JP2023151684A - 組成物、潤滑油組成物、及びグリース組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属系ナノ粒子の分散性が改善された組成物を提供する。【解決手段】金属系ナノ粒子(X)と、ポリマー(Y)と、分散媒とを含有し、前記ポリマー(Y)は、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーであり、前記金属系ナノ粒子(X)と、前記ポリマー(Y)とが、分散媒中に分散されており、潤滑油組成物用の添加剤組成物、グリース組成物用の添加剤組成物、潤滑油組成物、又はグリース組成物として用いられる、組成物とした。前記ポリマー(Y)は、下記モノマー(ya)由来の構成単位、下記モノマー(yb)由来の構成単位、及び下記モノマー(yc)由来の構成単位からなる群から選択される2種以上を含むポリマー(Y1)並びに下記モノマー(yb)由来の構成単位を含みかつ下記モノマー(ya)由来の構成単位及び下記モノマー(yc)由来の構成単位を含まないポリマー(Y2)からからなる群から選択される1種以上とした。・モノマー(ya):炭素数12~30のオレフィン・モノマー(yb):水素原子の少なくとも1つが炭素数12~30の鎖状アルキル基で置換されている含窒素ヘテロ環基を有するビニルモノマー・モノマー(yc):水素原子のいずれもが炭素数12~30の鎖状アルキル基で置換されていない含窒素ヘテロ環基を有するビニルモノマー【選択図】なし

Description

本発明は、組成物、潤滑油組成物、及びグリース組成物に関する。
金属系粒子は、潤滑油基油中に分散させることにより、潤滑油基油に様々な機能を付与することができる可能性がある。そのため、金属系粒子を潤滑油基油に配合した潤滑油組成物について、従来から種々の検討が行われている。
近年では、極めて微細な金属系粒子である金属系ナノ粒子を潤滑油基油に配合した潤滑油組成物についても検討されつつある。例えば、特許文献1及び2には、金属系ナノ粒子とアクリレート系重合体とを組み合わせて潤滑油基油中に添加することで、金属系ナノ粒子を潤滑油基油中で非常に良好に分散させることができ、改善された極圧性能及び減摩性能が付与された潤滑油組成物を提供できることが記載されている。
特表2021-512188号公報 特表2021-512189号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載の技術では、潤滑油組成物の使用において想定される高温環境下(例えば200℃以上)での金属系ナノ粒子の分散性が不十分である。また、特許文献1及び2に記載の技術では、グリース中における金属系ナノ粒子の分散性も不十分である。
そこで、本発明は、金属系ナノ粒子の分散性が改善された組成物、潤滑油組成物、及びグリース組成物を提供することを課題とする。
本発明によれば、下記[1]~[4]が提供される。
[1] 金属系ナノ粒子(X)と、ポリマー(Y)と、分散媒とを含有し、
前記ポリマー(Y)は、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーであり、
前記金属系ナノ粒子(X)と、前記ポリマー(Y)とが、分散媒中に分散されており、
潤滑油組成物用の添加剤組成物、グリース組成物用の添加剤組成物、潤滑油組成物、又はグリース組成物として用いられる、組成物。
[2] 下記工程(1)を含み、
・工程(1):ポリマー(Y)及び分散媒の存在下で金属系ナノ粒子(X)の前駆体を分散処理する工程
前記ポリマー(Y)は、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーである、組成物の製造方法。
[3] 金属系ナノ粒子(X)と、ポリマー(Y)と、潤滑油基油とを含有し、
前記ポリマー(Y)は、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーであり、
前記金属系ナノ粒子(X)と、前記ポリマー(Y)とが、潤滑油基油中に分散されている、潤滑油組成物。
[4] 金属系ナノ粒子(X)と、ポリマー(Y)と、グリースとを含有し、
前記ポリマー(Y)は、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーであり、
前記金属系ナノ粒子(X)と、前記ポリマー(Y)とが、グリース中に分散されている、グリース組成物。
本発明によれば、金属系ナノ粒子の分散性が改善された組成物、潤滑油組成物、及びグリース組成物を提供することが可能となる。
本明細書に記載された数値範囲の上限値および下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、数値範囲として「A~B」及び「C~D」が記載されている場合、「A~D」及び「C~B」の数値範囲も、本発明の範囲に含まれる。
また、本明細書に記載された数値範囲「下限値~上限値」は、特に断りのない限り、下限値以上、上限値以下であることを意味する。
また、本明細書において、実施例の数値は、上限値又は下限値として用いられ得る数値である。
[組成物の態様]
本実施形態の組成物は、金属系ナノ粒子(X)と、ポリマー(Y)と、分散媒とを含有する。
ポリマー(Y)は、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーである。
そして、本実施形態の組成物は、金属系ナノ粒子(X)と、ポリマー(Y)とが、分散媒中に分散されており、潤滑油組成物用の添加剤組成物、グリース組成物用の添加剤組成物、潤滑油組成物、又はグリース組成物として用いられる。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った。その結果、上記構成を有する組成物が、金属系ナノ粒子の分散性に極めて優れることを見出すに至った。
より詳細に説明すると、上記構成を有する組成物は、潤滑油組成物の使用において想定される高温環境下(例えば200℃以上)においても金属系ナノ粒子の分散性に優れ、さらにグリース組成物中においても金属系ナノ粒子の分散性に優れることを見出すに至った。
本発明の効果が奏される機構については、詳細は明確にはなっていないが、本実施形態で使用するポリマー(Y)の構造が、金属系ナノ粒子の分散性の改善に寄与しているものと推察される。
以下、本実施形態の組成物を構成する「金属系ナノ粒子(X)」、「ポリマー(Y)」、及び「分散媒」について、詳細に説明する。
<金属系ナノ粒子(X)>
本実施形態の組成物は、金属系ナノ粒子(X)を含有する。
本実施形態において、金属系ナノ粒子(X)は、平均粒径がnm(ナノメートル)オーダー、すなわち1μm未満の粒子である。
ここで、分散性向上等の観点から、金属系ナノ粒子(X)の平均粒径は、好ましくは800nm以下、より好ましくは600nm以下、更に好ましくは500nm以下、より更に好ましくは400nm以下、更になお好ましくは300nm以下、一層好ましくは200nm以下である。また、金属系ナノ粒子(X)の平均粒径は、通常10nm以上である。
なお、本実施形態における「金属系ナノ粒子(X)の平均粒径」とは、後述する実施例の「1.金属系ナノ粒子の分散性に関する検討」における測定方法を実施することにより得られる、分散媒中に分散している状態での25℃における平均粒径を意味する。
また、本明細書において、「平均粒径」は、動的光散乱法によって求めた粒度分布における積算値Z-avarageでの粒径を意味する。
なお、本実施形態において、「金属系」とは、金属に限らず、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、金属炭化物、及び金属ホウ素化物等も包含する概念である。
但し、金属ホウ素化物を構成する金属元素からは、ホウ素は除外される。
本実施形態において、分散性向上等の観点から、金属系ナノ粒子(X)は、遷移金属元素並びに第12族から第15族の金属元素及び半金属元素からなる群から選択される1種以上の金属元素(x1)からなる金属ナノ粒子、金属元素(x1)の酸化物からなるナノ粒子、金属元素(x1)の窒化物からなるナノ粒子、金属元素(x1)の硫化物からなるナノ粒子、前記金属元素(x1)の炭化物からなるナノ粒子、及び金属元素(x1)のホウ素化物からなるナノ粒子からなる群から選択される1種以上の金属系ナノ粒子(X1)を含むことが好ましい。
金属系ナノ粒子(X)中の金属系ナノ粒子(X1)の含有量は、分散性向上等の観点から、金属系ナノ粒子(X)の全量基準で、好ましくは50質量%~100質量%、より好ましくは60質量%~100質量%、更に好ましくは70質量%~100質量%、より更に好ましくは80質量%~100質量%、更になお好ましくは90質量%~100質量%である。
金属元素(x1)を、以下に具体的に例示する。
遷移金属元素としては、第一遷移金属元素であるスカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、及び銅(Cu);第二遷移金属元素であるイットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、及び銀(Ag);第三遷移金属元素であるランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Em)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、及び金(Au)が挙げられる。
第12族から第15族の金属元素としては、第12族の金属元素である亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、及び水銀(Hg);第13族の金属元素であるアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びタリウム(Tl);第14族の金属元素であるゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、及び鉛(Pb);第15族の金属元素であるビスマス(Bi)が挙げられる。
第12族から第15族の半金属元素としては、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、及びテルル(Te)が挙げられる。
上記金属元素(x1)の中でも、入手性及び経済性等の観点から、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、及びアルミニウム(Al)等からなる群から選択される1種以上が好ましい。
そして、金属系ナノ粒子(X1)としては、入手性及び経済性等の観点から、チタニア(TiO)、硫化マンガン(MnS)、酸化鉄(FeO、Fe)、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(CuO、CuO)、ジルコニア(ZrO)、二硫化モリブデン(MoS)、二硫化タングステン(WS)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化ホウ素(BN)、窒化チタン(TiN)、及びアルミナ(Al)等からなる群から選択される1種以上が好ましい。
これらの中でも、組成物(潤滑油組成物及びグリース組成物)の耐摩耗性向上の観点から、ジルコニア(ZrO)、二硫化タングステン(WS)、酸化亜鉛(ZnO)、及び窒化チタン(TiN)からなる群から選択される1種以上が好ましい。
<ポリマー(Y)>
本実施形態において、ポリマー(Y)は、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーである。
ポリマー(Y)が炭素数10~28の鎖状アルキル基を有しない場合、油溶性(鉱油及び炭化水素系油等の低極性油への溶解性)を確保することができなくなる。
また、含窒素ヘテロ環基は、ポリマー(Y)において、金属系ナノ粒子(X)の分散性を発揮させる機能を担っているものと推察される。したがって、ポリマー(Y)が含窒素ヘテロ環基を有しない場合、金属系ナノ粒子(X)に対する優れた分散性を発揮させる機能を確保することができなくなる。
ここで、ポリマー(Y)の油溶性をより向上させやすくする観点から、鎖状アルキル基の炭素数は、好ましくは11~26、より好ましくは12~24、更に好ましくは13~22である。
鎖状アルキル基を具体的に例示すると、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基が挙げられる。
鎖状アルキル基は、直鎖構造であっても分岐鎖構造であってもよいが、ポリマー(Y)の油溶性をより向上させやすくする観点から、直鎖構造であることが好ましい。
含窒素ヘテロ環基としては、窒素原子を含有する5員環、6員環、二環式化合物及び多量体等が挙げられる。含窒素ヘテロ環基の具体例としては、例えばピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、ピロリドン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、トリアゾール環、テトラゾール環、オキサゾール環、オキサゾリン環、オキサゾリジン環、イソオキサゾール環、イソオキサゾリン環、イソオキサゾリジン環、チアゾール環、チアゾリン環、チアゾリジン環、イソチアゾール環、イソチアゾリン環、イソチアゾリジン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環、トリアジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ε-カプロラクタム環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、キノリン環、イソキノリン環、プリン環、ビピリジン環、ターピリジン環等の含窒素ヘテロ環から水素原子を1つ取り除いた1価の基が挙げられる。
ここで、本発明の効果を向上させやすくする観点から、含窒素ヘテロ環基は、ピロリドン環から水素原子を1つ取り除いた1価の基であることが好ましい。
また、本発明の効果をより向上させやすくする観点から、ポリマー(Y)は、下記モノマー(ya)由来の構成単位、下記モノマー(yb)由来の構成単位、及び下記モノマー(yc)由来の構成単位からなる群から選択される2種以上を含むポリマー(Y1)、並びに、下記モノマー(yb)由来の構成単位を含みかつ下記モノマー(ya)由来の構成単位及び下記モノマー(yc)由来の構成単位を含まないポリマー(Y2)からからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
・モノマー(ya):炭素数12~30のオレフィン
・モノマー(yb):水素原子の少なくとも1つが炭素数12~30の鎖状アルキル基で置換されている含窒素ヘテロ環基を有するビニルモノマー
・モノマー(yc):水素原子のいずれもが炭素数12~30の鎖状アルキル基で置換されていない含窒素ヘテロ環基を有するビニルモノマー
以下、ポリマー(Y1)及びポリマー(Y2)について、詳細に説明する。
<ポリマー(Y1)>
ポリマー(Y1)は、下記モノマー(ya)由来の構成単位、下記モノマー(yb)由来の構成単位、及び下記モノマー(yc)由来の構成単位からなる群から選択される2種以上を含む。
・モノマー(ya):炭素数12~30のオレフィン
・モノマー(yb):水素原子の少なくとも1つが炭素数12~30の鎖状アルキル基で置換されている含窒素ヘテロ環基を有するビニルモノマー
・モノマー(yc):水素原子のいずれもが炭素数12~30の鎖状アルキル基で置換されていない含窒素ヘテロ環基を有するビニルモノマー
本実施形態において、ポリマー(Y1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、モノマー(ya)由来の構成単位、モノマー(yb)由来の構成単位、及びモノマー(yc)由来の構成単位以外の他の構成単位を含んでいてもよい。
但し、本実施形態において、ポリマー(Y1)における、モノマー(ya)由来の構成単位、モノマー(yb)由来の構成単位、及びモノマー(yc)由来の構成単位からなる群から選択される2種以上の構成単位の合計含有量は、ポリマー(Y1)に必要とされる油溶性と金属ナノ粒子(X)に対する分散性の確保の観点から、ポリマー(Y1)の全構成単位基準で、好ましくは50モル%~100モル%、より好ましくは60モル%~100モル%、更に好ましくは70モル%~100モル%である。より更に好ましくは80モル%~100モル%、更になお好ましくは90モル%~100モル%である。
以下、モノマー(ya)、モノマー(yb)、及びモノマー(yc)について、詳細に説明する。
(モノマー(ya)、構成単位(YA))
本実施形態において使用されるモノマー(ya)は、炭素数12~30のオレフィンである。
モノマー(ya)に由来する構成単位(YA)は、ポリマー(Y1)において、主に油溶性(鉱油及び炭化水素系油等の低極性油への溶解性)を発揮させる機能を担う。
ここで、ポリマー(Y1)の油溶性をより向上させやすくする観点から、モノマー(ya)の炭素数は、好ましくは13~28、より好ましくは14~26、更に好ましくは15~24、より更に好ましくは16~22である。
モノマー(ya)として好ましい化合物を具体的に例示すると、ドデセン、トリデセン、テトラデセン、ペンタデセン、ヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセン、ノナデセン、イコセン、ヘンイコセン、ドコセン、トリコセン、テトラコセン、ペンタコセン、ヘキサコセン、ヘプタコセン、オクタコセン、ノナコセン、及びトリアコンテンが挙げられる。
モノマー(ya)は、直鎖構造であっても分岐鎖構造であってもよいが、ポリマー(Y1)の油溶性をより向上させやすくする観点から、直鎖構造であることが好ましい。
また、モノマー(ya)の二重結合部位は、ポリマー(Y1)の油溶性をより向上させやすくする観点から、1位~3位に存在することが好ましく、1位又は2位に存在することがより好ましく、1位に存在することが更に好ましい。すなわち、モノマー(ya)は、α-オレフィンであることが好ましい。
したがって、モノマー(ya)は、直鎖α-オレフィンを含むことが好ましい。
なお、モノマー(ya)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。したがって、ポリマー(Y1)は、モノマー(ya)に由来する構成単位(YA)を1種単独で含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
(モノマー(yb)、構成単位(YB))
本実施形態において使用されるモノマー(yb)は、水素原子の少なくとも1つが炭素数12~30の鎖状アルキル基で置換されている含窒素ヘテロ環基を有するビニルモノマーである。モノマー(yb)に由来する構成単位(YB)中の炭素数12~30の鎖状アルキル基は、ポリマー(Y1)において、主に油溶性(鉱油及び炭化水素系油等の低極性油への溶解性)を発揮させる機能を担う。
また、モノマー(yb)に由来する構成単位(YB)中の含窒素ヘテロ環基は、ポリマー(Y1)において、金属系ナノ粒子(X)の分散性を発揮させる機能を担っているものと推察される。また、高温環境下におけるポリマー(Y1)の安定性を発揮させる機能も担っているものと推察される。
なお、ポリマー(Y2)の油溶性をより向上させやすくする観点から、含窒素ヘテロ環基の水素原子の少なくとも1つを置換する鎖状アルキル基の炭素数は、好ましくは13~28、より好ましくは14~26、更に好ましくは15~24、より更に好ましくは16~22である。
好ましい鎖状アルキル基としては、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、及びトリアコンチル基が挙げられる。
鎖状アルキル基は、直鎖構造であっても分岐鎖構造であってもよいが、ポリマー(Y1)の油溶性をより向上させやすくする観点から、直鎖構造であることが好ましい。
含窒素ヘテロ環基としては、ポリマー(Y)が有する含窒素ヘテロ環基として例示したものと同様の基が挙げられる。
ここで、本発明の効果を向上させやすくする観点から、含窒素ヘテロ環基は、ピロリドン環から水素原子を1つ取り除いた1価の基であることが好ましい。
したがって、モノマー(yb)は、水素原子の少なくとも1つが炭素数12~30の鎖状アルキル基で置換されているピロリドン環から水素原子を1つ取り除いた1価の基を有するビニルモノマーであることが好ましい。
具体的には、モノマー(yb)は、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。

上記一般式(1)中、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1~2の鎖状アルキル基を示す。Rは、炭素数1~5の鎖状アルキル基を示す。Rは、炭素数12~30の鎖状アルキル基を示す。mは0~2の整数である。
なお、本発明の効果をより向上させやすくする観点から、R、R、及びRは、水素原子であることが好ましい。また、同様の観点から、m=0であることが好ましい。また、Rとして選択し得る、炭素数12~30の鎖状アルキル基の好ましい態様は、既述のとおりである。
モノマー(yb)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。したがって、ポリマー(Y1)は、モノマー(yb)に由来する構成単位(YB)を1種単独で含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
(モノマー(yc)、構成単位(YC))
本実施形態において使用されるモノマー(yc)は、水素原子のいずれもが炭素数12~30の鎖状アルキル基で置換されていない含窒素ヘテロ環基を有するビニルモノマーである。
モノマー(yc)に由来する構成単位(YC)は、ポリマー(Y1)において、金属系ナノ粒子(X)に対する優れた分散性を発揮させる機能を担っているものと推察される。
含窒素ヘテロ環基としては、ポリマー(Y)が有する含窒素ヘテロ環基として例示したものと同様の基が挙げられる。
ここで、本発明の効果を向上させやすくする観点から、含窒素ヘテロ環基は、ピロリドン環から水素原子を1つ取り除いた1価の基であることが好ましい。
したがって、モノマー(yc)は、水素原子の少なくとも1つが炭素数12~30の鎖状アルキル基で置換されているピロリドン環から水素原子を1つ取り除いた1価の基を有するビニルモノマーであることが好ましい。
具体的には、モノマー(yc)は、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。

上記一般式(2)中、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1~2の鎖状アルキル基を示す。Rは、炭素数1~5の鎖状アルキル基を示す。nは0~3の整数である。
なお、本発明の効果をより向上させやすくする観点から、R、R、及びRは、水素原子であることが好ましい。また、同様の観点から、n=0であることが好ましい。
モノマー(yc)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。したがって、ポリマー(Y1)は、モノマー(yc)に由来する構成単位(YC)を1種単独で含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
(ポリマー(Y1)の好ましい態様)
ポリマー(Y1)としては、下記モノマー由来の構成単位を含むポリマーが挙げられる。
・モノマー(ya)及びモノマー(yb)
・モノマー(ya)及びモノマー(yc)
・モノマー(yb)及びモノマー(yc)
・モノマー(ya)、モノマー(yb)、及びモノマー(yc)
上記組み合わせにより、ポリマー(Y1)を、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーとすることができる。
ここで、上記のポリマーの中でも、油溶性の確保及び金属系ナノ粒子(X)の分散性の確保のバランスの観点から、ポリマー(Y1)は、モノマー(ya)由来の構成単位(YA)及びモノマー(yc)由来の構成単位(YC)を含むポリマーであることが好ましい。
(構成単位(YA)と構成単位(YC)との含有比率)
ポリマー(Y1)が、モノマー(ya)由来の構成単位(YA)及びモノマー(yc)由来の構成単位(YC)を含むポリマーである場合、モノマー(ya)由来の構成単位(YA)と、モノマー(yc)由来の構成単位(YC)との含有比率[(YA)/(YC)]は、ポリマー(Y1)の油溶性と金属系ナノ粒子(X)に対する分散性のバランスを確保しやすくする観点から、モル比で、好ましくは10/90~95/5、より好ましくは40/60~90/10、更に好ましくは60/40~90/10である。
<ポリマー(Y2)>
ポリマー(Y2)は、上記モノマー(yb)由来の構成単位を含みかつ上記モノマー(ya)由来の構成単位及び上記モノマー(yc)由来の構成単位を含まない。
上記モノマー(yb)由来の構成単位(YB)を含むポリマー(Y2)は、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーであり、油溶性の確保及び金属系ナノ粒子(X)の分散性の確保のバランスに優れる。
本実施形態において、ポリマー(Y2)は、モノマー(yb)由来の構成単位(YB)のみから構成されていてもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で、構成単位(YB)以外の他の構成単位を含んでいてもよい。但し、上記モノマー(ya)由来の構成単位及び上記モノマー(yc)由来の構成単位を含まない。この点で、ポリマー(Y1)とは明確に区別される。
なお、本実施形態において、ポリマー(Y2)における、構成単位(YB)の含有量は、ポリマー(Y2)に必要とされる油溶性と金属ナノ粒子(X)に対する分散性の確保の観点から、ポリマー(Y2)の全構成単位基準で、好ましくは70モル%~100モル%、より好ましくは80モル%~100モル%、更に好ましくは90モル%~100モル%である。
なお、モノマー(yb)の好ましい態様は、既述のとおりであり、説明は省略する。
<ポリマー(Y)の合成方法>
ポリマー(Y)の合成方法としては、例えば、上記の各モノマー成分を、定法により所定の割合で単独重合又は共重合することにより適宜合成することができる。
なお、ポリマー(Y)は、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、Antaron V-220(アシュランド・ジャパン株式会社製)、Antaron V-216(アシュランド・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
<ポリマー(Y)と金属系ナノ粒子(X)との含有比率[(Y)/(X)]>
本実施形態の組成物において、ポリマー(Y)と金属系ナノ粒子(X)との含有比率[(Y)/(X)]は、金属系ナノ粒子(X)を分散媒中に良好に分散させやすくする観点から、質量比で、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上である。
また、ポリマー(Y)の過剰な使用を抑えて、金属系ナノ粒子(X)を分散媒中に良好に分散させやすくする観点から、ポリマー(Y)と金属系ナノ粒子(X)との含有比率[(Y)/(X)]は、質量比で好ましくは10以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは3以下である。
<分散媒>
分散媒としては、有機溶媒及び潤滑油基油からなる群から選択される1種以上の液体分散媒並びにグリースが挙げられる。
有機溶媒としては、例えばアルカン等の無極性有機溶媒が挙げられる。無極性有機溶媒を用いることで、低極性の潤滑油基油に配合した際に、組成物を潤滑油基油に混合・分散させやすくすることができる。
潤滑油基油としては、鉱油;ポリオレフィン、イソパラフィン、アルキルベンゼン、及びアルキルナフタレンなどの炭化水素系合成油;天然ガスからフィッシャー・トロプシュ法等により製造されるワックス(ガストゥリキッド(GTL)ワックス)を異性化することで得られるGTL基油;アルキル化ジフェニルエーテル及びポリフェニルエーテル等のエーテル油等の低極性又は無極性の潤滑油基油が挙げられる。
グリースとしては、カルシウム石けんグリース、カルシウムコンプレックスグリース、ナトリウム石けんグリース、アルミニウム石けんグリース、アルミニウムコンプレックスグリース、リチウム石けんグリース、及びリチウムコンプレックスグリース等の石けん系グリース;有機化ベントナイトグリース及びシリカゲルグリース等の非石けん系の無機系グリース;ポリウレアグリース等の非石けん系の有機系グリース等が挙げられる。
<金属系ナノ粒子(X)の組成物中の含有量>
金属系ナノ粒子(X)の組成物中の含有量は、分散媒中において金属系ナノ粒子(X)の良好な分散性が確保される限り、特に制限されないが、組成物全量基準で、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.010質量%以上、更に好ましくは0.050質量%以上、より更に好ましくは0.10質量%以上、一層好ましくは0.50質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下である。
これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、好ましくは0.005質量%~30質量%、より好ましくは0.010質量%~20質量%、更に好ましくは0.050質量%~10質量%、より更に好ましくは0.10質量%~5質量%、一層好ましくは0.50質量%~5質量%である。
[組成物の製造方法]
本実施形態の組成物の製造方法は、特に制限されないが、例えば、下記工程(1)を含む製造方法が挙げられる。
・工程(1):ポリマー(Y)並びに有機溶媒及び潤滑油基油からなる群から選択される1種以上の液体分散媒の存在下で金属系ナノ粒子(X)の前駆体を分散処理する工程
なお、「金属系ナノ粒子(X)の前駆体」とは、本実施形態の組成物を構成する金属系ナノ粒子(X)の原料(分散媒に分散させる前の状態)を意味している。「金属系ナノ粒子(X)の前駆体」は、一次粒子が多数凝集した凝集体となっており、分散処理を行うことで、当該凝集体を粉砕・摩砕、解砕等させて所望の粒径の金属系ナノ粒子(X)を分散媒に分散させた状態とすることができる。
工程(1)における分散処理を行う手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー等の混練機、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。
これらの中でも、金属系ナノ粒子(X)の前駆体を小粒径化しやすくする観点(一次粒子の粒径に近づけやすくする観点)から、メディア式分散機を用いることが好ましい。
メディア式分散機を用いる場合、メディアの材質は、ジルコニア及びチタニア等のセラミックス、ポリエチレン及びポリアミド等の高分子材料、金属等が好ましく、特にジルコニアが好ましい。また、メディアの直径は、金属系ナノ粒子(X)の前駆体を十分に微細化する観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは10μm以上、20μm以上であり、そして、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
分散処理時間は、メディア式分散機のサイズ、投入するメディアの量、及び投入する原料の量に応じて適切な分散処理時間が変動するため、一概には規定できない。一例を挙げると、100mL容のサイズの容器に約150g程度のメディアを投入し、原料を20~40g程度投入して分散処理を行う場合、分散処理時間の目安としては、金属系ナノ粒子(X)の前駆体を十分に微細化する観点から、好ましくは0.3時間以上、より好ましくは1時間以上であり、そして、微粒子水分散液の製造効率の観点から、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下である。
分散処理時のせん断力は、メディア式分散機のサイズ、投入するメディアの量、及び投入する原料の量に応じて適切な分散処理時の適切なせん断力が変動するため、一概には規定できない。一例を挙げると、100mL容のサイズの容器に約150g程度のメディアを投入し、原料を20~40g程度投入して分散処理を行う場合、好ましくは1,000rpm以上、より好ましくは1,300rpm以上、更に好ましくは1,500rpm以上、また、好ましくは5,000rpm以下、より好ましくは4,000rpm以下、更に好ましくは3,000rpm以下の条件で撹拌を行って分散処理を実施する。
[組成物の用途]
本実施形態の組成物は、潤滑油組成物の使用において想定される高温環境下(例えば200℃以上)においても、金属系ナノ粒子(X)の分散性が優れる。したがって、潤滑油組成物用の添加剤組成物として有用である。
また、本実施形態の組成物は、グリース中においても、金属系ナノ粒子(X)の分散性に優れる。したがって、グリース組成物用の添加剤組成物として有用である。
よって、本実施形態では、本実施形態の組成物を、潤滑油組成物又はグリース組成物用の添加剤組成物として使用する使用方法が提供される。
なお、本実施形態の組成物が、潤滑油組成物用の添加剤組成物又はグリース組成物用の添加剤組成物である場合、分散媒は、有機溶媒及び潤滑油基油からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
また、本実施形態の組成物が、潤滑油組成物用の添加剤組成物又はグリース組成物用の添加剤組成物である場合、当該添加剤組成物は、潤滑油組成物及びグリース組成物に対して優れた耐摩耗性を付与することができる。したがって、本実施形態の組成物は、耐摩耗剤として有用である。
よって、本実施形態では、本実施形態の組成物を、耐摩耗剤として使用する使用方法が提供される。
また、本実施形態の組成物は、以下に説明するように、潤滑油組成物又はグリース組成物としても有用である。
[潤滑油組成物]
本実施形態の組成物は、潤滑油組成物として用いることもできる。
したがって、本実施形態では、以下の潤滑油組成物が提供される。
金属系ナノ粒子(X)と、ポリマー(Y)と、潤滑油基油とを含有し、
前記ポリマー(Y)は、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーであり、
前記金属系ナノ粒子(X)と、前記ポリマー(Y)とが、潤滑油基油中に分散されている、潤滑油組成物。
本実施形態の潤滑油組成物において、金属系ナノ粒子(X)の含有量は、潤滑油基油中における金属系ナノ粒子(X)の分散性の向上の観点、耐摩耗性向上の観点から、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.010質量%以上、更に好ましくは0.050質量%以上、より更に好ましくは0.10質量%以上、更になお好ましくは0.50質量%以上、一層好ましくは0.80質量%以上である。また、好ましくは5質量%以下、より好ましく3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、好ましくは0.005質量%~5質量%、より好ましくは0.010質量%~5質量%、更に好ましくは0.050質量%~3質量%、より更に好ましくは0.10質量%~3質量%、更になお好ましくは0.50質量%~2質量%、一層好ましくは0.80質量%~2質量%である。
本実施形態の潤滑油組成物において、ポリマー(Y)の含有量は、潤滑油基油中における金属系ナノ粒子(X)の分散性の向上の観点から、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.10質量%以上、より更に好ましくは0.20質量%以上、更になお好ましくは0.30質量%以上である。また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、好ましくは0.01質量%~10質量%、より好ましくは0.05質量%~10質量%、更に好ましくは0.10質量%~5質量%、より更に好ましくは0.20質量%~5質量%、更になお好ましくは0.30質量%~3質量%である。
なお、本実施形態の潤滑油組成物において、金属系ナノ粒子(X)及びポリマー(Y)の好ましい態様、金属系ナノ粒子(X)とポリマー(Y)との好ましい含有比率等は、本実施形態の組成物において説明したとおりである。
また、本実施形態の潤滑油組成物において、金属系ナノ粒子(X)の平均粒径は、耐摩耗性を向上させやすくする観点から、好ましくは600nm未満、より好ましくは500nm以下、更に好ましくは400nm以下、より更に好ましくは300nm以下、更になお好ましくは200nm以下、一層好ましくは150nm以下である。また、通常10nm以上である。
<潤滑油基油>
潤滑油基油は、本実施形態の組成物において分散媒として挙げた基油を、適宜用いることができる。但し、潤滑油基油は、分散媒として挙げた基油以外の、他の合成油等を含む混合基油であってもよい。
当該他の合成油としては、ポリオールエステル及び二塩基酸エステル等の各種エステル;ポリアルキレングリコール等から選択される1種以上が挙げられる。
なお、潤滑油基油の100℃における動粘度は1.0mm/s~50mm/sの範囲にあることが好ましく、2.0mm/s~30mm/sの範囲にあることがより好ましく、3.0mm/s~20mm/sの範囲にあることが更に好ましい。また、潤滑油基油の粘度指数は80以上であることが好ましく、90以上であることがより好ましく、100以上であることがより更に好ましい。
潤滑油基油の動粘度及び粘度指数はJIS K2283:2000に準じて測定又は算出される値である。
<添加剤>
本実施形態の潤滑油組成物は、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で、潤滑油組成物に配合される一般的な添加剤をさらに含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、酸化防止剤、油性剤、清浄分散剤、粘度指数向上剤、防錆剤、金属不活性化剤、及び消泡剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<潤滑油組成物の物性>
(動粘度、粘度指数)
本実施形態の潤滑油組成物の100℃動粘度は、好ましくは1.0mm/s~50mm/s、より好ましくは2.0mm/s~30mm/s、更に好ましくは3.0mm/s~20mm/sである。
本実施形態の潤滑油組成物の粘度指数は、好ましくは90以上、より好ましくは100以上、更に好ましくは110以上である。
潤滑油組成物の動粘度及び粘度指数は、JIS K2283:2000に準じて測定又は算出される値である。
(耐摩耗性)
本実施形態の潤滑油組成物は、後述する実施例に記載の摩耗試験(未加熱の潤滑油組成物を使用)による摩耗痕径(平均)が、好ましくは470μm以下、より好ましくは460μm以下、更に好ましくは450μm以下、より更に好ましくは440μm以下、更になお好ましくは430μm以下である。
[潤滑油組成物の用途]
本実施形態の潤滑油組成物は、耐摩耗性に優れる。
そのため、本実施形態の潤滑油組成物は、例えば、ギア油(マニュアルトランスミッション油、デファレンシャル油等)、自動変速機油(オートマチックトランスミッション油等)、無段変速機油(ベルトCVT油、トロイダルCVT油等)、パワーステアリング油、ショックアブソーバー油、及び電動モーター油等の駆動系油;ガソリンエンジン用、ディーゼルエンジン用、及びガスエンジン用等の内燃機関(エンジン)用油;油圧作動油;タービン油;圧縮機油;流体軸受け油;転がり軸受油;冷凍機油等をはじめ各種の用途に好適に使用でき、これら各用途で使用される装置に充填し、当該装置に係る各部品間を潤滑する潤滑油組成物として好適に使用することができる。
[潤滑油組成物を用いる潤滑方法]
本実施形態の潤滑油組成物を用いる潤滑方法としては、好ましくは、前記潤滑油組成物を、前述した各用途で使用される装置に充填し、当該各装置に係る各部品間を潤滑する方法が挙げられる。
[潤滑油組成物の製造方法]
本実施形態の潤滑油組成物の製造方法としては、例えば、下記製造方法1~下記製造方法3が挙げられる。
(製造方法1)
下記工程(S1)を含む、潤滑油組成物の製造方法。
・工程(S1):ポリマー(Y)及び潤滑油基油の存在下で金属系ナノ粒子(X)の前駆体を分散処理する工程
なお、工程(S1)と同時に、又は工程(S1)の後に、潤滑油組成物に配合される一般的な添加剤を配合するようにしてもよい。
(製造方法2)
下記工程(S2-1)及び下記工程(S2-2)を含む、潤滑油組成物の製造方法。
・工程(S2-1):ポリマー(Y)及び有機溶媒の存在下で金属系ナノ粒子(X)の前駆体を分散処理し、潤滑油組成物用の添加剤組成物を調製する工程
・工程(S2-2):潤滑油基油と、前記潤滑油組成物用の添加剤組成物とを混合した後、前記有機溶媒を揮発させる工程
なお、工程(S2-2)と同時に、又は工程(S2-2)の後に、潤滑油組成物に配合される一般的な添加剤を配合するようにしてもよい。
(製造方法3)
下記工程(S3-1)及び下記工程(S3-2)を含む、潤滑油組成物の製造方法。
・工程(S3-1):ポリマー(Y)及び潤滑油基油の存在下で金属系ナノ粒子(X)の前駆体を分散処理し、潤滑油組成物用の添加剤組成物を調製する工程
・工程(S3-2):潤滑油基油と、前記潤滑油組成物用の添加剤組成物とを混合する工程
なお、工程(S3-2)と同時に、又は工程(S3-2)の後に、潤滑油組成物に配合される一般的な添加剤を配合するようにしてもよい。
[グリース組成物]
本実施形態の組成物は、グリース組成物として用いることもできる。
したがって、本実施形態では、以下のグリース組成物が提供される。
金属系ナノ粒子(X)と、ポリマー(Y)と、グリースとを含有し、
前記ポリマー(Y)は、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーであり、
前記金属系ナノ粒子(X)と、前記ポリマー(Y)とが、グリース中に分散されている、グリース組成物。
本実施形態のグリース組成物において、金属系ナノ粒子(X)の含有量は、グリース中における金属系ナノ粒子(X)の分散性の向上の観点、耐摩耗性向上の観点から、グリース組成物の全量基準で、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上である。また、好ましくは10質量%以下、より好ましく8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、好ましくは1質量%~10質量%、より好ましくは2質量%~8質量%、更に好ましくは3質量%~6質量%である。
本実施形態のグリース組成物において、ポリマー(Y)の含有量は、グリース中における金属系ナノ粒子(X)の分散性の向上の観点から、グリース組成物の全量基準で、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上である。また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは16質量%以下、更に好ましくは12質量%以下である。
これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、好ましくは1質量%~20質量%、より好ましくは2質量%~16質量%、更に好ましくは3質量%~12質量%である。
なお、本実施形態のグリース組成物において、金属系ナノ粒子(X)及びポリマー(Y)の好ましい態様、金属系ナノ粒子(X)とポリマー(Y)との好ましい含有比率等は、本実施形態の組成物において説明したとおりである。
本実施形態のグリース組成物では、グリース組成物中に、金属系ナノ粒子(X)が偏在することなく、極めて均一に分散されている。このことは、実施例において、窒化チタンナノ粒子や二硫化タングステンナノ粒子を分散させたときの電気抵抗率の低下効果からも説明することができる。すなわち、本実施形態のグリース組成物では、微小な金属系ナノ粒子(X)が極めて均一に分散されている結果、近接する金属系ナノ粒子(X)間で何らかの相互作用が生じ、微小な金属系ナノ粒子(X)による高度なネットワークが形成されているものと推察される。このような高度な分散状態は、従来の固体潤滑剤等では達成し得ない分散状態であると考えられる。かかる高度の分散状態によって、耐摩耗性の向上、電気抵抗率の低下等、金属系ナノ粒子(X)による各種効果が良好に発揮されるものと推察される。
<グリース>
グリースは、本実施形態の組成物において分散媒として挙げたものを、適宜用いることができる。
これらの中でも、耐熱性等の観点から、ポリウレアグリースを用いることが好ましい。
また、ポリウレアグリースの中でも、脂肪族ジウレアグリースを用いることがより好ましい。
なお、グリースを構成する潤滑油基油としては、本実施形態において分散媒として挙げたものを適宜用いることができる。
<添加剤>
本実施形態のグリース組成物は、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で、グリースに配合される一般的な添加剤を含有していてもよい。
このような添加剤としては、例えば、酸化防止剤、防錆剤、極圧剤、増粘剤、固体潤滑剤、清浄分散剤、腐食防止剤、金属不活性剤等が挙げられる。
これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<グリース組成物の物性>
(耐摩耗性)
本実施形態のグリース組成物は、後述する実施例に記載の摩耗試験による摩耗痕径(平均)が、好ましくは260μm以下、より好ましくは250μm以下、更に好ましくは240μm以下である。
(摩擦係数)
本実施形態のグリース組成物は、後述する実施例に記載の摩耗試験による摩擦係数が、好ましくは0.100以下、より好ましくは0.090以下、更に好ましくは0.080以下、より更に好ましくは0.070以下である。
(体積抵抗率)
本実施形態のグリース組成物は、後述する実施例に記載の方法により測定される体積抵抗率が、好ましくは1.0×1013Ωcm未満、より好ましくは1.5×1012Ωcm以下、更に好ましくは1.2×1012Ωcm以下である。
[グリース組成物の用途]
本実施形態のグリース組成物は、耐摩耗性に優れる。
そのため、本実施形態のグリース組成物は、例えば、すべり軸受、ころがり軸受、含油軸受、流体軸受等の各種軸受、減速機、歯車、内燃機関、ブレーキ、トルク伝達装置用部品、流体継ぎ手、圧縮装置用部品、チェーン、油圧装置用部品、真空ポンプ装置用部品、時計部品、ハードディスク用部品、冷凍機用部品、切削機用部品、圧延機用部品、絞り抽伸機用部品、転造機用部品、自動車用部品、鍛造機用部品、熱処理機用部品、熱媒体用部品、洗浄機用部品、ショックアブソーバー機用部品、密封装置用部品等に好適に使用することができる。
また、本実施形態のグリース組成物は、電気伝導性に優れる金属系ナノ粒子(X)を用いる場合、電気抵抗率が低く、電気伝導性に優れる。そのため、本実施形態のグリース組成物は、電食防止に用いることができる。換言すれば、本実施形態のグリース組成物は、電食防止グリースとして用いることができる。
電気伝導性に優れる金属系ナノ粒子(X)の代表的なものとしては、窒化チタンナノ粒子、二硫化タングステンナノ粒子等が挙げられるが、電気伝導性に優れる金属系ナノ粒子(X)はこれらには限定されず、電気伝導性に優れる材料から構成されるものを適宜採用することができる。
[グリース組成物を用いる潤滑方法]
本実施形態のグリース組成物を用いる潤滑方法としては、好ましくは、前記グリース組成物を、前述した各用途で使用される装置に充填し、当該各装置に係る各部品間を潤滑する方法が挙げられる。
[グリース組成物の製造方法]
本実施形態のグリース組成物の製造方法としては、例えば、下記製造方法4~8が挙げられる。これらの中でも、グリース組成物の製造のしやすさ等の観点から、下記製造方法5~8が好ましい。
(製造方法4)
下記工程(S4-1)及び(S4-2)を含む、グリース組成物の製造方法。
・工程(S4-1):ポリマー(Y)及び有機溶媒の存在下で金属系ナノ粒子(X)の前駆体を分散処理し、グリース組成物用の添加剤組成物を調製する工程
・工程(S4-2):グリースと、前記グリース組成物用の添加剤組成物とを混合した後、前記有機溶媒を揮発させる工程
なお、工程(S4-2)と同時に、又は工程(S4-2)の後に、グリース組成物に配合される一般的な添加剤を配合するようにしてもよい。
また、グリースと、前記グリース組成物用の添加剤組成物との混合は、例えばロールミル等により行われる。
(製造方法5)
下記工程(S5-1)及び(S5-2)を含む、グリース組成物の製造方法。
・工程(S5-1):ポリマー(Y)及び潤滑油基油の存在下で金属系ナノ粒子(X)の前駆体を分散処理し、グリース組成物用の添加剤組成物を調製する工程
・工程(S5-2):グリースと、前記グリース組成物用の添加剤組成物とを混合する工程
なお、工程(S5-2)と同時に、又は工程(S5-2)の後に、グリース組成物に配合される一般的な添加剤を配合するようにしてもよい。
また、グリースと、前記グリース組成物用の添加剤組成物との混合は、例えばロールミル等により行われる。
(製造方法6)
下記工程(S6-1)、下記工程(S6-2)、及び下記工程(S6-3)を含む、グリース組成物の製造方法。
・工程(S6-1):ポリマー(Y)及び有機溶媒の存在下で金属系ナノ粒子(X)の前駆体を分散処理し、前記有機溶媒を分散媒とする添加剤組成物1を調製する工程
・工程(S6-2):潤滑油基油と、前記添加剤組成物1とを混合した後、前記有機溶媒を揮発させて、前記潤滑油基油を分散媒とする添加剤組成物2を調製する工程
・工程(S6-3):グリースと、前記添加剤組成物2とを混合する工程
なお、工程(S6-3)と同時に、又は工程(S6-3)の後に、グリース組成物に配合される一般的な添加剤を配合するようにしてもよい。
また、グリースと、前記添加剤組成物2との混合は、例えばロールミル等により行われる。
(製造方法7)
下記工程(S7-1)及び(S7-2)を含む、グリース組成物の製造方法。
・工程(S7-1):ポリマー(Y)及び潤滑油基油の存在下で金属系ナノ粒子(X)の前駆体を分散処理し、前記潤滑油基油を分散媒とする添加剤組成物を調製する工程
・工程(S7-2):潤滑油基油(α)と増ちょう剤(β)とからグリースを製造する際に、前記潤滑油基油(α)として前記添加剤組成物を用いるか、又は前記潤滑油基油(α)に前記添加剤組成物を混合して用いる工程
なお、工程(S7-2)と同時に、又は工程(S7-2)の後に、グリース組成物に配合される一般的な添加剤を配合するようにしてもよい。
(製造方法8)
下記工程(S8-1)、下記工程(S8-2)、及び下記工程(S8-3)を含む、グリース組成物の製造方法。
・工程(S8-1):ポリマー(Y)及び有機溶媒の存在下で金属系ナノ粒子(X)の前駆体を分散処理し、前記有機溶媒を分散媒とする添加剤組成物1を調製する工程
・工程(S8-2):潤滑油基油と、前記添加剤組成物1とを混合した後、前記有機溶媒を揮発させて、前記潤滑油基油を分散媒とする添加剤組成物2を調製する工程
・工程(S8-3):潤滑油基油(α)と増ちょう剤(β)とからグリースを製造する際に、前記潤滑油基油(α)として前記添加剤組成物2を用いるか、又は前記潤滑油基油(α)に前記添加剤組成物2を混合して用いる工程
なお、工程(S8-3)と同時に、又は工程(S8-3)の後に、グリース組成物に配合される一般的な添加剤を配合するようにしてもよい。
[提供される本発明の一態様]
本発明の一態様では、下記[1]~[15]が提供される。
[1] 金属系ナノ粒子(X)と、ポリマー(Y)と、分散媒とを含有し、
前記ポリマー(Y)は、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーであり、
前記金属系ナノ粒子(X)と、前記ポリマー(Y)とが、分散媒中に分散されており、
潤滑油組成物用の添加剤組成物、グリース組成物用の添加剤組成物、潤滑油組成物、又はグリース組成物として用いられる、組成物。
[2] 前記金属系ナノ粒子(X)が、遷移金属元素並びに第12族から第15族の金属元素及び半金属元素からなる群から選択される1種以上の金属元素(x1)からなる金属ナノ粒子、前記金属元素(x1)の酸化物からなるナノ粒子、前記金属元素(x1)の窒化物からなるナノ粒子、前記金属元素(x1)の硫化物からなるナノ粒子、前記金属元素(x1)の炭化物からなるナノ粒子、及び前記金属元素(x1)のホウ素化物からなるナノ粒子からなる群から選択される1種以上の金属系ナノ粒子(X1)を含む、上記[1]に記載の組成物。
[3] 前記ポリマー(Y)は、下記モノマー(ya)由来の構成単位、下記モノマー(yb)由来の構成単位、及び下記モノマー(yc)由来の構成単位からなる群から選択される2種以上を含むポリマー(Y1)、並びに、下記モノマー(yb)由来の構成単位を含むポリマー(Y2)からからなる群から選択される1種以上である、上記[1]又は[2]に記載の組成物。
・モノマー(ya):炭素数12~30のオレフィン
・モノマー(yb):水素原子の少なくとも1つが炭素数12~30の鎖状アルキル基で置換されている含窒素ヘテロ環基を有するビニルモノマー
・モノマー(yc):水素原子のいずれもが炭素数12~30の鎖状アルキル基で置換されていない含窒素ヘテロ環基を有するビニルモノマー
[4] 前記ポリマー(Y1)が、前記モノマー(ya)由来の構成単位及び下記モノマー(yc)由来の構成単位を含む、上記[3]に記載の組成物。
[5] 前記モノマー(ya)は、炭素数12~30の直鎖α-オレフィンを含む、上記[3]又は[4]に記載の組成物。
[6] 前記含窒素ヘテロ環基が、ピロリドン環から水素原子を1つ取り除いた1価の基である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] 前記ポリマー(Y)と前記金属系ナノ粒子(X)との含有比率[(Y)/(X)]が、質量比で、0.2以上である、上記[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8] 上記[1]~[7]のいずれかに記載の組成物を製造する方法であって、
下記工程(1)を含み、
・工程(1):ポリマー(Y)並びに有機溶媒及び潤滑油基油からなる群から選択される1種以上の液体分散媒の存在下で金属系ナノ粒子(X)の前駆体を分散処理する工程
前記ポリマー(Y)は、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーである、製造方法。
[9] 前記組成物が、前記潤滑油組成物用の添加剤組成物又は前記グリース組成物用の添加剤組成物であり、
前記分散媒が、有機溶媒及び潤滑油基油からなる群から選択される1種以上である、上記[1]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[10] 耐摩耗剤として用いられる、上記[9]に記載の組成物。
[11] 金属系ナノ粒子(X)と、ポリマー(Y)と、潤滑油基油とを含有し、
前記ポリマー(Y)は、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーであり、
前記金属系ナノ粒子(X)と、前記ポリマー(Y)とが、潤滑油基油中に分散されている、潤滑油組成物。
[12] 金属系ナノ粒子(X)の平均粒径が600nm未満である、上記[11]に記載の潤滑油組成物。
[13] 金属系ナノ粒子(X)と、ポリマー(Y)と、グリースとを含有し、
前記ポリマー(Y)は、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーであり、
前記金属系ナノ粒子(X)と、前記ポリマー(Y)とが、グリース中に分散されている、グリース組成物。
[14] 体積抵抗率が、1.0×1013Ωcm未満である、上記[13]に記載のグリース組成物。
[15] 電食防止に用いられる、上記[14]に記載のグリース組成物。
本発明について、以下の実施例により具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
1.金属系ナノ粒子(X)の分散性に関する検討
金属系ナノ粒子(X)の分散性に対するポリマー種の影響について検討した。
<原料>
「1.金属系ナノ粒子(X)の分散性に関する検討」において、潤滑油組成物用の添加剤組成物(以下、「添加剤組成物」ともいう)及び潤滑油組成物を製造する際に使用した有機溶媒、潤滑油基油、金属系ナノ粒子(X)、及びポリマーの詳細を以下に示す。
(有機溶媒)
n-ヘプタンを用いた。以降の説明では、「ヘプタン」と略記する。
(潤滑油基油)
炭化水素系鉱油(40℃動粘度:17.8mm/s)を用いた。
潤滑油基油の40℃動粘度は、JIS K2283:2000に準拠して測定した。
(金属系ナノ粒子(X)の前駆体)
・「ZnO」:酸化亜鉛ナノ粒子(イオリテック社製、商品名:酸化亜鉛、型番:NO-0011-HP、一次粒径=20nm)
(ポリマー(Y))
・「ポリマー(Y1)」:Antaron V-220(アシュランド・ジャパン株式会社製)
Antaron V-220は、1-エイコセンとN-ビニルピロリドンとの共重合体である。
・「ポリマー(Y2)」:Antaron V-216(アシュランド・ジャパン株式会社製)
Antaron V-216は、N-ビニルピロリドンを構成する窒素原子に結合していない水素原子(ヘテロ環を構成する炭素原子に結合する水素原子)の1つが、ヘキサデシル基で置換された化合物の重合体である。
(ポリマー(Y’))
・「ポリマー(Y’1)」:マリアリム AWS-0851(日油株式会社製、高分子ポリカルボン酸)
・「ポリマー(Y’2)」:メチルメタクリレート、N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、及びドデシルメタクリレートの共重合体(以降の説明では、「アクリレートポリマー」ともいう。)
・「ポリマー(Y’3)」:エスリーム AD-508E(日油株式会社製、高分子アミン化合物)
・「ポリマー(Y’4)」:SOLSPERSE 76500(ルーブリゾール株式会社製、櫛形ウレタン系分散剤)
・「ポリマー(Y’5)」:エマルゲン A-90(花王株式会社製、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル)
・「ポリマー(Y’6)」:マリアリム AAB-0851(日油株式会社製、高分子ポリカルボン酸)
[製造例1-1~1-3、比較製造例1-1~1-6]
「1.金属系ナノ粒子(X)の分散性に関する検討」における、潤滑油組成物用の添加剤組成物(以下、単に「添加剤組成物」ともいう)及び潤滑油組成物の製造方法を以下に示す。
なお、以下の製造例において、添加剤組成物中の金属系ナノ粒子(X)の含有量は1質量%(添加剤組成物全量基準)、ポリマーの含有量は2質量%(添加剤組成物全量基準)になるように調製した。
また、以下の製造例において、潤滑油組成物中の金属系ナノ粒子(X)の含有量は1質量%(潤滑油組成物全量基準)、ポリマーの含有量は2質量%(潤滑油組成物全量基準)となるように調製した。
<製造例1-1>
(製造例A1-1:添加剤組成物(A1-1)の調製)
ジルコニア製の容器(100mL容)に、ヘプタン31.0g、ZnO0.32g、ポリマー(Y2)0.64g、ジルコニアビーズ(1)(粒径:0.05mm)152gを入れ、2,000rpmで1.5時間ビーズミル処理を行った。ビーズミル処理は室温(25℃)環境下で実施した。次いで、ビーズミル処理により得られた液体を金属メッシュの濾過器で濾過処理してジルコニアビーズを除去し、添加剤組成物(A1-1)を得た。
(製造例B1-1:潤滑油組成物(B1-1)の調製)
添加剤組成物(A1-1)の一部を分取し、最終的に潤滑油組成物中の金属系ナノ粒子(X)とポリマーとが上記含有量となるように潤滑油基油を添加して混和したのち、ヘプタンを揮発させて潤滑油組成物(B1-1)を得た。
<製造例1-2>
(製造例A1-2:添加剤組成物(A1-2)の調製)
ジルコニアビーズ(1)をジルコニアビーズ(2)(粒径:0.10mm)152gに変更し、製造例A1-1と同様の方法で、添加剤組成物(A1-2)を得た。
(製造例B1-2:潤滑油組成物(B1-2)の調製)
添加剤組成物(A1-1)を添加剤組成物(A1-2)に変更し、製造例B1-1と同様の方法で、潤滑油組成物(B1-2)を得た。
<製造例1-3>
(製造例A1-3:添加剤組成物(A1-3)の調製)
ポリマー(Y2)をポリマー(Y1)に変更し、製造例A1-1と同様の方法で、添加剤組成物(A1-3)を得た。
(製造例B1-3:潤滑油組成物(B1-3)の調製)
添加剤組成物(A1-1)を添加剤組成物(A1-3)に変更し、製造例B1-1と同様の方法で、潤滑油組成物(B1-3)を得た。
<比較製造例1-1>
(比較製造例A’1-1:添加剤組成物(A’1-1)の調製)
ポリマー(Y2)をポリマー(Y’1)に変更し、ジルコニアビーズ(1)をジルコニアビーズ(2)(粒径:0.10mm)152gに変更し、製造例A1-1と同様の方法で、添加剤組成物(A’1-1)を得た。
(製造例B’1-1:潤滑油組成物(B’1-1)の調製)
添加剤組成物(A1-1)を添加剤組成物(A’1-1)に変更し、製造例B1-1と同様の方法で、潤滑油組成物(B’1-1)を得た。
<比較製造例1-2>
(比較製造例A’1-2:添加剤組成物(A’ 1-2)の調製)
ポリマー(Y2)をポリマー(Y’2)に変更し、ジルコニアビーズ(1)をジルコニアビーズ(2)(粒径:0.10mm)152gに変更し、製造例A1-1と同様の方法で、添加剤組成物(A’1-2)を得た。
(製造例B’ 1-2:潤滑油組成物(B’1-2)の調製)
添加剤組成物(A-1)を添加剤組成物(A’ 1-2)に変更し、製造例B1-1と同様の方法で、潤滑油組成物(B’1-2)を得た。
<比較製造例1-3>
(比較製造例A’1-3:添加剤組成物(A’1-3)の調製)
ポリマー(Y2)をポリマー(Y’3)に変更し、ジルコニアビーズ(1)をジルコニアビーズ(2)(粒径:0.10mm)152gに変更し、製造例A1-1と同様の方法で、添加剤組成物(A’1-3)を得た。
<比較製造例1-4>
(比較製造例A’1-4:添加剤組成物(A’1-4)の調製)
ポリマー(Y2)をポリマー(Y’4)に変更し、ジルコニアビーズ(1)をジルコニアビーズ(2)(粒径:0.10mm)152gに変更し、製造例A1-1と同様の方法で、添加剤組成物(A’1-4)を得た。
<比較製造例1-5>
(比較製造例A’1-5:添加剤組成物(A’1-5)の調製)
ポリマー(Y2)をポリマー(Y’5)に変更し、ジルコニアビーズ(1)をジルコニアビーズ(2)(粒径:0.10mm)152gに変更し、製造例A1-1と同様の方法で、添加剤組成物(A’1-5)を得た。
<比較製造例1-6>
(比較製造例A’1-6:添加剤組成物(A’1-6)の調製)
ポリマー(Y2)をポリマー(Y’6)に変更し、ジルコニアビーズ(1)をジルコニアビーズ(2)(粒径:0.10mm)152gに変更し、製造例A1-1と同様の方法で、添加剤組成物(A’1-6)を得た。
[実施例1-1~1-3、比較例1-1~1-6]
上記製造例により得られた各添加剤組成物及び各潤滑油組成物について、以下の検討を行った。
<分散性の検討1:添加剤組成物中における分散状態の検討>
製造例A1-1~A1-3及び製造例A’1-1~A’1-6で得られた各添加剤組成物中(ヘプタン中)の金属系ナノ粒子(X)の分散状態を目視で確認し、以下の基準により評価した。
・評価A:沈殿が見られず、分散性が極めて良好であった。
・評価B:沈殿が僅かに見られたものの、分散性は良好であった。
・評価C:沈殿が見られ、分散性は不良であった。
「分散性の検討1」では、評価A又はBである添加剤組成物を合格とした。
また、評価A又はBであった添加剤組成物について、添加剤組成物中(ヘプタン中)の金属系ナノ粒子(X)の平均粒径を測定した。本実施例では、分散媒中に分散した金属系ナノ粒子(X)の平均粒径は、Malvern社製Zetasizer Nano ZSを用いて、動的光散乱法により測定した。測定温度は25℃とした。「平均粒径」は、既述のように、動的光散乱法によって求めた粒度分布における積算値Z-averageでの粒径を意味する。
<分散性の検討2:潤滑油組成物中における分散状態の長期安定性の検討>
潤滑油組成物(B1-1)~(B1-3)、(B’1-1)、及び(B’1-2)を、それぞれ透明な容器に収容して室温(25℃)で静置し、潤滑油組成物中(潤滑油基油中)における金属系ナノ粒子(X)の分散状態の長期安定性を、以下の基準により評価した。
・評価A:30日間以上沈殿が見られなかった。
・評価B:2日間以上沈殿が見られなかったが、30日間経過前に沈殿が見られた。
・評価C:2日間経過前に沈殿が見られた。
「分散性の検討2」では、評価Aである潤滑油組成物を合格とした。
<分散性の検討3:高温環境下における分散状態の検討>
潤滑油組成物(B1-1)~(B1-3)及び(B’1-2)について、薄膜加熱試験を行って、加熱後の金属系ナノ粒子(X)の分散状態について検討した。
薄膜加熱試験は、内径5cmのガラス円柱容器に3ccの潤滑油組成物を入れ、薄膜液状の状態にて恒温槽で空気下、下記条件(1)又は(2)で加熱して実施した。
・条件(1):220℃で12時間加熱
・条件(2):220℃で3時間加熱した後、250℃で1時間加熱
そして、薄膜加熱試験後の潤滑油組成物における沈殿の発生の有無を目視で確認し、沈殿が見られなかったものを評価A、沈殿が見られたものを評価Bとした。
そして、沈殿が見られなかった評価Aの潤滑油組成物について、潤滑油組成物中の金属系ナノ粒子(X)の平均粒径を測定した。潤滑油組成物中の金属系ナノ粒子(X)の平均粒径は、「分散性の検討1」に記載した方法と同様の方法で測定した。
「分散性の検討3」では、条件(1)及び(2)のいずれも評価Aであったものを合格とした。
結果を表1及び表2に示す。
表1及び表2に示す結果から、以下のことがわかる。
ポリマー(Y1)又は(Y2)を用いた実施例1-1~1-3は、「分散性の検討1」、「分散性の検討2」、及び「分散性の検討3」のいずれも合格基準を満たしていた。
これに対し、ポリマー(Y’3)~ポリマー(Y’6)を用いた比較例1-3~1-6は、「分散性の検討1」の合格基準に達しなかった。
また、ポリマー(Y’1)を用いた比較例1-1は、「分散性の検討1」の合格基準に達したものの、「分散性の検討2」の合格基準には達しなかった。
また、ポリマー(Y’2)を用いた比較例1-2は、「分散性の検討1」及び「分散性の検討2」の合格基準に達したものの、「分散性の検討3」の合格基準には達しなかった。比較例1-2の薄膜加熱試験の条件(1)における金属系ナノ粒子(X)の平均粒径の測定結果から、アクリレートポリマーを用いた場合には、高温加熱時において、分散性が悪化して金属系ナノ粒子(X)が凝集しやすく、小粒径を維持できないことがわかる。
以上の結果から、ポリマー(Y1)又は(Y2)を用いることで、分散媒中に金属系ナノ粒子(X)を良好に分散させることができ、潤滑油組成物の使用において想定される高温環境下においても、分散媒中に金属系ナノ粒子(X)を長期にわたり安定して分散させることができることがわかる。
2.耐摩耗性に関する検討(1)
金属系ナノ粒子(X)を分散させた潤滑油組成物について、耐摩耗性を検討した。
[実施例2-1~2-2、比較例2-1]
「1.金属系ナノ粒子(X)の分散性の検討」において製造した潤滑油組成物(B1-1)、(B1-2)、及び(B’1-2)について、以下に説明する方法で、摩耗試験を実施した。
<摩耗試験>
高速往復動摩擦試験機TE77(Phoenix Tribology社製)を用いて、試験プレートと試験球との間に潤滑油組成物を導入し、下記の条件にて、試験球を動かして試験を行い、試験後の試験球の縦方向の摩耗痕径及び横方向の摩耗痕径を測定し、下記式により摩耗痕径の平均値を算出した。
・試験プレート 材質:SUJ2、形状:長さ58mm×幅38mm×厚さ3.9mm
・試験球 材質:SUJ2、直径10mm
・給油条件:油浴、油量3mL
・荷重:50N(300秒間)→100N(300秒間)→150N(300秒間)→200N(300秒間)
・温度:100℃
・振幅:10mm
・振動数:10Hz
摩耗痕径の平均値={(縦方向の摩耗痕径)+(横方向の摩耗痕径)}/2
当該摩耗痕径の値が小さい程、耐摩耗性に優れた潤滑油組成物であるといえる。
なお、摩耗試験は、以下の(1)及び(2)の条件で実施した。
・条件(1):未加熱の潤滑油組成物を使用。
・条件(2):220℃で12時間加熱した潤滑油組成物を使用。
結果を表3に示す。
表3に示す結果から、以下のことがわかる。
ポリマー(Y2)を用いた実施例2-1~2-2は、条件(1)及び(2)のいずれにおいても摩耗痕径が小さく、耐摩耗性に優れていることがわかる。
これに対し、ポリマー(Y’2)を用いた比較例2-1は、条件(2)において摩耗痕径が大きくなってしまうことがわかる。これは、潤滑油組成物を加熱することで金属系ナノ粒子(X)が凝集しやすくなり、金属系ナノ粒子(X)による耐摩耗性の付与効果が大きく低減してしまったことに起因していると考えられる。
3.耐摩耗性に関する検討(2)
「2.耐摩耗性に関する検討(1)」に引き続き、金属系ナノ粒子(X)を分散させた潤滑油組成物の耐摩耗性についてさらに検討した。
<原料>
「3.耐摩耗性に関する検討(2)」において、潤滑油組成物を製造する際に使用した有機溶媒、潤滑油基油、金属系ナノ粒子(X)、及びポリマーの詳細を以下に示す。
(有機溶媒)
ヘプタンを用いた。
(潤滑油基油)
「1.金属系ナノ粒子(X)の分散性に関する検討」と同様、炭化水素系鉱油(40℃動粘度:17.8mm/s)を用いた。
(金属系ナノ粒子(X)の前駆体)
・「ZnO」:酸化亜鉛ナノ粒子(イオリテック社製、商品名:酸化亜鉛、型番:NO-0011-HP)
・「ZrO(1)」:ジルコニアナノ粒子(関東電化工業株式会社製、商品名:ジルコニア粒子、ロット番号:210125-011、一次粒径=8nm)
・「ZrO(2)」:ジルコニアナノ粒子(アルドリッチ社製、商品名:酸化ジルコニウムナノパウダー、型番:544760、一次粒径=100nm)
・「WS」:二硫化タングステンナノ粒子(イオリテック社製、サプライヤコード=NC-0016-HP、一次粒径=90nm、純度99%)
(ポリマー(Y))
・「ポリマー(Y1)」:Antaron V-220(アシュランド・ジャパン株式会社製)
・「ポリマー(Y2)」:Antaron V-216(アシュランド・ジャパン株式会社製)
[製造例3-1~3-8、比較製造例3-1~3-3]
「3.耐摩耗性に関する検討(2)」における、潤滑油組成物の製造方法を以下に示す。
(製造例3-1:潤滑油組成物(B3-1)の調製)
ジルコニア製の容器(100mL容)に、潤滑油基油31.0g、ZnO0.32g、ポリマー(Y2)0.64g、ジルコニアビーズ(1)(粒径:0.05mm)152gを入れ、2,000rpmで1.5時間ビーズミル処理を行った。ビーズミル処理は室温(25℃)環境下で実施した。次いで、ビーズミル処理により得られた液体を金属メッシュの濾過器で濾過処理してジルコニアビーズを除去し、潤滑油組成物(B3-1)を得た。
(製造例3-2:潤滑油組成物(B3-2)の調製)
ジルコニアビーズ(1)をジルコニアビーズ(2)(粒径:0.10mm)152gに変更し、製造例3-1と同様の方法で、潤滑油組成物(B3-2)を得た。
(製造例3-3:潤滑油組成物(B3-3)の調製)
ジルコニア製の容器(100mL容)に、ヘプタン31.0g、ZrO(1)0.32g、ポリマー(Y2)0.64g、ジルコニアビーズ(1)(粒径:0.05mm)152gを入れ、2,000rpmで1.5時間ビーズミル処理を行った。ビーズミル処理は室温(25℃)環境下で実施した。次いで、ビーズミル処理により得られた液体を金属メッシュの濾過器で濾過処理してジルコニアビーズを除去し、添加剤組成物(A3-3)を得た。
次いで、添加剤組成物(A3-3)の一部を分取し、最終的に潤滑油組成物中の金属系ナノ粒子(X)とポリマーとが表4に記載の含有量となるように潤滑油基油を添加して混和したのち、ヘプタンを揮発させて潤滑油組成物(B3-3)を得た。
(製造例3-4:潤滑油組成物(B3-4)の調製)
ポリマー(Y2)をポリマー(Y1)に変更し、製造例3-3と同様の方法で、潤滑油組成物(B3-4)を得た。
(製造例3-5:潤滑油組成物(B3-5)の調製)
ポリマー(Y1)の添加量を0.32gに変更し、製造例3-4と同様の方法で、潤滑油組成物(B3-5)を得た。
(製造例3-6:潤滑油組成物(B3-6)の調製)
ジルコニアビーズ(1)をジルコニアビーズ(2)(粒径:0.10mm)152gに変更し、製造例3-4と同様の方法で、潤滑油組成物(B3-6)を得た。
(製造例3-7:潤滑油組成物(B3-7)の調製)
ZrO(1)をZrO(2)に変更し、ポリマー(Y1)の添加量を0.13gに変更し、ジルコニアビーズ(1)をジルコニアビーズ(3)(粒径:0.20mm)152gに変更し、製造例3-4と同様の方法で、潤滑油組成物(B3-7)を得た。
(製造例3-8:潤滑油組成物(B3-8)の調製)
ZnO(1)をWSに変更し、ジルコニアビーズ(1)をジルコニアビーズ(3)(粒径:0.20mm)152gに変更し、製造例3-3と同様の方法で、潤滑油組成物(B3-8)を得た。
(比較製造例3-1:潤滑油組成物(B’3-1)の調製)
潤滑油基油99質量%とポリマー(Y1)1質量%とを混合し、潤滑油組成物(B’3-1)を得た。
(比較製造例3-2:潤滑油組成物(B’3-2)の調製)
潤滑油基油99.39質量%とジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)0.61質量%とを混合し、潤滑油組成物(B’3-2)を得た。
(比較製造例3-3:潤滑油組成物(B’3-3)の調製)
潤滑油基油99.95質量%とジルコニウム錯体0.05質量%とを混合し、潤滑油組成物(B’3-3)を得た。
[実施例3-1~3-8、比較例3-1~3-4]
上記製造例により得られた各潤滑油組成物及び潤滑油基油について、「2.耐摩耗性に関する検討(1)」と同様の摩耗試験(但し、条件(1)のみ)を実施して摩耗痕径を測定し、摩耗痕径(平均)が470μm以下であるものを合格とした。
また、「1.金属系ナノ粒子(X)の分散性に関する検討」に記載した測定方法と同様の方法で、潤滑油組成物中(潤滑油基油中)における金属系ナノ粒子(X)の平均粒径を測定した。
結果を表4及び表5に示す。
表4及び表5から以下のことがわかる。
実施例3-1~3-8では、いずれも摩耗痕径(平均)が470μm以下であり、耐摩耗性に優れていることがわかる。
これに対し、比較例3-1~3-4では、いずれも摩耗痕径(平均)が470μm超であり、耐摩耗性に劣ることがわかる。
ここで、比較例3-3~3-4で使用したZnDTP及びジルコニウム錯体は、潤滑油組成物に一般的に配合される耐摩耗剤であるが、本実施例では、これらの耐摩耗剤を凌ぐ耐摩耗性が得られていることがわかる。
4.グリース組成物に関する検討
グリース組成物用の添加剤組成物(以下、単に「添加剤組成物」ともいう)をグリース組成物に添加した場合の効果について各種検討を行った。
<原料>
「4.グリース組成物に関する検討」において、グリース組成物を製造する際に使用した有機溶媒、潤滑油基油、金属系ナノ粒子(X)、ポリマー、及びグリースの詳細を以下に示す。
(有機溶媒)
ヘプタンを用いた。
(潤滑油基油)
アルキル化ジフェニルエーテル(モレスコ社製モレスコハイルーブLB-100)を用いた。
(金属系ナノ粒子(X)の前駆体)
・「TiN」:窒化チタンナノ粒子(イーエムジャパン株式会社製、一次粒径=20nm、純度=99.2%以上)
・「WS」:二硫化タングステンナノ粒子(イオリテック社製、サプライヤコード=NC-0016-HP、一次粒径=90nm、純度99%)
(金属系粉体(X’))
・「粉TiN」:平均粒径2μmの窒化チタン粒子
・「粉WS」:平均粒径2μmの窒化チタン粒子
・「カーボンブラック」:平均粒径2μmのカーボン粒子
(ポリマー(Y))
・「ポリマー(Y2)」:Antaron V-216(アシュランド・ジャパン株式会社製)
(ポリマー(Y’))
・「ポリマー(Y’2)」:アクリレートポリマー
(基グリース)
基油がアルキル化ジフェニルエーテル(上記潤滑油基油と同様の基油)であり、増ちょう剤が脂肪族ジウレアである基グリースを用いた。増ちょう剤と基油の混合比率は、質量比で、1:5である。
なお、脂肪族ジウレアは、オクチルアミン及びジフェニルメタンジイソシアネートから合成される脂肪族ジウレアとした。
[製造例4-1~4-2、比較製造例4-1~4-4]
「4.グリース組成物に関する検討」における、グリース組成物の製造方法を以下に示す。
<製造例4-1:グリース組成物(C4-1)の調製>
(製造例A4-1:添加剤組成物(A4-1)の調製)
ジルコニア製の容器(100mL容)に、ヘプタン17.6g、TiN4.8g、ポリマー(Y2)9.6g、ジルコニアビーズ(粒径:0.05mm)152gを入れ、2,000rpmで1.5時間ビーズミル処理を行った。ビーズミル処理は室温(25℃)環境下で実施した。次いで、ビーズミル処理により得られた液体を金属メッシュのろ過器で濾過処理してジルコニアビーズを除去した。
次いで、ジルコニアビーズを除去した液体に潤滑油基油を混合し、ペンタンを揮発させて、金属系ナノ粒子(X)の含有量が20質量%である添加剤組成物(A4―1)を調製した。
(製造例C4-1:グリース組成物(C4-1)の調製)
基グリースと添加剤組成物(A4―1)を、グリース組成物中の金属系ナノ粒子(X)の含有量が、グリース組成物の全量基準で、4質量%となるように混合し、グリース組成物(C4-1)を得た。
<製造例4-2:グリース組成物(C4-2)の調製>
(製造例A4-2:添加剤組成物(A4-2)の調製)
TiNをWSに変更し、ジルコニアビーズ(1)をジルコニアビーズ(3)(粒径:0.20mm)152gに変更し、製造例A4-1と同様の方法で添加剤組成物(A4-2)を得た。
(製造例C4-2:グリース組成物(C4-2)の調製)
添加剤組成物(A4-1)を添加剤組成物(A4-2)に変更し、製造例C4-1と同様の方法で、グリース組成物(C4-2)を得た。
<比較製造例4-1:グリース組成物(C’4-1)の調製>
粉TiNと潤滑油基油とを混合して得られた混合液を調製し、当該混合液と基グリースとを、グリース組成物中の粉TiNの含有量が、グリース組成物の全量基準で、4質量%となるように混合し、ペンタンを揮発させて、グリース組成物(C’4-1)を得た。
<比較製造例4-2:グリース組成物(C’4-2)の調製>
粉WSと潤滑油基油とを混合して得られた混合液を調製し、当該混合液と基グリースとを、グリース組成物中の粉WSの含有量が、グリース組成物の全量基準で、4質量%となるように混合し、ペンタンを揮発させて、グリース組成物(C’4-2)を得た。
<比較製造例4-3:グリース組成物(C’4-3)の調製>
カーボンと潤滑油基油とを混合して得られた混合液を調製し、当該混合液と基グリースとを、グリース組成物中のカーボンの含有量が、グリース組成物の全量基準で、4質量%となるように混合し、ペンタンを揮発させて、グリース組成物(C’4-3)を得た。
<比較製造例4-4:グリース組成物(C’4-4)の調製>
(比較製造例A’4-4:添加剤組成物(A’4-4)の調製)
ポリマー(Y2)をポリマー(Y’2)に変更し、製造例A4-1と同様の方法で添加剤組成物(A’4-4)を得た。
(比較製造例C’4-4:グリース組成物(C’4-4)の調製)
添加剤組成物(A4-1)を添加剤組成物(A’4-4)に変更し、製造例C4-1と同様の方法で、グリース組成物(C’4-4)を得た。
[実施例4-1~4-2、比較例4-1~4-5]
上記製造例で調製した各グリース組成物及び基グリースについて、以下の検討を行った。
<体積抵抗率の評価>
株式会社エーティーシー製デジタル超高抵抗/微小電流計(ADCMT5451)と、抵抗試料箱(ADCMT12707)を用いて、12707用専用電極により、下記条件で体積抵抗率の測定を行った。
測定電圧:40V、試料量:0.8g
<摩耗試験>
高速往復動摩擦試験機TE77(Phoenix Tribology社製)を用いて、試験プレートと試験球との間にグリース組成物を導入し、下記の条件にて、試験球を動かして試験を行い、試験後の試験球の縦方向の摩耗痕径及び横方向の摩耗痕径を測定し、下記式により摩耗痕径の平均値を算出した。
・試験プレート 材質:SUJ2、形状:長さ58mm×幅38mm×厚さ3.9mm
・試験球 材質:SUJ2、直径10mm
・給脂条件:グリース浴、グリース量3mL
・荷重:50N(300秒間)
・温度:100℃
・振幅:10mm
・振動数:10Hz
摩耗痕径の平均値={(縦方向の摩耗痕径)+(横方向の摩耗痕径)}/2
当該摩耗痕径の値が小さい程、耐摩耗性に優れたグリース組成物であるといえる。
また、摩擦係数の値が小さい程、摩擦特性に優れたグリース組成物であるといえる。
結果を表6に示す。
なお、表6には、製造例4-1、製造例4-2、及び比較製造例4-4において、ヘプタンに金属系ナノ粒子(X)を分散させた際の平均粒径の測定結果も掲載した。平均粒径の測定は、「1.金属系ナノ粒子(X)の分散性に関する検討」と同様とした。
表6より、以下のことがわかる。
実施例4-1及び4-2のグリース組成物は、電気伝導性が高く、摩擦摩耗特性に優れることがわかる。
これに対し、比較例4-1~比較例4-5のグリース組成物は、電気伝導性が低く、摩擦摩耗特性が劣ることがわかる。
なお、実施例4-1と比較例4-4との比較から、本実施例のグリース組成物は、金属系ナノ粒子(X)が高度に分散している結果として、体積抵抗率が低く、耐摩耗性にも優れるものと考えられる。

Claims (15)

  1. 金属系ナノ粒子(X)と、ポリマー(Y)と、分散媒とを含有し、
    前記ポリマー(Y)は、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーであり、
    前記金属系ナノ粒子(X)と、前記ポリマー(Y)とが、分散媒中に分散されており、
    潤滑油組成物用の添加剤組成物、グリース組成物用の添加剤組成物、潤滑油組成物、又はグリース組成物として用いられる、組成物。
  2. 前記金属系ナノ粒子(X)が、遷移金属元素並びに第12族から第15族の金属元素及び半金属元素からなる群から選択される1種以上の金属元素(x1)からなる金属ナノ粒子、前記金属元素(x1)の酸化物からなるナノ粒子、前記金属元素(x1)の窒化物からなるナノ粒子、前記金属元素(x1)の硫化物からなるナノ粒子、前記金属元素(x1)の炭化物からなるナノ粒子、及び前記金属元素(x1)のホウ素化物からなるナノ粒子からなる群から選択される1種以上の金属系ナノ粒子(X1)を含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記ポリマー(Y)は、下記モノマー(ya)由来の構成単位、下記モノマー(yb)由来の構成単位、及び下記モノマー(yc)由来の構成単位からなる群から選択される2種以上を含むポリマー(Y1)、並びに、下記モノマー(yb)由来の構成単位を含みかつ下記モノマー(ya)由来の構成単位及び下記モノマー(yc)由来の構成単位を含まないポリマー(Y2)からからなる群から選択される1種以上である、請求項1又は2に記載の組成物。
    ・モノマー(ya):炭素数12~30のオレフィン
    ・モノマー(yb):水素原子の少なくとも1つが炭素数12~30の鎖状アルキル基で置換されている含窒素ヘテロ環基を有するビニルモノマー
    ・モノマー(yc):水素原子のいずれもが炭素数12~30の鎖状アルキル基で置換されていない含窒素ヘテロ環基を有するビニルモノマー
  4. 前記ポリマー(Y1)が、前記モノマー(ya)由来の構成単位及び下記モノマー(yc)由来の構成単位を含む、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記モノマー(ya)は、炭素数12~30の直鎖α-オレフィンを含む、請求項3又は4に記載の組成物。
  6. 前記含窒素ヘテロ環基が、ピロリドン環から水素原子を1つ取り除いた1価の基である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 前記ポリマー(Y)と前記金属系ナノ粒子(X)との含有比率[(Y)/(X)]が、質量比で、0.2以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物を製造する方法であって、
    下記工程(1)を含み、
    ・工程(1):ポリマー(Y)並びに有機溶媒及び潤滑油基油からなる群から選択される1種以上の液体分散媒の存在下で金属系ナノ粒子(X)の前駆体を分散処理する工程
    前記ポリマー(Y)は、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーである、製造方法。
  9. 前記組成物が、前記潤滑油組成物用の添加剤組成物又は前記グリース組成物用の添加剤組成物であり、
    前記分散媒が、有機溶媒及び潤滑油基油からなる群から選択される1種以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 耐摩耗剤として用いられる、請求項9に記載の組成物。
  11. 金属系ナノ粒子(X)と、ポリマー(Y)と、潤滑油基油とを含有し、
    前記ポリマー(Y)は、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーであり、
    前記金属系ナノ粒子(X)と、前記ポリマー(Y)とが、潤滑油基油中に分散されている、潤滑油組成物。
  12. 金属系ナノ粒子(X)の平均粒径が600nm未満である、請求項11に記載の潤滑油組成物。
  13. 金属系ナノ粒子(X)と、ポリマー(Y)と、グリースとを含有し、
    前記ポリマー(Y)は、炭素数10~28の鎖状アルキル基及び含窒素ヘテロ環基を有するビニルポリマーであり、
    前記金属系ナノ粒子(X)と、前記ポリマー(Y)とが、グリース中に分散されている、グリース組成物。
  14. 体積抵抗率が、1.0×1013Ωcm未満である、請求項13に記載のグリース組成物。
  15. 電食防止に用いられる、請求項14に記載のグリース組成物。
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