JP2023161183A - アルミニウム合金箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】箔の伸びを確保しつつ、良好な成形性を有するアルミニウム合金箔を提供する。【解決手段】Fe:0.8質量%以上1.8質量%以下、Si:0.01質量%以上0.15質量%以下、Cu:0.001質量%以上0.05質量%以下を含有し、不可避不純物のMnを0.01質量%以下に規制し、残部がAlとその他の不可避不純物からなる組成を有し、塑性加工前の算術平均粗さをR0、塑性加工後の算術平均粗さをRa、塑性加工時のひずみをεとしたとき、塑性加工に伴う表面あれの増加割合αが下式を満たすアルミニウム合金箔。α=(Ra-R0)/ε≦0.02【選択図】図1

Description

この発明は、成形加工に供されるアルミニウム合金箔に関する。
食品やリチウムイオン電池等の包材に用いられるアルミニウム合金箔は、プレス成型等によって大きな変形が加えられて成形されるため、高い成形性を有していることが求められる。
例えば、特許文献1では、成分範囲を規定するとともに、結晶粒の粒径を規定し、さらに、Cube方位の面積率を規定することで成形性を高めるとしている。
また、特許文献2では、(111)面、(100)面、(110)面、および、(311)面のそれぞれを示す各回折強度の比率を規定し成形性を高めるとしている。
特開2018-115376号公報 特開2012-052158号公報
しかし、従来のアルミニウム合金箔では成形性が充分であるとはいえない。
ところで、アルミニウム箔は成形に伴う塑性加工の進展により材料表面に凹凸が生じるが、良好な成形性を得るためにはこの凹凸を抑制し小さくすることが必要である。
本発明は上記事情を背景としてなされたものであり、高い成型性を有するアルミニウム合金箔を提供することを目的の一つとしている。
すなわち、本発明のアルミニウム合金箔のうち、第1の形態は、Fe:0.8質量%以上1.8質量%以下、Si:0.01質量%以上0.15質量%以下、Cu:0.001質量%以上0.05質量%以下を含有し、不可避不純物のMnを0.01質量%以下に規制し、残部がAlとその他の不可避不純物からなる組成を有し、塑性加工前の算術平均粗さをR、塑性加工後の算術平均粗さをR、塑性加工時のひずみをεとしたとき、塑性加工に伴う表面あれの増加割合αが下式を満たすことを特徴とする。
α=(Ra-R0)/ε≦0.02
他の形態のアルミニウム合金箔の発明は、前記形態の発明において、圧延方向に対して0°、45°、90°の伸びが25%以上であることを特徴とする。
以下に、本発明で規定する内容について説明する。
本発明のアルミニウム合金箔の組成における各成分の限定理由について説明する。
Fe:0.8質量%以上1.8質量%以下
Feは、鋳造時にAl-Fe系金属間化合物として晶出し、焼鈍時に再結晶のサイトとなって再結晶粒を微細化する効果がある。その含有量が少ないと、粗大な金属間化合物の分布密度が低くなり微細化の効果が低く、最終的な結晶粒径分布も不均一となる。一方、含有量が過剰になると、結晶粒微細化の効果が飽和もしくは低下し、さらに鋳造時に生成されるAl-Fe系化合物のサイズが非常に大きくなり、箔の延性と圧延性が低下する。このため、Fe含有量を下限0.8質量%、上限1.8質量%に定める。同様の理由で、下限を1.0質量%、上限を1.6質量%とするのが望ましい。
Si:0.01質量%以上0.15質量%以下
Siは、鋳造時に粗大な金属間化合物を晶出する。粗大な金属間化合物を防ぐため添加量は抑制したい。ただし、含有量が過小になると、高純度の地金を使用する必要があり、製造コストが大幅に増加する。一方、含有量が過剰になると、化合物サイズの粗大化、及び分布密度の低下を招き、圧延性、伸び、成形性が低下する懸念がある。このため、Si含有量は、下限を0.01質量%、上限を0.15質量%に定める。同様の理由で、下限を0.01質量%、上限を0.08質量%とするのが望ましい。
Cu:0.001質量%以上0.05質量%以下
Cuはアルミニウム箔の強度を増加させ、伸びを低下させる元素である。一方ではAl-Fe系合金で報告されている冷間圧延中の過度な加工軟化を抑制する効果がある。Cuの含有量が過小であると加工軟化抑制の効果が低く、過大であると伸びが明瞭に低下する。このためCu含有量の下限を0.001質量%、上限を0.05質量%とする。同様の理由で、下限を0.005%、上限を0.01%とするのが望ましい。
Mn:0.01質量%以下
Mnは、不純物としてアルミニウム母相中に固溶する、あるいは非常に微細な化合物を形成し、アルミニウムの再結晶を抑制する働きがある。微量であればCuと同様に加工軟化の抑制が期待できるが、含有量が多いと中間焼鈍、及び最終焼鈍時の再結晶を遅延させ、微細で均一な結晶粒を得る事が困難となる。そのため、Mn含有量は0.01%以下に規制する。同様の理由で0.005%以下であるのが望ましい。
塑性加工に伴う表面あれの増加割合α
アルミニウム箔を塑性変形させると、材料表面に凹凸(表面あれ)が生じる。表面あれは厚みの不均一さととらえられ、抑制することで成形限界の低下を防ぐことが可能となる。
塑性加工前の算術平均粗さをR、塑性加工後の算術平均粗さをR、塑性ひずみをεとしたとき、塑性加工に伴う表面あれの増加割合αが下式を満たす。
α=(R-R)/ε≦0.02
増加割合αが0.02を超えると、成形限界が低下する。
圧延方向に対して0°、45°、90°の伸びが25%以上である
本発明のアルミニウム合金箔では、上記伸び特性を満たすのが望ましい。これらの角度において、いずれも高い伸びを有することで高い成形性が得られる。
本発明によれば、成形限界の低下を抑え、優れた成形性を得ることができる。
本発明の実施例における塑性ひずみに対する表面粗さの増分(Ra-R)を示すグラフである。 本発明の実施例における限界成形高さ試験で用いる角型ポンチの平面形状を 示す図である。
以下に、本発明のアルミニウム合金箔の実施形態について説明する。
本実施形態のアルミニウム合金箔の製造では、先ずは所定の組成に調製された鋳塊を溶製する。鋳塊であるスラブは均質化処理を行った後、熱間圧延を行い、さらに冷間圧延を行う。冷間圧延では、所望により1回以上の中間焼鈍を行うことができる。最後の中間焼鈍後の最終冷間圧延では、所定の圧下率で圧延を行って、所定の厚さのアルミニウム合金箔を得る。冷間圧延後のアルミニウム合金箔には最終焼鈍を行って、実施形態の合金箔とする。実施形態のアルミニウム合金箔には、成形加工を行うことができる。以下に、各工程について説明する。
・鋳造:スラブ厚さ:600mm以上750mm以下
鋳塊を得るための鋳造は常法により行うことができるが、スラブ厚さを所定の厚さとするのが望ましい。スラブ厚さは、鋳造時の冷却速度に影響し、鋳造時に生成する晶出物や結晶粒のサイズ, 分布に影響する。また、スラブ厚みが異なると最終箔までの圧延率も変化する。
鋳造後における結晶粒の微細均一化は、最終焼鈍後の箔の微細均一化に寄与すると考える。また、スラブ厚み変量による圧延率の変化は最終箔における集合組織の発達にも寄与する。これら、結晶粒サイズや集合組織の集積度合いは表面あれに影響を及ぼし、つまりは成形性にも寄与すると考える。このため、スラブ厚さは600mm以上とするのが望ましい。但し、スラブ厚さが750mmを超えると、鋳造時の冷却速度が低下し、鋳造時に生成する晶出物や結晶粒径の粗大化を引き起こしやすくなる。
・所定組成
アルミニウム合金箔の組成としては、Fe:0.8質量%以上1.8質量%以下、Si:0.01質量%以上0.15質量%以下、Cu:0.001質量%以上0.05質量%以下を含有し、不可避不純物のMnを0.01質量%以下に規制し、残部がAlとその他の不可避不純物からなる組成とする。
・均質化処理:480℃~540℃×8時間以上
均質化処理は、鋳塊のミクロ偏析の解消と金属間化合物の分布状態を調整することを目的としており、最終焼鈍後のアルミニウム合金箔において微細均一な結晶粒組織を得るために重要な処理となる。
均質化処理の温度が480℃未満であると、結晶粒微細化が不十分であり、540℃を超えると、結晶粒の粗大化を招く。処理時間が8時間未満であると、均質処理が不十分となる。
・熱間圧延
:仕上り温度230℃~280℃
均質化処理後の鋳塊を熱間圧延する場合、その仕上がり温度が重要となる。仕上がり温度を適正にして再結晶を抑制する(熱延板をファイバー組織とする)。ただし、仕上がり温度が280℃を超えると熱間圧延後に板の一部で再結晶を生じ、最終製品における理想的な集合組織が得にくくなる。またファイバー粒と再結晶粒が混在する不均一な組織は、最終製品における結晶粒組織の不均一さにも寄与し、成形性の低下を招くおそれがある。一方、圧延仕上がり温度が230℃未満で仕上げるには熱間圧延中の温度も極めて低温となるため、板のサイドにクラックが発生し生産性が大幅に低下する懸念がある。このため、熱間圧延の仕上がり温度は上記範囲が望ましい。
:圧延率99.2%以上
スラブから熱間圧延仕上がりまでの間の圧延率を99.2%以上として, 鋳造時に生成した晶出物を細かく分断させるのが望ましい。また,圧延率を高くすること熱延後でファイバー組織とさせる。
冷間圧延
熱間圧延後には、冷間圧延が行われ、その途中に1回以上の中間焼鈍を行うことができる。
・中間焼鈍:300~400℃×3時間以上
冷間圧延により硬化した材料を軟化(圧延性を回復)させる。また、Feの析出を促進し固溶Fe量を低下させる。
中間焼鈍の温度が300℃未満では再結晶が完了せず結晶粒組織が不均一になるリスクがある、また、中間焼鈍の温度が400℃を超える高温では再結晶粒の粗大化を生じ、最終的な結晶粒サイズも大きくなる。さらに高温ではFeの析出量が低下し、固溶Fe量が多くなる。固溶Fe量が多いと最終焼鈍時の再結晶が抑制され、Cu方位とR方位の密度が大幅に増加してしまう。処理時間が3時間未満の場合でも、再結晶が不完全でありまたFeの析出が不十分となる恐れがある。
中間焼鈍にはコイルを炉に投入し一定時間保持するバッチ焼鈍(Batch Ann
ealing)と、連続焼鈍ライン(Continuous Annealing Line、以下CAL焼鈍という)により材料を急加熱・急冷する2種類の方式がある。中間焼鈍を負荷する場合、いずれの方法でも良い。
例えば、バッチ焼鈍では、300~400℃で3時間以上、CAL焼鈍では、昇温速度:100~250℃/秒、加熱温度:420~470℃、保持時間なしまたは保持時間:5秒以下、冷却速度:20~200℃/秒の条件を採用することができる。ただし、本実施形態としては、中間焼鈍の有無、中間焼鈍を行う場合の条件等は特定のものに限定されるものではない。
・最終冷間圧延:圧延率 95%以上
結晶粒は冷間圧延の過程でも微細化されるため(Grain Subdivision)、中間焼鈍後から最終厚みまでの最終冷間圧延率が高い程、結晶粒は微細化される。また冷間圧延率が高い程、Cu方位やR方位をより発達出来る。そのため、最終冷間圧延率は高い方が望ましく、具体的には最終冷間圧延率を95%以上とすることが望ましい。しかし最終冷間圧延率95%未満では、最終焼鈍後の再結晶粒径が粗大・不均一化し表面あれが悪化し、高延性ひいては高成形性を達成することが難しくなる。
・最終冷間圧延後の厚さ
最終冷間圧延によって所望の厚さとすることができる。本実施形態としては特に厚さが限定されるものではないが、例えば10~40μmの厚さを示すことができる。
・最終焼鈍:250℃~350℃×10時間以上
最終冷間圧延後の箔を完全軟化させるために、最終焼鈍が行われる。箔圧延後の最終焼鈍は例えば、250℃~350℃で実施すればよい。最終焼鈍の温度が低いと軟質化が不十分である。350℃を超えると、箔の変形や経済性の低下などが問題となる。最終焼鈍の時間は、10時間未満では最終焼鈍の効果が不十分である。
実施形態のアルミニウム合金箔は、塑性加工に伴う表面あれの増加割合α{(Ra-R)/ε}が0.02以下である。
塑性加工前の算術平均粗さをR、塑性加工後の算術平均粗さをRa、塑性加工時のひずみをεとしたとき、塑性加工に伴う表面あれの増加割合αが0.02以下である。
算出式におけるひずみ(ε)は塑性ひずみを表し、引張や圧縮、せん断、ねじりなどで変形モードに応じて算出する。例えば、単軸引張によるεは以下のようにして算出する。
まず引張試験前にあらかじめ試験片中央部に垂直方向に2本の線を引き、その距離(l0)を測定する。そして、変形後に再び2本の線間距離(li) を測定し、ε = ln(li/l0)にて計算する。
上記規定は、製造工程においてスラブ厚さを600mm~750mmとし鋳造時に生成する晶出物や結晶粒のサイズ, 分布および最終箔までの圧延率を制御することで、最終箔における結晶粒径や集合組織を適正化することにより得ることができる。
・圧延方向に対して0°、45°、90°の伸びが25%以上
実施形態のアルミニウム合金箔は、圧延方向に対して0°、45°、90°の伸びが25%以上であるのが望ましい。
本実施形態のアルミニウム合金箔の伸びは、この条件を満たしていないものであってもよいが、当該条件を満たすのが望ましい。さらには、上記3方向の伸びが30%以上であるのが一層望ましい。
上記伸びの特性は、前項の表面あれと同様に、製造工程においてスラブ厚さや圧延率を適切に制御することにより得ることができる。
本実施形態では、さらに以下の特性を有しているのが望ましい。
・方位差15°以上の大傾角粒界に囲まれた結晶粒について、平均粒径が15μm以下、かつ最大粒径/平均粒径≦3.5
塑性加工した際に生じる箔の表面あれを抑制することで、伸びや成形性の向上が期待できる。この表面あれに及ぼす影響因子の一つとして結晶粒径が挙げられ、表面あれ抑制には平均結晶粒径が15μm以下であることが望ましい。また、結晶粒の粒度分布が不均一である場合、局所的な変形を生じ易くなり伸びが低下することが予想される。そのため、平均結晶粒径を15μm以下とするだけでなく、最大粒径/平均粒径≦3.5とすることも併せることで高い成形性を得ることができる。
ただし結晶方位密度について、Cu方位が50以上の場合には平均結晶粒径は25μm以下でも良いものとする。
上記特性は、前項の表面あれや伸びと同様に、製造工程においてスラブ厚さや圧延率を適切に制御することにより得ることができる。
・Cube方位密度6以下かつCu方位密度30以上
集合組織もまた箔の表面あれに影響を及ぼす。表面あれは結晶粒界に近しい部分で多く発生し、そのため結晶粒単位の変形、不均一さと関係している。結晶方位が比較的揃っていれば、変形に伴う結晶粒の変形や回転は同様であるが、方位のバラつきが大きければ塑性変形に伴い、各結晶粒の変形や回転に不均一さが生じ、これが表面あれの発達につながる。そのため、結晶方位は集積していた方が表面粗さの抑制につながる。箔は材料厚さが薄いため、その製造過程で圧延率は比較的高くなり、圧延集合組織が発達しやすい。しかし、同時にCube方位が発達すると、結晶方位のバラつきが大きくなり表面あれの抑制に対し適さない。そのため、Cube方位密度6以下かつCu方位密度30以上であるのが望ましい。
ただし平均結晶粒径が6μm以下の場合はCu方位密度15以上でも良いものとする。
上記Cube方位密度、Cu方位密度は、製造工程において、最終冷間圧延率を95%以上にすることにより得ることができる。
以下に、本発明の実施例を説明する。
表1に示すアルミニウム合金(残部がAlとその他の不可避不純物)を常法により溶製し、表2に示す厚みのスラブを得た。当該スラブに対して、500℃で8時間以上保持する均質化処理を行った。
均質化処理後のスラブに対し、表2に示す熱間圧延によって、5mmの仕上がり厚みで熱間圧延を行い、熱間圧延仕上り温度は235℃~284℃とした。
次いで熱間圧延材を冷間圧延した。冷間圧延では、供試材No.10を除いて、板厚が2.8mmになった状態(冷間圧延率44.4%)で、中間焼鈍を行った。中間焼鈍は、360℃×3時間の条件でバッチ炉で行った。その後、仕上げ厚さ40μmになるまで最終冷間圧延を行った。最終冷間圧延の圧下率は98.6%であった。試験材No.10は、中間焼鈍を行うことなく仕上げ厚さまで圧延した。よって最終冷間圧延は99.2%であった。
冷間圧延を完了したアルミニウム合金箔に対しては、最終焼鈍を行った。最終焼鈍は300℃×20時間の条件により行った。
得られた供試材に対し、以下の項目についてそれぞれ評価を行い、評価結果を表3に示した。
伸び率
伸び率は引張試験にて測定した。引張試験は、JIS Z2241に準拠し、圧延方向に対して0°、45°、90°の各方向の伸びを測定できるように、JIS5号試験片を採取し、万能引張試験機(島津製作所社製 AGS-X 10kN)で引張り速度5mm/min.にて試験を行った。
伸び率の算出について以下の通りである。まず試験前に試験片長手中央に試験片垂直方向に2本の線を標点距離である50mm間隔でマークする。試験後にアルミニウム合金箔の破断面をつき合わせてマーク間距離を測定し、そこから標点距離(50mm)を引いた伸び量(mm)を標点間距離(50mm)で除して伸び率(%)を求めた。
表面あれ測定
本実施例の塑性加工は引張試験にて行った。引張試験は前項の伸び率測定同様、JIS5号試験片を用い、前記万能引張試験機にて引張ひずみを付与することで実施した。
供試材の表面粗さ測定はJIS B0601:2001に基づいて実施した。実際の測定は、共焦点レーザー顕微鏡(キーエンス社, VK-X100)によって行い、解析アプリケーション(キーエンス社,VK-H1XA)を用いて分析を行った。観察倍率×500で視野サイズ1000×500μmとし、測定箇所は前記JIS5号試験片の幅手と長手の中央部である。前記レーザー顕微鏡によってスキャンしたデータに対し、ノイズ除去、傾き補正処理を施し表面粗さを測定した。ノイズ除去はノイズ検出レベルを[通常]とし、傾き補正は補正方法を[面傾き補正(プロファイル)]を選択した。表面粗さのパラメータは面粗さの算術平均粗さを用い、JIS B0601:2001に基づいて算出した。
以下に連続観察の手順を述べる。
まず、試験前の試験片の表面性状を共焦点レーザー顕微鏡にて観察する。その後、引張試験を行う。塑性変形中の任意の点で試験を途中停止し、塑性変形後の表面性状観察(表面粗さ測定)を再び行う。観察後、同試験片でさらに加工を行い、塑性変形中に試験を途中停止し表面性状(表面粗さ測定)を観察する。このような手順を複数回(最低3回以上)繰り返し、異なる任意のひずみレベルにおける表面形状測定を行う。各測定にて得られた塑性ひずみと算術平均粗さの変化(R-R)をプロットし、最小二乗法による近似直線を描くことにより、図1に示すような塑性ひずみに対する表面粗さの変化のグラフを作成し、その近似直線の傾きから表面あれの増加割合αを求めた。
結晶粒径
箔表面を電解研磨した後、SEM(Scanning Electron Microscope)-EBSDにて結晶方位解析を行い、結晶粒間の方位差が15°以上の結晶粒界をHAGBs(大傾角粒界)と規定し、HAGBsで囲まれた結晶粒の大きさを測定した。倍率×900で視野サイズ90×180μmを3視野測定し、平均結晶粒径、及び大粒径/平均粒径を粒径比として算出した。一つ一つの結晶粒径は円相当径にて算出し、平均結晶粒径の算出にはEBSDのArea法(Average by Area Fraction Method)を用いた。尚、解析にはTSL Solutions社のOIM Analysisを使用した。
結果は、平均結晶粒径、粒径比として表3に示した。
結晶方位密度
Cube方位は{001}<100>、Cu方位は{112}<111>を代表方位とした。それぞれの方位密度はX線回折法において、{111}、{200}、{220}の不完全極点図を測定し、その結果を用いて3次元方位分布関数(ODF;Orientation Distribution Function)を計算し、各結晶方位密度の評価を行った。
結果は、Cube方位密度、Cu方位密度として表3に示した。
角筒張出し高さ
角筒張出し高さは角筒成形試験にて評価した。試験は万能薄板成形試験器(ERICHSEN社製 モデル142/20)にて行い、厚さ40μmのアルミ箔を、図2に示す形状を有する角型ポンチ(一辺の長さL=37mm、角部の面取り径R=4.5mm)を用いて行った。試験条件として、シワ抑え力は10kN、ポンチの上昇速度(成形速度)の目盛は1とし、そして箔の片面(ポンチが当たる面)に鉱物油を潤滑剤として塗布した。箔に対し装置の下部から上昇するポンチが当たり、箔が成形されるが、3回連続成形した際に割れやピンホールがなく成形できた最大のポンチの上昇高さをその材料の角筒張出し高さ(mm)と規定した。ポンチの高さは0.5mm間隔で変化させた。
測定結果は表3に示した。
表に示すように、本願発明の実施例では、比較例に比して角筒張出し高さが大きく、優れた成形性を有している。それに対し、本発明の組成もしくは塑性加工に伴う表面あれ増加割合αの何れか又は両方が範囲外である比較例No.11~17は、角筒張出し高さが小さく、成形性に劣っている。
Figure 2023161183000002
Figure 2023161183000003
Figure 2023161183000004

Claims (2)

  1. Fe:0.8質量%以上1.8質量%以下、Si:0.01質量%以上0.15質量%以下、Cu:0.001質量%以上0.05質量%以下を含有し、不可避不純物のMnを0.01質量%以下に規制し、残部がAlとその他の不可避不純物からなる組成を有し、塑性加工前の算術平均粗さをR、塑性加工後の算術平均粗さをR、塑性加工時のひずみをεとしたとき、塑性加工に伴う表面あれの増加割合αが下式を満たすことを特徴とするアルミニウム合金箔。
    α=(R-R)/ε≦0.02
  2. 圧延方向に対して0°、45°、90°の伸びが25%以上であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金箔。
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