JP2023148451A - 保護装置 - Google Patents

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崇博 安井
Takahiro Yasui
陽平 遠山
Yohei Toyama
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Abstract

【課題】コストを抑え、短絡が発生するのを防ぐ。【解決手段】保護装置は、入力されるパルス信号に応じてオン又はオフとなり、オンのときに電源からの電力を負荷へ供給し、オフのときに前記電源から前記負荷への電力供給を遮断するスイッチを制御するスイッチ制御部と、前記パルス信号が前記スイッチへ入力されてから所定時間内に測定された前記電源と前記スイッチとの間の電圧の電圧値と、前記スイッチと前記負荷との間の電圧の電圧値を、当該電圧値を測定する電圧測定部から取得し、前記スイッチの抵抗値と、取得した電圧値とに基づいて前記スイッチより後段の抵抗値を算出する演算部と、を有し、前記パルス信号に応じて前記スイッチがオンとなる時間は、前記負荷が動作しない時間であり、前記スイッチ制御部は、前記演算部が算出した抵抗値が閾値未満である場合、前記スイッチをオフにする。【選択図】図1

Description

本発明は、保護装置に関する。
電源から負荷へ過電流が流れるのを防止する発明として、例えば特許文献1に開示されたスイッチ装置がある。このスイッチ装置は、スイッチ回路と、負荷に接続されるコネクタとを有し、スイッチ回路は、直流電源からコネクタへの第1電流経路に設けられたメインスイッチと、直流電源からコネクタへの第2電流経路に設けられたサブスイッチとを有する。また、スイッチ回路は、メインスイッチ及びサブスイッチに並列に抵抗器を有する。スイッチ回路においては、サブスイッチがオンであるときの抵抗値は、メインスイッチがオンであるときの抵抗値より大きくなっている。スイッチ装置は、メインスイッチがオフであり、且つ、サブスイッチがオンである状態でメインスイッチ及びサブスイッチの下流側の接続ノードの電圧を取得する。そしてスイッチ回路は、メインスイッチがオンに切り替わった場合にメインスイッチを介して流れる電流が閾値未満であるかを取得した電圧に基づいて判定する。この閾値は、直流電源の電圧未満であり、且つ、抵抗器と負荷とが直流電源の電圧を分圧することによって得られる電圧を超えた電圧である。スイッチ装置は、取得した電圧が、この閾値以上であった場合にはメインスイッチをオフに維持する。
国際公開第2021/117492号
特許文献1に開示されたスイッチ装置の場合、メインスイッチ及びサブスイッチに並列にさらに抵抗器を必要とし、部品数が増えるためコストがかかる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コストを抑え、短絡が発生するのを防ぐ技術を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る保護装置は、入力されるパルス信号に応じてオン又はオフとなり、オンのときに電源からの電力を負荷へ供給し、オフのときに前記電源から前記負荷への電力供給を遮断するスイッチを制御するスイッチ制御部と、前記パルス信号が前記スイッチへ入力されてから所定時間内に測定された前記電源と前記スイッチとの間の電圧の電圧値と、前記スイッチと前記負荷との間の電圧の電圧値を、当該電圧値を測定する電圧測定部から取得し、前記スイッチの抵抗値と、取得した電圧値とに基づいて前記スイッチより後段の抵抗値を算出する演算部と、を有し、前記パルス信号に応じて前記スイッチがオンとなる時間は、前記負荷が動作しない時間であり、前記スイッチ制御部は、前記演算部が算出した抵抗値が閾値未満である場合、前記スイッチをオフにする。
本発明の一態様に係る保護装置においては、前記パルス信号は、前記負荷が動作しないデューティ比のPWM信号であり、前記演算部は、前記スイッチと前記負荷との間の電圧変化を平滑化するローパスフィルタの出力電圧を、前記スイッチと前記負荷との間の電圧の電圧値として取得する。
本発明の一態様に係る保護装置においては、前記演算部は、取得した電圧値と前記デューティ比に基づいて、前記負荷のグランド電位と、前記電圧測定部のグランド電位との電位差を算出し、算出した電位差と、前記演算部が取得した電圧値と、前記スイッチの抵抗値に基づいて前記スイッチより後段の抵抗値を算出する。
本発明の一態様に係る保護装置においては、前記演算部は、前記PWM信号が第1デューティ比のときに取得した電圧値、前記PWM信号が第2デューティ比のときに取得した電圧値、前記第1デューティ比、及び前記第2デューティ比に基づいて前記電位差を算出する。
本発明の一態様に係る保護装置においては、前記スイッチ制御部は、前記スイッチと並列に設けられた第1サブスイッチと、前記負荷に並列に設けられた第2サブスイッチを制御し、前記演算部は、前記第1サブスイッチがオンであり、前記スイッチ及び前記第2サブスイッチがオフのときに取得した前記負荷にかかる電圧の電圧値と、前記第1サブスイッチ及び前記第2サブスイッチがオンであり、前記スイッチがオフのときに取得した前記負荷にかかる電圧の電圧値、及び前記第2サブスイッチに流れる電流の電流値に基づいて、前記負荷のグランド電位と、前記電圧測定部のグランド電位との電位差を算出し、算出した電位差と、前記演算部が取得した電圧値と、前記スイッチの抵抗値に基づいて前記スイッチより後段の抵抗値を算出する。
本発明の一態様に係る保護装置においては、前記演算部が取得する電圧値は、前記パルス信号の立ち下がりの間に前記電圧測定部で測定された電圧値である。
本発明の一態様に係る保護装置においては、前記スイッチはFETであり、前記パルス信号で前記スイッチがオンのときに前記FETのゲートに印可される電圧の電圧値は、前記FETのゲート閾値に所定電圧値を加算した電圧値であり、前記スイッチ制御部は、前記パルス信号で前記スイッチがオンのときに取得した前記スイッチと前記負荷との間の電圧の電圧値が前記所定電圧値未満である場合、前記スイッチをオフにする。
本発明によれば、コストを抑え、短絡が発生するのを防ぐことができる、という効果を奏する。
図1は、第1実施形態に係る構成を示すブロック図である。 図2は、第1実施形態の制御に係る信号の波形の一例を示す図である。 図3は、第2実施形態に係る構成を示すブロック図である。 図4は、負荷にかかる電圧と半導体スイッチに入力されるPWM信号のデューティ比との関係をしめすグラフである。 図5は、第3実施形態に係る構成を示すブロック図である。 図6は、第3実施形態の制御に係る信号の波形の一例を示す図である。 図7は、第3実施形態の制御に係る信号の波形の一例を示す図である。 図8は、第4実施形態に係る構成を示すブロック図である。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一または対応する要素については適宜同一の符号を付している。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る保護装置1Aの構成を示すブロック図である。電源2は、例えば車両に搭載される蓄電池である。電源2が供給する電力は、電源2の正極から半導体スイッチ4を介して負荷3へ供給される。半導体スイッチ4は、例えばFET(Field effect transistor)を含むスイッチであり、電源2の正極に接続されている。半導体スイッチ4は、保護装置1Aから出力される信号によってオン又はオフとなり、電源2から供給される電力の出力と遮断を行なう。負荷3は、車両において半導体スイッチ4から供給される電力で駆動する電装品である。負荷3は、グランドラインGで電源2の負極に接続されている。保護装置1Aは、短絡を防ぐ装置であり、車両に搭載されている。
保護装置1Aは、制御部10と、第1電圧測定部11Aと、第2電圧測定部11Bとを有する。第1電圧測定部11Aは、電圧を測定する回路を有し、半導体スイッチ4と電源2との間と、グランドラインGに接続されている。第1電圧測定部11Aは、半導体スイッチ4と電源2との間の電圧の電圧値を測定する。第1電圧測定部11Aが測定した電圧値は、制御部10へ出力される。第2電圧測定部11Bは、電圧を測定する回路を有し、半導体スイッチ4と負荷3との間と、グランドラインGに接続されている。第2電圧測定部11Bは、半導体スイッチ4と負荷3との間の電圧の電圧値を測定する。第2電圧測定部11Bが測定した電圧値は、制御部10へ出力される。
制御部10は、短絡の発生を防ぐ機能の実現のために、演算部101及びスイッチ制御部102を有する。演算部101は、第1電圧測定部11Aが測定した電圧値と、第2電圧測定部11Bが測定した電圧値とを取得する。演算部101は、取得した電圧値と、半導体スイッチ4がオンとなったときの半導体スイッチ4の抵抗値とに基づいて、負荷3の抵抗値を演算する。また、演算部101は、図示省略した上位装置であるECU(Electronic Control Unit)から動作信号を取得する。動作信号は、半導体スイッチ4をオンにするかオフにするかを示す信号である。演算部101は、演算結果や動作信号に応じて、出力制御信号Saとパルス信号Sbをスイッチ制御部102へ出力する。スイッチ制御部102は、ECUから動作信号を取得する。スイッチ制御部102は、動作信号、出力制御信号Sa及びパルス信号Sbに応じて、半導体スイッチ4をオン又はオフにするスイッチ制御信号Scを出力する。
なお、制御部10は、各種演算処理を行うプロセッサ及び記憶部を含んで構成されていてもよい。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサを含んで構成される。記憶部は、プロセッサが演算処理を行うために使用する各種プログラムやデータなどが格納される、たとえばROM(Read Only Memory)を備えている。また、記憶部は、プロセッサが演算処理を行う際の作業スペースやプロセッサの演算処理の結果などを記憶するなどのために使用される、たとえばRAM(Random Access Memory)を備えている。制御部10の機能は、プロセッサが記憶部から各種プログラムを読み出して実行することで、機能部として実現されてもよい。
次に保護装置1Aの動作例について、図2を用いて説明する。図2は制御に係る信号の波形の一例を示す図である。ECUは、負荷3へ電力を供給する場合、ハイレベルの動作信号を出力する。この動作信号は、演算部101とスイッチ制御部102へ供給される。演算部101は、動作信号のレベルがローレベルからハイレベルへ変わると、ローレベルの出力制御信号Saと、半導体スイッチ4を所定時間の間だけオンにするパルス信号Sbを出力する。このパルス信号Sbは、例えば、一定時間の間だけハイレベルとなるワンショットのパルス信号である。このパルス信号でハイレベルとなる一定時間は、短絡があっても半導体スイッチ4が破損しない時間に設定されている。
スイッチ制御部102は、パルス信号Sbに応じて、一定時間の間だけハイレベルとなるワンショットのパルス信号であるスイッチ制御信号Scを出力する。半導体スイッチ4は、スイッチ制御信号Scがハイレベルのときにオンとなる。半導体スイッチ4がオンとなると、半導体スイッチ4を介して負荷3へ電流が流れる。演算部101は、スイッチ制御信号Scで半導体スイッチ4がオンとなっている期間に第1電圧測定部11Aが測定した電圧値と、第2電圧測定部11Bが測定した電圧値とを取得する。
次に演算部101は、取得した電圧値と、半導体スイッチ4がオンとなったときの半導体スイッチ4の抵抗値に基づいて、負荷3の抵抗値を算出する。具体的には、演算部101は、負荷3の抵抗値をRL、第1電圧測定部11Aから取得した電圧値をVb、第2電圧測定部11Bから取得した電圧値をVL、半導体スイッチ4がオンとなったときの半導体スイッチ4の抵抗値をRonとした場合、RLを式(1)で算出する。なお、Ronは、例えば予め演算部101に設定されている。
Figure 2023148451000002
演算部101は、算出したRLが予め定められた閾値以上である場合、図2に示すようにハイレベルの出力制御信号Saを出力する。この閾値は、例えば、予め演算部101に設定されている負荷3の抵抗値である。スイッチ制御部102は、動作信号がハイレベルであり、且つ、出力制御信号Saがハイレベルである場合、半導体スイッチ4をオンにするハイレベルのスイッチ制御信号Scを出力する。半導体スイッチ4は、このスイッチ制御信号Scによってオンとなる。半導体スイッチ4がオンとなると、半導体スイッチ4を介して負荷3へ電流が流れる。
一方、演算部101は、算出したRLが予め定められた閾値未満である場合、短絡が生じることを知らせる情報をECUへ出力する。半導体スイッチ4より後段で短絡が生じる場合にはRLが閾値以下になるため、制御部10は、RLと閾値とを比較することにより短絡が生じることを検知することができる。また、演算部101は、算出したRLが予め定められた閾値未満である場合、動作信号がハイレベルのときにローレベルの出力制御信号Saを出力する。この場合、スイッチ制御部102は、出力制御信号Saがローレベルであるため、半導体スイッチ4をオフにするスイッチ制御信号Scを出力する。
ECUは、負荷3への電力供給を停止する場合、ローレベルの動作信号を出力する。この動作信号は、演算部101とスイッチ制御部102へ供給される。演算部101は、図2に示すように、動作信号のレベルがハイレベルからローレベルへ変わると、ローレベルの出力制御信号Saを出力する。スイッチ制御部102は、ローレベルの出力制御信号Saが供給されると、半導体スイッチ4をオフにするローレベルのスイッチ制御信号Scを出力する。半導体スイッチ4は、このローレベルのスイッチ制御信号Scによってオフとなる。半導体スイッチ4がオフとなると、半導体スイッチ4から負荷3へ電流が流れなくなる。
本実施形態によれば、半導体スイッチ4に並列にサブスイッチを設けなくても、負荷3へ電力を供給するときに短絡が生じるか否かを検知することができ、コストを抑えて短絡の発生を防ぐことができる。また、本実施形態によれば、半導体スイッチ4をオンにし続けてから短絡が生じるか否かを検知する構成よりも、検知するために電流を流す時間を少なくすることができる。
なお、負荷3がキャパシタンスの成分を有する場合、スイッチ制御信号Scが立ち下がると、第2電圧測定部11Bが測定する電圧は、過渡的に低下する。演算部101は、パルス信号の立ち下がりの間に取得した電圧値をVLとして式(1)の演算を行ってもよい。
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態に係る構成を示すブロック図である。第2実施形態においては、パルス信号SbがPWM信号であり、ローパスフィルタ5を利用する点で第1実施形態と相違する。以下では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態との相違点について説明する。
ローパスフィルタ5は、入力側が半導体スイッチ4と負荷3との間に接続されており、出力側が第2電圧測定部11Bに接続されている。第2電圧測定部11Bは、ローパスフィルタ5の出力側の電圧の電圧値を測定する。
演算部101は、ECUから供給された動作信号のレベルがローレベルからハイレベルへ変わると、ローレベルの出力制御信号Saと、PWM信号であるパルス信号Sbを出力する。このパルス信号Sbのデューティ比は、負荷3が動作しないデューティ比に設定されている。
スイッチ制御部102は、PWM信号であるパルス信号Sbに応じて、パルス信号Sbのデューティ比と同じデューティ比のPWM信号であるスイッチ制御信号Scを出力する。このスイッチ制御信号Scにより、半導体スイッチ4は、PWM信号のハイレベルの期間でオンとなり、PWM信号のローレベルの期間でオフとなり、オンとオフを繰り返す。半導体スイッチ4がオンとオフを繰り返すことにより、ローパスフィルタ5の入力側の電圧は、半導体スイッチ4がオンの期間でハイレベルとなり、半導体スイッチ4がオフの期間でローレベルとなる。ローパスフィルタ5は、入力側の電圧の変化を平滑化し、第2電圧測定部11Bは、ローパスフィルタ5により平滑化された電圧の電圧値を測定する。
演算部101は、第1電圧測定部11A及び第2電圧測定部11Bが測定した電圧値を取得し、取得した電圧値と、半導体スイッチ4がオンとなったときの半導体スイッチ4の抵抗値に基づいて、負荷3の抵抗値を算出する。具体的には、負荷3の抵抗値をRL、第1電圧測定部11Aで測定される電圧値をVb、第2電圧測定部11Bで測定される電圧値をVL、PWM信号で半導体スイッチ4がオンとなったときの半導体スイッチ4の抵抗値をRon_pwmとした場合、演算部101は、RLを式(2)で算出する。なお、Ron_pwmは、PWM信号のデューティ比をDnとしてRon/Dnで算出した値である。また、VLは、ローパスフィルタ5により平滑化されて飽和した電圧の電圧値である。Ron_pwmは、予め演算部101に設定されている。
Figure 2023148451000003
演算部101は、式(2)で算出したRLが予め定められた閾値以上である場合、ハイレベルの出力制御信号Saを出力する。スイッチ制御部102は、動作信号がハイレベルであり、且つ、出力制御信号Saがハイレベルである場合、半導体スイッチ4をオンにするハイレベルのスイッチ制御信号Scを出力する。半導体スイッチ4は、このスイッチ制御信号Scによってオンとなる。半導体スイッチ4がオンとなると、半導体スイッチ4を介して負荷3へ電流が流れる。
一方、演算部101は、式(2)で算出したRLが予め定められた閾値未満である場合、短絡が生じることを知らせる情報をECUへ出力する。半導体スイッチ4より後段で短絡がある場合にはRLが閾値以下になるため、制御部10は、RLと閾値とを比較することにより短絡が生じることを検知することができる。また、演算部101は、算出したRLが予め定められた閾値未満である場合、動作信号がハイレベルのときにローレベルの出力制御信号Saを出力する。この場合、スイッチ制御部102は、出力制御信号Saがローレベルであるため、半導体スイッチ4をオフにするスイッチ制御信号Scを出力する。
本実施形態によれば、半導体スイッチ4に並列にサブスイッチを設けなくても、負荷3へ電力を供給するときに短絡が生じるか否かを検知することができ、コストを抑えて短絡の発生を防ぐことができる。また、本実施形態によれば、ワンショットのパルス信号を出力する構成と比較すると、第2電圧測定部11Bで測定される電圧が安定するため、VLを容易に測定することができる。
なお、車両においては、負荷3の位置と、第1電圧測定部11A及び第2電圧測定部11Bの位置とが離れていることにより、負荷3のグランドの電位と、第1電圧測定部11A及び第2電圧測定部11Bのグランドの電位に差が生じる場合がある。このようにグランドに電位差があると、RLを正確に算出できなくなるため、第2実施形態に係る制御部10は、この電位差を考慮してRLを算出するようにしてもよい。
具体的には、演算部101は、ハイレベルの動作信号をECUから取得すると、デューティ比が100%のパルス信号Sbを出力したときに第1電圧測定部11Aで測定される電圧値を取得する。以下の説明では、この電圧値をVbとする。この電圧値は、予め記憶されていてもよく、短絡が発生していないときに第1電圧測定部11A測定して記憶しておいてもよい。
次に演算部101は、PWM信号であるパルス信号Sbを出力する。このPWM信号のデューティ比は、負荷3が動作しないデューティ比に設定されている。以下の説明では、このPWM信号のデューティ比をDnとする。演算部101は、デューティ比がDnのパルス信号Sbが出力されているときに第2電圧測定部11Bで測定される電圧値を取得する。演算部101は、この第2電圧測定部11Bで測定される電圧値、即ち、ローパスフィルタ5の出力側の電圧の電圧値をVLnとする。次に演算部101は、式(3)により負荷3のグランドの電位であるVoffsetを算出する。そして演算部101は、算出したVoffsetを用いて、RLを式(4)により算出する。
Figure 2023148451000004

Figure 2023148451000005
演算部101は、式(4)算出したRLが予め定められた閾値以上である場合、ハイレベルの出力制御信号Saを出力する。スイッチ制御部102は、動作信号がハイレベルであり、且つ、出力制御信号Saがハイレベルである場合、半導体スイッチ4をオンにするハイレベルのスイッチ制御信号Scを出力する。半導体スイッチ4は、このスイッチ制御信号Scによってオンとなる。半導体スイッチ4がオンとなると、半導体スイッチ4を介して負荷3へ電流が流れる。
一方、演算部101は、式(4)で算出したRLが予め定められた閾値未満である場合、短絡が生じることを知らせる情報をECUへ出力する。また、演算部101は、算出したRLが予め定められた閾値未満である場合、動作信号がハイレベルのときにローレベルの出力制御信号Saを出力する。この場合、スイッチ制御部102は、出力制御信号Saがローレベルであるため、半導体スイッチ4をオフにするスイッチ制御信号Scを出力する。
図4は、負荷3のグランドの電位と、第1電圧測定部11A及び第2電圧測定部11Bのグランドの電位に差があるときのVLnとDnとの関係を示すグラフである。負荷3のグランドの電位と、第1電圧測定部11A及び第2電圧測定部11Bのグランドの電位に差がある場合、VLnは、第2電圧測定部11Bのグランドの電位を基準としているため、式(2)でRLを算出すると正しいRLを得ることができない。一方、半導体スイッチ4がオンとなったときのVbと、デューティ比がDnのPWM信号を用いて式(3)、式(4)によりVoffsetを算出し、算出したVoffsetを用いてRLを算出する構成によれば、負荷3のグランドの電位と、第1電圧測定部11A及び第2電圧測定部11Bのグランドの電位に差があってもRLを正確に算出することができる。
なお、第1のデューティ比をDn、第2のデューティ比をDn2とし、デューティ比がDn2であるときに第2電圧測定部11Bで測定される電圧値をVLn2とし、Vbに替えてVLn2を用い、式(3)の分母の1をDn2に替えてVoffsetを算出してもよい。
[第3実施形態]
図5は、本発明の第3実施形態に係る構成を示すブロック図である。第3実施形態に係る保護装置1Aにおいては、短絡が生じるか否かを検知する構成が第1実施形態と相違する。以下では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態との相違点について説明する。
図5に示すように、第3実施形態においては、保護装置1Aの外部に抵抗器6、スイッチ7、オペアンプ8、クランプ電源9が設けられる。抵抗器6は、一端がスイッチ制御部102に接続され、半導体スイッチ4が有するFETのゲートに他端が接続されている。スイッチ7は、一端がオペアンプ8の出力端子に接続され、他端が抵抗器6と半導体スイッチ4との間に接続されている。スイッチ7は、スイッチ制御部102から出力される診断信号Sdによりオン又はオフとなる。クランプ電源9は、所定の電圧の電源である。オペアンプ8は、非反転入力端子がクランプ電源9の正極に接続されており、反転入力端子が半導体スイッチ4と負荷3との間に接続されている。また、オペアンプ8の出力端子はスイッチ7に接続されている。
次に第3実施形態に係る保護装置1Aの動作例について、短絡が発生しない場合の動作例を、図6を用いて説明する。図6は、制御に係る信号の波形の一例を示す図である。スイッチ制御部102は、動作信号のレベルがローレベルからハイレベルへ変わると、スイッチ7を所定時間の間だけオンにする診断信号Sdを出力する。演算部101は、動作信号のレベルがローレベルからハイレベルへ変わると、ローレベルの出力制御信号Saと、パルス信号Sbを出力する。このパルス信号Sbは、例えば、一定時間の間だけハイレベルとなるワンショットのパルス信号である。なお、このパルス信号Sbがハイレベルとなるタイミングは、診断信号Sdがハイレベルになるタイミングより後にされている。スイッチ制御部102は、パルス信号Sbに応じて、一定時間だけ半導体スイッチ4をオンにするスイッチ制御信号Scを出力する。
診断信号Sdによりスイッチ7がオンとなり、スイッチ制御部102から半導体スイッチ4をオンにするスイッチ制御信号Scが出力された後、クランプ電源9の電圧をVCLとすると、短絡が発生していない場合、VL=VCLとなる。診断信号Sdによりスイッチ7がオンとなり、スイッチ制御部102から半導体スイッチ4をオンにするスイッチ制御信号Scが出力された後、演算部101は、第1電圧測定部11Aが測定した電圧の電圧値を取得する。この電圧値は、半導体スイッチ4のFETのゲートに印加されるゲート電圧である。半導体スイッチ4のFETをオンにするゲート閾値電圧をVth、半導体スイッチ4のFETのゲート電圧をVgとすると、このVgは、短絡が発生していない場合、オペアンプ8の出力によりVg=VCL+Vthとなる。
演算部101は、第1電圧測定部11Aが取得した電圧値が、VCL+Vthである場合、診断信号Sd及びパルス信号Sbがローレベルとなった後、ハイレベルの出力制御信号Saを出力する。スイッチ制御部102は、動作信号がハイレベルであり、且つ、出力制御信号Saがハイレベルである場合、半導体スイッチ4をオンにするスイッチ制御信号Scを出力する。ここで、スイッチ7はオフとなっているため、このスイッチ制御信号Scによって半導体スイッチ4のFETのゲートには、FETをオンにする電圧が印加され、半導体スイッチ4がオンとなる。半導体スイッチ4がオンとなると、半導体スイッチ4を介して負荷3へ電流が流れる。
次に第3実施形態に係る保護装置1Aの動作例について、短絡が発生する場合の動作例を、図7を用いて説明する。図7は、制御に係る信号の波形の一例を示す図である。診断信号Sdによりスイッチ7がオンとなり、スイッチ制御部102から半導体スイッチ4をオンにするスイッチ制御信号Scが出力された後、クランプ電源9の電圧をVCLとすると、短絡が発生している場合、VL<VCLとなる。診断信号Sdによりスイッチ7がオンとなり、スイッチ制御部102から半導体スイッチ4をオンにするスイッチ制御信号Scが出力された後、演算部101は、第1電圧測定部11Aが測定した電圧の電圧値を取得する。この電圧値は、半導体スイッチ4のFETのゲートに印加されるゲート電圧である。短絡が発生している場合、取得した電圧値が表すVgは、オペアンプ8の出力によりVg>VCL+Vthとなる。
演算部101は、第1電圧測定部11Aが取得した電圧値が、VCL+Vthを超える場合、診断信号Sd及びパルス信号Sbがローレベルとなった後、ローレベルの出力制御信号Saを出力する。スイッチ制御部102は、動作信号がハイレベルであり、且つ、出力制御信号Saがローレベルである場合、半導体スイッチ4をオフにするスイッチ制御信号Scを出力する。ここで、スイッチ7はオフとなっているため、このスイッチ制御信号Scによって半導体スイッチ4のFETのゲートには、FETをオフにする電圧が印加され、半導体スイッチ4がオフとなる。半導体スイッチ4がオンとなると、半導体スイッチ4から負荷3へ電流が流れなくなる。
なお、演算部101は、診断信号Sdによりスイッチ7がオンとなり、スイッチ制御部102から半導体スイッチ4をオンにするスイッチ制御信号Scが出力された後、第2電圧測定部11Bが測定した電圧の電圧値を取得してもよい。この場合、演算部101は、取得した電圧値がVCL未満であると、診断信号Sd及びパルス信号Sbがローレベルとなった後、ローレベルの出力制御信号Saを出力してもよい。
[第4実施形態]
図8は、本発明の第4実施形態に係る構成を示すブロック図である。半導体スイッチ4a、4b、4cは、FET41を含むスイッチであり、制御部10に接続されている。半導体スイッチ4aは、FET41aのドレインが電源2に接続され、ゲートが制御部10に接続され、ソースが電流測定部12に接続されている。半導体スイッチ4bは、FET41bのドレインが電源2に接続され、ゲートが制御部10に接続され、ソースが抵抗器R1に接続されている。抵抗器R1は、電流測定部12に接続されている。
保護装置1Bは、制御部10、電流測定部12及び電圧測定部13を有する。電流測定部12は、電流を測定する回路を有し、半導体スイッチ4aのFET41aのソースと負荷3に接続されている。電流測定部12は、半導体スイッチ4aから出力されて負荷3へ流れる電流の電流値を測定する。電流測定部12が測定した電流値は、制御部10へ出力される。電圧測定部13は、電圧を測定する回路を有し、電流測定部12と負荷3との間の電圧の電圧値を測定する。電圧測定部13が測定した電圧値は、制御部10へ出力される。半導体スイッチ4cは、抵抗器R2の一端が電流測定部12と負荷3との間に接続され、他端が半導体スイッチ4cのFET41cのドレインに接続されている。また、半導体スイッチ4cは、FET41のゲートが制御部10に接続され、ソースがグランドGNDに接続されている。
第2実施形態では、グランドGNDの電位に差がある場合、PWM信号を用いて電位差を特定していたが、第4実施形態では、他の方法によって電位差を特定する。なお、以下の説明においては、半導体スイッチ4aでFET41aがオンのときの半導体スイッチ4aの抵抗値をRa、半導体スイッチ4bでFET41bがオンのときの半導体スイッチ4bの抵抗値をRb、半導体スイッチ4cでFET41cがオンのときの半導体スイッチ4cの抵抗値をRcとする。また、半導体スイッチ4a、4bに印加される電圧をVIとし、負荷3に印加される電圧をVLとし、グランドの点aの電位と点bの電位の電位差をVdiffとする。また、負荷3に流れる電流をIL、半導体スイッチ4bに流れる電流をIb、半導体スイッチ4cに流れる電流をIcとする。
制御部10は、Vdiffの算出にあたり、まず、半導体スイッチ4aをオフにする信号と、半導体スイッチ4bをオンにする信号と、半導体スイッチ4cをオフにする信号を出力する。なお、半導体スイッチ4bがオンとなった場合に負荷3に流れる電流は、負荷3が駆動しない電流である。制御部10は、半導体スイッチ4bがオンのときに電圧測定部13が測定した電圧値を取得する。この電圧値をVOとすると、VOは式(5)で表される。
Figure 2023148451000006
次に制御部10は、半導体スイッチ4bをオンにしたまま、半導体スイッチ4cをオンにする信号を出力し、電流測定部12で測定される電流値と、電圧測定部13で測定される電圧値を取得する。この測定される電流値は、Ibであり、Ib=Ic+ILである。また、ここで取得した電圧値をVOとすると、Ic=VO/Rcであり、IL=VL/RLであり、VL=VO-Vdiffである。これらの式からIcとILが求められるため、式(5)と合わせてVdiffを算出することができる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。上述した各実施形態及び各変形例の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
本発明においては、保護装置1Aは、第1電圧測定部11A及び第2電圧測定部11Bを保護装置1Aの外部に設け、保護装置1Aは、外部に設けられた第1電圧測定部11A及び第2電圧測定部11Bから電圧値を取得してもよい。
上述した実施形態においては、保護装置1Aが車両に搭載される場合について説明したが、保護装置1Aが搭載されるのは車両に限定されるものではなく、半導体スイッチで負荷を駆動する装置に適用することができる。
1A、1B 保護装置
2 電源
3 負荷
4、4a、4b、4c 半導体スイッチ
5 ローパスフィルタ
6 抵抗器
7 スイッチ
8 オペアンプ
9 クランプ電源
10 制御部
11A 第1電圧測定部
11B 第2電圧測定部
12 電流測定部
13 電圧測定部
41、41a、41b、41c FET
101 演算部
102 スイッチ制御部
G グランドライン
GND グランド
Sa 出力制御信号
Sb パルス信号
Sc スイッチ制御信号
Sd 診断信号

Claims (7)

  1. 入力されるパルス信号に応じてオン又はオフとなり、オンのときに電源からの電力を負荷へ供給し、オフのときに前記電源から前記負荷への電力供給を遮断するスイッチを制御するスイッチ制御部と、
    前記パルス信号が前記スイッチへ入力されてから所定時間内に測定された前記電源と前記スイッチとの間の電圧の電圧値と、前記スイッチと前記負荷との間の電圧の電圧値を、当該電圧値を測定する電圧測定部から取得し、前記スイッチの抵抗値と、取得した電圧値とに基づいて前記スイッチより後段の抵抗値を算出する演算部と、
    を有し、
    前記パルス信号に応じて前記スイッチがオンとなる時間は、前記負荷が動作しない時間であり、
    前記スイッチ制御部は、前記演算部が算出した抵抗値が閾値未満である場合、前記スイッチをオフにする
    保護装置。
  2. 前記パルス信号は、前記負荷が動作しないデューティ比のPWM信号であり、
    前記演算部は、前記スイッチと前記負荷との間の電圧変化を平滑化するローパスフィルタの出力電圧を、前記スイッチと前記負荷との間の電圧の電圧値として取得する
    請求項1に記載の保護装置。
  3. 前記演算部は、取得した電圧値と前記デューティ比に基づいて、前記負荷のグランド電位と、前記電圧測定部のグランド電位との電位差を算出し、算出した電位差と、前記演算部が取得した電圧値と、前記スイッチの抵抗値に基づいて前記スイッチより後段の抵抗値を算出する
    請求項2に記載の保護装置。
  4. 前記演算部は、前記PWM信号が第1デューティ比のときに取得した電圧値、前記PWM信号が第2デューティ比のときに取得した電圧値、前記第1デューティ比、及び前記第2デューティ比に基づいて前記電位差を算出する
    請求項3に記載の保護装置。
  5. 前記スイッチ制御部は、前記スイッチと並列に設けられた第1サブスイッチと、前記負荷に並列に設けられた第2サブスイッチを制御し、
    前記演算部は、前記第1サブスイッチがオンであり、前記スイッチ及び前記第2サブスイッチがオフのときに取得した前記負荷にかかる電圧の電圧値と、前記第1サブスイッチ及び前記第2サブスイッチがオンであり、前記スイッチがオフのときに取得した前記負荷にかかる電圧の電圧値、及び前記第2サブスイッチに流れる電流の電流値に基づいて、前記負荷のグランド電位と、前記電圧測定部のグランド電位との電位差を算出し、算出した電位差と、前記演算部が取得した電圧値と、前記スイッチの抵抗値に基づいて前記スイッチより後段の抵抗値を算出する
    請求項1に記載の保護装置。
  6. 前記演算部が取得する電圧値は、前記パルス信号の立ち下がりの間に前記電圧測定部で測定された電圧値である
    請求項1に記載の保護装置。
  7. 前記スイッチはFETであり、
    前記パルス信号で前記スイッチがオンのときに前記FETのゲートに印加される電圧の電圧値は、前記FETのゲート閾値に所定電圧値を加算した電圧値であり、
    前記スイッチ制御部は、前記パルス信号で前記スイッチがオンのときに取得した前記スイッチと前記負荷との間の電圧の電圧値が前記所定電圧値未満である場合、前記スイッチをオフにする
    請求項1に記載の保護装置。
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