JP2023173113A - 搬送車及び搬送車の走行制御方法 - Google Patents

搬送車及び搬送車の走行制御方法 Download PDF

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拓也 藤川
Takuya Fujikawa
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Abstract

【課題】搬送車の走行の精度を向上させる。【解決手段】搬送車1において、第1の駆動輪及び第2の駆動輪は、荷物を積載することが可能な荷台を路面に対して相対的に移動させる。取得部58は、搬送車1が走行している際に、搬送車1の走行軌跡と目標軌跡との差を示す値を取得する。計算部59は、取得部58により取得された差を示す値に基づいて、第1の駆動輪と第2の駆動輪とのうちの一方の駆動輪を回転させる速度の補正値を計算する。速度指令部54は、計算部59により計算された補正値により補正された速度で、一方の駆動輪を回転させる。【選択図】図5

Description

本開示は、搬送車及び搬送車の走行制御方法に関する。
重量物を自動的に搬送する搬送車の需要が近年高まっている。例えば特許文献1は、重量センサを必要とせずに重量に応じた制御が可能な搬送車の走行制御方法を開示している。具体的に説明すると、特許文献1に開示された走行制御方法は、PID(Proportional Integral Derivative)制御を用いて目標速度と実速度との偏差を収束させることにより、車輪間の速度差を抑える。これにより、搬送車に目標速度を保ったまま走行させることができる。
特開2020-149394号公報
特許文献1に開示された搬送車の走行制御方法は、走行時の直進性を高めることはできるが、目標となる走行軌跡に対してずれが生じた場合に搬送車の走行軌跡を修正することは困難である。そのため、目標となる走行軌跡に対してずれが生じた場合であっても、搬送車の走行軌跡を適切に修正することで、搬送車の走行の精度を向上させることが求められている。
本開示は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、走行の精度を向上させることが可能な搬送車等を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示に係る搬送車は、荷物を搬送するための搬送車であって、荷台と、第1の駆動輪及び第2の駆動輪と、取得部と、計算部と、速度指令部と、を備える。荷台は、荷物を積載することが可能である。第1の駆動輪及び第2の駆動輪は、荷台を路面に対して相対的に移動させる。取得部は、搬送車が走行している際に、搬送車の走行軌跡と目標軌跡との差を示す値を取得する。計算部は、取得部により取得された差を示す値に基づいて、第1の駆動輪と第2の駆動輪とのうちの一方の駆動輪を回転させる速度の補正値を計算する。速度指令部は、計算部により計算された補正値により補正された速度で、一方の駆動輪を回転させる。
本開示では、搬送車が走行している際に搬送車の走行軌跡と目標軌跡との差を示す値を取得し、取得された差を示す値に基づいて駆動輪を回転させる速度の補正値を計算し、計算された補正値により補正された速度で駆動輪を回転させる。従って、本開示によれば、搬送車の走行の精度を向上させることができる。
実施の形態1に係る搬送車を示す側面図 実施の形態1に係る搬送車を示す正面図 実施の形態1に係る搬送車を示す下面図 実施の形態1に係る搬送車の制御構成図 実施の形態1において速度制御における指令の流れを示すブロック図 実施の形態1に係る搬送車における駆動輪の取付ピッチを示す図 実施の形態1に係る搬送車における駆動輪の走行距離を示す図 実施の形態1において搬送車の走行軌跡と目標軌跡との角度差を示す図 実施の形態1において搬送車の走行軌跡と目標軌跡との距離偏差を示す図 実施の形態1に係る搬送車の走行制御処理の流れを示すフローチャート 実施の形態2に係る搬送車を示す側面図 実施の形態2に係る搬送車を示す正面図 実施の形態2に係る搬送車を示す下面図 実施の形態2において車輪に生じる力の関係を示す図 実施の形態2において推進力と摩擦力との関係を示すグラフ
以下、実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。
(実施の形態1)
図1~図3に、それぞれ実施の形態1に係る搬送車1の側面図、正面図及び下面図を示す。以下、図1~図3を用いて搬送車1の構成例を説明する。なお、図1~図3では、搬送車1の前後方向をX方向と定め、搬送車1の左右方向をY方向と定め、搬送車1の上下方向をZ方向と定める。以降の図でも同様である。
搬送車1は、荷物を搬送するための移動台車であって、人間が運転操作を行わなくても自動で走行可能な無人搬送車である。図1~図3に示すように、搬送車1は、荷台2と、駆動輪10,11と、回転型エンコーダ20,21と、非駆動輪30と、モータ70,71と、を備える。
荷台2は、荷物を積載することが可能な台である。荷物は、搬送車1により搬送される対象となる物品である。荷物は、重量を有するものであればどのようなものであっても良い。荷物は、重量物、搬送物等と呼んでも良い。
駆動輪10,11は、荷台2を路面100に対して相対的に移動させる車輪である。駆動輪10,11は、搬送車1の左右方向、すなわちY方向において対向する位置に設けられた一対の駆動輪である。駆動輪10,11は、荷台2に対して回転可能に接続されており、路面100に接地しながら回転することによって荷台2を移動させる。
駆動輪10は、第1の駆動輪であって、搬送車1の進行方向を制御するための基準となる軸である主軸に取り付けられている。駆動輪11は、第2の駆動輪であって、主軸を基準として搬送車1の進行方向を調整するための軸である従軸に取り付けられている。
なお、「第1」及び「第2」の呼び方は区別のためのものであって、駆動輪10,11のどちらを第1の駆動輪と呼び、どちらを第2の駆動輪と呼んでも良い。以降のモータ70,71、回転型エンコーダ20,21等でも同様である。
駆動輪10,11は、モータ70,71により回転駆動する。モータ70は、第1のモータであって、主軸に取り付けられており、駆動輪10を駆動する。モータ71は、第2のモータであって、従軸に取り付けられており、駆動輪11を駆動する。モータ70とモータ71とは、互いに独立に動作し、駆動輪10と駆動輪11とを互いに独立に駆動することができる。その結果、搬送車1は前進、後退、左右への旋回等の動作を行うことができる。なお、モータ70,71は、アクチュエータとも呼ぶことができる。
モータ70,71は、必要に応じてブレーキの機能を有していてもよい。ブレーキは、電磁力で作動する電磁式ブレーキであっても良いし、機械式、油圧式、空圧式等の種類のブレーキであっても良い。
回転型エンコーダ20,21は、駆動輪10,11の回転駆動により搬送車1が走行している際に、駆動輪10,11の回転量を測定する。具体的に説明すると、回転型エンコーダ20,21は、それぞれ駆動輪10,11の回転による機械的な変位量を測定することにより、駆動輪10,11の回転量を測定する。回転型エンコーダ20,21は、測定した回転量を電気信号に変換して、測定した回転量の情報を示す電気信号を出力する。
より詳細には、回転型エンコーダ20は、第1の回転型エンコーダであって、駆動輪10に搭載されている。回転型エンコーダ20は、駆動輪10がモータ70により回転駆動している際における駆動輪10の回転量を測定する。回転型エンコーダ21は、第2の回転型エンコーダであって、駆動輪11に搭載されている。回転型エンコーダ21は、駆動輪11がモータ71により回転駆動している際における駆動輪11の回転量を測定する。
なお、回転型エンコーダ20,21は、光電方式、磁気方式等、どのような方式で回転量を測定しても良い。但し、回転型エンコーダ20,21は、後述するPID(Proportional Integral Derivative)制御に必要な分解能を有するインタフェースであることが必要である。
回転型エンコーダ20,21により測定される駆動輪10,11の回転量は、搬送車1の走行状態を示す走行パラメータの一例である。回転型エンコーダ20,21は、走行パラメータを測定する測定部の一例である。
非駆動輪30は、搬送車1における駆動輪10,11よりも後方の中央部に設けられている。非駆動輪30は、駆動要素を持っておらず、搬送車1の移動に従動して回転する従動輪である。また、非駆動輪30は、その向きの変更を可能とする回転軸を備える。
図4に、搬送車1の制御に関する構成を示す。図4に示すように、搬送車1は、制御演算装置50と、操作装置60と、駆動コントローラ72,73と、を備える。
制御演算装置50は、PLC(Programmable Logic Controller)、マイコン(Micro controller)等であって、搬送車1の全体を制御するユニットである。制御演算装置50は、制御部51と、記憶部52と、を備える。
制御部51は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等を備える。制御部51は、記憶部52に記憶されるプログラムを実行することにより、制御演算装置50の種々の機能を実現して、後述の処理を実行する。制御部51は、プロセッサと呼ぶこともできる。
記憶部52は、主メモリと補助メモリとを備える。主メモリは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性記憶装置を含む。補助メモリは、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置を含む。記憶部52は、制御部51が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、制御部51が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。
例えば、記憶部52は、走行制御部53で走行制御に使われる速度データ、目標位置データ、加速度、減速度等の制御パラメータを保存する。なお、記憶部52は、情報の読み出しと書き換えが可能な記憶領域を含むものであれば、制御演算装置50に内蔵されている保存領域であることに限らず、外部記憶装置であってもよい。
制御部51は、機能的に、走行制御部53と、速度指令部54と、回転数検知部55と、補正制御部56と、を備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部52に格納される。そして、制御部51において、CPUが、ROM又は記憶部52に記憶されたプログラムを実行することによって、これらの各機能を実現する。
以下、図5に示す速度制御における情報の流れを参照して、各部の機能について説明する。
走行制御部53は、走行開始及び走行停止を含む、搬送車1の走行全般を制御する。具体的に説明すると、走行制御部53は、モータ70,71に出力される速度指令値を演算する。走行制御部53は、演算した速度指令値を示す速度データを生成し、速度指令部54に出力する。これにより、走行制御部53は、演算した速度指令値に対応する回転速度で駆動輪10,11を回転させて、所望の速度で搬送車1を走行させる。
速度指令部54は、走行制御部53から出力された速度データに従って、駆動コントローラ72,73に速度指令を送信する。駆動コントローラ72,73は、それぞれモータ70,71の駆動を制御するためのコントローラである。駆動コントローラ72、73は、速度指令部54から送信された速度指令を受信すると、受信した速度指令に従ってモータ70,71のそれぞれに回転指令を与える。
具体的には、駆動コントローラ72は、速度指令部54から受信した速度指令を、駆動輪10のアクチュエータであるモータ70の回転指令に変換し、回転指令をモータ70に与える。駆動コントローラ73は、速度指令部54から受信した速度指令を、駆動輪11のアクチュエータであるモータ71の回転指令に変換し、回転指令をモータ71に与える。
より詳細には、速度指令部54は、走行制御部53によって生成された速度データを、駆動コントローラ72,73の入力インタフェースに対応した形式のデータに変換する。駆動コントローラ72,73の入力インタフェースは、例えば、電圧指令、電流指令等のアナログ制御によるインタフェースであっても良いし、RS-232(Recommended Standard 232)、Ethernet等の通信制御によるインタフェースであっても良い。但し、入力インタフェースは、後述のPID制御に必要な分解能を有することが必要である。
例として、駆動コントローラ72,73の入力インタフェースが0~10Vの電圧の変位をデータとして扱うアナログインタフェースである場合、速度指令部54は、速度データを電圧の変位に変換する。或いは、駆動コントローラ72,73の入力インタフェースがRS-232Cである場合、速度指令部54は、速度データをシリアルデータに変換する。
速度指令部54は、駆動コントローラ72,73の入力インタフェースに対応した形に変換された速度指令を、駆動コントローラ72と駆動コントローラ73の入力に伝達する。駆動コントローラ72、73は、速度指令を受け取ると、速度指令の通りに各モータ70,71に回転指令を与える。これにより、駆動輪10,11に推進力が与えられて、搬送車1は走行する。このようにして、速度指令部54は、走行制御部53により指示された回転速度で駆動輪10,11を回転駆動させて、所望の速度で搬送車1を走行させる。
回転数検知部55は、搬送車1が走行している際において、駆動輪10,11の回転数を検知する。ここで、回転数は、回転速度とも呼ばれ、単位時間当たりに回転する回数を意味する。回転数検知部55は、駆動輪10に搭載された回転型エンコーダ20から出力された電気信号に基づいて、駆動輪10の回転数を検知する。また、回転数検知部55は、駆動輪11に搭載された回転型エンコーダ21から出力された電気信号に基づいて、駆動輪11の回転数を検知する。
回転数検知部55は、回転型エンコーダ20,21から出力された電気信号をパルス情報に変換し、パルス情報を補正制御部56に出力する。パルス情報には、回転数検知部55により検知された駆動輪10,11の回転数を示す情報が含まれる。
走行制御部53は、回転数検知部55により検知された駆動輪10,11の回転数を示すパルス情報を単位情報に変換する単位変換処理を行う。なお、単位情報は、制御に扱いやすい種類及び精度であれば、例えば、mm、cm、m等、どのような単位であってもよい。
補正制御部56は、搬送車1が走行している際に、走行制御部53によりパルス情報から単位情報への単位変換処理が行われたデータに基づいて、搬送車1の走行軌跡を補正するための補正制御処理を実行する。図5に示すように、補正制御部56は、補正制御処理を実行するための機能として、取得部58と計算部59との機能を含む。
取得部58は、搬送車1が走行している際に、搬送車1の走行軌跡と目標軌跡との差を示す値を取得する。ここで、目標軌跡は、搬送車1が目標とする走行軌跡であって、搬送車1が指示の通りに進行した場合に搬送車1が通る道筋に相当する。例えば、搬送車1に対して直進することが指示されている場合には、目標軌跡は直線状となる。これに対して、搬送車1の走行軌跡は、搬送車1が実際に走行している走行軌跡である。
搬送車1の実際の走行軌跡は、様々な要因により、目標軌跡から乖離する。例えば、荷台2に積載される荷物により偏荷重となることで、駆動輪10,11に加えられる負荷バランスが取れず、駆動輪10,11の間で速度差が生じる。これにより、搬送車1の走行時に蛇行が生じる。このような要因により、搬送車1の実際の走行軌跡と目標軌跡との間にずれが生じる。
取得部58は、搬送車1が走行している際に、このような実際の走行軌跡と目標軌跡とのずれがどの程度生じているかを判定する。そのために、取得部58は、回転型エンコーダ20,21により測定された走行パラメータである駆動輪10,11の回転量に基づいて、搬送車1の走行軌跡と目標軌跡との差を示す値を取得する。
具体的に説明すると、取得部58は、搬送車1の走行軌跡と目標軌跡との差を示す値として、(I)実際の走行軌跡と目標軌跡との角度差θと、(II)実際の走行軌跡と目標軌跡との距離偏差xと、を計算する。角度差θは、実際の走行軌跡と目標軌跡とのずれを角度で表した値であり、距離偏差xは、実際の走行軌跡と目標軌跡とのずれを距離で表した値である。以下、角度差θと距離偏差xの計算方法を説明する。
(I)角度差θ
図6~図8に、角度差θを計算する過程に必要な寸法を示す。なお、図6~図8では、理解を容易にするため、モータ70,71の図示は省略している。
図6に示すように、駆動輪10と駆動輪11との取付ピッチ、すなわち搬送車1の左右に設けられた一対の駆動輪10,11の間の距離をrと表す。また、図7に示すように、駆動輪10の走行距離をlと表し、駆動輪11の走行距離をlと表す。この場合、駆動輪10と駆動輪11の中心点を走行軌跡の基準点とすると、基準点の走行距離lは、“l=(l+l)/2”で表される。
図8では、搬送車1に直進することが指示された場合における基準点の目標軌跡を一点鎖線で示す。これに対して、搬送車1が実際には直進から逸れて進行した場合、実際の走行軌跡は、目標軌跡からずれる。この場合における駆動輪10,11の走行軌跡を破線で示し、搬送車1の現在の進行方向を二点鎖線で示す。
このような場合における目標軌跡と実際の走行軌跡との角度差θは、一点鎖線と二点鎖線との間の角度に相当する。具体的には、角度差θは、駆動輪10,11の取付ピッチrと駆動輪10,11の走行距離l,lとを用いて、以下の(1)式で表すことができる。
(II)距離偏差x
次に、図9を参照して、距離偏差xについて説明する。図9では、図8と同様に、搬送車1に直進することが指示された場合における基準点の目標軌跡を一点鎖線で示す。そして、搬送車1が実際には直進から逸れて進行した場合における駆動輪10,11の走行軌跡を破線で示す。このような場合における目標軌跡と実際の走行軌跡との距離偏差xは、一点鎖線から現在の基準点までの距離に相当する。
ここで、駆動輪10の単位時間当たりの走行距離をΔlと表し、駆動輪11の単位時間当たりの走行距離をΔlと表すと、基準点の移動距離Δlは、以下の(2)式で表すことができる。
単位時間当たりの目標軌跡から実際の走行軌跡への距離Δxは、基準点の移動距離Δlと角度差θとを用いて、以下の(3)式で表すことができる。
(1)式と(2)式を(3)式に代入すると、単位時間当たりの距離Δxを以下の(4)式で表すことができる。
ある時点での目標軌跡と実際の走行軌跡の距離偏差xは、このような距離Δxの総和となる。そのため、距離偏差xは、以下の(5)式で表すことができる。
取得部58は、回転数検知部55により検知された回転数に基づいて、走行距離l,l及び単位時間当たりの走行距離Δl,Δlを計算する。具体的に説明すると、取得部58は、回転数検知部55により検知された駆動輪10の回転数に駆動輪10の直径を乗算することにより、単位時間当たりの走行距離Δlを計算する。また、取得部58は、回転数検知部55により検知された駆動輪11の回転数に駆動輪11の直径を乗算することにより、単位時間当たりの走行距離Δlを計算する。更に、取得部58は、単位時間当たりの走行距離Δlに走行時間長を乗算することにより走行距離lを計算し、単位時間当たりの走行距離Δlに走行時間長を乗算することにより走行距離lを計算する。
取得部58は、計算した走行距離l,lと予め定数として与えられた取付ピッチrの値とを(1)式に代入することにより、角度差θを計算する。また、取得部58は、計算した走行距離l,l及び単位時間当たりの走行距離Δl,Δlと予め定数として与えられた取付ピッチrの値とを(4)式に代入することにより、単位時間当たりの距離Δxを計算する。そして、取得部58は、単位時間当たりの距離Δxを(5)式に従って走行時間で積算することにより、距離偏差xを計算する。
このようにして、取得部58は、搬送車1の実際の走行軌跡と目標軌跡との差を示す値として、(I)第1の値である角度差θと、(II)第2の値である距離偏差xと、を取得する。
計算部59は、取得部58により取得された差を示す値に基づいて、駆動輪10,11のうちの一方の駆動輪を回転させる速度の補正値を計算する。補正値は、搬送車1の走行中に搬送車1の走行軌跡を目標軌跡に修正することを目的として、左右一対の駆動輪10,11間で回転速度の差をつけるための調整値である。
具体的に説明すると、計算部59は、取得部58により取得された角度差θと距離偏差xとに基づいて、左右一対の駆動輪10,11のうちの、従軸に取り付けられた駆動輪11を回転させる速度の補正値を計算する。そのために、計算部59は、PID(Proportional Integral Derivative)制御を行う。ここで、PID制御は、任意の目標値と出力量との間の偏差に基づいて操作量を制御し、出力量を目標値に追従させることを目的としたフィードバック制御の一種である。
PID制御は、比例制御と積分制御と微分制御とを含む。具体的に説明すると、ある時間tでの制御対象に対して制御する量を出力量y(t)と表し、目標とする制御量を目標値r(t)と表し、制御量を得るために制御対象に入力する量を操作量u(t)と表す。このとき、制御偏差e(t)は、(6)式のように、目標値r(t)と出力量y(t)との差として表される。また、操作量u(t)は、制御偏差e(t)の時間積分と時間微分とを用いて、(7)式のように表すことができる。
(7)式において、比例定数Kを含む項を比例項と呼び、積分定数Kを含む項を積分項と呼び、微分定数Kを含む項を微分項と呼ぶ。比例定数K、積分定数K及び微分定数Kの値は、一般的には、PID制御の実行前に適宜の値に決定されるが、これらの定数の少なくとも1つがPID制御の実行中に適宜変更されても良い。
(7)式における比例項は、比例制御を行うための、制御偏差e(t)に比例する項である。比例制御は、制御偏差e(t)の大きさに比例して操作量u(t)を変化させることを目的とする制御である。
(7)式における積分項は、積分制御を行うための、制御偏差e(t)を時間積分した値に比例する項である。比例制御で出力量y(t)が目標値r(t)付近となった場合、操作量u(t)が小さくなりすぎて制御ができなくなることで、残留偏差が発生する場合がある。積分制御は、このような残留偏差を無くすために、時系列で残留偏差を累積して操作量u(t)を増やすことで、偏差を無くす制御である。
(7)式における微分項は、微分制御を行うための、制御偏差e(t)を時間微分した値に比例する項である。比例制御及び積分制御だけでは出力量y(t)が目標値r(t)に達するまでにある程度の時間が必要となるため、外乱が発生した時にすぐには出力量y(t)を目標値r(t)に戻すことが難しい。微分制御は、このように前回の偏差との差が大きい場合に操作量u(t)を増やすことで、素早く出力量y(t)を目標値r(t)に近づけることを目的とする制御である。
計算部59は、搬送車1の走行軌跡を目標軌跡に修正するため、このようなPID制御を用いて、角度差θと距離偏差xとから、これらの値を目標値に近付けて収束させることが可能な、駆動輪11の回転速度の補正値を計算する。
第1に、計算部59は、PID制御を用いて、角度差θを目標値である0°に収束させるための補正値v(t)を計算する。具体的に説明すると、計算部59は、上記(6)式と(7)式において、目標値r(t)を0°に設定し、出力量y(t)を角度差θに設定し、操作量u(t)を補正値v(t)に設定する。これにより、(6)式と(7)式は、以下の(8)式と(9)式に書き換えられる。
計算部59は、(8)式に従って角度差θから制御偏差e(t)を計算する。そして、計算部59は、(9)式に従って制御偏差e(t)の比例項と積分項と微分項とを計算し、それらを加算することで補正値v(t)を計算する。このように、計算部59は、取得部58により取得された角度差θを出力量とし、補正値v(t)を操作量とするPID制御に基づいて、角度差θを目標値である0°に収束させることが可能な補正値v(t)を計算する。
第2に、計算部59は、PID制御を用いて、距離偏差xを目標値である0に収束させるための補正値v(t)を計算する。具体的に説明すると、計算部59は、上記(6)式と(7)式において、目標値r(t)を0に設定し、出力量y(t)を距離偏差xに設定し、操作量u(t)を補正値v(t)に設定する。これにより、(6)式と(7)式は、以下の(10)式と(11)式に書き換えられる。
計算部59は、(10)式に従って距離偏差xから制御偏差e(t)を計算する。そして、計算部59は、(11)式に従って制御偏差e(t)の比例項と積分項と微分項とを計算し、それらを加算することで補正値v(t)を計算する。このように、計算部59は、取得部58により取得された距離偏差xを出力量とし、補正値v(t)を操作量とするPID制御に基づいて、距離偏差xを目標値である0に収束させることが可能な補正値v(t)を計算する。
このようにして、計算部59は、取得部58により取得された角度差θと距離偏差xとに基づいて、それぞれの補正値として第1の補正値v(t)と第2の補正値v(t)とを計算する。第1の補正値v(t)と第2の補正値v(t)とを計算すると、計算部59は、以下の(12)式に従って、駆動輪11の駆動コントローラ73に対して実際に送信する速度指令値vを計算する。
(12)式において、vは駆動コントローラ73に送信される速度の初期入力値を表し、Kは第1の補正値v(t)の制御係数を表し、Kは第2の補正値v(t)の制御係数を表す。制御係数K,Kは、速度指令値vに対して第1の補正値v(t)と第2の補正値v(t)の加算割合を決定するための値であって、0~100%の範囲で設定される。
上記に使用されている比例定数K、積分定数K、微分定数K、制御係数K、制御係数Kは、適宜の値に予め設定されて、記憶部52に記憶することができる。一例として、制御係数Kが0.5と設定され、制御係数Kが0.6と設定された場合、計算部59は、以下の(13)式に従って速度指令値vを計算する。これは、初期入力値v+第1の補正値vの50%+第2の補正値vの60%を、速度指令値vとすることを意味する。
速度指令部54は、計算部59により計算された補正値である第1の補正値v(t)と第2の補正値v(t)とにより補正された速度で、駆動輪11を回転させる。具体的に説明すると、速度指令部54は、走行制御部53による制御のもとで、従軸に取り付けられた駆動輪11の駆動コントローラ73に対して、第1の補正値v(t)と第2の補正値v(t)とにより補正された速度である速度指令値vを送信する。これにより、速度指令部54は、駆動輪11を速度指令値vの回転速度で回転駆動させる。
一方で、速度指令部54は、主軸に取り付けられた駆動輪11の駆動コントローラ72に対しては、速度を変更する指令を送信せず、駆動輪10を初期入力値vのままの回転速度で回転駆動させる。これにより、速度指令部54は、左右一対の駆動輪10,11の回転速度に差をつけて、搬送車1の走行軌跡を目標軌跡に近づくように修正する。
このように、搬送車1は、回転型エンコーダ20,21により測定された走行パラメータから得られた角度差θと距離偏差xという2種類の偏差をもとにPID制御を行う。これにより、搬送車1の走行中に、角度差θと距離偏差xとのそれぞれを目標値に収束させるように駆動輪11の回転速度を調整することができ、搬送車1の走行軌跡を的確に修正することができる。
図4に戻って、操作装置60は、スイッチ、物理ボタン、タッチパネル等のような操作部を備えており、ユーザインタフェースとして機能する。ユーザは、操作部を操作して、例えば、搬送車1の走行開始を指示することができ、走行制御部53及び補正制御部56に必要なパラメータを変更することができる。
また、操作装置60は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示部を備える。表示部は、パラメータの設定画面、搬送車1の状態を示す画面等のような各種の画面を表示する。
次に、図10に示すフローチャートを参照して、制御演算装置50により実行される搬送車1の走行制御処理の流れを説明する。図10に示す走行制御処理は、操作装置60又は適宜の通信装置を介して搬送車1に対して走行指示が入力されたことを契機として開始する。
走行制御処理を開始すると、制御部51は、走行制御部53及び速度指令部54として機能し、搬送車1に走行を開始させる(ステップS1)。具体的に説明すると、制御部51は、駆動コントローラ72,73のそれぞれに速度指令値を送信して、駆動輪10,11を回転駆動させる。例えば搬送車1を直進させる場合には、制御部51は、初期入力値vを駆動コントローラ72,73のそれぞれに送信し、左右一対の駆動輪10,11に対して同じ回転速度で回転させる。
搬送車1に走行を開始させると、制御部51は、回転数検知部55として機能し、搬送車1の走行状態を示す走行パラメータとして、駆動輪10,11の回転数を検知する(ステップS2)。具体的に説明すると、制御部51は、駆動輪10,11に搭載された回転型エンコーダ20,21の測定結果に基づいて、駆動輪10,11の回転数を検知する。
回転数を検知すると、制御部51は、取得部58として機能し、搬送車1の実際の走行軌跡と目標軌跡との差を示す値として、角度差θ及び距離偏差xを取得する(ステップS3)。具体的に説明すると、制御部51は、上述した(1)~(5)式に従って、駆動輪10,11の回転数から角度差θ及び距離偏差xを取得する
角度差θ及び距離偏差xを取得すると、制御部51は、計算部59として機能し、取得した角度差θ及び距離偏差xに基づいてPID制御を実行する(ステップS4)。具体的に説明すると、制御部51は、(8)式及び(9)式に従って、角度差θを出力量とし、補正値v(t)を操作量とするPID制御に基づいて、角度差θを目標値である0°に収束させることが可能な補正値v(t)を計算する。更に、制御部51は、(10)式及び(11)式に従って、距離偏差xを出力量とし、補正値v(t)を操作量とするPID制御に基づいて、距離偏差xを目標値である0に収束させることが可能な補正値v(t)を計算する。そして、制御部51は、(12)式に従って、補正値v(t),v(t)から速度指令値vを計算する。
速度指令値vを計算すると、制御部51は、速度指令部54として機能し、計算された速度指令値vで、従軸に取り付けられた駆動輪11を回転駆動させる(ステップS5)。具体的に説明すると、制御部51は、駆動コントローラ73に速度指令値vを送信して、従軸に取り付けられた駆動輪11を速度指令値vの回転速度で回転駆動させる。一方で、このとき制御部51は、主軸に取り付けられた駆動輪10の回転速度を初期入力値vのまま変更しない。
その後、制御部51は、走行制御処理をステップS2に戻し、ステップS2~S5の処理を繰り返す。このように、制御部51は、搬送車1が走行している間、駆動輪10,11の回転量を測定し、測定した回転量に基づいて角度差θ及び距離偏差xを計算する。そして、制御部51は、PID制御を用いて角度差θ及び距離偏差xから速度指令値vを計算し、駆動輪11の回転速度にフィードバックをかけながら搬送車1を走行させる。
以上説明したように、実施の形態1に係る搬送車1は、搬送車1が走行している際に、搬送車1の走行軌跡と目標軌跡との差を示す値を取得し、取得した差を示す値に基づいて駆動輪11を回転させる速度の補正値を計算し、計算された補正値により補正された速度で駆動輪11を回転させる。これにより、目標軌跡に対してずれが生じた場合であっても、搬送車の走行軌跡を適切に修正できるため、搬送車の走行の精度を向上させることができる。
特許文献1に開示されたように、PID制御により速度成分のみをフィードバックする場合、車輪間の速度差を無くして走行時の直進性を高めることはできる。しかしながら、実際の走行軌跡と目標軌跡のずれを認識できないため、目標軌跡に対してずれが生じた場合の走行軌跡の修正が困難である。これに対して、実施の形態1に係る搬送車1は、目標軌跡と実際の走行軌跡との差を示す値をPID制御でフィードバックすることで、目標軌跡への修正が可能となるため、搬送車の走行の精度を更に向上させることができる。
特に、搬送車1の走行軌跡を目標軌跡に修正するための一般的な方法として、磁器テープ、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)センサ、ターゲットマーク等を使用した誘導制御、又は、GPS(Global Positioning System)、Bluetoothビーコン、ジャイロセンサ等を使用した自己位置推定制御が挙げられる。しかしながら、これらの技術を使うためにはセンサの追加が多く発生してしまうため、装置構成の複雑化及び高コスト化というデメリットが生じる。また、サーボのような高精度なモータを使用することは、電源の種類の制限、設置スペース等から困難である。実施の形態1に係る搬送車1は、回転型エンコーダ20,21という比較的簡単な構成で、搬送車1の走行軌跡の修正を可能とする。そのため、例えば小型なDC(Direct Current)モータのような回転ムラが大きいモータを使用しても、走行時の走行軌跡精度を向上させることが可能であり、複雑又は高価なセンサを用いる必要が無い。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態1と同様の構成及び機能については適宜説明を省略する。
実施の形態1では、回転型エンコーダ20,21は、それぞれ駆動輪10,11に搭載されており、搬送車1の走行状態を示す走行パラメータとして、駆動輪10,11の回転量を測定した。これに対して、実施の形態2では、回転型エンコーダ20,21は、それぞれ非駆動輪31,32に搭載されており、走行パラメータとして、非駆動輪31,32の回転量を測定する。これにより、走行パラメータの測定精度を向上させる。
図11~図13に、それぞれ実施の形態2に係る搬送車1の側面図、正面図及び下面図を示す。以下、図11~図13を用いて実施の形態2に係る搬送車1の構成例を説明する。
図11~図13に示すように、搬送車1は、荷台2と、駆動輪10,11と、回転型エンコーダ20,21と、非駆動輪30,31,32と、モータ70,71と、を備える。なお、荷台2、駆動輪10,11、非駆動輪30、及び、モータ70,71の各構成は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
また、回転型エンコーダ20,21自体の構成は、実施の形態1と同様である。しかしながら、実施の形態1では、回転型エンコーダ20,21は駆動輪10,11に搭載されていたのに対して、実施の形態2では、回転型エンコーダ20,21は非駆動輪31,32に搭載されている。
非駆動輪31は、第1の非駆動輪であって、駆動輪10の外側の位置に設けられている。また、非駆動輪32は、第2の非駆動輪であって、駆動輪11の外側の位置に設けられている。非駆動輪31,32は、駆動要素を持っておらず、搬送車1の移動に従動して回転する従動輪である。
回転型エンコーダ20は、非駆動輪31に搭載されており、駆動輪10,11の回転駆動により搬送車1が走行している際における非駆動輪31の回転量を測定する。また、回転型エンコーダ21は、非駆動輪32に搭載されており、駆動輪10,11の回転駆動により搬送車1が走行している際における非駆動輪32の回転量を測定する。
より詳細には、回転型エンコーダ20,21は、それぞれ非駆動輪31,32の回転による機械的な変位量を測定することにより、非駆動輪31,32の回転量を測定する。回転型エンコーダ20,21は、測定した回転量を電気信号に変換して、測定した回転量の情報を示す電気信号を出力する。回転数検知部55は、非駆動輪31,32に搭載された回転型エンコーダ20,21から出力された電気信号に基づいて、非駆動輪31,32の回転数を検知する。
取得部58は、回転型エンコーダ20,21により測定された非駆動輪31,32の回転量に基づいて、搬送車1の走行軌跡と目標軌跡との差を示す値である角度差θ及び距離偏差xを取得する。計算部59は、取得部58により取得された差を示す値に基づいて、駆動輪10,11のうちの一方の駆動輪を回転させる速度の補正値を計算する。これら取得部58及び計算部59を含む各機能の詳細は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
以下、図14及び図15を参照して、回転型エンコーダ20,21を駆動輪10,11ではなく非駆動輪31,32に搭載することによる効果を説明する。なお、以下では、駆動輪10,11及び非駆動輪31,32を総称して車輪と称する。
図14に、車輪と路面100との間に生じる摩擦力Fと、車輪に加えられる重力mgと、路面100から車輪に加えられる垂直抗力Nと、車輪の推進力fと、を示す。車輪の静止時に車輪と路面100間に発生する摩擦力Fの最大値である最大静摩擦力をFmaxと表し、静摩擦係数をμと表し、垂直抗力をNと表すと、以下の(14)式が成立する。
次に、図15に、摩擦力Fと推進力fの関係性を示す。推進力fが最大静摩擦力Fmaxを超えると、摩擦力Fは動摩擦力となる。推進力fが摩擦力Fよりも小さい場合、車輪と路面100との間に滑りが生じない。この場合の摩擦力Fは静摩擦となり、推進力fに比例する。すなわち、F=fと表される。これに対して、推進力fが摩擦力Fよりも大きい場合、つまり車輪と路面との間に滑りが生じる。この場合の摩擦力Fは動摩擦となり、動摩擦係数をμとすると、F=μNと表される。
また一般的に、動摩擦力は、最大静摩擦力Fmaxよりも小さい値となる。そのため、推進力fが最大静摩擦力Fmaxを超えると、車輪と路面100との間に滑りが生じる。このことから、車輪と路面100との間に滑りを生じさせないためには、推進力fを極力小さくする必要があると言える。
駆動輪10,11のように大きな推進力を発生させる必要がある場合、推進力fの値は車輪を回す力に比例するため、推進力fは大きくなる。これに対して、非駆動輪31,32のように車輪が路面100に追従して自転する場合は、車輪が自由に回るため、推進力fは、ベアリングの摩擦抵抗のように、ごく小さな無視できる摩擦抵抗のみに限られる。そのため、推進力fは限りなく0に近づき、推進力f≒0となる。
このように、非駆動輪31,32は、駆動輪10,11に比べて路面100との接地精度が高く、空転しにくいと言える。そのため、駆動輪10,11に回転型エンコーダ20,21を搭載するよりも、非駆動輪31,32に回転型エンコーダ20,21を搭載した方が、滑りが生じにくい。その結果として、パルス情報を正確に取得することができ、車輪の回転量を正確に測定することができる。
以上説明したように、実施の形態2に係る搬送車1は、非駆動輪31,32に搭載された回転型エンコーダ20,21により、走行パラメータとして、非駆動輪31,32の回転量を測定する。これにより、実施の形態1の効果に加えて、路面100が滑りやすい状態にあって駆動輪10,11のトラクションが失われやすい状況下であっても、PID制御に必要な角度差θ及び距離偏差xをより正確に取得することができる。その結果、PID制御の精度を向上させることができ、搬送車1の走行軌跡のより良好な補正制御が可能になる。
(変形例)
以上、実施の形態を説明したが、各実施の形態を組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
例えば、上記実施の形態では、取得部58は、搬送車1の走行軌跡と目標軌跡との差を示す値として、角度差θと距離偏差xとを取得した。しかしながら、取得部58は、差を示す値として、角度差θと距離偏差xとのうちのいずれか一方のみを取得しても良い。或いは、取得部58は、搬送車1の実際の走行軌跡と目標軌跡との差を示すことが可能な値であれば、差を示す値として、角度差θ又は距離偏差x以外の値を取得しても良い。
上記実施の形態では、搬送車1は、搬送車1の走行状態を示す走行パラメータを測定する測定部として回転型エンコーダ20,21を備えており、走行パラメータとして、駆動輪10,11又は非駆動輪31,32の回転量を測定した。しかしながら、搬送車1は、走行パラメータとして、搬送車1の走行軌跡と目標軌跡との差を示す値を取得することができるパラメータであれば、車輪の回転量以外のパラメータを測定しても良い。その場合、測定部は、回転型エンコーダ20,21以外のセンサであっても良い。このように車輪の回転量以外のパラメータを測定することによっても、搬送車1の走行軌跡と目標軌跡との差を示す値に基づいてフィードバック制御を行うことで、目標軌跡に対してずれが生じた場合に搬送車1の走行軌跡を的確に修正することができるという効果を得ることができる。
上記実施の形態では、計算部59は、PID制御に基づいて、搬送車1の走行軌跡と目標軌跡との差を示す値から、駆動輪11を回転させる速度の補正値を計算した。しかしながら、計算部59は、差を示す値を目標値に近付けて収束させることが可能な補正値を計算する手法であれば、PID制御に限らず、例えばPI制御を用いても良いし、その他のフィードバック制御を用いても良い。
搬送車1の構成は、上記実施の形態で説明した構成に限らない。例えば、駆動輪10,11又は非駆動輪30,31,32が設けられた位置は、上記実施の形態で説明した位置以外であっても良い。或いは、搬送車1は、駆動輪10,11以外の少なくとも1つの駆動輪を更に備えていても良いし、非駆動輪30,31,32以外の少なくとも1つの非駆動輪を備えていても良い。その場合、回転型エンコーダ20,21は、駆動輪10,11以外の少なくとも1つの駆動輪、又は、非駆動輪30,31,32以外の少なくとも1つの非駆動輪に搭載されても良い。
走行制御部53、速度指令部54、回転数検知部55及び補正制御部56のうちの一部の機能は、搬送車1の外部の装置に設けられていても良い。その場合、制御演算装置50は、適宜の無線通信装置により外部の装置と通信し、外部の装置との間で必要な情報を送受信しながら、搬送車1の走行を制御する。
上記実施の形態では、制御演算装置50の制御部51において、CPUがROM又は記憶部52に記憶されたプログラムを実行することによって、走行制御部53、速度指令部54、回転数検知部55及び補正制御部56の各部として機能した。しかしながら、制御部51は、専用のハードウェアであってもよい。専用のハードウェアとは、例えば単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせ等である。制御部51が専用のハードウェアである場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現してもよいし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現してもよい。
また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現してもよい。このように、制御部51は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、これらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
制御演算装置50の動作を規定するプログラムを、パーソナルコンピュータ、情報端末装置等の既存のコンピュータに適用することで、当該コンピュータを、制御演算装置50として機能させることも可能である。
また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD-ROM(Compact Disk ROM)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、この開示の範囲内とみなされる。
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
荷物を搬送するための搬送車であって、
前記荷物を積載することが可能な荷台と、
前記荷台を路面に対して相対的に移動させる第1の駆動輪及び第2の駆動輪と、
前記搬送車が走行している際に、前記搬送車の走行軌跡と目標軌跡との差を示す値を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記差を示す値に基づいて、前記第1の駆動輪と前記第2の駆動輪とのうちの一方の駆動輪を回転させる速度の補正値を計算する計算部と、
前記計算部により計算された前記補正値により補正された速度で、前記一方の駆動輪を回転させる速度指令部と、を備える、
搬送車。
(付記2)
前記搬送車が走行している際に、前記搬送車の走行状態を示す走行パラメータを測定する測定部、を更に備え、
前記取得部は、前記測定部により測定された前記走行パラメータに基づいて、前記差を示す値を取得する、
付記1に記載の搬送車。
(付記3)
前記測定部は、前記走行パラメータとして、前記第1の駆動輪の回転量及び前記第2の駆動輪の回転量を測定し、
前記取得部は、前記測定部により測定された前記第1の駆動輪の回転量及び前記第2の駆動輪の回転量に基づいて、前記差を示す値を取得する、
付記2に記載の搬送車。
(付記4)
第1の非駆動輪及び第2の非駆動輪、を更に備え、
前記測定部は、前記走行パラメータとして、前記第1の非駆動輪の回転量及び前記第2の非駆動輪の回転量を測定し、
前記取得部は、前記測定部により測定された前記第1の非駆動輪の回転量及び前記第2の非駆動輪の回転量に基づいて、前記差を示す値を取得する、
付記2又は3に記載の搬送車。
(付記5)
前記取得部は、前記差を示す値として、前記走行軌跡と前記目標軌跡との角度差を取得する、
付記1から4のいずれか1項に記載の搬送車。
(付記6)
前記取得部は、前記差を示す値として、前記走行軌跡と前記目標軌跡との距離偏差を取得する、
付記1から5のいずれか1項に記載の搬送車。
(付記7)
前記計算部は、前記取得部により取得された前記差を示す値を出力量とし、前記補正値を操作量とするPID制御に基づいて、前記補正値を計算する、
付記1から6のいずれか1項に記載の搬送車。
(付記8)
前記取得部は、前記差を示す値として、前記走行軌跡と前記目標軌跡との角度差と、前記走行軌跡と前記目標軌跡との距離偏差と、を取得し、
前記計算部は、前記取得部により取得された前記角度差と前記距離偏差とに基づいて、それぞれの前記補正値として第1の補正値と第2の補正値とを計算し、
前記速度指令部は、前記計算部により計算された前記第1の補正値と前記第2の補正値とにより補正された速度で、前記一方の駆動輪を回転させる、
付記1から7のいずれか1項に記載の搬送車。
(付記9)
荷物を積載することが可能な荷台と、前記荷台を路面に対して相対的に移動させる第1の駆動輪及び第2の駆動輪と、を備える搬送車の走行制御方法であって、
前記搬送車が走行している際に、前記搬送車の走行軌跡と目標軌跡との差を示す値を取得し、
前記差を示す値に基づいて、前記第1の駆動輪と前記第2の駆動輪とのうちの一方の駆動輪を回転させる速度の補正値を計算し、
前記補正値により補正された速度で、前記一方の駆動輪を回転させる、
搬送車の走行制御方法。
1 搬送車、2 荷台、10,11 駆動輪、20,21 回転型エンコーダ、30,31,32 非駆動輪、50 制御演算装置、51 制御部、52 記憶部、53 走行制御部、54 速度指令部、55 回転数検知部、56 補正制御部、58 取得部、59 計算部、60 操作装置、70,71 モータ、72,73 駆動コントローラ、100 路面

Claims (9)

  1. 荷物を搬送するための搬送車であって、
    前記荷物を積載することが可能な荷台と、
    前記荷台を路面に対して相対的に移動させる第1の駆動輪及び第2の駆動輪と、
    前記搬送車が走行している際に、前記搬送車の走行軌跡と目標軌跡との差を示す値を取得する取得部と、
    前記取得部により取得された前記差を示す値に基づいて、前記第1の駆動輪と前記第2の駆動輪とのうちの一方の駆動輪を回転させる速度の補正値を計算する計算部と、
    前記計算部により計算された前記補正値により補正された速度で、前記一方の駆動輪を回転させる速度指令部と、を備える、
    搬送車。
  2. 前記搬送車が走行している際に、前記搬送車の走行状態を示す走行パラメータを測定する測定部、を更に備え、
    前記取得部は、前記測定部により測定された前記走行パラメータに基づいて、前記差を示す値を取得する、
    請求項1に記載の搬送車。
  3. 前記測定部は、前記走行パラメータとして、前記第1の駆動輪の回転量及び前記第2の駆動輪の回転量を測定し、
    前記取得部は、前記測定部により測定された前記第1の駆動輪の回転量及び前記第2の駆動輪の回転量に基づいて、前記差を示す値を取得する、
    請求項2に記載の搬送車。
  4. 第1の非駆動輪及び第2の非駆動輪、を更に備え、
    前記測定部は、前記走行パラメータとして、前記第1の非駆動輪の回転量及び前記第2の非駆動輪の回転量を測定し、
    前記取得部は、前記測定部により測定された前記第1の非駆動輪の回転量及び前記第2の非駆動輪の回転量に基づいて、前記差を示す値を取得する、
    請求項2に記載の搬送車。
  5. 前記取得部は、前記差を示す値として、前記走行軌跡と前記目標軌跡との角度差を取得する、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の搬送車。
  6. 前記取得部は、前記差を示す値として、前記走行軌跡と前記目標軌跡との距離偏差を取得する、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の搬送車。
  7. 前記計算部は、前記取得部により取得された前記差を示す値を出力量とし、前記補正値を操作量とするPID制御に基づいて、前記補正値を計算する、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の搬送車。
  8. 前記取得部は、前記差を示す値として、前記走行軌跡と前記目標軌跡との角度差と、前記走行軌跡と前記目標軌跡との距離偏差と、を取得し、
    前記計算部は、前記取得部により取得された前記角度差と前記距離偏差とに基づいて、それぞれの前記補正値として第1の補正値と第2の補正値とを計算し、
    前記速度指令部は、前記計算部により計算された前記第1の補正値と前記第2の補正値とにより補正された速度で、前記一方の駆動輪を回転させる、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の搬送車。
  9. 荷物を積載することが可能な荷台と、前記荷台を路面に対して相対的に移動させる第1の駆動輪及び第2の駆動輪と、を備える搬送車の走行制御方法であって、
    前記搬送車が走行している際に、前記搬送車の走行軌跡と目標軌跡との差を示す値を取得し、
    前記差を示す値に基づいて、前記第1の駆動輪と前記第2の駆動輪とのうちの一方の駆動輪を回転させる速度の補正値を計算し、
    前記補正値により補正された速度で、前記一方の駆動輪を回転させる、
    搬送車の走行制御方法。
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