JP2023166177A - 認知症のおそれの推定システム及び認知症のおそれの推定装置 - Google Patents

認知症のおそれの推定システム及び認知症のおそれの推定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】手書した文字に関する情報を用いて認知症のおそれの有無を自動判定する認知症のおそれの推定システムを提供する。【解決手段】認知症のおそれの推定システム1は、通信回線30を介して接続された検査サーバ10と被検者端末20とを含む。検査サーバは、認知機能検査を受けた多数の受検者の各々についての、回答用電子ペンapを用いて手書きで入力された文字に関する受検者文字情報と、認知症のおそれがあると判定されたか否かの判定結果と、から成る学習データセットに基づき、受検者文字情報を入力して判定結果に適合する出力を示すように機械学習させられた識別器13を備えている。検査サーバは、被検者が検査用電子ペン20bを用いて手書した文字に関する被検者文字情報を受信すると、識別器に被検者文字情報を入力し、識別器から出力された被検者における認知症のおそれの有無を推定結果として被検者端末に送信する。【選択図】図3

Description

本発明は、被検者が電子ペンを用いて手書きで入力した文字に基づき上記被検者における認知症のおそれの有無を推定する認知症のおそれの推定システム及び認知症のおそれの推定装置に関する。
超高齢化社会を迎えつつある現在、医療機関を受診する認知症発症者の数は急激に増加しており、2015年の世界アルツハイマー報告によると、2015年に全世界で4,680万人の認知症発症者が存在し、2050年までに1億3,150万人に増加すると予想されている。現在のところ認知症に対する決定的な治療法は確立されていないものの、認知症の発症をできるだけ早期に発見することにより、以後の認知症の進行を遅くできる可能性がある。
対象者が認知症を発症しているか否かの診断は、米国精神医学会による診断マニュアルであるDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders-5(DSM-5)などに基づき、専門家により慎重になされるべきであるが、認知症のおそれがあることを対象者或いはその関係者に知らせることにより早期治療の開始につなげることが可能になる。そのため、認知症の発症に伴って現れる様々な変化を用いて対象者における認知症発症の有無を簡単に短時間で自動判定する方法の開発が強く望まれている。
ところで、日常生活において紙などに文字や図形を手書きで記載する機会が多いが、対象者が記載する文字や図形が認知症の発症と共に変化することが報告されている。例えば、非特許文献1(日本法科学技術学会誌,20(Supplement),157,(2015))及び非特許文献2(日本法科学技術学会誌,21(Supplement),165,(2016))には、次のような認知症発症者の筆跡に見られる特徴が挙げられている。
1.文字列が乱れ複数の罫線にまたがる書き方が見られる。
2.字形の乱れや字画の欠落等、不完全な文字や文章が書かれる例が多い。
3.文字の大きさが一定しない。
4.健常時の文字の持つ書き癖は基本的に保たれる。
5.認知症の進行に伴い、本来存在しない判読不能の文字が書かれる場合がある。
そして、非特許文献1には82歳(健常状態)の女性の筆跡の認知症発症による変化について87歳以降まで追跡調査した結果が報告されており、非特許文献2には認知症患者カフェ等において収集された筆跡の分析結果が報告されている。
また、非特許文献3(工業技術,40,30-35,(2018))には、高齢者に対して筆速・加速度・筆圧等の情報を取得することができる電子ペンを用いてひと筆書き図形模写課題を実施し、物忘れリスクのスコアとの関係を調査した結果が報告されており、138人の高齢者を低筆圧群と高筆圧群とに分けて解析したところ、低筆圧群では物忘れリスクが増加する傾向があったこと、及び、物忘れリスクのスコア或いはその変化量と平均筆速及び加速度落ち込み回数との間に相関が認められたことが報告されている。そして、運動制御に関わる神経系は脳の中枢から体の末端まで広く存在することが知られており、精緻な動作である書字行動と認知機能に関係があるとの見解が示されている。
特許文献1(特開2015-219731号公報)は、認知症のおそれの有無の自動判定に関するものではないが、イメージスキャナーやカメラなどで撮影された回答済みの検査フォームの手書画像を通信網を介して受信する通信手段と、受信した手書画像から回答を検出する読取手段と、検出した回答に基づいて上記検査フォームの成績を導く評価手段とを有する検査システムを提案している。そして、実施例1として自動車運転免許更新時における認知機能の検査フォームを用いた例が示されている。この文献にはまた、回答の正誤に加えて、手書画像から検出したテキストの位置、形状、大きさ、傾斜、震え、回答時の筆圧若しくは回答に要した時間又はそれらの揺らぎを、これらの基準値と比較して、各々の差及びその振れ幅に基づいて、検査対象者の体調、日常動作能力、又は視空間および構成能力などの成績(作業評価)を導くことが示されている。しかし、この文献には上記検査フォームの手書画像中の文字の形状と検査フォームの成績或いは認知症発症との関係を示す記載が存在しない。
特許文献2(特開2021-177224号公報)は、やはり認知症のおそれの有無の自動判定に関するものではないが、例えば運転免許更新のための認知機能検査のように一定の基準点を満たせば合格と判定される検査もあるため、受検者に対して予め用意した全ての質問を出さなくても受検者の得点が基準点を満たした時点で検査を終了すれば検査時間を短縮することができるとの認識を示した上で、受検者に対して認知機能検査のための質問を出力する質問出力手段と、上記受検者から、上記質問出力手段によって出力された質問に対する回答の入力を受け付ける回答受付手段と、該回答受付手段によって入力を受け付けた回答の正誤を判定する正誤判定手段と、該正誤判定手段によって正答と判定された場合に、その正答に対して割り当てられている得点を加算することにより上記受検者の得点を算出する得点算出手段と、該得点算出手段によって算出された得点が、あらかじめ設定されている閾値を越えた場合に、上記受検者に対する認知機能検査を終了すると判定する終了判定手段とを備えることを特徴とする認知機能検査システムを提案している。しかし、この文献にも回答データにおける文字の形状と受検者の得点或いは認知症発症との関係を示す記載が存在しない。
特許文献1及び特許文献2に示されている運転免許更新のための認知機能検査は、非特許文献4(https://www.npa.go.jp/koutsuu/menkyo/kaisei_doukouhou_r02/final_report.pdf;「改正道路交通法(高齢運転者対策・第二種免許等の受験資格の見直し)の施行に向けた調査研究」調査研究報告書、特に41~54頁参照。)に示されているように、認知症の診断を行うものではなく、記憶力・判断力の状況を簡易な検査で確認するものであるが、認知機能検査の結果と認知症専門医による診断結果、具体的には臨床的認知症尺度(Clinical Dementia Rating:CDR)による評価結果、との関係を総合的に分析して課題の内容や正答に対する配点、検査の合否判定のための閾値などが定められた、極めて信頼性の高い検査である。従来の運転免許更新のための認知機能検査は、受検者に検査日時を回答させる「時間の見当識課題」、受検者に記憶すべき項目を提示して記憶させ、認知機能の評価に関係しない介入課題を実施した後の、ヒントを提示することなく受検者に記憶していた項目を回答させる自由再生課題、上記記憶すべき項目に関するヒントを提示した後で受検者に思い出した項目を回答させる手がかり再生課題、及び、時計描画課題から構成されていたが、非特許文献4には、上記自由再生課題、上記手がかり再生課題、及び上記時間の見当識課題の順番で実施される簡素化版検査を電子ペンと対応するタブレットを用いて実施したところ、CDR1(軽度認知症)に分類される者を高い正分類予測率及び低い誤分類予測率、すなわち、高い正答率で予測することができたことが示されている。
特開2015-219731号公報 特開2021-177224号公報
日本法科学技術学会誌,20(Supplement),157,(2015) 日本法科学技術学会誌,21(Supplement),165,(2016) 工業技術,40,30-35,(2018) https://www.npa.go.jp/koutsuu/menkyo/kaisei_doukouhou_r02/final_report.pdf
上述したように、日常生活において紙などに文字や図形を手書きで記載する機会が多いため、手書きの文字を利用した認知機能の評価は被検者に受け入れられやすいと考えられる。また、非特許文献1~3には認知症の発症と認知症発症者が手書した文字に関する筆跡や筆圧等との間に相関が認められることが示されている。そこで、手書した文字に関する筆跡や筆圧等の情報を認知症発症の有無を自動判定するシステムや装置の構築のために利用することが考えられる。
非特許文献1~3に示されている症例の数は少ないが、専門家により認知症発症者と診断された者の文字に関する情報を収集し、収集した情報を機械学習のために用いることにより、高い正答率を有する識別器を有する自動判定システムを開発することができると期待され、非特許文献1~3に示されている特徴量以外の自動判定システムのために適した特徴量が発見される可能性もある。しかし、この方法では上記識別器の構築のために十分な量の情報を入手するために長い時間を要する。一方、自動判定システムに要請されているのは、認知症発症の正確な診断ではなく、認知症のおそれがあるか否かという情報を簡単に短時間で対象者或いはその関係者に提供し、早期治療の開始につなげることであり、このような自動判定システムをできるだけ早く提供することである。
そこで、本発明の目的は、被検者が手書した文字に関する情報を用いて認知症のおそれの有無を簡単に短時間で自動判定することができるシステム及び装置を提供することである。
現在では、取得した情報から予め種々の特徴量を抽出して機械学習のために利用する手法の他に、取得した情報をそのまま機械学習のために利用する畳み込みニューラルネットワークやリカレントニューラルネットワークのような深層ラーニングの手法が知られており、この手法が広範に利用されている。認知症のおそれの有無を自動判定するシステムの構築のためにもこの深層ラーニングの手法を利用して手書した文字に関する情報をそのまま用いることが考えられるが、この手法を用いて高い正答率で認知症のおそれの有無を予測する識別器を開発するためには、一般に極めて多くの学習データを収集する必要があり、例えば100万以上の数の学習データを収集する必要がある。
そこで、発明者は、認知機能の評価のための課題に対する回答が文字で入力され、正答から導かれた検査得点が予め定められた閾値に到らないときに認知症のおそれがあると判定する認知機能検査の結果を識別器の構築のための学習データとして利用することを思いついた。この認知機能検査は、認知症発症の正確な判断を行うものではないが、この検査における回答の文字が電子ペンを用いて入力されれば、文字に関する情報をデジタルデータとして通信回線や記録媒体を介して容易に入手することができる上に、文字に関する情報と認知症のおそれがあるか否かの判定結果とが関係づけられた学習データを入手することができる。また、この認知機能検査は多くの医療施設、介護施設、高齢者施設、運転免許更新機関などで実施することができるため、これらの施設や機関の協力が得られれば多数の学習データを迅速に入手することができる。したがって、上述した自動判定システムへの要請に答えることができる。
そこで、本発明はまず、通信回線を介して接続された検査サーバと被検者端末とを含む、被検者における認知症のおそれの有無を推定する認知症のおそれの推定システムであって、
上記検査サーバが、
認知機能を評価するための課題に対する回答としての文字が回答用電子ペンを用いて所定の回答欄に手書きで入力され、入力された回答の正誤が確認され、正答から導かれた検査得点が予め定められた閾値に達しなかったときに認知症のおそれがあると判定する認知機能検査を多数の受検者が実施した結果から得られた、各受検者についての、手書動作の間に上記回答用電子ペンを介して取得された受検者文字情報と、認知症のおそれがあると判定されたか否かの判定結果と、から成る学習データセットに基づき、上記受検者文字情報を入力して上記判定結果に適合する出力を示すように機械学習させられた識別器と、
上記被検者端末から送信された、上記被検者が所定の記入欄に検査用電子ペンを用いて文字を手書きで入力している間に上記検査用電子ペンを介して取得された被検者文字情報を受信するデータ取得部と、
上記データ取得部によって取得された被検者文字情報を上記識別器に入力し、上記識別器から出力された上記被検者における認知症のおそれの有無を、推定結果として上記被検者端末に送信する推定結果出力部と
を備えており、
上記識別器を構成するために用いられた受検者文字情報が、上記回答用電子ペンを介して取得された、ペン先位置及びその時間変化に関する筆跡情報、筆圧及びその時間変化に関する筆圧情報、及び、回答面に対するペンの傾き及びその時間変化に関する傾き情報、のうちの一種以上の情報であり、
上記被検者における認知症のおそれの有無を推定するために用いられる被検者文字情報が、上記検査用電子ペンを介して取得された、上記識別器を構成するために受検者文字情報として用いられた情報と同一種類の情報である
ことを特徴とする認知症のおそれの推定システムに関する。
本発明はまた、被検者における認知症のおそれの有無を推定する認知症のおそれの推定装置であって、
認知機能を評価するための課題に対する回答としての文字が回答用電子ペンを用いて所定の回答欄に手書きで入力され、入力された回答の正誤が確認され、正答から導かれた検査得点が予め定められた閾値に達しなかったときに認知症のおそれがあると判定する認知機能検査を多数の受検者が実施した結果から得られた、各受検者についての、手書動作の間に上記回答用電子ペンによって取得された受検者文字情報と、認知症のおそれがあると判定されたか否かの判定結果と、から成る学習データセットに基づき、上記受検者文字情報を入力して上記判定結果に適合する出力を示すように機械学習させられた識別器と、
上記被検者が所定の記入欄に検査用電子ペンを用いて文字を手書きで入力している間に上記検査用電子ペンによって取得された被検者文字情報を取得するデータ取得部と、
上記被検者文字情報を上記識別器に入力し、上記識別器から出力された上記被検者における認知症のおそれの有無を出力する推定結果出力部と
を備えており、
上記識別器を構成するために用いられた受検者文字情報が、上記回答用電子ペンを介して取得された、ペン先位置及びその時間変化に関する筆跡情報、筆圧及びその時間変化に関する筆圧情報、及び、回答面に対するペンの傾き及びその時間変化に関する傾き情報、のうちの一種以上の情報であり、
上記被検者における認知症のおそれの有無を推定するために用いられる被検者文字情報が、上記検査用電子ペンを介して取得された、上記識別器を構成するために受検者文字情報として用いられた情報と同一種類の情報である
ことを特徴とする認知症のおそれの推定装置に関する。
本発明において、上記識別器を構成するための多数の学習データセットを得るために利用される認知機能検査は、認知機能を評価するための課題に対する回答としての文字が電子ペンを用いて手書きで記載されるものであって且つ手書された文字に関する情報と認知症のおそれがあるか否かの判定結果とを関係づけて取得することができるものであれば良いが、特に遅延再生課題は認知機能の低下を良く反映した課題であるため好ましい。また、“認知機能検査を多数の受検者が実施した結果”の記載における“多数”の語は、学習データセットに含まれる文字に関する情報をこの情報から予め特徴量を抽出することなくそのまま識別器に入力して学習データセットに含まれる判定結果に適合する推定結果を出力するように機械学習させられた識別器を構成するために十分な人数を意味し、特定の人数を意味するものではないが、一般には100万人以上の人数である。さらに、本発明において、“電子ペン”の語は、パソコン、携帯情報端末などのコンピュータに手書きの文字を入力するためのペン形の器具を意味し、コンピュータに備えられたディスプレーに電子ペンを用いて文字を記載するタイプ、専用のタブレットボードに電子ペンを用いて文字を記載するタイプ、特殊なドットパターンが施された紙に電子ペンを用いて文字を記載するタイプ、赤外線や超音波でペン先位置を感知する装置を取り付けた紙に電子ペンを用いて文字を記載するタイプなど、様々なものが知られているが、本発明では、上記回答用電子ペン及び上記検査用電子ペンとして、どのタイプの電子ペンであっても使用することができる。また、“回答面”の語は、電子ペンを用いて文字を記入すべき面を意味し、電子ペンのタイプに応じて、コンピュータに備えられたディスプレーの表面、タッチボードの表面、或いは紙面を意味する。
どのタイプの電子ペンも基本性能として手書動作の間のペン先位置(ペン先の座標)をコンピュータに入力する性能を有しており、したがって、どのタイプの電子ペンを用いてもペン先位置及びその時間変化に関する筆跡情報をコンピュータに入力することができる。なお、ペン先位置(ペン先の座標)の時間変化を追跡すれば、手書きで入力された文字の形状が導出される。図1に、ペン先位置の時間変化のデータから手書した文字を含む画像データが導かれた例を示した。図1において、ペン先位置の時間変化のデータが5ブロックに分かれているが、各ブロックが1ストロークに対応しており、したがって導かれた画像データにおける文字は5ストロークから成っている。そして、本発明では、上記受検者文字情報及び上記被検者文字情報における筆跡情報は、手書された文字を含む画像データの形態であっても良い。電子ペンの中には、上記筆跡情報に加えて、手書動作中の筆圧及びその時間変化に関する筆圧情報、さらには、回答面に対するペンの傾き及びその時間変化に関する傾き情報を同時にコンピュータに入力することができるものがあるが、本発明において使用される検査用電子ペン及び回答用電子ペンは、上記筆跡情報のみをコンピュータに入力可能なものであっても、上記筆跡情報と上記筆圧情報とをコンピュータに入力可能なものであっても、上記筆跡情報と上記筆圧情報と上記傾き情報の全てをコンピュータに入力可能なものであっても良い。そして、上記筆跡情報、上記筆圧情報、及び上記傾き情報のうち、上記受検者用文字情報として上記識別器を構成するために用いられた種類の情報が、上記被検者文字情報として上記被検者の認知症のおそれの有無を推定するために用いられる。
認知機能検査を多数の受検者が実施した結果から得られた、各受検者についての回答用電子ペンを介して取得された受検者文字情報と認知症のおそれがあるか否かの判定結果とが関係づけられた学習データセットを用いて構築された識別器を有する本発明の認知症のおそれの推定システム及び認知症のおそれの推定装置によると、被検者は、日常生活において書き慣れている文字を検査用電子ペンを用いて記載するだけで、認知症のおそれがあるか否かという情報を簡単に短時間で得ることができる。
本発明の認知症のおそれの推定システム及び認知症のおそれの推定装置では、上記識別器を構成するための学習データセットを得るための認知機能検査として、非特許文献4に示されている、受検者に記憶すべき項目を提示して記憶させた後、認知機能の評価に関係しない介入課題の実施を経て順番に実施される、ヒントを提示することなく受検者に記憶していた項目を回答させる自由再生課題、上記記憶すべき項目に関するヒントを提示した後で受検者に思い出した項目を回答させる手がかり再生課題、及び、課題実施の日時を回答させる時間の見当識課題、から構成されている認知機能検査を好適に用いることができる。この検査は、短時間で実施可能な検査である上に、認知機能検査の結果と認知症専門医による診断結果との関係を総合的に分析して認知症のおそれの有無を判定する信頼性の高い検査であるため、この認知機能検査から得られた結果を上記識別器を構成するための学習用データセットとして用いることにより、高い正答率で認知症のおそれの有無を推定する認知症のおそれの推定システム及び認知症のおそれの推定装置を得ることができる。なお、記憶すべき項目の提示から上記手がかり再生課題の終了までの手順は遅延再生課題の一種である。
上述した好適な認知機能検査を用いる場合には、上記学習データセットにおける判定結果を、上記自由再生課題における正答だけから導かれた検査得点で上記閾値に達したために認知症のおそれがないと判断された第1区分、上記自由再生課題における正答だけでは足りず上記自由再生課題と上記手がかり再生課題の両方における正答から導かれた検査得点が上記閾値に達したために認知症のおそれがないと判断された第2区分、上記自由再生課題と上記手がかり再生課題の両方における正答だけでは足りず上記自由再生課題、上記手がかり再生課題及び上記時間の見当識課題の全体における正答から導かれた検査点数が上記閾値に達したために認知症のおそれがないと判断された第3区分、及び、上記自由再生課題、上記手がかり再生課題及び上記時間の見当識課題の全体における正答から導かれた検査得点が上記閾値に達しなかったために認知症のおそれがあると判定された第4区分、の4区分に分けて取得し、上記識別器を上記4区分に分けられた判定結果に適合するように機械学習させられた識別器とすることが好ましい。第1区分から第4区分に向かうにつれて認知機能が徐々に低下すると考えられるが、上記識別器に上記4区分に分けられた判定結果に適合するように機械学習させることにより、認知症のおそれの有無に関する情報だけでなく、認知症のおそれはないが認知機能が少し低下しているおそれがある、といった情報を被検者に提供することができる。
本発明の認知症のおそれの推定システム及び認知症のおそれの推定装置では、受検者文字情報を予め特徴量を取得することなくそのまま上記識別器に入力して機械学習させるが、上述したように、電子ペンは少なくとも手書動作の間のペン先位置及びその時間変化に関する筆跡情報(画像データであっても良い)をコンピュータに入力することができる。そして、筆跡情報にはたくさんの特徴量が含まれている。図2に、筆跡情報に基づく画像特徴量の例として、はみだし、誤字、繋がり、占有度、開始・終了位置、傾き、開口、ひねり、線の寄り・同種線、震えを示した。上記筆跡情報がペン先位置及びその時間変化の形態で取得された場合の特徴量としては、図2に例示された画像特徴量に加えて、筆順、平均筆記速度、筆記速度の振れ幅、筆記速度の変化の方向、筆記速度の落ち込み回数、平均筆記加速度、筆記加速度の振れ幅、筆記加速度の変化の方向、筆記加速度の落ち込み回数、ストローク数、ストローク毎の時間、ストローク間の時間間隔などが挙げられる。したがって、上記受検者文字情報が上記回答用電子ペンによって取得されたペン先位置及びその時間変化に関する筆跡情報(画像データであっても良い)だけであっても、上記識別器は、受検者文字情報と認知症のおそれがあると判定されたか否かの判定結果とから成る多数の学習データセットに基づき、多様な特徴量を見出して上記判定結果に適合する出力を示すように機械学習することになる。すなわち、手書動作中のペン先位置及びその時間変化に関する筆跡情報(画像データであっても良い)は、上記識別器を構成するために適した情報である。
尤も、識別器の機械学習のために入力する情報が多種多様であるほど正答率の高い識別器が構成されると考えられる。したがって、上記識別器を構成するために用いられる受検者文字情報は、上記回答用電子ペンによって取得された、ペン先位置及びその時間変化に関する筆跡情報、筆圧及びその時間変化に関する筆圧情報、及び、回答面に対するペンの傾き及びその時間変化に関する傾き情報、の全ての情報であることが好ましい。筆圧情報から得られる特徴量としては、平均筆圧、筆圧の振れ幅、筆圧の変化の方向、筆圧の落ち込み回数などが挙げられ、傾き情報から得られる特徴量としては、平均傾き、傾きの振れ幅、傾きの変化の方向、傾きの落ち込み回数などが挙げられる。一方で、被検者が文字を手書きで入力するために使用される検査用電子ペンは、筆跡情報だけしか取得できないものであることも、筆跡情報と筆圧情報しか取得できないものであることも、筆跡情報と筆圧情報と傾き情報の全てを取得できるものであることもある。
そこで、本発明の好適な形態では、
上記識別器を構成するために用いられた受検者文字情報が、上記回答用電子ペンを介して取得された、ペン先位置及びその時間変化に関する筆跡情報、筆圧及びその時間変化に関する筆圧情報、及び、回答面に対するペンの傾き及びその時間変化に関する傾き情報、の全ての情報であり、
上記識別器が、上記受検者文字情報として取得された筆跡情報、筆圧情報、及び傾き情報のなかから選択された一種の情報を入力して上記判定結果に適合する出力を示すように機械学習させられた単独情報サブ識別器と、上記受検者文字情報として取得された筆跡情報、筆圧情報、及び傾き情報のなかから選択された二種以上の情報を入力して上記判定結果に適合する出力を示すように機械学習させられた複合情報サブ識別器と、から構成されており、
上記被検者における認知症のおそれの有無を推定するために用いられる被検者文字情報が、上記検査用電子ペンを介して取得された、ペン先位置及びその時間変化に関する筆跡情報、筆圧及びその時間変化に関する筆圧情報、及び、回答面に対するペンの傾き及びその時間変化に関する傾き情報、の一種以上の情報であり、
上記被検者文字情報を参照して、上記単独情報サブ識別器及び上記複合情報サブ識別器の中から上記被検者文字情報と同一種類の情報が機械学習のために使用されたサブ識別器を選択するサブ識別器選択部がさらに備えられており、
上記推定結果出力部が、上記サブ識別器選択部により選択されたサブ識別器に上記被検者文字情報を入力し、上記選択されたサブ識別器から出力された上記被検者における認知症のおそれの有無を、推定結果として出力する。この好適な形態の認知症のおそれの推定システム及び認知症のおそれの推定装置により、被検者が文字を手書きで入力するための検査用電子ペンの種類にかかわらず、認知症のおそれの有無を推定することができる。
なお、上述の好適な形態において、識別器を構成する単独情報サブ識別器及び複合情報サブ識別器はそれぞれ一個である必要はなく、単独情報サブ識別器が、筆跡情報を入力して構成した単独情報サブ識別器、筆圧情報を入力して構成した単独情報サブ識別器、傾き情報を入力して構成した単独情報サブ識別器の二個以上であっても良く、複合情報サブ識別器も同様に、筆跡情報と筆圧情報とを入力して構成した複合情報サブ識別器、筆跡情報と傾き情報とを入力して構成した複合情報サブ識別器、筆圧情報と傾き情報とを入力して構成した複合情報サブ識別器、筆跡情報と筆圧情報と傾き情報とを入力して構成した複合情報サブ識別器、の二個以上であっても良い。
認知機能検査を多数の受検者が実施した結果から得られた、各受検者についての回答用電子ペンを介して取得された受検者文字情報と認知症のおそれがあるか否かの判定結果とが関係づけられた学習データセットを用いて構築された識別器を有する本発明の認知症のおそれの推定システム及び認知症のおそれの推定装置によると、被検者は、日常生活において書き慣れている文字を検査用電子ペンを用いて記入するだけで、認知症のおそれがあるか否かという情報を簡単に短時間で得ることができ、早期治療の開始につなげることができる。
電子ペンのペン先位置(座標)の時間変化のデータから画像データを導いた例である。 筆跡情報から得られる画像特徴量の例を示した図である。 本発明の一実施の形態の認知症のおそれの推定システムの構成を概略的に説明した図である。 図3に示す認知症のおそれの推定システムの機能ブロック図である。 検査機関で実施される認知機能検査の手順を示した図である。 図5に示す認知機能検査の手順を受検者が使用する端末の表示部の表示を用いて説明した図である。 図3に示す認知症のおそれの推定システムの識別器を構成するために用いられる学習データセットについて説明した図である。 図3に示す認知症のおそれの推定システムの識別器による機械学習のプロセスを示すフローチャートである。 図3に示す認知症のおそれの推定システムによる認知症のおそれの推定のプロセスを示すフローチャートである。 本発明の別の実施の形態の認知症のおそれの推定装置の機能ブロック図である。
以下、本発明の認知症のおそれの推定システム及び認知症のおそれの推定装置の実施の形態について説明するが、本発明の認知症のおそれの推定システム及び認知症のおそれの推定装置は以下の実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。以下では、認知機能検査として非特許文献4に示されている簡易化版の認知機能検査を採用し、この検査を実施する検査機関が特許文献2で提案されているような受検者の検査得点が所定の閾値を超えた時点で検査を終了する方法によって検査を行い、上記検査機関から各受検者についての電子ペンを用いて手書きで記載された文字に関する情報と認知症のおそれがあると判定されたか否かの判定結果とから成る学習データセットの提供を受けることを前提として説明するが、認知機能検査の種類には、認知機能を評価するための課題に対する回答としての文字が電子ペンを用いて手書きで記載されるものであって且つ手書された文字に関する情報と認知症のおそれがあるか否かの判定結果とを関係づけて取得することができるものであれば限定がなく、検査機関における認知機能検査の方法及び検査のためのシステムは、上記学習データセットの収集が可能である限りどのような方法或いはシステムであっても良く、さらに、本発明の認知症のおそれの推定システム及び認知症のおそれの推定装置が自ら認知機能検査を行って上記学習データセットを収集しても良い。
第1の実施の形態:認知症のおそれの推定システム
図3は、本発明の一実施の形態の認知症のおそれの推定システム1の構成の概略を学習データセットの収集方法を含めて説明した図である。認知症のおそれの推定システム1は、このシステム1を利用する被検者に関する情報を入出力するための被検者端末20と、被検者端末20から提供された情報を基に上記被検者における認知症のおそれの有無を推定して推定結果を被検者端末20に提供する検査サーバ10と、を含んでおり、検査サーバ10と被検者端末20とはインターネット回線等の通信回線30により接続されている。検査サーバ10は、演算処理部、通信部、記憶部等を備えた一般的なコンピュータにより構成されており、記憶部に記憶されているソフトウェア(処理プログラム)との協働により検査サーバ10として動作するように構成されている。被検者端末20は、演算処理部、通信部、データの入出力のためのタッチパネル式ディスプレー20a、タッチパネル式ディスプレー20aに文字を記入するための検査用電子ペン20b等を備えた一般的なコンピュータにより構成されており、アプリケーションストアを介してこのコンピュータにインストールされたアプリケーションソフトとの協働により被検者端末20として動作するように構成されている。本実施の形態で使用される検査用電子ペン20bは、手書動作の間のペン先位置(ペン先の座標)及びその時間変化に関する筆跡情報、筆圧及びその時間変化に関する筆圧情報、及び、回答面に対するペンの傾き及びその時間変化に関する傾き情報、の一種以上を被検者端末20に入力することができる電子ペンであれば良い。
図4は、図3に示す検査サーバ10、被検者端末20及び通信回線30から構成される認知症のおそれの推定システム1の機能ブロック図である。理解の容易のため、被検者端末20は一台のみを示している。
被検者端末20は、データ入力部21と推定結果表示部22とを必須の構成要素として有している。データ入力部21は、タッチパネル式ディスプレー20aに表示された所定の記入欄に検査用電子ペン20bを介して文字を記入するように被検者に求め、使用された検査用電子ペン20bの性能に応じて、上記筆跡情報、上記筆圧情報及び上記傾き情報の一種以上を被検者文字情報として取得し、取得した被検者文字情報を検査サーバ10に通信回線30を介して送信するものである。推定結果表示部22は、検査サーバ10から通信回線30を介して送信された、上記被検者における認知症のおそれの有無に関する推定結果を、タッチパネル式ディスプレー20aの表示を介して上記被検者に提示するものである。
検査サーバ10は、学習データセット記憶部12と識別器13とを有する学習処理部11と、データ取得部14と、推定結果出力部15と、サブ識別器選択部16と、を必須の構成要素として有している。
学習処理部11は、被検者端末20から送信された被検者文字情報が識別器13に入力された際に被検者における認知症のおそれの有無を出力しうるように、識別器13に対して機械学習を施すものである。学習データセット記憶部12には、認知機能検査を多数の受検者が実施した結果から得られた、各受検者についての、当該受検者が手書きで回答を記入している間に回答用電子ペンを介して取得された受検者文字情報と、当該受検者が認知症のおそれがあると判定されたか否かの判定結果と、から成る機械学習のための学習データセットが記憶されている。
図3において、検査機関X及び検査機関Yは認知機能検査を実施する機関であり、aは、認知機能検査を実施する受検者が使用する、検査のための問題の提示、上記問題に対する回答の受付、回答の自動採点及び検査終了の判断を行う機能を有する受検者端末であり、TAは、受検者端末aの動作を管理すると共に、受検者端末aから送信された検査結果に誤りがあればその誤りを修正した上で修正後の最終的な検査結果を記憶する機能を有する情報管理サーバである。情報管理サーバTAは、演算処理部、通信部、データの入出力のためのタッチパネル式ディスプレー、記憶部等を備えた一般的なコンピュータにより構成されており、記憶部に記憶されているソフトウェア(処理プログラム)との協働により情報管理サーバTAとして動作するように構成されている。受検者端末aは、演算処理部、通信部、データの入出力のためのタッチパネル式ディスプレーat、タッチパネル式ディスプレー20atに文字を記入するための回答用電子ペンap、記憶部等を備えた一般的なコンピュータにより構成されており、記憶部に記憶されているソフトウェア(処理プログラム)との協働により、受検者端末aとして動作するように構成されている。
情報管理サーバTAと受検者端末aとは無線Wi-Fiを介して接続されており、回答用電子ペンapとしては、手書動作の間のペン先位置(ペン先の座標)及びその時間変化に関する筆跡情報、筆圧及びその時間変化に関する筆圧情報、及び、回答面に対するペンの傾き及びその時間変化に関する傾き情報、の全ての情報を受検者端末aに入力することができる電子ペンが使用されている。
図5には上述した認知機能検査の実施の手順が説明されており、図6には図5に示した認知機能検査の実施の手順が受検者端末aのタッチパネル式ディスプレーatにおける表示を用いて説明されている。
この検査では、情報管理サーバTAから受検者端末aに対して検査開始の命令が送信されると、受検者端末aのタッチパネル式ディスプレーatに、受検者が記憶すべき項目が、記憶を求める表示と共に4ページに分かれて表示される。各ページには「大砲」、「オルガン」などの4種類のイラストが含まれており、所定の記憶時間が設けられた後に別の4種類のイラストを含むページに切り替わる手順が4ページ分繰り返される。したがって、受検者は、記憶すべき項目として16種類のイラストの提示を受けることになる。次に、受検者端末aのタッチパネル式ディスプレーatには、介入課題として、数字の列が、指示された数字に斜線を引くことを求める表示と共に表示される。受検者は、タッチパネル式ディスプレーatに表示された数字の上に回答用電子ペンapを用いて斜線を引く作業を行う。次に、受検者端末aのタッチパネル式ディスプレーatには、自由再生課題として、受検者に記憶していたイラストの種類を記入するように求める表示が示される。受検者は、タッチパネル式ディスプレーatの回答欄に回答用電子ペンapを用いて記憶していたイラストの種類を記入する作業を行う。次に、受検者端末aのタッチパネル式ディスプレーatには、手がかり再生課題として、イラストに「大砲」が描かれていれば「武器」、イラストに「オルガン」が描かれていれば「楽器」というような16種類のイラストの各々を暗示するヒントが提示された上で、受検者にヒントを手がかりとして思い出したイラストの種類を記入するように求める表示が示される。受検者は、タッチパネル式ディスプレーatの回答欄に回答用電子ペンapを用いて思い出したイラストの種類を記入する作業を行う。最後に、受検者端末aのタッチパネル式ディスプレーatには、時間の見当識課題として、「今年は何年ですか」、「今月は何月ですか」、「今日は何日ですか」、「今日は何曜日ですか」、「今は何時何分ですか」という課題実施の日時を質問する表示が示される。受検者は、タッチパネル式ディスプレーatの回答欄に回答用電子ペンapを用いて記憶している課題実施の日時を記入する作業を行う。
この認知機能検査の過程において、受検者端末aのタッチパネル式ディスプレーatの一つの回答欄に回答用電子ペンapを用いて文字が記入される毎に、記入された文字が公知のテキスト変換技術等を用いてテキストに変換され、変換されたテキストが受検者端末aの記憶部に存在する辞書中の正解テキストと比較され、正誤の自動採点がなされる。そして、正誤の自動採点の結果は、受検者による手書動作の間のペン先位置(ペン先の座標)及びその時間変化に関する筆跡情報、筆圧及びその時間変化に関する筆圧情報、及び、回答面に対するペンの傾き及びその時間変化に関する傾き情報と共に、情報管理サーバTAに送信される。
この認知機能検査では、以下の式を用いて検査得点が算出され、検査得点が36点未満である者を認知症のおそれがある者と判定している。判定の基準となる閾値(36点)は、CDR1(軽度認知症)が「認知症のおそれあり」に分類される正分類予測確率が高く、CDR0(認知機能低下のおそれなし)及びCDR0.5(認知症には至らないが認知機能の低下が認められる)が「認知症のおそれあり」に分類される誤分類予測確率が低くなる値として選定されている。
検査得点==2.499×(2×A+1×B)+1.336×C
A:自由再生課題の正答数
B:手がかり再生課題の正答数(自由再生課題では誤答であったもののみ)
C:時間の見当識課題において正答に付与される数値
(年が正答であれば5、月が正答であれば4、日が正答であれば3、
曜日が正答であれば2、時間が正答であれば1が付与)
受検者端末aは、上式に基づき計算された検査得点が36点以上になることが明らかになった時点で検査を終了するとの判断をし(図5参照)、この判断結果が受検者端末aのタッチパネル式ディスプレーatに表示されると共に情報管理サーバTAに送信される。受検者端末aから送信された、各受検者についての、当該受検者が回答欄に記入した文字及び正誤の自動採点の結果は、この認知機能検査の結果を評価する資格を有する検査員による確認のために、情報管理サーバTAのタッチパネル式ディスプレーTAtに表示される。上記検査員は、表示内容を確認し、自動採点の結果に誤りがあれば、その誤りをタッチパネル式ディスプレーTAt上で修正する。そして、上記検査員による確認及び修正を経た最終的な検査得点から導かれた各受検者についての認知症のおそれが認められたか否かの判定結果とどの課題の実施の途中で判定の基準となる閾値(36点)以上となったかという区分情報とが、当該受検者が回答用電子ペンapを用いて記載した文字に関する上記筆跡情報、上記筆圧情報、及び上記傾き情報と共に、検査結果として情報管理サーバTAの記憶部に記憶される。各受検者に関して最終的な検査得点を参照して判定された認知症のおそれの有無は、例えば図6の最終部に記載されているような「記憶・判断力が低くなっており、認知症のおそれがあります。」或いは「認知症のおそれがある基準には該当しませんでした。」というような記載を含む検査結果通知書として各受検者に示される。
情報管理サーバTAに記憶された各受検者についての検査結果は、個人を特定することなく、図7に示されているような、当該受検者に認知症のおそれが認められたか否かの判定結果と、どの課題の実施の途中で判定の基準となる閾値(36点)以上となったかという区分情報とが、当該受検者が回答用電子ペンapを用いて記載した文字に関する上記筆跡情報のデータファイル、上記筆圧情報のデータファイル、及び上記傾き情報のデータファイルと関連付けられてまとめられる。そして、まとめられた結果がUSBメモリ等の記憶媒体を介して或いは通信回線を介して検査サーバ10に提供され、検査サーバ10の学習データセット記憶部12に記憶されて、認知症のおそれの推定システム1の識別器13の機械学習のための学習データセットとして用いられる。区分情報とは、上記自由再生課題における正答だけから導かれた検査得点で上記閾値に達したために認知症のおそれがないと判断された第1区分、上記自由再生課題における正答だけでは足りず上記自由再生課題と上記手がかり再生課題の両方における正答から導かれた検査得点が上記閾値に達したために認知症のおそれがないと判断された第2区分、上記自由再生課題と上記手がかり再生課題の両方における正答だけでは足りず上記自由再生課題、上記手がかり再生課題及び上記時間の見当識課題の全体における正答から導かれた検査点数が上記閾値に達したために認知症のおそれがないと判断された第3区分、及び、上記自由再生課題、上記手がかり再生課題及び上記時間の見当識課題の全体における正答から導かれた検査得点が上記閾値に達しなかったために認知症のおそれがあると判定された第4区分、のいずれであるのかを示すものである。
学習処理部11は、認知症のおそれの推定システム1が稼働する前の準備段階において動作し、上記学習データセットを用いた機械学習により識別器13を最適化する役割を果たす。識別器13の機械学習のためには、公知の畳み込みニューラルネットワークやリカレントニューラルネットワークの技術を使用することができる。図8は、学習処理部11が行う処理を示すフローチャートを示している。ステップS101において、学習処理部11は、学習処理のために使用していない未処理の学習データセット、すなわち、図7に示されているような、受検者の各々についての学習データセットがあるか否かをチェックし、未処理の学習データセットがある場合にはステップS102に処理を進め、未処理の学習データセットがない場合には、ステップS104に処理を進めて一連の処理を終了する。未処理の学習データデータがある場合、すなわち、学習処理部11の最初の稼働の前に学習データセット記憶部12に記憶されている学習データセットや、最初の稼働後に学習データセット記憶部12に追加された学習データセットがある場合には、学習処理部11は、ステップS102において、未処理の学習データセットを学習データセット記憶部12から取得し、ステップS103において、各受検者についての受検者文字情報をそのまま識別器13に入力し、各受検者が上記第1区分、上記第2区分、上記第3区分及び上記第4区分のいずれに該当したのかという判定結果と、識別器13が推定する、各受検者についての認知症のおそれの有無に関する出力結果、すなわち、各受検者が上記第1区分、上記第2区分、上記第3区分及び上記第4区分のいずれに該当する者であるのかという出力結果と、の差が最小になるように学習処理を施す。このステップS103の後、学習処理部11は再度ステップS101に戻って処理を継続する。
検査サーバ10における識別器13は、各受検者についての学習データセットに含まれている上記筆跡情報のみを機械学習のために用いた単独情報サブ識別器13aと、上記筆跡情報と上記筆圧情報とを機械学習のために用いた複合情報サブ識別器13bと、上記筆跡情報と上記筆圧情報と上記傾き情報の全てを機械学習のために用いた複合情報サブ識別値13cと、から構成されている。学習処理部11は、単独情報サブ識別器13aを構成するために、各受検者についての学習データセットに含まれている上記筆跡情報のみを使用して図8に示されている手順を実施し、複合情報サブ識別器13bを構成するために、各受検者についての学習データセットに含まれている上記筆跡情報と上記筆圧情報とを使用して図8に示されている手順を実施し、複合情報サブ識別器13cを構成するために、各受検者についての学習データセットに含まれている上記筆跡情報と上記筆圧情報と上記傾き情報の全てを使用して図8に示されている手順を実施する。
データ取得部14は、被検者端末20から通信回線30を介して送信された、被検者が被検者端末20のタッチパネル式ディスプレー20a上の所定の記入欄に検査用電子ペン20bを介して手書きで記載した文字に関する、手書動作の間のペン先位置(ペン先の座標)及びその時間変化に関する筆跡情報、筆圧及びその時間変化に関する筆圧情報、及び、回答面に対するペンの傾き及びその時間変化に関する傾き情報、の一種以上から成る被検者文字情報を受信し、受信した被検者文字情報をサブ識別器選択部16と推定結果出力部15とに送信するものである。サブ識別器選択部16は、送信された被検者文字情報を参照して、識別器13を構成する単独情報サブ識別器13a、複合情報サブ識別器13b、複合情報サブ識別器13cの中から上記被検者文字情報と同一種類の情報が機械学習のために使用されたサブ識別器を選択し、いずれのサブ識別器を選択したのかという情報と選択が終了したこととを推定結果出力部に送信するものである。推定結果出力部15は、送信された被検者文字情報を選択されたサブ識別器に入力し、上記被検者における認知症のおそれの有無に関する出力結果、すなわち、上記被検者が上記第1区分、上記第2区分、上記第3区分及び上記第4区分のいずれに該当する者であるのかという出力結果を出力させ、識別器13の出力結果を推定結果として被検者端末20に送信するものである。
次に、認知症のおそれの推定システム1における具体的な処理について説明する。図9は、認知症のおそれの推定システム1による被検者における認知症のおそれの有無の推定のプロセスを示すフローチャートである。
認知症のおそれの推定システム1の利用を希望する被検者が被検者端末20を操作してこのシステム1にアクセスすると、被検者端末20のデータ入力部21は、タッチパネル式ディスプレー20aの表示を介してシステム1の説明をした上で、上記被検者に対してタッチパネル式ディスプレー20a上の所定の記入欄に検査用電子ペン20bを用いて手書きで文字を記載することを求める書字命令を提示する。書字命令は、検査用電子ペン20bを介して手書した文字に関する情報が得られる命令であれば限定がなく、例えば、「電子ペンを用いてあなたの氏名を以下の記入欄に書いて下さい。」、「電子ペンを用いてあなたの住所を以下の記入欄に書いてください。」、「電子ペンを用いて以下のクロスワードパズルの回答を記入して下さい。」、「電子ペンを用いて以下の脳トレ問題の回答を記入欄に書いてください。」、「電子ペンを用いて以下の文章を記入欄に書き写してください。」、「電子ペンを用いて何でも良いので文字を以下の記入欄に書いてください。」というような書字命令が挙げられる。
これに対し、上記被検者は検査用電子ペン20bを用いて書字命令に従った文字を手書きで記入する(S1)と、データ入力部21は、ステップS1で得られた文字に関する上記筆跡情報、上記筆圧情報、及び上記傾き情報の一種以上を被検者文字情報として検査サーバ10に通信回線30を介して送信する(S2)。検査サーバ10におけるデータ取得部14は、被検者端末20からの上記被検者についての被検者文字情報を受信し(S3)、受信した被検者文字情報をサブ識別器選択部16及び推定結果出力部15に送信する。サブ識別器選択部16は、受信した被検者文字情報を参照し、識別器13を構成する単独情報サブ識別器13a、複合情報サブ識別器13b、複合情報サブ識別器13cの中から上記被検者文字情報と同一種類の情報が機械学習のために使用されたサブ識別器を選択し(S4)、いずれのサブ識別器を選択したのかという情報と選択が終了したこととを推定結果出力部15に送信する。推定結果出力部15は、識別器13の中の選択されたサブ識別器に被検者文字情報を送信して入力し(S5)、識別器13に上記被検者における認知症のおそれの有無に関する出力結果、すなわち、上記被検者が上記第1区分、上記第2区分、上記第3区分及び上記第4区分のいずれに該当する者であるのかという出力結果を出力させ(S6)、識別器13から推定結果を受信して被検者端末20に対して通信回線30を介して出力結果を送信する(S7)。
被検者端末20の推定結果表示部22は、上記被検者が上記第1区分、上記第2区分、上記第3区分及び上記第4区分のいずれに該当する者であるのかという出力結果を受信し(S8)、出力結果を認知症のおそれの推定システム1における推定結果として、被検者端末20のタッチパネル式ディスプレー20aの表示を介して上記被検者に提示し(S9)、処理を終了する。例えば、上記被検者が第1区分或いは第2区分に該当する者であるとの推定結果が得られた場合には、「今回の検査では認知症のおそれがある基準には該当しませんでした。」というような推定結果が上記被検者に提示され、上記被検者が第3区分に該当するとの推定結果が得られた場合には、「今回の検査では認知症のおそれがある基準には該当しませんでしたが、認知機能が少し低下しているおそれがありますので、日常生活に注意してください。」というような推定結果が上記被検者に提示され、上記被検者が第4区分に該当するとの推定結果が得られた場合には、「この検査は認知症の診断を行うものではありませんが、記憶・判断力が低くなっており、認知症のおそれがあります。早めに専門家による診察を受けることをお勧めします。」というような推定結果が上記被検者に提示される。
第2の実施の形態:認知症のおそれの推定装置
本発明の第2の実施の形態は、通信回線を介さずに単一の装置として働く認知症のおそれの推定装置である。認知症のおそれの推定装置40は、演算処理部、記憶部、データの入出力のためのタッチパネル式ディスプレー、検査用電子ペン等を有する一般的なコンピュータシステムにより構成されており、記憶部に記憶されているソフトウェア(処理プログラム)との協働により、認知症のおそれの推定装置40として動作するように構成されている。
図10は、認知症のおそれの推定装置40の機能ブロック図である。認知症のおそれの推定装置40は、学習データセット記憶部42と識別器43とを有する学習処理部41と、データ取得部44と、推定結果出力部45と、サブ識別器選択部46と、を必須の構成要素として有している。このうち、学習データセット記憶部42と識別器43とを有する学習処理部41及びサブ識別器選択部46は、上述した認知症のおそれの推定システム1の検査サーバ10における学習データセット記憶部12と識別器13とを有する学習処理部11及びサブ識別器選択部16と同じ機能を有している。
データ取得部44は、タッチパネル式ディスプレー上の表示を介して、被検者に検査用電子ペンを用いてタッチパネル式ディスプレー上の所定の記入欄に文字を手書きで記入することを求める書字命令を提示し、被検者が書字命令に従って記載した文字に関する被検者文字情報をタッチパネル式ディスプレーを介して取得し、取得した被検者文字情報を推定結果出力部45及びサブ識別器選択部46に送信するものである。推定結果出力部45は、送信された被検者文字情報を選択されたサブ識別器に入力し、認知症のおそれの有無を出力させ、識別器43の出力結果を推定結果として、タッチパネル式ディスプレーの表示を介して上記被検者に提示するものである。
認知症のおそれの推定装置40は、上述した認知症のおそれの推定システム1と比較して、データ取得部44が通信回線を介して被検者端末から提供された被検者文字情報を受信せず、データ取得部44が自ら被検者文字情報を取得する点と、推定結果出力部45が被検者における認知症のおそれの有無の推定結果を通信回線を介して被検者端末に送信せず、推定結果出力部45が自ら認知症のおそれの推定装置40に備えられているタッチパネル式ディスプレーの表示を介して推定結果を提示する点を除いて同一であるため、これ以上の説明を省略する。
変形例
第1の実施の形態の認知症のおそれの推定システム及び第2の実施の形態の認知症のおそれの推定装置では、学習データセット記憶部と識別器とを有する学習処理部が上記推定システムの検査サーバ内及び上記推定装置内にそれぞれ備えられており、この学習処理部において図8に示す手順が実行され、得られた学習済みの識別器が被検者における認知症のおそれの推定のために用いられているが、本発明の認知症のおそれの推定システムの検査サーバ及び認知症のおそれの推定装置には、学習済みの識別器のみが備えられていても良い。この場合には、学習データセット記憶部と識別器とを有する学習処理部を備えた識別器生成装置が別途設けられ、この識別器生成装置の学習処理部において図8に示す手順が実行され、得られた学習済みの識別器が通信回線又は記憶媒体を介して上記推定システムの検査サーバ及び上記推定装置に提供されて、被検者における認知症のおそれの推定のために用いられる。なお、上記識別器生成装置も、演算処理部、通信部、記憶部等を備えた一般的なコンピュータにより構成され、記憶部に記憶されているソフトウェア(処理プログラム)との協働により識別器生成装置として動作するように構成される。
また、上述した本発明の実施の形態では、学習データセットにおける受検者文字情報として、ペン先位置及びその時間変化に関する筆跡情報、筆圧及びその時間変化に関する筆圧情報、及び、回答面に対するペンの傾き及びその時間変化に関する傾き情報、の全てが用いられているが、学習データセットにおける受検者文字情報は、回答用電子ペンの性能に応じて、上記筆跡情報、上記筆圧情報、及び、上記傾き情報、のうちの一種以上の情報であれば良い。例えば、受検者文字情報が上記筆跡情報である場合には、第1の実施の形態及び第2の実施の形態におけるサブ識別器選択部は不要であり、上記筆跡情報のみを入力して学習データセットにおける判定結果に適合する出力を示すように機械学習させられた識別器を備えた認知症のおそれの推定システム及び認知症のおそれの推定装置が得られる。そして、検査用回答ペンを介して得られた被検者文字情報のうち、受検者文字情報として用いられた情報と同一種類の情報、すなわち筆跡情報が被検者における認知症のおそれの有無の推定のために使用される。
さらに、上述した本発明の実施の形態では、各受検者についての学習データセットにおける判定結果として4区分に分けられた判定結果が用いられているが、各受検者についての学習データセットにおける判定結果は、「認知症のおそれなし」、「認知症のおそれあり」に分けられた判定結果でも良く、この場合には、上記識別器は、各受検者に認知症のおそれが認められるか否かの判定結果と、識別器が推定する各受検者に認知症のおそれが認められるか否かの出力結果と、の差が最小になるように機械学習させられる。
本発明の認知症のおそれの推定システム及び認知症のおそれの推定装置により、被検者は、電子ペンを用いて文字を記入するだけで、認知症のおそれがあるか否かという情報を得ることができる。
1 認知症のおそれの推定システム
10 検査サーバ
20 被検者端末
30 通信回線
13 識別器
13a 単独情報サブ識別器
13b 複合情報サブ識別器
13c 複合情報サブ識別器
14 データ取得部
15 推定結果出力部
16 サブ識別器選択部
40 認知症のおそれの推定装置
43 識別器
43a 単独情報サブ識別器
43b 複合情報サブ識別器
43c 複合情報サブ識別器
44 データ取得部
45 推定結果出力部
46 サブ識別器選択部

Claims (6)

  1. 通信回線を介して接続された検査サーバと被検者端末とを含む、被検者における認知症のおそれの有無を推定する認知症のおそれの推定システムであって、
    前記検査サーバが、
    認知機能を評価するための課題に対する回答としての文字が回答用電子ペンを用いて所定の回答欄に手書きで入力され、入力された回答の正誤が確認され、正答から導かれた検査得点が予め定められた閾値に達しなかったときに認知症のおそれがあると判定する認知機能検査を多数の受検者が実施した結果から得られた、各受検者についての、手書動作の間に前記回答用電子ペンを介して取得された受検者文字情報と、認知症のおそれがあると判定されたか否かの判定結果と、から成る学習データセットに基づき、前記受検者文字情報を入力して前記判定結果に適合する出力を示すように機械学習させられた識別器と、
    前記被検者端末から送信された、前記被検者が所定の記入欄に検査用電子ペンを用いて文字を手書きで入力している間に前記検査用電子ペンを介して取得された被検者文字情報を受信するデータ取得部と、
    前記データ取得部によって取得された被検者文字情報を前記識別器に入力し、前記識別器から出力された前記被検者における認知症のおそれの有無を、推定結果として前記被検者端末に送信する推定結果出力部と
    を備えており、
    前記識別器を構成するために用いられた受検者文字情報が、前記回答用電子ペンを介して取得された、ペン先位置及びその時間変化に関する筆跡情報、筆圧及びその時間変化に関する筆圧情報、及び、回答面に対するペンの傾き及びその時間変化に関する傾き情報、のうちの一種以上の情報であり、
    前記被検者における認知症のおそれの有無を推定するために用いられる被検者文字情報が、前記検査用電子ペンを介して取得された、前記識別器を構成するために受検者文字情報として用いられた情報と同一種類の情報である
    ことを特徴とする認知症のおそれの推定システム。
  2. 前記認知機能の評価のための課題が、受検者に記憶すべき項目を提示して記憶させた後、認知機能の評価に関係しない介入課題の実施を経て順番に実施される、ヒントを提示することなく受検者に記憶していた項目を回答させる自由再生課題、前記記憶すべき項目に関するヒントを提示した後で受検者に思い出した項目を回答させる手がかり再生課題、及び、課題実施の日時を回答させる時間の見当識課題、から構成されている、請求項1に記載の認知症のおそれの推定システム。
  3. 前記学習データセットにおける判定結果が、前記自由再生課題における正答だけから導かれた検査得点で前記閾値に達したために認知症のおそれがないと判断された第1区分、前記自由再生課題における正答だけでは足りず前記自由再生課題と前記手がかり再生課題の両方における正答から導かれた検査得点が前記閾値に達したために認知症のおそれがないと判断された第2区分、前記自由再生課題と前記手がかり再生課題の両方における正答だけでは足りず前記自由再生課題、前記手がかり再生課題及び前記時間の見当識課題の全体における正答から導かれた検査点数が前記閾値に達したために認知症のおそれがないと判断された第3区分、及び、前記自由再生課題、前記手がかり再生課題及び前記時間の見当識課題の全体における正答から導かれた検査得点が前記閾値に達しなかったために認知症のおそれがあると判定された第4区分、の4区分に分けられた判定結果であり、
    前記識別器が、前記4区分に分けられた判定結果に適合するように機械学習させられた識別器である、請求項2に記載の認知症のおそれの推定システム。
  4. 前記受検者文字情報が、前記回答用電子ペンを介して取得された、ペン先位置及びその時間変化に関する筆跡情報である、請求項1~3のいずれか1項に記載の認知症のおそれの推定システム。
  5. 前記識別器を構成するために用いられた受検者文字情報が、前記回答用電子ペンを介して取得された、ペン先位置及びその時間変化に関する筆跡情報、筆圧及びその時間変化に関する筆圧情報、及び、回答面に対するペンの傾き及びその時間変化に関する傾き情報、の全ての情報であり、
    前記識別器が、前記受検者文字情報として取得された筆跡情報、筆圧情報、及び傾き情報のなかから選択された一種の情報を入力して前記判定結果に適合する出力を示すように機械学習させられた単独情報サブ識別器と、前記受検者文字情報として取得された筆跡情報、筆圧情報、及び傾き情報のなかから選択された二種以上の情報を入力して前記判定結果に適合する出力を示すように機械学習させられた複合情報サブ識別器と、から構成されており、
    前記被検者における認知症のおそれの有無を推定するために用いられる被検者文字情報が、前記検査用電子ペンを介して取得された、ペン先位置及びその時間変化に関する筆跡情報、筆圧及びその時間変化に関する筆圧情報、及び、回答面に対するペンの傾き及びその時間変化に関する傾き情報、の一種以上の情報であり、
    前記検査サーバが、前記被検者文字情報を参照して、前記単独情報サブ識別器及び前記複合情報サブ識別器の中から前記被検者文字情報と同一種類の情報が機械学習のために使用されたサブ識別器を選択するサブ識別器選択部をさらに備えており、
    前記推定結果出力部が、前記サブ識別器選択部により選択されたサブ識別器に前記被検者文字情報を入力し、前記選択されたサブ識別器から出力された前記被検者における認知症のおそれの有無を、推定結果として前記被検者端末に送信する、請求項1~3のいずれか1項に記載の認知症のおそれの推定システム。
  6. 被検者における認知症のおそれの有無を推定する認知症のおそれの推定装置であって、
    認知機能を評価するための課題に対する回答としての文字が回答用電子ペンを用いて所定の回答欄に手書きで入力され、入力された回答の正誤が確認され、正答から導かれた検査得点が予め定められた閾値に達しなかったときに認知症のおそれがあると判定する認知機能検査を多数の受検者が実施した結果から得られた、各受検者についての、手書動作の間に前記回答用電子ペンによって取得された受検者文字情報と、認知症のおそれがあると判定されたか否かの判定結果と、から成る学習データセットに基づき、前記受検者文字情報を入力して前記判定結果に適合する出力を示すように機械学習させられた識別器と、
    前記被検者が所定の記入欄に検査用電子ペンを用いて文字を手書きで入力している間に前記検査用電子ペンによって取得された被検者文字情報を取得するデータ取得部と、
    前記被検者文字情報を前記識別器に入力し、前記識別器から出力された前記被検者における認知症のおそれの有無を出力する推定結果出力部と
    を備えており、
    前記識別器を構成するために用いられた受検者文字情報が、前記回答用電子ペンを介して取得された、ペン先位置及びその時間変化に関する筆跡情報、筆圧及びその時間変化に関する筆圧情報、及び、回答面に対するペンの傾き及びその時間変化に関する傾き情報、のうちの一種以上の情報であり、
    前記被検者における認知症のおそれの有無を推定するために用いられる被検者文字情報が、前記検査用電子ペンを介して取得された、前記識別器を構成するために受検者文字情報として用いられた情報と同一種類の情報である
    ことを特徴とする認知症のおそれの推定装置。
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