JP2023134193A - エチレン系樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

エチレン系樹脂組成物およびその用途 Download PDF

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Nanao Shiozaki
真 江川
Makoto Egawa
希美 神谷
Kimi Kamiya
貴大 水間
Takahiro Mizuma
裕 保谷
Hiroshi Hoya
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Abstract

【課題】低温ヒートシール性を有し、耐ブロッキング性、スリップ性に優れたエチレン系樹脂組成物などを提供する。【解決手段】要件(A-a)~(A-d)を満たすエチレン・α-オレフィン共重合体(A)10~50質量部と、要件(B-a)を満たすエチレン系重合体(B)50~90質量部を含有するエチレン系樹脂組成物;要件(A-a)エチレンから導かれる構成単位(i)および炭素原子数6~20のα-オレフィンから導かれる構成単位(ii)を、構成単位(i)の含有量が85~95モル%、構成単位(ii)の含有量が5~15モル%;要件(A-b)密度が880~890kg/m3;要件(A-c)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.1~20g/10分;要件(A-d)クロス分別クロマトグラフ法(CFC)で得られる組成分布のピークの半値幅が15℃以下;要件(B-a)密度が900~980kg/m3。【選択図】なし

Description

本発明はエチレン系樹脂組成物およびその用途に関し、より詳細にはシーラントフィルムの原料として適した樹脂組成物、ならびにシーラントフィルムおよびこのシーラントフィルムを用いた積層フィルム等に関する。
包装材用途のシーラントフィルムにおいては、包装体の生産性向上、すなわち内容物を高速充填させるために低温シール性が求められていた。低温シール性を有するシーラントフィルムとしては、エチレン・α-オレフィン共重合体を含む樹脂組成物を用いたフィルムが広く用いられている。例えば、特許文献1および2には、エチレン・α-オレフィン共重合体を含む樹脂組成物を用いた積層体が開示され、優れた低温ヒートシール性を有することが記載されている。
特開2000-6338号公報 特開2008-230068号公報
しかし、従来のこのようなエチレン-α-共重合体を含む樹脂組成物を使用すると低温ヒートシール性は向上するが、高速充填のためには、低温ヒートシール性とともに、耐ブロッキング性およびスリップ性などに優れたものが望まれるようになっている。
本発明の課題は、上記の問題点を解決するため十分な低温ヒートシール性を有し、耐ブロッキング性およびスリップ性に優れたシーラントフィルム用のエチレン系樹脂組成物、ならびにこの組成物からなるシーラントフィルムおよびこのシーラントフィルムを用いた積層フィルムを提供することである。
本発明は、例えば以下の[1]~[8]に関する。
[1]要件(A-a)、(A-b)、(A-c)および(A-d)を全て満たすエチレン・α-オレフィン共重合体(A)10~50質量部と、
要件(B-a)を満たすエチレン系重合体(B)50~90質量部とを、
(但し、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)とエチレン系重合体(B)の合計を100質量部とする)
含有するエチレン系樹脂組成物;
要件(A-a)エチレンから導かれる構成単位(i)および炭素原子数6~20のα-オレフィンから導かれる構成単位(ii)の合計を100モル%とした時、構成単位(i)の含有量が85~95モル%であり、構成単位(ii)の含有量が5~15モル%である;
要件(A-b)ASTM D 1505に基づいて測定した密度が880~890kg/m3である;
要件(A-c)ASTM D 1238に準拠した、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.1~20g/10分である;
要件(A-d)クロス分別クロマトグラフ法(CFC)で得られる組成分布のピークの半値幅が15℃以下である;
要件(B-a)ASTM D 1505に基づいて測定した密度が900~980kg/m3である。
[2]エチレン・α-オレフィン共重合体(A)がエチレン・1-オクテン共重合体(A1)である[1]のエチレン系樹脂組成物。
[3]エチレン・α-オレフィン共重合体(A)がクロス分別クロマトグラフ法(CFC)で得られる組成分布の30℃以下の溶出成分が12%以下、かつ、55℃以上の溶出成分が5%以下である[1]または[2]のエチレン系樹脂組成物。
[4]エチレン・α-オレフィン共重合体(A)が融点[Tm](℃)と密度[d](kg/m3)とが、下記の関係式(1)を満たす[1]~[3]のエチレン系樹脂組成物。
[Tm]<1.357×[d]-1123 (1)
[5]エチレン系重合体(B)が、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・α-オレフィン共重合体からなる群より選ばれるエチレン系重合体(B)である[1]~[4]のエチレン系樹脂組成物。
[6][1]~[5]のエチレン系樹脂組成物からなるフィルム。
[7][1]~[5]のエチレン系樹脂組成物からなるシーラント層と、中間層とが積層されてなるシーラントフィルム。
[8]シーラント層と中間層と基材層とがこの順序で積層されてなり、
前記シーラント層が[1]~[5]の樹脂組成物からなる積層フィルム。
本発明の樹脂組成物から得られるフィルムは低温ヒートシール性、耐ブロッキング性およびスリップ性に優れる。このため、従来に比べ内容物を高速充填させることが可能となり、包装体の生産性を著しく向上できる。
[エチレン系樹脂組成物]
本発明に係るエチレン系樹脂組成物は、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)10~50質量部と、エチレン系重合体(B)50~90質量部を含有する(但し、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)とエチレン系重合体(B)の合計を100質量部とする)。
<エチレン・α-オレフィン共重合体(A)>
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)としては、エチレン・α-オレフィンランダム共重合体が挙げられる。前記α-オレフィンは、炭素原子数が6~20、好ましくは7~10のα-オレフィンであり、その例としては、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセンおよび4,4-ジメチル-1-ヘキセンが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、必要に応じてエチレンおよびα-オレフィン以外の少量のコモノマーがさらに重合されたものであっても良い。
このうち、本発明では、エチレン・1-オクテン共重合体が、コモノマー含量が高く、組成分布が狭く、分子量分布が狭いエチレン・α-オレフィン共重合体を効率よく製造できる点で好ましい。
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、以下の要件(A-a)~(A-d)を満たす。
要件(A-a);
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、エチレンから誘導される構成単位(a)を85~95モル%および炭素原子数が6~20のα-オレフィンから誘導される構成単位(b)を5~15モル%(ただし、構成単位(a)と構成単位(b)の合計を100モル%とする)である。
本発明において、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の構成単位(a)は好ましくは86~94モル%、さらに好ましくは87~93モル%の範囲にある。またエチレン・α-オレフィン共重合体(A)の構成単位(b)はより好ましくは6~14モル%、より好ましくは7~13モル%の範囲にある。
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の構成単位(a)および(b)の量がこの範囲にあると、低温シール性、耐ブロッキング性およびスリップ性に優れたフィルムを得ることができるので好ましい。
要件(A-b);
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の密度(ASTM D 1505)は880~890kg/m3であり、好ましくは881~889kg/m3である。エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の密度がこの範囲にあると、低温シール性、耐ブロッキング性およびスリップ性に優れたフィルムを得ることができるので好ましい。
要件(A-c);
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)のメルトフローレート(ASTM D-1238、190℃、2.16kg荷重)は、0.1~20g/10分であり、好ましくは0.3~15g/10分であり、より好ましくは0.5~9g/10分である。メルトフローレートが前記範囲内にあるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)を用いると、耐ブロッキング性およびスリップ性に優れたフィルムを得ることができるので好ましい。
要件(A-d);
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、クロス分別クロマトグラフ法(CFC)で得られる組成分布のピークの半値幅は通常15℃以下であり、好ましくは13℃以下、より好ましくは10℃以下であることが好ましい。その下限は特に制限されるものではないが、通常得られる組成分布のピークの半値幅としては0℃以上である。半値幅が前記範囲にあるものは、組成分布が狭く、低温ヒートシール性に優れ、また同等密度であっても、融点が低く、耐ブロッキング性、スリップ性に優れたフィルムを得ることができる。
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、クロス分別クロマトグラフ法(CFC)で得られる組成分布の30℃以下の溶出成分が好ましくは12%以下、より好ましくは8%以下である。その下限は特に制限されるものではないが、通常得られる30℃以下の溶出成分としては0.1%以上である。エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の組成分布の30℃以下成分がこの範囲にあると、低結晶成分が少なくなり、耐ブロッキング性およびスリップ性に優れたフィルムを得ることができる。また、クロス分別クロマトグラフ法(CFC)で得られる組成分布の55℃以上の溶出成分が好ましくは5%以下、より好ましくは4.5%以下である。その下限は特に制限されるものではないが、通常得られる30℃以下の溶出成分としては0.1%以上である。エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の組成分布の55℃以上の溶出成分がこの範囲にあると、高結晶成分が少なくなり、低温シール性に優れたフィルムを得ることができる。
クロス分別クロマトグラフ法(CFC)で得られる組成分布のピークの半値幅および溶出成分の測定方法については、後述の実施例において詳述する。
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点[Tm]が、好ましくは68℃以上であり、より好ましくは70℃以上である。また融点[Tm]は、好ましくは90℃以下であり、より好ましくは88℃以下である。融点(Tm)が、前記範囲内にあると、低温ヒートシール性が優れたフィルムを得ることができる。
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)において、融点[Tm](℃)と[密度](kg/m3))とが、下記の関係式(1)を満たすことが好ましい。
[Tm]<1.357×[密度]-1123 (1)
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)において関係式(1)が満たされると、低融点化しても密度が高くなるため、低温シール性、耐ブロッキング性およびスリップ性に優れたフィルムを得ることができるので好ましい。
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)において、低融点のまま、密度を高くするためには、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の組成分布を狭くする必要がある。組成分布は、触媒の種類による主モノマーのエチレンおよびコモノマーのα-オレフィンの反応性比に依存している。同種モノマーが反応しやすい場合において、低融点化するためには、コモノマーであるα-オレフィン含量を多くする必要がある。しかしながら、コモノマー含量が多くなることで、組成分布は広くなり、低結晶成分が増加し、密度が低下する。すなわち、ブロッキングしやすい組成分布が広いエチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、組成分布が狭いエチレン・α-オレフィン共重合体(A)と比較して、密度が低くなる傾向となる。
そこで本発明では、密度と融点との関係式で定義し、上記式を満たすエチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、低温シール性、耐ブロッキング性およびスリップ性に優れたフィルムを得ることができる。
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められるポリプロピレン換算の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn、分子量分布)が、好ましくは4.0以下であり、より好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.5以下である。
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、その製造方法に特に制限はないが、メタロセン系触媒を用いることにより好適に製造することができる。
<エチレン系重合体(B)>
前記エチレン系重合体(B)は、前記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)とは異なるものであり、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・α-オレフィン共重合体およびエチレン・酢酸ビニル共重合体からなる群から選ばれる1種以上のエチレン系重合体である。
前記エチレン系重合体(B)の密度(ASTM D 1505)は、900~980kg/m3である。
前記エチレン系重合体(B)のメルトフローレート(ASTM D1238、190℃、2.1kg荷重)は、いずれも、好ましくは0.2~30g/10分、より好ましくは0.5~2.5g/10分、さらに好ましくは0.8~2.0g/10分である。メルトフローレートがこの範囲内にあると、既存の成形機を用いて高い成形スピードで本発明の樹脂組成物をフィルム成形することができる。
高圧法低密度ポリエチレン;
前記高圧法低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは900~940kg/m3、より好ましくは905~930kg/m3、908~928kg/m3である。
前記高圧法低密度ポリエチレンとしては、市販品であれば、たとえばNUC8160(MFR=2.4g/10分、密度=922kg/m3、(株)NUC製)、F218-0(MFR=1.0g/10分、密度=919kg/m3、住友化学(株)製)が挙げられる。
線状低密度ポリエチレン(LLDPE);
前記線状低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは900~940kg/m3、より好ましくは905~930kg/m3、908~928kg/m3である。
中密度ポリエチレン;
中密度ポリエチレンは、密度が930~945kg/m3、好ましくは932~940kg/m3の範囲にある。
高密度ポリエチレン;
高密度ポリエチレンは、密度が945kg/m3を超え~970kg/m3以下の範囲のポリエチレンである。
エチレン・α-オレフィン共重合体;
前記エチレン・α-オレフィン共重合体としては、エチレン・α-オレフィンランダム共重合体が挙げられる。前記α-オレフィンは、炭素原子数が3~20、好ましくは3~10のα-オレフィンであり、その例としては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセンおよび4,4-ジメチル-1-ヘキセンが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、エチレン・α-オレフィン共重合体は、必要に応じてエチレンおよびα-オレフィン以外の少量のコモノマーがさらに重合されたものであっても良い。
前記エチレン・α-オレフィン共重合体のα-オレフィン含量は、好ましくは0.1~15モル%、より好ましくは、0.5~10モル%である。ただし、エチレン含量およびα-オレフィン含量の合計を100モル%とする。
前記エチレン・α-オレフィン共重合体の密度は、900~940kg/m3が好ましく、900~930kg/m3がより好ましい。密度が上記範囲にあると、透明性、低温シール性に優れたフィルムを得ることができる。
前記エチレン・α-オレフィン共重合体としては、市販品であれば、たとえばエボリュー SP2320(MFR=1.9g/10分、密度=920kg/m3、(株)プライムポリマー製)、ネオゼックス 2512F(MFR=1.3g/10分、密度=924kg/m3、(株)プライムポリマー製)が挙げられる。
エチレン・酢酸ビニル共重合体;
前記エチレン・酢酸ビニル共重合体の密度は、通常910~980kg/m3が好ましく、915~950kg/m3がより好ましい。
前記エチレン・酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル由来の構成単位の量は、エチレン由来の構成単位100質量部に対して、通常5~30質量部、好ましくは10~20質量部である。
前記エチレン・酢酸ビニル共重合体としては、市販品であれば、たとえばエバフレックス(登録商標) EV460(密度=940kg/m3、EVA含量=19質量部)、P1403(密度=930kg/m3、EVA含量=14質量部)(三井・ダウポリケミカル(株)製)が挙げられる。
<各種添加剤>
本発明に係る樹脂組成物には、シーラント層(「ヒートシール層」ともいう。)および後述する基材層に使用することが可能な任意の添加剤、たとえば酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、滑剤、結晶核剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、充填剤等が、本発明の効果を阻害しない範囲において含まれていてもよい。
<樹脂組成物>
本発明に係る樹脂組成物は、前記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)を10~50質量部、好ましくは11~40質量部、より好ましくは12~35質量部、さらに好ましくは13~30質量部含有し、かつ、前記エチレン系重合体(B)を50~90質量部、好ましくは60~89質量部、より好ましくは65~88質量部、さらに好ましくは70~87質量部(但し、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)とエチレン系重合体(B)の合計を100質量部とする。)を含有している。
前記樹脂組成物は、前記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)および前記エチレン系重合体(B)、ならびに任意に各種添加剤を従来公知の方法で混合することにより、調製することができる。
本発明の樹脂組成物を用いると、低温ヒートシール性、耐ブロッキング性、スリップ性に優れるシーラントフィルムおよび積層フィルムを製造することができる。
[フィルムおよび積層フィルム]
本発明に係るフィルムは、上述した本発明に係る樹脂組成物からなり、包装材用のシーラントフィルムとして好ましく用いられる。
本発明に係るフィルムは、本発明に係る樹脂組成物を成形することによって製造することができる。フィルム成形法の例としては、キャスト成形法およびインフレーション成形法が挙げられる。フィルム成形時の溶融樹脂の温度は好ましくは160~260℃である。
前記フィルムの厚さは、フィルムの用途に応じて適宜設定され、たとえばシーラントフィルムとして使用される場合は、好ましくは3~100μmであり、より好ましくは6~90μmである。
またシーラントフィルムは、単独で包装材などとして用いてもよいが、本発明の目的を損なわない範囲内において、本発明のフィルム以外の他のフィルムと積層して用いてもよい。上述した本発明に係る樹脂組成物からなるシーラント層と、中間層とが積層されてなるシーラントフィルムとすることも含む。
前記シーラント層(ヒートシール層)の厚さは、適宜設定され、好ましくは1~50μmであり、より好ましくは5~40μmであり、さらに好ましくは8~30μmである。
中間層とは、シーラントフィルムに積層されるものであれば特に制限なく、前記シーラント層や、後述する基材層以外のものを示す。中間層として、特に制限されないが、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、ブテン系重合体からなる層などが例示される。
また本発明に係る積層フィルムは、上述した本発明に係るフィルムと他の層とが積層されてなり、その例としては、(i)シーラント層と基材層とが積層されてなり、前記シーラント層が本発明に係るフィルム(シーラントフィルム)からなる積層フィルム、および(ii)シーラント層と中間層と基材層とがこの順序で積層されてなり、シーラント層が本発明に係るフィルム(シーラントフィルム)からなる積層フィルムが挙げられる。
前記積層フィルムの各層間の接着力が十分でない場合には、これら2つの層の間に接着剤層を有していてもよい。
前記積層フィルムは、好ましくは包装フィルムないし包装シートとして使用され、容器材料あるいは容器の蓋材料として使用されることもある。
前記基材層の例としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィンのフィルム、スチレン系樹脂のフィルム、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレート等のポリエステルのフィルム、ナイロン6またはナイロン6,6等のポリアミドのフィルム、ポリオレフィンフィルムとポリアミド樹脂またはエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂等のガスバリヤー性のある樹脂フィルムとの積層フィルム、アルミニウム等の金属の箔、アルミニウムやシリカ等が蒸着された蒸着フィルム、あるいは紙等が挙げられる。前記基材層は、包装材の使用目的等に応じて適宜選択され、1種単独で使用してもよく、2種以上を積層して使用してもよい。
前記基材層の厚さは、適宜設定され、好ましくは5~100μmであり、より好ましくは15~85μmであり、さらに好ましくは25~70μmである。
積層フィルムの製造方法の例としては、
シーラント層用の原料樹脂類および基材層用の原料樹脂類ならびに任意に中間層用の原料樹脂類を、それぞれ別の押出機に供給し、それぞれ溶融後に合流させて積層し、Tダイからシート状に押し出す方法(共押出法);シーラント層用の原料樹脂類を押出機に投入し、予め製造した基材層上、あるいは予め製造した基材層および中間層からなる積層体の中間層上に溶融押出しして積層する方法(溶融ラミネート法);およびシーラント層および基材層ならびに任意に中間層を、それぞれ対応する原料樹脂類から作製し、これらを過熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)などが挙げられる。これらのうち、製造に要する時間が短く、かつ層間の接着性が良好であるという点で共押出法が好ましい。
本発明のフィルム、シーラントフィルムまたは積層フィルムは、低温シール性に優れる。低温シール性は、低温シール条件でもある程度高いヒートシール強度を示すものである。高温シール条件では、高いシール強度を示すので、被包装物を密封して包装し、被包装物を取り出す際に、シール部に力を加えてシール部を剥がすことで開封する包装材又はその材料として好適に利用される。本明細書でのヒートシール強度とは、2体の同一の積層体のシーラント層面同士を、重ね合せ、下部のシールバーの温度を70℃、上部のシールバーの温度を75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃、125℃または130℃で、0.2MPaの圧力で1秒間、シールバーの幅5mmで加熱した後、放冷し、次いで、ヒートシールできた試験体からそれぞれ15mm幅の試験片を切り取り、各試験片について、積層体面に対して180°方向にクロスヘッドスピード300mm/分でヒートシール部を剥離した際の剥離強度(N/mm)である。
低温シール性に優れるとは、70℃以上の温度範囲における積層体のヒートシール強度、すなわち、上述したヒートシール強度の測定において、上部のシールバーの設定温度を70℃以上で、5℃刻みで変更して作製した各試験片の剥離強度を評価したうち、好ましくは20N/15mm以上、より好ましくは22N/15mm以上となる設定温度が低い温度であるということである。この温度が低ければ低温でのヒートシールが可能となる。
本発明のフィルム、シーラントフィルムまたは積層フィルムは耐ブロッキング性にも優れる。ブロッキング性は、ブロッキング力で評価し、その値が小さいほど、アンチブロッキング特性に優れることを意味し、好ましくは18N/m以下であり、より好ましくは10N/m以下である。ブロッキング力が前記範囲内であると、保存時のブロッキングを有効に防ぐことができる。ブロッキング力の測定方法は後述の実施例において詳述する。
本発明のフィルムまたは積層フィルムはスリップ性にも優れる。スリップ性は、動摩擦係数(JIS K7125)および静止摩擦係数(JIS K7125)で評価される。動摩擦係数が好ましくは0.1~0.4であり、好ましくは0.2~0.3である。動摩擦係数がこの範囲内にあると、フィルム成形時およびフィルム加工時におけるフィルムの搬送性に優れる。
また静止摩擦係数は好ましくは0.1~0.7であり、より好ましくは0.2~0.6である。静止摩擦係数がこの範囲にあると、フィルム成形時およびフィルム加工時におけるフィルムの巻き取り性および巻き出し性に優れる。
本発明に係る積層フィルムを2枚用意してシーラント層同士を向かい合わせ、または本発明に係る積層フィルムを折り曲げてシーラント層同士が向かい合うように配置し、あるいは本発明に係る積層フィルムのシーラント層と他のフィルムとを向かい合わせ、その後いずれか一方の外表面側から所望容器形状になるようにその周囲をヒートシールすることによって、密閉された、例えば袋状容器を製造することができる。この袋状容器の成形工程を内容物の充填工程と組み合わせると、すなわち、袋状容器の底部および側部をヒートシールした後内容物を充填し、次いで上部をヒートシールすれば自動的に包装体を完成させることができる。したがって、この積層体フィルムは、スナック菓子等の固形物、粉体、あるいは液体材料の自動包装装置に供給して利用することができる。
また、本発明に係る積層フィルムを、または他のフィルムを予め真空成形や深絞り成形等の手段でカップ状容器形状に成形しておき、あるいは通常の射出成形容器を準備し、その容器中に内容物を充填し、その後積層体フィルムまたは他のフィルムを蓋材として被覆し、容器上部側または側部の周囲に沿ってヒートシールすれば、内容物の入った包装体が得られる。この場合、本発明に係るシーラントフィルムは、蓋材のシーラント層、容器本体のシーラント層、または両者のいずれにも使用することができる。この容器は、カップラーメン、味噌、ハム、ベーコン、ゼリー、プリン、スナック菓子等の包装に好適に利用することができる。
容器の構造や製造方法は、前記した説明に限定されるものではなく、任意に変更することができる。また、本発明に係るフィルムまたは積層フィルムと組み合わせて使用できる他のフィルムないし容器としては、従来使用されているポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等の樹脂から成形した包装材料が挙げられる。たとえば、そのような材料から開口部に鍔を有する容器状成形体を成形し、その開口部の鍔部にシーラント層面を重ね合わせるようにして積層し、ヒートシールすることによって両面を接合して容器包装体とすることができる。シーラントフィルムないしシーラント層と前記包装材料とは十分な接着強度でヒートシール可能であるし、また易剥離性を有しているので容易に開封することができる。したがって、この容器は、密封性があり、かつイージーピール性のある包装容器として、特に食品包装の分野に好適に使用することができる。
また本発明によれば、従来に比べ内容物を高速充填させることが可能となり、包装体の生産性を著しく向上できる。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔調製例1〕-エチレン・1-オクテン共重合体(EOR-1)の調製-
撹拌羽根を備えた内容積50Lの連続重合器の一つの供給口に、共触媒としてトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液を2.0mmol/hr、主触媒として[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ハフニウムジクロリドのヘキサン溶液を0.018mmol/hr、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのヘキサンスラリー溶液を0.090mmol/hrの割合で供給し、触媒溶液と重合溶媒として用いる脱水精製したノルマルヘキサンの合計が30L/hrとなるように脱水精製したノルマルヘキサンを連続的に供給した。同時に重合器の別の供給口に、エチレンを6.7kg/hr、1-オクテンを3.3kg/hr、水素を20NL/hrの割合で連続供給し、重合温度130℃、全圧1.6MPaG、滞留時間0.5時間の条件下で連続溶液重合を行った。重合器で生成したエチレン・1-オクテン共重合体のノルマルヘキサン/トルエン混合溶液は、重合器の底部に設けられた排出口を介して連続的に排出させ、エチレン・1-オクテン共重合体のノルマルヘキサン/トルエン混合溶液が150℃となるように、ジャケット部が3kg/cm2スチームで加熱された連結パイプに導いた。なお、連結パイプに至る直前には、触媒失活剤であるメタノールが注入される供給口が付設されており、約11L/hrの速度でメタノールを注入してエチレン・1-オクテン共重合体のノルマルヘキサン/トルエン混合溶液に合流させた。スチームジャケット付き連結パイプ内で約200℃に保温されたエチレン・1-オクテン共重合体のノルマルヘキサン/トルエン混合溶液は、約2.5MPaGを維持するように、連結パイプ終端部に設けられた圧力制御バルブの開度の調整によって連続的にフラッシュ槽に送液された。なお、フラッシュ槽内への移送においては、フラッシュ槽内の圧力が約0.05MPaG、フラッシュ槽内の蒸気部の温度が約200℃を維持するように溶液温度と圧力調整バルブ開度設定が行われた。その後、ダイス温度を190℃に設定した単軸押出機を通し、水槽にてストランドを冷却し、ペレットカッターにてストランドを切断し、ペレットとしてエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-1)を得た。
上記で得られたエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-1)の各種物性を、下記に示す方法で測定し、測定結果を表1に示した。
(コモノマー含有量(組成))
日本電子製JNM GX-400型NMR測定装置を用いてコモノマー含有量を測定した。試料0.35gをヘキサクロロブタジエン2.0mlに加熱溶解させた。この溶液をグラスフィルター(G2)濾過した後、重水素化ベンゼン0.5mlを加え内径10mmのNMRチューブに装入して、120℃で13C-NMR測定を行った。積算回数は8000回以上とした。得られた13C-NMRスペクトルにより、共重合体中のエチレン含量(モル%)および1-オクテン含量(モル%)を定量した。
(密度)
密度は、ASTM D1505に準拠して測定した。
(MFR)
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠して、190℃、2.16kg荷重および190℃、10kg荷重の条件で測定した。
(重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn))
エチレン・1-オクテン共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を行い、各フラクションのポリスチレン換算分子量Mi-PStを得た。次に、Mi-PStを、
[η]i-PSt・Mi-PSt=[η]i-EPR・Mi-EPR、
[η]i-PSt=1.37×10-4Mi-PSt0.686、および
[η]i-EPR=7.2×10-4Mi-EPR0.667
の式を用いて、EPR換算分子量Mi-EPRに変換した。該EPR換算分子量を用いて、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法は、Waters社製ゲル浸透クロマトグラフAllianceGPC-2000型を用いて、以下のようにして測定した。分離カラムは、TSKgel GNH6-HTを2本、およびTSKgel GNH6-HTLを2本であり、カラムサイズはいずれも直径7.5mm、長さ300mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼン(和光純薬工業(株))および酸化防止剤としてBHT(武田薬品工業(株))0.025重量%を用いて、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は15mg/10mlとし、試料注入量は500μlとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000、およびMw>4×106については東ソー社製を用いて、1000≦Mw≦4×106についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。
(融点)
DSC(示差走査熱量)測定装置内で、23℃±2℃で72時間以上の状態調節を実施した後の試験体にて、-40℃まで冷却してから昇温速度10℃/minで200℃まで上昇させ、200℃で10分間保持した後、降温速度10℃/minで-20℃まで冷却し、-20℃で1分間保持した後、再度昇温速度10℃/minで測定したときに得られるDSC曲線を作成した。このときに得られた融点をTmとした。
(組成分布のピーク温度、半値幅、30℃以下溶出成分の割合、および55℃以上溶出成分の割合)
組成分布のピーク温度および半値幅は、クロス分別クロマトグラフ法(CFC)により、以下の条件で実施し、溶媒可溶成分を測定し、観測されるピークの温度、半値幅、30℃以下の溶出成分の割合、および55℃以上溶出成分の割合を算出した。(検出限界0.1%とした)
装置:クロス分別クロマトグラフCFC2(Polymer ChAR社製)
検出器:赤外分光光度計IR4(Polymer ChAR社)
GPCカラム:Shodex HT-806Mx3本(昭和電工社製)
GPCカラム温度:140℃
カラム構成:単分散ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)
溶離液:o-ジクロロベンゼン
流速:1.0ml/分
試料濃度:120mg/30ml
注入量 500μl
降温時間:160分(140℃~-20℃、1℃/分)
溶出温度区分:45分画
〔調製例2〕-エチレン・1-オクテン共重合体(EOR-2)の調製-
1-オクテンの供給量を表1に示すように調整した以外は、上記実施例1の製造方法と同様にしてエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-2)を製造した。
得られたエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-2)の各種物性を実施例1と同様の方法で測定し、測定結果を表1に示した。
〔調製例3〕-エチレン・1-オクテン共重合体(EOR-3)の調製-
1-オクテンの供給量および水素の供給量を表1に示すように調整した以外は、上記実施例1の製造方法と同様にしてエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-3)を製造した。
得られたエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-3)の各種物性を実施例1と同様の方法で測定し、測定結果を表1に示した。
〔調製例4〕-エチレン・1-オクテン共重合体(EOR-4)の調製-
1-オクテンの供給量および水素の供給量を表1に示すように調整した以外は、上記実施例1の製造方法と同様にしてエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-4)を製造した。
得られたエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-4)の各種物性を実施例1と同様の方法で測定し、測定結果を表1に示した。
〔調製例5〕-エチレン・1-オクテン共重合体(EOR-5)の調製-
撹拌羽根を備えた内容積50Lの連続重合器の一つの供給口に、共触媒としてトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液を6mmol/hr、主触媒としてビス(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-1,2,3,4,7,8,9,10-オクタヒドロジベンズ(b,h)-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドのヘキサン溶液を0.0061mmol/hr、メチルアルミノキサンのヘキサンスラリー溶液を3.05mmol/hrの割合で供給し、触媒溶液と重合溶媒として用いる脱水精製したノルマルヘキサンの合計が17L/hrとなるように脱水精製したノルマルヘキサンを連続的に供給した。同時に重合器の別の供給口に、エチレンを5.9kg/hr、1-オクテンを5.6kg/hr、水素を22NL/hrの割合で連続供給し、重合温度127℃、全圧1.6MPaG、滞留時間0.5時間の条件下で連続溶液重合を行った。重合器で生成したエチレン・1-オクテン共重合体のノルマルヘキサン/トルエン混合溶液は、重合器の底部に設けられた排出口を介して連続的に排出させ、エチレン・1-オクテン共重合体のノルマルヘキサン/トルエン混合溶液が150℃となるように、ジャケット部が3kg/cm2スチームで加熱された連結パイプに導いた。なお、連結パイプに至る直前には、触媒失活剤であるメタノールが注入される供給口が付設されており、約11L/hrの速度でメタノールを注入してエチレン・1-オクテン共重合体のノルマルヘキサン/トルエン混合溶液に合流させた。スチームジャケット付き連結パイプ内で約200℃に保温されたエチレン・1-オクテン共重合体のノルマルヘキサン/トルエン混合溶液は、約2.5MPaGを維持するように、連結パイプ終端部に設けられた圧力制御バルブの開度の調整によって連続的にフラッシュ槽に送液された。なお、フラッシュ槽内への移送においては、フラッシュ槽内の圧力が約0.05MPaG、フラッシュ槽内の蒸気部の温度が約200℃を維持するように溶液温度と圧力調整バルブ開度設定が行われた。その後、ダイス温度を190℃に設定した単軸押出機を通し、水槽にてストランドを冷却し、ペレットカッターにてストランドを切断し、ペレットとしてエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-5)を得た。
上記で得られたエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-5)の各種物性を、下記に示す方法で測定し、測定結果を表1に示した。
〔調製例6〕-エチレン・1-オクテン共重合体(EOR-6)の調製-
エチレンの供給量、1-オクテンの供給量、および水素の供給量を表1に示すように調整した以外は、上記実施例5の製造方法と同様にしてエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-6)を製造した。
得られたエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-6)の各種物性を実施例1と同様の方法で測定し、測定結果を表1に示した。
〔調製例7〕-エチレン・1-オクテン共重合体(EOR-7)の調製-
エチレンの供給量および1-オクテンの供給量を表1に示すように調整した以外は、上記実施例5の製造方法と同様にしてエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-7)を製造した。
得られたエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-7)の各種物性を実施例1と同様の方法で測定し、測定結果を表1に示した。
〔調製例8〕-エチレン・1-オクテン共重合体(EOR-8)の調製-
エチレンの供給量、1-オクテンの供給量、水素の供給量および主触媒の供給量を表1に示すように調整した以外は、上記実施例1の製造方法と同様にしてエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-8)を製造した。
得られたエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-8)の各種物性を実施例1と同様の方法で測定し、測定結果を表1に示した。
〔調製例9〕-エチレン・1-オクテン共重合体(EOR-9)の調製-
エチレンの供給量、1-オクテンの供給量、水素の供給量、主触媒の供給量および重合圧力を表1に示すように調整した以外は、上記実施例1の製造方法と同様にしてエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-9)を製造した。
得られたエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-9)の各種物性を実施例1と同様の方法で測定し、測定結果を表1に示した。
〔調製例10〕-エチレン・1-オクテン共重合体(EOR-10)の調製-
エチレンの供給量、1-オクテンの供給量、水素の供給量、主触媒の供給量および重合圧力を表1に示すように調整した以外は、上記実施例1の製造方法と同様にしてエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-10)を製造した。
得られたエチレン・1-オクテン共重合体(EOR-10)の各種物性を実施例1と同様の方法で測定し、測定結果を表1に示した。
実施例等では、調製例1~10で得られた重合体以外の原材料成分として、次に示す市販品をそのまま使用した。
・エチレン・1-オクテン共重合体(EOR-11):
Engage 8003(ダウ・ケミカル製)、MFR(190℃、2.16kg荷重)=1.0g/10分、密度885kg/m3
・エチレン・1-オクテン共重合体(EOR-12):
Affinity VP87701G(ダウ・ケミカル製)、MFR(190℃、2.16kg荷重)=1.0g/10分、密度885kg/m3
・エチレン・1-オクテン共重合体(EOR-13):
Affinity PL1880G(ダウ・ケミカル製)、MFR(190℃、2.16kg荷重)=1.0g/10分、密度902kg/m3
・エチレン・1-ブテン共重合体(EBR):
A-1085S(三井化学(株))MFR(190℃、2.16kg荷重)=1.2g/10分、密度885kg/m3
・ZN-LLDPE:
1001X31(エクソンモービル製)、MFR(190℃、2.16kg荷重)=1.0g/10分、密度918kg/m3
・m-LLDPE:
Elite 5400G(ダウ・ケミカル製)、MFR(190℃、2.16kg荷重)=1.0g/10分、密度916kg/m3
・AB剤(アンチブロッキング剤):
EAZ-20((株)プライムポリマー製、合成ゼオライト20質量部および低密度ポリエチレンを80質量部配合した組成物)
・滑剤(スリップ剤):
SQ-3((株)プライムポリマー製、エルカ酸アミド30質量部および低密度ポリエチレンを70質量部配合した組成物)
EOR―11、EOR―12、EOR―13、およびEBRの各種物性を実施例1と同様の方法で測定した。これらの測定結果を表1に示した。
〔実施例1〕
(積層フィルムの製造)
以下に示すシーラント層用の樹脂組成物、および基材層用の樹脂組成物をそれぞれの押出機に供給し、インフレーション成形ダイ(ダイス径200mmφ、リップギャップ2.0mm)を使用し、樹脂温度が200℃に、シーラント層および基材層の厚さがそれぞれ20μmおよび50μmになるように各押出機の押出し量を設定し、共押出成形により厚さ70μmのフィルムを得た。成形速度は10m/分であった。次いで、得られたフィルムの基材層面に厚さ25μmの延伸PETフィルム(ユニチカ製)を、ドライラミネーション法により接着剤層を介して積層し、積層フィルムを得た。
・シーラント層用の樹脂組成物;
ZN―LLDPE、EOR―1、AB剤および滑剤を、それぞれ80/20/1.25/2の重量比でブレンドして得られる樹脂組成物。
・基材層用の樹脂組成物;
ZN-LLDPEおよび滑剤を、それぞれ100/2の重量比でブレンドして得られる樹脂組成物。
(ヒートシール強度の測定)
実施例1で成形した積層フィルム2枚を、シーラント層同士が向き合うように、各シーラント層のMD方向(成形時に溶融樹脂を流した方向)同士を揃えて重ね、重ねたフィルムの両面を厚さ50μmのテフロン(登録商標)シートで挟んで試験体とした。次いで、ヒートシールテスター(テスター産業(株)製、TP-701-G型)のヒートシールバーを幅5mm×長さ300mmに設置し、下ヒートシールバーを70℃に設定した。上ヒートシールバーを75℃に設定し、該試験体(テフロンシート/積層フィルム/積層フィルム/テフロンシート)をシールバーで挟み、0.2MPaの圧力で1.0秒間ヒートシールした。テフロンシートを外し、ヒートシールされたフィルム部分を約23℃で1日間放置した。その後、フィルムのヒートシール部分を含むように15mm幅のスリットを入れ、シールされていない部分を引張試験機(「(株)島津製作所製、EZ-X」)に固定し、300mm/分の速度でフィルムの剥離強度を測定した。上記操作を5回行い、その平均値をヒートシール強度とした。
上記上ヒートシールバーの設定温度を、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、または130℃に変更して、同様の実験を行った。これらの設定温度で得られた結果も表2に示す。
(低温シール性)
ヒートシール強度が20N/15mm以上を示す上ヒートシールバーの設定温度として、低温シール性を評価した。
(ブロッキング力)
サンプルフィルム同士を、ASTM D 1893に準じ、20kg荷重、50℃のエアオーブンで3日間放置した後、ブロッキング係数(N/m)を測定した。
(動摩擦係数)
JIS K7125「プラスチック-フィルムおよびシート摩擦係数試験方法」にてフィルム同士の動摩擦係数を測定した。試験条件は、試験速度:200mm/分、試験片幅:63.5mm、荷重:200g、測定環境温度:23℃とした。
(静止摩擦係数)
JIS K7125「プラスチック-フィルムおよびシート摩擦係数試験方法」にてフィルム同士の静止摩擦係数を測定した。試験条件は、試験速度:200mm/分、試験片幅:63.5mm、荷重:200g、測定環境温度:23℃とした。
〔実施例2~実施例10〕
シーラント層用の樹脂組成物として、表2に記載の樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを製造し、実施例1と同様の評価方法でヒートシール強度、ブロッキング力、静止摩擦係数および動摩擦係数を測定した。表2に結果を示す。
〔比較例1~比較例13〕
シーラント層用の樹脂組成物として、表3に記載の樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを製造し、実施例1と同様の評価方法でヒートシール強度、ブロッキング力、静止摩擦係数および動摩擦係数を測定した。表3に結果を示す。比較例1、比較例2、比較例5、比較例6,比較例7、比較例8、比較例10、比較例12および比較例13では、実施例と比較して低温シール性が低下した。また、比較例3、比較例4、比較例9および比較例11では、実施例と比較して耐ブロッキング性およびスリップ性が低下した。

Claims (8)

  1. 要件(A-a)、(A-b)、(A-c)および(A-d)を全て満たすエチレン・α-オレフィン共重合体(A)10~50質量部と、
    要件(B-a)を満たすエチレン系重合体(B)50~90質量部とを、
    (但し、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)とエチレン系重合体(B)の合計を100質量部とする)
    含有するエチレン系樹脂組成物;
    要件(A-a)エチレンから導かれる構成単位(i)および炭素原子数6~20のα-オレフィンから導かれる構成単位(ii)の合計を100モル%とした時、構成単位(i)の含有量が85~95モル%であり、構成単位(ii)の含有量が5~15モル%である;
    要件(A-b)ASTM D 1505に基づいて測定した密度が880~890kg/m3である;
    要件(A-c)ASTM D 1238に準拠した、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.1~20g/10分である;
    要件(A-d)クロス分別クロマトグラフ法(CFC)で得られる組成分布のピークの半値幅が15℃以下である;
    要件(B-a)ASTM D 1505に基づいて測定した密度が900~980kg/m3である。
  2. エチレン・α-オレフィン共重合体(A)がエチレン・1-オクテン共重合体(A1)である請求項1に記載のエチレン系樹脂組成物。
  3. エチレン・α-オレフィン共重合体(A)がクロス分別クロマトグラフ法(CFC)で得られる組成分布の30℃以下の溶出成分が12%以下、かつ、55℃以上の溶出成分が5%以下である請求項1または2に記載のエチレン系樹脂組成物。
  4. エチレン・α-オレフィン共重合体(A)が融点[Tm](℃)と密度[d](kg/m3)とが、下記の関係式(1)を満たす請求項1~3のいずれか1項に記載のエチレン系樹脂組成物。
    [Tm]<1.357×[d]-1123 (1)
  5. エチレン系重合体(B)が、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・α-オレフィン共重合体からなる群より選ばれるエチレン系重合体(B)であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のエチレン系樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載のエチレン系樹脂組成物からなるフィルム。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載のエチレン系樹脂組成物からなるシーラント層と、中間層とが積層されてなるシーラントフィルム。
  8. シーラント層と中間層と基材層とがこの順序で積層されてなり、
    前記シーラント層が請求項1~5のいずれか1項に記載のエチレン系樹脂組成物からなる積層フィルム。
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