JP2023133740A - 火災報知システム - Google Patents

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Abstract

【課題】部屋ごとに細かく判断閾値を設定せずとも、特に日当たりが良い部屋における誤報を防止できる火災報知システムを提供する。【解決手段】火災受信機と部屋ごとに設置され物理的現象を検出する複数のアナログ感知器とを備え、アナログ感知器から送信された検出値に基づいて火災の発生を判断し発報する火災報知システムにおいて、火災受信機の演算処理装置は、複数のアナログ感知器の検出値と所定の火災判断閾値とを比較する第1比較手段と、複数のアナログ感知器からの検出値を統計処理する統計処理手段と、複数のアナログ感知器の検出値と統計処理結果に基づく相対火災判断閾値とを比較する第2比較手段と、第1比較手段および第2比較手段の判断結果に基づいて火災の発生を判断する火災判断手段とを備え、いずれか1の検出値が所定の火災判断閾値を超えかつ相対火災判断閾値を超えたことを検出した場合に、火災が発生したと判断するようにした。【選択図】図3

Description

本発明は、熱感知器を備えた火災報知システムに関し、特に建物内における日の当たり方を考慮して火災発生判断の高精度化を可能にする技術に関する。
火災報知システムにおいては、防災管理センター等に設置された火災受信機から引き出された信号線が建物の各フロアに延設され複数の感知器が接続されている。また、感知器はフロアのレイアウトに応じて部屋ごとに1つまたは複数個設置される。
火災報知システムを構成する火災感知器には、煙を検知するタイプや熱を検出するタイプ、赤外線(炎)を検出するタイプなど幾つか種類があり、熱感知器のように、検出した温度情報を火災受信機へ送信するタイプもある。火災受信機はそのような熱感知器からの情報に基づいて、受信した測定温度が予め設定された温度(閾値)を超えると、当該感知器が設置されているエリアで火災が発生したと判断する。
火災受信機において火災発生の判断に用いる閾値は、簡単には固定の閾値を工場出荷時に設定して、感知器が設置された部屋の環境に関わらず一律に共通の閾値を使えばよい。しかし、ガラス窓の面積が大きいオフィスビルなどにおいては、特に日当たりが良い南側の部屋では恒常的に太陽の光が部屋に差し込むが、中には長時間にわたり閉め切ることが多い部屋もある。すると、そのような部屋は、温室効果で温度が上昇し高温となった結果、判断閾値を超えてしまい、火災が発生していないにも関わらず火災が発生したと判断されること(非火災報、誤報)がある。
従って、熱感知器のような温度検出機能を有する感知器を備えた火災報知システムにおける火災発生の判断閾値は、各部屋の日当たりや空調の具合などの環境差を考慮して、部屋ごとに可変設定するのが好ましい。
かかる技術に関して、特許文献1には、火災受信機に対して感知器ごとに判断閾値(火災レベル)を異ならせて設定することができるようにした火災レベル設定装置に関する発明が開示されている。
特開平05-89380号公報
特許文献1に記載の装置によれば、管理者は感知器が設置された部屋の様子を踏まえて、ユーザーインターフェースを目視して簡単に判断閾値(火災レベル)の設定ができる。
しかしながら、特許文献1の装置にあっては、部屋数が増えるほど実際の温度変化を踏まえて部屋ごとにいちいち判断閾値を設定する必要があるため、管理者の負担が大きいという課題がある。また、部屋の改装によって窓に太陽光を通しにくいガラスが設置されたり遮光性の高いブラインドが設けられたりすることもあり、そのような場合には改めて判断閾値を設定し直す必要が生じるという課題がある。
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、部屋ごとに細かく火災判断閾値を設定せずとも、特に日当たりが良い部屋における誤報を防止できる火災報知システムを提供することにある。
本発明の他の目的は、改装などによって監視対象の部屋の温度環境が変化しても、その温度環境に応じてそれぞれに適した判断閾値を自動的に設定して火災発生の判断を行うことが可能な火災報知システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、この発明は、
演算処理装置を有する火災受信機と、当該火災受信機から引き出された信号線に接続され、建物のフロアを複数に分割した部屋ごとに設置され物理的現象を検出する複数のアナログ感知器と、を備え、前記アナログ感知器から送信された検出値に基づいて前記火災受信機が火災の発生を判断し発報する火災報知システムにおいて、
前記演算処理装置は、
前記複数のアナログ感知器のそれぞれの前記検出値と所定の火災判断閾値とを比較する第1比較手段と、
前記複数のアナログ感知器からの検出値を統計処理する統計処理手段と、
前記複数のアナログ感知器のそれぞれの前記検出値と前記統計処理手段による統計処理結果に基づく相対火災判断閾値とを比較する第2比較手段と、
前記第1比較手段および前記第2比較手段の判断結果に基づいて火災の発生を判断する火災判断手段と、を備え、
前記火災判断手段は、いずれか1の検出値が前記所定の火災判断閾値を超えたことを前記第1比較手段が検出し、かつ前記いずれか1の検出値が前記相対火災判断閾値を超えたことを前記第2比較手段が検出した場合に、当該いずれか1の検出値を送信したアナログ感知器が設置されている部屋において火災が発生したと判断するように構成したものである。
上記のような構成を有する火災報知システムによれば、複数のアナログ感知器からの検出値を統計処理する統計処理手段と、複数のアナログ感知器のそれぞれの検出値と統計処理手段による統計処理結果に基づく相対火災判断閾値とを比較する第2比較手段とを備えるため、部屋ごとに細かく火災判断閾値を設定せずとも、特に日当たりが良い部屋における室温の上昇に起因する誤報を防止することができる。また、改装などによって監視対象の部屋の温度環境が変化しても、その温度環境に応じてそれぞれに適した判断閾値を自動的に設定し火災発生の判断を行うことができる。さらに、火災判断手段は、いずれか1の感知器の検出値が所定の火災判断閾値を超えかつ相対火災判断閾値を超えた場合に、火災が発生したと判断するため、複数の部屋の温度が同時に上昇したような状況でも、火災の発生を検出することができる。
ここで、望ましくは、前記火災受信機は、前記フロアにおける前記部屋のレイアウト情報を記憶する記憶装置をさらに有し、
前記統計処理手段は、着目するアナログ感知器が設置された部屋から所定の距離範囲内にある複数の部屋のアナログ感知器から送信されたアナログ検出信号を統計処理し、
前記第2比較手段は、前記統計処理結果に基づく平均値または中央値よりも所定温度以上高い温度を前記相対火災判断閾値として火災の発生を判断するように構成する。
かかる構成によれば、比較的簡単な処理で相対火災判断閾値を決定することができる。
また、望ましくは、前記火災受信機は、前記フロアを部屋単位でブロックに分割したブロック情報を記憶する記憶装置をさらに有し、
前記統計処理手段は、着目するアナログ感知器が設置された部屋が含まれる前記ブロックに属する複数の部屋に設置されたアナログ感知器の検出値を統計処理するように構成する。
南向きの部屋が複数並んでいるフロアの場合、それぞれの部屋は火災が発生していなくても押しなべて温度は高い傾向になると考えられるので、南向きの部屋をまとめて1ブロックとしておき、南向きの部屋については、そのブロックに属する部屋の感知器の検出値を統計処理することで、部屋の温度が普段とは異なり大きく逸脱するほどに高温になると火災発生と判断することができる。
また、望ましくは、前記第2比較手段は、前記レイアウト情報を参照して、着目するアナログ感知器が設置された部屋が当該部屋のあるフロア内で最も南側に位置する特定ブロックに属するときに前記統計処理を行うようにする。
かかる構成によれば、南側に位置するブロックに属する部屋の温度ほど高くなる傾向があるので、南側のブロックについてのみ統計処理を行うようにすることで、演算処理装置の負担を軽減することができる。
また、望ましくは、前記火災受信機は、時刻情報および前記レイアウト情報を参照して室温の日周変動に応じた複数の部屋を選択して特定ブロックに設定するブロック設定手段をさらに有し、
前記統計処理手段は、着目するアナログ感知器が設置された部屋が前記ブロック設定手段により設定された前記特定ブロックに属するときに前記統計処理を行うようにする。
かかる構成によれば、室温は太陽の方位に応じて日周変動するため、室温の日周変動に応じて特定ブロックを設定することで、統計処理を行うべきブロックを東向き-南向き-西向きのように変更していくことができ、効率よく高精度で火災発生の判断を行うことができる。
また、望ましくは、前記統計処理手段は、前記統計処理として前記複数のアナログ感知器の検出値の加重平均値を求める処理を行うように構成する。
かかる構成によれば、着目する部屋に近い部屋の温度ほど重要度を高くすることで、より高い精度で火災発生の判断を行うことができる。
また、望ましくは、前記火災判断手段は、前記第1比較手段が、着目するアナログ感知器の検出値が所定の即時発報閾値を超えていると判断した場合には、前記第2比較手段の判断結果にかかわらず当該検出値を送信したアナログ感知器が設置されている部屋において火災が発生したと判断するように構成する。
着目する部屋の周囲の部屋の温度を統計処理してその結果との比較で火災発生の判断を行うようにした場合、周囲の部屋の温度が押しなべて高温になっていると、火災発生の判断が難しくなり、失報するおそれがあるが、上記構成によれば感知器の検出値が即時発報閾値を超える火災発生と判断するため、失報状態が発生するのを回避することができる。
本発明に係る火災報知システムによれば、部屋ごとに細かく火災判断閾値を設定せずとも、特に日当たりが良い部屋における誤報を防止することができる。また、改装などによって監視対象の部屋の温度環境が変化しても、その温度環境に応じてそれぞれに適した判断閾値を自動的に設定して火災発生の判断を行うことができるという効果がある。
実施形態の火災報知システムの一例を示すブロック図である。 実施形態の火災報知システムが適用される建物のフロアのレイアウトの一例を示すフロア図である。 実施形態の火災報知システムを構成する火災受信機の演算処理装置における処理手順の一例を示すフローチャートである。 統計処理を行う周辺の部屋または感知器の範囲の一例を示すフロア図である。 ブロックの構成の一例を示すフロア図である。 ブロックの構成の他の例を示すフロア図である。
以下、図面を参照して、本発明を適用した火災報知システムの実施形態について説明する。図1は、本実施形態の火災報知システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
本実施形態の火災報知システムは、図1に示すように、防災管理センター等に設置された火災受信機(以下、受信機と記す)11と感知器12とから構成され、受信機11から引き出された信号線13が建物の各フロアに延設されそれぞれに複数の感知器12が接続されている。
ここで、感知器12は、熱感知器あるいは複合型感知器のように、検出した温度情報を受信機11へ送信する機能を有しており、フロアのレイアウトに応じて部屋ごとに、1つまたは複数個設置される。また、信号線13には中継器等が接続されることもある。なお、本実施形態は、フロアのレイアウトとして、比較的数多くの部屋に区切られている場合に適用すると効果的である。
また、建物の廊下には煙感知器が設置されるのが一般的な面があるが、本実施形態では説明の簡略化と理解の容易化のために、廊下も含めてすべて熱感知器が設置されているとして説明する。
受信機11は、信号線13を介して感知器12より送られている情報信号を受信する信号受信部21と、演算処理装置22、記憶装置23を備えており、記憶装置23には、監視対象の建物の各フロアの形状、レイアウト(部屋の間取り)、部屋の方位情報(フロア内で東西南北どの位置にあるかを示す情報)、感知器12が設置されている部屋番号、部屋の属するブロックの番号などの情報が記憶されている。さらに、窓に面している部屋、特に南側の部屋、もしくはそのような部屋に設置されている感知器には、その旨のラベル(属性情報)が付されている。
演算処理装置22は、複数の感知器の検出温度を統計処理する統計処理手段22A、着目する感知器の検出温度と判断閾値Tthまたは即時発報閾値Tmaxとを比較する第1比較手段22B、着目する感知器の検出温度と統計処理手段22Aにより算出された閾値温度とを比較する第2比較手段22C、第1比較手段22Bと第2比較手段22Cの比較結果に基づいて火災の発生を判断する火災判断手段22D、時刻を計時する計時手段(タイマ)22Eその他の手段を備えており、これらの手段は、演算処理装置22を構成するCPU(マイクロプロセッサ)とCPUが実行するプログラムとによって実現される。
次に、図2を用いて、上記実施形態の火災報知システムにおける感知器が設置されている部屋環境(感知器の検出温度情報)に応じた火災発生の判断閾値の設定方法の基本的な考え方について説明する。
図2は、オフィスビルのフロアのレイアウトの一例を示すもので、同一フロアの各部屋A,B,C,D,E……には感知器Sが1つずつ設置されているとともに、廊下W1,W2,W3には所定の間隔をおいて複数の感知器Sが設置されている。なお、図2のフロア図において、左側は南、右側は北であるとする。つまり、部屋A,B,Cは南側の部屋である。
従来の火災報知システムにおいては、いずれかの感知器により検出された温度が、判断閾値Tth(例えば55℃)を超えると、受信機はその感知器が設置されている部屋にて火災が発生したと判断して発報する。この際、他の部屋の感知器でどのような温度が計測されているかは考慮する必要はなかった。
しかし、南側に位置している部屋特にガラス張りまたはガラス窓の多い部屋は、晴れた日の日中に太陽光が差し込むため、温度が高くなりがちである。そのため、昼間に窓およびドアを閉め切って無人になることがあると、温室効果によって室内温度が判断閾値Tthを超え、非火災報(誤報)を発する場合があることを否定できない。
つまり、図2のフロア図の下に示すグラフより分かるように、南側の部屋A,B,Cの温度(a),(b),(c)は、南側でない部屋D,Eの温度(d),(e)に比べて検出温度が高めになることが常態化している。従って、南側の部屋に関しては、従来のように検出温度を他の部屋の感知器と共通の閾値と比較するだけでは、誤報が発生するのを回避することができない。
ところが、南側の部屋A,B,Cの温度(a),(b),(c)同士を比較すると、南側でない部屋D,Eの温度(d),(e)に比べて温度差が小さいことが分かる。本発明は、このことに着目してなされたもので、ある感知器の検出温度が判断閾値Tthを超え、かつ周辺の感知器の検出温度に対して、所定値(例えば10℃)以上高くなった場合(相対火災判断閾値を超えた場合)に火災が発生したと判断するようにしたものである。
ただし、単にある感知器の検出温度が周辺の感知器の検出温度よりも所定以上高くなった場合に火災が発生したと判断したのでは、例えば南側の部屋A,B,Cで同時に火災が広がり温度(a),(b),(c)がすべて同じように上昇した場合に、発報せず失報するおそれがある。そこで、従来の判断閾値Tth(55℃)よりも高い即時発報閾値Tmax(例えば70℃)を設定しておいて、検出温度が即時発報閾値Tmaxを超えた場合には無条件で火災が発生したと判断することとした。
次に、本実施形態の火災報知システムを構成する受信機11の演算処理装置22による火災判断処理の手順の一例を、図3に示すフローチャートを用いて説明する。
受信機11は、先ず各信号線13に接続されている感知器12から検出温度情報を受信し(ステップS1)、火災判断閾値を超えた感知器があるか否か判断する(ステップS2)。そして、火災判断閾値を超えた感知器がある(Yes)と判断した場合には、ステップS3へ進み、記憶装置23内のテーブルを参照して当該感知器について後述の統計処理の対象の感知器があるか否か判断する。具体的には、例えば同一のブロックに属する感知器があるか否かを判断する。そして、ステップS3で、統計処理の対象の感知器がない(No)と判断すると、ステップS9へ移行して直ちに発報すなわち火災発生の報知を実行する。
一方、ステップS3で統計処理の対象の感知器がある(Yes)と判断した場合には、ステップS4へ進んで、当該感知器の検出温度が即時発報閾値Tmax(例えば70℃)を超えているか否か判断する。そして、即時発報閾値Tmaxを超えた(Yes)と判断すると、ステップS9へ移行して直ちに発報すなわち火災発生の報知を実行する。これにより、統計処理の結果を待たずに、速やかに発報できるとともに、周辺の複数の部屋の感知器の検出温度が一斉に上昇したような場合に、統計処理を行うことによって、失報状態になるのを回避することができる。
また、ステップS4で、即時発報閾値Tmaxを超えていない(No)と判断すると、ステップS5へ進み、計時手段(タイマ)より現在時刻の情報を取得する。そして、時刻情報に応じて、昼間の時間帯であれば、統計処理を行うため、当該感知器のブロック番号情報等に基づいて複数の感知器すなわち着目する感知器の周辺の部屋の感知器を選択する(ステップS6)。なお、この選択の際に、複数の感知器の中に着目する感知器自身を含めることで統計処理の演算を簡略化するようにしても良いが、そのようにすると、後述のステップS8における「周辺の部屋に比べて所定温度以上高温になっているか」の判断が不正確になるため、含めないようにするのが良い。ただし、部屋数の多い建物では演算を簡単にするため、着目する感知器自身を含めて統計処理を行なっても良い。
ステップS6に続いて、受信機11の演算処理装置22は、ステップS6で選択した複数の感知器の検出温度情報に基づいて統計処理を行う(ステップS7)。そして、着目する感知器の検出温度とステップS7の統計処理結果との差が大きいか否か、すなわち「周辺の部屋に比べて所定温度(例えば10℃)以上高温になっているか」の判断を行う(ステップS8)。
ここで、統計処理結果との差が大きい(Yes)と判断すると、ステップS9へ移行して発報(火災発生の報知)を実行する。一方、ステップS8で、統計処理結果との差が大きくない(No)と判断すると、ステップS1へ戻って上記処理を繰り返す。このようにすることにより、南側にある部屋の感知器の検出温度が太陽光の影響で上昇したような場合に、誤って火災発生と判断して発報するのを回避することができる。
次に、上記フローチャートのステップS7における統計処理の具体例について説明する。
統計処理の具体例としては、次に示す式を用いて、加重平均を算出する方法がある。
Figure 2023133740000002
上記数式1において、Tiは各感知器で測定された温度、nはそのブロックに含まれる部屋または感知器の数、αiは重み係数である。αiの決め方としては、注目する部屋または感知器に近い部屋または感知器ほど温度も近いと考えられるので、例えば注目する部屋または感知器からの距離に応じて、距離が小さいほど「1」に近い値とし、離れているほど「0」に近い値に設定する。
次に、図4~図6を用いて、統計処理の演算に含める部屋または感知器の設定の仕方について説明する。
図4に示す例は、注目する部屋または感知器から所定の距離L以内の部屋または感知器を統計処理の演算に含めるようにしたものである。
図5に示す例は、1つのフロアを予め複数のブロックBL1,BL2,BL3,BL4に分け、ブロック内の部屋または感知器を統計処理の演算の対象とするようにしたものである。なお、注目する部屋または感知器が属するブロックおよび隣接するブロック内の部屋または感知器を統計処理の演算の対象とするようにしても良い。また、図5に示すように、1つのフロア全体を予め複数のブロックに分ける代わりに、南側に位置する所定の範囲の部屋または感知器についてのみブロック(例えばBL1,BL2あるいはBL1のみ)を設定するようにしても良い。
図6に示す例は、太陽方位の変化すなわち室温の日周変動に応じてブロックBL1,BL2,BL3,BL4の区分けを変化させるようにしたものである。なお、図6の(A)は朝方、(B)は午前中、(C)は昼前後の時間帯における区分けをそれぞれ想定したものである。
図6に示すように、室温の日周変動に応じてブロックの区分けを変化させることで、より精度の高い火災発生の判断を行うことができる。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、ある感知器(例えばA)のみが判断閾値を超えた場合に火災発生と判断する場合を例示したが、例えば感知器Bに隣接する感知器AとCも判断閾値を超えた場合、つまりあるブロックに含まれる半数近くの感知器の検出温度が判断閾値をわずかに超えたような場合には、火災ではなく日差しにより高温になったとして、火災と判断しないようにしても良い。また、上記実施形態では、統計処理の一例として加重平均を算出するようにしているが、中央値を算出するようにしても良い。
また、上記実施形態では、建物内で南側に位置する部屋または感知器について、周辺の複数の部屋または感知器の検出温度を統計処理して火災の発生を判断すると説明したが、建物の南側に隣接する高い建物があるなど、建物の設置環境によっては、南側以外の方位(例えば南西や西側)に位置する部屋または感知器について、周辺の複数の部屋または感知器の検出温度を統計処理して火災の発生を判断するようにしても良い。
11 火災受信機(受信機)
12 火災感知器(アナログ感知器)
13 信号線
21 信号受信部
22 演算処理装置
23 記憶装置
22A 統計処理手段
22B 第1比較手段
22C 第2比較手段
22D 火災判断手段
22E 計時手段(タイマ)

Claims (7)

  1. 演算処理装置を有する火災受信機と、当該火災受信機から引き出された信号線に接続され、建物のフロアを複数に分割した部屋ごとに設置され物理的現象を検出する複数のアナログ感知器と、を備え、前記アナログ感知器から送信された検出値に基づいて前記火災受信機が火災の発生を判断し発報する火災報知システムであって、
    前記演算処理装置は、
    前記複数のアナログ感知器のそれぞれの前記検出値と所定の火災判断閾値とを比較する第1比較手段と、
    前記複数のアナログ感知器からの検出値を統計処理する統計処理手段と、
    前記複数のアナログ感知器のそれぞれの前記検出値と前記統計処理手段による統計処理結果に基づく相対火災判断閾値とを比較する第2比較手段と、
    前記第1比較手段および前記第2比較手段の判断結果に基づいて火災の発生を判断する火災判断手段と、を備え、
    前記火災判断手段は、いずれか1の検出値が前記所定の火災判断閾値を超えたことを前記第1比較手段が検出し、かつ前記いずれか1の検出値が前記相対火災判断閾値を超えたことを前記第2比較手段が検出した場合に、当該いずれか1の検出値を送信したアナログ感知器が設置されている部屋において火災が発生したと判断する
    ことを特徴とした火災報知システム。
  2. 前記火災受信機は、前記フロアにおける前記部屋のレイアウト情報を記憶する記憶装置をさらに有し、
    前記統計処理手段は、着目するアナログ感知器が設置された部屋から所定の距離範囲内にある複数の部屋のアナログ感知器から送信されたアナログ検出信号を統計処理し、
    前記第2比較手段は、前記統計処理結果に基づく平均値または中央値よりも所定温度以上高い温度を前記相対火災判断閾値として火災の発生を判断する
    ことを特徴とした請求項1に記載の火災報知システム。
  3. 前記火災受信機は、前記フロアを部屋単位でブロックに分割したブロック情報を記憶する記憶装置をさらに有し、
    前記統計処理手段は、着目するアナログ感知器が設置された部屋が含まれる前記ブロックに属する複数の部屋に設置されたアナログ感知器の検出値を統計処理する
    ことを特徴とした請求項1に記載の火災報知システム。
  4. 前記第2比較手段は、前記レイアウト情報を参照して、着目するアナログ感知器が設置された部屋が当該部屋のあるフロア内で最も南側に位置する特定ブロックに属するときに前記統計処理を行う
    ことを特徴とした請求項2に記載の火災報知システム。
  5. 前記火災受信機は、時刻情報および前記レイアウト情報を参照して室温の日周変動に応じた複数の部屋を選択して特定ブロックに設定するブロック設定手段をさらに有し、
    前記統計処理手段は、着目するアナログ感知器が設置された部屋が前記ブロック設定手段により設定された前記特定ブロックに属するときに前記統計処理を行う
    ことを特徴とした請求項2または4に記載の火災報知システム。
  6. 前記統計処理手段は、前記統計処理として前記複数のアナログ感知器の検出値の加重平均値を求める処理を行うことを特徴とした請求項1から5のいずれか一項に記載の火災報知システム。
  7. 前記火災判断手段は、
    前記第1比較手段が、着目するアナログ感知器の検出値が所定の即時発報閾値を超えていると判断した場合には、前記第2比較手段の判断結果にかかわらず当該検出値を送信したアナログ感知器が設置されている部屋において火災が発生したと判断する
    ことを特徴とした請求項1から6のいずれか一項に記載の火災報知システム。
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