JP2023152839A - 生体電位計測システム - Google Patents

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Abstract

【課題】左右の両方の耳又は一方の耳の周辺領域から安定的かつ柔軟に生体電位を測定することができる生体電位計測システムを提供することを目的とする【解決手段】生体電位計測システムは、右生体電位計測装置及び左生体電位計測装置と、無線通信部と、右生体電位計測装置又は左生体電位計測装置によって計測された情報を、無線通信部を介して無線で送信する制御部と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、生体電位計測システムに関する。
脳波等の生体情報を測定する技術が知られている。
特許文献1には、カナル型のイヤフォンに導電性部材を設けて脳波を測定する技術が記載されている。
特開2011-217986号公報
本発明の目的は、左右の両方の耳又は一方の耳の周辺領域から安定的かつ柔軟に生体電位を測定することができる生体電位計測システムを提供することにある。
第1の実施形態に係る生体電位計測システムは、各々対応する右耳又は左耳に取り付けられて生体電位を計測するように構成され、右耳若しくは左耳の周辺領域、又は右耳若しくは左耳を含む領域に接触点を有するセンサ電極、レファレンス電極、及びグランド電極を各々含み、少なくとも一つの前記レファレンス電極又は前記グランド電極の機能を各々の間で共有できるように構成され、かつ、少なくとも前記センサ電極が対応する右耳又は左耳の外耳道に取り付けられるように構成される右生体電位計測装置及び左生体電位計測装置と、無線通信部と、前記右生体電位計測装置又は前記左生体電位計測装置によって計測された情報を、前記無線通信部を介して無線で送信する制御部と、を備え、前記右生体電位計測装置と前記左生体電位計測装置の両方を用いて右耳及び左耳の両方で使用されるか、又は前記右生体電位計測装置と前記左生体電位計測装置の一方を用いて片耳で使用することができるように構成され、右耳及び左耳の両方で使用する場合には、右耳及び左耳からの複数の独立したチャネルを通じて情報を取得し、片耳で使用する場合は、少なくとも1つのチャネルを通じて情報を取得するように構成されている。
第2の実施形態に係る生体電位計測システムは、各々対応する右耳又は左耳に取り付けられて生体電位を計測するように構成され、右耳若しくは左耳の周辺領域、又は右耳若しくは左耳を含む領域に接触点を有するセンサ電極、レファレンス電極、及びグランド電極を各々含み、少なくとも一つの前記レファレンス電極又は前記グランド電極の機能を各々の間で共有できるように構成され、かつ、前記レファレンス電極および前記グランド電極が、右耳又は左耳の耳介の外側に取り付けられるように構成される右生体電位計測装置及び左生体電位計測装置と、無線通信部と、前記右生体電位計測装置又は前記左生体電位計測装置によって計測された情報を、前記無線通信部を介して無線で送信する制御部と、を備え、前記右生体電位計測装置と前記左生体電位計測装置の両方を用いて右耳及び左耳の両方で使用されるか、又は前記右生体電位計測装置と前記左生体電位計測装置の一方を用いて片耳で使用することができるように構成され、右耳及び左耳の両方で使用する場合には、右耳及び左耳からの複数の独立したチャネルを通じて情報を取得し、片耳で使用する場合は、少なくとも1つのチャネルを通じて情報を取得するように構成されている。
第3の実施形態は、第1の実施形態又は第2の実施形態において、前記右生体電位計測装置又は前記左生体電位計測装置は、前記レファレンス電極及び前記グランド電極の機能を果たす共通電極を備えた生体情報計測システムである。
第4の実施形態は、第1の実施形態又は第2の実施形態において、前記無線通信部は、外部イヤフォンに無線接続し、前記右生体電位計測装置又は前記左生体電位計測装置によって計測された情報を、前記外部イヤフォンから音声としてユーザに送る、生体情報計測システムである。
第5の実施形態は、第1の実施形態又は第2の実施形態において、前記右生体電位計測装置又は前記左生体電位計測装置によって計測された情報は、骨伝導によってユーザに送られる、生体電位計測システムである。
第6の実施形態は、第1の実施形態又は第2の実施形態において、前記センサ電極を覆うハウジング又はイヤーピースを備え、前記ハウジング又は前記イヤーピースは少なくとも一部が形状記憶合金で形成され、当該形状記憶合金が変形することにより前記ハウジング又は前記イヤーピースが耳と接触する、生体電位計測システムである。
第7の実施形態は、第6の実施形態において、前記形状記憶合金はユーザの体温に応じて形状が変化する、生体電位計測システムである。
第8の実施形態は、第7の実施形態において、前記ハウジング又は前記イヤーピースは、前記ユーザに取り付けられる前と比べて、前記ユーザに取り付けられた後のサイズが増加する、生体電位計測システムである。
第9の実施形態は、第1の実施形態又は第2の実施形態において、前記計測された情報が、対応する前記右生体電位計測装置又は前記左生体電位計測装置の時間信号と比較されて時間的に整列される、生体電位計測システムである。
第10の実施形態は、第1の実施形態又は第2の実施形態において、前記計測された情報が、前記右生体電位監視装置又は前記左生体電位監視装置の何れかの一方の時間信号に応じて時間的に整列される、生体電位計測システムである。
第11の実施形態は、第1の実施形態又は第2の実施形態において、前記計測された情報が、前記右生体電位監視装置及び前記左生体電位監視装置が接続された共通装置の時間信号と比較される、生体電位計測システムである。
第12の実施形態は、第1の実施形態又は第2の実施形態において、前記右生体電位計測装置及び前記左生体電位計測装置の両方において計測して1つの情報を出力する場合と、前記右生体電位計測装置及び前記左生体電位計測装置の少なくとも一つから互いに独立して計測する場合と、に応じて外部装置との接続形態が変更される、生体電位計測システムである。
第1~第11の実施形態によれば、左右の両方の耳又は一方の耳の周辺領域から安定的かつ柔軟に生体電位を測定することができる生体電位計測システムを提供することができる
本実施形態に係る生体情報測定システムを示すブロック図である。 生体情報測定装置の全体を示す斜視図である。 生体情報測定装置を上方向から見たときの図である。 左側イヤフォンを左方向から見たときの図である。 右側イヤフォンを示す斜視図である。 左側イヤフォンを示す斜視図である。 右側イヤフォンを上方向から見たときの図である。 右側イヤフォンを示す分解斜視図である。 右側イヤフォンの断面図である。 左側イヤフォンの内部を示す斜視図である。 左側イヤフォンを示す斜視図である。 左側イヤフォンを示す斜視図である。 左側イヤフォンを示す分解斜視図である。 左側イヤフォンを示す分解斜視図である。 メイン基板とサブ基板を示す斜視図である。 メイン基板の内面を示す図である。 メイン基板の外面を示す図である。 サブ基板の内面を示す図である。 サブ基板の外面を示す図である。 メイン基板の内面上の配線を示す図である。 メイン基板に含まれる基板部品を示す図である。 中継基板の前方側の面を示す図である。 中継基板の後方側の面を示す図である。 生体情報測定装置を示すブロック図である。 端末装置を示すブロック図である。 人の右耳の外観を模式的に示す図である。 人の右耳の外観及び内部を模式的に示す図である。 人の右耳の外観を模式的に示す図である。 右側イヤーピースと導電管部材を模式的に示す図である。 右側イヤーピースと導電管部材を模式的に示す図である。 右側イヤーピースと導電管部材を模式的に示す図である。 右側イヤフォンの別の例を示す断面図である。 フレキシブルな構造を有する右側イヤフォンの外観を示す図である。 変形例1に係る左側イヤフォンの外観を示す図である。 人の左耳の外観を示す図である。 変形例1に係る左側イヤフォンの外観を示す図である。 人の左耳の外観を示す図である。 変形例2に係る左側イヤフォンを左方向から見たときの図である。 変形例2に係る左側イヤフォンを上方向から見たときの図である。 人の左耳の外観を示す図である。 変形例3に係る右側イヤフォンを右方向から見たときの図である。 マイクロニードルシートを示す斜視図である。 シートを横から見たときの図である。 シートを上から見たときの図である。 マイクロニードルシートを示す斜視図である。 外耳道を模式的に示す断面図である。 弾性体基層とシートを模式的に示す断面図である。 外耳道を模式的に示す断面図である。 iPS細胞シートを示す斜視図である。 人の頭と枕とを頭の上方向から見たときの図である。 人の頭と枕とを頭の上方向から見たときの図である。 人の頭と枕とを頭の上方向から見たときの図である。 人の頭とディスプレイとを頭の上方向から見たときの図である。 人の頭とディスプレイとを頭の上方向から見たときの図である。 ケーブルを示す断面図である。 ケーブルを示す断面図である。 ケーブルを示す断面図である。 ケーブルを示す断面図である。 ケーブルを示す断面図である。 ケーブルを示す断面図である。 ケーブルを示す断面図である。 右側イヤフォン、左側イヤフォン及びケーブルを模式的に示す図である。 平衡型差動増幅器を示す図である。 電極の選択方法を説明するための図である。 電極の選択方法を説明するための図である。 電極の選択方法を説明するための図である。 複数のチャンネルの信号を処理する装置の構成を示すブロック図である。 研究用脳波計を生体情報測定装置と共に装着した場合の実験例を示す図である。 図65の実験において得られた周波数特性を示すグラフである。 生体情報測定装置の入出力特性を示す図である。 生体情報測定装置のノイズ評価結果を0V付近で示した図である。 JIS規格に従って図68の結果をノイズ評価した結果を示す図である。 低周波カットオフフィルタを適用したノイズ評価の結果を示す図である。 左右のイヤーアクセサリーの構成を示すブロック図である。 無線型イヤーアクセサリーの形態の生体情報測定装置を示す図である。 イヤーアクセサリーの代替実施形態を示す図である。 イヤーハンガーの構成を示す図である。 電極の位置決め及び取り付けの一例を示す図である。 2つの独立したきのこ形電極を有するイヤーピースを示す図である。 マルチフランジイヤーピースの一例を示す図である。 イヤーピース軸上の第1電極と第2電極の配置の一例を示す図である。 イヤーピースの代替実施形態を示す図である。 脳及び顎に関する耳の解剖学的構造を示す図である。
図1(1)を参照して、本実施形態に係る生体情報測定システムについて説明する。図1(1)には、本実施形態に係る生体情報測定システムの構成の一例が示されている。生体情報測定システム10は、生体情報測定装置12と端末装置14とを含む。
生体情報測定装置12と端末装置14は、通信経路を介して他の装置と通信する機能を有する。その通信は、ケーブルを利用する有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。つまり、生体情報測定装置12と端末装置14は、他の装置とケーブルによって物理的に接続されて、情報を互いに送受信してもよいし、無線通信によって互いに情報を送受信してもよい。無線通信として、例えば、近距離無線通信やWi-Fi(登録商標)や赤外線通信や可視光通信等が用いられる。これら以外の規格の無線通信が用いられてもよい。近距離無線通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)やRFID(Radio Frequency Identifier)やNFC等である。また、生体情報測定装置12と端末装置14は、LAN(Local Area Network)やインターネット等の通信経路を介して他の装置(例えばサーバ等の装置)と通信してもよい。一例として、無線型のイヤフォンと無線型の生体情報処理装置が無線通信で繋がり、データを相互に共有して稼働するものが上げられる。
生体情報測定装置12は、図1(2)に示されるように、外部音声入出力装置13と連携して動作するようにしてもよい。例えば、生体情報測定装置12と音声入出力装置13は、無線で通信することで互いに情報を共有して動作するようにしてもよい。このような生体情報測定装置12をイヤーアクセサリーとして実施した場合の構成例は図73(2)に示されている。
生体情報測定装置12は、生物の生体情報を測定するように構成されている装置である。生物は、人、人以外の動物、又は、植物である。
生体情報は、生物から発する様々な情報を含んでもよい。生体情報は、例えば、脳の活動を示す情報(例えば、脳波、脳の血流量、脳磁場信号等)、脈拍数を示す情報、筋電波形等の筋電情報、唾液に関する情報(例えば唾液量を示す情報)、脈波を示す情報、血圧を示す情報、血流量を示す情報、脈拍を示す情報、心拍数を示す情報、心電波形を示す情報、眼球運動を示す情報、体温を示す情報、発汗量を示す情報、視線を示す情報、音声情報、人の動きを示す情報、又は、体液(例えば血液等)から得られる情報等である。また、バイオマーカによって特定される情報が、生体情報として用いられてもよい。生体情報は、生物から検出される電位に起因する情報であってもよい。例えば、生体情報は、脳の活動に伴い発生する微小電流の測定結果である脳波、心臓の拍動に伴い発生する微小電流の測定結果である心電図、筋肉の活動に伴い発生する微小電流の測定結果である筋電図、又は、皮膚に生じる微小電流の測定結果である皮膚電位等であってもよい。これらは生体情報の一例に過ぎず、これら以外の生体情報が用いられてもよい。生体情報測定装置12は、1又は複数の種類の生体情報を測定する。
生体情報を解析することで、感情情報、精神情報、又は、心理情報等が得られてもよい。例えば、人の生体情報を解析することで、当該人の感情を示す情報、当該人の精神状態を示す情報、又は、当該人の心理を示す情報等が得られてもよい。もちろん、人以外の動物や植物の生体情報を解析することで、人以外の動物や植物の状態を示す情報が得られてもよい。
生体情報測定装置12は、被検体である生物に装着されて生体情報を測定する装置(例えばウェアラブルデバイス)であってもよいし、生物に装着されずに生体情報を測定する装置であってもよい。
ウェアラブルデバイスは、例えば、動物の耳に装着されるヒアラブルデバイス、動物の頭部に装着されるデバイス、動物の手首や腕や指(以下、「手首等」と称する)に装着されるデバイス(例えば、スマートウォッチ等の腕時計型のデバイス)、動物の首に装着されるデバイス、動物の胴体(例えば胸部や腹部等)に装着されるデバイス、下肢(例えば、人の大腿、下腿、膝、足、足首等)に装着されるデバイス、メガネ型のデバイス、又は、コンタクトレンズ型のデバイス等である。生体情報測定装置12は、これら以外の部位に装着されるウェアラブルデバイスであってもよい。また、複数の部位に生体情報測定装置12が装着されてもよい。
ヒアラブルデバイスは、例えば、イヤフォン、補聴器、イヤリング式のデバイス(ピアスイヤリング式のデバイス)、イヤアタッチメントアクセサリ、イヤバッド、イヤウェア、クリップ式のデバイス(イヤクリップ式のデバイス)、又は、耳に巻き付けられるバンドやケーブルを含むデイバス等であってもよい。頭部に装着されるデバイスは、例えば、頭部に巻き付けられるバンドやケーブル等を含むヘッドセットであってもよい。手首等に装着されるデバイスは、例えば、手首等に巻き付けられるバンドやケーブル等を含むデバイスであってもよい。その他の部位に装着されるデバイスも、バンドやケーブル等を含んでもよい。
生体情報測定装置12は、生物に接触して当該生物の生体情報を測定する装置である接触型装置であってもよいし、生体情報測定装置12は、生物に接触せずに当該生物の生体情報を測定である非接触型装置であってもよい。生体情報測定装置12は、接触型装置と非接触型装置の両方を兼ね備えた装置であってもよい。つまり、生体情報測定装置12は、生物に接触して当該生物の生体情報を測定し、更に、生物に接触せずに当該生物の生体情報を測定してもよい。生物に接触して測定される生体情報と、生物に接触せずに測定される生体情報は、同じ種類の生体情報であってもよいし、異なる種類の生体情報であってもよい。
生体情報測定装置12は、生体情報を測定するための電極や電極以外のセンサ等を含む。電極は、生体に接触して、生体情報の一例である電位を検出してもよいし、生体に接触せずに電位を検出してもよい。電極以外のセンサは、生体に接触して生体情報を測定してもよいし、生体に接触せずに生体情報を測定してもよい。例えば、電極は動物に接触して、当該動物の脳波を示す電位を検出する。また、センサは動物に接触せずに、当該動物の体温を示す生体情報を測定してもよい。もちろん、これらは一例に過ぎず、これ以外の生体情報が測定されてもよい。
例えば、生体情報測定装置12は、1又は複数の電極を含む。例えば、複数の電極が生物に設けられて、当該複数の電極によって電位が検出される。検出された電位には、当該生物の生体情報の一例である生体電位が含まれており、検出された電位を処理することで、検出された電位から生体電位が抽出される。例えば、検出された電位には生体電位由来以外のノイズが含まれている場合があり、ノイズキャンセル処理等の処理を実行することで、ノイズが除去された生体電位が得られる。ノイズは、例えば、生物の動きに起因して発生する電位や、生物の外部から伝わる電位や、地球環境由来で発生する電位や、測定対象以外の生体情報を表す電位等である。PCやスマートフォン等の装置にて発生する電位等がノイズに含まれてもよい。電位の検出感度やノイズ等の測定状況に応じて、電位の検出に用いられる電極が切り換えられてもよい。また、様々な生体電位由来の電位が複合して測定される場合には、生体電位毎に測定された電位を周波数によって分ける処理をしたり、測定する時間の中で、複合している部分と複合が弱い部分に分ける処理をしたりすることにより、様々な生体電位由来の電位を推定して分離してもよい。例えば、前述のヒアラブルデバイスでは、脳の活動を示す情報、脈拍数を示す情報、筋肉等の動きに由来する筋電情報、脈波、心拍数などの血流に起因する情報等が複合的に計測される場合があるが、これらの情報は周波数や出力の絶対値が異なる場合が多く、測定信号の周波数分析や出力値レベルの違いによって分けて推定することができる。例えば脳波の場合にはその周波数によりα、β、θ、δ、γ波の帯域に分けられる。これとは別の方法として、同じ状態条件でそれぞれ、ヒアラブルデバイスによって測定し、更に、市販の脳波計や筋電計測装置や血流に関する測定装置で単独の測定信号を個別に複数回測定し、どの生体情報由来の情報であるかを、複合して測定されたヒアラブルデバイスの測定信号情報をフーリエ変換やウェーブレット変換等による周波数解析手法で分析した後に、統計処理を入れて推定的に分離する手段を導入してもよい。
例えば、1又は複数の電極が、生体電位を含む電位を検出するための生体電位検出用電極(以下、「センサ電極」と称する)として用いられ、別の1又は複数の電極が、接地のための電極(以下、「グランド電極」と称する)として用いられ、更に別の1又は複数の電極が、センサ電極によって検出された電位と比較するための電位を検出する電極(以下、「レファレンス電極」と称する)として用いられる。
以下、センサ電極によって検出された電位を「センサ電位」と称し、レファレンス電極によって検出された電位を「レファレンス電位」と称し、グランド電極によって検出された電位を「グランド電位」と称することとする。
別の例として、生体情報測定装置12は、電極以外の1又は複数のセンサを含む。例えば、複数のセンサが生物に設けられて、当該複数のセンサによって生体情報が測定される。測定された情報にはノイズが含まれている場合があり、測定感度やノイズ等の測定状況に応じて、生体情報の測定に用いられるセンサが切り換えられてもよい。
更に別の例として、生体情報測定装置12は、1又は複数の電極と、電極以外の1又は複数のセンサとを含んでもよい。
なお、電極及びセンサの中の少なくとも一方を含む複数の生体情報測定装置12が用いられ、各生体情報測定装置12によって、同じ又は異なる種類の生体情報が測定されてもよい。
生体情報測定装置12は、生体情報(例えば、電極によって検出された電位を示す電位信号や、センサによって測定された情報や、解析結果の情報等)を端末装置14に送信してもよい。生体情報測定装置12は、生体情報を端末装置14以外の装置(例えばサーバ等)に送信してもよい。生体情報測定装置12は、生体情報を他の装置に送信すると共に、又は、送信せずに、自装置である生体情報測定装置12に記憶してもよい。
端末装置14は、例えば、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称する)、モバイル端末(例えば、スマートフォン、タブレットPC、携帯電話等)、又は、その他の装置(例えば音楽プレーヤー等)である。端末装置14は、生体情報測定装置12から生体情報を受信し、生体情報を、記憶、解析又は他の装置への送信等の処理を実行してもよい。例えば、端末装置14は、生物から検出された電位から生体情報を抽出してもよい。
生体情報測定装置12は、一例としてヒアラブルデバイスであり、人の耳の外耳道に差し込んで使用される。生体情報測定装置12は、例えばカナル型のイヤフォンを含む装置であってもよい。例えば、生体情報測定装置12は、イヤフォンの機能として、再生装置から出力された電気信号を、スピーカを用いて音波に変換する機能を有する。再生装置は、端末装置14であってもよい。例えば、生体情報測定装置12は、音声信号等の音信号を端末装置14から無線通信又は有線通信によって受信し、その音信号に従って音を発生させる。
以下、図2から図10を参照して、生体情報測定装置12の形状について詳しく説明する。ここでは生体情報測定装置12の一例として、人の耳に装着されるイヤフォンを例に挙げて説明するが、ここで説明される生体情報測定装置12は、イヤフォン以外のヒアラブルデバイスであってもよい。
図2は、生体情報測定装置12の全体を示す斜視図である。図3は、生体情報測定装置を上方向から見たときの図である。図4は、左側イヤフォンを左方向から見たときの図である。図5は、右側イヤフォンを示す斜視図である。図6は、左側イヤフォンを示す斜視図である。図7は、右側イヤフォンを上方向から見たときの図である。図8は、右側イヤフォンの分解斜視図である。図9は、右側イヤフォンの断面図である。図10は、左側イヤフォンの内部を示す斜視図である。
ここで、説明の便宜上、図2に示すように、前後方向、上下方向及び左右方向を定義する。前方向は、人の顔が向く方向であり、後方向は、その前方向とは逆の方向である。上方向は、人の頭頂が向く方向であり、下方向は、その上方向とは逆の方向である。右方向は、人の右手側の方向であり、左方向は、人の左手側の方向である。前後方向、上下方向及び左右方向は互いに直交する。
また、ここでは一例として、生体情報測定装置12は、脳波を含む生体情報を測定するものとする。もちろん、生体情報測定装置12は、脳波を測定すると共に、又は、脳波だけを測定せずに、脳波以外の生体情報を測定してもよい。例えば、後述する右側イヤフォン16Rや左側イヤフォン16Lが人の耳に装着されると、生体情報を表す電位が検出される。検出された電位を示す電位信号には、通常、脳波を表す電位信号が含まれるが、脳波を表す電位信号の他に、人の頭部の動きに起因して発生する電位を示す電位信号として、顔の表情に起因する動き、首や顎、眼球の動きに起因して発生する電位を示す電位信号等が含まれる場合がある。また、人の頭部の動きに伴った血流の変化に起因する生体情報として、脳血流、心臓血脈に関する脈波、心拍等も顕著に計測できる場合がある。このように、生体情報測定装置12は、脳波と共に脳波以外の生体情報も測定することがある。脳波以外の生体情報は、ノイズとして処理されてもよいし(例えば除去されてもよいし)、前述したように脳波と分離されて何らかの処理に用いられてもよい。
図2及び図3に示すように、生体情報測定装置12は、大別して、人の右耳に装着される右側イヤフォン16Rと、人の左耳に装着される左側イヤフォン16Lと、右側イヤフォン16Rと左側イヤフォン16Lとを電気的に接続するケーブル18とを含む。右側イヤフォン16Rと左側イヤフォン16Lは、ケーブル18を介して信号やデータを送受信してもよい。ケーブル18には、生体情報測定装置12を操作するためのリモコンが設けられてもよい。
右側イヤフォン16R又は左側イヤフォン16Lのいずれか一方が、生体情報を測定する生体情報測定装置として機能してもよいし、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lの両方が、生体情報測定装置として機能してもよい。
例えば、一方のイヤフォンが、センサ電極、レファレンス電極及びグランド電極を有し、他方のイヤフォンは電極を有していなくてもよい。
別の例として、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lの両方が、センサ電極、レファレンス電極及びグランド電極を有してもよい。
更に別の例として、一方のイヤフォンが、センサ電極、レファレンス電極及びグランド電極の中の1つ又は2つの電極を有し、他方のイヤフォンが、当該一方のイヤフォンが有していない電極を有してもよい。
更に別の例として、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lのそれぞれに1又は複数の電極が設けられており、センサ電極、レファレンス電極及びグランド電極のそれぞれが、いずれかの電極に割り当てられてもよい。
更に別の例として、一方のイヤフォンに、複数のセンサ電極や、複数のレファレンス電極や、複数のグランド電極が設けられてもよい。例えば、右側イヤフォン16Rに複数のセンサ電極が設けられ、左側イヤフォン16Lに、複数のレファレンス電極が設けられてもよい。
別の例では、イヤフォンは、ケーブル18を使用せずに無線で左右が互いに通信を行うものであってもよい。また、左右のイヤフォンのそれぞれが、センサ電極、レファレンス電極、及びグランド電極を有することで、左側イヤフォン16Lと右側イヤフォン16Rが独立的に計測可能であるように構成されていてもよい。このような態様の例は、以下において、図71~図74を参照してより詳細に説明する。
右側イヤフォン16Rは、例えばカナル型のイヤフォンであり、右側筐体20Rと、右側イヤーピース22Rと、右側支持体24Rと、右側耳掛け26Rと、電極部材28Rとを含む。イヤーピースはイヤーパットと称されることもある。
右側筐体20Rは、例えば、薄型の直方体状の形状を有し、電子回路等を格納する筐体である。右側筐体20Rにおいて、ユーザが生体情報測定装置12を装着したときに人の右耳に対向する面に、右側イヤーピース22Rと右側支持体24Rが設けられている。右側筐体20R内には、制御装置、スピーカ、通信装置(例えば通信チップ)、生体情報を解析や処理する電子回路、6軸センサ(例えば、加速度を検出する3軸センサと角速度を検出する3軸センサとを有するセンサ等)、メモリ、及び、GPS(Global Positioning System)センサ等が格納されている。通信装置は、例えばBluetoothやBLE(Bluetooth Low Energy)等の無線通信機能を実現するための装置である。この通信装置は、無線LAN(例えばWiFi等を利用するネットワーク等)、セルラー(3G、4G、5G、LPWA等)のモジュールを搭載して通信領域を広域にし、Bluetoothよりも通信距離が長いローカルエリアの機器やインターネットを介して遠方の機器に直接データを送信すること可能である。6軸センサによって、右側筐体20Rの移動方向、向き及び回転が検出される。生体情報はメモリに記憶されてもよい。なお、生体情報を解析する電子回路は、生体情報測定装置12に設けられていなくてもよい。
右側支持体24Rは、円柱等の柱状の形状を有して右側筐体20Rの側面(例えば、右側イヤフォン16Rが右耳に装着されたときに右耳に対向する面)から突出し、右側筐体20Rと右側イヤーピース22Rとの間に設けられている。例えば、右側支持体24Rの外径は、右側イヤーピース22Rの外径よりも大きい。右側支持体24Rの側面の一部又は全部に電極部材28Rが設けられている。
例えば、電極部材28Rはリング状の形状を有し、柱状の右側支持体24Rに支持されている。電極部材28Rの全体又は一部が電極として機能する。つまり、電極部材28Rの全表面に電極が設けられてもよいし、電極部材28Rの一部の表面に電極が設けられ、その部分の表面には電極が設けられなくてもよい。電極部材28Rは、例えば、カーボン製の導電性ゴムによって構成されている。この場合においても、電極部材28Rの全部が導電性ゴムによって構成されて、電極部材28Rの全部(例えば全表面)が電極として機能してもよいし、電極部材28Rの一部が導電性ゴムによって構成されて、電極部材28Rの一部(例えば一部の表面)が電極として機能してもよい。
右側イヤーピース22Rは、右側支持体24Rの先端(つまり、右側筐体20Rに接続する端部とは反対側の端部)に設けられている。例えば、右側イヤーピース22Rは、先端に向かって幅が狭くなる円柱状の形状を有する。もちろん、この形状は一例に過ぎず、右側イヤーピース22Rは別の形状を有してもよい。
右側イヤーピース22R内には、音導管等(例えば、後述する導電管部材30R)が格納されており、スピーカによって発せられた音は、右側イヤーピース22R内の音導管等を伝達して右側イヤーピース22Rから外部に発せられる。右側イヤーピース22Rの外表面(例えば側面等)の一部又は全部には、電極が設けられている。その電極は、例えば、カーボン製の導電性ゴムによって構成されている。右側イヤーピース22R自体が、導電性ゴムによって構成されてもよい。例えば、右側イヤーピース22Rの全体又は一部が、導電性ゴムによって構成されてもよい。つまり、右側イヤーピース22Rの全表面又は一部の表面が電極として機能してもよい。
右側イヤーピース22R及び電極部材28Rは、例えば、弾性部材によって構成されてもよい。その弾性部材として、例えば、ゴム等の樹脂が用いられる。具体的には、Si系のゴム(例えば、NOK社製のS1734)やウレタン系のゴム等が、右側イヤーピース22R及び電極部材28Rに用いられてもよい。また、右側イヤーピース22R及び電極部材28Rのそれぞれの硬度(例えば、デュロメータタイプA(瞬時)の規格に従った硬度)は、例えば40~75である。一例として、硬度が70の樹脂が、右側イヤーピース22R及び電極部材28Rに用いられてもよい。
後述するように、右側イヤーピース22Rは、右耳の外耳道に挿入されて外耳道に接触するように右耳に配置され、右側支持体24Rに支持されている電極部材28Rは、右耳の耳甲介腔に接触するように右耳に配置される。
右側耳掛け26Rは、全体として湾曲した形状を有し、ユーザが右側イヤフォン16Rを装着したときにユーザの右耳に掛けられる部材である。例えば、右側耳掛け26Rは、右耳の耳輪に掛けられる。より詳しく説明すると、右側耳掛け26Rは、耳輪の裏側において耳輪に接して設けられる。右側耳掛け26Rの一方の端部は、右側筐体20Rの前方側の部分に接続されており、右側耳掛け26Rは、その接続部分から右側筐体20Rの後方側にかけて湾曲した形状を有しており、その部分が湾曲部を構成する。その湾曲部が、右耳の耳輪の裏側において耳輪に接して設けられる。例えば、湾曲部は、耳輪の裏側の形状に沿った形状を有する。右側耳掛け26Rの他方の部分は、ケーブル18の一方の端部に接続されている。
右側イヤーピース22R及び右側支持体24Rは、交換可能な部材である。例えば、形状や大きさの異なる複数種類(例えば3~5種類等)の右側イヤーピース22Rと右側支持体24Rが予め用意されており、ユーザの耳の形状(例えば、外耳道や耳甲介腔やその他の部位)に合わせて、右側イヤーピース22Rと右側支持体24Rを交換することができる。
左側イヤフォン16Lは、例えばカナル型のイヤフォンであり、左側筐体20Lと、左側イヤーピース22Lと、左側支持体24Lと、左側耳掛け26Lと、電極部材28Lとを含む。
左側筐体20Lは、例えば、薄型の直方体状の形状を有し、バッテリ等を格納する筐体である。左側筐体20Lにおいて、ユーザが生体情報測定装置12を装着したときにユーザの左耳に対向する面に、左側イヤーピース22Lと左側支持体24Lが設けられている。バッテリからの電力が、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lに供給され、これにより、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lが駆動する。例えば、バッテリからの電力が、スピーカや各回路に供給される。なお、バッテリは、右側筐体20R及び左側筐体20Lの両方に設けられてもよいし、右側筐体20R又は左側筐体20Lのいずれか一方に設けられてもよい。
左側支持体24Lは、円柱等の柱状の形状を有して左側筐体20Lの側面(例えば、左側イヤフォン16Lが左耳に装着されたときに左耳に対向する面)から突出し、左側筐体20Lと左側イヤーピース22Lとの間に設けられている。例えば、左側支持体24Lの外径は、左側イヤーピース22Lの外径よりも大きい。左側支持体24Lの側面の一部又は全部に電極部材28Lが設けられている。
例えば、電極部材28Lはリング状の形状を有し、柱状の左側支持体24Lに支持されている。電極部材28Lの全体又は一部が電極として機能する。つまり、電極部材28Lの全表面に電極が設けられてもよいし、電極部材28Lの一部の表面に電極が設けられ、その部分の表面には電極が設けられなくてもよい。電極部材28Lは、例えば、カーボン製の導電性ゴムによって構成されている。この場合においても、電極部材28Lの全部が導電性ゴムによって構成されて、電極部材28Lの全部(例えば全表面)が電極として機能してもよいし、電極部材28Lの一部が導電性ゴムによって構成されて、電極部材28Lの一部(例えば一部の表面)が電極として機能してもよい。
左側イヤーピース22Lは、左側支持体24Lの先端(つまり、左側筐体20Lに接続する端部とは反対側の端部)に設けられている。例えば、左側イヤーピース22Lは、先端に向かって幅が狭くなる円柱状の形状を有する。もちろん、この形状は一例に過ぎず、左側イヤーピース22Lは別の形状を有してもよい。
左側イヤーピース22L内には、音導管等が格納されており、スピーカによって発せられた音は、左側イヤーピース22L内の音導管等を伝達して左側イヤーピース22Lから外部に発せられる。左側イヤーピース22Lの外表面(例えば側面等)の一部又は全部には、電極が設けられている。その電極は、例えば、カーボン製の導電性ゴムによって構成されている。左側イヤーピース22L自体が、導電性ゴムによって構成されてもよい。例えば、左側イヤーピース22Lの全体又は一部が、導電性ゴムによって構成されてもよい。つまり、左側イヤーピース22Lの全表面又は一部の表面が電極として機能してもよい。
左側イヤーピース22L及び電極部材28Lは、例えば、弾性部材によって構成されてもよい。その弾性部材として、例えば、ゴム等の樹脂が用いられる。具体的には、Si系のゴム(例えば、NOK社製のS1734)やウレタン系のゴム等が、左側イヤーピース22L及び電極部材28Lに用いられてもよい。また、左側イヤーピース22L及び電極部材28Lのそれぞれの硬度(例えば、デュロメータタイプA(瞬時)の規格に従った硬度)は、例えば40~75である。一例として、硬度が70の樹脂が、左側イヤーピース22L及び電極部材28Lに用いられてもよい。
後述するように、左側イヤーピース22Lは、右耳の外耳道に挿入されて外耳道に接触するように右耳に配置され、左側支持体24Lに支持されている電極部材28Lは、左耳の耳甲介腔に接触するように左耳に配置される。
左側耳掛け26Lは、全体として湾曲した形状を有し、ユーザが左側イヤフォン16Lを装着したときにユーザの左耳に掛けられる部材である。例えば、左側耳掛け26Lは、左耳の耳輪に掛けられる。より詳しく説明すると、左側耳掛け26Lは、耳輪の裏側において耳輪に接して設けられる。左側耳掛け26Lの一方の端部は、左側筐体20Lの前方側の部分に接続されており、左側耳掛け26Lは、その接続部分から左側筐体20Lの後方側にかけて湾曲した形状を有しており、その部分が湾曲部を構成する。その湾曲部が、左耳の耳輪の裏側において耳輪に接して設けられる。例えば、湾曲部は、耳輪の裏側の形状に沿った形状を有する。左側耳掛け26Lの他方の部分は、ケーブル18の一方の端部に接続されている。
左側イヤーピース22L及び左側支持体24Lは、交換可能な部材である。例えば、形状や大きさの異なる複数種類(例えば3~5種類等)の左側イヤーピース22Lと左側支持体24Lが予め用意されており、ユーザの耳の形状(例えば、外耳道や耳甲介腔やその他の部位)に合わせて、左側イヤーピース22Lと左側支持体24Lを交換することができる。
なお、制御装置、通信装置、電子回路、6軸センサ及びメモリ等は、右側筐体20R又は左側筐体20Lのいずれか一方に格納されてもよいし、右側筐体20R及び左側筐体20Lの両方に格納されてもよい。
また、右側筐体20R又は左側筐体20Lには、電源ボタンや、音量を調整するためのスイッチ等が設けられている。右側筐体20R及び左側筐体20Lの両方に、電源ボタンやスイッチ等が設けられてもよい。
例えば、右側イヤーピース22Rに設けられている電極、又は、左側イヤーピース22Lに設けられている電極のいずれか一方の電極が、センサ電極として用いられ、他方の電極が、レファレンス電極として用いられる。また、電極部材28R及び電極部材28Lが、グランド電極として用いられる。もちろん、電極部材28R又は電極部材28Lのいずれか一方がセンサ電極として用いられ、他方がレファレンス電極として用いられ、右側イヤーピース22R及び左側イヤーピース22Lに設けられている電極が、グランド電極として用いられてもよい。
別の例として、右側イヤーピース22Rに、互いに分離された複数の電極が設けられ、当該複数の電極の中の少なくとも1つの電極が、センサ電極、レファレンス電極又はグランド電極として用いられてもよい。例えば、当該複数の電極がセンサ電極として用いられ、当該複数の電極のうち、検出感度が最も高い電極、ノイズが最も少ない電極、又は、ノイズのレベルが最も安定している電極によって検出された電位を、センサ電位として用いてもよい。当該複数の電極がレファレンス電極又はグランド電極として用いられる場合も同様である。また、左側イヤーピース22L、電極部材28R及び電極部材28Lについても同様である。
図7に示すように、右側支持体24Rに支持されている電極部材28Rは、右側筐体20Rから高さhの位置に設置されている。つまり、電極部材28Rと右側筐体20Rとの間の距離は、高さhに設定される。高さhは、例えば、右側筐体20Rと耳輪との干渉を防止し、接触不良を防止する程度の値に設定される。具体的には、右側イヤーピース22Rが右耳の外耳道に挿入されて、右側イヤフォン16Rが右耳に装着されたときに、右側筐体20Rが右耳の耳輪に接触しないように、高さhが設定される。つまり、右側筐体20Rが耳輪に接触しない位置まで耳輪から離れるように、高さhが設定される。こうすることで、例えば、右側筐体20Rの上方向の面が耳輪に接触しない。右側筐体20Rが耳輪に接触し、右側筐体20Rと耳輪とが干渉すると、右側イヤーピース22Rが外耳道内にて安定する位置まで挿入されず、右側イヤーピース22Rの電極と外耳道との間で接触不良が発生する可能性がある。また、電極部材28Rが、右耳の耳甲介腔と良好に接触する位置に配置されず、電極部材28Rと右耳の耳甲介腔との間で接触不良が発生する可能性がある。そのような接触不良が発生すると、センサ電位やレファレンス電位やグランド電位の検出感度が低下し、生体情報の測定精度が低下する可能性がある。右側筐体20Rが耳輪に接触しないように高さhを設定することで、右側筐体20Rと耳輪とが干渉せず、右側イヤーピース22Rを外耳道内にて安定する位置まで挿入することができ、右側イヤーピース22Rの電極と外耳道との接触を良好にすることができる。また、電極部材28Rを、右耳の耳甲介腔と良好に接触する位置に配置することができ、電極部材28Rと耳甲介腔との接触を良好にすることができる。こうすることで、生体電位の検出感度を向上させることができる。左側イヤフォン16Lについても同様である。
また、図3に示すように、右側耳掛け26Rは、右側イヤフォン16Rを上方向から見たときに、右側筐体20Rの位置から右側イヤーピース22Rが設置されている方向にずれて配置されている。つまり、右側イヤフォン16Rを上方向から見たときに、右側筐体20Rと右側耳掛け26Rとの間に隙間が形成されている。右側耳掛け26Rは、右側筐体20Rの位置から右側イヤーピース22Rが設置されている方向にオフセットして配置されているといえる。その隙間は耳用スペースであり、その隙間に、右耳が挿入されて配置されるようになっている。このような耳用スペースを設けて、その耳用スペースに右耳を挿入して配置するようにすることで、右耳の大きさに関わらず、右耳を耳用スペースに配置し、右側イヤフォン16Rを右耳に安定して装着することができる。その結果、右側イヤーピース22Rの電極と外耳道との間の接触、及び、電極部材28Rと耳甲介腔との間の接触を良好にすることができる。左側イヤフォン16Lについても同様である。
図8に示すように、右側支持体24Rには、金属からなる導電管部材30Rが、右側筐体20Rから離れる方向に突出して設けられる。導電管部材30Rの後端は右側支持体24Rに設置され、導電管部材30Rの先端には右側イヤーピース22Rが設けられる。例えば、導電管部材30Rの後端は、ねじ止め等によって右側支持体24Rの先端に取り付けられる。右側支持体24Rの側面には、金属からなる導電管部材32Rが、その側面から突出する方向に設けられる。また、その側面には、導電管部材32Rを覆うように、リング状の電極部材28Rが設けられている。より詳しく説明すると、右側支持体24Rの側面には、右側支持体24Rの周方向に沿って溝が形成されており、その溝に、導電管部材32Rの一方端が挿入される孔24R1が形成されている。導電管部材32Rの一方端が、その孔24R1に挿入されることで、導電管部材32Rは右側支持体24Rの側面に取り付けられる。例えば、ねじ止め等によって、導電管部材32Rが右側支持体24Rの側面に取り付けられる。導電管部材32Rが右側支持体24Rの側面に取り付けられた状態で、電極部材28Rが、右側支持体24Rの側面の溝に嵌め込まれ、これにより、電極部材28Rが、導電管部材32Rに接触した状態で右側支持体24Rの側面に取り付けられる。導電管部材32Rは、右側支持体24R内において電線に接続される。これにより、電極部材28Rによって検出された電位を示す電位信号は、導電管部材32Rを介してその電線に送られ、その電線を介して、後述するメイン基板34に出力される。左側イヤフォン16Lも、右側イヤフォン16Rと同様の構成を有する。
また、図9に示すように、右側筐体20R内には、メイン基板34とサブ基板36が収容されている。メイン基板34とサブ基板36については後で詳しく説明する。メイン基板34及びサブ基板36以外の基板が、左側筐体20Lに収容されてもよい。
また、図10に示すように、左側筐体20L内には、バッテリ38と中継基板40が収容されている。バッテリ38から電力が中継基板40を介して、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lに供給される。
ケーブル18は、ケーブル18の全体の形状を維持することができる硬さを有する。例えば、ケーブル18は、生体情報測定装置12が人の耳に装着されたときに、ケーブル18が人の後頭部や後頭部の髪の毛に接触しないように、右側筐体20R及び左側筐体20Lから後方向に向けて延びて配置される形状を有する。このように、ケーブル18が後頭部や後頭部の髪の毛に接触しないことで、その接触に起因するノイズが、生体情報に発生することを防止することができる。
仮に、ケーブル18が後頭部等に接触した場合であっても、その接触による負荷がケーブル18に伝わり、図4中の矢印Yが指し示すように、左側イヤフォン16Lの全体が、後方向に向けて回転する。これにより、左側イヤーピース22L及び電極部材28Lが、左耳により強固に固定される。つまり、左側イヤフォン16Lの全体が、左側イヤーピース22L及び電極部材28Lをより強固に固定する方向に回転する。その結果、左側イヤーピース22Lの電極と外耳道との間の接触、及び、電極部材28Lと耳甲介腔との間の接触をより良好にして、検出感度を向上させることができる。右側イヤフォン16Rについても同様である。
図11から図14を参照して、耳掛けについて説明する。図11及び図12には、左側イヤフォン16Lが示されている。図13及び図14には、左側イヤフォン16Lの分解斜視図が示されている。
左側耳掛け26Lは、ケーブル18を覆うカバー42と、カバー42を覆うハンガー44とを含む。図11及び図13にはハンガー44が示されておらず、左側耳掛け26Lが形成される部分のケーブル18は、カバー42によって覆われている。図12及び図14にはハンガー44が示されている。ハンガー44は、カバー42を覆うように設けられる。
図13及び図14に示すように、左側筐体20Lは筐体部材46,48によって構成されており、カバー42の先端(つまり、左側耳掛け26Lが左側筐体20Lに取り付けられる部分)は、筐体部材46,48によって挟み込まれることで、左側筐体20Lに固定されている。ハンガー44の先端も、カバー42の先端と共に筐体部材46,48によって挟み込まれてもよい。右側耳掛け26Rも同様の構成を有する。
カバー42は、例えばナイロンによって構成されており、ハンガー44はシリコンゴムによって構成されている。カバー42の材料としてナイロンを用いることで、ハンガー44の根本折れ(つまり、左側筐体20Lによって固定されている部分)を防止することができる。また、カバー42とハンガー44によってケーブル18を屈曲させて、人体への生体情報測定装置12の装着時に、ケーブル18が人体に接触することを防止することができる。右側耳掛け26Rも左側耳掛け26Lと同様の構成を有する。
以下、メイン基板34とサブ基板36について説明する。図15には、メイン基板34とサブ基板36の配置関係が示されている。図15は、メイン基板34とサブ基板36を示す斜視図である。ここでは一例として、生体情報は脳波であり、メイン基板34とサブ基板36は、検出された電位を示す電位信号から脳波を抽出する電子回路等を含む。
メイン基板34は、右側イヤフォン16Rが人の耳に装着されたときに当該人の頭部に対向する面である内面34aと、内面34aの反対側の面である外面34bとを有する。サブ基板36は、右側イヤフォン16Rが人の耳に装着されたときに当該人の頭部に対向する面である内面36aと、内面36aの反対側の面である外面36bとを有する。
図16には、メイン基板34の内面34aが示されている。図17には、メイン基板34の外面34bが示されている。
図16に示すように、メイン基板34の内面34aには、一例として、主に、検出された電位を示す電位信号を解析することで電位信号から脳波を抽出する脳波センサ3410、6軸センサ3411、フラッシュメモリ3412、LED3413、基板間コネクタ3414、及び、USB端子3415が設けられている。
図17に示すように、メイン基板34の外面34bには、Bluetoothによる通信を行う通信チップ3416、バッテリの充電を管理する充電管理IC(Integrated Circuit)3417、昇降圧コンバータ3418、SPI(Serial Peripheral Interface)メモリ3419、SRAM3420、及び、MCU(Memory Control Unit)3421、及び、アンテナ3422が設けられている。
図18には、サブ基板36の内面36aが示されている。図19には、サブ基板36の外面36bが示されている。
図18に示すように、サブ基板36の内面36aには、一例として、マイク3610が設けられている。また、サブ基板36の厚さ方向に貫通する貫通孔3611が形成されている。貫通孔3611は配線用の孔である。
図19に示すように、サブ基板36の外面36bには、音量スイッチ3612,3613、生体情報測定装置12の機能を設定するためのスイッチ3614、及び、基板間コネクタ3615が設けられている。
図20には、メイン基板34の内面34a上の電極パッドが示されている。なお、図20には、脳波センサ3410と電極パッドのみが示されており、メイン基板34上の各電線は省略されている。
電極パッド34a1,34a2は、電線によって、右側イヤフォン16Rに設けられている電極に接続される電極パッドである。例えば、電極パッド34a1は、電線によって、右側イヤーピース22Rの電極又は電極部材28Rの電極のいずれか一方の電極に接続され、電極パッド34a2は、電線によって他方の電極に接続される。また、電極パッド34a1,34a2は、メイン基板34上に形成された電線によって脳波センサ3410に接続されている。電極パッド34a3は、シールド用のグランド電極に接続される電極パッドである。電極パッド34a1,34a2に接続される電線(つまり合計で2本の電線)は、シールド線によって束ねられて、サブ基板36の貫通孔3611を通して、右側イヤーピース22Rに設けられている電極、及び、電極部材28Rまで配線されて、右側イヤーピース22Rに設けられている電極及び電極部材28Rに接続される。
電極パッド34a4,34a5は、電線によって、右側イヤフォン16Rに設けられているスピーカに接続される電極パッドである。電極パッド34a6は、シールド用のグランド電極に接続される電極パッドである。電極パッド34a4,34a5に接続される電線(つまり合計で2本の電線)は、シールド線によって束ねられてスピーカに接続される。
電極パッド34a7,34a8は、電線によって、左側イヤフォン16Lに設けられている電極に接続される電極パッドである。例えば、電極パッド34a7は、電線によって、左側イヤーピース22Lの電極又は電極部材28Lの電極のいずれか一方の電極に接続され、電極パッド34a8は、電線によって他方の電極に接続される。電極パッド34a9は、シールド用のグランド電極に接続される電極パッドである。また、電極パッド34a7,34a8は、メイン基板34上に形成された電線によって脳波センサ3410に接続されている。電極パッド34a7,34a8に接続される電線(つまり合計で2本の電線)は、シールド線によって束ねられて、左側イヤーピース22Lに設けられている電極、及び、電極部材28Lまで配線されて、左側イヤーピース22Lに設けられている電極及び電極部材28Lに接続される。
電極パッド34a10,34a11は、電線によって、左側イヤフォン16Lに設けられているスピーカに接続される電極パッドである。電極パッド34a12は、シールド用のグランド電極に接続される電極パッドである。電極パッド34a10,34a11に接続される電線(つまり合計で2本の電線)は、シールド線によって束ねられてスピーカに接続される。
脳波を測定するための電極パッド(例えば、電極パッド34a1,34a2,34a7,34a8)を、他の電極パッドよりも脳波センサ3410の近くに配置することで、脳波を測定するための電極パッドと脳波センサ3410との間の配線で生じるノイズの影響を低減することができる。また、脳波を測定するための電極パッドと脳波センサ3410との間に、通信チップ3416や充電管理IC3417が配置されていないため、通信チップ3416や充電管理IC3417にて発生するノイズの影響を低減することができる。
また、脳波を測定するための電極パッドに接続される電線と、スピーカに接続される電極パッドに接続される電線とを分けて、これらの電線を別々に配線することで、これらの間のクロストークを低減することができる。
また、メイン基板34は多層基板であってもよい。図21には、メイン基板34に含まれる基板部品341,342が示されている。基板部品341,342はそれぞれ、多層基板の別々の層を構成する基板である。基板部品341には、脳波センサ3410が設けられている。基板部品342は、シールドグランド(SGND)基板であり、基板部品341の隣に重ねて配置される。脳波センサ3410には生体電位が入力されるため、その脳波センサ3410が設けられている基板部品341の隣に、シールドグランド基板である基板部品342が重ねて配置されることで、生体電位に発生するノイズを低減することができる。
図22には、中継基板40の前方側の面40a上の配線が示されている。図23には、中継基板40の後方側の面40b上の配線が示されている。
電極パッド4000は、バッテリ38のマイナス極に接続される電極パッドである。電極パッド4001は、バッテリ38のプラス極に接続される電極パッドである。
電極パッド4002,4003は、電線によって、左側イヤフォン16Lに設けられている電極に接続される電極パッドである。例えば、電極パッド4002は、電線によって、左側イヤーピース22Lの電極又は電極部材28Lの電極のいずれか一方の電極に接続され、電極パッド4003は、電線によって他方の電極に接続される。例えば、電極パッド4002は、左側イヤーピース22Lの電極に接続され、電極パッド4003は、電極部材28Lの電極に接続される。電極パッド4004は、シールド用のグランド電極に接続される電極パッドである。
電極パッド4006,4007は、オーディオ用の電極パッドであって、電線によって、左側イヤフォン16Lのスピーカに接続される。電極パッド4005は、シールド用のグランド電極に接続される電極パッドである。
電極パッド4002,4003は、ノイズ対策用のシールド4008,4010によって囲まれており、電極パッド4006,4007は、ノイズ対策用のシールド4009,4011によって囲まれている。
オーディオ用の電極パッド4005,4006,4007と、生体電位を検出するための電極に接続される電極パッド4002,4003,4004とは、互いに離れて配置されており、これらの間にはシールドが配置されている。それ故、オーディオに起因して生体電位に発生し得るノイズの発生を抑制することができる。
また、バッテリ用の電極パッド4000,4001と、電極パッド4002,4003,4004とは、互いに離れて配置されており、これらの間にはシールドが配置されている。それ故、バッテリに起因して生体電位に発生し得るノイズの発生を抑制することができる。
以下、図24を参照して、生体情報測定装置12の機能について詳しく説明する。図24は、生体情報測定装置12の機能を示すブロック図である。
上述したように、生体情報測定装置12は、右側イヤフォン16Rと、左側イヤフォン16Lと、ケーブル18とを含む。右側イヤフォン16Rと左側イヤフォン16Lは、ケーブル18によって物理的に接続されており、ケーブル18を解して互いにデータを送受信する。
右側イヤフォン16Rは、右側スピーカ16R1と、通信部16R2と、第1右側電極16R3と、第2右側電極16R4と、処理部16R5と、記憶部16R6と、制御部16R7とを含む。
左側イヤフォン16Lは、左側スピーカ16L1と、バッテリ16L2と、第1左側電極16L3と、第2左側電極L4とを含む。
右側スピーカ16R1から発せられた音は、右側イヤーピース22Rから外部に発せられる。左側スピーカ16L1から発せられた音は、左側イヤーピース22Lから外部に発せられる。
ここで、電極としては、JIS規格を満たすものを用いることができる。例えば、JIS規格を満たすことが知られている医用脳波計と同時に、電極の入出力特性を事前に試験してもよい。
図65は、被験者が、生体情報測定装置12と、JIS規格を満たす研究用脳波計とを同時装着し、それらの特性を比較する試験の様子を示している。このような試験を行った結果、図66に示されるように、開眼状態と閉眼状態を2回繰り返した場合の10Hzにおける(1秒毎の)周波数分析によると、生体情報測定装置12の測定結果と研究用脳波計の測定結果との相関度は約0.7であった。従って、生体情報測定装置12は、医用脳波計のJIS信号品質規格(テレメトリ脳波計JIS T 1203)を満たしていることが分かった。
さらに、生体情報測定装置12に疑似脳波波形を入力し、印加電圧と周波数を変数とする入出力特性の線形性評価を行った。この試験では、電極を右耳の外耳道、左耳の外耳道、右耳の耳甲介腔に配置した。印加する周波数は3段階とし、印加電圧は0Vと、その他の11段階の電圧を用い、10回試験を繰り返して特性を得た。この結果を図67に示す。
図67(1)は、0~1000μVの範囲でほぼ線形の特性が得られていることを示している。図67(2)は、微小入力電圧を印加した場合、周波数が低いほど線形性が崩れ、0V印加時では約2.5μVのオフセットが生じていることを示している。図67(3)、(4)に示される範囲では、ほぼ線形の特性が得られている。
以上の結果を基に、生体情報測定装置12について、0V付近での入出力特性のノイズ評価を行った。その結果を図68に示す。具体的には、図68に示されるように、印加電圧0V時のRAWデータを4分間計測し、低周波領域のノイズの周期を正確に捉え、フーリエ変換による周波数分析を行った。
図68のフーリエ変換データに示されるように、0.5Hz未満の範囲において低周波ノイズが重畳するように分布していることがわかる。図69に示すように、図68のRAWデータからJIS規格(1~60Hzの3μVp-pを超えるノイズが1秒当たり1回を超えない)に基づくノイズ評価を行った。その結果、3μVp-pの目標の約2倍の6μVp-pの性能が得られることが分かった。また、図70に示されるように、取得デジタル信号に対して、ノイズが3μVp-p以内となるような低周波成分をカットする処理を適用することで、ノイズに係るJIS規格を満たすようにすることも可能である。
通信部16R2は、通信チップ等の通信インターフェースであり、他の装置と通信する機能を有する。その通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。例えば、通信部16R2は、電位信号や生体情報を外部の装置(例えば端末装置14)に送信したり、外部装置(例えば端末装置14)から制御情報等の情報を受信したりする。
また、複数の装置を同時に接続して通信を行うようにしてもよい。一例として、外部の音声入出力装置、データサーバ、又は同種類の装置(例えば、複数のイヤフォン)が互いに接続された構成としてもよい。また、装置の位置や通信環境に関する情報が入手可能であれば、互いに距離が近い装置、互いに一定距離の範囲に位置する装置、又は通信強度が一定レベル以上の装置等を優先的に接続するよう優先順位を自動的に決定してもよい。また、装置を稼働する最中に状況が変化した場合、その変化に応じて接続を解除するようにしてもよい。同様に、装置の動作中に、接続先の装置を自動的に変更してもよい。
第1右側電極16R3は、右側イヤーピース22Rの外表面に設けられている電極である。右側イヤーピース22R自体が第1右側電極16R3を構成してもよい。第2右側電極16R4は、右側支持体24Rの側面に設けられている電極であり、具体的には、電極部材28Rによって構成される電極である。第1右側電極16R3及び第2右側電極16R4のそれぞれによって検出された電位を示す電位信号は、処理部16R5に出力される。
第1左側電極16L3は、左側イヤーピース22Lの外表面に設けられている電極である。左側イヤーピース22L自体が第1左側電極16L3を構成してもよい。第2左側電極16L4は、左側支持体24Lの側面に設けられている電極であり、具体的には、電極部材28Lによって構成される電極である。第1左側電極16L3及び第2左側電極16L4のそれぞれによって検出された電位を示す電位信号は、ケーブル18を介して左側イヤフォン16Lから右側イヤフォン16Rの処理部16R5に出力される。
なお、電極の数は一例に過ぎない。右側イヤーピース22R、左側イヤーピース22L、電極部材28R、及び、電極部材28Lのそれぞれに、複数の電極が設けられてもよい。
処理部16R5は、第1右側電極16R3、第2右側電極16R4、第1左側電極16L3及び第2左側電極16L4のそれぞれによって検出された電位信号を解析するように構成されている。例えば、処理部16R5は、電位信号を解析することで電位信号から特定の生体電位(例えば特定の周波数を有する生体電位)を抽出したり、ノイズを除去したり、生体情報の一例である脳波を抽出したりする。処理部16R5の機能は、例えば、プロセッサによって実現される。その機能を実現するためにメモリが用いられてもよい。例えば、脳波センサ3410によって、処理部16R5の機能が実現されてもよい。
処理部16R5は、第1右側電極16R3、第2右側電極16R4、第1左側電極L3及び第2左側電極16L4を含む電極群の中から選択された2つ以上の電極によって検出された電位信号を解析してもよい。
例えば、第1右側電極16R3がセンサ電極として用いられ、第2右側電極16R4がグランド電極として用いられ、第1左側電極16L3がレファレンス電極として用いられる。この場合、処理部16R5は、第2右側電極16R4によって検出された電位を、基準電位であるグランド電位として定義し、その上で、センサ電極である第1右側電極16R3によって検出された電位と、レファレンス電極である第1左側電極16L3によって検出されたレファレンス電位との電位差を、生体電位として演算する。処理部16R5は、その電位差に対して周知の統計処理を適用し、その適用結果を生体情報として採用してもよい。生体電位を示す電位信号や生体情報は、例えば記憶部16R6に一時的に記憶され、その後、通信部16R2によって、生体情報測定装置12から外部の装置(例えば端末装置14)に送信される。もちろん、演算前の各電位を示す信号や、統計処理が適用される前の電位差を示す信号等が、生体情報測定装置12から外部の装置(例えば端末装置14)に送信されて、外部の装置にて、電位差が演算されたり、統計処理が実行されたりしてもよい。
記憶部16R6は例えばメモリによって構成されており、第1右側電極16R3、第2右側電極16R4、第1左側電極L3及び第2左側電極L4のそれぞれによって検出された電位を示す信号や、処理部16R5によって生成された情報等が記憶される。
バッテリ16L2は、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lの各部に電力を供給する。右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lの各部は、バッテリ16L2から供給された電力によって駆動する。バッテリ16L2として、例えば、充放電可能なバッテリが用いられる。もちろん、充電不可能なバッテリが用いられてもよい。なお、バッテリ16L2や充電に関わる部品の周囲に電磁波防止用のシールド部材が設けられてもよい。シールド部材を設けることで、充電中に発する電磁波に起因するノイズを軽減することができる。
制御部16R7は、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lの各部の動作を制御するように構成されている。制御部16R7の機能は、例えば、プロセッサによって実現される。その機能を実現するためにメモリが用いられてもよい。
なお、左側イヤフォン16Lにも、通信部16R2や処理部16R5や記憶部16R6や制御部16R7等が設けられてもよいし、右側イヤフォン16Rにもバッテリ16L2が設けられてもよい。これらの部品が、右側イヤフォン16R又は左側イヤフォン16Lのいずれかに設けられてもよい。
なお、右側イヤフォン16Rと左側イヤフォン16Lとがケーブル18を介して接続されているが、生体情報測定装置12は、ケーブル18を含んでいなくてもよい。この場合、左側イヤフォン16L内にも通信部が設けられ、右側イヤフォン16Rと左側イヤフォン16Lとが互いに通信することで、これらの間でデータの送受信が行われる。
以下、図25を参照して、端末装置14の機能について詳しく説明する。図25は、端末装置14の機能を示すブロック図である。
通信部14aは、通信チップ等の通信インターフェースであり、他の装置と通信する機能を有する。その通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。
記憶部14bはハードディスクドライブやメモリ等の記憶装置である。記憶部14bには、例えば、各種のデータや各種のプログラムが記憶される。
UI部14cはユーザインターフェースであり、例えば表示装置と操作装置とを含む。表示装置は、例えば液晶ディスプレイやELディスプレイ等のディスプレイである。操作装置は、例えば、ボタン、キーボード又はマウス等の入力装置である。表示装置と操作装置とを兼ねたユーザインターフェース(例えばタッチパネル等)が、UI部14cとして用いられてもよい。また、UI部14cは、マイクやスピーカ等を含んでもよい。
制御部14dは、端末装置14の各部の動作を制御するように構成されている。制御部14dの機能は、例えば、プロセッサによって実現される。その機能を実現するためにメモリが用いられてもよい。
なお、端末装置14に処理部16R5が設けられて、端末装置14によって、処理部16R5による処理が実行されてもよい。
以下、図26から図28を参照して、ヒアラブルデバイスである生体情報測定装置12が人の耳に装着されたときの生体情報測定装置12と耳との接触の状態について詳しく説明する。図26及び図28は、人の右耳の外観を模式的に示す図である。図27は、人の右耳の外観及び内部を模式的に示す図である。
図26に示すように、耳60は、外耳道88に繋がる外耳孔62、外耳孔62の周囲の部位である耳甲介腔64、耳輪66、耳甲介艇68、三角窩70、舟状窩72、対輪脚74、対輪76、耳輪脚78、耳珠80、対珠82、珠間切痕84及び耳垂86を含む。
図27には、人の右の耳60に装着された右側イヤフォン16Rが示されている。図28には、電極部材28Rが右の耳60に接触する部分(符号90が指し示す部分)が示されている。
右側耳掛け26Rが耳輪66に掛けられ、その状態で、右側イヤーピース22Rが外耳道88に挿入される。このとき、右側イヤーピース22Rの外表面が外耳道88の表面(すなわち皮膚)に接触する。右側イヤーピース22Rは弾性部材によって構成されているため、外耳道88の形状に従って右側イヤーピース22Rの形状が変形し、これにより、右側イヤーピース22Rの外表面が外耳道88の表面に密着する。これにより、右側イヤーピース22Rの外表面に設けられている電極が、外耳道88の表面に密着する。
また、電極部材28Rが、耳甲介腔64に接触する。電極部材28Rは弾性部材によって構成されているため、耳甲介腔64の形状に沿って電極部材28Rの形状が変形し、これにより、電極部材28Rが耳甲介腔64に密着する。これにより、電極部材28Rの外表面に設けられている電極が、耳甲介腔64に密着する。例えば、電極部材28Rは、耳甲介腔の縁に接する。
上記の構成を有する右側イヤフォン16Rによれば、耳60に装着された右側イヤフォン16Rの移動が規制される。以下、この点について詳しく説明する。
右側耳掛け26Rの下部と電極部材28Rの上部との間に耳60が配置され、これにより、右側耳掛け26Rと電極部材28Rとによって耳60が上下方向から挟み込まれる。これにより、右側イヤフォン16Rの上下方向の移動が規制される。
また、右側耳掛け26Rの右側部分が、右耳の耳輪に接触し、また、右側イヤーピース22Rの外表面と外耳道88との間に摩擦力が発生することで、右側イヤフォン16Rの左右方向の移動が規制される。
また、右側耳掛け26Rにおいて耳60の裏側に接触する部分と電極部材28Rの後方の部分とによって、耳60が前後後方から挟み込まれる。これにより、右側イヤフォン16Rの前後方向の移動が規制される。
上記のように、右側イヤフォン16Rの移動が規制されるので、右側イヤフォン16Rに設けられている電極と皮膚との間の接触が維持され、その接触が不安定になることを抑制又は防止することができる。その結果、その接触の不安定に起因して生体電位に混入するノイズの発生を抑制又は防止することができ、生体情報の測定精度を向上させることができる。例えば、人が移動した場合であっても、右側イヤフォン16Rの移動が規制されるので、ノイズの発生を抑制又は防止することができる。
なお、人の耳や頭部の形状によっては、右側耳掛け26Rの下部と右側イヤーピース22Rの上部とによって耳60(例えば、耳の付け根)が挟み込まれ、これによって、右側イヤフォン16Rの上下方向の移動が規制される場合がある。また、右側耳掛け26Rにおいて耳60の裏側に接触する部分と右側イヤーピース22Rの後方の部分とによって、耳60(例えば、耳の付け根)が挟み込まれ、これによって、右側イヤフォン16Rの前後方向の移動が規制される場合がある。
上記のように、右側イヤーピース22R、電極部材28R及び右側耳掛け26Rは、右側イヤフォン16Rの位置決め、つまり、皮膚に接触する電極の位置決めを行うための補助部や規制部として機能する。
左側イヤフォン16Lについても同様である。なお、左側イヤフォン16Lにおいては、左側イヤーピース22Lが左耳の外耳道に挿入され、左側イヤーピース22Lに設けられた電極が、外耳道の表面に接触する。
また、人に応じて耳の形状が異なる場合があるが、右側イヤーピース22R、電極部材28R、左側イヤーピース22L、及び、電極部材28Lのそれぞれを、大きさや形状の異なる部材に交換することができるので、人の個体差に対応することができる。
右側イヤーピース22Rは、導電管部材30Rによって支持されている部分を軸として可動してもよい。この点について図29から図31を参照して説明する。図29から図31には、右側イヤーピース22Rと導電管部材30Rとが模式的に示されている。
図29に示すように、右側イヤーピース22Rは、導電管部材30Rの先端に設けられており、矢印X1が指し示す方向に対して揺動可能に、その先端に支持されている。例えば、導電性ゴムからなる右側イヤーピース22Rの剛性を利用することで、右側イヤーピース22Rを揺動させる。別の例として、バネ部材をコイル状に配置したり、バネ部材を導電管部材30Rに沿って配置したりすることで、右側イヤーピース22Rを可動させてもよい。左側イヤーピース22Lも右側イヤーピース22Rと同様に、左側の導電管部材によって支持されている部分を軸として可動してもよい。
別の例として、図30に示すように、導電管部材30R自体が、導電管部材30Rが支持されている部分(例えば、右側筐体20R)を軸として、矢印X1が指し示す方向に対して揺動可能であってもよい。導電管部材30R自体を揺動させることで、右側イヤーピース22Rを傾けることができる。例えば、導電管部材30R自体をゴム等の樹脂によって構成したり、バネ部材をコイル状に配置したり、バネ部材を導電管部材30Rに沿って配置したりすることで、導電管部材30Rを可動させてもよい。左側イヤフォン16Lに設けられている導電管部材も、導電管部材30Rと同様に可動してもよい。
右側イヤーピース22Rを傾けることで、右側イヤーピース22Rの外耳道に接触する面の角度を変更することができる。こうすることで、右側イヤーピース22Rを外耳道に密着させることができ、右側イヤーピース22Rに設けられている電極の検出感度を高めることができる。人によって耳の形状が異なるが、右側イヤーピース22Rを右耳に挿入したときに、右側イヤーピース22Rが傾くため、右側イヤーピース22Rの電極が外耳道に接触し易くなる。つまり、耳の形状に個人差がある場合であっても、右側イヤーピース22Rの電極を外耳道に密着させることができる。左側イヤーピース22Lについても同様である。
更に別の例として、耳甲介腔に接触する部材が可動してもよい。例えば図31に示されている矢印X2が指し示すように、耳甲介腔に接触する電極部材28Rが、人の耳の外側へ向けて離れる方向(例えば、外耳道から耳の外側へ向けて離れる方向)、及び、人の耳の内側に向かう方向(例えば、外耳道に向かう方向)に可動してもよい。より詳しく説明すると、電極部材28Rを支持する右側支持体24Rが、矢印X2が指し示す方向に可動してもよい。また、右側支持体24Rが、右側筐体20Rによって支持されている部分を軸として、矢印X3が指し示す方向に揺動してもよい。左側支持体24Lも、右側支持体24Rと同様に、矢印X2が指し示す方向に可動してもよいし、矢印X3が指し示す方向に揺動してもよい。電極部材28Rを可動させることで、電極部材28Rを耳甲介腔に密着させて検出感度を高めることができる。電極部材28Lについても同様である。
以下、図32を参照して、イヤフォンの別の例について説明する。図32は、右側イヤフォン16Rの別の例である右側イヤフォン16RAを示す断面図である。
右側イヤフォン16RAは、右側イヤフォン16Rと同様に、右側筐体20R、右側イヤーピース22R、及び、右側支持体24Rを含む。右側イヤフォン16RAには、右側耳掛け26Rが設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。
右側支持体24Rの外側の表面(つまり、人の耳に対向する面)には、導電性の膜である電極膜92が形成されている。電極膜92は、例えば、導電ペーストを右側支持体24Rの外側の表面に塗布することで形成される。別の例として、右側支持体24Rは、導電性ゴムによって構成されてもよい。
右側イヤーピース22Rは、右側イヤフォン16Rと同様に、導電性のゴムによって構成されている。別の例として、右側イヤーピース22Rの表面に、導電性の膜が形成されてもよい。
右側支持体24Rは、内部に空間を有する中空の部材であり、右側筐体20R上に設けられている。右側支持体24R内(つまり、右側支持体24Rの内部の空間)には、スピーカ94が設置されている。スピーカ94は、右側筐体20R上に固定されている。
右側イヤーピース22Rの電極には、電線96の一端が接続されており、その電線96の他端は、右側筐体20R内に設置されている基板に接続されている。電線96は、右側支持体24R内に配線されている。右側イヤーピース22R自体が導電性ゴムによって構成されている場合、電線96の一端は右側イヤーピース22Rの一部に接続される。右側イヤーピース22Rに、導電性の膜等の電極が形成されている場合、電線96の一端は、その電極に接続される。
左側イヤフォンも、右側イヤフォン16RAと同様の構成を有する。
例えば、右側イヤーピース22Rの電極が、センサ電極又はレファレンス電極として用いられ、電極膜92が、グランド電極として用いられる。右側イヤーピース22Rの電極がセンサ電極として用いられる場合、左側イヤーピース22Lの電極はレファレンス電極として用いられる。右側イヤーピース22Rの電極がレファレンス電極として用いられる場合、左側イヤーピース22Lの電極はセンサ電極として用いられる。
スピーカ94と各電極(つまり、右側イヤーピース22Rの電極と電極膜92)とが、互いに離れて独立して設けられているため、電極によって検出された電位を示す電位信号に、スピーカ94に起因するノイズが発生し難い。また、用いられる電線の数が少ないため、その点でも、信頼性が高い。
右側イヤフォン及び左側イヤフォンは、フレキシブルな構造を有してもよい。フレキシブルな構造とは、例えば、耳の形状等に合わせて変形することが可能な構造である。この点について、図33を参照して詳しく説明する。
図33には、フレキシブルな構造を有する右側イヤフォン16RBの一例が示されている。図33は、右側イヤフォン16RBの外観を示す図である。
右側イヤフォン16RBは、右側イヤーピース22RB、上層部材24RB1、及び、下層部材24RB2を含む。下層部材24RB2に上層部材24RB1が接続され、上層部材24RB1に右側イヤーピース22RBが接続されている。つまり、下層部材24RB2と右側イヤーピース22RBとの間に、上層部材24RB1が配置されている。
上層部材24RB1は、中空の部材であり、これらの内部に、音を伝達する導電管部材や電線等が配置されている。
例えば、右側イヤーピース22RBと上層部材24RB1のそれぞれの幅は、下層部材24RB2の幅よりも狭い。右側イヤーピース22RBは、耳の外耳道に挿入されて、外耳道の表面(つまり皮膚)に接触する部材である。上層部材24RB1は、耳甲介腔に接触する部材である。
右側イヤーピース22RB及び上層部材24RB1は、ゴムやスポンジ等の弾性部材によって構成されている。右側イヤーピース22RBは、外耳道に挿入されたときに、外耳道の形状に沿って変形可能な程度の硬度を有する。上層部材24RB1は、耳甲介腔に接触したときに変更可能な程度の硬度を有する。
右側イヤーピース22RB及び上層部材24RB1は、それぞれ導電性ゴムによって構成されてもよい。別の例として、右側イヤーピース22RB及び上層部材24RB1のそれぞれの表面に、導電性の膜からなる電極が形成されてもよい。各電極に接続される電線は、上層部材24RB1内に配置される。
下層部材24RB2は、右側筐体20RBに固定されてもよい。右側筐体20RB内には、基板等が収容される。
右側イヤーピース22RBが、外耳道の形状に沿って変形可能なフレキシブルな構造を有しているため、右側イヤーピース22RBの電極が外耳道の表面に接触し易くなり、その電極を外耳道の表面に密着させることができる。また、上層部材24RB1が、耳甲介腔の形状に沿って変形可能なフレキシブルな構造を有しているため、上層部材24RB1の電極が耳甲介腔の表面に接触し易くなり、その電極を耳甲介腔の表面に密着させることができる。
以下、イヤフォンの変形例について説明する。
(イヤフォンの変形例1)
図34及び図35を参照して、イヤフォンの変形例1について説明する。図34には、変形例1に係る左側イヤフォン100Lが示されている。図34は、左側イヤフォン100Lの外観を示す図である。図35は、左の耳の外観を示す図である。
図34に示すように、左側イヤフォン100Lは、左側耳掛け102Lと左側挿入部材104Lとを含む。
左側耳掛け102Lは、耳110の耳輪112を挟み込むように、湾曲した形状を有する。その湾曲した部分の内側には、電極106Lが設けられている。例えば、左側耳掛け102Lは、耳輪112において人の頭の後方を向く部分に取り付けられて、その部分を挟み込む。湾曲した部分が耳輪112に接触することで、電極106Lが耳輪112の表面(つまり皮膚)に接触する。なお、左側耳掛け102L自体が、導電性ゴムによって構成されてもよい。
左側耳掛け102Lの一方端102L1の一部には、円筒形又は半円筒形の形状を有する左側挿入部材104Lが設けられている。左側挿入部材104Lは、左側イヤフォン100Lが耳110に装着されたときに(つまり、左側耳掛け102Lが耳輪112に取り付けられたときに)、耳110に向かうように、左側耳掛け102Lの一方端102L1から突出して設けられている。
左側挿入部材104Lの側面には、電極108Lが設けられている。左側挿入部材104Lは、図35に示すように、外耳道114に挿入される。左側挿入部材104Lが外耳道114に挿入されると、電極108Lは、外耳道114の表面に接触する。図34に示す例では、電極108Lは、左側挿入部材104Lの側面であって、左側耳掛け102Lに対向する面とは反対側の面に設けられている。こうすることで、左側イヤフォン100Lが耳110に装着されると、電極108Lは、外耳道114において前方の部分に接触する。もちろん、電極108Lは、左側挿入部材104Lの側面の別の部分に設けられてもよいし、その側面の全部に設けられてもよい。また、左側挿入部材104L自体が、導電性ゴムによって構成されてもよい。
また、図34中の矢印X4が指し示すように、左側イヤフォン100L内に設けられたスピーカから発せられた音が、一方端102L1において左側挿入部材104Lが設けられていない部分から発せられる
左側耳掛け102Lの他方端102L2は、左側耳掛け102Lが耳輪112に取り付けられたときに、耳110と人の頭の側面との間(つまり耳110の付け根)に配置される。
なお、左側耳掛け102L及び左側挿入部材104Lは、フレキシブルな構造を有してもよい。例えば、左側耳掛け102Lは、耳輪112の形状に沿って変形可能な程度の硬度を有し、左側挿入部材104Lは、外耳道114の形状に沿って変形可能な程度の硬度を有してもよい。
右側イヤフォンも、左側イヤフォン100Lと同様の構成を有する。つまり、右側イヤフォンは、電極が設けられている右側耳掛けと、電極が設けられている右側挿入部材とを有する。
例えば、左側耳掛け102Lに設けられている電極106Lが、グランド電極として用いられ、左側挿入部材104Lに設けられている電極108Lが、センサ電極又はレファレンス電極として用いられる。同様に、右側耳掛けに設けられている電極が、グランド電極として用いられ、右側挿入部材に設けられている電極が、センサ電極又はレファレンス電極として用いられる。例えば、電極108Lがセンサ電極として用いられ、右側挿入部材に設けられている電極が、レファレンス電極として用いられる。その逆であってもよい。
図36及び図37には、左側イヤフォン100Lの別の例が示されている。図36は、左側イヤフォン100Lの外観を示す図である。図37は、左の耳の外観を示す図である。
図36及び図37に示す例では、電極108Lは、左側挿入部材104Lの側面であって、左側耳掛け102Lに対向する面に形成されている。こうすることで、図37に示すように、左側イヤフォン100Lが耳110に装着されると、電極108Lは、外耳道114において後方の部分に接触する。右側イヤフォンも、図36に示されている左側イヤフォン100Lと同様の構成を有する。
なお、図36には、ケーブル116が示されている。ケーブル116は、左側イヤフォン100Lと右側イヤフォンとを接続するケーブルである。もちろん、ケーブル116が用いられずに、左側イヤフォン100Lと右側イヤフォンとが互いに無線で通信してもよい。また、ケーブル116には、ホルダ118が設けられてもよい。ホルダ118には、例えば、上述した右側筐体20Rに収容されている各種の基板や、左側筐体20Lに収容されているバッテリ等が収容されてもよい。もちろん、各種の基板やバッテリは、左側イヤフォン100L又は右側イヤフォンに収容されてもよい。また、ホルダ118には、各種のスイッチやボタンが設けられてもよい。
(イヤフォンの変形例2)
図38から図40を参照して、イヤフォンの変形例2について説明する。図38には、変形例2に係る左側イヤフォン120Lが示されている。図38は、左側イヤフォン120Lを左方向から見たときの図である。図39は、左側イヤフォン120Lを上方向から見たときの図である。図40は、左の耳の外観を示す図である。変形例2に係る左側イヤフォン120Lは、骨伝導によって音を伝えるイヤフォンである。
左側イヤフォン120Lは、左側耳掛け122Lと、左側支持体124Lと、左側骨伝導部126Lと、左側挿入部材128Lとを含む。なお、図39には、説明の便宜上、左側耳掛け122Lは示されていない。
左側耳掛け122Lは、耳110に引っ掛けられるように、湾曲した形状を有する。具体的には、左側耳掛け122Lは、耳110の耳輪と人の頭の側面との間(つまり、耳110の付け根)に配置され、耳輪と頭の側面とによって挟まれる。その湾曲した部分の内側には、電極130Lが設けられている。その湾曲した部分が耳輪と頭の側面との間に配置されると、電極130Lが耳110の付け根に接触する。なお、左側耳掛け122L自体が、導電性ゴムによって構成されてもよい。
左側耳掛け122Lの一方端は、左側支持体124Lに固定されている。左側耳掛け122Lは、左側支持体124Lにて固定されている位置から、後方に向けて湾曲しながら延在している。例えば、左側耳掛け122Lは、耳110の付け根の形状に沿うように湾曲している。
左側支持体124Lの表面の一部であって、左側イヤフォン120Lが耳110に装着されたときに耳110に対向する表面の一部には、左側骨伝導部126Lが設けられており、また、その表面から耳110に向けて左側挿入部材128Lが突出して設けられている。左側骨伝導部126Lが振動することで、音が骨(例えば頭蓋骨)を介して内耳に伝えられる。左側挿入部材128Lの側面には、電極132Lが設けられている。左側イヤフォン120が耳110に装着されると、左側骨伝導部126Lは、耳110の一部に接触する。また、左側挿入部材128Lは、図40に示すように、外耳道114に挿入される。左側挿入部材128Lが外耳道114に挿入されると、電極132Lは、外耳道114の表面に接触する。図39及び図40に示す例では、電極132Lは、左側挿入部材128Lの側面であって、人の後方を向く面に設けられている。こうすることで、左側イヤフォン120Lが耳110に装着されると、電極132Lは、外耳道114において後方の部分に接触する。もちろん、電極132Lは、左側挿入部材128Lの側面の別の部分に設けられてもよいし、その側面の全部に設けられてもよい。また、左側挿入部材128L自体が、導電性ゴムによって構成されてもよい。
左側耳掛け122Lが耳110の付け根に装着され、左側挿入部材128Lが外耳道114に挿入されると、左側挿入部材128Lと左側耳掛け122Lとによって耳110の付け根を挟み込む。こうすることで、左側イヤフォン120Lの位置ずれを抑制することができる。
右側イヤフォンも、左側イヤフォン120Lと同様の構成を有する。つまり、右側イヤフォンは、電極が設けられている右側耳掛けと、電極が設けられている右側挿入部材とを有する。
例えば、左側耳掛け122Lに設けられている電極130Lが、グランド電極として用いられ、左側挿入部材104Lに設けられている電極132Lが、センサ電極又はレファレンス電極として用いられる。同様に、右側耳掛けに設けられている電極が、グランド電極として用いられ、右側挿入部材に設けられている電極が、センサ電極又はレファレンス電極として用いられる。例えば、電極132Lがセンサ電極として用いられ、右側挿入部材に設けられている電極が、レファレンス電極として用いられる。その逆であってもよい。
なお、図38には、ケーブル134が示されている。ケーブル134は、左側イヤフォン120Lと右側イヤフォンとを接続するケーブルである。もちろん、ケーブル134が用いられずに、左側イヤフォン120Lと右側イヤフォンとが互いに無線で通信してもよい。また、ケーブル134には、ホルダ136が設けられてもよい。ホルダ136には、例えば、上述した右側筐体20Rに収容されている各種の基板や、左側筐体20Lに収容されているバッテリ等が収容されてもよい。もちろん、各種の基板やバッテリは、左側イヤフォン120L又は右側イヤフォンに収容されてもよい。また、ホルダ136には、各種のスイッチやボタンが設けられてもよい。
(イヤフォンの変形例3)
図41を参照して、イヤフォンの変形例3について説明する。図41には、変形例3に係る右側イヤフォン140Rが示されている。図41は、右側イヤフォン140Rを右方向から見たときの図である。変形例3に係る右側イヤフォン140Rは、軟骨伝導によって音を伝えるイヤフォンである。
右側イヤフォン140Rは、右側耳掛け142Rと、右側支持体144Rと、軟骨伝導部146Rとを含む。
右側耳掛け142Rは、右の耳148に引っ掛けられるように、湾曲した形状を有する。具体的には、右側耳掛け142Rは、耳148の耳輪150の上方の部分に引っ掛けられる。その湾曲した部分の内側には、電極が設けられている。その湾曲した部分が耳輪150に引っ掛けられると、その部分に設けられている電極が、耳輪150に接触する。なお、右側耳掛け142R自体が、導電性ゴムによって構成されてもよい。
右側耳掛け142Rの一方端は、右側支持体144Rに固定されている。右側支持体144Rは、右側イヤフォン140Rが耳148に装着されたときに、耳148の耳甲介腔に接触するように配置されている。右側支持体148Rの耳甲介腔に接触する部分には、軟骨伝導部146Rが設けられている。軟骨伝導部146Rが振動することで、外耳道の内部の軟骨を振動させて、音が内耳に伝えられる。
例えば、右側支持体144Rの表面であって、耳148の耳甲介腔に接触する表面に、電極が設けられてもよい。右側イヤフォン140Rが耳148に装着されて、右側支持体144Rが耳甲介腔に接触すると、その電極が耳甲介腔に接触する。
別の例として、右側支持体144Rの表面であって、耳148の外耳道に対応する表面の位置に、外耳道に挿入される右側挿入部材が設けられ、その右側挿入部材の表面に電極が設けられてもよい。右側イヤフォン140Rが耳148に装着されて、右側挿入部材が外耳道に挿入されると、右側挿入部材の表面に設けられている電極が、外耳道に接触する。右側挿入部材は、イヤーピースであってもよいし、半円筒状の形状を有する構造体であってもよい。
左側イヤフォンも、右側イヤフォン140Rと同様の構成を有する。つまり、左側イヤフォンは、電極が設けられている左側耳掛けと、電極が設けられている左側支持体とを有する。また、電極が設けられている左側挿入部材が、左側支持体に設けられてもよい。この場合、左側支持体に電極は設けられなくてもよい。
例えば、右側耳掛け142Rに設けられている電極が、グランド電極として用いられ、右側支持体144R又は右側挿入部材に設けられている電極が、センサ電極又はレファレンス電極として用いられる。同様に、左側耳掛けに設けられている電極が、グランド電極として用いられ、左側支持体又は左側挿入部材に設けられている電極が、センサ電極又はレファレンス電極として用いられる。例えば、右側支持体144R又は右側挿入部材に設けられている電極が、センサ電極として用いられ、左側支持体又は左側挿入部材に設けられている電極が、レファレンス電極として用いられる。その逆であってもよい。
なお、図41には、ケーブル154が示されている。ケーブル154は、右側イヤフォン140Rと左側イヤフォンとを接続するケーブルである。もちろん、ケーブル154が用いられずに、右側イヤフォン140Rと左側イヤフォンとが互いに無線で通信してもよい。また、ケーブル154には、ホルダが設けられてもよい。ホルダには、例えば、上述した右側筐体20Rに収容されている各種の基板や、左側筐体20Lに収容されているバッテリ等が収容されてもよい。もちろん、各種の基板やバッテリは、右側イヤフォン140R又は左側イヤフォンに収容されてもよい。また、ホルダには、各種のスイッチやボタンが設けられてもよい。
(イヤフォンの変形例4)
以下、図76~図80を参照してイヤフォンの変形例4について説明する。図76は、イヤーピース軸520A上に配置された、2つの独立したきのこ形電極(第1電極521及び第2電極522)を有するイヤーピース540を示す。
イヤーピース540は、図77に示されるような2つのフランジ、又は3つのフランジを有するイヤーピースとし、異なるフランジで電極の導電部位をずらして複数の電位を別々に得るようにしたものや、単一のフランジで360度の周囲を部分的に導電領域と絶縁領域に分け、導電領域のそれぞれから電位を得るような構成としてもよい。また、スイッチング機構を設け、電位取得対象を異なる電極間で切り替えてもよい。
図78は、第1電極521及び第2電極522のイヤーピース軸520A上の配置の一例を示している。図78の左図はイヤーピース軸520Aの上側から見た図を示し、右図はイヤーピース520Aの下側から見た図(或いは、イヤーピース軸520A周りで180度回転された後の図)を示す。
同様に、図79(1)は、イヤーピースを軸に沿って見た図を示している。第1電極521は、イヤーピース軸520Aの上方180度の範囲内に配置され、脳波を得るためのものである。第2電極522は、イヤーピース軸520Aの下方180度の範囲内に配置され、筋電位を得るためのものである。
電位の検出については、脳と顎に関する耳の解剖学的構造を示す図80を参照して説明する。なお、骨構造上、外耳道部は側頭骨にある外耳孔(トンネル状の孔)と皮膚から構成されている。このように、イヤーピース520によって電極を外耳道に配置することで、上電極(第1電極521)が頭蓋骨側方(600A)に近接して配置されて頭蓋骨内の側頭葉のニューロンの発火を検出し、下電極(第2電極522)が顎(600B)に近接して配置されて顎筋などの筋電位を検出する。
このように、2つの独立した電極521、522を外耳道に配置することで、アーチファクトの影響が少ない脳波及び筋電位を得ることができる。
なお、電極の数は2つに限定されない。図79(2)に示されるように、3つ以上の電極をイヤーピースに配置してもよい。
なお、ユーザがイヤーピースを装着する状態によっては、電極を目的の位置に配置できない場合がある。この場合、電極の目標位置での位置決めを誘導するように構成されたイヤーハンガーを設けてもよい。例えば、イヤーハンガー又はイヤーピースは、ギア、ラッチ、ラチェットなどの調整可能な構造を含むことができ、これにより、ユーザは、電極が配置される目標位置を選択し、調整することができる。このようにすることで、より精度良く、柔軟な形で脳波及び筋電位を得ることができる。
また、複数の電極の生体電位を同時に測定する場合は、各電極のデータを別々に記録してもよい。例えば、第1電極521からの測定値が第1電極データとして記録され、第2電極522からの測定値が第2電極データとして記録される。
上記実施例では、外耳道を覆うイヤフォン型の装置を用いた。以下においては、他の例を示す。図72は、ワイヤレスイヤーアクセサリー400R(400L)の形態の生体情報測定装置12(右生体情報測定装置12R及び左生体情報測定装置12L)を示している。
ワイヤレスイヤーアクセサリー400R、400Lは、それぞれが図71に示される構成を有する。なお、図71において、図24と同一または対応する構成要素には同一の符号を付している。ワイヤレスイヤーアクセサリー400R(400L)は、いずれかを片方の耳だけに装着することも、両耳に独立して装着される一対のワイヤレスイヤーアクセサリー400R、400Lとして装着することもできる。また、左右のそれぞれのハウジングが、図15に示される基板34、36、又は図10に示されるバッテリ38を有している。
また、電極の構成としては、少なくとも、センサ電極と、レファレンス電極及グランド電極の機能を兼ね備えた共通電極を有する形態、又は、好ましくは、センサ電極とレファレンス電極とグランド電極の3つの独立した電極を有する形態としてもよい。
また、左右の生体情報測定装置12は、左右の生体情報測定装置12の少なくとも一方のレファレンス電極又はグランド電極の機能を共用するものとしてもよい。
また、レファレンス電極及びグランド電極として共通電極を用いる形態は、例えば、スイッチ回路を介して抵抗を共通電極に接続することで実現することができる。このように、スイッチ回路を介して抵抗を共通電極に接続してグランド電極を実現し、抵抗を切り離すことでレファレンス電極を実現することができる。言い換えると、測定時の電位差を、スイッチング回路を用いて実現することで、共通電極が差動増幅器として動作するようにしてもよい。
例えば、これら3つの電極を1つのセットとして、当該セットに対して複数のチャネルを設け、生体情報の計測の質を向上させることができる。このように、生体情報測定装置12は、左右の生体情報測定装置(12R、12L)を用いて左右の耳の両方で使用できるようにしてもよいし、左右の生体情報測定装置(12R、12L)の一方を用いて片耳で使用できるようにしてもよい。左右の耳の両方で使用する場合は、左右の耳から複数の(少なくとも2つの)独立したチャネルを通じて情報を取得し、片耳で使用する場合は、少なくとも1つのチャネルを通じて情報を取得するようにしてもよい。
また、左右の耳から得られる情報を、対応する左右の生体情報測定装置(12R、12L)の時間信号と比較し、時間的に整列させてもよい。
また、取得した情報を、左右何れか一つの生体情報測定装置(12R、12L)の時間信号に応じて時間的に整列させてもよい。
また、左右の耳から得られる情報を、左右の生体情報測定装置(12R、12L)が接続された共通装置の時間信号と比較してもよい。
また、左右の生体情報測定装置(12R、12L)の何れか一方又は両方が外部装置に接続されている場合は、左右の生体情報測定装置(12R、12L)の両方から情報を測定して1つの情報を出力する場合と、左右の生体情報測定装置(12R、12L)の少なくとも一方から情報を独立的に測定する場合とで、外部装置との接続形態を変更してもよい。
後者の場合の一例として、Bluetooth(登録商標)を用いた場合を考える。例えば、Bluetoothを介して接続する際に、左右の生体情報測定装置(12R、12L)をそれぞれ独立した装置として認識させるようにすることができる。
図75は、3つの電極441、442、443を設けた場合の位置決め取り付け方法の一例を示している。図75の例では、全ての電極が耳の外側(又は耳の耳介の外側)に位置している。イヤーハンガー420R(420L)は、図74に示されるように、イヤーハンガー420R(420L)のU字構造体の内部にバネ構造460が配設されている。グランド電極は第1電極441の位置に、レファレンス電極は第2電極442の位置に、センサ電極は第3電極443の位置に配置されている。センサ電極(第3電極443)は、図73(1)に示すように、また、図76~図80に関してイヤフォンの変形例4で述べたように、外耳道に配置可能な形態であってもよい。3つの電極441、442、443は、それぞれ、マイクロニードルシート又は多能性幹細胞(iPS:pluripotent stem)シートの形態で実施することができる。
また、イヤーハンガー420R(420L)のU字構造体を形状記憶合金(例えば、チタンニッケル合金、鉄マグネシウム合金、樹脂、ポリマーテキスタイル等の形状記憶特性を有するもの)で形成し、第1電極441と第2電極442の配置及び接点を確保するためのバネ構造460を必要としないようにしてもよい。この場合、第1電極441と第2電極442が電気的に接続されないように、U字構造体を絶縁体で構成してもよい。また、体温周辺でU字構造体が矢印の方向に変形又は開放することで、第1電極441及び第2電極442が皮膚と密着し、各電極の接触点が確保されてもよい。また、変形の程度としては、限定されないが、歪みが0.5~7.0%となる材料、より好ましくは、耐久性及び取り付け安定性の観点から、歪みが1.5~5%となる材料を用いてもよい(歪みについてはhttps://www.yoshimi-inc.co.jp/development.phpを参照)。これにより、装置の装着者が動いている場合でも電極を安定して取り付けることができるため、浮遊電極による測定品質の低下を防止することができる。
また、イヤーハンガー420R(420L)そのものを形状記憶合金で形成することにより、第3電極443を皮膚に密着させて固定してもよい。すなわち、U字構造体と同様に、イヤーハンガー420R(420L)の温度が体温に達すると、第3電極443が皮膚に向かって矢印の方向に変形し、皮膚と密着することで、第3電極443が安定して取り付けられるようにしてもよい。また、形状記憶合金は、ユーザの皮膚と接触する外面に用いてもよいし、イヤーハンガーの内部構成に用いてもよい。いずれの場合も、電極と皮膚との接触点における接触性が向上する。
以上のような構成及び材料を用いることにより、3つの電極441、442、443を同時に取り付けて計測対象と密着させることができ、安定した生体情報の計測が可能となる。
以下、センサ電極、レファレンス電極又はグランド電極として用いられる電極の変形例について説明する。
(電極の変形例1)
変形例1に係る電極は、導電性のマイクロニードルによって構成される。以下、図42Aから図45を参照して、変形例1に係る電極について詳しく説明する。
図42A及び図43は、マイクロニードルシート160を示す斜視図である。図42Bは、別のシート160Aを横から見たときの模式図である。図42Cは、シート160Aを上から見たときの模式図である。マイクロニードルシート160は、例えば、矩形状の形状を有するシートである。マイクロニードルシート160の一方の表面には、導電性の部材からなる複数のマイクロニードル162が設けられている。マイクロニードルは少なくとも1mm未満の直径や長さの針状物であり、これ以上のサイズである場合は本実施形態では突起状物と呼ぶ。図42B及び図42Cには、その突起状物を有するシート160Aが示されている。突起状物162Bにおいて、突起の先端部は尖っておらず、曲面形状を有する。マイクロニードルの材料は金属でもよいが、針の折れへの安全性配慮やアレルギー反応を考慮すると、導電性を有する生分解性バイオポリマー等、生体との親和性の優れた材料を使用するとよい。突起状物の材料は導電性と弾性を有するものであれば望ましい。
図43に示すように、マイクロニードルシート160は、マイクロニードル162が設けられている表面が外側を向くように、円筒状に丸められる。
図44A及び図45は、外耳道164を模式的に示す断面図である。図44Aに示すように、円筒状に丸められた状態のマイクロニードルシート160は、支持体166の先端に取り付けられて支持体166に固定され、その状態で、外耳道164内に挿入されて外耳道164内に設置される。例えば、外耳道164内に挿入することが可能な程度の大きさに、マイクロニードルシート160は円筒状の形状に丸められる。シートは、伸縮性の優れたフレキシブルな変形に耐えられるとよいが、外耳道の形状に従って変形することで密着性を高めるために、図44Bに示すように、ゴム等からなる弾性体基層160C上にマイクロニードルシート160が接着して設けられてもよい。なお、図44Bは、弾性体基層160Cとマイクロニードルシート160の断面図である。様々な人の外耳道の多様な形状に対して弾性変形してその形状に追従しながら、マイクロニードルシート160がその変形に耐えられる伸縮性を備えることで、密着性を高めながら電極が確実に外耳道の皮膚に接触する機能を実現することができる。これにより「人の動き」や「その動きの中で現れる外耳道の微小な形状変化」に対しても確実に電極が外耳道の皮膚に接触し、安定した電気的接点を実現することができる。マイクロニードルシートは基層と脱着可能にし、消耗品として換装できるようにしておくとコストを低く抑えることができる。物理的もしくは化学的な力又はその両者によって、二つの面の分子同士が引き付け合い結合した接着ではなく、例えばシールや粘着テープの付着又は固着を防止する、又は除去を容易にする非粘着性の作用を利用する等して、非接着性を得られるようにすると換装が容易になる。
マイクロニードルシート160が外耳道164内に設置された後、支持体166からマイクロニードルシート160が切断される等して、支持体166からマイクロニードルシート160が切り離される。こうすることで、マイクロニードルシート160は、外耳道164内にて広がり、外耳道164の表面(つまり皮膚)に接触する。これにより、図45に示すように、マイクロニードルシート160の表面に設けられている複数のマイクロニードル162が、外耳道164の表面に接触し、例えば表皮に刺さる。このようにして、導電性のマイクロニードル162が、外耳道164に接触した状態で設置される。なお、図42B及び図42Cに示されている突起状物162Bは、マイクロニードルのように皮膚に刺さらないが、その突起状物162B自体が変形して皮膚に接触するため、外耳道164に対する突起状物162Bの接触圧力が高まる。
図45に示すように、マイクロニードルシート160の一辺(例えば支持体166に固定されていた部分)には、導電部材からなるコネクタ168が、その一辺から突出して設けられている。マイクロニードルシート160には電線が形成されており、その電線によって各マイクロニードル162が接続されている。また、その電線は、コネクタ168に接続されている。したがって、導電性のマイクロニードル162によって検出された電位を示す電位信号は、その電線及びコネクタ168を介して、マイクロニードルシート160の外部に出力することができる。
例えば、図45に示すように、本体装置170が耳に装着される。本体装置170には、コネクタ168が接続されるコネクタ受け部172が設けられている。本体装置170が耳に装着されると、コネクタ168がコネクタ受け部172に接続される。こうすることで、マイクロニードル162によって検出された電位を示す電位信号が、本体装置170に出力される。
マイクロニードル162は、センサ電極、レファレンス電極又はグランド電極として用いられる。
(電極の変形例2)
図46を参照して、電極の変形例2について説明する。変形例2では、マイクロニードルシート160の代わりに、iPS細胞シートが用いられる。図46には、iPS細胞シートの一例が示されている。図46は、iPS細胞シートを示す斜視図である。例えば、iPS細胞シート174は、矩形状の形状を有するシートであり、その表面に電極176が設けられている。iPS細胞シート174には、電極176に接続されたコネクタ178が設けられている。マイクロニードルシート160と同様に、iPS細胞シート174が円筒状に丸められて外耳道164内に挿入されて外耳道164内に設置される。こうすることで、電極176が外耳道164の表面(つまり皮膚)に接触する。電極176によって検出された電位を示す電位信号は、コネクタ178を介して本体装置170に出力される。また、iPS細胞シート以外にも、電子皮膚(electronic skin ; e-skin ; bionic skin)のシートを採用してもよい。ゴム等の弾性体基層上に電子皮膚シートが接着され、電子皮膚は、フレキシブルな変形にも耐えられる電極として外耳道の皮膚に確実に接触し、安定した電気的接点を実現できる。電子皮膚は、細胞と同等な柔らかさや伸縮性を有する高分子材料が好ましく、例えばポリエステルやポリエチレンテレフタレート等の高分子フィルム基板上に電子回路を構築、もしくはプリントすることで構成できる。
<電極の材料、種類>
生体情報を測定するための電極(例えば、センサ電極、レファレンス電極及びグランド電極)の材料及び種類について説明する。
電極の材料は、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、ステンレス(SUS304)、はんだ、鉄(Fe)、又は、銀-塩化銀(Ag/AgCl)等である。取得される生体情報の種類に応じて、用いられる電極を変えてもよい。
また、電極の種類は、導電性ゲルを用いたディスポーザブル表面電極、ドライ電極である銀-塩化銀電極(Ag/AgCl電極)、銀皿電極、ドライ電極であるステンレス電極、ドライ電極である導電性ゴム、ドライ電極である導電性高分子材料、非接触電極、吸盤電極、又は、クリップ電極等である。もちろん、これら以外の種類の電極が用いられてもよい。
ディスポーザブル電極は、ペーストが不要で取り扱いが容易である。また、ディスポーザブル電極は、インピーダンスが低く、オフセット電圧も小さく、測定が安定する。
銀-塩化銀電極は、静止電位及び分極電圧が小さく安定している。インピーダンスは、~数百kΩである。
ステンレス電極は、銀-塩化銀電極と比べて、オフセット電圧が高い。
導電性ゴム材料及び導電性高分子材料のインピーダンスは、数百kΩ~数MΩである。非接触電極は、例えば、心電信号や筋電信号の測定に用いられる。
<生体情報測定装置12の充電方法>
以下、生体情報測定装置12に設けられているバッテリの充電方法について説明する。
図47には、充電方法の一例が示されている。図47は、人の頭180と枕182とを頭の上方向から見たときの図である。枕182内には、充電装置184,186が設けられている。充電装置184,186は、送電用コイル等を含み、非接触でバッテリを充電するワイヤレス充電装置である。つまり、充電装置184,186は、非接触電力伝送を利用してバッテリを充電する装置である。充電装置184,186は、枕182内にて離れて配置されている。例えば、充電装置184は、枕182の中央の位置よりも枕182の一方端側に配置されており、充電装置186は、枕182の中央の位置よりも枕182の他方端側に配置されている。充電装置184は、当該充電装置184がワイヤレス充電することが可能な範囲内に設けられたバッテリを充電する。充電装置186は、当該充電装置186がワイヤレス充電することが可能な範囲内に設けられたバッテリを充電する。
例えば、人の右耳に右側イヤフォン16Rが装着され、左耳に左側イヤフォン16Lが装着された状態で、頭180が枕182上に配置される。充電装置184は、頭180が枕182上に配置されたときに、右側イヤフォン16R又は左側イヤフォン16Lのいずれか一方に設けられているバッテリを無線で充電することが可能な位置に配置される。つまり、充電装置184は、右側イヤフォン16R又は左側イヤフォン16Lのいずれか一方に設けられているバッテリをワイヤレス充電することが可能な位置に配置される。同様に、充電装置186は、頭180が枕182上に配置されたときに、右側イヤフォン16R又は左側イヤフォン16Lのいずれか一方に設けられているバッテリを無線で充電することが可能な位置に配置される。つまり、充電装置186は、右側イヤフォン16R又は左側イヤフォン16Lのいずれか一方に設けられているバッテリをワイヤレス充電することが可能な位置に配置される。
図47に示す例では、右側イヤフォン16Rは、充電装置184がワイヤレス充電することが可能な範囲内に配置されている。右側イヤフォン16R内にバッテリが収容されている場合、充電装置184によって、右側イヤフォン16Rのバッテリをワイヤレス充電することができる。
また、左側イヤフォン16Lは、充電装置186がワイヤレス充電することが可能な範囲内に配置されている。左側イヤフォン16L内にバッテリが収容されている場合、充電装置186によって、左側イヤフォン16Lのバッテリをワイヤレス充電することができる。
右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lに設けられるバッテリは、例えば、受電用コイル等を含み、ワイヤレス充電によって充電されることが可能なバッテリである。
バッテリが、充電装置184がワイヤレス充電することが可能な範囲内に配置されたときに、充電装置184による当該バッテリの充電が開始してもよい。同様に、バッテリが、充電装置186がワイヤレス充電することが可能な範囲内に配置されたときに、充電装置186による当該バッテリの充電が開始してもよい。
また、充電のタイミングや期間が制御されてもよい。例えば、右側イヤフォン16R又は左側イヤフォン16L内に制御装置が設けられ、当該制御装置によって、充電のタイミングや期間が制御されてもよい。当該制御装置は、例えば、メイン基板又はサブ基板上に配置された電子回路等によって実現される。別の例として、枕182内に制御装置が設けられ、当該制御装置によって、充電のタイミングや期間が制御されてもよい。
例えば、制御装置は、人が寝ている期間中にバッテリを充電する。制御装置は、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lによって測定される生体情報(例えば脳波)に基づいて、人が寝ているか否かを判断する。
制御装置は、生体情報の測定中にバッテリを充電してもよい。例えば、生体情報を測定するための測定チップ(例えば脳波センサ等)が、左側イヤフォン16Lに設けられておらず、右側イヤフォン16Rに設けられており、バッテリが、右側イヤフォン16Rに設けられておらず、左側イヤフォン16Lに設けられている。このように、バッテリと測定チップとを別々のイヤフォンに設置してバッテリと測定チップとを離すことで、測定チップは、ワイヤレス充電の影響を受けずに測定することができる。
制御装置は、電位信号や生体情報の送信中にバッテリを充電せずに、電位信号や生体情報を送信していないときにバッテリを充電してもよい。例えば、検出された電位信号や生体情報が、右側イヤフォン16Rから端末装置14に送信される。制御装置は、その送信中にバッテリを充電しない。これにより、ワイヤレス充電の影響を受けずに、電位信号や生体情報を送信することができる。
なお、図47に示す例において、枕182内には、3つ以上の充電装置が設けられてもよい。
図48には、充電方法の別の例が示されている。図48は、人の頭180と枕182とを頭の上方向から見たときの図である。枕182内には、1つの充電装置188が設けられている。充電装置188は、例えば、枕182の中央又は中央付近に配置されている。例えば、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lのそれぞれにバッテリが設けられている場合、充電装置188は、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lのそれぞれに設けられているバッテリを充電する。例えば、充電装置188は、互いに離れている右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lのそれぞれに設けられているバッテリをワイヤレス充電することが可能な程度の大きさを有していてもよいし、それが可能な程度の出力レベルを有する磁場や電場を出力することが可能な機能を有していてもよい。なお、枕182内には、複数の充電装置が設けられてもよい。
図49には、充電方法の更に別の方法が示されている。図49は、人の頭180と枕182とを頭の上方向から見たときの図である。図49に示す例では、ケーブル18の中央又は中央付近に、受電用コイル等を含む受電用装置190が設けられている。また、枕182内には、1つの充電装置192が設けられている。充電装置192は、例えば、枕182の中央又は中央付近に配置されている。受電用装置190は、充電装置192から供給される電力を、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lに設けられているバッテリに供給する。これにより、バッテリが充電される。
図50には、充電方法の更に別の方法が示されている。図50は、人の頭180とディスプレイ194とを頭の上方向から見たときの図である。ディスプレイ194の画面の左右の一方端(例えば右端)に、充電装置196が設けられ、他方端(例えば左端)に、充電装置198が設けられている。
充電装置196は、当該充電装置196がワイヤレス充電することが可能な範囲内に設けられているバッテリを充電する。充電装置198は、当該充電装置198がワイヤレス充電することが可能な範囲内に設けられているバッテリを充電する。
例えば、人がディスプレイ194の画面を見ている状態では、右耳に装着された右側イヤフォン16Rが、充電装置196によってワイヤレス充電することが可能な範囲内に配置され、左耳に装着されている左側イヤフォン16Lが、充電装置198によってワイヤレス充電することが可能な範囲内に配置される。右側イヤフォン16Rにバッテリが設けられている場合、当該バッテリが充電装置196によって充電される。左側イヤフォン16Lにバッテリが設けられている場合、当該バッテリが充電装置198によって充電される。
なお、充電装置196は、ディスプレイ194の上面の一方端(例えば右端)に設けられ、充電装置198は、その上面の他方端(例えば左端)に設けられてもよい。また、3つ以上の充電装置がディスプレイに設けられてもよい。
図50に示す例において、上述した、充電を制御する制御装置が、充電のタイミングを制御してもよい。例えば、制御装置は、人が静止している場合や、人がディスプレイ194の前に座っている場合や、人の動きの量が予め定められた閾値以下である場合に、バッテリを充電し、それ以外の場合は、バッテリを充電しない。換言すると、制御装置は、人が歩行している場合や、人が運動している場合に、バッテリを充電しない。人の動きは、例えば、右側イヤフォン16Rに設けられている6軸センサによって検出されてもよいし、ディスプレイ194に設けられているカメラによって検出されてもよい。制御装置は、6軸センサによって検出された動きを示す信号を6軸センサから受け、又は、カメラによって検出された動きを示す信号をカメラから受信し、人の動きを検出する。
図51には、充電方法の更に別の方法が示されている。図51は、人の頭180とディスプレイ194とを頭の上方向から見たときの図である。図51に示す例では、ディスプレイ194の上面の中央又は中央付近に、1つの充電装置200が設けられている。例えば、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lのそれぞれにバッテリが設けられている場合、充電装置200は、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lのそれぞれに設けられているバッテリを充電する。例えば、充電装置200は、互いに離れている右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lのそれぞれに設けられているバッテリをワイヤレス充電することが可能な程度の大きさを有していてもよいし、それが可能な程度の出力レベルを有する磁場や電場を出力することが可能な機能を有していてもよい。なお、ディスプレイ194、複数の充電装置が設けられてもよい。
更に別の例として、ワイヤレス充電することが可能な充電装置が、椅子に設けられてもよい。例えば、椅子のヘッドレストの中央、又は、左右の両方に、充電装置が設けられてもよいし、背もたれの上部の中央、又は、左右の両方に、充電装置が設けられてもよい。例えば、図47から図49に示されている枕182が、ヘッドレストに置き換えられ、図47から図49を参照して説明した実施例が適用される。
更に別の例として、端末装置14に充電装置が設けられ、端末装置14によってバッテリが充電されてもよい。
<ケーブルの構造>
以下、右側イヤフォン16Rと左側イヤフォン16Lとを接続するケーブルの様々な実施例について説明する。
(ケーブルの実施例1)
図52には、ケーブルの実施例1の構成が示されている。図52は、ケーブルを示す断面図である。ケーブル210内には、センサ電極又はレファレンス電極によって検出された電位を示す電位信号を送受するための電線212(つまり生体電位用の電線)と、グランド電極によって検出された電位を示す電位信号を送受するための電線214と、スピーカから発せられる音を表すオーディオ信号を送受するための電線216,218と、バッテリによって供給される電力を送受するための電線220,222とが、配置されている。ノイズを低減させるために、電線212と電線216,218にはシールド線が用いられている。
ここでは一例として、右側イヤフォン16Rの右側イヤーピース22Rに設けられている電極がセンサ電極として用いられ、左側イヤフォン16Lの左側イヤーピース22Lに設けられている電極がレファレンス電極として用いられ、左側イヤフォン16Lの電極部材28Lがグランド電極として用いられるものとする。右側イヤフォン16Rの電極部材28Rは用いられない。また、右側イヤフォン16Rの右側筐体20R内に、生体情報を測定するための測定チップ(例えば脳波センサ)が設けられているものとする。
この場合、左側イヤフォン16Lに設けられているレファレンス電極によって検出された電位を示す電位信号が、電線212を介して左側イヤフォン16Lから右側イヤフォン16Rに送信され、その電位信号が、脳波センサ等の測定チップに入力される。右側イヤフォン16Rに設けられているセンサ電極によって検出された電位を示す電位信号は、右側イヤフォン16R内にて、センサ電極から測定チップに入力される。
(ケーブルの実施例2)
図53には、ケーブルの実施例2の構成が示されている。図53は、ケーブルを示す断面図である。ケーブル230内には、センサ電極又はレファレンス電極によって検出された電位を示す電位信号を送受するための電線232(つまり生体電位用の電線)と、グランド電極によって検出された電位を示す電位信号を送受するための電線234と、オーディオ信号を送受するための電線236と、バッテリによって供給される電力を送受するための電線238とが、配置されている。
例えば、ケーブル230は円形状又は楕円形状の断面を有し、電線232,234,236,238は、ケーブル230内において周方向に沿って配置されている。例えば、オーディオ信号に起因するノイズの影響を避けるために、生体電位用の電線232は、オーディオ信号用の電線236から最も遠い位置に配置されている。つまり、生体電位用の電線232とオーディオ信号用の電線236との間の距離は、他の電線間の距離よりも長い。
(ケーブルの実施例3)
図54には、ケーブルの実施例3の構成が示されている。図54は、ケーブルを示す断面図である。ケーブル240内には、上述した電線232,234,236,238が配置されている。
例えば、ケーブル240は、ケーブル要素242とケーブル要素244とによって構成されている。ケーブル要素242,244は、例えば、矩形状の断面を有する。
電線236,234,238は、その順番で一列に並んで配置されるケーブル要素242内に配置されている。電線236,234,238が配置されている方向におけるケーブル要素242の長さは、ケーブル要素244の長さよりも長い。ケーブル要素244は、ケーブル要素242から突出して配置されている。ケーブル要素244内には電線232が配置されている。
例えば、ケーブル要素244は、ケーブル要素242においてグランド電極用の電線234が配置されている位置から突出している。こうすることで、オーディオ信号用の電線236がグランド電極用の電線234の配置位置に配置される場合と比べて、生体電位用の電線232とオーディオ信号用の電線236との間の距離が長くなり、オーディオ信号に起因して生体電位に発生し得るノイズの発生を抑制することができる。同様に、バッテリ用の電線238がグランド電極用の電線234の配置位置に配置される場合と比べて、生体電位用の電線232とバッテリ用の電線238との間の距離が長くなり、バッテリからの電力供給に起因して生体電位に発生し得るノイズの発生を抑制することができる。
なお、ケーブル240は、全体として三角形状の断面を有してもよい。その断面内にて、電線232,234,236,238が、図54に示されている配置関係を有して配置されてもよい。
(ケーブルの実施例4)
図55には、ケーブルの実施例4の構成が示されている。図55は、ケーブルを示す断面図である。ケーブル250内には、上述した電線232,234,236,238が配置されている。
電線232,234,236,238は、ケーブル250内にてその順番で一列に並んで配置されている。各電線の配列の順番は特に限定はないが、例えば、生体電位用の電線232を、バッテリ用の電線238から離して配置することで、電極供給に起因して生体電位に発生し得るノイズの発生を抑制することができる。同様に、電線232を、オーディオ用の電線236から離して配置することで、オーディオ信号に起因して生体電位に発生し得るノイズの発生を抑制することができる。
(ケーブルの実施例5)
図56には、ケーブルの実施例5の構成が示されている。図56は、ケーブルを示す断面図である。ケーブル260内には、上述した電線232,234,236,238が配置されている。
例えば、ケーブル260は、ケーブル要素262とケーブル要素264とによって構成されている。ケーブル要素262,264は、例えば、矩形状の断面を有する。
電線232,234,236は、その順番で一列に並んで配置されるケーブル要素262内に配置されている。電線232,234,236が配置されている方向におけるケーブル要素262の長さは、ケーブル要素264の長さよりも長い。ケーブル要素264は、ケーブル要素262から突出して配置されている。ケーブル要素262内には電線238が配置されている。例えば、ケーブル要素264は、ケーブル要素262においてオーディオ信号用の電線236が配置されている位置から突出している。こうすることで、生体電位用の電線232をオーディオ信号用の電線236から離して配置し、オーディオ信号に起因して生体電位に発生し得るノイズの発生を抑制することができる。
(ケーブルの実施例6)
図57には、ケーブルの実施例6の構成が示されている。図57は、ケーブルを示す断面図である。ケーブル270内には、上述した電線232,234,236,238が配置されている。
ケーブル270は同軸ケーブルである。ケーブル270は、円形状、楕円状又は矩形状の断面を有する。例えば、生体電位用の電線232の周囲にグランド用の電線234が配置され、グランド用の電線234の周囲にオーディオ信号用の電線236が配置され、オーディオ信号用の電線236の周囲にバッテリ用の電線238が配置されている。生体電位用の電線232と電線236,238との間にグランド用の電線234が配置されて、電線232が電線236,238と隣り合わせに配置されていないため、オーディオ信号又は電力供給に起因して生体電位に発生し得るノイズの発生を抑制することができる。
(ケーブルの実施例7)
図58には、ケーブルの実施例7の構成が示されている。図58は、ケーブルを示す断面図である。ケーブル280内には、上述した電線232,234,236,238が配置されている。
例えば、グランド用の電線234、オーディオ信号用の電線236、及び、バッテリ用の電線238によって同軸ケーブルが構成されている。生体電位用の電線232は、その同軸ケーブルに含まれず、ケーブル280内の別の位置に配置されている。このように、生体電位用の電線232を、他の電線から離して配置することで、オーディオ信号や電力供給に起因して生体電位に発生し得るノイズの発生を抑制することができる。
(ケーブルの実施例8)
図59には、ケーブルの実施例8の構成が示されている。図59は、右側イヤフォン16R、左側イヤフォン16L及びケーブル18を模式的に示す図である。
右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lは、ケーブル18から着脱可能であってもよい。その接続の端子の規格として、例えば、USBやMMCX等のように公知の規格が用いられてもよい。例えば、右側イヤフォン16Rと左側イヤフォン16Lをケーブル18から切り離して、別のケーブルに接続してもよい。
また、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lがケーブル18に接続されている場合、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lは、有線通信によって他の装置(例えば端末装置14)と通信する。一方、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lがケーブル18から切り離すと、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lは、無線通信によって他の装置と通信してもよい。つまり、通信モードが、有線通信のモードから無線通信のモードに自動的に切り替えられてもよい。また、右側イヤフォン16Rと左側イヤフォン16Lが、それぞれ独立して駆動してもよい。
また、接続されるケーブル18の種類によって、右側イヤフォン16R及び左側イヤフォン16Lの機能が変更されたり、モードが変更されたりしてもよい。
なお、ケーブル18には、同じ種類の2つのデバイスが接続されてもよいし、異なる種類の2つのデバイスが接続されてもよい。例えば、ケーブル18の一方の端部に接続されたデバイスが主デバイスとして機能し、他方の端部に接続されたデバイスが従デバイスとして機能してもよい。この場合、主デバイスが従デバイスを制御してもよい。
また、異なる種類の2つのデバイスがケーブル18に接続されている場合、当該デバイスの機能が制限されてもよい。例えば、デバイスに設けられているメモリへのアクセスが制限されてもよいし、デバイスの制御が禁止されてもよい。
また、ケーブル18の一方の端部に接続されたデバイスに設けられている電極が、レファレンス電極及びグランド電極として用いられ、他方の端部に接続されたデバイスに設けられている電極が、センサ電極として用いられてもよい。例えば、一方の端部に右側イヤフォン16Rが接続された場合、右側イヤーピース22Rの電極がレファレンス電極として用いられ、電極部材28Rがグランド電極として用いられる。他方の端部に左側イヤフォン16Lが接続された場合、左側イヤーピース22Lの電極がセンサ電極として用いられる。例えば、脳波センサは、左側イヤーピース22Lの電極によって検出された電位を示す電位信号を、センサ電極によって検出された電位を示す電位信号として扱い、右側イヤーピース22Rの電極によって検出された電位を示す電位信号を、レファレンス電極によって検出された電位を示す電位信号として扱い、電極部材28Rによって検出された電位を示す電位信号を、グランド電極によって検出された電位を示す電位信号として扱う。
ここで、脳波を例に挙げて、各電極によって検出された電位を示す電位信号に対する処理について説明する。一例として、センサ電極によって検出されたセンサ電位、レファレンス電極によって検出されたレファレンス電位、及び、グランド電極によって検出されたグランド電位に基づいて、脳波信号を生成する処理について説明する。
脳波信号を生成するために平衡型差動増幅器が用いられる。例えば、上述した脳波センサ3410によって、平衡型差動増幅器の機能が実現される。例えば、公知の平衡型差動増幅器が用いられる。
図60には、その平衡型差動増幅器の構成が示されている。センサ電位を示す電位信号は、増幅器1のマイナス側に入力され(入力1)、レファレンス電位を示す電位信号は、増幅器2のマイナス側に入力される(入力2)。グランド電位を示す電位信号は、増幅器1,2のそれぞれのプラス側に入力される。増幅器1,2にて電位信号が増幅され、増幅器1から出力される信号(出力1)と、増幅器2から出力される信号(出力2)との差分の信号が得られる。その差動出力が、脳波信号の出力である。
センサ電位を示す電位信号とレファレンス電位を示す電位信号との間において、差のある信号(例えば脳波)は増幅され、同じ大きさの信号(例えば交流雑音)は相殺される。
<電極の選択>
以下、センサ電極、レファレンス電極及びグランド電極の選択に関する実施形態について説明する。
例えば、センサ電極及びレファレンス電極は、耳の外耳道に接触して設置され、グランド電極は、耳甲介腔に接触して設置される。以下では一例として、電極によって検出された電位を示す電位信号は、例えば脳波センサに出力される。
(電極の選択の実施例1)
以下、図61を参照して、電極の選択の実施例1について説明する。図61は、電極の選択方法を説明するための図である。
例えば、右耳の外耳道に設置された電極(例えば、右側イヤーピース22Rの電極)がセンサ電極として用いられ、左耳の外耳道に設置された電極(例えば、左側イヤーピース22Lの電極)がレファレンス電極として用いられる。また、右耳の耳甲介腔に設置された電極(例えば電極部材28R)がグランド電極として用いられ、左耳の耳甲介腔に設置された電極(例えば電極部材28L)がグランド電極として用いられる。
センサ電極によって検出された電位を示す電位信号と、レファレンス電極によって検出された電位を示す電位信号は、脳波センサに出力される。
右側の外耳道に設置されたグランド電極によって検出された電位を示す電位信号、又は、左側の外耳道に設置されたグランド電極によって検出された電位を示す電位信号のいずれか一方が、脳波センサに出力され、他方は、脳波センサに出力されない。その選択は、例えば、制御部16R7によって行われる。例えば、2つのグランド電極の中で、より安定した電位を検出するグランド電極によって検出された電位を示す電位信号が、脳波センサに出力される。例えば、振幅の大きさや振幅の変化量がより小さい電位信号が、より安定した電位信号として選択される。例えば、右側のグランド電極と左側のグランド電極とを導通させ、これら2つのグランド電極の中で、よりノイズが少ない電位(例えば振幅がより小さい電位)を検出するグランド電極が選択され、その選択されたグランド電極によって検出された電位を示す電位信号が、脳波センサに出力される。
例えば、生体情報を測定する前の調整時に電極が選択されてもよいし、検出された電位を示す電位信号が不安定な場合に、電極が切り替えられてもよい。以下の実施例においても同様である。
(電極の選択の実施例2)
以下、図62を参照して、電極の選択の実施例2について説明する。図62は、電極の選択方法を説明するための図である。
例えば、右耳の外耳道に4つの電極(例えば電極A,B,C,D)が設置されて、電極A,B、C,Dがセンサ電極として用いられる。また、左側の外耳道に設置された電極がレファレンス電極として用いられ、左耳の耳甲介腔に設置された電極がグランド電極として用いられる。
レファレンス電極によって検出された電位を示す電位信号と、グランド電極によって検出された電位を示す電位信号は、脳波センサに出力される。
電極A,B,C,Dのいずれかによって検出された電位を示す電位信号が、脳波センサに出力される。例えば、電極A,B,C,Dの中で、より安定した電位を検出する電極によって検出された電位を示す電位信号が、脳波センサに出力される。例えば、ノイズの振幅の大きさがより小さい電位信号が、より安定した電位信号として選択される。この選択は、例えば制御部16R7によって行われる。
(電極の選択の実施例3)
以下、図63を参照して、電極の選択の実施例3について説明する。図63は、電極の選択方法を説明するための図である。
例えば、右耳の外耳道に2つの電極(例えば電極A,B)が設置されて、電極A,Bがセンサ電極として用いられる。左耳の外耳道に2つの電極(例えば電極C,D)が設置されて、電極C,Dがレファレンス電極として用いられる。また、右耳及び右耳のそれぞれの耳甲介腔に設置されている電極がグランド電極として用いられる。
電極A,Bの中で、より安定した電位を検出する電極によって検出された電位を示す電位信号が、脳波センサに出力される。例えば、ノイズの振幅の大きさがより小さい電位信号が、より安定した電位信号として選択される。
また、電極C,Dの中で、より安定した電位を検出する電極によって検出された電位を示す電位信号が、脳波センサに出力される。例えば、ノイズの振幅の大きさがより小さい電位信号が、より安定した電位信号として選択される。
右側のグランド電極又は左側のグランド電極の中で、より安定した電位を検出する電極によって検出された電位を示す電位信号が、脳波センサに出力される。例えば、振幅の大きさや振幅の変化量がより小さい電位信号が、より安定した電位信号として選択される。
<複数のチャンネル>
同じ種類の複数の生体情報が測定されてもよい。1つの生体情報が1つのチャンネルに対応し、複数の生体情報に対応して、複数のチャンネルが形成される。以下、図64を参照して、複数のチャンネルについて説明する。図64には、複数のチャンネルの信号を処理する機能を示すブロック図が示されている。
例えば、脳波センサ3410や処理部16R5等によって、図64に示されている各部の機能が実現される。もちろん、別の装置やプロセッサ等によって、各部の機能が実現されてもよい。ここでは一例として脳波センサ3410によって各部の機能が実現されるものとする。
例えば、右側の耳に、センサ電極、レファレンス電極及びグランド電極が設置され、これらの電極によって脳波を示す生体情報が測定され、その生体情報がチャンネルCH1の信号として脳波センサ3410によって処理される。
また、左側の耳に、センサ電極、レファレンス電極及びグランド電極が設置され、これらの電極によって脳波を示す生体情報が測定され、その生体情報がチャンネルCH2の信号として脳波センサ3410によって処理される。
もちろん、チャンネルCH1,CH2のそれぞれに割り当てられる生体情報は一例に過ぎず、別の箇所に設置された電極によって測定された生体情報が、チャンネルCH1又はチャンネルCH2に割り当てられてもよい。
切替部300は、チャンネルCH1の生体情報とチャンネルCH2の生体情報を受け付け、予め定められた時間毎にチャンネルを切り替えて、チャンネルCH1又はチャンネルCH2のいずれかの生体情報を信号格納部302に出力する。
信号格納部302は、切替部300から出力された生体情報を格納する。例えば、チャンネルCH1の生体情報は、チャンネルCH1を示すチャンネル情報が紐付けられて信号格納部302に格納され、チャンネルCH2の生体情報は、チャンネルCH2を示すチャンネル情報が紐付けられ信号格納部302に格納される。生体情報の一例である信号304が、信号格納部302に格納されている。
信号分離部306は、信号格納部302から生体情報を取り出し、その生体情報をチャンネルCH1の生体情報とチャンネルCH2の生体情報とに分離し、チャンネルCH1の生体情報とチャンネルCH2の生体情報とを別々に出力する。
切替部300によってチャンネルCH1が選択されてチャンネルCH1の生体情報が信号格納部302に出力されている期間中は、チャンネルCH2の生体情報は信号格納部302に出力されず信号格納部302に格納されない。同様に、切替部300によってチャンネルCH2が選択されてチャンネルCH2の生体情報が信号格納部302に出力されている期間中は、チャンネルCH1の生体情報は信号格納部302に出力される信号格納部302に格納されない。このように、チャンネルが切り替えられることで、自身のチャンネルが選択されていない期間中の生体情報は、信号格納部302に格納されない。
そこで、信号分離部306は、個々のチャンネル毎に、自身のチャンネルが選択されていない期間中の生体情報(つまり、信号格納部302に格納されていない生体情報)を、自身のチャンネルが選択されている期間中の生体情報に基づいて予測し、その選択されていない期間中の生体情報を補間する。
例えば、信号分離部306は、チャンネルCH1について、チャンネルCH1が選択されていない期間中の生体情報を、その期間の前後の期間(つまりチャンネルCH1が選択されている期間)の生体情報に基づいて補間する。同様に、信号分離部306は、チャンネルCH2について、チャンネルCH2が選択されていない期間中の生体情報を、その期間の前後の期間(つまりチャンネルCH2が選択されている期間)の生体情報に基づいて補間する。
図64に示されている信号308は、チャンネルCH1の生体情報の一例である。信号308は、信号308aと信号308bとを含む。実線で示されている信号308aは、切替部300によってチャンネルCH1が選択された期間中の生体情報である。破線で示されている信号308bは、切替部300によってチャンネルCH1が選択されていない期間中の生体情報であり、その期間の前後の期間の生体情報である信号308aに基づいて補間された生体情報である。
信号310は、チャンネルCH2の生体情報の一例である。信号310は、信号310aと信号310bとを含む。実線で示されている信号310aは、切替部300によってチャンネルCH2が選択された期間中の生体情報である。破線で示されている信号310bは、切替部300によってチャンネルCH2が選択されていない期間中の生体情報であり、その期間の前後の生体情報である信号310bに基づいて補間された生体情報である。
切替部300は、時間毎にチャンネルを切り替えずに、又は、時間毎にチャンネルを切り替えると共に、時間以外の別の基準に従ってチャンネルを切り替えてもよい。つまり、切替部300は、時間に基づかずにチャンネルを切り替えてもよい。
例えば、切替部300は、各チャンネルのノイズに応じて、チャンネルを切り替えてもよい。具体的には、切替部300は、ノイズの振幅の大きさがより小さいチャンネルを選択し、そのチャンネルの生体情報を信号格納部302に出力する。
別の例として、切替部300は、右脳の信号を用いる操作や処理が行われる場合、チャンネルCH1を選択し、チャンネルCH1の生体情報を信号格納部302に出力する。例えば、右脳の信号を用いて機器等を操作する指示が与えられると、切替部300は、チャンネルCH1を選択する。同様に、切替部300は、左脳の信号を用いる操作や処理が行われる場合、チャンネルCH2を選択し、チャンネルCH2の生体情報を信号格納部302に出力する。
更に別の例として、切替部300は、ユーザの指示に従ってチャンネルを選択してもよい。
<ノイズキャンセル>
以下、生体情報からノイズを除去する処理(つまりノイズキャンセル処理)について説明する。ノイズキャンセル処理は、例えば、処理部16R5によって行われる。ここでいうノイズとは、目的とする測定対象以外に測定される電位信号情報を示す。
例えば、処理部16R5は、測定対象の生体情報を測定するための電極やセンサによって測定された生体情報から、当該測定対象の生体情報を測定するために用いられない他の電極やセンサによって測定された生体情報を除去することで、ノイズが除去された状態の測定対象の生体情報を生成する。つまり、処理部16R5は、当該他の電極やセンサによって測定された生体情報をノイズとして扱い、測定対象の生体情報を測定するための電極やセンサによって測定された生体情報から、そのノイズを除去することで、ノイズが除去された生体情報を生成する。
脳波を例に挙げて説明すると、処理部16R5は、上述したセンサ電極、レファレンス電極及びグランド電極によって測定された、脳波を含む生体情報(例えば、図60中の差動出力)から、脈拍センサや加速度センサ等の他の電極やセンサによって測定された生体信号を除去することで、ノイズが除去された状態の測定対象の生体情報を生成する。例えば、処理部16R5は、脈拍センサや加速度センサ等によって測定された生体信号の周期やインパルスをノイズとして、脳波を含む生体情報から除去する。ノイズは、例えば、生物内を伝搬する信号や、生体の外部から伝搬してきた信号等である。
例えば、処理部16R5は、センサ電極、レファレンス電極及びグランド電極が設置されている部位とは異なる他の部位に設けられた電極やセンサによって測定された生体情報をノイズとして扱う。一例をあげて説明すると、外耳道に設けられた電極を用いて脳波を測定する場合、脈動(例えば血管の血流周期)、顎の動き、及び、瞬き等に起因する筋電信号が、ノイズとして扱われる。処理部16R5は、センサ電極、レファレンス電極及びグランド電極によって測定された生体信号から、当該筋電信号を除去することで、ノイズが除去された、脳波を表す脳波信号を生成する。
更に詳しく説明すると、外耳道内において、上方向の位置(つまり頭上側の位置)に電極Aが設けられ、下方向の位置(つまり顎側の位置)に電極Bが設けられ、前方向の位置(つまり顔面側の位置)に電極Cが設けられ、後方向の位置(つまり行動部側の位置)に電極Dが設けられる。前方向の位置に設けられた電極Cによって検出された電位は、例えば、瞬き等のように顔面の動きに起因して発生する筋電位が反映された電位であると推測される。また、下方向の位置に設けられた電極Bは、顎の動きや呑み込み等の動きに起因して発生する筋電位が反映された電位であると推測される。この場合、処理部16R5は、電極B,Cのそれぞれによって検出された電位をノイズとして扱い、電極B,C以外の電極によって検出された電位に基づいて得られた生体情報(例えば、図60中の差動出力)から、電極B,Cのそれぞれによって検出された電位を除去する。こうすることで、顔の動きや顎の動きや呑み込み等に起因するノイズが除去された、脳波を表す脳波信号が得られる。
ここでは一例として脳波を例に挙げて説明したが、他の生体情報が測定対象である場合も、脳波と同様にノイズが除去される。
<ユーザインターフェースの変形例>
生体情報測定装置12は、各種の情報(例えば生体情報やその他の情報等)を生体情報測定装置12自体に表示せずに、生体情報測定装置12以外の場所に表示してもよい。例えば、生体情報測定装置12は、各種の情報を生物やその他の物体(例えば机や壁等)に表示してもよい。
例えば、生体情報測定装置12が腕時計型のウェアラブルデバイスであり、生体情報測定装置12が人の腕に取り付けられている場合、生体情報測定装置12は、当該人の腕や手の甲等に各種の情報を表示してもよい。
別の例として、生体情報測定装置12がメガネ型のウェアラブルデバイスである場合、生体情報測定装置12は、各種の情報をメガネのグラス部分に表示してもよい。
<共用の生体情報測定装置12の実施例>
生体情報測定装置12は、複数の人等によって共用されてもよい。例えば、人Aが生体情報測定装置12を用いた後、別の人である人Bが、当該人Aが使用していた当該生体情報測定装置12を用いてもよい。
例えば、接触型の生体情報測定装置12(つまり、電極やセンサが人等の生物に接触して生体情報を測定する装置)は、当該生体情報測定装置12を装着している生物(例えば人)が変わった場合に、その旨を示す情報や洗浄を促す情報を出力してもよい。情報を出力することは、例えば、ディスプレイに当該情報を表示すること、スピーカから当該情報を音声として発すること、又は、その両方である。例えば、右側イヤフォン16R又は左側イヤフォン16Lが用いられる場合、制御部16R7は、これらのイヤフォンから当該情報を音声として発生させる。別の例として、制御部16R7は、生体情報測定装置12に設けられているディスプレイに当該情報を表示させてもよい。更に別の例として、端末装置14の制御部14dが、当該情報を端末装置14に表示させてもよいし、当該情報を端末装置14に設けられているスピーカから音声として発生させてもよい。
例えば、生体情報測定装置12にマイクが設けられている場合、制御部16R7は、そのマイクから入力される人の声に基づいて、当該生体情報測定装置12を用いる人を認識することで、当該生体情報測定装置12を用いる人が変わったか否かを判断する。制御部16R7は、生体情報測定装置12を用いる人が、端末装置14等に設けられているカメラによって撮影され、その撮影によって生成された画像に基づいて当該人を認識してもよい。
別の例として、生体情報測定装置12を用いる人のアカウントが、生体情報測定装置12や端末装置14やサーバ等によって管理されており、そのアカウントが別のアカウントに切り替えられた場合、制御部16R7は、当該生体情報測定装置12を用いる人が変わったと判断してもよい。
生体情報測定装置12を用いる人が変わった旨を示す情報を出力することで、当該生体情報測定装置12を用いる人は、当該生体情報測定装置12が別の人によって用いられていたことを認識することができる。これにより、例えば、当該生体情報測定装置12を新たに使用する人は、当該生体情報測定装置12の洗浄が必要であることを認識することができる。洗浄を促す情報が出力される場合も同様である。
また、生体情報測定装置12が洗浄されたことを検知するセンサ等が用いられてもよい。例えば、電極やセンサがアルコール洗浄されたことを検知するセンサ(例えばアルコールを検知するセンサ)が用いられ、電極やセンサがアルコール洗浄されていない状態で、生体情報測定装置12が使用されようとしている場合(例えば生体情報測定装置12の電源がオンにされた場合)、制御部16R7は、生体情報測定装置12が洗浄されていないことを示す情報を出力する。また、制御部16R7は、生体情報測定装置12の電源をオンにしなくてもよい。電極やセンサがアルコール洗浄されている状態で、生体情報測定装置12が使用されようとしている場合、制御部16R7は、生体情報測定装置12が洗浄されていることを示す情報を出力してもよいし、そのような情報を出力しなくてもよい。
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
10 生体情報測定システム、12 生体情報測定装置、14 端末装置。

Claims (12)

  1. 生体電位計測システムであって、
    各々対応する右耳又は左耳に取り付けられて生体電位を計測するように構成され、右耳若しくは左耳の周辺領域、又は右耳若しくは左耳を含む領域に接触点を有するセンサ電極、レファレンス電極、及びグランド電極を各々含み、少なくとも一つの前記レファレンス電極又は前記グランド電極の機能を各々の間で共有できるように構成され、かつ、少なくとも前記センサ電極が対応する右耳又は左耳の外耳道に取り付けられるように構成される右生体電位計測装置及び左生体電位計測装置と、
    無線通信部と、
    前記右生体電位計測装置又は前記左生体電位計測装置によって計測された情報を、前記無線通信部を介して無線で送信する制御部と、を備え、
    前記右生体電位計測装置と前記左生体電位計測装置の両方を用いて右耳及び左耳の両方で使用されるか、又は前記右生体電位計測装置と前記左生体電位計測装置の一方を用いて片耳で使用することができるように構成され、右耳及び左耳の両方で使用する場合には、右耳及び左耳からの複数の独立したチャネルを通じて情報を取得し、片耳で使用する場合は、少なくとも1つのチャネルを通じて情報を取得するように構成される、生体電位計測システム。
  2. 生体電位計測システムであって、
    各々対応する右耳又は左耳に取り付けられて生体電位を計測するように構成され、右耳若しくは左耳の周辺領域、又は右耳若しくは左耳を含む領域に接触点を有するセンサ電極、レファレンス電極、及びグランド電極を各々含み、少なくとも一つの前記レファレンス電極又は前記グランド電極の機能を各々の間で共有できるように構成され、かつ、前記レファレンス電極および前記グランド電極が、右耳又は左耳の耳介の外側に取り付けられるように構成される右生体電位計測装置及び左生体電位計測装置と、
    無線通信部と、
    前記右生体電位計測装置又は前記左生体電位計測装置によって計測された情報を、前記無線通信部を介して無線で送信する制御部と、を備え、
    前記右生体電位計測装置と前記左生体電位計測装置の両方を用いて右耳及び左耳の両方で使用されるか、又は前記右生体電位計測装置と前記左生体電位計測装置の一方を用いて片耳で使用することができるように構成され、右耳及び左耳の両方で使用する場合には、右耳及び左耳からの複数の独立したチャネルを通じて情報を取得し、片耳で使用する場合は、少なくとも1つのチャネルを通じて情報を取得するように構成される、生体電位計測システム。
  3. 前記右生体電位計測装置又は前記左生体電位計測装置は、前記レファレンス電極及び前記グランド電極の機能を果たす共通電極を備える、請求項1又は請求項2に記載の生体電位計測システム。
  4. 前記無線通信部は、外部イヤフォンに無線接続し、前記右生体電位計測装置又は前記左生体電位計測装置によって計測された情報を、前記外部イヤフォンから音声としてユーザに送る、請求項1又は請求項2に記載の生体電位計測システム。
  5. 前記右生体電位計測装置又は前記左生体電位計測装置によって計測された情報は、骨伝導によってユーザに送られる、請求項1又は請求項2に記載の生体電位計測システム。
  6. 前記センサ電極を覆うハウジング又はイヤーピースを備え、前記ハウジング又は前記イヤーピースは少なくとも一部が形状記憶合金で形成され、当該形状記憶合金が変形することにより前記ハウジング又は前記イヤーピースが耳と接触する、請求項1又は請求項2に記載の生体電位計測システム。
  7. 前記形状記憶合金はユーザの体温に応じて形状が変化する、請求項6に記載の生体電位計測システム。
  8. 前記ハウジング又は前記イヤーピースは、前記ユーザに取り付けられる前と比べて、前記ユーザに取り付けられた後のサイズが増加する、請求項7に記載の生体電位計測システム。
  9. 前記計測された情報が、対応する前記右生体電位計測装置又は前記左生体電位計測装置の時間信号と比較されて時間的に整列される、請求項1又は請求項2に記載の生体電位計測システム。
  10. 前記計測された情報が、前記右生体電位計測装置又は前記左生体電位計測装置の何れかの一方の時間信号に応じて時間的に整列される、請求項1又は請求項2に記載の生体電位計測システム。
  11. 前記計測された情報が、前記右生体電位計測装置及び前記左生体電位計測装置が接続された共通装置の時間信号と比較される、請求項1又は請求項2に記載の生体電位計測システム。
  12. 前記右生体電位計測装置及び前記左生体電位計測装置の両方において計測して1つの情報を出力する場合と、前記右生体電位計測装置及び前記左生体電位計測装置の少なくとも一つから互いに独立して計測する場合と、に応じて外部装置との接続形態が変更される、請求項1又は請求項2に記載の生体電位計測システム。


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