JP2023132306A - 板状粒子の剥離方法 - Google Patents

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杏子 柿沼(奥山)
Kakinuma, (Okuyama) Kyoko
和昭 真田
Kazuaki Sanada
員也 永田
Kazuya Nagata
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Abstract

【課題】コストや手間を要することなく大量の板状粒子を剥離できる板状粒子の剥離方法を提供する。【解決手段】第1ロール11と、この第1ロール11と軸平行に隣接配置された第2ロール12とを備え、第1ロール11及び第2ロール12の回転速度を調整可能な二本ロール型混練機10によって、高分子材料を主材として板状粒子が充てんされた高粘度の複合材料を混練することで板状粒子を剥離する剥離工程(ステップS2)を備えることを特徴としている。【選択図】図2

Description

本発明は板状の結晶片が積層した板状粒子の剥離方法に関するものである。
従来、板状粒子である窒化ホウ素の粒子をエポキシモノマーと混合してスラリー状の複合材料を生成し、三本ロールミルによって混練することで窒化ホウ素粒子を剥離する板状粒子の剥離方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特表2017-510540号公報
しかしながら、従来の剥離方法において使用される三本ロールミルは、一般的に低粘度材料に適した混練装置である。通常、窒化ホウ素粒子の混合量を増やすほど、生成される複合材料の粘度が高くなる。そのため、三本ロールミルを使用する従来の剥離方法では、大量の板状粒子が混合された複合材料の混練を行うことが難しく、大量処理に向いていないという問題がある。
また、湿式ジェットミルや回転ディスクミル、遊星ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波ミル等の混練装置を用いて板状粒子を剥離することも考えられる。しかし、例えば超音波ミルでは、高価なイオン溶液を大量に使用して長時間の処理を行う必要があるなど、いずれの混練装置を使用しても手間とコストを要する方法となってしまう。そのため、産業分野への適用可能な剥離方法が確立されていない。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、コストや手間を要することなく大量の板状粒子を剥離できる板状粒子の剥離方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の板状粒子の剥離方法は、第1ロールと、前記第1ロールと軸平行に隣接配置された第2ロールとを備え、前記第1ロール及び前記第2ロールの回転速度を調整可能な二本ロール型混練機によって、高分子材料を主材として板状粒子が充てんされた高粘度の複合材料を混練することで前記板状粒子を剥離する剥離工程を備える。
本発明の板状粒子の剥離方法では、コストや手間を要することなく大量の板状粒子を剥離できる。
実施例1の板状粒子の剥離方法に使用する連続式の二本ロール型混練機を示す概略平面図である。 実施例1の板状粒子の剥離方法の手順を示すフローチャートである。 板状粒子の剥離を説明する模式図である。 (a)ロール表面に溝が形成されていない混練機による混練状態を示す画像である。(b)実施例1の二本ロール型混練機による混練状態を示す画像である。 混練前の複合材料に含まれる窒化ホウ素粒子の画像である。 実施例1の二本ロール型混練機による混練後の複合材料に含まれる窒化ホウ素粒子の画像である。 混練前の複合材料に含まれる窒化ホウ素粒子の厚みサイズごとの測定頻度と、実施例1の二本ロール型混練機による混練後の複合材料に含まれる窒化ホウ素粒子の厚みサイズごとの測定頻度とを示すグラフである。 本発明の板状粒子の剥離方法に使用するバッチ式の二本ロール型混練機を示し、(a)は概略平面図であり、(b)は概略正面図であり、(c)はA-A矢視概略断面図である。 バッチ式の二本ロール型混練機を用いて、異なる運転条件で混練した際の処理結果を示す表である バッチ式の二本ロール型混練機を用いて、異なる物性の複合材料を混練した際の処理結果を示す表である。
以下、本発明の板状粒子の剥離方法を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
実施例1の板状粒子の剥離方法では、図1に示す二本ロール型混練機10が使用される。二本ロール型混練機10は、互いに反対方向に回転する円筒状の二本のロール(第1、第2ロール11、12)の間に投入されたスラリー状の処理物 (被粉砕物)を、ロール間で圧縮及びせん断することで混練する装置である。ここで、図1に示された二本ロール型混練機10は、材料の投入と混練物の排出を同時に行う連続式の二本ロール型混練機である。なお、実施例1の二本ロール型混練機10において、材料の投入と混練物の排出を行う際、二本のロールは回転を継続している。
二本ロール型混練機10は、円筒状の第1ロール11と、第1ロール11に対して軸方向が平行な状態(軸平行)で、隣接して配置された円筒状の第2ロール12と、を備えている。第1ロール11と第2ロール12とは、微小の隙間13を隔てて配置され、図示していない基台によって同一の高さで支持されている。ここで、隙間13の間隔寸法は調節可能である。
第1ロール11は、軸受51及び軸受52を介して回転可能に支持され、第2ロール12は、軸受53及び軸受54を介して回転可能に支持されている。そして、第1ロール11及び第2ロール12は、電動機等の不図示の駆動装置によって互いに反対方向に回転駆動され、隙間13において、それぞれ上方から下方に向かう方向に回転する。なお、作業員は、主に第1ロール11の側から操作する。
なお、第1ロール11及び第2ロール12は、二台の駆動装置でそれぞれ個別に回転駆動してもよいし、一台の駆動装置を用いて一方のロールを回転駆動し、歯車などの伝達装置を用いて他方のロールを回転駆動することも可能である。また、第1、第2ロール11、12の回転速度(回転数)や回転速度比は任意に調節可能である。二本ロール型混練機10は、第1ロール11の方が第2ロール12よりも早い回転速度に設定されることで、処理物を第1ロール11のみに巻き付かせて混練することができる。
また、第1ロール11及び第2ロール12は、それぞれ図示しない加熱手段を備えており、処理物の混練に適した表面温度に設定される。加熱手段は、熱媒油を用いる機構や電熱ヒーターを用いる機構が一般的である。加熱手段は、第1、第2ロール11、12の表面温度をそれぞれ調節可能である。
さらに、実施例1の二本ロール型混練機10では、第1ロール11の表面にスパイラル状(螺旋状)の溝14が形成されている。また、第2ロール12の表面には、スパイラル状(螺旋状)の溝15が形成されている。ここで、第1ロール11に形成された溝14の捩じれ方向と、第2ロール12に形成された溝15の捩じれ方向とは、逆向きに設定されている。さらに、溝14及び溝15は、第1ロール11及び第2ロール12が回転した際、ロール間に投入された処理物を同じ方向、つまり一方の端部16aから他方の端部16bに向かって移動させる。
さらに、溝14は、第1ロール11の全長にわたって形成されている。このため、第1ロール11には、溝14が設けられていない平滑な領域は存在しない。また、溝15は、第2ロール12の全長にわたって形成されている。このため、第2ロール12には、溝15が設けられていない平滑な領域は存在しない。
また、溝14及び溝15は、いずれも二本ロール型混練機10の型式等に応じて形状を適宜設定することができ、例えば、深さがロール径の3/1000~2/100、幅がロール径の1/1000~6/100、幅と条数の積がロール円周の1/6~1/5となるように設定される。また、溝14及び溝15は、処理物の混練が終了した後の清掃が容易となるような形状とすることが好ましい。さらに、溝14及び溝15は、2条以上の多条ネジとすることで、処理物の送りを早く確実に行うことが可能となる。
そして、二本ロール型混練機10の近傍位置には、スクレーパ30が配置されている。スクレーパ30は、第1ロール11の側方から、図示しない駆動部によって駆動させられて第1ロール11に接近したり離れたりする。スクレーパ30は、先端31を適宜第1ロール11に接触させることが可能である。これにより、第1ロール11に巻き付いた処理物は、スクレーパ30によって切断され、第1ロール11の表面から剥ぎ取られる。
以下、実施例1の板状粒子の剥離方法の処理手順を、図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
ステップS1では、主材となる高分子材料と、添加物である板状粒子(フィラー)とを別々のフィードから図1に示す連続式の二本ロール型混練機10にそれぞれ投入し、ステップS2へ進む。
なお、二本ロール型混練機10に投入された高分子材料及び板状粒子は、ロール間で混ざり合い、高分子材料を主材として板状粒子が充てんされた複合材料となる。また、二本ロール型混練機10は、高分子材料や板状粒子が投入される前に予め第1ロール11及び第2ロール12を回転させておく。そのため、高分子材料及び板状粒子は、回転している第1ロール11と第2ロール12の間(隙間13)に向かって投入される。
ここで、高分子材料は、比較的分子量が大きい高分子化合物で構成される材料であり、実施例1では、高分子材料として硬化剤を含む液状エポキシ樹脂が選択される。なお、高分子材料は、板状粒子や二本ロール型混練機10の仕様等に応じて適宜選択可能である。高分子材料は、例えば、エポキシ樹脂やシリコン樹脂等の熱硬化性樹脂が選択されてもよいし、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂が選択されてもよい。さらに、高分子材料は、ゴムが選択されてもよい。
また、板状粒子は、板状の結晶片が積層した物質であり、実施例1では、板状粒子として六方晶系の窒化ホウ素の粒子(窒化ホウ素粒子)が選択される。窒化ホウ素は、グラファイトと類似な構造を有する層状物質であるが、結晶片間の相互作用(結晶片同士の層間の結合力)は、グラファイトの層間のファンデルワールス力よりも強い。なお、板状粒子の種類は特に限定されず、グラファイト、タルク、マイカ等が選択されてもよい。
そして、高分子材料に対して板状粒子が充てんされる際、高分子材料に対する板状粒子の添加量は20~90vol%に設定される。また、液状エポキシ樹脂に対する窒化ホウ素粒子の添加量は、50~70vol%に設定されることが望ましく、実施例1では、60vol%に設定される。
また、高分子材料に対する板状粒子の添加量が20~90vol%に設定された複合材料は、高分子材料に対する板状粒子の添加量が多く、板状粒子が高充てんされた複合材料である。ここで、高分子材料に板状粒子が充てんされて生成される複合材料は、高分子材料に対する板状粒子の添加量が多いほど(高充てんであるほど)粘度が高くなる。このため、高分子材料に対する板状粒子の添加量が20~90vol%に設定された複合材料は、粘度が高い高粘度の複合材料となる。つまり、実施例1では、高分子材料を主材として板状粒子が高充てんされた高粘度の複合材料が、二本ロール型混練機10に投入されることになる。
ステップS2(剥離工程)では、ステップS1での高分子材料及び板状粒子の投入に続き、図1に示す連続式の二本ロール型混練機10によって、高分子材料を主材として板状粒子が充てんされた高粘度の複合材料を混練し、板状粒子を剥離してエンドへ進む。このとき、連続式の二本ロール型混練機10を用いたことから、高分子材料及び板状粒子の投入と、複合材料の混練と、複合材料(混練物)の排出は、同時に行われる。すなわち、二本ロール型混練機10に投入された高分子材料及び板状粒子は、混ざり合って複合材料となり、第1ロール11と第2ロール12の間で圧縮及びせん断されながら、溝14及び溝15によって一方の端部16aから他方の端部16bへと移動させられる。このとき、板状粒子が次第に剥離する。そして、二本ロール型混練機10は、第1ロール11及び第2ロール12を回転させたまま、他方の端部16bから板状粒子が剥離された複合材料を連続的に排出する。
ここで、「板状粒子を剥離する」とは、図3に模式的に示すように、複数の板状の結晶片αが積層した構造を有する板状粒子βを二本ロール型混練機10によって混練し、重なっている結晶片αを層状に薄く剥がす(劈開処理する)ことである。積層した結晶片を剥離することで、板状粒子が高アスペクト比になる。このため、複合材料中の板状粒子同士が、効率よく接触しやすくなり、板状粒子の特性を効率よく引き出すことができる。例えば、実施例1において板状粒子として選択された六方晶系の窒化ホウ素粒子は、高熱伝導率を有しているが、剥離することで熱伝導のネットワークが形成しやすくなる。この結果、板状粒子(窒化ホウ素粒子)の添加量を抑えた場合であっても、高い熱伝導率の複合材料を得ることができる。
実施例1では、複合材料を混練する際、隙間13の間隔寸法(ロール間隔)が、0.1mm~0.7mmに設定される。なお、隙間13の間隔寸法は、広すぎる(例えば0.8mm程度)と、処理物である複合材料が第1ロール11或いは第2ロール12に巻き付かないことがある。また、隙間13の間隔寸法が狭すぎる(例えば0.1mm未満)場合では、処理物である複合材料がロール間に詰まり、適切に混練できないことがある。実施例1では、隙間13の間隔寸法は、複合材料が第1ロール11或いは第2ロール12に巻き付くことが可能であって適切な混練が可能な0.3mmに設定される。
また、複合材料が第1、第2ロール11、12のどちらに巻き付くかは、第1、第2ロール11、12の回転速度比(回転速度の比)や表面温度によって決定される。実施例1では、複合材料の混練中、第1ロール11が、第2ロール12の回転速度と同じ速度、又は、第2ロール12の回転速度よりも速い回転速度に設定されている。これにより、二本ロール型混練機10は、複合材料を第1ロール11に巻き付かせた状態で混練することができる。なお、第1ロール11の回転速度と第2ロール12の回転速度との速度比は、1:0.5~1:1の範囲に設定されることが好ましい。実施例1では、第1ロール11の回転速度が20min-1に設定され、第2ロール12の回転速度が16min-1に設定され、第1ロール11と第2ロール12の速度比が1:0.8に設定される。
また、二本ロール型混練機10は、複合材料の混練中、第1ロール11の表面温度と第2ロール12の表面温度とに温度差を持たせている。すなわち、実施例1では、第1ロール11の表面温度の方が、第2ロール12の表面温度よりも高い温度に設定されている。これにより、二本ロール型混練機10は、複合材料を第1ロール11に巻き付かせた状態で混練することができる。
また、複合材料が熱硬化性樹脂を含む場合、つまり、高分子材料として熱硬化性樹脂が選択された場合、複合材料の混練中、第1ロール11及び第2ロール12の表面温度は、複合材料に含まれる熱硬化性樹脂の硬化が始まる温度よりも低い温度に設定される。また、複合材料が熱可塑性樹脂を含む場合、つまり、高分子材料として熱可塑性樹脂が選択された場合、第1ロール11及び第2ロール12の表面温度は、複合材料に含まれる熱可塑性樹脂が溶融する温度よりも高い温度に設定される。
実施例1では、高分子材料として選択された液状エポキシ樹脂が熱硬化性樹脂である。このため、第1ロール11及び第2ロール12は、液状エポキシ樹脂の硬化が始まる温度よりも低い表面温度に設定される。
なお、混練中に第1、第2ロール11、12の表面温度が上昇した場合は、例えば第2ロール12の内部に通水して温度を下げる。これにより、複合材料に含まれる高分子材料(実施例1では液状エポキシ樹脂)の硬化が抑えられ、複合材料の第1ロール11への巻き付き状態が安定する。
以下、実施例1の板状粒子の剥離方法に使用される二本ロール型混練機10による混練作用と、三本ロール型混練機による混練作用との違いを説明する。
三本ロール型混練機は、軸平行に近接して配置された三本の円筒状のロールを有している。三本のロールは、交互に反対方向に回転し、各ロールの間で、処理物を順に圧縮及びせん断して混練する。
三本ロール型混練機では、各ロールの表面にいずれも溝が形成されておらず、いずれのロールも表面が平滑に形成されている。そして、三本ロール型混練機は、ロール周方向に処理物を移動させながら混練し、バッチ処理を行う。また、三本ロール型混練機は、インキ・ペイント等の比較的粘度が低い処理物を混練することが一般的である。さらに、三本ロール型混練機におけるL/D値(L:ロールの有効長の長さ、D:ロールの直径)は、一般的に、実施例1の二本ロール型混練機10と比べると小さい値となる。また、ロール間隔は例えば数十μm、ロール回転数は例えば25~180rpm、三本のロールの回転比は、処理物を投入する側のロールの回転数を「1」とすると、例えば順に1:3:9に設定される。
ここで、スラリー状の処理物を混練した際の処理物の分散性を向上させるためには、隣接する二本のロールの間に生じるせん断応力を大きくすることが重要である。なお、せん断応力は、下記式(1)によって求められる。下記(1)より、スラリー状の処理物に作用するせん断応力は、処理物の粘度とロールの回転速度の速度勾配の積に比例すると考えてよい。
・・・(1)
なお、σ:せん断応力
η:粘度
u:隣接する二つのロールの平均速度
D:ロール径
h:ロール隙間
x:バンク高さ
g(θ):ロール隙間とバンク幅に関わる所定の関数
これに対し、三本ロール型混練機では、上述のように粘度の低い処理物を処理することが一般的であるが、処理物の粘度が低い場合には、せん断応力を高めるためにロール回転速度の速度勾配を大きくする必要がある。すなわち、三本ロール型混練機を使用する場合には、ロール回転速度の速度勾配を大きくしてせん断応力を高めるために、ロール間隔が小さくされ、ロール回転速度及びロール回転比が大きくされることになる。しかしながら、三本ロール型混練機では、ロール回転速度の速度勾配が大きいため、ロールに作用するトルクが大きくなりすぎて、機器の破損を招くおそれがある。また、三本ロール型混練機で高粘度材料を処理しようとすれば、ロールに作用するトルクが大きくなりすぎ、機器の破損が生じかねない。さらに、高分子材料を主材として板状粒子を添加した複合材料は、板状粒子の添加量が多いほど(板状粒子が高充てんであるほど)粘度が高くなる。そのため、三本ロール型混練機を使用して、板状粒子の添加量が多い高粘度の複合材料を剥離することは難しいことがわかる。
これに対し、実施例1の二本ロール型混練機10は、樹脂やゴム等の比較的粘度が高い処理物を混練することが一般的である。さらに、二本ロール型混練機10のL/D値は、一般的に三本ロール型混練機のL/D値よりも大きい値になる。
このため、二本ロール型混練機10は、三本ロール型混練機よりも高粘度の処理物を混練することが可能であり、処理物の粘度が高いことからロール回転速度の速度勾配が小さくても十分なせん断応力を得ることができる。すなわち、二本ロール型混練機10では、ロール回転速度の速度勾配を大きくする必要がなく、ロールに作用するトルクが大きくなりすぎることを抑制できる。また、このように、二本ロール型混練機10では、ロールに作用するトルクを抑制できることから、板状粒子の添加量が多く、粘度の高い複合材料(板状粒子が高充てんされた複合材料)であっても、適切に混練することが可能となる。よって、二本ロール型混練機10は、三本ロール型混練機よりも、板状粒子の添加量が多い高粘度の複合材料を剥離する処理に好適である。
さらに、ロールに作用するトルクが大きいことから、三本ロール型混練機では、各ロールに生じる撓みを無視できない。そのため、三本ロール型混練機では、ロール中心部を頂点として、両端に向かって緩やかに円弧状に湾曲加工されたクラウンロールを採用することが多い。これに対し、二本ロール型混練機10では、第1ロール11や第2ロール12に作用するトルクを抑えることができるため、第1、第2ロール11、12に生じる撓みを考慮する必要がなく、クラウンロールを採用しなくてもよい。
しかも、実施例1の二本ロール型混練機10は、材料の投入と混練物の排出とを同時に行う連続式の二本ロール型混練機である。すなわち、実施例1の二本ロール型混練機10は、第1ロール11の表面にスパイラル状の溝14が設けられ、第2ロール12の表面にスパイラル状の溝15が設けられている。また、実施例1の二本ロール型混練機10を用いた剥離処理では、予め第1ロール11と第2ロール12と互いに反対方向に回転させる。そして、互いに反対方向に回転している第1ロール11と第2ロール12との間に、高分子材料と板状粒子とがそれぞれ個別に投入される。これにより、二本ロール型混練機10は、個別に投入された高分子材料と板状粒子を混合しながら混練し、同時に軸方向に移動(搬送)させる。さらに、二本ロール型混練機10は、第1、第2ロール11、12の回転を継続したまま処理物を排出することが可能である。
また、図4(a)に示すように、処理物を混練する二本のロール(図4(a)ではR1、R2とする)の双方に、いずれも溝が形成されていない場合では、混練中に生じるバンク部Bにおいて、バンク部Bの中心部と表層部との間で処理物Xの入れ替わりが認められない。なお、バンク部Bとは、二本のロールR1、R2の間に投入された処理物Xが、隙間Sに流れ込む前に滞留してロール間で盛り上がる部分である。
一方、実施例1の二本ロール型混練機10では、図4(b)に示すように、バンク部Bにおいて処理物X(複合材料)が対流し、中心部の処理物Xと表層部の処理物Xとが絶えず入れ替わる。この結果、実施例1の二本ロール型混練機10は、バンク部Bの中心部においても処理物Xを混練することができ、処理物Xは自動的に切り返される。このため、溝が形成されていない三本ロール型混練機では、二本ロール型混練機10と異なり、人手による処理物の切り返し作業が必要となる。
このように、実施例1の二本ロール型混練機10では、溝14及び溝15の作用により処理物が軸方向に移動(搬送)される過程で圧縮、せん断作用を受け、また、バンク部Bでの対流によってマクロ的な混合が行われて混練を進行させることができる。つまり、実施例1の二本ロール型混練機10は、処理物の入れ替わりによる単なる混合ではなく、混練の基本要素である圧縮と折り畳みの繰り返し作用を効果的に得ることができる。
以下、実施例1の二本ロール型混練機10による複合材料の混練結果を説明する。
図5には、二本ロール型混練機10によって混練される前の複合材料に含まれる窒化ホウ素粒子の画像が示され、図6には、二本ロール型混練機10によって混練された複合材料に含まれる窒化ホウ素粒子の画像が示されている。なお、図5及び図6に示された画像は、いずれも液状エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、反応性希釈剤を高分子材料(主材)とし、板状粒子として選択された六方晶系の窒化ホウ素粒子を50~70vol%添加して生成した複合材料に含まれる窒化ホウ素粒子の画像である。
図5に示されるように、混練される前の複合材料に含まれる窒化ホウ素粒子は、結晶片が積層しており、厚みがあることがわかる。これに対し、混練後の複合材料に含まれる窒化ホウ素粒子は、図6に示されるように、結晶片が剥離して薄くなった様子を確認することができる。すなわち、複合材料は、実施例1の二本ロール型混練機10によって混練されることで、せん断力や圧縮力を受け、板状粒子が剥離したことが分かる。
また、図7には、混練前の複合材料に含まれる窒化ホウ素粒子の厚みサイズごとの測定頻度と、二本ロール型混練機10による混練後の複合材料に含まれる窒化ホウ素粒子の厚みサイズごとの測定頻度とがグラフ化して示されている。なお、図7に示された測定頻度の測定対象は、液状エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、反応性希釈剤を高分子材料(主材)とし、板状粒子として選択された六方晶系の窒化ホウ素粒子を50~70vol%添加して生成した複合材料に含まれる窒化ホウ素粒子である。
図7に示されたグラフから、実施例1の二本ロール型混練機10を用いて複合材料を混練する前後で、厚みサイズが小さい板状粒子の測定頻度が増えていることがわかる。すなわち、図7に示されたグラフからも、二本ロール型混練機10によって複合材料を混練することで、板状粒子の剥離が進行したことが分かる。
このように、実施例1の板状粒子の剥離方法は、第1ロール11と、第1ロール11と軸平行に隣接配置された第2ロール12とを備え、第1ロール11及び第2ロール12の回転速度を調整可能な実施例1の二本ロール型混練機10によって、高分子材料を主材として板状粒子が充てんされた高粘度の複合材料を混練することで板状粒子を剥離する剥離工程(ステップS2)を備えている。
このため、実施例1の板状粒子の剥離方法では、高分子材料への板状粒子の添加量が多く、高粘度の複合材料であっても、複合材料を適切に混練することができ、板状粒子を剥離できる。この結果、実施例1の板状粒子の剥離方法は、コストや手間を要することなく、大量の板状粒子を剥離できる。
また、実施例1の剥離方法は、二本ロール型混練機10として、材料の投入と混練物の排出とを同時に行う連続式の二本ロール型混練機を用いる。このため、結晶片が積層した板状粒子の剥離と、複合材料の混練とを同時に進行させることができる。すなわち、板状粒子の剥離工程と、複合材料の混練工程とを分けて行う必要がなく、一台の二本ロール型混練機10で、板状粒子の剥離と複合材料の混練とを同時に実行できることで、製造工程の削減を図ることができる。また、実施例1の剥離方法は、材料の投入から混練物の排出までの間、二本ロール型混練機10を停止させず、第1、第2ロール11、12の回転を継続させることができる。これにより、バッチ式の混練機を用いる場合と比べて、作業に要する手間やコストを抑制することができる。
さらに、実施例1の剥離方法では、混練に用いられる二本ロール型混練機10が、第1ロール11及び第2ロール12の表面にそれぞれスパイラル状の溝14、15が形成されている。このため、二本ロール型混練機10は、複合材料を軸方向に円滑に移動させることができ、連続した混練処理を可能とすることができる。さらに、図4(b)に示されたように、バンク部Bの中心部においても処理物Xを混練することができ、処理物Xを自動的に切り返すことができる。
また、実施例1の剥離方法では、互いに反対方向に回転している第1ロール11と第2ロール12との間に、高分子材料及び板状粒子をそれぞれ個別に投入し、高分子材料と板状粒子を混合しながら混練する。これにより、実施例1の剥離方法は、板状粒子の剥離と、複合材料の混練とを同時に進行させ、連続した混練処理を可能とすることができる。
そして、実施例1の板状粒子の剥離方法では、剥離対象の板状粒子が高分子材料に添加されている。そのため、剥離後の板状粒子のみを抽出したい場合には、二本ロール型混練機10による混練後の複合材料において、高分子材料を揮発させることで容易に板状粒子を抽出することができる。
また、実施例1の剥離方法では、複合材料を生成する際、高分子材料に対する板状粒子の添加量が、20~90vol%に設定される。このため、実施例1の剥離方法は、混練する複合材料に占める板状粒子の割合を高めて、粘度が高い高粘度の複合材料にすることができる。これにより、実施例1の剥離方法は、剥離する板状粒子の生産量を増やすことができる。また、板状粒子を高充てんして高粘度の複合材料とすることで、複合材料が受けるせん断力が大きくなる。この結果、実施例1の剥離方法は、板状粒子の剥離をさらに進行させることができる。
また、実施例1の剥離方法では、上記のように板状粒子の剥離を進行できることから、板状粒子が少ない充てん量であっても、板状粒子の機能が発揮できる可能性がある。そして、複合材料に含まれる板状粒子の量を減らした場合、複合材料の軽量化やコストを低減できる可能性がある。つまり、実施例1の剥離方法によって混練された複合材料は、軽量化やコストの低減を見込むことができる。
また、実施例1の剥離方法では、板状粒子として窒化ホウ素粒子が選択され、複合材料を生成する際、高分子材料に対する窒化ホウ素粒子の添加量が、50~70vol%に設定される。このため、実施例1の剥離方法は、高分子材料に窒化ホウ素粒子を高充てんし、高熱伝導率の複合材料を得ることができる。
また、実施例1の剥離方法では、二本ロール型混練機10によって複合材料を混練する際、第1ロール11の回転速度と第2ロール12の回転速度との速度比が、1:0.5~1:1に設定される。これにより、実施例1の剥離方法は、第1ロール11と第2ロール12の間に生じるせん断力を調整し、結晶片の粉砕を抑えて板状粒子の剥離を行うことができる。
また、実施例1の剥離方法では、二本ロール型混練機10が、第1ロール11と第2ロール12との間に設定された隙間13の間隔寸法を調整可能としている。そして、二本ロール型混練機10によって複合材料を混練する際、隙間13の間隔寸法が、0.1mm~0.7mmに設定される。これにより、二本ロール型混練機10は、複合材料を第1ロール11或いは第2ロール12に巻き付かせた状態で適切に混練を行うことができる。
また、実施例1の剥離方法では、二本ロール型混練機10が第1ロール11及び第2ロール12の表面温度を調整可能である。そして、高分子材料として熱硬化性樹脂である液状エポキシ樹脂が選択され、二本ロール型混練機10によって複合材料を混練する際、第1ロール11及び第2ロール12の表面温度が液状エポキシ樹脂の硬化が始まる温度よりも低い温度に設定される。これにより、実施例1の剥離方法は、熱硬化性樹脂である液状エポキシ樹脂を含む複合材料の混練中に、複合材料の粘度が高くなることを防止でき、第1、第2ロール11、12に作用するトルクを抑制することができる。
なお、実施例1の剥離方法において、高分際材料として熱可塑性樹脂が選択され、複合材料が熱可塑性樹脂を含む場合、第1ロール11及び第2ロール12の表面温度は、複合材料に含まれる熱可塑性樹脂が溶融する温度よりも高い温度に設定される。このため、実施例1の剥離方法は、熱可塑性樹脂を含む複合材料の混練中に、複合材料の粘度が低下させ、第1、第2ロール11、12に作用するトルクを抑制することができる。
以上、本発明の板状粒子の剥離方法を実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1の板状粒子の剥離方法では、材料の投入と混練物の排出とを同時に行う連続式の二本ロール型混練機10を用いて複合材料を混練する例が示された。しかしながら、複合材料を混練する二本ロール型混練機として、所定量の材料を投入し、必要な混練を行った後、混練物を排出するバッチ式の二本ロール型混練機10A(図8(a)~(c)参照)を用いてもよい。
バッチ式の二本ロール型混練機10Aは、図8(a)~(c)に示されるように、第1ロール11Aと、第2ロール12Aと、を備えている。第2ロール12Aは、第1ロール11Aに対して軸平行で、微小の隙間13を隔てて隣接して配置される。なお、隙間13の間隔寸法は調整可能である。また、第1ロール11Aは、軸受51及び軸受52を介して回転可能に支持されている。第2ロール12Aは、軸受53及び軸受54を介して回転可能に支持されている。なお、第1ロール11A及び第2ロール12Aの回転や温度の制御は、実施例1の連続式の二本ロール型混練機10と同様である。さらに、バッチ式の二本ロール型混練機10Aの近傍位置にも、スクレーパ30が配置されている。
一方、バッチ式の二本ロール型混練機10Aは、第1ロール11A及び第2ロール12Aの軸方向に沿って所定の間隔をあけて並んで配置された一対の規制部材40a、40bを備えている。一方の規制部材40aの下面には、図8(c)に示すように、円弧状の二つの曲面41a、41bが形成されている。一方の曲面41aは、第1ロール11Aの表面に接し、他方の曲面41bは、第2ロール12Aの表面に接する。また、他方の規制部材40bの下面にも、図示しないが円弧状の二つの曲面が形成され、各曲面がそれぞれ第1、第2ロール11A、12Aの表面に接している。一対の規制部材40a、40bは、第1、第2ロール11A、12Aの表面に接触しながら第1、第2ロール11A、12Aの軸方向に移動可能である。また、第1、第2ロール11A、12Aは、一対の規制部材40a、40bに接したまま回転可能である。
そして、一対の規制部材40a、40bが第1、第2ロール11A、12Aに接触することで、一対の規制部材40a、40bの間に投入された処理物は、規制部材40a、40bを越えることなく混練される。すなわち、一対の規制部材40a、40bによって挟まれた領域が処理物を混練する混練領域42となる。
さらに、基台(不図示)には、図8(b)に示すように、規制部材40a、40bをそれぞれ軸方向に沿って動かす移動手段43が設けられている。移動手段43は、先端に一方の規制部材40aが固定される第1腕部43aと、先端に他方の規制部材40bが固定される第2腕部43bと、を備えている。一方の規制部材40aは、第1腕部43aが水平方向に動くことで、第1、第2ロール11A、12Aに接触しながら軸方向に沿って移動させられる。他方の規制部材40bは、第2腕部43bが水平方向に動くことで、第1、第2ロール11A、12Aに接触しながら軸方向に沿って移動させられる。
ここで、移動手段43は、第1腕部43aと第2腕部43bとを個別に動かすことが可能である。そのため、移動手段43は、第1腕部43a及び第2腕部43bを同一の方向に動かすことで、所定の間隔をあけた状態で一対の規制部材40a、40bを第1、第2ロール11A、12Aの軸方向に沿って移動させる。これにより、混練領域42は、第1、第2ロール11A、12Aの軸方向に沿って移動する。
さらに、移動手段43は、一対の規制部材40a、40bを同一の方向に同時に同じ距離だけ、同じ速さで移動させることができる。この場合、一対の規制部材40a、40bの間隔は維持され、混練領域42は、大きさを一定に維持したまま移動する。
また、移動手段43は、第1腕部43aと第2腕部43bとを同時に反対方向に動かすことで、一対の規制部材40a、40bを近接させたり離反させたりする。つまり、移動手段43は、一対の規制部材40a、40bの間隔の幅を調節可能である。これにより、混練領域42は、軸方向に移動することなく大きさが変更される。このように、バッチ式の二本ロール型混練機10Aは、一対の規制部材40a、40bの位置を制御することで、混練領域42の大きさ及び位置を制御することが可能である。
なお、移動手段43が第1、第2腕部43a、43bを動かさない場合は、一対の規制部材40a、40bの移動が停止し、混練領域42の大きさや位置が保持される。また、移動手段43は、電動機等を用いて第1、第2腕部43a、43bを自動的に動かしてもよいし、作業員による手動によって第1、第2腕部43a、43bを動かしてもよい。
さらに、バッチ式の二本ロール型混練機10Aでは、第1ロール11Aの表面は、溝が形成されていない平滑な面に形成されている。また、第2ロール12Aの表面にスパイラル状(螺旋状)の溝20が形成されている。溝20は、第2ロール12Aの一端12xから中央部までの表面に形成された第1溝21と、第2ロール12の他端12yから中央部までの表面に形成された第2溝22と、を有している。
第1溝21は、第2ロール12Aが回転した際、処理物を中央部から一端12xに向かって送る溝である。第2溝22は、第1溝21に対して捩じれ方向が逆向きに設定され、第2ロール12が回転した際、処理物を中央部から他端12yに向かって送る溝である。バッチ式の二本ロール型混練機10Aでは、第1溝21と第2溝22とが、第2ロール12Aの中央部で連続し、溝20は中央部で捩じれ方向が逆向きになっている。すなわち、溝20は、第2ロール12Aの全長にわたって形成され、第2ロール12Aの表面には、溝20が設けられていない平滑な領域は存在しない。
また、第1、第2溝21、22は、例えば幅が5mm、深さが1mm等と形状を適宜設定することができ、処理物の混練が終了した後の清掃が容易となるような形状とすることが好ましい。さらに、第1、第2溝21、22は、2条以上の多条ネジとすることで、処理物の送りを早く確実に行うことが可能となる。
そして、バッチ式の二本ロール型混練機10Aを用いて板状粒子を剥離する場合、まず、材料投入前に、予め高分子材料を主材として板状粒子(フィラー)を充てんした高粘度の複合材料が生成される。次に、生成された所定量の複合材料が、規制部材40a、40bによって規定された混練領域42に投入される。複合材料が混練領域42に投入されたら、バッチ式の二本ロール型混練機10Aにおいて、第1ロール11A及び第2ロール12Aを回転させて、複合材料を混練し、板状粒子を剥離する。所定時間の混練が完了したら、処理物(混練された複合材料)が排出される。
ここで、バッチ式の二本ロール型混練機10Aでは、例えば混練領域42の大きさ(一対の規制部材40a、40bと間隔)が、100mm~150mmに設定される。また、複合材料の混練中、移動手段43は、一対の規制部材40a、40bをそれぞれ0.5mm/secの速さで、第1、第2ロール11A、12Aの軸方向に沿って同一の方向に同じタイミングで移動させる。これにより、混練領域42は、大きさが維持されたまま、軸方向に沿って所定距離移動する。規制部材40a、40bの移動距離は、ここでは50mm~70mmに設定可能である。
さらに、移動手段43は、複合材料の混練中、規制部材40a、40bをロール軸方向に沿って一方の方向に50mm~70mm移動させた後、反対の方向に50mm~70mm移動させる、いわゆる往復移動を2回~4回繰り返すことが望ましい。バッチ式の二本ロール型混練機10Aは、規制部材40a、40bの軸方向に沿った往復移動を繰り返して複数行うことで、往復移動を行わない場合よりも複合材料がせん断力を受ける時間を長くし、板状粒子の剥離を進行させることができる。
また、複合材料の混練中、規制部材40a、40bによって混練領域42から削ぎ落されるなどして落下した複合材料は、落下の都度、人手によって混練領域42に戻され、継続して混練される。そして、バッチ式の二本ロール型混練機10Aを用いて板状粒子を剥離する場合、規制部材40a、40bの往復移動が終了した後、一対の規制部材40a、40bを移動させて混練領域42をロール中央部に移動させてから、規制部材40a、40bの移動を停止する。そして、バッチ式の二本ロール型混練機10Aは、混練領域42の位置を動かさずに所定時間(例えば1分間)複合材料を混練した後、第1ロール11A及び第2ロール12Aの回転を停止し、混練を終了する。複合材料の投入から、第1、第2ロール11A、12Aの回転停止までの総処理時間は、約10分~15分とする。
図9には、バッチ式の二本ロール型混練機10Aの運転条件を異ならせて、同一の複合材料を混練した際の処理結果が示されている。なお、図9に示された混練に使用された複合材料は、液状エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、反応性希釈剤を高分子材料(主材)とし、板状粒子として選択された六方晶系の窒化ホウ素粒子を50~60vol%添加して生成した複合材料である。また、いずれの運転条件であっても、板状粒子の比表面積の値は、それぞれ混練前よりも混練後の方が大きくなっている。また、第1条件~第3条件では、板状粒子のアスペクト比の値が、混練前よりも混練後の方が大きくなっている。つまり、いずれの運転条件においても、バッチ式の二本ロール型混練機10Aによる混練によって板状粒子が剥離したことがわかる。
そして、第1条件と第2条件の運転条件を比較すると、第2条件の方が、往復回数が4回と増えている。この場合、第1条件よりも第2条件の運転条件で混練した方が、混練時間が長くなる。また、第2条件の運転条件で混練を行う場合の方が、第1条件の運転条件で混練を行う場合よりも、板状粒子の結晶片の比表面積及びアスペクト比が大きくなる。これは、運転条件を第2条件に設定した方が、板状粒子が二本ロール型混練機10Aからせん断力を受ける時間を長くできるためと考えられる。
また、第1条件と第3条件の運転条件を比較すると、第3条件の方が、第1ロール11Aと第2ロール12Aの回転速度比が小さくなっている。つまり、第3条件では、第1、第2ロール11A、12Aの回転速度が同一であり、第1条件では第1ロール11Aの回転速度の方が、第2ロール12Aの回転速度よりも遅くなっている。この場合、第3条件の運転条件で混練を行う場合の方が、第1条件の運転条件で混練を行う場合よりも、結晶片の比表面積及びアスペクト比が小さくなる。これは、運転条件を第3条件に設定した方が、板状粒子が二本ロール型混練機10から受けるせん断力が小さくなるためと考えられる。
また、第1条件と第4条件の運転条件を比較すると、第4条件の方が板状粒子の添加率が低く、板状粒子の添加量が少なくなっている。つまり、第4条件では、第1条件よりも複合材料に含まれる高分子材料が増加している。この場合、第1条件の運転条件で混練を行う場合では、アスペクト比が混練前よりも大きくなるが、第4条件の運転条件で混練を行う場合では、混練の前後でアスペクト比の顕著な違いが見られなかった。これは、運転条件を第4条件に設定すると、高分子材料が増加して、板状粒子に直接作用するせん断力が小さくなるためと考えられる。
このように、二本ロール型混練機10Aによる混練を行う場合、板状粒子が二本ロール型混練機10Aから受けるせん断力を調整できるファクターが多い。そのため、二本ロール型混練機10Aを使用して複合材料を混練することで、目的に応じた状態に板状粒子を剥離することが可能となる。なお、連続式の二本ロール型混練機10を用いて複合材料を混練し、板状粒子を剥離する場合であっても、板状粒子が連続式の二本ロール型混練機10から受けるせん断力を調整できるファクターは多く、板状粒子を目的に応じた状態に剥離することは可能である。
そして、図10には、バッチ式の二本ロール型混練機10Aにおいて、物性の異なる複合材料を混練した際の処理結果が示されている。なお、図10に示された試料1~試料3は、いずれも液状エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、反応性希釈剤を高分子材料(主材)とし、板状粒子として選択された六方晶系の窒化ホウ素粒子を50~60vol%添加して生成した複合材料であるが、添加する窒化ホウ素粒子の仕様が異なっている。また、各試料1~3を混練する際の二本ロール型混練機10Aの運転条件は、図9に示す第1条件とする。
図10に示されたように、試料1~試料3のいずれにおいても、二本ロール型混練機10Aによって混練することで、板状粒子の結晶片の比表面積が1.1倍~1.8倍と大きくなった。また、試料1~試料3のいずれにおいても、二本ロール型混練機10Aによって混練することで、板状粒子の結晶片のアスペクト比が1.2倍~1.6倍と大きくなった。すなわち、複合材料の物性に応じて混練後の結晶片のアスペクト比に差異が生じるものの、二本ロール型混練機10Aによる混練を受けることで、複合材料の物性に拘らず板状粒子の剥離が生じることがわかる。
このように、連続式、バッチ式に拘らず二本ロール型混練機を用いて、高分子材料を主材として板状粒子が充てんされた高粘度の複合材料を混練することで、コストや手間を要することなく大量の板状粒子を剥離できる。
そして、バッチ式の二本ロール型混練機10Aを用いた板状粒子の剥離方法では、複合材料を混練する二本ロール型混練機10Aが、第1ロール11A及び第2ロール12Aの軸方向に沿って所定の間隔をあけて配置されると共に、第1ロール11A及び第2ロール12Aに接触しながら軸方向に移動可能な一対の規制部材40a、40bを備えている。そして、複合材料は、一対の規制部材40a、40bの間に設けられた混練領域42に投入される。
このため、バッチ式の二本ロール型混練機10Aを用いた板状粒子の剥離方法では、混練中に複合材料がロール軸方向に広がることを規制でき、複合材料に適切な混練作用を受けさせることができる。また、例えば混練領域42の大きさや位置、複合材料の移動(搬送)速度等を制御して、二本ロール型混練機10Aでの複合材料の混練状態を制御することができる。
また、バッチ式の二本ロール型混練機10Aを用いた板状粒子の剥離方法では、二本ロール型混練機10Aによって複合材料を混練する際、一対の規制部材40a、40bの間隔を保ちながら、一対の規制部材40a、40bの軸方向に沿った往復移動が複数行われる。これにより、バッチ式の二本ロール型混練機10Aを用いた板状粒子の剥離方法は、一対の規制部材40a、40bが往復移動を行わない場合よりも、複合材料がせん断力を受ける時間を長く設定することができる。このため、板状粒子の剥離をさらに進行させることができる。
なお、図8に示された例では、第2ロール12Aに形成された溝20が、第2ロール12Aを二分するように形成された第1溝21と第2溝22を有する例が示されたが、溝20の形状はこれに限らない。例えば、溝20は、第1溝21又は第2溝22のいずれか一方のみで構成されていてもよい。また、第1溝21と第2溝22とは、第2ロール12Aの軸方向に沿って交互に複数形成されてもよい。また、第1溝21と第2溝22が形成された位置は、図8に示す位置とは逆に設定されていてもよい。さらに、第1溝21と第2溝22とは、必ずしも連続している必要はなく、第2ロール12Aの表面の一部に溝20が形成されていない平滑な面が設けられていてもよい。
また、上述のバッチ式の二本ロール型混練機10Aを用いた板状粒子の剥離方法では、複合材料の混練時、混練領域42の大きさを維持したまま一対の規制部材40a、40bを往復移動する例が示されたが、一対の規制部材40a、40bの混練中の動きは、これに限らない。例えば、一対の規制部材40a、40bは、複合材料の混練中に、混練領域42の大きさを広げたり、狭くしたりしながら移動してもよい。また、一対の規制部材40a、40bを移動させる方向や速さを適宜設定することができる。
10 連続式の二本ロール型混練機
11 第1ロール
12 第2ロール
13 隙間
14 溝
15 溝
10A バッチ式の二本ロール型混練機
11A 第1ロール
12A 第2ロール
40a、40b 規制部材
42 混練領域
20 溝
21 第1溝
22 第2溝

Claims (10)

  1. 第1ロールと、前記第1ロールと軸平行に隣接配置された第2ロールとを備え、前記第1ロール及び前記第2ロールの回転速度を調整可能な二本ロール型混練機によって、高分子材料を主材として板状粒子が充てんされた高粘度の複合材料を混練することで前記板状粒子を剥離する剥離工程を備える
    ことを特徴とする板状粒子の剥離方法。
  2. 請求項1に記載された板状粒子の剥離方法において、
    前記剥離工程では、前記二本ロール型混練機として、材料の投入と混練物の排出とを同時に行う連続式の二本ロール型混練機を用いる
    ことを特徴とする板状粒子の剥離方法。
  3. 請求項2に記載された板状粒子の剥離方法において、
    前記二本ロール型混練機は、前記第1ロール及び前記第2ロールの表面にそれぞれスパイラル状の溝が形成されている
    ことを特徴とする板状粒子の剥離方法。
  4. 請求項2又は請求項3に記載された板状粒子の剥離方法において、
    前記剥離工程では、互いに反対方向に回転している前記第1ロールと前記第2ロールとの間に、前記高分子材料及び前記板状粒子をそれぞれ個別に投入し、前記高分子材料と前記板状粒子を混合しながら混練する
    ことを特徴とする板状粒子の剥離方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された板状粒子の剥離方法において、
    前記剥離工程では、前記高分子材料に対する前記板状粒子の添加量を、20~90vol%に設定する
    ことを特徴とする板状粒子の剥離方法。
  6. 請求項5に記載された板状粒子の剥離方法において、
    前記板状粒子として窒化ホウ素粒子が選択され、
    前記剥離工程では、前記高分子材料に対する前記窒化ホウ素粒子の添加量を、50~70vol%に設定する
    ことを特徴とする板状粒子の剥離方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載された板状粒子の剥離方法において、
    前記剥離工程では、前記第1ロールと前記第2ロールとの回転速度比を、1:0.5~1:1に設定する
    ことを特徴とする板状粒子の剥離方法。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載された板状粒子の剥離方法において、
    前記二本ロール型混練機は、前記第1ロールと前記第2ロールとの間隔寸法を調整可能とし、
    前記剥離工程では、前記間隔寸法を、0.1mm~0.7mmに設定する
    ことを特徴とする板状粒子の剥離方法。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載された板状粒子の剥離方法において、
    前記二本ロール型混練機は、前記第1ロール及び前記第2ロールの表面温度を調整可能とし、
    前記高分子材料として熱硬化性樹脂が選択され、
    前記剥離工程では、前記第1ロール及び前記第2ロールの前記表面温度を前記熱硬化性樹脂の硬化が始まる温度よりも低い温度に設定する
    ことを特徴とする板状粒子の剥離方法。
  10. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載された板状粒子の剥離方法において、
    前記二本ロール型混練機は、前記第1ロール及び前記第2ロールの表面温度を調整可能とし、
    前記高分子材料として熱可塑性樹脂が選択され、
    前記剥離工程では、前記第1ロール及び前記第2ロールの前記表面温度を前記熱可塑性樹脂が溶融する温度よりも高い温度に設定する
    ことを特徴とする板状粒子の剥離方法。
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