立脚中点を一点ずつ検出する。
次に、フレイル推定装置13は、立脚中点間の歩行波形データを用いて、水平面内における足部の移動距離を計算する(ステップS133)。例えば、フレイル推定装置13は、立脚中点間の歩行波形データに含まれる空間加速度および空間角速度を用いて、立脚中点間における軌跡を計算する。フレイル推定装置13は、算出された軌跡の始点と終点との距離を、水平面内における足部の移動距離として計算する。
次に、フレイル推定装置13は、立脚中点間の時間で足部の移動距離を除して、歩行速度を推定する(ステップS134)。
次に、フレイル推定装置13は、歩行速度の推定値を記憶部132に記憶させる(ステップS135)。
ここで、歩行速度の推定値を集計するタイミングである場合(ステップS136でYes)、評価対象期間における複数の歩行速度の推定値を用いて、歩行速度の確率分布を推定する(ステップS137)。推定された握力の確率分布は、図16のステップS114におけるフレイルの推定に用いられる。一方、歩行速度の推定値を集計するタイミングではない場合(ステップS136でNo)、ステップS131に戻る。歩行速度の推定値を集計するタイミングは、任意に設定できる。例えば、評価対象期間における全ての歩行速度の推定が終わったタイミングが、集計のタイミングである。例えば、所定歩行周期分の歩行速度の推定が終わったタイミングが、集計のタイミングである。
(適用例)
次に、本実施形態に係る適用例について図面を参照しながら説明する。以下の適用例において、靴に配置された歩容計測装置10によって計測された特徴量データ/歩行波形データを用いて、フレイルを推定する例を示す。以下のフレイルの推定は、フレイル推定部135によって行われる。
図19~図20は、歩容計測装置10が配置された靴100を履いて歩行する被験者の携帯する携帯端末160の画面に、フレイル推定装置13による推定結果を表示させる一例を示す概念図である。フレイル推定装置13の機能は、被験者(ユーザ)が携帯する携帯端末160にインストールされる。図19~図20は、被験者(ユーザ)の歩行中に計測されたセンサデータに応じた特徴量データ/歩行波形データを用いて推定されたフレイルに関する情報を、携帯端末160の画面に表示させる例である。
図19は、フレイルの推定に関する情報として、握力の推定値に応じた情報が、携帯端末160の画面に表示される例である。図19の例では、握力および歩行速度の2項目のうち、握力のみがチェック対象であったため、「プレフレイルに該当します。」というフレイルの推定に関する情報が、携帯端末160の表示部に表示される。図19の例では、握力の推定値に応じて、「握力が低下しています。」という握力の推定結果に関する情報が、携帯端末160の表示部に表示される。
さらに、図19の例では、フレイルの推定結果に応じて、「全身筋力が鍛えられるトレーニングAを推奨します。下記の動画をご覧ください。」というフレイルの推定結果に応じた推薦情報が、携帯端末160の表示部に表示される。携帯端末160の表示部に表示された情報を確認した被験者は、推薦情報に応じて、トレーニングAの動画を参照して運動することによって、全身総合筋力の増大につながるトレーニングを実践できる。
図20は、フレイルの推定に関する情報が、携帯端末160の画面に表示される例である。図20の例では、握力および歩行速度の2項目の両方がチェック対象であったため、フレイルの可能性があると判定される。図20の例では、フレイルの推定結果に応じて、「フレイルの可能性があります。」というフレイルの推定結果に関する情報が、携帯端末160の表示部に表示される。
さらに、図20の例では、フレイルの推定結果に応じて、「下記の項目において、該当する項目をチェックしてください。」というフレイルの推定結果に応じた推薦情報が、携帯端末160の表示部に表示される。図20の例では、J-CHS基準の5項目のうち、握力および歩行速度以外の3項目(体重減少、倦怠感、活動量)のチェックボックスを表示させる。また、図20の例では、3項目のうちいずれにも該当しない場合のチェックボックスも表示させる。携帯端末160の表示部に表示された情報を確認した被験者は、推薦情報に応じて、該当する項目のチェックボックスを選択する。例えば、3項目のうち少なくとも一つのチェックボックスがチェックされれば、J-CHS基準の5項目のうち3項目が選択されているため、フレイルであると判定される。一方、3項目のうちいずれのチェックボックスもチェックされなければ、J-CHS基準の5項目のうち2項目が選択されているため、プレフレイルであると判定される。
以上のように、本実施形態の推定システムは、歩容計測装置およびフレイル推定装置を備える。歩容計測装置は、フレイルの推定対象である被験者の履物に設置される。歩容計測装置は、足の動きに関するセンサデータを計測するセンサと、センサによって計測されたセンサデータの時系列データを用いて歩行波形データおよび特徴量データを生成する特徴量データ生成部と、を有する。センサは、空間加速度および空間角速度を計測し、計測した空間加速度および空間角速度を用いて足の動きに関するセンサデータを生成する。センサは、生成したセンサデータを特徴量データ生成部に出力する。特徴量データ生成部は、センサデータの時系列データを取得する。特徴量データ生成部は、センサデータの時系列データから一歩行周期分の歩行波形を抽出する。特徴量データ生成部は、抽出された歩行波形を正規化して歩行波形データを生成する。特徴量データ生成部は、歩行波形データから、握力の推定に用いられる特徴量を抽出する。特徴量データ生成部は、抽出された特徴量を含む特徴量データを生成する。特徴量データ生成部は、生成された特徴量データおよび歩行波形データを、フレイル推定装置に送信する。
フレイル推定装置は、受信部、推定部、および出力部を備える。受信部は、被験者の歩容の特徴を含む歩行波形データと、歩行波形データから抽出された特徴量を含む特徴量データとを取得する。推定部は、特徴量データを用いて被験者の握力を推定する。推定部は、歩行波形データを用いて被験者の歩行速度を推定する。推定部は、推定された握力および歩行速度を用いて被験者のフレイルを推定する。出力部は、推定されたフレイルに関する情報を出力する。
本実施形態では、歩容計測装置によって計測された被験者の歩容の特徴を含む歩行波形データを用いて、歩行速度を推定する。また、本実施形態では、被験者の歩行波形データから抽出された特徴量を用いて、被験者の握力を推定する。そして、本実施形態では、推定された握力および歩行速度を用いて被験者のフレイルを推定する。すなわち、本実施形態によれば、被験者の歩容に基づいて、フレイルを推定できる。
本実施形態の一態様において、受信部は、足の動きに関するセンサデータの時系列データを用いて生成された歩行波形データと、歩行波形データから抽出された握力を推定するための特徴量を含む特徴量データとを取得する。本態様によれば、足の動きに関するセンサデータを用いることで、握力や歩行速度を計測するための器具を用いずに、日常生活においてフレイルを適宜推定できる。
本実施形態の一態様において、推定部は、握力推定部、歩行速度推定部、およびフレイル推定部を有する。握力推定部は、歩行波形データから抽出された特徴量データに含まれる握力を推定するための特徴量を用いて被験者の握力を推定する。握力推定部は、評価対象期間に含まれる複数の時点において推定された被験者の握力の推定値を用いて、評価対象期間における握力の確率分布を推定する。歩行速度推定部は、歩行波形データを用いて一歩行周期における足部の移動距離を計算する。歩行速度推定部は、算出された足部の移動距離を一歩行周期に相当する時間で除して被験者の歩行速度を推定する。歩行速度推定部は、評価対象期間に含まれる複数の時点において推定された被験者の歩行速度の推定値を用いて、評価対象期間における歩行速度の確率分布を推定する。フレイル推定部は、評価対象期間における握力および歩行速度の確率分布を用いて、被験者のフレイルを推定する。本態様によれば、評価対象期間における握力および歩行速度の確率分布を用いることによって、データにばらつきがあっても、被験者のフレイルを的確に推定できる。
本実施形態の一態様において、フレイル推定部は、握力に関するフレイルの判定基準である第1閾値よりも被験者の握力の推定値が大きい場合の第1確率分布を計算する。フレイル推定部は、歩行速度に関するフレイルの判定基準である第2閾値よりも被験者の歩行速度の推定値が大きい場合の第2確率分布を計算する。フレイル推定部は、第1確率分布と第2確率分布との積を1から引いてフレイル確率を計算する。フレイル推定部は、フレイル確率が、プレフレイルであると判定するための第3閾値以下の場合、被験者が健常であると推定する。フレイル推定部は、フレイル確率が、第3閾値を上回り、フレイルであると判定するための第4閾値以下の場合、被験者がプレフレイルであると推定する。フレイル推定部は、フレイル確率が、第4閾値を上回る場合、被験者がフレイルであると推定する。本態様によれば、フレイル確率を基準として、被験者のフレイルを推定できる。
本実施形態の一態様において、フレイル推定部は、握力に関するフレイルの判定基準である第1閾値と、歩行速度に関するフレイルの判定基準である第2閾値とに基づいて、被験者がフレイルである可能性を推定する。フレイル推定部は、被験者の握力の推定値が第1閾値よりも大きく、かつ、被験者の歩行速度の推定値が第2閾値よりも大きい場合、被験者がフレイルである可能性があると推定する。フレイル推定部は、被験者の握力の推定値が第1閾値よりも大きく、かつ、被験者の歩行速度の推定値が第2閾値以下である場合、被験者がプレフレイルであると推定する。フレイル推定部は、被験者の握力の推定値が第1閾値以下であり、かつ、被験者の歩行速度の推定値が第2閾値よりも大きい場合、被験者がプレフレイルであると推定する。フレイル推定部は、被験者の握力の推定値が第1閾値以下であり、かつ、被験者の歩行速度の推定値が第2閾値以下である場合、被験者が健常であると推定する。本態様によれば、握力および歩行速度の各々に設定された閾値に基づいて、被験者のフレイルを推定できる。
本実施形態の一態様において、フレイル推定部は、被験者の握力の推定値が第1閾値よりも大きく、かつ、被験者の歩行速度の推定値が第2閾値よりも大きい場合、体重減少、倦怠感、および活動量の3項目に関する被験者の状況を取得する。フレイル推定部は、体重減少、倦怠感、および活動量の3項目のうち少なくともいずれかがフレイルの判定基準に該当する場合、被験者がフレイルであると推定する。フレイル推定部は、体重減少、倦怠感、および活動量の3項目のうちいずれもフレイルの判定基準に該当しない場合、被験者がプレフレイルであると推定する。本態様では、握力と歩行速度の2項目に加えて、体重減少、倦怠感、および活動量の3項目についても、フレイルの判定基準を満たすか検証する。そのため、本態様によれば、被験者のフレイルをより正確に推定できる。
本実施形態の一態様において、フレイル推定装置は、被験者の足の動きに応じて推定されたフレイルに関する情報を、端末装置の画面に表示させる。例えば、フレイル推定装置は、ユーザの足の動きに応じて推定された握力に応じた情報を、端末装置の画面に表示させる。例えば、フレイル推定装置は、ユーザの足の動きに応じて推定された歩行速度に応じた情報を、端末装置の画面に表示させる。例えば、フレイル推定装置は、ユーザの足の動きに応じて推定されたフレイルのレベルに応じた推薦情報を、端末装置の画面に表示させる。例えば、フレイル推定装置は、ユーザの足の動きに応じて推定されたフレイルのレベルに応じた推薦情報として、握力に関連する全身筋力を鍛えるためのトレーニング動画を、端末装置の画面に表示させる。本態様によれば、被験者の歩容の特徴に応じて推定されたフレイルに関する情報を、被験者によって視認可能な画面に表示させることによって、被験者が自身のフレイルに関する情報を確認できる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るフレイル推定装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態のフレイル推定装置は、第1の実施形態の推定システムに含まれるフレイル推定装置を簡略化した構成である。
図21は、本実施形態に係るフレイル推定装置23の構成の一例を示すブロック図である。フレイル推定装置23は、受信部231、推定部233、および出力部237を備える。
受信部231は、被験者の歩容の特徴を含む歩行波形データと、歩行波形データから抽出された特徴量を含む特徴量データとを取得する。推定部233は、特徴量データを用いて被験者の握力を推定する。推定部233は、歩行波形データを用いて被験者の歩行速度を推定する。推定部233は、推定された握力および歩行速度を用いて被験者のフレイルを推定する。出力部237は、推定されたフレイルに関する情報を出力する。
本実施形態では、被験者の歩容の特徴を含む歩行波形データを用いて歩行速度を推定する。また、本実施形態では、被験者の歩行波形データから抽出された特徴量を用いて、被験者の握力を推定する。そして、本実施形態では、推定された握力および歩行速度を用いて被験者のフレイルを推定する。すなわち、本実施形態によれば、被験者の歩容に基づいて、フレイルを推定できる。
(ハードウェア)
ここで、本開示の各実施形態に係る処理を実行するハードウェア構成について、図22の情報処理装置90を一例としてあげて説明する。なお、図22の情報処理装置90は、各実施形態の処理を実行するための構成例であって、本開示の範囲を限定するものではない。
図22のように、情報処理装置90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96を備える。図22においては、インターフェースをI/F(Interface)と略記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96は、バス98を介して、互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラムを、主記憶装置92に展開する。プロセッサ91は、主記憶装置92に展開されたプログラムを実行する。本実施形態においては、情報処理装置90にインストールされたソフトウェアプログラムを用いる構成とすればよい。プロセッサ91は、各実施形態に係る処理を実行する。
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92には、プロセッサ91によって、補助記憶装置93等に格納されたプログラムが展開される。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリによって実現される。また、主記憶装置92として、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリが構成/追加されてもよい。
補助記憶装置93は、プログラムなどの種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって実現される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
入出力インターフェース95は、規格や仕様に基づいて、情報処理装置90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、外部機器と接続するインターフェースとして共通化してもよい。
情報処理装置90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器が接続されてもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。なお、タッチパネルを入力機器として用いる場合は、表示機器の表示画面が入力機器のインターフェースを兼ねる構成としてもよい。プロセッサ91と入力機器との間のデータ通信は、入出力インターフェース95に仲介させればよい。
また、情報処理装置90には、情報を表示するための表示機器を備え付けてもよい。表示機器を備え付ける場合、情報処理装置90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられていることが好ましい。表示機器は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
また、情報処理装置90には、ドライブ装置が備え付けられてもよい。ドライブ装置は、プロセッサ91と記録媒体(プログラム記録媒体)との間で、記録媒体からのデータやプログラムの読み込み、情報処理装置90の処理結果の記録媒体への書き込みなどを仲介する。ドライブ装置は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
以上が、本発明の各実施形態に係る処理を可能とするためのハードウェア構成の一例である。なお、図22のハードウェア構成は、各実施形態に係る処理を実行するためのハードウェア構成の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。また、各実施形態に係る処理をコンピュータに実行させるプログラムも本発明の範囲に含まれる。さらに、各実施形態に係るプログラムを記録したプログラム記録媒体も本発明の範囲に含まれる。記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体によって実現されてもよい。また、記録媒体は、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現されてもよい。プロセッサが実行するプログラムが記録媒体に記録されている場合、その記録媒体はプログラム記録媒体に相当する。
各実施形態の構成要素は、任意に組み合わせてもよい。また、各実施形態の構成要素は、ソフトウェアによって実現されてもよいし、回路によって実現されてもよい。
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
1 推定システム
10 歩容計測装置
11 センサ
12 特徴量データ生成部
13 フレイル推定装置
111 加速度センサ
112 角速度センサ
121 取得部
122 正規化部
123 抽出部
125 生成部
127 送信部
130、233 推定部
131、231 受信部
132 記憶部
133 握力推定部
134 歩行速度推定部
135 フレイル推定部
137、237 出力部

Claims (10)

  1. 被験者の歩容の特徴を含む歩行波形データと、前記歩行波形データから抽出された特徴量を含む特徴量データとを取得する受信手段と、
    前記特徴量データを用いて前記被験者の握力を推定し、前記歩行波形データを用いて前記被験者の歩行速度を推定し、推定された握力および歩行速度を用いて前記被験者のフレイルを推定する推定手段と、
    推定されたフレイルに関する情報を出力する出力手段と、を備えるフレイル推定装置。
  2. 前記受信手段は、
    足の動きに関するセンサデータの時系列データを用いて生成された前記歩行波形データと、前記歩行波形データから抽出された握力を推定するための特徴量を含む前記特徴量データとを取得する請求項1に記載のフレイル推定装置。
  3. 前記推定手段は、
    前記歩行波形データから抽出された前記特徴量データに含まれる握力を推定するための特徴量を用いて前記被験者の握力を推定し、評価対象期間に含まれる複数の時点において推定された前記被験者の握力の推定値を用いて、前記評価対象期間における握力の確率分布を推定する握力推定手段と、
    前記歩行波形データを用いて一歩行周期における足部の移動距離を計算し、算出された前記足部の移動距離を前記一歩行周期に相当する時間で除して前記被験者の歩行速度を推定し、前記評価対象期間に含まれる複数の時点において推定された前記被験者の歩行速度の推定値を用いて、前記評価対象期間における歩行速度の確率分布を推定する歩行速度推定手段と、
    前記評価対象期間における握力および歩行速度の確率分布を用いて、前記被験者のフレイルを推定するフレイル推定手段と、を有する請求項2に記載のフレイル推定装置。
  4. 前記フレイル推定手段は、
    握力に関するフレイルの判定基準である第1閾値よりも前記被験者の握力の推定値が大きい場合の第1確率分布を計算し、
    歩行速度に関するフレイルの判定基準である第2閾値よりも前記被験者の歩行速度の推定値が大きい場合の第2確率分布を計算し、
    前記第1確率分布と前記第2確率分布との積を1から引いてフレイル確率を計算し、
    前記フレイル確率が、プレフレイルであると判定するための第3閾値以下の場合、前記被験者が健常であると推定し、
    前記フレイル確率が、前記第3閾値を上回り、フレイルであると判定するための第4閾値以下の場合、前記被験者がプレフレイルであると推定し、
    前記フレイル確率が、前記第4閾値を上回る場合、前記被験者がフレイルであると推定する請求項3に記載のフレイル推定装置。
  5. 前記フレイル推定手段は、
    握力に関するフレイルの判定基準である第1閾値よりも前記被験者の握力の推定値が大きく、かつ、歩行速度に関するフレイルの判定基準である第2閾値よりも前記被験者の歩行速度の推定値が大きい場合、前記被験者がフレイルである可能性があると推定し、
    前記被験者の握力の推定値が前記第1閾値よりも大きく、かつ、前記被験者の歩行速度の推定値が前記第2閾値以下である場合、前記被験者がプレフレイルであると推定し、
    前記被験者の握力の推定値が前記第1閾値以下であり、かつ、前記被験者の歩行速度の推定値が前記第2閾値よりも大きい場合、前記被験者がプレフレイルであると推定し、
    前記被験者の握力の推定値が前記第1閾値以下であり、かつ、前記被験者の歩行速度の推定値が前記第2閾値以下である場合、前記被験者が健常であると推定する請求項3に記載のフレイル推定装置。
  6. 前記フレイル推定手段は、
    前記被験者の握力の推定値が前記第1閾値よりも大きく、かつ、前記被験者の歩行速度の推定値が前記第2閾値よりも大きい場合、体重減少、倦怠感、および活動量の3項目に関する前記被験者の状況を取得し、
    体重減少、倦怠感、および活動量の3項目のうち少なくともいずれかがフレイルの判定基準に該当する場合、前記被験者がフレイルであると推定し、
    体重減少、倦怠感、および活動量の3項目のうちいずれもフレイルの判定基準に該当しない場合、前記被験者がプレフレイルであると推定する請求項5に記載のフレイル推定装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のフレイル推定装置と、
    フレイルの推定対象である被験者の履物に設置され、足の動きに関するセンサデータを計測するセンサと、前記センサによって計測された前記センサデータの時系列データを用いて歩行波形データおよび特徴量データを生成する特徴量データ生成手段と、を有する歩容計測装置と、を備え、
    前記センサは、
    空間加速度および空間角速度を計測し、計測した前記空間加速度および前記空間角速度を用いて足の動きに関する前記センサデータを生成し、
    生成した前記センサデータを前記特徴量データ生成手段に出力し、
    前記特徴量データ生成手段は、
    前記センサデータの時系列データを取得し、
    前記センサデータの時系列データから一歩行周期分の歩行波形を抽出し、
    抽出された前記歩行波形を正規化して前記歩行波形データを生成し、
    前記歩行波形データから、握力の推定に用いられる特徴量を抽出し、
    抽出された特徴量を含む前記特徴量データを生成し、
    生成された前記特徴量データおよび前記歩行波形データを、前記フレイル推定装置に送信する推定システム。
  8. 前記フレイル推定装置は、
    前記被験者の足の動きに応じて推定されたフレイルに関する情報を、端末装置の画面に表示させる請求項7に記載の推定システム。
  9. コンピュータが、
    被験者の歩容の特徴を含む歩行波形データと、前記歩行波形データから抽出された特徴量を含む特徴量データとを取得し、
    前記特徴量データを用いて前記被験者の握力を推定し、
    前記歩行波形データを用いて前記被験者の歩行速度を推定し、
    推定された握力および歩行速度を用いて前記被験者のフレイルを推定し、
    推定された前記フレイルに関する情報を出力するフレイル推定方法。
  10. 被験者の歩容の特徴を含む歩行波形データと、前記歩行波形データから抽出された特徴量を含む特徴量データとを取得する処理と、
    前記特徴量データを用いて前記被験者の握力を推定する処理と、
    前記歩行波形データを用いて前記被験者の歩行速度を推定する処理と、
    推定された握力および歩行速度を用いて前記被験者のフレイルを推定する処理と、
    推定された前記フレイルに関する情報を出力する処理と、をコンピュータに実行させるプログラム。
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