JP2023157366A - 血圧測定装置 - Google Patents

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Masaki Furukoshi
和紀 上村
Kazunori Kamimura
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Abstract

【課題】最高血圧値を正確に決定できる血圧測定装置を提供する。【解決手段】最高血圧値算出部88により、圧迫帯12の圧迫圧力が生体の最高血圧値よりも高い値から下降させられる過程で逐次得られた、脈波信号SM1が表す上流側容積脈波と脈波信号SM3が表す下流側容積脈波との相互相関係数Φ(τ)の変化に基づいて、生体14の最高血圧値SBPが決定される。上流側容積脈波と下流側容積脈波との相互相関係数Φ(τ)の変化は、圧迫帯14により閉塞されていた動脈の血流が実際に開始されたことを示すので、血管コンプライアンス、脈拍数、脈圧値、血圧値など、被測定者毎に異なる生体固有の特徴量の影響を受けないので、生体の最高血圧値SBPの決定精度が高められる。【選択図】図1

Description

本発明は、腕、足首のような生体の一部である被圧迫部位に巻き付けられる圧迫帯を備えた血圧測定装置に関するものである。
生体の被圧迫部位に巻き付けられる圧迫帯を備え、その圧迫帯の圧迫圧力を変化させる過程でその圧迫帯内の圧力振動である脈波を逐次抽出し、その脈波の変化に基づいて生体の血圧値を自動的に決定する血圧測定装置において、幅方向に連ねられて生体の被圧迫部位を各々圧迫する独立した気室を有する複数の膨張袋を有する圧迫帯を用いるものが知られている。例えば、特許文献1に記載されたものがそれである。
特許文献1の実施例1に記載された血圧測定装置では、圧迫帯による圧迫圧力が最高血圧値よりも高い値から下降させられる過程で、複数個の膨張袋の1つ例えば中間膨張袋から得られた容積脈波の頂点を結ぶ包絡線(エンベロープ)が急激な上昇を示す点及び急激な下降を示す点のそれぞれの圧迫圧力を最高血圧値及び最低血圧値として決定する所謂オシロメトリック方式の血圧値決定アルゴリズムが用いられている。
特開2012-071059号公報
しかしながら、圧迫帯による圧迫圧力が最高血圧値よりも高い値から下降させられる過程で、複数個の膨張袋の1つ例えば中間膨張袋から得られる容積脈波の頂点を結ぶ包絡線(エンベロープ)が急激な上昇を示す点及び急激な下降を示す点のそれぞれの圧迫圧力を最高血圧値および最低血圧値として決定する所謂オシロメトリック方式の血圧値決定アルゴリズムでは、血管コンプライアンス、脈拍数、脈圧値、血圧値など、被測定者毎に異なる生体固有の特徴量の影響を強く受けるため、血圧測定値の誤差が大きく測定精度が得られなかった。
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、最高血圧値を正確に決定できる血圧測定装置を提供することである。
本発明者等は、以上の事情を背景として種々検討を重ねた結果、複数連ねられた独立した膨張袋で生体をそれぞれ圧迫できる圧迫帯を用いて、各膨張袋から独立に得られる容積脈波を比較検討するうち、圧迫帯による圧迫圧力が最高血圧値付近まで下降させられると、上流側膨張袋から得られる上流側容積脈波と下流側膨張袋から得られる下流側容積脈波との波形が近似し、それら上流側容積脈波と下流側容積脈波との間の相互相関係数が急激に増加する現象を見出した。上流側容積脈波と下流側容積脈波との間の相互相関係数が急激に増加する時点は、それまで閉塞されていた動脈の血流が開始されたことを示す証であるので、その時点の圧迫圧に基づいて最高血圧値を決定することができることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて為されたものである。
すなわち、第1発明の要旨とするところは、(a)生体の被圧迫部位に巻き付けられ、前記生体内の動脈の長軸方向において異なる被圧迫部位を各々圧迫する独立した上流側膨張袋および下流側膨張袋を有し、前記上流側膨張袋および前記下流側膨張袋によりそれぞれ同じ圧迫圧力で前記被圧迫部位内の動脈血管を圧迫する圧迫帯を、備える血圧測定装置であって、(b)前記圧迫帯による前記被圧迫部位に対する圧迫圧力を前記生体の最高血圧値よりも高い値から下降させる過程で前記上流側膨張袋内および前記下流側膨張袋内の圧迫圧力にそれぞれ含まれる前記生体の心拍に同期した圧力振動である上流側容積脈波および下流側容積脈波を逐次抽出する容積脈波抽出部と、(c)前記容積脈波抽出部により逐次抽出された上流側容積脈波と下流側容積脈波との間の相互相関係数を逐次算出する相互相関係数算出部と、(d)前記相互相関係数算出部により逐次算出された相互相関係数の変化に基づいて、前記生体の最高血圧値を算出する最高血圧値算出部と、を含むことにある。
第2発明の要旨とするところは、第1発明において、前記最高血圧値算出部は、前記相互相関係数算出部により逐次算出された前記上流側容積脈波と下流側容積脈波との相互相関係数の差分値を逐次算出する差分値算出部と、前記差分値算出部により逐次算出された前記相互相関係数の差分値の最大値が発生したときの前記圧迫帯による前記生体の被圧迫部位への圧迫圧に基づいて前記生体の最高血圧値を決定する最高血圧値決定部とを、含むことにある。
第3発明の要旨とするところは、第1発明または第2発明において、前記最高血圧値算出部は、前記相互相関係数算出部により逐次算出された前記上流側容積脈波と下流側容積脈波との相互相関係数を、最大値が1となるように正規化した正規化相互相関係数に変換する正規化処理部を、含むことにある。
第4発明の要旨とするところは、第1発明から第3発明のいずれか1の発明において、前記圧迫帯は、前記被圧迫部位に対する圧迫圧力を、前記圧迫圧力を一定に維持する圧迫圧力一定区間と前記圧迫圧力一定区間の間で前記圧迫圧力を変化させる圧迫圧力変化区間とを繰り返しつつ前記生体の最高血圧値よりも高い値から下降させるものであり、容積脈波抽出部は、前記圧迫圧力一定区間で前記生体の心拍に同期した圧力振動である上流側容積脈波および下流側容積脈波を逐次抽出するものである。
第5発明の要旨とするところは、第1発明から第4発明のいずれか1の発明において、前記最高血圧値算出部は、前記相互相関係数算出部により逐次算出された前記上流側容積脈波と下流側容積脈波との相互相関係数値が予め設定した判定閾値を超えたときの前記圧迫帯による前記生体の被圧迫部位への圧迫圧に基づいて前記最高血圧値を決定する最高血圧値決定部とを、含むことにある。
第1発明の血圧測定装置によれば、前記最高血圧値算出部により、前記圧迫帯の圧迫圧力が最高血圧値よりも高い値から下降させられる過程で逐次得られた、前記上流側容積脈波と下流側容積脈波との相互相関係数の変化に基づいて、前記生体の最高血圧値が自動的に決定される。これにより、前記上流側容積脈波と下流側容積脈波との相互相関係数の変化は、前記圧迫帯により閉塞されていた動脈の血流が実際に開始されたことを示すので、血管コンプライアンス、脈拍数、脈圧値、血圧値など、被測定者毎に異なる生体固有の特徴量の影響を受けないので、生体の最高血圧値の決定精度が高められる。
第2発明の血圧測定装置によれば、前記最高血圧値算出部は、前記相互相関係数算出部により逐次算出された前記上流側容積脈波と下流側容積脈波との相互相関係数の差分値を逐次算出する差分値算出部と、前記差分値算出部により逐次算出された前記相互相関係数の差分値の最大値が発生したときの前記圧迫帯による前記生体の被圧迫部位への圧迫圧に基づいて前記生体の最高血圧値を決定する最高血圧値決定部とを、含む。これにより、前記相互相関係数の差分値は前記相互相関係数の変化を強調するので、生体の最高血圧値の決定精度が一層高められる。
第3発明の血圧測定装置によれば、前記最高血圧値算出部は、前記相互相関係数算出部により逐次算出された前記上流側容積脈波と下流側容積脈波との相互相関係数を、最大値が1となるように正規化した正規化相互相関係数に変換する正規化処理部を、含む。これにより、相互相関係数の絶対値の大きさの影響を受けないので、生体の最高血圧値の決定精度が一層高められる。
第4発明の血圧測定装置によれば、前記圧迫帯は、前記被圧迫部位に対する圧迫圧力を、前記圧迫圧力を一定に維持する圧迫圧力一定区間と前記圧迫圧力一定区間の間で前記圧迫圧力を変化させる圧迫圧力変化区間とを繰り返しつつ前記生体の最高血圧値よりも高い値から下降させるものであり、容積脈波抽出部は、前記圧迫圧力一定区間で前記生体の心拍に同期した圧力振動である上流側容積脈波および下流側容積脈波を逐次抽出するものである。これにより、容積脈波抽出部において抽出された上流側容積脈波および下流側容積脈波の波形の歪みが抑制されるので、前記生体の最高血圧値の決定精度が一層高められる。
第5発明の血圧測定装置によれば、前記最高血圧値算出部は、前記相互相関係数算出部により逐次算出された前記上流側容積脈波と下流側容積脈波との相互相関係数値が予め設定した判定閾値を超えたときの前記圧迫帯による前記生体の被圧迫部位への圧迫圧に基づいて前記最高血圧値を決定する最高血圧値決定部とを、含む。これにより、前記圧迫帯により閉塞されていた動脈の血流が実際に開始されたことを示す相互相関係数の変化に基づいて前記最高血圧値が決定されることから、生体の最高血圧値の決定精度が高められる。
本発明の一実施例である血圧測定装置の構成を説明するブロック図である。 図1の圧迫帯を外周面の一部を切り欠いて示す図である。 図2の圧迫帯内に備えられた上流側膨張袋、中間膨張袋、及び下流側膨張袋を示す平面図である。 図3のIV-IV視断面図であって、上流側膨張袋、中間膨張袋、及び下流側膨張袋を幅方向に切断して示した図である。 図1の電子制御装置に備えられた制御機能の要部を説明するための機能ブロック線図である。 図5のカフ圧制御部による圧迫圧力制御作動の要部を説明するタイムチャートである。 図5のカフ圧制御部により制御される圧迫圧力のうち、図5の容積脈波抽出部により抽出される上流側容積脈波および下流側容積脈波の発生区間を説明する図である。 図5の相互相関係数算出部および正規化処理部によりステップ圧毎に算出された正規化相互相関係数の、圧迫帯による圧迫圧力に対する変化を示す図である。 図5の差分値算出部によりステップ圧毎に算出された正規化相互相関係数の差分値の圧迫圧力に対する変化を示す図である。 図5の電子制御装置の血圧測定作動の要部を説明するフローチャートを示す図である。 図10の最高血圧決定ルーチンの内容を、詳しく説明するフローチャートである。 オシロメトリック法により測定された最高血圧値の、聴診法を用いて測定した最高血圧値に対する誤差を示す図である。 本発明の一例により測定された最高血圧値の、聴診法を用いて測定した最高血圧値に対する誤差を示す図である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比及び形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、被圧迫部位である生体14の肢体例えば上腕16に巻き付けられた上腕用の圧迫帯12を備えた本発明の一例の血圧測定装置10を示している。この血圧測定装置10は、血圧測定起動操作後に自動的に上腕16内の動脈18を閉塞するのに十分な値まで昇圧させた圧迫帯12の圧迫圧力PCを降圧させる過程において、動脈18の容積変化に応答して発生する圧迫帯12内の圧迫圧力PCの圧力振動である脈波を逐次抽出し、その脈波から得られる情報に基づいて生体14の最高血圧値SBP及び最低血圧値DBPを自動的に測定するものである。
図2は圧迫帯12の外周側を包む外周側面不織布20aの一部を切り欠いて示す図である。図2に示すように、圧迫帯12は、PVC(polyvinyl chloride)等の合成樹脂により裏面が相互にラミネートされた合成樹脂繊維製の外周側面不織布20a及び内周側不織布20bから成る帯状外袋20と、その帯状外袋20内において幅方向に順次収容され、例えば軟質ポリ塩化ビニールシートなどの可撓性シートから構成されて独立して上腕16を圧迫可能な上流側膨張袋22、中間膨張袋24、及び下流側膨張袋26と、を備える。この圧迫帯12は、外周側面不織布20aの端部に取り付けられた面ファスナ28aに内周側不織布20bの端部に取り付けられた起毛パイル28bが着脱可能に接着されることによって、上腕16に着脱可能に装着されるようになっている。
上流側膨張袋22、中間膨張袋24及び下流側膨張袋26は、長手状の圧迫帯12の幅方向すなわち動脈18の長軸(長手)方向に連ねられて上腕16の動脈18の長軸(長手)方向において離隔した部位を各々圧迫する独立した気室をそれぞれ有するとともに、管接続用コネクタ32、34及び36を外周面側に備えている。それら管接続用コネクタ32、34及び36は、外周側面不織布20aを通して圧迫帯12の外周面に露出されている。
図3は圧迫帯12内に備えられた上流側膨張袋22、中間膨張袋24、及び、下流側膨張袋26を示す平面図であり、図4は図3のIV-IV視断面図である。上流側膨張袋22、中間膨張袋24及び下流側膨張袋26は、それらにより圧迫された動脈18の容積変化に応答して発生する圧力振動である脈波を検出するためのものであり、それぞれ長手状を成している。上流側膨張袋22及び下流側膨張袋26は、中間膨張袋24の両側に隣接した状態で配置されている。また、中間膨張袋24は、上流側膨張袋22及び下流側膨張袋26の間に挟まれた状態で圧迫帯12の幅方向の中央部に配置されている。なお、圧迫帯12が上腕16に巻き付けられた状態においては、上流側膨張袋22及び下流側膨張袋26は上腕16の長手方向に所定間隔を隔てて位置させられ、また、中間膨張袋24は上腕16の長手方向において連なるように上流側膨張袋22及び下流側膨張袋26の間に配置させられる。
中間膨張袋24は所謂マチ構造の側縁部を両側に備えている。すなわち、中間膨張袋24の上腕16の長手方向すなわち圧迫帯12の幅方向における両端部には、互いに接近するほど深くなるように互いに接近する方向に折れ込まれた可撓性シートから成る一対の折込溝24f、24gがそれぞれ形成されている。そして、上流側膨張袋22及び下流側膨張袋26の中間膨張袋24に隣接する側の端部22a及び26aが一対の折込溝24f、24g内にそれぞれ差し入れられて配置されるようになっている。これにより、中間膨張袋24の端部24aと上流側膨張袋22の端部22aとが相互に重ねられ、且つ、中間膨張袋24の端部24bと下流側膨張袋26の端部26aとが相互に重ねられた構造すなわちオーバラップ構造となるので、上流側膨張袋22、中間膨張袋24及び下流側膨張袋26が等圧で上腕16を圧迫したときにそれらの境界付近においても均等な圧力分布が得られる。
上流側膨張袋22及び下流側膨張袋26も、マチ構造の側縁部を中間膨張袋24とは反対側の端部22b及び26bに備えている。すなわち、上流側膨張袋22の中間膨張袋24とは反対側の端部22bには、互いに接近するほど深くなるように互いに接近する方向に折れ込まれた可撓性シートから成る折込溝22fが形成されている。また、下流側膨張袋26の中間膨張袋24とは反対側の端部26bには、互いに接近するほど深くなるように互いに接近する方向に折れ込まれた可撓性シートから成る折込溝26gが形成されている。圧迫帯12の幅方向に飛び出ないように、折込溝22fを構成するシートは、上流側膨張袋22内に配置された貫通穴を備える接続シート38を介してその反対側部分すなわち中間膨張袋24側の部分に接続されている。同様に、折込溝26gを構成するシートは、下流側膨張袋26内に配置された貫通穴を備える接続シート40を介してその反対側部分すなわち中間膨張袋24側の部分に接続されている。
これにより、上流側膨張袋22及び下流側膨張袋26の端部22b及び26bにおいても上腕16の動脈18に対する圧迫圧力が他の部分と同様に得られるので、圧迫帯12の幅方向の有効圧迫幅がその幅寸法と同等になる。圧迫帯12の幅方向は12cm程度であり、その幅方向に3つの上流側膨張袋22、中間膨張袋24、及び下流側膨張袋26が配置された構造であるから、それぞれが実質的に4cm程度の幅寸法とならざるを得ない。このような狭い幅寸法であっても圧迫機能を十分に発生させるために、中間膨張袋24の両端部24a及び24bと上流側膨張袋22の端部22a及び下流側膨張袋26の端部26aとが相互に重ねられたオーバラップ構造とされるとともに、上流側膨張袋22及び下流側膨張袋26の中間膨張袋24とは反対側の端部22b及び26bが所謂マチ構造の側縁部とされている。
上流側膨張袋22及び下流側膨張袋26の中間膨張袋24側の端部22a及び26aと、それが差し入れられている一対の折込溝24f、24gの内壁面すなわち相対向する溝側面との間には、圧迫帯12の長手方向の曲げ剛性よりもその圧迫帯12の幅方向の曲げ剛性が高い剛性の異方性を有する長手状の遮蔽部材42n、42mがそれぞれ介在させられている。遮蔽部材42nは、上流側膨張袋22と中間膨張袋24との重なり寸法と同様の長さ寸法を備えている。同様に、遮蔽部材42mは、下流側膨張袋26と中間膨張袋24との重なり寸法と同様の長さ寸法を備えている。
図3及び図4に示すように、上流側膨張袋22の端部22aとそれが差し入れられている折込溝24fとの間の隙間のうちの外周側の隙間、及び、下流側膨張袋26の端部26aとそれが差し入れられている折込溝24gとの間の隙間のうちの外周側の隙間には、長手状の遮蔽部材42n、42mがそれぞれ介在させられている。本実施例では、内周側の隙間に比較して外周側の隙間の方が遮蔽効果が大きいので長手状の遮蔽部材42n、42mは外周側の隙間に設けられているが、外周側の隙間と内周側の隙間との両方に設けられていてもよい。
遮蔽部材42n、42mは、上腕16の長手方向(すなわち圧迫帯12の幅方向)に平行な樹脂製の複数本の可撓性中空管44が互いに平行な状態で、上腕16の周方向(すなわち圧迫帯12の長手方向)に連ねて配列されるとともに、それら可撓性中空管44が型成形或いは接着により直接に或いは粘着テープなどの可撓性シート等の他の部材を介して間接的に相互に連結されることにより構成されている。遮蔽部材42nは、上流側膨張袋22の中間膨張袋24側の端部22aの外周側の複数箇所に設けられた複数の掛止シート46に掛け止められている。同様に、遮蔽部材42mは、下流側膨張袋26の中間膨張袋24側の端部26aの外周側の複数箇所に設けられた複数の掛止シート46に掛け止められている。
図1に戻って、血圧測定装置10においては、空気ポンプ50、急速排気弁52、及び、排気制御弁54が主配管56にそれぞれ接続されている。その主配管56からは、上流側膨張袋22に接続された第1分岐管58、中間膨張袋24に接続された第2分岐管62、及び、下流側膨張袋26に接続された第3分岐管64がそれぞれ分岐させられている。第1分岐管58は、空気ポンプ50と上流側膨張袋22との間を直接開閉するための第1開閉弁E1を備えている。第2分岐管62は、空気ポンプ50と中間膨張袋24との間を直接開閉するための第2開閉弁E2を備えている。第3分岐管64は、空気ポンプ50と下流側膨張袋26との間を直接開閉するための第3開閉弁E3を備えている。
第1分岐管58には、上流側膨張袋22内の圧力値を検出するための第1圧力センサT1が接続され、第2分岐管62には、中間膨張袋24内の圧力値を検出するための第2圧力センサT2が接続され、第3分岐管64には、下流側膨張袋26内の圧力値を検出するための第3圧力センサT3が接続され、主配管56には、圧迫帯12の圧迫圧力PCを検出するための第4圧力センサT4が接続されている。電子制御装置70には、第1圧力センサT1から上流側膨張袋22内の圧力値すなわち上流側膨張袋22の圧迫圧力PC1を示す出力信号が供給され、第2圧力センサT2から中間膨張袋24内の圧力値すなわち中間膨張袋24の圧迫圧力PC2を示す出力信号が供給され、第3圧力センサT3から下流側膨張袋26内の圧力値すなわち下流側膨張袋26の圧迫圧力PC3を示す出力信号が供給され、第4圧力センサT4から圧迫帯12の圧迫圧力PCを示す出力信号が供給される。
電子制御装置70は、CPU72、RAM74、ROM76、表示装置78、及び図示しないI/Oポートなどを含む所謂マイクロコンピュータである。この電子制御装置70は、CPU72がRAM74の記憶機能を利用しつつ予めROM76に記憶されたプログラムにしたがって入力信号を処理し、血圧測定開始操作釦80の操作に応答して、電動式の空気ポンプ50、急速排気弁52、排気制御弁54、第1開閉弁E1、第2開閉弁E2、及び第3開閉弁E3をそれぞれ制御することにより、自動血圧測定制御を実行し、測定結果を表示装置78に表示させる。
図5は、電子制御装置70に備えられた制御機能の要部を説明するための機能ブロック線図である。図5において、電子制御装置70は、カフ圧制御部82、容積脈波抽出部84、最低血圧算出部86、最高血圧算出部88、血圧値表示出力部98等を、機能的に備えている。図6は、カフ圧制御部82による圧迫帯12の圧迫圧力制御作動の要部を説明するタイムチャートである。
カフ圧制御部82は、図5に示す血圧測定開始操作釦80の操作に応答して、急速排気弁52及び排気制御弁54を閉じ、第1開閉弁E1、第2開閉弁E2、及び第3開閉弁E3を開き、空気ポンプ50を作動させることにより、生体14の最高血圧値SBPよりも充分に高い圧、例えば180mmHgに予め設定された昇圧目標圧力値PCMとなるまで圧迫帯12の生体14に対する圧迫圧力PCを急速昇圧させる。
次いで、カフ圧制御部82は、排気制御弁54を半開させた状態で、第1開閉弁E1、第2開閉弁E2、3開閉弁E3を同時に所定の周期で所定の期間繰り返し開くことで、圧迫帯12の圧迫圧力PCが生体14の最低血圧値よりも充分に低い圧、例えば30mmHgに予め設定された測定終了圧力値PCEに到達するまでの間で、たとえば2~5mmHg毎の複数のステップ圧P1、P2、P3、・・・Pxが順次形成されるように、予め設定された降圧速度で圧迫帯12の圧迫圧力PCを、圧迫圧力PCを一定に維持する圧迫圧力一定区間Tcと、圧迫圧力一定区間Tcの間で圧迫圧力PCを変化(減少)させる圧迫圧力変化区間Tdとを繰り返しつつステップ状に全体として徐速降圧させる。
カフ圧制御部82は、圧迫帯12の圧迫圧力PCが測定終了圧力値PCEよりも小さくなったときに、急速排気弁52を用いて上流側膨張袋22、中間膨張袋24、及び下流側膨張袋26内の圧力をそれぞれ大気圧まで排圧する。このように制御された圧迫帯12では、上流側膨張袋22、中間膨張袋24、及び下流側膨張袋26は同じ圧迫圧力PCで生体14に対して圧迫するが、図6では第4圧力センサにより検出された圧迫帯12の圧迫圧力PCが示されている。
容積脈波抽出部84は、圧迫帯12の圧迫圧力PCが上記徐速降圧中の各圧迫圧力一定区間Tcにおいてステップ圧P1、P2、P3、・・・Pxに維持された状態において、第1圧力センサT1、第2圧力センサT2及び第3圧力センサT3からの出力信号に基づき上流側膨張袋22、中間膨張袋24及び下流側膨張袋26の各圧迫圧力PC1、PC2及びPC3にそれぞれ重畳する、生体の心拍に同期した圧力変動(交流成分)の波形である上流側容積脈波、中間容積脈波、下流側容積脈波をそれぞれ表す脈波信号SM1、SM2及びSM3をバンドパスフィルタ処理を行なうことで逐次抽出し、記憶させる。
具体的には、第1圧力センサT1、第2圧力センサT2、及び第3圧力センサT3からの出力信号に対して、例えば0.5Hz~20Hzの通過周波数を有するバンドパスフィルタ処理をそれぞれ行なうことにより脈波信号SM1、SM2及びSM3が、圧迫帯12による圧迫圧力の下降に伴って逐次抽出される。これら脈波信号SM1、SM2、及びSM3は、RAM74等の所定の記憶領域に、ステップ圧P1、P2、P3、・・・Pxのいずれかの脈波発生時の圧迫圧力に対応づけて逐次記憶される。容積脈波抽出部84は、必要に応じて、ベースラインが平坦である場合の波形に対する歪みを小さくするためにトレンド除去処理をおこなった、脈波信号SM1、SM2及びSM3を抽出する。容積脈波抽出部84により抽出される上流側容積脈波、下流側容積脈波をそれぞれ表す脈波信号SM1及びSM3は、1つの波形からそれぞれ構成されるものであってもよいが、本実施例では1つの圧迫圧力一定区間Tc毎に連ねて発生する2つの波形からそれぞれ構成される。
最低血圧値算出部86は、よく知られた最低血圧値決定アルゴリズム、たとえば、圧迫帯12による圧迫圧力の下降に伴って逐次得られた脈波信号SM2の波形の頂点を結ぶ包絡線(エンベロープ)が急激な下降を示す点の圧迫圧力を最低血圧値として決定する所謂オシロメトリック方式の最低血圧値決定アルゴリズムにより、最低血圧値DBPが決定される。
最高血圧値算出部88は、相互相関係数算出部90、正規化処理部92、差分値算出部94、および最高血圧値決定部96を、備えている。
相互相関係数算出部90は、図7に示すように、上流側膨張袋22および下流側膨張袋26において同じ圧迫圧力一定区間Tcにそれぞれ発生した予め定められた拍数分、本実施例では2拍分の上流側容積脈波を表す脈波信号SM1と下流側容積脈波を表す脈波信号SM3との間の相互相関係数Φ(τ)を、次式(1)を用いて、それら脈波信号SM1および脈波信号SM3が抽出されたステップ圧P1、P2、P3、・・・Px毎に逐次算出する。
Φ(τ)=∫〔SM1(t)・SM3(t-τ)〕dt ・・・ (1)
Φ(τ)n=Φ(τ)/(φ1・φ3) ・・・ (2)
但し、τは、相互相関係数の算出時に用いる脈波信号SM1が表す上流側容積脈波と脈波信号SM3が表す下流側容積脈波との位相ずれ時間(sec)を表す変数である。φ1およびφ3は、脈波信号(データ)SM1およびSM3のそれぞれの大きさを示している。
正規化処理部92は、相互相関係数算出部90により逐次算出された相互相関係数Φ(τ)を、脈波信号SM1および脈波信号SM3のそれぞれの大きさφ1およびφ3で規格化することで、式(2)を用いて、最大値を1とする正規化相互相関係数Φ(τ)nに変換する。図8は、このようにして規格化された正規化相互相関係数Φ(τ)nと、ステップ圧すなわち圧迫圧力PCとの関係を示している。図8の●印は、上流側膨張袋22の圧迫圧力PC1が下降するにともなって変化する正規化相互相関係数Φ(τ)nを示している。正規化相互相関係数Φ(τ)nは、上流側膨張袋22の圧迫圧力PC1の下降に伴って、すなわち図8の横軸の右側から左側へ向かうに従って、当初の最高血圧値SBPよりも高い高圧域のステップ圧区間は低い値を示すが、最高血圧値SBP(120mmHg)付近に到達すると1に向かって急増している。
差分値算出部94は、相互相関係数算出部90により逐次算出され且つ正規化処理部92による正規化された、上流側容積脈波を示す脈波信号SM1と下流側容積脈波を示す脈波信号SM3との正規化相互相関係数Φ(τ)nの変化を示す差分値ΔΦ(τ)nを、逐次算出する。差分値ΔΦ(τ)nは、ステップ圧毎に隣接する正規化相互相関係数Φ(τ)nのデータポイント間の差である。図9の×印は、上流側膨張袋22の圧迫圧力PC1がステップ的に下降するにともなって変化する正規化相互相関係数Φ(τ)nの差分値ΔΦ(τ)nを示している。差分値ΔΦ(τ)nは、正規化相互相関係数Φ(τ)nの変化の大きさを示すものであり、上流側膨張袋22の圧迫圧力PC1の下降に伴って、最高血圧値SBP(120mmHg)付近において最大値および最大振幅値を示している。
最高血圧値決定部96は、差分値算出部94により逐次算出された正規化相互相関係数の差分値ΔΦ(τ)nのうちの最大値を判定し、その最大値が発生したときの圧迫帯12による生体14の被圧迫部位に対する圧迫圧力PCに基づいて生体14の最高血圧値SBPを決定する。あるいは、最高血圧値決定部96は、逐次算出された正規化相互相関係数値が0.8~0.9程度に予め設定された判定閾値を超えたときの圧迫帯12による生体14の被圧迫部位に対する圧迫圧力PC、図9では120mmHg付近の圧迫圧力に基づいて生体14の最高血圧値SBPを決定する。上記正規化相互相関係数の判定閾値は、好適には、最高血圧値時点において動脈の血流が開始したことを判定できるように予め実験的に設定されている。
血圧値表示出力部98は、最高血圧値決定部96により決定された最高血圧値SBPおよび最低血圧値算出部86により算出された最低血圧値DBPを、表示装置78に表示させる。
図10は、電子制御装置70の制御作動の要部を説明するフローチャートであり、図11は図10のS8に示される最高血圧値決定ルーチンの内容を詳しく説明するフローチャートである。図10において、血圧測定開始操作釦80が操作されると、カフ圧制御部82に対応するステップ(以下、「ステップ」を省略する)S1では、圧迫帯12の圧迫圧力PCが昇圧される。具体的には、図6に示すように、急速排気弁52および排気制御弁54が閉状態とされるとともに、空気ポンプ50が作動状態とされてその空気ポンプ50から圧送される圧縮空気により主配管56内及びそれに連通された上流側膨張袋22、中間膨張袋24、及び下流側膨張袋26内の圧力が急速に高められる。そして、圧迫帯12による上腕16の圧迫が開始される。
次いで、カフ圧制御部82に対応するS2では、圧迫帯12の圧迫圧力PCを示すたとえば第4圧力センサT4の出力信号に基づいて、その圧迫圧力PCが予め設定された昇圧目標圧力値PCM(例えば通常の生体の最高血圧値を超える180mmHg)以上であるか否かが判定される。図6の時刻t2より前の区間では、上記S2の判定が否定されて図10のS1以下が繰り返し実行される。
圧迫圧力PCが昇圧目標圧力値PCMに到達してS2の判定が肯定されると、カフ圧制御部82に対応するS3では、空気ポンプ50の作動が停止され、圧迫帯12の圧迫圧力PCが例えば2~5mmHg/ステップ毎に予め設定されたステップ圧P1、P2、P3、・・・Pxが順次形成されるステップ降圧で一定の平均速度で徐速排気するように、図6に示すタイミングで排気制御弁54、第1開閉弁E1、第2開閉弁E2及び第3開閉弁E3が作動させられる。
上記ステップ圧P1、P2、P3、・・・Pxを保持する場合には第1開閉弁E1、第2開閉弁E2、及び第3開閉弁E3がそれぞれ閉状態とされる。図6の時間t2は上記徐速排気の開始時点であり、また時間t3~t4の間は圧迫帯12の圧迫圧力PCがステップ圧P1に所定時間例えば2拍が発生する間保持されている時間である。
次いで、容積脈波抽出部84に対応するS4では、圧迫圧力PC1、PC2及びPC3がそれぞれ所定時間保持される間に、第1圧力センサT1、第2圧力センサT2及び第3圧力センサT3からの出力信号に対して、たとえば0.5~20Hzの波長帯の信号を弁別するバンドパスフィルタ処理、および必要に応じて、ベースラインが平坦である場合の波形に対する歪みを小さくするためにトレンド除去処理がそれぞれ施されることにより上流側膨張袋22、中間膨張袋24及び下流側膨張袋26からの脈波を示す脈波信号SM1、SM2及びSM3が抽出されるとともに、第4圧力センサT4からの出力信号に対してローパスフィルタ処理が為されることにより交流成分が除去された圧迫帯12の圧迫圧力PCが抽出される。そして、それらが互いに関連付けられて記憶される。
カフ圧制御部82に対応するS5では、圧迫圧力PCが予め設定された測定終了圧力値PCE(例えば30mmHg)以下であるか否かが判定される。図6の時間t11より前の時点では、上記S5の判定が否定されてS3以下が繰り返し実行される。
圧迫圧力PCが測定終了圧力値PCE以下となってS5の判定が肯定されると、カフ圧制御部82に対応するS6では、上流側膨張袋22、中間膨張袋24及び下流側膨張袋26内の圧力がそれぞれ大気圧まで排圧させられるように急速排気弁52が作動させられ、上腕16が圧迫帯12による圧迫から解放される。図6の時間t11以降はこの状態を示す。
次いで、最低血圧値算出部86に対応するS7では、圧迫帯12による圧迫圧力の下降に伴って逐次得られた脈波信号SM2の波形の頂点を結ぶ包絡線(エンベロープ)が急激な下降を示す点を決定し、その急激な下降を示す点に対応する圧迫圧力が最低血圧値DBPとして決定される。
次に、最高血圧値算出部88に対応するS8の最高血圧値決定ルーチンでは、図11に示す相互相関係数算出部90に対応するS81、正規化処理部92に対応するS82、差分値算出部94に対応するS83、最高血圧値決定部96に対応するS84が、順次実行される。
S81では、上流側膨張袋22および下流側膨張袋26において同じ圧迫圧力一定区間Tcにそれぞれ発生した上流側容積脈波を表す脈波信号SM1と下流側容積脈波を表す脈波信号SM3との間の相互相関係数Φ(τ)が、式(1)を用いて、それら脈波信号SM1および脈波信号SM3が抽出されたステップ圧P1、P2、P3、・・・Px毎に逐次算出される。
S82では、S81において逐次算出された相互相関係数Φ(τ)を、脈波信号SM1および脈波信号SM3のそれぞれの大きさφ1およびφ3で規格化することで、式(2)から、相互相関係数Φ(τ)を最大値を1とする正規化相互相関係数Φ(τ)nに変換される。図8は、正規化後の正規化相互相関係数Φ(τ)nを示している。
S83では、S81により逐次算出され且つS82により正規化された上流側容積脈波を示す脈波信号SM1と下流側容積脈波を示す脈波信号SM3との正規化相互相関係数Φ(τ)nの差分値ΔΦ(τ)nが、図9の×印に示すように、逐次算出される。
S84では、S83により逐次算出された正規化相互相関係数の差分値ΔΦ(τ)nのうちの最大値が判定され、その最大値が発生したときの圧迫帯12による生体14の被圧迫部位に対する圧迫圧力PCに基づいて生体14の最高血圧値SBPが決定される。あるいは、逐次算出された正規化相互相関係数が図9の0.8~0.9程度に予め設定された判定閾値を超えたときの圧迫帯12による生体14の被圧迫部位に対する圧迫圧力PC、図9では120mmHg付近の圧迫圧力に基づいて生体14の最高血圧値SBPが決定される。判定閾値は、好適には、最高血圧値時点において動脈の血流が実際に開始したことを判定できるように予め実験的に設定されている。
図10のメインへ戻って、血圧値表示出力部98に対応するS9では、S7により算出された最低血圧値DBP、およびS8により算出された最高血圧値SBPが、表示装置78に表示される。
本発明者等は、90名の被測定者の最高血圧値SBPについて、聴診法による測定、オシロメトリック法による測定、および本実施例による測定をそれぞれ行った。聴診法とは、動脈を圧迫する圧迫帯の圧力を水銀柱圧力計を用いて測定し、動脈の血流開始を示す血流音(コロトコフ音)を聴診器を用いて判定したときの圧迫帯の圧力値を最高血圧値として決定する方法である。オシロメトリック法とは、圧迫帯による圧迫圧力が最高血圧値よりも高い値から下降させられる過程で、圧迫帯12の中間膨張袋24から得られた容積脈波の頂点を結ぶ包絡線(エンベロープ)が急激な上昇を示す点の圧迫圧力値を最高血圧値として決定する方法である。
図12は、聴診法による測定値(真値)に対する、オシロメトリック法により測定した最高血圧値の誤差の分布を示している。この場合の、聴診法による測定値(真値)に対する、オシロメトリック法により測定した最高血圧値の平均誤差M.E.は-1.11であり、標準偏差S.D.は4.39であった。
図13は、聴診法による測定値(真値)に対する、本実施例により測定した最高血圧値の誤差の分布を示している。この場合の、聴診法による測定値(真値)に対する、本実施例により測定した最高血圧値の平均誤差M.E.は-0.59であり、標準偏差S.D.は3.20であった。
図12および図13から明らかなように、本実施例により測定した最高血圧値は、オシロメトリック法により測定した最高血圧値に対して、平均誤差が約半分となり、標準偏差が約72%に減少している。すなわち、本実施例による最高血圧値の測定は、オシロメトリック法による最高血圧値の測定に対して、高い測定精度を有していることが明らかとなった。
上述のように、本実施例の血圧測定装置10によれば、最高血圧値算出部88により、圧迫帯12の圧迫圧力が生体の最高血圧値よりも高い値から下降させられる過程で逐次得られた、脈波信号SM1が表す上流側容積脈波と脈波信号SM3が表す下流側容積脈波との相互相関係数Φ(τ)の変化に基づいて、生体14の最高血圧値SBPが決定される。これにより、上流側容積脈波と下流側容積脈波との相互相関係数Φ(τ)の変化は、圧迫帯14により閉塞されていた動脈の血流が実際に開始されたことを示すので、血管コンプライアンス、脈拍数、脈圧値、血圧値など、被測定者毎に異なる生体固有の特徴量の影響を受けないので、生体の最高血圧値SBPの決定精度が高められる。
また、本実施例の血圧測定装置10によれば、最高血圧値算出部88は、相互相関係数算出部90および正規化処理部92により逐次算出された上流側容積脈波と下流側容積脈波との正規化相互相関係数Φ(τ)nの差分値ΔΦ(τ)nを逐次算出する差分値算出部94と、差分値算出部94により逐次算出された正規化相互相関係数Φ(τ)nの差分値ΔΦ(τ)nの最大値が発生したときの圧迫帯12による生体14の上腕(被圧迫部位16への圧迫圧PCに基づいて生体14の最高血圧値SBPを決定する最高血圧値決定部96とを、含む。これにより、正規化相互相関係数Φ(τ)nの差分値ΔΦ(τ)nは正規化相互相関係数Φ(τ)nの変化を強調するので、生体14の最高血圧値SBPの決定精度が一層高められる。
また、本実施例の血圧測定装置10によれば、最高血圧値算出部88は、相互相関係数算出部90により逐次算出された上流側容積脈波と下流側容積脈波との相互相関係数Φ(τ)を、最大値が1となるように正規化した正規化相互相関Φ(τ)nに変換する正規化処理部92を、含む。これにより、正規化相互相関Φ(τ)nを用いた最高血圧値SBPの決定は相互相関係数Φ(τ)の絶対値の大きさの影響を受けないので、生体14の最高血圧値SBPの決定精度が一層高められる。
また、本実施例の血圧測定装置10によれば、圧迫帯12は、上腕(被圧迫部位)16に対する圧迫圧力PCを、圧迫圧力を一定に維持する圧迫圧力一定区間Tcと、圧迫圧力一定区間Tcの間で圧迫圧力を変化させる圧迫圧力変化区間Tdとを繰り返しつつ生体14の最高血圧値よりも高い値から下降させるものであり、容積脈波抽出部84は、圧迫圧力一定区間Tcで生体の心拍に同期した圧力振動である上流側容積脈波を表す脈波信号SM1および下流側容積脈波を表す脈波信号SM3を逐次抽出するものである。これにより、容積脈波抽出部84において抽出された脈波信号SM1が表す上流側容積脈波および脈波信号SM3が表す下流側容積脈波の波形の、圧迫圧力PCの下降(変化)に由来する歪みが抑制されるので、生体14の最高血圧値SBPの決定精度が一層高められる。
また、本実施例の血圧測定装置10によれば、最高血圧値算出部88は、相互相関係数算出部90により逐次算出され且つ正規化処理部92により正規化された正規化相互相関係数Φ(τ)nが予め設定した判定閾値を超えたときの圧迫帯12による圧迫圧PCに基づいて最高血圧値SAPを決定する最高血圧値決定部96とを、含む。これにより、圧迫帯12により閉塞されていた動脈の血流が実際に開始されたことを示す相互相関係数Φ(τ)nの変化に基づいて最高血圧値SAPが決定されることから、生体の最高血圧値SAPの決定精度が高められる。
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
例えば、前述の実施例の図10では、圧迫帯12による上腕16への圧迫圧力が測定終了圧力値PCEに到達するまでの間に脈波信号SM1、SM2、SM3が読み込まれ、その後において、最低血圧値を決定するS7および最高血圧値を決定するS8が行なわれていたが、例えばステップ圧P1、P2、P3、・・・Pxが形成されている間にそれらのステップS7およびS8の処理がリアルタイムで順次実行されるものであってもよい。
また、前述の実施例に用いられていた圧迫帯12は、3つの上流側膨張袋22、中間膨張袋24、下流側膨張袋26を備えたものであったが、たとえば、上流側膨張袋22、下流側膨張袋26の2つを備えたものであってもよいし、4つ以上の膨張袋を備えていてもよい。
また、前述の実施例において、圧迫帯12による上腕16に対する圧迫圧力PCとして、上流側膨張袋22内の圧迫圧力PC1、中間膨張袋24の圧迫圧力PC2、下流側膨張袋26内の圧迫圧力PC3、または、それらの平均圧力が用いられてもよい。
また、前述の実施例の圧迫帯12は、上腕16を圧迫するものであったが、生体14の一部、例えば手首、下肢を圧迫するものであってもよい。
また、前述の実施例の圧迫帯12は、血圧測定に際して、ステップ降圧を採用していたが、圧迫圧力PCを連続的に変化させる連続降圧であってもよい。
また、前述の実施例の圧迫帯12は、血圧測定に際して、ステップ降圧を採用していたが、圧迫圧力PCをステップ的に昇圧させるステップ昇圧、あるいは連続的に昇圧させる連続昇圧であってもよい。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:血圧測定装置
12:圧迫帯
14:生体
16:上腕(被圧迫部位)
18:動脈
22:上流側膨張袋
24:中間膨張袋
26:下流側膨張袋
82:カフ圧制御部
84:容積脈波抽出部
86:最低血圧値算出部
88:最高血圧値算出部
90:相互相関係数算出部
92:正規化処理部
94:差分値算出部
96:最高血圧値決定部
SBP:最高血圧値
DBP:最低血圧値
PC:圧迫帯の圧迫圧力
PC1:上流側膨張袋内の圧迫圧力
PC3:下流側膨張袋内の圧迫圧力
PCM:昇圧目標圧力値
SM1:脈波信号(上流側容積脈波)
SM3:脈波信号(下流側容積脈波)
Φ(τ):相互相関係数
Φ(τ)n:正規化相互相関係数

Claims (5)

  1. 生体の被圧迫部位に巻き付けられ、前記生体内の動脈の長軸方向において異なる被圧迫部位を各々圧迫する独立した上流側膨張袋および下流側膨張袋を有し、前記上流側膨張袋および前記下流側膨張袋によりそれぞれ同じ圧迫圧力で前記被圧迫部位内の動脈血管を圧迫する圧迫帯を、備える血圧測定装置であって、
    前記圧迫帯による前記被圧迫部位に対する圧迫圧力を前記生体の最高血圧値よりも高い値から下降させる過程で前記上流側膨張袋内および前記下流側膨張袋内の圧迫圧力にそれぞれ含まれる前記生体の心拍に同期した圧力振動である上流側容積脈波および下流側容積脈波を逐次抽出する容積脈波抽出部と、
    前記容積脈波抽出部により逐次抽出された上流側容積脈波と下流側容積脈波との間の相互相関係数を逐次算出する相互相関係数算出部と、
    前記相互相関係数算出部により逐次算出された相互相関係数の変化に基づいて、前記生体の最高血圧値を算出する最高血圧値算出部と、を含む
    ことを特徴とする血圧測定装置。
  2. 前記最高血圧値算出部は、
    前記相互相関係数算出部により逐次算出された前記上流側容積脈波と下流側容積脈波との相互相関係数の差分値を逐次算出する差分値算出部と、
    前記差分値算出部により逐次算出された前記相互相関係数の差分値の最大値が発生したときの前記圧迫帯による前記生体の被圧迫部位への圧迫圧に基づいて前記生体の最高血圧値を決定する最高血圧値決定部とを、含む
    ことを特徴とする請求項1の血圧測定装置。
  3. 前記最高血圧値算出部は、
    前記相互相関係数算出部により逐次算出された前記上流側容積脈波と下流側容積脈波との相互相関係数を、最大値が1となるように正規化した正規化相互相関係数に変換する正規化処理部を、含む
    ことを特徴とする請求項1又は2の血圧測定装置。
  4. 前記圧迫帯は、前記被圧迫部位に対する圧迫圧力を、前記圧迫圧力を一定に維持する圧迫圧力一定区間と前記圧迫圧力一定区間の間で前記圧迫圧力を変化させる圧迫圧力変化区間とを繰り返しつつ前記生体の最高血圧値よりも高い値から下降させるものであり、
    容積脈波抽出部は、前記圧迫圧力一定区間で前記生体の心拍に同期した圧力振動である上流側容積脈波および下流側容積脈波を逐次抽出するものである
    ことを特徴とする請求項1の血圧測定装置。
  5. 前記最高血圧値算出部は、
    前記相互相関係数算出部により逐次算出された前記上流側容積脈波と下流側容積脈波との相互相関係数が予め設定した判定閾値を超えたときの前記圧迫帯による前記生体の被圧迫部位への圧迫圧に基づいて前記最高血圧値を決定する最高血圧値決定部を、含む
    ことを特徴とする請求項1の血圧測定装置。
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