JP2023151548A - 脳活動状態判定装置及び脳活動状態判定用プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】従来以上に簡便で正確な判定を可能とする脳活動状態判定装置を提供する。【解決手段】時系列データのカオス性を判定する指標であるカオス指標値を算出するカオス指標値算出手段201と、脳に対する負荷が基準値データを得る状態である第1の状態とされた被験者から得られるRRIデータを前記カオス指標値算出手段201へ与えて得られる出力を基準値データとして記憶装置に保持させ、脳に対する負荷が評価対象データを得る状態である第2の状態とされた判定対象者から得られるRRIデータを前記カオス指標値算出手段201へ与えて評価対象データである判定対象カオス指標値を得て、前記基準値データと前記判定対象カオス指標値との比である指標値比を算出し、脳活動状態を判定するために脳活動閾値と前記指標値比との比較に基づき前記判定対象者の脳活動状態を判定する判定手段205と、を具備する。【選択図】図3

Description

この発明は、脳活動状態判定装置及び脳活動状態判定用プログラムに関するものである。
従来、脳活動状態は脳波計によって計測判定するものが殆どであり、装置が大型であり、また、測定に時間とコストが必要なものであった。
例えば特許文献1には、脳活動計測システムが開示されている。このシステムでは、頭皮に当接させて使用する脳活動計測用電極5として、頭皮に当接させて電気的情報を取得する機能を有する複数の頭皮接地部と、頭皮接地部の周囲に配置された複数のガイド体と、ウェット電極装着部と、ウェット電極装着部に対して着脱可能なウェット部材と、を備え、ウェット電極装着部にウェット部材が装着された際にウェット電極として使用され、ウェット電極装着部からウェット部材が外された際にドライ電極として使用されるものが開示されている。
この脳活動計測システムは、前記脳活動計測用電極によって得られた脳活動信号に基づいて脳活動を計測する。上記の通りの計測用電極を備えた頭部装着装置は、脳波キャップやヘッドセット等の電極を固定する手段と共に用いられる場合に、被験者の頭部形状によらず電極が正対して頭皮に当接され易く、かつ、ドライ式で計測しにくい場合に簡易に計測可能にするものである。
特許文献2には、被検体の頭部に取り付けられ、近赤外分光分析法(NIRS:Near-infrared spectroscopy)を使用して第一データ及び第二データを収集するセンサ20を用いて構成される脳活動状態モニタリング装置が開示されている。センサ20は、具体的には、波長が約700nmから約900nmの近赤外光を出射する光源及び受光センサを被検体の頭部に密着させ、近赤外光を出射し、受光センサにより受光する。
脳活動状態モニタリング装置は、被検体の脳の活動状態を示しており、第一期間に収集された第一データ及び前記被検体の脳の活動状態を示しており、前記第一期間の後に続く第二期間に収集された第二データを取得するデータ取得部と、マハラノビス距離が定義されている位相平面上における前記第一データの重心を算出する重心算出部を備える。更に、前記第二データについて前記重心からのマハラノビス距離を算出し、前記第二データのマハラノビス距離の経時的な変化を算出する距離算出部、前記第二データのマハラノビス距離が所定の閾値を所定の回数以上超えているか否かを判定する判定部、前記第二データのマハラノビス距離が所定の閾値を所定の回数以上超えていると判定された場合、前記被検体の脳の活動状態を示す情報を出力する出力部と、を備える。
特許文献3には、脳活動活性化方法が開示されている。この方法によって、利用者に、有酸素運動後、適切なタイミングで、認知機能トレーニングすることを促す。
この方法では、コンピュータが、通信部に、所定のバイタルデータを計測する計測装置が装着された利用者のバイタルデータの計測値を計測装置から取得させ、表示部に、利用者の身体機能を向上させる有酸素運動の開始を利用者に促す表示をさせる。そして、バイタルデータの計測値に基づいて、利用者が有酸素運動を行った時間である有酸素運動時間を計測させ、有酸素運動が所定時間以上になった場合に、表示部に、有酸素運動の終了を利用者に促す表示をさせる。また、バイタルデータの計測値または有酸素運動の終了からの経過時間に基づく所定の条件を満たす場合、表示部に、利用者の脳機能を向上させる所定の認知機能トレーニングを行わせる表示をさせる。斯くして、操作部に、利用者が認知機能トレーニングを行っている際の利用者による操作を受け付けさせる。
心拍と脳活動とは関連性を有することから、本願発明者らは、眠気推定をRRIデータに基づき行うことを提案した(特許文献4)。
特許文献5には、EEG信号における心臓アーチファクト情報および脳活動情報に基づいて被験者の睡眠段階を判別するよう構成されたシステムが開示されている。このシステムは、EEG信号に存在する心臓アーチファクトは、誤った睡眠段階判定を引き起こすことがあり、その結果、睡眠中の時機を得ない感覚刺激、刺激の不在、EEG信号情報の長い期間の破棄および/または他の事象につながりかねないという懸念に基づいている。このシステムは、従来技術のシステムと比較してリアルタイムの睡眠段階判定を向上させるおよび/または他の利点を提供するものである。このシステムでは、EEG信号に含まれる心臓活動情報および脳活動情報の両方に基づいて被験者の現在の睡眠段階を決定する。
特開2020-195777号公報 特開2020-130336号公報 特開2020-58725号公報 特開2018-57450号公報 特表2019-503746号公報
上記のように従来の脳活動の観測においては、様々な工夫がなされているものの、簡便さや正確さの観点からは十分なものが提供されていないのが現状である。そこで、本発明は、従来以上に簡便で正確な判定を可能とする脳活動状態判定装置及び脳活動状態判定用プログラムを提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る脳活動状態判定装置は、時系列データのカオス性を判定する指標であるカオス指標値を算出するカオス指標値計算手段と、脳に対する負荷が基準値データを得る状態である第1の状態とされた被験者から得られるRRIデータを前記カオス指標値計算手段へ与えて得られる出力を基準値データとして記憶装置に保持させる基準値データ保持制御手段と、脳に対する負荷が評価対象データを得る状態である第2の状態とされた判定対象者から得られるRRIデータを前記カオス指標値計算手段へ与えて評価対象データである判定対象カオス指標値を得る判定対象カオス指標値計算手段と、前記基準値データと前記判定対象カオス指標値との比である指標値比を算出する指標値比算出手段と、脳活動状態を判定するために脳活動閾値と前記指標値比との比較に基づき前記判定対象者の脳活動状態を判定する判定手段と、を具備することを特徴とする。
本発明の実施形態に係る脳活動状態判定用プログラムは、コンピュータを、時系列データのカオス性を判定する指標であるカオス指標値を算出するカオス指標値計算手段、脳に対する負荷が基準値データを得る状態である第1の状態とされた被験者から得られるRRIデータを前記カオス指標値計算手段へ与えて得られる出力を基準値データとして記憶装置に保持させる基準値データ保持制御手段、脳に対する負荷が評価対象データを得る状態である第2の状態とされた判定対象者から得られるRRIデータを前記カオス指標値計算手段へ与えて評価対象データである判定対象カオス指標値を得る判定対象カオス指標値計算手段、前記基準値データと前記判定対象カオス指標値との比である指標値比を算出する指標値比算出手段、脳活動状態を判定するために脳活動閾値と前記指標値比との比較に基づき前記判定対象者の脳活動状態を判定する判定手段、として機能させることを特徴とする。
被験者に対しある条件1で測定を行った場合の、本発明の実施形態に係る脳活動状態判定装置において用いられるカオス指標値比γのヒストグラム。 被験者に対しある条件2で測定を行った場合の、本発明の実施形態に係る脳活動状態判定装置において用いられるカオス指標値比γのヒストグラム。 本発明に係る脳活動状態判定装置の第1の実施形態の装置構成図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の安静時基準値データを用いる実施形態において、安静時カオス指標値データCCI[1]~CCI[m]を記憶するまでの動作を示す図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の安静時基準値データを用いる実施形態において、安静時基準値データRefR[1]~RefR[m]を記憶するまでの動作を示す図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の安静時基準値データを用いる実施形態において、平均指標値比AVγAを得るまでの動作を示す図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の第2の実施形態の装置構成図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の第3の実施形態の装置構成図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の第4の実施形態の装置構成図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の認知活動時基準値データを用いる実施形態において、安静時カオス指標値データCCI[1]~CCI[m]を記憶するまでの動作を示す図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の認知活動時基準値データを用いる実施形態において、安静時基準値データRefR[1]~RefR[m]を記憶するまでの動作を示す図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の認知活動時基準値データを用いる実施形態において、平均指標値比AVγAを得るまでの動作を示す図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の「認知活動時基準値データを用いる実施形態」による長期の処理結果の一例を示す図。
以下添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る脳活動状態判定装置及び脳活動状態判定用プログラムを説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。本発明の実施形態では、RRIデータ(心拍間隔データ)から算出したカオス指標を用いる。
ここに、カオス指標とは、時系列データのカオス性を判定する指標であり、幾つかを列記すると次の通りである。
以下に、それぞれの指標と、参考文献((5),(6)以外、行の後部に記載)を記載する。
(1)ApEn (近似エントロピー) [1][2][3][4]
(2)SampEn (サンフルエントロピー) [3][4]
(3)Fractal Dimension (フラクタル次元) [5][6]
(4)SD1/SD2 [7][8]
(5)CD (カオス尺度) 特開2018-120488号公報
(6)ICD (修正カオス尺度) 特開2021-064323号公報
<上の6つが論文掲載の6方式>
(7)リアフノフ指数の推定法(Rosensteinの方法) [9]
(8)リアフノフ指数の推定法(Wolfの方法) [10]
(9)リアフノフ指数の推定法(Sano-Sawadaの方法) [11]
<上の3つが代表的なリアフノフ指数推定法>
参考文献
[1] Pincus, S. M. Approximate entropy as a measure of system complexity. PNAS 88, 2297-2301 (1991).
[2] Pincus, S. M., Gladstone, I. M. & Ehrenkranz, R. A. A regularity statistic for medical data analysis. J. Clin. Monit. Comput. 7, 335-345 (1991).
[3] Richman, J. S. & Moorman, J. R. Physiological time-series analysis using approximate entropy and sample entropy. Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol. 278, 2039-2049 (2000).
[4] Delgado-Bonal, A. & Alexander, M. Approximate Entropy and Sample Entropy: A Comprehensive Tutorial. Entropy 21, 541 (2019)
[5] Higuchi, T. Approach to an irregular time series on the basis of the fractal theory. Physica D 31, 277-83 (1998).
[6] Ahammer, H. Higuchi dimension of digital images. PLoS One 6, e0119394 (2011).
[7] Hoshi, R. A.& Pastre, C. M., Vanderlei, L. M. & Godoy, M. F.oacir Fernandes. Poincare plot indexes of heart rate variability: Relationships with other nonlinear variables. Auton. Neurosci. 177, 271 -274 (2013)
[8] Guzik, P. et. al. Correlations between the Poincare plot and conventional heart rate variability parameters assessed during paced breathing. J Physiol Sci. 57, 63-71 (2007).
[9] Michael T. Rosenstein, James J. Collins, Carlo J. De Luca, A practical method for calculating largest Lyapunov exponents from small data sets, Physica D: Nonlinear Phenomena, 65, 117 -134 (1993).
[10] Alan Wolf, Jack B. Swift, Harry L. Swinney, John A. Vastano, Determining Lyapunov exponents from a time series, Physica D: Nonlinear Phenomena, Volume 16 , 285 -317 (1985 )
[11] Sato, Shinichi, Sano, Masaki, Sawada, Yasuji, Practical Methods of Measuring the Generalized Dimension and the Largest Lyapunov Exponent in High Dimensional Chaotic Systems, Theor Phys 77 (1987)
本願発明者らは、RRIデータから得たカオス指標値を用いて脳活動状態判定を行うことが適切であることを確認するために、実験を行った。この実験は、18人の健康な参加者に対して実施した。参加者は20代13名、30代2名、50代3名で、男性15名、女性3名であった。この実験は、京都大学情報学研究科研究倫理委員会の承認を得て実施された(承認番号:KUIS-EAR-2019-006)。
参加者は、RRIを測定できるPolarH10チェストストラップ心拍数センサーを装着し、次の状態でRRIを測定する2つの実験を行った。
Rest(休息):椅子に座り休息します。身体的負荷も精神的負荷もない。
Standing(立位):直立姿勢を維持する。身体的負荷のみが加わる。
Brain Task:椅子に座り認知課題(暗算または数独)を実行する。精神的負荷のみが加わる。
実験1では、暗算を脳課題に使用しました。参加者は、安静(Rest1と表記)で7分間、立位(Standingと表記)で7分間、暗算(Brain Task1と表記)で7分間RRIを測定しました。各状態の間に5分間の休憩が設けられた。参加者はこの実験を5セット繰り返した。
この場合の安静時におけるRRIデータを用いて得たカオス指標値CCIR1を分母とし、立位状態で得られたRRIデータを用いて得たカオス指標値CCISを分子とするカオス指標値比γ(CCIS/CCIR1)を得る。その後に脳タスク状態へ移行してもらい、脳タスク状態でRRIデータを測定する。脳タスク状態では、椅子に座って卓上で暗算(一桁の足し算)を行ってもらった。この場合の安静時におけるRRIデータを用いて得たカオス指標値CCIR1を分母とし、脳タスク状態で得られたRRIデータを用いて得たカオス指標値CCIB1を分子とするカオス指標値比γ(CCIB1/CCIR1)を得る。カオス指標値比γ(CCIS/CCIR1)の度数を青により示し、カオス指標値γ(CCIB1/CCIR1)の度数を赤により示したヒストグラムを図1に示す。カオス指標の種類は、図示の通り、ApEn、SampEn、Fractal Dimension、SD1/SD2、CD、ICDの6種類を用いた。
更に、実験2では、数独を脳課題に使用した。参加者は、安静(Rest2と表記)で7分間、数独(Brain Task2と表記)で7分間RRIを測定した。各状態の間に5分間の休憩が設けられました。参加者はこの実験を5セット繰り返した。
この場合の休息時におけるRRIデータを用いて得たカオス指標値CCIR2を分母とし、脳タスク状態で得られたRRIデータを用いて得たカオス指標値CCIB2を分子とするカオス指標値比γ(CCIB2/CCIR2)を得る。カオス指標値比γ(CCIS/CCIR1)の度数を青により示し、カオス指標値比γ(CCIB2/CCIR2)の度数を赤により示したヒストグラムを図2に示す。カオス指標の種類は、図示の通り、ApEn、SampEn、Fractal Dimension、SD1/SD2、CD、ICDの6種類を用いた。
図1、図2において、いずれのカオス指標を用いた場合にも、立位状態(青)のγよりも脳タスク状態(赤)のγが大きな値であり、概ねγが1の値を境として立位状態(青)と脳タスク状態(赤)が分布していることが理解される。
図3には、本発明に係る脳活動状態判定装置の第1の実施形態の装置構成図が示されている。本実施形態では、時計タイプのスマートウオッチ20に、脳活動状態判定装置の全ての構成を備えさせている。このスマートウオッチ20は、心電図信号のR波に相当する信号を検出するRRIセンサ10を備えており、このRRIセンサ10として、心拍センサを用いることができる。
このRRIセンサ10は、心拍センサ以外に、心電計の心電図信号を取り出す部分の構成や脈波センサを用いても良い。スマートウオッチ20以外の構成を有する脳活動状態判定装置においては、RRIセンサ10は、生体に設けられ、無線或いは有線により心電図信号を検出して、RRI(整形前)を出力するものであっても良い。
スマートウオッチ20はコンピュータの構成を有し、コンピュータによって実現されるカオス指標値計算手段201、基準値データ保持制御手段202、判定対象カオス指標値計算手段203、指標値比算出手段204、判定手段205、記憶装置300を備えている。なお、記憶装置300はクラウド上に存在し、コンピュータであるスマートウオッチ20が記憶装置300と通信してデータの送受を行う構成であっても良い。
カオス指標値計算手段201は、時系列データのカオス性を判定する指標であるカオス指標値を算出するものである。上記カオス指標値計算手段201は、1種または複数種のカオス指標値を算出するものである。ここで、カオス指標の種類としては前述した9種のもの、また、これに同様の指標を加えたものを採用することができる。基準値データ保持制御手段202は、脳に対する負荷が基準値データを得る状態である第1の状態とされた被験者からRRIセンサ10によって得られるRRIデータを上記カオス指標値計算手段201へ与えて、得られる出力を基準値データとして記憶装置300に保持させるものである。
判定対象カオス指標値計算手段203は、脳に対する負荷評価対象データを得る状態である第2の状態とされた判定対象者から得られるRRIデータを上記カオス指標値計算手段201へ与えて、評価対象データである判定対象カオス指標値を得るものである。指標値比算出手段204は、上記基準値データと上記判定対象カオス指標値との比である指標値比を算出するものである。判定手段205は、脳活動状態を判定するために脳活動閾値と上記指標値比との比較に基づき上記判定対象者の脳活動状態を判定するものである。
上記カオス指標値計算手段201は、1種または複数種のカオス指標値を算出するものであるから、上記基準値データ保持制御手段202は、上記複数種に対応する基準値データを記憶装置に保持させることができるものであり、上記判定対象カオス指標値計算手段203は、上記複数種に対応する判定対象カオス指標値を得ることができるものであり、上記指標値比算出手段204は、上記複数種に対応する指標値比を算出することができるものである。上記指標値比算出手段204は、上記複数種に対応する指標値比を算出し、得られた指標値比を平均して平均指標値比を得ることができるものである。
図6には、本発明に係る脳活動状態判定装置の第2の実施形態の装置構成図が示されている。本実施形態では、脳活動状態判定装置を、例えば円盤状の筐体であって判定対象者の身体に貼着されるセンサ部10Bと、コンピュータ50とにより構成することができる。コンピュータ50は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、クラウド端末、サーバ、特殊端末などのコンピュータそのものによって構成された装置やコンピュータ相当機器を指す。センサ部10Bには、RRIセンサ10と通信手段11が備えられ、RRIセンサ10においてRRIデータを得て通信手段11からコンピュータ50へ送信するように構成されている。
コンピュータ50には、コンピュータによって実現されるカオス指標値計算手段201、基準値データ保持制御手段202、判定対象カオス指標値計算手段203、指標値比算出手段204、判定手段205、通信手段206が備えられている。更にコンピュータ50には、記憶装置300、表示装置40が備えられている。なお、記憶装置300はクラウド上に存在し、コンピュータ50がクラウド上の記憶装置300と通信してデータの送受を行う構成のものであっても良い。コンピュータ50は、通信手段206を介してセンサ部10BからRRIデータを得て図3に示した脳活動状態判定装置と同様の処理を行う。
図7には、本発明に係る脳活動状態判定装置の第3の実施形態の装置構成図が示されている。本実施形態では、図6に示した脳活動状態判定装置の構成と概ね同一の構成を採用している。異なる構成部分は、表示装置40を備えるコンピュータ端末(または、タブレット端末)60が、コンピュータ50とは別に設けられていることである。本実施形態において、コンピュータ50が表示装置を備えていても良いが、判定結果のメッセージと平均指標値比AVγAの情報については、表示装置40を備えるコンピュータ端末(または、タブレット端末)60において行われる。本実施形態でも、記憶装置300はクラウド上に存在し、コンピュータ50がクラウド上の記憶装置300と通信してデータの送受を行う構成であっても良い。
図8には、本発明に係る脳活動状態判定装置の第4の実施形態の装置構成図が示されている。本実施形態では、図6に示した脳活動状態判定装置の構成について、コンピュータ50にクラウドコンピュータ(またはサーバコンピュータ)70を接続した構成を採用している。センサ部10Bには通信手段11が備えられ、コンピュータ50には通信手段206が備えられ、クラウドコンピュータ(またはサーバコンピュータ)70には通信手段706が備えられ、これら通信手段11と通信手段206と通信手段706が相互にデータ等の送受を行って脳活動状態判定装置として機能する。
センサ部10BにはRRIセンサ10が備えられ、RRIデータを取得してコンピュータ50を介してクラウドコンピュータ(またはサーバコンピュータ)70へ送信する。コンピュータ50には表示装置40が備えられ、判定結果のメッセージと平均指標値比AVγAの情報の表示が行われる。クラウドコンピュータ(またはサーバコンピュータ)70には、コンピュータによって実現されるカオス指標値計算手段201、基準値データ保持制御手段202、判定対象カオス指標値計算手段203、指標値比算出手段204、判定手段205、通信手段706が備えられている。更にクラウドコンピュータ(またはサーバコンピュータ)70には、記憶装置300が備えられている。勿論、記憶装置300はクラウドコンピュータ(またはサーバコンピュータ)70が備えずに、クラウド上に存在し、クラウドコンピュータ(またはサーバコンピュータ)70がクラウド上の記憶装置300と通信してデータの送受を行う構成であっても良い。
<安静時基準値データを用いる実施形態>
本発明の実施形態に係る脳活動状態判定装置は、上記図6~図8のいずれかの構成の装置である。本実施形態では、上記基準値データ保持制御手段202は、安静状態(脳に対する負荷が基準値データを得る状態である第1の状態)とされた被験者から得られるRRIデータを上記カオス指標値計算手段201へ与えて得られる出力を安静時カオス指標値データCCI[1]~CCI[m]として記憶装置300に保持させる(図4)。ここに、安静状態とは通常は、被験者がベッドに寝かされていて身体的消耗がなく、脳に負荷が加わっていない状態であっても良いが、本実施形態では椅子に座って身体的負荷や精神的な負荷も含めて脳に対する負荷がない状態を指している。本実施形態では、上記カオス指標値計算手段201が例えばm(=6)種類のカオス指標値を求めるものとし、時系列でS時系列得られていると、S時系列の平均を各カオス指標の種類毎に求め、安静時基準値データRefR[1]~RefR[m]が算出され、記憶されている(図5)。
判定対象カオス指標値計算手段203は、脳タスク実行状態(脳に対する負荷が評価対象データを得る状態である第2の状態)とされた判定対象者から得られるRRIデータを上記カオス指標値計算手段201へ与えて評価対象データである判定対象カオス指標値を得る。ここで、判定対象者は、安静時基準値データを得た被験者と同一人物とする。また、上記カオス指標値計算手段201が例えばm(=6)種類のカオス指標値を求めることから、判定対象カオス指標値データも、CCI[1]~CCI[m]のm種が得られている(図5A)。更に、脳タスクとは、脳内ネットワークに関する研究分野における、Executive Control Network(ECN)あるいは、CEN(Central Executive Network)と呼ばれる知的活動/認知活動において最も活性化する脳部位間ネットワークの活性化を促すようなタスクを意味する。例えば、図1、図2の実験において用いたものを含む暗算、パズル、クイズ(三択、四択)、その他を指す。脳タスクは複数種類用意しておき、作業者の趣向に応じて選択させてもよい。あるいは、種類に関係なくランダムに出題しても良く、このようにすると、好適な結果が期待できるものと考えられる。
上記指標値比算出手段204は、上記複数種(m)に対応する指標値比γA[1]~γA[m]を算出する。上記指標値比算出手段204は、得られた指標値比γA[1]~γA[m]を平均して平均指標値比AVγAを得る(図5A)。
即ち、以下の式により平均指標値比AVγAが求められる。なお、本実施形態では相加平均を採用しているが、目的に応じてγA[1]~γA[m]の代表値であって、γA[1]~γA[m]用いて計算された数量であればどのようなものでもよい(例えば、相乗平均、対数を取った値の平均などであっても良い。)
Figure 2023151548000002
この実施形態では、脳活動閾値を1として判定手段205は、
・脳活動が認められる (AVγA>1のとき)
・脳活動が認められない (AVγA≦1のとき)
という判定結果を得る。
以上において得られた結果である「脳活動が認められる」或いは「脳活動が認められない」というメッセージと平均指標値比AVγAの情報は、表示装置40に送出されて表示される。図5Aには、9月2日から10月12日までの間の適宜な15日において得られた判定結果と平均指標値比AVγAが表にまとめられて示されている。
<認知活動時基準値データを用いる実施形態>
本発明の実施形態に係る脳活動状態判定装置は、上記図6~図8のいずれかの構成の装置である。本実施形態では、上記基準値データ保持制御手段202は、脳が認知活動状態(脳に対する負荷が第1の状態(実際には、第3の状態)とされた被験者から得られるRRIデータを上記カオス指標値計算手段201へ与えて得られる出力を認知活動時カオス指標値データCCI[1]~CCI[m]として記憶装置300に保持させる(図9)。ここに、認知活動時とは、被験者が椅子に座って図1、図2において説明した暗算や数独を行っている状態を指している。本実施形態では、上記カオス指標値計算手段201が例えばm(=6)種類のカオス指標値を求めるものとし、時系列でL時系列得られていると、L時系列の平均を各カオス指標の種類毎に求め、認知活動時基準値データRefBT[1]~RefBT[m]が算出され、記憶されている(図10)。
判定対象カオス指標値計算手段203は、脳タスク実行状態(脳に対する負荷が第2の状態(実際には、第4の状態))とされた判定対象者から得られるRRIデータを上記カオス指標値計算手段201へ与えて判定対象カオス指標値を得る。ここで、判定対象者は、認知活動時基準値データを得た被験者と同一人物とする。また、上記カオス指標値計算手段201が例えばm(=6)種類のカオス指標値を求めることから、判定対象カオス指標値データも、CCI[1]~CCI[m]のm種が得られている。更に、脳タスクは、「安静時基準値データを用いる実施形態」の場合と同様なものとする。なお、脳タスクが同様であるにも拘らず、本実施形態では、当初に脳が安静状態ではなく認知活動状態であった判定対象者を脳タスク実行状態としたため、「脳タスク実行状態(脳に対する負荷が第2の状態)とされた判定対象者」とせずに「脳タスク実行状態(脳に対する負荷が第2の状態(実際には、第4の状態))とされた判定対象者」とした。
上記指標値比算出手段204は、上記複数種(m)に対応する指標値比γB[1]~γB[m]を算出する。上記指標値比算出手段204は、得られた指標値比を平均して平均指標値比AVγBを得る(図10A)。
即ち、以下の式により平均指標値比AVγBが求められる。なお、本実施形態では相加平均を採用しているが、目的に応じてγB[1]~γB[m]の代表値であって、γB[1]~γB[m]用いて計算された数量であればどのようなものでもよい(例えば、相乗平均、対数を取った値の平均などであっても良い。)
Figure 2023151548000003
この実施形態では、脳活動閾値を0.5と1.2として次の3段階で判定手段205は、
・平常よりも良い (AVγB>1.2のとき)
・平常 (0.5≦AVγB≦1.2のとき)
・平常よりも低い (AVγB<0.5のとき)
という判定結果を得る。
ここに、閾値は現時点での参考値であり、本願発明の実施以降の状況を鑑みて変更してもよい。ただ、変わらないことは、
・平常よりも良いは、必ず1よりも大きい値とすること。
・平常よりも低いは、必ず1よりも小さい値とすること。
・平常は、上記2つの中間値である必要がある。
以上において得られた判定結果である「平常よりも良い」或いは「平常」或いは「平常よりも低い」というメッセージと平均指標値比AVγBの情報は、表示装置40に送出されて表示される。図10Aには、9月2日から10月12日までの間の適宜な15日において得られた判定結果と平均指標値比AVγBが表にまとめられて示されている。
<「認知活動時基準値データを用いる実施形態」による長期の処理結果を用いて慢性的脳疲労を判定する実施形態α>
本発明の実施形態αに係る脳活動状態判定装置は、上記図6~図8のいずれかの構成の装置である。本実施形態αでは、「認知活動時基準値データを用いる実施形態」を実行する各手段を全て用いて処理を行う。「長期」という意味は、慢性的脳疲労の判定を行うために十分な判定結果が得られていればよく、例えば1か月以上の判定結果があればよい。図11に、「認知活動時基準値データを用いる実施形態」による長期の処理結果の一例を示す。この例では、約1か月の15回分の判定結果が記憶装置300に記憶された状態とする(図11右側に表示の表)。
この実施形態αでは、判定手段205が、次の条件を判定する。
条件1・最新の計測日から見て平均指標値比AVγBが低い判定結果(本実施形態αでは、「平常よりも低い」)をn回連続している。
条件2・最新の計測回からu回以内において平均指標値比AVγBが低下傾向であり、かつ、v(<u)回以内の平均指標値比AVγBが所定値以下である。なお、上記n、u、vは正の整数であり、適宜決めることができる。このように、判定手段205は、上記記憶された判定結果とそのときの平均指標値比の低下傾向に基づき慢性的脳疲労を判定する脳疲労第1判定手段を構成する。
以上の条件1、条件2の少なくとも一方が(もしくは両方が)満たされたときは、慢性脳疲労の状態である旨の警告メッセージと条件1と2の内容情報を、表示装置40に送出して表示し、自らが知るばかりでなく、本実施形態αの通信手段206(706)から当該脳活動状態判定装置以外の携帯端末等に送信して、その表示装置に表示させることができる。
脳疲労は、第1に、恒常的な睡眠不足、第2に、恒常的な疲労、第3に、鬱病やメンタル疾患、第4に、外的要因(騒音、不快、不安など)による脳活動の一時的な阻害原因となって脳の非活性状態が継続しているものであり、当該脳活動状態判定装置を有している者や上司等の管理者がこれを知っていることの意義は大きいものである。
<「安静時基準値データを用いる実施形態」+「認知活動時基準値データを用いる実施形態」の実施形態β>
本発明の実施形態βに係る脳活動状態判定装置は、上記図6~図8のいずれかの構成の装置である。本実施形態βでは、上記基準値データ保持制御手段202は、安静状態(脳に対する負荷が第1の状態)とされた被験者から得られるRRIデータを上記カオス指標値計算手段201へ与えて得られる出力を安静時カオス指標値データとして記憶装置300に保持させる(図4)。
本実施形態βでは、上記基準値データ保持制御手段202は、脳が認知活動状態(脳に対する負荷が第1の状態(実際には、第3の状態)とされた被験者から得られるRRIデータを上記カオス指標値計算手段201へ与えて得られる出力を認知活動時カオス指標値データとして記憶装置300に保持させる(図9)。ここに、認知活動時とは、被験者が椅子に座って図1、図2において説明した暗算や数独を行っている状態を指している。本実施形態βでは、上記カオス指標値計算手段201が例えばm(=6)種類のカオス指標値を求めるものとし、時系列でL時系列得られていると、L時系列の平均を各カオス指標の種類毎に求め、認知活動時基準値データRefBT[1]~RefBT[m]が算出され、記憶されている(図10)。
判定対象カオス指標値計算手段203は、脳タスク実行状態(脳に対する負荷が第2の状態(実際には、第4の状態))とされた判定対象者から得られるRRIデータを上記カオス指標値計算手段201へ与えて判定対象カオス指標値を得る。ここで、判定対象者は、認知活動時基準値データを得た被験者と同一人物とする。また、上記カオス指標値計算手段201が例えばm(=6)種類のカオス指標値を求めることから、判定対象カオス指標値データも、CCI[1]~CCI[m]のm種が得られている。更に、脳タスクは、「安静時基準値データを用いる実施形態」の場合と同様なものとする。計測開始を0:00:00(時:分:秒)として、10秒間隔で5分間の測定を以下のようにn(本実施形態では、一例として9回とする)回行う。
・0:00:00~0:05:00 1回目
・0:00:10~0:05:10 2回目
・0:00:20~0:05:20 3回目
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・0:01:20~0:06:20 n(9)回目
以上により、n×m通りの判定対象カオス指標値データCCI[1][1]~CCI[n][m]が得られている。指標値比算出手段204は、判定対象カオス指標値データCCI[1][1]~CCI[n][m]を安静時基準値データで除した安静指標値比γA[1][1]~γA[n][m]と、判定対象カオス指標値データCCI[1][1]~CCI[n][m]を認知活動時基準値データで除した認知活動指標値比γB[1][1]~γB[n][m]とを得て、それぞれの平均指標値比AVγA[1]~γA[n]、AVγB[1]~γB[n]、を算出する。
平均指標値比AVγA[1]~γA[n]、AVγB[1]~γB[n]について、この実施形態では、判定手段205は、脳活動閾値を0.5と1.2として次の4状態のいずれに該当するかに基づき判定結果を得る。
・状態1 AVγA[n]>1かつAVγB[n]>1.2:脳活動良し
・状態2 AVγA[n]>1かつ0.5≦AVγB[n]≦1.2:脳活動通常
・状態3 AVγA[n]>1かつAVγB[n]<0.5:脳活動低下
・状態4 AVγA[n]≦1 :身体的負荷あり
以上において得られた判定結果は、10秒毎に1つで、n(9)個得られる。状態3が最新のn(9)個目から古い方へ例えば、4以上連続している場合に、「脳活動低下」或いは状態4が最終の9個目から古い方へ例えば、4以上連続している場合に、「身体的負荷あり」というメッセージと平均指標値比AVγA[n]、AVγB[n]の情報は、表示装置40に送出されて表示される。自らが知るばかりでなく、本実施形態βの通信手段206(706)から当該脳活動状態判定装置以外の携帯端末等に送信して、その表示装置に表示させることができる。
このように、本実施形態では、上記指標値比算出手段204は、上記安静時基準値データと上記判定対象カオス指標値との比である安静指標値比及び、上記認知活動時基準値データと上記判定対象カオス指標値との比である認知活動指標値比を算出する。また、上記判定手段205は、脳活動状態を判定するために安静状態対応脳活動閾値と上記安静指標値比との比較及び認知活動対応脳活動閾値と上記認知活動指標値比との比較に基づき上記判定対象者の脳活動状態を判定する。
<実施形態βにより長期の日に亘って判定結果n(個)と平均指標値比AVγA[n]、AVγB[n]の情報を蓄積し、この蓄積データを用いて慢性的脳疲労を判定する実施形態αの手法を用いて判定する実施形態>
本発明の実施形態に係る脳活動状態判定装置は、上記図6~図8のいずれかの構成の装置である。この例では、約1か月の15日に亘って判定結果n(9)個と平均指標値比AVγA[n]、AVγB[n]の情報が記憶装置300に記憶された状態とする。上記実施形態βでは、0:00:00~0:06:20の時間について、n(9)回区分して得たデータを用いてリアルタイム推定(01秒間隔)を行ったが、本実施形態はこれとは異なり、このリアルタイム測定したでデータを、ここでは15日分蓄積して、慢性的脳疲労の測定を行う。即ち、リアルタイム測定データを何日かに亘る長期間蓄積して、これを用いて慢性的脳疲労を測定するものである。
この実施形態では、判定手段205は、脳活動閾値を0.5と1.2として次の4状態のいずれに該当するかに基づき判定結果を得る。
・状態1 AVγA[n]>1かつAVγB[n]>1.2:脳活動良し
・状態2 AVγA[n]>1かつ0.5≦AVγB[n]≦1.2:脳活動通常
・状態3 AVγA[n]>1かつAVγB[n]<0.5:脳活動低下
・状態4 AVγA[n]≦1 :身体的負荷あり
以上において得られた判定結果は、1日につき、10秒毎に1つで、n(9)個得られる。状態3が最終の9個目から古い方へ例えば、4以上連続している場合に、「脳活動低下レベル3」と判定の結果を得る。状態3が例えば、5個以上である場合に、「脳低下レベル2」と判定結果を得る。状態3が例えば、4個または3個である場合に、「脳低下レベル1」と判定結果を得る。それ以外は、脳活動低下なしとする。
この実施形態では、判定手段205が、次の条件を判定する。
条件1・最新の計測日から見て「脳活動低下」をn回連続している。
条件2・最新の計測回からu(u>n)回以内において、「脳低下レベル」数値の加算値が所定値以上である。なお、上記n、uは正の整数であり、適宜決めることができる。
以上の条件1、条件2の少なくとも一方が(もしくは両方が)満たされたときは、慢性脳疲労の状態である旨の警報メッセージと条件1と2の内容情報を、表示装置40に送出して表示し、自らが知るばかりでなく、本実施形態の通信手段206(706)から当該脳活動状態判定装置以外の携帯端末等に送信して、その表示装置に表示させることができる。
本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示するものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 センサ
10B センサ部
11 通信手段
20 スマートウオッチ
40 表示装置
50 コンピュータ
201 カオス指標値計算手段
202 基準値データ保持制御手段
203 判定対象カオス指標値計算手段
204 指標値比算出手段
205 判定手段
206 通信手段
300 記憶装置
706 通信手段
この発明は、脳活動状態判定装置及び脳活動状態判定用プログラムに関するものである。
従来、脳活動状態は脳波計によって計測判定するものが殆どであり、装置が大型であり、また、測定に時間とコストが必要なものであった。
例えば特許文献1には、脳活動計測システムが開示されている。このシステムでは、頭皮に当接させて使用する脳活動計測用電極5として、頭皮に当接させて電気的情報を取得する機能を有する複数の頭皮接地部と、頭皮接地部の周囲に配置された複数のガイド体と、ウェット電極装着部と、ウェット電極装着部に対して着脱可能なウェット部材と、を備え、ウェット電極装着部にウェット部材が装着された際にウェット電極として使用され、ウェット電極装着部からウェット部材が外された際にドライ電極として使用されるものが開示されている。
この脳活動計測システムは、前記脳活動計測用電極によって得られた脳活動信号に基づいて脳活動を計測する。上記の通りの計測用電極を備えた頭部装着装置は、脳波キャップやヘッドセット等の電極を固定する手段と共に用いられる場合に、被験者の頭部形状によらず電極が正対して頭皮に当接され易く、かつ、ドライ式で計測しにくい場合に簡易に計測可能にするものである。
特許文献2には、被検体の頭部に取り付けられ、近赤外分光分析法(NIRS:Near-infrared spectroscopy)を使用して第一データ及び第二データを収集するセンサ20を用いて構成される脳活動状態モニタリング装置が開示されている。センサ20は、具体的には、波長が約700nmから約900nmの近赤外光を出射する光源及び受光センサを被検体の頭部に密着させ、近赤外光を出射し、受光センサにより受光する。
脳活動状態モニタリング装置は、被検体の脳の活動状態を示しており、第一期間に収集された第一データ及び前記被検体の脳の活動状態を示しており、前記第一期間の後に続く第二期間に収集された第二データを取得するデータ取得部と、マハラノビス距離が定義されている位相平面上における前記第一データの重心を算出する重心算出部を備える。更に、前記第二データについて前記重心からのマハラノビス距離を算出し、前記第二データのマハラノビス距離の経時的な変化を算出する距離算出部、前記第二データのマハラノビス距離が所定の閾値を所定の回数以上超えているか否かを判定する判定部、前記第二データのマハラノビス距離が所定の閾値を所定の回数以上超えていると判定された場合、前記被検体の脳の活動状態を示す情報を出力する出力部と、を備える。
特許文献3には、脳活動活性化方法が開示されている。この方法によって、利用者に、有酸素運動後、適切なタイミングで、認知機能トレーニングすることを促す。
この方法では、コンピュータが、通信部に、所定のバイタルデータを計測する計測装置が装着された利用者のバイタルデータの計測値を計測装置から取得させ、表示部に、利用者の身体機能を向上させる有酸素運動の開始を利用者に促す表示をさせる。そして、バイタルデータの計測値に基づいて、利用者が有酸素運動を行った時間である有酸素運動時間を計測させ、有酸素運動が所定時間以上になった場合に、表示部に、有酸素運動の終了を利用者に促す表示をさせる。また、バイタルデータの計測値または有酸素運動の終了からの経過時間に基づく所定の条件を満たす場合、表示部に、利用者の脳機能を向上させる所定の認知機能トレーニングを行わせる表示をさせる。斯くして、操作部に、利用者が認知機能トレーニングを行っている際の利用者による操作を受け付けさせる。
心拍と脳活動とは関連性を有することから、本願発明者らは、眠気推定をRRIデータに基づき行うことを提案した(特許文献4)。
特許文献5には、EEG信号における心臓アーチファクト情報および脳活動情報に基づいて被験者の睡眠段階を判別するよう構成されたシステムが開示されている。このシステムは、EEG信号に存在する心臓アーチファクトは、誤った睡眠段階判定を引き起こすことがあり、その結果、睡眠中の時機を得ない感覚刺激、刺激の不在、EEG信号情報の長い期間の破棄および/または他の事象につながりかねないという懸念に基づいている。このシステムは、従来技術のシステムと比較してリアルタイムの睡眠段階判定を向上させるおよび/または他の利点を提供するものである。このシステムでは、EEG信号に含まれる心臓活動情報および脳活動情報の両方に基づいて被験者の現在の睡眠段階を決定する。
特開2020-195777号公報 特開2020-130336号公報 特開2020-58725号公報 特開2018-57450号公報 特表2019-503746号公報
上記のように従来の脳活動の観測においては、様々な工夫がなされているものの、簡便さや正確さの観点からは十分なものが提供されていないのが現状である。そこで、本発明は、従来以上に簡便で正確な判定を可能とする脳活動状態判定装置及び脳活動状態判定用プログラムを提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る脳活動状態判定装置は、時系列データのカオス性を判定する指標であるカオス指標値を算出するカオス指標値算出手段と、脳に対する負荷が基準値データを得る状態である第1の状態とされた被験者から得られるRRIデータを前記カオス指標値算出手段へ与えて得られる出力を基準値データとして記憶装置に保持させる基準値データ保持制御手段と、脳に対する負荷が評価対象データを得る状態である第2の状態とされた判定対象者から得られるRRIデータを前記カオス指標値算出手段へ与えて評価対象データである判定対象カオス指標値を得る判定対象カオス指標値算出手段と、前記基準値データと前記判定対象カオス指標値との比である指標値比を算出する指標値比算出手段と、脳活動状態を判定するために脳活動閾値と前記指標値比との比較に基づき前記判定対象者の脳活動状態を判定する判定手段と、を具備することを特徴とする。
本発明の実施形態に係る脳活動状態判定用プログラムは、コンピュータを、時系列データのカオス性を判定する指標であるカオス指標値を算出するカオス指標値算出手段、脳に対する負荷が基準値データを得る状態である第1の状態とされた被験者から得られるRRIデータを前記カオス指標値算出手段へ与えて得られる出力を基準値データとして記憶装置に保持させる基準値データ保持制御手段、脳に対する負荷が評価対象データを得る状態である第2の状態とされた判定対象者から得られるRRIデータを前記カオス指標値算出手段へ与えて評価対象データである判定対象カオス指標値を得る判定対象カオス指標値算出手段、前記基準値データと前記判定対象カオス指標値との比である指標値比を算出する指標値比算出手段、脳活動状態を判定するために脳活動閾値と前記指標値比との比較に基づき前記判定対象者の脳活動状態を判定する判定手段、として機能させることを特徴とする。
被験者に対しある条件1で測定を行った場合の、本発明の実施形態に係る脳活動状態判定装置において用いられるカオス指標値比γのヒストグラム。 被験者に対しある条件2で測定を行った場合の、本発明の実施形態に係る脳活動状態判定装置において用いられるカオス指標値比γのヒストグラム。 本発明に係る脳活動状態判定装置の第1の実施形態の装置構成図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の安静時基準値データを用いる実施形態において、安静時カオス指標値データCCI[1]~CCI[m]を記憶するまでの動作を示す図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の安静時基準値データを用いる実施形態において、安静時基準値データRefR[1]~RefR[m]を記憶するまでの動作を示す図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の安静時基準値データを用いる実施形態において、平均指標値比AVγAを得るまでの動作を示す図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の第2の実施形態の装置構成図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の第3の実施形態の装置構成図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の第4の実施形態の装置構成図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の認知活動時基準値データを用いる実施形態において、安静時カオス指標値データCCI[1]~CCI[m]を記憶するまでの動作を示す図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の認知活動時基準値データを用いる実施形態において、安静時基準値データRefR[1]~RefR[m]を記憶するまでの動作を示す図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の認知活動時基準値データを用いる実施形態において、平均指標値比AVγAを得るまでの動作を示す図。 本発明に係る脳活動状態判定装置の「認知活動時基準値データを用いる実施形態」による長期の処理結果の一例を示す図。
以下添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る脳活動状態判定装置及び脳活動状態判定用プログラムを説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。本発明の実施形態では、RRIデータ(心拍間隔データ)から算出したカオス指標を用いる。
ここに、カオス指標とは、時系列データのカオス性を判定する指標であり、幾つかを列記すると次の通りである。
以下に、それぞれの指標と、参考文献((5),(6)以外、行の後部に記載)を記載する。
(1)ApEn (近似エントロピー) [1][2][3][4]
(2)SampEn (サンフルエントロピー) [3][4]
(3)Fractal Dimension (フラクタル次元) [5][6]
(4)SD1/SD2 [7][8]
(5)CD (カオス尺度) 特開2018-120488号公報
(6)ICD (修正カオス尺度) 特開2021-064323号公報
<上の6つが論文掲載の6方式>
(7)リアフノフ指数の推定法(Rosensteinの方法) [9]
(8)リアフノフ指数の推定法(Wolfの方法) [10]
(9)リアフノフ指数の推定法(Sano-Sawadaの方法) [11]
<上の3つが代表的なリアフノフ指数推定法>
参考文献
[1] Pincus, S. M. Approximate entropy as a measure of system complexity. PNAS 88, 2297-2301 (1991).
[2] Pincus, S. M., Gladstone, I. M. & Ehrenkranz, R. A. A regularity statistic for medical data analysis. J. Clin. Monit. Comput. 7, 335-345 (1991).
[3] Richman, J. S. & Moorman, J. R. Physiological time-series analysis using approximate entropy and sample entropy. Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol. 278, 2039-2049 (2000).
[4] Delgado-Bonal, A. & Alexander, M. Approximate Entropy and Sample Entropy: A Comprehensive Tutorial. Entropy 21, 541 (2019)
[5] Higuchi, T. Approach to an irregular time series on the basis of the fractal theory. Physica D 31, 277-83 (1998).
[6] Ahammer, H. Higuchi dimension of digital images. PLoS One 6, e0119394 (2011).
[7] Hoshi, R. A.& Pastre, C. M., Vanderlei, L. M. & Godoy, M. F.oacir Fernandes. Poincare plot indexes of heart rate variability: Relationships with other nonlinear variables. Auton. Neurosci. 177, 271 -274 (2013)
[8] Guzik, P. et. al. Correlations between the Poincare plot and conventional heart rate variability parameters assessed during paced breathing. J Physiol Sci. 57, 63-71 (2007).
[9] Michael T. Rosenstein, James J. Collins, Carlo J. De Luca, A practical method for calculating largest Lyapunov exponents from small data sets, Physica D: Nonlinear Phenomena, 65, 117 -134 (1993).
[10] Alan Wolf, Jack B. Swift, Harry L. Swinney, John A. Vastano, Determining Lyapunov exponents from a time series, Physica D: Nonlinear Phenomena, Volume 16 , 285 -317 (1985 )
[11] Sato, Shinichi, Sano, Masaki, Sawada, Yasuji, Practical Methods of Measuring the Generalized Dimension and the Largest Lyapunov Exponent in High Dimensional Chaotic Systems, Theor Phys 77 (1987)
本願発明者らは、RRIデータから得たカオス指標値を用いて脳活動状態判定を行うことが適切であることを確認するために、実験を行った。この実験は、18人の健康な参加者に対して実施した。参加者は20代13名、30代2名、50代3名で、男性15名、女性3名であった。この実験は、京都大学情報学研究科研究倫理委員会の承認を得て実施された(承認番号:KUIS-EAR-2019-006)。
参加者は、RRIを測定できるPolarH10チェストストラップ心拍数センサーを装着し、次の状態でRRIを測定する2つの実験を行った。
Rest(休息):椅子に座り休息します。身体的負荷も精神的負荷もない。
Standing(立位):直立姿勢を維持する。身体的負荷のみが加わる。
Brain Task:椅子に座り認知課題(暗算または数独)を実行する。精神的負荷のみが加わる。
実験1では、暗算を脳課題に使用しました。参加者は、安静(Rest1と表記)で7分間、立位(Standingと表記)で7分間、暗算(Brain Task1と表記)で7分間RRIを測定しました。各状態の間に5分間の休憩が設けられた。参加者はこの実験を5セット繰り返した。
この場合の安静時におけるRRIデータを用いて得たカオス指標値CCIR1を分母とし、立位状態で得られたRRIデータを用いて得たカオス指標値CCISを分子とするカオス指標値比γ(CCIS/CCIR1)を得る。その後に脳タスク状態へ移行してもらい、脳タスク状態でRRIデータを測定する。脳タスク状態では、椅子に座って卓上で暗算(一桁の足し算)を行ってもらった。この場合の安静時におけるRRIデータを用いて得たカオス指標値CCIR1を分母とし、脳タスク状態で得られたRRIデータを用いて得たカオス指標値CCIB1を分子とするカオス指標値比γ(CCIB1/CCIR1)を得る。カオス指標値比γ(CCIS/CCIR1)の度数を青により示し、カオス指標値γ(CCIB1/CCIR1)の度数を赤により示したヒストグラムを図1に示す。カオス指標の種類は、図示の通り、ApEn、SampEn、Fractal Dimension、SD1/SD2、CD、ICDの6種類を用いた。
更に、実験2では、数独を脳課題に使用した。参加者は、安静(Rest2と表記)で7分間、数独(Brain Task2と表記)で7分間RRIを測定した。各状態の間に5分間の休憩が設けられました。参加者はこの実験を5セット繰り返した。
この場合の休息時におけるRRIデータを用いて得たカオス指標値CCIR2を分母とし、脳タスク状態で得られたRRIデータを用いて得たカオス指標値CCIB2を分子とするカオス指標値比γ(CCIB2/CCIR2)を得る。カオス指標値比γ(CCIS/CCIR1)の度数を青により示し、カオス指標値比γ(CCIB2/CCIR2)の度数を赤により示したヒストグラムを図2に示す。カオス指標の種類は、図示の通り、ApEn、SampEn、Fractal Dimension、SD1/SD2、CD、ICDの6種類を用いた。
図1、図2において、いずれのカオス指標を用いた場合にも、立位状態(青)のγよりも脳タスク状態(赤)のγが大きな値であり、概ねγが1の値を境として立位状態(青)と脳タスク状態(赤)が分布していることが理解される。
図3には、本発明に係る脳活動状態判定装置の第1の実施形態の装置構成図が示されている。本実施形態では、時計タイプのスマートウオッチ20に、脳活動状態判定装置の全ての構成を備えさせている。このスマートウオッチ20は、心電図信号のR波に相当する信号を検出するRRIセンサ10を備えており、このRRIセンサ10として、心拍センサを用いることができる。
このRRIセンサ10は、心拍センサ以外に、心電計の心電図信号を取り出す部分の構成や脈波センサを用いても良い。スマートウオッチ20以外の構成を有する脳活動状態判定装置においては、RRIセンサ10は、生体に設けられ、無線或いは有線により心電図信号を検出して、RRI(整形前)を出力するものであっても良い。
スマートウオッチ20はコンピュータの構成を有し、コンピュータによって実現されるカオス指標値算出手段201、基準値データ保持制御手段202、判定対象カオス指標値算出手段203、指標値比算出手段204、判定手段205、記憶装置300を備えている。なお、記憶装置300はクラウド上に存在し、コンピュータであるスマートウオッチ20が記憶装置300と通信してデータの送受を行う構成であっても良い。
カオス指標値算出手段201は、時系列データのカオス性を判定する指標であるカオス指標値を算出するものである。上記カオス指標値算出手段201は、1種または複数種のカオス指標値を算出するものである。ここで、カオス指標の種類としては前述した9種のもの、また、これに同様の指標を加えたものを採用することができる。基準値データ保持制御手段202は、脳に対する負荷が基準値データを得る状態である第1の状態とされた被験者からRRIセンサ10によって得られるRRIデータを上記カオス指標値算出手段201へ与えて、得られる出力を基準値データとして記憶装置300に保持させるものである。
判定対象カオス指標値算出手段203は、脳に対する負荷評価対象データを得る状態である第2の状態とされた判定対象者から得られるRRIデータを上記カオス指標値算出手段201へ与えて、評価対象データである判定対象カオス指標値を得るものである。指標値比算出手段204は、上記基準値データと上記判定対象カオス指標値との比である指標値比を算出するものである。判定手段205は、脳活動状態を判定するために脳活動閾値と上記指標値比との比較に基づき上記判定対象者の脳活動状態を判定するものである。
上記カオス指標値算出手段201は、1種または複数種のカオス指標値を算出するものであるから、上記基準値データ保持制御手段202は、上記複数種に対応する基準値データを記憶装置に保持させることができるものであり、上記判定対象カオス指標値算出手段203は、上記複数種に対応する判定対象カオス指標値を得ることができるものであり、上記指標値比算出手段204は、上記複数種に対応する指標値比を算出することができるものである。上記指標値比算出手段204は、上記複数種に対応する指標値比を算出し、得られた指標値比を平均して平均指標値比を得ることができるものである。
図6には、本発明に係る脳活動状態判定装置の第2の実施形態の装置構成図が示されている。本実施形態では、脳活動状態判定装置を、例えば円盤状の筐体であって判定対象者の身体に貼着されるセンサ部10Bと、コンピュータ50とにより構成することができる。コンピュータ50は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、クラウド端末、サーバ、特殊端末などのコンピュータそのものによって構成された装置やコンピュータ相当機器を指す。センサ部10Bには、RRIセンサ10と通信手段11が備えられ、RRIセンサ10においてRRIデータを得て通信手段11からコンピュータ50へ送信するように構成されている。
コンピュータ50には、コンピュータによって実現されるカオス指標値算出手段201、基準値データ保持制御手段202、判定対象カオス指標値算出手段203、指標値比算出手段204、判定手段205、通信手段206が備えられている。更にコンピュータ50には、記憶装置300、表示装置40が備えられている。なお、記憶装置300はクラウド上に存在し、コンピュータ50がクラウド上の記憶装置300と通信してデータの送受を行う構成のものであっても良い。コンピュータ50は、通信手段206を介してセンサ部10BからRRIデータを得て図3に示した脳活動状態判定装置と同様の処理を行う。
図7には、本発明に係る脳活動状態判定装置の第3の実施形態の装置構成図が示されている。本実施形態では、図6に示した脳活動状態判定装置の構成と概ね同一の構成を採用している。異なる構成部分は、表示装置40を備えるコンピュータ端末(または、タブレット端末)60が、コンピュータ50とは別に設けられていることである。本実施形態において、コンピュータ50が表示装置を備えていても良いが、判定結果のメッセージと平均指標値比AVγAの情報については、表示装置40を備えるコンピュータ端末(または、タブレット端末)60において行われる。本実施形態でも、記憶装置300はクラウド上に存在し、コンピュータ50がクラウド上の記憶装置300と通信してデータの送受を行う構成であっても良い。
図8には、本発明に係る脳活動状態判定装置の第4の実施形態の装置構成図が示されている。本実施形態では、図6に示した脳活動状態判定装置の構成について、コンピュータ50にクラウドコンピュータ(またはサーバコンピュータ)70を接続した構成を採用している。センサ部10Bには通信手段11が備えられ、コンピュータ50には通信手段206が備えられ、クラウドコンピュータ(またはサーバコンピュータ)70には通信手段706が備えられ、これら通信手段11と通信手段206と通信手段706が相互にデータ等の送受を行って脳活動状態判定装置として機能する。
センサ部10BにはRRIセンサ10が備えられ、RRIデータを取得してコンピュータ50を介してクラウドコンピュータ(またはサーバコンピュータ)70へ送信する。コンピュータ50には表示装置40が備えられ、判定結果のメッセージと平均指標値比AVγAの情報の表示が行われる。クラウドコンピュータ(またはサーバコンピュータ)70には、コンピュータによって実現されるカオス指標値算出手段201、基準値データ保持制御手段202、判定対象カオス指標値算出手段203、指標値比算出手段204、判定手段205、通信手段706が備えられている。更にクラウドコンピュータ(またはサーバコンピュータ)70には、記憶装置300が備えられている。勿論、記憶装置300はクラウドコンピュータ(またはサーバコンピュータ)70が備えずに、クラウド上に存在し、クラウドコンピュータ(またはサーバコンピュータ)70がクラウド上の記憶装置300と通信してデータの送受を行う構成であっても良い。
<安静時基準値データを用いる実施形態>
本発明の実施形態に係る脳活動状態判定装置は、上記図6~図8のいずれかの構成の装置である。本実施形態では、上記基準値データ保持制御手段202は、安静状態(脳に対する負荷が基準値データを得る状態である第1の状態)とされた被験者から得られるRRIデータを上記カオス指標値算出手段201へ与えて得られる出力を安静時カオス指標値データCCI[1]~CCI[m]として記憶装置300に保持させる(図4)。ここに、安静状態とは通常は、被験者がベッドに寝かされていて身体的消耗がなく、脳に負荷が加わっていない状態であっても良いが、本実施形態では椅子に座って身体的負荷や精神的な負荷も含めて脳に対する負荷がない状態を指している。本実施形態では、上記カオス指標値算出手段201が例えばm(=6)種類のカオス指標値を求めるものとし、時系列でS時系列得られていると、S時系列の平均を各カオス指標の種類毎に求め、安静時基準値データRefR[1]~RefR[m]が算出され、記憶されている(図5)。
判定対象カオス指標値算出手段203は、脳タスク実行状態(脳に対する負荷が評価対象データを得る状態である第2の状態)とされた判定対象者から得られるRRIデータを上記カオス指標値算出手段201へ与えて評価対象データである判定対象カオス指標値を得る。ここで、判定対象者は、安静時基準値データを得た被験者と同一人物とする。また、上記カオス指標値算出手段201が例えばm(=6)種類のカオス指標値を求めることから、判定対象カオス指標値データも、CCI[1]~CCI[m]のm種が得られている(図5A)。更に、脳タスクとは、脳内ネットワークに関する研究分野における、Executive Control Network(ECN)あるいは、CEN(Central Executive Network)と呼ばれる知的活動/認知活動において最も活性化する脳部位間ネットワークの活性化を促すようなタスクを意味する。例えば、図1、図2の実験において用いたものを含む暗算、パズル、クイズ(三択、四択)、その他を指す。脳タスクは複数種類用意しておき、作業者の趣向に応じて選択させてもよい。あるいは、種類に関係なくランダムに出題しても良く、このようにすると、好適な結果が期待できるものと考えられる。
上記指標値比算出手段204は、上記複数種(m)に対応する指標値比γA[1]~γA[m]を算出する。上記指標値比算出手段204は、得られた指標値比γA[1]~γA[m]を平均して平均指標値比AVγAを得る(図5A)。
即ち、以下の式により平均指標値比AVγAが求められる。なお、本実施形態では相加平均を採用しているが、目的に応じてγA[1]~γA[m]の代表値であって、γA[1]~γA[m]用いて算出された数量であればどのようなものでもよい(例えば、相乗平均、対数を取った値の平均などであっても良い。)
Figure 2023151548000017
この実施形態では、脳活動閾値を1として判定手段205は、
・脳活動が認められる (AVγA>1のとき)
・脳活動が認められない (AVγA≦1のとき)
という判定結果を得る。
以上において得られた結果である「脳活動が認められる」或いは「脳活動が認められない」というメッセージと平均指標値比AVγAの情報は、表示装置40に送出されて表示される。図5Aには、9月2日から10月12日までの間の適宜な15日において得られた判定結果と平均指標値比AVγAが表にまとめられて示されている。
<認知活動時基準値データを用いる実施形態>
本発明の実施形態に係る脳活動状態判定装置は、上記図6~図8のいずれかの構成の装置である。本実施形態では、上記基準値データ保持制御手段202は、脳が認知活動状態(脳に対する負荷が第1の状態(実際には、第3の状態)とされた被験者から得られるRRIデータを上記カオス指標値算出手段201へ与えて得られる出力を認知活動時カオス指標値データCCI[1]~CCI[m]として記憶装置300に保持させる(図9)。ここに、認知活動時とは、被験者が椅子に座って図1、図2において説明した暗算や数独を行っている状態を指している。本実施形態では、上記カオス指標値算出手段201が例えばm(=6)種類のカオス指標値を求めるものとし、時系列でL時系列得られていると、L時系列の平均を各カオス指標の種類毎に求め、認知活動時基準値データRefBT[1]~RefBT[m]が算出され、記憶されている(図10)。
判定対象カオス指標値算出手段203は、脳タスク実行状態(脳に対する負荷が第2の状態(実際には、第4の状態))とされた判定対象者から得られるRRIデータを上記カオス指標値算出手段201へ与えて判定対象カオス指標値を得る。ここで、判定対象者は、認知活動時基準値データを得た被験者と同一人物とする。また、上記カオス指標値算出手段201が例えばm(=6)種類のカオス指標値を求めることから、判定対象カオス指標値データも、CCI[1]~CCI[m]のm種が得られている。更に、脳タスクは、「安静時基準値データを用いる実施形態」の場合と同様なものとする。なお、脳タスクが同様であるにも拘らず、本実施形態では、当初に脳が安静状態ではなく認知活動状態であった判定対象者を脳タスク実行状態としたため、「脳タスク実行状態(脳に対する負荷が第2の状態)とされた判定対象者」とせずに「脳タスク実行状態(脳に対する負荷が第2の状態(実際には、第4の状態))とされた判定対象者」とした。
上記指標値比算出手段204は、上記複数種(m)に対応する指標値比γB[1]~γB[m]を算出する。上記指標値比算出手段204は、得られた指標値比を平均して平均指標値比AVγBを得る(図10A)。
即ち、以下の式により平均指標値比AVγBが求められる。なお、本実施形態では相加平均を採用しているが、目的に応じてγB[1]~γB[m]の代表値であって、γB[1]~γB[m]用いて算出された数量であればどのようなものでもよい(例えば、相乗平均、対数を取った値の平均などであっても良い。)
Figure 2023151548000018
この実施形態では、脳活動閾値を0.5と1.2として次の3段階で判定手段205は、
・平常よりも良い (AVγB>1.2のとき)
・平常 (0.5≦AVγB≦1.2のとき)
・平常よりも低い (AVγB<0.5のとき)
という判定結果を得る。
ここに、閾値は現時点での参考値であり、本願発明の実施以降の状況を鑑みて変更してもよい。ただ、変わらないことは、
・平常よりも良いは、必ず1よりも大きい値とすること。
・平常よりも低いは、必ず1よりも小さい値とすること。
・平常は、上記2つの中間値である必要がある。
以上において得られた判定結果である「平常よりも良い」或いは「平常」或いは「平常よりも低い」というメッセージと平均指標値比AVγBの情報は、表示装置40に送出されて表示される。図10Aには、9月2日から10月12日までの間の適宜な15日において得られた判定結果と平均指標値比AVγBが表にまとめられて示されている。
<「認知活動時基準値データを用いる実施形態」による長期の処理結果を用いて慢性的脳疲労を判定する実施形態α>
本発明の実施形態αに係る脳活動状態判定装置は、上記図6~図8のいずれかの構成の装置である。本実施形態αでは、「認知活動時基準値データを用いる実施形態」を実行する各手段を全て用いて処理を行う。「長期」という意味は、慢性的脳疲労の判定を行うために十分な判定結果が得られていればよく、例えば1か月以上の判定結果があればよい。図11に、「認知活動時基準値データを用いる実施形態」による長期の処理結果の一例を示す。この例では、約1か月の15回分の判定結果が記憶装置300に記憶された状態とする(図11右側に表示の表)。
この実施形態αでは、判定手段205が、次の条件を判定する。
条件1・最新の計測日から見て平均指標値比AVγBが低い判定結果(本実施形態αでは、「平常よりも低い」)をn回連続している。
条件2・最新の計測回からu回以内において平均指標値比AVγBが低下傾向であり、かつ、v(<u)回以内の平均指標値比AVγBが所定値以下である。なお、上記n、u、vは正の整数であり、適宜決めることができる。このように、判定手段205は、上記記憶された判定結果とそのときの平均指標値比の低下傾向に基づき慢性的脳疲労を判定する脳疲労第1判定手段を構成する。
以上の条件1、条件2の少なくとも一方が(もしくは両方が)満たされたときは、慢性脳疲労の状態である旨の警告メッセージと条件1と2の内容情報を、表示装置40に送出して表示し、自らが知るばかりでなく、本実施形態αの通信手段206(706)から当該脳活動状態判定装置以外の携帯端末等に送信して、その表示装置に表示させることができる。
脳疲労は、第1に、恒常的な睡眠不足、第2に、恒常的な疲労、第3に、鬱病やメンタル疾患、第4に、外的要因(騒音、不快、不安など)による脳活動の一時的な阻害原因となって脳の非活性状態が継続しているものであり、当該脳活動状態判定装置を有している者や上司等の管理者がこれを知っていることの意義は大きいものである。
<「安静時基準値データを用いる実施形態」+「認知活動時基準値データを用いる実施形態」の実施形態β>
本発明の実施形態βに係る脳活動状態判定装置は、上記図6~図8のいずれかの構成の装置である。本実施形態βでは、上記基準値データ保持制御手段202は、安静状態(脳に対する負荷が第1の状態)とされた被験者から得られるRRIデータを上記カオス指標値算出手段201へ与えて得られる出力を安静時カオス指標値データとして記憶装置300に保持させる(図4)。
本実施形態βでは、上記基準値データ保持制御手段202は、脳が認知活動状態(脳に対する負荷が第1の状態(実際には、第3の状態)とされた被験者から得られるRRIデータを上記カオス指標値算出手段201へ与えて得られる出力を認知活動時カオス指標値データとして記憶装置300に保持させる(図9)。ここに、認知活動時とは、被験者が椅子に座って図1、図2において説明した暗算や数独を行っている状態を指している。本実施形態βでは、上記カオス指標値算出手段201が例えばm(=6)種類のカオス指標値を求めるものとし、時系列でL時系列得られていると、L時系列の平均を各カオス指標の種類毎に求め、認知活動時基準値データRefBT[1]~RefBT[m]が算出され、記憶されている(図10)。
判定対象カオス指標値算出手段203は、脳タスク実行状態(脳に対する負荷が第2の状態(実際には、第4の状態))とされた判定対象者から得られるRRIデータを上記カオス指標値算出手段201へ与えて判定対象カオス指標値を得る。ここで、判定対象者は、認知活動時基準値データを得た被験者と同一人物とする。また、上記カオス指標値算出手段201が例えばm(=6)種類のカオス指標値を求めることから、判定対象カオス指標値データも、CCI[1]~CCI[m]のm種が得られている。更に、脳タスクは、「安静時基準値データを用いる実施形態」の場合と同様なものとする。計測開始を0:00:00(時:分:秒)として、10秒間隔で5分間の測定を以下のようにn(本実施形態では、一例として9回とする)回行う。
・0:00:00~0:05:00 1回目
・0:00:10~0:05:10 2回目
・0:00:20~0:05:20 3回目
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・0:01:20~0:06:20 n(9)回目
以上により、n×m通りの判定対象カオス指標値データCCI[1][1]~CCI[n][m]が得られている。指標値比算出手段204は、判定対象カオス指標値データCCI[1][1]~CCI[n][m]を安静時基準値データで除した安静指標値比γA[1][1]~γA[n][m]と、判定対象カオス指標値データCCI[1][1]~CCI[n][m]を認知活動時基準値データで除した認知活動指標値比γB[1][1]~γB[n][m]とを得て、それぞれの平均指標値比AVγA[1]~γA[n]、AVγB[1]~γB[n]、を算出する。
平均指標値比AVγA[1]~γA[n]、AVγB[1]~γB[n]について、この実施形態では、判定手段205は、脳活動閾値を0.5と1.2として次の4状態のいずれに該当するかに基づき判定結果を得る。
・状態1 AVγA[n]>1かつAVγB[n]>1.2:脳活動良し
・状態2 AVγA[n]>1かつ0.5≦AVγB[n]≦1.2:脳活動通常
・状態3 AVγA[n]>1かつAVγB[n]<0.5:脳活動低下
・状態4 AVγA[n]≦1 :身体的負荷あり
以上において得られた判定結果は、10秒毎に1つで、n(9)個得られる。状態3が最新のn(9)個目から古い方へ例えば、4以上連続している場合に、「脳活動低下」或いは状態4が最終の9個目から古い方へ例えば、4以上連続している場合に、「身体的負荷あり」というメッセージと平均指標値比AVγA[n]、AVγB[n]の情報は、表示装置40に送出されて表示される。自らが知るばかりでなく、本実施形態βの通信手段206(706)から当該脳活動状態判定装置以外の携帯端末等に送信して、その表示装置に表示させることができる。
このように、本実施形態では、上記指標値比算出手段204は、上記安静時基準値データと上記判定対象カオス指標値との比である安静指標値比及び、上記認知活動時基準値データと上記判定対象カオス指標値との比である認知活動指標値比を算出する。また、上記判定手段205は、脳活動状態を判定するために安静状態対応脳活動閾値と上記安静指標値比との比較及び認知活動対応脳活動閾値と上記認知活動指標値比との比較に基づき上記判定対象者の脳活動状態を判定する。
<実施形態βにより長期の日に亘って判定結果n(個)と平均指標値比AVγA[n]、AVγB[n]の情報を蓄積し、この蓄積データを用いて慢性的脳疲労を判定する実施形態αの手法を用いて判定する実施形態>
本発明の実施形態に係る脳活動状態判定装置は、上記図6~図8のいずれかの構成の装置である。この例では、約1か月の15日に亘って判定結果n(9)個と平均指標値比AVγA[n]、AVγB[n]の情報が記憶装置300に記憶された状態とする。上記実施形態βでは、0:00:00~0:06:20の時間について、n(9)回区分して得たデータを用いてリアルタイム推定(01秒間隔)を行ったが、本実施形態はこれとは異なり、このリアルタイム測定したでデータを、ここでは15日分蓄積して、慢性的脳疲労の測定を行う。即ち、リアルタイム測定ンデータを何日かに亘る長期間蓄積して、これを用いて慢性的脳疲労を測定するものである。
この実施形態では、判定手段205は、脳活動閾値を0.5と1.2として次の4状態のいずれに該当するかに基づき判定結果を得る。
・状態1 AVγA[n]>1かつAVγB[n]>1.2:脳活動良し
・状態2 AVγA[n]>1かつ0.5≦AVγB[n]≦1.2:脳活動通常
・状態3 AVγA[n]>1かつAVγB[n]<0.5:脳活動低下
・状態4 AVγA[n]≦1 :身体的負荷あり
以上において得られた判定結果は、1日につき、10秒毎に1つで、n(9)個得られる。状態3が最終の9個目から古い方へ例えば、4以上連続している場合に、「脳活動低下レベル3」と判定の結果を得る。状態3が例えば、5個以上である場合に、「脳低下レベル2」と判定結果を得る。状態3が例えば、4個または3個である場合に、「脳低下レベル1」と判定結果を得る。それ以外は、脳活動低下なしとする。
この実施形態では、判定手段205が、次の条件を判定する。
条件1・最新の計測日から見て「脳活動低下」をn回連続している。
条件2・最新の計測回からu(u>n)回以内において、「脳低下レベル」数値の加算値が所定値以上である。なお、上記n、uは正の整数であり、適宜決めることができる。
以上の条件1、条件2の少なくとも一方が(もしくは両方が)満たされたときは、慢性脳疲労の状態である旨の警報メッセージと条件1と2の内容情報を、表示装置40に送出して表示し、自らが知るばかりでなく、本実施形態の通信手段206(706)から当該脳活動状態判定装置以外の携帯端末等に送信して、その表示装置に表示させることができる。
本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示するものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 センサ
10B センサ部
11 通信手段
20 スマートウオッチ
40 表示装置
50 コンピュータ
201 カオス指標値算出手段
202 基準値データ保持制御手段
203 判定対象カオス指標値算出手段
204 指標値比算出手段
205 判定手段
206 通信手段
300 記憶装置
706 通信手段

Claims (18)

  1. 時系列データのカオス性を判定する指標であるカオス指標値を算出するカオス指標値計算手段と、
    脳に対する負荷が基準値データを得る状態である第1の状態とされた被験者から得られるRRIデータを前記カオス指標値計算手段へ与えて得られる出力を基準値データとして記憶装置に保持させる基準値データ保持制御手段と、
    脳に対する負荷が評価対象データを得る状態である第2の状態とされた判定対象者から得られるRRIデータを前記カオス指標値計算手段へ与えて評価対象データである判定対象カオス指標値を得る判定対象カオス指標値計算手段と、
    前記基準値データと前記判定対象カオス指標値との比である指標値比を算出する指標値比算出手段と、
    脳活動状態を判定するために脳活動閾値と前記指標値比との比較に基づき前記判定対象者の脳活動状態を判定する判定手段と、
    を具備することを特徴とする脳活動状態判定装置。
  2. 前記カオス指標値計算手段は、複数種のカオス指標値を算出するものであり、
    前記基準値データ保持制御手段は、前記複数種に対応する基準値データを記憶装置に保持させるものであり、
    前記判定対象カオス指標値計算手段は、前記複数種に対応する判定対象カオス指標値を得るものであり、
    前記指標値比算出手段は、前記複数種に対応する指標値比を算出するものであることを特徴とする請求項1に記載の脳活動状態判定装置。
  3. 前記指標値比算出手段は、前記複数種に対応する指標値比を算出し、得られた指標値比を平均して平均指標値比を得るものであることを特徴とする請求項2に記載の脳活動状態判定装置。
  4. 前記基準値データ保持制御手段は、安静状態の被験者から得られるRRIデータを前記カオス指標値計算手段へ与えて得られる出力を安静時基準値データとして記憶装置に保持させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の脳活動状態判定装置。
  5. 前記基準値データ保持制御手段は、脳が認知活動状態の被験者から得られるRRIデータを前記カオス指標値計算手段へ与えて得られる出力を認知活動時基準値データとして記憶装置に保持させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の脳活動状態判定装置。
  6. 前記指標値比算出手段は、前記複数種に対応する指標値比を算出し、得られた指標値比を平均して平均指標値比を得るものであり、
    前記判定手段による判定が少なくとも5回行われ、この判定結果とそのときの平均指標値比が記憶されており、
    前記記憶された判定結果とそのときの平均指標値比の低下傾向に基づき慢性的脳疲労を判定する脳疲労第1判定手段を
    具備することを特徴とする請求項2に記載の脳活動状態判定装置。
  7. 前記基準値データ保持制御手段は、安静状態の被験者から得られるRRIデータを前記カオス指標値計算手段へ与えて得られる出力を安静時基準値データとして記憶装置に保持させると共に、脳が認知活動状態の被験者から得られるRRIデータを前記カオス指標値計算手段へ与えて得られる出力を認知活動時基準値データとして記憶装置に保持させており、
    前記指標値比算出手段は、前記安静時基準値データと前記判定対象カオス指標値との比である安静指標値比及び、前記認知活動時基準値データと前記判定対象カオス指標値との比である認知活動指標値比を算出し、
    前記判定手段は、脳活動状態を判定するために安静状態対応脳活動閾値と前記安静指標値比との比較及び認知活動対応脳活動閾値と前記認知活動指標値比との比較に基づき前記判定対象者の脳活動状態を判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の脳活動状態判定装置。
  8. 前記指標値比算出手段は、所定時間幅で得られるRRIデータを用いて、複数時間間隔で複数の安静指標値比及び認知活動指標値比を算出し、
    前記判定手段は、複数の安静指標値比及び認知活動指標値比についてそれぞれ設定された複数種の脳活動閾値との比較に基づき前記判定対象者の脳活動状態を判定することを特徴とする請求項7に記載の脳活動状態判定装置。
  9. 前記指標値比算出手段は、前記複数種に対応する指標値比を算出し、得られた指標値比を平均して平均指標値比を得るものであり、
    前記判定手段による判定が少なくとも5回行われ、この判定結果とそのときの平均安静指標値比及び平均認知活動指標値比が記憶されており、
    前記記憶された判定結果とそのときの平均安静指標値比及び平均認知活動指標値比の低下傾向に基づき慢性的脳疲労を判定する脳疲労第2判定手段を
    具備することを特徴とする請求項8に記載の脳活動状態判定装置。
  10. コンピュータを、
    時系列データのカオス性を判定する指標であるカオス指標値を算出するカオス指標値計算手段、
    脳に対する負荷が基準値データを得る状態である第1の状態とされた被験者から得られるRRIデータを前記カオス指標値計算手段へ与えて得られる出力を基準値データとして記憶装置に保持させる基準値データ保持制御手段、
    脳に対する負荷が評価対象データを得る状態である第2の状態とされた判定対象者から得られるRRIデータを前記カオス指標値計算手段へ与えて評価対象データである判定対象カオス指標値を得る判定対象カオス指標値計算手段、
    前記基準値データと前記判定対象カオス指標値との比である指標値比を算出する指標値比算出手段、
    脳活動状態を判定するために脳活動閾値と前記指標値比との比較に基づき前記判定対象者の脳活動状態を判定する判定手段、
    として機能させることを特徴とする脳活動状態判定用プログラム。
  11. 前記コンピュータを前記カオス指標値計算手段として、複数種のカオス指標値を算出するように機能させ、
    前記コンピュータを前記基準値データ保持制御手段として、前記複数種に対応する基準値データを記憶装置に保持させるように機能させ、
    前記コンピュータを前記判定対象カオス指標値計算手段として、前記複数種に対応する判定対象カオス指標値を得るように機能させ、
    前記コンピュータを前記指標値比算出手段として、前記複数種に対応する指標値比を算出するように機能させることを特徴とする請求項10に記載の脳活動状態判定用プログラム。
  12. 前記コンピュータを前記指標値比算出手段として、前記複数種に対応する指標値比を算出し、得られた指標値比を平均して平均指標値比を得るように機能させることを特徴とする請求項11に記載の脳活動状態判定用プログラム。
  13. 前記コンピュータを前記基準値データ保持制御手段として、安静状態の被験者から得られるRRIデータを前記カオス指標値計算手段へ与えて得られる出力を安静時基準値データとして記憶装置に保持させるように機能させることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の脳活動状態判定用プログラム。
  14. 前記コンピュータを前記基準値データ保持制御手段として、脳が認知活動状態の被験者から得られるRRIデータを前記カオス指標値計算手段へ与えて得られる出力を認知活動時基準値データとして記憶装置に保持させるように機能させることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の脳活動状態判定用プログラム。
  15. 前記コンピュータを前記指標値比算出手段として、前記複数種に対応する指標値比を算出し、得られた指標値比を平均して平均指標値比を得るように機能させ、
    前記コンピュータを前記判定手段として判定を少なくとも5回行うように機能させると共に、この判定結果とそのときの平均指標値比が記憶されるように機能し、
    前記コンピュータを、前記記憶された判定結果とそのときの平均指標値比の低下傾向に基づき慢性的脳疲労を判定する脳疲労第1判定手段として機能させることを特徴とする請求項11に記載の脳活動状態判定用プログラム。
  16. 前記コンピュータを前記基準値データ保持制御手段として、安静状態の被験者から得られるRRIデータを前記カオス指標値計算手段へ与えて得られる出力を安静時基準値データとして記憶装置に保持させるように機能させると共に、脳が認知活動状態の被験者から得られるRRIデータを前記カオス指標値計算手段へ与えて得られる出力を認知活動時基準値データとして記憶装置に保持させるように機能させ、
    前記コンピュータを前記指標値比算出手段として、前記安静時基準値データと前記判定対象カオス指標値との比である安静指標値比及び、前記認知活動時基準値データと前記判定対象カオス指標値との比である認知活動指標値比を算出するように機能させ、
    前記コンピュータを前記判定手段として、脳活動状態を判定するために安静状態対応脳活動閾値と前記安静指標値比との比較及び認知活動対応脳活動閾値と前記認知活動指標値比との比較に基づき前記判定対象者の脳活動状態を判定するように機能させることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の脳活動状態判定用プログラム。
  17. 前記コンピュータを前記指標値比算出手段として、所定時間幅で得られるRRIデータを用いて、複数時間間隔で複数の安静指標値比及び認知活動指標値比を算出するように機能させ、
    前記コンピュータを前記判定手段として、複数の安静指標値比及び認知活動指標値比についてそれぞれ設定された複数種の脳活動閾値との比較に基づき前記判定対象者の脳活動状態を判定するように機能させることを特徴とする請求項16に記載の脳活動状態判定用プログラム。
  18. 前記コンピュータを前記指標値比算出手段として、前記複数種に対応する指標値比を算出し、得られた指標値比を平均して平均指標値比を得るように機能させ、
    前記コンピュータを前記判定手段として判定を少なくとも5回行うように機能させると共に、この判定結果とそのときの平均安静指標値比及び平均認知活動指標値比が記憶されるように機能させ、
    前記コンピュータを前記記憶された判定結果とそのときの平均安静指標値比及び平均認知活動指標値比の低下傾向に基づき慢性的脳疲労を判定する脳疲労第2判定手段として機能させることを特徴とする請求項17に記載の脳活動状態判定用プログラム。
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