JP2023140926A - 超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法 - Google Patents

超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被検体のプライバシーを確保しながらも、検査者による被検体の検査位置を正確に特定できる超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法を提供する。【解決手段】超音波診断装置は、超音波プローブ(1)を用いることにより被検体の左右対称に配置されている測定部位に対して検査者が超音波検査を行うための超音波診断装置であって、被検体の検査位置に塗布されたジェル領域の時間的変化を検出するジェル領域検出部(42)と、ジェル領域検出部(42)によりジェル領域の時間的変化が検出された位置に基づいて被検体の検査位置を推定する検査位置推定部(25)とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、被検体の左右対称な部位を検査する超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法に関する。
従来から、いわゆる超音波診断装置を用いて超音波画像を撮影することにより、被検体に対する超音波検査が行われている。特に、被検体の乳房、腎臓および肺等の、被検体の概ね左右対称な位置に配置された部位を検査する場合に、撮影された超音波画像が被検体の左右の部位のいずれを撮影されたものであるかを容易に判断するために、超音波画像に対して、検査位置を示すいわゆるボディマークが設定されることが多い。また、このようなボディマークは、検査者が手動で設定することが多い。
超音波画像を確認することにより、その超音波画像が被検体の左右の部位のいずれを撮影したものであるかを判断することは、通常、困難であるため、誤ったボディマークを設定してしまった場合に、検査後に超音波画像を確認してボディマークを正しく設定し直すことは困難である。そこで、例えば特許文献1および2に開示されているように、被検体の検査部位を自動的に特定する技術が開示されている。特許文献1は、光学カメラ等により撮影された被検体の画像に対して画像処理を行って、超音波プローブの位置および向きを検出することにより、被検体の検査部位を特定することを開示している。また、特許文献2は、超音波による熱エネルギーを集中して照射することにより病変部を壊死させる、いわゆるHIFU(High Intensity Focused Ultrasound:高密度焦点式超音波)治療を行う場合に、超音波により加熱された箇所の温度を監視することで治療位置を検出することを開示している。
特開2018-175007号公報 特開2004-049558号公報
しかしながら、超音波プローブの向きは検査者の持ち方によって様々に変化するため、特許文献1に開示されているように画像処理により超音波プローブを検出しようとしても、検出に失敗してしまい、検査位置が正確に特定できないことがあった。また、被検体の光学画像を撮影する場合には、例えば被検体の顔等が写る光学画像が取得されてしまうことがあり、被検体のプライバシーが確保されないという問題もあった。また、特許文献2の技術は、HIFU治療を行わない通常の超音波検査には適用できないという問題があった。
本発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたものであり、被検体のプライバシーを確保しながらも、検査者による被検体の検査位置を正確に特定できる超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る超音波診断装置は、超音波プローブを用いることにより被検体の左右対称に配置されている測定部位に対して検査者が超音波検査を行うための超音波診断装置であって、被検体の検査位置に塗布されたジェル領域の時間的変化を検出するジェル領域検出部と、ジェル領域検出部によりジェル領域の時間的変化が検出された位置に基づいて被検体の検査位置を推定する検査位置推定部とを備えることを特徴とする。
測定部位は、乳房、腎臓および肺のうちのいずれかであることができる。
また、被検体の体表温度とは異なる温度のジェルが被検体の検査位置に塗布される場合に、ジェル領域検出部は、被検体の体表の温度分布を取得する温度センサと、温度センサにより取得された温度分布を解析することにより被検体に塗布されたジェル領域の時間的変化を検出する時間的変化検出部とを含むことができる。
時間的変化検出部は、温度センサにより取得された温度分布から超音波プローブおよび検査者の手を除外してジェル領域の時間的変化を検出することができる。
超音波診断装置は、検査者に報知を行う報知部を備えることができる。
被検体の体表温度よりも高い温度のジェルが被検体の検査位置に塗布され、報知部は、温度センサにより取得されたジェル領域の温度が定められた第1温度以下に低下した場合に警告を発することができる。
また、報知部は、温度センサにより取得された被検体の体表温度が定められた第2温度以上である場合に警告を発することができる。
報知部は、温度センサにより取得された温度分布に基づいて超音波プローブおよび検査者の手が被検体の近傍に位置することが検出されるにも関わらずにジェル領域検出部によりジェル領域の時間的変化が検出されない場合に警告を発することもできる。
被検体の体表のカラーとは異なるカラーのジェルが被検体の検査位置に塗布される場合に、ジェル領域検出部は、被検体の体表におけるカラー分布を取得するカラーセンサと、カラーセンサにより取得されたカラー分布を解析することにより被検体に塗布されたジェル領域の時間的変化を検出する時間的変化検出部とを含むこともできる。
超音波診断装置は、超音波プローブと、超音波プローブを用いて超音波ビームの送受信を行うことにより被検体の検査位置における超音波画像を取得する画像取得部と、超音波画像を表示するモニタとを備えることができる。
また、超音波診断装置は、検査位置推定部により推定された被検体の検査位置に基づいてボディマークをモニタに表示するボディマーク設定部を備えることができる。
ボディマーク設定部は、検査位置推定部により推定された被検体の検査位置に基づいて、被検体の左右対称に配置されている測定部位を表す一対のボディマークのうちの一方を選択してモニタに表示することができる。
また、ボディマーク設定部は、検査位置推定部により推定された被検体の検査位置に基づいてプローブマークが描かれたボディマークをモニタに表示することもできる。
また、超音波診断装置は、モニタに表示されたボディマークが正しいか否かを確認するダイアログをモニタに表示する確認部を備えることができる。
本発明に係る超音波診断装置の制御方法は、超音波プローブを用いることにより被検体の左右対称に配置されている測定部位に対して検査者が超音波検査を行うための超音波診断装置の制御方法であって、被検体の検査位置に塗布されたジェル領域の時間的変化を検出し、ジェル領域の時間的変化が検出された位置に基づいて被検体の検査位置を推定することを特徴とする。
本発明によれば、超音波診断装置が、超音波プローブを用いることにより被検体の左右対称に配置されている測定部位に対して検査者が超音波検査を行うための超音波診断装置であって、被検体の検査位置に塗布されたジェル領域の時間的変化を検出するジェル領域検出部と、ジェル領域検出部によりジェル領域の時間的変化が検出された位置に基づいて被検体の検査位置を推定する検査位置推定部とを備えるため、被検体のプライバシーを確保しながらも、検査者による被検体の検査位置を正確に特定できる。
本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における送受信回路の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における画像生成部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における左の乳房を表すボディマークの例を示す図である。 本発明の実施の形態1における右の乳房を表すボディマークの例を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「同一」、「同じ」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。
実施の形態1
図1に本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置の構成を示す。超音波診断装置は、超音波プローブ1と、超音波プローブ1に接続される装置本体2と、装置本体2に接続される温度センサ3を備えている。超音波診断装置は、例えば、被検体の乳房、腎臓および肺等の、被検体の左右対称に配置されている測定部位に対して超音波検査を行うために使用される。
超音波プローブ1は、振動子アレイ11を有している。振動子アレイ11に送受信回路12が接続されている。
装置本体2は、超音波プローブ1の送受信回路12に接続される画像生成部21を有している。画像生成部21に、表示制御部22およびモニタ23が、順次、接続されている。また、装置本体2は、温度センサ3に接続される時間的変化検出部24を有している。時間的変化検出部24に検査位置推定部25およびボディマーク設定部31が、順次、接続されている。ボディマーク設定部31に表示制御部22が接続されている。また、画像生成部21およびボディマーク設定部31に、画像メモリ26が接続されている。また、画像メモリ26に測定部27が接続されている。また、測定部27に、測定結果メモリ28および表示制御部22が接続されている。
また、送受信回路12、画像生成部21、表示制御部22、時間的変化検出部24、検査位置推定部25、画像メモリ26、測定部27、測定結果メモリ28およびボディマーク設定部31に、制御部29が接続されている。また、制御部29に入力装置30が接続されている。
また、超音波プローブ1の送受信回路12と装置本体2の画像生成部21により、画像取得部41が構成されている。温度センサ3と、装置本体2の時間的変化検出部24により、ジェル領域検出部42が構成されている。また、装置本体2の画像生成部21、表示制御部22、時間的変化検出部24、検査位置推定部25、測定部27、制御部29およびボディマーク設定部31により、装置本体2用のプロセッサ43が構成されている。
超音波プローブ1の振動子アレイ11は、1次元または2次元に配列された複数の超音波振動子を有している。これらの超音波振動子は、それぞれ送受信回路12から供給される駆動信号に従って超音波を送信すると共に、被検体からの超音波エコーを受信して、超音波エコーに基づく信号を出力する。各超音波振動子は、例えば、PZT(Lead Zirconate Titanate:チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック、PVDF(Poly Vinylidene Di Fluoride:ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子およびPMN-PT(Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate:マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛固溶体)に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成することにより構成される。
送受信回路12は、制御部29による制御の下で、振動子アレイ11から超音波を送信し且つ振動子アレイ11により取得された受信信号に基づいて音線信号を生成する。送受信回路12は、図2に示すように、振動子アレイ11に接続されるパルサ51と、振動子アレイ11から順次直列に接続される増幅部52、AD(Analog to Digital)変換部53およびビームフォーマ54を有している。
パルサ51は、例えば、複数のパルス発生器を含んでおり、制御部29からの制御信号に応じて選択された送信遅延パターンに基づいて、振動子アレイ11の複数の超音波振動子から送信される超音波が超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号を、遅延量を調節して複数の超音波振動子に供給する。このように、振動子アレイ11の超音波振動子の電極にパルス状または連続波状の電圧が印加されると、圧電体が伸縮し、それぞれの超音波振動子からパルス状または連続波状の超音波が発生して、それらの超音波の合成波から、超音波ビームが形成される。
送信された超音波ビームは、例えば、被検体の部位等の対象において反射され、超音波プローブ1の振動子アレイ11に向かって伝搬する。このように振動子アレイ11に向かって伝搬する超音波エコーは、振動子アレイ11を構成するそれぞれの超音波振動子により受信される。この際に、振動子アレイ11を構成するそれぞれの超音波振動子は、伝搬する超音波エコーを受信することにより伸縮して、電気信号である受信信号を発生させ、これらの受信信号を増幅部52に出力する。
増幅部52は、振動子アレイ11を構成するそれぞれの超音波振動子から入力された信号を増幅し、増幅した信号をAD変換部53に送信する。AD変換部53は、増幅部52から送信された信号をデジタルの受信データに変換する。ビームフォーマ54は、AD変換部53から受け取った各受信データに対してそれぞれの遅延を与えて加算することにより、いわゆる受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、AD変換部53で変換された各受信データが整相加算され且つ超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号が取得される。
画像生成部21は、図3に示すように、信号処理部55、DSC(Digital Scan Converter:デジタルスキャンコンバータ)56および画像処理部57が順次直列に接続された構成を有している。
信号処理部55は、送受信回路12から受信した音線信号に対し、制御部29により設定される音速値を用いて超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施すことにより、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。
DSC56は、信号処理部55で生成されたBモード画像信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)する。
画像処理部57は、DSC56から入力されるBモード画像信号に階調処理等の各種の必要な画像処理を施した後、Bモード画像信号を表示制御部22および画像メモリ26に送出する。以降は、画像処理部57により画像処理が施されたBモード画像信号を、超音波画像と呼ぶ。
表示制御部22は、制御部29の制御の下で、画像生成部21により生成された超音波画像等に対して所定の処理を施して、モニタ23に表示する。
モニタ23は、表示制御部22の制御の下で、種々の表示を行う。モニタ23は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)等のディスプレイ装置を含むことができる。
ところで、一般的に、超音波プローブを被検体の体表に接触させた状態で超音波プローブから被検体内に超音波を送信することにより、被検体の超音波画像を撮影する場合に、被検体の体表上の検査位置にいわゆるジェルを塗布することがある。このジェルは、例えば超音波ゼリーとも呼ばれる。ジェルが被検体の体表と超音波プローブとの間の隙間を埋めることにより、被検体の体表と超音波プローブとの間における超音波の減衰が抑制され、鮮明な超音波画像を得ることができる。ここで、検査位置とは、被検体の超音波検査において、超音波プローブが被検体の体表に接触している位置のことをいう。
ジェル領域検出部42は、被検体の体表温度とは異なる温度のジェルが被検体の検査位置に塗布された場合に、被検体の検査位置にジェルが塗布されたジェル領域の時間的変化を検出する。以下で、ジェル領域検出部42を構成する温度センサ3と時間的変化検出部24について説明する。
温度センサ3は、例えば赤外線センサ等により構成され、被検体の体表の温度分布を取得するセンサ装置である。温度センサ3は、被検体の体表の温度分布を、例えばいわゆるサーモ画像として取得できる。
時間的変化検出部24は、現時点に対して例えば1秒前またはサーモ画像の定められたフレーム数分、例えば20フレーム分等の定められた時間だけ遡った過去の時点から、現時点までの間に温度センサ3により取得された被検体の体表の温度分布を解析することにより、ジェルが塗布されたジェル領域を検出し、且つ、そのジェル領域の時間的変化を検出する。
ジェル領域の時間的変化とは、1秒間またはサーモ画像の20フレーム分等の一定の時間におけるジェル領域の空間的な分布の変化のことをいう。また、ジェル領域の時間的変化は、被検体の体表にジェルが塗布される領域の、ジェルの塗布前後における時間的変化を含む。
ここで、被検体の体表温度よりも高い温度のジェルが被検体に塗布される場合に、ジェルが塗布されることになる領域の温度は、ジェルが塗布されることで上昇する。また、被検体の体表温度よりも低い温度のジェルが被検体に塗布される場合に、ジェルが塗布されることになる領域の温度は、ジェルが塗布されることで低下する。
そこで、時間的変化検出部24は、35℃~37℃等の一般的な被検体の体表温度よりも高温の、例えば39℃~40℃の範囲内の温度しきい値(高温側の温度しきい値)を予め記憶し、温度しきい値以上の温度を有する領域を、ジェル領域として検出できる。また、時間的変化検出部24は、35℃~37℃等の一般的な被検体の体表温度よりも低温の、例えば32℃~33℃の範囲内の温度しきい値(低温側の温度しきい値)を予め記憶し、温度しきい値以下の温度を有する領域を、ジェル領域として検出することもできる。
このように、時間的変化検出部24は、例えば、35℃~37℃等の一般的な被検体の体表温度に対して、高温側または低温側において一定以上の温度差を有する領域をジェル領域として検出できる。
また、例えば、超音波プローブ1の先端部にジェルが塗布された状態で超音波プローブ1の先端部が被検体の体表に接触することにより、被検体の体表にジェルが塗布されるため、被検体の体表上のジェル領域の空間的な分布は、被検体へのジェルの塗布前後で変化する。また、被検体の検査位置にジェルが塗布され、且つ、ジェルの上に超音波プローブ1が配置された状態で超音波プローブ1が被検体の体表上を移動すると、被検体の体表上にジェルが引き延ばされて、ジェル領域の空間的な配置の分布が変化する。そのため、時間的変化検出部24は、温度センサ3により取得された被検体の体表の温度分布に基づいて、例えばジェルが被検体の体表に塗布されることで体表上の温度が変化したことを検出することにより、ジェル領域の配置の分布の時間的変化を検出することができる。なお、被検体の体表温度よりも高温のジェルを用いる場合には、時間的変化検出部24は、被検体の体表温度から高温側への温度変化を検出する構成を有することが好ましい。また、被検体の体表温度よりも低温のジェルを用いる場合には、時間的変化検出部24は、被検体の体表温度から低温側への温度変化を検出する構成を有することが好ましい。
また、温度センサ3の配置されている位置によっては、ジェル領域の温度分布に重なって超音波プローブ1の温度分布および超音波プローブ1を持つ検査者の手の温度分布が取得されることがある。この場合に、時間的変化検出部24は、ジェル領域の温度分布を精確に検出するために、温度センサ3により取得された温度分布から、超音波プローブ1および検査者の手の温度分布を除外して、ジェル領域の時間的変化を検出することもできる。
検査位置推定部25は、時間的変化検出部24によりジェル領域の時間的変化が検出された位置に基づいて、検査者による被検体の検査位置を推定する。
超音波プローブ1の先端部にジェルが付着している状態で超音波プローブ1が被検体の体表上を移動すると、ジェルが被検体の体表上で引き延ばされる。そのため、検査位置推定部25は、時間的変化検出部24がジェル領域の配置の分布の時間的変化を検出した箇所を、超音波プローブ1が被検体の体表上を移動した直後の位置であると判断して、検査位置として推定できる。
ボディマーク設定部31は、複数のボディマークを予め記憶しており、検査位置推定部25により推定された被検体の検査位置に基づいて測定部位を判定し、判定された測定部位に対応するボディマークをモニタ23に表示する。この際に、ボディマーク設定部31は、例えば、検査位置推定部25により推定された検査位置が被検体の左乳房上のいずれかの位置である場合に、測定部位を被検体の左乳房であると判定できる。
ここで、ボディマークとは、被検体の部位を模した図形であり、一般的に、検査位置を示すために使用される。ボディマークとしては、例えば図4および図5に示すように、被検体の左の乳房を示すボディマーク71Lと、被検体の右の乳房を示すボディマーク71Rが知られている。
ボディマーク71Lは、正面から見た左乳房を模式的に示すもので、円形状の乳房領域BRと、腋窩を表し且つ乳房領域BRから斜め上方に延びる略三角形状の腋窩領域73を有している。乳房領域BRは、乳房の内側上部領域A、内側下部領域B、外側上部領域C、および、外側下部領域Dの4つの領域に分割されており、腋窩領域73は、外側上部領域Cの左斜め上部に接続されている。
ボディマーク71Rは、正面から見た右乳房を模式的に示すもので、左乳房を示すボディマーク71Lを左右反転させたものである。
ボディマーク設定部31は、検査位置推定部25により推定された被検体の検査位置に基づいて、例えば乳房のように、被検体の左右対称に配置されている測定部位を表す一対のボディマークのうちの一方を選択してモニタ23に表示できる。
また、ボディマーク設定部31は、検査位置推定部25により推定された被検体の検査位置に基づいて、検査位置を示すいわゆるプローブマークが描かれたボディマークをモニタ23に表示することもできる。図示しないが、例えば、検査位置推定部25が左乳房の内側上部領域Aに対応する箇所を検査位置として推定した場合に、左乳房を模したボディマーク71Lの内側上部領域Aにプローブマークを配置した上で、ボディマーク71Lをモニタ23に表示できる。
画像メモリ26は、制御部29による制御の下で、画像生成部21により生成された超音波画像と、ボディマーク設定部31により設定されたボディマークとを互いに紐付けて格納する。
画像メモリ26としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)、SSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)、FD(Flexible Disk:フレキシブルディスク)、MOディスク(Magneto-Optical disk:光磁気ディスク)、MT(Magnetic Tape:磁気テープ)、RAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)、CD(Compact Disc:コンパクトディスク)、DVD(Digital Versatile Disc:デジタルバーサタイルディスク)、SDカード(Secure Digital card:セキュアデジタルカード)、または、USBメモリ(Universal Serial Bus memory:ユニバーサルシリアルバスメモリ)等の記録メディア等を用いることができる。
測定部27は、制御部29による制御の下で、画像メモリ26に格納されている超音波画像を読み出し、読み出された超音波画像に基づいて、超音波画像に対応する検査位置における被検体の測定を行う。測定部27は、例えば、入力装置30を介した検査者の入力操作に基づいて、超音波画像に写る解剖学的構造の寸法等を測定できる。
測定結果メモリ28は、制御部29による制御の下で、測定部27により測定された結果を、測定に用いられた超音波画像と紐付けて格納する。測定結果メモリ28としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD、SSD、FD、MOディスク、MT、RAM、CD、DVD、SDカードまたはUSBメモリ等の記録メディア等を用いることができる。
入力装置30は、検査者による入力操作を受け付け、入力された情報を制御部29に送出する。入力装置30は、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッドおよびタッチパネル等の検査者が入力操作を行うための装置等により構成される。
なお、装置本体2の画像生成部21、表示制御部22、時間的変化検出部24、検査位置推定部25、測定部27、制御部29およびボディマーク設定部31により構成されるプロセッサ43は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、FPGA(Field Programmable Gate Array:フィードプログラマブルゲートアレイ)、DSP(Digital Signal Processor:デジタルシグナルプロセッサ)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:アプリケーションスペシフィックインテグレイテッドサーキット)、GPU(Graphics Processing Unit:グラフィックスプロセッシングユニット)、または、その他のIC(Integrated Circuit:集積回路)を用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。
また、プロセッサ43の画像生成部21、表示制御部22、時間的変化検出部24、検査位置推定部25、測定部27、制御部29およびボディマーク設定部31は、部分的にあるいは全体的に1つのCPU等に統合させて構成されることもできる。
次に、図6のフローチャートを用いて実施の形態1に係る超音波診断装置の動作の例を説明する。以下の説明において、被検体の乳房、腎臓または肺等の、被検体の左右対称に配置されている測定部位に対して超音波検査が行われるとする。
まず、ステップS1において、温度センサ3は、被検体の体表の温度分布を連続的に取得し、画像取得部41は、被検体の検査位置における断層像である超音波画像を連続的に取得する。この際に、温度センサ3により被検体の体表の温度分布が取得されながら、検査者は、被検体の体表にジェルを塗布した後で超音波プローブ1の先端部をジェル上に配置するか、超音波プローブ1の先端部にジェルを塗布した状態で超音波プローブ1の先端部を被検体の体表に接触させる。また、超音波プローブ1の振動子アレイ11により被検体内に超音波ビームが送信され且つ被検体内から超音波エコーが受信され、受信信号が生成される。画像取得部41の送受信回路12は、受信信号に対して、制御部29の制御の下でいわゆる受信フォーカス処理を行って音線信号を生成する。送受信回路12により生成された音線信号は、画像生成部21に送出される。画像生成部21は、送受信回路12から送出された音線信号を用いて超音波画像を生成する。
温度センサ3により連続的に取得された被検体の体表の温度分布の情報は、時間的変化検出部24に送出される。また、画像取得部41により連続的に取得された超音波画像は、表示制御部22および画像メモリ26に送出される。表示制御部22に連続的に送出された超音波画像は、モニタ23に順次表示される。
次に、ステップS2において、時間的変化検出部24は、ステップS1で連続的に取得された被検体の体表の温度分布の情報に基づいて、被検体に塗布されたジェルを検出し、被検体上のジェル領域の時間的変化を検出する。この際に、時間的変化検出部24は、現時点すなわちステップS1で被検体の体表の温度分布が取得された最新の時点に対して例えば1秒間またはサーモ画像の定められたフレーム数分、例えば20フレーム分等の定められた時間だけ遡った過去の時点から、最新の時点までの間に、連続的に取得された被検体の体表の温度分布を解析し、予め記憶されている高温側の温度しきい値以上の領域または低温側の温度しきい値以下の領域を、ジェル領域として検出できる。
時間的変化検出部24は、ジェル領域の時間的変化として、例えば、1秒間またはサーモ画像の20フレーム分等の定められた時間におけるジェル領域の配置の分布の時間的変化を検出できる。
ステップS3において、検査位置推定部25は、ステップS2でジェル領域の時間的変化が検出された位置に基づいて、検査者による被検体の検査位置を推定する。検査位置推定部25は、例えば、ステップS2で時間的変化検出部24がジェル領域の配置の分布の時間的変化を検出した箇所を、超音波プローブ1が被検体の体表上を移動した直後の位置であると判断して、検査位置として推定できる。
ステップS4において、ボディマーク設定部31は、ステップS3で推定された検査位置に基づいて測定部位を判定する。ボディマーク設定部31は、例えば、推定された検査位置が被検体の左乳房上のいずれかの位置である場合に、測定部位を被検体の左乳房であると判定できる。
このように、ステップS1~ステップS4の処理により、ジェル領域の時間変化に基づいて自動的に測定部位を判定するため、測定部位を正確に判定できる。また、例えば被検体の光学画像を取得することなく被検体の体表の温度分布に基づいて測定部位が判定できるため、例えば被検体の顔を写した光学画像を取得することが無く、被検体のプライバシーを確保することもできる。
ステップS5において、ボディマーク設定部31は、ステップS4で判定された測定部位に対応するボディマークを設定する。例えば、ステップS4で測定部位が左乳房であると判定された場合に、図4に示す左乳房を模したボディマーク71Lを設定する。
ステップS6において、ステップS1で連続的に取得された超音波画像が順次モニタ23に表示され、且つ、ステップS5で設定されたボディマークが順次表示されている超音波画像と一緒にモニタ23に表示される。また、この際に、ステップS5で設定されたボディマークと、ボディマークが設定された状態で取得された超音波画像とが互いに紐付けられて画像メモリ26に格納される。
検査者は、モニタ23に表示された超音波画像とボディマークを確認することにより、現在の検査位置および測定部位を明確に把握できるため、超音波検査を円滑に行うことができる。また、ボディマークと超音波画像が互いに紐付けられて画像メモリ26に自動的に格納されるため、例えば、検査者が手動でボディマークと超音波画像を互いに紐付ける処理を行う必要がなく、円滑に超音波検査を行うことができる。また、超音波検査後において、医師が、測定部位に対応して正確に設定されたボディマークと超音波画像を互いに対応付けて確認できるため、診断の精度も向上できる。
ステップS7において、制御部29は、超音波検査を終了するか否かを判定する。制御部29は、例えば、入力装置30を介して検査者により超音波検査を終了する旨の指示が入力された場合に超音波検査を終了すると判定できる。また、制御部29は、例えば、入力装置30を介して検査者により超音波検査を終了する旨の指示が入力されない場合に超音波検査を続行すると判定できる。
ステップS7で超音波検査を続行すると判定された場合に、ステップS1に戻り、ステップS1~ステップS7の処理が、再度、行われる。ステップS7で超音波検査を終了すると判定された場合に、図6のフローチャートに従う超音波診断装置の動作が終了する。
以上のように、実施の形態1に係る超音波診断装置によれば、温度センサ3により取得された被検体の体表の温度分布に基づいて時間的変化検出部24によりジェル領域の時間的変化が検出され、検出されたジェル領域の時間変化に基づいて検査位置推定部25により検査者による被検体の検査位置が自動的に推定されるため、被検体のプライバシーを確保しながらも、検査者による被検体の検査位置を正確に特定できる。
また、実施の形態1の超音波診断装置は、温度センサ3により取得された被検体の体表の温度分布に基づいて検査者による被検体の検査位置を推定するため、例えば、光学カメラ、または、超音波プローブ1の位置を検出する磁気センサ等の高価で複雑な装置構成を必要とせず、安価で単純な装置構成にも関わらず、簡単に且つ正確に検査位置を推定できる。
なお、画像生成部21は、装置本体2に備えられると説明されているが、装置本体2に備えられる代わりに超音波プローブ1に備えられることもできる。
また、温度センサ3の配置位置は、被検体の体表上の検査位置およびジェル領域の温度分布が取得可能な位置であれば特に限定されない。温度センサ3は、例えば、超音波検査中に被検体が横たわる診察台の近くに配置されることができ、超音波検査が行われる部屋の天井に配置されることもでき、検査者の頭部等に装着されることもできる。
また、時間的変化検出部24は、超音波検査中に被検体が動いた場合でも、ジェル領域の時間的変化を精確に検出するために、例えば、ジェル領域の時間的変化を検出する前に、温度センサ3により取得されたサーモ画像に対して、被検体の身体の位置合わせを行うことができる。この際に、時間的変化検出部24は、例えば、いわゆるテンプレートマッチング、または、いわゆるオプティカルフローに基づく位置合わせの方法、被検体の身体の境界を検出することによる位置合わせの方法等、公知の技術を用いて位置合わせを行うことができる。
また、図6のフローチャートにおいて、測定部27による測定の処理を追加することもできる。例えば、ステップS6で超音波画像とボディマークがモニタ23に表示され、画像メモリ26に格納された後で、測定部27による測定が行われることができる。この場合に、測定部27は、ステップS6で保存された超音波画像を画像メモリ26から読み出し、入力装置30を介した検査者の入力操作に基づいて、超音波画像内の解剖学的構造の寸法等を測定できる。このようにして測定部27により得られた測定結果は、測定結果メモリ28に格納される。
また、画像生成部21により生成された超音波画像とボディマーク設定部31により設定されたボディマークが自動的に画像メモリ26に格納されることが説明されているが、画像メモリ26は、例えば、入力装置30を介して検査者がいわゆるフリーズの指示をした場合に、ボディマークとフリーズ表示された超音波画像とを格納することもできる。ここで、フリーズおよびフリーズ表示とは、モニタ23に動画として連続的に表示されている超音波画像の表示を一時停止して、最新の1フレームの超音波画像を静止画として表示することである。これにより、検査者が望む超音波画像のみを画像メモリ26に格納できる。
また、この際に、測定部27は、フリーズ表示された超音波画像に対して測定を行うことができる。
また、図6のフローチャートでは、被検体の体表の温度分布と超音波画像が連続的に取得されながら、測定部位が判定されることが説明されているが、例えば、入力装置30を介して検査者によりフリーズの指示がなされたことをトリガとして測定部位の判定が行われることもできる。この場合には、測定部位を判定するための処理が常時行われるのではなく、フリーズの指示がなされた場合にのみ行われるため、超音波検査中のプロセッサ43の計算負荷を低減できる。
これにより、プロセッサ43を構成するCPUの処理能力が低い場合でも、プロセッサ43による処理が必要な、例えば、超音波画像を生成および表示する処理、超音波画像中の解剖学的構造を測定する処理等を円滑に行うことができる。また、プロセッサ43による消費電力を低減することもできる。
また、温度センサ3により取得された被検体の体表の温度分布の情報は、例えば、画像生成部21により生成された超音波画像に紐付けられて画像メモリ26に格納されることができる。温度センサ3が被検体の体表の温度分布としてサーモ画像を取得する場合で、且つ、被検体の顔の部分のサーモ画像が取得された場合には、例えば、制御部29は、サーモ画像における被検体の顔の部分を検出し、且つ、検出された部分の画像をサーモ画像の全体から除外することができる。また、この場合に、制御部29は、例えば、サーモ画像における被検体の顔の部分を塗り潰して、被検体の顔を判別不可能にすることもできる。これにより、被検体のプライバシーが確保できる。
また、図示しないが、超音波プローブ1は、超音波プローブ1の先端部において被検体の体表に塗布されたジェルの温度を一定の範囲に保つジェル温度管理部を備えることもできる。ジェル温度管理部は、例えば、いわゆる電熱線またはペルティエ素子等を含み、ジェルを加熱または冷却することにより、ジェルの温度を一定の範囲に保つことができる。これにより、例えば、超音波プローブ1の先端部に接触しているジェル領域の温度を被検体の体表温度よりも高くまたは低くできるため、時間的変化検出部24が、超音波プローブ1の先端部の近傍のジェル領域をより確実に検出でき、検査位置推定部25が、より正確に検査位置を推定できる。
実施の形態2
被検体の体表にジェルを塗布した状態で超音波検査を行っていると、時間の経過によってジェル領域の温度が被検体の体表温度に近づくことで、温度センサ3により取得される温度分布の情報では、ジェル領域が検出できなくなる場合がある。その場合に、超音波診断装置は、検査者に警告を発することができる。
図7に、実施の形態2に係る超音波診断装置の構成を示す。実施の形態2の超音波診断装置は、図1に示す実施の形態1の超音波診断装置において、装置本体2の代わりに装置本体2Aを備えている。装置本体2Aは、実施の形態1における装置本体2において、報知部61と確認部62が追加され、制御部29の代わりに制御部29Aを備えたものである。
装置本体2Aにおいて、時間的変化検出部24に報知部61が接続されている。報知部61は、表示制御部22および制御部29Aに接続されている。また、ボディマーク設定部31に確認部62が接続されている。確認部62に、表示制御部22および制御部29Aが接続されている。また、画像生成部21、表示制御部22、時間的変化検出部24、検査位置推定部25、測定部27、制御部29A、ボディマーク設定部31、報知部61および確認部62により、装置本体2A用のプロセッサ43Aが構成されている。
報知部61は、例えばモニタ23にメッセージを表示する等により、検査者に報知を行う。ここで、ジェルが塗布された状態において、ジェルの温度は、被検体の体表温度に徐々に近づいていくと考えられる。そこで、報知部61は、例えば、被検体の体表温度よりも高い温度のジェルが被検体の検査位置に塗布され、且つ、温度センサ3により取得されたジェル領域の温度が定められた第1温度以下に低下した場合に、検査者に対して警告を発することができる。ジェル領域の温度が被検体の体表温度に近くなると時間的変化検出部24がジェル領域を検出することが困難になる場合があるが、検査者は、警告を確認することにより、ジェル領域の温度が被検体の体表温度に近くなったことを容易に把握して、被検体の検査位置に被検体の体表温度よりも高い温度のジェルを塗布し直すことができる。
また、被検体の体表温度よりも高い温度のジェルが被検体の検査位置に塗布される場合に、被検体が発熱する等により被検体の体表温度が高いと、時間的変化検出部24がジェル領域を検出することが困難になる場合がある。そこで、報知部61は、例えば、温度センサ3により取得された被検体の体表温度が定められた第2温度以上である場合に、警告を発することもできる。これにより、検査者は、被検体の体表温度が高いことを理由としてジェル領域が検出できないことを容易に把握できる。この場合に、検査者は、例えば、被検体の体表よりも低い温度を有するジェルを被検体の体表に塗布する等の対処を行うことができる。
また、報知部61は、例えば、被検体の体表温度よりも低い温度のジェルが被検体の検査位置に塗布され、且つ、温度センサ3により取得されたジェル領域の温度が定められた第3温度以上に上昇した場合に、検査者に対して警告を発することができる。検査者は、警告を確認することにより、ジェル領域の温度が被検体の体表温度に近くなったことを容易に把握して、被検体の検査位置に被検体の体表温度よりも低い温度のジェルを塗布し直すことができる。
報知部61は、温度センサ3により取得された被検体の体表の温度分布に基づいて超音波プローブ1および検査者の手が被検体の近傍に位置することが検出されるにも関わらずに、時間的変化検出部24によりジェル領域の時間的変化が検出されない場合に、検査者に対して警告を発することもできる。検査者は、警告を確認することにより、ジェル領域の温度が被検体の体表温度に近くなってしまったことを容易に把握し、被検体の体表温度よりも高い温度のジェルまたは被検体の体表温度よりも低い温度のジェルを検査位置に塗布し直すことができる。
また、ジェル領域の温度が被検体の体表温度に近いことにより、時間的変化検出部24がジェル領域を検出できない場合に、検査位置推定部25が正確に検査位置を推定できないため、ボディマーク設定部31が現在の検査位置に対応するボディマークを正しく設定することが難しい。そこで、確認部62は、モニタ23に表示されたボディマークが正しいか否か、すなわち、実際の検査位置に対応したボディマークか否かを確認するダイアログをモニタ23に表示する。検査者は、誤ったボディマークが設定されている場合でも、ダイアログを確認することにより正しいボディマークを設定し直すことができる。
以上のように、実施の形態2に係る超音波診断装置によれば、被検体の体表温度よりも高い温度であったジェル領域の温度が定められた第1温度以下に低下した場合、被検体の体表温度よりも低い温度であったジェル領域の温度が定められた第3温度以上に上昇した場合、被検体の体表温度が定められた第2温度以上である場合、または、超音波プローブ1と検査者の手が被検体の近傍に位置することが検出されるにも関わらずジェル領域の時間的変化が検出されない場合に報知部61により警告が発せられるため、検査者は、ジェル領域の時間的変化が正常に検出されるように、ジェルを検査位置に塗布し直す等の対処ができる。また、確認部62により、モニタ23に表示されたボディマークが正しいか否かを確認するダイアログがモニタ23に表示されるため、誤ったボディマークが設定されてしまった場合でも、検査者は、正しいボディマークに設定し直すことができる。
なお、確認部62は、検査位置推定部25により推定された検査位置が、被検体を正面から見た場合に被検体の左右を分ける中心線の近傍であるか否かを判定し、検査位置が中心線の近傍であると判定された場合にのみダイアログをモニタ23に表示することもできる。この場合に、確認部62は、例えば、検査位置と中心線との最短距離に対して定められた距離しきい値を有し、検査位置と中心線との最短距離が距離しきい値以下である場合に、検査位置が中心線の近傍であると判定できる。このように、検査者は、検査位置が被検体の中心線の近傍に位置している場合に検査者がダイアログを確認することにより、より確実に正確なボディマークを設定することが可能である。
実施の形態3
被検体の体表の温度分布に基づいてジェル領域の時間的変化を検出することが説明されているが、例えば、被検体の体表における特定の色を取得することによっても、ジェル領域の時間的変化を検出できる。
図8に、実施の形態3に係る超音波診断装置の構成を示す。実施の形態3の超音波診断装置は、図1に示す実施の形態1の超音波診断装置において、装置本体2の代わりに装置本体2Bを備え、温度センサ3の代わりにカラーセンサ4を備えている。装置本体2Bは、実施の形態1における装置本体2において、時間的変化検出部24の代わりに時間的変化検出部24Bを備え、制御部29の代わりに制御部29Bを備えている。
装置本体2Bにおいて、時間的変化検出部24は、カラーセンサ4に接続されている。また、カラーセンサ4および時間的変化検出部24によりジェル領域検出部42Bが構成されている。また、画像生成部21、表示制御部22、時間的変化検出部24B、検査位置推定部25、測定部27、制御部29Bおよびボディマーク設定部31により、装置本体2B用のプロセッサ43Bが構成されている。
カラーセンサ4は、被検体の体表におけるカラー分布を取得するセンサ装置である。カラーセンサ4は、例えば、赤、青および緑等の特定の色を検出する、いわゆる光センサ等を含み、被検体の体表からの反射光を検出することにより体表におけるカラー分布を取得できる。
時間的変化検出部24Bは、被検体の体表のカラーとは異なるカラーのジェルが被検体の検査位置に塗布された場合に、カラーセンサ4により取得された被検体の体表のカラー分布を解析することにより、体表上のジェル領域を検出し、検出されたジェル領域の時間的変化を検出する。
時間的変化検出部24Bは、例えば、現時点に対して例えば1秒間またはサーモ画像の定められたフレーム数分、例えば20フレーム分等の一定の時間だけ遡った過去の時点から、現時点までの間にカラーセンサ4により取得されたカラー分布を参照して、被検体の体表とは異なるカラーの領域をジェル領域として検出できる。また、時間的変化検出部24Bは、カラーセンサ4により取得された被検体の体表のカラー分布に基づいて、ジェル領域の配置の分布の時間的変化を検出できる。
このように、ジェル領域の時間的変化を検出するために、例えば、光学カメラ等を用いる必要がないため、例えば被検体の顔を写した光学画像を取得することが無く、被検体のプライバシーを確保できる。
検査位置推定部25は、時間的変化検出部24Bにより検出されたジェル領域の時間的変化に基づいて、検査者による被検体の検査位置を推定する。
ボディマーク設定部31は、検査位置推定部25により推定された被検体の検査位置に基づいて測定部位を判定し、判定された測定位置に対応するボディマークを自動的に設定する。
以上のように、カラーセンサ4により取得された被検体の体表のカラー分布に基づいて被検体の検査位置を推定する場合には、カラーセンサ4により取得された被検体の体表のカラー分布に基づいて時間的変化検出部24Bによりジェル領域の時間的変化が検出され、検出されたジェル領域の時間変化に基づいて検査位置推定部25により検査者による被検体の検査位置が自動的に推定されるため、温度センサ3により取得された被検体の体表の温度分布に基づいて被検体の検査位置を推定する場合と同様に、被検体のプライバシーを確保しながらも、検査者による被検体の検査位置を正確に特定できる。
なお、実施の形態3の内容は、実施の形態1に対して適用されることが説明されているが、実施の形態2に対しても同様に適用できる。すなわち、図7に示す実施の形態2の超音波診断装置において、温度センサ3の代わりにカラーセンサ4を設けることができる。
1 超音波プローブ、2,2A,2B 装置本体、3 温度センサ、4 カラーセンサ、11 振動子アレイ、12 送受信回路、21 画像生成部、22 表示制御部、23 モニタ、24,24B 時間的変化検出部、25 検査位置推定部、26 画像メモリ、27 測定部、28 測定結果メモリ、29,29A,29B 制御部、30 入力装置、31 ボディマーク設定部、41 画像取得部、42,42B ジェル領域検出部、43,43A,43B プロセッサ、51 パルサ、52 増幅部、53 AD変換部、54 ビームフォーマ、55 信号処理部、56 DSC、57 画像処理部、61 報知部、62 確認部、71L,71R ボディマーク、73 腋窩領域、A 内側上部領域、B 内側下部領域、C 外側上部領域、D 外側下部領域。

Claims (15)

  1. 超音波プローブを用いることにより被検体の左右対称に配置されている測定部位に対して検査者が超音波検査を行うための超音波診断装置であって、
    前記被検体の検査位置に塗布されたジェル領域の時間的変化を検出するジェル領域検出部と、
    前記ジェル領域検出部により前記ジェル領域の時間的変化が検出された位置に基づいて前記被検体の前記検査位置を推定する検査位置推定部と
    を備える超音波診断装置。
  2. 前記測定部位は、乳房、腎臓および肺のうちのいずれかである請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記被検体の体表温度とは異なる温度の前記ジェルが前記被検体の前記検査位置に塗布され、
    前記ジェル領域検出部は、
    前記被検体の体表の温度分布を取得する温度センサと、
    前記温度センサにより取得された前記温度分布を解析することにより前記被検体に塗布された前記ジェル領域の時間的変化を検出する時間的変化検出部と
    を含む請求項1または2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記時間的変化検出部は、前記温度センサにより取得された前記温度分布から前記超音波プローブおよび前記検査者の手を除外して前記ジェル領域の時間的変化を検出する請求項3に記載の超音波診断装置。
  5. 前記検査者に報知を行う報知部を備える請求項3または4に記載の超音波診断装置。
  6. 前記被検体の体表温度よりも高い温度の前記ジェルが前記被検体の前記検査位置に塗布され、
    前記報知部は、前記温度センサにより取得された前記ジェル領域の温度が定められた第1温度以下に低下した場合に警告を発する請求項5に記載の超音波診断装置。
  7. 前記報知部は、前記温度センサにより取得された前記被検体の体表温度が定められた第2温度以上である場合に警告を発する請求項5または6に記載の超音波診断装置。
  8. 前記報知部は、前記温度センサにより取得された前記温度分布に基づいて前記超音波プローブおよび前記検査者の手が前記被検体の近傍に位置することが検出されるにも関わらずに前記ジェル領域検出部により前記ジェル領域の時間的変化が検出されない場合に警告を発する請求項5~7のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  9. 前記被検体の体表のカラーとは異なるカラーの前記ジェルが前記被検体の前記検査位置に塗布され、
    前記ジェル領域検出部は、
    前記被検体の体表におけるカラー分布を取得するカラーセンサと、
    前記カラーセンサにより取得された前記カラー分布を解析することにより前記被検体に塗布された前記ジェル領域の時間的変化を検出する時間的変化検出部と
    を含む請求項1または2に記載の超音波診断装置。
  10. 超音波プローブと、
    前記超音波プローブを用いて超音波ビームの送受信を行うことにより前記被検体の前記検査位置における超音波画像を取得する画像取得部と、
    前記超音波画像を表示するモニタと
    を備える請求項1~9のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  11. 前記検査位置推定部により推定された前記被検体の前記検査位置に基づいてボディマークを前記モニタに表示するボディマーク設定部を備える請求項10に記載の超音波診断装置。
  12. 前記ボディマーク設定部は、前記検査位置推定部により推定された前記被検体の前記検査位置に基づいて、前記被検体の左右対称に配置されている前記測定部位を表す一対のボディマークのうちの一方を選択して前記モニタに表示する請求項11に記載の超音波診断装置。
  13. 前記ボディマーク設定部は、前記検査位置推定部により推定された前記被検体の前記検査位置に基づいてプローブマークが描かれたボディマークを前記モニタに表示する請求項12に記載の超音波診断装置。
  14. 前記モニタに表示された前記ボディマークが正しいか否かを確認するダイアログを前記モニタに表示する確認部を備える請求項12または13に記載の超音波診断装置。
  15. 超音波プローブを用いることにより被検体の左右対称に配置されている測定部位に対して検査者が超音波検査を行うための超音波診断装置の制御方法であって、
    前記被検体の検査位置に塗布されたジェル領域の時間的変化を検出し、
    前記ジェル領域の時間的変化が検出された位置に基づいて前記被検体の前記検査位置を推定する
    超音波診断装置の制御方法。
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