JP2023142471A - 高温高圧処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】設備コストを抑えることが可能で、かつ、スクリュー機構を用いた場合に懸念されるような摺動部(シール部)からのスラリーの漏洩などを引き起こすおそれがなく、経済性に優れ、信頼性の高い高温高圧処理装置を提供する。【解決手段】バイオマスと、増粘剤と、水とを所定の割合で含有するバイオマススラリーを調合するスラリー調合部10と、調合されたバイオマススラリーを、所定の亜臨界状態となるように加熱する加熱部30と、加熱されたバイオマススラリーを連続的に供給し、所定の時間をかけて通過させることにより、バイオマスと水との水熱反応を行わせる反応部40と、水熱反応を行わせた後のスラリーを冷却する冷却部50と、系内の圧力を調整する圧力調整機構60とを備えた構成とする。【選択図】図1

Description

本発明は、バイオマスの処理装置に関し、詳しくは、バイオマススラリーを亜臨界状態にして、バイオマスと水とを水熱反応させることにより処理する高温高圧処理装置に関する。
近年、バイオマスの有効利用の方法として、バイオマスを水に分散させてスラリー化し、このバイオマススラリーを高温高圧下で処理する(水熱反応させる)ことで、例えば糖類などの有価物質を回収する方法が知られている。
ところで、バイオマススラリーを連続的に高温高圧処理装置(以下、単に装置ともいう)に供給する場合、装置内でバイオマススラリー中の固形分の沈降、分離が発生し、装置内での固形分による閉塞や、固形分濃度が不均一になることに起因する回収物質の成分や組成のばらつきなどが生じる。
そこで、このような固形物の沈降による問題点を克服することが可能な反応器として、特許文献1には、装置内にスクリュー機構を設置して固形分の沈降を抑制防止するようにした、セルロース系バイオマスのスラリー用連続式反応器が提案されている。
特許第6141806号
しかしながら、特許文献1のスラリー用連続式反応器の場合、高温高圧で操作される装置にスクリュー機構を配設した複雑な構成となるため設備コストの増大を招くという問題点がある。
また、スクリュー機構の摺動部には、漏液を防止するためのシール機構を備えているが、スクリュー機構が高温高圧で使用され、しかも被処理液が固形分を含むスラリーであることから、摺動部(シール部)での漏液が懸念される。
さらに、固形分の沈降を抑制し、かつ、固形分がショートパスしないプラグフローを満足するためには、スクリュー機構の回転数などの運転条件の最適化を図ることが必要になるが、最適な運転条件を見いだし、その条件を安定的に維持して運転を継続することは必ずしも容易ではない。
本発明は、上記課題を解決するものであり、スクリュー機構を必要とせず、設備コストを抑えることが可能で、かつ、スクリュー機構を用いた場合に懸念されるような摺動部(シール部)からのスラリーの漏洩などを引き起こすおそれがなく、経済性および信頼性に優れた高温高圧処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の高温高圧処理装置は、
バイオマススラリーを、亜臨界状態下で、連続的に高温高圧処理するために用いられる高温高圧処理装置であって、
バイオマスと、増粘剤と、水とを所定の割合で含有するバイオマススラリーを調合するスラリー調合部と、
前記スラリー調合部で調合された前記バイオマススラリーを、所定の亜臨界状態となるように加熱する加熱部と、
前記加熱部で加熱された前記バイオマススラリーを連続的に供給し、所定の時間をかけて通過させることにより、前記バイオマススラリー中のバイオマスと水との水熱反応を行わせるように構成された反応部と、
前記反応部で水熱反応を行わせた後のスラリーを冷却する冷却部と、
前記加熱部、前記反応部、および前記冷却部を含む系内の圧力を調整する圧力調整機構と
を具備することを特徴としている。
本発明の高温高圧処理装置においては、前記加熱部、前記反応部、および前記冷却部の、前記バイオマススラリーが通過する領域は、前記バイオマススラリーを撹拌し、あるいは搬送するための駆動機構を備えていない、管状領域として構成されていることが好ましい。
また、本発明の高温高圧処理装置においては、前記反応部が、加熱手段を備えており、通過する前記バイオマススラリーを所定の亜臨界状態に維持することができるように構成されていることが好ましい。
また、本発明の高温高圧処理装置においては、前記増粘剤として植物系増粘剤が用いられることが好ましい。
また、前記増粘剤としてカルボキシメチルセルロース系の増粘剤またはセルロースナノファイバーが用いられることが好ましい。
また、前記バイオマスとして、植物系バイオマスを用いることが好ましい。
また、前記スラリー調合部で調合される前記バイオマススラリーにおける前記増粘剤の含有率が、0.1重量%以上3.0重量%未満となるように構成されていることが好ましい。
また、前記スラリー調合部で調合される前記バイオマススラリーにおける固形分の含有率が、25重量%以下となるように構成されていることが好ましい。
本発明の高温高圧処理装置は、バイオマスと、増粘剤と、水とを所定の割合で含有するバイオマススラリーを調合するスラリー調合部と、調合されたバイオマススラリーを、所定の亜臨界状態となるように加熱する加熱部と、加熱されたバイオマススラリーを連続的に供給し、所定の時間をかけて通過させることにより、バイオマスと水との水熱反応を行わせる反応部と、水熱反応を行わせた後のスラリーを冷却する冷却部と、系内の圧力を調整する圧力調整機構とを備えた構成とされており、バイオマススラリーに増粘剤を含有させることで、固形分(バイオマス)が沈降、分離することを抑制することが可能になり、特許文献1のスラリー用連続式反応器のようなスクリュー機構を用いることを必要とせずに、バイオマスが分散した状態のバイオマススラリーを反応部に供給して、バイオマスと水とを効率よく水熱反応させることが可能になる。
なお、本発明にかかる高温高圧処理装置により処理することが可能なバイオマスの種類には特別の制約はなく、種々のバイオマススラリーを処理する場合に本発明にかかる高温高圧処理装置を用いることが可能である。
また、加熱部、反応部、および冷却部の、バイオマススラリーの通過する領域が、バイオマススラリーを撹拌し、あるいは搬送するための駆動機構を備えていない、管状領域として構成されている場合、例えばスクリュー機構やニーダなどを用いることなく、バイオマススラリーを加熱部から、反応部を経て、冷却部まで確実に搬送することが可能になる。
その結果、スクリュー機構を必要とせずに安定した操業を行うことが可能な高温高圧処理装置を実現することができる。また、スクリュー機構を必要としないことから、設備コストを抑えることが可能になるとともに、スクリュー機構を用いた装置の場合に懸念されるような摺動部からのスラリーの漏洩などの不具合を引き起こすおそれがなく、信頼性にも優れた高温高圧処理装置を実現することが可能になる。
また、反応部が、加熱手段を備え、反応部を通過するバイオマススラリーを所定の亜臨界状態に維持できるように構成することにより、バイオマススラリーが反応部を通過するのに要する時間が長くなっても、バイオマススラリーを水熱反応を行わせるのに望ましい、所定の亜臨界状態に維持することが可能になり、意図するような水熱反応を行わせることができる。
また、本発明の高温高圧処理装置において、増粘剤として、植物系増粘剤を用いることにより、固形分の沈降、分離を確実に抑制して、効率よく水熱反応を行わせることが可能になるとともに、水熱反応により得られる反応生成物に有害な物質が含まれることを防止して、反応生成物の用途が制約されることを回避することができる。
また、植物系増粘剤としては、でん粉などを発酵させて作られるキサンタンガム、海藻から抽出されるカラギナン、マメ科の植物の種から抽出されるグァーガムなどが例示される。
また、増粘剤として、カルボキシメチルセルロース系の増粘剤またはセルロースナノファイバーを用いた場合も、固形分の沈降、分離を確実に抑制して、効率よく水熱反応を行わせることが可能になるとともに、水熱反応により得られる反応生成物に有害な物質が含まれることを防止して、反応生成物の用途が制約されることを回避することができる。
また、バイオマスとして植物系バイオマスを用いた場合、反応部においてバイオマススラリー中のバイオマスと水とを十分に水熱反応させて処理した後、処理液を、微生物を利用して発酵させることにより、例えば糖類などの有価物質を回収することが可能になる。なお、植物系バイオマスを原料として、例えば糖類などの有価物質を回収することを目的とする場合、増粘剤として、有害性がなく、食品添加物としても用いることが可能なカルボキシメチルセルロース系の増粘剤またはセルロースナノファイバー、その他の植物系増粘剤などを用いることで、有害な物質を含まない、糖類などの有価物質を回収することが可能になる。
また、スラリー調合部で調合されるバイオマススラリーにおける増粘剤の含有率が、0.1重量%以上3.0重量%未満となるように構成されている場合、バイオマススラリーに含まれる固形分の沈降を抑制、防止することが可能になり、スクリュー機構などの撹拌機構を備えていなくても、反応部において、バイオマスと水とを効率よく水熱反応させることが可能になる。
なお、バイオマススラリーにおける増粘剤の含有率が、0.1重量%を下回ると増粘効果が不十分になり、3.0重量%を超えると粘度が高くなりすぎるため、好ましくない。
また、高温高圧処理を行うことにより製造しようとする製品に増粘剤の使用基準がある場合には、使用基準に応じて増粘剤の添加量を調整することが好ましい。例えば、カルボキシメチルセルロースの食品での使用基準は2%以下である。
また、増粘剤がバイオマススラリーに完全に溶解せずにゲル化した状態であっても使用することができる。
また、スラリー調合部で調合されるバイオマススラリーにおける固形分の含有率が、25重量%以下となるように構成されている場合、バイオマススラリーを流動可能な状態に維持して取り扱い性を確保することが可能になる。
なお、バイオマススラリーにおける固形分の含有率が低くなるほど、流動性は良好になるが、同じ量のバイオマスを処理する場合における、バイオマススラリーの取扱量が多くなるため、通常は、必要な流動性を確保できる範囲内で、バイオマススラリーにおける固形分の含有率を高くすること、例えば10重量%以上とすることが望ましい。
本発明の第1の実施形態にかかる高温高圧処理装置の構成を示す図である。 本発明の第2の実施形態にかかる高温高圧処理装置の構成を示す図である。 本発明の第3の実施形態にかかる高温高圧処理装置の構成を示す図である。 本発明の第4の実施形態にかかる高温高圧処理装置の構成を示す図である。
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる高温高圧処理装置の構成を示す図である。
この第1の実施形態にかかる高温高圧処理装置100Aは、バイオマスを水に分散させたバイオマススラリーを、亜臨界状態下で連続的に高温高圧処理する(水熱反応させる)ために用いられる高温高圧処理装置である。
ところで、バイオマスは、例えば、未利用バイオマス、廃棄物系バイオマス、資源作物に分類される。
未利用バイオマスには、稲わら、麦わら、もみ殻、竹、林地残材などがある。
また、廃棄物系バイオマスには、家畜排せつ物、食品廃棄物、廃棄紙、黒液(パルプ工場廃液)、下水汚泥、建設発生木材、製材工場等残材などがある。
さらに、資源作物には、糖質資源(さとうきび等)、デンプン資源(とうもろこし等)、油脂資源(なたね等)、柳、ポプラ、スイッチグラスなどがある。
なお、稲わら、麦わら、もみ殻、竹、樹木の伐採や造材の際に発生した枝、葉などの林地残材、製材工場などから発生する樹皮、のこ屑などは、広い意味での植物系バイオマスとして分類される場合がある。
本発明の高温高圧処理装置は、上述の種々のバイオマスのいずれを処理する場合にも適用することが可能であるが、この実施形態では、バイオマスとして、未利用バイオマスであり、かつ、上述の植物系バイオマスである稲わらを用いた場合を例にとって説明する。
図1に示すように、第1の実施形態にかかる高温高圧処理装置100Aは、植物系バイオマス(稲わら)(以下、単に「バイオマス」ともいう)と、増粘剤と、水とを所定の割合で含有するバイオマススラリーを調合するためのスラリー調合部10と、スラリー調合部10で調合されたバイオマススラリーを受け入れるスラリー供給槽(スラリー供給タンク)20を備えている。
また、高温高圧処理装置100Aは、スラリー供給槽20から供給される、バイオマススラリーを所定の亜臨界状態になるように加熱する加熱部30を備えている。
なお、加熱部30は、バイオマススラリーを150~250℃、圧力1.0~5.0MPaの範囲で加熱することができるように構成されていることが望ましい。
また、高温高圧処理装置100Aは、加熱部30で加熱されたバイオマススラリーを連続的に供給し、所定の時間をかけて通過させることにより、バイオマスと水との水熱反応を行わせる反応部40を備えている。
反応部40は、加熱部30を経て連続的に供給されたバイオマススラリーが、10~30分間の時間をかけて通過する、すなわち、10~30分間の反応時間が確保されるように構成されていることが望ましい。
また、高温高圧処理装置100Aは、反応部40で水熱反応を行わせた後のスラリーを所定の温度にまで冷却する冷却部50を備えている。
さらに、高温高圧処理装置100Aは、冷却部50の下流側に、系内(加熱部30、反応部40および冷却部50を含む系内)の圧力を調整するための圧力調整機構60を備えている。
なお、本実施形態では、冷却された水熱反応後のバイオマススラリーを処理液タンクに排出するための排出ポンプ60aが、系内の圧力を調整するための圧力調整機構60として機能するように構成されている。すなわち、排出ポンプ60aにより水熱反応後のバイオマススラリーを排出する際の流量を制御することにより、系内の圧力を、バイオマススラリーが亜臨界状態に達する温度の飽和圧力より高い圧力に維持することができるように構成されている。
本実施形態にかかる高温高圧処理装置100Aは、上述のような圧力調整機構60を備えているので、装置の運転中に系内の圧力が低下して水がフラッシュすることでバイオマススラリーの温度が低下し、亜臨界状態を保つことができなくなるような事態が発生することを防止して、安定した高温高圧処理を行うことが可能になる。
また、本実施形態にかかる高温高圧処理装置100Aは、冷却部50で冷却され、圧力調整機構60を経て排出される水熱反応後のバイオマススラリーを貯留する処理液タンク70を備えている。
また、特に図示していないが、本実施形態にかかる高温高圧処理装置100Aは、水熱反応後のバイオマススラリーに含まれる固形物を分離する分離装置(例えばろ過装置やフィルタープレスなど)や、固形物が分離された後の処理液を酵素処理するための酵素処理装置などを備えている。
次に、本実施形態にかかる高温高圧処理装置100Aについて、上述の主たる構成要素以外の要素を含めて、さらに詳しく説明する。
バイオマススラリーを調合するスラリー調合部10は、バイオマスと増粘剤とを所定の割合で混合する粉体混合器10aと、粉体混合器10aで混合されたバイオマスと増粘剤の混合粉体と水とが投入されるスラリー調合タンク10bを備えており、スラリー調合タンク10bは、内容物を撹拌するための撹拌機10cを備えている。
本実施形態では、上述のように、バイオマスとして植物系バイオマスを用いており、増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース系の増粘剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na))を用いている。
本実施形態では、スラリー調合部10において、粉体混合器10aで混合されたバイオマスと増粘剤の混合粉体と、水とがスラリー調合タンク10bに投入され、撹拌機10cにより混合されることでバイオマススラリーの調合が行われる。
なお、本実施形態では、バイオマスと増粘剤の混合粉体と、水との混合は、バッチ運転で行われるように構成されている。ただし、バイオマスと増粘剤の混合粉体と、水との混合は、連続的に行うことも可能である。
本実施形態においては、バイオマススラリーにおける固形分(バイオマス)の含有率が15重量%となるようにした。
なお、本発明において、バイオマススラリーにおける固形分(バイオマス)の含有率は、25重量%以下であることが好ましい。
バイオマススラリーにおける固形分の含有率が低くなるほど、流動性は高くなるが、同じ量のバイオマスを処理する場合における、バイオマススラリーの取扱量が多くなるため、生産性の低下を招くことになる。したがって、通常は、必要な流動性を確保できる範囲内で、バイオマススラリーにおける固形分の含有率を高くすることが望ましい。通常は、バイオマススラリーにおける固形分の含有率を10重量%以上とすることが望ましい。
また、本発明において、バイオマススラリーにおける増粘剤の含有率の好ましい範囲は、0.1重量%以上3.0重量%未満の範囲であるが、本実施形態では、1.5重量%となるようにした。
上述の条件とすることにより、スラリー調合部10において調合される、増粘剤を含有するバイオマススラリーは、スクリュー機構を用いなくても、固形分(バイオマス)の沈降、分離を抑制することが可能な、取り扱い性の良好な流動性を備えたスラリーとなる。
上述のようにしてスラリー調合部10で調合されたバイオマススラリーは、調合スラリーポンプ15を介して、スラリー供給槽(スラリー供給タンク)20に送られる。
そして、スラリー供給槽(スラリー供給タンク)20に送られたバイオマススラリーは、供給ポンプ25を介して加熱部30に供給される。
加熱部30は、バイオマススラリーが通過する管状部30aと、管状部30aの周囲に配設されたジャケット30bを備えており、ジャケット30b内を熱媒が通流するように構成されている。
なお、加熱部30の、バイオマススラリーの通過する領域である管状部30aは、バイオマススラリーを撹拌し、あるいは搬送するための駆動機構を備えていない、空洞状の管状領域として構成されている。
供給ポンプ25を介して加熱部30に、所定の速度で連続的に供給されたバイオマススラリーは、加熱部30の管状部30aを通過する際に、ジャケット30b内を通流する熱媒により間接的に、所定の亜臨界状態に達するまで加熱される。
なお、高温高圧処理装置100Aを亜臨界状態で運転するにあたっては、あらかじめ装置内の圧力をバイオマススラリーが亜臨界状態に達する温度の飽和圧力より高い圧力にまで昇圧し、その後に加熱部30における加熱を開始して、バイオマススラリーを亜臨界状態に達するまで加熱する。
例えば、バイオマススラリーを150℃に加熱して運転を行う場合には、あらかじめ装置内を1.0MPaになるまで昇圧した後、加熱部30における加熱を開始し、バイオマススラリーが150℃に達するまで昇温して、亜臨界状態での運転を行う。また、バイオマススラリーを250℃に加熱して運転を行う場合には、あらかじめ装置内を5.0MPaに達するまで昇圧した後、加熱部30における加熱を開始し、バイオマススラリーが250℃に達するまで昇温して、亜臨界状態での運転を行う。
なお、本実施形態では、バイオマススラリーは、加熱部30において、圧力を2.0MPaにした状態から180℃に達するまで加熱され、亜臨界状態となるように構成されている。
そして、加熱部30で上述のように加熱され、亜臨界状態となったバイオマススラリーは、所定の速度で連続的に反応部40に送られる。
反応部40は、バイオマススラリーが通過する管状部40aと、管状部40aの周囲に配設されたジャケット40bを備えており、ジャケット40b内を熱媒が通流するように構成されている。
なお、反応部40の、バイオマススラリーの通過する領域である管状部40aは、バイオマススラリーを撹拌し、あるいは搬送するための駆動機構を備えていない、空洞状の管状領域として構成されている。
反応部40を通過するバイオマススラリーは、反応部40の管状部40aを通過する際も、ジャケット40b内を通流する熱媒により保温(加熱)され、所定の温度および圧力(すなわち、所定の亜臨界状態)が維持されるため、反応部40を通過する過程で、バイオマススラリー中のバイオマスと水との水熱反応が十分に進行する。
なお、本実施形態では、バイオマススラリーが反応部40を20分間で通過する、すなわち、反応時間が20分間となるように構成されている。20分間の反応時間を確保することにより、バイオマススラリー中のバイオマスと水とを十分に水熱反応させることができる。
このようにして、反応部40で水熱反応(高温高圧処理)を行わせたバイオマススラリーは、冷却部50に送られる。
冷却部50は、バイオマススラリーが通過する管状部50aと、管状部50aの周囲に配設されたジャケット50bを備えており、ジャケット50b内を冷媒が通流するように構成されている。
なお、冷却部50の、バイオマススラリーの通過する領域である管状部50aは、バイオマススラリーを撹拌し、あるいは搬送するための駆動機構を備えていない、空洞状の管状領域として構成されている。
冷却部50に、送られた反応後のバイオマススラリーは、冷却部50の管状部50aを通過する際に、ジャケット50b内を通流する冷媒により間接的に冷却され、所定の温度にまで冷却される。
冷却部50で冷却された水熱反応後のバイオマススラリーは、圧力調整機構60(排出ポンプ60a)を経て系外に排出され、処理液タンク70に貯留される。なお、圧力調整機構60として、水熱反応後のバイオマススラリーを処理液タンクに排出するための排出ポンプ60aが用いられていることは上述の通りである。
そして、処理液タンク70に貯留された水熱反応後のバイオマススラリーは、分離装置に送られて固形物が分離される。
固形物が分離された処理液は、酵素処理装置に送られ、微生物を利用して発酵させることにより、所定の炭素数に調整された糖類を有価物質として回収することが可能な状態となる。
次に、上述の高温高圧処理装置100Aを用いて、植物系バイオマスである稲わらを、高温高圧処理した場合の条件および結果を以下にまとめて記載する。
1)処理対象(原料)としたバイオマスの種類
植物系バイオマスである稲わらを微粉砕したもの
2)増粘剤
カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)
3)調合されたバイオマススラリーにおける固形分(バイオマス)の含有率
15重量%
4)調合されたバイオマススラリーにおける増粘剤の含有率
1.5重量%
5)バイオマススラリーが反応部を通過するのに要した時間(水熱反応時間)
20分
6)反応部における条件(亜臨界条件)
180℃(2.0MPa)
上述の高温高圧処理装置100Aを用いて、上記条件で高温高圧処理(水熱反応)を行い、さらに酵素処理を行うことで、処理前のバイオマス原料の約20重量%の割合で、糖類が得られることが確認された。
本実施形態にかかる高温高圧処理装置100Aは上述のように構成されており、バイオマススラリーに増粘剤を含有させることで、固形分(バイオマス)が分散した状態が維持されるようにしているので、前述の特許文献1のスラリー用連続式反応器のようなスクリュー機構を用いることを必要とせずに、バイオマスが分散した状態でバイオマススラリーを反応部に供給して、バイオマスと水とを効率よく水熱反応させることが可能になる。
また、上述のように、加熱部30、反応部40、および冷却部50の、バイオマススラリーが通過する領域が、バイオマススラリーを撹拌し、あるいは搬送するための駆動機構を備えていない空洞状の管状領域(管状部30a、40a、50a)として構成されていることから、例えばスクリュー機構やニーダなどを用いることなく、固形物が分散したバイオマススラリーを加熱部30から、反応部40を経て、冷却部50まで確実に搬送するなどができる。
その結果、スクリュー機構を用いた装置に比べて設備コストを抑えることが可能で、かつ、スクリュー機構を用いた装置の場合に懸念されるような摺動部からのスラリーの漏洩などの不具合を引き起こすおそれがなく、経済性に優れ、信頼性の高い高温高圧処理装置を提供することが可能になる。
なお、上記実施形態では、加熱部30と反応部40とを別体としているが、一体として構成し、上流側の所定領域が加熱部として機能し、下流側の所定領域が反応部として機能するように構成してもよい。
また、上記実施形態では、加熱部30および反応部40が、熱媒を用いて間接的に加熱することができるように構成しているが、電気ヒータを加熱手段とする構成や、高圧蒸気を加熱源とする構成などとすることも可能である。
また、上記実施形態では、反応部40が加熱手段を備えた構成としているが、反応部を十分に保温することで、加熱手段を備えていない構成とすることも可能である。
また、上記実施形態では、バイオマスとして、植物系バイオマス(稲わら)を用いているが、バイオマスとしては、植物系バイオマス以外の廃棄物系バイオマス、未利用バイオマス、資源作物などの種々のバイオマスを用いることが可能である。
また、上記実施形態では、増粘剤として、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)を用いているが、セルロースナノファイバーを用いることも可能である。
増粘剤としては、その他にも、でん粉などを発酵させて作られるキサンタンガム、海藻から抽出されるカラギナン、マメ科の植物の種から抽出されるグァーガムなどの植物系増粘剤を用いることが可能である。
なお、例えば植物系バイオマスを用いて、例えば糖類などの有価物質を回収する場合、増粘剤としては、有害性のないカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)、セルロースナノファイバー、植物系増粘剤などの有害性のない増粘剤を用いることが望ましい。
[第2の実施形態]
図2は、本発明の第2の実施形態にかかる高温高圧処理装置100Bの構成を示す図である。
上述の第1の実施形態では、水熱反応後のバイオマススラリーを冷却部50から処理液タンク70に排出するための排出ポンプ60aを、系内の圧力を調整するための圧力調整機構60として用いているが、第2の実施形態では、圧力調整機構60として圧力調整弁60bを用いている。なお、圧力調整弁としては、公知の種々の型式のものを用いることが可能である。
その他の構成は、上述の第1の実施形態の場合と同様である。
[第3の実施形態]
図3は、本発明の第3の実施形態にかかる高温高圧処理装置100Cの構成を示す図である。
上述の第1の実施形態では、バイオマスと増粘剤を粉体混合器10aで混合した後、スラリー調合タンク10bに投入して、別途スラリー調合タンク10bに投入された水と混合するように構成しているが、第3の実施形態では、水と増粘剤を撹拌機80aを備えた増粘剤・水タンク80に投入し、撹拌して増粘剤を予め水に溶解させるように構成している。
そして、増粘剤を溶解させた水を、ポンプ85を介してスラリー調合タンク10bに投入するとともに、バイオマスをスラリー調合タンク10bに投入して、撹拌機10cで撹拌することにより、バイオマススラリーを調合するように構成している。
その他の構成は、上述の第1の実施形態の場合と同様である。
[第4の実施形態]
図4は、本発明の第4の実施形態にかかる高温高圧処理装置100Dの構成を示す図である。
上述の第3の実施形態では、水熱反応後のバイオマススラリーを冷却部50から処理液タンク70に排出するための排出ポンプ60aを、系内の圧力を調整するための圧力調整機構60として用いているが、第4の実施形態では、圧力調整機構60として圧力調整弁60bを用いている。なお、圧力調整弁としては、公知の種々のものを用いることが可能である。
その他の構成は、上述の第3の実施形態の場合と同様である。
上述の第2、第3および第4の実施形態にかかる高温高圧処理装置を用いた場合にも、上で説明した第1の実施形態にかかる高温高圧処理装置を用いた場合と同様の作用効果を得ることが可能である。
なお、本発明は、上記の第1~第4の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
本発明は、さらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲内において、応用、変形を加えることが可能である。
例えば、蒸留塔の塔頂ベーパを冷却するのに用いたコンデンサの冷却水から熱を回収し、加熱源として用いるための構成として、蒸留塔の塔頂ベーパが高温になるような条件で操作される蒸留装置の場合には、コンデンサの冷却水として純水を用い、この冷却水をコンデンサにおいて蒸留塔の塔頂ベーパと熱交換させて蒸発させ、発生した蒸気を蒸気圧縮機で圧縮し、得られる加圧蒸気を蒸留塔に吹込む構成とすることも可能である。
10 スラリー調合部
10a 粉体混合器
10b スラリー調合タンク
10c 撹拌機
15 調合スラリーポンプ
20 スラリー供給槽(スラリー供給タンク)
25 供給ポンプ
30 加熱部
30a 管状部
30b ジャケット
40 反応部
40a 管状部
40b ジャケット
50 冷却部
50a 管状部
50b ジャケット
60 圧力調整機構
60a 圧力調整機構としても機能する排出ポンプ
60b 圧力調整弁
70 処理液タンク
80 増粘剤・水タンク
80a 撹拌機
85 ポンプ
100A 第1の実施形態にかかる高温高圧処理装置
100B 第2の実施形態にかかる高温高圧処理装置
100C 第3の実施形態にかかる高温高圧処理装置
100D 第4の実施形態にかかる高温高圧処理装置

Claims (8)

  1. バイオマススラリーを、亜臨界状態下で、連続的に高温高圧処理するために用いられる高温高圧処理装置であって、
    バイオマスと、増粘剤と、水とを所定の割合で含有するバイオマススラリーを調合するスラリー調合部と、
    前記スラリー調合部で調合された前記バイオマススラリーを、所定の亜臨界状態となるように加熱する加熱部と、
    前記加熱部で加熱された前記バイオマススラリーを連続的に供給し、所定の時間をかけて通過させることにより、前記バイオマススラリー中のバイオマスと水との水熱反応を行わせるように構成された反応部と、
    前記反応部で水熱反応を行わせた後のスラリーを冷却する冷却部と、
    前記加熱部、前記反応部、および前記冷却部を含む系内の圧力を調整する圧力調整機構と
    を具備することを特徴とする高温高圧処理装置。
  2. 前記加熱部、前記反応部、および前記冷却部の、前記バイオマススラリーが通過する領域は、前記バイオマススラリーを撹拌し、あるいは搬送するための駆動機構を備えていない、管状領域として構成されていることを特徴とする請求項1記載の高温高圧処理装置。
  3. 前記反応部が、加熱手段を備えており、通過する前記バイオマススラリーを所定の亜臨界状態に維持することができるように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の高温高圧処理装置。
  4. 前記増粘剤として植物系増粘剤が用いられるように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の高温高圧処理装置。
  5. 前記増粘剤としてカルボキシメチルセルロース系の増粘剤またはセルロースナノファイバーが用いられるように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の高温高圧処理装置。
  6. 前記バイオマスが、植物系バイオマスであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の高温高圧処理装置。
  7. 前記スラリー調合部で調合される前記バイオマススラリーにおける前記増粘剤の含有率が、0.1重量%以上3.0重量%未満となるように構成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の高温高圧処理装置。
  8. 前記スラリー調合部で調合される前記バイオマススラリーにおける固形分の含有率が、25重量%以下となるように構成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の高温高圧処理装置。
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