JP2023126058A - Oled表示装置用光学積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】OLED表示装置に対し、高い耐候性を付与することができる光学積層体を提供する。【解決手段】樹脂層及び粘着剤層を有するOLED表示装置用光学積層体であって、前記樹脂層の透湿度が40g/m2・24h以上であり、前記粘着剤層が紫外線吸収剤を含み、380nm透過率が20%以下であるOLED表示装置用光学積層体。【選択図】図9

Description

本発明は、OLED表示装置用光学積層体に関する。
OLED(Organic light emitting diode:有機発光ダイオード)表示装置は、液晶表示装置と比較して視認性が高い、視野角依存性が少ない、応答速度が速いこと等の表示性能の利点を有する。また、OLED表示装置は、バックライトを使用しないので、薄型化に有利であり、フレキシブルに湾曲させたり、折り曲げ可能なフォルダブルデバイスとして使用することも可能となる。
OLED表示装置は、通常、陽極、発光層を含むOLED層及び陰極がこの順に積層されたOLED素子を有する。OLED素子の電極(陽極または陰極)には、ITO等の高屈折率の透明導電性材料や反射率の高い金属材料等が用いられるため、外光が電極によって反射し、コントラスト低下や内部反射による映り込みの問題が生じ、OLED表示装置の表示性能が悪化してしまう場合がある。
外光反射による悪影響を抑えるため、OLED表示装置の視認側に、偏光板と、λ/4板のような円偏光板とを配置する提案がなされている(例えば、特許文献1)。このような円偏光板は、外光に含まれる紫外線を遮断し、紫外線によるOLED素子の劣化を防止する機能も有する。さらには、円偏光板自体の機械的特性により、外部からの衝撃を吸収し、OLED表示装置の損傷も防止するという機能をも有する。
その一方で、円偏光板を用いると、偏光板による吸収のために光の利用効率が悪く、輝度が低くなってしまう。所望の輝度を得るためにOLED素子の発光強度を高めると、消費電力が増加すると共に、OLED素子の短寿命化につながる。また、偏光板は貼り付けるための粘着剤層を含めると、0.15mm程度の厚さになり、OLED表示装置の薄型化には不利となる。さらには、円偏光板は高価なため、製造コストが高くなるという問題もある。
また、OLED表示装置の薄型化や、製造コストの低減を目的として、円偏光板を使用する代わりに、OLED素子に対して視認側にカラーフィルタを配置し、OLED層発光色と同じ色のカラーフィルタが配置されるように位置合わせを行う方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
OLED表示装置の1つの形態として、マイクロキャビティ(多重反射干渉、光共振器または微小共振器とも称される)構造を有するOLED表示装置が知られている。マイクロキャビティ構造を有するOLED表示装置によれば、外部に取り出される光のスペクトルが急峻かつ高強度となるので、輝度および色純度を向上させることができるとされている(例えば、特許文献3)。
OLED表示装置では、OLED素子の視認側に、表面保護、屈曲性等の機能を付与するため、粘着剤層、プラスチックや薄ガラス等基材、ハードコート層等の各種光学素子の層が積層されている。
特開2003-332068号公報 特開2018-112715号公報 特開2015-207377号公報
このように、フォルダブルデバイスとしても使用可能なOLED表示装置が実用化されている。しかしながら、上記従来のOLED表示装置は、OLED素子の耐候性が低いという問題があった。その理由としては、OLED表示装置を構成する光学積層体の紫外線吸収機能が十分ではないことから、外光に含まれる紫外線により光学積層体そのものやOLED素子が経年劣化しやすいということが挙げられる。また、OLED表示装置を構成する光学積層体における樹脂層の透湿度が低いことから、OLED表示装置における光学積層体の内部(OLED表示パネル側)に位置する粘着層中の添加剤の分離、析出が生じることが挙げられる。
したがって、本発明の目的は、OLED表示装置に対し、高い耐候性を付与することができる光学積層体を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の粘着剤層及び樹脂層をそれぞれ少なくとも1つ有し、且つ380nm透過率が特定の範囲に調整された光学積層体を備えたOLED表示装置であれば、上記OLED表示装置が十分な耐候性が発揮されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明では、
樹脂層及び粘着剤層を有するOLED表示装置用光学積層体であって、
前記樹脂層の透湿度が40g/m2・24h以上であり、
前記粘着剤層が紫外線吸収剤を含み、
380nm透過率が20%以下であるOLED表示装置用光学積層体を提供する。
本発明の光学積層体は、OLED表示装置に対して、高い耐候性を付与することができる。
本発明のOLED表示装置に用いるOLED表示パネルの一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の光学積層体が積層されたOLED表示装置の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の光学積層体が積層されたOLED表示装置の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の光学積層体が積層されたOLED表示装置の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の光学積層体が積層されたOLED表示装置の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の光学積層体が積層されたOLED表示装置の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の光学積層体が積層されたOLED表示装置の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の光学積層体が積層されたOLED表示装置の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の光学積層体が積層されたOLED表示装置の一実施形態を示す概略断面図である。
本発明は、OLED表示装置用光学積層体を提供する。本発明のOLED表示装置用光学積層体を、「本発明の光学積層体」、本発明の光学積層体を用いるOLED表示装置を「本発明のOLED表示装置」、本発明の光学積層体を構成する光学素子を「本発明の光学素子」と称する場合がある。本発明の光学積層体は、本発明のOLED表示装置からOLED表示パネルを除いた積層体である。
本発明のOLED表示装置は、OLED表示パネルに、OLED素子の視認側に偏光度95%以下の光学素子のみが積層されていてもよいし、OLED素子の視認側に1以上の偏光度95%を超える光学素子が積層されていてもよい。「OLED素子の視認側に偏光度95%以下の光学素子のみが積層されている」とは、OLED素子の視認側の光学素子に、偏光度95%を超える光学素子が含まれないことを意味する。「偏光度95%を超える光学素子」としては、特に限定さないが、直線偏光板、1/4位相差板、1/2位相差板、円偏光板、反射型偏光板などの偏光板が含まれる。すなわち、本発明のOLED表示装置は、OLED素子の視認側に偏光板を含まないOLED表示装置であってもよいし、OLED素子の視認側に偏光板を含むOLED表示装置であってもよい。
偏光度は、紫外可視分光光度計を用いて測定して視感度補正を行なった平行透過率Tpおよび直交透過率Tcに基づいて、下記式により求められるものである。
偏光度(%)={(Tp-Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
本発明のOLED表示装置がOLED素子の視認側に偏光板を含む場合、反射防止性、衝撃吸収性、紫外線吸収性が向上する傾向がある。
本発明のOLED表示装置がOLED素子の視認側に偏光板を含まない場合、偏光板によるOLED素子から発せられる光の吸収が抑制され、採光率が向上して消費電力を節約できると共に、OLED素子の長寿命化につながる。また、偏光板を使用しないことにより薄型化が可能になり、製造コストを低減できる。
本発明の光学積層体は、樹脂層及び粘着剤層を有するOLED表示装置用光学積層体であって、上記樹脂層の透湿度が40g/m2・24h以上であり、上記粘着剤層が紫外線吸収剤を含み、且つ380nm透過率が20%以下である。本発明の光学積層体が上記特徴を有することは、OLED表示装置における耐候性が向上するという点で好適である。さらに、本発明の光学積層体は、本発明のOLED表示装置に積層される上記粘着剤層及び樹脂層以外の光学素子を、光学積層体の構成として有していてもよい。
本発明の光学積層体では、樹脂層を有するため高い耐衝撃性を有する。本発明の光学積層体は、耐候性がより一層向上する点で、粘着剤層以外に紫外線吸収剤を含む層(例えば、樹脂層)を有することが好ましい。この場合、それぞれの層(例えば、粘着剤層及び樹脂層)に必要となる紫外線吸収剤の量が少量となり、本来求められる層の特性が損なわれる可能性が低い点で好ましい。
本発明の光学積層体における380nm透過率は、好ましくは15%以下であり、より好ましくは10%以下、より好ましくは7%以下、より好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。380nm透過率の下限は0%である。なお、380nm透過率の測定方法は特に限定されないが、例えば、分光光度計U4100(日立ハイテクノロジー社製)を用いることにより測定することができる。
本発明の光学積層体における415nm透過率は特に限定されないが、例えば、好ましくは50%以下であり、さらに好ましくは40%以下、特に好ましくは30%以下である。なお、415nm透過率の下限は0%である。
以下、各構成について、説明する。
(OLED表示パネル)
本発明のOLED表示装置に用いられるOLED表示パネルは、必須構成として、陽極、発光層を含むOLED層及び陰極がこの順に積層されたOLED素子を含む。OLED表示パネルのOLED素子の視認側に本発明の光学積層体が積層される。
以下に、本発明のOLED表示装置を構成するOLED表示パネルの一実施形態を、図面を参照して説明するが、本発明は、本実施形態に限定されない。
図1は、OLED表示パネルの一実施形態を示す概略断面図である。
図1に示すように、OLED表示パネル100は、透明電極11aと、赤色光を放射する赤色OLED層10Rと、背面電極11bがこの順に積層された赤色OLED素子12Rと、透明電極11aと、緑色光を放射する緑色OLED層10Gと背面電極11bがこの順に積層された緑色OLED素子12Gと、透明電極11aと、青色光を放射する青色OLED層10Bと背面電極11bがこの順に積層された青色OLED素子12Bとを有している。各複数色のOLED素子12R、12G、12Bが、基板13上に順番に配置されている。基板13の各OLED素子が配置する面には、TFT(Thin Film Transistor)層14が形成されており、各複数色のOLED素子12R、12G、12Bの背面電極11bと接続されている。
図1のOLED表示パネル100において、各複数色のOLED素子12R、12G、12Bの視認側(図1において上側)に、カラーフィルタ15が配置されている。カラーフィルタ15は、赤色の着色層15R、緑色の着色層15G、青色の着色層15Bを含み、各着色層の間には、ブラックマトリックス層16が設けられている。ただし、カラーフィルタ15は必須の構成では無い。
OLED表示パネル100にカラーフィルタ15が配置されていない場合、OLED表示装置がOLED素子の視認側に偏光板を含むことが好ましい。その一方で、OLED表示パネル100にカラーフィルタ15が配置されている場合、OLED表示装置はOLED素子の視認側に偏光板を含んでいてもよいが、含まないことが好ましい。
図1において、カラーフィルタ15は、赤色の着色層15R、緑色の着色層15G、青色の着色層15Bが、それぞれ、赤色OLED素子12R、緑色OLED素子12G、青色OLED素子12Bと対向するように配置されている。
透明電極11aは、陰極または陽極のいずれかであるが、一般的には陰極として設けられる。透明電極11aの形成材料としては、ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化インジウム、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SnO2、ZnO等の透明導電材料が用いられる。
背面電極11bは、透明電極11aの対極として機能するものである。背面電極11bは、陽極または陰極のいずれかであるが、一般的には陽極として基板13の上に設けられる。形成材料としては、金、銀、クロム等の金属等を挙げることができる。従って背面電極11bは、光を反射可能になっている。
基板13とカラーフィルタ15との間には、接合層17が設けられる。接合層17は、透光性を有する。接合層17の材料としては、一般的なOLED表示装置に用いられる材料を用いればよく、例えば、感光性ポリイミド樹脂等の光硬化型樹脂、又は、熱硬化型樹脂等を用いることができる。
OLED表示パネル100は、図1に示した構成以外に、OLED表示パネルが有する構成、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、封止層、タッチセンサーパネルなどを有していてもよい(図示略)。
図1のOLED表示パネルの特徴は、各複数色のOLED素子12R、12G、12Bの上に、それぞれ、同じ色の着色層15R、着色層15G、着色層15Bが対向するようにカラーフィルタ15が配置されていることである。図1に示すように、白色である外光Wは、例えば、赤色の着色層15Rを通過し、さらに、透明電極11aと、赤色光を放射する赤色OLED層10Rを通過して背面電極11bで反射し、再び赤色OLED層10R、透明電極11a、及び赤色の着色層15Rを通過して、反射光Gが観察者の眼に入る。
外光Wは赤色の着色層15Rによって、緑色、青色は吸収されるので、光強度は1/3になる。また、反射光Gは赤色の着色層15Rと赤色OLED層10Rを再び通過しているので、これにより減衰を生ずる。また、反射光Gは赤色を呈するので、OLED層10Rから発せられる赤色光を増強し得る。緑色の着色層15G及び青色の着色層15Bに外光Wが入射する場合も同様に、それぞれ緑色光及び青色光が増強され得る。したがって、OLED表示パネルにカラーフィルタを併用することによって、反射防止用に偏光板を使用しない場合でも、外光の反射を大幅に抑えると共に、OLED素子の発光光度を向上させることが出来る。
しかし、カラーフィルタは、一般に、規則的な二次元構造に起因する干渉ムラが生じやすい。
また、カラーフィルタは、界面で反射が起こりやすく、OLED素子からの光の採光率が低下するという問題がある。
また、カラーフィルタには、偏光板を使用する場合と比べて紫外線吸収機能が十分ではなく、外光に含まれる紫外線により、OLED素子が経年劣化しやすい(すなわち、耐候性が低い)という問題がある。
また、カラーフィルタは、偏光板を使用する場合と比べて衝撃吸収機能が十分ではないという問題がある。
また、本実施形態のOLED表示パネル100は、マイクロキャビティ構造を有する。OLED層10R、10G、10Bから発生した光は、透明電極11aを通過して外部に出射される。ここで、出射光には、OLED層10R、10G、10Bから透明電極11aに向けて直接出射される「直接光」と、OLED層10R、10G、10Bから背面電極11bに向けて出射され、背面電極11bで反射されてから透明電極11aに向かう反射光の両方の成分が含まれる。すなわち、OLED層10R、10G、10Bから出射された光の一部が背面電極11b側に進行することなく透明電極11a側に進行し、透明電極11aを通じて外部に出射される第1光路C1と、OLED層10R、10G、10Bからから出射された光の残りの一部が背面電極11b側に進行し背面電極11bにより反射された後、OLED層10R、10B、10Bおよび透明電極11aを通じて外部に出射される第2光路C2とが形成される。この直接光と反射光との干渉によって、各色に対応する光成分が強め合うように、OLED層10R、10G、10Bのそれぞれの厚みが異なるものとされている。すなわち、赤色、緑色および青色のそれぞれのELスペクトルピーク波長に背面電極(正極)11bと透明電極(負極)11aとの間の光路長を合致させ、各色から最も強い光を取り出すように、OLED層10R、10G、10Bのそれぞれの厚みが異なるものとされている。具体的には、短波長の青色OLED層10Bの厚みが薄く設計され、長波長の赤色OLED層10Rの厚みが厚く設計されている。OLED層で発生した光は正極と負極との間で反射を繰り返すところ、光路長の合致した波長の光のみを共振させて強調し、光路長のずれたそれ以外の波長の光を弱めることにより、外部に取り出される光のスペクトルが急峻かつ高強度になり、輝度と色純度が向上する。
マイクロキャビティ構造を有するOLED表示パネルによれば、輝度と色純度が向上するという優れた効果が得られる一方で、スペクトルが急峻であるがゆえに視野角依存性が強い(視野角が狭い)という問題が生じ得る。このため、画像表示時に斜めから画像を見た場合、本来表示したい色とは別の色に見えるカラーシフトが生じる場合がある。
(本発明の光学素子)
本発明の光学素子は、OLED表示装置の視認側に積層される光学的な要素であり、粘着剤層及び樹脂層を少なくとも含む。本発明の光学素子は、さらに、偏光板、接着剤層、ガラス層、ハードコート層、反射防止層、防眩層、中間層(相溶層)、衝撃吸収層、帯電防止層などから選ばれる少なくとも1層を含んでいてもよい。
(粘着剤層)
粘着剤層とは、常温で接着性を有し、軽い圧力で被着体に接着する層をいい、粘着剤層に貼着した被着体を剥離した場合にも、粘着剤層は実用的な粘着力を保持するものをいう。
本発明の粘着剤層は、特に限定されないが、OLED表示装置のカラーシフトや干渉ムラを効率的に低減する観点から、光散乱特性(光を散乱する機能)を有することが好ましい。本発明の粘着剤層が光散乱特性を有する場合、粘着剤層中に分散した光散乱性微粒子を含むことが好ましい。
本発明のOLED表示装置が、視認側にカラーフィルタを含み、且つ粘着剤層が光散乱特性を有する場合、OLED表示装置のカラーシフトや干渉ムラを低減し、且つ光散乱により引き起こされるOLED表示装置の画像ボケを抑制する観点から、前記光散乱特性を有する粘着剤層と、前記カラーフィルタとの間との距離が700μm以下であることが好ましい。光散乱により引き起こされるOLED表示装置の画像ボケを抑制する観点から、光散乱特性を有する粘着剤層と、カラーフィルタとの間との距離が600μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましく、0μm、すなわち光散乱特性を有する粘着剤層と、カラーフィルタとが直接接していることが最も好ましい。
光散乱特性を有する粘着剤層と、カラーフィルタとの間との距離とは、粘着剤層のカラーフィルタ方向の表面と、カラーフィルタの粘着剤層方向の表面との間の距離(μm)を示し、光散乱特性を有する粘着剤層と、カラーフィルタとの間に、他の層が積層されている場合は、当該他の層(2層以上の場合はその合計)の厚さ(μm)に相当する。
本発明の粘着剤層のヘイズ値は特に限定されないが、OLED表示装置のカラーシフトや干渉ムラを効率的に低減する観点から、20%以上が好ましく、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上、特に好ましくは50%以上である。また、OLED表示装置の画像ボケを抑制し、高精細な画像を表示する観点から、本発明の粘着剤層のヘイズ値は、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、70%以下がより好ましい。
本発明の粘着剤層の全光線透過率は、特に限定されないが、OLED表示装置の輝度を確保するという観点から、60%以上が好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。また、本発明の粘着剤層の全光線透過率の上限値は特に限定されないが、100%未満であってもよく、99.9%以下、又は99%以下であってもよい。
本発明の粘着剤層のヘイズ値及び全光線透過率は、それぞれ、JIS 7136、JIS 7361で定める方法により測定できるものであり、粘着剤層の種類や厚さ、後述の光散乱性微粒子の種類や配合量などにより制御することができる。
本発明の粘着剤層の厚みは、OLED表示装置のカラーシフトや干渉ムラを効率的に低減する観点から、10~100μmであることが好ましく、15~90μmであることがより好ましく、20~80μmであることがより好ましく、25~70μmであることがさらに好ましい。
前記光散乱性微粒子は、粘着剤層との適切な屈折率差を有し、粘着剤層に光散乱特性を付与するものである。粘着剤層が、光散乱性微粒子を含有すると、光に対する散乱性能が付与され、好ましい。光散乱性微粒子としては、無機微粒子、高分子微粒子などが挙げられる。無機微粒子の材質としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、二酸化チタン等が挙げられる。高分子微粒子の材質としては、例えば、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、メタアクリル系樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチル)、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。光散乱性微粒子は、好ましくは高分子微粒子であり、特に、シリコーン樹脂で構成される微粒子(例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製のトスパールシリーズ)が、粘着剤層に対する優れた分散性、安定性および粘着剤層との適切な屈折率差を有し、面内に均一なヘイズを示す散乱性能に優れた粘着剤層が得られ、OLED表示装置のカラーシフト、干渉ムラを低減する点で好適である。光散乱性微粒子の形状は、例えば、真球状、扁平状、不定形状であり得る。光散乱性微粒子は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光散乱性微粒子の平均粒子径は、適切な光散乱特性を粘着剤層に付与する観点からは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.15μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上、特に好ましくは0.25μm以上である。また、光散乱性微粒子の平均粒子径は、ヘイズ値が高くなり過ぎることを防止し、高精細な画像を表示する観点から、好ましくは12μm以下であり、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは8μm以下である。平均粒子径は、例えば、コールターカウンターを用いて測定することができる。
光散乱性微粒子の屈折率は、好ましくは1.2~5であり、より好ましくは1.25~4.5であり、1.3~4、又は1.35~3であってもよい。
光散乱性微粒子と粘着剤層(粘着剤層において光散乱性微粒子を除いた粘着剤層)との屈折率差の絶対値は、OLED表示装置のカラーシフトや干渉ムラを効率的に低減する観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.02以上、特に好ましくは0.03以上であり、0.04以上、又は0.05以上であってもよい。また、光散乱性微粒子と粘着剤層との屈折率差の絶対値は、ヘイズ値が高くなり過ぎることを防止して画像ボケを抑制し、高精細な画像を表示する観点から、好ましくは5以下であり、より好ましくは4以下であり、さらに好ましくは3以下である。
粘着剤層中における光散乱性微粒子の含有量は、適切な光散乱特性を粘着剤層に付与する観点からは、粘着剤層を構成する粘着剤100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、さらに好ましくは0.1重量部以上、特に好ましくは0.15重量部以上である。また、光散乱性微粒子の含有量は、ヘイズ値が高くなり過ぎることを防止して画像ボケを抑制し、高精細な画像を表示する観点から、粘着剤層を構成する粘着剤100重量部に対して、好ましくは80重量部以下であり、より好ましくは70重量部以下である。
本発明の粘着剤層は、特に限定されないが、界面反射を防止し、OLED素子から発せられる光の採光率を向上できる観点から、高屈折率であることが好ましい。本発明の粘着剤層の屈折率は、界面反射を防止し、OLED素子から発せられる光の採光率を向上できる観点から、好ましくは1.57以上であり、より好ましくは1.575以上、さらに好ましくは1.580以上、特に好ましくは1.585以上、一層好ましくは1.590以上であり、1.595以上であってもよい。
本発明の粘着剤層の屈折率は、後述の芳香環含有モノマー、高屈折率有機材料の種類や含有量により、調整することができる。
本発明の粘着剤層の加湿前後の屈折率の変動比は、特に限定されないが、高温高湿環境においても、界面反射を防止し、OLED素子から発せられる光の採光率を安定して向上できる観点から、好ましくは0.05以下、好ましくは0.04以下、さらに好ましくは0.02以下、特に好ましくは0.01以下である。
本発明の粘着剤層の加湿前後の屈折率の変動比は、本発明の粘着剤層を温度85℃、相対湿度85%の加湿環境下で120時間保管し、以下の式のより算出できるものである。
加湿前後の屈折率の変動比=|初期の屈折率-加湿後の屈折率|/(初期の屈折率)
加湿前後の屈折率の変動比は、後述の芳香環含有モノマー、高屈折率有機材料、高屈折無機材料の種類や含有量、粘着剤層を構成する粘着剤の種類、モノマー組成、架橋度、厚さなどにより、調整することができる。
本発明の粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤などが挙げられる。中でも、粘着剤層を構成する粘着剤としては、透明性、粘着性、耐候性、コスト、粘着剤の設計のしやすさの点より、アクリル系粘着剤が好ましい。つまり、本発明の粘着剤層は、アクリル系粘着剤から構成されたアクリル系粘着剤層であることが好ましい。前記粘着剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
前記アクリル系粘着剤層は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含有する。前記アクリル系ポリマーは、ポリマーを構成するモノマー成分として、アクリル系モノマー(分子中に(メタ)アクリロイル基を有するモノマー)を含むポリマーである。前記アクリル系ポリマーは、ポリマーを構成するモノマー成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むポリマーであることが好ましい。なお、アクリル系ポリマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、いずれの形態であってもよい。例えば、粘着剤組成物は、エマルジョン型、溶剤型(溶液型)、活性エネルギー線硬化型、熱溶融型(ホットメルト型)などであってもよい。中でも、生産性の点、光学特性や外観性に優れる粘着剤層が得やすい点より、溶剤型、活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物が好ましい。
つまり、本発明の粘着剤層は、アクリル系ポリマーをベースポリマーとして含有するアクリル系粘着剤層であり、溶剤型又は活性エネルギー線硬化型のアクリル系粘着剤組成物により形成されることが好ましい。
前記活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、紫外線が好ましい。即ち、前記活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物は、紫外線硬化型の粘着剤組成物が好ましい。
前記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物(アクリル系粘着剤組成物)としては、例えば、アクリル系ポリマーを必須成分とするアクリル系粘着剤組成物、又は、アクリル系ポリマーを構成する単量体(モノマー)の混合物(「モノマー混合物」と称する場合がある)若しくはその部分重合物を必須成分とするアクリル系粘着剤組成物などが挙げられる。前者としては、例えば、いわゆる溶剤型のアクリル系粘着剤組成物などが挙げられる。また、後者としては、例えば、いわゆる活性エネルギー線硬化型のアクリル系粘着剤組成物などが挙げられる。前記「モノマー混合物」とは、ポリマーを構成するモノマー成分を含む混合物を意味する。また、前記「部分重合物」とは、「プレポリマー」と称する場合もあり、前記モノマー混合物中のモノマー成分のうちの1又は2以上のモノマー成分が部分的に重合している組成物を意味する。
前記アクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーを必須のモノマー成分(単量体成分)として構成(形成)された重合体である。前記アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須のモノマー成分として構成(形成)された重合体であることが好ましい。すなわち、前記アクリル系ポリマーは、構成単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましい。本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」(「アクリル」及び「メタクリル」のうち、いずれか一方又は両方)を表し、他も同様である。なお、前記アクリル系ポリマーは、1種又は2種以上のモノマー成分により構成される。
必須のモノマー成分としての前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル(ステアリル(メタ)アクリレート)、イソステアリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの炭素数が1~20の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。中でも、前記直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、炭素数が4~18の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくはアクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)、イソステアリルアクリレート(ISTA)である。また、前記直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)中の、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、特に限定されないが、50重量%以上(例えば、50~100重量%)であることが好ましく、より好ましくは53~90重量%、さらに好ましくは55~85重量%である。
前記アクリル系ポリマーは、ポリマーを構成するモノマー成分として、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとともに、共重合性モノマーを含んでいてもよい。すなわち、前記アクリル系ポリマーは、構成単位として、共重合性モノマーを含んでいてもよい。なお、共重合性モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記共重合性モノマーとしては、特に限定されないが、高屈折率の粘着剤層を得、OLED表示パネルとの界面反射を抑制し、OLED素子からの光の採光率が向上できる点より、分子内に芳香環を有するモノマーが好ましく挙げられる。すなわち、前記アクリル系ポリマーは、構成単位として、分子内に芳香環を有するモノマーを含むことが好ましい。
前記分子内に芳香環を有するモノマーは、分子内(1分子内)に芳香環を少なくとも1つ有するモノマー(単量体)である。本明細書において、前記「分子内に芳香環を有するモノマー」を「芳香環含有モノマー」と称する場合がある。
芳香環含有モノマーとしては、1分子中に少なくとも1つの芳香環と少なくとも1つのエチレン性不飽和基とを含む化合物が用いられる。芳香環含有モノマーとしては、かかる化合物の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記エチレン性不飽和基の例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、(メタ)アリル基等が挙げられる。重合反応性の観点から(メタ)アクリロイル基が好ましく、柔軟性や粘着性の観点からアクリロイル基がより好ましい。粘着剤の柔軟性低下を抑制する観点から、芳香環含有モノマーとしては、1分子中に含まれるエチレン性不飽和基の数が1である化合物(すなわち、単官能モノマー)が好ましく用いられる。
芳香環含有モノマーとして用いられる化合物1分子に含まれる芳香環の数は、1でもよく、2以上でもよい。芳香環含有モノマーに含まれる芳香環の数の上限は特に制限されず、例えば16以下であり得る。アクリル系ポリマーの調製容易性や粘着剤の透明性の観点から、前記芳香環の数は、例えば12以下であってよく、8以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましく、5以下でもよく、4以下でもよく、3以下でもよく、2以下でもよい。
芳香環含有モノマーとして用いられる化合物の有する芳香環は、例えばベンゼン環(ビフェニル構造やフルオレン構造の一部を構成するベンゼン環であり得る。);ナフタレン環、インデン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環の縮合環等の炭素環であってもよく、例えばピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、チオフェン環等の複素環であってもよい。前記複素環において環構成原子として含まれるヘテロ原子は、例えば窒素、硫黄および酸素からなる群から選択される1または2以上であり得る。前記複素環を構成するヘテロ原子は、窒素および硫黄の一方または両方であり得る。芳香環含有モノマーは、例えばジナフトチオフェン構造のように、1または2以上の炭素環と1または2以上の複素環とが縮合した構造を有していてもよい。
前記芳香環(好ましくは炭素環)は、環構成原子上に1または2以上の置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい。置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基、グリシジルオキシ基等が例示されるが、これらに限定されない。炭素原子を含む置換基において、該置換基に含まれる炭素原子の数は、好ましくは1~4であり、より好ましくは1~3であり、例えば1または2であり得る。前記芳香環は、環構成原子上に置換基を有しないか、アルキル基、アルコキシ基およびハロゲン原子(例えば臭素原子)からなる群から選択される1または2以上の置換基を有する芳香環であり得る。なお、芳香環含有モノマーの有する芳香環がその環構成原子上に置換基を有するとは、該芳香環が、エチレン性不飽和基を有する置換基以外の置換基を有することをいう。
芳香環とエチレン性不飽和基とは、直接結合していてもよく、リンキング基を介して結合していてもよい。前記リンキング基は、例えば、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリ(オキシアルキレン)基、フェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、これらの基において1または2以上の水素原子が水酸基で置換された構造の基(例えば、ヒドロキシアルキレン基)、オキシ基(-O-基)、チオオキシ基(-S-基)等から選択される1または2以上の構造を含む基であり得る。芳香環とエチレン性不飽和基とが、直接結合しているか、またはアルキレン基、オキシアルキレン基およびポリ(オキシアルキレン)基からなる群から選択されるリンキング基を介して結合している構造の芳香環含有モノマーを好ましく採用し得る。前記アルキレン基および前記オキシアルキレン基における炭素原子数は、好ましくは1~4であり、より好ましくは1~3であり、例えば1または2であり得る。前記ポリ(オキシアルキレン)基におけるオキシアルキレン単位の繰り返し数は、例えば2~3であり得る。
芳香環含有モノマーとして好ましく採用し得る化合物の例として、芳香環含有(メタ)アクリレートおよび芳香環含有ビニル化合物が挙げられる。芳香環含有(メタ)アクリレートおよび芳香環含有ビニル化合物は、それぞれ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。1種または2種以上の芳香環含有(メタ)アクリレートと、1種または2種以上の芳香環含有ビニル化合物とを組み合わせて用いてもよい。
前記アクリル系ポリマーが、ポリマーを構成するモノマー成分として前記芳香環含有モノマーを含有する場合、前記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)中の、前記芳香環含有モノマーの割合は、特に限定されないが、30重量%以上が好ましく、より好ましくは50重量%以上であり、さらに好ましくは60重量%以上であり、70重量%以上であってもよい。前記割合が30重量%以上であると、より高い屈折率を得やすくなる傾向にあり、好ましい。さらに高い屈折率を得やすくする観点から、前記芳香環含有モノマーの含有量は、例えば70重量%超であってよく、75重量%以上でもよく、80重量%以上でもよく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、95重量%以上でもよい。また、前記芳香環含有モノマーの割合の上限は、適度な柔軟性を有する粘着剤層を得る点、透明性に優れる粘着剤層を得る点より、99重量%以下が好ましく、より好ましくは98重量%以下であり、さらに好ましくは97重量%以下であり、96重量%以下であってもよい。また、前記芳香環含有モノマーの含有量は、93重量%以下でもよく、90重量%以下でもよく、80重量%以下でもよく、75重量%以下でもよい。より粘着特性および/または光学特性を重視するいくつかの態様において、前記芳香環含有モノマーの含有量は、70重量%以下でもよく、60重量%以下でもよく、45重量%以下でもよい。
芳香環含有モノマーとしては、高い高屈折率化効果が得られやすいことから、1分子中に2以上の芳香環(好ましくは炭素環)を有するモノマーを好ましく採用し得る。1分子内に2以上の芳香環を有するモノマー(以下、「芳香環複数含有モノマー」ともいう。)の例としては、2以上の非縮合芳香環がリンキング基を介して結合した構造を有するモノマー、2以上の非縮合芳香環が直接(すなわち、他の原子を介さずに)化学結合した構造を有するモノマー、縮合芳香環構造を有するモノマー、フルオレン構造を有するモノマー、ジナフトチオフェン構造を有するモノマー、ジベンゾチオフェン構造を有するモノマー等が挙げられる。芳香環複数含有モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記リンキング基は、例えばオキシ基(-O-)、チオオキシ基(-S-)、オキシアルキレン基(例えば-O-(CH2n-基、ここでnは1~3、好ましくは1)、チオオキシアルキレン基(例えば-S-(CH2n-基、ここでnは1~3、好ましくは1)、直鎖アルキレン基(すなわち-(CH2n-基、ここでnは1~6、好ましくは1~3)、前記オキシアルキレン基、前記チオオキシアルキレン基および前記直鎖アルキレン基におけるアルキレン基が部分ハロゲン化または完全ハロゲン化された基等であり得る。粘着剤の柔軟性等の観点から、前記リンキング基の好適例として、オキシ基、チオオキシ基、オキシアルキレン基および直鎖アルキレン基が挙げられる。2以上の非縮合芳香環がリンキング基を介して結合した構造を有するモノマーの具体例としては、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート(例えば、m-フェノキシベンジル(メタ)アクリレート)、チオフェノキシベンジル(メタ)アクリレート、ベンジルベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記2以上の非縮合芳香環が直接化学結合した構造を有するモノマーは、例えばビフェニル構造含有(メタ)アクリレート、トリフェニル構造含有(メタ)アクリレート、ビニル基含有ビフェニル等であり得る。具体例としては、o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、ビフェニルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記縮合芳香環構造を有するモノマーの例としては、ナフタレン環含有(メタ)アクリレート、アントラセン環含有(メタ)アクリレート、ビニル基含有ナフタレン、ビニル基含有アントラセン等が挙げられる。具体例としては、1-ナフチルメチル(メタ)アクリレート(別名:1-ナフタレンメチル(メタ)アクリレート)、ヒドロキシエチル化β-ナフトールアクリレート、2-ナフトエチル(メタ)アクリレート、2-ナフトキシエチルアクリレート、2-(4-メトキシ-1-ナフトキシ)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記フルオレン構造を有するモノマーの具体例としては、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、フルオレン構造を有するモノマーは、2つのベンゼン環が直接化学結合した構造部分を含むため、前記2以上の非縮合芳香環が直接化学結合した構造を有するモノマーの概念に包含される。
前記ジナフトチオフェン構造を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基含有ジナフトチオフェン、ビニル基含有ジナフトチオフェン、(メタ)アリル基含有ジナフトチオフェン等が挙げられる。具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシメチルジナフトチオフェン(例えば、ジナフトチオフェン環の5位または6位にCH2CH(R1)C(O)OCH2-が結合した構造の化合物。ここで、R1は水素原子またはメチル基である。)、(メタ)アクリロイルオキシエチルジナフトチオフェン(例えば、ジナフトチオフェン環の5位または6位に、CH2CH(R1)C(O)OCH(CH3)-またはCH2CH(R1)C(O)OCH2CH2-が結合した構造の化合物。ここで、R1は水素原子またはメチル基である。)、ビニルジナフトチオフェン(例えば、ナフトチオフェン環の5位または6位にビニル基が結合した構造の化合物)、(メタ)アリルオキシジナフトチオフェン等が挙げられる。なお、ジナフトチオフェン構造を有するモノマーは、ナフタレン構造を含むことにより、またチオフェン環と2つのナフタレン構造とが縮合した構造を有することによっても、前記縮合芳香環構造を有するモノマーの概念に包含される。
前記ジベンゾチオフェン構造を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基含有ジベンゾチオフェン、ビニル基含有ジベンゾチオフェン等が挙げられる。なお、ジベンゾチオフェン構造を有するモノマーは、チオフェン環と2つのベンゼン環とが縮合した構造を有することから、前記縮合芳香環構造を有するモノマーの概念に包含される。
なお、ジナフトチオフェン構造およびジベンゾチオフェン構造は、いずれも、2以上の非縮合芳香環が直接化学結合した構造には該当しない。
芳香環含有モノマーとして、1分子中に1つの芳香環(好ましくは炭素環)を有するモノマーを使用してもよい。1分子中に1つの芳香環を有するモノマーは、例えば、粘着剤の柔軟性の向上や粘着特性の調整、透明性の向上等に役立ち得る。1分子中に1つの芳香環を有するモノマーは、粘着剤の屈折率向上の観点から、芳香環複数含有モノマーと組み合わせて用いることが好ましい。
1分子中に1つの芳香環を有するモノマーの例としては、べンジル(メタ)アクリレート、メトキシベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、エトキシ化フェノール(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシブチル(メタ)アクリレート、クレジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、クロロベンジル(メタ)アクリレート等の、炭素芳香環含有(メタ)アクリレート;2-(4,6-ジブロモ-2-s-ブチルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-(4,6-ジブロモ-2-イソプロピルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート、6-(4,6-ジブロモ-2-s-ブチルフェノキシ)ヘキシル(メタ)アクリレート、6-(4,6-ジブロモ-2-イソプロピルフェノキシ)ヘキシル(メタ)アクリレート、2,6-ジブロモ-4-ノニルフェニルアクリレート、2,6-ジブロモ-4-ドデシルフェニルアクリレート等の、臭素置換芳香環含有(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブチルスチレン等の、炭素芳香環含有ビニル化合物;N-ビニルピリジン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール等の、複素芳香環上にビニル置換基を有する化合物等が挙げられる。
芳香環含有モノマーとしては、上述のような各種芳香環含有モノマーにおけるエチレン性不飽和基と芳香環との間にオキシエチレン鎖を介在させた構造のモノマーを使用してもよい。エチレン性不飽和基と芳香環との間にオキシエチレン鎖を介在させたモノマーは、元のモノマーのエトキシ化物として把握され得る。前記オキシエチレン鎖におけるオキシエチレン単位(-CH2CH2O-)の繰返し数は、典型的には1~4、好ましくは1~3、より好ましくは1~2であり、例えば1である。エトキシ化された芳香環含有モノマーの具体例としては、エトキシ化o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化クレゾール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香環含有モノマーにおける芳香環複数含有モノマーの含有量は、特に制限されず、例えば5重量%以上であってよく、25重量%以上でもよく、40重量%以上でもよい。より高い屈折率を有する粘着剤を実現しやすくする観点から、芳香環含有モノマーにおける芳香環複数含有モノマーの含有量は、例えば50重量%以上であってよく、70重量%以上であることが好ましく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、95重量%以上でもよい。芳香環含有モノマーの実質的に100重量%が芳香環複数含有モノマーであってもよい。すなわち、芳香環含有モノマーとして1種または2種以上の芳香環複数含有モノマーのみを使用してもよい。また、例えば高屈折率と粘着特性および/または光学特性とのバランスを考慮して、芳香環含有モノマーにおける芳香環複数含有モノマーの含有量は、100重量%未満であってもよく、98重量%以下でもよく、90重量%以下でもよく、80重量%以下でもよく、65重量%以下でもよい。粘着特性および/または光学特性を考慮して、芳香環含有モノマーにおける芳香環複数含有モノマーの含有量は、70重量%以下でもよく、50重量%以下でもよく、25重量%以下でもよく、10重量%以下でもよい。芳香環含有モノマーにおける芳香環複数含有モノマーの含有量が5重量%未満である態様も実施し得る。芳香環複数含有モノマーを使用しなくてもよい。
前記アクリル系ポリマーが、ポリマーを構成するモノマー成分として前記芳香環複数含有モノマーを含有する場合、前記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)中の、前記芳香環複数含有モノマーの割合は、特に限定されないが、3重量%以上が好ましく、より好ましくは10重量%以上であり、さらに好ましくは25重量%以上である。前記割合が3重量%以上であると、より高い屈折率を得やすくなる傾向にあり、好ましい。さらに高い屈折率を得やすくする観点から、前記芳香環複数含有モノマーの含有量は、例えば35重量%超であってよく、50重量%以上でもよく、70重量%以上でもよく、75重量%以上でもよく、85重量%以上でもよく、90重量%以上でもよく、95重量%以上でもよい。また、前記芳香環含有モノマーの割合の上限は、高屈折率と粘着特性および/または光学特性とをバランスよく両立する観点から、99重量%以下が好ましく、より好ましくは98重量%以下であり、さらに好ましくは96重量%以下であり、93重量%以下であってもよく、90重量%以下であってもよく、85重量%以下であってもよく、80重量%以下であってもよく、75重量%以下であってもよい。また、より粘着特性および/または光学特性の観点より、前記芳香環複数含有モノマーの含有量は、70重量%以下でもよく、50重量%以下でもよく、25重量%以下でもよく、15重量%以下でもよく、5重量%以下でもよい。
前記共重合性モノマーとしては、特に限定されないが、高湿環境下での白濁化の抑制と耐久性向上、紫外線吸収剤等の各種添加剤との相溶性、透明性の点より、分子内に窒素原子を有するモノマー、分子内に水酸基を有するモノマーが好ましく挙げられる。すなわち、前記アクリル系ポリマーは、構成単位として、分子内に窒素原子を有するモノマーを含むことが好ましい。また、前記アクリル系ポリマーは、構成単位として、分子内に水酸基を有するモノマーを含むことが好ましい。
前記分子内に窒素原子を有するモノマーは、分子内(1分子内)に窒素原子を少なくとも1つ有するモノマー(単量体)である。本明細書において、前記「分子内に窒素原子を有するモノマー」を「窒素原子含有モノマー」と称する場合がある。前記窒素原子含有モノマーとしては、特に限定されないが、環状窒素含有モノマー、(メタ)アクリルアミド類などが好ましく挙げられる。なお、窒素原子含有モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
前記環状窒素含有モノマーは、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ環状窒素構造を有するものであれば特に限定されない。前記環状窒素構造は、環状構造内に窒素原子を有するものが好ましい。
前記環状窒素含有モノマーとしては、例えば、N-ビニル環状アミド(ラクタム系ビニルモノマー)、窒素含有複素環を有するビニル系モノマーなどが挙げられる。
前記N-ビニル環状アミドとしては、例えば、下記式(1)で表されるN-ビニル環状アミドが挙げられる。
Figure 2023126058000002

(式(1)中、R1は2価の有機基を示す)
前記式(1)におけるR1は2価の有機基であり、好ましくは2価の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基であり、より好ましくは2価の飽和炭化水素基(例えば、炭素数3~5のアルキレン基など)である。
前記式(1)で表されるN-ビニル環状アミドとしては、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-3-モルホリノン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-1,3-オキサジン-2-オン、N-ビニル-3,5-モルホリンジオンなどが挙げられる。
前記窒素含有複素環を有するビニル系モノマーとしては、例えば、モルホリン環、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環等の窒素含有複素環を有するアクリル系モノマーなどが挙げられる。
前記窒素含有複素環を有するビニル系モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルピラジン、N-ビニルモルホリン、N-ビニルピラゾール、ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルオキサゾール、ビニルイソオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルイソチアゾール、ビニルピリダジン、(メタ)アクリロイルピロリドン、(メタ)アクリロイルピロリジン、(メタ)アクリロイルピペリジンなどが挙げられる。
前記窒素含有複素環を有するビニル系モノマーとしては、中でも、窒素含有複素環を有するアクリル系モノマーが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリロイルピロリジン、(メタ)アクリロイルピペリジンである。
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。前記N-アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-オクチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。さらに、前記N-アルキル(メタ)アクリルアミドには、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのようなアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドも含まれる。前記N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(t-ブチル)(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
また、前記(メタ)アクリルアミド類には、例えば、各種のN-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドも含まれる。前記N-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(1-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
また、前記(メタ)アクリルアミド類には、例えば、各種のN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドも含まれる。前記N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
また、前記環状窒素含有モノマー、前記(メタ)アクリルアミド類以外の窒素原子含有モノマーとしては、例えば、アミノ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。前記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルなどが挙げられる。前記シアノ基含有モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。前記イミド基含有モノマーとしては、マレイミド系モノマー(例えば、N-シクロヘキシルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-フェニルマレイミド等)、イタコンイミド系モノマー(例えば、N-メチルイタコンイミド、N-エチルイタコンイミド、N-ブチルイタコンイミド、N-オクチルイタコンイミド、N-2-エチルヘキシルイタコンイミド、N-ラウリルイタコンイミド、N-シクロヘキシルイタコンイミド等)、スクシンイミド系モノマー(例えば、N-(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-6-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-8-オキシオクタメチレンスクシンイミド等)など挙げられる。前記イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどが挙げられる。
中でも、前記窒素原子含有モノマーとしては、環状窒素含有モノマーが好ましく、N-ビニル環状アミドがより好ましい。より具体的には、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)が特に好ましい。
前記アクリル系ポリマーが、ポリマーを構成するモノマー成分として前記窒素原子含有モノマーを含有する場合、前記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)中の、前記窒素原子含有モノマーの割合は、特に限定されないが、1重量%以上が好ましく、より好ましくは3重量%以上であり、さらに好ましくは5重量%以上である。前記割合が1重量%以上であると、高湿環境下での白濁化の抑制と耐久性がより向上することができ、好ましい。また、前記窒素原子含有モノマーの割合の上限は、適度な柔軟性を有する粘着剤層を得る点、透明性に優れる粘着剤層を得る点より、30重量%以下が好ましく、より好ましくは25重量%以下であり、さらに好ましくは20重量%以下である。
前記分子内に水酸基を有するモノマーは、分子内(1分子内)に水酸基(ヒドロキシル基)を少なくとも1つ有するモノマーであり、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつヒドロキシル基を有するものが好ましく挙げられる。ただし、前記分子内に水酸基を有するモノマーには、前記窒素原子含有モノマーは含まれないものとする。すなわち、本明細書において、分子内に窒素原子と水酸基をともに有するモノマーは、前記「窒素原子含有モノマー」に含まれるものとする。本明細書においては、前記「分子内に水酸基を有するモノマー」を「水酸基含有モノマー」と称する場合がある。なお、水酸基含有モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)などの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;ビニルアルコール;アリルアルコールなどが挙げられる。
中でも、前記水酸基含有モノマーとしては、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、より好ましくはアクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(4HBA)である。
前記アクリル系ポリマーが、ポリマーを構成するモノマー成分として前記水酸基含有モノマーを含有する場合、前記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)中の、前記水酸基含有モノマーの割合は、特に限定されないが、高湿環境下での白濁化の抑制と耐久性向上の観点より、0.5重量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.8重量%以上であり、さらに好ましくは1重量%以上である。また、前記水酸基含有モノマーの割合の上限は、適度な柔軟性を有する粘着剤層を得る点、透明性に優れる粘着剤層を得る点より、30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは25重量%以下であり、さらに好ましくは15重量%以下である。
前記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)中の、前記窒素原子含有モノマー及び前記水酸基含有モノマーの割合の合計は、特に限定されないが、高湿環境下での白濁化の抑制と耐久性向上の点より、1重量%以上であることが好ましく、より好ましくは5重量%以上であり、さらに好ましくは10重量%以上である。また、前記割合の合計の上限は、適度な柔軟性を有する粘着剤層を得る点、透明性に優れる粘着剤層を得る点より、50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは40重量%以下であり、さらに好ましくは35重量%以下である。
窒素原子含有モノマー及び水酸基含有モノマー以外の共重合性モノマーとしては、さらに、脂環構造含有モノマーが挙げられる。前記脂環構造含有モノマーは、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ脂環構造を有するものであれば特に限定されない。例えば、シクロアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートは、前記脂環構造含有モノマーに含まれる。なお、脂環構造含有モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
前記脂環構造含有モノマーにおける脂環構造は、環状の炭化水素構造であり、炭素数5以上であることが好ましく、炭素数6~24がより好ましく、炭素数6~15がさらに好ましく、炭素数6~10が特に好ましい。
前記脂環構造含有モノマーとしては、例えば、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、下記式(2)で表されるHPMPA、下記式(3)で表されるTMA-2、下記式(4)で表されるHCPAなどのアクリル系モノマーが挙げられる。なお、下記式(4)において、線でつないだシクロヘキシル環と括弧内の構造式との結合場所は特に限定されない。これらの中でも、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。
Figure 2023126058000003

Figure 2023126058000004

Figure 2023126058000005
前記アクリル系ポリマーが、ポリマーを構成するモノマー成分として前記脂環構造含有モノマーを含有する場合、前記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)中の、前記脂環構造含有モノマーの割合は、特に限定されないが、耐久性向上の点より、10重量%以上であることが好ましい。また、前記脂環構造含有モノマーの割合の上限は、適度な柔軟性を有する粘着剤層を得る点より、50重量%以下が好ましく、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。
さらに、共重合性モノマーとしては、例えば、多官能性モノマーが挙げられる。前記多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。なお、多官能性モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記アクリル系ポリマーが、ポリマーを構成するモノマー成分として前記多官能性モノマーを含有する場合、前記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)中の、前記多官能性モノマーの割合は、特に限定されないが、0.5重量%以下(例えば、0重量%を超えて0.5重量%以下)が好ましく、より好ましくは0.2重量%以下(例えば、0重量%を超えて0.2重量%以下)である。
また、前記共重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4-エトキシブチルなどが挙げられる。中でも、前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルは、アクリル酸アルコキシアルキルエステルが好ましく、より好ましくはアクリル酸2-メトキシエチル(MEA)である。なお、前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記アクリル系ポリマーが、ポリマーを構成するモノマー成分として、前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを含む場合、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとの割合は、特に限定されないが、[前者:後者](重量比)で、100:0を超えて25:75以下が好ましく、より好ましくは100:0を超えて50:50以下である。
他にも、前記共重合性モノマーとしては、例えば、カルボキシル基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル類、芳香族ビニル化合物、オレフィン類又はジエン類、ビニルエーテル類、塩化ビニルなどが挙げられる。前記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などが挙げられる、また、前記カルボキシル基含有モノマーには、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマーも含まれるものとする。前記エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどが挙げられる。前記スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、ビニルスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。前記芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどが挙げられる。前記ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。前記芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエンなどが挙げられる。前記オレフィン類又はジエン類としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどが挙げられる。前記ビニルエーテル類としては、例えば、ビニルアルキルエーテルなどが挙げられる。
前記アクリル系ポリマーは、粘着剤層の被着体がタッチパネル等の金属または金属酸化物の配線を含む場合は、優れた耐腐食性を有するアクリル系粘着剤層を得る点より、ポリマーを構成するモノマー成分として酸性基含有モノマーを含まない又は実質的に含まないことが好ましく、特にカルボキシル基含有モノマーを含まない又は実質的に含まないことが好ましい。酸性基含有モノマーとしては、例えば、カルボキシル基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマーなどが挙げられる。具体的には、前記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)中の、酸性基含有モノマーの割合が、0.05重量%以下(好ましくは0.01重量%以下)であるものは、実質的に含有しないということができる。
本発明の粘着剤層中のベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)の含有量は、特に限定されないが、本発明の粘着剤層の総重量100重量%に対して、50重量%以上(例えば、50~100重量%)が好ましく、より好ましくは80重量%以上(例えば、80~100重量%)、さらに好ましくは90重量%以上(例えば、90~100重量%)である。
本発明の粘着剤層が含有する、前記アクリル系ポリマーなどのベースポリマーは、モノマー成分を重合することにより得られる。この重合方法としては、特に限定されないが、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)などが挙げられる。中でも、粘着剤層の透明性、コストなどの点より、溶液重合方法、活性エネルギー線重合方法が好ましい。
また、前記のモノマー成分の重合に際しては、各種の一般的な溶剤が用いられてもよい。前記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。なお、溶剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
前記のモノマー成分の重合に際しては、重合反応の種類に応じて、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)などの重合開始剤が用いられてもよい。なお、重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記熱重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルマレエート等)、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。中でも、特開2002-69411号公報に開示されたアゾ系重合開始剤が好ましい。前記アゾ系重合開始剤としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」と称する場合がある)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(以下、「AMBN」と称する場合がある)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリアン酸などが挙げられる。なお、熱重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記アクリル系ポリマーの重合の際に前記アゾ系重合開始剤を用いる場合、前記アゾ系重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、前記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分100重量部に対して、0.05重量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.1重量部以上であり、また、0.5重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.3重量部以下である。
前記光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等が挙げられる。他にも、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤が挙げられる。前記ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、アニソールメチルエーテル等が挙げられる。前記アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-(t-ブチル)ジクロロアセトフェノン等が挙げられる。前記α-ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン等が挙げられる。前記芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2-ナフタレンスルホニルクロライド等が挙げられる。前記光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシム等が挙げられる。前記ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン等が挙げられる。前記ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジル等が挙げられる。前記ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。前記ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。前記チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が挙げられる。前記アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。前記チタノセン系光重合開始剤としては、例えば、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム等が挙げられる。なお、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記アクリル系ポリマーの重合の際に前記光重合開始剤を用いる場合、前記光重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、前記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分100重量部に対して、0.01重量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.1重量部以上であり、また、3重量部以下であることが好ましく、より好ましくは1.5重量部以下である。
本発明の粘着剤層は、特に限定されないが、高屈折率有機材料を含有することが好ましい。本発明の粘着剤層が高屈折率有機材料を含むと、高屈折率の粘着剤層を得、OLED表示パネルとの界面反射を抑制し、OLED素子からの光の採光率が向上できる点より、好ましい。なお、高屈折率有機材料は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
高屈折率有機材料は、高屈折率(High Refractive index)の有機材料(Organic material)であることを表す。このような高屈折率有機材料とアクリル系ポリマーとを組み合わせて用いることにより、屈折率と粘着特性(剥離強度、柔軟性等)および/または光学特性(全光線透過率、ヘイズ値等)とを好適に両立する粘着剤を実現し得る。高屈折率有機材料として用いられる有機材料は、重合体であってもよく、非重合体であってもよい。また、重合性官能基を有していてもよく、有していなくてもよい。
高屈折率有機材料の屈折率は、アクリル系ポリマーの屈折率との相対関係で適当な範囲に設定し得るので、特定の範囲に限定されない。高屈折率有機材料の屈折率は、例えば1.50超、1.55超または1.57超であって、アクリル系ポリマーの屈折率より高いことが好ましい。粘着剤の高屈折率化の観点から、高屈折率有機材料の屈折率は、1.58以上であることが有利であり、1.60以上であることが好ましく、1.63以上であることがより好ましく、1.65以上でもよく、1.70以上でもよく、1.75以上でもよい。より屈折率の高い高屈折率有機材料によると、より少量の高屈折率有機材料の使用によっても目的の屈折率を達成し得る。このことは粘着特性や光学特性の低下抑制の観点から好ましい。高屈折率有機材料の屈折率の上限は特に制限されないが、粘着剤内における相溶性や、高屈折率化と粘着剤として適した柔軟性との両立容易性等の観点から、例えば3.000以下であり、2.500以下でもよく、2.000以下でもよく、1.950以下でもよく、1.900以下でもよく、1.850以下でもよい。また、高屈折率有機材料は粘着剤層の柔軟性を付与する可塑剤として機能するものを用いることもできる。
なお、高屈折率有機材料、粘着剤層の屈折率は、アッベ屈折率計を用いて、測定波長589nm、測定温度25℃の条件で測定される。メーカー等から25℃における屈折率の公称値が提供されている場合は、その公称値を採用することができる。
高屈折率有機材料の屈折率nbとアクリル系ポリマーの屈折率naとの差、すなわちnb-na(以下、「ΔnA」ともいう。)は、0より大きくなるように設定される。ΔnAは、例えば0.02以上であり、0.05以上でもよく、0.07以上でもよく、0.10以上でもよく、0.15以上でもよく、0.20以上または0.25以上でもよい。ΔnAがより大きくなるようにアクリル系ポリマーおよび高屈折率有機材料を選択することにより、高屈折率有機材料の使用による屈折率向上効果は高くなる傾向にある。また、粘着剤層内における高屈折率有機材料の相溶性の観点から、ΔnAは、例えば0.70以下であってよく、0.60以下でもよく、0.50以下でもよく、0.40以下または0.35以下でもよい。
高屈折率有機材料の屈折率nbと、該高屈折率有機材料を含む粘着剤層の屈折率nTとの差、すなわちnb-nT(以下、「ΔnB」ともいう。)は、0より大きくなるように設定され得る。いくつかの態様において、ΔnBは、例えば0.02以上であり、0.05以上でもよく、0.07以上でもよく、0.10以上でもよく、0.15以上でもよく、0.20以上または0.25以上でもよい。ΔnBがより大きくなるように粘着剤層の組成および高屈折率有機材料を選択することにより、高屈折率有機材料の使用による屈折率向上効果は高くなる傾向にある。また、粘着剤層内における相溶性や、粘着剤層の透明性等の観点から、いくつかの態様において、ΔnBは、例えば0.70以下であってよく、0.60以下でもよく、0.50以下でもよく、0.40以下または0.35以下でもよい。
高屈折率有機材料として使用する有機材料の分子量は、特に限定されず、目的に応じて選択し得る。高屈折率化の効果と他の特性(例えば、粘着剤に適した柔軟性、ヘイズ等の光学特性)とをバランスよく両立する観点から、高屈折率有機材料の分子量は、凡そ10000未満であることが適当であり、5000未満であることが好ましく、3000未満(例えば1000未満)であることがより好ましく、800未満でもよく、600未満でもよく、500未満でもよく、400未満でもよい。高屈折率有機材料の分子量が大きすぎないことは、粘着剤層内における相溶性向上の観点から有利となり得る。また、高屈折率有機材料の分子量は、例えば130以上であってよく、150以上でもよい。高屈折率有機材料の分子量は、該高屈折率有機材料の高屈折率化の観点から、170以上であることが好ましく、200以上であることがより好ましく、230以上でもよく、250以上でもよく、270以上でもよく、500以上でもよく、1000以上でもよく、2000以上でもよい。分子量が1000~10000程度(例えば1000以上5000未満)の重合体を、高屈折率有機材料として用いることができる。
高屈折率有機材料の分子量としては、非重合体または低重合度(例えば2~5量体程度)の重合体については、化学構造に基づいて算出される分子量、もしくはマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF-MS)を用いた測定値を用いることができる。高屈折率有機材料がより重合度の高い重合体である場合は、適切な条件で行われるGPCに基づく重量平均分子量(Mw)を用いることができる。メーカー等から分子量の公称値が提供されている場合は、その公称値を採用することができる。
高屈折率有機材料の選択肢となり得る有機材料の例には、芳香環を有する有機化合物、複素環(芳香環でもよく、非芳香族性の複素環でもよい。)を有する有機化合物、等が含まれるが、これらに限定されない。
高屈折率有機材料として用いられる前記芳香環を有する有機化合物(以下、「芳香環含有化合物」ともいう。)の有する芳香環は、前記芳香環含有モノマーとして用いられる化合物の有する芳香環と同様のものから選択され得る。
前記芳香環は、環構成原子上に1または2以上の置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい。置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基、グリシジルオキシ基等が例示されるが、これらに限定されない。炭素原子を含む置換基において、該置換基に含まれる炭素原子の数は、例えば1~10であり、有利には1~6であり、好ましくは1~4であり、より好ましくは1~3であり、例えば1または2であり得る。前記芳香環は、環構成原子上に置換基を有しないか、アルキル基、アルコキシ基およびハロゲン原子(例えば臭素原子)からなる群から選択される1または2以上の置換基を有する芳香環であり得る。
高屈折率有機材料として用いられ得る芳香環含有化合物の例としては、例えば:芳香環含有モノマーとして用いられ得る化合物;芳香環含有モノマーとして用いられ得る化合物をモノマー単位として含むオリゴマー;芳香環含有モノマーとして用いられ得る化合物から、エチレン性不飽和基を有する基(環構成原子に結合した置換基であり得る。)または該基のうちエチレン性不飽和基を構成する部分を除き、水素原子またはエチレン性不飽和基を有しない基(例えば、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基、グリシジルオキシ基等)に置き換えた構造の化合物;等が挙げられるが、これらに限定されない。高屈折率有機材料として用いられ得る芳香環含有化合物の非限定的な具体例には、ベンジルアクリレート、m-フェノキシベンジルアクリレート、2-(o-フェニルフェノキシ)エチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、上述したフルオレン構造を有するモノマー、ジナフトチオフェン構造を有するモノマー、ジベンゾチオフェン構造を有するモノマー等の芳香環含有モノマー;3-フェノキシベンジルアルコール、ジナフトチオフェンおよびその誘導体(例えば、ジナフトチオフェン環に、ヒドロキシ基、メタノール基、ジエタノール基、グリシジル基等から選択される1種または2種以上の置換基が、1または2以上結合した構造の化合物)等の、エチレン性不飽和基を有しない芳香環含有化合物;等が含まれ得る。また、芳香環含有化合物は、このような芳香環含有モノマーをモノマー単位として含むオリゴマー(好ましくは分子量が凡そ5000以下、より好ましくは凡そ1000以下のオリゴマー。例えば2~5量体程度の低重合物)であり得る。前記オリゴマーは、例えば:芳香環含有モノマーの単独重合体;1種または2種以上の芳香環含有モノマーの共重合体;1種または2種以上の芳香環含有モノマーと他のモノマーとの共重合体;等であり得る。前記他のモノマーとしては、芳香環を有しないモノマーの1種または2種以上が用いられ得る。
いくつかの態様において、高屈折率有機材料としては、高い高屈折率化効果が得られやすいことから、1分子中に2以上の芳香環を有する有機化合物(以下、「芳香環複数含有化合物」ともいう。)を好ましく採用し得る。芳香環複数含有化合物は、エチレン性不飽和基等の重合性官能基を有していてもよく、有していなくてもよい。また、芳香環複数含有化合物は、重合体であってもよく、非重合体であってもよい。また、前記重合体は、芳香環複数含有モノマーをモノマー単位として含むオリゴマー(好ましくは分子量が凡そ5000以下、より好ましくは凡そ1000以下のオリゴマー。例えば2~5量体程度の低重合物)であり得る。前記オリゴマーは、例えば:芳香環複数含有モノマーの単独重合体;1種または2種以上の芳香環複数含有モノマーの共重合体;1種または2種以上の芳香環複数含有モノマーと他のモノマーとの共重合体;等であり得る。前記他のモノマーは、芳香環複数含有モノマーに該当しない芳香環含有モノマーでもよく、芳香環を有しないモノマーでもよく、これらの組合せであってもよい。
芳香環複数含有化合物の非限定的な例としては、2以上の非縮合芳香環がリンキング基を介して結合した構造を有する化合物、2以上の非縮合芳香環が直接(すなわち、他の原子を介さずに)化学結合した構造を有する化合物、縮合芳香環構造を有する化合物、フルオレン構造を有する化合物、ジナフトチオフェン構造を有する化合物、ジベンゾチオフェン構造を有する化合物、等が挙げられる。芳香環複数含有化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。
前記フルオレン構造を有する化合物の具体例としては、上述したフルオレン構造を有するモノマーや、かかるモノマーの単独重合体または共重合体であるオリゴマーのほか、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(屈折率:1.68)、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(屈折率:1.73)、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン(屈折率:1.68)、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(屈折率:1.65)等の、9,9-ビスフェニルフルオレンおよびその誘導体が挙げられる。
前記ジナフトチオフェン構造を有する化合物の具体例としては、上述したジナフトチオフェン構造を有するモノマーや、かかるモノマーの単独重合体または共重合体であるオリゴマーのほか、ジナフトチオフェン(屈折率:1.808);6-ヒドロキシメチルジナフトチオフェン(屈折率:1.766)等のヒドロキシアルキルジナフトチオフェン;2,12-ジヒドロキシジナフトチオフェン(屈折率:1.750)等のジヒドロキシジナフトチオフェン;2,12-ジヒドロキエチルオキシジナフトチオフェン(屈折率:1.677)等のジヒドロキシアルキルオキシジナフトチオフェン;2,12-ジグリシジルオキシジナフトチオフェン(屈折率1.723)等のジグリシジルオキシジナフトチオフェン;2,12-ジアリルオキシジナフトチオフェン(略号:2,12-DAODNT、屈折率1.729)等の、エチレン性不飽和基を2以上有するジナフトチオフェン;等の、ジナフトチオフェンおよびその誘導体が挙げられる。
前記ジベンゾチオフェン構造を有する化合物の具体例としては、上述したジベンゾチオフェン構造を有するモノマーや、かかるモノマーの単独重合体または共重合体であるオリゴマーのほか、ジベンゾチオフェン(屈折率:1.607)、4-ジメチルジベンゾチオフェン(屈折率:1.617)、4,6-ジメチルジベンゾチオフェン(屈折率:1.617)、等が挙げられる。
高屈折率有機材料の選択肢となり得る、複素環を有する有機化合物(以下、複素環含有有機化合物ともいう。)の例としては、チオエポキシ化合物、トリアジン環を有する化合物、等が挙げられる。チオエポキシ化合物の例としては、特許第3712653号公報に記載のビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィドおよびその重合物(屈折率1.74)が挙げられる。トリアジン環を有する化合物の例としては、1分子内にトリアジン環を少なくとも1つ(例えば3~40個、好ましくは5~20個))有する化合物が挙げられる。なお、トリアジン環は芳香族性を有するため、トリアジン環を有する化合物は前記芳香環含有化合物の概念にも包含され、また、トリアジン環を複数有する化合物は前記芳香環複数含有化合物の概念にも包含される。
高屈折率有機材料としては、エチレン性不飽和基を有しない化合物を好ましく採用し得る。これにより、熱や光による粘着剤組成物の変質(ゲル化の進行や粘度上昇によるレベリング性の低下)を抑制し、保存安定性を高めることができる。エチレン性不飽和基を有しない高屈折率有機材料を採用することは、該高屈折率有機材料を含む粘着剤層を有する粘着フィルムや、該粘着フィルムを含む積層体等において、エチレン性不飽和基の反応に起因する寸法変化や変形(反り、波打ち等)、光学歪の発生等を抑制する観点からも好ましい。
高屈折率有機材料としてオリゴマーを使用する態様において、該オリゴマーは、対応するモノマー成分を公知の方法で重合させることにより得ることができる。前記オリゴマーをラジカル重合により製造する場合には、前記モノマー成分に、ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等を適宜添加して、重合を行うことができる。前記ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等は、特に限定されず、適宜選択して使用することができる。なお、オリゴマーの重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜その使用量が調整される。
前記連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2-メルカプトエタノール、α-チオグリセロール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2-エチルヘキシル、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール等が挙げられる。連鎖移動剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。連鎖移動剤の使用量は、オリゴマーの合成に用いられるモノマー成分の組成や連鎖移動剤の種類等に応じて、所望の重量平均分子量のオリゴマーが得られるように設定することができる。いくつかの態様において、オリゴマーの合成に用いられるモノマーの全量100重量部に対する連鎖移動剤の使用量は、凡そ15重量部以下とすることが適当であり、10重量部以下でもよく、5重量部程度以下でもよい。オリゴマーの合成に用いられるモノマーの全量100重量部に対する連鎖移動剤の使用量の下限は特に制限されないが、例えば0.01重量部以上であってよく、0.1重量部以上でもよく、0.5重量部以上でもよく、1重量部以上でもよい。
アクリル系ポリマー100重量部に対する高屈折率有機材料の使用量(複数種の化合物を用いる場合は、それらの合計量)は、0重量部超であれば特に限定されず、目的に応じて設定することができる。アクリル系ポリマー100重量部に対する高屈折率有機材料の使用量は、例えば80重量部以下とすることができ、粘着剤の高屈折率化と粘着特性や光学特性の低下抑制とをバランスよく両立する観点から、60重量部以下とすることが有利であり、45重量部以下とすることが好ましい。より粘着特性や光学特性を重視する観点から、アクリル系ポリマー100重量部に対する高屈折率有機材料の使用量は、例えば30重量部以下であってよく、20重量部以下でもよく、15重量部以下でもよく、10重量部以下でもよい。また、粘着剤の高屈折率化の観点から、アクリル系ポリマー100重量部に対する高屈折率有機材料の使用量は、例えば1重量部以上とすることができ、3重量部以上とすることが有利であり、5重量部以上とすることが好ましく、7重量部以上でもよく、10重量部以上でもよく、15重量部以上でもよく、20重量部以上でもよい。
本発明の粘着剤層は、紫外線吸収剤(UVA)を含有することを特徴とする。本発明の粘着剤層が紫外線吸収剤を含むと、外光に含まれる紫外線によるOLED素子の劣化を抑制し、耐候性に優れるOLED表示装置を得ることができる。なお、紫外線吸収剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
前記紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系化合物)としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(商品名「TINUVIN PS」、BASF社製)、ベンゼンプロパン酸および3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ(C7-9側鎖および直鎖アルキル)のエステル化合物(商品名「TINUVIN 384-2」、BASF社製)、オクチル3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートおよび2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2イル)フェニル]プロピオネートの混合物(商品名「TINUVIN 109」、BASF社製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(商品名「TINUVIN 900」、BASF社製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(商品名「TINUVIN 928」、BASF製)、メチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物(商品名「TINUVIN 1130」、BASF社製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール(商品名「TINUVIN P」、BASF社製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(商品名「TINUVIN 234」、BASF社製)、2-[5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール(商品名「TINUVIN 326」、BASF社製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール(商品名「TINUVIN 328」、BASF社製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(商品名「TINUVIN 329」、BASF社製)、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](商品名「TINUVIN 360」、BASF社製)、メチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコール300との反応生成物(商品名「TINUVIN 213」、BASF社製)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール(商品名「TINUVIN 571」、BASF社製)、2-[2-ヒドロキシ-3-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミド-メチル)-5-メチルフェニル]ベンゾトリアゾール(商品名「Sumisorb 250」、住友化学(株)製)、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール](商品名「アデカスタブ LA-31」、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物)としては、例えば、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニルと[(C10-C16(主としてC12-C13)アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物(商品名「TINUVIN 400」、BASF社製)、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[3-(ドデシルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ]フェノール)、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物(商品名「TINUVIN 405」、BASF社製)、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(商品名「TINUVIN 460」、BASF社製)、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール(商品名「TINUVIN 1577」、BASF社製)、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]-フェノール(商品名「アデカスタブ LA-46」、(株)ADEKA製)、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン(商品名「TINUVIN 479」、BASF社製)などが挙げられる。他にも、下記式(5)で示される化合物(商品名「TINUVIN 477」、BASF社製)が挙げられる。
Figure 2023126058000006
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系化合物)、オキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤(オキシベンゾフェノン系化合物)としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸(無水及び三水塩)、2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン、4-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンジルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(商品名「KEMISORB 111」、ケミプロ化成(株)製)、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン(商品名「SEESORB 106」、シプロ化成(株)製)、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
サリチル酸エステル系紫外線吸収剤(サリチル酸エステル系化合物)としては、例えば、フェニル2-アクリロイルオキシベンゾエート、フェニル2-アクロリイルオキシ-3-メチルベンゾエート、フェニル2-アクリロイルオキシ-4-メチルベンゾエート、フェニル2-アクリロイルオキシ-5-メチルベンゾエート、フェニル2-アクリロイルオキシ-3-メトキシベンゾエート、フェニル2-ヒドロキシベンゾエート、フェニル2-ヒドロキシ-3-メチルベンゾエート、フェニル2-ヒドロキシ-4-メチルベンゾエート、フェニル2-ヒドロキシ-5-メチルベンゾエート、フェニル2-ヒドロキシ-3-メトキシベンゾエート、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(商品名「TINUVIN 120」、BASF社製)などが挙げられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤(シアノアクリレート系化合物)としては、例えば、アルキル2-シアノアクリレート、シクロアルキル2-シアノアクリレート、アルコキシアルキル2-シアノアクリレート、アルケニル2-シアノアクリレート、アルキニル2-シアノアクリレートなどが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、高い紫外線吸収性を有する点、優れた光学特性、高い透明性を有する粘着剤層の得やすさの点、優れた光安定性をもつ点より、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、及びヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤が好ましく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤がより好ましい。特に、炭素数が6以上の基及び水酸基を置換基として有するフェニル基がベンゾトリアゾール環を構成する窒素原子に結合しているベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。また、紫外線吸収剤の析出による外観の低下を予防する観点からは、液状の紫外線吸収剤や2種以上の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
また、前記紫外線吸収剤は、より高い紫外線吸収性を得る点から、下記で求められる吸光度Aが0.5以下であることが好ましい。
吸光度A:前記紫外線吸収剤の0.08%トルエン溶液に対して、波長400nmの光を当て、測定される吸光度
本発明の粘着剤層が紫外線吸収剤を含有する場合、本発明の粘着剤層(特にアクリル系粘着剤層)中の前記紫外線吸収剤の含有量は、特に限定されないが、外光に含まれる紫外線によるOLED素子の劣化を抑制し、耐候性に優れるOLED表示装置を得る点より、アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.01重量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.05重量部以上であり、さらに好ましくは0.1重量部以上である。また、前記紫外線吸収剤の含有量の上限は、紫外線吸収剤の添加に伴う粘着剤の黄色化現象の発生を抑制し、優れた光学特性、高い透明性、及び、優れた外観特性を得る点より、アクリル系ポリマー100重量部に対して、20重量部以下であることが好ましく、より好ましくは10重量部以下であり、さらに好ましくは8重量部以下である。
前記紫外線吸収剤の代わりに、または前記紫外線吸収剤と併用して吸収スペクトルの最大吸収波長が380~430nmの波長領域に存在する色素化合物を含有することができる。色素化合物によっても、紫外光によるOLED素子の劣化や高屈折率成分の劣化を抑制することができる。
前記色素化合物は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。前記色素化合物のみを用いる場合、前記色素化合物の全体としての含有量は、ベースポリマー(例えば、アクリル系ポリマー)100重量部に対して、0.1~20重量部であることが好ましく、0.1~10重量部であることが好ましく、0.1~5重量部であることが好ましく、0.5~3重量部であることがより好ましい。色素化合物の添加量を前記範囲とすることで、OLED素子の発光に影響しない領域の光を十分に吸収することができ、当該粘着剤組成物から形成される粘着剤層を用いることで、OLED素子の劣化や高屈折率成分の劣化を抑制することができるため、好ましい。
前記紫外線吸収剤、色素化合物はいずれか一方を用いることができるが、前記紫外線吸収剤および色素化合物を併用することが好ましい。紫外線吸収剤によれば、例えば、波長380nmの光を吸収することができるものの、OLED素子の発光領域(430nmよりも長波長側)より短波長側の波長領域(380nm~430nm)の光が十分に吸収されておらず、当該透過光により劣化が生じる場合がある。前記色素化合物は、OLED素子の発光領域(430nmよりも長波長側)より短波長側の波長(380nm~430nm)の光の透過を抑制することができ、前記紫外線吸収剤および色素化合物を併用することにより、前記OLED素子の発光領域における可視光の透過率を十分に確保できる。
本発明においては、このような色素化合物と紫外線吸収剤を組み合わせて用いることで、OLED素子の発光に影響しない領域(波長380nm~430nm)の光を十分に吸収することができ、かつ、OLED素子の発光領域(430nmよりも長波長側)は十分に透過することができるものであり、その結果、OLED素子の外光による劣化と高屈折率成分の劣化を同時に抑制することができる。前記紫外線吸収剤および前記色素化合物を併用する場合には、前記紫外線吸収剤は、ベースポリマー(例えば、アクリル系ポリマー)100重量部に対して、0.1~10重量部であることが好ましく、0.1~5重量部であることが好ましく、0.5~3重量部であることがより好ましい。前記色素化合物は、ベースポリマー(例えば、アクリル系ポリマー)100重量部に対して、0.1~10重量部程度であることが好ましく、0.1~5重量部程度であることがより好ましく、0.5~3重量部であることがより好ましい。
前記色素化合物は、吸収スペクトルの最大吸収波長が380~430nmの波長領域に存在する化合物であればよく、特に限定されるものではない。なお、最大吸収波長とは、300~460nmの波長領域での分光吸収スペクトルにおいて、複数の吸収極大が存在する場合には、その中で最大の吸光度を示す吸収極大波長を意味するものである。
前記色素化合物の吸収スペクトルの最大吸収波長は、380~420nmの波長領域に存在することがより好ましい。また、前記色素化合物は前記波長特性を有するものであれば特に限定されないが、OLED素子の表示性を阻害しないような、蛍光および燐光性能(フォトルミネセンス)を有しない材料が好ましい。
前記色素化合物としては、アゾメチン系化合物、インドール系化合物、けい皮酸系化合物、ピリミジン系化合物、ポルフィリン系化合物、シアニン系化合物等の有機系色素化合物を挙げることができる。
前記有機系色素化合物としては、市販されているものを好適に用いることができる。具体的には、前記インドール系化合物として、BONASORB UA3911(商品名、吸収スペクトルの最大吸収波長:398nm、オリエント化学工業(株)製)、けい皮酸系化合物として、SOM-5-0106(商品名、吸収スペクトルの最大吸収波長:416nm、オリエント化学工業(株)製)、ポルフィリン系化合物として、FDB-001(商品名、吸収スペクトルの最大吸収波長:420nm、山田化学工業(株)製)、シアニン系化合物として、メロシアニン化合物(商品名:FDB-009、吸収スペクトルの最大吸収波長:394nm、山田化学工業(株)製)、ポリメチン化合物(商品名:DAA-247、吸収スペクトルの最大吸収波長:389nm、山田化学工業(株)製)等を挙げることができる。その中でも、架橋阻害抑制と光学信頼性の観点から、シアニン系化合物が好ましく、ポリメチン化合物が特に好ましい。
本発明の粘着剤層は、光安定剤を含有していてもよい。本発明の粘着剤層が光安定剤を含有する場合は、特に、前記紫外線吸収剤とともに光安定剤を含有することが好ましい。光安定剤は、光酸化で生成するラジカルを捕捉できるので、粘着剤層の光(特に紫外線)に対する耐性を向上させることができる。なお、光安定剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
前記光安定剤としては、特に限定されないが、例えば、フェノール系光安定剤(フェノール系化合物)、リン系光安定剤(リン系化合物)、チオエーテル系光安定剤(チオエーテル系化合物)、アミン系光安定剤(アミン系化合物)(特にヒンダードアミン系安定剤(ヒンダードアミン系化合物))などが挙げられる。
前記フェノール系光安定剤(フェノール系化合物)としては、例えば、2,6-ジ-第3級ブチル-4-メチルフェノール、4-ヒドロキシメチル-2,6-ジ-第3級ブチルフェノール、2,6-ジ-第3級ブチル-4-エチルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、n-オクタデシル3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-第3級ブチルフェニル)プロピオネート、ジステアリル(4-ヒドロキシ-3-メチル-5-第3級ブチル)ベンジルマロネート、トコフェロール、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-第3級ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-第3級ブチルフェノール)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-第3級ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-第3級ブチル-m-クレゾール)、4,4’-チオビス(6-第3級ブチル-m-クレゾール)、スチレン化フェノール、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-第3級ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナミド、ビス(3,5-ジ-第3級ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチルエステル)カルシウム、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-第3級ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-第3級ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[3-(3,5-ジ-第3級ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-第3級ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-メチレンビス[6-(1-メチルシクロヘキシル)-p-クレゾール]、1,3,5-トリス(4-第3級ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、1,3,5-トリス(3,5-ジ-第3級ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-第3級ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、2,2’-オキサミドビス[エチル3-(3,5-ジ-第3級ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-第3級ブチルアニリノ)-2,4-ジオクチルチオ-1,3,5-トリアジン、ビス[2-第3級ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-第3級ブチル-5-メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9-ビス{2-[3-(3-第3級ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス{2-[3-(3,5-ジ-第3級ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどが挙げられる。
リン系光安定剤(リン系化合物)としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-第3級ブチルフェニル)ホスファイト、トリス[2-第3級ブチル-4-(3-第3級ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルチオ)-5-メチルフェニル]ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-第3級ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-第3級ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリ-第3級ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-n-ブチリデンビス(2-第3級ブチル-5-メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-第3級ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-第3級ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10-ジハイドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、トリス(2-[(2,4,8,10-テトラキス-第3級ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ]エチル)アミンなどが挙げられる。
チオエーテル系光安定剤(チオエーテル系化合物)としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル、ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート化合物;テトラキス[メチレン(3-ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等のポリオールのβ-アルキルメルカプトプロピオン酸エステル化合物などが挙げられる。
アミン系光安定剤(アミン系化合物)としては、例えば、コハク酸ジメチルおよび4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールの重合物(商品名「TINUVIN 622」、BASF社製)、コハク酸ジメチルおよび4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールの重合物とN,N’,N’’,N’’’-テトラキス-(4,6-ビス-(ブチル-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミンとの1対1の反応生成物(商品名「TINUVIN 119」、BASF社製)、ジブチルアミン・1,3-トリアジン・N、N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(商品名「TINUVIN 2020」、BASF社製)、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2-4-ジイル}{2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル}イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}(商品名「TINUVIN 944」、BASF社製)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケートおよびメチル1、2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケートの混合物(商品名「TINUVIN 765」、BASF社製)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(商品名「TINUVIN 770」、BASF社製)、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル、1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物(商品名「TINUVIN 123」、BASF社製)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート(商品名「TINUVIN 144」、BASF社製)、シクロヘキサンおよび過酸化N-ブチル2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミン-2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンの反応生成物と2-アミノエタノールとの反応生成物(商品名「TINUVIN 152」、BASF社製)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケートおよびメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケートの混合物(商品名「TINUVIN 292」、BASF社製)、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールおよび3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物(商品名「アデカスタブ LA-63P」、(株)ADEKA製)などが挙げられる。アミン系安定剤としては、特に、ヒンダードアミン系安定剤が好ましい。
本発明の粘着剤層が光安定剤を含有する場合、本発明の粘着剤層(特に、アクリル系粘着剤層)中の、光安定剤の含有量は、特に限定されないが、光に対する耐性を発現しやすくする点より、アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.1重量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.2重量部以上である。また、前記含有量の上限は、光安定剤自体による着色が生じにくくなり、高い透明性が得やすい点、光学特性の点より、アクリル系ポリマー100重量部に対して、5重量部以下であることが好ましく、より好ましくは3重量部以下である。
本発明の粘着剤層の形成には、特に限定されないが、架橋剤が用いられていてもよい。例えば、アクリル系粘着剤層におけるアクリル系ポリマーを架橋し、ゲル分率をコントロールすることができる。なお、架橋剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
前記架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。中でも、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましく、より好ましくはイソシアネート系架橋剤である。
前記イソシアネート系架橋剤(多官能イソシアネート化合物)としては、例えば、1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などが挙げられる。また、前記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業(株)製)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物(商品名「コロネートHL」、日本ポリウレタン工業(株)製)、トリメチロールプロパン/キシリレンジイソシアネート付加物(商品名「タケネートD-110N」、三井化学(株)製)などの市販品も挙げられる。
前記エポキシ系架橋剤(多官能エポキシ化合物)としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。また、前記エポキシ系架橋剤としては、例えば、商品名「テトラッドC」(三菱ガス化学(株)製)などの市販品も挙げられる。
本発明の粘着剤層の形成に架橋剤が用いられる場合、前記架橋剤の使用量は、特に限定されないが、十分な接着信頼性を得る点より、ベースポリマー100重量部に対して、0.001重量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.01重量部以上である。また、前記使用量の上限は、粘着剤層において適度な柔軟性を得て、粘着力を向上させる点より、ベースポリマー100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、より好ましくは5重量部以下である。
本発明の粘着剤層(特に、アクリル系粘着剤層)は、加湿条件下での接着信頼性を向上させる点、特にガラスに対する接着信頼性を向上させる点より、シランカップリング剤を含有していてもよい。なお、シランカップリング剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。前記粘着剤層がシランカップリング剤を含有すると、加湿条件下での接着性、特にガラスに対する接着性を向上させることができる。
前記シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。さらに、シランカップリング剤としては、例えば、商品名「KBM-403」(信越化学工業(株)製)などの市販品も挙げられる。中でも、前記シランカップリング剤としては、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
本発明の粘着剤層がシランカップリング剤を含有する場合、本発明の粘着剤層(特に、アクリル系粘着剤層)中の、前記シランカップリング剤の含有量は、特に限定されないが、前記ベースポリマー100重量部に対して、0.01重量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.02重量部以上である。また、前記シランカップリング剤の含有量の上限は、前記ベースポリマー100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、より好ましくは1重量部以下である。
本発明の粘着剤層は、必要に応じて、さらに、架橋促進剤、粘着付与樹脂(ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノールなど)、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤などの添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有していてもよい。なお、このような添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の粘着剤層(特に、アクリル系粘着剤層)の作製方法は、特に限定されないが、例えば、前記粘着剤組成物を基材(後述の樹脂層、ガラス層を含む)又ははく離ライナー上に塗布(塗工)し、得られた粘着剤組成物層を乾燥硬化させることや、前記粘着剤組成物を基材(後述の樹脂層、ガラス層を含む)又ははく離ライナー上に塗布(塗工)し、得られた粘着剤組成物層に活性エネルギー線を照射して硬化させることが挙げられる。また、必要に応じて、さらに、加熱乾燥してもよい。
前記活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、紫外線が好ましい。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などは特に制限されない。
前記粘着剤組成物は、公知乃至慣用の方法で作製することができる。例えば、溶剤型のアクリル系粘着剤組成物は、前記アクリル系ポリマーを含有する溶液に、必要に応じて、添加剤(例えば、紫外線吸収剤など)を混合することにより、作製することができる。例えば、活性エネルギー線硬化型のアクリル系粘着剤組成物は、前記アクリル系モノマーの混合物又はその部分重合物に、必要に応じて、添加剤(例えば、紫外線吸収剤など)を混合することにより、作製することができる。
なお、前記粘着剤組成物の塗布(塗工)には、公知のコーティング法を利用してもよい。例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーターなどのコーターが用いられてもよい。
特に、活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物により粘着剤層を形成する場合、活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物は光重合開始剤を含むことが好ましい。なお、活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物が紫外線吸収剤を含有する場合には、光重合開始剤として、広い波長範囲で吸光特性を有する光重合開始剤を少なくとも含むことが好ましい。例えば、紫外光に加え、可視光でも吸光特性を有する光重合開始剤を少なくとも含むことが好ましい。これは、紫外線吸収剤の作用により活性エネルギー線による硬化の阻害が懸念されるところ、広い波長範囲で吸光特性を有する光重合開始剤を含んでいると、粘着剤組成物において高い光硬化性が得やすくなるからである。
(偏光板)
本発明の光学素子を構成する偏光板(偏光フィルムと称することもある)は、反射防止性、衝撃吸収性、紫外線吸収性の向上の観点から、OLED表示装置がOLED素子の視認側に備えられる。偏光板としては、特に限定されるものではないが、偏光子と偏光子の少なくとも片面に透明保護フィルムを有するものを挙げることができる。上記透明保護フィルムは樹脂層と同一の構成を有するものであってもよい。すなわち、偏光板は、偏光子と偏光子の少なくとも片面に樹脂層を有するものが挙げられ、当該樹脂層は透湿度が40g/m2・24h以上であってもよい。
偏光子は特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素等の二色性物質からなる偏光子が好ましい。これらの偏光子の厚さは特に制限されないが、例えば、5~80μmが好ましく、より好ましくは10~40μmである。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3~7倍に延伸することにより作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいてもよいヨウ化カリウム等の水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬することで水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することで、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができ、また、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラ等の不均一を防止することもできる。延伸はヨウ素により染色した後に行ってもよいし、染色しながら延伸してもよい。また、延伸してからヨウ素で染色してもよい。さらに、ホウ酸やヨウ化カリウム等の水溶液や水浴中でも延伸することができる。
偏光子は、厚さが10μm以下の薄型偏光子も用いることができる。薄型化の観点から言えば当該厚さは1~7μmであるのが好ましい。このような薄型の偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れており、また寸法変化が少ないため耐久性に優れ、さらには偏光板としての厚さも薄型化が図れる点が好ましい。
薄型の偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂層と延伸用樹脂基材を積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法により得ることができる。この製法であれば、ポリビニルアルコール系樹脂が薄くても、延伸用樹脂基材に支持されていることにより延伸による破断等の不具合なく延伸することが可能となる。
上記薄型偏光膜としては、積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法の中でも、高倍率に延伸できて偏光性能を向上させることのできる点で、ホウ酸水溶液中で延伸する工程を含む製法で得られるものが好ましく、特にホウ酸水溶液中で延伸する前に補助的に空中延伸する工程を含む製法により得られるものが好ましい。
上記透明保護フィルムとしては特に限定されないが、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れる材料から形成される透明保護フィルムが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又は、上記ポリマーのブレンド物等も上記透明保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げられる。透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
上記透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性等の点より1~500μm程度である。
上記偏光子と透明保護フィルムとは、水系接着剤等を介して密着していることが好ましい。水系接着剤としては特に限定されないが、例えば、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等が挙げられる。偏光子と透明保護フィルムの接着剤として水系接着剤以外のものとしては、例えば、紫外硬化型接着剤や電子線硬化型接着剤が挙げられる。電子線硬化型接着剤は、上記各種の透明保護フィルムに対して、良好な接着性を示す。これらの接着剤は、金属化合物フィラーを含んでいてもよい。
上記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
上記透明保護フィルムとして、位相差を有し、光学補償層として機能し得るもの(位相差フィルムと称することがある)を用いることができる。位相差を有する透明保護フィルムの位相差特性は、光学補償に必要とされる値に適宜調整することができる。この様な位相差フィルムとしては、延伸フィルムを好適に用いることができる。上記位相差フィルムは、遅相軸方向の屈折率をnx、面内の進相軸方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとした場合に、nx=ny>nz、nx>ny>nz、nx>ny=nz、nx>nz>ny、nz=nx>ny、nz>nx>ny、nz>nx=ny、の関係を満足するものが、各種用途に応じて選択して用いられる。なお、nx=nyとは、nxとnyが完全に同一である場合だけでなく、実質的にnxとnyが同じ場合も含む。また、ny=nzとは、nyとnzが完全に同一である場合だけでなく、実質的にnyとnzが同じ場合も含む。
偏光板を円偏光板として用いる場合は、上記位相差フィルムは、透明保護フィルムの正面レターデーションを1/4波長(約100~170nm)とした1/4波長板であることが好ましい。
上記透明保護フィルムとして位相差フィルムを使用する場合、偏光板は、偏光子の一方の面に透明保護フィルムが設けられ、他方の面に位相差フィルムを有するものを用いることができる。また、その場合、上記粘着剤層の設置場所は特に限定されるものではなく、上記透明保護フィルムの偏光子と接する面と反対側の面に設けられていてもよく、位相差フィルムの偏光子と接する面と反対側の面に設けられていてもよいが、OLED素子の劣化抑制の観点からは、少なくとも一方の面、又は両方の面に設けられている事が好ましい。
(接着剤層)
接着剤層とは、被着体の間に介在することによって物質を結合できる層であり、接着剤層で貼着した被着体を剥離した場合には、接着剤層は実用的な接着力を有さないものをいう。
本発明の光学素子を構成する接着剤層(以下、「本発明の接着剤層」と称する場合がある)を形成する接着剤としては、各種の接着剤を適用でき、例えば、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等が挙げられる。これら接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤(水系接着剤)として用いられ、0.5~60重量%の固形分を含有してなる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系接着剤が好ましく、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系接着剤がより好ましい。
前記水系接着剤は、架橋剤を含んでいてもよい。前記架橋剤としては、通常、接着剤を構成するポリマー等の成分と反応性を有する官能基を1分子中に少なくとも2つ有する化合物が用いられ、例えば、アルキレンジアミン類;イソシアネート類;エポキシ類;アルデヒド類;メチロール尿素、メチロールメラミン等のアミノ-ホルムアルデヒド等が挙げられる。接着剤中の架橋剤の配合量は、接着剤を構成するポリマー等の成分100重量部に対して、通常、10~60重量部程度である。
前記接着剤としては、前記の他、紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等の活性エネルギー線硬化型接着剤が挙げられる。前記活性エネルギー線硬化型接着剤としては、例えば、(メタ)アクリレート系接着剤が挙げられる。前記(メタ)アクリレート系接着剤における硬化性成分としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物が挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、炭素数が1~20の鎖状アルキル(メタ)アクリレート、脂環式アルキル(メタ)アクリレート、多環式アルキル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリレート系接着剤は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N‐メチロール(メタ)アクリルアミド、N‐メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N‐エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等の窒素含有モノマーを含んでいてもよい。(メタ)アクリレート系接着剤は、架橋成分として、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、EO変性ジグリセリンテトラアクリレート等の多官能モノマーを含んでいてもよい。また、カチオン重合硬化型接着剤としてエポキシ基やオキセタニル基を有する化合物も使用することができる。エポキシ基を有する化合物は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するものであれば特に限定されず、一般に知られている各種の硬化性エポキシ化合物を用いることができる。
前記接着剤は、必要に応じて適宜の添加剤を含んでいてもよい。前記添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤、エチレンオキシド等の接着促進剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、染料、加工助剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、粘着付与剤、充填剤、可塑剤、レベリング剤、発泡抑制剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤等が挙げられる。
前記接着剤の塗布は、接着する2つの被着体のいずれか一方に行ってもよく、両者に行ってもよい。貼り合わせ後には、乾燥工程を施し、塗布乾燥層からなる本発明の接着剤層を形成することができる。前記乾燥工程の後には、必要に応じ、紫外線や電子線を照射することができる。本発明の接着剤層の厚さは、特に制限されず、水系接着剤等を用いる場合には、30~5000nm程度であることが好ましく、100~1000nm程度であることがより好ましく、紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等を用いる場合には、0.1~100μm程度であることが好ましく、0.5~10μm程度であることがより好ましい。
(樹脂層)
本発明の光学素子を構成する樹脂層(以下、「本発明の樹脂層」と称する場合がある)としては、特に限定されないが、例えば、プラスチックフィルムが挙げられる。前記プラスチックフィルムなどの素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、環状オレフィン系ポリマー(COP)(例えば、商品名「アートン」(JSR(株)製)、商品名「ゼオノア」(日本ゼオン(株)製)等)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、透明ポリイミド(CPI)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体などのプラスチック材料が挙げられ、寸法安定性に優れ、収縮しにくいポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、環状オレフィン系ポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、透明ポリイミド(CPI)が好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、透明ポリイミド(CPI)がより好ましく、耐衝撃性に優れる透明ポリイミド(CPI)が特に好ましい。なお、これらのプラスチック材料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の光学素子の使用時(貼付時)に剥離されるはく離ライナーは「樹脂層」には含まない。
本発明の樹脂層は、透明であることが好ましい。本発明の樹脂層の可視光波長領域における全光線透過率(JIS K 7361-1に準じる)は、特に限定されないが、85%以上が好ましく、より好ましくは88%以上である。また、本発明の樹脂層のヘイズ(JIS K 7136に準じる)は、特に限定されないが、1.5%以下が好ましく、より好ましくは1.0%以下である。
本発明における、粘着剤層と樹脂層の屈折率差(「粘着剤層の屈折率」―「樹脂層の屈折率」の絶対値)は特に限定されないが、界面反射防止性を高くし、OLED素子からの光の採光率を向上できる観点から、好ましくは2以下、好ましくは1以下、さらに好ましくは0.5以下、特に好ましくは0.3以下である。
本発明の樹脂層の厚みは、特に限定されないが、例えば、10~80μmが好ましい。なお、本発明の樹脂層は単層および複層のいずれの形態を有していてもよい。また、本発明の樹脂層の表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理などの公知慣用の表面処理が適宜施されていてもよい。
本発明の樹脂層は、特に限定されないが、紫外線吸収剤(UVA)や吸収スペクトルの最大吸収波長が380~430nmの波長領域に存在する色素化合物を含有することが好ましい。本発明の樹脂層が紫外線吸収剤や前記色素化合物を含むと、外光に含まれる紫外線によるOLED素子の劣化を抑制し、耐候性に優れるOLED表示装置を得ることができる。また、紫外線による粘着剤層の高屈折率成分の劣化を抑制し、高い採光率を維持することができる。特に、本発明の樹脂層が紫外線吸収剤や前記色素化合物を含むことにより、本発明の粘着剤層の紫外線吸収剤や前記色素化合物の含有量を低減させることができ、本発明の粘着剤層中の紫外線吸収剤や前記色素化合物の析出やブリードアウトを抑制することができ、好ましい。
本発明の樹脂層に含まれる紫外線吸収剤(UVA)や前記色素化合物としては、前記本発明の粘着剤層に含まれる紫外線吸収剤や前記色素化合物と同じものを使用可能である。なお、紫外線吸収剤や前記色素化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の樹脂層が紫外線吸収剤や前記色素化合物を含有する場合、本発明の樹脂層中の前記紫外線吸収剤や前記色素化合物のそれぞれの含有量は、特に限定されないが、外光に含まれる紫外線によるOLED素子の劣化を抑制し、耐候性に優れるOLED表示装置を得る点より、樹脂層100重量部に対して、0.01重量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.05重量部以上であり、さらに好ましくは0.1重量部以上である。また、前記紫外線吸収剤や前記色素化合物の含有量の上限は、紫外線吸収剤の添加に伴う粘着剤の黄色化現象の発生を抑制し、優れた光学特性、高い透明性、及び、優れた外観特性を得る点より、樹脂層100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、より好ましくは9重量部以下であり、さらに好ましくは8重量部以下である。
本発明の樹脂層と粘着剤層の両方が紫外線吸収剤や前記色素化合物を含有する場合、その合計量が、前記の範囲になるように調整すればよい。
本発明の樹脂層の透湿度は40g/m2・24h以上であれば特に限定されないが、上述の粘着剤層中の高屈折率有機材料などの添加剤の分離、析出を抑制する観点からは100g/m2・24h以上であることが好ましく、より好ましくは200g/m2・24h以上である。本発明の樹脂層の透湿度の上限値は、特に限定されないが、加湿膨張抑制の観点から、1200g/m2・24h以下であってもよい。本発明の樹脂層が高透湿度であることにより、採光性信頼性が向上する傾向がある。
本発明の樹脂層の透湿度は、温度40℃、相対湿度92%環境下で、JIS Z0208に準拠して測定でき、本発明の樹脂層を構成する樹脂の種類、厚さなどにより調整することができる。
(ガラス層)
本発明の光学素子を構成するガラス層(以下、「本発明のガラス層」と称する場合がある)は、特に限定はなく、目的に応じて適切なものを採用できる。本発明のガラス層は、組成による分類によれば、例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウ酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、石英ガラス等が挙げられる。また、アルカリ成分による分類によれば、無アルカリガラス、低アルカリガラスが挙げられる。前記ガラスのアルカリ金属成分(例えば、Na2O、K2O、Li2O)の含有量は、好ましくは15重量%以下であり、更に好ましくは10重量%以下である。
本発明のガラス層の厚みは、ガラスの持つ表面硬度や気密性や耐腐食性を考慮すると、20μm以上が好ましい。また、本発明のガラス層は、フィルムのような可撓性、折り曲げ性を有することが望ましく、かつ、像が二重に映ることを抑制してクリアな像を映し出すことを可能とするため、厚みは60μm以下が好ましい。本発明のガラス層の厚みは、更に好ましくは30μm以上55μm以下、特に好ましくは40μm以上50μm以下である。
本発明のガラス層の波長550nmにおける光透過率は、好ましくは85%以上である。本発明のガラス層の波長550nmにおける屈折率は、好ましくは1.4~1.65である。本発明のガラス層の密度は、好ましくは2.3g/cm3~3.0g/cm3であり、さらに好ましくは2.3g/cm3~2.7g/cm3である。
本発明のガラス層の成形方法は、特に限定はなく、目的に応じて適切なものを採用できる。代表的には、本発明のガラス層は、シリカやアルミナ等の主原料と、芒硝や酸化アンチモン等の消泡剤と、カーボン等の還元剤とを含む混合物を、1400℃~1600℃程度の温度で溶融し、薄板状に成形した後、冷却して作製できる。本発明のガラス層の成形方法としては、例えば、スロットダウンドロー法、フュージョン法、フロート法等が挙げられる。これらの方法によって板状に成形されたガラス層は、薄板化したり、平滑性を高めたりするために、必要に応じて、フッ酸等の溶剤により化学的に研磨されてもよい。
(ハードコート層)
本発明の光学素子を構成するハードコート層(以下、「本発明のハードコート層」と称する場合がある)は、十分な表面硬度、優れた機械的強度、および優れた光透過性を有する限り、任意の適切な樹脂から形成され得る。樹脂の具体例としては、熱硬化型樹脂、熱可塑型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、二液混合型樹脂が挙げられる。紫外線硬化型樹脂が好ましい。簡便な操作および高効率でハードコート層を形成することができるからである。
紫外線硬化型樹脂の具体例としては、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系の紫外線硬化型樹脂が挙げられる。紫外線硬化型樹脂には、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマー、ポリマーが含まれる。好ましい紫外線硬化型樹脂としては、紫外線重合性の官能基を好ましくは2個以上、より好ましくは3~6個有するアクリル系のモノマー成分またはオリゴマー成分を含む樹脂組成物が挙げられる。代表的には、紫外線硬化型樹脂には、光重合開始剤が配合されている。
本発明のハードコート層は、任意の適切な方法により形成され得る。例えば、本発明のハードコート層は、基材(前記樹脂層、ガラス層を含む)上にハードコート層形成用樹脂組成物を塗工し、乾燥させ、乾燥した塗工膜に紫外線を照射して硬化させることにより形成され得る。
本発明のハードコート層の厚みは、例えば2μm~20μm、好ましくは4μm~15μmである。
本発明のハードコート層の水接触角は、防汚性の観点から、好ましくは95°以上であり、より好ましくは100°以上、さらに好ましくは105°以上である。
本発明のハードコート層の水接触角は、JIS R3257に準拠して測定されるものであり、ハードコート層を構成する樹脂の種類、硬化条件などにより、調整することができる。
本発明のハードコート層のビッカース硬さは、優れた表面硬度、耐擦傷性の観点から80以上が好ましく、より好ましくは90以上、さらに好ましくは100以上である。
本発明のハードコート層のビッカース硬さは、JIS Z2244に準拠して測定されるものであり、ハードコート層を構成する樹脂の種類、硬化条件などにより、調整することができる。
本発明のハードコート層の表面の炭素元素の表面元素比率は、防汚性の観点から、50atomic%以下、好ましくは45atomic%以下であり、ハードコート層の表面のフッ素元素比率は30atomic%以上である。
また、ハードコート層の表面における窒素元素比率は、例えば1.5atomic%未満、好ましくは1.3atomic%以下であり、例えば0原子%以上である。
本発明のハードコート層の表面のフッ素元素及び炭素元素、窒素元素の表面元素比率は、X線光電子分光分析法により測定できるものであり、ハードコート層を構成する樹脂の種類、硬化条件をなどにより、調整することができる。
(反射防止層)
本発明の光学素子を構成する反射防止層(以下、「本発明の反射防止層」と称する場合がある)としては、任意の適切な構成が採用でき、例えば、(i)光学膜厚が120nm~140nmである、屈折率が1.35~1.55の低屈折率層の単一層、(ii)中屈折率層と高屈折率層と低屈折率層とをこの順で有する積層体、(iii)高屈折率層と低屈折率層との交互多層積層体が挙げられる。
低屈折率層を形成し得る材料としては、例えば、酸化ケイ素(SiO2)、フッ化マグネシウム(MgF2)が挙げられる。低屈折率層の屈折率は、代表的には1.35~1.55程度である。
低屈折率層の材料は、硬化性の含フッ素系樹脂の硬化物であってもよい。硬化性の含フッ素系樹脂は、例えば、含フッ素モノマー由来の構成単位と架橋性モノマー由来の構成単位とを有する。含フッ素モノマーの具体例としては、例えば、フルオロオレフィン類(フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール等)、部分的に又は完全にフッ素化されたアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体類(ビスコート6FM(大阪有機化学社製)、M-2020(ダイキン社製)等)、完全に又は部分的にフッ素化されたビニルエーテル類等が挙げられる。架橋性モノマーとしては、例えば、グリシジルメタクリレート等の分子内に架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー;カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等の官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー((メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等)が挙げられる。含フッ素系樹脂は、上述した化合物以外の他のモノマー(例えば、オレフィン系モノマー、(メタ)アクリレート系モノマー、スチレン系モノマー)由来の構成単位を有していてもよい。
高屈折率層を形成し得る材料としては、例えば、酸化チタン(TiO2)、酸化ニオブ(Nb23またはNb25)、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、ZrO2-TiO2が挙げられる。高屈折率層の屈折率は、代表的には1.60~2.20程度である。
中屈折率層を形成し得る材料としては、例えば、酸化チタン(TiO2)、低屈折率層を形成し得る材料と高屈折率層を形成し得る材料との混合物(例えば、酸化チタンと酸化ケイ素との混合物)が挙げられる。中屈折率層の屈折率は、代表的には1.50~1.85程度である。低屈折率層、中屈折率層および高屈折率層の厚みは、反射防止層の層構造、所望の反射防止性能等に応じた適切な光学膜厚が実現されるように設定され得る。
本発明の反射防止層は、ドライプロセス(例えば、スパッタリング)により形成されてもよく、ウェットプロセス(例えば、塗布)により形成されてもよく、ドライプロセスとウェットプロセスとを組み合わせて形成されてもよい。ドライプロセスの具体例としては、PVD(Physical Vapor Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法が挙げられる。PVD法としては、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト法、スパッタリング法、イオンプレーティング法が挙げられる。CVD法としては、プラズマCVD法が挙げられる。
ウェットプロセスの具体例としては、例えば、反射防止層形成用塗工液を塗工して塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させて反射防止層を形成することができる。塗工する方法としては、例えば、ファンテンコート法、ダイコート法、スピンコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、バーコート法等の塗工法を用いることができる。前記硬化に先立ち、前記塗膜を乾燥させることが好ましい。前記乾燥は、例えば、自然乾燥でもよいし、風を吹きつけての風乾であってもよいし、加熱乾燥であってもよいし、これらを組み合わせた方法であってもよい。塗膜の硬化手段は、特に制限されないが、紫外線硬化が好ましい。
本発明の反射防止層の厚みは、例えば20nm~300nm程度である。
(防眩層)
本発明の光学素子を構成する防眩層(以下、「本発明の防眩層」と称する場合がある)としては、公知のものを制限なく採用することができ、一般的に、樹脂中に防眩剤として無機又は有機の粒子を分散した層として形成される。
本発明の防眩層としては、特に限定されないが、例えば、樹脂、粒子およびチキソトロピー付与剤を含む防眩層形成材料を用いて形成されており、前記粒子および前記チキソトロピー付与剤が凝集することによって、本発明の防眩層の表面に凸状部が形成される。当該構成により、防眩層は、防眩性と、白ボケの防止とを両立した優れた表示特性を有するとともに、粒子の凝集を利用して防眩層を形成しているにもかかわらず、外観欠点となる防眩層表面の突起状物の発生を防止して製品の歩留まりを向上させることができる。
前記樹脂は、例えば、熱硬化性樹脂、紫外線や光で硬化する電離放射線硬化性樹脂があげられる。前記樹脂として、市販の熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂等を用いることも可能である。
前記熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂としては、例えば、熱、光(紫外線等)または電子線等により硬化するアクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する硬化型化合物が使用でき、例えば、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物のアクリレートやメタクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマー等があげられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記樹脂には、例えば、アクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する反応性希釈剤を用いることもできる。前記反応性希釈剤は、例えば、特開2008-88309号公報に記載の反応性希釈剤を用いることができ、例えば、単官能アクリレート、単官能メタクリレート、多官能アクリレート、多官能メタクリレート等を含む。前記反応性希釈剤としては、3官能以上のアクリレート、3官能以上のメタクリレートが好ましい。これは、本発明の防眩層の硬度を、優れたものにできるからである。前記反応性希釈剤としては、例えば、ブタンジオールグリセリンエーテルジアクリレート、イソシアヌル酸のアクリレート、イソシアヌル酸のメタクリレート等もあげられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記樹脂としては、ウレタンアクリレート樹脂を含むことが好ましく、硬化型ウレタンアクリレート樹脂および多官能アクリレート(例えば、ペンタスリトールトリアクリレート)の共重合物であることがより好ましい。
本発明の防眩層を形成するための粒子は、形成される防眩層の表面を凹凸形状にして防眩性を付与し、また、防眩層のヘイズ値を制御することを主な機能とする。防眩層のヘイズ値は、前記粒子と前記樹脂との屈折率差を制御することで、設計することができる。前記粒子としては、例えば、無機粒子と有機粒子とがある。前記無機粒子は、特に制限されず、例えば、酸化ケイ素粒子、酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化亜鉛粒子、酸化錫粒子、酸化ジルコニウム粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、タルク粒子、カオリン粒子、硫酸カルシウム粒子等があげられる。また、前記有機粒子は、特に制限されず、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末(PMMA微粒子)、シリコーン樹脂粉末、ポリスチレン樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、アクリルスチレン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン樹脂粉末、ポリオレフィン樹脂粉末、ポリエステル樹脂粉末、ポリアミド樹脂粉末、ポリイミド樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂粉末等があげられる。これらの無機粒子および有機粒子は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記粒子の重量平均粒径(D)は、2.5~10μmの範囲内にあることが好ましい。前記粒子の重量平均粒径を、前記範囲とすることで、例えば、より防眩性に優れ、かつ白ボケが防止できる。前記粒子の重量平均粒径は、より好ましくは、3~7μmの範囲内である。なお、前記粒子の重量平均粒径は、例えば、コールターカウント法により測定できる。例えば、細孔電気抵抗法を利用した粒度分布測定装置(商品名:コールターマルチサイザー、ベックマン・コールター社製)を用い、粒子が前記細孔を通過する際の粒子の体積に相当する電解液の電気抵抗を測定することにより、前記粒子の数と体積を測定し、重量平均粒径を算出する。
前記粒子の形状は、特に制限されず、例えば、ビーズ状の略球形であってもよく、粉末等の不定形のものであってもよいが、略球形のものが好ましく、より好ましくは、アスペクト比が1.5以下の略球形の粒子であり、最も好ましくは球形の粒子である。
本発明の防眩層における前記粒子の割合は、前記樹脂100重量部に対し、0.2~12重量部の範囲が好ましく、より好ましくは、0.5~12重量部の範囲であり、さらに好ましくは1~7重量部の範囲である。前記範囲とすることで、例えば、より防眩性に優れ、かつ白ボケが防止できる。
本発明の防眩層は、チキソトロピー付与剤を含んでいてもよい。前記チキソトロピー付与剤を含むことで、前記粒子の凝集状態の制御を容易に行うことができる。本発明の防眩層を形成するためのチキソトロピー付与剤としては、例えば、有機粘土、酸化ポリオレフィン、変性ウレア等があげられる。
前記有機粘土は、前記樹脂との親和性を改善するために、有機化処理した粘土であることが好ましい。有機粘土としては、例えば、層状有機粘土をあげることができる。前記有機粘土は、自家調製してもよいし、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、ルーセンタイトSAN、ルーセンタイトSTN、ルーセンタイトSEN、ルーセンタイトSPN、ソマシフME-100、ソマシフMAE、ソマシフMTE、ソマシフMEE、ソマシフMPE(商品名、いずれもコープケミカル(株)製);エスベン、エスベンC、エスベンE、エスベンW、エスベンP、エスベンWX、エスベンN-400、エスベンNX、エスベンNX80、エスベンNO12S、エスベンNEZ、エスベンNO12、エスベンNE、エスベンNZ、エスベンNZ70、オルガナイト、オルガナイトD、オルガナイトT(商品名、いずれも(株)ホージュン製);クニピアF、クニピアG、クニピアG4(商品名、いずれもクニミネ工業(株)製);チクソゲルVZ、クレイトンHT、クレイトン40(商品名、いずれもロックウッド アディティブズ社製)等があげられる。
前記酸化ポリオレフィンは、自家調製してもよいし、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、ディスパロン4200-20(商品名、楠本化成(株)製)、フローノンSA300(商品名、共栄社化学(株)製)等があげられる。
前記変性ウレアは、イソシアネート単量体あるいはそのアダクト体と有機アミンとの反応物である。前記変性ウレアは、自家調製してもよいし、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、BYK410(ビッグケミー社製)等があげられる。
前記チキソトロピー付与剤は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記凸状部の本発明の防眩層の粗さ平均線からの高さが、防眩層の厚みの0.4倍未満であることが好ましい。より好ましくは、0.01倍以上0.4倍未満の範囲であり、さらに好ましくは、0.01倍以上0.3倍未満の範囲である。この範囲であれば、前記凸状部に外観欠点となる突起物が形成されることを好適に防止できる。本発明の防眩層は、このような高さの凸状部を有することで、外観欠点を生じにくくすることができる。ここで、前記平均線からの高さは、例えば、特開2017-138620号公報に記載の方法により測定することができる。
本発明の防眩層における前記チキソトロピー付与剤の割合は、前記樹脂100重量部に対し、0.1~5重量部の範囲が好ましく、より好ましくは、0.2~4重量部の範囲である。
本発明の防眩層の厚み(d)は、特に制限されないが、3~12μmの範囲内にあることが好ましい。防眩層の厚み(d)を、前記範囲とすることで、例えば、本発明の光学積層体のカールの発生を防ぐことができ、搬送性不良等の生産性の低下の問題を回避できる。また、前記厚み(d)が前記範囲にある場合、前記粒子の重量平均粒径(D)は、前述のように、2.5~10μmの範囲内にあることが好ましい。本発明の防眩層の厚み(d)と、前記粒子の重量平均粒径(D)とが、前述の組み合わせであることで、さらに防眩性に優れるものとすることができる。本発明の防眩層の厚み(d)は、より好ましくは、3~8μmの範囲内である。
本発明の防眩層の厚み(d)と前記粒子の重量平均粒径(D)との関係は、0.3≦D/d≦0.9の範囲内にあることが好ましい。このような関係にあることにより、より防眩性に優れ、かつ白ボケが防止でき、さらに、外観欠点のない防眩層とすることができる。
本発明の防眩層は、前記粒子および前記チキソトロピー付与剤が凝集することによって、本発明の防眩層の表面に凸状部を形成する。前記凸状部を形成する凝集部においては、前記粒子が、本発明の防眩層の面方向に、複数集まった状態で存在する。これにより、前記凸状部が、なだらかな形状となっている。本発明の防眩層は、このような形状の凸状部を有することで、防眩性を維持しつつ、かつ、白ボケを防止することができ、さらに、外観欠点を生じにくくすることができる。
本発明の防眩層の表面形状は、防眩層形成材料に含まれる粒子の凝集状態を制御することで、任意に設計することができる。前記粒子の凝集状態は、例えば、前記粒子の材質(例えば、粒子表面の化学的修飾状態、溶媒や樹脂に対する親和性等)、樹脂(バインダー)または溶媒の種類、組合せ等により制御できる。ここで、本発明の防眩層形成材料に含まれるチキソトロピー付与剤により、前記粒子の凝集状態をコントロールすることができる。この結果、前記粒子の凝集状態を前述のようにすることができ、前記凸状部を、なだらかな形状とすることができる。
本発明の防眩層において、最大径が200μm以上の外観欠点が防眩層の1m2あたり1個以下であることが好ましい。より好ましくは、前記外観欠点が無いことである。
本発明の防眩層表面の凹凸形状において、平均傾斜角θa(°)が0.1~5.0の範囲であることが好ましく、0.3~4.5の範囲であることがより好ましく、1.0~4.0の範囲であることがさらに好ましく、1.6~4.0であることが特に好ましい。ここで、前記平均傾斜角θaは、下記数式(1)で定義される値である。前記平均傾斜角θaは、例えば、特開2017-138620に記載の方法により測定される値である。
平均傾斜角θa=tan-1Δa (1)
前記数式(1)において、Δaは、下記数式(2)に示すように、JIS B 0601(1994年度版)に規定される粗さ曲線の基準長さLにおいて、隣り合う山の頂点と谷の最下点との差(高さh)の合計(h1+h2+h3・・・+hn)を前記基準長さLで割った値である。前記粗さ曲線は、断面曲線から、所定の波長より長い表面うねり成分を位相差補償形高域フィルタで除去した曲線である。また、前記断面曲線とは、対象面に直角な平面で対象面を切断したときに、その切り口に現れる輪郭である。
Δa=(h1+h2+h3・・・+hn)/L (2)
θaが、前記範囲にあると、より防眩性に優れ、かつ白ボケが防止できる。
本発明の防眩層を形成するにあたり、調製した防眩層形成材料(塗工液)がチキソ性を示していることが好ましく、下記で規定されるTi値が、1.3~3.5の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.3~2.8の範囲である。
Ti値=β1/β2
ここで、β1はHAAKE社製レオストレス6000を用いてずり速度20(1/s)の条件で測定される粘度、β2はHAAKE社製レオストレス6000を用いてずり速度200(1/s)の条件で測定される粘度である。
Ti値が、1.3未満であると、外観欠点が生じやすくなり、防眩性、白ボケについての特性が悪化する。また、Ti値が、3.5を超えると、前記粒子が凝集しにくく分散状態となりやすくなる。
本発明の防眩層の製造方法は、特に制限されず、いかなる方法で製造されてもよいが、例えば、前記樹脂、前記粒子、前記チキソトロピー付与剤および溶媒を含む防眩層形成材料(塗工液)を準備し、前記防眩層形成材料(塗工液)を塗工して塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させて防眩層を形成することにより、製造できる。金型による転写方式や、サンドブラスト、エンボスロールなどの適宜な方式で凹凸形状を付与する方法などを、併せて用いることもできる。
前記溶媒は、特に制限されず、種々の溶媒を使用可能であり、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。前記樹脂の組成、前記粒子および前記チキソトロピー付与剤の種類、含有量等に応じて最適な溶媒種類や溶媒比率が存在する。溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、2-メトキシエタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等があげられる。
前記溶媒を適宜選択することによって、チキソトロピー付与剤による防眩層形成材料(塗工液)へのチキソ性を良好に発現させることができる。例えば、有機粘土を用いる場合には、トルエンおよびキシレンを好適に、単独使用または併用することができ、例えば、酸化ポリオレフィンを用いる場合には、メチルエチルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルを好適に、単独使用または併用することができ、例えば、変性ウレアを用いる場合には、酢酸ブチルおよびメチルイソブチルケトンを好適に、単独使用または併用することができる。
前記防眩層形成材料には、各種レベリング剤を添加することができる。前記レベリング剤としては、塗工ムラ防止(塗工面の均一化)を目的に、例えば、フッ素系またはシリコーン系のレベリング剤を用いることができる。本発明の防眩層の表面に防汚性が求められる場合、または、反射防止層や層間充填剤を含む層が防眩層上に形成される場合などに応じて、適宜レベリング剤を選定することができる。例えば、前記チキソトロピー付与剤を含ませることで塗工液にチキソ性を発現させることができるため、塗工ムラが発生しにくい。このため、例えば、前記レベリング剤の選択肢を広げられるという優位点を有している。
前記レベリング剤の配合量は、前記樹脂100重量部に対して、例えば、5重量部以下、好ましくは0.01~5重量部の範囲である。
前記防眩層形成材料には、必要に応じて、性能を損なわない範囲で、顔料、充填剤、分散剤、可塑剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、防汚剤、酸化防止剤等が添加されてもよい。これらの添加剤は一種類を単独で使用してもよく、また二種類以上併用してもよい。
前記防眩層形成材料には、例えば、特開2008-88309号公報に記載されるような、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
前記防眩層形成材料を塗工する方法としては、例えば、ファンテンコート法、ダイコート法、スピンコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、バーコート法等の塗工法を用いることができる。
前記防眩層形成材料を塗工して塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させる。前記硬化に先立ち、前記塗膜を乾燥させることが好ましい。前記乾燥は、例えば、自然乾燥でもよいし、風を吹きつけての風乾であってもよいし、加熱乾燥であってもよいし、これらを組み合わせた方法であってもよい。
前記防眩層形成材料の塗膜の硬化手段は、特に制限されないが、紫外線硬化が好ましい。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50~500mJ/cm2が好ましい。照射量が、50mJ/cm2以上であれば、硬化がより十分となり、形成される防眩層の硬度もより十分なものとなる。また、500mJ/cm2以下であれば、形成される防眩層の着色を防止することができる。
以上のようにして、本発明の防眩層を形成することができる。なお、前述の方法以外の製造方法で防眩層を形成してもよい。本発明の防眩層の硬度は、鉛筆硬度において、層の厚みにも影響されるが、2H以上の硬度を有することが好ましい。
本発明の防眩層は、二層以上が積層された複数層構造であってもよい。
本発明の防眩層の上に、上述の反射防止層を配置してもよい。例えば、OLED表示装置の視認性を低下させる要因のひとつに空気と防眩層界面での光の反射があげられる。反射防止層は、その表面反射を低減させるものである。なお、本発明の防眩層および反射防止層は、それぞれ、二層以上が積層された複数層構造であってもよい。
(中間層)
本発明の光学素子を構成する中間層(以下、「本発明の中間層」と称する場合がある)は、前記の樹脂層と、前記ハードコート層、反射防止層、又は防眩層との間に形成されるものである。この中間層の形成により、樹脂層と、前記ハードコート層、反射防止層、又は防眩層との間の密着性が向上する。
本発明の中間層(浸透層、相溶層ともいう)が形成されるメカニズムは、特に限定されないが、例えば、前記ハードコート層、反射防止層、又は防眩層の形成において、ハードコート層形成用塗工液、反射防止層形成用塗工液、又は防眩層形成用塗工液を樹脂層に塗布、浸透、乾燥する過程で形成される。前記乾燥工程において、例えば、ハードコート層形成用塗工液、反射防止層形成用塗工液、又は防眩層形成用塗工液が樹脂層に浸透し、樹脂層由来の樹脂と、ハードコート層、反射防止層、又は防眩層由来の樹脂とを含む前記中間層が形成される。前記中間層に含まれる樹脂は、特に限定されず、例えば、樹脂層に含まれる樹脂とハードコート層、反射防止層、又は防眩層に含まれる樹脂とが単に混合(相溶)されたものでもよい。また、前記中間層に含まれる樹脂は、例えば、樹脂層に含まれる樹脂とハードコート層、反射防止層、又は防眩層に含まれる樹脂との、少なくとも一方が、加熱、光照射等により化学変化していてもよい。
下記数式(1)で定義される前記中間層の厚み比率Rは、特に限定されないが、例えば、0.10~0.80であり、例えば、0.15以上、0.20以上、0.25以上、0.30以上、0.40以上、または0.45以上であってもよく、例えば、0.75以下、0.70以下、0.65以下、0.60以下、0.50以下、0.40以下、0.45以下、または0.30以下であってもよい。前記中間層の厚み比率Rは、例えば、0.15~0.75、0.20~0.70、0.25~0.65、0.30~0.60、0.40~0.50、0.45~0.50、0.15~0.45、0.15~0.40、0.15~0.30、または0.20~0.30であってもよい。前記中間層は、例えば、光学素子の断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することで、確認することができ、厚みを測定することができる。
R=[DC/(DC+DB)] (1)
前記数式(1)において、DBは、ハードコート層、反射防止層、又は防眩層の厚み[μm]であり、DCは、前記中間層の厚み[μm]である。
樹脂層と、ハードコート層、反射防止層、又は防眩層との間に中間層が形成される場合、樹脂層と、ハードコート層、反射防止層、又は防眩層との間のせん断破壊強度は、優れた密着性の観点から、20MPa以上が好ましく、50MPa以上がより好ましい。
前記せん断破壊強度は、SAICAS法により求めることができ、樹脂層の種類、ハードコート層形成用塗工液、反射防止層形成用塗工液、防眩層形成用塗工液の組成や成膜法などにより、調整することができる。
(衝撃吸収層)
本発明の光学素子を構成する衝撃吸収層(以下、「本発明の衝撃吸収層」と称する場合がある)は、所望の衝撃吸収率を実現し得る任意の適切な樹脂層で構成され得る。樹脂層は、樹脂フィルムで構成されてもよく、粘着剤で構成されてもよい。衝撃吸収層は、代表的には、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂またはアクリル系樹脂を含む。これらの樹脂は、単独で用いてもよく併用してもよい。
本発明の衝撃吸収層の厚みは、好ましくは30μm~200μmであり、より好ましくは30μm~150μmであり、さらに好ましくは40μm~120μmである。本発明の衝撃吸収層の厚みがこのような範囲であれば、優れた耐衝撃性を有する光学積層体を実現することができる。
本発明の衝撃吸収層の25℃における貯蔵弾性率G’は、好ましくは0.1GPa以下であり、より好ましくは0.01MPa~0.1GPaである。本発明の衝撃吸収層の貯蔵弾性率がこのような範囲であれば、衝撃を吸収し、光学積層体の割れを防止できるという利点を有する。さらに、上記厚みの効果との相乗的な効果も発揮され得る。
(帯電防止層)
本発明の光学素子を構成する帯電防止層(以下、「本発明の帯電防止層」と称する場合がある)としては、特に限定されないが、例えば、導電性ポリマーを含む導電コート液をコーティングして形成される帯電防止層である。具体的なコーティングの方法としては、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法などが挙げられる。
前記導電性ポリマーとしては、例えば、π共役系導電性ポリマーにポリアニオンがドープされた導電性ポリマーなどが挙げられる。π共役系導電性ポリマーとしては、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンなどの鎖状導電性ポリマーが挙げられる。ポリアニオンとしては、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリメタクリルカルボン酸などが挙げられる。
前記帯電防止層の厚みとしては、好ましくは1nm~1000nmであり、より好ましくは5nm~900nmである。前記 帯電防止層は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
(光学積層体の製造法)
本発明の光学積層体の製造法は、特に限定されず、本発明の光学素子を構成する粘着剤層、接着剤層、偏光板、樹脂層、ガラス層、ハードコート層、反射防止層、防眩層、中間層(相溶層)、衝撃吸収層等を、本発明のOLED表示パネルの視認側に、順次積層することにより製造することができ、また、本発明の光学積層体を構成する積層体を予め作製しておき、本発明のOLED表示パネルの視認側に積層させることにより製造することができる。本発明の光学積層体を構成する積層体をあらかじめ作製する場合、本発明の光学積層体の全体を構成する積層体であってもよく、本発明の光学積層体の一部を構成する積層体を分割して、本発明のOLED表示パネルの視認側に積層してもよい。
本発明の光学素子を構成する層、又はその積層体は、使用時までは、はく離ライナー又は表面保護フィルムで保護されていてもよい。
(はく離ライナー)
本発明の粘着剤層は、使用時まで、粘着剤層の表面(粘着面)にはく離ライナーが設けられていてもよい。はく離ライナーは粘着剤層の保護材として用いられ、被着体に貼付する際に剥がされる。なお、はく離ライナーは、本発明の光学素子を構成するものではなく、必ずしも設けられなくてもよい。
前記はく離ライナーとしては、慣用の剥離紙などを使用でき、特に限定されないが、例えば、剥離処理層を有する基材、フッ素ポリマーからなる低接着性基材や無極性ポリマーからなる低接着性基材などが挙げられる。前記剥離処理層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙などが挙げられる。前記フッ素ポリマーからなる低接着性基材におけるフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられる。また、前記無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)などが挙げられる。なお、剥離ライナーは公知乃至慣用の方法により形成することができる。また、剥離ライナーの厚みも特に限定されない。
(表面保護フィルム)
本発明の光学積層体の最表面(視認側の最表面)は、表面保護フィルムにより保護されていてもよい。表面保護フィルムは、消費者により貼り付けられるものであってもよい。なお、表面保護フィルムは、本発明の光学素子を構成するものではなく、必ずしも設けられなくてもよい。
前記表面保護フィルムとしては、公知乃至慣用の表面保護フィルムを使用することができ、特に限定されないが、例えば、プラスチックフィルムの表面に粘着剤層を有するものが使用できる。前記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン等)、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド等のプラスチック材料より形成されたプラスチックフィルムが挙げられる。前記粘着剤層としては、例えば、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、エチレン-酢酸ビニル共重合体系粘着剤、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体系粘着剤、スチレン-イソプレンブロック共重合体系粘着剤、スチレン-ブタジエンブロック共重合体系粘着剤等の公知乃至慣用の粘着剤の1種以上より形成された粘着剤層が挙げられる。前記粘着剤層中には、各種の添加剤(例えば、帯電防止剤、スリップ剤等)が含まれていてもよい。なお、プラスチックフィルム、粘着剤層は、それぞれ単層構成を有していてもよいし、多層(複層)構成を有していてもよい。また、表面保護フィルムの厚みは、特に限定されず、適宜選択することができる。
(本発明のOLED表示装置)
以下に、OLED表示パネルの視認側に本発明の光学積層体が積層されたOLED表示装置の一実施形態を、図面を参照して説明するが、本発明は、本実施形態に限定されない。図2は、本発明の光学積層体が積層されたOLED表示装置の基本構成の一実施形態を示す概略断面図である。
図2に示すように、OLED表示装置200は、OLED表示パネル100の視認側(図2の上側)に光学積層体20を構成する層が積層されている。OLED表示パネル100は、特に限定されないが、例えば、図1に記載のOLED表示パネル100と同一の構成を採用し得る。
図2のOLED表示装置200において、21~29は、光学積層体20を構成する層であり、21は粘着剤層又は接着剤層、22は偏光板、樹脂層、ガラス層又は衝撃吸収層、23はハードコート層又は防眩層、24は粘着剤層又は接着剤層、25は偏光板、樹脂層、ガラス層又は衝撃吸収層、26は粘着剤層又は接着剤層、27は偏光板、樹脂層、ガラス層又は衝撃吸収層、28はハードコート層又は防眩層、29は反射防止層を示す。図2に示される光学積層体20の積層構造は、本実施形態に限定されるものではなく、図2に示される光学積層体20の積層構造の任意の層間に本発明の光学素子を構成する他の層が挿入されていてもよく、図2に示される光学積層体20の積層構造の任意の層は存在していなくともよい。
本発明の好ましい一実施形態としては、図2において、21は粘着剤層、22は樹脂層、23はハードコート層、24は粘着剤層、25はガラス層、26は粘着剤層、27は樹脂層、28はハードコート層であり、反射防止層29が存在せず、粘着剤層21、24、26の少なくとも一つが光散乱特性を有する粘着剤層である。本実施形態に係るOLED表示装置300を図3に示す。図3において、31~38は、光学積層体30を構成する層であり、31は粘着剤層、32は樹脂層、33はハードコート層、34は粘着剤層、35はガラス層、36は光散乱特性を有する粘着剤層、37は樹脂層、38はハードコート層である。粘着剤層36が光散乱特性を有することにより、OLED表示パネル100に起因するカラーシフトや干渉ムラが抑制され、OLED表示装置300が視認性に優れるものとなる。
なお、図3に示されるOLED表示装置300において、ハードコート層38の視認側に反射防止層が存在していてもよい。
本発明の好ましい他の一実施形態としては、図2において、OLED表示パネル100が視認側にカラーフィルタが配置されており、21は粘着剤層、22は樹脂層、23はハードコート層、24は粘着剤層、25はガラス層、26は粘着剤層、27は樹脂層、28はハードコート層であり、反射防止層29が存在せず、粘着剤層21、24、26の少なくとも一つが光散乱特性を有する粘着剤層であり、光散乱特性を有する粘着剤層と、該カラーフィルタとの距離d(μm)が、700μm以下である。光散乱特性を有する粘着剤層と、該カラーフィルタとの距離dが700μm以下であることにより、OLED表示装置300に起因するカラーシフトや、干渉ムラを抑制するために光散乱層を積層しても、画像ボケが生じにくくなり、視認性に優れる。光散乱層を積層することによるOLED表示装置の画像ボケをより効率的に低減する観点から、光散乱特性を有する粘着剤層と、カラーフィルタとの間との距離は600μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましく、光散乱特性を有する粘着剤層と、カラーフィルタとが直接接していることが最も好ましい。本実施形態に係るOLED表示装置400A及び400Bを図4(a)及び(b)にそれぞれ示す。図4(a)において、41A~48Aは、光学積層体40Aを構成する層であり、41Aは粘着剤層、42Aは樹脂層、43Aはハードコート層、44Aは粘着剤層、45Aはガラス層、46Aは光散乱特性を有する粘着剤層、47Aは樹脂層、48Aはハードコート層である。15Aは、OLED表示パネル400Bの視認側(図4(a)において上側)に配置されたカラーフィルタであり、光散乱特性を有する粘着剤層46Aと、該カラーフィルタ15Aとの距離d(μm)は、700μm以下である。図4(b)において、41B~48Bは、光学積層体40Bを構成する層であり、41Bは光散乱特性を有する粘着剤層、42Bは樹脂層、43Bはハードコート層、44Bは粘着剤層、45Bはガラス層、46Bは粘着剤層、47Bは樹脂層、48Bはハードコート層である。15Bは、OLED表示パネル400Bの視認側(図4(b)において上側)に配置されたカラーフィルタである。光散乱特性を有する粘着剤層41Bと、カラーフィルタ15Bは直接接しており、すなわち、光散乱特性を有する粘着剤層41Bと、カラーフィルタ15Bとの間の距離は0μmであるため、OLED表示装置400Bに起因するカラーシフトや干渉ムラを最も効率的に抑制することができる。
なお、図4(a)及び(b)に示されるOLED表示装置400A及び400Bにおいて、ハードコート層48A及び48Bの視認側に反射防止層が存在していてもよい。
本発明の好ましい他の一実施形態としては、図2において、21は粘着剤層、22は樹脂層、23はハードコート層、24は粘着剤層、25はガラス層、26は粘着剤層、27は樹脂層、28は防眩層であり、反射防止層29が存在しない。本実施形態に係るOLED表示装置500を図5に示す。図5において、51~58は、光学積層体50を構成する層であり、51は粘着剤層、52は樹脂層、53はハードコート層、54は粘着剤層、55はガラス層、56は粘着剤層、57は樹脂層、58は防眩層である。光学積層体50が防眩層58を有することにより、OLED表示パネル100に起因するカラーシフトや干渉ムラが抑制され、OLED表示装置500が視認性に優れるものとなる。
なお、図5に示されるOLED表示装置500において、防眩層58の視認側に反射防止層が存在していてもよい。
本発明の好ましい他の一実施形態としては、図2において、21は粘着剤層、22は樹脂層、23はハードコート層、24は粘着剤層、25はガラス層、26は粘着剤層、27は樹脂層、28はハードコート層であり、反射防止層29が存在する。本実施形態に係るOLED表示装置600を図6に示す。図6において、61~69は、光学積層体60を構成する層であり、61は粘着剤層、62は樹脂層、63はハードコート層、64は粘着剤層、65はガラス層、66は粘着剤層、67は樹脂層、68はハードコート層、69は反射防止層である。光学積層体60が反射防止層69を有することにより、OLED表示パネル100に起因する干渉ムラが抑制され、OLED表示装置600が視認性に優れるものとなる。
図6に示されるOLED表示装置600において、68は防眩層であってもよい。本実施形態において、防眩層68と反射防止層69が積層されることにより、反射防止機能はさらに向上する。
本発明の好ましい他の一実施形態としては、図2において、21は粘着剤層、22は樹脂層、23は存在せず、24は接着剤層、25はガラス層、26は粘着剤層、27は樹脂層、28はハードコート層であり、反射防止層29は存在しない。或いは、図2において、21は粘着剤層、22は樹脂層、23はハードコート層、24は粘着剤層、25はガラス層、26は接着剤層、27は樹脂層、28はハードコート層であり、反射防止層29は存在しない。本実施形態に係るOLED表示装置700A、700Bを図7(a)及び図7(b)にそれぞれ示す。図7(a)において、71A、72A、74A~78Aは、光学積層体70Aを構成する層であり、71Aは粘着剤層、72Aは樹脂層、74Aは接着剤層、75Aはガラス層、76Aは粘着剤層、77Aは樹脂層、78Aはハードコート層である。また、図7(b)において、71B~78Bは、光学積層体70Bを構成する層であり、71Bは粘着剤層、72Bは樹脂層、73Bはハードコート層、74Bは粘着剤層、75Bはガラス層、76Bは接着剤層、77Bは樹脂層、78Bはハードコート層である。図7(a)において、樹脂層72Aとガラス層75Aと間が接着剤層74Aにより接着されることにより、又は、図7(b)において、ガラス層75Bと樹脂層77Bとの間が接着剤層76Bにより接着されることにより、光学積層体70A、70Bが偏光板を有しない場合であっても、優れた耐衝撃性がそれぞれ付与される。また、ガラス層は耐衝撃性には優れるが、割れやすく屈曲性が低い素材である。ガラス層と樹脂層を接着剤層で接着することにより、可撓性や折り曲げ性が向上し、OLED表示装置700A、700Bはフレキシブルデバイスやフォルダブルデバイスに使用可能である。
なお、図7(a)及び(b)に示されるOLED表示装置700A、700Bにおいて、ハードコート層78A、78Bの視認側に反射防止層が存在していてもよい。
本発明の好ましい他の一実施形態としては、図2において、21は粘着剤層、22は樹脂層、23はハードコート層、24は粘着剤層、25、26は存在せず、27は樹脂層、28はハードコート層であり、反射防止層29は存在せず、樹脂層22、27のいずれか一方、又は両方が透明ポリイミド層である。本実施形態に係るOLED表示装置800を図8に示す。図8において、81~84、87、88は、光学積層体80を構成する層であり、81は粘着剤層、82は透明ポリイミド層、83はハードコート層、84は粘着剤層、87は樹脂層、88はハードコート層である。図8において、光学積層体80が、透明ポリイミド層82とハードコート層83を有することにより、光学積層体80が偏光板を有しない場合であっても、優れた耐衝撃性が付与される。また、本実施形態において、光学積層体80はガラス層を有しない。ガラス層は、高い硬度を示し、耐衝撃性に優れる素材であるが、取扱い性に劣り、PCやタブレット等に使用される大型ディスプレイには使用しづらい。透明ポリイミド層とハードコート層が積層されることにより、ガラス層と同等の高い硬度が達成できると共に、取扱い性にも優れるため、PCやタブレット等に使用される大型ディスプレイにも適用可能である。
図8に示される実施形態において、透明ポリイミド層82とハードコート層83の間に中間層(相溶相)が形成されることが好ましい(図示略)。透明ポリイミド層82とハードコート層83の間に中間層(相溶相)が形成されることにより、透明ポリイミド層82とハードコート層83の間の密着性が向上する。その場合、透明ポリイミド層82とハードコート層83の間のせん断破壊強度は、20MPa以上であることが好ましい。
本発明の好ましい一実施形態としては、図2において、21は粘着剤層、22は樹脂層、23はハードコート層、24は粘着剤層、25はガラス層、26は粘着剤層、27は樹脂層、28はハードコート層であり、反射防止層29が存在せず、粘着剤層21、24、26の少なくとも一つ(好ましくは粘着剤層21)が紫外線吸収剤を含み、樹脂層22における透湿度が40g/m2・24h以上である。本実施形態に係るOLED表示装置900を図9に示す。
図9において、900はOLED表示装置、910は光学積層体、91は粘着剤層、92は樹脂層、93はOLED表示パネルである。粘着剤層91及び樹脂層92は光学積層体910を構成する層である。耐候性(採光率信頼性)の観点、すなわち、上記高屈折率有機材料などの添加剤の分離、析出を抑制する観点から、粘着剤層91が紫外線吸収剤を含み、また、樹脂層92は高透湿度であることが好ましく、具体的には透湿度が40g/m2・24h以上である。また、光学積層体910における380nm透過率が20%以下であることにより、さらに優れた耐候性が付与される。
100 OLED表示パネル
10R 赤色OLED層
10G 緑色OLED層
10B 青色OLED層
11a 透明電極(陰極)
11b 背面電極(陽極)
12R 赤色OLED素子
12G 緑色OLED素子
12B 青色OLED素子
13 基板
14 TFT層
15 カラーフィルタ
15R 赤色着色層
15G 緑色着色層
15B 青色着色層
16 ブラックマトリックス層
W 外光
G 反射光
C1 第1光路(直接光)
C2 第2光路(反射光)
17 接合層
200 OLED表示装置
20 光学積層体
21 粘着剤層又は接着剤層
22 樹脂層、ガラス層又は衝撃吸収層
23 ハードコート層又は防眩層
24 粘着剤層又は接着剤層
25 樹脂層、ガラス層又は衝撃吸収層
26 粘着剤層又は接着剤層
27 樹脂層、ガラス層又は衝撃吸収層
28 ハードコート層又は防眩層
29 反射防止層
300 OLED表示装置
30 光学積層体
31 粘着剤層
32 樹脂層
33 ハードコート層
34 粘着剤層
35 ガラス層
36 光散乱特性を有する粘着剤層
37 樹脂層
38 ハードコート層
400A OLED表示装置
40A 光学積層体
41A 粘着剤層
42A 樹脂層
43A ハードコート層
44A 粘着剤層
45A ガラス層
46A 光散乱特性を有する粘着剤層
47A 樹脂層
48A ハードコート層
15A カラーフィルタ
400B OLED表示装置
40B 光学積層体
41B 光散乱特性を有する粘着剤層
42B 樹脂層
43B ハードコート層
44B 粘着剤層
45B ガラス層
46B 粘着剤層
47B 樹脂層
48B ハードコート層
15B カラーフィルタ
500 OLED表示装置
50 光学積層体
51 粘着剤層
52 樹脂層
53 ハードコート層
54 粘着剤層
55 ガラス層
56 粘着剤層
57 樹脂層
58 防眩層
600 OLED表示装置
60 光学積層体
61 粘着剤層
62 樹脂層
63 ハードコート層
64 粘着剤層
65 ガラス層
66 粘着剤層
67 樹脂層
68 ハードコート層
69 反射防止層
700A OLED表示装置
70A 光学積層体
71A 粘着剤層
72A 樹脂層
74A 接着剤層
75A ガラス層
76A 粘着剤層
77A 樹脂層
78A ハードコート層
700B OLED表示装置
70B 光学積層体
71B 粘着剤層
72B 樹脂層
73B ハードコート層
74B 粘着剤層
75B ガラス層
76B 接着剤層
77B 樹脂層
78B ハードコート層
800 OLED表示装置
80 光学積層体
81 粘着剤層
82 透明ポリイミド層
83 ハードコート層
84 粘着剤層
87 樹脂層
88 ハードコート層
900 OLED表示装置
910 光学積層体
91 粘着剤層
92 樹脂層
93 OLED表示パネル

Claims (1)

  1. 樹脂層及び粘着剤層を有するOLED表示装置用光学積層体であって、
    前記樹脂層の透湿度が40g/m2・24h以上であり、
    前記粘着剤層が紫外線吸収剤を含み、
    380nm透過率が20%以下であるOLED表示装置用光学積層体。
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