JP2023137894A - 運転支援装置、運転支援方法、およびプログラム - Google Patents

運転支援装置、運転支援方法、およびプログラム Download PDF

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Keisuke Oka
陽平 北原
Yohei Kitahara
峻也 石川
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Abstract

Figure 2023137894000001
【課題】対象物体の周辺状況に応じた適切な予備動作を行うこと。
【解決手段】第1予備動作制御部は、前記対象物体と前記車両との接近度合いが第2条件を満たし、且つ前記特定条件を満たす場合、第1予備動作を抑制した第1予備動作を行う。第2予備動作制御部は、前記対象物体と前記車両との接近度合いが第3条件を満たし、前記第3条件が満たされた時点において、前記対象物体の側方の走路のいずれにも前記操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定され、前記特定条件が満たした場合に、第2予備動作を抑制した第2予備動作を行う。前記特定条件は、加速が必要とされる場面に前記車両が遭遇していることである。
【選択図】図1

Description

本発明は、運転支援装置、運転支援方法、およびプログラムに関する。
近年、自動減速制御と自動操舵制御を行う車両制御装置の発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2020-50010号公報
自動減速制御に加えて自動操舵制御を行うことが可能な車両では、車両の周辺環境の急変にも迅速に対応できる確率が高くなり、制御の余裕度が比較的高くなる。一方で、対象物体の側方に回避スペースが無い場合は自動操舵制御が困難になるため、制御の余裕度は自動減速制御のみ行う車両と変わらないことになる。従来の技術では、このような環境の相違に応じた動作を行うことができない場合があった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、対象物体の周辺状況に応じた適切な予備動作を行うことができる運転支援装置、運転支援方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
この発明に係る運転支援装置、運転支援方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る運転支援装置は、車両の前方に存在する物体の存在を検知する検知デバイスの出力を参照し、前記物体のうち対象物体と前記車両との接近度合いが第1条件を満たす場合に、前記車両の制動装置に指示して前記車両を停止させる制動制御部と、前記対象物体との接触を操舵により回避するように、前記車両の操舵装置に指示する操舵回避制御部と、を備え、前記制動制御部は、第1予備動作制御部と、第2予備動作制御部とを含み、前記第1予備動作制御部は、前記対象物体と前記車両との接近度合いが第2条件を満たし、且つ特定条件を満たさない場合、第1予備動作を行い、前記対象物体と前記車両との接近度合いが第2条件を満たし、且つ前記特定条件を満たす場合、第1予備動作を抑制した第1予備動作を行い、前記第2予備動作制御部は、前記対象物体と前記車両との接近度合いが第3条件を満たし、前記第3条件が満たされた時点において、前記対象物体の側方の走路のいずれにも前記操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定され、前記特定条件が満たされない場合に、第2予備動作を行い、前記対象物体と前記車両との接近度合いが第3条件を満たし、前記第3条件が満たされた時点において、前記対象物体の側方の走路のいずれにも前記操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定され、前記特定条件が満たされた場合に、第2予備動作を抑制した第2予備動作を行い、前記第1条件は前記第2条件よりも、接近度合いが高い場合に満たされる条件であり、前記第2条件は前記第3条件よりも、接近度合いが高い場合に満たされる条件であり、前記特定条件は、加速が必要とされる場面に前記車両が遭遇していることである。
(2):上記(1)の態様において、前記特定条件は、前記車両が他の車両が加速する場面または前記車両の速度が抑制される場面に遭遇していることである。
(3):上記(1)または(2)の態様において、前記場面は、前記車両が、上り勾配の道路を走行している場面、有料道路の入口を通過した場面、有料道路の出口を通過した場面、サービスエリアの出口を通過した場面、支線から本線に合流する場面、本線から支線に合流する場面である。
(4):上記(1)から(3)のうちいずれかの態様において、前記第1予備動作または前記第2予備動作の抑制とは、前記第1予備動作または前記第2予備動作を行うタイミングを遅らせることである。
(5):上記(4)の態様において、前記第1予備動作または前記第2予備動作は、前記車両の減速度合を上昇させる動作、または前記車両の運転者に報知を行う動作である。
(6):上記(1)から(5)のいずれかの態様において、前記第1予備動作または前記第2予備動作とは、前記車両の減速度合を上昇させる動作であり、前記第1予備動作または前記第2予備動作の抑制とは、前記減速度合の上昇度合を抑制することである。
(7):上記(1)から(6)のいずれかの態様において、前記第1予備動作または前記第2予備動作は、前記車両の運転者に報知を行う動作であり、前記第1予備動作または前記第2予備動作の抑制とは、前記車両の運転者に行う報知の度合を抑制することである。
(8):上記(1)から(7)のいずれかの態様において、前記第1予備動作制御部または前記第2予備動作制御部は、前記場面の種別に応じて、前記抑制の度合、または抑制の態様を決定する。
(9):上記(1)から(8)のいずれかの態様において、前記場面は上り勾配の道路を走行している場面であり、前記第1予備動作制御部または前記第2予備動作制御部は、前記上り勾配の傾きに応じて、前記抑制の度合、または抑制の態様を決定する。
(10):この発明の一態様に係る運転支援方法は、運転支援装置が、車両の前方に存在する物体の存在を検知する検知デバイスの出力を参照し、前記物体のうち対象物体と前記車両との接近度合いが第1条件を満たす場合に、前記車両の制動装置に指示して前記車両を停止させ、前記対象物体との接触を操舵により回避するように、前記車両の操舵装置に指示し、前記対象物体と前記車両との接近度合いが第2条件を満たし、且つ特定条件を満たさない場合、第1予備動作を行い、前記対象物体と前記車両との接近度合いが第2条件を満たし、且つ前記特定条件を満たす場合、第1予備動作を抑制した第1予備動作を行い、前記対象物体と前記車両との接近度合いが第3条件を満たし、前記第3条件が満たされた時点において、前記対象物体の側方の走路のいずれにも前記操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定され、前記特定条件が満たされない場合に、第2予備動作を行い、前記対象物体と前記車両との接近度合いが第3条件を満たし、前記第3条件が満たされた時点において、前記対象物体の側方の走路のいずれにも前記操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定され、前記特定条件が満たされた場合に、第2予備動作を抑制した第2予備動作を行い、前記第1条件は前記第2条件よりも、接近度合いが高い場合に満たされる条件であり、前記第2条件は前記第3条件よりも、接近度合いが高い場合に満たされる条件であり、前記特定条件は、加速が必要とされる場面に前記車両が遭遇していることである。
(11):この発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、車両の前方に存在する物体の存在を検知する検知デバイスの出力を参照し、前記物体のうち対象物体と前記車両との接近度合いが第1条件を満たす場合に、前記車両の制動装置に指示して前記車両を停止させる処理と、前記対象物体との接触を操舵により回避するように、前記車両の操舵装置に指示する処理と、前記対象物体と前記車両との接近度合いが第2条件を満たし、且つ特定条件を満たさない場合、第1予備動作を行う処理と、前記対象物体と前記車両との接近度合いが第2条件を満たし、且つ前記特定条件を満たす場合、第1予備動作を抑制した第1予備動作を行う処理と、前記対象物体と前記車両との接近度合いが第3条件を満たし、前記第3条件が満たされた時点において、前記対象物体の側方の走路のいずれにも前記操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定され、前記特定条件が満たさない場合に、第2予備動作を行う処理と、前記対象物体と前記車両との接近度合いが第3条件を満たし、前記第3条件が満たされた時点において、前記対象物体の側方の走路のいずれにも前記操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定され、前記特定条件が満たした場合に、第2予備動作を抑制した第2予備動作を行う処理と、前記第1条件は前記第2条件よりも、接近度合いが高い場合に満たされる条件であり、前記第2条件は前記第3条件よりも、接近度合いが高い場合に満たされる条件であり、前記特定条件は、加速が必要とされる場面に前記車両が遭遇していることである。
上記の態様によれば、対象物体の周辺状況に応じた適切な予備動作を行うことができる。
実施形態の運転支援装置が搭載される車両の構成図である。 運転支援装置の機能の概要を示す図である。 操舵回避制御部の作動場面の一例を示す図である。 予備動作について説明するための図である。 運転支援装置により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。 特定条件を満たした場合に実行される制御について説明するための図(その1)である。 特定条件を満たした場合に実行される制御について説明するための図(その2)である。 特定条件を満たした場合に実行される制御について説明するための図(その3)である。 特定条件を満たした場合に実行される制御について説明するための図(その4)である。 特定条件を満たした場合に実行される制御について説明するための図(その4)である。 本線から支援に合流する場面の一例を示す図である。 制御パターン情報140の内容の一例を示す図である。 制御パターン情報142の内容の一例を示す図である。
以下、図面を参照し、本発明の運転支援装置、運転支援方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
[全体構成]
図1は、実施形態の運転支援装置100が搭載される車両Mの構成図である。車両Mは、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
車両Mには、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、LIDAR(Light Detection and Ranging)14と、物体認識装置16と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、運転操作子80と、運転支援装置100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とが搭載される。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される車両(以下、車両M)の任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
レーダ装置12は、車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置12は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
LIDAR14は、車両Mの周辺に光(或いは光に近い波長の電磁波)を照射し、散乱光を測定する。LIDAR14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。LIDAR14は、車両Mの任意の箇所に取り付けられる。
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置16は、認識結果を運転支援装置100に出力する。物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14の検出結果をそのまま運転支援装置100に出力してよい。車両システム1から物体認識装置16が省略されてもよい。カメラ10、レーダ装置12、LIDAR14、および物体認識装置16のうち一部または全部は、「検知デバイス」の一例である。
HMI30は、車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、振動発生装置(バイブレータ)、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。
車両センサ40は、車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機や案内制御部、地図情報を記憶した記憶部等を有する。GNSS受信機は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、車両Mの位置を特定する。車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。案内制御部は、例えば、GNSS受信機により特定された車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、乗員により入力された目的地までの経路を、地図情報を参照して決定し、車両Mが経路に沿って走行するようにHMI30に案内情報を出力させる。地図情報は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。地図情報は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報などを含んでもよい。ナビゲーション装置50は、通信装置を介してナビゲーションサーバに車両Mの現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから経路を取得してもよい。
運転操作子80は、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリングホイール、シフトレバー、その他の操作子を含む。運転操作子80には、操作量あるいは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一部または全部に出力される。
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するECU(Electronic Control Unit)とを備える。ECUは、運転支援装置100から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ECUとを備える。ECUは、運転支援装置100から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、運転支援装置100から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、運転支援装置100から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
[運転支援装置]
運転支援装置100は、例えば、制動制御部110と、操舵回避制御部120と、第2予備動作制御部130とを備える。制動制御部110は、第1予備動作制御部112を含み、第2予備動作制御部130は、操舵回避可否判定部132を含む。これらの機能部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め運転支援装置100のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで運転支援装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
運転支援装置100から走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220への指示は、運転操作子80からの検出結果よりも優先して実行されるように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220の内部において設定がなされている。なお、制動に関しては、運転支援装置100からの指示よりもブレーキペダルの操作量に基づく制動力の方が大きい場合は、後者を優先して実行するように設定されてもよい。また、運転支援装置100からの指示を優先して実行するための仕組みとして、車内LANにおける通信優先度が用いられてもよい。
図2は、運転支援装置100の機能の概要を示す図である。以下、本図と図1を参照しながら運転支援装置100の各部について説明する。図2において車両Mは三車線の道路を走行しており、その中央にある車線L2に居る。Dは車両Mの進行方向である。
制動制御部110は、車両Mの前方に存在する物体の存在を検知する検知デバイス(前述)の出力を参照し、物体のうち対象物体TOと車両Mとの接近度合いが第1条件を満たす場合に、ブレーキ装置210および/または走行駆動力出力装置200に指示して車両Mを減速させ、停止させる。対象物体TOは、車両Mと同じ走路上にあり、且つ車両Mの進行方向側にある物体であって、マンホールなどの乗り越え可能な物体を除く、車両Mが接触を回避すべき物体である。制動制御部110は、そのような物体を抽出して対象物体TOに設定する。図2の例では、従来の最後尾にいる他車両が対象物体TOに設定されている。走路とは、例えば車線であるが、道路区画線が存在しない路面において車両Mが仮想的に設定する仮想車線であってもよい。以下の説明においても同様である。
「接近度合い」とは、物体間の接近度合いを示す各種の指標値で表されるものである。例えば、「接近度合い」は距離を相対速度(互いに接近する方向を正とする)で除算して求められる指標値であるTTC(Time To Collision)である。なお相対速度が負(互いに離れる方向)である場合、TTCは仮に無限大に設定される。TTCは、値が小さい程、「接近度合い」が高いことを表す指標値である。そして、「第1条件」を満たすとは、例えばTTCが第1閾値Th1未満であることである。第1閾値Th1は、例えば、1コンマ数[sec]程度の値である。TTCに代えて、同様の性質を有する指標値、例えば車頭時間や距離、その他の指標値が「接近度合い」として用いられてもよい。また、加速度やジャークを加味して調整されたTTCが「接近度合い」として用いられてもよい。以下の説明において、「接近度合い」はTTCであるものとして説明する。
制動制御部110は、TTCが第1閾値Th1未満である場合、例えば車両Mを第1減速度B1で減速させる制動力を出力するようにブレーキ装置210および/または走行駆動力出力装置200に指示する。第1減速度B1は、例えば、0コンマ数[G](1に近い)程度の減速度である。これによって、制動制御部110は、車両Mを速やかに減速させて停止させ、対象物体TOとの接触を回避する。指示された減速度からブレーキ出力、回生制御量、エンジンブレーキ量などを求める機能は、ブレーキ装置210や走行駆動力出力装置200のECUが有しており、ECUは、指示された減速度と車両Mの速度とに基づいてそれぞれの制御量を決定する。これについては公知技術であり詳細な説明を省略する。
第1予備動作制御部112の動作については後述し、先に操舵回避制御部120について説明する。
図3は、操舵回避制御部120の作動場面の一例を示す図である。操舵回避制御部120は、制動制御部110が対象物体TOよりも手前で車両Mを停止させることが困難であると判定された場合、対象物体TOの側方の走路(例えば車線L1、L2)に車両Mが進行可能なスペースが存在するか否かを判定し、スペースが存在すると判定した場合に、回避軌道ETを生成し、回避軌道ETに沿って車両Mが進行するようにステアリング装置220に指示する(操舵回避)。例えば、操舵回避制御部120は、図3に示す領域A2L、A2Rのように、対象車両TOの両側における対象車両の少し前から後方にかけて延在する側方領域内に物体が存在するか否かを判定し、存在しない場合に、対象物体TOの側方の走路に車両Mが進行可能なスペースが存在すると判定する。制動制御部110が対象物体TOよりも手前で車両Mを停止させることが困難であるか否かの判定は、制動制御部110によって行われてもよいし、操舵回避制御部120によって行われてもよい。操舵回避制御部120は、例えばカメラ画像の白線や路肩を認識することで走路の境界も認識しており、そもそも走行可能な領域A2L、A2Rのいずれかが存在しない場合、例えば車線L1とL3のいずれかが存在しない場合は、当該領域に物体が存在すると判定してよい。
操舵回避が行われるのは、対象物体TOが想定外の減速を行った、認識されている対象物体TOとは別の物体が車両Mと対象物体TOの間に割り込んできて新たな対象車両TOとして設定されたなど、車両の周辺環境の急変が生じた場面である。このような場面において、予め対象車両TOの手前で停止するように計算された減速度では対応できない可能性があるが、操舵回避の機能を有することで、車両の周辺環境の急変にも対応できる確率を高めることができる。
[予備動作]
以下、第1予備動作制御部112および第2予備動作制御部130の処理について説明する。図4は、予備動作について説明するための図である。
第1予備動作制御部112は、対象物体TOと車両Mとの接近度合いが第2条件を満たす場合に(例えば、TTCが、第2閾値Th2未満である場合に)、車両Mの運転者に対象物体TOの存在を伝えるための第1予備動作を行う。第1予備動作は、例えば、TTCが、第2閾値Th2未満となってから、第1閾値Th1未満となるまでの間、車両Mを第2減速度B2で減速させる制動力を出力するようにブレーキ装置210および/または走行駆動力出力装置200に指示する動作である。第2減速度B2は、第1減速度B1よりも小さい(ゼロに近い)減速度である。第2閾値Th2は第1閾値Th1よりも大きい値である。従って、第1条件は第2条件よりも、接近度合いが高い場合に満たされる条件である。
第2予備動作制御部130は、対象物体TOと車両Mとの接近度合いが第3条件を満たし(例えば、TTCが第3閾値Th3未満であり)、且つ、第3条件が満たされた時点において、対象物体TOの側方の走路のいずれにも操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定される場合に、車両Mの運転者に対象物体TOの存在を伝えるための第2予備動作を行う。進行可能なスペースに関する判定は、操舵回避可否判定部132により行われる。第3閾値Th3は第2閾値Th2よりも大きい値である。従って、第2条件は第3条件よりも、接近度合いが高い場合に満たされる条件である。
操舵回避可否判定部132は、例えば、TTCが第3閾値Th3未満となった時点で、図4に示す領域A1L、A1Rのように、対象車両TOの両側における対象車両の少し前から後方にかけて延在する側方領域内に物体が存在するか否かを判定し、存在しない場合に、対象物体TOの側方の走路に車両Mが進行可能なスペースが存在すると判定する。領域A1L、A1Rのそれぞれは、例えば、将来の不確定要因を考慮し、領域A2L、A2Rのそれぞれよりも大きい領域に設定される。操舵回避可否判定部132は、操舵回避制御部120と同様に、例えばカメラ画像の白線や路肩を認識することで走路の境界も認識しており、そもそも走行可能な領域A1L、A1Rのいずれかが存在しない場合、例えば車線L1とL3のいずれかが存在しない場合は、当該領域に物体が存在すると判定してよい。図4の例では、領域A1Rに物体が存在しないため、操舵回避可否判定部132は、対象物体TOの側方の走路に車両Mが進行可能なスペースが存在すると判定する。
第2予備動作は、例えば、TTCが、第3閾値Th3未満となってから、第1閾値Th1未満となるまでの間、まず車両Mを第3減速度B3で減速させる制動力を出力するようにブレーキ装置210および/または走行駆動力出力装置200に指示し、次いで、車両Mを第4減速度B4で減速させる制動力を出力するようにブレーキ装置210および/または走行駆動力出力装置200に指示する動作である。第3減速度B3は、例えば、第2減速度B2よりも小さい(ゼロに近い)減速度であり、第4減速度B4は、第2減速度よりも大きい、または同程度であり、且つ第1減速度B1よりも小さい減速度である。第3減速度B3から第4減速度B4に切り替えるタイミングについては任意に設定されてよい。例えば、対象物体TOと車両Mとの接近度合いが第1.5条件を満たした場合(例えば、TTCが閾値Th1.5未満である場合)、第3減速度B3から第4減速度B4に切り替えられる。第1.5条件は第2条件よりも、接近度合いが高い場合に満たされる条件である。第2条件が満たされた場合に第3減速度B3から第4減速度B4に切り替えられてもよい。
このように、第2予備動作は、第1予備動作に比して、より早いタイミングで開始され、且つ多段階で行われる。前述したように、操舵回避が可能な状況では、車両の周辺環境の急変にも迅速に対応できる確率が高くなり、制御の余裕度が比較的高くなる。一方で、対象物体の側方に回避スペースが無い場合は操舵回避の機能を備えていたとしても、それを実行することが困難になるため、制御の余裕度は自動停止のみ行うことが可能な車両と変わらないことになる。つまり、操舵回避が困難な状況においては、操舵回避が可能な状況に比して、より早くかつ効果的に車両Mの運転者に注意喚起を与えることが好ましい。本実施形態によれば、第2予備動作を、第1予備動作に比して、より早いタイミングで開始し、且つ多段階で行うことにより、対象物体の周辺状況に応じた適切な予備動作を行うことができる。
図5は、運転支援装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、制動制御部110が、対象物体TOを特定する(ステップS1)。次に、第2予備動作制御部130が、車両Mと対象物体TOとのTTCが第3閾値Th3未満であるか否かを判定する(ステップS2)。車両Mと対象物体TOとのTTCが第3閾値Th3以上である場合、ステップS1に処理が戻される。
車両Mと対象物体TOとのTTCが第3閾値Th3未満であると判定した場合、第2予備動作制御部130の操舵回避可否判定部132は、対象物体TOの側方の走路に車両Mが進行可能なスペースが存在するか否かを判定する(ステップS3)。
対象物体TOの側方の走路に車両Mが進行可能なスペースが存在しないと判定された場合、第2予備動作制御部130は、第2予備動作を実行する(ステップS4)。次いで、第2予備動作制御部130は、車両Mと対象物体TOとのTTCが上昇して第3閾値Th3以上となったか否かを判定する(ステップS5)。車両Mと対象物体TOとのTTCが上昇して第3閾値Th3以上となったと判定された場合、ステップS1に処理が戻される。
車両Mと対象物体TOとのTTCが上昇して第3閾値Th3以上となったと判定されなかった場合、制動制御部110が、車両Mと対象物体TOとのTTCが第1閾値Th1未満であるか否かを判定する(ステップS6)。車両Mと対象物体TOとのTTCが第1閾値Th1以上であると判定された場合、ステップS3に処理が戻される。ステップS3で肯定的な判定が得られた場合、第2予備動作が停止され、ステップS8以降の処理が実行される。車両Mと対象物体TOとのTTCが第1閾値Th1未満であると判定した場合、制動制御部110は、車両Mを第1減速度B1で減速させる制動力をブレーキ装置210および/または走行駆動力出力装置200に出力させて車両Mを減速させ、停止させる(ステップS7)。このとき、前述したように、車両Mを減速させて停止させることに代えて(または、加えて)操舵回避が行われる場合がある。
ステップS3において肯定的な判定を得た場合、すなわち車両Mと対象物体TOとのTTCが第3閾値Th3未満であり、且つ対象物体TOの側方の走路に車両Mが進行可能なスペースが存在する場合、制動制御部110の第1予備動作制御部112が、車両Mと対象物体TOとのTTCが第2閾値Th2未満であるか否かを判定する(ステップS8)。車両Mと対象物体TOとのTTCが第2閾値Th2以上であると判定された場合、ステップS1に処理が戻される。
車両Mと対象物体TOとのTTCが第2閾値Th2未満であると判定した場合、第1予備動作制御部112は、第1予備動作を実行する(ステップS9)。次いで、第1予備動作制御部112は、車両Mと対象物体TOとのTTCが上昇して第2閾値Th2以上となったか否かを判定する(ステップS10)。車両Mと対象物体TOとのTTCが上昇して第2閾値Th2以上となったと判定された場合、ステップS1に処理が戻される。
車両Mと対象物体TOとのTTCが上昇して第2閾値Th2以上となったと判定されなかった場合、制動制御部110が、車両Mと対象物体TOとのTTCが第1閾値Th1未満であるか否かを判定する(ステップS11)。車両Mと対象物体TOとのTTCが第1閾値Th1以上であると判定された場合、ステップS3に処理が戻される。ステップS3で否定的な判定が得られた場合、第1予備動作が停止され、ステップS4以降の処理が実行される。車両Mと対象物体TOとのTTCが第1閾値Th1未満であると判定した場合、制動制御部110は、第1減速度B1をブレーキ装置210および/または走行駆動力出力装置200に出力させて車両Mを減速させ、停止させる(ステップS7)。
以上説明した実施形態によれば、対象物体TOと車両Mとの接近度合いが第3条件を満たし、且つ、第3条件が満たされた時点において、対象物体TOの側方の走路のいずれにも操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定される場合に、第1予備動作よりも早いタイミングで開始される第2予備動作を行うことにより、対象物体TOの周辺状況に応じた適切な予備動作を行うことができる。
上記実施形態において、第1予備動作と第2予備動作のいずれかにおいて、制動力の出力に代えて、注意喚起のための表示、音声出力、振動出力などが行われてもよい。この場合、第2予備動作が多段階で行われる例として、前述したように減速度合いを変えながら段階的に制動力を出力するのに代えて、最初の表示画面と二回目以降の表示画面の着目度(コントラスト、輝度、色彩等)を異ならせる、最初の音声出力と二回目以降の音声出力の内容またはボリュームを異ならせる、最初の振動出力よりも二回目以降の振動出力を大きくする、等が挙げられる。
上記実施形態において、ナビゲーション装置50において設定されている目的地への分岐路が、車両Mが走行している車線の左右いずれかの側にある場合、予備動作の途中で強制的に車線変更を行ってもよい。こうすれば、結果的に、目的地に近づく方向に車両Mを移動させ、且つ対象物体がとなる物体が車両Mの近くにいない状態に誘導することができる。
上述した例では、車両Mが、特定条件を満たさない場合における処理について説明した。車両Mは、特定条件を満たした場合、特定条件を満たさない場合と異なる処理を行う。特定条件とは、加速が必要とされる場面に車両Mが遭遇していることである。加速が必要とされる場面に車両Mが遭遇しているとは、例えば、車両Mが、現に当該場面に遭遇していることであってよいし、当該場面に所定時間後(または所定距離走行後)に遭遇することであってもよい。
特定条件は、車両Mが他の車両が加速する場面に遭遇していること、または車両Mの速度が抑制される場面に遭遇していることである。特定条件に対応する場面は、例えば、上り勾配の道路を走行している場面、有料道路の入口を通過した場面、有料道路の出口を通過した場面、サービスエリアの出口を通過した場面、支線から本線に合流する場面、本線から支線に合流する場面である。
[特定条件を満たした場合に実行される制御(1)]
第1予備動作制御部112は、対象物体と車両Mとの接近度合いが第2条件を満たし、且つ特定条件を満たさない場合、上述した第1予備動作を行い、対象物体と車両Mとの接近度合いが第2条件を満たし、且つ特定条件を満たす場合、上述した第1予備動作を抑制した第1予備動作を行う。
抑制とは、抑制の手法1と抑制の手法2との一方または双方を含む。抑制の手法1は、予備動作を行うタイミングを遅らせることである。抑制の手法2は、第1予備動作(または第2予備動作)で実行される減速度合の上昇度合よりも減速度合の上昇度合を抑制することである。抑制の手法2は、第1予備動作(または第2予備動作)で行われる報知の度合よりも報知の度合を抑制することであってもよい。以下、これらの一例について説明する。
図6は、特定条件を満たした場合に実行される制御について説明するための図(その1)である。第1予備動作制御部112が、対象物体TOと車両Mとの接近度合いが第2条件を満たし、且つ特定条件を満たす場合、第1予備動作を行わず、対象物体TOと車両Mとの接近度合いが第2#条件を満たす場合に(例えば、TTCが、第2閾値Th2#未満である場合に)、車両Mの運転者に対象物体TOの存在を伝えるための第1予備動作を行う。第2閾値Th2#は、第2閾値Th2よりも小さく、第1閾値Th1よりも大きい値である。従って、第2#条件は第2条件よりも、接近度合いが高い場合に満たされる条件である。
図6の例では、車両Mが上り勾配UHを走行している場面である。後述する図7-図9も同様である。図6の例では、対象物体TOは上り勾配UHに存在しているが、対象物体TOは上り勾配UHに存在していなくてもよい。車両Mも上り勾配UHに存在していなくてもよいし上り勾配UHに存在していてもよい。車両Mの速度が抑制される場合、第1予備動作(または第2予備動作)が抑制される。
図7は、特定条件を満たした場合に実行される制御について説明するための図(その2)である。図6との相違点を中心に説明する。第1予備動作制御部112が、対象物体TOと車両Mとの接近度合いが第2条件を満たし、且つ特定条件を満たす場合、第1予備動作を行う。この場合、特定条件を満たさない場合に行う第1予備動作よりも第1予備動作の度合を抑制する。第1予備動作制御部112は、例えば、特定条件を満たさない場合には、車両Mを減速度B2で制御し、特定条件を満たした場合には、車両Mを減速度B2#で制御する。減速度B2#は、減速度B2よりも小さい減速度である。第1予備動作制御部112が、対象物体TOと車両Mとの接近度合いが第2#条件を満たし、且つ特定条件を満たす場合、減速度を減速度B2に制御してもよい。
上記の例では、減速度が抑制される例について説明したが、これに代えて(加えて)、報知の度合が抑制されてもよい。また、上記の減速度または報知の度合の程度を抑制する処理と、減速または報知を行うタイミングを遅らせる処理とは、重畳されて行われてもよい。例えば、減速または報知を行うタイミングを遅らせ、その際に減速度または報知の度合の程度が抑制されてもよい。
例えば、上り勾配UHなどを走行する場面では、車両Mは上り勾配UHで過度の減速が生じないように加速を行う場合がある。この場合に、第1予備動作(または第2予備動作)が抑制されずに実行されると、車両Mの乗員によって過度な負担となる場合がある。例えば、車両Mの走行がスムーズでなくなることがあり、第1予備動作(または第2予備動作)が抑制されずに実行されることは好適でない場合がある。そこで、本実施形態では、上記のように、運転支援装置100が、特定条件を満たした場合に、第1予備動作を抑制することにより、対象物体の周辺状況に応じた適切な予備動作を行うことができる。
[特定条件を満たした場合に実行される制御(2)]
図8は、特定条件を満たした場合に実行される制御について説明するための図(その3)である。第2予備動作制御部130は、対象物体TOと車両Mとの接近度合いが第3条件を満たし、第3条件が満たされた時点において、対象物体TOの側方の走路のいずれにも操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定され、且つ特定条件を満たされた場合に第2予備動作を行わない。第2予備動作制御部130は、対象物体TOと車両Mとの接近度合いが第3#条件を満たし、第3#条件が満たされた時点において(例えば、TTCが、第3閾値Th3#未満である場合に)、対象物体TOの側方の走路のいずれにも操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定され、且つ特定条件を満たされた場合に第2予備動作を行う。第3閾値Th3#は第3閾値Thよりも小さく閾値Th1.5よりも大きい値である。従って、第3#条件は第3条件よりも、接近度合いが高い場合に満たされる条件である。
図9は、特定条件を満たした場合に実行される制御について説明するための図(その4)である。図8との相違点を中心に説明する。第2予備動作制御部130は、対象物体TOと車両Mとの接近度合いが第3条件を満たし、第3条件が満たされた時点において、対象物体TOの側方の走路のいずれにも操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定され、且つ特定条件が満たされた場合に第2予備動作を行う。この場合、特定条件を満たさない場合に行う第2予備動作よりも第2予備動作の度合を抑制する。第2予備動作制御部130は、例えば、特定条件を満たさない場合には、車両Mを減速度B3で制御し、特定条件を満たした場合には、車両Mを減速度B3#で制御する。減速度B3#は、減速度B3よりも小さい減速度である。第2予備動作制御部130が、対象物体TOと車両Mとの接近度合いが第3#条件を満たし、且つ特定条件を満たす場合、減速度を減速度B3に制御してもよい。
本実施形態では、上記のように、運転支援装置100が、特定条件を満たした場合に、第2予備動作を抑制することにより、対象物体の周辺状況に応じた適切な予備動作を行うことができる。
[特定条件を満たした場合に実行される制御(3)]
有料道路(または入口または出口が設けられた道路)の入口または出口を通過した場面においても上述したように第1予備動作または第2予備動作が抑制されてもよい。図10は、特定条件を満たした場合に実行される制御について説明するための図(その5)である。図9との相違点を中心に説明する。図10に示すように、車両Mが有料道路の入口または出口を通過する場面では、入口または出口を通過した領域の通行がスムーズになるように他の車両は加速することがあり、車両Mも加速することが好適である。このような場合、運転支援装置100は、第1予備動作または第2予備動作を抑制してもよい。
上記のように、運転支援装置100が、特定条件を満たした場合に、第1予備動作または第2予備動作を抑制することにより、対象物体の周辺状況に応じた適切な予備動作を行うことができる。
[特定条件を満たした場合に実行される制御(4)]
特定場面は、本線から支援に合流する場面であってもよい。図11は、本線から支援に合流する場面の一例を示す図である。図11の例では、車両Mおよび対象物体TOが支線である車線L1に存在している。対象物体TOは、接続領域ARに存在している。対象物体TOの前方において車線L1が消失する。
車両Mは、図11に示すような場面において、合流をスムーズに行うために加速を行うことが好適であることがある。このような場合、第1予備動作(または第2予備動作)が抑制されずに作動すると、スムーズな合流にとって好適でないことがある。このため、運転支援装置100は、特定条件を満たした場合、第1予備動作(または第2予備動作)を抑制することで、対象物体の周辺状況に応じた適切な予備動作を行うことができる。図11は、第1予備動作が行われるタイミングを遅らせる例である。
図示は省略するが、車両Mがサービスエリアの出口を走行する場面(本線に入る場面)においても、上述したように第1予備動作または第2予備動作が抑制されてもよい。また、車両Mが本線から分岐する支線に進入する場面においても、上述したように第1予備動作または第2予備動作が抑制されてもよい。例えば、本線が混雑しており、支線が混雑していなく、車両Mが本線から支線に進入する場合を想定する。車両Mが、本線から支線に進行する場合、加速を行って支線に進行することがあり、このような場面において第1予備動作または第2予備動作が抑制されないと、運転者が違和感をことがある。本実施形態では、運転支援装置100は、特定条件を満たした場合、第1予備動作(または第2予備動作)を抑制することで、対象物体の周辺状況に応じた適切な予備動作を行うことができる。
[特定条件を満たした場合に実行される制御(5)]
第1予備動作制御部112または第2予備動作制御部130は、場面の種別に応じて抑制パターンを変更してもよい。第1予備動作制御部112または第2予備動作制御部130は、例えば、運転支援装置100の記憶装置に記憶された制御パターン情報140を参照して、制御パターンを決定する。図12は、制御パターン情報140の内容の一例を示す図である。制御パターン情報140は、第1予備動作用の制限パターン情報と第2予備動作用の制限パターン情報とを含む。第1予備動作用の制限パターン情報と第2予備動作用の制限パターン情報のそれぞれには、場面ごとの制御パターンが対応付けられている。
場面ごとの制御パターンは、例えば、第1予備動作または第2予備動作が行われるタイミング(遅らせるタイミング)と、動作に対応する減速度または報知の度合とが対応付けられた情報である。制御パターンは、例えば、実験的または車両が特定領域を通過する際の挙動に基づいて生成された情報である。制御パターンは、例えば、運転者の違和感が軽減されたり、過度に第1予備動作または第2予備動作が行われることが抑制されたりするように生成されている。例えば、場面が上り勾配である場合は、第1予備動作制御部112は、パターンAを採用し、場面が有料道路の入口である場合は、第1予備動作制御部112は、パターンBを採用する。これにより、対象物体の周辺状況に応じたより適切な予備動作が行われる。
[特定条件を満たした場合に実行される制御(6)]
第1予備動作制御部112または第2予備動作制御部130は、場面の特徴に応じて抑制パターンを変更してもよい。例えば、上り勾配の傾きに応じて抑制パターンは変更されてもよい。第1予備動作制御部112または第2予備動作制御部130は、例えば、運転支援装置100の記憶装置に記憶された制御パターン情報142を参照して、制御パターンを決定する。図13は、制御パターン情報142の内容の一例を示す図である。制御パターン情報142は、第1予備動作用の制限パターン情報と第2予備動作用の制限パターン情報とを含む。第1予備動作用の制限パターン情報と第2予備動作用の制限パターン情報のそれぞれには、場面の特性ごとの制御パターンが対応付けられている。
場面の特性ごとの制御パターンは、例えば、第1予備動作または第2予備動作が行われるタイミング(遅らせるタイミング)と、動作に対応する減速度または報知の度合とが対応付けられた情報である。制御パターンは、例えば、実験的または車両が特定領域を通過する際の挙動に基づいて生成された情報である。制御パターンは、例えば、運転者の違和感が軽減されたり、過度に第1予備動作または第2予備動作が行われることが抑制されたりするように生成されている。例えば、場面の特性は、上り勾配の傾きである。傾き1である場合、第1予備動作制御部112は、パターンaを採用し、傾き2である場合、第1予備動作制御部112は、パターンbを採用する。これにより、傾きに応じた予備動作が行われる。なお、傾きが閾値以下である場合は、第1予備動作または第2予備動作が抑制されなくてもよい。傾きは、地図情報から得られた情報であってもよいし、運転支援装置100が物体認識装置16の認識結果から認識してもよい。
上記のように、運転支援装置100は、第1予備動作または第2予備動作を制御することにより、対象物体の周辺状況に応じた適切な予備動作を行うことができる。
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
コンピュータによって読み込み可能な命令(computer-readable instructions)を格納する記憶媒体(storage medium)と、
前記記憶媒体に接続されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータによって読み込み可能な命令を実行することにより(the processor executing the computer-readable instructions to:)
車両の前方に存在する物体の存在を検知する検知デバイスの出力を参照し、前記物体のうち対象物体と前記車両との距離を相対速度で除算した指標値が第1閾値未満である場合に、前記車両の制動装置に指示して前記車両を停止させることと、前記対象物体との接触を操舵により回避するように、前記車両の操舵装置に指示することとのうち一方または双方を行い、
前記指標値が第2閾値であり、且つ特定条件を満たさない場合に、第1予備動作を行い、
前記指標値が第2閾値であり、且つ前記特定条件を満たす場合、第1予備動作を抑制した第1予備動作を行い、
前記指標値が第3閾値未満条件を満たし、前記第3閾値が満たされた時点において、前記対象物体の側方の走路のいずれにも前記操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定され、前記特定条件が満たされない場合に、第2予備動作を行い、
前記指標値が前記第3閾値を満たし、前記第3閾値が満たされた時点において、前記対象物体の側方の走路のいずれにも前記操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定され、前記特定条件が満たされた場合に、第2予備動作を抑制した第2予備動作を行い、
前記第1閾値は前記第2閾値よりも小さく、
前記第2閾値は前記第3閾値よりも小さく、
前記特定条件は、前記車両が他の車両が加速する場面または前記車両の速度が抑制される場面に遭遇していることである、
運転支援装置。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
10 カメラ
12 レーダ装置
14 LIDAR
16 物体認識装置
80 運転操作子
100 運転支援装置
110 制動制御部
112 第1予備動作制御部
120 操舵回避制御部
130 第2予備動作制御部
132 操舵回避可否判定部
200 走行駆動力出力装置
210 ブレーキ装置
220 ステアリング装置

Claims (11)

  1. 車両の前方に存在する物体の存在を検知する検知デバイスの出力を参照し、前記物体のうち対象物体と前記車両との接近度合いが第1条件を満たす場合に、前記車両の制動装置に指示して前記車両を停止させる制動制御部と、
    前記対象物体との接触を操舵により回避するように、前記車両の操舵装置に指示する操舵回避制御部と、
    を備え、
    前記制動制御部は、第1予備動作制御部と、第2予備動作制御部とを含み、
    前記第1予備動作制御部は、
    前記対象物体と前記車両との接近度合いが第2条件を満たし、且つ特定条件を満たさない場合、第1予備動作を行い、
    前記対象物体と前記車両との接近度合いが第2条件を満たし、且つ前記特定条件を満たす場合、第1予備動作を抑制した第1予備動作を行い、
    前記第2予備動作制御部は、
    前記対象物体と前記車両との接近度合いが第3条件を満たし、前記第3条件が満たされた時点において、前記対象物体の側方の走路のいずれにも前記操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定され、前記特定条件が満たされない場合に、第2予備動作を行い、
    前記対象物体と前記車両との接近度合いが第3条件を満たし、前記第3条件が満たされた時点において、前記対象物体の側方の走路のいずれにも前記操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定され、前記特定条件が満たされた場合に、第2予備動作を抑制した第2予備動作を行い、
    前記第1条件は前記第2条件よりも、接近度合いが高い場合に満たされる条件であり、
    前記第2条件は前記第3条件よりも、接近度合いが高い場合に満たされる条件であり、
    前記特定条件は、加速が必要とされる場面に前記車両が遭遇していることである、
    運転支援装置。
  2. 前記特定条件は、前記車両が他の車両が加速する場面または前記車両の速度が抑制される場面に遭遇していることである、
    請求項1に記載の運転支援装置。
  3. 前記場面は、前記車両が、上り勾配の道路を走行している場面、有料道路の入口を通過した場面、有料道路の出口を通過した場面、サービスエリアの出口を通過した場面、支線から本線に合流する場面、本線から支線に合流する場面である、
    請求項1または2に記載の運転支援装置。
  4. 前記第1予備動作または前記第2予備動作の抑制とは、前記第1予備動作または前記第2予備動作を行うタイミングを遅らせることである、
    請求項1から3のうちいずれか1項に記載の運転支援装置。
  5. 前記第1予備動作または前記第2予備動作は、前記車両の減速度合を上昇させる動作、または前記車両の運転者に報知を行う動作である、
    請求項4に記載の運転支援装置。
  6. 前記第1予備動作または前記第2予備動作とは、前記車両の減速度合を上昇させる動作であり、
    前記第1予備動作または前記第2予備動作の抑制とは、前記減速度合の上昇度合を抑制することである、
    請求項1から5のうちいずれか1項に記載の運転支援装置。
  7. 前記第1予備動作または前記第2予備動作は、前記車両の運転者に報知を行う動作であり、
    前記第1予備動作または前記第2予備動作の抑制とは、前記車両の運転者に行う報知の度合を抑制することである、
    請求項1から6のうちいずれか1項に記載の運転支援装置。
  8. 前記第1予備動作制御部または前記第2予備動作制御部は、前記場面の種別に応じて、前記抑制の度合、または抑制の態様を決定する、
    請求項1から7のうちいずれか1項に記載の運転支援装置。
  9. 前記場面は上り勾配の道路を走行している場面であり
    前記第1予備動作制御部または前記第2予備動作制御部は、前記上り勾配の傾きに応じて、前記抑制の度合、または抑制の態様を決定する、
    請求項1から8のうちいずれか1項に記載の運転支援装置。
  10. 運転支援装置が、
    車両の前方に存在する物体の存在を検知する検知デバイスの出力を参照し、前記物体のうち対象物体と前記車両との接近度合いが第1条件を満たす場合に、前記車両の制動装置に指示して前記車両を停止させ、
    前記対象物体との接触を操舵により回避するように、前記車両の操舵装置に指示し、
    前記対象物体と前記車両との接近度合いが第2条件を満たし、且つ特定条件を満たさない場合、第1予備動作を行い、
    前記対象物体と前記車両との接近度合いが第2条件を満たし、且つ前記特定条件を満たす場合、第1予備動作を抑制した第1予備動作を行い、
    前記対象物体と前記車両との接近度合いが第3条件を満たし、前記第3条件が満たされた時点において、前記対象物体の側方の走路のいずれにも前記操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定され、前記特定条件が満たされない場合に、第2予備動作を行い、
    前記対象物体と前記車両との接近度合いが第3条件を満たし、前記第3条件が満たされた時点において、前記対象物体の側方の走路のいずれにも前記操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定され、前記特定条件が満たされた場合に、第2予備動作を抑制した第2予備動作を行い、
    前記第1条件は前記第2条件よりも、接近度合いが高い場合に満たされる条件であり、
    前記第2条件は前記第3条件よりも、接近度合いが高い場合に満たされる条件であり、
    前記特定条件は、加速が必要とされる場面に前記車両が遭遇していることである、
    運転支援方法。
  11. コンピュータに、
    車両の前方に存在する物体の存在を検知する検知デバイスの出力を参照し、前記物体のうち対象物体と前記車両との接近度合いが第1条件を満たす場合に、前記車両の制動装置に指示して前記車両を停止させる処理と、
    前記対象物体との接触を操舵により回避するように、前記車両の操舵装置に指示する処理と、
    前記対象物体と前記車両との接近度合いが第2条件を満たし、且つ特定条件を満たさない場合、第1予備動作を行う処理と、
    前記対象物体と前記車両との接近度合いが第2条件を満たし、且つ前記特定条件を満たす場合、第1予備動作を抑制した第1予備動作を行う処理と、
    前記対象物体と前記車両との接近度合いが第3条件を満たし、前記第3条件が満たされた時点において、前記対象物体の側方の走路のいずれにも前記操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定され、前記特定条件が満たさない場合に、第2予備動作を行う処理と、
    前記対象物体と前記車両との接近度合いが第3条件を満たし、前記第3条件が満たされた時点において、前記対象物体の側方の走路のいずれにも前記操舵による回避を行った後に進行可能なスペースが存在しないと判定され、前記特定条件が満たした場合に、第2予備動作を抑制した第2予備動作を行う処理と、
    前記第1条件は前記第2条件よりも、接近度合いが高い場合に満たされる条件であり、
    前記第2条件は前記第3条件よりも、接近度合いが高い場合に満たされる条件であり、
    前記特定条件は、加速が必要とされる場面に前記車両が遭遇していることである、
    プログラム。
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