JP2023155962A - 配送計画作成システム、配送計画作成方法および配送計画作成プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】連続する計画期間の一方における配送計画の作成が困難になる可能性を低減する技術を提供すること。【解決手段】複数の配送先のそれぞれに設置された複数のガス容器に蓄積されたガスの残量の推移を予測する残量予測部と、複数の前記配送先のそれぞれについての前記推移に基づいて、前記ガスの残量がしきい値以下でありかつ0にならない期間を配送期間として設定する配送期間設定部と、配送計画の作成対象期間である計画期間を設定する計画期間設定部と、前記計画期間におけるコストとして、少なくとも、拠点から複数の前記配送先を経由して前記拠点に戻る場合の移動に関するコストと、前記計画期間の終了日より前に始まり、前記終了日より後に終了する前記配送期間内に配送すべき前記配送先へ前記計画期間内に配送しない場合のコストと、を評価する目的関数に基づいて、複数の前記配送先のそれぞれにおける前記配送期間内に、それぞれの前記配送先に前記ガス容器を配送する前記配送計画を作成する配送計画作成部と、を備える配送計画作成システムを構成する。【選択図】図8
Description
本発明は、配送計画作成システム、配送計画作成方法および配送計画作成プログラムに関する。
従来、店舗や個人宅等にガス容器を設置し、当該ガス容器内のガスをガス機器に供給することでガスを使用する態様が知られている。このような態様においては、ガス容器の残量が0になる前に配送員が店舗や個人宅等にガス容器を配送し、交換を行う。一般に、ガス容器の設置場所は複数カ所存在し、ガス容器の交換時期がそれぞれの設置場所で異なり得るため、効率的な配送計画を作成することは容易ではない。そこで、このようなガス容器の配送計画を作成する技術として、特許文献1が知られている。
上述の特許文献1においては、ガスの使用量を予測することによって、ガスの交換を行い得る配送期間が特定され、当該配送期間内に各顧客への配送を行うように配送計画が作成される。配送計画は、例えば、2~6ヶ月などの比較的長期にわたる計画期間内の計画として作成される。当該計画期間と各顧客への配送を行う配送期間とは互いに独立である。このため、計画期間の終了日より前に開始され、計画期間の終了日より後に終了するような配送期間、すなわち、計画期間の終了日に跨がる配送期間が存在し得る。配送計画は、一般に、コストが小さい配送計画を探索することによって作成されるため、計画期間の終了日に跨がる配送期間が存在すると、計画期間の終了日に跨がる配送期間に配送しない配送計画が常に作成されてしまう。このような、配送計画が作成されると、計画期間より後に配送すべき配送先が過度に増える場合があり、配送が困難となり得る。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、連続する計画期間の一方における配送計画の作成が困難になる可能性を低減する技術を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、連続する計画期間の一方における配送計画の作成が困難になる可能性を低減する技術を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、配送計画作成システムは、複数の配送先のそれぞれに設置された複数のガス容器に蓄積されたガスの残量の推移を予測する残量予測部と、複数の前記配送先のそれぞれについての前記推移に基づいて、前記ガスの残量がしきい値以下でありかつ0にならない期間を配送期間として設定する配送期間設定部と、配送計画の作成対象期間である計画期間を設定する計画期間設定部と、前記計画期間におけるコストとして、少なくとも、拠点から複数の前記配送先を経由して前記拠点に戻る場合の移動に関するコストと、前記計画期間の終了日より前に始まり、前記終了日より後に終了する前記配送期間内に配送すべき前記配送先へ前記計画期間内に配送しない場合のコストと、を評価する目的関数に基づいて、複数の前記配送先のそれぞれにおける前記配送期間内に、それぞれの前記配送先に前記ガス容器を配送する前記配送計画を作成する配送計画作成部と、を備える。
計画期間は、配送計画を作成するための期間である。配送期間は個別の配送先毎のガス容器を交換すべき期間である。これらの計画期間と配送期間とは、互いに独立した期間であるため、計画期間の終了日と、配送期間の開始日および終了日と、は必ずしも一致しない。すなわち、配送期間が計画期間の終了日に跨がる場合がある。配送計画が計画期間の終了日に跨がる配送先に対しては、計画期間内に配送されても良いし、計画期間が経過した後に配送されても良い。このように、計画期間内での配送対象とせず、計画期間が経過した後の配送対象とすることを、配送の先送りと呼ぶ。このような、先送りが行われると、先送りされた後に配送すべき配送先の数が増加するため、長期的にみると、先送りが効率の低下や配送計画問題の複雑化等を招くことがある。
目的関数によってコストを評価し、コストが小さい配送計画を見つける配送計画問題の求解アルゴリズムにおいて、一般的には、配送先の数が増加することに応じてコストが増加する。従って、計画期間内の配送計画のコストを評価する際に、単に先送りを許容した状態にすれば、常に先送りが発生してしまうことになる。そこで、配送計画作成部においては、先送りが発生した場合に、先送りされたことに応じたコストが追加されて目的関数によってコストが評価される。この結果、配送計画の作成過程において、計画期間の終了日に跨がる配送期間を有する配送先が必ず先送りされることを防止することができる。従って、連続する計画期間の一方における配送計画の作成が困難になる可能性を低減することができる。
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)配送計画作成システムの構成:
(2)配送計画作成処理:
(3)他の実施形態:
(1)配送計画作成システムの構成:
(2)配送計画作成処理:
(3)他の実施形態:
(1)配送計画作成システムの構成:
図1は配送計画作成システム10の構成を示す図である。配送計画作成システム10は、複数の配送先(図1においては配送先1~配送先M:Mは2以上の整数)にガス容器を配送する際の配送計画を作成するシステムである。各配送先には、ガス容器61、計測器62、ガス燃焼器63が存在する。
図1は配送計画作成システム10の構成を示す図である。配送計画作成システム10は、複数の配送先(図1においては配送先1~配送先M:Mは2以上の整数)にガス容器を配送する際の配送計画を作成するシステムである。各配送先には、ガス容器61、計測器62、ガス燃焼器63が存在する。
ガス容器61は、LPG(Liquefied Petroleum Gas)を蓄積する容器である。ガス容器61は、配管を介して計測器62に接続される。計測器62は、配管を介してガス燃焼器63に接続される。ガス燃焼器63は、コンロや給湯器など、ガスを燃焼させて各種の機能を実現する装置である。計測器62は、ガスの消費量を計測する装置であり、例えば、配管を通過するガスの量を計測するなどしてガスの消費量が計測される。ガス燃焼器63がガスを燃焼させる際には、ガス容器61に蓄積されたガスがガス燃焼器63に供給され、計測器62がガスの消費量を計測する。計測器62は、ガスの消費量を計測できれば良く、任意の方式の計測器が利用されて良い。また、消費量は種々の態様で計測されて良い。
ガス燃焼器63は、ガスを消費する機器であれば良く、任意の態様の装置が利用されて良い。また、1つの配送先において、複数のガス燃焼器63が利用されても良い。本実施形態において、各配送先に設置されるガス容器61は複数個、すなわち、2個以上である。なお、各配送先に設置されるガス容器61の容量は限定されず、個数は2個以上であれば限定されない。
使用中のガス容器61が空(ほぼ空も含む)になると、ガスの供給元が未使用のガス容器61に切り替えられ、ガスの使用が続けられる。本実施形態においては、全てのガス容器61が空にならないうちに、配送先に満量(充填済)のガス容器61を配送し、空のガス容器61を回収するサービスが提供される。
このようなサービスを提供するため、各配送先の計測器62で計測された消費量が配送計画作成システム10に送信される。消費量の特定のため、本実施形態において計測器62は、通信機能を有している。すなわち、各配送先に設置された計測器62は、任意のタイミングで、配送計画作成システム10に対して各配送先でのガスの消費量を送信する。送信タイミングは限定されないが、本実施形態においては、1日単位のガスの消費量が配送計画作成システム10に送信される。通信の態様は限定されず、有線通信、無線通信等が利用されて良い。また、計測器62による計測結果が携帯端末等から送信される態様であっても良い。
管理者端末50は、配送計画の管理を行う管理者が使用する端末である。管理者端末50は、ディスプレイ等の図示しない表示部と、キーボードやマウス等の入力部と、を備えている。管理者は、入力部を操作して配送計画作成システム10に対して各種の指示を与えることができる。例えば、管理者は、各種のデータを配送計画作成システム10に記録させたり、配送計画の作成指示等を配送計画作成システム10に与えたり、することができる。また、管理者は、表示部に表示される各種の情報を視認することができる。例えば、配送計画作成システム10が作成した配送計画等を視認することができる。
配送計画作成システム10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20、記憶媒体30、および、通信部40を備えている。通信部40は、各配送先の各計測器62と通信を行う装置である。
記憶媒体30は、各種プログラム、および、各種データを記録する。本実施形態において、記憶媒体30には、消費量データ30a,残量データ30b,配送先データ30c,作業者データ30d,コストデータ30eが記憶される。
消費量データ30aは、各配送先における消費量の推移を示す情報であり、本実施形態においては、現在の日より前の日までの消費量の実際の推移を示している。消費量データ30aは、例えば、図2Aに示すように、配送先の識別情報(1~M等)に対して、日毎の消費量を示す情報が対応付けられて定義される。なお、消費量の単位は任意の単位で良いが、例えば、立方メートル等を採用可能である。
残量データ30bは、各配送先におけるガスの残量の推移を示す情報であり、本実施形態においては、現在の日より前の日までのガスの残量の推移を示している。残量データ30bは、例えば、図2Bに示すように、配送先の識別情報に対して、日毎の残量を示す情報が対応付けられて定義される。なお、本実施形態において、ガスの残量は、各配送先に設置されたガス容器61に蓄積されたガスの総残量である。従って、複数のガス容器61のそれぞれに蓄積されたガスの残量の和が残量データ30bの数値となる。配送によって空のガス容器61が満量のガス容器61に交換された場合、その日の残量が増加することになる。配送の有無は、種々の手法で特定されて良い。例えば、ガス容器61を配送する配送車両の一日の業務が終了すると、当該配送車両によって配送が行われた配送先において、交換されたガス容器61の個数×満量のガス容器61の残量に相当する値だけ残量が増加するような構成を採用可能である。残量の単位は任意の単位で良いが、例えば、立方メートル等を採用可能である。
配送先データ30cは、各配送先1~配送先Mに関する情報である。本実施形態において、配送先の識別情報に対して、配送先の位置(住所や座標等)と、配送先に設置されたガス容器61の種類および個数、ガス容器61の交換に要する時間、先送りコストの第1成分を示す情報が含まれている。図2Cは、配送先データ30cの例を示す図である。本実施形態において、ガス容器の種類は20kg,50kg等の重量で示されているが、当該種類毎に充填可能なガスの最大量が決まっている。従って、種類が特定されると、交換によって増加するガスの残量が決まる。
ガス容器61の交換に要する時間は、ガス容器61の交換のために各配送先で要する時間長を示しており、例えば、配送先への到着からガス容器61を交換して出発するまでに要する時間が統計等によって特定されて定義されている。ガス容器61の交換に要する時間は、配送先毎に異なり得るため、本実施形態においては、配送先毎にガス容器61の交換に要する時間が決められている。なお、本実施形態においては、配送に要する総時間を最小化するための目的関数が定義され、時間がコストとして評価される。ガス容器61の交換に要する時間は、コストとして評価されるため、時間の単位(図2Cにおいては分)で定義されている。
先送りコストの第1成分は、計画期間内に配送先に配送せず、計画期間外に配送を行う先送りを行う際に、目的関数に追加されるコストを算出するための値であり、詳細は後述する。先送りコストの第1成分も、配送先毎に決められる。
作業者データ30dは、ガス容器61を交換するサービスを提供する作業者に関する情報である。本実施形態において、当該サービスは、満量のガス容器61が荷台に積まれた配送車両を作業者が運転して拠点を出発し、複数の配送先を巡回し、各配送先で空のガス容器61を交換し、拠点に戻ることによって実現される。本実施形態においては、複数の作業者が存在することが想定されている。
本実施形態においては、作業者の勤務時間が予め決められており、さらに、勤務時間外の勤務が可能な時間として残業可能時間が予め決められている。また、本実施形態においては、作業者の休日も予め決められている。本実施形態においては、休日における作業は行わないことが想定されている。本実施形態においては、全ての作業者の勤務時間および残業可能時間が全ての日において一致しており、全ての作業者の休日も一致している状態が想定されている。ただし、これらの時間や休日は作業者毎に異なっていてもよいし、日毎(例えば、曜日毎)に異なっていてもよい。本実施形態においては、勤務時間、残業可能時間および休日を示す情報が、作業者データ30dに含まれている。
また、本実施形態において、一人の作業者は一台の配送車両を運転する。従って、作業者の人数は、拠点から出発可能な配送車両の数と一致する。なお、各作業者の識別情報(名前や番号等)と、配送車両の識別情報(登録番号等)とが、対応付けられたデータが、作業者データ30dに含まれていても良い。
コストデータ30eは、2カ所の地点間を移動する際に要するコストを示す情報であり、本実施形態において、コストは2地点間を移動する際に要する移動時間を示している。本実施形態において、地点は、拠点または配送先である。また、コストは、全ての地点から選択可能な2地点の全てについて、予め決定され、コストデータ30eとして定義される。
例えば、コストが定義される地点が、拠点と、配送先1~配送先Mである場合、図2Dのようにコストが定義される。すなわち、拠点および配送先1~配送先Mのいずれかを出発地とし、拠点および配送先1~配送先Mを到着地とし、出発地から到着地まで移動する際に採用し得る地点の全ての組合せについて、移動時間が決定され、コストとされる。図2Dにおいて「-」と表記された部分は、出発地と到着地とが同一である場合の組合せに対応しているため、定義されない。
移動時間は、種々の態様で定義されて良く、本実施形態においては2地点間のルートが想定され、当該ルートに沿って移動した場合の移動時間が統計等に基づいて決められている。むろん、移動時間は、曜日や時間帯毎に定義されていても良い。なお、本実施形態においては、出発地と到着地との組合せが同一の地点であっても、どちらが出発地であるのかに応じて移動時間が異なり得るため、いずれの地点が出発地となる場合についても定義されている。例えば、配送先1と配送先Mとの2地点について、配送先1が出発地、配送先Mが到着地である場合のコストと、配送先Mが出発地、配送先1が到着地である場合のコストと、の双方が定義されている。但し、両者の差が小さいのであれば、いずれの地点が出発地となるのか区別されずにコストが定義されても良い。なお、上述の消費量データ30a,残量データ30b,配送先データ30c,作業者データ30d,コストデータ30eの態様は、上述の例に限定されない。例えば、各データが図2A~図2Dのようなフォーマットで記録されていなくても良く、種々の態様を採用可能である。
制御部20は、記憶媒体30やROMに記憶された種々のプログラムを実行する。制御部20は、このプログラムの一例として、配送計画作成プログラムを実行することができる。配送計画作成プログラムを実行すると、制御部20は、残量予測部20a、配送期間設定部20b、計画期間設定部20c、配送計画作成部20dとして機能する。
残量予測部20aは、複数の配送先のそれぞれに設置された複数のガス容器61に蓄積されたガスの残量の推移を予測する機能である。この機能を実現するため、制御部20は、残量予測部20aの機能により、既定のタイミングで各配送先の計測器62と通信を行い、各配送先における1日のガスの消費量を取得する。各配送先における1日のガスの消費量が取得されると、制御部20は、各消費量を各配送先の識別情報に対応付け、消費量データ30aとして記憶媒体30に記録する。この結果、日毎の消費量が図2Aに示すように記録されていく。
また、制御部20は、残量予測部20aの機能により、各配送先におけるガスの残量を取得する。すなわち、制御部20は、残量データ30bを参照して各配送先の前日までの残量を取得し、当該残量から当日の消費量を減じることで残量を更新する。例えば、図2Aおよび図2Bに示す例において、2022年1月2日の配送先1の消費量は0.3立方メートルであり、2022年1月1日の配送先1のガスの残量は48立方メートルである。この場合、制御部20は、配送先1の2022年1月2日のガスの残量を47.7立方メートル(=48-0.3)として取得する。制御部20は、このような演算を各配送先について実施する。
このように消費量データ30aと残量データ30bとを蓄積することにより現在よりも過去におけるガスの残量の推移が特定された状態で、制御部20は、残量予測部20aの機能により、現在よりも後、すなわち、将来のガスの残量の推移を予測する。残量の推移の予測は、種々の手法によって実施可能である。本実施形態において、制御部20は、将来の日毎の消費量を予測することによって残量の推移を予測する。
すなわち、制御部20は、残量データ30bを参照し、配送先毎の過去の日毎の残量の統計値から将来の日毎の消費量を予測する。統計値は種々の態様で取得されて良く、過去の全ての日の平均によって日毎の消費量が予測されても良いし、過去の曜日毎の平均によって曜日毎の消費量が予測されても良いし、他にも種々の態様が採用されてよい。ここでは、曜日毎の消費量が予測される場合を例にして説明を続ける。
曜日毎の消費量が予測されると、制御部20は、残量予測部20aの機能により、現在より後の連続的な残量の推移を予測する。例えば、現在の次の日が土曜日であれば、現在の残量から土曜日の消費量を減じて土曜日の残量を予測する。また、予測された土曜日の残量から日曜日の消費量を減じて日曜日の残量を予測する。このような予測を現在より後の日のそれぞれについて行えば、ガスの残量が0になるまでの日毎の残量の推移を予測することができる。図3は、予測された残量の推移の例を示す図である。図3は、横軸が時間(経過日数)、縦軸が残量であり、ある配送先における残量の推移の予測値を示している。図3において、予測開始日以後の残量の推移は推移R1である。
配送期間設定部20bは、複数の配送先のそれぞれについての推移に基づいて、ガスの残量がしきい値以下でありかつ0にならない期間を配送期間として設定する機能である。配送期間は、各配送先において、ガス容器61を交換すべき期間である。配送期間においてガス容器61が交換されるとガスの残量は増加するが、時間が経過すると残量は減少し、再びガス容器61を交換すべき配送期間になる。配送計画の作成対象期間である計画期間内に複数の配送期間が含まれる場合、計画期間内の複数の配送期間が特定される必要がある。そこで、制御部20は、計画期間の長さを取得する。具体的には、計画期間設定部20cは、計画期間を設定する機能であり、当該計画期間設定部20cによって計画期間の長さが取得される。
本実施形態において、計画期間は、少なくとも1カ所の配送先において、配送期間が複数回含まれる長さの期間である。計画期間の長さは、種々の手法で決定されて良く、本実施形態においては、予め管理者が管理者端末50を操作することによって決定する。管理者等によって計画期間の長さが決定されると、制御部20は、現在の日から当該長さの期間を計画期間として設定し、配送計画を作成する対象の期間と見なす。当該計画期間の長さや配送期間の長さは、限定されないが、例えば、6ヶ月等の期間であり、配送期間は、例えば、5日間等の期間であり、配送期間は1ヶ月に1回程度のペースで発生する例が想定される。
本実施形態において、配送期間は、ガスの残量がしきい値以下でありかつ0にならない期間である。さらに、本実施形態において、配送期間は、1個以上のガス容器が空になり、かつ、ガスの残量が0にならない期間である。従って、しきい値は、1個以上のガス容器61が空になっている残量として特定されるが、本実施形態において制御部20は、配送先データ30cに基づいて各配送先のしきい値を決定する。すなわち、図2Cに示されるように、配送先毎にガス容器61の種類および個数が異なるため、制御部20は、当該種類および個数に基づいて、しきい値を決定する。
しきい値は、1個以上のガス容器61が空になっている残量として特定されれば良く、空であることによって交換対象となるガス容器61が1個以上であれば良いが、ここでは、使用可能なガス容器61が残り1個になるような残量がしきい値となる例を想定する。例えば、図2Cに示す配送先1、2であれば、制御部20は、50kgのガス容器61の満量よりも残量が少なくなる値をしきい値とする。図2Cに示す配送先Mであれば、制御部20は、20kgのガス容器61の満量よりも残量が少なくなる値をしきい値とする。ガス容器61が確実に空になるようにしきい値を設定する際には、使用可能なガス容器61がガス容器61の1個分の残量と一致する値よりも少なくなるようにマージンが設けられ、しきい値Thが設定されることが好ましい。
さらに、ガス容器61の交換は、ガスの残量が0になる前に実施される必要がある。従って、本実施形態においては、ガスの残量に予め下限値が設定されている。ガス容器61の残量が0にならないようにするために、下限値Tmは残量0よりも多くなるようにマージンが設けられ、下限値Tmが設定されることが好ましい。
制御部20は、各配送先について予測されたガスの残量の推移に基づいて、残量がしきい値Th以下となる日を配送期間の開始日、残量が下限値Tm以下になる日を配送期間の終了日として取得する。具体的には、制御部20は、予測された現在以後の残量の推移に基づいて、現在以後の最初の配送期間を取得する。図3においては、しきい値Thと下限値Tmとが破線によって示されている。この例であれば、制御部20は、予測開始日以後の残量の推移R1に基づいて、配送期間の開始日Ds1、配送期間の終了日De1を取得する。
次に、制御部20は、残量予測部20aの機能により、最初の配送期間内の任意の日に、交換対象のガス容器61の蓄積量だけガスの残量が増加し、以後、増加した残量から予測された推移に基づいてガスの残量が減少するとみなし、交換後の残量の推移を予測する。図3においては、最初の配送期間内の交換日Dr1に空のガス容器61が交換された場合の残量の変化を一点鎖線の矢印で示している。当該一点鎖線の矢印で示した残量の増加量は、「交換されたガス容器61の個数×満量のガス容器61の残量」である。
本実施形態において、配送先毎のしきい値Thの値は固定値であり、交換時において交換されるガス容器61の個数は一定である。すなわち、本実施形態において、交換の際には、予め決められた個数の空であるガス容器61が、満量のガス容器61に交換され、使用中および未使用のガス容器61は交換されない交互交換方式が採用されている。この場合、ガス容器61の交換による残量の増加量は常に一定である。例えば、交換日が図3に示すDr1と異なっていても、残量の増加量は変わらない。
従って、交換後の残量の推移は、ガス容器61の交換日に依存しない。図3においては、推移R2によって交換後の残量の推移を示している。図3に示すように、推移R2は、推移R1を、交換時のガスの増加量だけ上方にシフトしたグラフになる。従って、配送期間内の任意の日に、交換対象のガス容器61の蓄積量だけガスの残量が増加し、以後、増加した残量から予測された推移に基づいてガスの残量が減少するとみなした場合、増加量分のシフトによって残量の推移を予測することができる。
そこで、制御部20は、現在以後の残量の推移R1と、しきい値Thおよび下限値Tmと、に基づいて初回の配送期間を特定する。さらに、制御部20は、推移R1を交換による増加量に相当する分だけ1回上方にシフトさせた推移R2と、しきい値Thおよび下限値Tmとに基づいて、2回目の配送期間を取得する。すなわち、制御部20は、推移R1を(N-1)回だけ上方にシフトさせた推移RNと、しきい値Thおよび下限値Tmとに基づいて、N回目の配送期間を取得する。ただし、Nは1以上の整数である。制御部20は、このような処理を実施し、計画期間内に含まれる各配送先の配送期間を取得する。
図3においては、合計3回分の配送期間の開始日Ds1,Ds2,Ds3、終了日De1,De2,De3を示している。以上のように、本実施形態においては、交互交換方式を採用していることにより、任意の長さの計画期間内の配送期間を、配送計画問題の求解処理の開始前に予め決定し、開始日および終了日を固定の値とすることができる。図4は、計画期間と、複数の配送先の配送期間との例を対比して示す図である。図4における横軸は時間であり、縦方向に異なる配送先を並べて示している。また、実線の矢印は配送期間であり、同一の配送先における配送期間を、同一の縦方向位置において横方向に並べて示している。
また、一点鎖線の矢印は計画期間の一例である。なお、計画期間の終了日と、配送期間の開始日および終了日と、は必ずしも一致しない。例えば、図4に示す例において、配送先2の配送期間のうち、計画期間の最後の時期における配送期間T2の開始日Ds42は、計画期間の終了日Peより前の日である。また、当該配送期間の終了日De42は、計画期間の終了日Peより後の日である。このような関係にある配送期間を、計画期間の終了日に跨がる配送期間と呼ぶ。例えば、図4に示す配送先3の3番目の配送期間T3も、計画期間の終了日に跨がる配送期間である。交互交換方式であれば、このように、計画期間の終了日に跨がる配送期間も含めて、配送計画問題の求解処理の開始前に、配送期間の開始日および終了日を固定することができる。
一方、交換の際に、全てのガス容器61を交換する全量交換方式を採用すると、配送計画問題の求解処理の開始前に配送期間の開始日および終了日を固定することはできない。すなわち、全量交換方式においては、交換のたびにガス容器61の全てが満量になるため、配送先毎の残量の最大値まで残量が増加する。図3においては、残量の最大値をGmaxとして例示している。仮に、最初の配送期間内の交換日Dr1でガス容器61の全てが交換された場合、残量はGmaxに戻り、その日以後、予測された推移でガスの残量が減少していくと考えられる。
図3においては、二点鎖線によって当該残量の推移Rallを示しているが、この推移Rallは、交換日Dr1で交換された場合の推移であり、交換日が異なると、Gmaxに戻る日が異なるため、推移も異なる。従って、1回目の配送期間の交換日が決定されなければ、2回目の配送期間を決定することはできない。交換日は、配送計画問題の求解処理の過程で暫定解を設定し、コストが小さくなる解を探索することによって決定する変数であるため、全量交換方式においては、配送計画問題の求解処理の開始前に、配送期間を決定することができない。一方、本実施形態においては、交互交換方式を採用しているため、配送計画問題の求解処理の開始前に、配送期間の開始日および終了日を決定し、求解処理中には固定することができる。
配送計画作成部20dは、計画期間において、複数の配送先のそれぞれにおける配送期間内に、それぞれの配送先で、空であるガス容器を交換する配送計画を作成する機能である。本実施形態において、配送計画は、配送計画問題を解くことによって作成される。配送計画問題は、コストを評価する目的関数を定義し、各種の制約条件内でコストが小さくなるように解を決定する問題であり、種々のアルゴリズムを採用可能である。
コストが小さい解を探索する際に、制御部20は、変数を変化させる。一般に、変数の数が多くなるほど配送計画問題は複雑になる。そして、ある変数に依存して他の変数が決まる関係にある変数が存在すると、配送計画問題が非常に複雑になり、このような変数が多すぎると、配送計画問題を解くことが非常に困難になる。
ガス容器61の交換が全量交換方式で実施される場合、上述のように、1回目の配送期間の交換日が決定されなければ、2回目の配送期間を決定することはできない。3回目以降も同様であり、これらの配送期間を決定するためには、それより前の交換日が決定済であることが必要になる。従って、全量交換方式において配送計画問題を解く際には、2回目の配送期間は1回目の交換日に依存し、3回目の配送期間内で決める3回目の交換日は1回目と2回目の交換日に依存する。このように(N+1)回目の交換日は、1回目~N回目の交換日に依存する。さらにコストはこれらすべての交換日に依存するため、配送計画問題の目的関数は非常に複雑な形になる。このため特に、配送先の数が多い場合や、計画期間に含まれる配送期間の数が多い場合には、配送計画問題の解を導出することが極めて困難になる。
しかし、本実施形態においては、交互交換方式を採用しており、この結果、配送計画問題の求解処理の開始前に、配送期間の開始日および終了日を、複数の配送先および複数の配送期間について決定し、固定することができる。従って、本実施形態によれば、全量交換方式と比較して、非常に容易に配送計画問題を解くことが可能になる。また、配送期間の開始日および終了日を固定することができれば、複数の配送期間が含まれるほど計画期間を長期にしても配送計画問題を解くことが可能になる。このため、計画期間を過度に短くしなくても配送計画を作成することができる。そして、計画期間は、長期であるほど、長期に亘る配送計画の最適化を行うことができる。短期の計画期間である場合、短期の計画期間において最適化された配送計画が作成されるため、当該計画期間の後の配送計画に無理が生じることがあり、後の配送計画の効率が下がることがある。しかし、本実施形態によれば、比較的長期に亘る配送計画の最適化を行うことができるため、高い配送効率の配送計画を作成できる可能性が高まる。
(2)配送計画作成処理:
次に、配送計画作成処理を詳細に説明する。管理者は、管理者端末50の入力部を操作し、配送先データ30c、作業者データ30d、コストデータ30eの各情報を入力し、記憶媒体30に記憶させる。これらのデータが記憶媒体30に記憶された状態で、管理者は入力部によって配送計画作成処理の開始を指示する。ここでは、処理の開始時に消費量データ30aが記憶されておらず、残量データ30bが全ての配送先における残量の最大値を示している状態(全配送先にガス容器61が配送された直後の状態)を想定している。ただし、消費量データ30aおよび残量データ30bの初期値はこれらの値に限定されない。
次に、配送計画作成処理を詳細に説明する。管理者は、管理者端末50の入力部を操作し、配送先データ30c、作業者データ30d、コストデータ30eの各情報を入力し、記憶媒体30に記憶させる。これらのデータが記憶媒体30に記憶された状態で、管理者は入力部によって配送計画作成処理の開始を指示する。ここでは、処理の開始時に消費量データ30aが記憶されておらず、残量データ30bが全ての配送先における残量の最大値を示している状態(全配送先にガス容器61が配送された直後の状態)を想定している。ただし、消費量データ30aおよび残量データ30bの初期値はこれらの値に限定されない。
図5は、配送計画作成処理を示すフローチャートである。配送計画作成処理が開始されると、制御部20は、残量予測部20aの機能により、消費量データを取得する(ステップS100)。すなわち、制御部20は、通信部40を介して各配送先の計測器62と通信を行い、各配送先の1日分のガスの消費量を取得する。取得された消費量は、配送先の識別情報が対応付けられ、消費量データ30aとして記憶媒体30に記憶される。
次に、制御部20は、残量予測部20aの機能により、残量を算出する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、消費量データ30aを参照し、各配送先の最新の1日分のガスの消費量を取得する。また、制御部20は、残量データ30bが示す各配送先における前日のガスの残量から1日分のガスの消費量を減じて、最新のガスの残量を取得し、取得された値で残量データ30bを更新する。
次に、制御部20は、計画作成タイミングであるか否かを判定する(ステップS110)。本実施形態においては、配送計画を作成する処理を実行する条件が予め決められており、制御部20は、当該条件を充足したか否かに基づいて計画作成タイミングであるか否かを判定する。配送計画を作成する処理を実行する条件は、種々の条件であって良い。例えば、一定期間の経過が条件になっても良いし、最新の消費量、残量が取得されたことが条件になっても良いし、既定数の配送先について既定回数の配送が終了したことが条件になっても良く、他にも種々の条件であって良い。なお、配送計画作成処理が開始され、初めてステップS110が実行された場合には、計画作成タイミングであると判定される。
いずれにしても、計画期間より短い期間内に当該条件が充足するように、条件が設定される。計画作成タイミングであると判定された場合、ステップS115以降の処理で配送計画が作成される。従って、制御部20は、既に作成された配送計画の運用開始後、計画期間が経過する前に、最新のガスの残量の予測に基づいて設定された配送期間に基づいて、配送計画を更新することになる。図6は、1週間が経過するたびに計画作成タイミングとなる例を説明する図である。ここでは、最初に計画期間1についての配送計画が作成され、配送計画の運用が開始された例を想定している。この場合、計画期間1の初期の1週間については、作成された配送計画通りにガス容器61の配送が行われる。
計画期間1の運用開始後、1週間が経過すると、計画作成タイミングになるため、計画期間2における配送計画が作成される。この場合、計画期間1の1週間分の配送結果や各配送先での消費量を考慮した状態で配送計画2が作成され、作成された配送計画2によって、元の配送計画1が更新される。以後、更新後の配送計画2によって配送が行われる。以後、計画作成タイミングとなるたびに、配送計画が更新されていく。
本実施形態においては、配送計画を作成するために、残量の予測に基づいて配送期間を設定するため、残量の予測と実際の残量とにずれがあると配送計画が不適切になり得る。特に、比較的長期に亘る計画期間についての配送計画が作成された場合、計画期間の終盤において、残量の予測と実際の残量とにずれが生じやすくなる。しかし、本実施形態においては、計画期間が終了する前に計画作成タイミングとなるため、計画期間が終了する前に最新の消費量に基づく残量の推移の予測が取得され、ずれが生じにくくなる。
図5の説明に戻る。ステップS110において、計画作成タイミングであると判定されない場合、制御部20は、ステップS100に戻り、消費量の収集等を続ける。一方、ステップS110において、計画作成タイミングであると判定された場合、制御部20は、計画期間設定部20cの機能により、計画期間を設定する(ステップS115)。すなわち、制御部20は、管理者が予め入力し、記憶媒体30やRAM等に記憶されている計画期間の長さを取得し、計画期間を設定する。
次に、制御部20は、配送期間設定部20bの機能により、ガスの残量の推移を予測する(ステップS120)。すなわち、制御部20は、配送先毎の消費量データ30aに基づいて日毎の消費量の予測値を取得し、残量データ30bが示す最新の残量から現在以後の日毎の消費量を順次減じていくことにより、現在以後の日毎の消費量の推移を配送先毎に予測する。当該推移は、1回目の配送期間を決定するために用いられる。
さらに、制御部20は、予測された消費量の推移に対して、交互交換方式における交換によって増加する残量分だけシフトさせ、同様の推移が継続すると見なして、2回目の配送期間を決定するための推移を取得する。制御部20は、同様のシフトを繰り返すことにより、計画期間内の配送期間を決定するために必要な、残量の推移を予測する。この結果、図3に示すような残量の推移が得られる。制御部20は、当該処理を、各配送先について実施する。
次に、制御部20は、配送期間設定部20bの機能により、配送先毎に配送期間を設定する(ステップS125)。すなわち、制御部20は、配送先データ30cを参照し、各配送先に設置されたガス容器61の種類および個数に基づいて、各配送先のガスの残量の上限値を示すしきい値Thを取得する。また、制御部20は、各配送先のガスの残量の下限値Tmを取得する。そして、制御部20は、ステップS120で取得されたガスの残量の推移に基づいて、ガスの残量がしきい値Th以下であり、下限値Tm以上である期間を取得する。この結果、図3に示すような配送期間が配送先毎に取得され、図4に示すように、複数の配送先について、計画期間に含まれる複数の配送期間と計画期間の終了日に跨がる配送期間とが取得される。
なお、配送期間は、配送計画問題の求解処理の開始前に固定されれば良いため、しきい値Thおよび下限値Tmで取得された配送期間が求解処理の開始前に補正されても良い。このような補正としては、種々の補正が想定されるが、例えば、配送期間に休日が含まれる場合、休日によって実質的に配送ができなくなった日を相殺するため、配送期間を延長しても良い。すなわち、制御部20は、作業者データ30dを参照し、しきい値Thおよび下限値Tmから得られた配送期間と、休日とを比較する。そして、配送期間に休日が含まれる場合、制御部20は、配送期間の開始日を、より前の日に繰り上げる。
繰り上げ日数は限定されないが、例えば、配送期間内に含まれる休日の日数と同数であっても良いし、配送期間内に含まれる休日の日数に既定の係数を乗じて得られる日数等であっても良い。なお、このような、休日等による配送期間の延長を行う場合、延長が行われても、交互交換方式における空のガス容器61の交換を実施できるように、しきい値Thが設定されていることが好ましい。すなわち、延長が行われても、交換すべきガス容器61が空になっているように、予めマージンを設けてしきい値Thが設定されていることが好ましい。また、配送期間が延長されたことによって、その配送先への配送日に空になっているべきガス容器61が空になっていないことが許容されても良い。但し、このような状況が発生した場合には、当該交換に応じて残量データ30bを更新し、当該配送先における次の配送期間になる前に配送計画を再作成することが好ましい。
次に、制御部20は、配送計画作成部20dの機能により、配送計画問題の求解処理を実行する(ステップS130)。本実施形態において配送計画問題は、予め決められた目的関数によって評価されるコストを最小化する解を探索することによって実行される。本実施形態において、配送計画は、計画期間内の各日において拠点から出発し、拠点に戻るまでの間に配送が行われるべき配送先とその順序が決定されることによって実施される。
図7は、配送計画の態様を模式的に示す図である。配送計画は、計画期間の開始日から終了日のそれぞれについて作成され得る。図7においては、計画期間の開始日を1日目、計画期間の終了日をXmax日目とし、左から右方向にそれぞれの日において作成され得る配送計画(配送先への配送順)を模式的に示している。
図7に示す四角は、配送の出発地および到着地となる拠点を示している。従って、図7において縦方向および横方向の異なる位置に記載された四角が示す地点は、通常、同じ地点であるが、別の地点であってもよい。また、図7に示す丸は配送先を示しており、配送の際の移動方向を矢印によって示している。従って、図7においては、拠点から複数の配送先を順番に巡回し、拠点に戻る配送順が、縦方向に並ぶ四角および丸によって示されている。
本実施形態においては、配送車両によって拠点を出発し、配送を行った後に拠点に戻る一連の工程を回転と呼ぶ。本実施形態においては、同一日に作業可能な作業者が複数人であり、同一日に各作業者が作業することにより、複数回の回転を行うことが可能である。なお、同一の作業者が複数回の回転の作業を実施可能(拠点に到着後、もう一回出発する作業を実施可能)であってもよいが、ここでは、各作業者が1日に最大1回の回転を担当し得る例について説明する。配送計画を作成する際には、計画期間内の各日における各回転について配送が行われるべき配送先とその順序が決定される。但し、同一日に実施可能な回転の最大回数には上限値が存在する。図7においては、全ての日で回転の最大数がKである例を示している。すなわち、それぞれの日において、最大K回の出発および到着があり得る。
目的関数は、種々の態様で定義することが可能であるが、本実施形態においては、以下の目的関数が採用される。
(作業者の労働時間の総和)+Mt(作業者の残業時間の総和)+(先送りコストの総和)
ここで、作業者の労働時間の総和は、拠点から配送先を経由して拠点に戻るまでの作業に要する時間の和を、全ての回転について加え合わせた値である。すなわち、作業者の労働時間の総和は、全ての作業者が作業に要する時間を、全ての日について加え合わせた値である。なお、拠点から配送先を経由して拠点に戻るまでの作業に要する時間は、地点間の移動時間と、各配送先での作業時間と、の和によって計算可能である。
(作業者の労働時間の総和)+Mt(作業者の残業時間の総和)+(先送りコストの総和)
ここで、作業者の労働時間の総和は、拠点から配送先を経由して拠点に戻るまでの作業に要する時間の和を、全ての回転について加え合わせた値である。すなわち、作業者の労働時間の総和は、全ての作業者が作業に要する時間を、全ての日について加え合わせた値である。なお、拠点から配送先を経由して拠点に戻るまでの作業に要する時間は、地点間の移動時間と、各配送先での作業時間と、の和によって計算可能である。
図7においては、1日目の回転1について地点の移動時間を時間tm1~tmm、各配送先での作業時間を時間tw0~twm+1として示している。地点間の移動時間は、コストデータ30eに記述された時間であり、配送先での作業時間は、配送先データ30cに記述されたガス容器の交換に要する時間である。なお、ここでは、拠点での作業時間(例えば、ガス容器61への充填作業や積込作業、荷卸作業に要する時間)が考慮されているが、拠点での作業が不要である場合、作業時間は0でもよい。
作業者の残業時間の総和は、各作業者の各日の残業時間を、全ての日について加え合わせた値である。具体的には、各作業者が作業に要する時間から勤務時間を減じて得られる値が残業時間である。当該残業時間を、全ての作業者の全ての日について取得し、加え合わせることによって作業者の残業時間の総和が取得される。なお、作業者の勤務時間は、作業者データ30dに記述されている。
目的関数において、作業者の残業時間の総和には係数Mtが乗じられる。係数Mtは1より大きい値であり、残業時間を可能な限り少なくするために設定される。残業時間をより効率的に減らすためには、係数Mtは1よりもかなり大きい値、例えば、100等の値とすることが好ましい。当該係数Mtが導入されていると、作業者の勤務時間の範囲外での移動に関するコストを、勤務時間の範囲内での移動に関するコストより大きくすることができる。この結果、作業者の労働時間の総和が同一であっても、労働時間内の作業の一部が残業時間内での作業である場合と、残業時間ではない時間の作業である場合とでコストに差が生じ、前者の方が大きいコストになる。
この構成により、残業がより少ない解が探索されるように、目的関数を定義することができる。従って、本実施形態によれば、残業がより少なくなるように配送計画を作成することが可能である。なお、本例における残業時間が、残業可能時間を超える場合には、さらに、係数Mtよりも大きい係数を乗じたコストとし、目的関数に組み込まれても良い。この構成によれば、残業可能時間を超える作業がより少ない解が探索されるように目的関数を定義することができる。
先送りコストは、計画期間の終了日に跨がる配送期間に配送されるべき配送先に対して、当該計画期間の終了日に跨がる配送期間内の配送は行わないように配送計画を作成した場合に生じるコストである。図4に示す配送先2の最後の配送期間T2は計画期間の終了日Peに跨がっている。このように、配送計画が計画期間の終了日に跨がる配送先に対しては、計画期間内に配送されても良いし、計画期間が経過した後に配送されても良い。後者のように、計画期間内での配送対象とせず、計画期間が経過した後の配送対象とすることを、配送の先送りと呼ぶ。
目的関数が示すコストを最小化するアルゴリズムにおいて、先送りコストが考慮されていない場合、例えば、本実施形態の目的関数で(先送りコストの総和)の項が存在しない場合、配送先の数が増加すると、その配送先への移動時間が増加するため、コストが増加する。従って、目的関数が示すコストを最小化しようとすると、必ず、先送りされる計画が解となってしまう。しかし、先送りが行われると、先送りされた後に配送すべき配送先の数が増加するため、長期的にみると、先送りが効率の低下や配送計画問題の複雑化等を招くことがある。従って、必ず先送りを行うような配送計画の立案は、最適な配送計画の立案とは言えない。
そこで、本実施形態においては、目的関数に先送りコストが導入されている。本実施形態において、各配送先を先送りする際の先送りコストは、配送期間内に配送すべき配送先へ計画期間内に配送しない場合に、配送する場合よりも減少するコストの値と、計画期間の終了日より前の期間に含まれる配送計画の日数が多い場合に、少ない場合よりも小さくなる値と、に基づいて特定される。
配送期間内に配送すべき配送先へ計画期間内に配送しない場合に、配送する場合よりも減少するコストの値とは、すなわち、先送りした場合に、先送りしない場合よりも減少するコストの値である。図8Aは、このようなコストを説明するための図である。図8Aの左側には、拠点から3カ所の配送先を経由して配送先に戻る配送計画の配送順が模式的に示されている。この例において、1番目の配送先P1から2番目の配送先P2までの移動にかかる時間が8分、2番目の配送先P2から3番目の配送先P3までの移動にかかる時間が10分である。また、2番目の配送先での作業時間が6分である。従って、1番目の配送先P1から3番目の配送先P3までに要する時間は24分である。
図8Aの右側には、左側の例から2番目の配送先P2を除去した場合の配送計画が模式的に示されている。この例において、1番目の配送先P1から3番目の配送先P3までの移動にかかる時間が15分である。上述の目的関数において、作業者の労働時間の総和がコストになるため、図8Aの左側に示す例において、1番目の配送先P1から3番目の配送先P3まで要する時間のコストは24分である。一方、図8Aの右側に示す例において、1番目の配送先P1から3番目の配送先P3まで要する時間のコストは15分である。従って、両者の差は9分である。
右側の例においては、左側の例から2番目の配送先P2が除去されているため、当該2番目の配送先P2の除去が先送りによる除去であると見なせば、右側の例は、配送期間内に配送すべき配送先へ計画期間内に配送しない場合の例である。一方、左側は、配送する場合の例である。そして、右側の場合に、左側よりも減少するコストの値は9分である。左側のように先送りをした場合に、単純にコストの値が9分減少してしまうと、上述のように、配送計画の作成の過程で、先送り可能な配送先が必ず先送りされてしまう。しかし、先送りした場合に、先送りによって減少するコストの値である9分程度のコストが、先送りコストとして目的関数に導入されていれば、必ず先送りされるような解の探索が行われることを防止することができる。本実施形態においては、このようなコストの値を先送りコストの第1成分と呼んでいる。
一方、計画期間内に含まれる配送期間の日数は、計画期間の長さや配送先でのガスの消費量等に依存するため、配送先毎に異なる。また、同じ配送先でも、計画期間が異なれば計画期間内に含まれる配送期間の日数は異なり得る。そこで、本実施形態においては、計画期間の終了日より前の期間に含まれる配送計画の日数が多い場合に、少ない場合よりも小さくなる値、に基づいて先送りコストの第1成分が調整される。計画期間の終了日より前の期間に含まれる配送計画の日数は、図4に示す例であれば、例えば、計画期間の終了日Peに跨がる配送期間T2において定義され、配送期間の開始日Ds42から計画期間の終了日Peまでの日数である。
配送計画が作成される際に、配送先に配送する日の候補となる日の数が多いほど配送計画を成立させる自由度が高いため、効率的な計画を作成しやすくなる。一方、配送先に配送する日の候補となる日の数が少ないほど配送計画を成立させる自由度が低くなり、効率的な計画を作成しづらくなる。従って、配送期間が計画期間の終了日に跨がる場合に、計画期間内に含まれる配送期間の日数が多い場合には、少ない場合よりも先送りコストが小さくなることが好ましい。
そこで、本実施形態においては、計画期間内に含まれる配送期間の日数が多い場合には、少ない場合よりも大きい値となる特性を持つ第2成分が予め定義され、先送りコストの第1成分に対して乗じられることで先送りコストが算出される。図8Bは、第2成分C(t)の例を示す図である。図8Bは、計画期間内の日数tを横軸、第2成分の大きさを縦軸として第2成分C(t)を示している。図8に示す例において、計画期間内の日数tが1である場合に第2成分(t)は最大値(>1)であり、計画期間内の日数tが増加するにつれて第2成分C(t)は単調減少している。また、計画期間内の日数tがt0以上になると、第2成分C(t)の値は一定値となる。
このような特性の第2成分C(t)が第1成分に乗じられることによって先送りコストが定義されると、第1成分の大きさをベースの大きさとし、計画期間内の日数が多いほどコストが大きく、計画期間内の日数が少なくなるほどコストが小さくなるような特性を持つように先送りコストが定義される。また、計画期間内の日数が基準値t0を超えると、コストの値が小さい一定値になり、日数にコストが依存しないように、先送りコストが定義される。従って、このような先送りコストを含む目的関数に基づいて配送計画が作成されることにより、計画期間に含まれる配送期間の日数が多いほど先送りが行われにくく、計画期間に含まれる配送期間の日数が少ないほど先送りが行われやすくなるように、先送りコストを定義することができる。この結果、計画期間内または計画期間後の一方のみにおいて配送計画を作成することが困難になることを防止することができる。すなわち、連続する計画期間の一方における配送計画のみが過度に困難になる可能性を低減することができる。
なお、先送りコストの第1成分を決定するための方法は、種々の方法を採用可能である。例えば、先送りコストを導入していない状態の目的関数に基づいて配送計画を作成し、当該配送計画から特定の配送先を除去することによって減少するコストを統計的に算出する処理を、各配送先について実施するなどの手法を採用可能である。
また、第2成分C(t)を決定するための方法は、種々の方法を採用可能である。例えば、先送りコストを導入していない状態の目的関数に基づいて配送計画を作成し、当該配送計画から特定の配送先を除去することによって減少するコストを取得する。そして、当該コスト/第1成分の値を統計的に取得すれば、第2成分C(t)を取得することができる。コスト/第1成分の値を統計的に取得する際には、例えば、t0を仮設定し、t0以下の場合の第2成分C(t)を一次関数、t0以上の場合の第2成分C(t)を定数とした場合の一次関数および定数を最小二乗法等によって算出し、仮設定したt0を変化させて同様の処理を繰り返し、二乗誤差が最小になる場合に第2成分C(t)と見なす構成等が採用可能である。
先送りコストの総和は、先送りが行われた全ての配送先、すなわち、計画期間の終了日に配送期間が跨がっている場合において、当該配送期間に配送が行われないように計画された全ての配送先、について算出される。すなわち、各配送先における先送りコストの第1成分は、配送先データ30cに基づいて特定される。さらに、配送期間の開始日から計画期間の終了日までの日数が特定され、当該日数に基づいて第2成分C(t)の値が特定される。そして、両者が乗じられることによって先送りコストが算出され、各配送先について算出された全ての先送りコストが加え合わされることによって、先送りコストの総和が取得される。さらに、先送りコストは、配送期間内に配送すべき配送先へ計画期間内に配送しない場合に目的関数に加算するコストであれば、第1成分と第2成分の積のほかにも、様々な形式を採用可能である。
配送計画問題の求解処理は、制約条件を充足する範囲で、目的関数が示すコストが小さくなる解を探索することによって実施される。制約条件は、種々の条件とすることができるが、本実施形態における制約条件には以下の条件が含まれる。
回転数制約条件
配送期間内制約条件
配送量制約条件
配送日制約条件
回転数制約条件
配送期間内制約条件
配送量制約条件
配送日制約条件
回転数制約条件は、1日の回転数に上限があるという制約条件である。当該制約条件は、例えば、解の候補における各日の回転数を計測し、回転数が最大値Kを超える日が存在する場合に、当該候補を解と見なさない処理を行うことによって、導入することが可能である。当該回転数制約条件によれば、1日に利用可能なリソース(作業者の数や配送車両の数等)の制約を超えないように配送計画を作成することが可能である。
配送期間内制約条件は、複数の配送先のそれぞれには、1回の配送期間において1回配送するという制約条件である。当該制約条件は、例えば、解の候補に基づいて、配送先毎に配送日を特定し、全ての配送先における全ての配送期間に1回配送される計画になっているか否かを確認する処理を行うことによって、導入可能である。ただし、先送りが行われる場合は例外である。すなわち、配送期間が計画期間の終了日に跨がる配送期間においては、配送される回数が0回であってもよい。当該配送期間制約条件によれば、配送先にガス容器61が配送されない配送計画や、無駄な配送が行われる配送計画が作成されないように制約をかけることができる。
配送量制約条件は、1回転において配送可能なガス容器61の個数に上限があるという制約条件である。すなわち、配送車両の積載量には上限があるため、1回転で運搬可能なガス容器61の個数には上限が設けられる。当該配送量制約条件は、例えば、解の候補に基づいて、各回転を完結するために必要なガス容器61の個数を特定し、全ての回転においてガス容器61の個数の上限以下であるか否かを確認する処理を行うことによって、導入可能である。当該配送期間制約条件によれば、配送車両で運搬できない個数のガス容器61が必要になるような、実現不可能な配送計画が作成されないように制約をかけることができる。
配送日制約条件は、休日に配送を行わないという制約条件である。すなわち、休日に作業者が作業を行う必要がないように、配送計画を作成する日に制約が設けられる。当該配送日制約条件は、例えば、解の候補に基づいて、配送が行われるように計画されている配送日を特定し、当該配送日と休日とが一致しているか否かを確認する処理を行うことによって導入可能である。当該配送日制約条件によれば、休日に作業を行う配送計画が作成されないように制約をかけることができる。
本実施形態において、制御部20は、以上のような制約条件を満たしつつ、目的関数が示すコストが小さくなる解を探索することによって、ステップS130における配送計画問題の求解処理を実行する。すなわち、制御部20は、求解処理の前に予め決められた定数を維持し、求解処理の際に解を変化させることによって変数を変化させて、コストが小さくなる解を探索する。
本実施形態において定数は、上述の配送先データ30c、作業者データ30d、コストデータ30eに規定された各種の値と、ステップS115で設定された計画期間と、ステップS125で設定された配送期間と、回転の最大値Kと、1回転において配送可能なガス容器61の個数である。また、本実施形態において変数は、配送計画において可変の要素である。すなわち、複数の配送先のそれぞれに配送を行う順序と、配送を行う日を示す情報である。なお、各配送先への配送順には、各配送先がどの回転で配送されるのかを示す情報も含まれる。従って、日毎に0~K回の回転のいずれが存在するのか、また、どの回転でどの配送先に配送されるのかも変化し得る。
図9は、配送計画問題の求解処理を示すフローチャートである。求解処理において制御部20は、当該配送計画の候補を暫定解とし、暫定解のコストを目的関数で評価しながら、コストが小さくなる解を探索する。配送計画問題の求解処理が開始されると、制御部20は、配送計画作成部20dの機能により、暫定解の初期解を生成する(ステップS200)。すなわち、制御部20は、配送期間内の日のそれぞれにおいて拠点から出発し拠点に戻る配送順に対して、予め決められた制約条件を満たすように、配送先のそれぞれを追加することで、暫定解の初期解を生成する。
具体的には、図7に示すような、計画期間内の各日および各回転における配送先の配送順を暫定的に決定することによって実施される。なお、図7に示す配送計画は例であり、日によっては回転数がKよりも少なくなることはあり得る。初期解の生成に際して、制約条件は考慮されても良いし、一部の制約条件が考慮されなくても良いが、早期に解を得るためには、少なくとも一部の制約条件が充足されていることが好ましい。ここでは、回転数制約条件と、配送量制約条件を充足する暫定解の初期解を生成する例を想定する。むろん、配送期間内制約条件や配送日制約条件が課されても良い。
このような暫定解の初期解の生成法としては、種々の方法を採用可能である。例えば、拠点から拠点までの間に配送先が一つも存在しない「空」の配送順を生成し、当該「空」の配送順に対して、回転数制約条件と、配送量制約条件を充足するように配送先を挿入していく例が挙げられる。具体的には、制御部20は、まず、図10Aに示すように、配送期間のそれぞれの日に回転数の最大値Kに対応したK個の「空」の配送順を生成する。
また、制御部20は、配送先データ30cを参照し、配送対象の配送先を取得し、配送先をランダムに抽出して並べ、「空」の配送順に対して各配送先を追加していく。すなわち、制御部20は、ランダムに抽出した順に各配送先を処理対象とし、処理対象の配送先を一つずつ配送順に追加していく。ある配送先の配送順を決定する処理に着目した場合、制御部20は、回転数制約条件と、配送量制約条件と、を充足する状態で、当該配送先を配送順に追加可能な全ての順序に追加した場合のコストを評価する。コストは、上述の目的関数によって評価される。
なお、一日の間に実行可能な回転の数は最大値K以下であれば良く、0~Kの間で任意の回数となり得る。そこで、制御部20は、日毎の回転を識別子で区別する。回転が存在する場合には回転1、回転kなどのように、変数の値によって回転が特定される。本実施形態においては、回転数を増やす際に、識別子kが連番になるように回転数を増やしていく。従って、識別子i,(i-1)の配送順が共に「空」であるなら、識別子(i-1)の配送順に配送先を追加可能である一方で、識別子iの配送順には配送先を追加不可能である。識別子(i-1)の回転における配送先が1個以上存在すれば、識別子iの配送順に配送先を追加可能である。このような追加が回転数の最大値がK以下となる条件で実施されれば、回転数制約条件が満たされる。
さらに、各回転における配送対象となる配送先で交換されるガス容器61の個数の総和が、1回転において配送可能なガス容器61の個数以下となるように、配送先の配送順が追加されれば、配送量制約条件が満たされる。
制御部20は、このような制約条件下で配送先を追加可能な順序の全てについて、配送先を追加した場合を想定する。図10Bは、暫定解の初期解を生成する過程を示しており、図10Bに示す状態に対してある配送先を追加可能な配送順を横向きの黒い矢印によって示している。なお、横向きの白抜きの矢印によって示された配送順には配送先を追加不可能である。
制御部20は、追加可能な配送順のそれぞれに配送先を追加した場合の全てについて、上述の目的関数によってコストを評価する。そして、追加可能な配送順のそれぞれに配送先を追加した場合の全ての中で、コストが最小の配送順に配送先を追加する。制御部20は、このような処理を、配送先の全てについて実施することにより、暫定解の初期解を生成する。このような、初期解によれば、コストが過度に大きくない初期解を生成することができるため、早期に解が得られる可能性を高めることができる。また、少なくとも一部の制約条件を満たした解が初期解となるので、初期解において制約条件を見たいしていない場合と比較して、求解処理における解の探索が容易になる。
暫定解が得られたら、制御部20は、制約条件を満たす暫定解における目的関数が示すコストを取得し、予め決められた複数の変化パターンから選択されたパターンによって暫定解に対して修正を行った場合に目的関数が示すコストが小さくなる解を最新の暫定解とする処理を繰り返す。このため、まず、制御部20は、予め決められた複数の変化パターンからランダムに一つの変化パターンを選択する(ステップS205)。
変化パターンは、解を変化させる方法であり、本実施形態においては6個の変化パターンが定義されている。第1の変化パターンは、拠点から複数の配送先を経由して拠点に戻る配送順の中で配送順を入れ替えるパターンである。図11Aは、当該第1の変化パターンを説明するための図である。図11Aにおいては、図7と同様に四角によって拠点、丸によって配送先を示し、矢印によって配送順を示している。また、図11Aにおいては、左側に変化前の配送順、右側に変化後の配送順を示している。以上のような表記の方法は、図11B~図12Bにおいても同様である。但し、図11Aにおいて出発地と到着地は同一の四角で表記されているが、図11B等の他の図では、出発地と到着地は異なる四角によって示されている。図11Aに示されるように、第1の変化パターンは、1個の配送順に存在する2個の配送先(黒およびグレーの丸で表記)の配送順を互いに入れ替えるパターンである。
第2の変化パターンは、拠点から複数の配送先を経由して拠点に戻る2個の配送順の一方の途中から拠点までの配送順と、他方の途中から拠点までの配送順とを入れ替えるパターンである。図11Bは、当該第2の変化パターンを説明するための図である。図11Bに示されるように、第2の変化パターンは、2個の配送順の途中の配送先から最後まで(黒およびグレーの丸で表記)を互いに入れ替えるパターンである。
第3の変化パターンは、拠点から複数の配送先を経由して拠点に戻る2個の配送順の一方から他方に配送先を移動し、かつ、他方から一方に配送先を移動しないパターンである。図11Cは、当該第3の変化パターンを説明するための図である。図11Cに示されるように、第3の変化パターンは、2個の配送順の一方の配送先(黒丸で表記)を他方の配送順に組み込むが、他方の配送先は一方の配送先に組み込まないパターンである。
第4の変化パターンは、拠点から複数の配送先を経由して拠点に戻る2個の配送順の一方の途中の配送先を他方の途中の配送先と入れ替えるパターンである。図11Dは、当該第4の変化パターンを説明するための図である。図11Dに示されるように、第4の変化パターンは、2個の配送順の一方における途中の配送先(黒丸で表記)を、他方における途中の配送先(グレーの丸で表記)と入れ替えるパターンである。
第5の変化パターンは、計画期間の終了日より前に始まり、計画期間の終了日より後に終了する配送期間が設定された配送先であって、配送対象となっていない配送先を当該配送先における配送対象に組み込むパターンである。図12Aは、当該第5の変化パターンを説明するための図である。図12Aに示されるように、第5の変化パターンは、計画期間に跨がる配送期間に含まれる日の配送順に対して、先送りされていることによって計画期間外の配送対象とされている配送先(黒丸で表記)を組み込むパターンである。
第6の変化パターンは、計画期間の終了日より前に始まり、計画期間の終了日より後に終了する配送期間に設定された配送先であって、配送対象となっている配送先を配送対象から除外するパターンである。図12Bは、当該第6の変化パターンを説明するための図である。図12Bに示されるように、第6の変化パターンは、計画期間に跨がる配送期間に含まれる日の配送順から、配送先(黒丸で表記)を除外して計画期間外に先送りするパターンである。以上のように、複数の変化パターンを予め規定しておくことにより、解を探索するための処理を、変化パターンを選択するという簡易な処理によって実現することが可能になる。なお、変化パターンは、上述の6個のパターンに限定されないし、他の変化パターンが利用されても良いし、変化パターンの数はより多くても良いし、より少なくても良い。
変化パターンが選択されると、制御部20は、改善解を探索する(ステップS210)。すなわち、制御部20は、現在の暫定解を、ステップS205(または後述するステップS250)で選択された変化パターンによって変化させる。暫定解を、変化パターンによって変化させる手法は、種々の手法を採用可能である。例えば、制御部20は、選択された変化パターンによって変化させる対象となる1個または2個の配送順を暫定解から既定の規則に従って選択する。また、制御部20は、選択された配送順に含まれる配送先の中から、変化させる対象となる1個以上の配送先を既定の規則に従って選択する。そして、制御部20は、選択された配送先を変化パターンに従って変化させる。この結果、暫定解を変化させた解が取得される。
次に、制御部20は、ステップS210で取得された解が改善解であるか否か判定する(ステップS215)。すなわち、制御部20は、ステップS210で取得された解に基づいて、目的関数によるコストの算出を行い、暫定解におけるコストと比較する。そして、ステップS210で取得された解におけるコストが暫定解におけるコストよりも小さい場合に、ステップS210で取得された解が改善解であると判定する。
ステップS215で改善解が取得されたと判定された場合、制御部20は、制約条件を充足するか否かを判定する(ステップS220)。すなわち、制御部20は、ステップS210で取得された解が、回転数制約条件、配送期間内制約条件、配送量制約条件、配送日制約条件の全てを充足するか否かを判定する。ステップS220において、制約条件を充足すると判定された場合、制御部20は、ステップS210で取得された解、すなわち、改善解で暫定解を更新する。この結果、更新前よりもコストが小さい解が探索されたことになる。一方、ステップS220において、制約条件を充足すると判定されなかった場合、制御部20は、ステップS225をスキップする。
ステップS225が実行された場合、またはステップS220において制約条件を充足すると判定されなかった場合、制御部20は、終了条件が充足されたか否か判定する(ステップS230)。本実施形態においては、予め終了条件が規定されている。例えば、コストがしきい値以下に下がることが終了条件になり得る。また、配送計画問題の求解処理が開始されてから所定の時間以上経過したこと、配送計画問題の求解処理が開始されてから所定のステップ(例えば、ステップS210)が所定回数以上繰り返されたこと、等が終了条件となり得る。終了条件が充足されたと判定されない場合、制御部20は、ステップS205以降の処理を繰り返す。
一方、ステップS215において、解が改善解であると判定されなかった場合、制御部20は、ステップS210において改善解を探索した際に用いられた変化パターンと同一の変化パターンでの探索が終了したか否かを判定する(ステップS235)。すなわち、制御部20は、同一の暫定解に対して改善解が存在するか否かの探索が、同じ変化パターンに対して終了したか否か判定する。具体的には、一つの変化パターンによって変化させることが可能な配送順には複数の可能性が存在する。例えば、図11Aに示す第1の変化パターンの場合、変化の対象となる配送順を、異なる日や異なる回転の配送順に変更し得る。また、同一の日、同一の回転であっても、変化の対象となる配送先を変更し得る。そこで、同一の変化パターンで現在の暫定解を変化させる余地がある場合に、制御部20は、同一の変化パターンでの探索が終了していないと判定する。同一の変化パターンでの探索が終了していないと判定された場合、制御部20は、ステップS210以降の処理を繰り返す。
一方、ステップS235において、同一の変化パターンでの探索が終了したと判定された場合、制御部20は、全ての変化パターンについて探索が終了したか否かを判定する(ステップS240)。すなわち、制御部20は、同一の暫定解に対するステップS210の解の探索が、6個の変化パターンの全てによって実施されたか否かを判定する。
ステップS240において、全ての変化パターンについて探索が終了したと判定されない場合、制御部20は、終了条件が充足されたか否か判定する(ステップS245)。当該ステップS245の処理は、ステップS230の処理と同様である。ステップS245において、終了条件が充足されたと判定されない場合、制御部20は、未探索の変化パターンから一つを選択し(ステップS250)、ステップS210以降の処理を繰り返す。すなわち、制御部20は、同一の暫定解に対して適用していない変化パターンを一つ選択し、ステップS210以降の処理を繰り返す。
一方、ステップS240において、全ての変化パターンについて探索が終了したと判定された場合、現在の暫定解から、既定の変化パターンで解を変化させても改善解が見つからなかったことになる。そこで、制御部20は、暫定解に摂動を付与する(ステップS255)。当該摂動を付与する処理は、局所最適解から脱出するための公知の処理であって良く、例えば、「概説メタ戦略 今堀 慎治,柳浦 睦憲 オペレーションズ・リサーチ,58(2013)695-702」等に開示された技術を利用可能である。
次に、制御部20は、終了条件が充足されたか否か判定する(ステップS260)。当該ステップS260の処理は、ステップS230の処理と同様である。ステップS260において、終了条件が充足されたと判定されない場合、制御部20は、ステップS205以降の処理を繰り返す。すなわち、摂動が与えられることで更新された暫定解を対象とし、新たに改善解の探索を実行する。
ステップS230またはステップS245またはステップS260において、終了条件が充足されたと判定された場合、制御部20は、現在の暫定解を配送計画の解として特定する(ステップS270)。すなわち、制御部20は、終了条件が充足した段階で得られている暫定解が、最良の解であるとみなし、当該暫定解を配送計画の解とする。
配送計画の解が得られると、制御部20は、図5に示す処理に戻り、配送計画を出力する(ステップS135)。すなわち、制御部20は、配送計画作成部20dの機能により、通信部40を介して、配送計画を示す情報を管理者端末50に送信する。管理者端末50においては、配送計画を示す情報を、図示しない表示部に表示させる。この結果、管理者は、各作業者が実施すべき配送計画を認識することが可能になる。
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、配送計画作成システムは、複数の装置によって実現されても良く、クラウドサーバ等で実現される構成であっても良い。さらに、残量予測部20a、配送期間設定部20b、計画期間設定部20c、配送計画作成部20dの少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在してもよい。例えば、残量予測部20aにおいて、消費量を収集する機能と、残量を予測する機能とが異なる装置で実施される構成等が採用されてもよい。むろん、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。例えば、ステップS120およびS125がステップS115よりも先に実施される構成であっても良い。さらに、上述の実施形態におけるコストと制約条件とは一例であり、コストで評価されていた事項が制約条件となっていても良いし、制約条件として考慮されていた事項がコストで評価されても良い。例えば、上述の実施形態におけるコストの第2項(Mt(作業者の残業時間の総和))が削除され、残業時間が発生しないような制約条件が導入されても良い。また、残業可能時間を超える勤務が発生しないような制約条件が導入されても良い。
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、配送計画作成システムは、複数の装置によって実現されても良く、クラウドサーバ等で実現される構成であっても良い。さらに、残量予測部20a、配送期間設定部20b、計画期間設定部20c、配送計画作成部20dの少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在してもよい。例えば、残量予測部20aにおいて、消費量を収集する機能と、残量を予測する機能とが異なる装置で実施される構成等が採用されてもよい。むろん、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。例えば、ステップS120およびS125がステップS115よりも先に実施される構成であっても良い。さらに、上述の実施形態におけるコストと制約条件とは一例であり、コストで評価されていた事項が制約条件となっていても良いし、制約条件として考慮されていた事項がコストで評価されても良い。例えば、上述の実施形態におけるコストの第2項(Mt(作業者の残業時間の総和))が削除され、残業時間が発生しないような制約条件が導入されても良い。また、残業可能時間を超える勤務が発生しないような制約条件が導入されても良い。
残量予測部は、複数の配送先のそれぞれに設置された複数のガス容器に蓄積されたガスの残量の推移を予測することができればよい。すなわち、残量予測部は、少なくとも計画期間内のガスの残量の推移を配送先毎に予測することができればよい。予測の基になる情報は、上述の実施形態のように、過去のガス容器の残量変化の統計値等であっても良いし、過去のガス容器の残量の履歴であっても良い。いずれにしても、残量予測部は、過去のガスの残量に基づいて、将来の計画期間内のガスの推移を予測することができればよい。
むろん、曜日以外にも、季節、気温などの変動要因が統計値等に加味されても良い。
むろん、曜日以外にも、季節、気温などの変動要因が統計値等に加味されても良い。
ガス容器の実際の残量は、種々の手法で取得されて良い。例えば、ガス容器に接続された計測器の計測値(検針値)等に基づいてガス容器の過去の残量や、現在の残量が取得されても良い。配送先でのガス容器の交換方式は、交互交換方式であっても良いし、ガス容器の全てを交換する全量交換方式であってもよい。
配送期間設定部は、複数の配送先のそれぞれについての推移に基づいて、ガスの残量がしきい値以下でありかつ0にならない期間を配送期間として設定することができればよい。すなわち、配送期間設定部は、ガスの残量が、予め決められたしきい値以下である場合に、交換が必要であると見なす。しきい値は、交換が過度に発生せず、ガスの残量が0にならないように、予め決められていれば良く、種々の態様で決められていても良い。交互交換方式であれば、しきい値は、配送先において、1個以上の予め決められた個数のガス容器が空になる際のガスの残量である。しきい値は、配送先毎に決められていても良いし、ガス容器の設置個数によって決められていても良いし、種々の態様を採用可能である。
配送期間は、ガスの残量が0にならないうちにガス容器の交換ができるような期間であれば良く、配送期間の終了日は、ガスの残量が0になる前の日であれば良いが、ガスの残量の推移は予測であるため、配送期間の終了日は、残量が0になると予測される日よりマージンの日数分だけ前の日であることが好ましい。このような終了日は、ガスの残量が下限値以下になる日として定義されても良い。なお、上述の実施形態において、配送期間や計画期間は日を単位で決められているが、より詳細な単位、例えば、時間や分によって期間の開始や終了が区切られても良い。
計画期間設定部は、配送計画の作成対象期間である計画期間を設定することができればよい。すなわち、計画期間設定部は、配送対象の配送先の配送期間が少なくとも含まれるような期間を、計画期間として設定する。なお、計画期間は、予め決められた固定の期間であっても良いし、動的に変動しても良いし、利用者等の入力によって決められても良い。
配送計画作成部は、目的関数によって評価されるコストに基づいて配送計画を作成することができればよい。ガス容器の交換は、1回の配送期間について1回実施されるため、計画期間内に複数回の配送期間が含まれる配送先については、それぞれの配送期間内に1回ずつの配送が行われるように配送計画が作成される。
コストは、拠点から複数の配送先を経由して拠点に戻る場合の移動に関するコストであり、上述の実施形態のように地点間の移動時間に基づいて特定されたコスト以外にも、種々のコストが採用されてよい。また、種々のコストが目的関数に組み込まれても良い。上述の実施形態において、出発地点としての拠点と、最終到着地点としての拠点とは、同一の場所であるが、両者は、異なる場所であっても良い。
配送計画が作成されるために、配送計画問題を解く種々のアルゴリズムを採用可能である。すなわち、制約条件や、よりよい配送計画を評価するための目的関数、配送計画の良否を評価する要素となるコスト、目的関数を変化させる際に変動する変数、固定される定数は、種々の態様であって良い。また、アルゴリズムの種類も、上述の実施形態のような反復局所探索法に限定されない。例えば、欲張り法、アニーリング法、遺伝的アルゴリズム、タブー探索法、集合分割法、挿入法、Clarke-Wrightセービング法、Fisher-Jaikumar一般化割当法等の構築型解法など、種々のアルゴリズムを採用可能である。
先送りが行われる場合のコストは、種々の指標に基づいて決められていれば良い。すなわち、単に先送りされることによってコストが小さくなるような状況が防止され、先送りされる場合と、先送りされない場合と、のいずれもが配送計画に含まれ得るようにコストが定義されれば良い。従って、先送りが行われる場合のコストは、上述のような定義以外にも種々の定義を採用可能であり、例えば、先送りされる配送先の数が多い場合には少ない場合よりも大きくなるような性質のコストが導入されても良い。
また、先送りが行われる場合のコストは、配送期間内に配送すべき配送先へ計画期間内に配送しない場合に、配送する場合よりも減少するコストの値と、計画期間の終了日より前の期間に含まれる配送計画の日数が多い場合に、少ない場合よりも小さくなる値と、の少なくとも一方が考慮される構成であっても良い。また、これらの値の特性も上述の実施形態のような特性と同一で無くても良い。例えば、先送りコストの第1成分が予め決められた値である構成や、第2成分の日数に対する依存性が曲線的に変化する構成等であっても良い。
さらに、発明の実施態様は、プログラムや方法であってもよい。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合や、複数の装置によって実現される場合が想定可能であり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
10…配送計画作成システム、20…制御部、20a…残量予測部、20b…配送期間設定部、20c…計画期間設定部、20d…配送計画作成部、30…記憶媒体、30a…消費量データ、30b…残量データ、30c…配送先データ、30d…作業者データ、30e…コストデータ、40…通信部、50…管理者端末、61…ガス容器、62…計測器、63…ガス燃焼器
Claims (10)
- 複数の配送先のそれぞれに設置された複数のガス容器に蓄積されたガスの残量の推移を予測する残量予測部と、
複数の前記配送先のそれぞれについての前記推移に基づいて、前記ガスの残量がしきい値以下でありかつ0にならない期間を配送期間として設定する配送期間設定部と、
配送計画の作成対象期間である計画期間を設定する計画期間設定部と、
前記計画期間におけるコストとして、少なくとも、拠点から複数の前記配送先を経由して前記拠点に戻る場合の移動に関するコストと、前記計画期間の終了日より前に始まり、前記終了日より後に終了する前記配送期間内に配送すべき前記配送先へ前記計画期間内に配送しない場合のコストと、を評価する目的関数に基づいて、複数の前記配送先のそれぞれにおける前記配送期間内に、それぞれの前記配送先に前記ガス容器を配送する前記配送計画を作成する配送計画作成部と、
を備える配送計画作成システム。 - 前記配送計画作成部は、
作成された前記配送計画の運用開始後、前記計画期間が経過する前に、最新の前記ガスの残量の予測に基づいて設定された前記配送期間に基づいて、前記配送計画を更新する、
請求項1に記載の配送計画作成システム。 - 前記配送期間内に配送すべき前記配送先へ前記計画期間内に配送しない場合のコストは、
前記配送期間内に配送すべき前記配送先へ前記計画期間内に配送しない場合に、配送する場合よりも減少するコストの値と、
前記計画期間の前記終了日より前の期間に含まれる前記配送計画の日数が多い場合に、少ない場合よりも小さくなる値と、
の少なくとも一方に基づいて特定される、
請求項1または請求項2に記載の配送計画作成システム。 - 前記配送計画作成部は、
休日に配送を行わない制約条件を課して前記配送計画を作成し、
前記配送期間設定部は、
前記配送期間に前記休日が含まれる場合、前記配送期間の開始日を、より前の日に繰り上げる、
請求項1または請求項2に記載の配送計画作成システム。 - 前記配送計画作成部は、
予め決められた勤務時間の範囲外での移動に関するコストを、前記勤務時間の範囲内での移動に関するコストより大きくする、
請求項1または請求項2に記載の配送計画作成システム。 - 前記配送計画作成部は、
予め決められた制約条件を満たす前記配送計画の暫定解における前記目的関数が示すコストを取得し、
予め決められた複数の変化パターンから選択されたパターンによって前記暫定解に対して修正を行った場合に前記目的関数が示すコストが小さくなる解を最新の前記暫定解とする処理を繰り返し、
予め決められた終了条件を満たした場合の前記暫定解を前記配送計画の解として取得する、
請求項1または請求項2に記載の配送計画作成システム。 - 前記配送計画作成部は、
前記配送期間内の日のそれぞれにおいて前記拠点から出発し前記拠点に戻る配送順に対して、前記制約条件を満たすように、予め決められた順序に従って前記配送先のそれぞれを追加することで、前記暫定解の初期解を生成する、
請求項6に記載の配送計画作成システム。 - 前記変化パターンは、
前記拠点から複数の前記配送先を経由して前記拠点に戻る配送順の中で配送順を入れ替えるパターンと、
前記拠点から複数の前記配送先を経由して前記拠点に戻る2個の配送順の一方の途中から前記拠点までの配送順と、他方の途中から前記拠点までの配送順とを入れ替えるパターンと、
前記拠点から複数の前記配送先を経由して前記拠点に戻る2個の配送順の一方から他方に前記配送先を移動し、かつ、他方から一方に前記配送先を移動しないパターンと、
前記拠点から複数の前記配送先を経由して前記拠点に戻る2個の配送順の一方の途中の前記配送先を他方の途中の前記配送先と入れ替えるパターンと、
前記計画期間の前記終了日より前に始まり、前記計画期間の前記終了日より後に終了する前記配送期間が設定された前記配送先であって、配送対象となっていない前記配送先を配送対象に組み込むパターンと、
前記計画期間の前記終了日より前に始まり、前記計画期間の前記終了日より後に終了する前記配送期間に設定された前記配送先であって、配送対象となっている前記配送先を配送対象から除外するパターンと、
の少なくとも1個のパターンを含む
請求項6に記載の配送計画作成システム。 - コンピュータによって、
複数の配送先のそれぞれに設置された複数のガス容器に蓄積されたガスの残量の推移を予測する残量予測工程と、
複数の前記配送先のそれぞれについての前記推移に基づいて、前記ガスの残量がしきい値以下でありかつ0にならない期間を配送期間として設定する配送期間設定工程と、
配送計画の作成対象期間である計画期間を設定する計画期間設定工程と、
前記計画期間におけるコストとして、少なくとも、拠点から複数の前記配送先を経由して前記拠点に戻る場合の移動に関するコストと、前記計画期間の終了日より前に始まり、前記終了日より後に終了する前記配送期間内に配送すべき前記配送先へ前記計画期間内に配送しない場合のコストと、を評価する目的関数に基づいて、複数の前記配送先のそれぞれにおける前記配送期間内に、それぞれの前記配送先に前記ガス容器を配送する前記配送計画を作成する配送計画作成工程と、
を行う配送計画作成方法。 - コンピュータを、
複数の配送先のそれぞれに設置された複数のガス容器に蓄積されたガスの残量の推移を予測する残量予測部、
複数の前記配送先のそれぞれについての前記推移に基づいて、前記ガスの残量がしきい値以下でありかつ0にならない期間を配送期間として設定する配送期間設定部、
配送計画の作成対象期間である計画期間を設定する計画期間設定部、
前記計画期間におけるコストとして、少なくとも、拠点から複数の前記配送先を経由して前記拠点に戻る場合の移動に関するコストと、前記計画期間の終了日より前に始まり、前記終了日より後に終了する前記配送期間内に配送すべき前記配送先へ前記計画期間内に配送しない場合のコストと、を評価する目的関数に基づいて、複数の前記配送先のそれぞれにおける前記配送期間内に、それぞれの前記配送先に前記ガス容器を配送する前記配送計画を作成する配送計画作成部、
として機能させる配送計画作成プログラム。
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2022
- 2022-04-12 JP JP2022065493A patent/JP2023155962A/ja active Pending
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