JP2023139443A - 人工股関節ステムの構造および製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高濃度薬剤をステム周囲に滲出させ、「局所・高濃度・長期放出機能」を発揮させる人工関節を提供する。【解決手段】無機質繊維を強化材とした複合材成形品である上部構造体1Aと下部構造体1Bとからなり、上部構造体1Aは、正面矢視逆三角状トラス構郭であり、この逆三角状トラス構郭内には蓋板体1Cにより開閉可能な逆三角状薬剤貯留槽9が形成される。薬剤貯留槽9は遠位部側端および近位部側端に開口9a、9bを有する一方、下部構造体1Bは薬剤貯留槽9の遠位部側端から上部構造体1Aに嵌着され、その軸芯部には薬剤貯留槽9の遠位部側端4から骨幹領域5へと延びる薬剤管路11が形成され、高濃度薬剤を薬剤貯留槽9からステム周囲に滲出させる徐放用小孔12が上部構造体1A、下部構造体1Bに設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は人工股関節ステムの構造およびその製造法に係り、詳しくは、人工股関節の施術中にブドウ状球菌などの細菌に感染した患者を救済するために、ステムの内部に抗菌剤を封入し、1か月程度の期間で徐放させることにより治療に供しようとするものである。
特許文献1である特開2006-271575の「人工関節ステム」に示すように、本件発明者は、すでに原理というべき技術を提案している。その発明では、薬剤を内部に収納した後、多数の小穴を貫通させ、その穴から感染症が発症しているステムと大腿骨の接触部に薬剤を拡散させようとするものである。
ところで、当該発明の経緯は以下のとおりである。人工股関節インプラントは、関節の変性疾患や外傷などに伴い機能低下した関節の機能再建が可能で、長年にわたり患者の生活の質向上に大きく貢献してきた。時代とともに素材やデザインなどのインプラントの改良が行われ、現在では軽いスポーツ活動が可能となるほどの機能が向上し、20年以上の長期耐用性、合併症率の軽減を実現できている。
しかしながら、人工関節後のインプラント周囲感染には未だ解決に至っていない問題の一つである。手術操作の改善や抗生剤投与などで従来から比べると感染率は低くはなっているものの、ある一定の確率では手術創からの持ち込みによる感染が生じている。
また、胆のう炎や腎盂腎炎など他臓器の感染からの血行性感染も一定の頻度で生じうる。人工股関節手術患者の感染率は初回人工関節手術で0.2%~4.8%、再置換術では0.5%~17.3%程度の発生と言われている。我が国では人工股関節手術は10万件を超えて行われており、単純計算でも初回人工関節手術だけでも実数で200人~5000人の患者がいると考えられている。超高齢化社会である現在、今後の動向として人工股関節手術は増加傾向にあり、また感染のリスクが高い年齢層が増加していることは、いわゆる創部感染のみならず他臓器の感染からの血行性感染を引き起こすリスクも上昇することが懸念される。
人工関節後のインプラント周囲感染を一旦生じてさせてしまうと、細菌が人工物表面でバイオフィルムを形成し抗生剤が届きにくい環境となるため、治療は難渋する。現在のインプラント周囲感染の治療は、外科的手術により感染部位の掻爬及びインプラント抜去を行い、人工関節が抜去された関節に抗生剤入りセメントを入れておき、抗生剤入りセメントの局所に徐放効果と点滴による抗生剤全身投与により感染を鎮静化させ、3ヶ月以上の期間感染が再燃しないことを確認した後、再度外科的手術でインプラント再建を行う「二期的再建術」が標準的である。
二期的再建術において、インプラント抜去後に抗生剤入りセメントを入れておくことで、局所への抗生剤徐放効果により治療成功率を向上させることは示されており、90%以上の感染治癒率が報告されている。しかしながら、再建術を行うためには完全に感染が沈静化されてなければならず治療期間が長期化することや、複数回の手術を要することなどが課題となっている。さらには、インプラントを抜去してしまうため、荷重がかけられないことにより骨や筋肉の萎縮が起こったり、筋肉の短縮による拘縮を生じたりなど、廃用による著しい機能低下を生じることが課題であり、インプラント再挿入後の満足度は低い。
また、インプラントを抜去されている間、患者は自宅での生活は困難となり、車いす生活を強いられ、動作時の疼痛があるなど、生活の質が著しく損なわれてしまうことも大きな問題である。このように一旦インプラント周囲感染を生じた際に治療が長期化し、廃用による機能低下や、患者の生活の質を著しく損なうことから、人工関節後のインプラント周囲感染対策は喫緊の課題と考えられる。
特開2006-271575
「感染治療機能を有する人工関節の開発」は、「医療機器である人工股関節インプラントと薬剤(抗菌系薬物)を組み合わせたコンビネーション製品」の提供であり、「関節再建機能」と抗菌剤の「局所・高濃度・長期放出機能」を併せ持つ感染治療用人工股関節インプラントを実現しようとするものである。
現在の人工関節インプラント周囲感染の治療は、人工関節抜去→抗生剤治療→再度人工関節挿入という流れで、複数回の手術を必要とし、少なくとも3ヶ月以上の治療期間が必要となり、人工関節を再挿入するまでの期間は歩行が不可能で廃用による機能低下も問題となっている。本提案は今まで複数回手術で長期間かけて行っていた人工関節後のインプラント周囲感染の治療を一期的手術で短期間に完結可能にしようという取り組みであり、治療期間の大幅な短縮、廃用による機能低下防止、医療費の大幅な削減が期待できる。
既存の金属製インプラントでは表面に抗菌コーティングをすることは試みられているが、十分な量の薬剤を担持する加工は困難であるため、高濃度の薬剤を長期間徐放する機能は実現不可能で、本発明は、感染治療用のインプラントは未だ世に存在しない事情に鑑みなされたものである。それを実現するために、人工股関節を現在の金属製(X線透過機能のない)から炭素繊維強化Poly-Ether-Ether-Ketone(PEEK)製とし、その「金属よりも優れた疲労強度」という材料特性とものづくり技術を生かして、金属では実現不可能な内部の空洞と薬剤流出用の小孔を加工し、人工関節内部に薬剤を入れた「局所・高濃度・長期放出機能」を有する人工関節を提供することである。
さらに炭素繊維強化PEEK表面に骨との固定獲得するための加工を施し、通常の人工関節と同様に、荷重をかけ関節運動が行えるよう「関節機能再建も感染治療と同時に行うことができる」ようにしようとする。
本発明は、大転子を避け大腿骨の骨端領域から骨幹領域に向けて形成した窄孔に挿入され、薬剤を担持し、その薬剤を窄孔に滲出させるセメントレス型人工股関節用ステムに適用される。その特徴とするところは、図1を参照して、ステム1は熱可塑性樹脂をマトリックスとし、無機質繊維を強化材とした複合材成形品である上部構造体1Aと下部構造体1Bとからなり、上部構造体1Aは、正面矢視逆三角状トラス構郭であり、この逆三角状トラス構郭内には蓋板体1Cにより開閉可能な逆三角状薬剤貯留槽9が形成される。
薬剤貯留槽9は遠位部側端および近位部側端に開口9a、9bを有する一方、下部構造体1Bは薬剤貯留槽9の遠位部側端から上部構造体1Aに嵌着され、その軸芯部には薬剤貯留槽9の遠位部側端4から骨幹領域5へと延びる薬剤管路11が形成され、高濃度薬剤を薬剤貯留槽9からステム周囲に滲出させる徐放用小孔12が上部構造体1A、下部構造体1Bに設けられていることである。
図3に示すように、蓋板体1Cは、上部構造体1Aの表皮の一部をなしてスライドし、その前縁14は爪状をなし、薬剤貯留槽9の開口縁には爪状前縁14が嵌る縁周溝15が形成されている。
徐放用小孔12は薬剤貯留槽9の蓋板体1Cにも設けられている。
上記のいずれのステムにあっても、製造法の発明は、上部構造体1Aを、ポリエーテルエーテルケトンといった樹脂をマトリックスとしたプリプレグシートを平積みして成形し、下部構造体1Bは、PEEK樹脂製プリプレグシートを図5(a)に示すごとく、紡錘状に平積みして成形し(図7(c)を参照)、上部構造体1Aと下部構造体1Bとは、それぞれの表面をPEEK樹脂製シートで覆って表層を形成させ、下部構造体1Bを上部構造体1Aに差し込み(図5(b)を参照)、熱溶着により一体化が図られる。
本発明によれば、ステムを上部構造体と下部構造体とからなる複合材成形品、すなわち、熱可塑性樹脂をマトリックスとし、無機質繊維を強化材としたので、大腿骨の骨端領域から骨幹領域に向けて形成した窄孔に挿入するときなど、X線透過特性を利して、ステムの存在に影響を受けることなく人工股関節の施術をすることができる。複合材成形品であるからチタン合金などの金属製よりは疲労強度が高く、術後の耐久性のあるステムとしておくことができる。
上部構造体は、正面矢視逆三角状トラス構郭であり、逆三角状トラス構郭内に蓋板体により開閉可能な逆三角状薬剤貯留槽が形成されているから、この槽に所望する薬剤を担持させておくことができるようになる。下部構造体は上部構造体に嵌着され、その軸芯部には薬剤貯留槽から骨幹領域へと延びる薬剤管路が形成され、濃薬剤を薬剤貯留槽からステムの全長に亘って流通させることできる。上部構造体、下部構造体には小孔が設けられているので、薬剤貯留槽から高濃度薬剤をステム周囲に滲出させるべく徐放させることができる。
蓋板体は上部構造体の表皮の一部をなしてスライドし、その前縁は爪状をなして、薬剤貯留槽の開口縁には爪状前縁が嵌る縁周溝が形成されていることから、薬剤貯留槽から薬剤の大量流出を阻止しておくことができる。
なお、徐放用小孔は薬剤貯留槽の蓋板体にも設けられているから、上部構造体からの徐放もなされ、ステムほぼ全周囲からの薬剤の拡散が図られ、また、窄孔内の体液との混合もなされる。
上部構造体は、プリプレグシートを平積みによる成形によって、上部構造体内に曲面積層では造形不可能な逆三角状薬剤貯留槽を造形することが可能となる。一方、下部構造体は紡錘状であるゆえ(図5(a)、(b)参照)に曲率半径が小さくシートの浮きや跳ね上がりが生じやすい曲面積層を避けて平積みにより成形できる。いずれの構造体にあってもエアボイドの発生や残留の排除は可及的に達成され。上部構造体と下部構造体とは、それぞれの表面をPEEK樹脂製シートで覆って表層を形成させ、下部構造体を上部構造体に差し込み、表層の熱溶着が図られ、上部構造体と下部構造体との平積み部の樹脂軟化溶融も加わって一体性は高まる。薬剤貯留槽の構郭が得られるに十分な剛性が発揮され、かつ、X線透過特性を発揮する人工股関節ステムが実現される。
本発明に係る人工股関節ステムの構造を反映したステムの全体外観図および内部図。 ステムの大腿骨装着部位図。 上部構造体と薬剤貯留槽の蓋板体の斜視図。 上部構造体の逆三角状トラス構郭を形成する力学モデル図。 下部構造体の紡錘状外観とその内部図。 上部構造体と下部構造体の一体化の模式図。 上部構造体における平積みの模式図。
ところで、既成のステムの形状に完全一致する窄孔を個人差のある大腿骨に形成することは実質的に不可能である。そこで、形状や強さが患者によって異なることを配慮しつつ大腿骨にオーバサイズの窄孔を形成し、そこにセメントを流し込んで接着する方法と、窄孔をアンダサイズにしてタイトに嵌め込むとともに骨の自力再生を促し一体化させる固定方法とのいずれかが採用される。前者の方法で固定できるまでの時間は後者のそれよりも短くて済むが、セメントから未反応モノマーが溶出することがあるといったことや、再手術時のステム引抜きが困難となること、さらには肺塞栓症を引き起こすおそれが高くなることなどから、最近ではセメントレス型の人工股関節用ステムの開発が盛んになってきている。
以下に、本発明に係る人工股関節ステムの構造を、その実施の形態を表した図面に基づいて詳細に説明する。この発明は、製造法にも及ぶが、その前に、薬担ステム構造の概要を述べる。ステム内部に大量(感染症治療に必要かつ十分な量)の薬剤を搭載可能なステムとしていることである。この提案では、中央部の箱型空洞部と、それに接続する円柱状の空洞部をステム内部に設置し、これらの空洞部を薬担(薬剤・薬液等の担持空間)として活用しようとするものである。
まず、ここで述べる人工股関節用ステム1とは、図2に示すように、大転子2を避けて大腿骨3の骨端領域4から骨幹領域5に向けて形成した窄孔6に挿入され、バイコマイシンやその希釈率等の薬剤を担持し、この薬剤を窄孔6に滲出させようとするセメントレスタイプである。なお、図中の1aは骨盤7の寛骨臼8に嵌り、荷重伝達を果たす大腿骨骨頭である。
このステム1は熱可塑性樹脂をマトリックスとし、無機質繊維を強化材とした複合材成形品である上部構造体1Aと下部構造体1Bとからなる。その上部構造体1Aは、図1(a)および図3に示すように、正面矢視逆三角状トラス構郭であり、逆三角状トラス構郭内には蓋板体1C(図3を参照)により開閉可能な逆三角状薬剤貯留槽9が形成されている。この槽には所望する薬剤を担持させておくことができる。
この薬剤貯留槽9は近位部側端および遠位部側端に臨む部位では開口9a、9b (図1(b)を参照)を有する一方、下部構造体1Bは薬剤貯留槽9の遠位部側端から上部構造体1Aに嵌着される。なお、嵌着穴10は図5(b)に示すように中空円錐台のごときの窪みであり、下部構造体の紡錘状の上半部が嵌る構造となっている。軸芯部には薬剤貯留槽9の遠位部側端から骨幹領域へと延びる薬剤管路11が形成され、高濃度薬剤を薬剤貯留槽9からステム周囲に滲出させる徐放用小孔12(図1(b)や図3を参照)が上部構造体1A、下部構造体1Bに設けられている。
このように、ステムを上部構造体1Aと下部構造体1Bとからなる複合材成形品、すなわち、熱可塑性樹脂をマトリックスとし、無機質繊維を強化材としているので、大腿骨の骨端領域から骨幹領域に向けて形成した窄孔6(図2を参照)に挿入するときなど、X線透過特性を利用して、ステムの存在に影響を受けることなく、すなわち、ステムの蔭になって背後が見れなくなるなどのことはなくなり、人工股関節の施術を行いやすくなる。複合材成形品であるからチタン合金などの金属製よりは疲労強度が高く、術後の耐久性のあるステムとしておくことができる。ましてや。チタン製のステムでは薬剤貯留槽を内部に形成することができないが、その弱点をもカバーする。
図1のごとく、上部構造体1A、下部構造体1Bには小孔12が設けられ、周囲に薬剤を滲出させるべく徐放できる。薬剤貯留槽9から高濃度薬剤をステム周囲に時間を掛けて滲出させるべく徐放させることができる。なお、後でも触れるが、この小孔12から薬剤が漏出するだけでなく、小孔12に循環してきたリンパ液などの体液の出入りも許容する。薬剤を伴ったもしくは溶け込んだ混合液として流通する。結局や薬剤が出放しになるのでなくて浸透圧現象により時間を掛けて徐々に流出入させることができるようになる。
上部構造体1Aは、図4(b)の解析モデルがなりたち、そのモーメント分布16からフレーム構造は有限要素解析法(FEM)に供して十分許容し得ることが判明している。すなわち、大腿骨頭1aに入る荷重Fに基づき図4(a)のごとくの正面矢視逆三角状トラス構郭が可能であり、逆三角状トラス構え郭内に蓋板体1Cにより開閉可能な逆三角状薬剤貯留槽9が形成でき、この槽に上記したごとく所望する薬剤を担持させておくことができる。下部構造体1Bは上部構造体1Aに嵌着され(図5(b)を参照)、その軸芯部には薬剤貯留槽9から骨幹領域へと延びる薬剤管路11(図1(b)を参照)が形成され、濃薬剤を薬剤貯留槽9からステムの全長に亘って流通させることできる。なお、図中の13はステムが窄孔6内で沈み込むのを防止するため窄孔6の上縁に支えさせるフックである。
図3に示すように、蓋板体1Cは、スライドして上部構造体1Aの表皮の一部をなし、その前縁14は爪状をなし、薬剤貯留槽9の開口縁には爪状前縁14が嵌る縁周溝15が形成されている。もちろん、蓋板体1Cは薬剤貯留槽9から薬剤の大量流出を阻止しておくことができる緊密性を発揮するものである。
徐放用小孔12は薬剤貯留槽9の蓋板体1Cにも設けられ、上部構造体1Aからの徐放もなされ、ステムほぼ全周囲からの薬剤の拡散が図られ、また、窄孔内の体液との混合もなされる。
ここでステムの成形について触れる。上部構造体1Aは、プリプレグシートを図7(b)、(c)に示すように積層薄片1bを平積みによる成形によって。上部構造体内に、曲面積層では造形不可能な逆三角状薬剤貯留槽9を造形することが可能になる(図7(a)を参照)。一方、下部構造体1Bは図5(a)に示すように紡錘状であるゆえに曲率半径が小さくシートの浮きや跳ね上がりが生じやすい曲面積層を避けて平積みにより成形できる。いずれの構造体にあってもエアボイドの発生や残留の排除は可及的に達成される。上部構造体1Aと下部構造体1Bとは、それぞれの表面をPEEK樹脂製シートで覆って表層を形成させ、下部構造体1Bを上部構造体1Aに差し込み、表層の熱溶着が図られ、上部構造体1Aと下部構造体1Bとの平積み部の樹脂軟化溶融も加わって一体性は高まる。薬剤貯留槽の構郭が得られるに十分な剛性が発揮され、かつ、X線透過特性を発揮する人工股関節ステムを実現できる。
ステムの上部構造体は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)といった樹脂をマトリックスとしたプリプレグシートを平積みして成形し、下部構造体は、PEEK樹脂製プリプレグシートを紡錘状に平積みして成形し、上部構造体と下部構造体とは、それぞれの表面をPEEK樹脂製シートで覆って表層を形成させ、下部構造体を上部構造体に差し込み、熱溶着により一体化が図られている。この平積みの手法により、下部構造体のように繊維強化樹脂による成形を可能にしているのである。
1:人工股関節用ステム、1A:上部構造体、1B:下部構造体、1C:蓋板体、 、1a:骨頭、1b:積層薄片、2:大転子、3:大腿骨、4:骨端領域、5:骨幹領域、6:窄孔、7:骨盤、8:寛骨臼、9:薬剤貯留槽、9a、9b:開口、10:嵌着穴、11:薬剤管路、12:小孔、13:フック、14:爪状前縁、15:縁周溝。16:モーメント分布。



Claims (4)

  1. 大転子を避けて大腿骨の骨端領域から骨幹領域に向けて形成した窄孔に挿入され、薬剤を担持し、該薬剤を前記窄孔に滲出させるセメントレス型人工股関節用ステムにおいて、
    該ステムは熱可塑性樹脂をマトリックスとし、無機質繊維を強化材とした複合材成形品である上部構造体と下部構造体とからなり、該上部構造体は、正面矢視逆三角状トラス構郭であり、該逆三角状トラス構郭内には蓋板体により開閉可能な逆三角状薬剤貯留槽が形成され、
    該薬剤貯留槽は遠位部側端および近位部側端に開口を有する一方、前記下部構造体は前記薬剤貯留槽の遠位部側端から前記上部構造体に嵌着され、その軸芯部には前記薬剤貯留槽の遠位部側端から前記骨幹領域へと延びる薬剤管路が形成され、高濃度薬剤を前記薬剤貯留槽からステム周囲に滲出させる徐放用小孔が前記上部構造体、下部構造体に設けられていることを特徴とする人工股関節ステムの構造。
  2. 前記蓋板体は、上部構造体の表皮の一部をなしてスライドし、その前縁は爪状をなし、前記薬剤貯留槽の開口縁には該爪状前縁が嵌る縁周溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載された人工股関節ステムの構造。
  3. 前記徐放用小孔は前記薬剤貯留槽の蓋板体にも設けられていることを特徴とする請求項1に記載された人工股関節ステムの構造。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の薬担構造を備えたステムにあって、前記上部構造体は、ポリエーテルエーテルケトンといった樹脂をマトリックスとしたプリプレグシートを平積みして成形し、前記下部構造体は、PEEK樹脂製プリプレグシートを紡錘状に平積みして成形し、前記上部構造体と前記下部構造体とは、それぞれの表面をPEEK樹脂製シートで覆って表層を形成させ、前記下部構造体を前記上部構造体に差し込み、熱溶着により一体化が図られていることを特徴とする人工股関節ステムの製造法。

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