JP2023150882A - 静電チャック誘電体層およびそれを有する静電チャック - Google Patents

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Abstract

【課題】使用温度が200℃や300℃まで上昇する用途に使用した際にも、一定の体積抵抗率をもつ静電チャック誘電体層や静電チャックを提供し、高い吸着力と脱着応答性、ウエハの安定保持等を幅広い温度範囲で可能とする。また、機械的強度を従来の酸化アルミニウム製の静電チャック誘電体層と同等以上とし、製造を容易にする。【解決手段】静電チャックの誘電体層を、酸化アルミニウム相の第1相中に、炭化タングステン相からなる第2相が0.2~8体積%分散した組成とする。【選択図】 図2

Description

本発明は静電チャックの誘電体層およびその誘電体層を有する静電チャックに関する。
半導体製造装置や液晶ディスプレイ製造装置等では、シリコン等のウエハ、サファイア基板等を、各種基板(以後単に「基板」とも表す)を吸着保持するために静電チャックが使用されている。一般的に、静電チャック誘電体層は、耐熱性や耐食性に優れた酸化アルミニウム、窒化アルミニウムや酸化イットリウム等の材料や、それに添加物相を有する材料で構成される。特に、酸化アルミニウム材料は、一般的なセラミックスであり、入手性が高く、比較的安価な材料で製造も容易である。また、熱伝導率も窒化アルミニウムと比較して低いために、ヒータ等を用いてウエハの温度制御が行いやすい。
静電チャック10は一般的に図1に示す構造を有する。シリコン等の基板を吸着保持する部材を誘電体層2という。この誘電体層2で基板を保持する面は設置面aである。設置面aの裏面には静電吸着に必要な電流を供給する、電極6を有する。電極6を挟み誘電体層2を保持するベース4を有し、誘電体層2とベース4で電極6を密封する。ベースは、冷却や処理装置固定の役割を果たす金属製のバッキングプレート8にボンディングされている。バッキングプレート8は、内部に冷却水路22を通し、温度調整をすることが多い。
これらの誘電体層2、電極6、ベース4、バッキングプレート8を合せて静電チャック10と呼ぶ。誘電体層2とベース4の間には、電極に加えてヒータをさらに有する場合もある。また、誘電体層2とベース4は同じ材料でもよく、異なる材料でもよい。可能であれば同材種で一体の構造でもよい。
特許文献1では、酸化イットリウムの焼結体を静電チャック誘電体層に用いる提案がされている。酸化イットリウムの体積抵抗率は1×1015Ω・cmが好ましく、耐食性や機械的強度に優れ、高い吸着力と脱着応答性を得ることが可能な旨、開示されている。
特許文献2には、純度が99.8%以上のアルミナを用いた透光性アルミナセラミックスを静電チャック誘電体層に用いることで、静電チャック誘電体の温度が50~100℃の範囲で1×1015Ω・cm以上でほぼ安定となることが開示されている。静電チャック誘電体層の体積抵抗率(電気抵抗率)を上記範囲とすることで、ウエハを安定吸着保持でき、その制御も容易であることも開示されている。また、半導体ウエハに対する吸着保持安定性等の観点から、絶縁抵抗値が温度変化によって急激に変化しないこと、すなわち、絶縁抵抗値の温度依存性が小さいことが好ましい旨記載がある。
特許文献1、2に記載のように、静電チャック誘電体層の体積抵抗率が高く、また、使用温度によるその変化が小さいことで、高い吸着力、脱着応答性、ウエハの安定保持が容易に制御できる等の優位性が発現する。
また、特許文献3や4に示すように、静電チャックが保持するウエハの温度や静電チャックの使用温度には広い幅がある。特許文献3には保持されるウエハの温度が300℃の例が示されているし、特許文献4にはヒータ用内部電極に直流電圧を印加することにより200℃に維持しながら運転する例が開示されている。
特許文献5には、高純度酸化イットリウム焼結体を用いたプラズマプロセスの構造材が開示されている。
特許文献6には、酸化アルミニウムを主成分とする第1相中に、(Ti、Me)(C、N)で表されるTiとMeとの複合炭窒化物(ただしMeは周期律表3族~11族の遷移元素のうちの1種または2種以上)からなる第2相が分散したセラミックス材料からなるジョンソン・ラーベック型の静電チャック誘電体層が開示されている。
もちろん、静電チャック誘電体層や静電チャックとして使用する場合には、高いプラズマ耐食性や、加工や使用に耐える機械的強度も求められる。また、装置の多くが酸化アルミニウム製の静電チャックを用いていることから、熱伝導率等の特性は、酸化アルミニウムと近いほうが好まれることが多い。
特開2006-225185号公報 特開2003-168726号公報 特開2022-014775号公報 特開2004-055608号公報 WO2009133638A1号国際広報 特開2014-082277号公報
特許文献1には酸化イットリウムを用いた静電チャック誘電体層が開示されているが、特許文献5に示されているように、酸化イットリウムは高い耐プラズマ性を示す一方で、一般に機械的強度は曲げ強度で100MPa程度であり、高くても約200MPa、ビッカース硬度は600Hv程度と弱いため加工が難しく、また、焼結体による大型化は難しい。また、酸化イットリウムの原料で、高純度のものは高価である。
特許文献2の透光性アルミナは極めて純度の高いアルミナ原料を使う必要があり、焼結体の大きさが大きくなるほどに全体均一な透光性を持たせることが難しい。そのために、製造費用面や製造が容易であるとは言えない。
特許文献1や2は、室温や50~100℃における体積抵抗率に注目している。
一方で、特許文献3や4には、使用時のウエハや静電チャック誘電体層の温度が200℃や300℃まで上昇することが記載されている。そのために、特許文献3や4に記載の200℃や300℃での使用については、特許文献1や2で解決されているとは言えない。
また、現在用いられている静電チャック誘電体層や静電チャックは、酸化アルミニウム製のものが主流である。ウエハの吸着に関する設計や調整は、酸化アルミニウム製を前提に行われているために、酸化アルミニウムと大きく熱伝導率が違わないものであれば、容易に置き換えることが可能である。さらに、それらの熱伝導率のばらつきが小さければ、半導体製造装置の稼働前、稼働時の調整が少なくて済み、より好ましい。
本発明の課題は、使用温度が200℃や300℃まで上昇する用途に使用した際にも、一定の体積抵抗率をもつ静電チャック誘電体層や静電チャックを提供することで、高い吸着力と脱着応答性、ウエハの安定保持等を幅広い温度範囲で可能とすることである。なお、静電チャックのタイプはクーロンタイプである。
静電チャックの誘電体層を、酸化アルミニウム相の第1相中に、炭化タングステン相からなる第2相が0.2~8体積%分散した組織とすることで、前記課題を解決した。また、前記誘電体層を有する静電チャックで、前記課題を解決した。
また、本発明の一形態として、静電チャック誘電体層の炭化タングステンの平均粒子径を3μm以下とできる。
また、本発明の一形態として、静電チャック誘電体層の体積抵抗率を、0℃~300℃の範囲で5.0×1015(Ω・cm)以上としてもよい。
また、本発明の一形態として、静電チャック誘電体層断面を走査型電子顕微鏡で観察した場合に観察される気孔率が0.5%以下としてもよい。
本発明によれば、静電チャックにおける誘電体層静電チャックの誘電体層を、酸化アルミニウム相の第1相中に、炭化タングステン相からなる第2相が0.2~8体積%分散した組織とすることで、常温から300℃の範囲まで一定以上の体積抵抗率をもつ静電チャック誘電体層や静電チャックが得られ、その使用時には幅広い温度範囲で高い吸着力、脱着応答性やウエハの安定保持が得られる。
本発明の一形態として、静電チャック誘電体層の炭化タングステンの平均粒子径を3μm以下とできる。3μm以下であると、隣り合う炭化タングステン同士が接触しにくく、静電チャック誘電体層の面が電気的に均一となりやすく、吸着力が面内で均一となり、好ましい。より好ましくは平均粒子径が1.5μm以下であり、その範囲であれば、単位体積あたりの炭化タングステンの粒子の数が一定となりやすく、吸着力がより安定する。また、高温での吸着特性が変化しにくく、より好ましい。本発明の実施例における試料3の走査型電子顕微鏡による組織の例を図3に示す。図3は酸化アルミニウムの粒界が目立つように処理しており、白色部が炭化タングステン、灰色部が酸化アルミニウムである。図3に示す様に、炭化タングステンの粒子径と合わせて、酸化アルミニウムの平均粒子径を1~4μm程度の範囲に揃えることで、それらの効果はより安定する。なお、炭化タングステンの平均粒子系が0.2μmを下回ると、酸化アルミニウムの結晶成長を抑制する働きが著しく下がり、酸化アルミニウムの平均粒子系が安定しにくくなるため、好ましくない場合がある。
本発明の一形態として、静電チャック誘電体層の体積抵抗率を、0℃~300℃の範囲で5.0×1015(Ω・cm)以上とできる。そうすることで、より高温まで良好な吸着特性が維持できる。
本発明の一形態として、静電チャック誘電体層の熱伝導率を28.0~31.4(W/m・K)とできる。この範囲とすることで、従来用いられている酸化アルミニウム製の静電チャックと置き換えがより容易となる。
本発明の一形態として、静電チャック誘電体層断面を走査型電子顕微鏡で観察した場合に観察される気孔率が0.5%以下としてもよい。気孔率が0.5%を超えると、吸着特性のムラや、熱伝導の不均一が生じやすくなり、吸着面に気孔が露出した場合はウエハを傷つける原因となるため、気孔率は0.5%以下がするのが好ましい。より好ましくは、0.2%以下である。
以上に示した特徴をもつ静電チャック誘電体層を有する静電チャックは、使用時に幅広い温度範囲で高い吸着力、脱着応答性やウエハの安定保持が得られる。また、吸着力のムラが面内で起こりにくい。
静電チャックの一般的な構造を示す。 本発明試料および比較例の、静電チャック誘電体層の体積抵抗率を示す。 本発明の静電チャック誘電体層の組織の一例を示す。
本発明の静電チャック誘電体層および静電チャックは、典型的には以下の形態にて製造できる。
原料粉末は、主相である酸化アルミニウムの原料として平均粒子径が0.2~3μm程度の酸化アルミニウムを用いる。酸化アルミニウムは純度の高いものでもよいし、少量のMgO、ZrO、TiO、TiC、Y、CaO、Ce、La、SiO等の焼結助剤等を付加したものでもよい。第2相である炭化タングステン相の原料としては、原料粉末は平均粒子径が0.2~5μmの炭化タングステン粉末を用いる。炭化タングステンは例えば99.8%以上と純度の高いものが好ましいが、少量の周期律表4,5,6属の成分や、鉄鏃金属を含んでいてもよい。
酸化アルミニウム粉末と、炭化タングステン粉末の混合比は、体積比で酸化アルミニウムの主相が92~99.8体積%、炭化タングステンの第2相が0.2~8体積%となるように秤量する。
粉末秤量後に、前記割合で混合、場合によっては粉砕も行う。この作業に使用するのはボールミル、アトライタ、らいかい機、ビーズミル等が代表として挙げられるが、十分に混合できるのであれば方法は問わない。湿式でも乾式でもよい。湿式の場合はさらにこの後に乾燥させて、混合粉末を得る。十分に混合することで、炭化タングステンの凝集を小さくでき、原料粉末の粒子径が大きかったとしても、焼結体中の炭化タングステン相の平均粒子系を3μm以下とすることが可能である。
混合粉末を粉末のまま、あるいは粉末を一度機械的にプレスして圧粉体とした状態で、ホットプレス用モールドに投入する。
ホットプレスは公知の方法で行なえばよい。温度および圧力は例えば1300~1800℃、5~30MPa程度で行えばよい。最高温度保持時間は10分~5時間程度が適している。
冷却後にホットプレス体を取り出し、機械加工にて面形状を整える。
以上はホットプレスによる焼結について記載したが、特に金型プレスや、焼結前の整形を行う場合は、粉末の混合後に成形用バインダーを添加してもよい。成形用バインダーは、パラフィン、PVA(ポリビニルアルコール)、PEG(ポリエチレングリコール)等の公知の有機バインダーでよい。有機バインダーは焼結前に高温にすることにより200~600℃の範囲で気化、蒸発する。このような脱脂体を真空中、還元雰囲気ガス中で焼結することも可能である。
得られた静電チャック誘電体層に、電極を構成する金属材料を重ね、ベースと接合する。ベースは静電チャック誘電体層と同様の材質としてもよいし、他の材質としてもよいが、熱膨張率が静電チャック誘電体層と大きく違わない(1.0×10-6ppm以下)材質が好ましい。電極を構成する金属はタングステン、ニッケルやモリブデン等の公知の材質から適宜選択ができる。接合方法は、加圧しながら昇温できる方法から選択できるが、ホットプレスによる接合が最も適している。ホットプレスによる接合の場合は、1~50MPaの圧力下、1300~1700℃の処理が妥当な範囲である。
接合後に、形状を所望の形状に機械加工を行い、アルミニウム等の公知の材質からなるバッキングプレートとボンディングすることで、本発明の静電チャックが得られる。
実施例1
本実施例では、種々の条件で本発明の静電チャック誘電体層を得た条件、および、測定した物性値や特性を示す。
主相を構成する酸化アルミニウムは、平均粒子径が0.5μmで純度99.9%の市販の粉末を使用した。
炭化タングステンの粉末は、平均粒子径が0.6μm、純度99.5%以上の粉末を使用した。なお、試料6については、平均粒子径が1.2μmの炭化タングステン粉末を原料粉末とした。
以上に述べた出発原料を表1に示す配合組成にて混合し、本発明の試料1~試料6とした。

また、比較例として以下の組成で、同様の処理を行った。なお、比較例に用いたその他の原料は、平均粒子径が1.0~2.5μmで入手容易な粉末を用いた。

比較例1、比較例2は、酸化アルミニウム単体でそれぞれ95%、100%の相対密度を持つ比較試料である。
比較例3、4は本発明の炭化タングステンに代えて、それぞれ炭化チタンおよびチタンとモリブデンの複単窒化物を用いた比較試料である。
比較例5、比較例6は、酸化アルミニウムと炭化タングステンの体積比率が本発明と異なる比率とした試料である。
比較例7は、酸化アルミニウム中に酸化マグネシウムと酸化ケイ素を合計で2.5体積%含む低純度酸化アルミニウムからなる組成の試料である。
比較例8は、酸化イットリウム単体の試料である。
Figure 2023150882000002

以下、混合から評価についての説明は、表1中の試料3の試料を用いて説明する。
表1に示す組成にて、酸化アルミニウム粉末、炭化タングステン、その他の原料(実施例1では無し)を焼結後の体積分率で98.0:2.0となるように秤量し、メタノールと酸化アルミニウムボールを加え、ボールミルにて20時間粉砕、混合してスラリーを得た。
スラリーをスプレードライヤーで乾燥、造粒を行い、混合粉末を得た。
混合粉末をホットプレス炉で、窒素ガスフロー下で15MPaの圧力を掛けホットプレスを行った。焼結温度は1400℃でまず焼結し、99%以上の相対密度が得られない場合は50℃温度を上げるという方法で適した条件を探した。1550℃で相対密度の99%を超えたために、この温度を焼結温度とした。なお、他の試料と比較例も同様の方法で焼結温度を設定した。
試料1~6の断面(ホットプレス加圧軸に対して平行の方向)を光学顕微鏡で組織観察したところ、いずれの試料も気孔率は0.5%以下(試料1~5では気孔は観察されず、試料6の気孔率は0.2%)であった。
断面観察による試料1~6の炭化タングステンの平均粒子径は、いずれも原料よりもやや大きくなり、表2のとおりであった。

得られた焼結体を研削盤にて体積抵抗率測定試験片(φ80×1.0mm)および抗折力試験片(3×4×40mm)形状に機械加工した。焼結体を研削およびラップ加工して組織を観察し、炭化タングステンの平均結晶粒子径を測定した。機械的物性値は曲げ強度と硬さ(Hv)をそれぞれ測定した。また、熱伝導率を測定した。

体積抵抗率は、体積抵抗率は室温にてJIS C 2139に記載の方法で測定した。測定温度は、常温、100℃、200℃、300℃と幅広く測定した。耐プラズマ性については、各試料をフッ素、酸素含有の腐食性ガスを用いてプラズマを発生させた環境で消耗させ、比較例2の消耗体積を1(基準)として消耗体積を比較した。
物性値について、曲げ強度は、3点曲げ法(JIS R 1601)にて測定した。ビッカース硬さは加圧力1Kgfで試験した。また、熱伝導率は、JIS R2251に記載の方法で測定した。

以上の方法にて、表1に示す種々組成が異なる試料も、同様の試験を行った。測定結果を表2および図2に示す。
Figure 2023150882000003

表2および図2の結果より下記のことが分かった。

(体積抵抗率)
測定にて得られた体積抵抗率の値を図2に示す。
本発明の範囲である試料1~6は、常温での体積抵抗率がいずれも5.0×1016Ω・cmと高く、また、300℃においても5.0×1015Ω・cmと高く維持されていた。また、特に常温から200℃に置いては、1.0×1016Ω・cm以上と極めて高く維持されていた。そのために、静電チャックとしての使用時には幅広い温度範囲で高い吸着力、脱着応答性やウエハの安定保持等の効果が得られる。
一方で、比較例1~8の試料は、常温では5.0×1016Ω・cmを超えるものもあるが、300℃においてはいずれも5.0×1015Ω・cmを下回っており、高温での使用時に前記の本発明材で得られる効果が十分に得られないことがわかった。

(機械的強度)
機械的強度について、本発明である試料1~試料6は、いずれも酸化アルミニウム単体(相対密度100%)の比較例2を上回る曲げ強度を示し、機械加工や大型化に問題ない強度を有することが確認できた。酸化イットリウムで作製した比較例8は3点曲げ強度が極めて低く、加工時の取り扱いが難しく、加工による割れやチッピングが起こりやすい状態であった。
また、ビッカース硬さについては比較例2とほぼ同等であり、一般的に使用されている酸化アルミニウムと同様の取り扱いができ、機械的な耐摩耗は十分であった。ビッカース硬さについても、比較例8は著しく劣っていた。

(耐プラズマ性)
耐プラズマ性は、試料1~6、比較例1~7についてはほぼ同等であり、試料1~6は一般に使用されている酸化アルミニウムの静電チャックと同等程度の耐プラズマ性を有しており、使用上の問題点とならないことが確認できた。耐プラズマ性については、酸化イットリウム製の比較例8が最も優れていた。

(熱伝導率)
熱伝導率について、試料1~6の熱伝導率は、いずれも29.0~31.2(W/m・K)の範囲内であった。いずれも、純酸化アルミニウム材である比較例2と比べ、10%以内の変化幅であり、静電チャックの設計や設定を大きく変えることなく、既存の装置に適用が可能である。
また、試料1~6それぞれについて、20点ずつの測定を行ったが、試料内の面内ばらつきは、いずれも±0.2(W/m・K)の範囲に収まっており、試料の熱伝導性のばらつきが小さいことが明らかとなった。さらに試料1~4については、±0.1(W/m・K)以内であった。これに対して、比較例1で同様の測定を行ったところ±0.6(W/m・K)、比較例2では±0.4(W/m・K)と、本発明の熱伝導性よりもばらつきが大きかった。

(まとめ)
本発明の試料は、いずれも体積抵抗率が常温~200℃までの範囲で、5.0×1015Ω・cm以上であり、静電チャックの使用温度が高い場合でも、高い吸着力、脱着応答性、ウエハの安定保持が容易に制御できる、面内の吸着力のムラが小さい等の利点が得られる。
また、耐プラズマ性や熱伝導率については、従来品の酸化アルミニウム製の静電チャック誘電体層と同等であり、従来の静電チャックへの置き換えが容易である。
さらに、機械的特性は、従来の酸化アルミニウム製や酸化イットリウムよりも高いために、取り扱いや加工がしやすく、静電チャック誘電体層を薄くしたい場合の加工も比較的容易となり、製造コストも縮減できる。

実施例2
本実施例では、本発明の静電チャック誘電体層を用いて静電チャックを製作した例を示す。
試料1~6の静電チャック誘電体層を、直径320mm、厚さ1mmの円盤状に加工した。加工面にタングステンペーストにて印刷を施した。
タングステンペーストの印刷面を挟むように、直径320mm、厚さ1mmのセラミックベース用の板(同材質)を重ね合わせ、ホットプレス機にて接合した。接合条件は、10MPa、1500℃とした。接合時にはタングステンペーストも焼成され、金属タングステンとなる。
接合後に機械加工を加え、内部に電極を有する静電チャック用のセラミック板(静電チャック誘電体層とセラミックベースの接合体)を得た。更に機械加工にて、セラミックベース側に、給電用の穴加工を行い、穴部分のタングステンを露出させた。
次に、アルミニウム合金製のバッキングプレートを、金属ボンディングにてセラミックベースに接合した。
静電チャック誘電体層の表面に、ウエハ載置のための表面加工をサンドブラストにて行った。また、セラミックベースに設けた孔からは、金属タングステンに電圧をかけるためのリード線を伸ばした。
以上の工程にて、本発明の静電チャック誘電体層を有する静電チャックを得た。
10 静電チャック
2 静電チャック誘電体層
4 ベース
6 電極
8 バッキングプレート
22 冷却水路
a 吸着面

Claims (6)

  1. 酸化アルミニウム相の第1相中に、炭化タングステン相からなる第2相が0.2~8体積%分散した、静電チャック誘電体層。
  2. 前記炭化タングステン相の平均粒子径が3μm以下である請求項1に記載の静電チャック誘電体層。
  3. 体積抵抗率が0℃~300℃の範囲で5.0×1015Ω・cm以上である請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の静電チャック誘電体層。
  4. 熱伝導率が28~31.4(W/m・K)の範囲である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の静電チャック誘電体層。
  5. 断面を走査型電子顕微鏡で観察した場合に観察される気孔率が0.5%以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の静電チャック誘電体層。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の静電チャック誘電体層と、
    静電気付与のための電極と、
    前記吸着面と前記電極を保持するセラミックス製のベースと、
    セラミックベースを保持するバッキングプレートと、を有する、
    静電チャック。
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