JP2023136633A - 立体造形物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】異なる色で着色された部位を有する審美性の高い立体造形物を効率よく造形できる立体造形物の製造方法の提供。【解決手段】異なる色で着色された部位を有する立体造形物の製造方法であって、立体造形物の立体データを少なくとも2つの部位に分割する分割工程と、前記分割後の少なくとも2つの部位のうち、互いに接する第1の部位と第2の部位とが異なる色で着色されるように造形する造形工程と、を含む立体造形物の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、立体造形物の製造方法に関する。
異なる色で着色された部位を有する立体造形物を3Dプリンタにより造形する手法としては、例えば(1)単色の造形物を造形した後、表層をカラー着色する方法と、(2)複数のカラー造形材料を各層に配置しながら造形する方法とがある。
上記(1)の方法では造形物の内部を着色できないため、透明感のある立体造形物を造形することができない。上記(2)の方法では造形中に複数のカラー造形材料を供給する必要があるため、データ処理及びプロセスが煩雑になり、透明感を出したい場合に狙いの形状に合わせてカラー配置を毎回指定し、そのためのプロセスを規定するという煩雑さがある。
このような異なる色で着色された部位を有する立体造形物の適用事例の一つとして、人工歯がある。従来の歯科技工プロセス(築盛)により人工歯を製造する方法は、手作業により表層部へ透明性の高い材料を配置しつつ必要に応じて着色を行うものであり、カラー化は手作業による調整であるため、非常に手間がかかるという問題がある。
そこで、例えば、立体造形材料を造形しながら徐々に入れ替えることにより、Z方向に色のグラデーションを持たせた立体造形物の造形方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、実際の歯と同じような表面側を透明とし、内側を濃い色にするグラデーションが再現できない。また、造形方向及び切削方向に制限があり、複数の同時作製時に配置調整が必要になり、大量生産に適さないという課題がある。
本発明は、異なる色で着色された部位を有する審美性の高い立体造形物を効率よく造形できる立体造形物の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の立体造形物の製造方法は、異なる色で着色された部位を有する立体造形物の製造方法であって、立体造形物の立体データを少なくとも2つの部位に分割する分割工程と、分割後の少なくとも2つの部位のうち、互いに接する第1の部位と第2の部位とが異なる色で着色されるように造形する造形工程と、を含む。
本発明によると、異なる色で着色された部位を有する審美性の高い立体造形物を効率よく造形できる立体造形物の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の立体造形物の製造方法における分割工程において、立体造形物の立体データを少なくとも2つの部位に分割する方法の一例を示す模式図である。 図2Aは、立体造形物を正面から見た時の立体データの一例を示す図である。 図2Bは、立体造形物を側面から見た時の立体データの一例を示す図である。 図3は、本発明の立体造形物の製造方法に用いる立体造形物の製造装置の一例を示す概略図である。 図4は、実施例1で造形した人工歯を示す写真である。 図5は、実施例2で造形した人工歯を示す写真である。 図6は、比較例1で造形した人工歯を示す写真である。 図7は、比較例2で造形した人工歯を示す写真である。 図8は、比較例3で造形した人工歯を示す写真である。
(立体造形物の製造方法)
本発明の立体造形物の製造方法は、分割工程と、造形工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
従来技術のSLA方式(ステレオリソグラフィー)では、硬化型組成物を入れ替えながら造形する必要があり、またそれを行ったとしてもグラデーション方向は造形時のZ方向に限定されてしまうという問題がある。
本発明においては、立体造形物においてカラーグラデーションを再現する際に、少なくとも2つの部位にデータを分割し、分割した各部位に色を割り当てて、マテリアルジェッティング(MJ)方式で造形することにより、透明感などの色特徴をより精緻に表現できるようになり、審美性の高い立体造形物を効率よく造形できる。
<分割工程>
分割工程は、異なる色で着色された部位を有する立体造形物の製造方法であって、立体造形物の立体データを少なくとも2つの部位に分割する工程である。
前記立体データとは、3Dスキャン等により所得したデータであって、3Dプリンタに入力できるデータを意味する。立体データは1つのデータから構成されてもよいし、複数のデータから構成されていてもよい。
前記立体データの取得方法については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3Dスキャンで造形対象の実物をスキャンする方法、3DCADソフトウェアを使用してデータをモデリングする方法、3DCGツールを使用してデータを作成する方法などが挙げられる。なお、3Dスキャンは3Dプリンタに付属のスキャナを用いることもできる。
取得した立体データを少なくとも2つの部位に分割する。前記立体データの分割数は、2つ以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2以上5以下であることが好ましい。
立体データの分割の一例としては、立体造形物の表面側を第1の部位とし、立体造形物の内側が第2の部位となるように2分割する方法などが挙げられる。例えば、造形対象となる実物を3Dスキャンによって得られた立体データAに対し、その幅と高さを90%に設定した90%立体データBを作成する。100%立体データAと、90%立体データBの重心を一致させ、ブーリアン処理により立体データAから90%立体データBと重なる部分を除去した立体データC(A-B)を作成する方法などが挙げられる。
分割した立体データに対し、サーフェースモデル変換を行うことによりSTL(Standard Triangulated Language)形式のデータを作成する。
STL形式のデータが3Dプリンタに入力されると、3Dプリンタは、入力されたSTL形式のデータを印刷用2D画像データセットに変換する。
前記印刷用2D画像データセットとは、複数の印刷用2D画像データを含むデータセットであり、印刷用2D画像データとは、Z軸方向における3Dプリンタの解像度に合わせてSTL形式のデータをスライスすることで得られる二次元のスライスデータである。この印刷用2D画像データに基づき、3Dプリンタで複数種類の硬化型組成物をそれぞれ所定の領域に所定の吐出量で吐出し、硬化する工程を繰り返すことにより、立体造形物を造形することができる。
<造形工程>
造形工程は、分割後の少なくとも2つの部位のうち、互いに接する第1の部位と第2の部位とが異なる色で着色されるように造形する工程である。
前記第1の部位が前記立体造形物の最表面側の部位である。即ち、立体造形物において第1の部位が外側となり、第2の部位が内側となる。これにより、実際の歯と同じような表面側を透明とし、内側を濃い色にするグラデーションを再現することができる。
前記第1の部位と第2の部位とが異なる色で着色されるように造形する方法としては、分割した立体データに基づき、異なる色で着色された硬化型組成物をインクジェット方式で吐出処理し、硬化処理する方法により行われる。例えば、前記第1の部位にはクリア硬化型組成物を用い、前記第2の部位にはカラー硬化型組成物を用いて造形する方法により行うことができる。
吐出させる方法としては、特に限定されないが、連続噴射型、オンデマンド型などが挙げられる。前記オンデマンド型としては、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式などが挙げられる。
前記吐出処理は、硬化型組成物を、昇降機能を有するステージ上にインクジェット方式で吐出することが好ましい。前記ステージ上に吐出された硬化型組成物は、液膜を形成する。
前記硬化処理は、前記硬化型組成物に活性エネルギー線を照射することにより行われる。
前記硬化処理において、ステージ上に形成された硬化型組成物からなる液膜は活性エネルギー線を照射することにより硬化される。
硬化型組成物を硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、光が好ましく、特に波長220nm以上400nm以下の紫外線が好ましい。紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、紫外線発光ダイオード(UV-LED)及び紫外線レーザダイオード(UV-LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
本発明の立体造形物の製造方法では、前記造形工程における前記吐出処理及び前記硬化処理を順次繰り返すことにより、異なる色で着色された部位を有する所望の形状の立体造形物を製造することができる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平滑化工程などが挙げられる。
-平滑化工程-
前記平滑化工程は、前記吐出工程により吐出された硬化型組成物からなる液膜の表面を平滑化する工程である。
前記平滑化工程は吐出された硬化型組成物のうち余剰な部分を掻き取ることで、硬化型組成物からなる液膜、又は層の有する凸凹を平滑化する。
前記平滑化工程は前記平滑化手段により好適に実施される。
前記平滑化手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ローラーなどが挙げられる。
ここで、図1は、本発明の立体造形物の製造方法における分割工程において、立体造形物の立体データを少なくとも2つの部位(例えば、第1の部位と第2の部位)に分割する方法の一例を示す模式図である。
図1に示すように、3Dスキャナなどにより取得した立体データを、第1の部位と第2の部位の2つの部位に分割し、分割した立体データをそれぞれスライスデータに変換し、このスライスデータを3Dプリンタに入力して、分割した部位ごとに異なる色で立体造形物を造形する。
必要に応じてXY方向及びZ方向の少なくともいずれかの方向においてディザリング処理を含むことが好ましい。これにより、通常の2Dのカラー印刷時に使用するディザリング処理をZ方向にも適応することができ、複数の画素を使って階調性を実現することができる。
また、ピクセル毎の硬化型組成物の吐出量の調整(小滴、中滴、又は大滴)では階調が不十分な場合には、2Dのカラー印刷時と同様の手法(例えば、誤差拡散法など)を活用して1層あたりの硬化型組成物の吐出量を調整する。即ち、2Dのカラー印刷における誤差拡散法の考え方をZ方向にも同様に適用できる。
前記誤差拡散法(Error Diffusion)とは、Faxなどに使われる2値化処理方法である。単純2値化が濃度50%を基準に2階調に分けるのに対し、誤差拡散法では、2値化するときの量子化誤差を周囲に伝搬し、白黒の密集度により擬似的に中間濃度を再現することができる。
ここで、図2Aは、立体造形物を正面から見た時の立体データ図である。図2Bは、立体造形物を側面から見た時の立体データ図である。
まず、図2A及び図2Bに示すように、造形対象である実物を3Dスキャンによって得られた立体データAに対し、その幅と高さを90%にした90%立体データBを作成する。
次に、立体データAと、90%立体データBの水平面方向(X、Y平面)の重心を一致させ、ブーリアン処理により立体データAから90%立体データBと重なる部分を除去した立体データC(A-B)を作成する。
次に、立体データC及び立体データBをそれぞれスライス処理し、ビットマップ(bmp)形式のスライスデータへ変換することにより、第1の部位(C部分)と第2の部位(B部分)のスライスデータが得られる。
次に、第1の部位(C部分)を硬化型組成物セットのクリア硬化型組成物、及び第2の部位(B部分)を硬化型組成物セットのカラー硬化型組成物を用い、インクジェット方式3Dプリンタにより、実際の歯と同じような表面側を透明とし、内側を濃い色にするグラデーションを再現した立体造形物(人工歯)を造形することができる。
本発明においては、前記第1の部位の透過率は、前記第2の部位の透過率よりも高いことが審美性の点から好ましい。前記第1の部位の透過率(T1)と前記第2の部位の透過率(T2)との差(T1-T2)は10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。
前記透過率は、例えば、所定の条件で作製した第1の部位と第2の部位を有する試験片について、DIRECT READING HAZEMETER(東洋精機株式会社製)を用い、試験片の第1の部位と第2の部位の全光透過率を測定することができる。なお、第1の部位のみからなる試験片及び第2の部位のみからなる試験片を別々に作製し、各試験片の全光透過率を測定することもできる。
本発明においては、前記第1の部位のL表色系におけるL値+a値+b値は、前記第2の部位のL表色系におけるL値+a値+b値よりも小さいことが、審美性の点から好ましい。
下記数式1で表されるΔEは10以上が好ましく、15以上がより好ましい。
[数式1]
ΔE={(L2-L1)+(b2-b1)+(a2-a1)0.5
ただし、前記数式1中、L1は第1の部位のL値、L2は第2の部位のL値、b1は第1の部位のb値、b2は第2の部位のb値、a1は第1の部位のa値、a2は第2の部位のa値を表す。
前記L値+a値+b値、及びΔEは、例えば、所定の条件で作製した第1の部位と第2の部位を有する試験片について、分光濃度・測色計(Xrite社製のeXact、条件:D50/2)を用い、試験片の第1の部位と第2の部位のL値、a値、b値を測定することができる。なお、第1の部位のみからなる試験片及び第2の部位のみからなる試験片を別々に作製し、各試験片の全光透過率を測定することもできる。
本発明においては、立体造形物が歯形状であって、表面に近い部分において、歯頸部から切端部に向かうにつれて厚くなる部位を少なくとも1つ有することが好ましい。
以下、本発明の立体造形物の製造方法に用いる硬化型組成物及び硬化型組成物セットについて説明する。
<硬化型組成物>
「硬化型組成物」は、活性エネルギー線の照射や加熱されることで硬化して硬化物を形成する組成物であり、例えば、活性エネルギー線硬化型組成物、熱硬化型組成物などが挙げられる。
前記硬化型組成物は、インクジェット方式を専ら好適に用いることができ、インクジェット用活性エネルギー線硬化型組成物、インクジェット用熱硬化型組成物であることが好ましく、インクジェット用活性エネルギー線硬化型組成物がより好ましい。
なお、本発明において「硬化する」とは、ポリマーが形成されることを表すが、固化する場合に限られず、増粘する場合や、固化と増粘がともに生じる場合なども含まれる。
また、「固化物(硬化物)」とは、ポリマーを表すが、固体に限られず、増粘物や、固体と増粘物の混在物なども含まれる。
前記硬化型組成物は、モノマー、重合開始剤、表面張力調整剤、及び色材を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
<硬化型組成物セット>
硬化型組成物セットは、クリア硬化型組成物と、ホワイト硬化型組成物、イエロー硬化型組成物、マゼンタ硬化型組成物、シアン硬化型組成物及びブラック硬化型組成物を含むカラー硬化型組成物と、サポート硬化型組成物との組み合わせである。
クリア硬化型組成物は、硬化することで所望の立体造形物(以降、「モデル部」とも称する)の形状を形成する。また、カラー硬化型組成物は、硬化することでクリア硬化型組成物により形成される領域の色とは異なる色を呈する着色領域をモデル部中に形成する。
また、サポート硬化型組成物は、硬化することでモデル部を支持するサポート部の形状を形成する。
<<カラー硬化型組成物>>
カラー硬化型組成物は、ラジカル重合性化合物及び色材を含有し、重合開始剤、界面活性剤、重合禁止剤、及び分散剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
-ラジカル重合性化合物-
ラジカル重合性化合物とは、ラジカル重合によりポリマーを形成することができる化合物を表し、典型的には1つ以上のラジカル重合性官能基を有するモノマー単位としての化合物である。ラジカル重合性化合物としては、例えば、ラジカル重合性単官能モノマー及びラジカル重合性多官能モノマー等のラジカル重合性モノマー、並びにラジカル重合性オリゴマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合性単官能モノマー、ラジカル重合性多官能モノマー、及びラジカル重合性オリゴマーはいずれも、活性エネルギー線によってラジカル重合して得られる硬化物のモノマー単位である。即ち、本発明において「ラジカル重合性モノマー」とは、1つ以上のラジカル重合性官能基を有するモノマー分子を表し、「ラジカル重合性オリゴマー」とは、1つ以上のラジカル重合性官能基を有するオリゴマー分子を表す。「オリゴマー」とは、少数のモノマーに由来する構造単位を有する分子を表し、当該構造単位の数は、当該モノマーの構造やオリゴマーの用途などにより異なり得るが、典型的には2以上20以下であることが好ましい。
重合性化合物としてラジカル重合性化合物を用いた場合、カチオン重合性化合物を用いた場合と比べて、高粘度化が抑制され、重合速度を向上させることができるので、好適にインクジェット方式に用いることができる。
また、ラジカル重合性化合物としてラジカル重合性モノマーを用いることで、カラー硬化型組成物の高粘度化をより抑制することができる。
また、ラジカル重合性化合物としてラジカル重合性単官能モノマーを用いることで、カラー硬化型組成物の高粘度化を更に抑制することができる。
また、ラジカル重合性化合物としてラジカル重合性オリゴマーを用いることで、硬化物の硬化収縮を低減することができ、また、硬化物の延伸性及び靭性も向上させることができる。
ラジカル重合性単官能モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合性多官能モノマーとしては、例えば、2官能モノマー、3官能以上のモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
2官能のラジカル重合性多官能モノマーとしては、例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化オペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
3官能以上のラジカル重合性多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレートエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、1官能以上6官能以下のモノマーであることが好ましく、2官能以上3官能以下のモノマーであることがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ラジカル重合性オリゴマーとしては、ウレタン基を有するものを用いることで、ポリマー中における側鎖間で相互作用が生じ、硬化物の強靭性が向上する。また、ウレタン基を有するラジカル重合性オリゴマーとしては、ウレタンアクリレートオリゴマーであることがより好ましい。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、市販品を用いることができ、例えば、UV-6630B(UV硬化型ウレタンアクリレートオリゴマー、分子量:3,000、重合性官能基数:2、日本合成化学株式会社製)、CN983NS(脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、重合性官能基数:2、サートマー社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合性化合物としては、上記の通り、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマー、カルボン酸ビニルエステル系モノマーなどが挙げられるが、アクリル系モノマーを用いることが好ましい。アクリル系モノマーは、カラー硬化型組成物の高粘度化を抑制させることができ、重合速度を向上させることができるので、好適にインクジェット方式に用いることができる。
アクリル系モノマー以外のラジカル重合性単官能モノマーやエポキシ系モノマーを用いる場合は、アクリル系モノマーと併用することが好ましい。エポキシ系モノマーとしては、例えば、ビス(3,4エポキシシクロヘキシル)、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどが挙げられる。なお、エポキシ系モノマーをアクリル系モノマーと併用する場合、更にオキセタンモノマーも併用することが好ましい。
ラジカル重合性化合物の含有量は、カラー硬化型組成物の全量に対して、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましく、70質量%以上が特に好ましく、80質量%以上が最も好ましい。また、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。
ラジカル重合性単官能モノマーの含有量は、カラー硬化型組成物の全量に対して、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。また、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。
ラジカル重合性多官能モノマーの含有量は、カラー硬化型組成物の全量に対して、10質量%以上が好ましい。また、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
ラジカル重合性オリゴマーの含有量は、カラー硬化型組成物の全量に対して、1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
-色材-
色材は、上記の着色領域を形成するためにカラー硬化型組成物に含有される。
色材としては、カラー硬化型組成物中で溶解又は安定に分散可能な染料又は顔料であることが好ましく、耐久性及び安全性の観点から顔料であることがより好ましい。なお、本開示において、顔料は、後述する硬質固体成分とは機能的に区別されるものであり、硬質固体成分は顔料には含まれないものとする。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、顔料として、混晶を使用してもよい。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
顔料の体積平均粒子径は、顔料の分散安定性及び着色領域における画像濃度の観点から、10nm以上1000nm以下であることが好ましい。体積平均粒子径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
染料としては、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
色材の含有量は、カラー硬化型組成物の全量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましい。0.1質量%以上であることで、一般的な造形方法と比較してカラー硬化型組成物の吐出量が少ない本発明の立体造形物の製造方法であったとしても着色領域における画像濃度を十分に向上させることができる。
-重合開始剤-
重合開始剤としては、光などの活性エネルギー線の照射によりラジカル又はカチオンを生成する任意の物質を用いることができる。なお、活性エネルギー線としては、例えば、可視光、紫外光、赤外光、X線、α線、β線、γ線などが挙げられる。重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、重合開始剤の含有量は、カラー硬化型組成物の全量に対して0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましい。
ラジカル性光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2、2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p’-クロロベンゾフェノン、p,p-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、メチルベンゾイルフォーメート、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
カチオン性光重合開始剤としては、例えば、市販品として、UVI-6950、UVI-6970、UVI-6974、UVI-6990(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP-150、SP-151、SP-170、SP-172(以上、旭電化工業社製)、Irgacure 261(以上、チバスペシャルティケミカルズ社製)、CI-2481、CI-2624、CI-2639、CI-2064(以上、日本曹達社製)、CD-1010、CD-1011、CD-1012(以上、サートマー社製)、DTS-102、DTS-103、NAT-103、NDS-103、TPS-103、MDS-103、MPI-103、BBI-103(以上、みどり化学社製)、PCI-061T、PCI-062T、PCI-020T、PCI-022T(以上、日本化薬社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
-界面活性剤-
界面活性剤としては、例えば、分子量200以上5,000以下の化合物であることが好ましく、具体的には、PEG型非イオン界面活性剤[ノニルフェノールのエチレンオキサイド(以下EOと略記)1~40モル付加物、ステアリン酸EO1~40モル付加物等]、多価アルコール型非イオン界面活性剤(ソルビタンパルミチン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸トリエステル等)、フッ素含有界面活性剤(パーフルオロアルキルEO1~50モル付加物、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベタイン等)、変性シリコーンオイル[ポリエーテル変性シリコーンオイル、(メタ)アクリレート変性シリコーンオイル等]などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
-重合禁止剤-
重合禁止剤としては、例えば、フェノール化合物[ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2,2-メチレン-ビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン等]、硫黄化合物[ジラウリルチオジプロピオネート等]、リン化合物[トリフェニルフォスファイト等]、アミン化合物[フェノチアジン等]などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
-分散剤-
分散剤は、顔料などの固体成分の表面に吸着することで、固体成分をカラー硬化型組成物中に安定して分散させる機能を有する添加剤である。分散剤としては、適宜公知のものを用いることができる。
-その他の成分-
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機溶媒、水、硬質固体成分などが挙げられる。
--有機溶媒--
カラー硬化型組成物は、有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、重合性化合物とは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まない(例えば有機溶媒の特性等がカラー硬化型組成物に影響する程度には含まない)ことを意味し、カラー硬化型組成物の全量に対して0.1質量%未満の含有量であることが好ましい。
--水--
カラー硬化型組成物は、水を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。また、水を「含まない」とは、実質的に含まない(例えば水の特性等がカラー硬化型組成物に影響する程度には含まない)ことを意味し、カラー硬化型組成物の全量に対して1質量%未満の含有量であることが好ましい。水の含有量が一定量以下であることで、硬化速度の低下、硬化強度の低下、吸水性の増加、後述するサポートインクにより形成されるサポート部との分離性低下等を抑制することができる。
--硬質固体成分--
カラー硬化型組成物は、後述する硬質固体成分を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。カラー硬化型組成物は、上記の通り、固体成分である色材として顔料を含むことが好ましいが、更に追加の固体成分として硬質固体成分を含有する場合、顔料及び硬質固体成分を共にカラー硬化型組成物中で安定に分散させる条件の検討が必要となり、カラー硬化型組成物の処方上及び製造上の難易度が高まってしまうためである。また、硬質固体成分を「含まない」とは、実質的に含まない(例えば硬質固体成分の特性等がカラー硬化型組成物に影響する程度には含まない)ことを意味し、カラー硬化型組成物の全量に対して0.1質量%未満の含有量であることが好ましい。
なお、カラー硬化型組成物に硬質固体成分を含まない場合、カラー硬化型組成物により形成される立体造形物における領域(着色領域)において強度の低下が想定されるが、上記の通り、層内においてクリア領域及び着色領域が重複している領域を有するように造形方法が実行されることで、立体造形物の全域に硬質固体成分を含むクリア硬化型組成物に由来するクリア領域が配置されることになる。これにより、カラー硬化型組成物における分散安定性の向上と着色領域における強度低下の抑制とを両立させることができる。
インクジェット方式で好適に使用可能なカラー硬化型組成物は、ノズルからの吐出性などに鑑みると、粘度が低いことが好ましい。したがって、一態様において、カラー硬化型組成物の粘度は、25℃環境下において、1,000mPa・s以下が好ましく、200mPa・s以下がより好ましく、150mPa・s以下が更に好ましい。また、吐出性及び造形精度の観点から、25℃環境下において、9mPa・s以上であることが好ましい。なお、造形中は、インクジェットヘッドやインク流路の温度を調節することにより、カラー硬化型組成物の粘度を調整することが可能である。
なお、上記粘度は常法により計測することができ、例えばJIS Z 8803に記載の方法などを用いることができる。他には、例えば、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE-22Lにより、コーンロータ(1°34´×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃~65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM-150IIIを用いることができる。
また、インクジェット用途に用いることができるカラー硬化型組成物は、吐出安定性、造形精度などに鑑みると、表面張力が25℃環境下において20mN/m~40mN/mの範囲にあることが好ましい。したがって、一態様において、カラー硬化型組成物は25℃環境下において20mN/m~40mN/mの表面張力を有している。
なお、表面張力は常法により測定することができ、かかる測定方法としては、例えばプレート法、リング法、ペンダントドロップ法などが挙げられる。
カラー硬化型組成物の収容容器は、カラー硬化型組成物が収容された状態の容器を意味する。カラー硬化型組成物が収容された容器は、カートリッジやボトルとして使用することができ、これにより、搬送や交換等の作業において、カラー硬化型組成物に直接触れる必要がなくなり、手指や着衣の汚れを防ぐことができる。また、カラー硬化型組成物へのごみ等の異物の混入を防止することができる。また、容器それ自体の形状や大きさ、材質等は、用途や使い方に適したものとすればよく、特に限定されないが、その材質は光を透過しない遮光性材料であるか、又は容器が遮光性シート等で覆われていることが望ましい。
<<クリア硬化型組成物>>
クリア硬化型組成物は、ラジカル重合性化合物及び硬質固体成分を含有し、重合開始剤、界面活性剤、重合禁止剤、及び分散剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
なお、以降において、クリア硬化型組成物に含まれる各種成分について説明するが、ラジカル重合性化合物、重合開始剤、界面活性剤、重合禁止剤、及び分散剤については、上記のカラー硬化型組成物と同様に使用することができるため、これらの説明を省略する。また、クリア硬化型組成物の物性もカラー硬化型組成物の物性と同様であることが好ましく、クリア硬化型組成物の収容容器もカラー硬化型組成物の収容容器と同様であることが好ましいため、これらの説明も省略する。
-硬質固体成分-
硬質固体成分は、クリア硬化型組成物の硬化物の弾性率、強度、及び耐衝撃性等を向上させるために含有される。
本開示において「硬質」とは、外部からの応力により、形状が変化し難い性質を表す。硬質であるか否かは、当業者であれば当該技術分野において知られた判断基準に基づいて判断することができ、かかる判断基準としては、例えば、ビッカース硬度、弾性率などが挙げられる。好ましい一態様において、硬質の固体材料の弾性率は4GPa以上であり、より好ましくは5GPa以上である。また、弾性率は、例えば、JIS K 7161及び、JIS K 7171、ISO 14577などに従って求めることができる。
本開示において「固体成分」とは、組成物等の液体中において固体状態を維持可能な成分を表す。また、固体成分は、液体中において粒子の形態であることが好ましい。更に、固体成分は、液体中において分散されている状態であることが好ましい。
なお、本開示において、硬質固体成分は、上記の色材とは機能的に区別されるものであり、例えば、固体成分の色材である顔料は硬質固体成分には含まれないものとする。
硬質固体成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、石膏繊維、アルミボレート、アラミド繊維、カーボンファイバー(炭素繊維)、グラスファイバー(ガラス繊維)、タルク、マイカ、ガラスフレーク、ポリオキシベンゾイルウイスカー、各種樹脂などが挙げられる。
また、ガラス、シリカ、アルミナなどの表面に水酸基を有する硬質固体成分は、シランカップリング剤を用いて表面改質されたものを使用することが好ましい。
シランカップリング剤としては特に制限は無く、例えば、ビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、スチリルp-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、などが挙げられる。また、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ビニルメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランのように、不飽和二重結合を有するシランカップリング剤が特に好ましい。
硬質固体成分の含有量は、クリア硬化型組成物の全体積に対して0.5体積%以上40体積%以下が好ましく、1体積%以上20体積%以下がより好ましい。硬質固体成分の含有量がクリア硬化型組成物の全体積に対して0.5体積%以上であることにより、硬質固体成分の特性を立体造形物により反映することができる。また、硬質固体成分の含有量がクリア硬化型組成物の全体積に対して40体積%以下であることにより立体造形物が脆くなることを抑制することができる。
硬質固体成分の形状としては特に制限は無く、球状でも棒状でも不定形のものでもよく、中空粒子、多孔質粒子、コア-シェル構造型粒子などであってもよい。
硬質固体成分の体積平均粒径は、10nm以上1,000nm以下が好ましく、120nm以上300nm以下がより好ましい。
硬質固体成分の体積平均粒径が10nm以上であれば、硬質固体成分の特性を立体造形物に十分に反映することができる。また、1,000nm以下であれば、インクジェット方式による吐出安定性を向上させることができる。更に、クリア硬化型組成物中における硬質固体成分の分散安定性を考慮すると、300nm以下であることがより好ましい。
-その他の成分-
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機溶媒、水、色材などが挙げられる。なお、有機溶媒、及び水に関しては上記カラー硬化型組成物と同様であるため、これらの説明を省略する。
<<サポート硬化型組成物>>
サポート硬化型組成物は、サポート硬化型組成物の硬化物に対して水等を付与する処理を施した場合に崩壊性を有し、造形後のモデル部からサポート部を容易に除去できる性質を有する。
サポート硬化型組成物としては、特に制限はなく、適宜公知のものを使用することができ、例えば、特開2018-70731号公報などに開示のサポート硬化型組成物を用いることができる。
以下、硬化型組成物をモデル部形成材料及びサポート部形成材料として使用した場合の立体造形物の造形方法、及び立体造形物の製造装置について説明する。
ここで、図3は、立体造形物の製造装置の一例を示す概略図である。この図3の立体造形物の製造装置30は、ヘッドユニット31、32、紫外線照射機33、ローラー34、キャリッジ35、及びステージ37を有する。ヘッドユニット31は、モデル部形成材料1を吐出する。ヘッドユニット32は、サポート部形成材料2を吐出する。ローラー34は、モデル部形成材料1、及びサポート部形成材料2の液膜を平滑化する。紫外線照射機33は、吐出されたモデル部形成材料1、及びサポート部形成材料2に紫外線を照射して硬化する。キャリッジ35は、ヘッドユニット31,32等の各手段を、図3におけるX方向に往復移動させる。ステージ37は、基板36を、図3に示すZ方向、及び図3の奥行方向であるY方向に移動させる。なお、Y方向への移動は、ステージ37ではなくキャリッジ35において行ってもよい。
モデル部形成材料が色ごとに複数ある場合、立体造形物の製造装置30には、各色のモデル部形成材料を吐出するための複数のヘッドユニット31が設けられていてもよい。ヘッドユニット31,32におけるノズルとしては、公知のインクジェットプリンターにおけるノズルを好適に使用することができる。
ローラー34に使用できる金属としては、SUS300系、SUS400系、SUS600系、六価クロム、窒化珪素、タングステンカーバーイドなどが挙げられる。また、これらのいずれかをフッ素やシリコーンなどで被膜コーティングした金属を、ローラー34に使用してもよい。これらの金属の中でも、強度及び加工性の面からSUS600系が好ましい。
ローラー34を使用する場合、立体造形物の製造装置30は、ローラー34と造形物の面とのギャップを一定に保つため、積層回数に合わせて、ステージ37を下げながら積層する。ローラー34は紫外線照射機33に隣接している構成が好ましい。
また、休止時の硬化型組成物の乾燥を防ぐため、立体造形物の製造装置30には、ヘッドユニット31,32におけるノズルを塞ぐキャップなどの手段を設置してもよい。また、長時間連続使用時のノズルの詰まりを防ぐため、立体造形物の製造装置30には、ヘッドをメンテナンスするためのメンテナンス機構を設置してもよい。
以下、本発明の立体造形物の製造方法で行われる、前記吐出工程及び前記硬化工程を順次繰り返す造形物(硬化物)の造形工程について説明する。
図3に示す立体造形物の製造装置30のエンジンは、キャリッジ35、又はステージ37を移動させながら、入力された二次元データのうち最も底面側の断面を示す二次元データに基づいて、ヘッドユニット31からモデル部形成材料1の液滴を吐出させ、ヘッドユニット32からサポート部形成材料2の液滴を吐出させる。これにより、最も底面側の断面を示す二次元データにおけるモデル部を示す画素に対応する位置にモデル部形成材料1の液滴が配され、サポート部を示す画素に対応する位置にサポート部形成材料2の液滴が配され、隣り合う位置の液滴同士が接した液膜が形成される。なお、造形する造形物が1個の場合は、ステージ37の真中に断面形状の液膜が形成される。造形する造形物が複数個の場合、立体造形物の製造装置30は、ステージ37に複数個の断面形状の液膜を形成してもよいし、先に造形された造形物に液膜を積み重ねてもよい。
ヘッドユニット31及び32にはヒータを設置することが好ましい。更に、ヘッドユニット31にモデル部形成材料を供給する経路及びヘッドユニット32にサポート部形成材料を供給する経路にプレヒータを設置することが好ましい。
平滑化工程において、ローラー34は、ステージ37上に吐出されたモデル部形成材料、及びサポート部形成材料のうち余剰な部分を掻き取ることで、モデル部形成材料、及びサポート部形成材料からなる液膜、又は層の有する凸凹を平滑化する。平滑化工程はZ軸方向へ積層毎に1回行われてもよいし、2乃至50回の積層毎に1回行われてもよい。平滑化工程において、ローラー34は停止していてもよいし、ステージ37の進行方向に対して正もしくは負の相対速度で回転していてもよい。またローラー34の回転速度は定速でも一定加速度、一定減速度でもよい。ローラー34の回転数は、ステージ37との相対速度の絶対値として、50mm/s以上400mm/s以下が好ましい。相対速度が小さすぎる場合、平滑化が不十分で平滑性が損なわれる。また相対速度が大きすぎる場合、装置が大型化を要し、振動などによって、吐出された液滴の位置ずれなどが発生しやすく、結果として平滑性が低下することがある。平滑化工程において、ローラー34の回転方向はヘッドユニット31,32の進行方向と逆向きであることが好ましい。
硬化工程において、立体造形物の製造装置30のエンジンは、キャリッジ35により紫外線照射機33を移動させて、吐出工程で形成された液膜に、モデル部形成材料、及びサポート部形成材料に含まれる光重合開始剤の波長に応じた紫外線を照射する。これにより、立体造形物の製造装置30は、液膜を硬化して、層を形成する。
最も底面側の層の形成後、立体造形物の製造装置30のエンジンは、ステージを一層分、下降させる。
立体造形物の製造装置30のエンジンは、キャリッジ35、又はステージ37を移動させながら、底面側から二つ目の断面を示す二次元画像データに基づいて、モデル部形成材料1の液滴を吐出させ、サポート部形成材料2の液滴を吐出させる。吐出方法は、最も底面側の液膜を形成するときと同様である。これにより、最も底面側の層上に、底面側から二つ目の二次元データが示す断面形状の液膜が形成される。更に、立体造形物の製造装置30のエンジンは、キャリッジ35により紫外線照射機33を移動させて、液膜に紫外線を照射することにより、液膜を硬化して、最も底面側の層上に、底面側から二つ目の層を形成する。
立体造形物の製造装置30のエンジンは、入力された二次元データについて、底面側に近いものから順に利用して、上記と同様に、液膜の形成と、硬化と、を繰り返し、層を積層させる。繰り返しの回数は、入力された二次元画像データの数、あるいは三次元モデルの高さ、形状などに応じて異なる。すべての二次元画像データを用いた造形が完了すると、サポート部に支持された状態のモデル部の造形物が得られる。
立体造形物の製造装置30により造形された造形物は、モデル部及びサポート部を有する。サポート部は、造形後に造形物から除去される。除去方法としては、物理的除去、及び化学的除去がある。物理的除去では、機械的な力を加えて除去する。一方、化学的除去では、溶媒に浸漬し、サポート部を崩壊させて除去する。サポート部の除去方法としては、特に制限はないが、物理的除去では造形物が破損する可能性があるため、化学的除去がより好ましい。更に、コストを考慮すると水に浸漬して除去する方法がより好ましい。水に浸漬して除去する方法が採用される場合、サポート部形成材料の硬化物は、水崩壊性を有するものが選択される。
本発明の立体造形物の製造方法により造形された立体造形物は、実際の歯と同じような表面側を透明とし、内側を濃い色にするグラデーションを再現することができ、実物の歯に近い色合いを有しており、審美性が高いので、人工歯等の歯科用材料に好適に用いることができる。また、人工歯等の歯科用材料以外にも、眼鏡フレーム、靴のアウトソール、ミドルソール、ハンドルなどのグリップ部、補聴器、イヤホン、義歯の床、義肢などにも用いることができる。
なお、本明細書において、「人工歯」とは、う蝕、外傷、歯周病などにより失った天然歯の代わりに、その機能を回復するために用いられる人工的に形成された歯や、審美性を高めるために天然歯の表面に張り付けるラミネートを意味する。
前記歯の一部としては、例えば、インレー、アンレー、クラウン、ブリッジなどが挙げられる。
前記歯の全部としては、例えば、インプラント、入れ歯等の義歯などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(クリア硬化型組成物Aの調製例1)
-クリア硬化型組成物A1の調製-
トリシクロデカンジメチロールジアクリレート(「KAYARADR-684」、日本化薬株式会社製)38質量部、アクリロイルモルホリン(「ACMO」、KJケミカルズ株式会社製)7質量部、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート(「FA-512」、日立化成株式会社製)34.7質量部、テトラヒドロフルフリルアクリレート(「SR285」、サートマー社製)10質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(「SR3515」、サートマー社製)10質量部、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤(「KF-945」、信越化学工業株式会社製)0.2質量部、及びフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(「イルガキュア819」、BASFジャパン株式会社製)0.1質量部を混合して、クリア硬化型組成物A1を調製した。
(カラー硬化型組成物Bの調製例1)
-マゼンタ硬化型組成物B1の調製-
N-ビニルカプロラクタム(「VCAP」、ISP社製)5質量部、イソボルニルアクリレート(「IBXA」、大阪有機化学工業株式会社製)30質量部、テトラヒドロフルフリルアクリレート(「SR285」、サートマー社製)34.9質量部、マゼンタ顔料(顔料:PR122、分散剤:BYK9151)30質量部、及びフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(「イルガキュア819」、BASFジャパン株式会社製)0.1質量部を混合して、マゼンタ硬化型組成物B1を調製した。
(カラー硬化型組成物Bの調製例2)
-ホワイト硬化型組成物B2の調製-
トリシクロデカンジメチロールジアクリレート(「KAYARADR-684」、日本化薬株式会社製)5質量部、イソデシルアクリレート(「SR395N5」、サートマー社製)20質量部、テトラヒドロフルフリルアクリレート(「SR285」、サートマー社製)44.9質量部、ホワイト顔料(顔料:TiO、分散剤:ソルスパース32000)30質量部、及びフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(「イルガキュア819」、BASFジャパン株式会社製)0.1質量部を混合して、ホワイト硬化型組成物B2を調製した。
(カラー硬化型組成物Bの調製例3)
-シアン硬化型組成物B3の調製-
ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート(「SR610NS」、サートマー社製)5質量部、イソボルニルアクリレート(「IBXA」、大阪有機化学工業株式会社製)40質量部、テトラヒドロフルフリルアクリレート(「SR285」、サートマー社製)44.9質量部、シアン顔料(顔料:PB15:4、分散剤:ソルスパース32000)30質量部、及びフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(「イルガキュア819」、BASFジャパン株式会社製)0.1質量部を混合して、シアン硬化型組成物B3を調製した。
(カラー硬化型組成物Bの調製例4)
-イエロー硬化型組成物B4の調製-
イソボルニルアクリレート(「IBXA」、大阪有機化学工業株式会社製)10質量部、テトラヒドロフルフリルアクリレート(「SR285」、サートマー社製)59.9質量部、イエロー顔料(顔料:PY150、分散剤:BYK9151)30質量部、及びフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(「イルガキュア819」、BASFジャパン株式会社製)0.1質量部を混合して、イエロー硬化型組成物B4を調製した。
(サポート硬化型組成物の調製例1)
アクリロイルモルホリン(KJケミカルズ株式会社製)30質量部、1,5-ペンタンジオール(東京化成工業株式会社製)20質量部、ポリプロピレングリコール2(商品名:アクトコールD-1000、三井化学SKCポリウレタン株式会社製、数平均分子量:1,000)、及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキシド(商品名:イルガキュア819、BASF社製)2質量部を添加し、撹拌混合して、サポート硬化型組成物を得た。
(造形用カラー硬化型組成物Aの調製例)
硬化物の全光透過率が70%になるように、上記クリア硬化型組成物A1と上記ホワイト硬化型組成物B2を混合した。
得られた混合物に対して、硬化物のL表色系におけるL値が73.5、a値が1.7、b値が7.7になるように、上記マゼンタ硬化型組成物B1、上記シアン硬化型組成物B3、及び上記イエロー硬化型組成物B4を更に混合し、造形用カラー硬化型組成物Aを調製した。
(造形用カラー硬化型組成物Bの調製例)
硬化物の全光透過率が35%になるように、上記クリア硬化型組成物A1と上記ホワイト硬化型組成物B2を混合した。
得られた混合物に対して、硬化物のL表色系におけるL値が72.3、a値が8.2、b値が29.0になるように上記マゼンタ硬化型組成物B1、上記シアン硬化型組成物B3、及び上記イエロー硬化型組成物B4を更に混合し、造形用カラー硬化型組成物Bを調製した。
(硬化型組成物セット)
上記調製した造形用カラー硬化型組成物Aと、上記調製した造形用カラー硬化型組成物Bと、サポート硬化型組成物とを組み合わせて、硬化型組成物セットとした。
(実施例1~2及び比較例1~3)
図3に示す立体造形物の造形装置において、インクジェットヘッド(商品名:MH28
20、リコーインダストリー株式会社製)に通じるタンクに、造形用カラー硬化型組成物A、造形用カラー硬化型組成物B、及びサポート硬化型組成物をそれぞれ充填し、下記の分割条件及び造形条件に基づき、実施例1~2及び比較例1~3の立体造形物(人工歯)を作製した。
<分割条件>
図2A及び図2Bに示すように、造形対象である歯の実物を3Dスキャンによって得られた立体データAに対し、その幅と高さを90%にした90%立体データBを作成した。
次に、立体データAと、90%立体データBの水平面方向(X,Y平面)の重心を一致させ、ブーリアン処理により立体データAから90%立体データBと重なる部分を除去した立体データC(A-B)を作成した。
次に、立体データC及び立体データBをそれぞれスライス処理し、ビットマップ(bmp)のスライスデータに変換することにより、第1の部位(C部分)と第2の部位(B部分)のスライスデータが得られた。
次に、前記スライスデータに基づき、実施例1~2の第1の部位(C部分)と比較例1の第1の部位及び第2の部位には上記硬化型組成物セットの造形用カラー硬化型組成物Aを用いた。
また、前記スライスデータに基づき、実施例1の第2の部位(B部分)と比較例2の第1の部位及び第2の部位には上記硬化型組成物セットの造形用カラー硬化型組成物Aと造形用カラー硬化型組成物Bを50:50の比率で用いた。
また、前記スライスデータに基づき、実施例2の第2の部位(B部分)には上記硬化型組成物セットの造形用カラー硬化型組成物Bを用いた。
また、前記スライスデータに基づき、比較例3の第1の部位及び第2の部位には上記硬化型組成物セットの造形用カラー硬化型組成物Bを用いた。
次に、下記の造形条件に基づき、上記図3に示す立体造形物の造形装置を用いて造形を行った。
<造形条件>
解像度1200dpi×300dpi、1滴あたりの滴量(pL)は下記表1参照、印字速度420mm/秒間の条件で吐出した。紫外線光源としては、インクジェットプリンター用UV-LED装置(装置名:UV-LEDモジュール(シングルパス水冷、ウシオ電機株式会社製)により光照射して硬化させた。ヘッド-光源間の距離は200mmとした。
硬化は、UVA領域に相当する波長域において1W/cmで、3J/cmの光量条件で硬化させた。なお、光量は、UV Power Puck(登録商標) II(EIT社製)のUVA領域にて測定した。
次に、得られた各立体造形物(人工歯)について、以下のようにして、審美性を評価した。結果を表2に示した。なお、実施例1の人工歯の写真を図4、実施例2の人工歯の写真を図5、比較例1の人工歯の写真を図6、比較例2の人工歯の写真を図7、比較例3の人工歯の写真を図8にそれぞれ示した。
<審美性>
得られた各人工歯の写真による目視観察により、下記の基準で審美性を評価した。
[評価基準]
〇:図4及び図5に示すように、歯頸部(根本部分)の色が濃く、切端部の色が薄く、透明感が高いため、自然な色味となっている
×:図6に示すように全体の透過率が高すぎ、内部の穴が透けて見える。また、図7及び図8に示すように切端部(噛み合うところ)の透明感がない
また、上記硬化型組成物セットを用い、以下のようにして、試験片を作製し、透過率及びLを測定した。結果を表2に示した。
<試験片の作製>
実施例1~2及び比較例1~3における第1の部位と同じ造形用カラー硬化型組成物を用い、同じ1滴あたりの滴量で、実施例1~2及び比較例1~3と同じ造形条件により、第1の部位測定用の縦20mm×横20mm×厚さ1mmの各試験片を造形した。
また、実施例1~2及び比較例1~3における第2の部位と同じ造形用カラー硬化型組成物を用い、同じ1滴あたりの滴量で、実施例1~2及び比較例1~3と同じ造形条件により、第2の部位測定用の縦20mm×横20mm×厚さ1mmの各試験片をそれぞれ造形した。
<透過率の測定方法>
作製した第1の部位及び第2の部位測定用試験片を、DIRECT READING HAZEMETER(東洋精機株式会社製)を用いて、第1の部位の全光透過率(T1)及び第2の部位の全光透過率(T2)を測定し、透過率の差(T1-T2)を求めた。
<Lの測定方法>
平らな机の上にコピー用紙(マイペーパーA4サイズ、株式会社リコー製)を10枚敷き、上記作製した第1の部位又は第2の部位測定用試験片を置き、分光濃度・測色計(Xrite社製のeXact、条件:D50/2)により、各試験片のLを3回測定し平均値を求め、L値+a値+b値とし、下記数式1によりΔEを算出した。
[数式1]
ΔE={(L2-L1)+(b2-b1)+(a2-a1)0.5
ただし、前記数式1中、L1は第1の部位のL値、L2は第2の部位のL値、b1は第1の部位のb値、b2は第2の部位のb値、a1は第1の部位のa値、a2は第2の部位のa値を表す。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 異なる色で着色された部位を有する立体造形物の製造方法であって、
立体造形物の立体データを少なくとも2つの部位に分割する分割工程と、
分割後の少なくとも2つの部位のうち、互いに接する第1の部位と第2の部位とが異なる色で着色されるように造形する造形工程と、
を含むことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<2> 前記第1の部位が前記立体造形物の最表面側の部位である、前記<1>に記載の立体造形物の製造方法である。
<3> 前記第1の部位の透過率が前記第2の部位の透過率よりも高い、前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<4> 前記第1の部位の透過率(T1)と前記第2の部位の透過率(T2)との差(T1-T2)が10%以上である、前記<3>に記載の立体造形物の製造方法である。
<5> 前記第1の部位のL表色系におけるL値+a値+b値が、前記第2の部位のL表色系におけるL値+a値+b値よりも小さい、前記<1>から<4>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<6> 下記数式1で表されるΔEが10以上である、前記<5>に記載の立体造形物の製造方法である。
[数式1]
ΔE={(L2-L1)+(b2-b1)+(a2-a1)0.5
ただし、前記数式1中、L1は第1の部位のL値、L2は第2の部位のL値、b1は第1の部位のb値、b2は第2の部位のb値、a1は第1の部位のa値、a2は第2の部位のa値を表す。
<7> 前記造形がインクジェット方式により行われる、前記<1>から<6>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<8> XY方向及びZ方向の少なくともいずれかの造形がディザリング処理を含む、前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<9> 前記造形に用いられる硬化型組成物が、ラジカル重合性化合物と、色材又は硬質固体成分とを含有する、前記<1>から<8>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<10> 前記立体造形物が歯形状であって、
表面に近い部分において、歯頸部から切端部に向かうにつれて厚くなる部位を少なくとも1つ有する、前記<1>から<9>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
前記<1>から<10>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
1 モデル部形成材料
2 サポート部形成材料
10 モデル部
20 サポート部
30 立体造形物の造形装置
31 ヘッドユニット
32 ヘッドユニット
33 紫外線照射機
34 ローラー
35 キャリッジ
36 基板
37 ステージ
特許第6949024号公報

Claims (10)

  1. 異なる色で着色された部位を有する立体造形物の製造方法であって、
    立体造形物の立体データを少なくとも2つの部位に分割する分割工程と、
    分割後の少なくとも2つの部位のうち、互いに接する第1の部位と第2の部位とが異なる色で着色されるように造形する造形工程と、
    を含むことを特徴とする立体造形物の製造方法。
  2. 前記第1の部位が前記立体造形物の最表面側の部位である、請求項1に記載の立体造形物の製造方法。
  3. 前記第1の部位の透過率が前記第2の部位の透過率よりも高い、請求項1から2のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  4. 前記第1の部位の透過率(T1)と前記第2の部位の透過率(T2)との差(T1-T2)が10%以上である、請求項3に記載の立体造形物の製造方法。
  5. 前記第1の部位のL表色系におけるL値+a値+b値が、前記第2の部位のL表色系におけるL値+a値+b値よりも小さい、請求項1から4のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  6. 下記数式1で表されるΔEが10以上である、請求項5に記載の立体造形物の製造方法。
    [数式1]
    ΔE={(L2-L1)+(b2-b1)+(a2-a1)0.5
    ただし、前記数式1中、L1は第1の部位のL値、L2は第2の部位のL値、b1は第1の部位のb値、b2は第2の部位のb値、a1は第1の部位のa値、a2は第2の部位のa値を表す。
  7. 前記造形がインクジェット方式により行われる、請求項1から6のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  8. XY方向及びZ方向の少なくともいずれかの造形がディザリング処理を含む、請求項1から7のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  9. 前記造形に用いられる硬化型組成物が、ラジカル重合性化合物と、色材又は硬質固体成分とを含有する、請求項1から8のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  10. 前記立体造形物が歯形状であって、
    表面に近い部分において、歯頸部から切端部に向かうにつれて厚くなる部位を少なくとも1つ有する、請求項1から9のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。

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