JP2023156206A - コーティング粒子の製造方法、およびそれを用いたコーティング粒子製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 超臨界二酸化炭素の使用に代えて窒素や酸素、空気を用いることにより、タンパク質や生理活性物質などの易熱変性芯材粒子をその性質を保持したまま内包することができる、コーティング粒子の製造方法、およびそれを用いたコーティング粒子製造装置を提供すること。【解決手段】 本発明のコーティング粒子の製造方法は、閉鎖可能な容器内において、芯材粒子、熱可塑性材料、および高圧流体を剪断下で混合する工程、ならびに閉鎖可能な容器内を開放して芯材粒子を熱可塑性材料でコーティングする工程を包含する。高圧流体は窒素、酸素および空気からなる群から選択される少なくとも1種の流体であり、閉鎖可能な容器内に少なくとも1つのタービン撹拌翼を備える。【選択図】 図4

Description

本発明は、コーティング粒子の製造方法、およびそれを用いたコーティング粒子製造装置に関する。
加圧容器内の高圧下にて混合流体を撹拌するとき、一般にマグネチックスターラー、パドル型撹拌翼などの撹拌手段が使用される。しかし、これらの手段は、均一一相系の(すなわち、混じり合う性質を有する)混合流体の均一化には有効であるが、水と油のように二つの相を形成する二相系を対象とする場合、マイクロ液滴を相互の相に分散させる分散混合撹拌(乳化状態)には不向きであった。
一方、超臨界状態の二酸化炭素のように混合対象となる高分子の密度に近い密度を有し、臨界温度から数十度高い程度の密度揺らぎを有する特殊な混合系においては、パドル型撹拌翼による撹拌混合であっても、高圧ノズルからその混合物を噴出することで、二酸化炭素の高いジュールトムソン効果により噴出部分で急冷却が起こり、結果としてマイクロカプセルが製造可能である(特許文献1)。
しかし、二酸化炭素は温室効果ガスとして、近年その回収が強く望まれている。このため、二酸化炭素を使用せず、マイクロサイズの微粒子を高分子コーティングする技術の開発が望まれている。
これに対して、窒素や酸素を主成分として含む混合ガス(空気も含む)は、二酸化炭素の代替ガスとして、その安全性から工業的利用が切望されている。
しかし、窒素の臨界温度は、臨界温度-149℃(臨界圧力3.399MPa)と極めて低温である。このため、従来の超臨界流体技術では、臨界温度の数十℃上の密度揺らぎの期待できる温度はマイナス数十℃であり、高分子混合は固体混合となることからガスと高分子との分散混合(乳化)は困難である。
すべての液体には臨界温度Tcが存在する。二酸化炭素の臨界温度は31.1℃(臨界圧力7.38MPa)である。気体の温度が高くなるにつれて臨界点近傍での高密度の揺らぎが失われ、低密度のガスとなり、通常のガスの性質となる。一般に、臨界点以上の温度でも、臨界点よりも百数十℃高温のガスは高圧状態でも、超臨界状態とは考えず、一般のガス状態であるとみなされる。
ここで、工業的にカプセル化などに使用される高分子の融点は、数十℃から百数十℃である。高分子の融点である数十℃から百数十℃では、臨界温度-149℃の窒素は、その臨界温度よりも、百数十℃高温であり、低圧のヘリウムのようにガスとして性質を示す。そのため、数十℃から百数十℃で溶融している高分子と窒素ガスを従来の混合方法で、マイクロ液滴を相互の相に分散させる分散混合撹拌(乳化状態)は不可能であった。そのため、超臨界二酸化炭素と数十℃から百数十℃で溶融している高分子を利用して、高圧噴霧する従来の超臨界微粒子製造方法を、超臨界二酸化炭素の代替として窒素と用い、当該窒素と高分子とで実施することは困難であった。
国際公開第2010/113798号
本発明は、上記問題の解決を課題とし、その目的とするところは、超臨界二酸化炭素の使用に代えて窒素や酸素、空気を用いることにより、タンパク質や生理活性物質などの易熱変性芯材粒子をその性質を保持したまま内包することができる、コーティング粒子の製造方法、およびそれを用いたコーティング粒子製造装置を提供することにある。
本発明は、コーティング粒子の製造方法であって、
閉鎖可能な容器内において、芯材粒子、熱可塑性材料、および高圧流体を剪断下で混合する工程、ならびに
該閉鎖可能な容器内を開放して、該芯材粒子を熱可塑性材料でコーティングする工程、
を包含し、
該高圧流体が窒素、酸素および空気からなる群から選択される少なくとも1種の流体であり、
該剪断下での混合が該閉鎖可能な容器内に配置された少なくとも1つのタービン撹拌翼によって行われる、方法である。
1つの実施形態では、上記タービン撹拌翼はエッジドタービン撹拌翼である。
さらなる実施形態では、上記エッジドタービン撹拌翼は、上記閉鎖可能な容器内で回転可能に設けられたシャフトに固定されており、
該シャフトの軸周りに延びる円盤状基体と、
該円盤状基体の外周に沿って設けられた複数の第1エッジ部と、
該円盤状基体の表面上の、該シャフトと該第1エッジ部との間に配置されている複数の第2エッジ部とを備える。
1つの実施形態では、上記シャフトの軸周りに上記タービン撹拌翼の少なくとも2つがタンデムに連結されている。
1つの実施形態では、上記混合工程は、60℃から100℃の温度範囲内で行われる。
本発明はまた、コーティング粒子の製造装置であって、
芯材粒子、熱可塑性材料、および高圧流体を充填することができる閉鎖可能な容器と、
該閉鎖可能な容器内に配置された回転可能なシャフトと、
該シャフトの軸周りに取り付けられた少なくとも1つのタービン撹拌翼を備える、装置である。
1つの実施形態では、上記タービン撹拌翼はエッジドタービン撹拌翼である。
さらなる実施形態では、上記エッジドタービン撹拌翼は、
該シャフトの軸周りに延びる円盤状基体と、
該円盤状基体の外周に沿って設けられた複数の第1エッジ部と、
該円盤状基体の表面の、該シャフトと該第1エッジ部との間に配置されている複数の第2エッジ部とを備える。
1つの実施形態では、上記シャフトの軸周りに上記タービン撹拌翼の少なくとも2つがタンデムに配置されている。
本発明によれば、タンパク質や生理活性物質などの易熱変性材料で構成される粒子のコーティングを効率よく行うことができる。本発明によれば、温室効果ガスである二酸化炭素の使用を回避することができ、人体に対してより安全でかつ環境に優しい様々なコーティング粒子を製造することができる。
(a)は本発明のコーティング粒子の製造方法に使用され得る、エッジドタービン撹拌翼の一例を表す斜視図であり、(b)は当該エッジドタービン撹拌翼の他の例を表す斜視図である。 本発明のコーティング粒子の製造方法において、2つのタービン撹拌翼をタンデムに配置して用いる場合の当該撹拌翼の一例を示す図である。 本発明のコーティング粒子の製造方法において、少なくとも1つのタービン撹拌翼を使用する場合の当該撹拌翼の配置例を示す図である。 本発明のコーティング粒子の製造方法を用いる当該コーティング粒子の製造装置の一例を示す模式図である。 実施例1において高圧流体として窒素を使用しかつエッジドタービン撹拌翼を用いて作製したコーティング粒子の粒度分布を表すグラフである。 比較例2において高圧流体として超臨界二酸化炭素を使用しかつ4枚ピッチドパドル型撹拌翼を用いて作製したコーティング粒子の粒度分布を表すグラフである。 実施例3で作製したコーティング粒子をシャーレ上に回収した際の全体を表す写真である。 実施例3で作製したコーティング粒子の形態を観察した当該粒子の電子顕微鏡写真である。 実施例3で作製したコーティング粒子の粒度分布を表すグラフである。
(コーティング粒子の製造方法)
本発明のコーティング粒子の製造方法では、まず閉鎖可能な容器内において、芯材粒子、熱可塑性材料、および高圧流体が剪断下で混合される。
本発明における閉鎖可能な容器は、後述の芯材粒子、熱可塑性材料、および高圧流体を閉鎖状態で収容することができる容器であり、閉鎖時において例えば3MPa~15MPa、好ましくは4MPa~8MPaの圧力(内圧)に耐え得るものである。閉鎖可能な容器としては、例えば、高圧セル、耐圧セル、およびオートクレーブなどが挙げられる。閉鎖可能な容器が収容し得る容量は特に限定されず、適切な容量を有する容器が当業者によって任意に選択され得る。
本発明における芯材粒子は、コーティング粒子のコア(芯)を構成し得る材料(芯材または芯物質)であって、所定の温度で容易に熱変性し得る材料から構成されている粒子または結晶を包含していう。芯材粒子の大きさは必ずしも限定されないが、例えば0.1μm~500μm、好ましくは1μm~50μmの平均粒子径を有する。芯材粒子の平均粒子径がこのような範囲内にあることにより、当該芯材粒子上に後述の熱可塑性材料で均一な被膜を有するようにコーティングことができる。芯材粒子の形状もまた必ずしも限定されない。例えば、球状、楕円球状、円板状、鱗片状、柱状、多面体状、不規則な立体形状、その他任意の立体的形状のいずれであってもよい。
芯材粒子の例としては、水不溶性物質(例えば、シリカ粒子、金属粒子(例えば、鉄ナノ粒子、銅ナノ粒子、亜鉛ナノ粒子など)、油脂(例えば、ビタミンK2含有食用油脂粉末、ひまわりオイル、サラダ油、大豆油、ごま油、カカオバター、ラード、およびαトコフェロールなど)、高分子粒子(例えば、ポリスチレン粒子、ラテックス粒子、PLGA(乳酸・グリコール酸共重合体)ナノ粒子などの高分子粒子)、顔料(例えば、黒鉛粒子、チタン粒子、コバルト粒子、ジスアゾエロー粒子、キナクリドンレッドなど))、親水性物質(例えば、フェニルアラニン、フィコシアニン、ヒアルロン酸、キサンタンガム、ゼラチン、アスパラギン酸、アルギニン、ポリエチレングリコールなど)、および疎水性物質(例えば、フタロシニアニン、メサラジン、レボフロキサシン、シクロデキストリン、シクロスポリン、カルバマゼピン、フェニトインなど)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
閉鎖可能な容器に収容される芯材粒子の量(濃度)は、芯材粒子の種類等によって変動するため必ずしも限定されないが、例えば、0.01(w/v)%~1(w/v)%である。閉鎖可能な容器中にこのような範囲の芯材粒子が収容されることにより、当該閉鎖可能な容器中でコーティング粒子が効率よく製造され得る。
熱可塑性材料は、後述する高圧流体と界面を形成することができる材料である。
熱可塑性材料は、種々のポリマーやワックス類が包含され、例えば、医薬品、医薬部外品、化粧品または食品の分野において様々な構成成分のコーティングに使用される高分子が包含される。熱可塑性材料はまた、上記芯材粒子に対して均一な被膜を形成し易いとの理由から、好ましくは50℃~90℃の範囲内の融点を有するものが選択され得る。
熱可塑性材料の例としては、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ステアリン酸カルシウム、トリステアリン酸、ステアリン酸アミド、ヒマワリワックス、蜜蝋、カルナバ蝋、およびキャンデリラワックス、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
閉鎖可能な容器に収容される熱可塑性材料の量は、熱可塑性材料の種類、芯材粒子の種類や量、得られるコーティング粒子に求められる被膜の量等によって変動するため必ずしも限定されないが、芯材粒子100質量部に対して、好ましくは0.04質量部~40000質量部、より好ましくは0.1質量部~400質量部である。熱可塑性材料の量が0.04質量部を下回ると、閉鎖可能な容器内に存在する芯材粒子に対する熱可塑性材料の絶対量が少なすぎて、より均一なコーティング粒子を得ることが困難になることがある。熱可塑性材料の量が40000質量部を上回ると、閉鎖可能な容器内に存在する芯材粒子に対する熱可塑性材料の絶対量が多すぎて、得られるコーティング粒子の製造効率をむしろ低下させることがある。
高圧流体は、閉鎖可能な容器内の圧力(例えば3MPa~15MPa、好ましくは4MPa~8MPa)下で流体として存在するものであり、例えば窒素、酸素および空気が挙げられる。それ自体不活性でありかつ入手が容易であるとの理由から、高圧流体は窒素から構成されていることが好ましい。なお、高圧流体は超臨界流体(すなわち、超臨界状態で構成される流体)であってもよい。
一般に撹拌翼は、モーター等から得られる回転エネルギーを、容器内に流れを形成する「吐出能力(Q)」と、剪断力を与えて分散させる「剪断能力(H)」との二つの作用に転換する能力を有する。
本発明においては、芯材粒子、熱可塑性材料、および高圧流体の混合を剪断下で行うために、撹拌翼として「吐出能力(Q)」よりも「剪断能力(H)」が高められたタービン撹拌翼が使用される。すなわち、本発明において、剪断下での混合は閉鎖可能な容器内に配置された少なくとも1つのタービン撹拌翼によって行われる。
上記剪断下での混合を可能にするタービン撹拌翼としては、例えば、エッジドタービン撹拌翼、鋸歯ディスクタービン撹拌翼、ラジアルフロータービン撹拌翼、およびアキシャルフロータービン撹拌翼が挙げられる。上記芯材粒子、熱可塑性材料、および高圧流体への効率的な剪断が可能となる点から、エッジドタービン撹拌翼を用いることが好ましい。
なお、本発明では、後述するように少なくとも1つのタービン撹拌翼が使用される限りにおいて、閉鎖可能な容器内にその他の撹拌翼が併用されてもよい。その他の撹拌翼の例としては、パドル型撹拌翼、プロペラ型撹拌翼およびアンカー型撹拌翼が挙げられる。
図1は本発明のコーティング粒子の製造方法に使用され得るタービン撹拌翼の例を示す。
図1の(a)に示すように、本発明に用いられ得るエッジドタービン撹拌翼10は、閉鎖可能な容器内で回転可能に設けられたシャフト40に固定されており、シャフト40の軸周りに延びる円盤状基体12と、円盤状基体12の外周に沿って設けられた複数の第1エッジ部14と、円盤状基体12の表面上の、シャフト40と第1エッジ部14との間に配置されている複数の第2エッジ部16とを備える。なお、エッジドタービン撹拌翼10において、第2エッジ部16は円盤状基体12上方向のみに設けられているのではなく、当該円盤状基体12の上下方向に設けられていてもよい。
図1の(a)において、第1エッジ部14および第2エッジ部16はいずれも、円盤状基体12に対して略垂直な方向に延びている。また、第1エッジ部14および第2エッジ部16はいずれも、円盤状基体12の回転方向に略沿って設けられている。このような構造を有していることにより、第1エッジ部14と第2エッジ部16は、シャフト40を通じた円盤状基体12の回転によって上記芯材粒子、熱可塑性材料、および高圧流体に対して剪断下での混合を可能にする。
円盤状基体12に設けられる第1エッジ部14および第2エッジ部16の数や高さは特に限定されず、当業者によって適宜選択され得る。
あるいは、本発明に用いられ得るエッジドタービン撹拌翼は図1の(b)に示すような構造を有していてもよい。
図1の(b)に示すエッジドタービン撹拌翼20は、閉鎖可能な容器内で回転可能に設けられたシャフト40に固定されており、シャフト40の軸周りに延びる円盤状基体12と、円盤状基体12の外周に沿って設けられた複数の第1エッジ部24とを備える。図1の(b)において、第1エッジ部24は、円盤状基体12に対して略垂直な方向に延びている。また、第1エッジ部24は円盤状基体12の回転方向に略沿って設けられている。このような構造を有していることにより、第1エッジ部24は、シャフト40を通じた円盤状基体12の回転により、上記芯材粒子、熱可塑性材料、および高圧流体に対して剪断下での混合を可能にする。
ここで、図1の(a)と(b)とを対比すると、図1の(a)に示すエッジドタービン撹拌翼10では、円盤状基体12の表面に対して略垂直な方向に延びるエッジ部(すなわち、第1エッジ部14および第2エッジ部16)の数が、図1の(b)に示すエッジドタービン撹拌翼20が備える円盤状基体12の表面に対して略垂直な方向に延びるエッジ部(すなわち、第1エッジ部24)のものよりも多い。これにより、図1の(a)に示すエッジドタービン撹拌翼10は、図1の(b)に示すエッジドタービン撹拌翼20と比較して上記「剪断能力(H)」が高められている。
図1の(a)および(b)に示すエッジドタービン撹拌翼10,20の直径は、使用する上記閉鎖可能な容器の形状や容量によって変動するため必ずしも限定されないが、例えば20mm~70mm、好ましくは30mm~50mmである。エッジドタービン撹拌翼10,20の直径がこのような範囲内にあることにより、閉鎖可能な容器中で上記芯材粒子、熱可塑性材料、および高圧流体を効率良く剪断下で混合することができる。
本発明のコーティング粒子の製造方法では、上記芯材粒子、熱可塑性材料、および高圧流体に対して一層効果的に剪断下で混合することができるとの理由から、シャフトの軸周りにタービン撹拌翼の少なくとも2つがタンデムに連結されていることが好ましい。
図2は、本発明のコーティング粒子の製造方法において、2つのタービン撹拌翼をタンデムに配置して用いる場合の当該撹拌翼の一例を示す図である。
図2において、シャフト40の軸周りには、2つの(エッジド)タービン撹拌翼10,10’が設けられている。シャフト40の端部42近傍に設けられたタービン撹拌翼10に対して、タービン撹拌翼10’は、当該タービン撹拌翼10よりも間隔tを空けて上方(上流)に配置されている。間隔tは、使用するタービン撹拌翼10,10’の直径Dや閉鎖可能な容器の形状および容量等によって変動するため必ずしも限定されないが、例えば40mm~120mm、好ましくは60mm~100mmである。2つの(エッジド)タービン撹拌翼10,10’がこのような範囲内の間隔tを空けて配置されていることにより、タービン撹拌翼10,10’のそれぞれが閉鎖可能や容器内で「剪断能力(H)」を発揮することができる。
図3は、本発明のコーティング粒子の製造方法において、少なくとも1つのタービン撹拌翼を使用する場合の当該撹拌翼の配置例を示す図である。
本発明においては、1つのシャフト40の軸周りに2つのタービン撹拌翼10,10’がタンデムに連結される場合(図3の(a))以外にも、例えば以下のような配置がなされていてもよい。
図3の(b)では、1つのシャフト40の軸周りに1つのタービン撹拌翼10が下流側に配置され、かつその他の撹拌翼として1つのパドル型撹拌翼50が上流側に配置されている。
図3の(c)では、1つのシャフト40の軸周りにその他の撹拌翼としてパドル型撹拌翼50が下流側に配置され、かつ1つのタービン撹拌翼10が上流側に配置されている。
図3の(d)では、1つのシャフト40の軸周りに1つのタービン撹拌翼10が配置されている。
図3の(e)では、1つのシャフト40の軸周りに3つのタービン撹拌翼10,10’,10”が配置されている。
図3の(f)では、閉鎖可能な容器110の上下方向から2つのシャフト40,40’が挿入され、かつそれぞれの軸周りに1つのタービン撹拌翼10,10’が配置されている。
図3の(g)では、閉鎖可能な容器110の上方向から2つのシャフト40,40’がそれぞれ別々に挿入され、かつそれぞれの軸周りに1つのタービン撹拌翼10,10’が配置されている。
図3の(h)では、閉鎖可能な容器110から傾斜した2つのシャフト40,40’がそれぞれ別々に挿入され、かつそれぞれの軸周りに1つのタービン撹拌翼10,10’が配置されている。
上記図3の(a)~(h)のいずれに示す場合でも、芯材粒子、熱可塑性材料、および高圧流体に対する剪断下での混合を行うことができる。
本発明の製造方法では、上記タービン撹拌翼によって、閉鎖可能な容器内の内容物が高速下で撹拌されることが好ましい。タービン撹拌翼の撹拌速度は、必ずしにも限定されないが、好ましくは600rpm~1500rpm、より好ましくは700rpm~1200rpmである。タービン撹拌翼の撹拌速度が600rpmを下回ると、閉鎖可能な容器内の内容物に対して十分な剪断下での混合が行われず、結果として得られるコーティング粒子の製造効率を低下させることがある。タービン撹拌翼の撹拌速度が1500rpmを上回ると、その撹拌軸および軸受けが破損することがある。
一般に工業製品のカプセル化に使用されるコーティング材料(例えば、上記熱可塑性材料)の多くの融点は、例えば数十℃から百数十℃である。コーティング材料の融点である数十℃から百数十℃下において、高圧流体の1種である窒素は、その臨界温度(-149℃)よりもはるかに高温下で存在することになるため、低圧のヘリウムのようなガスとして性質を示す。そのため、数十℃から百数十℃で溶融しているコーティング材料(例えば、上記熱可塑性材料)と窒素ガスとを従来の混合手段を用いて、マイクロ液滴の形態で相互の相に分散させる混合撹拌方法(乳化方法)により、所望のコーティング粒子を得ることは不可能であった。
一方、窒素ガスに代えて超臨界二酸化炭素を用いてコーティング材料とともに高圧噴霧する場合には当該コーティング粒子の製造が可能である。しかし、超臨界二酸化炭素は温室効果ガスの1種である点で、近年その使用を回避したいというニーズも高まっている。
これに対して、本発明では、タービン撹拌翼を用いて各種材料の剪断下での混合が可能になったことにより、例えば数十℃から百数十℃で溶融する上記熱可塑性材料と、高圧流体(窒素など)との混合流体を激しく撹拌かつ乳化でき、超臨界二酸化炭素を用いることなく、閉鎖可能な容器内でのマイクロ液滴の形成を通じて所望のコーティング粒子を製造することができる。
本発明の製造方法は、ガス飽和溶液懸濁法(PGSS法)を利用し得る。PGSS法は、溶質を含む溶液または溶質の融解液にガスの流体(例えば高圧流体)を飽和状態まで溶解させ、ノズルを通して放出(例えば噴霧による)することにより大気圧近くまで急激に膨張させ、固体の微粒子を生成する方法をいう。
本発明の製造方法では、上記高圧流体への芯材粒子および/または熱可塑性材料の溶解または懸濁を促す目的で閉鎖可能な容器内で溶媒が共存していてもよい。溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、水(例えば、超純水、純水、イオン交換水、RO水、および水道水)、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチルエーテル、アセトン、ベンゼン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、アセトニトリル、およびプロパノール、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
使用され得る溶媒の量もまた特に限定されないが、例えば閉鎖可能な容器の容量500mLに対して、好ましくは0.01mL~400mL、より好ましくは1mL~300mLである。閉鎖可能な容器の容量500mLに対して使用される溶媒の量が0.01mLを下回ると、当該溶媒に対して上記熱可塑性材料が十分に溶解することができず、芯材粒子に対して均一な被膜を形成ることが困難となることがある。閉鎖可能な容器の容量500mLに対して使用される溶媒の量が400mLを上回ると、所定量の熱可塑性材料を容器内に供給することが困難となることがある。
閉鎖可能な容器における、上記芯材粒子、熱可塑性材料および高圧流体、ならびに必要に応じて添加される溶媒の混合は、好ましくは30℃~180℃、より好ましくは60℃~120℃の温度範囲内で行われる。当該混合の際に設定される温度が30℃を下回ると、熱可塑性材料が十分に融解せず当該熱可塑性材料と高圧流体との間で均一な相の形成が困難となり、結果としてコーティング粒子の製造効率が低下する場合がある。当該混合の際に設定される温度が180℃を上回ると、芯材粒子を構成する材料が当該温度によって熱変性を引き起こし、所望のコーティング粒子を得ることが困難となる場合がある。
本発明において、上記剪断下での混合は所定の時間をかけて行うことが好ましい。剪断下での混合時間は、閉鎖可能な容器の容量、上記芯材粒子、熱可塑性材料および高圧流体、ならびに必要に応じて添加される溶媒の種類および量によって変動するため必ずしも限定されないが、例えば30分間~600分間である。
本発明のコーティング粒子の製造方法では、その後、閉鎖可能な容器が開放される。
例えば、本発明においてガス飽和溶液懸濁法(PGSS法)が利用される場合、開放により閉鎖可能な容器内は減圧され、芯材粒子、熱可塑性材料および高圧流体の混合物は容器外へ例えばノズルを通じて放出(例えば噴霧による)される。これにより当該混合物は大気圧近くまで急激に膨張し、融解または溶解状態の芯材粒子および熱可塑性材料の析出が促される。そして、芯材粒子および熱可塑性材料が析出する際に当該芯材粒子が熱可塑性材料を被膜としてコーティングされる。
このようにして所望のコーティング粒子を得ることができる。
(コーティング粒子の製造装置)
上記コーティング粒子の製造方法は、例えば、以下のコーティング粒子の製造装置を用いて行うことができる。以下、本発明のコーティング粒子の製造装置の一例について説明する。
図4は、高圧流体として窒素ガスを用いる場合のコーティング粒子の製造装置100を示す。
この装置100は、閉鎖可能な容器を閉鎖した状態で、上記芯材粒子、熱可塑性材料および高圧流体、ならびに必要に応じて添加される溶媒を混合する混合部A1と、容器を開放することによりコーティング粒子を生成かつ回収する回収部A2とで構成されている。混合部A1と回収部A2とはストップバルブ204を境にして区切られている。
混合物A1において、窒素ガスを供給するボンベ101と閉鎖可能な容器110との間には、乾燥剤が充填された乾燥管102およびストップバルブ203が配置されている。ボンベ101から供給される窒素ガスはこの乾燥管102を通過することにより、窒素ガス中の水分が除去される。ストップバルブ203は、ボンベ101から閉鎖可能な容器110への窒素ガスの供給を調節するために設けられている。
混合部A1において、閉鎖可能な容器110は、好ましくは恒温水槽112内に設置されている。恒温水槽112内は、温度制御器(図示せず)によって内部温度を例えば±0.1℃まで制御可能であり、閉鎖可能な容器110内を、例えば30℃~180℃の任意の温度に設定することができる。恒温水槽112には、必要に応じて測温部116が設けられている。
閉鎖可能な容器110は、例えば耐熱性および耐圧性を備えた高圧セルである。閉鎖可能な容器110には、必要に応じて測温部120が設けられていてもよい。閉鎖可能な容器110内に、上記芯材粒子、熱可塑性材料および高圧流体(窒素ガス)、ならびに必要に応じて溶媒が収容され、容器110を閉鎖した状態でこれらの混合が行われる。これらの混合を剪断下で促すために、図4に示す実施形態では、閉鎖可能な容器110には回転可能なシャフト40と、当該シャフト40の軸周りにタンデムに取り付けられた2つのタービン撹拌翼10,10’とが設けられている。シャフト40の他端は、閉鎖可能な容器110の外に延び、モータ109に連結されている。
閉鎖可能な容器110に芯材粒子および熱可塑性材料、ならびに必要に応じて溶媒が収容された後、ストップバルブ203を介してボンベ101から窒素ガスが閉鎖可能な容器110に供給され、その後容器110は閉鎖される。容器110内の内圧はボンベ101に封入された高圧窒素の内圧によって調整され、図示しない圧力計を用いてモニターすることができる。
次いで、当該容器110内でこれらの材料はモータ109およびシャフト40の回転を通じてタービン撹拌翼10,10’により、所定時間をかけて剪断下で混合される。その後、ストップバルブ205によって容器110が再び開放される。これにより容器110の内圧は大気圧にまで減圧可能である。この減圧によって容器110内の液状物の凝縮を回避するため、ストップバルブ205にはヒーター(図示せず)が設けられていてもよい。
回収部A2は、得られるコーティング粒子を回収するために、恒温水槽110外に空気恒温槽119が設けられている。回収部A2は、空気恒温槽119の内部にて放出可能なノズル117を備え、このノズル117は、ストップバルブ205,204が設けられた管115を介して閉鎖可能な容器110に接続されている。空気恒温槽119内において、ノズル117の下方には、テフロン(登録商標)シートなどの材料で構成されるステージ118が設けられている。
ストップバルブ205,204を各々開放することにより、閉鎖可能な容器110に収容されている芯材粒子および熱可塑性材料は、高圧状態から常圧に戻った窒素ガスとともに空気恒温槽119側に移動し、ノズル117からステージ118上に放出される。その際、熱可塑性材料が芯材粒子を包囲して被膜を形成し、コーティング粒子が製造される。
こうして得られたコーティング粒子がステージ118上に配置され、その後回収される。
本発明の製造方法で製造されたコーティング粒子は、例えば、食品、医薬品、農薬品、化粧品等の種々の分野において利用することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1:窒素とエタノールとの混合液を用いたガス飽和溶液懸濁法(PGSS法)によるコーティング粒子の作製)
まず、エタノール中に、Eudragit E100(Evonik製メタクリル酸共重合体;純度98.5%以上)を16.7質量%の濃度となるように添加し、これを恒温水槽(株式会社島津製作所製SBW-35)中で50℃にて加温し、マグネチックスターラーで300rpmにて撹拌して完全に溶解させて、Eudragit E100溶解エタノール溶液を調製した。
次いで、高圧セル(株式会社AKICO製SCV500A;内容積:500cm)内にEudragit E100溶解エタノール溶液2.5mLおよび炭酸カルシウム粒子(0.10g、平均粒子径:15.2μm±4.1μm)を仕込み、当該高圧セル内の温度を、ヒーター(株式会社鹿島製作所製WPS-110RL)で加温した恒温水槽により50℃となるように制御した。高圧セル内に窒素ガスを送液し、圧力8MPaにまで加圧した。高圧セル内の圧力を、圧力計(株式会社親和電機製DD-501モデル;精度±0.3%)でモニターした。
その後、高圧セル内の混合物を、図1の(a)に示すエッジドタービン撹拌翼10を2つ用い、これらをシャフト40に対してタンデムに連結して構成される高速撹拌システム(最大撹拌速度:940rpm)を用いて撹拌速度500rpmで撹拌し、相平衡状態とした。なお、このエッジドタービン撹拌翼の直径は40mmであり、第1エッジ部14および第2エッジ部16の各翼歯は高さ5mmおよび厚さ1mmであり、そしてタンデムに連結した2つのエッジドタービン撹拌翼の間の距離は86mmであった。
1時間した撹拌後、再び高圧セル内に窒素ガスを送液し、圧力10MPaにまで加圧した。その後、高圧セルの下流に配置したストップバルブを開放し、高圧セル内の窒素、エタノール、Eudragit E100および炭酸カルシウム粒子の混合物を、ヒーターで50℃に維持されたステンレス配管(1/8インチ)を通じて、ノズル(ノズルアスペクト比:2.0、内径0.46mm)からテフロン(登録商標)シートを貼った大気コレクター内に噴霧した。このとき、噴霧された高圧セル内混合物のうち、エタノールが窒素とともに気化することにより、Eudragit E100が析出し、炭酸カルシウム粒子がEudragit E100でコーティングされた粒子を作製した。得られた粒子を回収し、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製SALD-2000)を用いて動的光散乱法により回収した粒子の粒度分布および平均粒子径を測定した。この測定にあたり分散媒には超純水を使用し、測定を3回行って平均値を記録した。粒度分布の結果を図5に示す。また、得られた粒子のメジアン径は、39.2μmで、モード径は、35.48μmで、平均粒子径は39.21μmであった。
(比較例1:窒素とエタノールとの混合液を用いたガス飽和溶液懸濁法(PGSS法)によるコーティング粒子の作製)
実施例1で使用したエッジドタービン撹拌翼の代わりに、4枚ピッチドパドル型撹拌翼を2つ用い、これらをシャフトに対してタンデムに連結した高速撹拌システムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒子を回収した。なお、この4枚ピッチドパドル型撹拌翼の直径は40mmであり、各パドル翼の長さは15mmであり、そしてタンデムに連結した2つのパドル型撹拌翼の間の距離は86mmであった。
上記パドル型撹拌翼を使用した場合、高分子の仕込量の8割以上が高圧装置内に残留し、高圧セル外に噴き出して生成する粒子は、総量の2割以下となり、実施例1で得られたような炭酸カルシウム粒子がEudragit E100でコーティングされた粒子を作製できなかった。
(比較例2:超臨界二酸化炭素とエタノールとの混合液を用いたガス飽和溶液懸濁法(PGSS法)によるコーティング粒子の作製)
実施例1で使用した窒素ガスに代えて、高圧セル内で液化炭酸ガスを流速20.0mL/分で徐々に送液し、圧力8MPaにまで加圧して超臨界二酸化炭素を調製し、これを使用したこと、および実施例1で使用したエッジドタービン撹拌翼の代わりに、4枚ピッチドパドル型撹拌翼を2つ用い、これらをシャフトに対してタンデムに連結した高速撹拌システムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして炭酸カルシウム粒子がEudragit E100でコーティングされた粒子を回収した。なお、この4枚ピッチドパドル型撹拌翼の直径は40mmであり、各パドル翼の長さは15mmであり、そしてタンデムに連結した2つのパドル型撹拌翼の間の距離は86mmであった。
得られた粒子を回収し、実施例1と同様にして回収した粒子の粒度分布および平均粒子径を測定した。結果を図6に示す。また、得られた粒子の平均粒子径は69.9μmであった。
ここで、まず実施例1および比較例1の結果を比較すると、高圧流体として窒素と用いる場合、パドル型撹拌翼による単なる撹拌下では、炭酸カルシウム粒子をEudragit E100でコーティングした粒子を得ることができなかった(比較例1)のに対し、エッジドタービン撹拌翼による剪断下では、(超臨界二酸化炭素を用いることなく)炭酸カルシウム粒子をEudragit E100でコーティングした粒子を得ることができた(実施例1)。
また、実施例1および比較例2の結果(図5および図6、ならびに得られた平均粒子径の結果)を比較すると、いずれの場合も炭酸カルシウム粒子をEudragit E100でコーティングした粒子を得ることができた。しかし、比較例2の超臨界二酸化炭素およびパドル型撹拌翼を用いた場合と比較して、実施例1の窒素ガスおよびエッジドタービン撹拌翼を用いた場合には、得られる粒度分布が粒子径のより低い側にシフトし(図5および図6)、かつ得られる粒子の平均粒子径が小さくなる傾向にあることがわかる。
さらに、上記で得られた粒子のd(90%)、d(50%)およびd(10%)を表1に示す。
Figure 2023156206000002
表1に示すように、実施例1で得られた粒子は、比較例2で得られた粒子と比較して、d(90%)、d(50%)およびd(10%)の全てにおいて測定値が低く、粒度分布が狭くなっていた。このことから、実施例1のような窒素ガスおよびエッジドタービン撹拌翼を用いることにより得られるコーティング粒子は(比較例2のような超臨界二酸化炭素およびパドル型撹拌翼を用いる場合と比較して)粒度のバラツキが少なく、当該粒度が一層整う傾向にあることがわかる。
(実施例2:コーティング粒子の製造装置)
以下の実施例3に記載のコーティング粒子を作製するために、図4に示すコーティング粒子の製造装置100を以下の機器および材料を用いて作製した。
混合部A1において、ボンベ101として窒素ガス(純度99.9重量%以上)を収容するものを福岡酸素株式会社より入手した。このボンベ101には図示しない圧力計(株式会社親和電機製DD-501モデル;精度±0.3%)を取り付けることにより閉鎖可能な容器110内に供給される窒素ガスの内圧をモニターした。恒温水槽112(株式会社島津製作所製SBW-35)内には閉鎖可能な容器110として高圧セル(株式会社AKICO製SCV500A;内容積500cm)を配置した。また、恒温水槽112には図示しないヒーター(株式会社鹿島製作所製WPS-110RL)が設けられており、当該ヒーターにより恒温水槽112の温度を70℃に調節した。
高圧セル(閉鎖可能な容器110)内には、図1の(a)に示すエッジドタービン撹拌翼10を2つ用い、これらをシャフト40に対してタンデムに連結した。なお、このエッジドタービン撹拌翼の直径は40mmであり、第1エッジ部14および第2エッジ部16の各翼歯は高さ5mmおよび厚さ1mmであり、そしてタンデムに連結した2つのエッジドタービン撹拌翼の間の距離は86mmであった。
回収部A2において、管115には1/8インチのステンレス配管を使用し、ステージ118にはテフロン(登録商標)シートを貼り付けた。
このようにして図4に示すコーティング粒子の製造装置100を作製した。
(実施例3:窒素ガスを用いるコーティング粒子の作製)
実施例2で作製したコーティング粒子の製造装置を用いて、コーティング粒子を以下のようにして作製した。
まず、株式会社J-オイルミルズから提供された16.0gのヒマワリワックス(熱可塑性材料)を恒温水槽(株式会社島津製作所製SBW-35)で75℃に加温して完全に融解させた。次いで、高圧セル(閉鎖可能な容器110)に、この融解ヒマワリワックスと、2.0gのK2オイル(株式会社J-オイルミルズ製M-1500;ビタミンK2含有食用油脂粉末;芯材粒子)およびエタノール(10mL)を仕込んだ。当該高圧セル内の温度を70℃に制御し、次いで、当該高圧セルを閉鎖した状態でストップバルブ203を開放してボンベ101から高圧セル内に窒素ガスを送液し、ボンベ101に封入された高圧窒素の内圧を利用して高圧セル内の圧力が6MPaになるまで加圧した。
その後、高圧セル内の混合物を、上記エッジドタービン撹拌翼を備える高速撹拌システム(最大撹拌速度:940rpm)を用いて撹拌速度900rpmで撹拌し、平衡状態とした。15分間撹拌後、高圧セルの下流のストップバルブ204,205を開放して、高圧セル内の窒素ガス、融解ヒマワリワックスおよびK2オイルの混合物を、管115を通って空気恒温槽119側に移動させ、ノズル117からテフロン(登録商標)シートを貼り付けたステージ118上に噴霧した。このとき、高温(70℃)下で融解していたヒマワリワックスは常温常圧の空気恒温槽119内で液滴状に噴霧され、K2オイルを含んだ状態で析出することにより、K2オイル内包したマイクロカプセルでなるコーティング粒子を得た。得られたコーティング粒子をシャーレ上に移し、シャーレ全体の写真を撮影した(図7)。図7に示すように、得られたコーティング粒子は大きな凝集は見られない紛体状であった。
次いで、本実施例で得られたコーティング粒子の形態を、走査型電子顕微鏡(SEM;日本電子株式会社製JSM6060)を用いて観察した。なお、SEM分析用のサンプルとして、得られたコーティング粒子を、導電性カーボンテープ(日新EM株式会社製7311)を貼り付けた銅グリッド上に乗せ、オートファインコーター(日本電子株式会社製JFC-1600)を使用した薄膜プラチナコーティングを行いて作製した。結果を図8に示す。
図8に示すように、本実施例で得られたコーティング粒子は、表面に多数の凹凸のある粒子であることを確認した。
さらに、本実施例で得られたコーティング粒子について、実施例1と同様にして回収した粒子の粒度分布および平均粒子径を測定した。結果を図9に示す。
図9に示すように、本実施例で得られたコーティング粒子はマイクロサイズに分布しており、その平均粒子径は64.5μmであった。
本発明は、例えば、食品、医薬品、農薬品および化粧品の技術分野において有用である。
10,10’,10” エッジドタービン撹拌翼
12 円盤状基体
14,24 第1エッジ部
16 第2エッジ部
40,40’ シャフト
50 パドル型撹拌翼
100 コーティング粒子の製造装置
101 ボンベ
102 乾燥管
109 モータ
110 閉鎖可能な容器
112 恒温水槽
116,120 測温部
117 ノズル
118 ステージ
119 空気恒温槽
203,204,205 ストップバルブ

Claims (9)

  1. コーティング粒子の製造方法であって、
    閉鎖可能な容器内において、芯材粒子、熱可塑性材料、および高圧流体を剪断下で混合する工程、ならびに
    該閉鎖可能な容器内を開放して、該芯材粒子を熱可塑性材料でコーティングする工程、
    を包含し、
    該高圧流体が窒素、酸素および空気からなる群から選択される少なくとも1種の流体であり、
    該剪断下での混合が該閉鎖可能な容器内に配置された少なくとも1つのタービン撹拌翼によって行われる、方法。
  2. 前記タービン撹拌翼がエッジドタービン撹拌翼である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記エッジドタービン撹拌翼が、前記閉鎖可能な容器内で回転可能に設けられたシャフトに固定されており、
    該シャフトの軸周りに延びる円盤状基体と、
    該円盤状基体の外周に沿って設けられた複数の第1エッジ部と、
    該円盤状基体の表面上の、該シャフトと該第1エッジ部との間に配置されている複数の第2エッジ部とを備える、請求項2に記載の方法。
  4. 前記シャフトの軸周りに前記タービン撹拌翼の少なくとも2つがタンデムに連結されている、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記混合工程が、60℃から100℃の温度範囲内で行われる、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. コーティング粒子の製造装置であって、
    芯材粒子、熱可塑性材料、および高圧流体を充填することができる閉鎖可能な容器と、
    該閉鎖可能な容器内に配置された回転可能なシャフトと、
    該シャフトの軸周りに取り付けられた少なくとも1つのタービン撹拌翼を備える、装置。
  7. 前記タービン撹拌翼がエッジドタービン撹拌翼である、請求項6に記載の装置。
  8. 前記エッジドタービン撹拌翼が、
    該シャフトの軸周りに延びる円盤状基体と、
    該円盤状基体の外周に沿って設けられた複数の第1エッジ部と、
    該円盤状基体の表面の、該シャフトと該第1エッジ部との間に配置されている複数の第2エッジ部とを備える、請求項7に記載の装置。
  9. 前記シャフトの軸周りに前記タービン撹拌翼の少なくとも2つがタンデムに配置されている、請求項6から8のいずれかに記載の装置。
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