JP2023143117A - 電極体及び生体情報計測デバイス - Google Patents

電極体及び生体情報計測デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP2023143117A
JP2023143117A JP2022050326A JP2022050326A JP2023143117A JP 2023143117 A JP2023143117 A JP 2023143117A JP 2022050326 A JP2022050326 A JP 2022050326A JP 2022050326 A JP2022050326 A JP 2022050326A JP 2023143117 A JP2023143117 A JP 2023143117A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
electrode body
deformed
conductive
biological information
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022050326A
Other languages
English (en)
Inventor
正成 平田
Masashige Hirata
俊弘 竹下
Toshihiro Takeshita
靖之 日下
Yasuyuki Kusaka
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2022050326A priority Critical patent/JP2023143117A/ja
Publication of JP2023143117A publication Critical patent/JP2023143117A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】体動が大きい状況においても、バイタル情報を安定して取得可能な電極体、該電極体を含むウェア型、心電位計測用の生体情報計測デバイスの提供。【解決手段】少なくとも1つの面を有する、変形性を有する変形部(2)と、該変形部(2)の少なくとも1つの面に設けられた、導電性を有する電極部(3)と、該電極部(3)が計測した信号を伝送する伝送手段(4)と、を備え、前記電極部(3)と平行な方向のせん断に対するせん断弾性係数が1000Pa~5000Paである、及び/又は前記電極部(3)と垂直な方向の圧縮に対する圧縮弾性係数が1000Pa~4000Paである、請求項1に記載の電極体(1)、並びに該電極体(1)を含む、ウェア型、心電位計測用の生体情報計測デバイス。【選択図】図1

Description

本発明は電極体及び生体情報計測デバイスに関する。
近年、人体に装着することでバイタル情報を取得可能なウェアラブルデバイスが注目されている。特に、心電位や筋電位などの生体電位の取得を目的としたウェアラブルデバイスにおいては、使用者の体動等によりデバイスと皮膚の接触状態が変化することで発生するノイズ(モーションアーティファクト)を低減し、生体電位を明瞭に取得することが可能な電極の研究開発が盛んになされている。
例えば、以下の特許文献1では、「生体に接触し、当該生体の電位を検出する検出部と、前記生体に接触するように前記検出部を押圧して、当該生体と当該検出部との接触を保持する保持部と、を備えることを特徴とする生体電極」が提案されている。特許文献1によれば、該生体電極は十分な圧力を獲得できる厚さと弾力性を備えるため、衣服の内側に設置された場合に、生体との密着が保持され、生体が動く、もしくは衣服がずれる場合にも、生体電位を容易に検出することができるとされている。
また、以下の特許文献2では、「伸縮性を有するシート体の表面に設けられた可撓性を有する凸状体と、上記凸状体の表面に設けられ、該表面から少なくとも外側に延びる複数の導電性繊維を有する電極部と、上記凸状体の内部に配置された増幅回路を有する回路部と、上記電極部と上記回路部とを電気的に接続する接続手段と、を備える電極体」が提案されている。特許文献2によれば、該電極体は、凸状体が可撓性を有しており、凸状体の表面に外側に延びる複数の導電性繊維を有する電極部を有しているので、被検者の皮膚に一定の接触圧で接触でき、被検者の動きがあっても、モーションアーティファクトを低減できるとされている。
さらに、以下の特許文献3では、「各電極が、レシピエントの皮膚とのほぼ一定の位置での接触を可能にするように、突起を示す作用面を備える導電性の弾性材料体を有することを特徴とするモニタリングシステム」が提案されている。特許文献3に記載されたモニタリングシステムによれば、電極の作用面に設けられる突起は、弾性材料の使用により、2つの方向にある程度の弾力性を示し、皮膚とのより良好な機械的な接触が可能になり、電極が患者の皮膚とほぼ一定の接触をもつ、信頼性が高いモニタリングが可能になるとされている。
特開2011-36524号公報 特開2019-25133号公報 国際公開第2003/082104号
しかしながら、特許文献1~3には、大きい体動が生じた場合にもモーションアーティファクトを低減し、生体電位を明瞭に取得することが可能な電極体は開示されていない。
以上を鑑み、本発明が解決しようとする課題は、体動が大きい状況においても、バイタル情報を安定して取得可能な電極体を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究し実験を重ねた結果、特定範囲のせん断弾性係数又は圧縮せん断係数を有する電極体であれば、上記課題を解決できることを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]少なくとも1つの面を有する、変形性を有する変形部(2)と、
該変形部(2)の少なくとも1つの面に設けられた、導電性を有する電極部(3)と、
該電極部(3)が計測した信号を伝送する伝送手段(4)と、
を備え、
前記電極部(3)と平行な方向のせん断に対するせん断弾性係数が1000Pa~5000Paであることを特徴とする電極体(1)。
[2]前記電極部(3)と垂直な方向の圧縮に対する圧縮弾性係数が1000Pa~4000Paである、前記[1]に記載の電極体(1)。
[3]少なくとも1つの面を有する、変形性を有する変形部(2)と、
該変形部(2)の少なくとも1つの面に設けられた、導電性を有する電極部(3)と、
該電極部(3)が計測した信号を伝送する伝送手段(4)と、
を少なくとも備え、
前記電極部(3)と垂直な方向の圧縮に対する圧縮弾性係数が1000Pa~4000Paであることを特徴とする電極体(1)。
[4]前記電極部(3)が、織物、編物、不織布、フィルム、及び短繊維からなる群から選択される少なくとも1つを含む、前記[1]~[3]のいずれかに記載の電極体(1)。
[5]前記変形部(2)が円柱形状である、前記[1]~[4]のいずれかに記載の電極体(1)。
[6]前記変形部(2)が中空部(14)を1つ以上含む、前記[1]~[5]のいずれかに記載の電極体(1)。
[7]前記中空部(14)の内の少なくとも1つが、前記変形部(2)を貫通する、前記[6]に記載の電極体(1)。
[8]前記変形部(2)が、前記電極部(3)が設けられた面と正対する面を有し、かつ、前記中空部(14)が、前記電極部(3)が設けられた面から、前記電極部(3)が設けられた面と正対する面までを貫通している、前記[7]に記載の電極体(1)。
[9]前記伝送手段(4)が、前記電極部(3)に接続された配線であり、かつ、該配線が、前記中空部(14)を通って、変形部(2)から露出している、前記[8]に記載の電極体(1)。
[10]前記電極部(3)の表面の、模擬皮膚に対する静止摩擦係数が0.5~1.5である、前記[1]~[9]のいずれかに記載の電極体(1)。
[11]前記電極部(3)の表面に非導電領域(13)が存在し、かつ、前記電極部(3)の表面の外周と、前記電極部(3)の表面の外周から中心までの長さの10%の位置と、で囲まれる領域において、該領域の面積の50%以上を該非導電領域(13)が占めている、前記[1]~[10]のいずれかに記載の電極体(1)。
[12]前記[1]~[11]のいずれかに記載の電極体(1)を含む、生体情報計測デバイス。
[13]ウェア型である、前記[12]に記載の生体情報計測デバイス。
[14]心電位計測用である、前記[12]又は[13]に記載の生体情報計測デバイス。
本発明によれば、体動が大きい状況においても、バイタル情報を安定して取得可能な電極体を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る電極体の構成を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る電極部の表面の構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る変形部における中空部の構成を示す断面図である。 モーションアーティファクトを評価する装置の概要を示す模式図である。 実施例4の中空部の配置を示す断面図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。尚、複数の図面間において共通する要素については同じ符号を付し、その要素の詳細な説明の繰り返しを省略する。また、本発明は実施形態に限定されるものではない。
<電極体>
図1は、本発明の一実施形態に係る電極体の構成を示す断面図である。
図1(A)に例示されるように、本発明に係る電極体1は、少なくとも1つの面を有する、変形性を有する変形部2と、該変形部2の1つの面に設けられた、導電性を有する電極部3と、該電極部が計測した信号を伝送する伝送手段4と、を備える。電極部3が、例えば使用者の皮膚5に接触することで、心電位や筋電位等の生体電位が、電極部3により計測され、伝送手段4により計測信号として伝送される。電極体1は衣類等の基材6に固定されて使用されてもよい。
せん断変形性を有する電極体1を搭載したデバイスが生体に装着されると、図1(B)に示されるように、デバイスが皮膚5に沿った方向に変位した場合、変形部2がせん断変形することで、電極部3と皮膚5の相対的な位置が変化することがなく、電極部3と皮膚5の接触状態が維持される。
本発明の一実施形態の電極体のせん断弾性係数は1000Pa~5000Pa、好ましくは1000Pa~2500Pa、より好ましくは1000Pa~1500Pa、である。せん断弾性係数を5000Pa以下とすることで、デバイスが皮膚方向に変位した場合に、変形部がせん断変形しやすくなり、電極部と皮膚の接触状態が維持され、モーションアーティファクトを低減することができる。また、せん断弾性係数が1000Pa以上であることで、デバイスを装着する際に生じる初期せん断力により、変形部が大きくせん断変形することを防ぎ、その後にデバイスが皮膚方向に変位した場合にも、変形部がせん断変形する余地があり、変形部のせん断変形により、電極部と皮膚の相対位置が変化せず、電極部と皮膚の接触状態が維持されるため、モーションアーティファクトを低減することができる。なお、前記せん断弾性係数は、TRILAB試験機により、電極体をずり変形させた際の変位と反力から計算される値である。
圧縮変形性を有する電極体1を搭載したデバイスが生体に装着されると、図1(C)に示されるように、変形部2は皮膚5とデバイスとの初期接触圧により初期圧縮変形を生じる。その後、使用者の体動等によりデバイスが皮膚5から離れる方向に変位した場合、初期圧縮変形が緩和されるに留まり、電極部3と皮膚5の接触は維持される。また、デバイスが皮膚に近づく方向に変位した場合、変形部2が更に圧縮されることにより、電極部3の接触圧は大きく変化せず、電極部3と皮膚5の接触状態も大きく変化しない。
本発明の別の実施形態の電極体の圧縮弾性係数は1000Pa~4000Pa、好ましくは1500Pa~3500Pa、より好ましくは1900Pa~3200Pa、である。圧縮弾性係数が4000Pa以下であることで、デバイスの初期接触圧が小さい場合にも、初期圧縮変位が生じるため、デバイスが皮膚から離れる方向に変位しても、初期圧縮変位が緩和されるに留まり、皮膚と電極部の接触が維持され、モーションアーティファクトを低減することができる。また、圧縮弾性係数が1000Pa以上であることで、デバイスの初期接触圧が大きい場合にも、変形部が初期接触圧により完全に圧縮されず、変形部が圧縮される余地が残るため、初期接触圧以上の接触圧が加わり、デバイスが皮膚に近づく方向に変位したとしても、変形部は圧縮されるが、電極部の接触圧は大きく変化せず、それにより皮膚と電極部の接触状態も大きく変化しないため、モーションアーティファクトを低減することができる。なお、前記圧縮弾性係数は、圧縮試験機KES-G5により、電極体を圧縮した際の変位と反力から計算される値である。
本発明の別の実施形態の電極体は、せん断弾性係数が1000Pa~5000Paであり、かつ、圧縮弾性係数が1000Pa~4000Paである。せん断弾性係数及び圧縮弾性係数が上記の数値範囲であることにより、体動が大きく、様々な方向に変位が生じる状況においても、モーションアーティファクトを低減し、生体電位を明瞭に取得することが可能になるという効果を奏する。
<変形部>
変形部の素材は、特に限定されないが、ナイロンやポリエステル等の合成樹脂、ウレタン等の熱硬化性樹脂系エラストマー、シリコーン等の合成高分子化合物、ブチルゴム等の合成ゴム、及び天然ゴム等が例示される。特に、安価で取り扱いが容易であることや、圧縮変形性及び/又はせん断変形性の調整が容易であることから、ウレタン等の熱硬化性樹脂系エラストマーが好ましい。ウレタン等の熱硬化性樹脂系エラストマーとしては、株式会社八幡ねじ製ウレタンフォームPU#1、PU#4等が例示される。
変形部の形状は、変形部が少なくとも1つの面を有していれば特に限定されず、直方体形状、立方体形状、多面体形状、円柱形状、円錐形状等が例示される。せん断変形性の異方性が小さいため、電極体に加わる変位の方向によらず、モーションアーティファクトを低減する効果が期待できるという観点から、円柱形状が好ましい。
変形部の、変形により皮膚との接触/不接触が切り替わる位置に、電極部又は伝送部が配されないことが好ましい。これは、電極体が大きくせん断変形し、電極部又は伝送部と皮膚との間に新しい電気的な接点が生まれることにより生じるノイズの発生を抑制することができ、生体信号をより明瞭に計測することができるからである。例えば、変形部が円柱形状であり、片方の底面に電極部が設けられる場合、側面に電極部及び電送部が配されないことが好ましい。
変形部の寸法は、特に限定されないが、例えば電極部が設けられる面の面積が0.09cm2~50cm2であり、前記面の法線方向の厚みが0.1cm~3.0cmである。
<電極部>
電極部は、変形部の少なくとも1つの面に設けられればよく、変形部の複数の面に設けられてもよいが、前述のとおり、変形により皮膚との接触/不接触が変化する位置に設けられないことが好ましい。また、変形部の1つの面に2つ以上の電極部が設けられてもよく、この場合、各電極部の形状は同一であっても、異なってもよい。
電極部の原材料は、電極部が導電性を有することができれば特に限定されない。尚、ここでいう導電性とは、JIS C 2139により計測した比抵抗(体積抵抗値)が1000Ω・cm以下であることである。これを実現する原材料としては、金属材料、炭素系材料、導電性高分子ポリマー等の導電性材料、又はそれらを混合した材料等が例示される。
電極部の素材は、特に限定されないが、電極部の肌当たりを良くし、使用者の不快感を低減する観点から、織物、編物、不織布、フィルム、及び短繊維からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。電極部の素材の具体例としては、導電性材料を含む混合物を圧延成形したフィルム、導電性繊維を含む織物、編物、及び不織布、並びに、導電性を有さないフィルム、織物、編物、及び不織布の表面に、導電性材料を配置した構造物等が挙げられる。また、導電性を有する短繊維が静電植毛等により変形部に付着して電極部が形成されてもよい。電極部の肌当たりを良くすることで不快感を低減する観点から、電極部は、導電性繊維を含む織物もしくは編物を含むこと、又は、導電性を有する短繊維が変形部に付着して形成されることが好ましい。
電極部の素材として、織物、編物、不織布又はフィルムを選択する場合、これらを変形部の少なくとも一面に固定する方法は、熱可塑性フィルムを用いて熱圧着する方法、接着剤で固定する方法、及び縫製する方法等が例示される。また、電極部の素材として短繊維を選択する場合、これを変形部の少なくとも一面に固定する方法は、変形部の表面に接着剤を塗布し、静電植毛法により導電性短繊維を吹き付ける方法等が例示される。
導電性繊維としては、金属繊維、金属被覆線、導電性ポリマー含有繊維、及び炭素繊維等が例示される。金属繊維や金属被覆線における金属成分としては、金、白金、銀、銅、ニッケル、クロム、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、タングステン、ステンレス、チタン、マグネシウム、錫、バナジウム、コバルト、モリブデン、タンタル等の金属、及びそれらの合金が好ましい。導電性繊維としては、銀を主成分とする金属皮膜を化学繊維に形成した繊維が、導電性及び風合いの観点で特に好ましい。銀を主成分とする金属皮膜を化学繊維に形成した繊維としては、ミツフジ株式会社製AG-POSS、及び日本新素材株式会社製シルベルン等が例示される。また、導電性ポリマー含有繊維は、例えば、PEDOT-PSS、及びPEDOT-PTS等の導電性ポリマーを、繊維表面に保持することが好ましい。炭素繊維としては、クラレトレーディング株式会社製クラカーボ等が例示され、特にカーボンナノチューブを紡糸した炭素繊維が、導電性及び風合いの観点で好適である。
電極部の表面は、模擬皮膚に対する静止摩擦係数が0.5~1.5であることが好ましい。静止摩擦係数が0.5以上であることで、電極体がせん断変形を生じた場合に、電極部が皮膚表面を滑りにくくなり、結果として接触が保たれ、モーションアーティファクトを抑制しやすい。また、静止摩擦係数が1.5以下であることで、前記電極体を備えるデバイスの装着時に、電極部が皮膚上を適度に滑ることで、デバイスの位置を調整しやすい。なお、静止摩擦係数は、模擬皮膚に電極部の表面を一定の接触圧で接触させ、電極体を模擬皮膚に対して水平方向に変位させた際に生じる、せん断力から計算することができる。
静止摩擦係数は、電極部の素材や構造により調整することができ、また、電極部の表面の一部に、高い静止摩擦係数を有する材料を配置することでも調整可能である。高い静止摩擦係数を有する材料としては、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、及び天然ゴム等が例示されるが、生体への刺激性が少なさという観点からは、シリコーン樹脂が好ましい。なお、電極部が全体として導電性を有している限りは、高い静止摩擦係数を有する材料が導電性を有しなくてもよい。
電極部の表面9は、非導電性領域を有することができる。図2(A)に例示されるように、電極部の表面の外周10と、前記電極部の表面の外周11から中心Oまでの長さの10%の位置11と、で囲まれる領域12(以下、「電極部の表面の外縁」ともいう。)において、前該領域の面積12の50%以上を前記非導電性領域が占めていることが好ましく、100%を占めていることがより好ましい。図2(B)及び(C)は、非導電性領域が前記領域12をそれぞれ100%及び50%占めている例である。電極部の表面の外縁の50%以上を非導電領域が占めることで、大きなせん断変形又は圧縮変形が生じた場合にも、電極部の表面の外縁の一部が皮膚から離れることで生じる、電極部と皮膚の電気的接点の変化が、十分に小さくなり、モーションアーティファクトをより抑制することができる。更に、電極部の表面の外縁の100%を非導電領域が占めることで、電極体がどの方向に変形しても、電極部と皮膚の電気的接点の変化を抑えることができ、モーションアーティファクトをより低減することができる。尚、ここでいう非導電性領域とは、前述の導電性を有しない領域のことを言う。非導電性領域に含まれる材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、及びポリフェニレンサルファイド等の樹脂や、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、及び天然ゴム等が例示され、生体への刺激性の少なさという観点からは、シリコーン樹脂が好ましい。
<伝送手段>
伝送手段は、電極部が計測した生体電位を、電極体から電極体以外の任意の要素まで伝送する機能を果たす。伝送手段としては、有線、無線、及びこれらを組み合わせた電送手段が利用可能である。有線の電送手段としては、同軸ケーブル、導電性繊維、又は導電性インク等を用いた配線が例示され、また、電極体の一部を引き回して配線としてもよい。配線は、その一端を電極部に接続し、もう一端を電極体以外の任意の要素に接続することで信号伝送することができる。無線の電送手段としては、無線通信IC等が例示される。伝送手段は、取り付けが容易であることから、配線が好ましく、特に導電性繊維を用いた配線が好ましい。
配線と電極部との接続方法は特に限定されないが、はんだや導電性接着剤等を用いて接着する方法、導電性材料と熱可塑性樹脂とを含む配線を電極部に熱接着する方法、及びかしめ具を用いて圧着する方法等が例示される。配線と電極部との接続方法は、電極部の柔軟性が損なわれにくく、かつ、電極部への接続が容易であるという観点から、導電性材料と熱可塑性樹脂とを含む配線を電極部に熱接着する方法が好ましく、特に、導電性繊維と熱融着糸の交編編地を配線として用い、電極部に前記交編編地を熱接着する方法が好ましい。
<中空部>
変形部は中空部を1つ以上含んでもよい。変形部に中空部を設けることで、変形部の圧縮弾性係数又はせん断弾性係数を素材によらず調整できるようになり、電極体を含むデバイスで想定される初期接触圧に合わせて、適切な変形性の電極体を容易に提供できる。
中空部の形状は特に限定されず、球形状、楕円球形状、円柱形状、直方体形状、立方体形状、円錐形状、及びこれらを組み合わせた形状等が例示される。
中空部の位置は特に限定されず、図2(A)及び(B)に示すように、中空部14が全体的又は部分的に変形部2に閉じられて位置してもよいし、図2(C)に示すように、中空部14が変形部2を貫通するように位置してもよい。打抜き加工等により変形部に中空部を簡便に設けることができるという観点から、変形部を貫通するように中空部を設けることが好ましい。中空部が変形部を貫通する場合、前記変形部が、前記電極部が設けられた面と正対する面を有し、前記中空部が、前記電極部が設けられた面から、前記電極部が設けられた面と正対する面までを貫通していることが好ましい。これにより、電極体にせん断変形が生じた際、せん断変形方向に変形部の空隙があるため、変形部がせん断変形を生じやすくなり、モーションアーティファクトを効率的に抑制できる。更に、前記中空部が、前記電極部が設けられた面から、前記電極部が設けられた面と正対する面までを貫通している場合、前記伝送部が前記電極部に接続された配線であり、該配線が、前記中空部の内部を通って、変形部から露出している構造にすることで、配線が変形部に覆われ、配線と皮膚の接触によるノイズが発生することが無くなり、生体信号をより明瞭に計測することができる。
変形部の空隙率は15%以上である事が好ましい。前記空隙率が15%以上であることで、変形部が圧縮変形及び/又はせん断変形を生じやすくなり、モーションアーティファクトを効率的に抑制できる。なお、前記空隙率は、前記変形部の外径寸法から計算される見た目の体積に占める、前記中空部の体積の合計値の割合である。
<生体情報計測デバイス>
本発明の別の実施形態は、前記電極体を含む生体情報計測デバイスである。前記電極体を1つ以上含む生体情報計測デバイスは、体動がある場合にもモーションアーティファクトを抑制した生体電位計測が可能である。生体情報計測デバイスは、心電位、筋電位、脳波等に代表される生体電位のいずれを計測するためにも用いることができ、特に心電位の計測のために好適に用いることができる。
生体情報計測デバイスは、生体電位をより明瞭に計測するためには、装着時の皮膚に対する電極体の接触圧が500Pa~4000Paであることが好ましく、1000Pa~3000Paであることがより好ましい。前記接触圧を500Pa以上とすることで、皮膚と電極部との密着を高めるとともに、電極体の初期圧縮変位が十分に生じることにより、より明瞭に生体電位を計測することができる。また、前記接触圧を4000Pa以下とすることで、接触圧増加による使用者の圧迫感を抑制するとともに、電極体が過度に圧縮変形されることがなくなり、モーションアーティファクトを十分に抑制することができる。
生体情報計測デバイスは、ウェア型、バンド型、ウォッチ型、眼鏡型、帽子型等であることができ、ウェア型が好ましい。生体情報計測デバイスがウェア型である場合、計測したい部位に対して電極体が押圧される形態であればよく、腕部であればアームカバー型、下半身であればタイツ型、上半身であればシャツ型が例示される。ウェア型の生体情報計測デバイスに用いられる生地としては、特に限定されないが、接触圧を適切に調整する観点から、ポリウレタン弾性糸等の弾性糸を含む、コンプレッション性を有する生地が好ましい。また、ウェア型の生体情報計測デバイスは、発明の効果を阻害しない限り、その他のセンサデバイス等を具備してよい。
電極体を生体情報計測デバイスに取り付ける方法は特に限定されないが、電極体を生体情報計測デバイスに縫製する方法、熱可塑性樹脂や接着剤等により電極体をデバイスに接着する方法、圧着端子等を用いて電極体の一部をデバイスに圧着する方法等が例示される。取り付けが容易であることから、熱可塑性樹脂により電極体をデバイスに接着する方法が好ましい。また、前記電極体は、前記生体情報計測デバイスに取り外し可能な形態で取り付けてもよいし、取り外し不可能な形態で取り付けてもよい。
生体情報計測デバイスに取り付けた電極体の伝送部が配線の場合、配線と生体情報計測デバイスとを電気的に接続する方法は、特に限定されないが、配線の末端を生体情報計測デバイスの計測端子に、はんだや導電性接着剤で接着する方法や、圧着端子を用いて圧着する方法が例示される。また、前記生体情報計測デバイスの脱着が可能なコネクタに、前記配線を接続することで、間接的に配線と生体情報計測デバイスとを電気的に接続してもよい。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。実施例における各種特性の評価方法は以下の通りのものであった。
(1)モーションアーティファクト評価
<モーションアーティファクト評価装置>
図4にモーションアーティファクト評価装置15の模式図を示す。本装置は、ECGシミュレータ16、3軸動作ステージ17、模擬皮膚、電極体1、フォースゲージ19、作動アンプ(図示なし)、及びオシロスコープ20から構成される。一方の模擬皮膚18は3軸動作ステージ17に固定され、もう一方の模擬皮膚(図示なし)はECGシミュレータ16に固定されている。各模擬皮膚には信号線が1本ずつ配線されており、それぞれECGシミュレータ16のRA端子又はLA端子に接続されている。そのため、ECGシミュレータ16で生成された心電位模擬信号は各模擬皮膚の表面まで伝達される。また、ECGシミュレータ16で生成された心電位模擬信号は、前記とは異なる配線及び作動アンプを介して、オシロスコープ20に参照電位として記録される。さらに、各模擬皮膚の直上には、模擬皮膚の上面と電極部が正対するように、電極体1がフォースゲージ19に固定されている。フォースゲージ19が示す接触圧を基準に、各電極体を所定の接触圧で模擬皮膚に接触させることで、模擬皮膚の表面電位が電極及び作動アンプを介して、オシロスコープ20に電極電位として記録される。この状態で、3軸動作ステージ17を様々に変位させ、電極電位と参照電位を比較することで、モーションアーティファクトの発生量を評価する仕組みである。
模擬皮膚としては、平均的な人体と同程度の機械的特性及び電気的特性を備えたWET Lab社製HXBNXTB858510MXを用いた。模擬皮膚の厚みは10mm、縦及び横の長さは85mmであった。
ECGシミュレータ(Fluke社製ProSim8)は、心電位模擬信号としてRA-LAのI誘導を模した電圧信号を生成し、各模擬皮膚にそれぞれ入力した。電極体の計測電位は、作動アンプ(Analog Devices社製AD8232)を介してオシロスコープ(YOKOGAWA社製DLM5058)に入力し、さらに、オシロスコープに内蔵のデジタルフィルタ機能による、カットオフ周波数0.5Hzのハイパスフィルタ、及び、カットオフ周波数100Hzの1次のローパスフィルタを介して、データを記録した。
<水平方向のモーションアーティファクト評価条件>
実施例の電極を初期接触圧1kPaで模擬皮膚に押圧した。その後、3軸動作ステージを水平方向に往復変位させながら、模擬皮膚の表面電位を計測した。最大変位量は2mm又は4mmとした。変位速度は、一往復がちょうど2秒になるように調節した。サンプリング周波数は1kHzとした。サンプリング時間は電極体が10往復するまでとした。測定は1つの電極体あたり3回行った。
<鉛直方向のモーションアーティファクト評価方法>
実施例の電極を初期接触圧1kPaで模擬皮膚に押圧した。その後、3軸動作ステージを鉛直下方向きに往復変位させながら、模擬皮膚の表面電位を計測した。最大変位量は1mmとした。変位速度は、一往復がちょうど2秒になるように調節した。サンプリング周波数は1kHzとした。サンプリング時間は電極体が10往復するまでとした。測定は1つの電極体あたり3回行った。
<モーションアーティファクトの評価指標>
オシロスコープに記録された電極電位及び参照電位の各波形について、1往復目以降の9往復分の波形を切り出した。これらを2秒ごとに区間分割し、以下の式(1)により各区間の相関係数Rjを算出し、さらに、それらの平均値である区間平均相関係数Rを、以下の式(2)により算出した。
Figure 2023143117000002
Figure 2023143117000003
{式中、nは、区間jにおける離散データの総数、xiは、区間jにおける電極電位のi番目の離散データの番号、yiは、区間jにおける参照電位のi番目の離散データの番号、xは、区間jにおける電極電位の平均値、yは区間jにおける参照電位の平均値、そしてJは、区間の総数である。}
この区間平均相関係数Rが高いほど、電極とスキンモデルの相対位置が変化しても、心電位模擬信号と同様の信号が電極により計測されており、電極体がモーションアーティファクトを抑制し、明瞭な生体電位を計測できていることになる。この区間平均相関係数Rが0.6を超えている場合、モーションアーティファクトを十分に抑制し、心電位模擬信号を明瞭に計測できているとした。
(2)電極体のせん断弾性係数
トリニティーラボ株式会社製TRILABを用い、水平移動ステージに電極体の電極面を、ロードセルに該電極面と正対する面を、それぞれ両面接着テープにより固定した後、ロードセルに鉛直方向に1kPaの接触圧を印加し、水平移動ステージを変位させ、ロードセルにより電極体に生じるせん断力を測定した。ロードセルに装着する治具は、電極部より面積が広く、電極体に均一に接触圧を加えることが可能な圧縮子を選定した。変位速度は0.1mm/sとし、電極部の変位方向の長さの10%に達するまで変位させた。計測は3試行行った。
その後、変位が電極部の変位方向の長さの10%に相当する時点のせん断力をF[N]、変位をX[m]、電極体の電極部の面積をA[m2]、電極体の厚みをH[m]とし、以下の式(3)により圧縮弾性係数G[Pa]を算出し、3試行の平均値をその電極体のせん断弾性係数とした。
G=F・H/(A・X) 式(3)
{式中、Fは、圧縮変位が電極体の厚みの10%に相当する時点の反力[N]、Xは、変位、Aは、電極体の電極部の面積[m2]、そしてHは、電極体の厚み[m]である。}
(3)電極体の圧縮弾性係数
カトーテック株式会社製圧縮試験機「KES-G5」の試料台に、電極体を静置した後、上方から圧縮セルで電極体を圧縮しながら、圧縮変位と反力を計測した。電極体は電極部が試料台と接する向きに静置した。圧縮セルに装着する圧縮子は、電極部より面積が広く、電極体を均一に圧縮可能な圧縮子を選定した。圧縮速度は0.1mm/sとし、圧縮変位が電極体の計測前の厚みの10%に達するまで圧縮した。計測は3試行行った。以下の式(4)により圧縮弾性係数E[Pa]を算出し、3試行の平均値をその電極体の圧縮弾性係数とした。
E=F・H/(A・X) 式(4)
{式中、Fは圧縮変位が電極体の厚みの10%に相当する時点の反力[N]、Xは圧縮変位[m]、Aは電極体の電極部の面積[m2]、Hは電極体の厚み[m]である。}
(4)電極部の表面の、模擬皮膚に対する静止摩擦係数
トリニティーラボ株式会社製TRILABを用い、水平移動ステージに、模擬皮膚として株式会社ビューラックス製バイオスキンプレート「P001-001」を、ロードセルに電極体の電極部と正対する面を、それぞれ両面接着テープにより固定し、20℃60%RC環境に12時間放置して調湿した。その後、電極部と模擬皮膚の平行を維持しながら、電極部の表面が模擬皮膚に接触する直前まで、ロードセルを鉛直方向に模擬皮膚に近づけた。その後、ロードセルに重りを乗せる事で、鉛直方向に1kPaの初期接触圧P[Pa]を電極体に印加し、水平移動ステージを電極部の変位方向の長さの100%分だけ変位[m]させながら、摩擦力F[N]を計測した。摩擦力の最大値をFmax[N]とした。計測は3試行行った。
その後、以下の式(5)により静止摩擦係数μを算出し、3試行の平均値をその電極体のせん断弾性係数とした。
μ=Fmax/(P・A) 式(5)
{式中、Fmaxは計測した摩擦力の最大値[N]、Pは初期接触圧[Pa]、Aは電極体の電極部の面積[m2]である。}
[実施例1]
<電極体各部の部材の作製方法>
ハンド打抜機により、株式会社八幡ねじ製ウレタンフォーム「#1」を直径40mm、厚み20mmの円柱形状に打ち抜き、これを変形部用部材とした。
栄光産業株式会社製筒編機「NCR-BW」(釜径3.5インチ、27ゲージ)により、日本新素材株式会社製導電糸「シルベルン140d」を天竺組織で編成し、生機を得た。その後、生機を金属製バスに入れ、生機の重量の40倍量の水温90℃の水、及び、水1Lあたり1.5gのスコアロールを加え、ヒーターで水温を90℃±5℃の範囲内で維持しながら、繊維構造物の生機を15分湯煎することにより、生機を精錬した。生機を取り出し、遠心脱水機で30秒間脱水した後、生機が弛まない程度にテンションを掛けてピン枠に固定し、130℃に設定したピンテンターで90秒間セットすることにより、導電性編地を得た。この導電性編地の編密度は、18コース/10mm及び28ウェール/10mmであり、厚みは0.21mmであった。この導電性編地をハンド打抜機により直径40mmの円形状に打抜き、これを電極部用部材とした。
栄光産業株式会社製筒編機「NCR-BW」(釜径3.5インチ、27ゲージ)にプレーティング用治具を取り付け、日本新素材株式会社製導電糸「シルベルン140d」を地糸、富士紡ホールディングス株式会社製ポリアミド系低融点フィラメント(ジョイナーLタイプ、78dTex)を添え糸として、天竺組織で編成し、生機を得た。その後、生機を金属製バスに入れ、生機の重量の40倍量の水温60℃の水、及び、水1Lあたり1.5gのスコアロールを加え、ヒーターで水温を60℃±5℃の範囲内で維持しながら、繊維構造物の生機を15分湯煎することにより、生機を精錬した。生機を取り出し、遠心脱水機で30秒間脱水した後、生機が弛まない程度にテンションを掛けてピン枠に固定し、130℃に設定したピンテンターで90秒間セットすることにより、導電糸と熱融着糸からなる交編編地を得た。この導電性編地の編密度は、18コース/10mm及び28ウェール/10mmであり、厚みは0.21mmであった。ニットループ面の最表面には主に導電糸が位置し、シンカーループ面の最表面には主に熱融着糸が位置していた。この交編編地をコース方向長さ60mm、ウェール方向長さ8mmの長方形形状に切り抜き、これを伝送部に用いる配線用部材とした。
<電極体の作製方法>
水平なアイロン台の上に、片方の底面を上方にして変形部用部材を置き、該片方の底面を隙間なく覆うように直径40mmの円形状に打ち抜いた熱融着シート(レオニス株式会社製「布の接着テープ」)を置いた。次に、前記熱融着シートの上方から、ニットループ面を下向きにして配線用部材を静置した。この際、配線用部材の一端が変形部用部材の底面の中心付近に位置し、熱融着シート上からはみ出る部分は、配線用部材が変形部用部材に触れないようにした。続いて、前記電極部用部材を、シンカーループ面を下向きにして、熱融着シートを隙間なく覆うように静置した。最後に、130℃に加熱したアイロンを電極部用部材の上方から接触圧5kPa以上で30秒間押し当てることにより、各部材を熱接着して、電極体を得た。この電極体の圧縮弾性係数は5608Pa、せん断弾性係数は3459Paであった。
[実施例2]
変形部用部材として、八幡ねじ製ウレタンフォーム「#4」を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で電極体を得た。この電極体の圧縮弾性係数は7417Pa、せん断弾性係数は4945Paであった。
[実施例3]
変形部用部材に対し、両底面を貫通するように、図5のように直径8mmの中空部を中心間距離が12mmとなるようにハンド打抜機により7個打ち抜いたこと、及び、配線用部材が、一端が変形部用部材の上方の底面の端部付近に位置し、他端が中央の中空部を通って下方の底面から露出するように配置したこと以外は、実施例1と同様の方法で電極体を得た。この電極体の圧縮弾性係数は1941Pa、せん断弾性係数は1234Paであった。
[実施例4]
各中空部の中心を合わせ、直径が6mmとなるように中空部を打ち抜いたこと以外は、実施例3と同様の方法で電極体を得た。この電極体の圧縮弾性係数は3195Pa、せん断弾性係数は1949Paだった。
[実施例5]
変形部用部材として、八幡ねじ製ウレタンフォーム「#4」を用いたこと以外は、実施例3と同様の方法で電極体を得た。この電極体の圧縮弾性係数は4055Pa、せん断弾性係数は2647Paであった。
[実施例6]
実施例1と同様の方法で得た電極体を、水平なアイロン台の上に、電極部を上方にして静置した。次に、サン化成株式会社製熱可塑性ポリウレタンフィルム「G-510」を外径40mm、内径30mmの中空円形状に打ち抜き、前記中空円形状のフィルムの接着面を下向きにして、前記中空円形状のフィルムを上方から前記電極体に重ねた。その後、前記中空円形状のフィルムと前記電極体の外周が一致するように中空円形状のフィルムの位置を調整した上で、離型紙を介して、130℃に加熱したアイロンを上方から接触圧5kPa以上で10秒間押し当てることにより、前記中空円形状のフィルムと前記電極体を熱接着し、前記電極部の表面の外縁の全てを非導電性領域が占めている電極体を得た。この電極体の圧縮弾性係数は5257Pa、せん断弾性係数は3416Paであった。
[実施例7]
サン化成株式会社製熱可塑性ポリウレタンフィルム「FU-750」を用いること以外は、実施例6と同様の方法で電極体を得た。この電極体の圧縮弾性係数は5592Pa、せん断弾性係数は3531Paであった。
[実施例8]
アクリル酸エステル共重合エマルジョンを主成分とする河口株式会社製アクリル系合成ゴム「ニュースベラナイン」をサン化成株式会社製熱可塑性ポリウレタンフィルム「G-510」の非粘着面に平滑に塗布し、24時間乾燥させることで、静止摩擦係数を調整したフィルムを得た。この静止摩擦係数を調整したフィルムを用いること以外は、実施例6と同様の方法で電極体を得た。この電極体の圧縮弾性係数は5351Pa、せん断弾性係数は3482Paであった。
[比較例1]
変形部用部材として、八幡ねじ製ウレタンフォーム「#6」を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で電極体を得た。この電極体の圧縮弾性係数は10316Pa、せん断弾性係数は6589Paであった。
[比較例2]
各中空部の中心を合わせ、直径が9mmとなるように中空部を打ち抜いたこと以外は、実施例3と同様の方法で電極体を得た。この電極体の圧縮弾性係数は1193Pa、せん断弾性係数は781Paであった。
以上の実施例、比較例について、製造条件及び評価結果を以下の表1に示す。
Figure 2023143117000004
実施例の電極体を用いてモーションアーティファクトを評価したところ、せん断方向の変位が2mmの場合、平均相関係数が実施例1~5の全ての電極体において0.6を超えていたことから、実施例1~5の電極体は、せん断方向の変位に対してモーションアーティファクトの発生を抑制し、生体電位を明瞭に計測できることが明らかになった。一方、比較例1~2の平均相関係数は0.6を下回っていたことから、比較例1~2の電極体は、せん断方向の変位に対してモーションアーティファクトの発生を十分に抑制できず、生体電位を明瞭に計測できないことが明らかになった。
せん断方向の変位が4mmの場合、実施例3~4の電極体の平均相関係数が0.6を超えていたことから、せん断方向の変位が大きい場合にも、せん断弾性係数が低い電極体を用いることで、モーションアーティファクトの発生を低減し、生体電位を明瞭に計測できることが明らかになった。
電極部の表面の外縁が100%非導電性領域からなる実施例6~8は、電極部の表面の外縁以外の構造は実施例1と同様であるにも拘わらず、せん断方向の変位が4mmの場合でも平均相関係数が0.6を超えていたことから、電極部の表面の外縁が非導電性領域を含むことで、よりモーションアーティファクトの発生を低減し、生体電位を明瞭に計測できることが明らかになった。
鉛直方向の変位を1mm与えた場合、実施例3及び4の平均相関係数は0.6を超えており、鉛直方向の変位に起因するモーションアーティファクトの発生を抑制し、生体電位を明瞭に計測できた。また、電極部の表面の外縁が非導電性領域からなる実施例6~8は、電極部の表面の外縁以外の構造は実施例1と同様であり、実施例1の平均相関係数は0.6以下であるにも関わらず、平均相関係数が0.8を超えていたことから、よりモーションアーティファクトの発生を低減し、生体電位を明瞭に計測できることが明らかになった。
以上の結果から、実施例1~8に記載の電極体により、使用者の体動が大きい場合においても、モーションアーティファクトを低減し、生体電位を明瞭に計測可能である。
本発明の電極体は、心電位、筋電位、脳波、皮膚表面電気抵抗、その他の生体電気情報を取得するための生体情報計測デバイス用の生体電極として利用することができ、特に、心電位を計測するためのウェアラブルデバイス用として好適に利用することができる。また、本発明の電極体は、電気刺激療法(例えば、電位療法や低周波療法やEMS(Electrical Muscles Stimulation)、マイクロカレント等)を行うための電極として利用することもできる。
1 電極体
2 変形部
3 電極部
4 伝送手段
5 皮膚
6 基材
7 皮膚の変位
8 基材の変位
9 電極部の表面
10 電極部の表面の外周
11 電極部の表面の外周から中心Oまでの長さの10%の位置
12 電極部の表面の外縁(領域)
13 非導電性領域
14 中空部
15 モーションアーティファクト評価装置
16 ECGシミュレータ
17 3軸動作ステージ
18 模擬皮膚
19 フォースゲージ
20 オシロスコープ

Claims (14)

  1. 少なくとも1つの面を有する、変形性を有する変形部(2)と、
    該変形部(2)の少なくとも1つの面に設けられた、導電性を有する電極部(3)と、
    該電極部(3)が計測した信号を伝送する伝送手段(4)と、
    を備え、
    前記電極部(3)と平行な方向のせん断に対するせん断弾性係数が1000Pa~5000Paであることを特徴とする電極体(1)。
  2. 前記電極部(3)と垂直な方向の圧縮に対する圧縮弾性係数が1000Pa~4000Paである、請求項1に記載の電極体(1)。
  3. 少なくとも1つの面を有する、変形性を有する変形部(2)と、
    該変形部(2)の少なくとも1つの面に設けられた、導電性を有する電極部(3)と、
    該電極部(3)が計測した信号を伝送する伝送手段(4)と、
    を少なくとも備え、
    前記電極部(3)と垂直な方向の圧縮に対する圧縮弾性係数が1000Pa~4000Paであることを特徴とする電極体(1)。
  4. 前記電極部(3)が、織物、編物、不織布、フィルム、及び短繊維からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の電極体(1)。
  5. 前記変形部(2)が円柱形状である、請求項1~4のいずれか1項に記載の電極体(1)。
  6. 前記変形部(2)が中空部(14)を1つ以上含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の電極体(1)。
  7. 前記中空部(14)の内の少なくとも1つが、前記変形部(2)を貫通する、請求項6に記載の電極体(1)。
  8. 前記変形部(2)が、前記電極部(3)が設けられた面と正対する面を有し、かつ、前記中空部(14)が、前記電極部(3)が設けられた面から、前記電極部(3)が設けられた面と正対する面までを貫通している、請求項7に記載の電極体(1)。
  9. 前記伝送手段(4)が、前記電極部(3)に接続された配線であり、かつ、該配線が、前記中空部(14)を通って、変形部(2)から露出している、請求項8に記載の電極体(1)。
  10. 前記電極部(3)の表面の、模擬皮膚に対する静止摩擦係数が0.5~1.5である、請求項1~9のいずれか1項に記載の電極体(1)。
  11. 前記電極部(3)の表面に非導電領域(13)が存在し、かつ、前記電極部(3)の表面の外周と、前記電極部(3)の表面の外周から中心までの長さの10%の位置と、で囲まれる領域において、該領域の面積の50%以上を該非導電領域(13)が占めている、請求項1~10のいずれか1項に記載の電極体(1)。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の電極体(1)を含む、生体情報計測デバイス。
  13. ウェア型である、請求項12に記載の生体情報計測デバイス。
  14. 心電位計測用である、請求項12又は13に記載の生体情報計測デバイス。
JP2022050326A 2022-03-25 2022-03-25 電極体及び生体情報計測デバイス Pending JP2023143117A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022050326A JP2023143117A (ja) 2022-03-25 2022-03-25 電極体及び生体情報計測デバイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022050326A JP2023143117A (ja) 2022-03-25 2022-03-25 電極体及び生体情報計測デバイス

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023143117A true JP2023143117A (ja) 2023-10-06

Family

ID=88219618

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022050326A Pending JP2023143117A (ja) 2022-03-25 2022-03-25 電極体及び生体情報計測デバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023143117A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6301969B2 (ja) 生体信号検出衣料
US20100324405A1 (en) Electrode for acquiring physiological signals of a recipient
JP3663285B2 (ja) 心電図用電極、心電図測定用着衣及び心電図測定システム
KR20140014084A (ko) 생체신호를 획득하기 위한 센서
JP2018102404A (ja) 生体電極
JP2017125269A (ja) スマートヘルメット
EP3091108A1 (en) Stereoscopic conductive fabric and module for detecting electrical signals from body skin applying the same
US20180338719A1 (en) Biological sensor for obtaining information on living body
CN205512398U (zh) 一种人体生物电监测文胸
JP7017067B2 (ja) 生体情報計測用衣類
Mestrovic et al. Preliminary study of dry knitted fabric electrodes for physiological monitoring
KR20200044842A (ko) 생체 접촉형 전극 및 생체 정보 계측용 의복
WO2021134131A1 (en) Conductive thermoplastic elastomer electrodes, and method of manufacturing such electrodes
JP2019068901A (ja) 生体電極、及びこれを備える衣類
Le et al. Electronic textiles for electrocardiogram monitoring: A review on the structure–property and performance evaluation from fiber to fabric
JP6808897B2 (ja) 生体信号検出装具および生体信号検出方法
JP2023143117A (ja) 電極体及び生体情報計測デバイス
JP6185638B1 (ja) 生体電極
CN113226178A (zh) 生物信号监测衣服
Eskandarian et al. Dry fiber-based electrodes for electrophysiology applications
JP6185639B1 (ja) 生体電極
JP2021020037A (ja) 生体情報取得衣服
US20230343482A1 (en) Apparatus and method of manufacturing of conductive thermoplastic elastomer electrodes
WO2019053331A1 (en) ELECTRODE STRUCTURE FOR MEASURING ELECTRIC SIGNALS
Kumar et al. Textile electrodes for ECG and EEG monitoring