JP2023166300A - 複合材組織の解析方法及び解析装置、並びにそのプログラム - Google Patents

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Abstract

Figure 2023166300000001
【課題】同じ基準で領域分割された画像セットを作成することで、領域分割画像間の形状的な特徴量の違いを数値化して比較し、プロセス-複合材組織-複合材特性の関係を解析する方法を提供する。
【解決手段】二種類以上の材料からなる複合材料の組織形状の解析方法であって、各画素にK次元ベクトルが割り当てられた二次元画像を複数枚含む画像セットを入力しS1、画像セットに含まれる二次元画像のK次元ベクトルをスタックしたデータセットを作成しS2、データセットをK次元ベクトルが類似したデータ点同士でクラスタリングしてクラスタリング結果を作成しS3、クラスタリング結果に基いて前記画像セットの各画素のK次元ベクトルをクラスに置換した領域分割画像セットを作成しS4、領域分割画像セットを出力するS5。
【効果】画像セット内の組織形状の変化を定量化できるようになり、プロセス-複合材組織-複合材特性の関係解析が可能になる。
【選択図】図1

Description

本発明は、二種類以上の材料からなる複合材の表面もしくは断面の二次元画像の各画素に割り当てられたK次元ベクトルに基いて、複合材組織を解析する方法に関する。
複合材は複数の原材料を混合し、攪拌、加熱などの工程を経て形成される。複合材の特性は原材料の特性だけでなく、複合材組織にも依存するため、組織制御による特性向上の開発が進められている。複合材組織の解析では、表面もしくは断面像を顕微鏡で撮影し、得られた二次元画像の各画素に割り当てられた強度情報をもとに各画素にクラスを付けて領域分割し、各領域の形状的な特徴量を解析する。今回、各画素にK次元ベクトルが割り当てられた二次元画像を領域分割する技術を調査した結果、以下の先行技術が抽出された。
特許文献1には、信号分析装置は、EDX装置等の測定装置で測定した二次元座標上のスペクトル分布から、複数の特定信号の強度分布を生成し、n個の特定信号の強度の組み合わせで定義されるn次元空間上のn次元座標点をEMアルゴリズムにより複数のクラスタに分類する技術が記載されている。
特開2017-32591号公報
我々は、プロセス-複合材組織-複合材特性の関係を解析し、組織制御によって複合材特性を向上させる研究開発を進めている。
入力されたデータセットを幾つかのクラスに分類する方法としては、クラス分類とクラスタリングがある。クラス分類は事前に正解が決まっている属性を適切に付与する問題である。一方、クラスタリングはいくつかのかたまりにグループ分けする問題であり、絶対的な正解はない。最初に分類の仕方を指定できる場合はクラス分類を使い、データの分け方はわからないが、統計的な基準で整理したいときにはクラスタリングを使うことが推奨されている。
各画素にK次元ベクトルが割り当てられた二次元画像を領域分割した教師画像を作成するには、ベクトル成分ごとにK枚の画像を作成し、作業者がK枚の画像を見比べながら各画素のクラスを決定する作業が必要になる。K枚の画像を見比べながら、共通の基準で教師画像を作成することは困難である。特許文献1では、作業者の主観を排したクラスタリングを実行することは困難である。特許文献1では、領域分割にクラスタリングを導入し、EMアルゴリズムの収束判定を用いて各画素のベクトルとクラスの対応付けを実行している。しかし、画像毎にクラスタリングを実行すると、収束判定された時のベクトルとクラスの対応が画像毎に違ってしまう。つまり、同じベクトルであっても、ある画像では1とクラス付けされるが、別の画像では2とクラス付けされるという現象が発生する。画像毎にベクトルとクラスの対応が異なると、領域分割画像間の比較が困難になる。つまり、プロセスを変えた試料の組織特徴の比較や、特性の異なる試料の比較を、領域分割画像では行えない。プロセス-複合材組織-複合材特性の関係を解析するという点について考慮されていない。
本発明の目的は、同じ基準で領域分割された画像セットを作成することで、領域分割画像間の形状的な特徴量の違いを数値化して比較できるようにし、プロセス-複合材組織-複合材特性の関係を解析することである。
上記課題を解決するための、本発明の「複合材組織の解析方法」の一例を挙げるならば、二種類以上の材料からなる複合材料の組織形状の解析方法であって、各画素にK次元ベクトルが割り当てられた二次元画像を複数枚含む画像セットを入力し、前記画像セットに含まれる二次元画像のK次元ベクトルをスタックしたデータセットを作成し、前記データセットをK次元ベクトルが類似したデータ点同士でクラスタリングしてクラスタリング結果を作成し(S3)、前記クラスタリング結果に基いて前記画像セットの各画素のK次元ベクトルをクラスに置換した領域分割画像セットを作成し、前記領域分割画像セットを出力する(S5)、複合材組織の解析方法である。
また、本発明の「複合材組織の解析装置」の一例を挙げるならば、各画素にK次元ベクトルが割り当てられた二次元画像を複数枚含む画像セットを入力する画像セット入力部と、前記画像セットに含まれる二次元画像のK次元ベクトルをスタックしたデータセットを作成する入力データセット作成部と、前記データセットをK次元ベクトルが類似したデータ点同士でクラスタリングしてクラスタリング結果を作成するクラスタリング結果作成部と、前記クラスタリング結果に基いて前記画像セットの各画素のK次元ベクトルをクラスに置換した領域分割画像セットを作成する領域分割画像セット作成部と、前記領域分割画像セットを出力する出力部と、を有する複合材組織の解析装置である。
本発明によれば、領域分割の教師画像の作成が困難なK次元ベクトル画像でも、K次元ベクトルとクラスとの対応付けが統一された領域分割画像セットが得られるようになる。また、領域分割画像間の形状的な特徴量の違いを数値化して比較できるようになり、プロセス-複合材組織-複合材特性の関係解析が可能になる。そして、組織制御による複合材特性改善の研究・開発が加速される。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の複合材組織の解析方法の全工程を示すフローチャートである。 入力画像セットを設定するGUIの一例である。 第1の画像セットに含まれる二次元画像のK次元ベクトルをスタックした第1のデータセットの形式の一例である。 クラスタリング結果を作成する工程(S3)に含まれる詳細工程を示すフローチャートである。 主成分解析の結果を表示するGUIの一例である。 K-Meansによるクラスタリング(S33)の説明図であり、図6Aは入力されたデータ点、図6Bはクラスnの重心を計算する工程、図6Cはデータ点のクラスを重心との距離が一番近いクラスに変更する工程、図6Dは変更後のクラス付けで重心を計算する工程の説明に用いるものである。 クラスタリング(S33)に含まれる詳細工程を示すフローチャートである。 パラメータ設定のGUIの一例である。 クラスタリング結果を表示するGUIの一例である。 図1に示すフローチャートに、領域分割画像の形状的な特徴量を計算する工程を追加したフローチャートである。 従来技術の複合材組織の解析方法の全工程を示すフローチャートである。 本発明と従来技術におけるデータ形式の違い示す説明図であり、第1の画像セットのデータ形式を示す図である。 本発明と従来技術におけるデータ形式の違い示す説明図であり、画像毎に作成されたデータセットのデータ形式を示す図である。 本発明と従来技術におけるデータ形式の違い示す説明図であり、全画像から作成されたデータセットのデータ形式を示す図である。 第1の画像セットの各ベクトル成分の強度ヒストグラムを示した一例である。 第1の画像セットでクラスタリングした場合の結果を示す図である。 画像毎にクラスタリングした場合の結果を示す図である。 本発明による計算結果と従来技術による計算結果の違いを示す一例であり、領域分割画像の形状的な特徴量としてクラス1のデータの面積比率を計算している。 本発明の複合材組織の解析装置の部品構成図である。 本発明の複合材組織の解析装置の機能ブロック構成図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
また、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、重複する説明は省略することがある。
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数、順序、もしくはその内容を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。また、特にことわりが無ければ、画像は二次元画像を示す。
実施例1では本発明における複合材組織の解析工程の詳細を説明する。
図1に、本発明における解析方法のフローチャートを示す。本発明の好ましい一側面は、処理装置、記憶装置、入力装置、および出力装置を備える情報処理装置を用い、各画素にK次元ベクトルが割り当てられた二次元画像を複数枚含む第1の画像セットを入力し(S1)、第1の画像セットに含まれる二次元画像のK次元ベクトルをスタックした第1のデータセットを作成し(S2)、第1のデータセットをK次元ベクトルが類似したデータ点同士でクラスタリングして第1のクラスタリング結果を作成し(S3)、第1のクラスタリング結果に基いて第1の画像セットの各画素のK次元ベクトルをクラスに置換した第1の領域分割画像セットを作成し(S4)、第1の領域分割画像セットを出力する(S5)、複合材組織の解析方法である。以下、各工程の詳細を説明する。
<S1.第1の画像セット入力工程>
二次元画像の各画素にK次元ベクトルが割り当てられた第1の画像セットを入力する、画像セット入力工程を説明する。図2に、画像セット入力工程で使用するGUI(raphical ser nterface)の一例を示す。第1の入力画像セットの設定画面を用い、第1の入力画像セットに含まれる画像の名称を選択する。画像の各画素にはK次元ベクトル(A,B,C,…)が設定されている。画像名称が画像1の画像のA成分を割り当てた画像を画像1A、B成分を割り当てた画像を画像1Bと表記する。第1の入力画像セットの表示画面を用い、画像名称と成分名を指定して表示し、画像の内容を確認する。表示画面で確認した結果、入力画像セットから外したい画像があれば、入力画像セットの設定画面の選択をoffに設定し、入力画像セットから外すことが出来る。
<S2.第1のデータセット作成工程>
第1の画像セットに含まれる二次元画像のK次元ベクトルをスタックした第1のデータセットを作成する、第1のデータセット作成工程を説明する。二次元画像の各画素にK次元ベクトル(A,B,…)が割り当てられている第1の画像セットが入力された場合、図3に示すデータセットが作成される。列名には各画素が持つデータ、すなわち画像番号、X座標、Y座標、ベクトル成分(A成分、B成分、…)を設定する。また、データ番号とクラス番号が設定されている。入力データセット作成時にはクラス番号の列は空欄になっており、次のクラスタリング工程で得られたクラスタリング結果を格納する。
<S3.第1のクラスタリング結果作成工程>
図4に、第1のデータセットをK次元ベクトルが類似したデータ点同士でクラスタリングして第1のクラスタリング結果を作成する工程のフローチャートを示す。クラスタリング(S33)を実行する前に、各ベクトル成分の規格化(S31)と、ベクトル成分の次元圧縮(S32)をおこなう。
各ベクトル成分の規格化(S31)は、クラスタリングで各成分を同等に扱うために必要な処理である。一般には、第1のデータセットの平均がゼロに、標準偏差が1になる様に規格化する。データにアーティファクトが混入している確率が高い場合は、第1のデータセットの最頻値がゼロに、四分位範囲の幅が1になるロバスト規格化しても良い。また、大きく外れたデータが混入している場合は、規格化後、外れ値を±3にサチュレーションさせても良い。
次に、ベクトル成分の次元圧縮(S32)について説明する。クラスタリング(S33)では与えられたデータ数に対して、データの次元数が多すぎるとクラスタリング(S33)の性能が低下する。一般的な次元圧縮法として主成分解析(PCA:Principal Component Analysis)がある。相関のある多数の変数から、各次元のベクトルを線形結合した主成分を作成する。相関のない少数の主成分で全体のばらつきを最もよく表すように変換される。第一主成分はその方向の分散が最大になる様に選ばれる。続く主成分は、それまでに決定した主成分と直交するという拘束条件の下で分散が最大になる様に選ばれる。主成分がどれくらいデータセットの特長を説明しているかを示す指標として寄与率がある。寄与率はデータセット全体の分散に対する、その主成分の方向の分散の割合として算出される。累積寄与率は抽出された主成分の寄与率の累計である。累積寄与率が低い場合は主成分数を増加させるか、不要な入力成分を削除して再度PCAを行う。図5に、主成分解析結果の一例を示す。次元削減手法としてはPCA以外にも潜在意味解析(特異値分解)、線形判別分析、独立成分分析などが公開、使用されている。データセットの特徴に合わせて適切な手法を選択する。
クラスタリング(S33)は、教師なしデータ分類手法、つまり与えられたデータを外的基準なしに自動的に分類する手法である。さまざまな手法が提案されているが、大きく分けるとデータの分類が階層的になされる階層型手法と、特定のクラスタ数に分類する非階層的手法とがある。それぞれの代表的な手法としてウォード法、K-Means法などがある。今回はK-Meansでクラスタリングするが、データセットの内容によっては他の手法を選択しても良い。例えば、画像セットに含まれる画像の枚数が増加し、メモリオーバーの場合はMiniBach K-meanを使用した方が良い。その他のクラスタリングの手法としては、Spectral Clustering、GMM、MeanShift、VBGMMなどがある。
K-Meansによるクラスタリングを、図6A~6Dの説明図と図7のフローチャートを用いて説明する。まず、データセットとクラスタリング条件を入力する(S331、図6A)。初めに、各点にランダムにクラスを付ける(S332、図6B)。クラスnが付けられた点を抽出し、クラスnの重心を計算する(S333、図6B)。各点について、クラスnの重心との距離を計算し、距離が一番近いクラスに変更する(S334、図6C)。新しいクラス付けで重心を計算し(S333、図6D)、クラスが変更しなくなるまで繰り返す(S335)。クラス付けの変更が収束した後、重心と点との合計距離を計算する(S336)。
図6Aは各データ点に二次元ベクトル(X,Y)が割り振られたデータセットの例であり、このデータセットを2つにクラスタリングする。図6Bはデータ点にランダムにクラス付けされた例であり、データ点11にはクラス1、データ点12にはクラス2が付けられている。クラス2が付けられたデータ点の重心13を計算する。図6Cはクラスnの重心との距離を計算し、距離が一番近いクラスに変更した結果であり、データ点11‘のクラスが1から2に変更されている。図6Dは新しいクラス付けで重心を計算した結果を示しており、クラス2の重心が13から13’に変更されている。
クラスタリング結果はS332における乱数の与えた方で変化するため、乱数シードを変えてS332からS336の工程を再度実行する。合計距離がすでに計算された合計距離よりも小さい場合(S337)はクラスタリング結果を更新する(S338)。S331で入力するクラスタリング条件には、クラスタ数、クラスの初期値設定(S332)で使用する乱数シードの種類と、収束判定(S335)で使用される最大繰り返し数と収束判定の許容誤差、終了判定(S339)で使用する乱数シード数がある。乱数シード数が入力値に到達したらクラスタリングを終了する(S339)。クラスタリング結果として、各点のクラス、クラスタの重心、合計距離が出力される。
図8に、クラスタリング工程(S3)で使用されるパラメータの入力画面の一例を示す。強度規格化のパラメータ設定画面では、各ベクトル成分の規格化(S31)で使用される規格化方法や外れ値を設定する。主成分解析のパラメータ設定画面では、主成分解析による次元圧縮(S32)で使用されるベクトル成分や主成分数を設定する。クラスタリングのパラメータ設定画面では、クラスタリング(S33)で使用するパラメータを設定する。パラメータとしては、クラス数、クラスの初期値設定(S332)で使用する乱数シードの種類と、収束判定(S335)で使用される最大繰り返し数と収束判定の許容誤差、終了判定(S339)で使用する乱数シード数がある。
<S4.領域分割画像セット作成工程>
データ点に付けられたクラスに基いて二次元画像の各画素にクラスが付けられた領域分割画像セットを作成する領域分割画像セット作成工程を説明する。図3に示したデータセットには各データ点にクラス番号が入力されているので、画像番号、X座標、Y標を参照して各画素にクラス番号を割り当てることで、領域分割画像を作成することが出来る。
<S5.領域分割画像セット出力工程>
作成された領域分割画像セットを出力する。図9に、領域分割画像セット出力工程で使用するGUIの一例を示す。画像セットの解析結果として、各クラスのデータ数、重心、合計距離が表示される。また、主成分の散布図行列を表示させ、データセットの分散状態とクラスタリング結果の対応を確認することが出来る。各画像のクラスタリング結果として、領域分割像と、その画像に含まれる各成分のヒストグラムを表示させる。表示画面には入力画像も表示させ、領域分割像と比較し、クラスタリングの妥当性を確認する。表示画面には、画像名称、入力画像及びヒストグラムに表示成分を選択する入力欄が設けられている。また、領域分割画像の形状的な特徴量を計算し、表示させることもできる。例えば各クラスの面積比率を画像毎に計算し、表示する。なお、今回の計算では各データの面積は画素の面積としているので、各クラスのデータ数の比率と各クラスの面積の比率は一致する。表示画面にてクラスタリング結果を確認し、クラスタリング結果を記憶装置に保存する。クラスタリング結果は、入力画像セットの設定条件、クラスタリングの設定パラメータと紐付けられた形式で保存される。
領域分割画像の形状的な特徴量は必要に応じて計算される値であるので、形状的な特徴量を計算する場合と計算しない場合のフローチャートを各々示す。図1は形状的特徴量を計算しない場合の、図10は計算する場合のフローチャートである。図10において、第1の領域分割画像セット作成工程(S4)の後に、第1の領域分割画像の形状的な特徴量を計算する工程(S6)が設けられている。そして、出力工程(S5)では、第1の領域分割画像セット及び/又は形状的な特徴量を出力する。領域分割画像の形状的な特徴量としては、各クラスの面積比率以外の値を用いても良い。例えば、領域分割画像を細線化して界面の長さを数値化する規格化境界長を計算しても良い。規格化境界長を計算する方法は特願2021-123682号に記載されている。また、領域分割画像に含まれる各領域を粒子で近似して解析する粒子解析を用い、平均粒径や粒子の配向度を計算しても良い。粒子解析は形状的な特徴量の解析方法として一般に知られた方法である。
次に、入力画像セットを、図1に示す本発明のフローチャートで解析した結果と、図11に示す従来技術のフローチャートで解析した結果を比較する。従来技術では、図11に示すように、各画素にK次元ベクトルが割り当てられた二次元画像を複数枚含む第1の画像セットを入力し(S1)、第1の画像セットから第Lの二次元画像を選択し(S11)、第Lの二次元画像のK次元ベクトルをスタックした第Lのデータセットを作成し(S2’)、第LのデータセットをK次元ベクトルが類似したデータ点同士でクラスタリングして第Lのクラスタリング結果を作成し(S3’)、第Lのクラスタリング結果に基いて第Lの画像の各画素のK次元ベクトルをクラスに置換した第Lの領域分割画像を作成し(S4’)、第Lの領域分割画像をまとめた第2の領域分割画像セットを出力する(S5’)。
図1に示す本発明のフローチャートと、図11に示す従来技術のフローチャートとの違いを説明のために、図12Aに示される、各画素にK次元ベクトル(A,B,C,…)が割り当てられた3つの画像(画像1、画像2、画像3)からなる第1の画像セットを仮定する。従来技術では第1の画像セットを入力し(S1)、第1の画像セットから第Lの二次元画像を選択し(S11)、第Lの二次元画像のK次元ベクトルをスタックした第Lのデータセットを作成する(S2’)。例えば画像1を選択し、図12Bに示される、各画素のベクトルをスタックしたデータセット1を作成する。一方、本発明では、図12Cに示される、第1の画像セットに含まれる二次元画像のK次元ベクトルをスタックした第1のデータセットを作成する。
ここで、第1の画像セットとして各画素に2次元ベクトル(A,B)が割り当てられた画像を仮定する。図13Aに、各画像におけるA成分及びB成分の画像強度ヒストグラムを示す。横軸がベクトル成分の値、縦軸が頻度を示す。画像1はA成分の値が低く、B成分の値が高い、低A高Bデータの比率が高い。画像3はA成分の値が高く、B成分の値が低い、高A低Bデータの比率が高い。
図13Bは本発明のフローチャート(図1)に従い、第1の画像セット全体で規格化し、主成分解析を実施し、クラスタ数=2でクラスタリングした結果である。第1の画像セット全体でベクトル成分の平均値がゼロになる様に規格化されるので、格化後の強度ヒストクラムでも、画像1では低A高Bなデータの比率が高く、画像3では低A高Bなデータの比率が低いままである。領域分割画像を見ると、画像1はクラス1の領域の比率が高く、画像3は低い。低A高Bデータはクラス1に、高A低Bデータはクラス2に分類されていることが分かる。主成分1のヒストグラムでも、画像1はクラス1のデータ比率が高く、画像3は低くなっている。
図13Cは従来技術のフローチャート(図11)に従い、各ベクトル成分を画像毎に規格化、主成分解析を実施し、クラスタ数=2でクラスタリングした結果である。各画像でベクトル成分の平均値がゼロになる様に規格化されるので、画像1では低A高Bデータの比率が高く、画像3では低A高Bデータの比率が低いという情報が失われる。この状態でクラスタリングすると、低A高Bデータであるクラス1と、高A低Bデータであるクラス2の比率がほぼ等しくなる。
図14は領域分割画像の形状的な特徴量としてクラス1の領域面積の比率を計算した結果を示している。従来技術のフローチャートに従って画像毎にクラスタリングすると、クラス1の領域面積の比率は画像1で55.6%、画像2で41.8%、画像3で47.2%とどの画像も50%近傍になる。つまり、第1の画像セット間の変化を数値化できていない。一方、本発明のフローチャートに従って第1の画像セットでクラスタリングすると、クラス1の比率が画像1では81.3%と高く、画像3では21.1%と低くなる。クラス1の領域面積の比率を計算することで、第1の画像セット間の変化が数値化されている。第1の画像セット全体でK次元ベクトルとクラスと対応を決めて領域分割画像セットを作成し、領域分割画像間の形状的な特徴量の違いを数値化することで、画像間の違いを定量評価できることが分かる。
二次元画像の各画素にK次元ベクトルが割り当てられたデータとしては、様々な測定装置を想定している。SEM(canning lectron icroscope)-EDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)は、収束した電子線を試料表面で走査し、電子線の入射位置で二次元画像の各画素との対応を制御する。試料から発生するX線スペクトルを測定し、試料に含まれる元素に対応する特性X線の波長領域にあるX線強度を測定する。複数の元素を指定することで、各画素に複数のX線強度測定結果、すなわちベクトル情報が割り当てられる。入射プローブをX線にして測定した蛍光X線分析でも各画素にベクトル情報が割り当てられる。画素毎にスペクトルが得られる装置としては、ラマン分光分析、STEM(Scanning Transmission Electron Microscope)-EELS(Electron Energy Loss Spectroscopy)などもある。
また、K次元ベクトルはスペクトル以外のデータからも得ることが出来る。AFM(Atomic Force Microscopy)は、試料の表面を探針で走査し、試料表面を探針との間に発生する力を検出して画像を得る顕微鏡である。AFMには様々な測定モードがあり、PET(Peak Force Tapping)モードではプローブを試料に近づけ(approach)、接触させた後、遠ざけていく(withdraw)過程でプローブと試料との間で発生する力を測定する。横軸にプローブの高さ、縦軸をプローブにかかる力をプロットしたフォースカーブを画素毎に測定し、フォースカーブを解析することで、試料表面の高さ、弾性率、凝着力などを解析する。これらの解析結果をベクトル情報として各画素に割り当てる。
上記の測定方法を用いてプロセス-複合材組織-複合材特性の関係を解析する際、プロセスが異なる試料をグループ化し、複合材組織の違いを解析する。または、複合材特性が異なる試料をグループ化し、複合材組織の違いを解析する。複合材組織の違いを定量的に解析するには、観察像を領域分割し、組織形状の違いを数値化する必要がある。本発明によって、領域分割の教師画像の作成が困難なK次元ベクトル画像でも、K次元ベクトルとクラスとの対応付けが統一された領域分割画像セットが得られるようになる。また、領域分割画像間の形状的な特徴量の違いを数値化して比較できるようになり、プロセス-複合材組織-複合材特性の関係解析が可能になる。そして、組織制御による複合材特性改善の研究・開発が加速される。
実施例2は、複合材組織の解析装置の実施例である。図15に示す情報処理装置は、解析装置100と、1以上のユーザ端末101とで構成される。解析装置100はパーソナルコンピュータ、汎用計算機などで構成される。解析装置100は、CPUなどの処理部111、記憶部112、ユーザインターフェース(図ではユーザI/F)115、ネットワークインターフェース(図ではネットワークI/F)116、及びこれら構成物を接続する内部ネットワークを含む。処理部111は、記憶部112に格納された解析プログラム113を実行することができる。また、記憶部112は、解析プログラム113を格納するとともに、データベース114に各種情報を格納する。ユーザインターフェース115は、例えば、タッチパネル、ディスプレイ、キーボード、マウス等であるが、作業者(ユーザ)からの操作を受け付け、情報表示ができるのであれば、他のデバイスであってもよい。ネットワークインターフェース116は、ネットワークを介して外部の装置(例えば、ユーザ端末101等)と通信するためのインターフェースである。ユーザ端末101は、解析装置100を利用するユーザによって使用される。ユーザ端末101は、プロセッサ、メモリ、ユーザに対する入出力用のインターフェース(IF)を有している。
図16に、図15の解析装置が実行する処理の機能ブロック構成図を示す。図1あるいは図10の解析フローチャートに対応し、画像セット入力部121、入力データセット作成部122、クラスタリング結果作成部123、領域域分割画像セット作成部124、形状的特徴量計算部126、領域分割画像セット出力部125を有している。
画像セット入力部121は、各画素にK次元ベクトルが割り当てられた二次元画像を複数枚含む第1の画像セットを入力する。
入力データセット作成部122は、第1の画像セットに含まれる二次元画像のK次元ベクトルをスタックした第1のデータセットを作成する。
クラスタリング結果作成部123は、第1のデータセットをK次元ベクトルが類似したデータ点同士でクラスタリングして第1のクラスタリング結果を作成する。
領域域分割画像セット作成部124は、第1のクラスタリング結果に基いて第1の画像セットの各画素のK次元ベクトルをクラスに置換した第1の領域分割画像セットを作成する。
図10に対応する形状的特徴量算出部126は、第1の領域分割画像の形状的な特徴量を計算する。
領域分割画像セット出力部125は、第1の領域分割画像セット及び/又は形状的な特徴量を出力する。
本発明のプログラムは、情報処理装置を図16の複合材組織の解析装置として動作させるものである。すなわち、コンピュータを複合材組織の解析装置として機能させるプログラムであって、各画素にK次元ベクトルが割り当てられた二次元画像を複数枚含む画像セットを入力する画像セット入力部と、前記画像セットに含まれる二次元画像のK次元ベクトルをスタックしたデータセットを作成する入力データセット作成部と、前記データセットをK次元ベクトルが類似したデータ点同士でクラスタリングしてクラスタリング結果を作成するクラスタリング結果作成部と、前記クラスタリング結果に基いて前記画像セットの各画素のK次元ベクトルをクラスに置換した領域分割画像セットを作成する領域分割画像セット作成部と、前記領域分割画像セットを出力する出力部、として機能させるプログラムである。プログラムは、図15の記憶部112に解析プログラム113として記憶されており、解析プログラム113を読み出して処理部111で実行することにより、複合材組織の解析装置が構成される。なお、解析装置100はクラウド上に構成してもよい。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
11…S332でクラス1が付けられたデータ点
11’…S334でクラス2が付けられたデータ点
12…S332でクラス2が付けられたデータ点
13…S332でクラス2が付けられたデータ点の重心
13’…S334でクラス2が付けられたデータ点の重心
21…クラス1の領域
22…クラス2の領域
100…解析装置
101…ユーザ端末
111…処理部
112…記憶部
113…解析プログラム
114…データベース
115…ユーザインターフェース
116…ネットワークインターフェース
121…画像セット入力部
122…入力データセット作成部
123…クラスタリング結果作成部
124…領域分割画像セット作成部
125…領域分割画像セット出力部
126…特徴量計算部

Claims (14)

  1. 二種類以上の材料からなる複合材料の組織形状の解析方法であって、
    各画素にK次元ベクトルが割り当てられた二次元画像を複数枚含む画像セットを入力し、
    前記画像セットに含まれる二次元画像のK次元ベクトルをスタックしたデータセットを作成し、
    前記データセットをK次元ベクトルが類似したデータ点同士でクラスタリングしてクラスタリング結果を作成し、
    前記クラスタリング結果に基いて前記画像セットの各画素のK次元ベクトルをクラスに置換した領域分割画像セットを作成し、
    前記領域分割画像セットを出力する、
    複合材組織の解析方法。
  2. 請求項1に記載の複合材組織の解析方法において、
    前記画像セットは、試料に荷電粒子線もしくはX線を照射し、試料より発生したX線もしくは荷電粒子線のスペクトル情報から二次元画像の各画素にK次元ベクトルが割り当てられている、ことを特徴とする複合材組織の解析方法。
  3. 請求項1に記載の複合材組織の解析方法において、
    前記画像セットは、プローブと試料表面との相互作用により得られた信号情報から二次元画像の各画素にK次元ベクトルが割り当てられている、ことを特徴とする複合材組織の解析方法。
  4. 請求項1に記載の複合材組織の解析方法において、更に、
    前記領域分割画像セットを用い、領域分割画像の形状的な特徴量を計算し、前記領域分割画像の形状的な特徴量を出力する、ことを特徴とする複合材組織の解析方法。
  5. 請求項4に記載の複合材組織の解析方法において、
    前記領域分割画像の形状的な特徴量は、領域の面積比率である、ことを特徴とする複合材組織の解析方法。
  6. 請求項1に記載の複合材組織の解析方法において、
    前記クラスタリング結果の作成は、
    各ベクトル成分を規格化し、
    ベクトル成分の次元を圧縮し、
    クラスタリングを行う、
    ことを特徴とする複合材組織の解析方法。
  7. 請求項6に記載の複合材組織の解析方法において、
    前記ベクトル成分の次元の圧縮は主成分解析による、ことを特徴とする複合材組織の解析方法。
  8. 各画素にK次元ベクトルが割り当てられた二次元画像を複数枚含む画像セットを入力する画像セット入力部と、
    前記画像セットに含まれる二次元画像のK次元ベクトルをスタックしたデータセットを作成する入力データセット作成部と、
    前記データセットをK次元ベクトルが類似したデータ点同士でクラスタリングしてクラスタリング結果を作成するクラスタリング結果作成部と、
    前記クラスタリング結果に基いて前記画像セットの各画素のK次元ベクトルをクラスに置換した領域分割画像セットを作成する領域分割画像セット作成部と、
    前記領域分割画像セットを出力する出力部と、
    を有する複合材組織の解析装置。
  9. 請求項8に記載の複合材組織の解析装置において、更に、
    前記領域分割画像セットを用い、領域分割画像の形状的な特徴量を計算する形状的特徴量計算部を備え、
    前記出力部は、前記領域分割画像の形状的な特徴量を出力する、ことを特徴とする複合材組織の解析装置。
  10. 請求項9に記載の複合材組織の解析装置において、
    前記領域分割画像の形状的な特徴量は、領域の面積比率である、ことを特徴とする複合材組織の解析装置。
  11. 請求項9に記載の複合材組織の解析装置において、
    前記クラスタリング結果作成部は、
    各ベクトル成分を規格化し、
    ベクトル成分の次元を圧縮し、
    クラスタリングを行う、
    ことを特徴とする複合材組織の解析装置。
  12. 請求項11に記載の複合材組織の解析装置において、
    前記ベクトル成分の次元の圧縮は主成分解析による、ことを特徴とする複合材組織の解析装置。
  13. コンピュータを複合材組織の解析装置として機能させるプログラムであって、
    各画素にK次元ベクトルが割り当てられた二次元画像を複数枚含む画像セットを入力する画像セット入力部と、
    前記画像セットに含まれる二次元画像のK次元ベクトルをスタックしたデータセットを作成する入力データセット作成部と、
    前記データセットをK次元ベクトルが類似したデータ点同士でクラスタリングしてクラスタリング結果を作成するクラスタリング結果作成部と、
    前記クラスタリング結果に基いて前記画像セットの各画素のK次元ベクトルをクラスに置換した領域分割画像セットを作成する領域分割画像セット作成部と、
    前記領域分割画像セットを出力する出力部、
    として機能させるプログラム。
  14. 請求項13に記載のプログラムにおいて、更に、
    前記領域分割画像セットを用い、領域分割画像の形状的な特徴量を計算する形状的特徴量計算部として機能させ、
    前記出力部において、前記領域分割画像の形状的な特徴量を出力させる、ことを特徴とするプログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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