JP2023125096A - 測量方法、ターゲットマーカ、及び測量システム - Google Patents
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Abstract
Description
近年、レーザスキャナを活用した測量が普及しており、このような測量に用いられる種々の技術が開発されている(例えば、特許文献1)。
同文献に係る測量方法は、上記のトータルステーションの他に、移動式測定器(レーザ測距器、撮影装置を具備したもの)を活用し、トータルステーションと移動式測定器のそれぞれの測定結果を合わせることによって、トータルステーションの設置替えを行わずとも測量の死角となる箇所を減らすことができる。これにより、同文献に係る測量方法は、トータルステーション単体で行う測量に比べて、より広範囲の測量を高精度に実現することができる。
特許文献1に係る測量方法に対して、上記の技術を応用することによって、位置合わせの基準位置を定め、その基準位置に基づいて結合処理を行うことは可能である。しかしながら、上記の技術において、測量結果の中からターゲットマーカに相当する点群を検出する処理は、ターゲットマーカの背景に存在する別の物体と区別が困難になる場合があり、このような場合には十分な精度で基準位置を定めることができず、正しい測量をすることができない。
本発明は、上記の現象を逆手に取った技術であり、レーザスキャナによる測定によって取得された点群データの中から測定不能だった範囲を示すエラーマップを生成し、生成したエラーマップに基づいてターゲットマーカの存在位置を特定する(例えば、測定不能箇所が集中している場所をターゲットマーカの存在位置として特定する)コンピュータ処理を実行する。
測定不能であるという特徴はターゲットマーカの配置環境に依存する影響が少ないので、本発明は、既知の技術で着目されていた特徴(例えば、ターゲットマーカの形状や色彩など)に基づくコンピュータ処理に比べて、高い精度でターゲットマーカに相当する点群を検出することができ、その結果として正確な測量を実現することができる。
先ず、本発明に係る測量方法に用いられるシステム構成について説明する。
本発明に係る測量方法には、測量対象となる現実空間に配置されるターゲットマーカ10と、ターゲットマーカ10の周囲空間を測定して三次元の点群データを取得するレーザスキャナ20と、レーザスキャナ20によって取得された点群データを解析するコンピュータ装置30と、が用いられる。
なお、本実施形態に係るターゲットマーカ10と、レーザスキャナ20と、コンピュータ装置30と、を備えるシステムが、本発明に係る「測量システム」に相当する。
また、コンピュータ装置30は、本発明の目的に照らして十分な性能のハードウェア資源(CPU、ROM、RAM等)を有しており、レーザスキャナ20から取得した点群データ及び画像データを解析することによって、それぞれの点群の色彩を判定可能であることが好ましい。
測量の対象となる領域が、一回の測定範囲を超える広さである場合、図1に示すように、複数回の測定範囲(エリアA1及びエリアA2)が重畳するように測定を行い、それぞれの測定によって取得された点群データ同士を結合することによって、対象となる領域全体の点群データを得ることができる。
図2に示すとおり、ターゲットマーカ10は、複数種類の領域に大別され、本実施形態ではそれぞれの領域を領域11、領域12、領域13、領域14と呼称する。なお、領域12は、図2に図示する領域12a、領域12b、領域12cの総称である。
領域12は、ターゲットマーカ10に割り当てられている識別情報をパターン化した領域(すなわち、他のターゲットマーカと識別する形状、模様又は色彩を含む領域)である。領域12は、本発明に係る「第一領域」に相当する。ここで「識別情報のパターン化」とは、コンピュータ装置30が、レーザスキャナ20の測定結果(点群データと画像データ)から自動認識可能な態様(演算処理によって解読可能な態様)で、ターゲットマーカ10に識別情報を持たせることをいう。
領域13は、再帰性反射材が設けられている領域であり、上記の領域11及び領域12の周囲を囲っている。再帰性反射材とは、光源から来た光を、広い照射角にわたって、入射光の光路にほぼ沿う方向へ反射する素材をいい、正反射(鏡面反射)とは逆の性質を持っている。上述したように、レーザスキャナ20からの照射光と、再帰性反射材による反射光と、は位相が揃ってしまうため、その反射光を受け付けたレーザスキャナ20は、領域13の存在する範囲において処理可能な点群データを取得することができず、当該範囲について測定不能と処理する。
領域14は、ターゲットマーカ10の最縁部に設けられている領域であり、上記の領域11、領域12及び領域13の周囲を囲っている。
また、領域11、領域12及び領域14は、再帰性反射材とは異なる性質の素材によって形成されていればよく、好ましくは正反射またはそれにほぼ等しい反射をする高反射強度材によって形成されることが好ましい。コンピュータ装置30による解析処理において、領域13と他の領域とを区別するのが容易になるからである。
図3において黒色で表される部分が、レーザスキャナ20が測定不能だった箇所(エラーマップ)であり、コンピュータ装置30は、当該箇所が領域13に相当する範囲であり、当該箇所の近傍から取得された点群がターゲットマーカ10(領域11、領域12、及び領域14)の存在位置を表す点群であるものと判別する。
また、図3において、黒色で囲われている白抜きの部分が、領域11と領域12に相当する点群の存在範囲であり、コンピュータ装置30はこれらの点群が表す形状及び点群の色彩等を解析することによって、ターゲットマーカ10の中心位置や識別情報を判別する。
例えば、コンピュータ装置30は、エラーマップによって表されている測定不能な範囲の形状を解析し、解析した形状が所定の形状(本実施形態では、その外縁が正方形)であることを条件として、当該範囲をターゲットマーカ10(領域13)の存在位置として特定してもよい。
或いは、コンピュータ装置30は、ラーマップによって表されている測定不能な範囲の大きさを解析し、解析した大きさが所定の閾値に収まるもの(上限閾値より小さく、下限閾値より大きいもの)をターゲットマーカ10(領域13)の存在位置として特定してもよい。
なお、上記の基準は、本発明の目的を達成する範囲において適宜変更してもよく、本明細書に記載していない既知の条件を適用してもよい。
そして、ターゲットマーカ10が上記の領域11を有しているので、コンピュータ装置30が領域11の形状、模様又は色彩を解析することによって、ターゲットマーカ10の中心位置をコンピュータ処理によって検出することができる。
そして、ターゲットマーカ10が上記の領域12を有しているので、コンピュータ装置30が領域12の形状、模様又は色彩を解析することによって、そのターゲットマーカ10に割り当てられている識別情報を判定することができる。
次に、本発明に係る測量方法の処理手順について説明する。
図4は、本発明に係る測量方法のフローチャートである。
次に、測量を実施する者は、レーザスキャナ20を所定の位置に配置して、当該位置から測定可能な領域を測定し、測定結果(点群データ及び画像データ)を取得する(ステップS103)。ステップS103の処理は、本発明に係る「測量工程」に相当する。
測定の対象となる領域についてレーザスキャナ20による測定結果を得ていない場合(ステップS105のNO)、測量を実施する者は、別の位置にレーザスキャナ20を移動させて、移動後の位置から測定可能な領域を測定する。
例えば、図1に図示した事例に則して言えば、先ず、レーザスキャナ20を配置した最初の位置からエリアA1について点群データを取得する。次に、レーザスキャナ20を移動して別の位置からエリアA2について点群データを取得する。ここでエリアA1に対するステップS103の処理は本発明に係る「第一測量工程」に相当し、エリアA2に対するステップS103の処理は本発明に係る「第二測量工程」に相当する。
そして、コンピュータ装置30は、ステップS107において特定されたターゲットマーカ10の存在位置を基準として、レーザスキャナ20による測定ごとに存在する点群データ同士を結合する(ステップS109)。ステップS109の処理は、本発明に係る「結合工程」に相当する。
例えば、図1に図示した事例に則して言えば、コンピュータ装置30は、エリアA1の測定結果である点群データと、エリアA1の測定結果である点群データと、を、それぞれの点群データの中から特定されるターゲットマーカ10a、10b、10cの存在位置がそれぞれ重畳するように位置合わせをして結合することによって、測量の対象全体に係る点群データを生成する。
上記のようなターゲットマーカ10を検出する手法は、従来にはない発想に基づくものであり、且つ、従来の手法に比べて高い精度でコンピュータ処理することができる。その結果として、実用に耐えうる精度で点群データ同士の結合の自動化を図ることができ、従来は手動で行っていた作業を削減して、測量において生じる人的コストの低減を図ることができる。
以上に説明した本発明の実施形態は、本発明の目的と達成する範囲において、種々の変形が可能である。
以下、未だ説明していない本発明の変形例について、言及する。
また、上述した実施形態における、各構成要素の数は一具体例に過ぎず、本発明の目的を達成する範囲において適宜変更されてもよい。
例えば、図2に図示するターゲットマーカ10は、その一部領域が再帰性反射材であるに過ぎないが、本発明に係るターゲットマーカは、その全体領域が再帰性反射材である態様であってもよい。また、本発明に係るターゲットマーカは、片面だけに各領域が設けられていてもよく、表面と裏面で異なる態様で各領域が配置されてもよい。
例えば、図4のフローチャートは、ステップS103の処理(レーザスキャナ20による測定)を複数回行い、ステップS109において、それぞれの測定結果として得られた点群データ同士を結合することを前提とするものであるが、本発明は単一の測定に適用されてもよく、この変形例の場合、点群データ同士を結合する処理は不要である。
本発明を単一の測定に適用する変形例としては、例えば、ターゲットマーカの存在位置を原点座標(公共座標)とする測量などが考えられる。
(1)少なくとも一部の領域が再帰性反射材によって形成されているターゲットマーカを配置するマーカ配置工程と、レーザスキャナの測定範囲に前記ターゲットマーカの存在位置を含む位置に前記レーザスキャナを配置して、前記ターゲットマーカの周囲空間を測量して点群データを取得する測量工程と、コンピュータ装置が、前記測量工程において取得された点群データにおいて測定不能だった範囲を検出してエラーマップを生成し、生成した前記エラーマップに基づいて前記ターゲットマーカの存在位置を特定するマーカ特定工程と、を含むことを特徴とする測量方法。
(2)前記測量工程は、第一の位置に前記レーザスキャナを配置して、前記ターゲットマーカの周囲空間を測量して第一点群データを取得する第一測量工程と、前記第一の位置とは異なる第二の位置に前記レーザスキャナを配置して、前記ターゲットマーカの周囲空間を測量して第二点群データを取得する第二測量工程と、を含み、前記マーカ特定工程において、前記コンピュータ装置が、前記第一点群データ及び前記第二点群データのそれぞれについて前記エラーマップを生成して前記ターゲットマーカの存在位置を特定し、前記コンピュータ装置が、前記第一点群データから特定された前記ターゲットマーカの存在位置と、前記第二点群データから特定された前記ターゲットマーカの存在位置と、が重畳するように前記第一点群データと前記第二点群データを結合して第三点群データを生成する結合工程を更に含む、(1)に記載の測量方法。
(3)前記マーカ特定工程において、前記コンピュータ装置は、前記エラーマップに表されている測定不能な範囲の形状が、所定の形状であるものを前記ターゲットマーカの存在位置として特定する、(1)又は(2)に記載の測量方法。
(4)前記マーカ特定工程において、前記コンピュータ装置は、前記エラーマップに表されている測定不能だった範囲のうち、当該範囲の大きさが所定の閾値に収まるものを前記ターゲットマーカの存在位置として特定する、(1)から(3)のいずれか一つに記載の測量方法。
(5)前記マーカ配置工程において、三つ以上の前記ターゲットマーカが配置される、(1)から(4)のいずれか一つに記載の測量方法。
(6)前記ターゲットマーカは、当該ターゲットマーカを他のターゲットマーカと識別する形状、模様又は色彩を含む第一領域を有している、(5)に記載の測量方法。
(7)前記ターゲットマーカは平板であり、前記平板の両面が前記第一領域を有しており、いずれの面の前記第一領域も同一である、(6)に記載の測量方法。
(8)前記ターゲットマーカは、当該ターゲットマーカの中心位置を表す形状、模様又は色彩を含む第二領域を有している、(6)又は(7)に記載の測量方法。
(9)前記ターゲットマーカは、前記第一領域及び前記第二領域が前記再帰性反射材を設けた領域によって囲まれている、(8)に記載の測量方法。
(10)レーザスキャナによる測量に用いられるターゲットマーカであって、少なくとも一部の領域が再帰性反射材によって形成されており、当該ターゲットマーカを他のターゲットマーカと識別する形状、模様又は色彩を含む第一領域を有している、ことを特徴とするターゲットマーカ。
(11)前記ターゲットマーカは平板であり、前記平板の両面が前記第一領域を有しており、いずれの面の前記第一領域も同一である、(10)に記載のターゲットマーカ。
(12)前記ターゲットマーカは、当該ターゲットマーカの中心位置を表す形状、模様又は色彩を含む第二領域を有している、(10)又は(11)に記載のターゲットマーカ。
(13)前記ターゲットマーカは、前記第一領域及び前記第二領域が前記再帰性反射材を設けた領域によって囲まれている、(12)に記載のターゲットマーカ。
(14)少なくとも一部の領域が再帰性反射材によって形成されているターゲットマーカと、測定範囲に前記ターゲットマーカの存在位置を含む位置に配置され、前記ターゲットマーカの周囲空間を測量して点群データを取得するレーザスキャナと、前記レーザスキャナによって取得された点群データから測定不能な範囲を検出してエラーマップを生成し、生成した前記エラーマップに基づいて前記ターゲットマーカの存在位置を特定するコンピュータ装置と、を備えることを特徴とする測量システム。
20(20a、20b) レーザスキャナ
30 コンピュータ装置
11、12、13、14 領域
A1、A2 エリア
Claims (14)
- 少なくとも一部の領域が再帰性反射材によって形成されているターゲットマーカを配置するマーカ配置工程と、
レーザスキャナの測定範囲に前記ターゲットマーカの存在位置を含む位置に前記レーザスキャナを配置して、前記ターゲットマーカの周囲空間を測量して点群データを取得する測量工程と、
コンピュータ装置が、前記測量工程において取得された点群データにおいて測定不能だった範囲を検出してエラーマップを生成し、生成した前記エラーマップに基づいて前記ターゲットマーカの存在位置を特定するマーカ特定工程と、
を含むことを特徴とする測量方法。 - 前記測量工程は、
第一の位置に前記レーザスキャナを配置して、前記ターゲットマーカの周囲空間を測量して第一点群データを取得する第一測量工程と、
前記第一の位置とは異なる第二の位置に前記レーザスキャナを配置して、前記ターゲットマーカの周囲空間を測量して第二点群データを取得する第二測量工程と、
を含み、
前記マーカ特定工程において、前記コンピュータ装置が、前記第一点群データ及び前記第二点群データのそれぞれについて前記エラーマップを生成して前記ターゲットマーカの存在位置を特定し、
前記コンピュータ装置が、前記第一点群データから特定された前記ターゲットマーカの存在位置と、前記第二点群データから特定された前記ターゲットマーカの存在位置と、が重畳するように前記第一点群データと前記第二点群データを結合して第三点群データを生成する結合工程を更に含む、
請求項1に記載の測量方法。 - 前記マーカ特定工程において、前記コンピュータ装置は、前記エラーマップに表されている測定不能な範囲の形状が、所定の形状であるものを前記ターゲットマーカの存在位置として特定する、
請求項1又は2に記載の測量方法。 - 前記マーカ特定工程において、前記コンピュータ装置は、前記エラーマップに表されている測定不能だった範囲のうち、当該範囲の大きさが所定の閾値に収まるものを前記ターゲットマーカの存在位置として特定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の測量方法。 - 前記マーカ配置工程において、三つ以上の前記ターゲットマーカが配置される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の測量方法。 - 前記ターゲットマーカは、当該ターゲットマーカを他のターゲットマーカと識別する形状、模様又は色彩を含む第一領域を有している、
請求項5に記載の測量方法。 - 前記ターゲットマーカは平板であり、前記平板の両面が前記第一領域を有しており、いずれの面の前記第一領域も同一である、
請求項6に記載の測量方法。 - 前記ターゲットマーカは、当該ターゲットマーカの中心位置を表す形状、模様又は色彩を含む第二領域を有している、
請求項6又は7に記載の測量方法。 - 前記ターゲットマーカは、前記第一領域及び前記第二領域が前記再帰性反射材を設けた領域によって囲まれている、
請求項8に記載の測量方法。 - レーザスキャナによる測量に用いられるターゲットマーカであって、
少なくとも一部の領域が再帰性反射材によって形成されており、
当該ターゲットマーカを他のターゲットマーカと識別する形状、模様又は色彩を含む第一領域を有している、
ことを特徴とするターゲットマーカ。 - 前記ターゲットマーカは平板であり、前記平板の両面が前記第一領域を有しており、いずれの面の前記第一領域も同一である、
請求項10に記載のターゲットマーカ。 - 前記ターゲットマーカは、当該ターゲットマーカの中心位置を表す形状、模様又は色彩を含む第二領域を有している、
請求項10又は11に記載のターゲットマーカ。 - 前記ターゲットマーカは、前記第一領域及び前記第二領域が前記再帰性反射材を設けた領域によって囲まれている、
請求項12に記載のターゲットマーカ。 - 少なくとも一部の領域が再帰性反射材によって形成されているターゲットマーカと、
測定範囲に前記ターゲットマーカの存在位置を含む位置に配置され、前記ターゲットマーカの周囲空間を測量して点群データを取得するレーザスキャナと、
前記レーザスキャナによって取得された点群データから測定不能な範囲を検出してエラーマップを生成し、生成した前記エラーマップに基づいて前記ターゲットマーカの存在位置を特定するコンピュータ装置と、
を備えることを特徴とする測量システム。
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