JP2023140936A - 液体吐出ヘッド、液体吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体吐出ヘッドから吐出される液体の吐出速度や吐出量を大きくすることを課題とする。【解決手段】インクを吐出するノズル14を有するノズル板15と、ノズル14に対する接離方向に移動可能に設けられ、ノズル14を開閉する開閉弁31と、を備えた液体吐出ヘッド10であって、開閉弁31は、ノズル板15側に開口した凹部31bを有し、凹部31bはノズル14に対向しない位置に設けられることを特徴とする。【選択図】図5
Description
本発明は、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置に関する。
ピエゾ駆動機構によって開閉弁を吐出口に対して開閉することにより、液体の吐出を制御する液体吐出ヘッドが存在する。
このような液体吐出ヘッドでは、液体吐出ヘッドと液体を吐出する対象物との距離が離れていても液体を付着させることができるように、液体吐出ヘッドによる液体の吐出距離を大きくすることが重要になる。また、開閉弁の開閉速度を上げてピエゾ駆動の周波数を増やすと、駆動波形になまりが生じて開閉弁が開ききらなくなり、吐出速度やその距離、液滴の大きさが低下するという問題があった。
例えば特許文献1(特開2020-23177号公報)の液体吐出ヘッドは、図17(a)に示すように、液体吐出ヘッド500が、先端に吐出口502を有する筐体501と、筐体501の内部に往復動可能に配置された開閉弁505と、開閉弁505に連結された圧電型のアクチュエータ506と、アクチュエータ506に接続された電源供給用の一対のリード507a、507bとを備えて構成されている。そして、開閉弁505の吐出口502側の先端部505aは弾性樹脂により形成される。先端部505aには、吐出口502に対向する凹部505bが設けられる。凹部505bは吐出口502を覆う大きさで設けられる。
開閉弁505が吐出口502から離れているとき、先端部505aの周囲にはインク注入口503から注入されたインクがインク室508に満たされている。この状態でアクチュエータ506が駆動されると、アクチュエータ506が伸長して開閉弁505が吐出口502の方向へ移動する。この過程で、開閉弁505に面するインクが押圧されて吐出口502に押し出され、図17(b)に示すように、インクドットが吐出口502から吐出される。また、凹部505b内にインクが収容された状態になる。
図17(b)の状態からアクチュエータ506の駆動により開閉弁505がさらに吐出口502側へ押圧されると、図17(c)に示すように、弾性を有する先端部505aが押しつぶされ、凹部505b内のインクが吐出口502から吐出される。この際、先端部505aの瞬時の変形により、凹部505b内のインクが勢いよく吐出される。これにより、インクの吐出距離、特にインクドットの直進距離を長くすることができる。
しかし特許文献1の構成では、開閉弁505と吐出口502とが位置ズレした場合に、インクの吐出方向にもズレが生じてしまうという問題があった。例えば図18に示すように、凹部505bの中心軸X’と吐出口502の中心軸X1’との間に幅XA’のずれが生じている。この場合、吐出口502を有する筐体501と開閉弁505との間に形成される隙間領域510において、吐出口502に隣接する隣接領域の図18の上下方向の幅が不均一になる。つまり、凹部505bに対向しない隣接領域511と凹部505bに対向する隣接領域512との図18の上下方向の幅が不均一になる。これにより、吐出口に流入するインクの流れが不均一になる。特に、幅の大きい隣接領域512の側から吐出口502に流入するインクは十分に整流されず、その流れが乱れてしまう。これにより、吐出口502から吐出されるインクの吐出方向に、図18の矢印B2に示すようなズレが生じてしまうという問題があった。またこのような開閉弁505の吐出口502に対する位置ズレは、液体吐出ヘッド内のノズルごとに異なるため、ノズルごとにその吐出方向がばらつくという問題もあった。
このように特許文献1の構成では、液体の吐出距離を大きくできるものの、吐出方向のズレが生じるという問題があり、液体の吐出速度(吐出距離)や吐出量を大きくする液体吐出ヘッドの構成として、検討の余地があった。
本発明では、液体吐出ヘッドから吐出される液体の吐出速度や吐出量を大きくすることを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明は、液体を吐出する吐出口を有する吐出口形成部材と、前記吐出口に対する接離方向に移動可能に設けられ、前記吐出口を開閉する開閉弁と、を備えた液体吐出ヘッドであって、前記開閉弁は前記吐出口形成部材側に開口した凹部を有し、前記凹部は前記吐出口に対向しない位置に設けられることを特徴とする。
本発明によれば、液体吐出ヘッドから吐出される液体の吐出速度や吐出量を大きくできる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドの外観説明図である。図1(a)は液体吐出ヘッドの全体斜視図、図1(b)は同ヘッドの全体側面図である。本実施形態の液体吐出ヘッドは、液体としてのインクを吐出する。
液体吐出ヘッド10は、第1筐体としての第1ハウジング11aと、第2筐体としての第2ハウジング11bとを備える。第2ハウジング11bは第1ハウジング11aに積層および接合される。第1ハウジング11aは金属等の熱伝導性の高い材質からなり、第2ハウジング11bは樹脂等の熱伝導性の低い材質からなる。以下の説明において2つのハウジングを総称する場合は、ハウジング11と記す。
また、第1ハウジング11aは、その正面と背面に、加熱手段としてのヒータ12を備える。ヒータ12は温度制御が可能であり、第1ハウジング11aを加熱する。また第2ハウジング11bは、その上部に電気信号の通信のためのコネクタ13を備える。
図2は、本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッド10の全体断面図で図1(a)のA-A線矢視断面図である。第1ハウジング11aは、吐出口形成部材としてのノズル板15を保持する。ノズル板15は、液体を吐出する、吐出口としてのノズル14を備える。また、第1ハウジング11aは、液体供給部である流路17を備える。流路17は、供給ポート16側からのインクを、ノズル板15上を経て回収ポート18側へ送る。
第2ハウジング11bは、供給ポート16および回収ポート18を備える。供給ポート16および回収ポート18は、流路17の一方側および他方側にそれぞれ接続される。供給ポート16と回収ポート18との間には、複数の液体吐出モジュール30を配置している。液体吐出モジュール30は流路17内のインクをノズル14から吐出する。また液体吐出モジュール30の上部に規制部材20が設けられる。
液体吐出モジュール30は、第1ハウジング11aに設けたノズル14の数に対応しており、本例では1列に並べた8個のノズル14に対応する8個の液体吐出モジュール30を備えた構成を示している。なお、ノズル14および液体吐出モジュール30の数および配列は上記に限るものではない。例えば、ノズル14および液体吐出モジュール30の数は、複数ではなく1個であってもよい。また、ノズル14および液体吐出モジュール30の配列は、1列ではなく、複数列であってもよい。
なお、図2において符号19は、第1ハウジング11aと第2ハウジング11bとの接合部に設けたハウジングシール部材である。本例ではハウジングシール部材としてOリングを用いており、第1ハウジング11aと第2ハウジング11bとの接合部からのインクの漏れを防いでいる。
上記の構成により、供給ポート16は、加圧した状態のインクを外部から取り込み、インクを矢印a1方向へ送り、インクを流路17に供給する。流路17は、供給ポート16からのインクを矢印a2方向へ送る。そして、回収ポート18は、流路17に沿って配置したノズル14から吐出しなかったインクを矢印a3方向へ回収する。
液体吐出モジュール30は、開閉弁31と、駆動体としての圧電素子32を備える。開閉弁31はノズル14を開閉する。圧電素子32は開閉弁31を駆動する。また圧電素子32は電圧の印加により、図2の上下方向である長手方向に伸縮作動する。
上記の構成において、圧電素子32を作動して開閉弁31を上方向へ動かした場合は、開閉弁31によって閉じていたノズル14が開いた状態になり、ノズル14からインクを吐出することができる。また、圧電素子32を作動して開閉弁31を下方向へ動かした場合は、開閉弁31の先端部がノズル14を封止してノズル14が閉じた状態になり、ノズル14からインクは吐出しなくなる。
図3は、本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッド10の加熱手段との位置関係を示す説明図である。第1ハウジング11aは、ヒータ12を図3に破線で示すように、複数のノズル14を横断するようにしてノズル14の近傍に備えている。
次に、液体吐出モジュール30の詳細を図4に基づいて説明する。図4(a)は単一の液体吐出モジュールの断面図、図4(b)は図4(a)の要部拡大図である。開閉弁31の軸部外周には、高圧インクの漏出防止用にOリング34が上下二段で装着されている。
液体吐出モジュール30は、前述の開閉弁31および圧電素子32と、固定部材33と、保持体35と、プラグ36などを主に備える。
保持体35はその内部に駆動体収容部35aを有し、駆動体収容部35aに圧電素子32を収容して保持する。保持体35は、圧電素子32の長手方向に弾性伸縮可能な金属で構成されている。弾性伸縮可能な金属として、例えばSUS304やSUS316Lなどのステンレス鋼を使用可能である。保持体35は、長手方向に延びた細長部材を圧電素子32の周囲に複数本配置(例えば90°間隔で4本配置)した枠体であって、細長部材の相互間を通して圧電素子32を保持体35の内側に入れることができる。
圧電素子32の長手方向は図4(a)に示す両矢印方向Aであり、この長手方向Aは開閉弁31や液体吐出モジュール30、第2ハウジング11bの長手方向でもある。また、開閉弁31の移動方向であり、開閉弁31のノズル板15あるいはノズル14に対する接離方向でもある。
保持体35のノズル14側の先端部に開閉弁31が連結されている。また保持体35のノズル14側に蛇腹部35bが形成されている。蛇腹部35bは、圧電素子32を伸縮作動させる際に、保持体35の先端側を圧電素子32と同じように長手方向に伸縮作動させるためのものである。
また保持体35のノズル14側と反対側である基端側に固定部材33が連結されている。別の言い方をすると、固定部材33は第2ハウジング11bの上端部に収容されている。
固定部材33は径方向に延在する貫通ネジ穴33aを有する。貫通ネジ穴33aに第2ハウジング11b外から位置決めネジ60がねじ込まれている。
位置決めネジ60は、第2ハウジング11bの上端部に形成された長手方向の長穴11b1に挿通され、図4で第2ハウジング11bの長手方向に所定長さ移動可能である。固定部材33を長手方向に位置決めした状態にして位置決めネジ60を締め付ける。
一方、第2ハウジング11bの上端開口部には雌ネジ穴11b2が形成されている。この雌ネジ穴11b2に、図2の規制部材20に当接するプラグ36が螺合されている。プラグ36は、位置決めネジ60で長手方向に位置決めした固定部材33の上端部に当接して、固定部材33を最終的に位置固定する。
第2ハウジング11bの下端部には圧縮バネ37が配設されている。この圧縮バネ37で、圧電素子32および圧電素子32を保持した保持体35などが上方に付勢されている。
次に、開閉弁31の長手方向一方側端部であって、ノズル14に対向する側の先端部31aの構成について説明する。この開閉弁31の先端部31aは、開閉弁31のノズル14を開閉する部分である。
図5に示すように、開閉弁31は、先端部31aに凹部31bを有する。開閉弁31は略円柱状をなしている。凹部31bはノズル板15側に開口する。より詳細には、凹部31bは、ノズル板15の面15aの側に開口する。この面15aは、ノズル14の内側の開口端14aを有する面である。凹部31bはノズル14に対向しない位置であって、ノズル板15の面15aに対向する位置に設けられる。より詳細には、両矢印A方向に垂直な平面上において、凹部31bはノズル14の開閉弁31側の開口端14aに重ならないように設けられる。またこの両矢印A方向は開閉弁31の移動方向であり、開閉弁31のノズル14に対する接離方向である。本実施形態では特に、凹部31bが開閉弁31の径方向の外周面近傍に設けられる。
インクの吐出時以外は、図6のように、先端部31aがノズル板15に当接してノズル14の開口端を覆い、ノズル14を閉じている。この状態から、圧電素子32(図4(a)参照)を駆動させることで、図5のように開閉弁31の先端部31aとノズル板15との間に隙間領域50を形成し、ノズル14が開いた状態になる。
図5の状態から圧電素子32を再び伸長させることで、開閉弁31がノズル板15の方向へ移動して図6のようにノズル14を閉じる。以上のように開閉弁31を開いて隙間領域50を形成することにより、ノズル14からインクが吐出される。以下、開閉弁31の先端部31aとノズル板15との間の隙間領域50を単に隙間領域50とも呼ぶ。
本実施形態では、先端部31aに凹部31bが設けられることにより、開閉弁31が開いた状態での隙間領域50における流体抵抗を小さくすることができる。これにより、ノズル14へのインクの流量が増え、ノズル14からのインクの吐出距離や吐出速度、液滴の体積を大きくすることができる。
ここで、隙間領域50の図5に示す距離rの位置における流体抵抗Rfは、図5に示すr1、r2、h(r)、インクの粘度μを用いて、以下の式(1)により得ることができる。ここで言う距離rは、中心軸Xからのノズル14の径方向の任意の距離を示すものである。
ノズル14の径方向の凹部31bが設けられる位置では、凹部31bの深さの分だけh(r)が大きくなる。従って、式(1)より、その分だけ流体抵抗Rfも小さくなる。これにより、上記のようにノズルからのインクの吐出距離や吐出速度、液滴の体積を大きくすることができる。
またこのようにノズル14に対向しない位置に凹部31bを設けることにより、開閉弁31とノズル14とが位置ズレした場合でも、ノズル14から吐出されるインクの吐出方向のズレである吐出曲がりを抑制できる。例えば図7に示すように、開閉弁31の先端部31aの仮想中心軸X1が、ノズル14の仮想中心軸Xから径方向に距離XAだけ位置ズレしている。この場合でも、凹部31bはノズル14に対向しない。従って、隙間領域50のノズル14に隣接する隣接領域51の図7の上下方向の幅は均一になる。つまり、図7に示す左右の隣接領域51の幅が略等しいように、隣接領域51の幅が周方向に略均一になる。これにより、ノズル14側へノズル14の周方向の各方向から流入するインクは、幅の狭い隣接領域51によって整流されてノズル14へ流入する。これにより、ノズル14へ各方向から流入するインクの流れが均一化され、ひいては、インクが、ノズル14から図7の矢印B1に示す下方向のように垂直な方向に吐出され、インクの吐出方向のズレが抑制される。つまり、インクの吐出曲がりを抑制できる。このように、凹部31bをノズル14から径方向のより遠い位置に設けることにより、開閉弁31がノズル14に対して位置ズレした際のインクの吐出曲がりを抑制できる。
なお、中心軸X、X1は両矢印A方向に平行な方向の軸であり、中心軸Xはノズル14の延在方向に平行な方向の軸、中心軸X1は開閉弁31の長手方向に平行方向の軸である。開閉弁31あるいはノズル14の径方向とは、この中心軸Xあるいは中心軸X1に垂直な面に沿う方向であって、中心軸Xからノズル14の外周面に延びる各方向、あるいは、中心軸X1から開閉弁31の外周面に延びる各方向のことである。またここで言う周方向とは、中心軸Xあるいは中心軸X1に垂直な面に沿う方向であって、ノズル14の中心軸Xを中心とした回転方向あるいは開閉弁31の中心軸X1を中心とした回転方向である。
また、開閉弁31の先端部31aの外周側の周方向一部領域を切り落とすことで、径方向の切り落とした部分の位置におけるh(r)を大きくし、流体抵抗Rfを小さくすることも考えられる。しかしこの場合、開閉弁31の開閉時に、先端部31aの切り落とした部分のエッジ部における力学的負荷が増加し、先端部31aが変形してしまう。つまり本実施形態の構成により、先端部31aの変形を抑制するとともに、インクの吐出曲がりを抑制できる。
図8および図9は、図7のC-C線断面図であり、凹部31bの配置例をそれぞれ示す図である。
図8に示すように、凹部31bは開閉弁31の周方向に複数設けることができる。特に本実施形態では、各凹部31bが開閉弁31の中心軸X1に対して点対称に配置される。このように複数の凹部31bを設けることにより、隙間領域における流体抵抗をより小さくし、開閉弁31の外側から流入するインクの流量を大きくできる。従って、インクの吐出速度や吐出距離、液滴の大きさを大きくできる。また、凹部31bを中心軸X1に対して点対称に配置することで、ノズル14に流入するインクの流れをノズル14の周方向により均一化でき、吐出曲がりを抑制できる。
また図9に示すように、凹部31bを周状に設けることもできる。これにより、隙間領域における流体抵抗をより小さくし、開閉弁31の外側から流入するインクの流量を大きくできる。従って、インクの吐出速度や吐出距離、液滴の大きさを大きくできる。また本実施形態では特に、環状の凹部31bの中心位置と開閉弁31の中心軸X1が一致しており、凹部31bは中心軸X1に対して点対称に配置される。これにより、ノズル14に流入するインクの流れをノズル14の周方向により均一化でき、吐出曲がりを抑制できる。また周状の凹部31bが開閉弁31の径方向に複数設けられていてもよい。
また図10に示すように、開閉弁31の先端部31aが弾性材料により形成されることが好ましい。つまり本実施形態では、芯材310の先端に弾性部材40が形成されることで、開閉弁31の先端部31aをなしている。そして、弾性部材40に、ノズル板15側に開口する凹部31bが形成されている。本実施形態では、開閉弁31を閉じた際に弾性部材40が開閉弁31の基端部とノズル板15との間で押しつぶされることで、開閉弁31をノズル板15に密着させることができる。つまり、ノズル14を確実に封止できる。これにより、開閉弁31を閉じた状態でのノズル14へのインク漏れを防止できる。
さらに、図11に示すように、ノズル14に対向しない位置に設ける凹部31bに加えて、ノズル14に対向する位置に他の凹部31cを設けてもよい。これにより、開閉弁31をノズル板15に押し当てて開閉弁31を閉じた際に、他の凹部31c内に収容したインクをノズル14から勢いよく吐出し、インクの吐出距離を大きくできる。
次に、以上で説明した液体吐出ヘッド10を備えた液体吐出装置について説明する。
図12は、液体吐出装置100の全体概略構成図である。図12(a)は液体吐出装置の側面図、図12(b)は同装置の平面図である。液体吐出装置100は、対象物の一例である液体付与対象150に対向して設置されている。液体吐出装置100は、X軸レール101と、このX軸レール101と交差するY軸レール102と、X軸レール101およびY軸レール102と交差するZ軸レール103を備える。特に本実施形態では、各レール101,102,103は互いに直交する方向に延在する。
Y軸レール102は、X軸レール101がY軸方向に移動可能なようにX軸レール101を保持する。また、X軸レール101は、Z軸レール103がX軸方向に移動可能なようにZ軸レール103を保持する。そして、Z軸レール103は、キャリッジ1がZ軸方向に移動可能なようにキャリッジ1を保持する。
液体吐出装置100は、キャリッジ1をZ軸レール103に沿ってZ軸方向に動かす第1のZ方向駆動部92と、Z軸レール103をX軸レール101に沿ってX軸方向に動かすX方向駆動部72を備える。また、液体吐出装置100は、X軸レール101をY軸レール102に沿ってY軸方向に動かすY方向駆動部82を備える。さらに、液体吐出装置100は、キャリッジ1に対してヘッド保持体70をZ軸方向に動かす第2のZ方向駆動部93を備える。
前述した液体吐出ヘッドは、液体吐出ヘッド10のノズル14(図2参照)が液体付与対象150に対向するようにヘッド保持体70に取り付けられる。このように構成した液体吐出装置100は、キャリッジ1をX軸、Y軸およびZ軸の方向に動かしながら、ヘッド保持体70に取り付けた液体吐出ヘッドから液体付与対象150に向けて液体の一例であるインクを吐出し、液体付与対象150に描画を行う。
次に、液体吐出装置の別の実施例であるインクジェットプリンタ201の構成について、図13~図16を参照して説明する。図13は、実施形態に係る液体吐出装置の一例としてのインクジェットプリンタ201の構成を示す構成図である。図14は、プリント対象である自動車Mに対する図13に示すインクジェットプリンタ201の配置例を示す説明図である。図15は、液体付与対象である自動車Mに対する図13に示すインクジェットプリンタ201の他の配置例を示す説明図である。図16は、インクジェットプリンタで球面に画像をプリントした場合の説明図である。図16(a)は、インクジェットプリンタ201で球面に画像をプリントした場合の説明図、図16(b)は、球面に四角形をプリントした場合の結果を示す説明図、図16(c)は、球面にインクジェットプリンタ201で四角形を連続してプリントした場合の説明図である。
図13に示すように、インクジェットプリンタ201は、概略として、液体吐出ヘッド10と、撮影手段としてのカメラ204と、X-Yテーブル203と、画像編集ソフトウエアSと、制御部209と、駆動部211とを備えている。カメラ204は液体吐出ヘッド10の近傍に配設される。X-Yテーブル203は液体吐出ヘッド10およびカメラ204をX方向およびY方向へ移動させる。画像編集ソフトウエアSはカメラ204で撮影した画像を編集する。制御部209は、予め設定した制御プログラムに基づいてX-Yテーブル203を動作させて液体吐出ヘッド10からインクを吐出させる。駆動部211は、制御部209からの制御に基づいて、カメラ204を撮影位置に移動させたり、液体吐出ヘッド10を液体吐出位置に移動させたりする。
液体吐出ヘッド10は、複数の弁型ノズルを備えて構成されている。液体吐出ヘッド10は液体付与対象である被塗装物Mの被塗装面に向けてインクを吐出する。なお、ここでいう「インク」には「塗料」も含まれるものとする。
インクは各弁型ノズルから液体吐出ヘッド10に対して垂直に吐出される。即ち、液体吐出ヘッド10のインクの吐出面は、X-Yテーブル203の移動によって形成されるXY平面と平行であり、各弁型ノズルから吐出されるインクドットはX-Y平面に対して垂直な方向に吐出される。また、各弁型ノズルから吐出されるインクの吐出方向はそれぞれ平行な方向である。各弁型ノズルは、それぞれ所定の色のインクタンクと連結されている。このインクタンクは加圧装置によって加圧されている。各弁型ノズルと液体付与対象Mのプリント面との距離は20cm程度であれば、問題なくインクドットをプリント面に吐出することができる。
X-Yテーブル203は、概略として、X軸205と、Y軸206を備えて構成されている。X軸205は直線移動機構を備える。Y軸206はX軸205を2つのアームで保持しつつ、X軸205をY方向へ移動させる。X軸205のスライダに液体吐出ヘッド10および後述するカメラ204が取り付けられている。また、Y軸206にはシャフト207が設けられている。このシャフト207をロボットアーム208で保持する。ロボットアーム208により、液体吐出ヘッド10を液体付与対象Mに対してインクの吐出を行うべき所定位置に自由に配置できるようになっている。例えば、液体付与対象Mが自動車である場合に、図15に示すような横位置に配置したり、図14に示すような上部に配置したりすることができる。尚、ロボットアーム208は、予め制御部209に格納されたプログラムに基づいて、その動作が制御される。
カメラ204は、液体吐出ヘッド10の近傍であるX軸205のスライダに配設される。カメラ204はX-Y方向に移動しながら液体付与対象Mの液体付与面の所定の範囲を一定の微小な間隔で撮影を行う。カメラ204はいわゆるデジタルカメラである。カメラ204は、液体付与面の所定の範囲について、複数の細分割画像の撮影が可能なレンズの仕様や解像度等の仕様が適宜に選択される。カメラ204による液体付与面の複数の細分割画像の撮影については、制御部209に予め設けられたプログラムに従って連続的、かつ、自動的に行われる。
制御部209は、記憶装置と、中央処理装置と、キーボードやマウス等の入力装置と、モニタ210と、必要に応じてDVDプレイヤー等を備えたいわゆるマイクロコンピュータによって構成される。記憶装置は各種のプログラムおよび撮影済みの画像のデータや印刷すべき画像のデータ等を記録保存する。中央処理装置はプログラムに従って各種の処理を実行する。モニタ210は制御部209への入力情報や制御部209による処理結果等を表示する。
制御部209は、カメラ204で撮影された複数の細分割画像データを、画像処理ソフトを用いて画像処理を行う。具体的には、制御部209は、平面ではない液体付与対象Mの液体付与面を平面に投影した合成プリント面の生成を行う。また制御部209は、液体付与面に形成された画像に連続するように、描画対象画像を編集することにより、描画対象編集画像の生成を行う。例えば、図16(c)に示した描画対象画像であるプリント画像252bについて、隣接するプリント画像252aとの間に非プリント領域253が形成されないようにプリント画像252bを合成プリント面に整合するように編集することにより、描画対象編集画像を生成する。そして、この描画対象編集画像に基づいて、実際に液体吐出ヘッド10によってインクを吐出することで、プリント画像252aとの間に隙間なくプリント画像252bを形成することが可能となる。なお、制御部209によって動作制御された駆動部211により、カメラ204による複数の細分割画像の撮影や液体吐出ヘッド10の各ノズルからのインクの吐出による画像の形成が行われる。
なお、図16(a)では、球状物の液体付与対象251の球面状の表面にインクジェットノズルによって二次元の四角形を形成するような場合に、ノズルヘッド250に搭載された各インクジェットノズルから噴射されるインクの吐出方向が図示されている。図16(b)では、ノズルヘッド250に搭載された各インクジェットノズルから噴射されるインクはノズルヘッド250に対して垂直方向に吐出されるので、液体付与対象251の表面にプリントされたプリント画像252aが、周辺が歪んだ形状の四角形となることが図示されている。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
本願において、「液体吐出装置」は、液体吐出ヘッドを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体吐出装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体吐出装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体吐出装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体吐出装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」とは、前述した液体付与対象のことであり、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体吐出装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体吐出装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
10 液体吐出ヘッド
14 ノズル(吐出口)
15 ノズル板(吐出口形成部材)
30 液体吐出モジュール
31 開閉弁
31a 開閉弁のノズル板側の先端部
31b 凹部
310 開閉弁の芯材
32 圧電素子(駆動体)
40 弾性部材
100 液体吐出装置
A 長手方向(開閉弁の吐出口に対する接離方向)
X ノズルの中心軸
X1 開閉弁の先端部の中心軸
14 ノズル(吐出口)
15 ノズル板(吐出口形成部材)
30 液体吐出モジュール
31 開閉弁
31a 開閉弁のノズル板側の先端部
31b 凹部
310 開閉弁の芯材
32 圧電素子(駆動体)
40 弾性部材
100 液体吐出装置
A 長手方向(開閉弁の吐出口に対する接離方向)
X ノズルの中心軸
X1 開閉弁の先端部の中心軸
Claims (6)
- 液体を吐出する吐出口を有する吐出口形成部材と、
前記吐出口に対する接離方向に移動可能に設けられ、前記吐出口を開閉する開閉弁と、を備えた液体吐出ヘッドであって、
前記開閉弁は前記吐出口形成部材側に開口した凹部を有し、
前記凹部は前記吐出口に対向しない位置に設けられることを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記凹部が、前記開閉弁の周方向に複数設けられる請求項1記載の液体吐出ヘッド。
- 前記凹部が、前記開閉弁の周方向に周状に設けられる請求項1または2記載の液体吐出ヘッド。
- 前記凹部が前記開閉弁の中心軸に対して点対称に設けられる請求項1から3いずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記開閉弁は、前記吐出口を開閉する側の端部に弾性部材を有し、
前記弾性部材に前記凹部が形成される請求項1から4いずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。 - 請求項1から5いずれか1項に記載の液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022047017A JP2023140936A (ja) | 2022-03-23 | 2022-03-23 | 液体吐出ヘッド、液体吐出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2023140936A true JP2023140936A (ja) | 2023-10-05 |
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ID=88206537
Family Applications (1)
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JP2022047017A Pending JP2023140936A (ja) | 2022-03-23 | 2022-03-23 | 液体吐出ヘッド、液体吐出装置 |
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JP (1) | JP2023140936A (ja) |
-
2022
- 2022-03-23 JP JP2022047017A patent/JP2023140936A/ja active Pending
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