JP2023148171A - 有機性汚泥処理設備及び有機性汚泥処理方法 - Google Patents

有機性汚泥処理設備及び有機性汚泥処理方法 Download PDF

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Yuji Hashimoto
常郎 倭
Tsuneo Yamato
雪乃 寺田
Yukino Terada
勝広 栄野比
Katsuhiro Enohi
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Abstract

【課題】被脱水汚泥の脱水が促進されるとともに、系外から脱水手段に直接供給される温水の供給量を減らす又はなくすことができ、処理設備内での水分のだぶつきを抑制することができる有機性汚泥処理設備及び有機性汚泥処理方法を提供することである。【解決手段】課題は、被脱水汚泥を脱水して脱水ろ液Sを得る脱水手段40を備えた有機性汚泥処理設備1であって、前記脱水手段40が、被脱水汚泥を脱水する汚泥脱水室46と、脱水により得られた脱水ろ液Sが流れ込む脱水ろ液室47と、前記脱水ろ液Sを間接的に加温する加温手段70を備えるものであり、加温された脱水ろ液Sによって前記汚泥脱水室46内が加温される、ことを特徴とする有機性汚泥処理設備及び有機性汚泥処理方法によって解決される。【選択図】図1

Description

本発明は、有機性汚泥処理設備及び有機性汚泥処理方法に関するものである。
有機性汚泥として、下水汚泥や、し尿、食品残渣などが知られておりこれら有機性汚泥について様々な処理が行われている。このうち下水道処理施設では、発生した有機性汚泥を汚泥処理設備の焼却炉で焼却処理している。有機性汚泥は水分を多量に含むものであるが、多量の水分を含んだ有機性汚泥をそのまま焼却炉に投入した場合、多くの補助燃料が必要となることから有機性汚泥を脱水処理し、有機性汚泥の含水率を下げた上で焼却炉に供給することで運転に必要な補助燃料を少なくする、もしくは補助燃料を使用せず処理されている。
脱水手段に関する技術開発は、従来より行われており、一例として特許文献1を挙げることができる。特許文献1に開示された有機性汚泥処理設備を図3に示す。当該有機性汚泥処理設備は、凝集手段5、濃縮手段2、及び脱水手段3を備え、脱水手段3内に系外から温水H′を供給し、有機性汚泥を加熱しつつ脱水処理することで有機性汚泥の低含水率化と有機性汚泥から分離した水分の効率的な排水との両立を図ることを目的とする技術である。
特開2020-121253号公報 特開平8-309400号公報 特開2014-193442号公報
しかしながら、特許文献1では、外部から温水H´を脱水手段3の内部に相当量供給し、加えて脱水ろ液Kを濃縮手段2の熱源として利用しているため、濃縮手段2から最終的に系外へ排出される排水量が多くなってしまうという懸念がある。そこで、本発明はこのような背景の下になされたもので、特許文献1とは別の手法で有機性汚泥の脱水が促進される有機性汚泥処理施設及び有機性汚泥処理方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意研究を重ね、有機性汚泥を加温する主体を主に脱水ろ液とする思想に至った。この思想の下に完成させた発明の態様が次に示すものである。
(第1の態様)
被脱水汚泥を脱水して脱水ろ液を得る脱水手段を備えた有機性汚泥処理設備であって、
前記脱水手段が、被脱水汚泥を脱水する汚泥脱水室と、脱水により得られた脱水ろ液が流れ込む脱水ろ液室と、前記脱水ろ液を間接的に加温する加温手段を備えるものであり、
加温された脱水ろ液によって前記汚泥脱水室内が加温される、
ことを特徴とする有機性汚泥処理設備。
(第2の態様)
被濃縮汚泥を濃縮処理する濃縮手段と、濃縮処理後の濃縮汚泥を脱水して脱水汚泥と残分である脱水ろ液を得る脱水手段と、を備えた有機性汚泥処理設備であって、
前記脱水手段が、前記濃縮処理後の濃縮汚泥を脱水する汚泥脱水室と、前記脱水ろ液が流れ込む脱水ろ液室と、前記脱水ろ液を間接的に加温する加温手段を備えるものであり、
前記脱水ろ液が前記脱水手段から50~95℃で流出されて前記濃縮手段に流入され、前記濃縮手段で熱源として利用されるものである、
ことを特徴とする有機性汚泥処理設備。
(第3の態様)
被脱水汚泥を脱水して脱水ろ液を得る脱水工程を有し、
前記脱水工程は脱水手段により行われ、
前記脱水手段が、被脱水汚泥を脱水する汚泥脱水室と、脱水により得られた脱水ろ液が流れ込む脱水ろ液室と、前記脱水ろ液を間接的に加温する加温手段を備えるものであり、
加温された脱水ろ液が前記汚泥脱水室内を加温する、
ことを特徴とする有機性汚泥処理方法。
本態様では、加温された脱水ろ液によって汚泥脱水室内が加温されるので、汚泥脱水室内の被脱水汚泥にも熱が伝わり、加温される。被脱水汚泥は、加温されると被脱水汚泥を構成するたんぱく質が熱変性して可溶化される。これにより、被脱水汚泥は、含水率が低下するので、脱水過程において脱水が促進されることとなる。また、加温された被脱水汚泥は粘度が低下し、流動性が向上する。
また、本態様では加温する主体を主に脱水ろ液としているので、系外から脱水手段に直接供給される温水の供給量を減らす又はなくすことができ、処理設備内での水分のだぶつきを抑制することができる。
特許文献2は、上水の汚泥の処理において、簡便な方法で難脱水性汚泥の無薬注脱水が効率よくできるものであり、特許文献3は、運転コストを低減し、リンの回収率を向上させることができるものであるが、本発明のように脱水ろ液を加温するものではない。
本発明によれば、被脱水汚泥の脱水が促進されるとともに、系外から脱水手段に直接供給される温水の供給量を減らす又はなくすことができ、処理設備内での水分のだぶつきを抑制することができる有機性汚泥処理設備及び有機性汚泥処理方法となる。
本発明の実施形態の一例を表す図である。 本発明の別の実施形態の一例を表す図である。 従来技術の一例を表す図である。 従来技術の汚泥物質収支の一例を表す概念図である。 本実施形態の汚泥物質収支の一例を表す概念図である。 本実施形態の汚泥物質収支の別の例を表す概念図である。
次に、発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施の形態は、本発明の一例であり、本発明の範囲は、本実施の形態の範囲に限定されない。
<第1の実施形態>
本発明の具体的な実施形態は、一例として被脱水汚泥を脱水して脱水ろ液Sを得る脱水手段40を備えた有機性汚泥処理設備1であって、前記脱水手段40が、被脱水汚泥を脱水する汚泥脱水室46と、脱水により得られた脱水ろ液Sが流れ込む脱水ろ液室47と、前記脱水ろ液室47内の脱水ろ液Sを加温する加温手段70を備えるものであり、加温された脱水ろ液Sによって前記汚泥脱水室46内が加温される、ことを特徴とする有機性汚泥処理設備1である。当該有機性汚泥処理設備1を上記手段のほか、付帯手段を含めて図1を参照しつつ次に説明する。
(流入汚泥)
有機性汚泥処理設備1は、例えば、下水を処理する設備を備える水処理設備で発生した有機性汚泥を流入汚泥Aとして受け入れて処理する設備であり、凝集手段10、濃縮手段20および脱水手段40を備える。流入汚泥Aは、水処理設備で発生する生汚泥や活性汚泥、消化汚泥などを含むものであり、またポリリン酸蓄積細菌などの微生物が含まれ、これらの微生物は、下水中のリン酸(通常リン酸イオンの形態で下水中に溶解している。)を好気的な条件では菌体内に吸収し、嫌気的な条件では菌体外に放出している(取り込み、及び吐き出しする)。流入汚泥Aは、一例として凝集工程、次いで濃縮工程、最後に脱水工程を経て脱水汚泥Eとなる。
(凝集手段)
凝集工程は、凝集手段10により流入汚泥Aを凝集処理して凝集汚泥Bを得るものである。流入汚泥Aは、凝集手段10に供給される。流入汚泥Aを供給する際には、流入汚泥Aの凝集の程度に応じて、流入汚泥Aに凝集剤Pを所定量添加して凝集手段10に供給するとよい。凝集剤Pを添加する場合は、凝集手段10に供給される前に予備撹拌機M1で撹拌すると、凝集剤Pがよく混じった状態で流入汚泥Aが凝集手段10に供給され、凝集性が向上するので好ましい。凝集手段10としては、流入汚泥Aが供給され、縦方向に延びる中心軸を有する有底円筒状の凝集槽を備えたものを例示できる。中心軸に沿った回転軸14と、当該回転軸14に沿って撹拌羽根15が取り付けられて、凝集槽の上部に設けられたモーター等の回転駆動手段M3によって回転軸14および撹拌羽根15が回転することにより流入汚泥Aと凝集剤Pを撹拌する撹拌手段が設けられている。この撹拌手段によって撹拌された流入汚泥Aが、凝集手段10から流出し、濃縮手段20に供給される。凝集処理された流入汚泥Aは、特に凝集汚泥Bということができ、その汚泥中の固形分濃度(すなわち汚泥濃度)は一般的には1~4重量%となる。凝集剤Pは、流入汚泥Aの凝集性を向上させるため添加するものであり、例えば、カチオン系ポリマーなどの高分子凝集剤やポリ硫酸第二鉄などの無機凝集剤を例示することができる。凝集剤Pを添加すると、マイナスに荷電し互いに反発しながら汚泥中に分散して存在している固形物が、プラスの電荷で荷電中和して架橋し、粗大なフロックが形成されることによって、凝集が促進される。なお、水処理設備から供給された流入汚泥Aの凝集性が予めよい場合(例えば、流入汚泥Aが予め凝集汚泥Bと同程度の汚泥濃度である場合)は、流入汚泥Aを凝集手段10ではなく、濃縮手段20に供給してもよい。
凝集手段10に供給される流入汚泥Aは、加温しても良い。流入汚泥Aは、例えば、下水処理設備から汚泥圧送管を流れて有機性汚泥処理設備1の凝集手段10に供給されたり、消化処理後に凝集手段10に供給されたりする。流入汚泥Aは、例えば、10~50℃の温度で供給される。流入汚泥Aの温度は、流入汚泥Aが凝集手段10へ導かれる流路に温度センサーを設けて測定することができる。当該温度センサーは流入汚泥Aに対して接触式であっても非接触式であってもよい。
(濃縮手段)
濃縮工程は、被濃縮汚泥を濃縮処理して濃縮汚泥Cを得る工程である。ここで、被濃縮汚泥は、例えば、流入汚泥A、凝集手段10で凝集された凝集汚泥Bなどを挙げることができる。以下、被濃縮汚泥が凝集汚泥Bの場合について説明する。凝集汚泥Bは、凝集手段10の汚泥流出部16から流出され流路L1を通って濃縮手段20に供給される。濃縮手段20は、凝集汚泥Bを濃縮処理して、濃縮汚泥Cと濃縮排液Rに分離するものである。濃縮手段20は、凝集汚泥Bが流入する汚泥流入部22、流入した凝集汚泥Bを受け入れ濃縮を行う濃縮槽21、濃縮されて得られた濃縮汚泥Cを下流に流出する汚泥流出部23、濃縮処理で発生した濃縮排液Rを排出する排水部28を有するものである。上記流路L1の下流端が汚泥流入部22に接続されており、また、脱水手段40から流出された脱水ろ液Sが流れるろ液流路L4の下流端が、濃縮手段20に接続されている。脱水ろ液Sは、ろ液流路L4を流れて導かれ、濃縮手段20に供給され、濃縮槽21に流入される。ろ液流路L4には、脱水ろ液Sを濃縮手段20に送るためのポンプP3を設けておくとよい。
濃縮手段20は、特に限定されず一般的なものを適用できるが、例えば、特開2020-199443号公報に開示されるろ過装置を適宜用いることができる。この装置は、流入された凝集汚泥B及び/又は脱水ろ液Sが保持される、縦方向に延びる軸線を中心とした有底円筒状の濃縮槽21を備えており、凝集汚泥Bは濃縮槽21の上部から濃縮槽21内に供給される。この濃縮槽21の円筒状の胴部は、ウェッジワイヤーやパンチングメタル等によって形成されたろ過スクリーン21aとされるとともに、このろ過スクリーン21aの外周にはジャケット状の排水室26が配設されている。ろ過スクリーン21a内には、濃縮槽21の軸線に沿って延びる軸線を中心にして回転する円筒状の回転軸27と、この回転軸27に沿って螺旋状に配設されたスクリュー羽根24とを備えた搬送手段が収容され、また、濃縮槽21の上部には、回転軸27を回転させるモーター等の回転駆動手段M4が配設されて回転軸27と連結されている。
汚泥流入部22は濃縮槽21の上部に、汚泥流出部23は濃縮槽21の下部(底部)に設けることができる。脱水ろ液Sを濃縮槽21に流入させる場合に、脱水ろ液Sが流入される位置は適宜選択することができる。例えば、脱水ろ液Sが流入される位置を、汚泥流入部22や、凝集汚泥Bの濃縮処理が半分程度なされた位置、すなわち濃縮槽21の中段部、汚泥流出部23等とすることができる。これらの中でも、脱水ろ液Sが流入される位置を、凝集汚泥Bの濃縮処理が半分程度なされた位置とするのが望ましい。凝集汚泥Bは濃縮が進むほど粘度が高まり流出が困難になる場合がある。加温された脱水ろ液Sを濃縮槽21の中段部に流入させると、濃縮過程にある凝集汚泥Bを加温することができ、汚泥の粘度の高まりを抑制することができる。また、洗浄効果、脱水ろ液S中に含まれる残存ポリ硫酸第二鉄の吸着効果によるリン酸の除去効果もある。この場合、例えば、回転軸27として中空の筒状体を用い、回転軸27の下端から脱水ろ液Sを回転軸27内に導き入れ、回転軸27の上下方向中央部に孔を設けてノズルを設置し、回転軸27内の脱水ろ液Sをノズルから濃縮槽21内に流出させるとよい。
濃縮手段20に流入される被濃縮汚泥の流量は例えば3~40m3/時である。本実施形態の濃縮手段20では、単位時間あたりに流入する被濃縮汚泥100質量部に対して、濃縮排液R(流入する脱水ろ液S分を含む)が50~200質量部、好ましくは80~120質量部得られるものである。
濃縮手段20によって濃縮された濃縮汚泥Cは、汚泥濃度が4~10重量%となる。
濃縮手段20から流出された濃縮汚泥Cは、濃縮手段20とその下流に設置される脱水手段40を接続する流路である汚泥流路L2を流れ、脱水手段40に送られる。汚泥流路L2における濃縮汚泥Cの圧送は、汚泥の摩擦抵抗を考慮して、汚泥流路L2に設けられるポンプP1を用いて圧力を加えて行うことができる。
脱水ろ液Sは、濃縮槽21に流入して、濃縮排液Rとして系外に排出される。ここで、水処理設備に流入した下水は、通常、上流側から下流側に向かって、着水井、最初沈殿池、反応タンク、最終沈殿池を通過して河川や海等に放流される。例えば、濃縮排液Rを、水処理設備の最初沈殿池の流入部又は最初沈殿池よりも上流部に供給することにより、流入した下水と一緒に処理され、最終的には河川や海等に放流されることとなる。
(添加手段)
濃縮汚泥Cを脱水手段40により脱水すると、リン酸が多く含まれた脱水ろ液Sが発生する。ここで、脱水手段40による脱水に先立って濃縮汚泥Cに凝集剤Fを添加させておくと、リン酸が凝集剤Fと反応して不溶性のリン化合物となり濃縮汚泥C側(固形物側)に移行するため、脱水ろ液Sに含まれるリン酸の濃度を低減させることができる。凝集剤Fの添加手段60としては、例えば、凝集剤Fが入った容器と汚泥流路L2の任意の箇所とを凝集剤添加用の配管で接続し、当該任意の箇所に撹拌機等M2を備えたものを挙げることができる。濃縮汚泥Cの流量に応じて当該容器から凝集剤Fを適量汚泥流路L2に流させ、凝集剤Fが混ざった濃縮汚泥Cを撹拌した後、脱水手段40に流入させる等の手段を採るとよい。
凝集剤Fとしては、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、ポリ硫酸第二鉄等の無機系凝集剤、有機系凝集剤、アニオン性あるいはノニオン性高分子凝集剤、カチオン性高分子凝集剤を例示することができる。特にポリ硫酸第二鉄やポリ塩化アルミニウムは、脱水ろ液Sに残る残留分が濃縮汚泥C中のリン酸と反応することで、不溶性のリン化合物となるため、排水中のリン酸濃度を下げるように働くため好ましい。
従来より、汚泥の含水率を低減するため、濃縮汚泥Cに凝集剤Fを添加する処理が行われており、濃縮汚泥Cにおける凝集剤Fの添加率は、有機性汚泥中の固形物に対しおよそ10~35重量%としていた。一方で、本実施形態では、濃縮汚泥Cにおける凝集剤Fの添加率が1~15重量%、好ましくは3~10重量%となるように、添加することができる。加温された脱水ろ液Sを濃縮手段20に流入させる本実施形態では、濃縮処理にて汚泥が加熱されることにより、濃縮汚泥Cと凝集剤Fの反応性が高まることから、従来ほど凝集剤Fを添加しなくても、脱水汚泥Eの含水率を低減させることが可能となっている。
(脱水手段)
脱水工程は、被脱水汚泥を脱水処理して脱水ろ液Sと脱水汚泥Eに分離して、脱水ろ液Sと脱水汚泥Eを得る工程である。ここで、被脱水汚泥は、例えば、流入汚泥A、当該流入汚泥Aが凝集手段10により凝集処理して得られた凝集汚泥B、当該流入汚泥A又は凝集汚泥Bが濃縮手段20により濃縮処理して得られた濃縮汚泥Cのいずれか一つ又は、これらから選択される二つ以上の組み合わせなどが挙げられる。以下、被脱水汚泥が濃縮汚泥Cの場合について説明する。脱水手段40は、脱水機本体と、脱水機に設けられた濃縮汚泥Cが流入する汚泥流入部41、脱水処理された脱水汚泥Eが排出される汚泥排出部56、脱水ろ液Sが流出されるろ液流出部42と、加温手段70を主に有する。脱水手段40に流入した濃縮汚泥Cは、脱水処理され、脱水汚泥Eと脱水ろ液Sに分離される。脱水処理された脱水汚泥Eは汚泥排出部56から排出し焼却設備に搬送され、脱水ろ液Sはろ液流出部42から流出される。
濃縮手段20に脱水ろ液Sを流入させる形態ではない場合は、濃縮手段20から流出された濃縮汚泥Cは、濃縮手段20に流入する凝集汚泥Bの温度と同程度の温度で、脱水手段40に流入する。他方、濃縮手段20に脱水ろ液Sが流入する形態では、脱水ろ液Sが濃縮手段20で熱源として利用される。具体的には、濃縮槽21内の汚泥が脱水ろ液Sで加温され、濃縮手段20から流出された濃縮汚泥Cの温度は、濃縮手段20に流入する被濃縮汚泥の温度よりも高い温度になっており、例えば、40~70℃、好ましくは50~60℃で脱水手段40に流入する。濃縮手段20から流出された濃縮汚泥Cの温度は、汚泥流路L2に温度センサーを設けることにより測定することができる。当該温度センサーは汚泥に対して接触式であっても非接触式であってもよい。
脱水手段40としては、濃縮汚泥Cを脱水できる脱水手段であれば特に限定されないが、例えば縦型のスクリュープレスを挙げることができる。本実施形態の脱水手段40は、汚泥脱水室46と脱水ろ液室47を隔てる外側ろ過スクリーン43aと内側ろ過スクリーン43bを有し、外側ろ過スクリーン43aと内側ろ過スクリーン43bは流体と熱を透過するものとなっている。外側ろ過スクリーン43a、内側ろ過スクリーン43bは、ケーシング49内に濃縮汚泥Cをろ過する目的で配置されており、これら外側ろ過スクリーン43a、内側ろ過スクリーン43bによって隔てられたケーシング49内の複数の空間のうち、外側ろ過スクリーン43aと内側ろ過スクリーン43bで仕切られる空間である汚泥脱水室46に濃縮汚泥Cが流入する。本実施形態では、外側ろ過スクリーン43a、内側ろ過スクリーン43bは上下方向を軸心とする有底円筒状又は有底円錐状のものとすることができる。
脱水手段40は、一例として、ケーシング49と、縦方向に伸びる軸線を中心とした円筒状又は円錐状をなして前記ケーシング49内に配設される内側ろ過スクリーン43bと、当該内側ろ過スクリーン43bと同軸の円筒状又は円錐状をなして前記内側ろ過スクリーン43bの外側に間隔をあけて前記ケーシング49内に配設される外側ろ過スクリーン43aと、前記軸線回りに捩れる螺旋状をなして前記内側ろ過スクリーン43bと外側ろ過スクリーン43aとの間に収容され、該軸線を中心に前記内側ろ過スクリーン43b及び外側ろ過スクリーン43aに対して相対的に回転させられるリボン型スクリュー44とを備え、前記内側ろ過スクリーン43bと外側ろ過スクリーン43aとの間の空間が前記汚泥脱水室46とされるとともに、前記内側ろ過スクリーン43bの内側の空間と前記外側ろ過スクリーン43aの外側のケーシング49内の空間とが連通している前記脱水ろ液室47とされる縦型のスクリュープレスが挙げられる。また、リボン型スクリュー44は、上方に設けられたモーター等の回転駆動手段M5によって上記軸線を中心に汚泥脱水室46内で回転するものである。図示する脱水手段40は縦置き型のものであるが、横置き型のものであってもかまわない。
外側ろ過スクリーン43a、内側ろ過スクリーン43bは例えばウェッジワイヤーやパンチングメタル等によって構成されていると、液体や熱量が汚泥脱水室46から脱水ろ液室47へ、又は脱水ろ液室47から汚泥脱水室46へ流れるので好ましい。
ケーシング49は上記の軸線を中心とする有底円筒状又は有底円錐状が好ましい。汚泥脱水室46は、下部に汚泥流入部41を有し、濃縮汚泥Cが当該汚泥流入部41から汚泥脱水室46内に流入するものとなっている。内側ろ過スクリーン43bと外側ろ過スクリーン43aの下部には、内側ろ過スクリーン43bと外側ろ過スクリーン43aを連結する円環状の連結板51が設けられ、連結板51に汚泥流入部41が接続されている。濃縮汚泥Cは、汚泥流入部41から連結板51を介して汚泥脱水室46に流入するように構成されているが、汚泥流入部41から脱水ろ液室47に直接流入することはない。汚泥流入部41内の汚泥は、リボン型スクリュー44の相対的な回転によって上方に搬送されるとともに、脱水される。脱水によって得られた脱水ろ液Sは外側ろ過スクリーン43a、内側ろ過スクリーン43bを透過して脱水ろ液室47に流れ込む。
ケーシング49の上部には、円環状の支持板52が配設されて、外側ろ過スクリーン43aは、支持板52の内周部に支持される。支持板52は、外側の脱水ろ液室47を塞ぎ、脱水ろ液Sが支持板52を超えて上方へ流れ込まないように構成されている。ケーシング49の上端部には、蓋体54が設けられており、内側ろ過スクリーン43bが、この蓋体54に支持される。回転駆動手段M5は、蓋体54上方に配置され、内側ろ過スクリーン43bの上部を覆う円筒状のスクリュー支持体を介してリボン型スクリュー44を回転させる。なお、本実施形態では、外側ろ過スクリーン43aおよび内側ろ過スクリーン43bは支持板52又は蓋体54に支持され固定された状態で、リボン型スクリュー44が回転駆動手段M5により回転されるが、逆にリボン型スクリュー44を固定して外側ろ過スクリーン43aおよび内側ろ過スクリーン43bを回転させてもよく、リボン型スクリュー44と外側ろ過スクリーン43aおよび内側ろ過スクリーン43bとを互いに逆方向に回転させるようにしてもよい。
ケーシング49内における支持板52と蓋体54とで仕切られた空間は、排出室55であり、内側ろ過スクリーン43bの上部が当該排出室55に延出し、延出部が形成されている。この延出部の上部に間隔を空けて圧搾リング53が配置され、脱水汚泥Eが汚泥脱水室46から当該間隔を通って排出室55に流出する。排出室55に流出した脱水汚泥Eは汚泥排出部56から排出される。
脱水ろ液室47には加温手段70が設けられている。加温手段70は、脱水ろ液Sを間接的に加温する目的で設けられるものである。加温手段70としては、脱水ろ液Sを熱交換器71を用いて加温する手法や、脱水ろ液S中に投げ込みヒータを設置して加温する手法、脱水ろ液室47を外側から加温する手段であるジャケット式加温手段等を例示できるがこの限りではない。
脱水ろ液Sが熱交換器71によって間接的に加温される加温手段70を図1を参照しつつ説明する。当該加温手段70は、熱交換器71と、前記脱水ろ液室47の脱水ろ液Sを前記熱交換器71に搬送する搬送流路72と、前記熱交換器71で加温された脱水ろ液Sを前記脱水ろ液室47に返送する返送流路73を備え、搬送された脱水ろ液Sが前記熱交換器71を流れる加温媒体Hにより間接的に加温される。以下加温手段70につき、その詳細を説明する。脱水ろ液室47の壁面のうち脱水ろ液Sを取水可能な位置に取水孔と戻入孔を設け、それぞれ搬送流路72と、返送流路73が接続される。脱水ろ液Sは、取水孔から熱交換器71へ搬送流路72を通って搬送され、熱交換器71で加温されたのち熱交換器71から返送流路73を通って戻入孔から再び脱水ろ液室47に返送される。取水孔と戻入孔の位置は特に限定されないが、前記熱交換器71で加温された脱水ろ液Sの短絡流を防ぐため、取水孔と戻入孔は例えば脱水手段40上の対面方向に、又は上下方向に離間して設置する方が好ましい。熱交換器71では脱水ろ液Sと加温媒体Hが、向流又は並流で間接的に熱交換される。また、加温媒体Hは、温水や熱媒油、蒸気等を例示することができ、搬送される脱水ろ液Sより高温である。また、脱水手段40に併設される設備、例えば汚泥乾燥設備や焼却設備、発電設備の排熱を熱源とする加温媒体Hを用いることができる。例えば排煙処理塔排水や汚泥乾燥設備のスクラバー排水、消化ガス発電機から発生する排熱(水蒸気、温排水)を熱源として利用でき、これら熱源を加温媒体Hの加熱に用いるだけでなく、直接加温媒体Hとして熱交換器71に供給することもできる。加温媒体Hは、併設された設備と熱交換器71を接続する加温媒体流路74を流れ、熱交換器71に供給される。また、当該加温媒体流路74には加温媒体Hの温度を測定する温度センサーを設けるとよく、温度センサーは加温媒体Hに対して接触式であっても非接触式であってもよい。
また、搬送流路72にポンプ等を設け、脱水ろ液Sを脱水ろ液室47と熱交換器71との間で循環させるようにするとよい。これにより、熱交換を効率よく行うことができ、脱水ろ液Sを効率的に加温できる。
汚泥脱水室46と脱水ろ液室47は、外側ろ過スクリーン43aと内側ろ過スクリーン43bで仕切られて隣接して設けることができる。汚泥脱水室46で濃縮汚泥Cを脱水して得られた脱水ろ液Sは、外側ろ過スクリーン43aと内側ろ過スクリーン43bを透過して脱水ろ液室47に流れ込む。脱水ろ液室47では脱水ろ液Sの液嵩が支持板52の高さに達する。加温手段70で加温された脱水ろ液Sは、脱水ろ液室47に流れ込み、加温手段70で加温された脱水ろ液室47内の脱水ろ液Sは、外側ろ過スクリーン43a及び内側ろ過スクリーン43bを加温するとともに、一部が外側ろ過スクリーン43a及び内側ろ過スクリーン43bを透過して汚泥脱水室46に流れ込む。また、脱水ろ液Sの熱量が汚泥脱水室46に伝導する。これにより、汚泥脱水室46及び汚泥脱水室46内の脱水過程にある汚泥が加温される。加温された汚泥は、たんぱく質の熱変性により可溶化して含水率が低下し、脱水がより促進される。
脱水過程では、外側ろ過スクリーン43aと内側ろ過スクリーン43bの目の粗さよりも細かな汚濁固形物(SS)が外側ろ過スクリーン43aと内側ろ過スクリーン43bを透過するので、脱水ろ液Sには汚濁固形物が含まれる。
脱水手段40としては、遠心脱水機、スクリュープレス、フィルタープレス及びベルトプレス等の脱水機を備えたものを用いることができる。
脱水手段40によって脱水された脱水汚泥Eは、汚泥の可燃分にもよるが含水率を72重量%以下となるように調整すると、後工程の焼却設備において補助燃料を必要とすることなく処理を行うことができる。また、脱水汚泥Eの含水率を60~72重量%となるように調整すると、前述の補助燃料を必要とすることなく処理できる効果に加えて汚泥搬送も容易に行えるため好ましい。
加温手段70により汚泥が加温される形態では、汚泥排出部56から排出される脱水汚泥Eの温度が、汚泥流入部41に流入する濃縮汚泥Cの温度よりも高いものとなる。脱水汚泥Eの温度は、50℃以上、95℃以下が好適である。より好ましくは、流入汚泥Aの汚泥種により異なるが、混合生汚泥の場合は60℃以上、70℃以下、中温消化汚泥の場合は65℃、以上75℃以下、高温消化汚泥の場合は70℃以上、80℃以下であればよい。脱水汚泥Eの温度が50℃未満だと、脱水汚泥Eの含水率が依然として高い場合があり、焼却設備において補助燃料が必要となるため、維持管理費の増大を招くおそれがある。95℃より高いと汚泥の温度が高すぎて、脱水汚泥Eに含まれる水分の蒸気圧が上昇し、キャビテーションにより脱水汚泥Eを搬送するポンプ等移送設備の管理が困難になる。
脱水汚泥Eの温度は、例えば、脱水手段40に備わる脱水機における脱水汚泥Eの汚泥排出部56又は汚泥排出部56近傍に設けられた温度センサーで測定することができる。温度センサーは脱水汚泥Eに対して接触式であっても非接触式であってもよい。
熱交換器71が、搬送された脱水ろ液Sを50~95℃、より好ましくは75~85℃に加温するものである形態や、ろ液流出部42から流出される脱水ろ液Sの温度が50~95℃、より好ましくは75~85℃である形態は好ましい。この温度であれば、汚泥脱水室46内が十分に加温され、汚泥の可溶化が促進され含水率が下がる。また、可溶化された汚泥は、粘度が低くなり、摩擦抵抗が小さくなるので搬送が容易となる。脱水手段40が加温手段70を備えるので、ろ液流出部42から流出される脱水ろ液Sの温度が、汚泥流入部41に流入する濃縮汚泥Cの温度よりも高いものとなっている。
脱水ろ液Sの温度は、例えば、脱水手段40のろ液流出部42又はろ液流出部42近傍に設けられた温度センサーで測定することができる。温度センサーは脱水ろ液Sに対して接触式であっても非接触式であってもよい。
ろ液流出部42から流出された脱水ろ液Sはそのまま下水処理設備へ返流水として供給してもよいが、濃縮手段20に流入させることもできる。脱水ろ液Sにはリン酸が含まれており、脱水ろ液Sを返流水とする場合は、高濃度のリン酸を含んだ返流水が、下水処理設備におけるリンの処理に負荷をかけてしまうことになる。また、汚泥の脱水が不十分な場合は、後段の焼却設備での処理に負荷をかけることにもなる。
他方、脱水ろ液Sを濃縮手段20に流入させる場合は、脱水ろ液Sは加温されているので、被濃縮汚泥の濃縮が促進されるとともに、リン酸の除去も促進され好ましい。例えば、脱水手段40で発生した脱水ろ液S全量を濃縮手段20へ流入させることができる。加温された脱水ろ液Sが濃縮手段20に流入すると、濃縮槽21に入っている被濃縮汚泥が、脱水ろ液Sと混ざり加温され、濃縮が促進される。また、被濃縮汚泥に含まれるリン酸(例えば被濃縮汚泥の液中に含まれるリン酸と、汚泥細胞中に含まれ、可溶化によって溶出したリン酸)は、脱水ろ液Sに残留する凝集剤Fと反応することで不溶性のリン化合物となる。その結果、濃縮排液R中のリン酸濃度を低減することができる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態を図2に示す。第2の実施形態は、脱水ろ液Sを間接的に加温する加温手段70に加え、加温媒体Hを脱水ろ液Sに直接供給する加温媒体供給手段を備えるものである。第1の実施形態において、脱水ろ液Sの総液量が少なく、濃縮手段20で被濃縮汚泥(例えば、凝集汚泥B)の加温に必要な熱量を供給されない場合などに上記加温媒体供給手段を設け、脱水ろ液Sに直接加温媒体Hを供給することで不足熱量を補充することができる。本実施形態における加温媒体Hは温水もしくは蒸気が好ましい。加温媒体供給手段は、熱交換器71に搬送される加温媒体Hの一部を脱水ろ液室47に供給する構成とすることができ、具体的には、加温媒体流路74と脱水ろ液室47とを接続する供給流路48と、供給流路48を流れる加温媒体Hの流量を調節するバルブ50を備え、加温手段70に供給される加温媒体Hの一部を分岐し、脱水ろ液室47内に供給する。脱水ろ液室47内に供給された加温媒体Hは、脱水ろ液Sとともにろ液流出部42から流出されて濃縮手段20に流入する。脱水ろ液室47は、供給流路48から供給される加温媒体Hと、加温手段70により加温され返送流路73から供給される脱水ろ液Sとにより加温される。このように複数の流路から加温された液体が供給されることで濃縮手段20に必要な熱量を供給することに加え、脱水ろ液室47内の温度ムラを抑制することができる。また、供給流路48は、脱水ろ液室47内の脱水ろ液Sの流れ方向に対し返送流路73より上流側に接続されることが好ましい。例えば、本実施形態の脱水手段40では、底部に設けられたろ液流出部42に向けて脱水ろ液Sが流れ流出されるが、脱水ろ液室47の上方に供給流路48を接続することで、供給された加温媒体Hがろ液流出部42に向けて移動する間に脱水ろ液室47内を全体的に加温することができる。
供給される加温媒体Hは例えば70~95℃、好ましくは85~90℃であるとよい。当該温度が70℃未満だと、加温媒体Hを供給する効果が乏しい。他方、当該温度が95℃を超えると、蒸発分が多く、扱いづらい。また、供給流路48は、加温媒体流路74と脱水ろ液室47に接続されているが、加温媒体流路74と返送流路73に接続することもできる。局所的に加温が求められる場合にはこのような構成が好適である。また、脱水ろ液室47に供給する加温媒体Hを加温手段70に供給される加温媒体Hと異なる媒体を使用する場合には、供給流路48を加温媒体流路74と接続させることなく、図示しない当該媒体の供給手段と接続すればよい。
加温媒体供給手段から供給される加温媒体Hの供給量は、濃縮手段20に流入させる脱水ろ液Sの液量に対して100%以下、好ましくは25~50%であると、濃縮排液Rの最終的な排液量が少なくて済むので好ましい。
ところで上記第1、第2の実施形態では、流入汚泥Aを凝集手段10で凝集剤Pを添加し、被濃縮汚泥(例えば凝集汚泥B)を濃縮手段20に供給しているが、流入汚泥Aを濃縮手段20に直接供給するようにしてもよい。
また上記第2の実施形態では、加温媒体供給手段は、加温媒体Hを脱水ろ液室47内に供給したが、ろ液流路L4に加温媒体Hを供給する構成でもよい。このような構成とした場合、ろ液流路L4に加温媒体Hを供給する手法の場合は、ろ液流路L4を流れる脱水ろ液Sとともに加温媒体Hが濃縮手段20に流入することになる。
(汚泥の物質収支)
図3に示す従来の濃縮手段2と脱水手段3を備える有機性汚泥処理設備では、濃縮汚泥を加温するために系外から温水H′を供給する構成を採用していた。他方、本実施形態は、脱水ろ液Sが脱水手段40から流出されて濃縮手段20に流入するものであり、系外から供給する温水の量を大幅に減らして有機性汚泥処理設備1を稼働できるメリットがある。このメリットを有機性汚泥処理設備の物質収支で説明すると、次のようになる。数値は説明用の概数である。従来の有機性汚泥処理設備での物質収支は表1及び図4のとおりとなる。濃縮手段2へ供給される被濃縮汚泥の量と脱水手段3に供給される温水H′の量を供給の部に、脱水手段3から排出される脱水汚泥Iの量と濃縮手段2から排出される濃縮排液E′の量を排出の部に記載する。単位時間あたりに濃縮手段2に供給する被濃縮汚泥の量を10m3/時と仮にした場合、脱水手段3から排出される脱水汚泥Iはおよそ1m3/時であり、このときの脱水効率は90%となる。そしてこの脱水効率を得るのに必要な系外から供給する温水H′はおよそ9m3/時であり、濃縮手段2から排出される濃縮排液E′が18m3/時となる。
Figure 2023148171000002
脱水効率は、次のように計算される。
脱水効率(%)=((濃縮手段に供給される被濃縮汚泥の量)-(脱水手段から排出される脱水汚泥の量))/(濃縮手段に供給される被濃縮汚泥の量)×100
他方、本実施形態の有機性汚泥処理設備1での物質収支は表2及び図5のとおりとなる。有機性汚泥処理設備1に供給する被濃縮汚泥の量を単位時間当たり10m3/時と仮にした場合、脱水手段40から排出される脱水汚泥Eはおよそ1m3/時であり、このときの脱水効率は90%となる。そしてこの脱水効率は脱水ろ液Sの量と熱量に依存し、系外から温水を供給しない場合は、排出される濃縮排液Rが9m3/時となる。このように濃縮排液Rが従来の濃縮手段2と脱水手段3を備える有機性汚泥処理設備と比較して少ないのは、汚泥を加温するのに、系外からの温水を追加供給するのではなく、汚泥の脱水によって得られた脱水ろ液Sを間接的に加温したものを用いているからである。
Figure 2023148171000003
有機性汚泥処理設備1の濃縮手段20と脱水手段40それぞれに着目すると、濃縮手段20では、供給された被濃縮汚泥の量10m3/時が濃縮汚泥Cの量4m3/時に濃縮され、残分たる濃縮排液Rが6m3/時となる。また、濃縮手段20へ流入する脱水ろ液Sの量が3m3/時であり、この量がそのまま濃縮排液Rとして排出されるので、濃縮排液Rの総量が9m3/時(=6m3/時+3m3/時)となる。脱水手段40では、供給された濃縮汚泥Cの量4m3/時が脱水汚泥Eの量1m3/時に脱水されて排出されるとともに、残分たる脱水ろ液Sの量3m3/時で流出される。
変形例として、補助的に加温媒体H(例えば温水)を系外から供給した場合の、本実施形態の有機性汚泥処理設備1での物質収支は表3及び図6のとおりとなる。有機性汚泥処理設備1に供給する被濃縮汚泥の量を10m3/時と仮にした場合、脱水手段40から排出される脱水汚泥Eはおよそ1m3/時であり、このときの脱水効率は90%となる。そしてこの脱水効率は脱水ろ液Sの量と熱量、及び補助的に系外から供給される温水の量に依存し、この脱水効率としたい場合、系外から供給する温水を1m3/時とすると、排出される濃縮排液Rが10m3/時となる。
Figure 2023148171000004
ここで、単位時間当たり系外に排出される濃縮排液Rの量について、表1~3の供給の部合計、排出の部合計を比較して見ると、本実施形態の有機性汚泥処理設備1(表2,3)は、従来の濃縮手段2と脱水手段3を備えた有機性汚泥処理設備(表1)よりも小さくなっているのが分かる。
このように本実施形態の有機性汚泥処理設備1では、濃縮手段20へ供給する温水の供給量を低減することができるので、濃縮手段20の濃縮槽21の容積を従来のものよりコンパクト化することができる。また、本実施形態の濃縮手段20は、濃縮槽21中の液分の量が少ない状態で濃縮処理を行うことができるので、従来の濃縮手段2よりも濃縮効率に優れたものとなる。
本実施例によれば、下水処理施設における実施形態を開示したが、当該施設に限定されることなく、種々有機性汚泥の処理に適用することが可能である。
1 有機性汚泥処理設備
20 濃縮手段
40 脱水手段
43a 外側ろ過スクリーン
43b 内側ろ過スクリーン
44 リボン型スクリュー
46 汚泥脱水室
47 脱水ろ液室
70 加温手段
71 熱交換器
72 搬送流路
73 返送流路
C 濃縮汚泥
E 脱水汚泥
H 加温媒体
S 脱水ろ液

Claims (9)

  1. 被脱水汚泥を脱水して脱水ろ液を得る脱水手段を備えた有機性汚泥処理設備であって、
    前記脱水手段が、被脱水汚泥を脱水する汚泥脱水室と、脱水により得られた脱水ろ液が流れ込む脱水ろ液室と、前記脱水ろ液を間接的に加温する加温手段を備えるものであり、
    加温された脱水ろ液によって前記汚泥脱水室内が加温される、
    ことを特徴とする有機性汚泥処理設備。
  2. 前記加温手段は、熱交換器と、前記脱水ろ液室の脱水ろ液を前記熱交換器に搬送する搬送流路と、前記熱交換器で加温された脱水ろ液を前記脱水ろ液室に返送する返送流路を備えるものであり、
    搬送された脱水ろ液が前記熱交換器を流れる加温媒体により間接的に加温される、
    請求項1記載の有機性汚泥処理設備。
  3. 前記熱交換器が、搬送された脱水ろ液を50~95℃に加温するものである、
    請求項2記載の有機性汚泥処理設備。
  4. 前記加温媒体が、温水、熱媒油又は蒸気のいずれかであり、前記熱交換器に搬送される脱水ろ液よりも高温となっている、
    請求項2又は3記載の有機性汚泥処理設備。
  5. 前記加温手段は、前記熱交換器に搬送される加温媒体の一部を前記脱水ろ液室に供給する加温媒体供給手段を有し、
    前記加温媒体が温水又は蒸気である、
    請求項2又は3記載の有機性汚泥処理設備。
  6. 前記脱水手段は、前記汚泥脱水室と前記脱水ろ液室を隔てるろ過スクリーンを有し、前記ろ過スクリーンがウェッジワイヤー及びパンチングメタルの少なくとも一つにより構成されたものであり、
    前記脱水ろ液室内の脱水ろ液が50℃~95℃となる、
    請求項1記載の有機性汚泥処理設備。
  7. 前記脱水手段は、
    ケーシングと、
    縦方向に伸びる軸線を中心とした円筒状又は円錐状をなして前記ケーシング内に配設される内側ろ過スクリーンと、
    当該内側ろ過スクリーンと同軸の円筒状又は円錐状をなして前記内側ろ過スクリーンの外側に間隔をあけて前記ケーシング内に配設される外側ろ過スクリーンと、
    前記軸線回りに捩れる螺旋状をなして前記内側ろ過スクリーンと外側ろ過スクリーンとの間に収容され、該軸線を中心に前記内側ろ過スクリーン及び外側ろ過スクリーンに対して相対的に回転させられるリボン型スクリューとを備え、
    前記内側ろ過スクリーンと外側ろ過スクリーンとの間の空間が前記汚泥脱水室とされるとともに、前記内側ろ過スクリーンの内側の空間と前記外側ろ過スクリーンの外側の空間とが前記脱水ろ液室とされる、
    請求項1記載の有機性汚泥処理設備。
  8. 被濃縮汚泥を濃縮処理する濃縮手段と、濃縮処理後の濃縮汚泥を脱水して脱水汚泥と残分である脱水ろ液を得る脱水手段と、を備えた有機性汚泥処理設備であって、
    前記脱水手段が、前記濃縮処理後の濃縮汚泥を脱水する汚泥脱水室と、前記脱水ろ液が流れ込む脱水ろ液室と、前記脱水ろ液を間接的に加温する加温手段を備えるものであり、
    前記脱水ろ液が前記脱水手段から50~95℃で流出されて前記濃縮手段に流入され、前記濃縮手段で熱源として利用されるものである、
    ことを特徴とする有機性汚泥処理設備。
  9. 被脱水汚泥を脱水して脱水ろ液を得る脱水工程を有し、
    前記脱水工程は脱水手段により行われ、
    前記脱水手段が、被脱水汚泥を脱水する汚泥脱水室と、脱水により得られた脱水ろ液が流れ込む脱水ろ液室と、前記脱水ろ液を間接的に加温する加温手段を備えるものであり、
    加温された脱水ろ液が前記汚泥脱水室内を加温する、
    ことを特徴とする有機性汚泥処理方法。
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